774: 2013/11/27(水) 01:18:49.14 ID:uw8B8XEy0

775: 2013/11/27(水) 01:19:42.94 ID:uw8B8XEy0

776: 2013/11/27(水) 01:21:16.62 ID:uw8B8XEy0
???side

そうなんだよね
どういうシステムなのか知らないけど、結局のところ神様は何もしてくれない

だからこそ人の手で奇跡を起こさないといけないんだよね
―――この手で

777: 2013/11/27(水) 01:22:17.86 ID:uw8B8XEy0
杏子side

―――ガキィン!

「……は?」

光で弾かれた?
さやかのソウルジェムが光を放っていて、いつの間にやらジェムの傷も元に戻っていた
 

何だこれは


778: 2013/11/27(水) 01:23:17.05 ID:uw8B8XEy0
マミside

いよいよ私の命が尽きると思った瞬間

『マミさん、待って!』

頭の中に声が響く。いよいよ自爆するはずだったソウルジェムの状態ももとに戻った

779: 2013/11/27(水) 01:23:55.68 ID:uw8B8XEy0



――――鹿………目……さん…?



780: 2013/11/27(水) 01:24:57.43 ID:uw8B8XEy0
ほむらside

気が付けばさやかのそばに一人の少女が立っていた

まどか……?――――じゃない!

そうだけどそうじゃない!


あれは―――!


781: 2013/11/27(水) 01:26:20.01 ID:uw8B8XEy0
まどかside

走りながら頭に響く声に問いかける

「あなたは誰?」

『誰でもいいんじゃないかな?』

『大体わかってるんじゃないかな、とも思うんだけど』

「そうだね。助けてくれるんだよね?」

『うん』

『やっと助けられる』

「やっと?」

『うん――――』

782: 2013/11/27(水) 01:30:08.30 ID:uw8B8XEy0
暁美ほむらが夢だと思った時間軸にて

QB「二つの願いと言うのは困る。叶えられない。どちらか一方じゃないとね」

まどか「……そうなんだ」

まどか「じゃあ」

まどか「全時間軸のほむらちゃんを救いたい」

QB「それには多大なる問題が潜んでいるね」

まどか「……問題?」

QB「まず君はこの時間軸を切り捨てる気になっていない」

QB「この世界には、君の家族や友達も残っているからね」

QB「ワルプルギスの被害は最小限に留まっている」

QB「この時間軸を切り捨てることは、ほむらと杏子の奮戦を否定する、裏切り行為と捉えているようだ」

QB「だからこの時間軸に留まったままで干渉することになるわけだが、君の素質をもってしても、そのような平行世界干渉は難しいんだ」

QB「各時間軸に1回くらいしか干渉できないだろう」

QB「それで本当に救えると思っているのかい?」

783: 2013/11/27(水) 01:32:53.42 ID:uw8B8XEy0
まどか「……おかしいよ、キュゥべえ」

QB「何がだい?」

まどか「なんでそんなに丁寧に説明してくれるの?」

QB「君たちが求めてきたことじゃないか?」

まどか「言うこと聞く気なんかなかったくせに……!」

QB「……」

まどか「最初の願いだって適当に解釈すれば叶えられたはずだよ?

まどか「答えて」

まどか「あなたは何で今になって、ようやく私が契約しようというときに、腰を折ろうとしているの?」

QB「……結果がどうなるかわからないからさ」

まどか「どう、って?」

784: 2013/11/27(水) 01:35:45.93 ID:uw8B8XEy0
QB「暁美ほむらが本願を叶えた結果が予想できないんだ」

まどか「どういうこと?」

QB「暁美ほむらが本願を叶えた結果、果たして平行世界がその時間軸を中心に統合されるのか、各個独立して存続できるかわからないんだ」

まどか「……平行世界……なんだねやっぱり」

QB「話を聞いただけの君でも理解できるのに、彼女が理解できないなんて滑稽だよね。まあ、気づかないふりなんだろうけど」

まどか「……あなたにも、世界がどうなるかわからないの?」

QB「契約した時間軸の僕はわかっていたはずだ」

QB「そして、彼女の話からすれば、その時間軸の僕は止めなかった」

785: 2013/11/27(水) 01:38:34.48 ID:uw8B8XEy0
QB「理由としては二つ考えられる」

QB「一つは、各個独立して存続するから気にする必要がなかった」

QB「二つ目は、成功した場合統合される。ただしその僕は、彼女が本懐を遂げることはないだろうと判断した」

まどか「……辛辣だね」

QB「事実に近い推察だとも思うよ」

QB@彼女は何度も失敗し、ようやく叶えられたと思いきや、氏後、君は契約しようとしているんだから」

まどか「……」

QB「世界が統合されているかしないか、されようとしているかは僕にもわからない……かもしれない」

QB「なにせ経験がないからね」

QB「ゆえに君が、暁美ほむらの手助けをしようとするならば、できれば阻止したいんだ」

QB「それをきっかけに世界が統合されれば契約した意味がなくなるからね」

QB「君がこの、目の前のほむらを生き返らせると言えばもろ手を挙げて賛成するんだけど」

まどか「私が押し通したら、どうなる?」

QB「僕は、君たちにとっては単なるシステムに過ぎない。ゆえに助言はできても強制はできないよ」

786: 2013/11/27(水) 01:42:29.58 ID:uw8B8XEy0
QB「じゃあ、私は契約する。全時間軸のほむらちゃんを助けるために」

QB「仮に君がうまくやって彼女を助けられたとして、彼女に顔向けできるのかい?」

まどか「できるよ。胸を張って会える」

787: 2013/11/27(水) 01:43:00.46 ID:uw8B8XEy0



「―――――ほむらちゃんは間違ってる!」



788: 2013/11/27(水) 01:43:45.61 ID:uw8B8XEy0
まどか「私のためにすべてを捨てるなんて絶対に間違ってる!」

まどか「私はほむらちゃんを助ける。だけど何もあきらめない!」

まどか「ほむらちゃんが守ったこの街を、パパを、ママを、たっくんを、仁美ちゃんを、友達を、先生を」

まどか「みんな守る!」

まどか「この世界を、魔法少女の運命を背負って生き抜いて見せる!」

まどか「すべての世界のほむらちゃん、さやかちゃん、マミさん、杏子ちゃん、ついでに私を守って見せる!」

まどか「何もかもあきらめない!何もかも守って見せる!全部掴み取って見せる

789: 2013/11/27(水) 01:44:54.61 ID:uw8B8XEy0
QB「……脳内くすりの出しすぎじゃないかな。そんなことできっこないよ」

QB「君もわかっているんだよ。君のテンションがその証拠だ。強がりだよ」

まどか「……」

QB「とは言え、君の決意はもう動かせないようだ。仕方ない。僕はあくまでシステムだからね」



QB「さあ、受け取るといい。それが君の運命だ」



790: 2013/11/27(水) 01:45:28.12 ID:uw8B8XEy0
その後、ほむらちゃんの遺体は消失した

私はこの時間軸を諦めてない。だから、この時間軸のほむらちゃんが救われるにはほかの時間軸に委ねるしかなかった

791: 2013/11/27(水) 01:47:31.18 ID:uw8B8XEy0
まどかside

『――――というのが前の時間軸のほむらちゃん』

『ほむらちゃんはあなたを救うために繰り返してる。この一か月間は、世界の起点、キーはあなた』

『あなたが行動したとき、はじめて私はこの世界に力を流して干渉できる』

『それが私の能力』

「やっとっていうのは、この時間軸の終盤になってって意味?」

『違うんだよ。この時間軸に今まで私の力はいらなかったでしょ?』

「そうだね。今まではいらなかったはずだね」

「じゃあ―――」

「そう、私はほむらちゃんが辿ってきた、この時間軸以外の時間軸、すべてで失敗してきた」

「……どうして?」

792: 2013/11/27(水) 01:50:21.27 ID:uw8B8XEy0
『結局私は、直接的には力しか流せないから』

『精神には副次的・間接的にしか影響を与えられないの』

『そして、干渉できるタイミングも限られてる』

『あなたが行動したとき、ただそれだけの条件だけど、そうは多く残されてないの』

『なにせ私だから』

『ほむらちゃんの話を振り返ってみて』

『あなたが行動したときに、力が流れて、その瞬間だけうまくいって、その時間軸がうまく運んでハッピーエンド、ってありそう?』

「なさそう……」

793: 2013/11/27(水) 01:51:52.47 ID:uw8B8XEy0
『そして、今、ようやく』

『力でどうにかできそうなタイミングがやってきた』

『仁美ちゃんには大感謝だよ』

『あなたの絶望は本当に酷かったから』

『今生き残ってもそのうち氏にたくなるんじゃないか』

『今希望を与えられれ場、結果的に氏ぬことになってもむしろ本望なんじゃないかって、仁美ちゃんが考えたほどに』

『仁美ちゃんがそこまで論理を差し置いて動くなんてそうないから』

「そうだね。後でお礼改めて言わないと」

「―――言えるよね?」

「?」

794: 2013/11/27(水) 01:52:24.18 ID:uw8B8XEy0
「よく考えたら、私にこの後何かあったら仁美ちゃんそれこそ氏ぬほど後悔すると思うんだ」

