417: 2013/11/12(火) 01:48:41.35 ID:c4DekwMo0
魔法少女まどか☆マギカ コンプリート DVD-BOX (12話, 283分) まどマギ アニメ [DVD] [Import][パソコンもしくはPAL対応のプレイヤーにて再生可]
418: 2013/11/12(火) 01:50:26.32 ID:c4DekwMo0
翌日、風見野に行くと、佐倉杏子にはすぐ会えた。マミさんとほむらは町境に待機

杏子「そいつ、誰?」

さやか「鹿目まどか。魔法少女じゃない」

杏子「……例の候補者か。契約はまだしてないみたいだね…………何で連れてきたのさ?」

さやか「あたしがバカをやらないために」

杏子「……そういうこと」

杏子(新人が二人になってもこっちには問題ないか)

杏子「……まあいいや。場所移すよ」

419: 2013/11/12(火) 01:51:10.85 ID:c4DekwMo0



第12話:さやかちゃんホントは頭いいんだから!



420: 2013/11/12(火) 01:54:43.30 ID:c4DekwMo0
佐倉杏子の指定で、近くのレストランに入ることになった
魔法少女の話を一般人に聞かれても、頭がにぎやかな中学生の妄想としか取れないだろうということで

お代は私たち二人で持つことになった
あたしたちは慎ましくピラフの単品を、佐倉杏子はステーキ定食とハンバーグとチョコパフェとアップルパイとドリンクバーとを注文した
……好き勝手注文してくれるよ
……今あたしはお小遣いを止められているが、まどかだけに負担させるわけにはいくまい。後でお母さんに直談判しないと
〆て4100円を二人で割って2050円。この金額を手に入れるために、一体どんな代償を払うことになるか……

杏子「で?どういう条件を用意してきたのさ?」

まどか「この前と変わらないよ」

421: 2013/11/12(火) 01:59:16.65 ID:c4DekwMo0
杏子「……なんだ。あんたら、あたしに奢るためにわざわざ風見野まで来てくれたのか」

杏子「案外良い奴なんだね」

ドリンクを飲みながら、佐倉杏子が満面の笑みで言う。
……皮肉?天然?

まどか「……この前ほむらちゃんが話したことを、補足しに来たんだよ」

杏子「まあ、あれだけのものを注文させてもらったわけだし、聞くだけ聞いてやるさ」

杏子「長くなるなら追加の注文もするけどね」

まどかの表情が青ざめる。へたすりゃ二人で皿洗い…で済むんだろうか?
……コンパクトにまとめないと

さやか「ワルプルギルスの夜だけどさ、あたしたち三人がかりでも勝てるか微妙なんだって。てか負ける公算のほうが高いみたい。」

佐倉杏子がドリンクから口を離した

杏子「……『統計』?」

さやか「うん」

422: 2013/11/12(火) 02:00:17.70 ID:c4DekwMo0



「……あんたら、あのベテランに騙されてるよ?」



423: 2013/11/12(火) 02:04:41.07 ID:c4DekwMo0
さやか「何言ってんのよ!?」

まどか「さやかちゃん!」

さやか「―――ッ!……理由、言ってみなよ」

さやか「………根拠無かったらただじゃおかないから」

杏子「親切心で忠告してやっったのにこれえ?」

杏子「てか、ただで済まさないからってあんたにできることって何かねえ?そいつに願わせる?」

まどか「さやかちゃん、大丈夫だから、ね?大丈夫だから……」

さやか「………いいから根拠を話せ」

杏子「じゃあ、あんたらにわかるように説明してやるよ」

杏子「あの後気になって調べたんだけどさ、ワルプルギスの夜って災害に例えられたりするんだけど」

杏子「ホントに大災害の後に、目撃証言からあれがワルプルギスだったんだろうって当たりを付けてるってだけなんだ」

杏子「そんなふざけた資料集めてどうやって統計出すんだよ?」

424: 2013/11/12(火) 02:07:45.78 ID:c4DekwMo0
まどか「普通イメージする統計とは違うの。ほむらちゃんの体験を基にした『統計』なんだよ」

杏子「……ほむらってのは、あのベテラン?」

杏子「うん。暁美ほむらって名前なの」

杏子「……一番最近でワルプルギルスが出現したのは1978年だよ?そのときにまだ1歳だったとしても、計算が合わない」

杏子「まあ、例のふざけた資料によるものだけどさ。最近の何かの災害がそれだったって言ってるの?」

まどか「違う。ほむらちゃんが体験したのはあくまで一ヶ月先のワルプルギルスの夜だけ」

杏子「…はあ?」

まどか「未来から来たんだよ。ほむらちゃんは」

杏子「………」

さやか「……信じられない?」

杏子「……信じるも何も……そういうことができるだろうとは思うけど……あんたら何でそいつを信用したのさ?」

まどか「ほむらちゃんが話してくれたから」

杏子「」

425: 2013/11/12(火) 02:09:35.69 ID:c4DekwMo0
さやか「……マミさんが気づいたんだよ。ほむらが未来を先読みしているとしか思えない行動をとっていたことと、ほむらの能力から」

さやか「具体的に聞きたい?」

杏子「……いや、めんどくさい。まあマミのやつが言うんなら………いや、あいつ甘いからなあ……」

杏子「……チッ」

佐倉杏子は唐突に席を立った

まどか「ど、どうしたの?」

杏子「見滝原に行く。やっぱり直接聞き出すよ」

426: 2013/11/12(火) 02:10:57.64 ID:c4DekwMo0
道中

杏子「相当な候補者なんだっけ?あんたも契約するの?」

まどか「……私はしないの」

杏子「へえ、あんたをうまく言いくるめて手駒にするためにデタラメ言ってるわけじゃないのか」

さやか「……当たり前でしょ」

杏子「そうカッカするなよ。まあ、よかったじゃん。契約なんてろくなもんじゃないし」

……?

427: 2013/11/12(火) 02:14:44.41 ID:c4DekwMo0
杏子side

見滝原の境でマミと暁美ほむらが待っていた。その後マミの家に場所を移して話をすることに

ほむら「で、何について聞きたいの?」

杏子「未来から来たってこと証明をしな」

ほむら「……」

杏子「どうしたのさ?これから起こるニュースとかでもいいんだよ?」

ほむら「……直近では無理なのよ」

さやか(ああ、統計の誤差ってやつか。まあ、それがいつもできるならそこまで苦労しなかったよね)

杏子「俄然うさんくせえ」

ほむら「……あなたの過去、でだめかしら?」

杏子「……あたしの過去?」

ほむら「魔法少女になった時の願いと、その顛末」

杏子「……マミ?」

マミ「私からは話してないわよ?」

杏子「他のやつに話したことは?」

マミ「絶対ない」

428: 2013/11/12(火) 02:16:53.37 ID:c4DekwMo0
……ここで暁美ほむらがデタラメ言ってるなら、いくらなんでも不信感持つよな。そんな様子はない
マミからはないってことか

後ありそうな線は…

杏子「キュゥべえ、あたしの過去を話したことがあるか?」

QB「僕の口からはありえないね。彼女が言うほかの時間軸の僕、なら可能性はあるけど、そんなことをする理由が思いつかないな」

QB「まあ、そこら辺はこの問題ではどうでもいいだろう?」

……あたしはマミにしか話はしてない

杏子「わかった。それでいいよ」

ほむら「……ここで話していいの?」

杏子「隠すことでもないし」

万一組むことになるなら、まあ、なおさらだしな

429: 2013/11/12(火) 02:18:51.48 ID:c4DekwMo0
暁美ほむらが話した内容は、寸分たがわずあたしが体験したのと同じ内容だった
……信じざるを得ないか

さやか「……ごめん。あんたのこと誤解してた」

杏子「別にいいんだよ。イメージ間違ってるわけでもないし」

杏子「それでさ、あたしは人のために魔法を使うのをやめたんだ。神様は希望と絶望は差し引きゼロになるようにしてるんだよ」

杏子「だったら他人のために祈ったり魔法使うなんて無駄さ。結局ゼロになる」

杏子「ゼロで済まないことだって……」

430: 2013/11/12(火) 02:20:37.55 ID:c4DekwMo0
さやか「言いたいことはわかることはわかるけど、あんまり認めたくない話だね」

さやか「あたしは神様が間違ったことをしたのを、元に戻しただけだよ?それで恭介がまた不幸になるなんて納得いかない」

さやか「馬鹿なことしたあたしに天罰が下るっていうならわかるけど」

まどか「私は、さやかちゃんに天罰が下ったら神様を恨むよ。そんなのおかしいもん」

杏子「……あんた、恭介って奴に何したの?」

さやか「事故で動かなくなった指を治すように願ったの」

431: 2013/11/12(火) 02:23:52.15 ID:c4DekwMo0
杏子「……そりゃマミも反対するわな。そんなこと願った時点で、もうそいつとうまくいきっこないよ?」

杏子「どんなに取り繕ったって、あたしがあそこまでしてあげたのに、ってなっちまう。どうせ、そいつに気があるんでしょ?」

さやか「心配してくれてありがとう。マミさんからも言われたよ」

さやか「だけどさ、そんなのわかってるんだよ。恭介、あたしの親友とくっつくことになるだろうから」

杏子「……それも統計?」

さやか「うん」

杏子「あんた、それわかってて契約したの?」

さやか「……うん」

杏子「……馬鹿だね…」

さやか「……最近よく言われる」

ほむら「『最近』……?」

さやか「ほむらぁ~!?」

432: 2013/11/12(火) 02:27:02.66 ID:c4DekwMo0
まどか「やめてよ!さやかちゃんホントは頭いいんだから!」

まどか「えっと…えっと……えーっと…」

さやか「……ごめん…まどか…もういいよ……」

杏子「……ともかくだ、まあ、あたしは成りそこないのシスターだからさ、あんなこと言ってなんだが、神様の本意なんてわかんないや」

杏子「さっきのは、単なるあたしの考えってだけし。恭介って奴とお前がこの後どうなるかなんてあたしにはわからない」

杏子「ま、せいぜい気をつけて見守ることだね」

さやか「……ありがと。気をつけるよ」

杏子「言ってる意味わかるよな?そいつから離れるなって言ってるんだよ?統計なんて覆しちまえ」

さやか「……うん」

433: 2013/11/12(火) 02:28:03.44 ID:c4DekwMo0
杏子「……それでだ」

一同「?」

杏子「条件」

一同「!?」

杏子「なにか上乗せして」

一同「……?」

434: 2013/11/12(火) 02:34:15.94 ID:c4DekwMo0
ほむら『どういうこと?ここにきて条件なんて』

マミ『グリーフシードの現物かしら?』

ほむら『困ってないって言ってたわ……お金?』

マミ『……それをこちらから言い出すのは、かなり失礼じゃないかしら』

さやか『あの』

ほむマミ『?』

さやか『他人のために魔法を使わないってのを、守ろうとしてるんですよ、きっと』

さやか『私たちの考えでは、少なくともマミさんのために戦う意思はずっと持っていた』

さやか『この分だと気付いてないみたいですけど』

さやか『そして、少なくとも今この瞬間は認めたくない』

さやか『だから条件上乗せで、そのために組むってことにしたがってるんですよ』

ほむら『……本当に面倒くさい』

杏子「なにか失礼な話してない?」

435: 2013/11/12(火) 02:36:06.52 ID:c4DekwMo0
マミ「…」

マミ「……」

マミ「じゃあ」

杏子「お、何くれるのさ?」

マミ「……い、一緒に住まない?」

杏子「………!」

マミ「衣食住は提供できる……………あなたが嫌じゃなければ」

杏子「……あんたはどうなんだよ?」

マミ「……嫌じゃないわ」

杏子「……」

杏子「………あたしだって…嫌なわけ…ないじゃん」

436: 2013/11/12(火) 02:38:05.25 ID:c4DekwMo0
マミ「佐倉さん……」

マミが目頭を押さえた。

マミ「ありがとう。佐倉さん……本当にうれしい。私、あなたに嫌われているものとばっかり……」

杏子「……ホントにお人よしだよ。弟子が師匠にあんなこと言ったんだよ?普通そっちから勘当でしょ……」

杏子「………まあ、あれだ」

杏子「……」

杏子「あたしも嫌われてると思ってたからさ、うれしいよ。ホント」

437: 2013/11/12(火) 02:39:22.84 ID:c4DekwMo0
言い終えて、二人で笑いあった。二人とも、少し涙声だったと思う
みんな、にこやかだった。まるで普通の中学生が、普通に友達同士で話しているような、和やかな雰囲気

あ、そう言えば、気にはなってたんだけど




「それでさ、『ぶっ飛んだ見返り』って何なの?『ソウルジェムの秘密』ってやつ。」




途端に、あたしを除く全員の笑顔が凍りついた

438: 2013/11/12(火) 02:39:57.22 ID:c4DekwMo0
これにて投下終了です。第12話完です

448: 2013/11/12(火) 23:33:17.85 ID:c4DekwMo0



第13話:もう戻れない



449: 2013/11/12(火) 23:38:03.21 ID:c4DekwMo0
ほむら『どうしよう……?』

マミ『暁美さん、あなた、あんなことを見返りだなんて言ったの!?』

ほむら『ごめんなさい……』

マミ『……謝る相手が違うわ。わかってるわよね?』

ほむら『……ええ』

さやか『それでさ、教えないってわけにはいかないんじゃない?あたしたちだけ知ってるって「言うのも……』

マミ『……ええ。戦闘でも、やっぱり知っているのと知らないのでは違うわ……』


杏子「あんたたちさあ、魔法少女相手にテレパシーで密談なんてよくやるよね」

杏子「いや、何話してるかはわからないけどさ」

杏子「後、さやか、あんたのテレパシーは不充分だよ。少し聞こえる」

まどか「私、何話してるかわかんない……やっぱり、仲間はずれは良くないよ……」

ほむら「そうね……」

450: 2013/11/12(火) 23:41:10.09 ID:c4DekwMo0
ほむらが私に向き直って頭を下げた

ほむら「はじめに謝らないといけないわ。ごめんなさい、杏子。あれは見返りなんてことに使える話じゃないの」

ほむら「あなたを引き止めるためにとっさについた嘘なの。本当にごめんなさい。」

杏子「けど、でまかせってわけじゃないんでしょ?『ソウルジェムの秘密』っていうのは」

ほむら「ええ。気を強く持って聞いて」

……相当いやな話らしいな……こんな気分になるなら聞くんじゃなかったかなあ……

杏子「わかった」

ほむら「……ソウルジェムって、魂なのよ」

……へ?

