1: 2024/11/15(金) 00:47:15 ID:???00
3期4話終了後 ファミレス

メイ「そういえば、今の席もそうだけど、四季ってきな子の隣にいる事が多いよな」


四季「うん」

きな子「確かに……」

夏美「何故ですの? メイが好き、っていつも言っているから、メイの隣に座ると思ってましたけど」

四季「理由……?」

きな子(ひょっとして四季ちゃんから何か特別に思ったり、してもらえてるんすかね……?)ドキドキ

四季「きな子ちゃんは、見る必要が無いから」

きな子「え」

メイ「おまっ……」

夏美「何の淀みもなくすごい事言いましたの……」

2: 2024/11/15(金) 00:48:00 ID:???00
きな子「あの、見る必要がないというのは、どういう意味っすか?」オロオロ

四季「人間の視界は180°以上あるけど、両目で見れる範囲はもう少し狭い」ジーッ

メイ「こっちを見ながら言うんじゃねぇよ、隣のきな子から聞かれてるんだから横を見ろ、横を!」

四季「真横は片目でしか見れないから立体視できない、だから見る必要のない、きな子ちゃんが隣」

夏美「しっかりと根拠を述べたら、余計残酷ですの」

きな子「必要ない、っすか……」

メイ「四季、お前なぁ……!」

四季「? どうしてメイは不機嫌なの?」

きな子「あっ、だ、大丈夫っす! きな子が見る必要ないのが原因なんだし、あ、あはは……」ドンヨリ

四季「???」

夏美「どうするんですの、この空気」

3: 2024/11/15(金) 00:48:49 ID:???00
メイ「そ、そうだ! 四季、この前わたしの部屋でセンターについて話した時、みんなについて語ってただろ」

四季「うん」

メイ「夏美の事褒めてたよな、センターには恋先輩、すみれ先輩、夏美みたいなのが良いって」

夏美「あら、そんな風に思ってくれてたんですの?」

四季「……夏美ちゃんがセンターをやったビタミンSUMMER!、すごく良かったと思うから」

夏美「ど、どういたしまして……ちょっと照れますの」

メイ「ほら、四季はみんなの事をちゃんと見てるんだよ。さっきは見る必要ない、なんて言ってたけど、きな子がセンターやった時だって同じ風に思ってたんだろ?」

四季「え」

きな子「……え?」

4: 2024/11/15(金) 00:49:42 ID:???00
メイ「お、思ってるよな?」

四季「きな子ちゃんが、センター……」

夏美「目を瞑って思い出そうとしている時点で、既にアウトな気が」

四季「……きな子ちゃんはセンターやった事ない、はず。引っ掛け質問」

きな子「ごめんなさい、やった事あるっす」

四季「嘘、アプリで調べる」

ウソホント発見器「ホント!」

四季「!?」

5: 2024/11/15(金) 00:50:34 ID:???00
メイ「Go!! リスタートだよ! Go!! リスタート、四季が振り付け覚えてダンスするくらい魅入ってただろ!?」

四季「そのことはバラさないで……恥ずかしい」

夏美「今はそういうムードじゃありませんの」

四季「ちょっと待って、Go!! リスタートはかのん先輩がセンター、きな子ちゃんじゃない」

きな子「それは間違ってないんすけど、きな子とかのん先輩の2人でセンター……だったっす」

四季「……」

メイ「……」

きな子「……」

四季「ごめん、きな子ちゃんがセンターの認識、なかった」

きな子「で、ですよね! きな子なんて、かのん先輩に比べたら月とすっぽんだし、かのん先輩に目が行くのは当たり前っすよ!」

メイ「四季」ジトーッ

四季「今度は単独センター、できるように千砂都先輩にもお願いしておく」

きな子「あ、ありがとうっす……」

メイ「いや、そうじゃねぇだろ」

夏美(く、空気が氏んでますの)

6: 2024/11/15(金) 00:51:48 ID:???00
夏美「と、ところで、私は見たことありませんけど、2人で普段どんな会話してるんですの?」

夏美(ここから、どうにか空気を換えますの! 配信者の話題替えパワーを見せる時!)