「仁美ちゃんを苦しめたくない」

『大丈夫。みんなを信じて』

795: 2013/11/27(水) 01:54:08.81 ID:uw8B8XEy0
ほむら・マミ・杏子side

別まど「というわけで、この時間軸の私を起点にしてここに、今実体化してるの。ワルプルギスを倒し終わるまでの期限で」

別まど「みんながここまで頑張ってきたから、やっと助けられる」

別まど「ちなみに時間軸は存続するんだ。キュゥべえの取り越し苦労だったね」

杏子「なんっつーか、あんたってやっぱり優しさがぶっ飛んでるよな……」

マミ「とんでもないわねえ……」

ほむら「夢じゃなかったのね……」

ほむら「……まどか、あなたは本当に胸を張って私に会えるの?」

別まど「会えるよ。ほむらちゃんが最初の私に胸を張って会えるように」

796: 2013/11/27(水) 01:56:00.12 ID:uw8B8XEy0
ほむら「……幸せなの?」

別まど「あのワルプルギスの被害は、ほむらちゃんと杏子ちゃんのおかげで本当に最小限に留められた」

別まど「家族も、友達も、先生も、みんな無事」

別まど「これで不幸せなんて罰が当たるよ」

別まど「あの後の道のりも平坦じゃなかったし、よくくじけそうになったし」

別まど「たまに私の魔女化の果ての世界の行く末にどうしようもなく不安になるけど」

別まど「それでもみんながいるから生きていける」

別まど「隣町とかの魔法少女の友達もできたんだ」

別まど「苦しみを分かち合えるから、みんながいるから生きていける」

797: 2013/11/27(水) 01:59:21.58 ID:uw8B8XEy0
別まど「ほかの時間軸にしてもそう」

別まど「干渉はできなくなっても鑑賞はできるんだ。ダジャレじゃないよ?」

別まど「残された人はみんな精一杯、泣きながら笑いながら生きている」

別まど「ほむらちゃんがちゃんと私を止めてくれたおかげでね」

ほむら「……」

別まど「それにさ、一つ、私が世界を滅ぼした時間軸だって」

別まど「生き残りはいるんだよ」

ほむら「……え?」

別まど「キュゥべえはもうその時間軸でエネルギーを完了したし、どの道すぐにいなくなると思ったみたいだけど」

別まど「それでも精一杯生きてる人たちがいる」

別まど「もうその人たちはキュゥべえには頼れない」

別まど「そして、キュゥべえは、もし自分が来なかったら人は洞穴暮らしだったって説くけど、それはキュゥべえが建てた仮説でしかない」

別まど「私は、あの人たちはうまくやれるとにらんでるんだ」

別まど「だからさ、何が言いたいかって言うと――――」

799: 2013/11/27(水) 01:59:59.44 ID:uw8B8XEy0




「希望は残っているんだよ。どんな時にもね」




800: 2013/11/27(水) 02:02:22.57 ID:uw8B8XEy0
ほむら「……魔女化、するようなときにはどうするつもり?」

別まど「私の友達の魔法少女は、みんな止める覚悟は持ってる。甘えちゃうことになるけど」

まどか「私も何とか頑張るつもり」

ほむら「……私、ね、あなががうそをついてるかはわかるつもりなの」

ほむら「もう一度言って。自分は幸せだって」

別まど「私は、幸せだよ」

ほむら「……そう」

ほむら「あなたが自分で選んだ道なら、仕方ないわね」

ほむら「私は、あの時間軸でできることを精いっぱいやった」

ほむら「犠牲を出してしまった自分の無力さを呪うけど」

ほむら「それでもあなたが自分で道を選び、今、幸せだと言うのなら、送る言葉はこれしかないわね」

801: 2013/11/27(水) 02:03:08.39 ID:uw8B8XEy0



「頑張って」



「ほむらちゃんもね」



802: 2013/11/27(水) 02:06:02.70 ID:uw8B8XEy0
別まど「それで今まさに猛威を振るってるあれなんだけど」

別まど「この結界もそろそろ持たないんだ」

別まど「今までの周回でもいろいろやってきたし、もう無茶はきかないの」

杏子「どうすればいいんだ?てかさやか大丈夫なの?」

別まど「それはね――あ、来た来た」

まどか「お待たせ!」

QB「まどか!?これは一体……!?」

別まど「あなたに説明する義務も義理もないですよーだ!」

別まど「ほむらちゃん、盾かして」

ほむら「ええ?」

杏子「まずさやかのこと聞きたいんだけど。ここまできてダメなんていくらなんでもないよね……!?」

杏子「まだ目を覚まさないけど」

別まど「たぶん大丈夫」

杏子「多分って……」

803: 2013/11/27(水) 02:08:27.76 ID:uw8B8XEy0
さやかside

さやか「それでここはどこなのさ?」

別まど「想像ついてるんじゃない?」

さやか「大体ねえ。当たって欲しくなかったんだけど」

さやか「私の魔女結界の中?」

別まど「そうだよ。精神世界的なアレ。オクタヴィアを倒せば復活です!」

別まど「ありきたりだねえ……て言っても、やっぱりきついや。自分の負の感情を全部見せつけられてる感じでさ」

804: 2013/11/27(水) 02:10:57.80 ID:uw8B8XEy0
さやか「……ねえ、あれ倒したら魔女化克服なんてことは――」

別まど「ない。今回限り。さやかちゃんはいつか魔女になるかソウルジェムを砕いて氏ぬ」

さやか「……モチベーション上がんないなあ」

別まど「そんなこと言ってるとみんな氏んじゃうよ?さやかちゃんが加勢してギリギリ勝てるかどうかなんだから」

さやか「わかってるって。冗談冗談。早いとこ何とかして加勢しないとね」

別まど「それでこそさやかちゃんだよ」

別まど「あとさ、もうこれから先時間ないだろうし今しか言えないかもだからいうんだけど」

別まど「さやかちゃんと話せて、嬉しかった」

別まど「……やっぱりまどかだね。そんなこと照れもせずに言えるんだから」

816: 2013/11/28(木) 01:17:43.48 ID:yiB0kctp0
仁美の例の映像に関しては本当に頭にありませんでした……
何年も前の映像だから印象があまり残ってなかったとしか言いようがありません……

まどかに関しては、失敗したことに絶望を覚えたり、苦しむことはあるけど
同時にその時間軸に残された人々の生きる姿に希望を抱いているといった感じです

今度はミスしないようにします

それでは投下します

817: 2013/11/28(木) 01:21:28.29 ID:yiB0kctp0



第22話



氏に至る病、そして



You can advance and cannot redo.



818: 2013/11/28(木) 01:23:39.30 ID:yiB0kctp0
私の盾はこの世に一つしか存在せず、新たに生み出すことはできない

そして、私の盾をほかの魔法少女に貸したことはない
ゆえに、他の魔法少女の代替可能な武器と同様、使い方を誤れば消えるものか、私にはわからない

消えてしまえば、もう二度と私の能力は戻らない

だが、他ならぬまどかが何かしら考えがあって頼んでいる以上、私に迷う理由など全くない

ほむら「はい、どうぞ」

別まど「ありがとう。……えいっ!」

まどかが叫んだ瞬間、盾の形状が変化した。というか変形した

819: 2013/11/28(木) 01:26:09.40 ID:yiB0kctp0
ほむら「これは……弓?」

盾の構成要素がそのまま弓に変わった感じ。システマティックな印象を受けた

別まど「うん。ほむらちゃん、そろそろ武器のストックなくなってきたみたいだから、もうこっちの方がいいかなって」

ほむら「そうね……ありがとう、まどか」

別まど「気づいてる?ほむらちゃん?」

ほむら「?」

別まど「これで、ワルプルギスを越えた後も、ほむらちゃん、戦えるんだよ?」

ほむら「!」

杏子「おー!」

マミ「そうね!これで大丈夫じゃない!」

820: 2013/11/28(木) 01:29:39.11 ID:yiB0kctp0
ほむら「……だけど、私、素質が……」

マミ「そんなのいくらでも、どうとでもなるわよ」

杏子「まー、もう一回マミに弟子入りでもするこった」

杏子「いくら時間かかってもいいんだからさ。なんせ3人もの魔法少女が支えるんだから」

ほむら「でも、あなた、私とワルプルギスを倒した後組むの反対だって……」

杏子「へ?……いや、それはほむらが全く改善できないっていうから。みんなで共倒れするしかないってのは絶対嫌だと思ってさ」

杏子「あれでも結構きつかったんだよ?」

マミ「大丈夫。暁美さん以外はちゃんとわかってたから。みんなのことを考えたからこそ、よね」

ほむら「……え?」

マミ「……暁美さんはあの時、それどころじゃなかったわよね」

821: 2013/11/28(木) 01:31:47.59 ID:yiB0kctp0
ほむら「でも、それじゃ杏子との約束が……」

杏子「約束?」

ほむら「私がいなくなった分の見滝原のグリーフシードを杏子が貰うっていう……」

杏子「……」

マミ「……(あれ、提案してたんだ……)」

杏子『なあ、マミ。あたし、ほむらと友達だと思ってたんだけど、そうでもなかったのかな?』

マミ『途方もなく要領が悪いのよ。友達との約束を破るなんて考えられない子なの。察してあげて』

杏子「……どうでもいいんだよ、そんなのは!あたしがいいって言ってんだから!」

ほむら「……じゃあ」

マミ「これからもよろしくね、ってことよ」

……どうしよう

うれしい……!

822: 2013/11/28(木) 01:34:51.39 ID:yiB0kctp0
別まど「ゴホン」

別まど「それで作戦なんだけど、私はすることがあるからこれ以上みんなを助けられないの」

ほむら「することって?」

別まど「さやかちゃんが戻ってくるまで、さやかちゃんとこの子を守る小さ目な結界を保たせることと、この子の素質を魔力に転用すること」

マミ「……え?」

別まど「つまり、私のこの弓を、この子が撃てるようにするの。私は力を流すだけで、直接倒すことはできないから」

マミ「……どのくらいの威力なのかしら?」

別まど「今のワルプルギスなら一撃で倒せるくらい」

一同「!」

823: 2013/11/28(木) 01:36:49.18 ID:yiB0kctp0
別まど「ただ、問題があって、今は一発しか撃てないの」

別まど「だから、撃てるようになるまでの15分で、みんなにワルプルギスの動きを止めてほしい」

杏子「……それ、倒すよりある意味きつくないか」

別まど「だけど、みんなのうちの誰かが倒したら魔女化しちゃうでしょ?」

まどか「そっか」

マミ「確かにそれしか選択肢はなさそうね……」

別まど「さやかちゃんもすぐ参戦するから、なんとか保たせて」

杏子「わーったよ。ここまで来たらやるっきゃないね」

マミ「暁美さん、弓の要領掴むまで、後方支援お願い。だけど、長くは私たちも保たない。できるだけ早く、ね」

マミ「弓の魔力の消費は、まだわかってないでしょうし、時間停止は控えたほうがいいわ」

ほむら「……わかった!」

824: 2013/11/28(木) 01:38:31.66 ID:yiB0kctp0
さやかside

あー、もう!
攻撃受けたりしたりするたびにソウルジェム濁るんですけど!
私には身に覚えがないんだけど、いかにもあたしがやりそうなことしでかしてる場面が頭に入ってくる感じ!
過去の時間軸ってやつかな?

ていうか、ここで魔女化したらどうなんのよ!?

『さやかちゃん言い忘れてた。ここで魔女化したらもう取り返しつかないから』

「はああああああ!!!!!?????」

『グリーフシードは存在しないけど、絶望に堕ちない限りは大丈夫だから』

『頑張って』

「先に言ええええええ!!!」

825: 2013/11/28(木) 01:39:26.07 ID:yiB0kctp0
QBside

成程ね。別の時間軸の僕も困ったことをしてくれたものだ
しかし――――

暁美ほむら、君は別の時間軸のまどかの言う通りに動いているけど、本当にそれでいいのかい?

彼女の、自分を軽く見る性質は変わっていない
改善はされているが、あくまで程度の問題だ

そして、その「自分」には――――

826: 2013/11/28(木) 01:40:12.88 ID:yiB0kctp0




――――この時間軸のまどかも含まれているようだよ?




827: 2013/11/28(木) 01:41:38.20 ID:yiB0kctp0
さやかside

「あんたの気持ちはよくわかる」

「あたしとあんたの違いは、運とかタイミングの差でしかない」

「突き詰めれば、ほむらが私に目を向けてくれたか、キュゥべえを襲うことをやめたか」

「多分その最初のきっかけだけなんだよね」

「だけどさ、だからこそ」

「ここであんたに負けるわけにはいかないんだ」

「ほむらのご期待に応えられないことの連続だったし、最後くらいはさ、びしっと決めないと」

「いつかあたしもあんたのとこに行くからさ」

「それまで待っててよ」

そう言って剣を振り下ろした瞬間、あいつが大人しくなった気がした
あるいはあたしがそう思いたいだけか

……長い付き合いになりそうだね

828: 2013/11/28(木) 01:42:43.86 ID:yiB0kctp0
そして世界が反転して現実世界に

別まど「お帰り」

さやか「ただいま。やっぱりあんま良いもんじゃないや」

さやか「それで今何やってんの?ワルプルギスを倒すってことでいいの?」

別まど「そうだけど、さやかちゃんたちはあくまで足止め。みんなと協力して動きを止めて」

さやか「おっけー」

829: 2013/11/28(木) 01:44:49.17 ID:yiB0kctp0
さやか「みんなーただいまー!」

杏子「おせーぞバカ!危うく全滅だ!」

さやか「うう……ごめんなさい」

マミ「フフ。あれ、ただの照れ隠しよ」

マミ「本当はうれしくて仕方ないの、誰よりもあなたのことを心配してたから」

杏子「うるせえ!せめて後にしろ!」

さやか「えへへ……それで、何やればいいの?」

杏子「あのでかいビルにワルプルギスを磔にする」

杏子「マミが爆撃で誘導して、あたしとさやかで串刺しにして動きを止める。ほむらは使い魔の殲滅」

さやか「了解!」

830: 2013/11/28(木) 01:47:29.45 ID:yiB0kctp0
マミさんが爆撃で誘導して―――

マミ「ボンバルダメント・リミタート・アナラメント!」

さやか「いつにもましてすごいなあ……ねえ、あたしたちもああいう風にやらない?」

杏子「冗談じゃない。あたしの何かが崩壊する」

さやか「えー」

杏子「時間ねえし浮かれてもられないんだよ!こういう時に気を抜くと碌なことにならないんだ!」

さやか「はーい」

あたしと杏子がやつに接近する際に出された使い魔にほむらが応戦

そしてあたしたちが巨大な槍と剣を召喚し

ワルプルギスの腹と四肢のあたり(足どこにあるかよくわからないけど)に打ち込む

磔完了!

