20: 2014/01/02(木) 22:07:06 ID:3399Qecc

キース「兵団から支給されるパンの譲渡及び強奪を禁止する」
続編らしきものを。
タイトル通り、あの方の話。

21: 2014/01/02(木) 22:09:06 ID:3399Qecc
《夕食中》

ジャン「キース教官また見てるな」ヒソヒソ

マルコ「主にサシャの方をだけど」ヒソヒソ

サシャ「……ぱぁん」ドンヨリ

クリスタ「教官!」ガタッ
進撃の巨人マガジン15周年号 (週刊少年マガジンコミックス)
22: 2014/01/02(木) 22:12:48 ID:3399Qecc
キース「どうしたレンズ。ブラウスが放屁でもしたか」

サシャ「ええエェッ?!」

クリスタ「私からサシャへのパンの譲渡を許して下さい」

ユミル「おい、クリスタ。また悪い癖か?」

サシャ「神様っていたんや」パァアア

23: 2014/01/02(木) 22:24:39 ID:3399Qecc
キース「なぜだ。この食糧難の中、皆平等に食糧を与えられるのは当然のことであろう。兵団内であればなおさらだ」

クリスタ「私は前にサシャにパンを譲渡したことがあるからです」

キース「過去のことを咎めるつもりはない。ブラウスの食い意地が張っているのはお前とは関係のないことだ」

クリスタ「いえ、関係はあります。この兵団で初めてサシャにパンを譲渡したのが私でした」

24: 2014/01/02(木) 22:35:07 ID:3399Qecc
キース「なに?」

ユミル「やめろ。あの時のことを言うつもりか?」

クリスタ「大丈夫だよ。ユミルのことは何も言わないから」

ユミル(チッ、そういうことじゃねえよ)

サシャ「クリスタ、マジ神様」

25: 2014/01/02(木) 22:41:16 ID:3399Qecc
キース「意味がよく分からん。詳しく説明しろ」

クリスタ「入団式の日、サシャは教官の言いつけ通り、氏ぬ寸前まで走り続けていました」

キース「ああ、ブラウスには罰として夕飯抜きも言い渡しておいたはずだが、まさか…」

クリスタ「私は教官の言葉に逆らってしまいました」

キース「パンを、与えたのだな」

クリスタ「はい。空腹時にはいつもの食べ物でも数倍美味しく感じるといいます。ヘトヘトになっていた彼女には、その効果が最大限に発揮されました」

26: 2014/01/02(木) 22:48:38 ID:3399Qecc
アルミン「空腹時の味覚の変化の話は聞いたことあるよ。開拓民時代に実感したこともある」

エレン「俺も分かるな。しかもそれをサシャにか…とんでもねえな」

ミカサ「想像を絶する」

27: 2014/01/02(木) 22:58:33 ID:3399Qecc
クリスタ「私は知っていいました。サシャのパンに対する執着の強さは、元々のものではないと」

クリスタ「私があの時にパンを与えなければ、普通の兵団生活を送れていたんだってことを!!」

一同(いやいやいやいやいやいや)

ユミル(それはない、ありえないから)

コニー(入団式中に芋食ってるような女が普通の生活送れるわけないだろ)



クリスタ「……ずっとずっと気掛かりだったんです」ポロポロ

ライナー(結婚しよ)

28: 2014/01/02(木) 23:08:14 ID:3399Qecc
クリスタ「教官はこのことを見越して、サシャに夕飯抜きを命じていたのですね。そうとは知らず私、なんてことをっ!」

キース「そう…だな。た、確かにそういった考慮をしてないわけではなかったこともないが、き、貴様が気に病むことではない」

ユミル(うわ、コイツ自分の手柄にしやがった)

マルコ(キース教官、ちょっとそれは…)

ミカサ(非道)

29: 2014/01/02(木) 23:12:18 ID:3399Qecc
クリスタ「お願いします!どうかサシャにパンを食べさせてあげてください!私が悪いんです!全て私の責任なんです!」

キース「思い詰めるな、レンズ。なにもそこまで」

クリスタ「どうしても駄目だというのなら、私を開拓地送りにして、私の分までサシャにパンを食べさせてあげて!」

ユミル「」ガタッ
ライナー「」ガタッ

キース「うっ!」ビクッ

キース(私に強烈な殺気が二つほど注がれている!)

30: 2014/01/02(木) 23:23:04 ID:3399Qecc
キース「……ブラウス」

サシャ「教官、大丈夫です。今、何をすべきか、私は分かっています」キリッ

キース「少しは成長したようだな」

サシャ「クリスタのおかげで目が覚めました」

エレン「人が変わってねえか?」ボソ

ミカサ「静かに、今、良いところ」シー

31: 2014/01/02(木) 23:28:57 ID:3399Qecc
キース「クリスタ・レンズ」

クリスタ「教官、どうか」

キース「貴様とサシャ・ブラウスとのパンの譲渡を許可する」

クリスタ「アアッ、ありがとうございます!良かったね、サシャ!」

キース「さあ、ブラウス、すべきことを」

サシャ「はい」バッ



サシャ「クリスタに私のパァンを捧げます!」



クリスタ「え?」

32: 2014/01/02(木) 23:32:29 ID:3399Qecc
キース「良くやった」ウンウン

クリスタ「どうして、パンが食べられるようになったのに」

キース「受け取れ、ブラウスの思いだ」

サシャ「……」プルプル




コニー(嘘だろ、あの芋女がパンを人に渡すなんてよ)

アルミン(歯を食いしばって震えてる)

ジャン(よっぽどキツいみてえだな)

マルコ(いい話だなぁ)

33: 2014/01/03(金) 00:03:15 ID:gkxCxVrg
サシャ「……」ブルブルブルブル

クリスタ「サシャ?大丈夫?震えてるよ」

サシャ「フーッ、フーッ」ガクガク

クリスタ「どんどん顔色が悪くなって、脂汗が出てきてる!サシャ!サシャ!」

35: 2014/01/03(金) 00:37:43 ID:gkxCxVrg
サシャ「ぎゃああああああ!!」ドォツ

クリスタ「キャッ」ドサッ

キース「何をしている?!パンをクリスタに返せ!」

サシャ「すみません!やっぱりパァンだけは、無理です!」モグモグモグゴックン


サシャ「代わりにこの心臓を捧げます!」バッ

36: 2014/01/03(金) 00:52:00 ID:gkxCxVrg
アルミン(その時104期生は思い出した)
アルミン(サシャが入団式で起こした衝撃を)
アルミン(腹筋が捩れるほど笑いを堪えた苦渋を)


アルミン「あの日の芋敬礼の上をいく、新たな…………パン敬礼」

ライナー「」ブフォッ




―完―

引用: キース「本日より」