601: 2014/05/26(月) 23:02:37.02 ID:sqvcV44AO


前回はこちら

――――アイテム屋近く、取り扱い&操作注意物密集地域。

五月雨「ここには色んな物があるんだね」

涼風「色んな物があるっていうか、ヘンテコな物ばっかだねぇ」

五月雨「ねぇ涼風、あの部屋にあるの何だろう?」

涼風「あんまり五月雨は近付かない方がいい――ってあたいの話聞きなってば!」

五月雨「いっぱいボタンがある……えい!」

涼風「あっ、何で押しちゃうんだよ!?」

五月雨「えっ? これだけボタンがあったら何か押したくならない?」

涼風「押したくなったからって押していいわけないじゃん!」

五月雨「あぅっ、ごめんなさい……」

涼風「全く、何かとんでもないこと起きなきゃいいけど……」



――――五月雨がボタンを押した直後、ジェットコースターに乗っていた初春と初霜。

初春「とぉぉぉぉめぇぇぇぇるぅぅぅぅのぉぉぉぉじゃぁぁぁぁ!」

初霜「今は私を助けてぇぇぇぇ!?」

山城「えっ? 何? 何が起きてるの!? やっぱり私は不幸なの!?」

初春「めぇぇぇがぁぁぁまぁぁぁわぁぁぁるぅぅぅ!?」

初霜「もう……ダメ……」

山城「停止ボタン、停止ボタンはどこ!?」




明石(アレ、私鍵閉めずに出ちゃったかな?)

明石「――えっ!? 五月雨ちゃんと涼風ちゃん!?」

五月雨「あっ明石さん」

涼風「こんちはー」

明石「こんにちは二人共、そこのボタン触ったり……した?」

涼風「あたいは押してないけど――」

五月雨「ごめんなさい、何か押したくなっちゃってそのボタン押しちゃいました……」

明石(あのボタンは確か――ジェットコースターの加速耐久テスト用のだわ!)

明石「あっちゃーこんなのバレたら加賀さんと提督に怒られるよー……」

五月雨「えっと、私また何かしちゃいましたか?」

明石「あぁうん、今回は私の管理ミスだから気にしないで……それと、この辺は危ないから二度と来ちゃダメ、分かった?」

五月雨&涼風「はーい!」





――――結局、初春と初霜は一週間自室で療養。明石は管理を徹底するように厳重注意を受けましたとさ。

五月雨「あっアレ何だろう」

涼風「ちょっと待って五月雨、夕張さんの試作品は洒落にならないって!?」
艦隊これくしょん ‐艦これ‐ 艦娘型録

603: 2014/05/27(火) 01:34:05.45 ID:p6UHSN3AO
――――妙高型四姉妹が着任して間もない頃。

那智「司令官、どうして足柄の突撃癖を諌めないのだ」

提督「俺が何かを言ってどうにかなるものでもないだろう。それに、アレがアイツの実力の発揮方法だ。活かしこそすれ、頃すような指揮をするわけにはいかん」

那智「それが原因で足柄が沈んだらどうする。勇猛と蛮勇の区別が付かぬ訳でも無いだろう」

提督「妙高型二番艦と三番艦。一番近しい存在であるお前が、妹を信じなくてどうする」

那智「私が足柄を信じれば大丈夫、とでも言うつもりか?」

提督「少なくとも、足柄はお前を心底信頼しているぞ。だからお前を足柄と必ず組ませて出撃させている」

那智(足柄が、私を……)

提督「お前が背中を守り、妙高が後から叱り、羽黒が宥める。良い姉妹関係じゃないか」

那智「当然だ。自慢の姉と妹だ」

提督「なら、信じてやれ」

那智「ふっ……口の上手い司令官だな、貴様は」

提督「腕っぷしがないからな、口でしかお前等に勝てん」

那智「鍛えてやろうか?」

提督「謹んで遠慮する」




――――出撃中。

足柄「――敵艦影発見! 行くわよっ!」

那智「待て、あしが――」

那智(……信じる、か)

那智「足柄!」

足柄「何!?」

那智「背中は任せろ!」

足柄「っ……お願いね、那智姉さん!」

那智(――“狼の首輪”、か。鎮守府にあの子を無事に帰らせてやるのが、私の役目だ)

那智「全艦最大船速! 足柄に続け!」




――――現在の鎮守府、妙高型四姉妹の部屋。

妙高「足柄、何時も言ってますよね?」

足柄「あの、妙高姉さん?」

妙高「何で、また突撃したの?」

足柄「ちゃ、ちゃんと那智姉さんが後ろに――」

妙高「言い訳、するの?」

足柄「んに゛ゃあ!? ごめんなさーい!」

羽黒「あ……あの……妙高姉さん、それぐらいに……」

那智「怒られるのもアイツの役目だ、暫くは放って置け」

妙高「那智、貴女もちょっとこっちに来なさい」

那智「私もか!?」



――――妙高型四姉妹。今日も仲良く元気に四人で過ごしています。

609: 2014/05/27(火) 02:04:58.77 ID:p6UHSN3AO
~次回~

・心優しき二水戦の鬼

・幸運艦の日常

・ぽいぽい?ぽいぽい!