四季「きな子ちゃんと話……」

夏美「いや、思い出すようなことでは」

四季「きな子ちゃんと2年生になってから何か会話した記憶がない」

きな子「……きな子もないっす」

夏美「ない!?」

四季「去年はある」

メイ「去年まで遡る時点でヤバイけど……どんな会話だ?」

四季「夏美ちゃんをランニングマシーンで走らせてた時、きな子ちゃんの家がどっちにあるか聞いた」

きな子「そうっすね……きな子が「あっちっす」って答えた記憶が」

夏美「あっ、あの時ですの!?…って私の事はどうでもよくて、その後は?」

四季「方向が分かったから、夏美ちゃんの走る方向をreverseさせた」

夏美「だから私じゃなくて、会話はその後どうなったんですの!?」

四季「その後はない、聞きたい情報は得られたから、終わり」

きな子「……はい、それだけっす」

夏美「それは会話じゃなくて事務連絡ですのよ」

7: 2024/11/15(金) 00:53:03 ID:???00
メイ「そういえば、四季がセンターになって4人で話してた時も」

メイ「四季、きな子の方を見向きもしないし、何のリアクションもしなかったよな」

参考
四季「Reactionが必要だった?」

きな子「あっ、い、いえ、大丈夫っす……」

メイ「それで、センターになった四季を撮影したいってファンが大勢いるって話をして、きな子が褒めてた時も」
メイ「きな子を無視してクワガタの方に行ってたし」

四季「クワガタ、好きだから」

きな子「あはは……きな子とはいつでもお話しできるっすから、四季が好きなクワガタの方に行くのは当然っす」

夏美「いつでもお話できる、って後回しにした結果、1年ほどまともな会話をしてないですのよ」

8: 2024/11/15(金) 00:54:32 ID:???00
夏美「一応お聞きしますけど、嫌いとか喧嘩してるわけじゃないですの?」

四季「それはない」

メイ「ほっ……」

四季「きな子ちゃんとは会話をしなくても大丈夫だから、しないだけ」

きな子「……」ドンヨリ

メイ「四季……」ジトーッ

夏美「これはひどいですわ」

きな子「しなくて、大丈夫っすか……」

四季「うん、大丈夫」

メイ「きな子はそれでいいのかよ?」

きな子「四季ちゃんが意地悪で言ってるわけじゃなくて、きな子が何か頑張って変わらないといけない事だと思うっす」

四季「?何故きな子ちゃんが頑張るって話になっているの?」

メイ「四季が頑張らないからだろ」

夏美「重症ですの……」

9: 2024/11/15(金) 00:56:27 ID:???00
きな子帰宅後

きな子「見る必要が無い、かぁ……きな子もLiella!に入って変わることが出来た」

きな子「…と思うっすけど、なんで四季ちゃんにとっては、きな子は見たり、お話する必要が無いんだろう?」

きな子(その答えはすぐに分かる事になった)

5話 表参道Cafe de Lapis

きな子(今日は思い切って四季ちゃんの真正面の席に座ってみた、頼んだ飲み物もお揃い)


きな子(この位置なら少しは見てくれるはず)

四季「……」ジーッ

きな子(でも、四季ちゃんは視線を夏美ちゃんのスマホか、メイちゃんが見える斜め横に向けて)

きな子(きな子を見つめてくれることはなかった)


夏美「バカンスですの~」

四季「Uh,Uhー」


きな子(隣の夏美ちゃんと楽しそうにする四季ちゃん)

きな子(きな子の言葉じゃ、あんな風に四季ちゃんを楽しませる事はできないっす)

きな子(楽しい以外でも、先輩達みたいに四季ちゃんに教えられる事も殆どないから)

きな子(そんなきな子とは会話する必要がない、っすよね……)

10: 2024/11/15(金) 00:57:32 ID:???00
5話 上海に到着後

きな子(今日も四季ちゃんは隣にいるっす。でも会話はないし、こっちを見る事もないっす)


きな子(今までもずっとこういう関係だったけど、この前から気になってしまって)

きな子(―って、そうじゃないっす、今は可可先輩の事に集中しないと)

かのん「ホテルに荷物を置いたらロビーに集合、分担して可可ちゃんを探しに行くよ」

きな子(かのん先輩の言う通り、きな子の事なんて後回しっす、可可先輩を探すっす!)

きな子(そう思ってたけど、この後すぐにきな子を「見る必要がない」って意味を痛感する事になった)

12: 2024/11/15(金) 00:58:39 ID:???00
ホテルのプール

きな子(可可先輩の手がかりはなく、2年生みんなで一旦プールで休憩しようって誘われたっす)

きな子(だけど)

メイ「ふぁ~涼しいぜ~」


きな子(メイちゃんは体育が得意なだけあって、体が引き締まっていて綺麗)

夏美「ふわぁ~ホテルのプールは最高ですわ~」


きな子(夏美ちゃんはちょっと背が低いけど、グラマー)

きな子(そして、四季ちゃんは)

四季「回復回復……」

きな子(すごくスタイルが良くて、輝いていた)

きな子(この前、センターに向いていない、目立たないって言ってたっすけど、全くそんな事は無いっす)

きな子(寧ろ、センターに向いてない、目立たないのは、きな子の方)

きな子(去年までずっと運動が苦手だったから、体は引き締まってないし、スタイルの良さもない)

きな子(四季ちゃんちゃんと比べたらあまりにも貧相な自分の体が恥ずかしいっす)

きな子「っ」ダッ

きな子(とてもじゃないけど、みんなの前に出る勇気が無くて)

きな子(ホテルでかのん先輩とお話しする、ってメッセージで言い訳をして、更衣室に戻った)

13: 2024/11/15(金) 00:59:20 ID:???00
-----------------------------------------
6話終了 日本に帰国後

きな子「ふぅ……とりあえず、可可先輩の問題が解決して良かったっす」

スマホ「」ピコン

きな子「ん、誰からのメッセージっすかね?……メイちゃん?」

メイ【メイだけど、そういえばあれから四季と話できたか?】

きな子「……あっ」

きな子【してないっす】

メイ【!? 上海に旅行中、いくらでも機会はあっただろ】

きな子【旅行中は四季ちゃんと1回も会話してないっす、ごめんなさい】

メイ【私に謝る事じゃないけど……マジかよ。本当に四季と喧嘩とかしてないのか?】

きな子【喧嘩はしてないっす】

メイ【だよな……四季が喧嘩中の相手と隣になる訳ないし】

14: 2024/11/15(金) 01:00:19 ID:???00
きな子【メイちゃんにも心配かけて申し訳ないっす……】

メイ【来週、2年生の4人でプールに遊びに行かないか? その時に四季ときな子の2人で遊んでこいよ】

きな子【でも四季ちゃんは、メイちゃんと一緒に行動すると思うっす】

メイ【だろうな……わたしは夏美と一緒に行動するって四季に伝えて、さっさとその場を離れる】

きな子【四季ちゃんはメイちゃんの事を追いかけるかと】

メイ【頑張って誘え! きな子だってこのまま四季と会話が無くて、見る必要がないって言われたままが良いと思ってないだろ?】

きな子【それはそうっすけど……】

メイ【勇気を出して困難な事も頑張れるのが、きな子のいい所だって私は知ってる】

きな子【分かったっす、気を遣わせてすまないっす】

15: 2024/11/15(金) 01:01:29 ID:???00
きな子「プール……四季ちゃんと2人」


メイ【勇気を出して困難な事も頑張れるのが、きな子のいい所だって私は知ってる】


きな子「きな子だって頑張りたいっす……けど、いったい何を頑張れば?」

きな子「体力やダンスは、頑張れば変えられたけど体型は中々変わらないっす……」

きな子「頑張って変えられるもの……水着?」

きな子「きな子の体に見せる価値はないと思うっすけど、頑張らないと始まらない」

きな子「……そうっす、悩んでいる暇があったら、頑張らないと!」

16: 2024/11/15(金) 01:02:24 ID:???00
翌週

四季「メイが自分からプールに誘ってくれるなんて」

メイ「わ、悪いか!?」

四季「そんな事言ってない」

きな子「お、おまたひぇしたっす!」

夏美(ガチガチに緊張してますわね……)

メイ(最初からこれで大丈夫か……?)