杏子「……いや、知ってるよ?魔法少女の魂だよ?濁りきったら魔法を使えなくなるんだから――」

ほむら「そうじゃない。そのままの意味の魂なの。これが砕けたら、私たちは氏ぬの」

ほむら「この石ころが私たちの本体で、体は抜け殻に過ぎないの」

杏子「え゛?」

451: 2013/11/12(火) 23:44:18.64 ID:c4DekwMo0
………おいおい聞いてないぞ……

……待て待て……もしそうだとして………


杏子「濁りきったらどうなるんだ……?魂が濁るって……」

つい口に出してしまった
あたしはこんらんしている。



「魔女になるの」



杏子「は?」

ほむら「ソウルジェムが濁りきったら、私たちは魔女になるの」

……………

452: 2013/11/12(火) 23:46:58.72 ID:c4DekwMo0
その後話されたのは、キュゥべえことインキュベーターのエネルギー搾取計画
だけど今の状態でそんなもん頭に入るか微妙、というか平常でもすこぶる疑問で
宇宙人があたしたちをもてあそんでいるとしか取れなかった

…………この場にマミがいる……
マミは……うそは……吐かないし……付いてるときはわかる

……つまり、あいつは信じた……
……この話は……マミが絶対に認めたくない話だ…

…ってことは…あいつが信じたってことは……それなりの確証があるってことだ……

……あいつは頭もいい…でまかせってことはないだろう…つまり―――

杏子「――マジなのか……」

ほむら「ええ」

QB「本当だよ」

453: 2013/11/12(火) 23:53:01.25 ID:c4DekwMo0
この場のインキュベーターの存在を今更ながら思い出し、瞬間、あたしは槍を召喚して奴に突き刺そうとする
反射といって差し支えない速さだった

だが、できなかった。マミが銃であたしの槍の矛先を変えたからだ
マミと別れてからあたしもそれなりに腕を磨いてきたつもりだったんだけど……

……だけど、この時頭を支配していたのはそんなことじゃなくて――

杏子「……何で………?」

マミ「あなたの気持ちはよくわかる。だけど待ってほしい」

杏子「……何で止めるんだ………?」

マミ「この子は、私の友達だから」

杏子「何で!よりによってあんたが!そんなことを言えるんだよ!?」

杏子「この話を聞いて一番ショックを受けたのはあんたのはずだ!」

杏子「あんたの生き方を全否定するような話じゃないか!!!???」

マミ「その前に氏ぬつもりだから」

杏子「……!!!」

454: 2013/11/12(火) 23:55:38.70 ID:c4DekwMo0
あたしは崩れ落ちるようにして椅子に座って、気を落ち着けるために紅茶をがぶ飲みした
そんなことで落ち着くわけは無いんだけどね

杏子「………あたしはこの際いい。好き勝手に生きてきたし、どうせろくな氏に方しないと思ってた」

杏子「お似合いの最後だ。自業自得だよ」

杏子「……自殺なんてするか。ほかの魔法少女がなんとかすりゃいいんだ……」

杏子「けど、何であんたや……さやかみたいな奴まで……同じ結末にならなくちゃいけないんだよ……」

杏子「おかしいだろ……何でこんな……」

QB「このシステムはどの少女にも公平で平等だっていうだけだよ」

QB[生前の行いによって救済が左右されないというのも君の父上が所属していた宗派の教義どおりじゃ――」

杏子「出てけ!!!」

455: 2013/11/12(火) 23:58:12.30 ID:c4DekwMo0
周りを見れば、ほむらは銃を、さやかは剣をあいつに向けていた
まどかも腕を捲り上げている。こいつがここまで怒るなんて意外だな。全く似合わない
マミさえも、武器こそ構えないものの、青筋を浮かべて震えていた

杏子「今度マミの手を噛むような真似をしてみろ……マミがなんと言おうと知るか……」

杏子「テメエらの仲間を根こそぎ地球上から殲滅してやる……!」

QB「そんなことを出来るものなら是非やってみて欲しいね。掛け値なしに史上最強の魔法少女といえる」

QB「魔女となったときに生まれるエネルギーも実に甚大だろう―――」

四人の一斉放射と、奴が消えたのはほぼ同時だった

456: 2013/11/13(水) 00:06:21.13 ID:jIt+TxXZ0
マミ「……気持ちは多いにわかるし、友達とはいえ私も仕留められなくて少し悔しい気もするけど、ここが誰の家か考えて欲しかったわ」

結局、後には床が抉られた跡しか残らなかったというわけだ

杏子「悪ぃ……」

さやか「ごめんなさい……」

ほむら「弁償するわ……」

まどか「何もできない身でよかった……」

杏子「……つーかさ、あんたたちこれ知ってて契約したわけ?」

ほむら「私は、最初は知らなかったわ。まあ、知ってても契約したでしょうけどね」

さやか「あたしは最初から知ってたよ?」

杏子「……付き合えもしない片思いの相手の腕を治すために契約したんだっけ?」

さやか「うん」

杏子「……化け物になるって知ってたわけだ?」

さやか「……うん」

まどか「化け物じゃないよ」

杏子「……そう言ってもらえるのはありがたいよ、ホント。世の中あんたみたいなやつばかりじゃないからさ」

杏子「当然のことだし、文句言うこともできないけどね……」

杏子「この馬鹿を支えてやって」

まどか「うん!」

457: 2013/11/13(水) 00:13:34.76 ID:jIt+TxXZ0
さやか「やっぱり馬鹿なのかなぁ……?」

杏子「馬鹿だ。真正の馬鹿だ。人生を棒に振るような馬鹿だ」

さやか「そこまで言われたのは初めてだよ……」

ほむら「あなたの周りの人に感謝することね。」

さやか「……ほむらぁ~?どういう意味なのかなぁ~?」

ほむら「そのままの意味よ。現に棒に振りかけてるじゃないの。しっかりしなさいよ?」

さやか「うう……」

458: 2013/11/13(水) 00:18:36.13 ID:jIt+TxXZ0
杏子「……いいからじゃれてないで、ホームセンターにでも行って木材とか買って来い」

杏子「マミとあたしで家でできることはやっておくから。」

さやか「へえ、杏子そんなことできるんだ」

杏子「まあいっつも廃材でチョチョイってやってるからね

マミ「私はそういうのは得意じゃないわよ?」

杏子「手伝いが要るんだよ。家主にこんなことさせるのも悪いけどさ、マミの家なんだから。やり方は教えてやるから」

さやか「てかこういうのって管理人に報告するものなんじゃないの?」

杏子「ばれなきゃいいんだよ。終わったあとで魔法で修補すれば元通りさ。誰にも分からないって。」

465: 2013/11/14(木) 01:17:02.33 ID:4LB3JCrX0
杏子「なあ。マミ」

やっぱりマミは慣れてない感じで四苦八苦って感じだった

マミ「何?」


杏子「あんた氏ぬ気でしょ?」


マミが手を止めた

マミ「…ええ。言ったじゃない?魔女になる前に氏ぬつもりだって」

杏子「『魔女になる前』が、相当前な気がするんだよ」

マミ「…」

杏子「ワルプルギスを倒した後すぐ、とかさ」

マミ「………よくわかるわね…」

杏子「不肖だけど弟子のつもりだからね」

このお人よしのおかげで、今日からまた胸を張ってそう名乗れる
うれしい限りだ

…こんな奴が損をするなんて、早氏にするなんてあっちゃいけないと思う

466: 2013/11/14(木) 01:19:47.64 ID:4LB3JCrX0
マミ「……だめ、かな?」

杏子「だめでしょ、そりゃ」

マミ「……今まで、魔法少女として、できることを精一杯やってきた」

杏子「……うん。マミほど魔法少女を体現したやつはいなかっただろうさ」

マミ「最後くらい、わがままを許してほしい」

杏子「……最後のわがままが、氏なせてくれ、って何だよ……そんな悲しい話があるかよ……」

マミ「……」

杏子「あたしだって恐いんだよ……さっきはああ言ったけどさ……やっぱり人を頃したくなんかないよ……」

杏子「散々好き勝手やって、あんなことまでしてきて何言ってんだとは思うけどさ……」

467: 2013/11/14(木) 01:23:27.87 ID:4LB3JCrX0
マミ「……あなたは自分で思ってるほど悪い人じゃない」

杏子「……どうかな」

杏子「…さやかだってさ、絶対後悔するよ。覚悟はしてるみたいたけど、そんなに都合よくできてないんだよ、人間は」

マミ「……」

杏子「マミが、魔女になった魔法少女のこととか、あたしが考えもしないようなことまで考えて苦しんでるんだろうってことはわかるよ」

杏子「マミが背負うものとあたしが背負うものの重さは違うんだろうさ」

杏子「多分、あたしにはマミの生き氏ににとやかくいう権利なんてない」

杏子「……それでも、あたしはマミに生きてほしいんだ。一緒に戦ってほしいんだよ」

マミ「……」

杏子「……ほむらとまどかだって同じだよ」

杏子「逃げないでくれ」

杏子「……マミが氏ぬととても寂しい、から」

468: 2013/11/14(木) 01:26:51.30 ID:4LB3JCrX0
マミ「………」

マミ「……自分のことしか考えてなかったかもしれないわね」

マミが、ため息をついて自嘲気味に笑みを浮かべて言った

マミ「今までずっと一人だった。あなたと別れてからもずっと一人」

マミ「……暁美さんが現れて、鹿目さんと美樹さんと出会って、友達になった。魔法少女の仲間ができた」

マミ「本当は美樹さんには加わってほしくなかったけど、それでも仲間が増えたのは純粋にうれしかった。喜びや苦しみを共有できた」

マミ「魔法少女じゃない友達もできた。とても新鮮で、私たちが守ってきたものの意味を感じることができた。あなたとも友達に戻れた」

マミ「だけど、私は友達に甘えてるだけで、みんなのことを考えてなかったみたい」

マミ「……」

マミ「一人だったら、自分のことだけ考えてればよかったんだけどな……」

469: 2013/11/14(木) 01:32:23.87 ID:4LB3JCrX0
杏子「戻りたい?」

マミは首を横にを振った

マミ「もう戻れない」

杏子「……だろうね」

マミ「……ねえ、佐倉さん」

杏子「何?」

マミ「私、あの話を聞いて以来、時々、衝動的にソウルジェムを割りそうになるの」

杏子「……」

マミ「正直ここまで自分が弱いと思わなかった」

マミ「暁美さんの話では、みんなと心中しようとしたこともあったんだって……」

杏子「だけど、今、マミは砕いてないし、心中だってしようともしてない」

杏子「これからだって、絶対にない」

470: 2013/11/14(木) 01:34:29.22 ID:4LB3JCrX0
マミ「……何でそんなこと言えるの?」

杏子「マミにみんなを見捨てることなんてできっこないからさ」

杏子「ワルプルギルスを倒すことを一区切りにするつもりだったんだろうけど」

杏子「それが逃げだって、みんなを見捨てることだって気づいたから」

マミ「……一人じゃないって、楽じゃないわ……」

杏子「あたしも不肖ながら支えてやるよ。何でも言ってみな」

杏子「できることなら何でもしてやるから」

杏子「できないことはしないけどさ」

471: 2013/11/14(木) 01:37:13.14 ID:4LB3JCrX0
マミ「……じゃあ、ちょっとお願いしてみようかな」

杏子「何?」

マミ「……」

マミ「ちょっと胸貸して」

…今まで誰にも相談できなかったんだろうな。弱みを見せられるタイプじゃないし、立場でもないか…

まあ、あたしも同じか。見せられる相手もいなかったし

杏子「奇遇だね。あたしも胸を貸してもらえる相手を探してたんだ……ずっと」

472: 2013/11/14(木) 01:39:40.84 ID:4LB3JCrX0
三人が帰ってくる前には二人とも泣き止んだが、赤くなった目はごまかしようがなかった

ほむらとまどかは深入りしようとしなかったけど
さやかはしつこく何があったのか聞こうとして


ほむらとあたしの鉄拳を食らった

481: 2013/11/15(金) 01:59:04.67 ID:hXlPwghg0
今度こそミスはしません
……毎度気をつけてはいるのですが…

それでは投下します

482: 2013/11/15(金) 02:04:38.93 ID:hXlPwghg0



第14話:さやかさんのことを馬鹿にしすぎではありませんか?



483: 2013/11/15(金) 02:09:12.36 ID:hXlPwghg0
杏子side

マミの家の修繕が終わってから今後の方針について話し合いが行われた
結果、あたしがにさやかを特訓して、ほむらとマミが魔女狩りをしてグリーフシードを集めるということを主軸とすることになった
無論さやかには実践が必要であり、その日出現が予測される魔女のレベルと相談してぶつけた方がいいときにはぶつける

まどかはさやかの特訓の付き添い
もちろん安全面を考慮してのことだが、あいつがいればあたしとさやかがヒートアップしてもほどほどで収まるという計算もあった

ちなみに、どうでもいいことだが、マミが衣食住を提供する際の条件として、使い魔も狩るというのが入っているので、そうしている
お人よしにもマミはそういう条件を出すのを忘れていたので、あたしが言い出したんだけど
しかしまあ、それを提案した時のさやかのにやついた顔と言ったら……

484: 2013/11/15(金) 02:12:26.23 ID:hXlPwghg0
……いや、わかってる。もうかなり色々破綻してる
それでも、他人のために魔法を使わないというやり方はあたしの中で結構な部分を占めてるんだ
これを捨てたら、一人になってたから積み上げてきたものが全部吹っ飛んでしまいそうでとても怖いんだよ

……だけどもう逃げてもいられない
あいつらと一緒にいるなら、自分がしてきたことと向き合わないといけないから

ただ、本当に難儀なもので、今時分と向き合ったら多大なグリーフシードを消費しかねない。てか間違いないと思うんだ
それであいつらに迷惑をかけるわけにもいかないから、ワルプルギスを倒した後に、と後回しして自分を保ってる
 
大丈夫。今まで、あんなことがあっても耐えてきたんだ。後、数週間くらい保たせてみせる
……それで、そんなに引き延ばした後に、自分と向き合って、懺悔しても許されるか――それは後の別の問題だ
許す主体は何か、なんてことは知らないけど