・艦隊のアイドル

の、四本でお送りします

今日はコレで寝ます

618: 2014/05/27(火) 15:36:29.40 ID:p6UHSN3AO
大鳳「神通、今日は貴女が旗艦なのね」

神通「はい、今日はよろしくお願いします。最近は遠征ばかりだったので、久しぶりの出撃は少し緊張します……」

大鳳「そんな心配しなくても大丈夫よ。神通の頼もしさは皆が知っているもの」

大鳳(道中は夜戦を前提とした作戦……敵主力部隊に接敵するまで、私達空母はお荷物にしかなれないわ)

神通「皆さんを無事に送り届けられるよう、精一杯頑張ります」




――――道中、夜戦。

神通「では皆さん、手筈通りに」

川内「夜戦は任せて!」

高雄「この高雄が勝利を提督に捧げます!」

大井「とっとと道を開けなさい!」

大鳳「ねぇ瑞鶴」

瑞鶴「何?」

大鳳「この編成だと敵が可哀想に思えて来たんだけど……」

瑞鶴「いいじゃない、楽できて」

大鳳「……それもそうね」

神通「敵はあそこです!――次はこちらに!」

大鳳(身軽な今だからこそ出来る技よね。探照灯を照射して敵位置を確認、即座に消灯。確認出来た位置への集中砲火で沈めた後、次の敵位置をまた照射して確認)

神通「私はここです! 当てられるものなら当ててみなさい!――油断しましたね、そこです!」

大鳳(探照灯で見付からない潜水艦を魚雷の発射位置から……夜戦での潜水艦は驚異と聞いていたのだけど)

神通「ふぅ……お二人共、怪我はありませんか?」

大鳳「全く」

瑞鶴「ボーっと突っ立っててもアレじゃ当たらないわよ」

神通「そうですか、では進撃しましょう」



――――その後、敵主力部隊を無事撃滅。艦隊は多少の被弾のみで帰投。

神通「提督、作戦が無事に終了――」

那珂「提督ー那珂ちゃんと一緒にスキャンダラスな夜を過ごそうよー」

提督「だから清純派はどうした。神通はお疲れ、ゆっくり休んでくれ」

神通「提督のお心遣い感謝致します。ですが、まだ仕事がありますので」

那珂「ねぇていときゅっ!?」

神通「那珂、少し向こうで話があります」

那珂「じんづ、ぐび、ぐびじばっでる……」

神通「アイドルなら五分ぐらい息を止めて下さい」

那珂「む゛ーり゛ー」

提督(余裕ありそうだし、ほっとくか)

神通「では提督、失礼します」

提督「あぁ、じゃあまたな」

那珂「でいどぐ、だずげ――」


――――普段はとても優しい神通。怒らせると……多少、怖い。

619: 2014/05/27(火) 16:59:38.41 ID:p6UHSN3AO
雪風「あっ大鳳さん」

大鳳「雪風、そんなに大量のお菓子抱えてどうしたの?」

雪風「商店街の福引きで当てたんです。大鳳さんも少し食べますか?」

大鳳「いえ、私は……あっ、やっぱり少しもらうわ」

大鳳(浦風、お菓子あげたら喜ぶかしら?)

雪風「はい、どうぞ!」

大鳳「ありがとう、雪風」

雪風「いえ、ただの幸運のお裾分けですから。ちょっと卑怯な気もしますが……皆さんが喜ぶなら、この力もいいものですね」

大鳳「別に福引きで景品を当てるぐらい、気にしなくてもいいんじゃない?」

雪風「願ってしまえば、当たっちゃいますから」

大鳳(特等でも一等でも望むまま、ってことね……)

大鳳「――でも、雪風は悪用しないでしょ?」

雪風「悪用、ですか?」

大鳳「景品の良し悪しだけじゃなくて、人に頼めば数字を選ぶタイプの宝くじを買って当てることも可能でしょうし、極端な話をすれば、暗証番号を入力する形式の金庫からお金を盗むことだって簡単に出来るわ」

雪風「そんなことしたら本当に卑怯者になっちゃいますし、犯罪は絶対にダメです! しれぇにも皆にも迷惑をかけますし、悲しませてしまいます……」

大鳳「なら、いいじゃない。たまにご褒美を貰うぐらい、ね?」

雪風「大鳳さん……」

大鳳「ほら、皆に配ってあげるんでしょう?」

雪風「はい! 行ってきます!」

大鳳(四等ぐらいの景品を当てるのに気兼ねしてる子を、誰も咎めたりしないわよ、雪風)




瑞鳳「大鳳ー今週も抽選の結果、貴女にお手洗いの掃除当番決まったからねー」

大鳳「もうコレで何週目!? たまには瑞鳳代わってよ」

瑞鳳「嫌よ、恨むんなら自分の不運を恨みなさい」

大鳳(雪風の豪運、少し分けてもらいたいわ……)

浦風「大鳳さん、このお菓子ぶち美味いね」

大鳳「そう、良かったわね」

大鳳(でも、運だけで全てが決まる訳じゃない。昔と今じゃ、何もかもが違うわ)