夏美「今日は熱いけど、新しくできたプール施設だけあってすごい人ですの」

四季「静かな方が好きだから、残念」

きな子「……い、いくっす!」

17: 2024/11/15(金) 01:02:58 ID:???00
更衣室

四季「メイ、どんな水着着てきた―」

メイ「着替え終わったー!!」

夏美「終わりましたのー!!」

四季「え、なんでそんなに急いで―」

メイ「わたし達ウォータースライダー乗ってくるから!」

夏美「四季はきな子と一緒に行動でお願いしますー!」

四季「ダメ、私もメイといー」

メイ「じゃあな!」ビューン!

夏美「お昼に合流しましょうー!」

18: 2024/11/15(金) 01:04:07 ID:???00
四季「行っちゃった……メイ、何かおかしい」

四季「私も早く着替えてメイの後を追わないと……きな子ちゃん、私も先に行って―」

きな子「…」ギュッ

四季「? 手を掴まれたら、外に行けない」

きな子「い、い、一緒に…四季ちゃんと一緒に、行きたいっす」

四季「私と?」

きな子「きな子もす、すぐに着替え終わるっすから」

四季「……何か企んでいる?」

きな子「企み、なんてすごい計画はないっす……予定が決まってから、ずっと緊張してて」

四季「……」チラッ

ウソホント発券機「ホント!」

四季「……分かった、更衣室の出口で待ってるから」

きな子「~っ! ありがとうっす!!」



四季「入口にあるのはただの競泳プール……スライダーは奥の方」

きな子「お待たせ、しましたっ!!」

四季「きな子ちゃん、私たちは―」

きな子(マイクロビキニ+ハミ毛)

四季「!?!?!?」

27: 2024/11/16(土) 19:17:31 ID:???00
きな子「ど、どうっすか? ドキドキするっすか?」

四季「え……ドキドキは、してるけど」

きな子「よかった~っ!! この水着、買った甲斐があったっす~」

四季「いや、なんでその水着を……?」

きな子「店員さんに、『どうしても見てもらいたい人がいて、その人の視線を集めれる、一番スゴイ水着を買いたいっす!』って言ったら、これを」

四季「……見てもらいたい人って、メイ? それとも夏美ちゃん? それか自撮りして先輩たちに写真を贈る?」

きな子「あの……四季ちゃん、っす」

四季「???……やっぱりイタズラかドッキリ、私の反応を夏美ちゃんが撮影しているはず」チラチラ

きな子「夏美ちゃんが何しているかは知らないっすけど……少なくともきな子はイタズラのつもりじゃないっす」

ウソホント発見器「ホント!」

四季「理解不能……」

28: 2024/11/16(土) 19:18:24 ID:???00
きな子「四季ちゃんがきな子に反応して、こんなに見てくれるなんて……」ウルウル

四季「……本当にその水着で行くの?」

客「」チラチラ

監視員「」ジーッ

四季「すごい、見られてるけど」

きな子「は、恥ずかしくて顔から火が出そうっす……で、でもこれくらい頑張らないと、きな子は見てもらえないから」

四季「そうじゃなくて、監視員に怒られると思う」

きな子「ええっ、ど、どうして!?」

四季「だって……はみ出てる」

きな子「? きな子の胸は、はみ出るほど大きくないっす」

四季「下の毛,hair,butt hair」

きな子「……毛ってはみ出たら、怒られるっすか?」

四季「え」

29: 2024/11/16(土) 19:19:44 ID:???00
四季「利用規約に書いてあるはず、ちょっと待って……あった『利用規約・水着を着用してください』」

きな子「着用しているっす」

四季「『刺青、タトゥーのある方は他のお客様に見えないように隠してください』」

きな子「いれてないっす」

四季「確かにhairに対する記載がない」

きな子「怒られない、っすよね?」

四季「……ごめん、他の水着用意してある?」

きな子「っ!……や、やっぱりきな子の水着なんて目に毒だったっすよね!」

四季「まぁ……ビックリしたし、ドキドキした……ただ、もし監視員―」

きな子「もう1着だけ用意してあるから、すぐに着替えてくるっす、ごめんなさい」ダッ

四季「―に怒られたら、きな子ちゃんが嫌な思いを……行っちゃった」

30: 2024/11/16(土) 19:20:40 ID:???00
~
数分後

四季「私たちは今日山に来ている」

ウソホント発見器「嘘つき判定!」

四季「私たちは今日海に来ている」

ウソホント発見器「嘘つき判定!」

四季「私はメイが好き」

ウソホント発見器「ホント!」

四季「アプリは正常……きな子ちゃんの行動、理解できない」

きな子「お待たせしたっす、この水着は大丈夫っすか……?」

四季「ハミ毛は……なし」

きな子「あの、これも四季ちゃんが嫌だったら、水着レンタルしてくるので、遠慮なく」

四季「この水着なら大丈夫」

きな子「ほっ、もう1着買っておいて良かった……」

四季「あと、さっきの水着も私が嫌だった訳じゃない」

きな子「でも、目に毒だったんすよね」

四季「うん、目に毒だった」

きな子「じゃあ、やっぱり着ない方がいいっす」

四季「……? まぁ、いいか」

31: 2024/11/16(土) 19:21:19 ID:???00
四季「スライダーは、すごい人で混んでいそう」

きな子「な、流れるプールとか、どうっすか」

四季「いいけど、浮き具、私の分しか持ってきてない」

きな子「だだ、大丈夫っす、きな子は泳いでついて行くので!」

四季「そう……じゃあ、行こう」

33: 2024/11/16(土) 19:23:33 ID:???00

流れるプール前

四季「」ゴクゴク

客「」ジーッ

監視員「」ジーッ

四季「視線を感じる……おかしい、毛は出ていないはず」

きな子「足を水に慣らして……」チャプチャプ

四季「視線はきな子ちゃんの後ろから……背中に何かついているかも、きな子ちゃん、そのまま動かないで」

きな子「は、はい」

四季「クワガタが背中についてたらいい―」ゴクゴク

きな子(ほぼ後ろ丸出し水着)