831: 2013/11/28(木) 01:49:37.18 ID:yiB0kctp0
ほむらside

ほむら「即席の作戦にしてはよくできたわね」

マミ「時間にはなんとか間に合ったわ」

杏子「……おいさやか、何やってんだよ?」

さやか「え?何って戦闘態勢だけど?止め刺すのは早い者勝ちでしょ?」

杏子「いや、それ終わったんだよ」

さやか「へ?」

マミ「あの、魔法少女の鹿目さんが、この時間軸の鹿目さんの素質を魔力に転用したの」

マミ「鹿目さんも未契約で済むから、誰も魔女化せずに済むということよ」

さやか「……」

832: 2013/11/28(木) 01:51:13.98 ID:yiB0kctp0
さやか「……あたしその話今聞いたし、的外れなこと言うかもだけど」

さやか「それ、やばくない?」

杏子「何がだよ?」

さやか「魔法少女が一発で魔女化するような絶望だよ?まどかが受けて本当に大丈夫なの?」

……!?

杏子「いや……大丈夫だろ、あいつの不思議パワーか何かで……」

ワルプルギスのテレパシー妨害魔法が消えてる……!

マミ「今呼びかけるから……!」

マミ『鹿目さん!ワルプルギスを倒した際の絶望に対処できるの!?』

……

833: 2013/11/28(木) 01:52:21.66 ID:yiB0kctp0
杏子「どうなんだ!?」

マミ「……返って来ない!」

まどかのあの表情……覚悟してる!

なんであの子はいつもいつもいつも……!

この場所じゃ手を出せない!
いや……止めてもワルプルギスがいつか動き出すだけ……

どうすれば……!?

834: 2013/11/28(木) 01:54:14.00 ID:yiB0kctp0
マミ「みんな、暁美さんにリボンをつなぐから、それにつかまって!」

さやか「マミさん!?」

マミ「時間停止とみんなの攻撃で、今のワルプルギスなら多分倒せるわ!まだ時間停止使えるわよね!?」

ほむら「……ええ。あれを倒し終わってからしばらく経つまでは使えるはず」

杏子「あのバカ共が攻撃する前に止めを刺せばいいんだな!?」

ほむら「……ごめんなさい、みんな……私だけじゃ、絶対無理だから……」

さやか「今更言いっこなしだよ!」

そうだ。今は迷ってる場合じゃない……

!?

835: 2013/11/28(木) 01:54:52.02 ID:yiB0kctp0




……あれ?




836: 2013/11/28(木) 01:56:45.35 ID:yiB0kctp0
マミ「……どうしたの?」

ほむら「……これ、時間停止するには、どうやるのかしら?」

杏子「……わかんないのか?」

ほむら「形状変わっちゃってるから……

ほむら「……どうしよう!?」

マミ「貸して!」

そうだ、巴さんなら……!

マミ「……!?これ――――」

837: 2013/11/28(木) 01:57:14.72 ID:yiB0kctp0




「――――時間停止機能が無くなってる……!」




838: 2013/11/28(木) 01:57:46.94 ID:yiB0kctp0


!?!?!?!?!?


まさか―――


―――このために……!?


839: 2013/11/28(木) 01:59:07.39 ID:yiB0kctp0
そして、まどかが弓を放った

私たちはなす術もなかった

ワルプルギスが消失し
別の時間軸のまどかが消えて
絶望を受けたまどかと、それを見た私の絶叫が木霊した

840: 2013/11/28(木) 01:59:45.88 ID:yiB0kctp0


私たちはあの夜を、地獄の一か月を越えた


しかし、越えた先が地獄でないとは限らない


841: 2013/11/28(木) 02:01:38.68 ID:yiB0kctp0
QBside

約束の時だ

いよいよ、今日をもって、我々の最大の使命、宇宙の永遠の存続が達せられる

魔法少女諸君、お別れだ

853: 2013/11/29(金) 01:18:04.93 ID:aptOTp1q0
最初の投下以前にあったストックは、マミと杏子が抱き合って泣くところまでです
そのストックもいじくりながら投下しました
だから叛逆を見た後に加筆しているとも言えますが、自分としてはあまりその要素を入れてるつもりはありません

それでは投下します

854: 2013/11/29(金) 01:20:12.65 ID:aptOTp1q0



第22話



優しさの輪郭



Take care of yourself.



855: 2013/11/29(金) 01:20:47.91 ID:aptOTp1q0
まどかはひとしきり叫び声をあげた後で意識を失った
ひどい悪夢を見ているようだった
あるいは見ているのだろう

856: 2013/11/29(金) 01:21:36.41 ID:aptOTp1q0
その後、まどかをとあるビルの空き室に運んだ
ここにいられるのは避難勧告が解除されるまでの間のみ
長居はできない

巴さんとさやかが治療している間、私は泣いてばかりで使い物にならず
杏子にひたすら慰められていた

857: 2013/11/29(金) 01:23:26.04 ID:aptOTp1q0
杏子「大丈夫だよ」

杏子「まどかは確かに自己犠牲精神の権化みたいなやつだけど」

杏子「少なくとも今のまどかは、自分がいなくなったらどうなるかわかってる」

杏子「何の相談もなしに二度と目が覚めないようなことするはずないんだ」

杏子「なにか手があるはずさ」

ほむら「……そう…よね……そうに………決まってる」

ほむら「そうじゃなかったら……」

ほむら「……許さない……いくら…まどかでも……」

杏子「……」

858: 2013/11/29(金) 01:25:33.75 ID:aptOTp1q0
そうこう話しているうちに巴さんとさやかが治療をやめた

マミ「体には何の異常もない。私と美樹さんではどうしようもないわ」

ほむら「……なにが問題なの?」

さやか「心だろうね。絶望を受けたんだから、当然っちゃ当然だけど」

杏子「……体に異常がないなら、そのうち元に戻るんじゃないか?」

さやか「……かも…しれない」

マミ「だけど……私にはそうは思えない」

マミ「鹿目さんって、決して弱くはないけど、こんな規格外な絶望を受けて自力で復活できるとほどとは……」

杏子「……あのさ、ありきたりだけど、あたしたちでずっと声かけ続けるとか」

マミ「もちろんそれはするべきでしょうね」

859: 2013/11/29(金) 01:27:37.78 ID:aptOTp1q0
マミ「けど、それとは別に打てる手を打たないと」

杏子「打てる手?」

マミ「精神系の魔法」

一同「!」

マミ「もちろんやってみないとわからないけど、グンと起きる確率が増すと思う」

ほむら「巴さんは……」

マミ「ちょっと見よう見まねでやってみたんだけど、まるで手ごたえがないわね」

マミ「やっぱり専門家じゃないと無理よ」

さやか「専門家……」

杏子「わりぃ……あたしがまともに使えてれば……」

ほむら「あなたは何も悪くないわ……」

860: 2013/11/29(金) 01:29:32.03 ID:aptOTp1q0
さやか「マミさん、心当たりない?」

マミ「あるにはあるけど……かなり不安ね」

さやか「と、言うと?」

マミ「頭の中をいじくってもらうわけでしょう?相当信頼できる人じゃないと」

さやか「そっか」

ほむら「……困ってる人を放っておけない善人か、見返り次第で何でもするビジネスライクな人間……でしょうね」

マミ「……やっぱりそういう精神系使いは思い浮かばない。探さないと」

杏子「……あたしも…何とか取り戻す」

マミ「……無理はしないでね。かえって遅れることにもなるから」

861: 2013/11/29(金) 01:30:36.37 ID:aptOTp1q0
……固有魔法を封じられる、とうのは魔法少女にとって致命的にもなり得ることだ
杏子は幻影魔法抜きで生き抜ける力を習得したが、それでも命の危機に瀕したことはいくらでもあったはず

ずっとトラウマを放っておいたはずがない
克服しようとしてきたはずだ。それでもできなかった

……やはり、できたとしても長い時間がかかるだろう
それでも、巴さんが言う通り、急かすことはできない

862: 2013/11/29(金) 01:31:27.48 ID:aptOTp1q0
マミ「やっぱり早急には無理ね」

杏子「……家に帰すか?」

ほむら「……それしかないわ」

さやか「何をどう説明すれば……」

マミ「……」

863: 2013/11/29(金) 01:34:24.90 ID:aptOTp1q0
一同途方に暮れていた時に

マミ「ねえ、キュゥべえ。何をやっているの」

気が付けばまどかのそばにインキュベーターがいた
……なんだろう、この違和感は。雰囲気?

QB「僕にもなにかできないかと思ってね」

そうか、インキュベーターもまどかがこのままじゃ困るか

マミ「何をやっているの?」

QB「僕が直接脳に語りかけることができるのは知っているだろう?それで呼びかけているんだよ」

そう言えばそうだ

……情報を隠しながらも、あくまで自由意志を尊重するこいつは、先のビジネスライクに当てはまるかもしれない
……任せてもいいかもしれない。
いや、任せるべき?

だけど何だろう、この違和感が形になっていく感覚は

864: 2013/11/29(金) 01:35:33.92 ID:aptOTp1q0
マミ「具体的に、どう呼びかけているの?」

いま、違和感の正体がわかった。巴さんだ
でも……なんで

QB「……」

巴さんがインキュベーターに、かつて私に向けていた視線を向けているの?

QB「契約してくれと呼びかけている」

……

……!?

865: 2013/11/29(金) 01:38:09.90 ID:aptOTp1q0
杏子「はあ!?どういうことだオイ!?」

QB「言ったとおりだよ」

QB「彼女の意識――夢というべきかな?――に契約してくれと呼びかけている。」

QB「それで同意したら契約成立だ」

杏子「何言ってんだテメエ!?そんなこと今までしたことねえだろうが!?」

そうだ……

そんなことできるなら……するなら……
―――なぜ今までやらなかった!?

866: 2013/11/29(金) 01:40:19.51 ID:aptOTp1q0
マミ「進行状況はどう?」

QB「……あのまどかはこの状況を見越していたようだ」

QB「杏子以外をはねつける障壁を彼女の心に残していた」

QB「だが、突破できないものでもない」

QB「時間の問題だね」

マミ「鹿目さんの心に接触できたとして、鹿目さんは断れるかしら?」

QB「まず無理だね。人が寝ているときには理性が働かない、ないし極端に弱い」

QB「彼女の、君たちを助けたいという真心が前面に押しでる」

QB「二秒もかからず即決するだろう」

そんな……

867: 2013/11/29(金) 01:47:40.31 ID:aptOTp1q0
さやか「なんで今になってそんなこと突然やりだすのさ!?」

QB「少女の希望と絶望の相転移によって僕たちはエネルギーを得ている。これは知っているよね?」

QB「そして、理性なき判断による契約では、生まれる希望が弱いんだよ」

QB「魔女と戦う運命を背負ってまで願いをかなえるべきか」

QB「この葛藤を乗り越えてこそ、強い、絶望との落差を生む大きな希望が生まれるんだ」

QB「願いにふさわしい対価を払った、という達成感がキーだね」

QB「もちろん氏にかけていうるなどそれどころじゃない場合はそんな葛藤などないが、葛藤できるタイミングまで待てないのだからしょうがない」

QB「通常の状態の少女には、そのような葛藤を求めている」

QB「だからこそ、僕たちは理性が働く状態での、自由意志を尊重しているんだ」

ほむら「だから、なぜ今は尊重しないのかと―――!」

QB「必要がないからだよ。いや、必要がないと分かったから、だね」

ほむら「!?」

868: 2013/11/29(金) 01:50:50.40 ID:aptOTp1q0
QB「鹿目まどかの素質を、目先の契約欲しさにつぶしてはならないと、当初は考えていた。しかし―――」

QB「―――ついさっき、彼女の素質の片鱗を、魔力変換という形で見た」

QB「あれでも、まだ片鱗なんだ。未だ莫大な素質が眠っている」

QB「一部だけしか見れなかったが、あのすさまじい魔力を目の当たりにして――――」

QB「―――鹿目まどかの理性、葛藤なくしても、僕たちのノルマ、宿願をかなえられると、母性の統率は判断した」

QB「あのまどかには感謝しないといけないね」

869: 2013/11/29(金) 01:52:05.60 ID:aptOTp1q0
私は銃を構えた

マミ「魔法少女になったら、鹿目さんは目覚めるかしら」




QB「目覚めるよ」



!?