浦風「うちも掃除手伝う!」

大鳳「ありがとう、浦風」




――――幸運艦と不幸艦。両者の差など、今はお手洗いの掃除当番が当たるか当たらないか程度である。

622: 2014/05/27(火) 17:59:16.87 ID:p6UHSN3AO
っぽいもの探索、次話に続きます

~~~~

夕立「大鳳さん発見っぽい!」

大鳳「きゃっ!? 夕立、いきなりどうしたの?」

夕立「今日夕立暇っぽい! 遊んで欲しいっぽい!」

大鳳「私も今日は浦風が急に遠征に出ちゃって暇だけど……時雨達はどうしたの?」

夕立「あはは、夕立だけお昼寝してたら遠征寝過ごしちゃったっぽい……」

大鳳(なるほど、急に浦風が呼ばれたのはそういう理由だったのね)

大鳳「分かったわ。いいわよ、遊びましょう」

夕立「やったー! じゃあ今日は“ぽいもの”を探して遊ぶっぽい!」

大鳳「ぽいもの?」

夕立「例えば……大鳳さんは駆逐艦っぽ――痛い、痛いっぽい!?」

大鳳「ゆ・う・だ・ち?」

夕立「ごめんなさいっぽいー!」




――――提督執務室。

夕立「加賀さんは提督の秘書っぽい」

大鳳「いや、加賀は本当に秘書艦だから、ぽいじゃなくてそのものよ?」

加賀「夕立、貴女確か今日の遠征に寝過ごして――」

夕立「っ!? お説教は嫌っぽいー!」

大鳳「脱兎の勢いで逃げたわね……」

加賀「全く、戦場では頼りになる子なのだけど……」

大鳳「良くも悪くもまだ子供な部分が多いから、加賀も大目に見てあげて」

加賀「貴女は駆逐艦を甘やかし過ぎです」

大鳳「うっ、それじゃあ私は夕立を探さないといけないから失礼するわ」

加賀(最近大鳳もすっかりこの鎮守府に毒されてきたわね……まぁ、私も人の事は言えないのだけど)

提督「すぅ……すぅ……」

加賀「私も提督に甘過ぎるかもしれませんね。今更厳しくする気など毛頭ありませんが」

提督「……んぅ?……すぅ」

加賀(ちょっと頬でもつつきながら休憩にしましょうか。瑞鶴のお茶もそろそろでしょうし)

~続く~

623: 2014/05/27(火) 18:02:04.56 ID:p6UHSN3AO
夕立「妙高はこけしっぽい!」

大鳳(恐れを知らないわねこの子も……)

妙高「えぇ、よく言われます。日本の伝統文化に似ていると言われて光栄です」

大鳳(意外に好反応!?)




夕立「那珂はアイドルっぽい!」

那珂「ぽいじゃなくて那珂ちゃんはアイドルなの!」

大鳳(自称だから確かに“ぽいもの”ね)




夕立「脱力系っぽい!」

望月「んー? 何か用ー?」

大鳳「望月もぽいじゃなくて正にその通りじゃない」




夕立「熊と猫っぽい!」

球磨「クマ?」

多摩「にゃ?」

大鳳(……判断に困るわね、この二人)




夕立「履いてないっぽい!」

利根「アレからは数日に一回は履いておるぞ?」

大鳳「毎日履きなさい」




夕立「今日はいっぱい遊べて楽しかったっぽい!」

大鳳「良かったわね、夕立」

夕立「うん、また今度も一緒に遊んで欲しいっぽい! じゃあ夕立はそろそろ部屋に戻るっぽい」

大鳳「えぇ、またね」




――――“ぽいもの”探索。次はあの艦娘かもしれないし、あの施設かもしれない。何が標的になるかは、夕立の気分っぽい?

625: 2014/05/27(火) 19:02:29.81 ID:p6UHSN3AO
歌詞には突っ込まないで下さい、勢いだけで書きました

~~~~

那珂「今日の出撃の旗艦は那珂ちゃんだよー!」

大鳳「激しく不安なんだけど、大丈夫なの……?」

神通「あの子もあぁ見えてやる時はやりますから、大丈夫です」

霧島「私特製のマイクも持たせましたし、特に問題ないでしょう」

大鳳(マイク片手に出撃するのが問題ない……? そうね、ここはそういう場所だったわ……)

那珂「じゃあ皆ー那珂ちゃんのライブ会場に付いてきてー」

大鳳「ライブ? ねぇ今あの子ライブって言わなかった?」

神通「大丈夫です」

霧島「大丈夫よ」

大鳳(無事に今日帰れるかしら……)




――――海上、昼。

大鳳「――敵艦影確認! 前方、約50000。敵艦種、フラタ1、エリル2、エリヘ2、フライ1」

那珂「じゃあ那珂ちゃんは歌って踊って撃つから、皆は合いの手よろしくねー!」

大鳳「あ、合いの手!?」

神通「ようするに、援護射撃です」

霧島「変わった戦い方をするから、とても興味深いわよ?」

大鳳(普通に戦って欲しい……)

那珂「アナタにアナタに好きだってー」

神通「はい!」

霧島「そこね! 左舷斉射!」

那珂「伝えてハートを射抜くのよーだけども私に触れちゃダメーお触りする子にはお・仕・置き!」

大鳳(歌詞が支離滅裂で無茶苦茶ね……でも、何故か敵は倒せてるし、指揮も出来てて回避も完璧……やっぱり変人ばっかりね、この鎮守府)

那珂「ちょっと大鳳! 爆破の演出!」

大鳳「へっ? あぁ、艦爆隊、全機発艦!」

那珂「私が狙うのはアナタだけーおっきな大砲で狙い撃ちー祝福の雨も降り注ぐー」

霧島「敵旗艦へ向け、全門斉射!」

那珂「ごめんね私は一人だけー次の恋にトライしてー」

神通「あなた方の相手は私です!」

那珂「皆のアイドル那珂ちゃんはー今日も勝利のー女神ーなのー!」

霧島「戦艦三隻、全艦撃沈を確認」

神通「軽巡と駆逐艦も撃沈しました」

大鳳(どうしてコレで勝てたのかしら……謎だわ……)

那珂「艦隊のアイドル那珂ちゃんは無敵だよーきゃはっ!」




――――作詞はさておき、歌唱力とダンスには定評のある、自称艦隊のアイドル那珂ちゃん。その戦い方は、誰にも真似できない程、独特である。

633: 2014/05/27(火) 19:25:57.86 ID:p6UHSN3AO
~次回~

・スマホで遊んでます

・中破してからが本番

・いっちばーん!