485: 2013/11/15(金) 02:14:52.77 ID:hXlPwghg0
そしてただいま河原であたしとさやかがその特訓中

さやか「うー…おかしい!不公平だ!」

杏子「なにが不公平だっての?あたしとさやかの素質は同程度、経験の差が実力差ってことだよ?公平じゃん?」

さやか「武器だよ、武器!槍は剣より強いって相場が決まってんの!」

杏子「へ?そうなの?」

まどか「……さやかちゃん、それ、ゲームの話じゃないの?」

マミ「まあゲームは置いておくにしても――――」

杏子「おー、マミ。もう交代か」

マミ「ええ。―――確かに普通なら、特に初撃に関していえば、リーチの差で槍は剣に強いと言えるかもしれないわね」

さやか「ほら見ろ!」

486: 2013/11/15(金) 02:17:28.00 ID:hXlPwghg0
マミ「普通なら、ね」

さやか「はい?」

マミ「私たちは魔法少女なのよ?ちょっと貸してね」

マミはさやかの剣を一本借り、刃の部分を指で拭くように撫でた。そして、叫ぶ

「トランスフォーマジオーネ!」

瞬間、あたしの多節槍と同様に刃がいくつもの節を作り分断される。節と節をつなぐのは、やはりあたしのと同様に鎖だ
ひとしきり自在にその多節剣を操った後に元に戻し、切っ先を川に向けて再び叫ぶ

「トラジッカ・ボンバ・ディ・アモーレ!」

叫ぶと同時に刃が柄から発射されて、高速で直進したのち爆発した

487: 2013/11/15(金) 02:20:31.76 ID:hXlPwghg0
さやか「ス、スゲー!」

杏子「……まだ技名叫ぶの卒業してなかったわけ?」

マミ「いいじゃない?まだ中学生なんだもの」

さやか「マ、マミさん!今のどうやるの!?」

マミ「柄の、このあたり、歪な魔力を感じる?ここから魔力を注入して、剣をどう変化させたいかイメージするの」

さやか「よーし。えいっ!………あれっ?」

杏子「さやかの場合は魔力の制御からだよ。あんなもん見ていきなりできてたまるか」

杏子「大体歪な魔力もそもそも感じ取れてないでしょ。つまり魔力探知もまだまだってこと」

さやか「先長いなぁ…。やっぱみんなこんなもんなの?」

杏子「大体そんなもんだ。一部例外はいるが」

さやか「どんな人?」

杏子『今痛い技名を連呼したやつとか』

488: 2013/11/15(金) 02:24:17.48 ID:hXlPwghg0
さやか「マジ?やっぱすごい人なんだなぁ……」

杏子『……実際あたしたちのお師匠様はスゲーんだよ』

杏子『そもそもほかの魔法少女の出した武器を使おうなんて発想が無茶なんだ』

杏子『流す魔力の質そのものが違うんから、本来一振りでもしようものならすぐさま消え去るのが普通で』

杏子『あんな一瞬で流すべき魔力の量と質を見破って必要なだけ流すなんて、無茶にもほどがある話さ』

杏子『そんなわけでワルプルギスに負けたとかマジかって話だから』

杏子『……マミには言わないでよ?』

さやか「分かってるって!」

マミ「何の話してるの?」

さやか「それがですねー杏子がマミさんのこと――――」

杏子「コラー!」

489: 2013/11/15(金) 02:27:09.41 ID:hXlPwghg0
それからしばらく経って

マミ「あら、もうお昼?あ、鹿目さんも委員会終わったんだ」

ほむら「ええ。休憩よ」

まどか「お弁当持ってきました!」

ほむら「……巴さん、やけにご機嫌ね」

ほむら「……そこの二人の『修行』も喧嘩に映るわ。特に杏子は冷静さを欠いてる。なにがあったの?」

マミ「ふふふ」

まどか「け、喧嘩はだめだよ!二人とも!」

490: 2013/11/15(金) 02:34:44.80 ID:hXlPwghg0
それであたしたちが落ち着いた後にお昼になった
さやかはいつか頃す

杏子「このおにぎりうまいなー」

さやか「そうだね。まどかが作ったの?」

まどか「うん!」

ほむら「とてもおいしいわ」

まどか「えへへ。ありがとう。……あ」

さやか「ん?……あ…」

杏子「どうしたよ?」

ほむら「……あそこ、歩いている二人、上条恭介と志筑仁美よ」

杏子「……例の二人か…」

さやか「……ほんとだー。あの様子だとまだ告白はまだ見たいだねー。早くしちゃえばいいのに」

さやか「それはそうと、ほむらー、クラスメートをフルネームで呼ぶのやめなって」

ほむら「……あの二人に関しては絶対無理よ。そこまで私は出来てない」

さやか「まったくもー。仕方ないことでしょーが」

杏子「……」

さやか「しっかしもう退院か。早いなー。そういやこのくらいの時期に退院って言ってたっけ」

杏子「……本人に聞いたんだよな?」

さやか「ううん。前にほむらから聞いた」

杏子「……」

491: 2013/11/15(金) 02:37:35.69 ID:hXlPwghg0
さやか「…どこ行こうとしてんの?」

杏子「用事思い出した」

さやか「どんな用事か言ってみなよ」

杏子「……毎日見舞いに来てた女に連絡一つ寄越さないで退院するバカに、どういう了見してるのか聞きに行くだけだよ」

さやか「恭介が忘れちゃうのは仕方ないんだって!バイオリン馬鹿だからさー」

さやか「バイオリン弾けるってなったらそれだけで頭いっぱいになっちゃったんだよ」

杏子「だから、ああして二人で歩いてて仕方ないって?」

さやか「そーそー。それにあたしだってまだ諦めてませんからねー?」

杏子「……諦めてるじゃないか。あたしの魔法なめるなよ?」

さやか「……え゛?……な、なに?魔法でそんなこともわかるわけ!?」

杏子「ばーか。さやかほどわかりやすいやつはいないよ」

まどか「……私もわかるよ」

ほむら「誘導尋問ね」

492: 2013/11/15(金) 02:40:02.26 ID:hXlPwghg0
さやか「……あたしがネガティブだってだけだよ」

杏子「……本当か?」

さやか「うん」

ほむら「さやか、あなたはワルプルギスを倒したら上条恭介に気持ちを伝えるつもりだと言った。嘘じゃないわよね?」

さやか「うん」

杏子「どう?」

まどか「……嘘はついてない…と思う……」

マミ「……佐倉さん、いずれにせよこれは美樹さんたちの問題よ。気持ちはわかるけど、あなたや私が首を突っ込んだりしても悪化するだけ」

マミ「わかるでしょう?」

杏子「……チッ。」

493: 2013/11/15(金) 02:43:13.26 ID:hXlPwghg0
ほむらside

巴さんと杏子が私とまどかに目を向ける
さやかと志筑仁美、その両方の親友であるまどかと、遡行により二人のことを少なからず知っている私にしか対処できないだろうということだ

しかし、さやかはワルプルギスを倒すまで上条恭介に告白するつもりはない
志筑仁美が先んじるリスクを考慮した上で、さやかが出した結論に文句を付けるというのも憚られる
それはまどかも同じなようで、結局さやかに現段階で告白を強制することなどできない

ともすれば、ワルプルギスを倒すまで志筑仁美が告白しないことを祈るばかりだが
彼女が今現在告白していないことはそもそも奇跡のような巡り合わせなのだ

さやかの話では、志筑仁美は病院で上条恭介のテンションに戸惑ったに過ぎず、いつまた告白してもおかしくなさそうなものなのだが
一旦覚悟を決めた後の肩すかしによほど堪えたのだろうか?

494: 2013/11/15(金) 02:47:54.73 ID:hXlPwghg0
いずれにせよ、今の私たちにできることは、この奇跡のような現状を長引かせることだけ

最も「たち」と言っても、まどかはさやかと志筑仁美のどちらかを選ぶことはなかった
思えば当然のことで、まどかにとっては、さやかと志筑仁美、ともに優劣などない親友なのだ

まどかは悩みに悩んで、上条恭介と二人との関係を静観することに決めた
まどかがそう決断した理由は私にもよくわかる

志筑仁美の告白を裏で阻止することは、さやかへの侮辱に他ならない
さやかはすべてを知ったうえで決めた
だから私たち4人がすべきことは、本来さやかを信じ、支えることしかない



しかし、私はまどかの思いを無視して契約した――私があの後辿る運命を知っていれば絶対にまどかは止めただろうから――通りの即物的な人間であり

――――志筑仁美と二人で話し合うことにした



私に色恋沙汰などわからない。ノープランだ

495: 2013/11/15(金) 02:51:20.44 ID:hXlPwghg0
仁美「―――つまり、告白を延期しろと仰っているのですね?」

ほむら「ええ」

仁美「……暁美さん、あなたがさやかさんのことを大切に思っていらっしゃることはよくわかります」

仁美「しかし、これは私たち三人の問題なのです。それがおわかりにならないあなたではないでしょう?」

ほむら「……本来、そうよね」

仁美「……本来、ですか。イレギュラーなケースだと?」

仁美「確かに奇跡が介在して腕が治ったところはイレギュラーとも言えましょうか」

仁美「それが本来の事柄から外れる要因となるのですか?」

ほむら「………ねぇ、あなたが告白することで、さやかが大変なことになるとしたら、どうする?」

仁美「……なにを言いたいんですか?」

仁美「……まさかとは思いますが、さやかさんが自頃するとでも仰りたいんですか?」

ほむら「あなたはどう思う?」

496: 2013/11/15(金) 02:55:36.85 ID:hXlPwghg0
仁美「………随分昔からさやかさんが上条さんをお慕いしていることは知っています」

仁美「仮に私の告白が成功すればとても傷つくでしょう」

仁美「でも、さやかさんにはまどかさんがいる。あなたも、家族だっています」

仁美「ええ。私との関係が修復不可能になるかもしれないくらいです」

仁美「……よほどのことがない限り、とても致命的なことになるとは思えません」

仁美「それに、さやかさんは自分の気持ちに整理をつけているように見受けられました」

仁美「もっとも、その覚悟を自分の告白に回してほしいと思ったからこそ、初めに――――いえ、脱線ですわね」

仁美「とにかく、こう言ってはなんですが、さやかさんのことを馬鹿にしすぎではありませんか?」

仁美「わたくしが怒る筋合いのものではありませんが」

497: 2013/11/15(金) 02:59:39.67 ID:hXlPwghg0
ほむら「自分でもさやかをバカにしてると思ってる」

ほむら「でも、これは、自殺とは少し違う、不可抗力みたいな話なの」

ほむら「あなたが告白すれば、さやかの意志や強さと、その、ほとんど関係なく、大変なことになってしまう……かもしれない」

ほむら「そうはならない、させないってまどかは考えてるけど、私は、万が一がとても怖い」

ほむら「だから、どうか延期してほしい」

仁美「……延期することでいったい何が好転すると仰るのですか?」

仁美「それに、どの程度延期しろと?私が身を引けということなら、いくらなんでもひどすぎる話だと思います」

ほむら「本当に、私が言った日まで延期してくれるだけでいい。それ以上のことを望めるはずがない」

ほむら「その期日まで待ってもらえたら、さやかは告白する」

ほむら「……どうしても解決しないといけない問題があるの。それを解決するまで、さやかは上条恭介のことを考えている余裕がない」

ほむら「さやかはそれで告白する資格がないと考えているけど、私にはそうは思えないの」

498: 2013/11/15(金) 03:02:06.92 ID:hXlPwghg0
仁美「しかしですね、さやかさんがそうやって気持ちに向き合うことを後回しにしてきたからこそ、今の今まで告白がなされなかったんですよ?」

仁美「問題が解決され、気持ちに向き合っても、告白を後回しにするなら結局何も変わっていません」

仁美「待たされる側のことも考えてほしいものです」

ほむら「……そういう日常的な類の問題ではないのよ。万人が、それは後回しも仕方ないと思うような問題なの」

ほむら「……期日になったら、私がさやかの首根っこをつかんででも上条恭介に告白させる」

ほむら「……さやか自身はもう整理をつけてるから、私が出る幕もないかもしれない」

ほむら「いずれにせよ、その期日以降あなたを待たせることにはならないわ」

499: 2013/11/15(金) 03:10:25.62 ID:hXlPwghg0
仁美「……ずいぶん抽象的で要領を得ない話ですわね。あなたらしくもない」

ほむら「……」

仁美「さやかさんが先に告白すれば、仮に失敗しても『不可抗力みたいな話』から逃れられる」

仁美「そして、さやかさんは期日までに、『日常的な類の問題ではない』なにかを解決するまで、告白するつもりはない、と仰りたいんですね?」

ほむら「正確に言えば、逃れられる可能性が上がる、ね。私は逃れられると信じてる」

ほむら「延期さえしてもらえれば、後は私たちでなんとかして見せる」

仁美「……」

仁美「……今の私たちの間にある黙示の取決めは、50-50でフェアーに、それだけです」

仁美「取り決めという言葉を使った通り、おそらくさやかさんも同じように考えているはずです」

仁美「そんな的を射ない話を考慮する余地などありません」

ほむら「……」

500: 2013/11/15(金) 03:16:26.65 ID:hXlPwghg0
仁美「……しかし…いかにもさやかさんが考えそうなことですわね」

仁美「『日常的な類の問題ではない』何かをさやかさんが抱えているとしたら」

ほむら「!」

仁美「……私も、最初に告白するのはさやかさんであってほしいと思っています」

仁美「本当に、その問題は期日までに解決され、かつ、さやかさんが告白しない場合にはたきつけられるんですね?」

ほむら「ええ!必ずそれはかなえてみせるわ!」

仁美「……そう遠い話ではありませんし……私自身告白を今日明日にするつもりは元々ありませんでした」

仁美「本当にさやかさんのためになるというのなら、あなたが仰った期日までは待ちましょう」

仁美「それが最後の猶予です」

ほむら「それで…構わない」

ほむら「感謝するわ。本当に」

仁美「……お分かりでしょうが、このことがさやかさんに知られたら何の意味もありません」

仁美「何せ相手はさやかさんですから。私の告白が成功する以上に傷つくかもしれません」

仁美「こちらは大丈夫ですが、そちらはどうですか?」

ほむら「こちらも問題ないわ」

501: 2013/11/15(金) 03:19:33.21 ID:hXlPwghg0
仁美side


もうこれは間違いない


問題は、日常的な類でない問題は何か、ということ。不可抗力みたいな話、即ち例のリスクとは別の問題らしい

もっと踏み込んで聞くべきだっただろうか……?
だけど、今の私にはもう認識できないじゃないか……
さやかさんが決断し、実行した以上、もはや私にできることなど何もない