四季「ブフッ!?」

34: 2024/11/16(土) 19:24:43 ID:???00
きな子「え、な、何かついてたっすか!? 背中とかお尻には何もついている感じがないんすけど」

四季「ゲホッ、ゲホッ、ついてない……うん、本当についてなかった、特にお尻の部分」

きな子「せ、背中にはついてるんすか」

四季「ゲホッ、いや、背中もついてない……背中は別におかしくないから、大丈夫」

きな子「大丈夫……っすか?」

四季「早くプールに入った方が良い、特に下半身」

きな子「あ、じゃあ一緒に入りたいっす」

四季「うん……きな子ちゃん、露出癖がある?」

きな子「ろしゅつへき?」

四季「いや、何でもない、気にしないで」

35: 2024/11/16(土) 19:25:55 ID:???00
流れるプール

きな子「足がつく高さで助かるっす~」

シャチ浮き具「」プカプカ

四季「一般的に、流れるプールはそんなに深くない」

きな子「すごい、人がたくさん流れてるっすよ四季ちゃん!」

四季「うん、人が多すぎて騒がしい……」プカプカ

きな子「都会ってすごいっす~」

四季「私は、落ち着かない……耳栓つける」

きな子「えっ!?」

四季「競泳用耳栓に、防音機能も付けてある…これで静かになりそう、何かあったら起こして」

きな子「ちょ、ちょ、ちょっと待って! み、耳栓は待ってほしいっす!」

四季「耳栓、つけないと耳の中に水が入る、外耳炎になるから」

きな子「そうなんすか……って、そうじゃなくて、その、ぼ、防音機能が無い耳栓にして、お話してほしいっす!」

四季「話……?」

36: 2024/11/16(土) 19:26:30 ID:???00
四季「何か話したいこと、ある? メイとかLiella!の事?」

きな子「メイちゃん……」

きな子(共通の話題ではあるけど、隣にいるのにメイちゃんの事ばかり考えられそうっす)

きな子「じゃなくて、えっと……四季ちゃんは運動できるし、こういうプールで楽しむ事多いんすか?」

四季「ない、今日はメイに誘われたから」

きな子「あ、ない……」

四季「一人ではこんな騒がしい所行かない、友達もいないから誘われる事もない」

きな子「そう、なんすね……」

四季「……」

きな子「……」

四季「……」

37: 2024/11/16(土) 19:28:02 ID:???00
きな子「き、きな子も一緒っす! 友達、全然いないっす!」

四季「そうなの?」

きな子「放課後はスクールアイドル部の練習をずっとしてるから、付き合いが悪くて……でも、練習しないとついていけないし」

四季「あぁ……」

きな子「学校の近くにある渋谷の108だって、去年かのん先輩たちに誘われて、初めて行ったっす」

四季「そうなんだ……」

きな子「だから、えーっと……きな子と四季ちゃんは似てるっす!」

四季「どうだろう……」

きな子「……」

四季「……」

きな子「に、似てないっよね……」

38: 2024/11/16(土) 19:29:32 ID:???00
四季「……」

きな子「ご、ご趣味は!? 今度きな子と一緒に―」

四季「ソロキャンプ」

きな子「やら……ソロ、キャンプ」

四季「うん」

きな子「ソロっていうと、一人っすよね」

四季「そう、ここみたいな場所と違って静かで、自然の音だけ、最高の環境」

きな子「な、なるほど……教えてくれて、ありがとうっす」

四季「別に……」


きな子「きっ、きな子の趣味は家庭菜園っす」

四季「家庭菜園……植物より虫を育てたり観察する方が、私は好き」

きな子「あっ、そ、そうっすよね……あと、パンを手作りするのも趣味で」

四季「手作り……」

きな子「よければ、四季ちゃんもパン作りをやってみないっすか!?」

四季「ソロキャンプでパンを手作りする人も偶にいるけど、Majorではない。上級者向け」

きな子「えっ、あ、キャンプ……」

四季「茹でるだけの麺類の方が、初心者向け」

きな子「家で作ってお弁当みたいに持っていくのは……」

四季「キャンプした先で、調理するの、醍醐味だから」

きな子「あっ、ごめんなさい……」

四季「……」

きな子「えーと、えーと……」

四季「ねぇ」

きな子「は、はい!何でしょう、きな子に答えられる事なら何でもOKっす!」

四季「無理に会話しないで大丈夫」

きな子「……はい」

39: 2024/11/16(土) 19:31:10 ID:???00

数十分後

きな子「……はぁ」ドンヨリ

きな子(会話の種が無さ過ぎて嫌になるっす……)

きな子(運動が苦手でも頑張ってLiella!に入れたっすけど、逆に言うときな子にはそれしかなくて)

きな子(夏美ちゃんやメイちゃんなら、四季ちゃんはもっと楽しく話せたんだろうな)

四季「代わる?」

きな子「へっ?」

四季「顔が暗い、ずっと泳いで疲れたんだと思う。私の浮き具、代わりに乗っていい。私も少し体動かしたいから」

きな子「えっと、そう言う訳じゃ……でも、せっかくだから乗せてもらうっす」

シャチの浮き具「」プカプカ

きな子(浮き具があったかい……四季ちゃんの体温が残ってるみたい)

四季「上で休んでていい、点検の時間になったら起こすから」

きな子「はい、ありがとうっす」

客「」ザワザワ

監視員「」ジーッ

客「」ヒソヒソ

四季「ん? 何だか騒がしいし、視線が集まっている……」

きな子「スヤスヤ…」(尻丸出し水着)

四季「ごめん、今日の水着の事を忘れていた、きな子ちゃんは降りて泳いだ方が良い」ドンッ

きな子「はにゃあ!?」ドボン!