の、三本でお送りします

638: 2014/05/27(火) 21:12:06.29 ID:p6UHSN3AO
微妙に足りないので中途半端に二分割

~~~~

168「司令官、ちょっとこっち向いて」

提督「何か用か?」

168「えいっ」

提督「おい、今撮ったな? 勝手に人を撮るんじゃない」

168「大丈夫よ、悪用したりしないから」

提督「じゃあ何に使うか教えろ」

168「ちょっと待って、ここをこうして……出来た! コレよ」

提督「俺の顔だな」

168「コレをこうすると――」

提督(俺の顔が指で引っ張った方向に歪んでやがる……)

168「ねっ? 面白いでしょ?」

提督「悪用、しないんじゃなかったのか?」

168「悪用じゃないわ、私的に使うだけだもの」

提督「ほぅ……人の顔で遊ぶのがそんなに楽しいか?」

168「だって、司令官あんまり皆の前では笑わないから……」

168(寝顔は加賀さんが独占してるし)

提督「そんなに仏頂面をしているつもりはない」

168「してるの。だから、これぐらい許して、ね?」

提督「――そうか、じゃあ特別に許してやる」

168「言ったわね、絶対よ? 今更取り消しとかダメだからね?」

提督「あぁ、約束してやるぞ。ただし……」

168「し、司令官……? 何か物凄く悪い笑み浮かべてない……?」

提督「俺の顔で遊ぶなら、俺もイムヤの顔で遊んでいいよな?」

168「えっ、ちょっ!? ひへひはん!? ほっへはひっはっはひゃへ!」

提督(良く伸びる頬っぺただな、もちもちで感触もいい)

168「ひゃへへ、ほっへはほひはふ」

提督「んー? 何言ってるか分からんぞー」

168「っ!? ひへひはん! ふひほ!」

提督「だから分からんと――」

?「提督、何だかとても楽しそうですね。私も混ぜてください」

~続く~

639: 2014/05/27(火) 21:14:51.67 ID:p6UHSN3AO
提督「っ!? 加賀が何でここに……」

加賀「少し散歩してくると出ていったきり帰って来ないので、様子を見に来ました」

168「加賀さん、司令官が無理矢理私の頬っぺたを……」

提督「おまっ、何を!?」

加賀「嫌がる女の子の頬を、へぇ……」

提督(あっ、怒ってる時の笑顔だ)

168「私はこれからちょっとオリョールに行ってきます」

加賀「えぇ、行ってらっしゃい」

提督「イムヤ、頼むから誤解を解いてくれ!」

168「司令官、女の子の頬っぺた引っ張った事、ちょっと反省してね?」

加賀「私にも少し引っ張らせて下さい」

提督「やめろ、お前に前につねられつ黒くなりかけた脇腹もまだちょっと赤黒いんだぞ!?」
加賀「問答無用です」

提督「イムヤァァァァ!?」




――――今回の被害、おたふく風邪並みに腫れた提督の頬。

提督(物がまともに食えん……)

168「えいっ」

提督「ほふなー!」

644: 2014/05/27(火) 23:30:28.87 ID:p6UHSN3AO
大鳳「羽黒って、どんな子なの?」

那智「羽黒か? そうだな……妙高や私、足柄とは違った意味で強い子だ」

大鳳「どういうこと?」

那智「限定条件下においては、私達の中で一番火力を発揮する。今日の演習には羽黒も参加するから、詳しく知りたければ見ておくといい」

大鳳(限定条件下、どういうことなのかしら……)



――――艦隊演習準備中。

羽黒「あの、今日はよろしくお願いします……」

長門「このビッグセブンの胸を借りるつもりで来い」

陸奥「私の胸も貸してあげるわね」

ビス子「私も艦隊の練度を上げる為ならば、協力を惜しまないわ」

羽黒「ひっ!?」

大鳳(重巡一隻で戦艦三隻相手って、どんな演習なの……?)

――――艦隊演習、開始。

長門「ビッグセブンの力、見るがいい!」

陸奥「よく狙って……撃てー!」

ビス子「ファイヤー!」

羽黒「きゃあっ!」

大鳳(幾らなんでもアレは酷すぎないかしら……ん?)

羽黒「見ないで……見ないでぇぇぇぇ!」

長門「くっ!?」

陸奥「だ、第三砲塔が!?」

ビス子「まだ……まだやれるわ!」

大鳳「限定条件下って……中破したらってこと……?」

羽黒「見ないでって言ってるのにぃぃぃ!」

長門「ちょっ、待て羽黒!」

陸奥「爆発しちゃうー!」

ビス子「グート、やるわね羽黒……」



――――艦隊演習終了。

羽黒「うぅ……やっぱり恥ずかしいです……」

長門「び、ビッグセブンにこれだけの手傷を負わせたことを誇るといい……」

陸奥「また夕張達に治してもらわなきゃ……」

ビス子「何時でも呼べば付き合うわ、私はこのまま提督に会いに行くからコレで」

大鳳「凄いじゃない羽黒、戦艦三隻に引き分けるなんて」

羽黒「は、恥ずかしいから無我夢中で撃ってただけなんです……」

大鳳「中破じゃないと発揮出来ないのはちょっと残念だけど、十分活躍出来る力じゃない」

羽黒「でも、司令官に見られたら、司令官を撃っちゃいそうで……」

大鳳(提督と一緒に出撃は出来ないわね、この子……)



――――妙高型四姉妹、末っ子の羽黒。彼女の最大火力は、中破時に発揮される。

646: 2014/05/28(水) 01:20:09.55 ID:CSo+Xq/AO