870: 2013/11/29(金) 01:54:48.79 ID:aptOTp1q0
……さやかと杏子が恐る恐る私を見る
これが落としどころじゃないか?と目が言っていた

……かつての時間軸とのまどかとの約束
―――契約阻止
それは私のすべてだった

だけど、このやり直しができない状況では……

まどかが意識不明でも、契約していないと開き直れる神経など持ち合わせていないのも事実
そんなのなんの意味もない

……ワルプルギスのグリーフシードはまだまだ大量に使える状態
訳も分からず魔法少女になったまどかが落ち着くのを待てるほどに余裕はある

そして、まどかがいつ目を覚ますか、皆目見当もつかない

……私も、その落としどころに傾きつつあった

871: 2013/11/29(金) 01:55:56.09 ID:aptOTp1q0
そんな中

マミ「魔法少女になったとして、彼女はどれくらい保つかしら」

インキュベーターの「友達」である、巴さんだけが、あいつを疑っていた

QB「保つか、と言われてもね」

872: 2013/11/29(金) 01:58:33.85 ID:aptOTp1q0
QB「……そういう意味でないら、数舜も保たない」

ほむら「……なんですって?」

QB「彼女の絶望が一気にソウルジェムに流れ込むんだよ?すぐ魔女になるにきまってるじゃないか」

QB「まさに、一瞬だよ。君たちは何の手も打てないだろうね」

QB「彼女が、自分の絶望を取り除くようにと願ったそうはならないけど」

QB「彼女は間違いなく君たちのために祈る、と僕は確信しているんだ」

873: 2013/11/29(金) 02:00:01.72 ID:aptOTp1q0
QB「……そういう意味でなら、まったく保たない」

ほむら「……なんですって?」

QB「彼女の絶望が一気にソウルジェムに流れ込むんだよ?すぐ魔女になるに決まってるじゃないか」

QB「まさに、一瞬だよ。君たちは何の手も打てないだろうね」

QB「彼女が、自分の絶望を取り除くようにと願ったそうはならないけど」

QB「彼女は間違いなく君たちのために祈る、と僕は確信しているんだ」

874: 2013/11/29(金) 02:01:51.77 ID:aptOTp1q0
その瞬間

さやかと杏子は怒りに震え動けず
私は引き金にかけていた指を引こうとした

だが、この時間軸で身についた「習性」
―――まどかとさやかに勧誘するインキュベーターを衝動的に撃たないようにと自分を押さえつけて身についた「習性」が―――それを邪魔した

そして一つの考えが、今思えばひどく失礼で最低な考えが頭をよぎった

「はたして巴さんは許してくれるのか」

875: 2013/11/29(金) 02:02:44.00 ID:aptOTp1q0
それは間違いなくこの時間軸での私の弱さだった

だけど、まどかの前でそんなことはやはり些事であり

まどかのためなら再び迷路に迷いこんでも構わない覚悟で引こうとした

引き金を引こうとしてから、1秒も経たなかったと思う

876: 2013/11/29(金) 02:03:41.64 ID:aptOTp1q0



だがその1秒の躊躇いで

巴さんに「友達」を殺させてしまった



私の銃から弾が放たれる前に、別の銃から弾が放たれ、インキュベーターが肉塊と化したのだ



877: 2013/11/29(金) 02:04:34.77 ID:aptOTp1q0





「あなたの好きにはさせないわ――――





 ―――――インキュベーター」





878: 2013/11/29(金) 02:05:43.42 ID:aptOTp1q0




後にさやかから聞いた話だが、彼女は打つ瞬間、「さよなら」と言うように、口を動かしたらしい




……その眼は潤んでいたらしい




890: 2013/11/30(土) 00:06:04.90 ID:VZHpZK7g0
QB「やれやれ、まさか君に撃たれるとはね。僕たちは友達じゃなかったのかい?」

新しいインキュベーターの個体がやってきた。今までよく見てきた光景だ

マミ「友達だからと言って何をしても許されるわけじゃない」

マミ「それに、あなたは絶縁状をたたきつけられても文句を言えないようなことをしたのよ?」

QB「別に文句を言う気はないけどね」

891: 2013/11/30(土) 00:08:50.31 ID:VZHpZK7g0
「まあ、それ一体を破壊されても無駄というものさ」

―――!?

気が付くと無数のインキュベーターが部屋の中にいた
……30?……50?……100?

QB「これをやると候補者に引かれちゃうから普通はやらないんだけどね」

QB「もはやそんなことは関係ない」

……どうする!?
インキュベーターの排除……?
―――1匹相手でもそれをしきれなかったというのに……!?

「「「「「「チェックメイトだ。暁美ほむら」」」」」」

……

………

…………

これはもう……

完全に打つ手が……

892: 2013/11/30(土) 00:10:36.47 ID:VZHpZK7g0
マミ「みんな,、しっかしりて」

マミ「暁美さん、美樹さん、インキュベーターから鹿目さんを守って」

さやか「……もう終わりだよ」

さやか「今なんとかできても、もうあいつはまどかの素質の片鱗に触れちゃった……」

さやか「寝てる時にでも呼びかけられたら、防ぎようがないよ……」

マミ「……それはこれからの問題よ。今はただ鹿目さんを目覚めさせることだけ考えて」

マミ「彼女の絶望を取り除けずに契約されてしまったら、もうどうしようもない」

マミ「世界が終ってしまうのよ」

さやか「……!」

893: 2013/11/30(土) 00:12:22.56 ID:VZHpZK7g0
ほむら「だけど、巴さん……!」

ほむら「私はインキュベーターの排除に成功したことがない……!」

ほむら「ましてこの数で、時間停止も使えないのに……!」

マミ「泣き言なら後で言いなさい」

マミ「それに、何も永遠に排除しろなんて言ってないわ」

ほむら「……?」

マミ「30分だけでいい」

ほむら「……え?」

マミ「その間に、佐倉さんの幻覚魔法と取り戻す」

杏子「……は?」

894: 2013/11/30(土) 00:14:33.04 ID:VZHpZK7g0
杏子side

杏子「それで言われるままに河原まで来たわけだけどさ、30分でなんて絶対無理だよ?」

杏子「そりゃあ、それが出来るならなんだってするけどさ」

マミ「本当ね?」

杏子「ああ」

マミ「……佐倉さん、私もね、魔法を使えなくなったことがあるの」

杏子「……!?」

マミ「魔法少女になって一か月のことだったかな」

マミ「なんで自分だけ助かったんだろう、私も一緒に氏ねればよかったのに、なんて考えたことがあるの」

マミ「それで、ね、リボンも回復魔法も使えなくなった」

……願いの否定、か

命をつなぐリボン、命を救う回復魔法
……確かに使えなくなるだろうな、そんなこと考えたら

あたしと一緒か

だけど、マミはあたしと出会った時にはそんなそぶりもなかった
……どうやって克服したんだ?

895: 2013/11/30(土) 00:16:07.07 ID:VZHpZK7g0
マミ「だけど、魔女は私の都合なんて聞いてくれない」

杏子「……そりゃそうだな――――って、うん?」

杏子「……あのさ、それ、その状態で魔女と戦ったっていうわけ?」

マミ「うん」

銃もリボンから精製してるものだ。つまり―――

杏子「―――武器も回復魔法も使えないのに魔女に挑んだっての……?」

マミ「うん」

杏子「あんた、それでよく氏ぬと思ったら逃げろとか人に言えるなあ!?」

マミ「それで案の定氏にかけたのよ」

杏子「そりゃそうなるだろうよ……」

896: 2013/11/30(土) 00:18:00.84 ID:VZHpZK7g0
マミ「それで、いよいよこれは氏ぬなって瞬間、目の前が真っ暗になったの」

マミ「そして、気付いたら私は傷が回復してて、魔女がいなくなって、グリーフシードが落ちてた」

マミ「その後、何の問題もなく魔法を元のように使えるようになったのよ」

杏子「……?」

マミ「つまりね、トラウマやら願いの否定を、それを上回る恐怖で塗り変えてしまうの」

マミ「それで生存本能に訴えて魔法を引きづり出せばいいってわけ」

今まであたしにも教えなかったわけだ
生きるために魔法を取り戻す、そのために氏にかけるなんて本末転倒だからな

897: 2013/11/30(土) 00:19:57.38 ID:VZHpZK7g0
マミ「もちろん、たまたま私がそうだったってだけで、あなたもそうなるとは限らない」

マミ「むしろ、当てはまる人のほうが少ないでしょうね」

マミ「あなただって、今までだって氏にかけたことはあるでしょうし、それでもあなたの魔法は戻らなかった」

マミ「あなたには合わない『治療法』である可能性の方が高いと思う」

マミ「だけど、今すぐに幻覚魔法を取り戻す方法が、私には他に浮かばない」

杏子「……あたしとしても案がない。時間もないし乗らせてもらうよ」

杏子「だけどさ、その日の魔女にマミが、その日のマミにあたしがなるわけだろ?」

杏子「あんたが私を頃しにかかるってわけだけど、本気でそんなことできるの?」

杏子「あの時だってできなかったじゃないか」

898: 2013/11/30(土) 00:22:03.99 ID:VZHpZK7g0
マミ「……自信を持てなかったの」

杏子「自信?」

マミ「私は、あなたにとやかく言えるほど正しいのか、って」

杏子「……マミは絶対に正しかったよ」

マミ「だけど、あなただって間違ってるとは言い難かった」

マミ「固有魔法が使えない以上、使い魔も狩るやり方をすればすぐに限界は来る」

マミ「あの時は、あなたが魔法を取り戻すまで私が支えるつもりだったけど」

マミ「あなたが一生取り戻せなかったらお互いの命を縮めるだけ」

マミ「客観的に見れば、確かにあなたのやり方のほうが長生きする」

マミ「そして、トータルで私が救った人の数を上回るかもしれない」

マミ「それと、あなたとの数々の思い出」

マミ「……あなたを断罪なんてできなかった」

自分は正しいからぶっ飛ばすでいいだろ、そんなの

899: 2013/11/30(土) 00:23:49.47 ID:VZHpZK7g0
杏子「それで、今は違うってわけ?」

マミ「……」

杏子「―――ッ!?」

今、あたしはさっきキュゥべえをマミが撃つ前時に感じた悪寒を覚えた
ほむらが妙にビクついてたのはこれか

マミ「……鹿目さんがあいつに出し抜かれて契約したら、もう何のために魔法少女をやってきたかわからない」

マミ「守るべき友達も救えずして、誰かを救ったからなんなのかって」

そしてあの殺気は――――

マミ「……私ね、鹿目さんを助けるために、あなたが間違って氏んでしまっても仕方ないかなって思ってる」

マミ「もちろん氏んだら元も子もないのも事実なんだけど」

マミ「魔法少女なんて人のために氏んで上等じゃない?」

間違いなくあたしに向けられていた

900: 2013/11/30(土) 00:25:59.55 ID:VZHpZK7g0
マミ「……氏ぬのがあなただから、ってこともあるわ」

杏子「……そうだな。あの腐れまどかが出現するまでは、あたしとマミが氏ぬって話だった」

杏子「最初からそれを選べなかったことをかなり後悔もした」

杏子「もう後悔なんてしたくないし、まどかをに救うために命を賭けるしかないってんなら、喜んで差し出すさ」

杏子「だけどさ、あんた気づいてる?」

杏子「生存本能に問いかけるってわけだけどさ、その生存本能は、殺そうと襲い掛かってきたやつを――――」

杏子「――――頃すように働くと思うんだけど」

杏子「自制なんてできないだろうし、できちゃ逆にいけないだろうけど」

杏子「殺される覚悟はあるわけ?」

マミ「馬鹿にしないでくれるかしら」

杏子「ハッ。さすがに愚問だったね」

901: 2013/11/30(土) 00:28:16.32 ID:VZHpZK7g0
杏子「てかさ、こんな風に話してる時間、そもそもないんじゃないの?」

マミ「何もあなたが知らないままに、私の攻撃が通って氏んじゃうなんてあっちゃいけないし」

マミ「……これから氏んでいく友達に、理由くらい話してあげたいと思ってね」

マミ「……10分もかからずに決まるから、時間的にも余裕がある」

杏子「……そっちが勝つ気なのかよ」

マミ「99%私が勝ってあなたが氏ぬわ。あなたには1%をつかみ取ってもらう」

杏子「なめられたもんだねぇ……」

杏子「まあ、いい機会だ。いつか白黒つけようかと思ってたんだよね」

杏子「本気のあんたとやれるってのも悪くない」

杏子「小器用さなんざ頃し合いに役に立たないってことを教えてやるよ」

マミ「……そろそろ始めましょうか」

902: 2013/11/30(土) 00:29:02.80 ID:VZHpZK7g0




「――――さよなら、佐倉さん」




「――――じゃあな、師匠」




903: 2013/11/30(土) 00:29:46.84 ID:VZHpZK7g0



……あたしとマミじゃ最後に行き着く場所も違う



本当にお別れだな……



910: 2013/12/01(日) 00:46:03.13 ID:zcXRnjMu0
ほむらside

QB「やれやれ。理解に苦しむよ。君たちはもう詰んでいるというのに」

ほむら「黙れ……!」

そうだ……元々簡単な道じゃなかった
何度諦めかけたかわからない

ようやく未来が見えるところまで来たんだ……
あとは、掴み取るだけ!