41: 2024/11/16(土) 19:31:53 ID:???00
数分後 プール点検中

四季「まだお昼まで大分ある、次はどうしよう」

きな子「四季ちゃんは騒がしくないところが、いいっすよね」

四季「この混雑だし、期待できない、昼まで休んでもいいかも」

きな子「えっと、それは……」

四季「きな子ちゃん、ずっと泳いでいたのに、まだ泳ぎ足りない?」

きな子「ま、まだまだ大丈夫っす!」

四季「ならいいけど」

きな子「あっ、あっち! あっちの方は人が少なくて静かそうっす」

四季「あっちは……」

42: 2024/11/16(土) 19:33:44 ID:???00
飛び込み台周辺

きな子「あ、あわわ……高いっす」

四季「これ、私がちょっと技術提供したやつだ」

きな子「え、四季ちゃんが!? でも、飛び込み台って珍しくはなさそうっすけど、どうして?」

四季「飛び板の部分だけ、私がちょっと関わった、いい研究費稼ぎ」

きな子「板?」

四季「飛び込み台、規則で10m以上にできない」

きな子「あ、そうなんすか」

四季「だから、板の部分の性能を向上させて、高くジャンプする事で疑似的に10m以上の飛び込みを可能にした」

きな子「はぇ~、四季ちゃんはやっぱりすごいっす」

四季「この前、冬毬ちゃんの前で2年生4人でジャンプしたの、覚えている?」


きな子「はい、そういえば高く跳んでいた気が」

四季「あの時も、この板と同じ素材を足元に仕込んでいた、だからあんなに高く跳べた」

きな子「そうだったんすか!?」

四季「人は自然にあんなに高く跳べる生物じゃない」

43: 2024/11/16(土) 19:34:40 ID:???00
きな子「折角四季ちゃんが協力したのに、ここガラガラっす……」

四季「スライダーやプールがいっぱいあるのに、わざわざ飛び込む人はいない」

客「」バシャーン

きな子「いても下の方から飛び込む人だけっすね」

四季「3mと5mの板は普通の板、高く跳ぶ必要ないから」

きな子「……きな子が行ってくるっす!」

四季「本気?」

きな子「はい! 四季ちゃんだって自分が関わった飛び板が、ちゃんと使われているのを見たいはずっす!」

四季「……興味は、ある」

きな子「やっぱり! 思いっきりジャンプしてくるから任せて!」

四季「いや、あんまり飛びすぎると危な―」

きな子「行ってくるっす~!!」ダッ

四季「……不安」

44: 2024/11/16(土) 19:35:48 ID:???00
10M飛び込み台

きな子「中々の高さっすね~」ジロジロ

四季「……」ジーッ

きな子「あっ……四季ちゃんが本当にきな子の事見てくれているっす、飛び込んでくれるって期待しているんだ」

四季「……不安」ボソッ

きな子「い、行くっす! むぅんっ!」

飛び板「」ビョンッ

きな子「はにゃああぁぁぁっっっ……」

四季「すごい飛んでる……」

きな子「四季ちゃん、見てくれてるっすか~っ!?」

四季「……飛び板の性能に問題は無かった」ジーッ

きな子(あっ、そういえば、動画で見た飛込みって、頭を下にしてプールに落ちるんすよね)

きな子(きな子、このままだと足から落ちちゃう……何とか体勢を変えないと!)ジタバタ

四季「えっ」

きな子「ま、間に合って!」ジタバタ

四季「そんな事したら顔面から―」

60: 2024/11/19(火) 23:50:44 ID:???00
きな子「ぎにゃぁっっ!!??」バシャーン!

四季「あの高さから顔面で落ちた……きな子ちゃん、飛込み上級者で自信があった?」

プール「」シーン

四季「……?」

プール「」シーン

きな子「……」ジタバタ

四季「!?」


きな子(頭がクラクラする……落ちる時に思いっきり水を飲んじゃった)

きな子(耳と鼻からも水が入って、痛いっす……)

きな子(あれ、このプールすごく深いみたい、いくら待っても水面まで上がれない)ジタバタ

きな子(だ、だめ、本当に溺れ―)ジタバタ

きな子「ゴボゴボゴボ……ッ!?」

きな子(痛っ、腕が何かすごい力で掴まれて……ライフガードさん? でも、体を任せていいような安心感があるっす)ジタバタ

きな子(このまま、体の力、抜いてみようかな)

61: 2024/11/19(火) 23:52:12 ID:???00
……

きな子「ゲホッ、ゴホッゴホッ! ヴォエッ!」

???「……」

きな子「ゴホッ、ゴホッ……ハァッ、ハァッ…ラ、ライフガードさん、オエッ! た、助けていただきありがとうございます」

四季「……」

きな子「あ、あれ……四季ちゃん?」

四季「……呼吸、落ち着いた?」

きな子「ゲホッ……す、少しは」

四季「今ので人が集まってきたから、こっち来て」グイッ

きな子「あっ」

きな子(初めて屋上に連れていかれた時みたいに、有無を言わさずに引っ張っていかれたっす)

62: 2024/11/19(火) 23:54:26 ID:???00
屋根の下、幼児向け温水プール

四季「ここ、今なら人がいないし、暖かいからちょうどいい」

きな子「あ、はい……四季ちゃん、さっきはありがとうございます」

四季「どうして」ギッ

きな子「あっ……」

四季「顔から飛び込むなんてバカなことしたの、ウケ狙い?」ギッ

きな子(怒ってる……四季ちゃんがきな子にこんな表情するの初めて)