白露「一番先に、お風呂入ります!」

村雨「わぷっ!? ちょっと白露、飛び込むからお湯が口に入ったじゃない!」

白露「そんなの気にしてないで早く入ろうよ、温かいよー」

村雨「もうっ、一番艦で一番お姉さんなんだから、もう少しちゃんとしてよね」

白露「村雨だって妹なんだから、夕立みたいに甘えていいんだよ?」

村雨「私まで二人みたいにはしゃいだら、時雨が大変じゃない」

白露「ふっふー、お姉さんぶってるけど、村雨だって膝枕して欲しいって思ってるの知ってるんだから」

村雨「べ、別にそんなこと思ってないわよ!」

白露「……やっぱり私って、頼り無い?」

村雨「急にどうしたの? そんなこと言うなんて白露らしくないじゃない」

白露「時雨も夕立も私より強いし、“一番”なのって長女ってことぐらいだし、あの時だって本当なら私が……」

村雨「はいはーい、そ・こ・ま・で!」

白露「村雨……」

村雨「“一番先に敵艦発見!” そう言いながら、敵に怯みもせずに立ち向かうのが白露でしょ? そんな弱気な顔してたら、時雨も夕立も……私だって、不安になるよ」

白露「でも、私は――」

村雨「あぁもう!」

白露「村……雨?」

村雨「あの時、時雨と夕立がどうして残ったと思う?」

白露「強かった、から?」

村雨「違うよ。白露なら二人を絶対に無事に連れて帰って、必ず救援を呼んでくれるって信じてたから」

白露「でも……でも!」

村雨「強いだけが、全部なの? 白露はね、元気に皆を引っ張っていってくれる、ちゃんとしたお姉さんだよ」

白露「私……ちゃんとお姉ちゃん出来てるの?」

村雨「うん、結構自慢の姉なのよ?」

白露「……そっか、ありがと、村雨」

村雨「ホント、手間のかかる長女を持っちゃったわね」

白露「――そういうこと言う子はーえいっ!」

村雨「ちょっ、まっ、そこはダメ!?」

白露「村雨が一番弱いとこ、知ってるんだから!」

村雨「いや、ちょっ、ホントにそこはダメだってば!」

白露「やめなーい」

村雨「く、くすぐるのはダメェェェ!」




――――長女の役割。それは別に強さに限ったものではなく、安心感を与えるのも立派な役割である。

白露「いっちばーん!」

654: 2014/05/28(水) 01:34:48.11 ID:CSo+Xq/AO
~次回~

・高雄、妹と服を交換する

・……駆逐艦?

・加賀、秘書艦業務の間の暇つぶし

の、三本でお送りします

深夜なら普通に1~3で良かったかもしれませんね…

656: 2014/05/28(水) 03:13:00.85 ID:CSo+Xq/AO
高雄「服の交換?」

愛宕「ほら、私達って姉妹なのに服が違うじゃない? だからたまには交換するのもありじゃないかなーと思ったの」

鳥海「私は姉さん達に従います」

摩耶「アタシはちょっと動きにくそうで嫌だな……」

愛宕「摩耶、たまには印象を変えたら提督も見直してくれるんじゃないかしらー? 貴女、最初にやらかしちゃったみたいだし」

摩耶「そのことはもう忘れさせてくれ!」

高雄「私も特に異論は無いし、摩耶にも交換する利があるならやってみましょう」

愛宕「決まりね」

鳥海「では、私は高雄姉さんのを」

愛宕「摩耶は私と交換しましょ」

摩耶「交換してもちゃんと着れるのか?」

摩耶(主に胸……)

鳥海「ちょっと大きいですが、動けなくは無いですね」

高雄「少し胸と腰がキツイけど、何とか着れたわね」

愛宕「ぱ、パンパカパーン……私も胸と腰が……」

摩耶「二人共、アタシ達よりちょっと肉付きがいいからな」

高雄「摩耶は問題なく着れているわね。こうして見ると、何時もと違って少しおしとやかに見えるわ」

摩耶「そ、そうか……?」

鳥海「お二人は何というか……危ないです、色々」

愛宕「何となく鳥海の言いたいことは分かるわ、自覚もあるし大丈夫よー?」

高雄「ですが、せっかく着てみた訳ですし、少し提督のところにお見せしに行きたいと思います」

摩耶「ちょっと高雄姉ぇ、やめた方がいいって……」

高雄「三人はここで待っていて下さい、では」

鳥海「行ってしまいましたね」

愛宕「多分、提督の叫び声が聞こえてくるんじゃないかしら?」

摩耶「アタシは止めたからな……」




――――提督執務室。

高雄「失礼します」

提督「高雄か、ちょうど良かったこのしょる――ん?」

高雄「鳥海の服を着てみました。提督の感想をお聞かせ願えますか?」

提督「……別に着るなとは言わん。だがな――どっからどう見ても危ないコスプレしてるようにしか見えんわ! そんな格好で鎮守府を彷徨くな!」

高雄「お気に召しませんか?」

提督「別に服に興味はない、とっとと着替えてこい」

高雄「なら、中身には興味が――」

提督「いいから部屋に戻れぇぇぇぇぇ!」




――――姉妹間服交換デーは一日で強制終了。理由、下から色々見えそうで危ないから。

657: 2014/05/28(水) 08:48:41.00 ID:CSo+Xq/AO
大鳳(改めて見ると、この二人なかなか大きいわ……)

潮「あの、何か御用でしょうか?」

長波「じっと見つめられると、少し居心地が悪いな……」