リスクに関しては可能性はあったが、こうしてさやかさんとライバルとなった以上、彼女の性格からすれば私の励ましなんて……

もう致命的なことになってしまうかもしれない
どうして、暁美さんが転校してきて、さやかさんが不自然な行動を取ったあの時に気付けなかったのか……

あの時ならば、まだできることがあったはずなのに……
あの時に気付けなくても、時間はあったのに……

502: 2013/11/15(金) 03:21:43.15 ID:hXlPwghg0
ほむらside

志筑仁美が言うように、確かに話の拡散は防ぐべきだが、こちらには報告すべき人がいる

杏子はあの調子なら志筑仁美と上条恭介に何かしかねない
事実を報告する必要がある

杏子が巴さんに隠し通せるとは思えないので、巴さんにも私の口から直接説明する

まどかは、さやかに隠し通せるとは思えないので、断腸の思いで伝えないことにした

510: 2013/11/16(土) 02:05:52.80 ID:ja0nsQ1F0
杏子「それで、今までさやかには焚き付けるようなこ言ってきてなんだけどさ」

杏子「あいつが延期すれば本当にうまくいくもんなの?」

ほむら「さやから告白したことは今までない。もしかするともしかするかもしれないわ」

杏子「それ単にあのヤローが最初にコクった奴と付き合うサイテーヤローってことになるんじゃあ……」

杏子「そんな奴にさやかを――」

マミ「男の子ってそんなこと誰でもあるんじゃないかしら?美樹さんが告白するならそういう可能性込みでするってことじゃない?」

マミ「美樹さんがあれだけの覚悟で契約して告白するんだもの。私たちがとやかく言える話じゃないわ」

杏子「そりゃそうだろうけど…」

511: 2013/11/16(土) 02:08:18.24 ID:ja0nsQ1F0
マミ「それに、二人は幼馴染なんでしょう?そういう相手を異性として見てなかった、なんてよく聞く話じゃない?」

マミ「それに期待しましょう?」

ほむら「なるほど。考えもしなかったわ。さすが巴さんね」

杏子「映画や小説で聞くって枕詞が入るんだろうなあ……」

マミ「何か言った?」

杏子「いや、何も」

マミ「…ふふ」

杏子「なんだよ?」

マミ「いえ、佐倉さんに友達ができてとってもうれしいなって」

512: 2013/11/16(土) 02:09:49.38 ID:ja0nsQ1F0
杏子「はあ!?いやそんなんじゃ……」

杏子……それもあるのかな…。ただ、報われるべきやつは報われてほしいし、氏ぬべきじゃないやつは氏んでほしくないっていうか……」

杏子「なんでこんなこと考えてんだろ……」

杏子「……そのうち自分で気づけるのだから、私からは何も言わない方がいいんだろう」

マミ「ふふ」

杏子「だから何だよ!?」

513: 2013/11/16(土) 02:10:53.36 ID:ja0nsQ1F0



第15話;みんなが考えていることがわからないよ



514: 2013/11/16(土) 02:13:11.59 ID:ja0nsQ1F0
さやかside

最近あたしの戦闘は様になりつつある
魔女と一人で戦っても大概苦戦しないで倒せるようになった

時間停止を使わない自分は既に抜いていると、何故か遠い目をしたほむらから言われたくらい

……あのほむらがほめてくれるなんて大変珍しいことで、とてもうれしいんだけど…

ほむらの時間停止は、連続使用と長時間使用の制限に気をつければGSの消費量少なく隙をほとんど見せずに使える、ほぼノーリスクの技だ
それを使えない状況と言うのが思い浮かばないから、どうしてそういう言い方をしたのかがわからない

………うーん、いわゆるツンデレなのかな。それはそれで可愛げがあるけど

515: 2013/11/16(土) 02:16:43.92 ID:ja0nsQ1F0
遠い目と言えば、最近仁美はよく考え事をして、たまに話しかけても無反応だったりする

告白しに恭介の病室に行ってから、かな。順調すぎる恋に逆に不安を覚える、みたいなのならいいんだけど

実際問題恭介絡みならあたしがしゃしゃり出るのもあれだからなあ…
まあ、ほむらの話聞く限り、悩みも程々にうまくいってるみたいだし大丈夫かな



……あんまり大丈夫だとこっちが大丈夫じゃなくなるんだけど……



……勝手にばかやったんだから、大丈夫にしないとね

516: 2013/11/16(土) 02:17:55.24 ID:ja0nsQ1F0
そんな感じで大体順調に過ごしてきて、今は決戦3日前の平日の昼
ほむらは係の仕事で、私とまどか二人で昼食を屋上でとることになった

場所を提案したのは私
どうしてもまどかに言っておかないといけないことがあったから

525: 2013/11/17(日) 03:05:38.86 ID:5QUz89IY0
マミさん、大体仰っている通りなので自演はされなくてもよろしいかと思います
もちろん杏子の力も大きいですが

それでは投下します

526: 2013/11/17(日) 03:07:16.98 ID:5QUz89IY0
さやか「ねぇ、まどか」

まどか「なに?」

さやか「3日後にさ、あたしたちが氏んだら――――」

まどか「やめて」

さやか「やめられないんだな、これが。氏ぬ可能性がとても高いんだから」

まどか「…」

527: 2013/11/17(日) 03:10:03.76 ID:5QUz89IY0
さやか「あたしたちが氏んでも、そのために契約はしないでほしいんだ」

まどか「……やだ」

さやか「ほむらと約束したでしょ?契約しないって」

まどか「ほむらちゃんとの約束は大事だけど、みんなの命だって大事だもん……」

さやか「ほむらが今までどんな思いで戦ってきたか考えなよ」

まどか「ずるいよ……。さやかちゃんだって……勝手に……契約したじゃない。……なんで私の勝手は許されないの?」

さやか「そうだよ。あたしが勝手に契約したの」

さやか「その勝手にまどかを巻き込んじゃったら、生き返っても、たぶん耐えられない」

さやか「ほむらも杏子も、自分で選んで魔法少女になったんだよ」

さやか「マミさんだって、心底かわいそうだって思うけど、それでも後悔してないって言ってた」

528: 2013/11/17(日) 03:12:05.28 ID:5QUz89IY0
まどか「私だって、さやかちゃんが、みんなが氏んだら耐えられないよ……」

さやか「耐えて」

まどか「……」

さやか「ちっぽけなプライドなんだよ」

さやか「いろんな雑念やら下心が混ざってたにしても、最後に残るのは、最初に湧き出た恭介への想いであってほしい」

さやか「恭介のために結末まで受け入れたんだっていう、さ」

さやか「それで、まどかの犠牲で結末変えられたら、あたしもうどうしていいかわからなくなる」

529: 2013/11/17(日) 03:14:34.77 ID:5QUz89IY0
まどか「わからない……さやかちゃんが、みんなが考えていることがわからないよ……自分の命より大事なものなんてあるの?」

さやか「今まさに自分の魂捨てて他人を救おうと考えてる人が何言ってんのさ」

まどか「……あ」

さやか「まぁ、あいにくあたしたちは受け入れてるからさ、まどかの出る幕はないんだよ」

まどか「……」

まどか「約束……して。みんな、生きるために闘うって」

さやか「……努力はする」

まどか「じゃあ、私も、努力はする」

530: 2013/11/17(日) 03:16:42.80 ID:5QUz89IY0
さやか「…じゃあ、さ、契約しようと思ったら、みんなの顔思い浮かべて」

さやか「特にほむらの顔。それで契約するなら、もう仕方ないかな」

まどか「……さやかちゃんも、約束して」

まどか「いよいよ氏ぬかもしれないってなったら、みんなの顔、ママの顔を思い浮かべて」

まどか「自分の命をまず守って」

531: 2013/11/17(日) 03:19:02.21 ID:5QUz89IY0
結局あたしたちは結果について互いに保障できず、過程のみを約束した

……あたしが、生きるために闘う、という過程さえも努力目標にしようとしたのは
つまり、氏ぬために戦うことになるだろうという漠然とした予測があったからで

その予測は、決戦前日、ほむらが用意したいくつかの戦闘プランの共通性を見つけたとき、確信に変わることになった

540: 2013/11/18(月) 00:33:37.21 ID:0NloqfuY0



第16話:何を勝手に盛り上がっているの?



541: 2013/11/18(月) 00:35:37.43 ID:0NloqfuY0
対ワルプルギス殲滅作戦前日の夜、最終打ち合わせのために4人でほむらの家にお邪魔した
相も変わらず魔法仕掛けのほむホームは奇妙奇天烈に資料を浮かべている
美樹ハウスもこんな感じにできるんだろうか、とも思うけど、お母さんになんていわれるか

現在まどかが買い出し中

ほむら「以上が、私が立てた主な作戦パターンの全てよ。何か意見はある?」

さやか「ある」

ほむら「何かしら?」

さやか「なんで、このプラン、全部あんたがとどめを刺すことになってるの?」

ほむら「たまたまよ。まぁ、私は能力的に特殊だし…それに、やつとの因縁も頭に入ってるかもしれないわね」

さやか「嘘だね」

542: 2013/11/18(月) 00:38:03.42 ID:0NloqfuY0
マミ「美樹さん、今は……」

さやか「どの道キュゥべえから告げられることだよ」

杏子「……そうだな。受け入れてもらわなきゃだな」

ほむら「あなたたち、いったい何の話をしてるの?」

さやか「ねえ、ほむら、あんたワルプルギスをまどかが倒した時は、必ず魔女化してたって言ってたよね?」

ほむら「……言った、かもしれないわね」

さやか「言ったんだよ。それって今まで何回あった?」

ほむら「……2回」

さやか「必ずっていうからには複数回必要だからね。最小数できたか」

ほむら「なにか問題あるかしら?」

543: 2013/11/18(月) 00:40:01.28 ID:0NloqfuY0
さやか「それどっちとも、いわゆる最強の魔法少女?」

ほむら「そうなるわね。まともに勝てたのは、まどかが最高の素質を持っていたときだけだから」

さやか「確か、まどか素質は遡行の度に高くなっていったんだっけ?」

ほむら「……え?…」

QB「それは僕から説明しようかな」

ほむら「インキュベーター……」

……マズ…ほむら自身は気づいてなかった?

544: 2013/11/18(月) 00:42:06.00 ID:0NloqfuY0
QB「まどかの素質は君の素行の回数と比例して強くなっていった――見たところ三人ともそう解釈していたようだよ?」

QB[君がわからなかったわけがない。気づかないようにしていただけだ」

ほむら「……何の話を?」

QB「単なる時間遡行では素質が比例して上昇することの説明はつかない。平行世界を移動しているとするのが妥当だろうね」

ほむら「……は?」

QB「まどかを中心点として君が平行世界移動を繰り返したことで、まどかに因果が集まり素質が上昇したといっているんだよ」

ほむら「……待って…平行世界って…まさか……」

QB「ご想像の通りだよ。今現在も、まどかが氏んで君が捨ててきた世界は存続しているんだ」

ほむら「……そ……んな……」

545: 2013/11/18(月) 00:47:08.44 ID:0NloqfuY0
マミ「暁美さん、気をしっかり持って!最初の時間軸で既に、元々鹿目さんは氏んでたのよ?」

マミ「暁美さんが平行世界を移動していたとしても、それは、今まで鹿目さんの生氏には何の影響もしていないの」

ほむら「……だけど……!」

杏子「……割り切れることじゃないよな。……今の時間軸のまどかのこと考えなよ」

杏子「ほむらが諦めたら、あのまどかは間違いなく氏ぬんだよ?」

杏子「ごまかしてでも、無理してでも戦わないと、さ」

杏子「後悔することがあるなら、全部終わった後でしなよ。……ひょっとしたらあの世でだって、後悔ならできるかもしれない」

ほむら「杏子……」

さやか「それに、さ、案外うまくいったら、今までの時間軸とうまい具合に統合されてハッピーエンド、なんてあるかもじゃん」

QB「確かにないとは言い切れないね。やり直しを実現するのに平行世界を提供するというのは少々遠大だ」

QB「それ以上のことを残していてもおかしくはない」

QB「まあ、契約を交わした僕しか知りようのないことだけどね」

546: 2013/11/18(月) 00:49:20.36 ID:0NloqfuY0
さやか「……ほむら、大丈夫だよね?」

ほむら「……」

ほむら「……情けないわね、まったく……この時間軸ではこんなことばかり」

ほむら「もう大丈夫よ。元々私はまどかを助けるために戦うだけなんだから」

さやか「そっか。それでさ。本題はそこじゃないんだよ」

ほむら「……みんな、さっきから何の話をしてるの?」

さやか「ほむらの話を聞いたうえでの推測を話していい?」

ほむら「……別に、話すだけなら構わないわ」

547: 2013/11/18(月) 00:53:46.11 ID:0NloqfuY0
さやか「まどかの莫大な素質により、キュゥべえからまどかはよく勧誘される。それに私も含まれることもよくある」

ほむら「ええ」

さやか「それで、いくら契約原因を排除してもまどかの前にキュゥべえが表れても意味がないと業を煮やしたほむらは」

さやか「キュゥべえとの接点をなくせばいいと考えてキュゥべえ排除を第一の方針としてきた」

ほむら「それは話したことだったわね」

さやか「だけど、キュゥべえ排除に動くとあたしたちとの関係があまりにうまくいかない」

さやか「そして、キュゥべえとまどかの接点を長期間排除するのが難しい」

さやか「だから、今回はキュゥべえ妨害を諦めてまどかに真っ先に忠告だけすることにした」

ほむら「そうだけど?」

548: 2013/11/18(月) 00:55:52.27 ID:0NloqfuY0
さやか「あたしがいうのもなんだけど、ほむら、頑固でちょっと容量悪いからさ、結構それ思いつくのに時間かかったと思うんだよね。5周とか」