たとえ前に茨が生い茂っていようが、火の海が燃え盛っていようが―――
―――1%でも可能性があるなら、諦めるなんてできない……!

……投了するまでは詰むことなんてない!
王を獲られるその瞬間まで戦い続ける!
巴さんを信じる!

今はただ、インキュベーターを薙ぎ払うことだけを……!

911: 2013/12/01(日) 00:49:13.24 ID:zcXRnjMu0
QB「マミが遺した言葉を信じてるんだね?杏子の幻覚魔法を30分で取り戻すという戯言を」

さやか「戯言かどうか――――」

さやかが剣を振りかぶる

さやか「――――あんたに決められてたまるかよ!」

剣を振ると同時に数多広範囲のインキュベーターが吹っ飛んだ

もうすでに私を超えた

これがあのさやかか…
巴さんと杏子に一か月教えこまれたさやかか…
ワルプルギスを越えたさやかか…

数多の時間軸で切り捨ててきた可能性か……

912: 2013/12/01(日) 00:52:00.74 ID:zcXRnjMu0
QB「君たちにとって巴マミは魔法少女として格上の存在でもある」

QB「この状況において、もはやその彼女の言葉にすがる他ないか」

QB「君たちには権威を説得力とする習慣があるよね」

QB「時には今の君たちのように、言葉そのものより重視する」

QB「おかしな生物だよ」

さやか「少しはその口を閉じたら!?」

 反論しつつも手は緩めない

QB「僕は口を開いているわけではないけどね」

さやか「権威ではないわ。信頼よ」

913: 2013/12/01(日) 00:55:17.10 ID:zcXRnjMu0
QB「君たちもわかっているはずだよ。30分で確実に取り戻せる方法があるならすぐに提案していたはずだと」

さやか「……マミさんが抜けたんじゃないの!?」

QB「そう思いたければそう思っているといい」

QB「それより耳よりな情報だ。今、マミと杏子が頃し合いをしているよ?」

さやほむ「なっ!?」

QB「客観的に考えれば、取るべき方針で揉めたととるのが妥当だろうね」

QB「二人で、が無理でも、せめて君たちのうちどちらか一人が止めてきたほうがいいんじゃないかな?」

QB「今二人が方針で争っているならば、30分で終わらせる、なんて完全に夢物語だよ?」

914: 2013/12/01(日) 00:57:48.71 ID:zcXRnjMu0
さやか「……よく言うよ!」

さやか「あんたなら闘ってる原因を知ってるはずだ!」

さやか「あたしたちが止めに行くような理由で闘ってるなら、客観的に、とか、ならば、とか」

さやか「そんな奥歯に物が挟まったような言い方をするはずがない!」

さやか「もっと直接的に伝えるはずだ!」

QB「……確かに理由は知っている。しかし、さやか、君は自分の言っていることを理解しているのかい?」

さやか「何が言いたいのさ!?」

QB「君たちが止めに行かないような理由なら、きちんと行く前に説明するはずだろう?」

さやか「……!」

915: 2013/12/01(日) 00:59:38.73 ID:zcXRnjMu0
QB「『マミさんが何とかしてくれる』というあやふやで抽象的な根拠よりも」

QB「納得できて具体的な根拠の方がはるかに闘う上での原動力になるからね」

QB「本当に、マミが抜けていた、で済ませるつもりなのかい?」

さやほむ「……」

QB「――――彼女たちはまどかのために互いを殺そうとしているんだよ?」

QB「頃し合いという言葉は嘘じゃない」

さやほむ「!?」

916: 2013/12/01(日) 01:02:17.10 ID:zcXRnjMu0
QB「君たちは、まどかのためにあの二人が氏んでいいと思ってるのかい?」

さやか「……そんなわけない!そんなわけないけど……!」

ほむら「さやか、いずれにせよ、二人でさえ手一杯なのに、一人が抜けたらもう防ぎようがないわ」

ほむら「そして、インキュベーターが障壁を破りまどかの意識に接触したらすべてが終わり」

ほむら「……私たちはもう、あの二人に託すしかないのよ」

ほむら「二人が命を懸けてるのなら、なおさら……ね」

さやか「……ままならないね、なかなか」

917: 2013/12/01(日) 01:05:25.22 ID:zcXRnjMu0
QB「やれやれ、君たちは本当に理解に苦しむ」

QB「もう終焉は避けられない。最後の時を祈りにでも捧げて穏やかに過ごしたらどうなんだい?」

ほむら「おあいにく様!あきらめの悪さだけには自信があるわ!」

さやか「ついさっき諦めてたじゃん!?」

ほむら「あなたに言われたくないわ!!!」

ほむら「そりゃあ、ようやく地獄の一か月が終わったと思ったら」

ほむら「まどかに出し抜かれてまどかが倒れて」

ほむら「目を覚まさせる方法もわからなくて」

ほむら「挙句こんな状況になったら弱音の一つくらい吐きたくなるわよ!」

918: 2013/12/01(日) 01:08:01.15 ID:zcXRnjMu0
さやか「そりゃそうだ!それでも立ち上がったあんたはすごい!尊敬する!」

さやか「あと、この時間軸、私を見限らないでくれてありがとう!」

ほむら「急にどうしたの!?」

さやか「最後かもしれないからさ!」

ほむら「縁起でもないこと言わないで!」

ほむら「…」

ほむら「……」

ほむら「………こちらこそ、よ」

さやか「え?何?」

ほむら「……何でもない!手を休めないで!」

927: 2013/12/03(火) 02:29:21.72 ID:WHaXsLgg0
杏子side

今回はリボンに捕まったら即アウト
拘束→ソウルジェム破壊のコンボは魔法少女にとって致命的だ
ゆえにリボンは裂けつつ丁寧に丁寧に破壊しなければならないわけだが

回復魔法をろくに使えないあたしにとってはあいつの銃を体に食らうのだってかなりまずい
弾次第では、一発で腕が吹っ飛びかねない

そういうわけで銃・リボンそれぞれ単体でも相当やばい
あたしは防戦一方になることを迫られている

あの銃で超速度連射しつつリボン飛ばしてくるとかもう人間業じゃねえよ……
しかもご丁寧に先にリボンでトラップを仕掛けていて、そこに誘導するように攻撃してくるし……
槍一本でどうにかできる範疇を超えてるだろうが……

928: 2013/12/03(火) 02:29:54.57 ID:WHaXsLgg0



―――とはいえあたしも槍を複数出せるわけなんだけどね



929: 2013/12/03(火) 02:31:09.86 ID:WHaXsLgg0
銃とリボンをあそこまで同時に操れるやつはいない
だがそんなマミでさえ、移動しながらは若干厳しいようだ
普段よりもすさまじい処理だが、機動性を犠牲にしてるんだろう

突くならそこ。あいつの足元から槍を直接生やして串刺しにしてやる
5・6本生やせば完璧に戦闘不能ってもん――

――ああ!?

930: 2013/12/03(火) 02:31:57.05 ID:WHaXsLgg0


……槍を生やすと同時に銃を乱射しつつリボンで行く手を遮りながら突っ込んできやがった


左腕がいかれた……


931: 2013/12/03(火) 02:32:49.48 ID:WHaXsLgg0



「普段この速さで処理をしないのは、奇襲や新手を警戒してるからであって」



「手を知り尽くした相手と一対一でやる時には、そんな警戒いらないのよね」



932: 2013/12/03(火) 02:35:20.46 ID:WHaXsLgg0
動かなかったのはフェイクかよ!?クソが……
挙句手を読まれてたとか最悪だな……

……とは言え実際あの処理はきついはずなんだ

……処理の速さのために警戒を犠牲にしているならば、マミの言う通り奇襲や新手を使えば崩せるはずだ
この状況では奇襲などできるわけもなく、使える新手は―――

933: 2013/12/03(火) 02:36:08.40 ID:WHaXsLgg0
この時あたしは、急激に頭が冷え、ひどく冷静に次の一手を導き出し実行した
あたしの生存本能は、マミのと違って記憶を奪うタイプではなかったようだ

ゆえにあたしはすべてを覚えている
まるで幽体離脱でもしたような気分だった

934: 2013/12/03(火) 02:38:13.93 ID:WHaXsLgg0
ほむらside

階段から足音が聞こえてきた。やっと――――!

ほむら「杏子!―――」

ほむら「―――……!?」

杏子は大量の血を浴びていた
……杏子自身はそこまでひどい怪我を負っているわけではない

ならば―――!

さやか「マミさんは!?」

杏子「浄化……だけしてきた……」

杏子はこんな返り血を浴びるような大怪我を治す術を持っていない……!
あたしにも治せない!
できるとしたら―――!

935: 2013/12/03(火) 02:39:30.12 ID:WHaXsLgg0
杏子「……砕いて……やるべきだった……!」

……声を押し頃して泣いていた

さやか「杏子!マミさんはどこ!?」

杏子「……あたしは幻覚魔法にぜんっぜん慣れてない!!」

さやか「急になに!?」

杏子「やってる途中にこいつらに邪魔されたらどうなるかわからないって言ってんだ!!」

さやか「……!」

936: 2013/12/03(火) 02:42:33.33 ID:WHaXsLgg0
ほむら「……私がインキュベーターにあたる」

杏子「……ほむらができるなら、マミは回復役にさやかを呼んでたはずだ」

ほむら「できるかできないかなんて問題視していない」

ほむら「やると言っているのよ」

杏子「できなきゃ同じことだろうが!」

ほむら「私だけの問題ではないわ」

杏子「ああ!?」

ほむら「あなたが手早く済ませればいい」

ほむら「さっき、一度は使ったんでしょう?できないとは言わせないわ」

杏子「この…!」

ほむら「さやか、行って」

さやか「任せたからね!」

杏子「おい!待て!」

937: 2013/12/03(火) 02:43:45.56 ID:WHaXsLgg0



「……場所も聞かずにどこ行く気だ!?例の河原だ、バカ!」



「りょーかい」



938: 2013/12/03(火) 02:45:39.90 ID:WHaXsLgg0
杏子side

杏子「馬鹿だよ…あんたは……ここまで来て切り捨てられないのかよ……!?」

ほむら「ここまで来たからこそ、よ」

ほむら「いや、もっと前から、そうだったわね」

ほむら「……とっくに気づいていたでしょうに」

ほむら「……あなたと巴さんのことを私は心底すごいと思う。だけど、もう私にはできない」

ほむら「ごめんなさい」

杏子「……謝って済む問題じゃないよ……自分の言葉には責任もってよね……!?」

杏子「……行くよ」

939: 2013/12/03(火) 02:46:26.29 ID:WHaXsLgg0
素面で使ってみてわかったことだけど
固有魔法の基本的な使い方は自転車の乗り方と同じで、長い間使ってなかったとしても忘れるものではなかった