大鳳「あっごめんなさい。ちょっと二人共発育がいいなと思っただけなの」

潮「っ!?」

長波「大鳳、まさかお前!」

大鳳「勘違いしないで、浦風と一緒に住んでるのに、私が変なことする訳無いでしょ?」

潮「そ、そうですよね……」

長波「それもそうか。あらぬ疑いをかけてすまない」

大鳳「いいのよ、無遠慮に胸を見ていた私も悪かったし」


潮「今は私以外にも大きい駆逐艦の子が増えてきて、ちょっと安心です」

長波「中破してもそのまま放置されたりするのは、かなり迷惑だ。ここでは直ぐに治せと怒られるがな」

潮「大きくても、何も良いことなんかありません……」

長波「服には気を使わなければいけないし、邪魔でしかない」

大鳳(この子達はこの子達で苦労してるのね……)

潮「下着を買いに行くのも、凄く恥ずかしいです……」

長波「夕雲が通販で買ってるから、便乗して買わせてもらっている。潮も一緒に買わないか?」

潮「あの、それはとても有り難いです。一緒に買わせて下さい」

大鳳「私にもそれ、使わせてもらえない? 浦風のを買いたいから」

長波「なら、夕雲に言うといい。……というか、浦風に直接見てもらえばいい話だろ」

大鳳「えっ!? そ、それはそうなんだけど……」

大鳳(可愛いのを選んで買ってあげたいのよね。あの子、そういうのかなり無頓着だから……)

提督「大鳳、話が――」

大鳳「か、可愛い下着を着けて欲しいの!」

長波「あっ」

潮「ひゃあ!?」

提督「……下着?」

大鳳「て、提督!?」

提督「あー……ん、また後にするわ」

長波「これはひょっとして、私達も色々あらぬ誤解を受けていやしないか?」

潮「えっ!? 提督に誤解されるのは、その、困ります……」

大鳳「すぐに誤解を――ってどう言えばいいの……?」

長波「そんなの知らないよ」

潮「いっそ大鳳さんが変Oだって伝えれば……」

大鳳「潮!? 私変Oじゃないわよ!?」

長波「胸を見ながら言われたことに……そうだな、これなら私達は完全に被害者だ」

大鳳「長波までやめて、常識人の貴女達に言われたら立ち直れなくなるから……」



――――提督一人だけとはいえ、男がいるのに廊下でこんな話をしてはいけない。

658: 2014/05/28(水) 10:27:20.48 ID:CSo+Xq/AO
加賀(艦娘に親しんでもらおうとPRの為に作られた、赤城さんねんどろいど。勢いで私も買ってはみましたが……コレ、どう使えばいいのでしょうか)

加賀「とりあえず、執務机に置いて眺めてみましょう」

加賀(――こうして良く見ると、うまくデフォルメされていますね。特徴は再現しつつ、可愛らしくなっています)

加賀「……“一航戦赤城、出ます!”」

加賀(――なんて、こんな声真似しなくても、私も一航戦でした)

加賀「“菱餅美味しいですね、加賀さん”」

加賀(雛祭り仕様というのも、なかなか面白いですね)

加賀「“一航戦赤城、寝ます!”」

加賀(ナイトキャップを被ったパジャマ姿の赤城さん、なかなか可愛らしいわ。提督も、赤城さんを可愛いとか綺麗だとか思っているのでしょうか……)

加賀「“烈風……? いえ、知らない子ですね……口元? コレはご飯粒です”」

加賀(私達は艦載機を食べたりしないというのに、大食いという皆のイメージから作られたのでしょうか? 今は確かに大食いで定着していますが、ちゃんとした原因があると知ったら、驚くでしょうね)

加賀「――これだけあると、流石に全種類集めたくなります」

提督「……加賀にもこういう可愛いところ、結構あるよな」

加賀「っ!?」

提督「加賀もねんどろいど、作ってもらうか?」

加賀「あの、全部、聞いて」

提督「声真似、結構上手かったぞ」

加賀「……ありがとう、ございます」

提督「息抜きになりそうなら、好きに買っていいからな。執務机も広いし、十分置けるだろ」

加賀「いえ、赤城さんのは私の部屋に飾りますので」

提督「そうか、別にここに置いても構わんのだが……」

加賀「――どうせ並べるなら、私のねんどろいどを並べて提督に可愛いと言って頂きたいです」

提督「……そうか」

加賀「はい」




――――後日、加賀のねんどろいどが作られ、提督の執務机を占領したのは言うまでもない。

瑞鶴(下手に爆撃して当てたら、加賀さんに氏ぬほど怒られる……気合いを入れないと!)

加賀(やる気に満ちているわね瑞鶴、良い傾向だわ)

667: 2014/05/28(水) 11:14:44.50 ID:CSo+Xq/AO
~次回~

・貧Oはステータス、巨Oはただの脂肪の塊である

・クールビズ

・睦月型だよ、全員集合!

の、三本でお送りします

675: 2014/05/28(水) 22:26:54.86 ID:CSo+Xq/AO
――――それは、一つの逆襲。“大は小を兼ねる”という言葉への反抗。希少価値があるにも関わらず、不当に扱われることへの反逆。コレは、まな板の、まな板による、まな板の為の戦いの記録である。




?「時は来た! 同士諸君、今こそうちらを蔑んできた世界に反逆するんや!」

?「貧Oだって色々まさぐられるのよ、需要はある! ついでに九九艦爆に愛の手を!」