杏子「ほんとにさやかが言うとアレだな」

ほむら「19周」

一同「…!」

ほむら「19周かかって思いついた。笑っちゃうでしょ?」

さやか「……笑わない。笑うわけがない。笑うやつがいたら許さない」

ほむら「……」

さやか「それでさ、まどかがワルプルギスを一撃で倒せる、世界を滅ぼせる魔女になってから何周した?」

ほむら「……」

ほむら「……2周」

QB「それはありえないね」

ほむら「―――ッ」

549: 2013/11/18(月) 00:59:39.92 ID:0NloqfuY0
QB「僕が察するに、鹿目まどかという少女には元々図抜けた素質はなかった」

QB「さやかや杏子と大して変わらなかっただろうね」

QB「これはあくまでまどかの性格、環境、性質を分析した上で、今までの経験則と照らし合わせた推論に過ぎない」

QB「しかし、人類の歴史すべてを俯瞰して得た経験則から導き出したものでもある。そこまで誤差はないだろうね」

QB「そして、そのような素質の少女が平行世界移動によって史上最強の魔法少女、」

QB「僕たちのノルマを一度に達成できるレベルの素質に昇華するのにかかる遡行回数、すなわち世界跳躍の回数は――」


「――4・5回だろうね」


キュゥべえがこっちの味方に、ね。やっぱあたしたちから話された方がまどかも信じやすいか

だけど、あたしたちがいない時にキュゥべえから話されていい方向にいくとは思えない
やっぱりあたしたちから話すしかないよね
マミさんと杏子もそう考えてるんだろうし

550: 2013/11/18(月) 01:04:09.99 ID:0NloqfuY0
さやか「そして、ほむらが多く繰り返した直接の原因が重要になるんだ」

さやか「話を聞く限りだと、ほむらはワルプルギスの力自体はそんなに問題視していないようにみえた」

さやか「いや、それより前に生じる問題が大きくて、後に回さざるを得ないって感じかな」

ほむら「……」

さやか「それは何か……っていうまでもなくまどかの氏、契約だよね」

さやか「で、未契約の状態で氏んじゃうのかって言えば、それはかなり少ないと思うんだよ」

さやか「ほむらとマミさん、それに杏子、あたし、周りに大体一人か二人は魔法少女がいる」

さやか「中々これでは氏なないでしょ?敵対しようが離れようが、みんなまどかに手を出すようなことはしないもん」

さやか「例のイレギュラーだって次の時間軸から何とかしてきたって言ってたし」

さやか「……あ…っと。あたしはちょっと危なっかしいかな?」

さやか「まどかの近くで魔女化しちゃったりとか、まどかといるときに杏子やほむらに喧嘩うっちゃったり?」

さやか「……迷惑じゃすまないかもね、これは」

ほむら「……あなたが直接の原因となってまどかが氏んだことはないわ」

さやか「……ありがとね」

551: 2013/11/18(月) 01:05:47.89 ID:0NloqfuY0
さやか「それで、残る可能性はワルプルギスくらいかな?」

さやか「だけど、仮にそこまでまどかが未契約でたくさん来てるなら、あたしたちとの関係のためにキュゥべえを襲わない、なんて考えるかな?」

さやか「考えないし、考えてたらだめだよね。あと一歩じゃん」

ほむら「……」

さやか「てことはだよ?ほむらが繰り返してる大部分の原因っていうのはつまり」



「まどかが契約しちゃうから」



552: 2013/11/18(月) 01:09:05.30 ID:0NloqfuY0
ほむら「……」

さやか「じゃあ、契約したまどかはどんな運命をたどるのかな?」

さやか「ほむらのループで大部分を占める世界最強のまどかについて考えようか」

さやか「さて、このまどかは魔女・魔法少女との戦闘で氏ぬ、ないし魔女化するか?」

さやか「中々氏にはしないと思うんだよね。何せ最強だもん。問題は魔女化かな」

ほむら「……攻撃するときにね、魔力を使いすぎちゃうのよ。だからすぐに魔女になっちゃうの」

さやか「どう?マミさん、キュゥべえ?」

マミ「どう、と言われても、きちんと指導すればいいんじゃないかしら?」

マミ「鹿目さん、話を聞く限りでは、魔法少女としてのセンスがないわけじゃないんでしょう?むしろいい線言ってるみたいじゃない?」

マミ「魔力量の調節くらいすぐにできるようになりそうだけど」

QB「そうだろうね。ぶっつけ本番でもない限りは大丈夫だし――いや、ぶっつけ本番でも普通はないね」

ほむら「……私って、薄情だから、まどかが契約した時点で何も指導せずにやり過ごして、魔女化の前に繰り返しちゃうの」

さやか「下手で辛い嘘はやめなよ」

ほむら「……」

553: 2013/11/18(月) 01:12:12.10 ID:0NloqfuY0
さやか「じゃあ、精神面、絶望で魔女化するかどうか」

QB「そうそうないだろうね」

QB「三周目、目の前でさやかが魔女化し、マミが杏子を頃し、そのマミをまどかが頃した」

QB「この状況でも魔女化しなかったんだから、およそほかの周で、一か月の間に心が壊れるなんて想像しがたい」

QB「ありえなくはないが、かなりのレアケースだろうね」

マミ「……」

杏子「……

ほむら「……」

さやか「……てなわけで、まどかは大部分の周で魔法少女としてワルプルギスと相対するところまで行く」

さやか「そして、ワルプルギスを倒したまどかはなぜか魔女化する」



「なぜ?ここまでくればさやかちゃんでも解ける」



554: 2013/11/18(月) 01:13:07.68 ID:0NloqfuY0




「ワルプルギスにとどめを刺した魔法少女は、魔女化するようにできてるからだよ」




567: 2013/11/19(火) 01:47:50.13 ID:yIOqF37B0
QB「魔女とは絶望を振りまく存在であり、普段君たちが魔女を倒したときその影響を受けている」

QB「君たちがそれを意識しないのは、もともと魔女を倒す際に魔力を使っているからなんだ」

QB「ワルプルギス級ともなれば受ける絶望も殊更で、それこそ倒す際の魔力消費と合わせれば即魔女化してもおかしくないね」

QB「魔力を使わなければ、といったレベルでもないだろう」

ほむら「その通りよ。まどかは必ずワルプルギスと戦うと魔女化してきた。たぶん誰が倒してもそう」

ほむら「だから私がとどめを刺す。それでいいじゃない」

マミ「納得すると思う?」

568: 2013/11/19(火) 01:50:46.27 ID:yIOqF37B0
ほむら「……私、ね、元々あの夜を越えても詰んでしまうの」

一同「……え?」

ほむら「私の時間停止、遡行は、あの夜を越えたら使えなくなる」

一同「……!」

ほむら「魔女一体もろくに倒せなくなるでしょうね。そもそも武器だって時間停止で盗んできたものだから」

QB「なるほどね。君の素質で時間停止と遡行は大それていると思っていたんだ」

QB「いくら専用武器に攻撃性がないにしても、ね」

QB「使用可能期間が定められているというのなら納得できるよ」

569: 2013/11/19(火) 01:55:30.29 ID:yIOqF37B0
さやか「それでもあたしたちと協力して魔女を倒したりグリーフシードを融通しあえば―――!」

ほむら「新人魔法少女がベテランと組むのとはわけが違う。私には改善できる見込みが全くない」

ほむら「他の魔法少女が出した武器を使う?100年かかるんじゃないかしら」

ほむら「私と協力してグリーフシードを融通しあうなんて、寿命を削る行為よ」

ほむら「融通しあうといえば聞こえはいいけど、私が一方的に貰うだけになる」

ほむら「そんなの絶対にできない」

杏子「……確かに、ワルプルギスを倒した後でほむらと組むことは、あたしたちの命を確実に縮めるね」

杏子「そこの二人はそれでもいいっていうだろうけど、あたしは絶対に反対する」

杏子「あたしとほむら、どっちかを選べって話だ。ましてほむらにその気がないんだからさ」

マミ「佐倉さん……」

さやか「杏子……!」

ほむらは微笑んだ

ほむら「やっぱりあなたならわかってくれるわね。信じてた。ありがとう、杏子」

570: 2013/11/19(火) 01:58:14.98 ID:yIOqF37B0
杏子「だけどさ」

杏子「例えほむらがワルプルギスを越えて、すぐに氏ぬ運命にあるとしても」

杏子「それでも、明日氏んでいいってことにはならないんだよ」

ほむら「……」

杏子「親父が言ってた。どんな奴にも命は平等だって」

ほむら「……訂正する。やっぱりあなたって面倒くさいわ。こうして深く接するまで気づかなかった」

ほむら「あなたたちもよ。みんなおかしいわ!」

ほむら「言ったでしょう?私はみんなを切り捨ててきた。そのことに何の後悔もない」

ほむら「そして、これからも。この時間軸で失敗したら、あなたたちを平気で切り捨てる」

ほむら「そんな人間が明日氏ぬっていうだけじゃない?」

ほむら「何の問題があるっていうの?」

571: 2013/11/19(火) 02:08:45.73 ID:yIOqF37B0
マミ「そうよね……あなたは今回、私たちに情を持ちすぎた。それを切り捨てるって難しいと思う」

マミ「そして、うまい具合にことが運んでしまった。戦力までそろった」

マミ「今後もこういうやり方でやらざるを得ない」

マミ「この状況で切り捨てて繰り返すっていうのは、みんなと敵対するよりも、ある意味きついかもしれない」

マミ「……だけどね、それでもあなたなら耐えられると思う」

マミ「勝手な言い分かもしれないけど、今まで一人で血反吐を吐くほど頑張ってきたあなただから」

マミ「もちろん、今後もこう、うまくいくって保証はないんだけど」

ほむら「……かみ合わないわね。何の話をしているの?ああ、あなたコミュ障だから――」

マミ「暁美さん、簡単に、平気で人を切り捨てられる人間はね」


「そんな風に、人を思って泣かないのよ」


ほむら「―――ッ!」

慌ててグシグシとほむらは涙をぬぐった
結構前から、みんな、自分が黙って氏ぬのを止めてるって、ほむらが気づいたあたりから泣いてたんだけどね
気づいてなかったのか

まったく……今さら悪ぶっても遅いんだっての

572: 2013/11/19(火) 02:11:11.20 ID:yIOqF37B0
さやか「ほむら、もうあたしたち知っちゃったし、決めちゃったからさ」

さやか「止めを刺す人は決めないで行こう?いろんなバリエーションのパターン作ってさ」

さやか「そっちのほうが勝てる確率も上がるでしょ?」

ほむら「……」

ほむら「……」

ほむら「……ワルプルギスを倒した後に、魔女ともう一戦やる力なんて残らない」

ほむら「……誰が倒すかわからないけど、私はそいつのソウルジェムを打ち抜くわ」

杏子「あたしもそのつもりだよ」

さやか「仕方ないもんね」

マミ「……できれば砕かれる側でありたいものね。逃げなんでしょうけど」

ほむら「……もう知らない。勝手になさい」

573: 2013/11/19(火) 02:12:45.32 ID:yIOqF37B0
さやか「まー、なんだかんだで新人魔法少女のさやかちゃんが、ベテラン陣みんな出し抜いて止め刺しちゃうんですよねー」

さやか「痛快でしょ?」

杏子「よちよち歩き卒業したばかりのひよっこが何言ってんだか。あたしがやるのが相場ってもんさ」

ほむら「……」

ほむら「私の能力の右にでる者はいないわ」

マミ「あらみんな、だれが一番強いか忘れちゃったの?」

574: 2013/11/19(火) 02:14:51.73 ID:yIOqF37B0
……うん。ほむらも何とか保ってる
あとはあたし一人氏んでハッピーエンド。ま、最強の魔女相手なら上出来でしょ
みんなそう考えていることには目をつむろう。あとは運次第

そして今は――



「みんな、何を勝手に盛り上がっているの?」



575: 2013/11/19(火) 02:16:09.65 ID:yIOqF37B0
今まで見たことがないほど怒髪天の我らがお姫様をなだめないと



「盗み聞きとは人が悪いなー。いつから聞いてたの?」



「ワルプルギスを倒した魔法少女が魔女化するってあたりから」



597: 2013/11/20(水) 00:18:33.89 ID:248t94SP0



第17話:私たちは、魔法少女だから



598: 2013/11/20(水) 00:21:52.43 ID:248t94SP0
さやか「そっか、全部知られちゃったか」

まどか「……どうして自分の命を諦めちゃうの?」

さやか「だって他に方法がないし」

まどか「あるよ!」

さやか「言ってみなよ」

まどか「私が契約してワルプルギスを倒す。そして氏ぬ。誰かが氏ぬなら、それは私」

まどか「もう誰にも文句は言わせない。絶対に!」

さやか「まどか、あたしたちが倒した後でしくじっても、あたしたちが魔女に殺されるってだけなんだよ」

さやか「何人かが巻き添えになるかもしれなけど、一匹の魔女ができることなんてたかが知れてるし」

さやか「だけど、あんたが契約して戦って、みんながしくじったらさ、それこそ世界が終っちゃうんだよ?」

599: 2013/11/20(水) 00:26:28.31 ID:248t94SP0
まどか「……私はしくじらない!」

言い終えると同時に杏子がまどかの胸倉を掴んで槍をまどかの首筋に突き付けた

さやか「杏子!?」

杏子「ひよっこ未満が調子に乗るな…!ソウルジェムが濁りきる寸前でうまく動けるわけないだろろうが!」

まどか「……」

杏子「あたしらに頼るか?あたしらだってあんたを頃す自信ないんだよ!」

杏子「相手のために相手を頃す、なんてことには途方もない覚悟がいるんだ。例え世界がかかってるとしてもさ」

杏子「経験なんて、あたしは、ないけどね」

杏子「マミ?例の三周目でさえ躊躇ってるよ?そうじゃなきゃ、このほむらはここにいない」

マミ「……」

杏子「確実にできるとしたら――今あたしのソウルジェムに銃で狙いをつけていて、あと1mmでも槍を首に近づけたら迷わず撃つ気でいる奴くらいだよ」

まどか「……!」

600: 2013/11/20(水) 00:29:30.40 ID:248t94SP0
杏子「ほむらは何回もあんたを介錯してきた。その意味わかるか?」

杏子「まどか、あんた、またほむらの十字架を増やす気なの?」

まどか「……」

杏子「わかったみたいだね」

言い終えて杏子はまどかを離して槍を下した。ほむらも銃を下す

過激すぎるよ……せめてテレパスで打ち合わせとかさあ……

まあ、ほむらも信じてたから時間停止を使わなかったんだろうけど
マミさんも無反応だったし
はいはい。杏子が何考えてるか全然わからなかったさやかちゃんが悪いんですよーだ……