四季「答えて」

きな子「最初、足から落ちちゃって、それで途中で頭から飛び込もうとしたんすけど、上手くいかなくて」

四季「何のために」

きな子「それが正しいフォームだって……テレビとか動画で見たのを思い出して」

四季「飛び込み、自信あったの?」

きな子「いえ、あんな高い所から初めてだったけど、勇気を出して頑張らなきゃって―」

四季「バカッ!」

63: 2024/11/19(火) 23:57:07 ID:???00
きな子「ひっ」

きな子(四季ちゃんにバカって言わせちゃった……)

四季「もう少しで事故になる所だった」

きな子「あっ、す、すまないっす!」

四季「本当に分かってる?」

きな子「きな子のせいで事故になったら、四季ちゃんが関わった飛び込み台が閉鎖されちゃうかもしれない」

四季「ッ!」ギッ

きな子「もちろん周りのお客さんや、ライフガードの人にも迷惑だったと思うっす」

四季「……」

きな子「Liella!のみんなにも、結ヶ丘にも連絡が行って迷惑かけたかもしれないし」

四季「……」

きな子「一緒に遊びに来ていたメイちゃんや、夏美ちゃん、四季ちゃんに楽しい思い出じゃなくて、嫌な思い出を作らせるところだったっす、本当にごめんなさい」

四季「……そこまで考えられるなら、もうしないで」プイッ

64: 2024/11/19(火) 23:59:16 ID:???00
きな子「あの、四季ちゃん……」

四季「……何?」

きな子「その、きな子の水着……飛び込んだ衝撃で脱げちゃったみたいで」

四季「知ってる、わざと持ってこなかった」

きな子「えっ!?……も、持ってきて貰えないっすか?」

四季「イヤ」

きな子「い、イヤ……!?」

四季「また危ない事したらイヤだから、きな子ちゃんの頭が冷えるまで持ってこない」ムスッ

きな子「うぅ……わ、分かったっす」

四季「……」プイッ

きな子(四季ちゃん、こんな事するんだ……)

きな子(違う……きな子のせいで四季ちゃんにこんな事させてるっす)

きな子(きな子がいなければ今頃は楽しくメイちゃんと過ごせたはずなのに、怒らせて、イヤな気分にさせて)

きな子(きな子、何やってるんだろう)

65: 2024/11/20(水) 00:01:33 ID:???00
きな子「ごめんなさい、四季ちゃん」

四季「……その謝罪は何に対して?」

きな子「きな子のせいで、四季ちゃんの時間を奪った上に疲れさせちゃったっす」

四季「時間は良いけど、精神的に疲労した……どうして今日きな子ちゃんは派手な水着を着たり、何度も話しかけてきたり、飛び込んだりしたの?」

きな子「見る必要も会話する必要もない、って四季ちゃんに言われて、実際その通りだと」

四季「うん」

きな子「それで、Liella!の先輩たちについていけない時みたいに、四季ちゃんが見る必要がある、話をする必要があると思う人間に、頑張ってなればいいって」

四季「……それは、私がちょっと困る」

きな子「そうっすよね、きな子が頑張る事で四季ちゃんを困らせるって分かってなかった、頑張る事が他の人の迷惑になるなんて思ってなくて」

四季「うん……」

きな子「きな子が余計な事を頑張ろうとしなければ、今日はメイちゃんと一緒に楽しめたり、そうでなくても一人で静かに時間を過ごせたのに」

四季「……」

きな子「もう四季ちゃんを困らせる事はしないっす、メイちゃんにはきな子から言っておくっすから、お昼からは2人で楽しんでほしいっす」

四季「……分かった」

きな子「四季ちゃんから見たら、きな子の体に魅力がなくて話も面白くないのに、無理に付き合わせて本当にごめんなさい」

四季「……ん?」

66: 2024/11/20(水) 00:04:18 ID:???00
四季「最後の、もう1回言って」

きな子「四季ちゃんから見たら、きな子の体に魅力がなくて話も面白くないのに、無理に付き合わせて本当にごめんなさいっす!」

四季「……アンチとか意地悪な人にきな子ちゃんは魅力がない、話つまらないってそう言われた?」

きな子「え、いや、四季ちゃんに」

四季「……は?」

きな子「え?」

四季「嘘、私そんなことを言った覚えはない」

ウソホント発見器「ホント」

四季「ほら」

きな子「へっ、あ、確かに魅力がないとか会話が面白くない、って直接口には出してないっすけど」

四季「チャットやメールでも、そんな事書いた覚えはない」

ウソホント発見器「ホント」

きな子「まぁ、それも本当っす」

四季「……『若菜四季は桜小路きな子の体に魅力がない、会話が面白くないと認識している』きな子ちゃんはそう思っている?」

きな子「はい……」

ウソホント発見器「ホント」

四季「っ……そう」

67: 2024/11/20(水) 00:05:45 ID:???00
きな子「えっ、あっ、じゃ、じゃあ、きな子は見る必要が無い、会話する必要もない、っていうのもきな子の勘違いっすか……?」