?「浦風とお揃いのブラ買おうと思ったらサイズが無かったわ! AAサイズちゃんと用意しておいてよ!」

?「駆逐艦に大きさ負けてるのが何かヤダ」

?「四番艦の私からどうして胸が小さくなるんですか、五十鈴なんて改造で更に大きくなっているのに……」

?「皆の恨み辛み確かに聞いたで……さぁ、今こそうちらの時代をこの手に掴むんや!」




加賀「――そういう訳で、まない……いえ、龍驤が一部の艦娘を率い、貧Oに希少価値があることを認めろと暴動を起こしています」

提督「俺に報告されてもどうにもならん」

加賀「胸が豊満な艦娘の胸に次々とラードをぶつけ、“そんなんただの脂肪や”と言いながら回っています」

提督「なぁ加賀、それ俺がどうにかしなきゃならんのか?」

加賀「私にぶつけに来ません。流石に頭に来ました」

提督「単純に怖くてぶつけられないんだろ、アイツ等だって命は惜し――」

RJ「加賀、コレでも喰らえー! アンタも敵や!」

提督(あっ今わざと当たった)

RJ「そんな脂肪の塊で女の価値は決まらんのや! むしろ今は貧Oの方が少なくて貴重なんやで! そんなラードと同じもんを有り難がる男なんて皆アホなんや!」

加賀「こんなものと一緒にしないで下さい。私達の胸は指が沈むほど柔らかいマシュマロであったり、適度な弾力とハリを持っている魅惑の球体です」

RJ「小さいからこそ、そこに無限の可能性が詰め込めるんや! どうせ何時かは垂れるもんでしか誘惑出来ひん量産品のアンタ等なんかに、うちらは負けへん!」

加賀「――では、提督に決めてもらいましょう」

提督「明日の艦隊編成はっと……ん?」

RJ「キミはうちの胸がいいやんな!?」

加賀「当然、私の胸に決まっています」

提督「熱く語っていたところ悪いんだが――俺、胸より足派なんだ」

RJ&加賀「・・・・・・え?」




――――確かに大きい方が良いとは限りません。そもそも、男の趣味だって千差万別なのですから。

679: 2014/05/28(水) 22:45:12.31 ID:CSo+Xq/AO
~ラード被害一覧~

武蔵→さらしがベトベトで気持ち悪いので上半身半裸で風呂まで移動

大和→お仕置きしながら風呂へ

高雄姉妹→高雄と愛宕がベトベトで遊んでいるのを鳥海と摩耶が必氏に止めている

五十鈴→潜水艦達とプールで待機し返り討ち、その後潜水艦にラードを投げてお遊び中

名取→部屋に籠ってベトベトを洗濯中

長門&陸奥→ラードが陸奥の第三砲塔に入り爆発。投げた本人も巻き込まれ、長門も一緒に大破

金剛型四姉妹→榛名が回収して料理に使用中、巫女服を脱いで久々の私服を満喫中

扶桑&山城→踏んで滑って気絶

赤城→流石に牛脂を直接食べる気にはならず間宮さんにすき焼きを依頼

蒼龍&飛龍→飛龍が全て蒼龍でガード

軽空母組→ベトベトを取るついでに温泉に入って酒盛り

一部駆逐艦→大鳳が後で全員連れて風呂に、浦風にはそういう祭だと説明

ビス子→提督執務室へ直行

大井→逆に北上に投げまくって一緒に風呂へ

誰か抜けてるかな…?

682: 2014/05/28(水) 23:16:38.33 ID:CSo+Xq/AO
翔鶴→長い髪についてベトベトになり瑞鶴に風呂で洗ってもらっている

鈴谷→ヌメヌメしてテンションが下がり動く気にならず、熊野に拭いてもらっている

筑摩→利根の“何で吾輩には投げんのじゃ”という不満を聞きながら二人で仲良く入浴

天龍→第六駆逐隊の面々に風呂に入れられ洗われる

伊勢&日向→瑞雲に塗ったら綺麗にならないかと投げられたラード使用中

阿賀野型→阿賀野を能代が、能代を矢矧が、矢矧を酒匂が拭いている

足柄→投げられたから投げ返していたら、物で遊ぶなと妙高から説教を受けるはめに

689: 2014/05/29(木) 01:21:23.94 ID:7LdZX4VAO
夕雲「――あら? 巻雲、どうして袖が短くなっているの?」

巻雲「それじゃ暑いだろって、司令官さまが鳳翔さんに半袖への仕立て直しをお願いしてくれたんです」

夕雲(提督の善意だから気持ちをぶつける矛先が見付からない……!)

巻雲「暑さに弱い方は袖捲りしてますし、司令官さまも“鎮守府にもクールビズ導入”って張り紙を作ってらっしゃいました」

夕雲「ほら、でも肌が焼けてしまうじゃない?」

巻雲「イムヤちゃんや愛宕さん達から日焼け止めを譲って頂きました。夕雲姉さんも使いますか?」

夕雲「大丈夫よ、私も持ってるから」

夕雲(着せる理由が見付からない……夏の間はあの余った袖を振り回しながら可愛く走る姿が見られないというの……?)

巻雲「――でも、涼しくなる代わりに、袖が急に無くなって落ち着かないんです」

夕雲「ずっとあの長い袖だったものね、落ち着かなくても無理はないわ」

巻雲「早く慣れるようにしないといけないです」

夕雲「む、無理に慣れる必要は無いのよ?」

巻雲「走り方がおかしくなっちゃうから嫌なんですよー」

夕雲「走り方?」

巻雲「こんな風に袖があった時の癖で、腕をこうしちゃうんです」

夕雲(ペンギン走りになっちゃうのね。袖が無いなら無いで、ピンと伸ばした指が見えて可愛い……)

夕雲「巻雲、何もおかしくなんてないわよ」

巻雲「そうでしょうか……」

夕雲「えぇ、提督だってきっとそう言うわ。むしろ可愛いって言ってくれるはずよ」