601: 2013/11/20(水) 00:32:56.68 ID:248t94SP0
まどか「……」

まどか「ねえ、みんな」

まどか「逃げよう?」

まどか「ワルプルギスって言っても、大きな台風くらいなんでしょ?県外まで逃げれば大丈夫だよ!逃げようよ!」

ほむら「まどか、あなたはとても優しい。だから目の前にいる私たちに固執してしまう」

ほむら「考えて。ワルプルギスは確かに攻撃範囲は台風程度。見滝原全域くらい」

ほむら「だけど、威力は果てしない。見滝原は廃墟になってしまう」

ほむら「人もよ。本当に大勢氏ぬわ。あなたの家族も、友達も、先生も」

まどか「……!」

ほむら「私たちが今から逃がそうにも、限度がある。それに、助かった人の親しい人も氏ぬことになる」

ほむら「あなたは故郷を、この街を失って、本当に耐えられるの?」

ほむら「大切な人がたくさん氏んで、生き残った人も廃墟と氏体の群れの中で嘆き悲しむ光景に、あなたは本当に耐えれれるの?」

まどか「……」

602: 2013/11/20(水) 00:37:05.90 ID:248t94SP0
さやか「ま、あたしたちもそれが嫌で戦うわけだしね」

杏子「あんたらがそれでいいってんなら、あたしとしては一緒に逃げてもいいかなって思ってるんだけどね」

さやか「……ごめんね。巻き込んじゃって」

杏子「……そういうのは無しだよ。あたしが自分で選んだんだから。あんたたちはこの街は命をかけるに値するって思ってるんだろ?」

さやか「うん」

杏子「それにあたしが勝手に付き合うってだけさ」

まどか「……」

マミ「ごめんなさい。鹿目さん。明日、この中の一人は確実に氏んでしまう。もしかするともっと、下手したら全員」

マミ「辛いでしょうね……。ごめんなさい。残していくことになって」

マミ「だけど、私たちだって、みんな辛いのよ」

マミ「特に、私なんか、最初から氏ぬつもりで、つい最近生きる決意をしたから、なおさらね」

マミ「でも仕方ないのよ」



「だって――」



603: 2013/11/20(水) 00:38:01.58 ID:248t94SP0



「―――私たちは、魔法少女だから」



604: 2013/11/20(水) 00:40:36.45 ID:248t94SP0
結局そのあと、まどかを隅において私たちの作戦会議――
――あたしたち全員それぞれがとどめを刺すパターンを作る作業が始まったんだけど

まどかが、あたしたちそれぞれが、とどめを刺して氏ぬために話し合っている光景に耐えられるはずもなく



2分もしないで泣きながら出ていった



605: 2013/11/20(水) 00:44:39.32 ID:248t94SP0
まどかside

みんなに何と言ってほむらちゃんの家を出て行ったか覚えていない
どうやってうちに帰ったか覚えていない
帰った後にどんな挨拶をしたか覚えていない
ママ、パパ、タツヤとなにを話したか覚えていない
なにを食べたか覚えていない
何のテレビを見たか覚えていない
いつ部屋に入ったか覚えていない

なにもかも覚えていなくて

私はベッドで震えていて、窓にはキュゥべえがいた

606: 2013/11/20(水) 00:47:38.53 ID:248t94SP0
QB「ねえ、まどか」

まどか「帰って」

QB「酷いじゃないか。起氏回生のアイディアを持ってきたっていうのに」

まどか「……」

この時私は、ぼんやりと、溺れる者は藁をもつかむってほんとだなと思った

QB「ワルプルギスを消すって願えばいいんだよ!そしたら万事解決さ」

QB「みんなは君の契約にショックを受けるだろうけど、決戦のために用意したグリーフシードと、時間がすべてを解決してくれる」

まどか「…」

まどか「……」

まどか「………」

607: 2013/11/20(水) 00:49:49.92 ID:248t94SP0
まどか「ねえ、キュゥべえ、あなたはかつて別の時間軸で私にこう言った」

QB「僕は覚えてないけどね」



「どんな希望も、それが条理にそぐわないものである限り、必ず何らかの歪みを生み出すことになる」



まどか「この街を焦土にしてしまう、最強の魔女を消すことで生まれる歪みって、どのくらい?」

QB「…」

608: 2013/11/20(水) 00:52:34.52 ID:248t94SP0
まどか「答えられないんだね…!?あなた、わかってるんだね…?」

まどか「その歪みで、とんでもない結果になるってわかってるんだね…!?」

QB「……」

まどか「私の大切な人が」

まどか「もしかしたら、今まさに願いで助けようとしてる、ほむらちゃんたちまで大変なことになるってわかってるんだね…!?」

QB「……」

まどか「……答えてよ!!インキュベーター!」

QB「……君が、あの4人のため、宇宙のために氏ぬ気になったらまた来るよ」

まどか「……二度と来ないで!!」

609: 2013/11/20(水) 00:53:17.40 ID:248t94SP0
そのあと私は、泣き腫らして、寝て、泣き腫らして、また寝てを繰り返して

気づいた時には避難所だった
避難勧告が出ていたことにも気づかなかった

620: 2013/11/21(木) 00:30:14.71 ID:QJat2gq80



第18話:決戦、未来都市見滝原



621: 2013/11/21(木) 00:35:56.23 ID:QJat2gq80
ほむらside

決戦の地に魔法少女が4人
感慨深くはあるけど、やはりさやかは加わってほしくなかった
さらに言えば、ワルプルギスを倒した後のことまで知られては、もう私一人で戦いたいとさえ思う

だけど、私一人で戦って勝てる見込みなんかない
だから、私はこの4人を巻き込むしかない
利用するしかないんだ……

なんでみんなこんな私のことを――

622: 2013/11/21(木) 00:41:40.57 ID:QJat2gq80
さやか「――なーんて考えてるんじゃないでしょうね?」

ほむら「……!?」

さやか「……え!?図星!?ちょっとちょっと!今からそんなネガティブじゃ勝てるもんも勝てないでしょうが!」

さやか「あたしら好きでやってるんだからね?この街がなくなっちゃ、まどかやほむらが氏んじゃ困るからさ」

ほむら「……うるさいわね。見透かしたようなこと言わないでくれるかしら?」

ほむら「……あなたなんかにとどめは刺させないわ!いい気になるんじゃないわよ!美樹さやか!」

さやか「そーそー。ほむらはそうでなくちゃ!」

ほむら「……フン」

やっぱり、この娘には、加わってほしくなかったな……

623: 2013/11/21(木) 00:44:03.17 ID:QJat2gq80
マミ「ねえ、美樹さん、あの後鹿目さんどうだった?」

さやか「電話してみたんだけど、繋がらなくて……」

さやか「多分、充電するのも忘れてるね……」

杏子「今から何か言ってきてもいいんだよ?何ならそのあと帰ってこなくてもいいんだ」

さやか「いいよ」

杏子「これで最後になるかもしれないんだぞ?」

さやか「まー、なんてか、どういう最後だったかってより、どういう風に生きたかってのが大事だと思うんだよね」

さやか「……いや、まどかがどう思うかの方が大事か…」

さやか「……わかんないや」

624: 2013/11/21(木) 00:46:49.50 ID:QJat2gq80
ほむら「……あなたらしい見解ね」

さやか「と、言うと?」

ほむら「あなたっていつも、周りに当たり散らして無様な最期迎えるんだもの」

さやか「こりゃ手厳しい……」

ほむら「だけど、当たられた周りはあなたを放っておかないし、いなくなったら嘆き悲しむ」

ほむら「どういう風に生きたか、を周りの人がちゃんと見てきたからでしょうね」

さやか「……」

杏子「さやかって、褒められると無口になるのな」

さやか「……うっさい」

マミ「……もう話してる時間もなさそうね」

杏子「おいでなすったな。大丈夫なんだな?」

さやか「……うん」

625: 2013/11/21(木) 00:48:49.57 ID:QJat2gq80


ワル「アハハハハハハハハハハハハハ!」



さやか「こりゃすっごい……」



杏子「あれの力がわかるってんなら、とりあえず上出来だね」



マミ「……勝てない相手じゃないわね」



ほむら「…………いくわよ」

626: 2013/11/21(木) 00:50:43.17 ID:QJat2gq80
まどかside

私の命はみんなの命より軽い

そんなこと言ったらみんな烈火のごとく怒るだろうけど
今まさに氏地に赴いているみんなを想像したら、そう考えずにいられない
みんなの命は遥かに重いんだ

……だけど、ほむらちゃんとの約束も重い
昨日は本当に破るつもりだったけど
それでも、あれは、絶対に破っちゃいけない約束だった

だけど、みんなのうち一人は今日確実に氏ぬ
私が何かしないと確実に
だけど、私にできることなんて……もう

……

結局私には、何も――

627: 2013/11/21(木) 00:52:19.09 ID:QJat2gq80
―――――……え?

そんな、あれは

でも、まさか

いや、確かに――



「――仁美ちゃん?」



628: 2013/11/21(木) 00:53:23.74 ID:QJat2gq80
……仁美ちゃんは違うところに避難してる、ってほむらちゃんは言ってた
住んでるところからしてそうなる……はずなのに


「まどかさん、少しお話ししませんか?」


「……いいけど……?」


629: 2013/11/21(木) 00:55:26.09 ID:QJat2gq80
私たちは、避難所出口前の階段の上に移動した
私としてはここまで来ることもないと思ってたんだけど、仁美ちゃんが誰にも聞かれたくないって言うから

仁美「ねえ、まどかさん」

まどか「何?」



「これって――本当にただの台風なんですか?」



「――!?」



630: 2013/11/21(木) 00:56:42.95 ID:QJat2gq80
「さやかさんが暁美さんを転校初日に連れ出したのはなぜですか」

「そのころから、私との付き合いが悪くなったのはなぜですか?」

「そのころから3年の巴先輩と一緒にいることが増えましたよね?」

「私がかかった『集団催眠』、その本当の原因は何ですか?」

「上条君の、現代医学では治らないとされていた怪我が突然治ったのはなぜですか」

「なぜそのころから、あなたと暁美さんは悲しげな顔をするようになったんですか?」

「なぜそのころから、さやかさんは諦観したような顔をするようになったんですか?」

「なぜ暁美さんは、私の告白がさやかさんの氏と結びつくと考えているんですか?」

632: 2013/11/21(木) 00:58:46.52 ID:QJat2gq80
まどか「仁美ちゃん!?いったい何を――!?」

仁美「どうしてあなたは、今、そんなにも絶望しているんですか?」

まどか「!?」

仁美「突然のスーパーセルの出現にかかわらず避難勧告は適切、かつ迅速に出されました」

仁美「このスーパーセルでおそらく氏者は出ませんよ?出たとしても」


「片手で足りる数でしょう」


仁美「本当にスーパーセルだと言うのなら」

633: 2013/11/21(木) 01:00:12.77 ID:QJat2gq80



「違う……!」




そう、あの4人の命は片手で足りる



「命は数えていいものじゃない!」



634: 2013/11/21(木) 01:03:41.49 ID:QJat2gq80
仁美「ええ。そうです。あなたはそういう考え方をするでしょうね」

仁美「例え氏者数が1人に収まったとしてもひどく心を痛めるでしょう。意地悪言ってごめんなさい」

まどか「だから一人でも――!」

仁美「でも、あなたの顔は、確実に氏者が出る、それも、自分の知っている人――友人が氏ぬと言っています」

まどか「……」

仁美「いくらまどかさんでも、いえまどかさんだからこそ、私に怒るならば友人が氏ぬ以外にありえないでしょう」

まどか「……」

仁美「……」

635: 2013/11/21(木) 01:06:17.56 ID:QJat2gq80
仁美「ごめんなさい。溜まってたぶんが一気にはき出たみたいです」

まどか「ううん。私も、ここ最近仁美ちゃんをおざなりにしてきたかなって」

まどか「ごめんね」

仁美「いえ。あなたとさやかさんはできる限りで私に話しかけてくださいました」

仁美「私はそれが嬉しかった」

仁美「さやかさんは立場上、限度がかなり厳しかったですけどね」

まどか「……」

仁美「あの個別の質問すべてにこたえていただいても時間を無駄にするだけですわね」

仁美「次の質問にだけ答えていただけますか?」

まどか「うん。私も仁美ちゃんに聞きたいことがあるの」

仁美「では――」

まどか「じゃあ――」

636: 2013/11/21(木) 01:07:21.67 ID:QJat2gq80




「さやかさんは、どこまでわかった上で契約なさったんですか」




「仁美ちゃんはどこまで知っているの?」




637: 2013/11/21(木) 01:09:03.32 ID:QJat2gq80
これにて投下終了です。第18話完です

以降ワルプルギス戦終了までタイトルはエヴァ・ヱヴァの引用・パロディーで行きたいと思います

647: 2013/11/22(金) 00:27:35.30 ID:l0T32Y+B0


第19話



仁美、心の向こうに



Love is destructive.




648: 2013/11/22(金) 00:31:04.92 ID:l0T32Y+B0
ほむらside

65%はうまくいっているといえるだろうか。しかし、すこぶる微妙だ

恐らくはここが勝敗分岐ライン。あいつに何度も敗北して得た経験がそう告げている
ここで大胆な手を打たないとジリ貧となってやがて詰む

しかし――現状は芳しくない

649: 2013/11/22(金) 00:32:46.19 ID:l0T32Y+B0
やつの攻撃は激しさを極めており、私たちは、私とさやか、巴さんと杏子の二つに分断されている
倒壊した建物を盾に攻撃を行うのがやっとという情勢だ

セッティングした近代兵器の類はもうあらかた消費した
この状況で打てる大胆な手を、私は持ち合わせていない

巴さん側とテレパシーで打ち合わせて作戦を立て直せばあるいはといった状況
だが今はテレパシーを使うことができない
やつの妨害電波的な魔法で著しくテレパスが阻害されているからだ

この状況では、さやかと組むしかない
しかし、現在時間停止は例の制限に引っかかっている状況で、すぐには使えない

さやかと私の二人で今打てる気なんて―――

だけど、何か手を打たないと、このままじゃ、また……また……――

650: 2013/11/22(金) 00:35:25.02 ID:l0T32Y+B0
この時私は気づくべきだったんだ

私の隣にいるさやかという少女は、思い込みが激しくて、優しくて、勘がいい

今まで、思い込みの激しさに随分手を焼かされてきた
今周、勘の良さと優しさに何度も助けられてきた

しかし、それは、今後も助けられるということを、必ずしも意味しないということに、気づくべきだった

651: 2013/11/22(金) 00:36:47.87 ID:l0T32Y+B0
……いや、私は確かに今回も助けられた

だけど、こんな助けなんて、望んでなかった……



「ごめん、ほむら」



「え?」



652: 2013/11/22(金) 00:37:26.44 ID:l0T32Y+B0



「犠牲は二人になる」



653: 2013/11/22(金) 00:38:08.58 ID:l0T32Y+B0



言うや否やさやかはワルプルギスの夜に向かって駆け出して行った。一直線に



「さやか……?」



654: 2013/11/22(金) 00:39:16.56 ID:l0T32Y+B0




「さやかああああああああああああああああああああああああ!!!!!!??????」




655: 2013/11/22(金) 00:40:47.35 ID:l0T32Y+B0
仁美side

ずいぶん昔の話になる
さやかさん、まどかさんと出会った直後の話だ

私には、友達がいなくて、それを名家志筑家の娘ということで生まれる畏怖と習い事に時間を取られるせいにしていた

656: 2013/11/22(金) 00:45:07.92 ID:l0T32Y+B0
クラス替えがあって、さやかさんは例によって一人でいる私を放っておくはずがなく
それには当然まどかさんも伴われた