それに加え、あたしだけが侵入できる障壁というのは、あたしの侵入をサポートする機能もあったらしく、随分楽にやれた

それで、今まどかの意識の中

940: 2013/12/03(火) 02:48:46.19 ID:WHaXsLgg0
別まど「……」

杏子「これはどういうあれなの?」

別窓「私の魔力に残った意識の残滓かな」

杏子「へえ」

別まど「……怒ってる……よね?」

杏子「当然でしょ」

杏子「あんたは、ほむらの信頼を、一番許されないやり方で裏切ったんだ」

別まど「……」

杏子「……あんたとしてはやることやっただけってのもわかってるけどさ」

別まど「……」

941: 2013/12/03(火) 02:50:12.37 ID:WHaXsLgg0
杏子「ま、あんたが残りかすっていうのなら、ここでぶつけても無駄だね」

杏子「共犯の、このまどかが起きてからにするよ」

別まど「……ほどほどにね?」

杏子「さあてね。それで、あたしは何をすればいいの?」

別まど「……この障壁は、杏子ちゃんが来たら、絶望を取り込んで消失するようにできてるの」

杏子「なんだ、じゃあ、もうあたしいらないじゃん?」

別窓「ううん。インキュベーターが私の素質に触れちゃったから、障壁は必要なの」

杏子「あー……」

942: 2013/12/03(火) 02:51:37.20 ID:WHaXsLgg0
別まど「今から魔法の術式を杏子ちゃんの頭に流し込むから、それを魔法でマミさんの頭にそのまま映して」

杏子「マミ……」

別まど「大丈夫。今のさやかちゃんなら間に合わせられるから」

杏子「……」

別まど「後は、それを再び私の頭にかけてもらえれば」

杏子「あいつ、破るのは時間の問題だって言ってたけど?」

別まど「うん。だからイタチごっこ」

別まど「魔法を改良して、私の素質がなくなるまで逃げ続けてほしい」

943: 2013/12/03(火) 02:53:41.07 ID:WHaXsLgg0
杏子「あいつと知恵比べ?」

杏子「まあ、魔法改良はマミがするんだろうけどさあ、さすがに勝てる気がしないっていうか……」

別まど「それでもマミさんならやれると思う。魔力の使い方はマミさんの方が私よりはるかに上なの」

別まど「あいつは、私の単なる力押しで作った障壁でも破るのに苦労してたから」

別まど「マミさんが改良したらあいつにとっては相当固い障壁になるはず」

別まど「それに、インキュベーターは基本的に契約成立と魔法少女を長持ちさせるために、少女の精神についてよく知っているけど」

別まど「魔法自体の詳しい発動方法、解除方法にそこまで詳しいってわけでもないの」

別まど「今からそれに興味を持つにしても、たぶんタッチの差で振り切れる」

944: 2013/12/03(火) 02:55:19.61 ID:WHaXsLgg0
杏子「どれくらい続ければいいのさ?」

別まど「それは正直よくわからないの」

別まど「小学校低学年で素質がなくなった人もいれば、成人の直前まで残った人もいるから」

杏子「あやふやだねえ。マミをそこまで保たせないといけない、か」

別まど「……マミさんが氏ぬのはいやだけど、ほかのみんなも障壁をかけられるほうがいい」

別まど「マミさんなら噛み砕いてみんなに説明できると思う」

杏子「そうか」

杏子「ま、マミと要相談だけど、あんたの言った通りにするしかなさそうだね」

945: 2013/12/03(火) 02:57:02.52 ID:WHaXsLgg0
別まど「……もうお別れだね」

杏子「……ま、さっきはああ言ったけど、やっぱ全員こうして無事に残りそうってことはうれしくもあるんだよね

杏子「そこはお礼言っとくよ」

杏子「いつまで続くかわかんないけどさ」

別まど「……さっきの障壁だけど、かけられる人はたくさん残った方が有利だから、そこは忘れないで」

別まど「重ね掛けとかもできるし、それとは別に誰か一人は常に生き残らないといけない」

杏子「……わかった」

946: 2013/12/03(火) 02:57:38.83 ID:WHaXsLgg0
QBside

やれやれ。ノルマ達成と思いきや、か
彼女の出現から掌でもてあそばれてばかりだった
数多の時間軸の失敗からえた経験値、なのかな

これから心理障壁魔法の調査、か
彼女たちとはそこそこ長い付き合いになりそうだ

954: 2013/12/05(木) 02:00:22.28 ID:pjk+WmDu0



エピローグ



955: 2013/12/05(木) 02:01:24.36 ID:pjk+WmDu0
ほむらside

さやか「ねえ、これ一体どういう状況?」

ほむら「……私に聞かれても」

杏子「……」

まどか「……」

マミ「……」

956: 2013/12/05(木) 02:02:40.75 ID:pjk+WmDu0
ほむら「……そのまま見れば、あなたが巴さんを回復し終えてここに帰って来たら、まどかと杏子が巴さんに土下座をした、ね」

ほむら「まどかはみんなに謝ってるみたいだけど」

さやか「……ねえ、二人とも?マミさんもあたしたちも困ってるから」

さやか「まず謝ってる理由から説明するべきじゃないかなあと思うんだけど」

957: 2013/12/05(木) 02:03:48.38 ID:pjk+WmDu0
杏子「……本当にどんでもないことをしたと思ってる」

杏子「申し訳ないです……」

杏子「もう他になんて言っていいか……」

マミ「……そう言われても、いまいち何のことかわからないのよ」

マミ「お互い様としか言いようがないんじゃないかな?」

確かに謝ってる理由は想像がつかないでもない

けど、例の「頃し合い」は幻覚魔法を取り戻すためのプロセスだった
だから杏子があそこまで深刻に謝っている理由が、私にもわからない
いくら面倒くさい子とはいえ、この場面ではむしろさらっと流す性格だと思うんだけど…

958: 2013/12/05(木) 02:05:45.47 ID:pjk+WmDu0
杏子「お互い様、で済ませられないことをしちまったと思ってる……」

マミ「―――ああ……そのこと」

巴さんは、ニコリとほほ笑んで言った

マミ「……久しぶりに会えてうれしかった。美樹さんがくるまでソウルジェムが保ったも、そのおかげかもね」

杏子「―――!」

そういうこと、か……

巴さんは幻覚魔法を使わざるを得ない状況に杏子を追い込んだ
だから当然それを使われることを予期していた
その相手に対し攻撃を通せる隙を作るほどの幻覚を、生存本能は選び取ったというわけだ

杏子「お人よしが過ぎるよ、あんた……」

マミ「だから、それもお互い様よ」

959: 2013/12/05(木) 02:06:57.64 ID:pjk+WmDu0
これで杏子が謝っていた理由は分かった
あとは……

さやか「で?まどかはなんで謝ってるの?」

まどか「……みんなに迷惑かけて」

まどか「杏子ちゃんとマミさんに大変な、ひどい目に合わせて……」

まどか「本当にごめんなさい」

960: 2013/12/05(木) 02:08:52.60 ID:pjk+WmDu0
杏子「あのさ、迷惑とかひどい目、とかに怒ってるやつはこの中にはいないんだけど」

マミ「ええ。むしろ望んでやったことよ」

さやか「ねえ、まどか、あたしたちがまどかに怒ってる理由はそこじゃないんだよ?わかるでしょ?」

まどか「そのことだったら―――」

まどかは顔を上げずに答えた

まどか「―――たとえみんなに絶交されても」

まどか「絶対に謝らない」

さやか「……暁美さん、どうしますか?反省の色なしですよ?」

ほむら「……絶交されるようなことをしたって認識してるのがたち悪いわね」

まどか「……」

961: 2013/12/05(木) 02:10:47.18 ID:pjk+WmDu0
マミ「まあ、今後は大丈夫じゃないかしら?契約なしでリスクさえ犯せばなにかできるって状況はもう来ないでしょうし」

杏子「それは……まあ、そうだな」

さやか「……」

さやか「ねえ、まどか、あんたがあたしたちが戦ってるとこに向かったのって、あのまどかが出現してからのことなの?」

まどか「……ううん」

杏子「……はあ?」

杏子「じゃあ、何?契約する気だったっての……!?」

まどか「契約する気はなかったんだ」

杏子「だったらなんで来たってのさ?」

まどか「みんなが氏ぬってわかってたから、じっとしてらいれなかった」

まどか「なにもできないってわかってたけど、行かずにいられなかった」

962: 2013/12/05(木) 02:12:06.01 ID:pjk+WmDu0
杏子「……おい、どうすんだ、コイツ。またやらかすぞ?」

さやか「うーん。ここまで頑固なまどかは見たことないからなあ……」

ほむら「……さやかの場合、こうなるとほんと骨が折れるのよね」

杏子「こいつらホント似てるからなあ……」

マミ「……私たちも折れるつもりはないし、適当なところで妥協しましょうか」

さやか「適当なところ?」

マミ「私たちは、鹿目さんに心配かけないくらい強くなる」

マミ「自分の命を大切にする」

マミ「だから、鹿目さんも、私たちが危なくなっても危険なことをしない」

963: 2013/12/05(木) 02:13:53.98 ID:pjk+WmDu0
杏子「まず、マミが危険なことをしないと誓え」

マミ「……」

杏子「やっぱりできないのかよ……」

ほむら「まあ、ここで落とすしかないわ」

ほむら「ワルプルギスほどの絶望的状況も今後はそうないでしょうし」

さやか「そうだね」

さやか「まどか、あたしたちこれから頑張るからさ」

さやか「まどかもちょっとやそっとあたしたちが危ないってときは、信じてくれないかな?」

まどか「……うん。ちょっとやそっと危ないってときは信じる」

杏子「困ったやつだなあ……」

ほむら「……今はこれで仕方ないわね」

968: 2013/12/07(土) 02:49:19.12 ID:+3CXCmx90
杏子side

ワルプルギスを倒してその後の処理がすんだあと、まどかは母親にこっぴどく叱られることになった
あの「台風」の中娘が黙って外に飛び出したんだから当然だよな

まどかとしてはあたしたちのことは伏せておきたかったんだけど、まあ、あたしたちにも責任の一端はあるわけで
(無論、あたしたちはまどかに来るなといったわけで、それを破ったまどかが悪いってのは譲るわけにはいかないが)
まどか一人に背負わせるわけにはいかない

そういうわけで、まず、まどかの独断専行を許したらしい志筑仁美とまどかが怒られてて
それにあたしたち4人が加わった

969: 2013/12/07(土) 02:51:20.86 ID:+3CXCmx90
そして、誰一人として理由を語れないために
6人に分散すると思われた怒りは逆に6倍以上に膨れ上がった

そして、大体最近帰り遅いし何か隠してるだろうという至極ごもっともな指摘にもまどかは黙秘し
とうとうその怒りはみんなの両親にまで波及した

離れて暮らしてるほむらの両親はまだしも
超がつくほどの名門らしい志筑家当主や徹底した不干渉主義のマミの叔母まで招集したのだから凄まじい

マミが叔母を呼ばれた時なんか、人間あそこまで肌が青くなるもんなのかと驚いた

970: 2013/12/07(土) 02:52:33.07 ID:+3CXCmx90
それで、志筑仁美は舌先三寸でうまい具合に自分に全責任があるかのように信じ込ませかけていたのだが
あたしたちはそれぞれの理由で、あの女に責任をかぶせる理由はさらさらなかった

そういうわけで後ろから銃を撃たれた志筑仁美も陥落して
まどかの母親以外は、これ終わらないんじゃないかな、何て午前三時辺りに考え出した

971: 2013/12/07(土) 02:55:53.91 ID:+3CXCmx90
長々と説教聞きながら、なんでこんな鬼みたいなのからまどかが育つのかと最初は思ったわけだけど