四季「それは言った」

きな子「や、やっぱり言ってるじゃないっすか! だから、きな子には魅力が無くて、話が面白くないって―」

四季「言ってない」

きな子「言っては無いっすけど、そう思っているから―」

四季「思ってもない」

ウソホント発見器「ホント」

きな子「えぇ……? だ、だって、きな子に魅力がないからGO!リスタートでセンターだった事も忘れてるんじゃないっすか?」

四季「その件は、ごめん。私にとってあの時きな子ちゃんは、メイの視線の先にあるモノの一部でしかなかった」

きな子「今だって同じっす!」

四季「今は同じスクールアイドル部の仲間」

きな子「……四季ちゃんが今のきな子の事をどう思っているか、きな子には分からないっす」

四季「私、ちゃんと言った、人間の視界の話」

68: 2024/11/20(水) 00:06:43 ID:???00
きな子「し、視界の話?」

四季「覚えてない?」

きな子「えっと、人間の目は真横が立体視できない、って」

四季「ちゃんと覚えているね、それが答え」

きな子「だから、魅力がない、見ても何も得るものが無いきな子を真横に置くのがいいって話じゃないんすか?」

四季「天敵や警戒すべき、注意を払う存在が視界の端にいたら、生物は安心できない……」

きな子「ま、まぁ、きな子もそう思うっすけど、今の話は何の関係が?」

四季「分からない?」

きな子「分からないっす」

四季「……1回しか言わないから」

きな子「……はい」ゴクリ

四季「きな子ちゃんが隣にいるのが、私にとって一番力を抜いて自然体でいられるという事」

69: 2024/11/20(水) 00:08:56 ID:???00
きな子「えっ、えっ、えっ!?」アタフタ

四季「……」

きな子「だ、だって、先輩方が隣にいる方が安心できるじゃないっすか?!」

四季「気は引き締まるけど、力が抜けない、緊張する」

きな子「じゃあ、同学年の夏美ちゃんは!?」

四季「楽しい……ただ、何かイタズラしたり、勝手に動画上げないか、隣にいたら気になる」

きな子「そうだとしても、メイちゃんが! メイちゃんが隣にいるのが一番嬉しいはず、 四季ちゃんの事を一番理解しているのはメイちゃんっす!」

四季「メイはちょっと特別というか、難しい」

きな子「メイちゃんが好きなんだから、何も難しい事なんて」

四季「確かに隣にいる時もある、メイが隣にいると勇気が出るから。けど、メイは引っ張ってくれたり、陰になってくれたり……正面にいてほしい」

きな子「……」

四季「それに、隣にいたらドキドキして、首が横を向いちゃうと思う……ずっと横にいられたら落ち着いて目の前に集中できない」

きな子「……消去法できな子が一番?」

四季「それだったら私は、誰の隣にもいない」

70: 2024/11/20(水) 00:10:29 ID:???00
きな子「でも、消去法以外で、きな子を選ぶような理由なんて……」

四季「私が観測している限り、きな子ちゃんが私の事を悪く言ったり、イタズラしたりしたことは無い」

きな子「え、だって、悪く言われるような事、四季ちゃんはしてないっす」

四季「した、屋上に神経Brockして強制的に連れていったり、メイを入部させるために無茶なお願いを」

きな子「悪く言うほどの事じゃ……」

四季「私は、何か文句や苦情、陰口のひとつ叩かれるかと推測したけど、本当に何も言われなかった……口に出してないだけで腹黒い可能性も検討したけど、きな子ちゃんは思った事はすぐ口に出すから、それもない」

きな子「そ、そんなに口に出てるっすか?」


四季「うん、出てる。きな子ちゃんは私を誰かと比較して、悪く言ったり、考えたりする事は無い、私へのイタズラや愚痴を言う事もない、私に何かマイナスの影響を及ぼすことがない、そう判断できた」

きな子「きな子に何もないだけなんじゃ……」

四季「違う、人の集まりは他人の陰口や愚痴をどうしても漏らす、でもきな子ちゃんはそこに染まらなかった、私やメイみたいに孤独が好きなわけでもないのに」

四季「だから、私はきな子ちゃんの隣にいる。一番安心できるから」

きな子「きな子が、一番安心……」カァーッ

71: 2024/11/20(水) 00:11:52 ID:???00
きな子「でも、きな子が隣にいても、四季ちゃんが楽しめるようなお話ができないっす、今日だって……」

四季「どうして、私とそんなに楽しい話をしたがるの?」

きな子「え、だって、そんなの当たり前で」

四季「当たり前?」

きな子「楽しくお話しできるのが一番なのは当たり前っす」

四季「違う」

きな子「へ?」

四季「それは一般論、私は違う」

きな子「つまり、四季ちゃんは楽しいお話より、難しい専門的なお話の方がいいっすか? それもきな子にはできそうもなくて……」

四季「……ねぇ、私の好きな言葉、知っている?」

きな子「えっと……『沈黙は金』っすよね……あ」

四季「そう、それが答え」

72: 2024/11/20(水) 00:13:44 ID:???00
四季「……」

きな子「だけど、四季ちゃんは夏美ちゃんと楽しそうにじゃれ合って、あれ嫌だったんすか!?」

四季「夏美ちゃんとふざけ合うのも楽しい、嫌いとは言ってない。沈黙は金、雄弁は銀……銀も十分良い」

きな子「あっ……じゃあ、きな子とお話しないのは」

四季「黙っていても気まずくない、全然怒ってこないから、沈黙に付き合ってくれていた……と思っていたから」

きな子「四季ちゃんがきな子の事をそんな風に……う、嬉しいっす!すっごく嬉しい!」

四季「でも、誤りだった」

きな子「へ?」


四季「確かに私の事は悪く言わなかったけど、自分の事を魅力がない、面白くない、って思い詰めて」

きな子「あぅぅ」

四季「ハミ毛水着着たり、臀部がほぼ丸出しの水着だったり、顔面ダイブしたり……過激な行動に出るとは思ってなった」

きな子「うぅ~っ……」

四季「ごめん、これからはきな子ちゃんが思い詰めないように……たまに見て、会話も頑張ってするけど……私が隣にいたら意識しちゃうだろうから、なるべく近くにいないようにー」

きな子「ダメッ、隣にいて!!」

73: 2024/11/20(水) 00:15:13 ID:???00
四季「……?」

きな子「無理してきな子の事を見ないで、会話しないで沈黙を楽しんでいいっす! だから、四季ちゃんにはこれからもきな子を隣に置いてほしいっす!」

四季「それだと、またきな子ちゃんが思い詰めて―」

きな子「もうしないっす! 四季ちゃんの気持ちが分かったから、大丈夫! 迷惑をかけるような事、しないから……」

四季「……」

きな子「お願いっす……」ギュッ


四季「どうしてこだわるの? 私は楽でいいけど、きな子ちゃんに良い事がない」

きな子「きな子、お話が得意じゃないから、まとめられなくて長くなっちゃうけど、聞いてもらえるっすか?」

四季「聞いてほしいの?」

きな子「はい」

四季「……分かった」

74: 2024/11/20(水) 00:18:14 ID:???00
きな子「きな子は特技も無くて、運動が苦手で、それでも先輩に誘われて、頑張ってLiella!に入ったっす」