初めて、それも二人もできたと友達が思った
それで、うれしさのあまり、私はうちに二人をお招きした

ところが、さやかさんが、私が席をはずしている間に何かをしでかしたみたいで

戻るとさやかさんは、あの歳で土下座で父に謝罪していて
まどかさんも巻き込まれて土下座していた

私は怖くて何が起こったか聞けず、また、だれも私に説明しなかった

(当時は、さやかさんが主犯、まどかさんは止めたとわからなかったが、今はわかる)

(別に聞いたわけではないがその後の付き合いから明らかだ)

二人が帰った後、父に、友達は選べと通告されて
また一人ぼっちだと落ち込んだ、そんな昔の話

657: 2013/11/22(金) 00:46:14.45 ID:l0T32Y+B0
もう何もかも投げ出してやろうと思った、そんな時

QB「悩み事を抱えているようだね」

仁美「……何?」

QB「僕と契約して、魔法少女になってほしいんだ!」

仁美「魔法少女?」

658: 2013/11/22(金) 00:47:31.35 ID:l0T32Y+B0
QB「僕と契約することで、魔法少女になれば、願い事を一つなんでも叶えてあげられるんだ」

仁美「契約……」

QB「その代わり、魔女と戦う運命を背負うことになる」

仁美「……」

QB「君がまさに今すべてを投げ出そうとしていたよね?悪い話じゃないと思うんだ」

仁美「……契約は、すべての条項を理解したうえで結ぶようにと父に厳命されてますの」

QB「……いいお父さんだね」

659: 2013/11/22(金) 00:49:25.51 ID:l0T32Y+B0
仁美「魔女とは、いったい何なんですの?」

QB「絶望をまき散らす化け物だよ」

仁美「抽象的ですわね」

QB「でも、言葉でこれ以上の説明は難しいんだ」

仁美「実物を見せていただけますか?」

QB「それはあまりに危険すぎるよ」

仁美「構いません。魔女とは何かを知るまで、とても契約など無理です」

QB「……命の保証はないからね?危機に瀕したら契約するしかないよ?」

仁美「なら、お断りします」

QB「………なんだって?」

仁美「話はこれで終わりだといってるんです」

660: 2013/11/22(金) 00:51:08.44 ID:l0T32Y+B0
QB「……仕方ない。君の頭にイメージ映像を流し込もう」

仁美「それができるなら、初めからそう仰ってくださいな」

QB「……」

仁美「それで、魔女というのには種類があるんですか?」

QB「あるよ。それこそ無数に」

仁美「500パターン」

QB「!?」

仁美「500パターンの、魔女対魔法少女を見せてください」

QB「……わかったよ」

仁美「半分は魔法少女が敗北した映像でお願いします」

QB「……」

仁美「敗北というのは、氏、ということですよ?」

QB「」

661: 2013/11/22(金) 00:52:50.19 ID:l0T32Y+B0
鑑賞後

仁美「すごい過酷な戦いなんですね」

QB「……奇跡の対価だからね」

QB(魔女化の映像はカットしてきたが……。大丈夫。魔女のおぞましい姿・過酷な戦いを見ても願望が消えることなどない!)

仁美「ねえ、キュゥべえさん」

QB「何かな?」

仁美「氏ぬ映像のいくつか、3分の1、でしょうか?致命傷となる攻撃を受けた時、宝石みたいなものが砕けていたと思うんです」

QB「……そういうこともあるだろうね」

仁美「残りの3分の2は意図的に隠される形になっていました。あれは何なんですか?」

QB「……ソウルジェム。魔法少女の力の源さ」

仁美「まさか、文字通りの魂ではありませんよね?」

662: 2013/11/22(金) 00:55:28.99 ID:l0T32Y+B0
QB「うん、魔法少女としての魂さ。これが濁り切ったり、砕けると魔法を行使できなくなる」

QB(濁り切った場合は、魔法の前に。自由に、って枕詞がつくけどね)

仁美「濁る原因は?」

QB「魔力の消費と絶望だよ。ちなみに回復する方法は――」

仁美「そんなことよるも、です。砕けたら命が終わる、氏ぬという意味でも、魂でしょう?」

仁美「あの意図的な編集はそうだとしか思えません」

QB(なんだこの子)

QB「……そうだね。その通りだよ。魂なんだ」

QB「でもこれには利点もあって、いや利点しかない。というのは――」

仁美「大方予想はつきますわ」

仁美「要はソウルジェムを本体とすることで体を代替可能にする、いくら体が傷ついても問題なし、ということですわね?」

663: 2013/11/22(金) 00:57:22.40 ID:l0T32Y+B0
QB「……その通りだよ!君みたいな合理主義なリアリストにはぴったりな話じゃないかな?」

仁美「ところで、なぜあなたは、あの化け物を魔女と呼称するんですか?」

QB「……魔法少女が魔女を倒す。自然な話だと思うよ?」

仁美「私はそうは思いません」

仁美「単に魔法少女の相手なら、魔なるものとして、単に魔物、悪魔、魔獣と呼べばいいんじゃないかと思うんです」

QB「……君はなかなかユニークな発想をしているね」

仁美「私の方が一般的な感覚をしていると思います」

仁美「あなたは人間について学ぶべきです」

664: 2013/11/22(金) 00:59:11.25 ID:l0T32Y+B0
仁美「私の考えを言いましょうか」

仁美「魔法少女という存在があって、対比してとある化け物を魔女と呼ぶ場合、魔法少女と魔女は対になる存在ではないかと考えます」

仁美「少女は成長して女になるわけですからね」

QB「しかし考えても見てほしい、あれはなんか女っぽいような感じがしなかったかい?」

仁美「そうですわね。ああ、あれは魔女だ、と思うに足りる容姿ではありませんでしたが」

仁美「ところでそのソウルジェム、砕けたら氏ぬのは明らかですが、濁りきっても魔法が使えなくなるということでしたわね」

QB「うん。そうなんだ。魔法が使えなくなる」

仁美「自由に使えなくなるという意味で解釈してよろしいですか?」

QB「……それは君次第かな」

665: 2013/11/22(金) 01:00:52.94 ID:l0T32Y+B0
仁美「ほぼ肯定ですわね」

仁美「自由に使えなくなるとは、すなわち自由意志がなくなるということではないですか?」

QB「……僕にはわからない」

仁美「不毛ですわ。もう単刀直入に聞きましょう」

仁美魔法少女のなれの果てが魔女である。違いますか?」

QB「……君みたいな娘はなかなか見ないね」

仁美「肯定ですか……明らかに度が過ぎた対価だと思います。契約は、今はお断りしますわ」

666: 2013/11/22(金) 01:02:08.69 ID:l0T32Y+B0
QB「……言っておくけど、素質はいつか消滅するものだ。特に君の素質の消滅は早い」

QB「一か月もすればなくなるだろう。気が変わったらいつでも――――」

仁美「一か月ですか。それはいいですね」

QB「……は?」

仁美「一か月は何かしでかしても保険があるということです」

仁美「なんだか視界が開けた気分ですわ」

667: 2013/11/22(金) 01:02:58.79 ID:l0T32Y+B0
そして私は父に

「志筑の娘としてふさわしくなるべくいかなる研鑽も積みます」

「もう一切泣き言は吐きません」

「けれど、私の友人関係に口は出させません」

と通告した

私が父に逆らったのは初めてで、父は怒りと喜びが入り混じった表情をしたが、最終的に飲んでくれた

668: 2013/11/22(金) 01:03:27.21 ID:l0T32Y+B0
そういうわけで、私はあの時から習い事を倍に増やされて

二人との関係は友達から親友になって今も続いている

669: 2013/11/22(金) 01:05:17.08 ID:l0T32Y+B0
まあ、父は寡黙で、さやかさんとの関係をどういう理由で切れと言ったかはいまだに話してくれないが
理解できなくもないと、今は思う

さやかさんの無鉄砲さにはいつも手を焼かされた
よく、周りの大人からも「忠告」されたものだ

でも、そんなことは本当に私にとってはどうでもよかったんだから仕方ない

なんで無鉄砲な彼女に振り回されても構わず一緒にいるか?
楽しかったからに決まってるじゃない!

さやかさんが突っ走り、まどかさんが止めて、私が考える
中々いいトリオだったんじゃないかと思う

670: 2013/11/22(金) 01:06:38.57 ID:l0T32Y+B0
ところで父の厳命は、先に言った通り一理はあると思っていたのでそのままフレーズは頭に残っていて
さやかさんが大暴れして限度を踏み越えて、まどかさんとともに孤立したときに引用させてもらった

「ねえ、志筑さん、なんであの二人と付き合ってるわけ?このままじゃ志筑さんもあの中に入っちゃうよ?」

「アハハ」

「ごめんあそばせ。友人は選ぶようにと、父から固く厳命されてますの」

「……どういう意味かな?」

「そのままの意味ですわ」

671: 2013/11/22(金) 01:08:30.57 ID:l0T32Y+B0
さやかさんがただ暴れて孤立したのなら、頭を冷やさせるために放っておいたかもしれない
まどかさんのためだったってわかっていたから――

もちろん対象に私も入ったことは言うまでもないが、さして気に留めるようなことではなかった
さやかさん、まどかさんと一緒だったから

永遠にあの状態も続くはずもなかったから
友情は永遠のものだと思っていたから

672: 2013/11/22(金) 01:09:20.76 ID:l0T32Y+B0




――――私の中にあった、上条君に対する思いを自覚するまでは




673: 2013/11/22(金) 01:15:19.35 ID:l0T32Y+B0
これにて投下終了です。まだ第19話途中です。仁美の独白もまだ続きます

というわけで、>>501の

>だけど、今の私にはもう認識できないじゃないか……

は、今の私には(QBと魔女を)もう認識できないじゃないか…、でした

698: 2013/11/23(土) 00:44:44.08 ID:jHUuazng0
上条君に告白して、もし成功したらどうなるか

さやかさんとの関係を維持できるか

わからない

思い切り憎むのも、涙をのんで、流して祝福するのもさやかさんだと思う

わからないんだから、維持できる、なんて虫のいいことを考えるべきではない

699: 2013/11/23(土) 00:46:40.99 ID:jHUuazng0
まどかさんはどうか

さやかさんと上条君の仲は言わば公然の秘密だった

私がまどかさんの立場ならどうだろう
今の関係を破壊してまで、そんなクラスメイト公認だったさやかさんを押しのけて告白することに怒りを覚えるんじゃないだろうか
まどかさんはさやかさんと上条君がうまくいけばいいと考えていたから

でも、まどかさんは私じゃない

まどかさんなら、私とさやかさんの間でただ悩み続けるんじゃないか
そして、私はそんな彼女を見たくはない
さやかさんの方に行ってひたすら慰めてほしい
その方がお互いのためだ

700: 2013/11/23(土) 00:47:59.66 ID:jHUuazng0


告白したら、成功したら二人ともう友達でいられないかもしれない
不安を感じ始めれば、もう、そうだとしか思えなくなる

だから告白はやめた

……はずだった


701: 2013/11/23(土) 00:49:58.59 ID:jHUuazng0


恋心は私のなかで膨れ上がり続け
宣戦布告という形で爆発した

最大限の義理を通した
だけど、それは、上条君とさやさんを引き裂こうというのに、二人との関係を維持したいという卑怯で偽善な考え方が発露したものだった


702: 2013/11/23(土) 00:51:19.98 ID:jHUuazng0
そして告白しに行って
上条君の指がさやかさんの祈りで治ったことに気づいて



激しく後悔した



703: 2013/11/23(土) 00:54:16.11 ID:jHUuazng0
結局そのあと告白なんてできるはずもなかった

だって、さやかさんが絶望したら、魔女になってしまうから

暁美さんには意地悪を言ってしまった
理屈では分かっていても、さやかさんのために告白を我慢しろ、と言われたら、ね

さやかさんには素晴らしい友人がまたできて
それが暁美さんで
私はさやかさんから離れることになると思っていたから

私が招いたことなのに、嫉妬してしまったんだ……

704: 2013/11/23(土) 01:00:06.89 ID:jHUuazng0
そして、今日、スーパーセルを出現の一報を聞き、、『日常的な類の問題ではない』なにか、とはこれだと確信して
超強力な魔女なんだと予想し

暁美さんとさやかさんがしている指輪に契約の証だろうと当たりをつけて
まどかさんはしていないから未契約なんだろうと考え

避難所に来るはずだと思って、ここに来た

もし、まどかさんが戦いに参じないなら、それはみんなとの約束からだろう
だから、私は口を出すべきではない
ただ気になって、いてもたってもいられなくて、来ただけだった

だけど、私は、絶望に打ちひしがれている彼女をみて、一つの決意をした



――最低な決意を



705: 2013/11/23(土) 01:02:57.49 ID:jHUuazng0



第20話



命の選択を



Quickening



706: 2013/11/23(土) 01:04:41.57 ID:jHUuazng0
ほむらside

結果として、さやかは予想以上に善戦し、現状は打破できた
奴も、もう余裕がない。後5・6押しといったところ

だけど…

マミ「もう駄目ね、これは……」

杏子「……ソウルジェムの限界ってやつだな」

杏子「初めて見るけど……もう浄化とか治療って問題じゃ……」

707: 2013/11/23(土) 01:09:18.63 ID:jHUuazng0
私たちは、巴さんの爆撃で隙を作り、さやかを引きずって陰に退避して治療を施した
……これと同じ状況を、私は見たことがある。ソウルジェムにひび割れが目立ち、もう浄化では濁りが取れない
当然に意識はない


……魔女になるのも時間の問題だろう


そして、今魔女が新たに現れたら、さやかの奮闘が無駄になってしまう
……さやかがそんなことを望むはずがない

だから、引き金を引く。それだけなのに

……涙で視界は悪く、引き金にかけた指は鉄のように固くて――

頭の中には、走馬灯のように、さやかの、よりにもよって1周、2周目、今周の映像ばかり流れて――

708: 2013/11/23(土) 01:14:46.71 ID:jHUuazng0
私はこの周回、みんなと接して弱くなった
今、さやかを頃すことができない

怖いんだ。さやかが氏んでこの時間軸で固定してしまうことが
もう、まどかのために犠牲を許容できなくなっていた

だけど、これではまどかを救えない

できるできないじゃない。やらなきゃいけない
だから、何としても撃ち抜かなきゃいけない
そのことで頭が一杯だった

多分あと10秒あれば撃てたと思う
だけどそれは、あまりに致命的な隙だった

戦闘面においてもその弱さは今、いかんなく発揮されようとしていたから

以前の私なら、杏子と巴さんが目配せして何かを決意したことに気付けたはずだ

709: 2013/11/23(土) 01:15:55.81 ID:jHUuazng0



その時の私にとっては唐突に、リボンと槍が二人から放たれた



「――え!?」



そのまま私はなすすべもなく拘束されて――



720: 2013/11/24(日) 00:56:24.45 ID:75JDjG4w0
まどか「そう、だったんだ」

仁美「さやかさんは、すべてを知っていたんですね……」


仁美「私が……私が、あなたたちが何か隠していると思ったときに、もっと踏み込むべきだったんですね……」

仁美「……自分が選ばれた素質を持った特別な人間なんだ、なんてくだらない選民思想に取り付かれていたばっかりに……」

まどか「ううん。私たちも同じだよ。クラスメイトに相談できる人がいる、なんて思いもしなかったんだから」

まどか「素質はいつか消えるもの……か。考えてみればあり得る話なのに」

721: 2013/11/24(日) 00:58:51.71 ID:75JDjG4w0
仁美「ねえ、まどかさん。これから酷く無責任なことを言いますね?」

まどか「?」

仁美「……あなたは、この事態において、自分にできることが何もないと考えていますね?」

まどか「……うん」

仁美「それは、さやかさんと契約しないと約束したから」

まどか「……うん(ほむらちゃんとの約束だけど、さやかちゃんとも約束してるようなもんだね)」

仁美「あなたは今とても絶望しています。このままでは、大切な人が氏ぬと思ってるんですね?」

まどか「……」

仁美「そのことに責任を感じている」

まどか「……そう、だね」

仁美「素質自体は、あなたにもあるということですね?だから、本当は何かできなきゃおかしいのに、と思っていると」

まどか「……うん」

722: 2013/11/24(日) 01:01:13.76 ID:75JDjG4w0
仁美「……あなたはさやかさんみたいになりたいと思っていた」

まどか「……分かってたんだ」

仁美「さやかさんなら、こんな時どうするでしょうね?」

……!