巻雲「可愛い……司令官さまにそう言ってもらえるなら、別に治さなくてもいい気がしてきました」

夕雲(袖があってもなくても、やっぱり巻雲は可愛いわ……)

巻雲「夕雲姉さんもご一緒にこうやって走りませんか?」

夕雲「ごめんなさい。巻雲以外にその走り方は似合わないから、私は遠慮するわね」

巻雲「そうですか、ちょっと残念です……」




――――袖の有無を乗り越え、夕雲は更に巻雲の可愛いところを発見し、一年中癒されています。

695: 2014/05/29(木) 15:08:57.29 ID:7LdZX4VAO
睦月「張り切って参りましょー」

如月「久しぶりの出撃ね」

弥生「出撃、です」

卯月「強化型艦本式缶三つ積んじゃおーっと」

皐月「ちょっと卯月、一つはボクが積むヤツだから返してよ!」

三日月「二人共、出撃前に喧嘩しちゃダメですよ」

文月「キス島ってとこに行くのー?」

長月「そうだ、私達睦月型が真価を発揮する時が来たのだ」

望月「行きたくねー……」

菊月「出撃の時ぐらい気を引き締めろ、望月」

提督「保育士になった気になるな、この艦隊」



――――キス島撤退作戦二戦目。

睦月「みんな、準備はいいかにゃーん?」

如月「早く終わらせてシャワーを浴びたいわ」

弥生「ル級、います」

卯月「うーちゃんにお任せぴょん」

皐月「卯月は缶しか積んでないじゃんか」

三日月「こんな時にまで言い争いしないで下さい」

文月「文月、ル級きらーい」

長月「任せろ文月。あんな有象無象に、この長月が遅れを取ることはない」

望月「じゃあ長月任せた、あたし寝る」

菊月「敵地の真っ只中で寝る奴があるか、起きろ望月」

提督「ほら、ふざけてないで真面目にいくぞ」

睦月型一同「はーい!」

提督「卯月、文月、三日月、ル級の砲撃を惹き付けて避けてくれ」

卯月「任せるぴょん」

文月「がんばりまーす」

三日月「お任せ下さい」

提督「睦月、皐月、長月、菊月、リ級を撃沈、もしくは中破まで追い込んでくれ」

睦月「MVPは睦月が貰うのね!」

皐月「まっかせてよ!」

長月「私達を駆逐艦と侮ったことを後悔させてやる」

菊月「全力を尽くそう」

提督「如月、弥生、望月、ハ級を頼む」

如月「あまり砲撃は好きじゃないんだけど、司令官の頼みじゃ仕方ないわね」

弥生「頑張り、ます」

望月「あーい」

提督「よし、行ってこい!」

~続く~

696: 2014/05/29(木) 16:14:44.03 ID:7LdZX4VAO
卯月「こっちだぴょん!」

文月「あたしはこっちだよー」

三日月「島風だけが速い訳じゃありません」

――――ル級二隻、三人による撹乱により火力を活かせず、無駄に時間を費やす。

睦月「褒めてもらうのは睦月なのね!」

皐月「いっけぇー!」

長月「この長月が相手であったことを不運に思うがいい」

菊月「悪く思うな、これが戦だ」

――――リ級二隻、体格を活かして巧みに回避しつつ、的確に砲撃を当ててくる四人のコンビネーションに翻弄され、一隻撃沈、一隻中破。

如月「ちょっと、水飛沫が髪にかかったじゃない!」

弥生「沈んで、下さい」

望月「さっさと終わらせてあたしは帰りたいんだっての」

――――ハ級二隻、髪に海水がかかり怒った如月により一隻撃沈、残りの一隻も弥生と望月により撃沈。

提督(よし、頃合いだな)

提督「全艦魚雷発射準備! 目標ル級二隻、五人ずつに分かれて撃て!」

睦月型一同「はい!」

――――魚雷によりル級一隻大破、一隻撃沈。敵艦隊の無力化を確認後、全艦進撃を開始。




――――特に二戦目以降は何の問題もなく、作戦を終えて鎮守府に全員帰投。

提督「お疲れ皆、ゆっくり休め。間宮にアイス用意してもらってるから、手と体を洗ったら仲良く食べてこい」

睦月「MVP逃しちゃった……」

弥生「アイス、早く食べたい……」

卯月「うーちゃんが一番乗りして皆のを――弥生、冗談だからこっちに砲向けないで欲しいっぴょん! 実弾は洒落にならないっぴょん!」

皐月「ボクもちょっと疲れちゃったよ」

三日月「私もかなり激しく動いたので、早めに糖分を補給したいです」

文月「アイスアイスー」

菊月「文月、ちゃんと先に手と体を洗わないとダメだぞ?」

長月「MVPこそ逃しはしたが、私の活躍は司令官の目にもさぞ輝いて見えていたはずだ」

望月「あーはいはい、さっさと進んで、後ろ詰まってるって」

如月「司令官」

提督「何だ?」

如月「MVPを取ったご褒美に、一緒にお風呂に入ってくださらない?」

提督「断る」

如月「ふふ、冗談よ……髪、お風呂から上がったら梳いて下さる?」

提督「いいぞ、それぐらいならしてやる」

如月(即答で断られたのはちょっと悔しいし、バスタオルだけで抱き着いてあげようかしら)



――――睦月型の皆は、今日も賑やかです。

702: 2014/05/29(木) 16:41:09.51 ID:7LdZX4VAO
~次回~

・一航戦の誇り

・ダンスレッスン

・しりとり

・元気一番白露、忠犬時雨、ぽいぽい夕立、では村雨は?

の四本でお送りします


引用: 【艦これ】大鳳「一度入ったら抜け出せない鎮守府?」