四季「……」

きな子「入ってからも先輩の足を引っ張らないように練習して、来年は先輩がいなくても、頼られるように……」

四季「……」

きな子「先輩に言われて活動を始めて、先輩の足を引っ張らないように頑張って、先輩のように頼られたいって」

四季「……うん」

きな子「生徒会だって先輩に言われるがまま入って、活動はLiella!の方を優先させてもらっているから、あんまりやってないけど」

四季「かのん先輩もあんまり生徒会活動してなさそうだし、気にしなくていいと思う」

きな子「そんなきな子でも、恋先輩は次期生徒会長に推奨してくれるかもしれない……自惚れかもしれないっすけど」

四季「いや、2年生で一番知名度があるのは、Liella!のきな子ちゃんだから、有力な立候補者が現れなければ、きな子ちゃんが次期生徒会長の可能性大」

きな子「もちろん、そうなったらきな子は恋先輩みたいな、良い生徒会長になるつもりっす……スクールアイドル部みたいに」

四季「……あぁ」

きな子「先輩に言われて生徒会に入って、先輩みたいな生徒会長を目指した……いつもきっかけと目標が先輩で」

四季「嫌になった?」

きな子「そ、そう言う訳じゃないっす! 寧ろ目標になる人がいたり、誘っていただけて、きな子は幸せ者っす!」

四季「話が見えない」

きな子「……さっき褒めてくれた」

75: 2024/11/20(水) 00:20:32 ID:???00
四季「……? きな子ちゃんはよく褒められてる」

きな子「スクールアイドル部として頑張っている、とは言ってもらう機会があるっす、それはもちろん幸せな事っすよ」

きな子「だから、何の特技も取り柄もないきな子には、先輩が言ってくれたことを、先輩を目標に頑張る、それしかないって思ってたっす」

きな子「それで精いっぱいだったし、それでよかった」

きな子「でも、それとは関係ない所、さっき四季ちゃんが初めて褒めてくれた」

四季「そんなに大袈裟にとらえる事じゃ―」

きな子「すごく嬉しかった!!……本当に、すごく嬉しかったっす」

四季「……どう、いたしまして」

きな子「それしかない、って思ってたきな子の別の部分、きな子が持っている、先輩の後を追っかけるだけじゃない部分、四季ちゃんが見つけてくれたから」

きな子「その部分を大事にしたいっす……これからも四季ちゃんにとって、隣にいたら自然体でいられるきな子でいたい」

四季「……」

きな子「だからお願い、これからもずっと四季ちゃんの隣にいさせて!」ペコッ

四季「……」

76: 2024/11/20(水) 00:24:23 ID:???00
四季「……」

きな子「あの、四季ちゃん……?」

四季「ずっと隣、ってそんな風にプロポーズみたいに言わなくても……」カァーッ

きな子「あっ、四季ちゃんが赤くなってる……か、可愛―」

四季「可愛くない、知らない、私行くから」クルッ

きな子「えっ、行くってどこ行くっすか!?」

四季「メイと夏美ちゃんからメッセージが来た、この近くで一緒にお昼」テクテク

きな子「あっ、は、はい……」テクテク

四季「……」テクテク

きな子「……」テクテク

四季「……ねぇ」

きな子「は、はい!」

四季「いくらきな子ちゃんでも真後ろは気になる」

きな子「ご、ごめんなさい! もっと離れるっす……」

四季「隣じゃないの」

きな子「えっ」

四季「……これからも、隣、よろしく」テクテク

きな子「……!」テクテク

77: 2024/11/20(水) 00:26:35 ID:???00

施設内レストラン

夏美「見えましたの! 二人が向こうからこちらに来ますわ」

メイ「ダメだ、私の席からじゃ他の客とか植木で見えない! 様子は?」

夏美「私も首元ぐらいまでしか見えませんの……」

メイ「視線とか口元は分かるんじゃないか」

きな子「……♪」テクテク

夏美「えーっと、きな子はやたらと幸せそうな表情で」

メイ「おおっ! 無事に話せる仲になったか!」

四季「……」テクテク

夏美「四季は前を向いていて、きな子の方は見てないですの……」

メイ「げ、四季のやつマジかよ…… 口はどうだ!? 会話してるか?」

四季「……」テクテク

きな子「……♪」テクテク

夏美「閉じたままですの」

メイ「何も進歩してないのかよ! きな子は何を喜んでるんだよ全く」

夏美「午後も一緒にいるだけじゃ、進歩が無さそう……」

扉「」ウィーン

四季「メイ、見つけた」テクテク

きな子「お待たせしたっす~」(全裸)

メイなつ「「全裸!!!???」」

きなしき「あ」

客「」ザワザワ

店員「」ザワザワ

きな子「は、はにゃあぁぁぁぁっっっ!?!?!? 浮かれてて脱いだままなの忘れてたっす!!」

四季「視界の端だから、全裸なの気づかなかった……今取ってくる」


78: 2024/11/20(水) 00:29:13 ID:???00
7話

夏美(結局、プールでは午後から四季はメイと一緒に行動して、何の進展も無し……今日も隣に2人は座っているけど、何もありませんの)

きな子「四季ちゃんグミ食べるっすか」

四季「頂く」


夏美「いよっしゃー!動画編集完了ー!」

夏美(あれ、今普通に四季が返事して、きな子の方を見ているような……?)

きな子「♪」

四季「……」ニコニコ



すみれ「よく見てみなさい、今この部屋には何人いる?」

きな子「えーと、1(四季)、2(夏美)…」


メイ(わざわざ後ろを向いて真っ先に四季を数えた……?)

きな子「……あと、かのん先輩と、マルガレーテちゃんと、冬毬ちゃんが来れば」

四季「来れば……!」

メイ・夏美(四季ときな子が普通に会話してる!!?)

おわり

引用: 【SS】きな子の隣に四季がいる理由⇒きな子放送不可能水着へ