仁美「私にこの事態においてできることなどありません」

仁美「まどかさんにしても、いつもならそうです」

仁美「私とまどかさんにできない以上、さやかさんがどうにかするしかない」

仁美「でも、今はさやかさんは奮戦なさっていて、まどかさんは、それでもだめだと思っています」

仁美「だから」

723: 2013/11/24(日) 01:02:25.92 ID:75JDjG4w0
……そうだ…
さやかちゃんんなら――――

まどか「―――こんなところで迷ってなんかない……!」

まどか「約束なんか守るわけがない……!!」

まどか「なにもできないからって、立ち止まってるわけがない……!!」

行けば私は氏ぬかもしれない
……だから何だというんだ!
このままだと、だれか氏ぬんだ!

まどか「仁美ちゃん、ありがとう!」

724: 2013/11/24(日) 01:03:13.33 ID:75JDjG4w0
さやかちゃんみたいに、厚かましく、おせっかいに、傲慢に――
なにができるかわからないけど
みんなを守って見せる

確かにあの時そう決意した

725: 2013/11/24(日) 01:04:08.01 ID:75JDjG4w0
あまりに絶望的な状況に、過去も未来も見えなくなっていた
だけど、だからこそ
かつての時間軸のママの言葉


「本当に他にどうしようもないほどどん詰まりになったら、いっそ、思い切って間違えちゃうのも手なんだよ」


ほむらちゃんからの伝達が頭に響く

あの時はうまく働かなかったアドバイスだけど
今は本当にどん詰まりだから
今こそ聞くべき言葉なんだ……!

726: 2013/11/24(日) 01:06:29.38 ID:75JDjG4w0
まどか「ママとパパに、お願い!」

仁美「……必ず帰ってくるなら、どういう言い訳でも通して見せます」

まどか「約束する!」

私が行って何ができるか――――
走りながら考えろ!
たとえ思いつかなくても
その場に行けば閃くかもしれない

まどか「キュゥべえ!案内して!」

QB「お安い御用さ」

走りながら湧き上がってきた高揚は
単なる胸の高鳴りではなく――――

明らかに未知の、だけど私は、私だからこそ、よく知っている――――

727: 2013/11/24(日) 01:06:58.87 ID:75JDjG4w0
仁美side

無責任な約束だったな

本当にさやかさんみたい

728: 2013/11/24(日) 01:08:14.21 ID:75JDjG4w0
だけどそれは私も同じ
この時私は、酷く無責任な考え方をして、彼女を送り出した

さやかさんが氏にかけていて、まどかさんが助けられるなら、助ければいいじゃないかと
契約しないと約束したんだろうけど、さやかさんは同じ立場なら約束なんて無視するだろう
なら、あなたが無視してもしょうがないじゃないかと
絶望している彼女の背中を押したつもりだった

約束なんて忘れてしまえ、命のほうが大事だ
本当にさやかさんのために魂を捧げるつもりがあるのなら、捧げてしまえ
彼女の気持ちは助けた後で考えろ、と

729: 2013/11/24(日) 01:09:08.33 ID:75JDjG4w0
私はこの時、まどかさんの莫大な素質を知らず、まどかさんが現段階でも契約するつもりがないことを知らなかった
彼女はただ、さやかさんは、すべてを知っていた、と回答したに過ぎなかった



だから、私は、彼女と暁美さんとの約束の重さを知らなかった



730: 2013/11/24(日) 01:13:53.77 ID:75JDjG4w0
結局彼女は間違ったっていいという言葉を、違う形で聞きたかったに過ぎなかったのかもしれない
それを伝える人は、誰でも、何も知らない人でも良かったんだろう

私も私で、ただ、彼女が契約しても、今度は私も支える立場に立とう、という、漠然とした思いだけをもって
彼女を送り出した



全てを知っていたら、私はなんと彼女に言っていたか

考えても仕方ないことだと思う
結局、その時に知っている情報から判断するしかないのだから

743: 2013/11/25(月) 02:19:39.03 ID:XoTO3W420
杏子side

ほむら「―――――!!!!!!??????」

ほむら「―――――私はまだ戦えるわ!!」

杏子「わかってるよ。あんたは自分で思ってるより強い」

杏子「さやかを頃すことだってできるし、そのあと戦うことだってできるさ」

ほむら「じゃあ、なぜ!?」

マミ「ねえ、暁美さん、あれ、あとどれくらいで倒せると思う?」

ほむら「……5・6押し」

杏子「……ほむらが弱いとしたら、そこだ。さやかの奮闘を過大評価してる」

ほむら「……」

マミ「気持ちはわかるわ。美樹さんはよくやった。だけど、まだ足りないのよ」

ほむら「……それが、私を縛り上げてることにどう結び付くの?」

744: 2013/11/25(月) 02:23:00.51 ID:XoTO3W420
杏子「二人」

ほむら「!」

杏子「あと二人犠牲が出る」

杏子「マミの自爆で大ダメージ、そして、あたしのとどめの一撃で終わり。それも自爆で済ますべきだろうな」

マミ「困ったことに蓄積ダメージが増すと力が増す仕様だから、ここまで削った以上短期決戦で挑まないといけない」

マミ「これ以上長引けば、避難所もどうなるかわからないってこともある」

杏子「それに、後のこと考えればさやかの体もこれ以上傷つかずに残ったほうがいいに決まってるしさ」

745: 2013/11/25(月) 02:24:32.22 ID:XoTO3W420
ほむら「……やめて」

ほむら「―――卑怯よ!」

ほむら「打ち合わせでは、流れを見て誰がとどめをさしてもいいってことになった!」

ほむら「出し抜くことをみんな目指してたけど、こんな形で拘束するなんてアンフェアだわ!」

ほむら「私にやらせてよ!」

杏子「なんてかさ、氏ぬべきじゃない人間は氏ぬべきじゃないと思うんだよ」

ほむら「あなたたちは氏んでいいっていうの!?そんなわけないじゃない!!」

杏子「いやさ、あんたには家族がいるだろ?」

ほむら「……!?」

746: 2013/11/25(月) 02:27:33.75 ID:XoTO3W420
杏子「それ言い出すと、マミは氏んでいいってことになっちゃうからさ、言い出せなかったんだよ」

マミ「同じく、ね」

杏子「たださ、こうして、さやかが限界になって、あと二人氏ななきゃいけないってなったらさ、もう四の五の言ってられないから」

杏子「犠牲はあたし一人でって欲張ったのがいけないな。さやかには申し訳立たないや……」

マミ「データをみて、こうなるんじゃないか、とは漠然と予想してたんだけどね」

マミ「この状況に陥るまで受け入れられなかった。本当に失態よ」

ほむら「家族がいないからって氏んでいいってことにならないわ……」

マミ「それはそうだけど、やっぱりね、私たちからしたら、あなたは氏ぬべきじゃないわ」

杏子「それにさ、あれ倒したら終わりってわけでもないんだよ?」

ほむら「……?」

747: 2013/11/25(月) 02:29:13.83 ID:XoTO3W420
杏子「まどかだよ。あいつに契約されたら全部おじゃんじゃないか。」

ほむら「……!?」

マミ「さすがに美樹さんを含めて3人の犠牲なんて、鹿目さんも覚悟してるか微妙だと思うのよ」

杏子「それで、まどかが契約に走るとしたら、止められるのはほむらしかいないよ」

杏子「自分の胸に問いかけてみな。あたしらのうちどっちかに任せて氏ねるか?」

ほむら「……だけど―――!」

杏子「時間もそろそろあれだし、まあ、納得してくれなくてもいいよ」

マミ「浄化はしておくわ。どうか耐えて。暁美さんが魔女になったらそれこそ全部終わりだから」

ほむら「――――ッ」

748: 2013/11/25(月) 02:30:43.01 ID:XoTO3W420



「私はもう行くわ。美樹さんは―――」



「あたしが殺る。ただ、やっぱり、それなりに時間かかりそうだからさ、マミは始めててくれ」



「わかった」



756: 2013/11/26(火) 01:15:45.60 ID:N36x0FxH0
>>754
あなたの見せ場はもうちょっと先ですね

投下します 話は進みません

757: 2013/11/26(火) 01:16:36.06 ID:N36x0FxH0



―――これは一体どういうことだろうな



758: 2013/11/26(火) 01:18:02.64 ID:N36x0FxH0
自分に気があるわけでもない片思いの相手に命を捧げた馬鹿がいる

時間遡行者に自分の運命を教えてもらったってのに
その運命から逃げもせず、逆に向かっていった

その姿、あり方は、あたしがかつて目指した正義の魔法少女そのものだった

そいつは自分の力をよく理解していて
戦況打破、ただそれだけのために命を捨てて見せた

759: 2013/11/26(火) 01:19:13.31 ID:N36x0FxH0
事故で自分一人が、願いで生き残ったことに罪悪感なんか覚えやがった馬鹿がいる

その償いのために今まで一人で街を守るために戦い続け
教えを乞うやつには自分が持つすべてのスキルを伝授し(高度過ぎるのは当然こっちが覚えられないが)
恩知らずの不肖の弟子にも許しを与えた

そいつは孤独の戦いの果てに仲間を見つけ―――
間もなく氏ぬことになった


最後まで街を守りながら


760: 2013/11/26(火) 01:20:31.23 ID:N36x0FxH0
たった一人の友達のために、すべてを捨てた馬鹿がいる

一人永遠の迷路であがき続けたそいつは
自分は最後に氏ぬしかないと決めつけていた

出口をようやく見つけたと思ったら、外は天国ではなく地獄だった

あたしらに持ってた情を思い出してしまったがために、よけい深く傷ついて

生き残ってその友達を慰めたあと、長く保たずに氏んでいく

761: 2013/11/26(火) 01:22:00.91 ID:N36x0FxH0
その友達は、ただただ優しい、優しすぎる馬鹿だった

自分のことを軽く見すぎて、よくみんなに怒られていた

そいつはあたしたちに化け物じゃないと言い切った
その言葉はあたしの心にものすごく響いた
ああ、これは確かに人生を、命を賭けるに値するなと思えるほどに

そして、その優しさのために
さやかはおろか、出会って数週間のあたしの氏にさえ心を痛めつけられる

結局あたしにはあいつの嘆きをどうにもできない
ほむらとあいつの親と友達に期待するばかりだ

762: 2013/11/26(火) 01:22:51.14 ID:N36x0FxH0



なぜあいつらは救われない
自分で選んだ道じゃないかとでも言うつもりか



―――神様



763: 2013/11/26(火) 01:23:39.44 ID:N36x0FxH0
あいつらのレールをずらしてやるのがあんたの仕事じゃないのか?

創造主は創った後のことは興味がないから知らないとでも言うのか?

度々介入しては人はただの操り人形だろうと?
加減も限度もわからないのか

あいつらよりも哀れなやつを救うので忙しいのか?
そうそういないだろうよ

世界に人があふれてあいつを見つけてやれない?
一か月もあって見つけられないのか?
マミに至っては何年も戦ってきたんだぞ?

あいつらがあんたのとこの教義を守ってないからか?
―――くたばれ

764: 2013/11/26(火) 01:24:28.81 ID:N36x0FxH0


まさか

―――あんた、「いない」んじゃないだろうな?



だったら、親父は何のために――――!



765: 2013/11/26(火) 01:26:09.41 ID:N36x0FxH0
―――なんてこと考えてられる時間もそう残されてない

マミは今、最大出力の攻撃を繰り出してる
まさに後先考えない怒涛の攻撃

あれでもくたばらないなんてゲンナリする

こんな時でも技名叫ぶんだなと苦笑しつつ、あたしも覚悟を決める
そろそろ加わる準備をしないと

766: 2013/11/26(火) 01:27:58.91 ID:N36x0FxH0
さやかもいい加減楽にしてやらないとな
まあ、よくやったよ

どういう風に生きたがが、大事なんだっけ?
―――よく生きたよ



―――すぐ行くから



767: 2013/11/26(火) 01:28:39.48 ID:N36x0FxH0



あたしは槍を思いっきり振りかぶったのちさやかのソウルジェムに狙いをつけて―――



768: 2013/11/26(火) 01:40:01.76 ID:N36x0FxH0
これにて投下終了です。第20話完です

パソコンは何か調子悪いくて振動するしストックは尽きるしで次の投下は遅くなるかもしれません
とりあえず予告だけ

次回

第21話

人の起こしし奇跡(仮)

She said, "I don't want to make my friend suffer for my selfishness."(仮)

769: 2013/11/26(火) 02:16:39.86 ID:Odm/InG+o

引用: まどか「希望は残っているんだよ。どんな時にもね」