あの人は家族も保護者も身元保証人もいない施設にも入っていない中学生という
およそ日本にあたし以外に実在するか怪しい存在をあっさり受け入れて

怒り以外のいろんな感情をあたしに向けてきた

あたしとしては同情向けられるのなんて大嫌いなんだけど
それを察してか、あの人は自分の同情心を隠そうとしていた

そのお人よし振りをみて、ああ、やっぱりまどかの母親なんだなと思った

972: 2013/12/07(土) 02:58:39.38 ID:+3CXCmx90
それで翌日はマミ宅で打ち上げが行われた

まあ、最初思ってた通り、万事ハッピーエンドとはならなかったけど
ワルプルギス後もみんなが生きてて、こうして怒られたり笑ったりできるなんて想像もしなかったから

相当嬉しい

982: 2013/12/08(日) 02:32:31.02 ID:8Bf1WzKb0
さやかside

さやか「昨日は大変だったねー」

マミ「昨日、ていうか今日なのかしら?もう一生怒られ続けるのかと思ったわ……」

まどか「……本当にごめんなさい」

ほむら「まどかのせいじゃないわ」

ほむら「それより、昨日の今日で私たちといて大丈夫なの?怒られたりしない?」

まどか「大丈夫。みんなとお泊り会って言っても、楽しんで来いって言われただけだから」

983: 2013/12/08(日) 02:33:54.59 ID:8Bf1WzKb0
まどか「さやかちゃんだって来てるじゃない?」

さやか「そういうのごまかすのは慣れたもんなんだよ」

ほむら「……ごまかすのは慣れてるでしょうけど、腕は上達しているとは限らないわ」

さやか「……やっぱバレてるかな?」

ほむら「気づかない振りをしているだけでしょうね。感謝しておきなさい」

さやか「果たして返せるものでしょうか……」

ほむら「長生きすればいいのよ」

さやか「……やっぱそうなりますかー」

さやか「……ま、昨日生き残ったことで、まず第一関門クリアかな」

984: 2013/12/08(日) 02:35:24.86 ID:8Bf1WzKb0
さやか「しっかしまー、こうしてまた五人で集まれるとはねー」

マミ「……夢みたいだわ」

まどか「ほんとによかった……」

ほむら「感無量よ」

ほむら「……あのまどかのことは心残りだけど」

マミ「大丈夫だと思うわよ?あの鹿目さん図太そうだったから」

まどか「……色々あったんだろうね」

さやか「図太さって言ったらまどかもそうなってきた気がするね」

まどか「何それー?」

985: 2013/12/08(日) 02:36:42.70 ID:8Bf1WzKb0
さやか「てかさ、杏子どうしたの?なんか元気ない感じだけど」

杏子「ん?……ああ、悪いね。何でもないよ」

さやか「……なんかあるよね?今更隠し事なんてなしだよ?」

杏子「……今後のことについて、ちょっとさ」

まどか「今後のことって?」

杏子「魔法少女のこととか、生活のこととか」

さやか「魔法少女のことはともかく、生活のことって?マミさんと一緒に暮らしてくんじゃないの?」

杏子「そういうわけにいかなくなるんだよ」

986: 2013/12/08(日) 02:39:28.24 ID:8Bf1WzKb0
マミ「……私としては全く構わないのよ?むしろ―――」

杏子「そうじゃないんだよ。魔法少女四人でやってくわけだから、グリーフシードがそこそこいるじゃん?」

杏子「特にワルプルギスが来た後少しの間は、その地域で出現する魔女が極端に少なくなるらしいんだよ。聞いた話だと」

杏子「今日探ってみた感じそんな風だったから、ガセじゃないっぽい」

杏子「そういうわけで風見野での魔女狩りがしばらく重要になるんだ」

さやか「なにか問題あるの?」

杏子「風見野が他の魔法少女に奪われないように目を光らせとかなきゃいけない」

杏子「魔法少女ってのは隙あらば他人の縄張りを荒らす生き物だからさ」

マミ「ああ……」

ほむら「そういうこと……」

杏子「それで、風見野で目を光らせる役割って言ったら、やっぱあたしでしょ?」

さやか「……そうだね」

杏子「最近開け気味だったし、早く手を打たなきゃいけないんだよ」

987: 2013/12/08(日) 02:40:54.03 ID:8Bf1WzKb0
杏子「それで差しあたっては、まず拠点を風見野に移すことになるんだけど」

杏子「……どうしたもんかなって」

ほむら「先立つものはまとまったお金で、色々な手続きもやっぱり中学生だと色々面倒でしょうね……」

杏子「手続きは魔法でちょこまかやればいいと思うんだけどさ……」

だけど、お金の部分に関しては誤魔化さない
……杏子はもうあの暮らしに戻るつもりはないから

やむを得ない時にはやりかねないところは未だにあるけど
杏子はそれをやったらあたしたちの側からいなくなる
そんな気がする

だから、あたしたちは絶対にそんなことさせない
させないんだけど……

988: 2013/12/08(日) 02:44:22.46 ID:8Bf1WzKb0
マミ「……叔母からどうにか引き出す」

杏子「昨日の今日じゃないか。無理だよ」

マミ「何とかなるわ」

杏子「何とかなるようには見えなかった」

マミ「……お金を引き出す口実なんて、いくらでもあるわ」

杏子「厳しく追及されるよ。あたしのせいだけどさ、最近の生活費だってかなりもらってたわけじゃないか」

同じような理由で多分ほむらも厳しい

この一か月ワルプルギスのために結構無理なやりくりをしてたらしいし
マミさんと同じく親が非常招集かけられた後だから

989: 2013/12/08(日) 02:46:37.76 ID:8Bf1WzKb0
時間さえかければみんなそれぞれやりようがあるんだけど―――

さやか「それってやっぱり急がなきゃダメなの?」

杏子「周りに危ないのがうじゃうじゃいるんだよ。できれば明日からでも風見野に移らないと」

さやか「そっか……」

ほむら「杏子には何か考えがあるの?」

杏子「まー見切り発車的に始めて最初は今まで通り野宿とかでも何とかなるんじゃないかなー、って」

杏子「土地勘はあるし、魔法少女と違う危ない輩が来てもぶっ飛ばせるし」

さやか「女の子がやることじゃないよ……」

杏子「んなこと言ったってさー」

ほむら「今までと違って魔力での色々な誤魔化しがきかなくなるのよ?」

ほむら「……使い魔を放置しない限りは」

杏子「あー……」

杏子「考えてなかった……」

990: 2013/12/08(日) 02:48:13.30 ID:8Bf1WzKb0
まどか「……そういうことなら」

杏子「?」

まどか「ママがね、杏子ちゃんのこと気にかけてて、いつでも頼っていいって言ってたの」

杏子「……あのさ、まどか、そういうのはさ、社交辞令ってやつであって」

杏子「せいぜい気が向いたときにご飯をべに来ていいですよって程度の―――」

991: 2013/12/08(日) 02:52:10.47 ID:8Bf1WzKb0
翌日早朝、まどか宅にて

詢子「―――別にかまわないよ」

杏子「」


杏子「あの……どういう……」

詢子「まどかの友達がお金がどうしても必要だから借りようってんでしょ?」

詢子「断る理由はないよ。事情があるみたいだし」



12: 2013/12/09(月) 00:37:02.40 ID:S10KOXr+0
杏子「いや、あの、普通じゃないよ、それ」

杏子「あたしがどういうこと今までしてきたか想像つくでしょ……?」

詢子「大体ついてるよ」

杏子「じゃあ、なんでそんなのに……?」

詢子「うちのまどかはさ、まあ、それなりにいい子に育ったと思うんだよ」

それなり、どころではないが

詢子「友達が悪いことしたらその子にダメだって言って、それでも聞かないときは、悩んだ末に大人に報告できるくらいには、さ」

詢子「ところがまどかはあなたに対しては、心配はすれどそういう悩みは全く見せてない」

詢子「よっぽどの事情があってやってたことだし、それを償うようなことも今はできないってことさ」

詢子「褒められたもんでもないだろうけどね。あなたも、それをよしとしたあたしも」

……やっぱりこの親にしてこの子ありだな

13: 2013/12/09(月) 00:41:55.35 ID:S10KOXr+0
詢子「まあ、しかし、短くて数か月、長くて三年かな?それくらい児童相談所なり性根人なりなんなりに厄介になればきちんと清算できることなのに」

詢子「あなたたちみたいな子がそろいもそろってそれをやらない、勧めないなんて普通じゃないね」

詢子「いったいどんな事情なのかな?」

一同「……」

詢子「言いたくないなら、まあ、仕方ないけどね」

詢子「……将来のこと、と言うか、今のことだけでも考えれば、施設なり里親を探すなりしたほうがいい」

詢子「それがわからないあなたたちじゃない。少なくともさやかちゃんとまどかはわかるよね」

詢子「……」

詢子「あ、ごめんなさいね、ほかの子のことはまだそれほど知らないっていうだけで―――」

ほむら「わかってます」

詢子「ありがとうね」

14: 2013/12/09(月) 00:43:45.56 ID:S10KOXr+0
詢子「それでさ、それも選択できないような事情なら、あたしが何とかするしかないじゃないか」

詢子「大人がそろいもそろってあなたのために何もできないなんて、いくらなんでもあんまりだからさ」

杏子「……」

詢子「ありがとう……ございます。必ず、返します」

詢子「今すぐじゃなくてもいいよ。どうせバイトとかするつもりなんだろうけど、そんな時間ないはずだ」

杏子「いや、そんなのいくらでも―――」

詢子「学校」

杏子「……」

杏子「!?」

15: 2013/12/09(月) 00:46:30.11 ID:S10KOXr+0
詢子「どうせ通ってないんでしょ?駄目だよ、そんなの」

詢子「通いたくない子にはそんなこと言わないけどさ、どうやらあなたはそうじゃない」

詢子「通いたくても通えなかったって言うべきかな、そんなにおいがする」

詢子「学校に、君が抱える何かに、バイト、全部両立できるのかい?」

詢子「慣れた後にバイトでもなんなりするのは否定しないけどさ、限度があるんでしょ?」

詢子「特に勉強、今から追いつくのには相当時間がかかるし、金もそれなりにかかる」

詢子「申請された額より上乗せしてるのはそのためだよ」

杏子「だけど……!学校卒業してからじゃこんな額……!」

詢子「返せるはずだ」

杏子「あたしはそもそもまともに卒業できるかどうか――――!」

16: 2013/12/09(月) 00:47:03.35 ID:S10KOXr+0
「できるはずだ」

「大人になれば返せる額だ」

「それができないなんて」

「そんなの絶対許さない」

28: 2013/12/11(水) 08:37:00.61 ID:ED1NGHci0
ほむらside inほむホーム

ほむら「……どうする?」

さやか「みんなで分担して働いたら返せないかな……?」

ほむら「そういう問題じゃないっていうのは、わかるわよね?」

さやか「……うん」

まどかのご母堂は杏子が全うに生き、大人になることにお金を出した

……杏子がまっとうに生きることはすでに決まっている

では、杏子は大人になれるのか
実際どれくらいの確率で大人になって完済できるものなのか……

マミ「インキュベーター、私たちってどれくらい生きられるものなのかしら?」

QB「そんなもの、時代、国、個人によるから答えようがないね」

QB「幸せな結末を迎えた魔法少女はいなかった、としか言えないよ」

一同「……」

29: 2013/12/11(水) 08:38:55.51 ID:ED1NGHci0
まあ、さやかが前に言ったように、結末が幸せか不幸せか、よりも過程が重要であり
私は今この瞬間みんなといれて最高に幸せだから
まどかを守れるならばどんな惨めな最期でも大した問題ではない

今は関係ないことだが

30: 2013/12/11(水) 08:40:12.83 ID:ED1NGHci0
まどか「大丈夫、だよね……?」

まどか「ワルプルギスほどの絶望的状況なんてそうはない、って、言ってたよね……?」

確かにそうだが

魔女との戦闘、グリーフシードの調達、他の街の魔法少女との抗争
それに見滝原・風見野に今後新たな魔法少女が現れるかもしれないことを考えれば……

楽観視はできない

さやか「当面は大丈夫だけどさ、まどかのお母さんの想像よりは危ないことに足突っ込んでるのも事実だからねえ」

まどか「……そっか」

31: 2013/12/11(水) 08:42:13.45 ID:ED1NGHci0
杏子「やっぱり無理だよ、あんな大金……」

マミ「……全部話すべきじゃないかしら?」

杏子「全部……?」

マミ「そう、全部」

マミ「同情でお金を引き出すみたいになるから言いたくなかったんでしょうけど、相手が出す気になっている以上、もうそれは無意味だわ」

マミ「事情を明かすのが礼儀でしょうし、魔法少女について分かってもらえれば学校の話は無しになるかもしれない」

マミ「鹿目さんのお母さんのとらえ方次第でしょうけど」

32: 2013/12/11(水) 08:45:43.06 ID:ED1NGHci0
杏子「……」

杏子は腕を組んでいろいろと考えているようだった
自分が魔法少女だと、父親に話した時のことを想起しているのかもしれない

やはり、問題があるとすれば、いつ理性を失って襲い掛かるかわからない化け物が娘の近くにいると知った時のご母堂の反応か
みんなもそれを不安視しているようだ
そこらへんに鈍い、というかそういう考えが及ぶわけもないまどか以外は、だが

ご母堂の意向により完全に会えなくなるとすれば、まどかに例の障壁をかける都合、困るが
実際のところ、いくらでも隙は作れるだろう

もちろんまどかになかなか会えなくなるのはみんな嫌だが
こちらの都合よりもあちらの都合が優先するのは当然

……話すべきだろう

みんなもその結論に至ったようだった
(まどかはまどかで、自分が今までやってきた「危ないこと」を知られる決心をした)

33: 2013/12/11(水) 08:51:12.09 ID:ED1NGHci0
……このとき私たちは、魔法少女であることを明かすこと自体に考えを巡らせていて
その先について全く考えていなかった

すなわち、見方を変えれば、私たちはまどかの命の恩人に当たり、これからもまどかを助けていく立場にあるということだ


学校に行かないということを納得してもらって、額を減らし返済期限を早めようという意図で
もう娘に金輪際近寄るなと言われる覚悟で事情を明かしたのに
逆に大感謝されて、額の増額やら、借金ではなく譲渡にするという話やら、いっそ養子になってくれやら

まあ、相当面倒くさいことになった

もう少し、あの人はまどかの母親だということに思いを巡らせるべきだった
……あの人と関わってから、ずっとそんな考えばかり抱いているような気がする
一見まどかと違うように見えても、やっぱりまどかの母親だった


杏子も杏子で必要以上に受け取る気は全くなかったために、話し合いは非常に難航した

34: 2013/12/11(水) 08:58:11.99 ID:ED1NGHci0
結果的に、ご母堂の意見に大体沿う形で
とにかくこれからは困ったことがあったらいつでも相談せよとの言いつけとともに、協定が成立した

立場を考えれば当然か
ご母堂も、父上に宥められてかなり譲歩はしたが


額は当初鹿目詢子・知久が提示した額通り
学校には通う(さぼりがちになってもやむなし)
借金という形にはするが、1銭も帰ってこなくてもまったく気にしない
何にもまして、自分が生き残ることを優先すること
以上

……中学卒業までしか想定されていないものであり、そのころになれば高校に行くか行かないかやらでまたもめそうだが
それは後の話だ

そのころまで生き残れればとりあえず御の字と考えるべきだろう

40: 2013/12/13(金) 17:32:47.42 ID:+GaFnefM0
ほむら「ところであなた、ワルプルギスを越えたら上条恭介に気持ちを伝えると言っていたわよね?」

さやか「……言ってましたねえ」

ほむら「破るつもりはないわよね?」

さやか「そうだね。こうして生き残れたわけだし」

さやか「……いつ氏ぬかもわからないし」

さやか「……さすがに逃げられないね」

……どうやら首根っこはつかまなくてもよさそうだ

41: 2013/12/13(金) 17:34:46.13 ID:+GaFnefM0
さやかside

さやか「それで、次の日に仁美からの呼び出しねえ」

さやか「タイミング良すぎない?」

仁美「……」

さやか「いくらあたしでもわかっちゃうんだよね」

さやか「あんたたちがグルだったってこと」

さやか「仁美が今まで告白しなかったのは、ほむらに止められてたからだね?」

仁美「……ええ」

さやか「あたしがそういうの大嫌いだってこと、知ってるよね?」

仁美「……ええ」

42: 2013/12/13(金) 17:37:00.91 ID:+GaFnefM0
さやか「じゃあ、なんでそんなことしたわけ!?」

仁美「……知ってしまったからです」

さやか「はあ?何を?」

仁美「あなたが魔法少女だということを」

……!?

……

……

さやか「ほむら……!?」

仁美「いえ。過去に一度勧誘を受けたことがあるというだけです。もう素質はありません」

仁美「……愚かなことに、上条君の怪我が治癒して初めて気づきました」

さやか「……魔法少女のなれの果てのことも知ってるの?」

仁美「……ええ」

さやか「……だから告白をやめたってわけだ」

仁美「……はい」

43: 2013/12/13(金) 17:39:29.08 ID:+GaFnefM0
さやか「……許せることじゃない」

仁美「……わかってます」

さやか「……て言っても……私はどんな結果になっても受け止めるって言っても……そんなこと言える資格ないんだよね」

さやか「ほむらと魔女から重々教えられたし」

さやか「納得いく話じゃないけどさ」

仁美「……?」

さやか「……こっちの話」

さやか「まあ、そういうわけでさ、これは水に流すから」

さやか「だから仁美が先に告白して」

44: 2013/12/13(金) 17:41:27.16 ID:+GaFnefM0
仁美「やはりそう来ますか」

さやか「当たり前じゃん。こんなお膳立てごめんだよ」

さやか「てかこうなることわかってたよね?」

さやか「わかんないな。先に告白したければすればよかったのに」

さやか「ほむらと協定結ぶ義理なんてないでしょうに」

さやか「なんでこんな回りくどいことしたの?」

仁美「さやかさんに先んじようという小細工ではありません」

仁美「……私は、さやかさんに恋の告白以上の告白を求めているんです」

さやか「……は?」

45: 2013/12/13(金) 17:42:02.21 ID:+GaFnefM0



「魔法少女であることの、告白」



46: 2013/12/13(金) 17:44:08.94 ID:+GaFnefM0
さやか「……なに、言ってんの?」

仁美「本当は私がとやかく言うことじゃないんだとわかっています」

仁美「だけど、上条君には知る義務がある」

さやか「ないよ!あたしが馬鹿やったってだけじゃん!」

さやか「なんで恭介を巻き込まないといけないの!?」

仁美「あなたは馬鹿なんてしていません!正しいことをしたんです!世界の誰よりも正しいことを!」

さやか「恭介に言えないことが正しいわけがない!」

仁美「だからこそ言えと言っているんです!」

さやか「あたしの勝手でしょうが!」

47: 2013/12/13(金) 17:46:05.84 ID:+GaFnefM0
仁美「……言いますよ?」

さやか「……は?」

仁美「私が、上条さんに、告白する前に、魔法少女のことを」

さやか「……ハッ。言えばいいじゃん!」

さやか「そんなファンタジックなこと、告白する前に言えるもんなら言ってみなよ!」

さやか「あらかた誰が魔法少女か見当ついてるだろうけど、そのことであんたに協力する人なんかいないんだ!」

さやか「証明できるわけがない!」

仁美「それは問題になりませんよ?」

さやか「問題でしょうが!あんたが頭イカれたって思われるのがオチだよ!」

48: 2013/12/13(金) 17:47:05.02 ID:+GaFnefM0
仁美「上条君も疑問に思っているんですよ?不治と言われていた怪我が事故前の状態に戻ったことに」

さやか「……!」

仁美「治ったと同時にお見舞いに行くのをやめましたね?」

仁美「これを結び付ければ、証明手段がなくても信じさせるのは困難ではありません」

……仁美が言う、ってこともあるか

……仁美がおかしくなったって考えるよりは―――

49: 2013/12/13(金) 17:50:16.41 ID:+GaFnefM0
さやか「……ねえ、仁美、あんたわかってんの?」

さやか「あたしが魔法少女だって伝えることは、あたしが化け物だって伝えると同時に」

さやか「恩を押し売りするってことでもあるんだよ?」

仁美「わかってますよ」

仁美「さやかさんがその両方を恐れているということも」

さやか「……この頑固者め」

仁美「あなたに言われたくはありません」

仁美「……さやかさん、上条君を信じてくれませんか?」

仁美「あの方なら、全部受け入れてくれると思うんです」

さやか「……」

さやか「……信じる、か」

50: 2013/12/13(金) 17:52:02.83 ID:+GaFnefM0
ほむらはあたしたちを信じてくれた
だから、あたしは、今、ここにいる

今度はそのバトンを恭介に預ける時なのかな……

51: 2013/12/13(金) 17:53:41.48 ID:+GaFnefM0
さやか「……そうかもね」

さやか「全部黙ってるなんて、都合よすぎたかもね」

さやか「わかった。だからさ」

さやか「仁美も一緒に告白して」

仁美「……」

さやか「これだけは譲れない」

仁美「……」

さやか「信じてくれないかな、仁美も、あたしのこと」

仁美「……そんなこといいつつ、玉砕して私が成功したら大荒れになるのがさやかさんですわ」

さやか「……」

仁美「だけど、私が身を引いても荒れるのがさやかさんですからね」

仁美「ええ。信じるしかなさそうです」

52: 2013/12/13(金) 17:57:45.03 ID:+GaFnefM0
そのあと約束した通り、あたしたちは恭介にすべて告白した

恭介は、あの時僕が荒れたせいだと言ったけど
あたしは、本心を打ち明けてくれてうれしかった、と答えた


恭介の答えは、保留だった
肩すかしみたいだけど、そりゃ、人間が処理できる情報じゃないもんね、あんなの

拒絶されなかったというだけであたしは有頂天だった
そう遠くないうちに答えをだすとは約束してくれたし
それまで、また仁美と競争だね

その後、仁美を含めたみんなは、早く答えをださないとさやかちゃんその前に氏んじゃうかもですよ?なんて恭介に圧力をかけるようになった
……やめてほしい

53: 2013/12/13(金) 17:59:03.21 ID:+GaFnefM0
あと、蛇足ついでにそれからの日々について少し

ほむらと杏子は再度マミさんに弟子入りした
ほむらは前に言った通り、杏子は先の一件で回復魔法の重要性を痛感したから
杏子がアルバイトをする余裕ができるまでにはまだまだ時間がかかりそうだ
あたしは、忙しい三人の魔女狩りとまどかの障壁作りを担っている

正直みんなそれぞれ色々きついけど、なんといってもまどかを守るためにみんな無事できなきゃいけないわけだからね
張りが出るってもんですよ


さて、それでは、見滝原は今日、遠くまで見渡しても雲一つない快晴だという気象情報をお伝えして
この物語を終わらせようと思う

54: 2013/12/13(金) 18:00:19.36 ID:+GaFnefM0
もちろん物語が終わっても、あたしたちは終わらない

これから先、この生活がいつまで続くかはわからない
近いうちに唐突にバッドエンドを迎えるかもしれないし、案外引き伸ばされた末にハッピーエンドで締められるかもしれない

だけどこれは、ほむらにとっては想像することも許されなかった生活だから
あのまどかがついに実現させた時間軸だから
あの魔女と、後悔しないと一方的に約束したから
あたしはできるだけながーく続ける気満々なのです

一度氏んだ身だし最後にみんなを守って逝けたらまあオッケーかな、なんて考えてるわけだけど
こんなこと話したらみんなに怒られるから今は置いとく

みんなも同じ気持ち
この日々を長く続けるためならば
運命の一つや二つ、いくらでも捻じ曲げて見せる

なんて言っても―――

55: 2013/12/13(金) 18:00:54.70 ID:+GaFnefM0




――――あたしたちは魔法少女だから




56: 2013/12/13(金) 18:03:59.69 ID:+GaFnefM0
というわけでこれにて終了です
HTML申請しておきます

さやかちゃんが契約前に全部(SG魂化、魔女化、仁美告白)知った上であれこれ考えるSSが少ない!
→自分で書けばいいじゃない!で始めたSSでした

誤字脱字、多発するミス、仁美関連の盛大なやらかしなど、紆余曲折ありましたが
こうして締められたことにホッとしています

57: 2013/12/13(金) 18:12:21.75 ID:+GaFnefM0
PS

仁美には色々押し付けちゃったかなって反省してます

64: 2013/12/13(金) 21:26:49.69 ID:Z8EUIrZw0

面白かった

引用: まどか「希望は残っているんだよ。どんな時にもね」ほむら「2」