3: 2018/03/30(金) 00:03:05.02 ID:guSn0Z3h.net
 そのまんまアトリエネタ

 オトノキアカデミーからやってきた一人の女の子があれこれするほのぼの物語
 
映画『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 完結編 第2章』(特装限定版) [Blu-ray]
4: 2018/03/30(金) 00:04:16.07 ID:guSn0Z3h.net
梨子「ハァ、ハァ……水……」フラフラ


 彼女は今作の主人公 桜内梨子ちゃんです


梨子「あ、町が見えてきた……これで……」フラッ


 バタッ


梨子「………………」


 しかしさっそく氏にかけているようです
 

5: 2018/03/30(金) 00:04:53.10 ID:guSn0Z3h.net
善子「ん? 誰か倒れてる……」

梨子「…………」

善子「行き倒れかしら?」ツンツン

梨子「ぅぅ………」

善子「しょうがないわねぇ…」グイッ


――――――
―――
 

6: 2018/03/30(金) 00:05:26.01 ID:guSn0Z3h.net
梨子「う…………」


善子「あら、目が覚めたのね」

梨子「あれ…ここは……?」ヨロ

善子「私の家よ。あなた町の入り口で倒れてたのよ、覚えてる?」

梨子「あ、はい……すいません、ご迷惑を…」

善子「いいわよ、はい、これでも飲んでなさい」

梨子「これは…?」

善子「ミスティカティよ、知らないの?」

梨子「あ…いえ、でも私の知ってるミスティカティと少し色合いが違うなって…」

善子「アレンジしてあるからね、元気になるわよ」
 

8: 2018/03/30(金) 00:06:15.61 ID:guSn0Z3h.net
梨子「わぁ、おいしいー」コクコク

善子「でしょ?」

梨子「ホントにありがとうございます」

善子「構わないわよ。それよりあなた町では見かけない顔よね、どこからきたの?」

梨子「えっと、オトノキアカデミーです」

善子「あらそうなの。あ、もしかして卒業試験?」

梨子「知ってるんですか?」

善子「この町にも試験真っ最中の子がいるからね」

梨子「そ、そうなんですか」ガバッ…
 

9: 2018/03/30(金) 00:07:02.38 ID:guSn0Z3h.net
梨子「って、な、なな、なん…!?」


 梨子ちゃんは全裸でした


梨子「わた、私の服!? なんで?」ワタワタ

善子「ああ、ボロボロだったから」

梨子「だからって、ああもう…」

善子「卒業試験ってことはこれから役場に行くのでしょう?」

梨子「そうですけど……」

善子「だったらあんなカッコはダメよ、これをあげるから着ていきなさい」


 梨子ちゃんは祝福の衣を頂いた
 

10: 2018/03/30(金) 00:07:41.14 ID:guSn0Z3h.net
梨子「これけっこう上物じゃないですか?」

善子「うん」

梨子「ありがたいのですけど…まだそんなにお金は……」

善子「いいわよ、あげる」

梨子「え? でも……」

善子「別にお金以外を要求するつもりはないわよ、ただ応援したいだけだから」

梨子「応援?」


善子「私はすべての錬金術師の味方なの」
 

11: 2018/03/30(金) 00:08:20.65 ID:guSn0Z3h.net
梨子「あ、あなたは一体……」

善子「私は堕天使……堕天使ヨハネよ!」バッ


 津島工具店 店長津島善子ちゃん 錬金術師を目指していたけ過去あり


梨子「ありがとう、津島さん」

善子「ヨハネだってば!」

梨子(店の看板に津島工具店、店長津島善子って書いてあるけど…まぁいいか)


 梨子ちゃんは善子ちゃんにお礼をし、街の役場を目指します


梨子(大きい町ね…慣れるまで慎重に……)


 梨子ちゃんは5分で迷子になりました


梨子(あれ、この通りはさっき見たような……あれー?)
 

12: 2018/03/30(金) 00:09:33.50 ID:guSn0Z3h.net
花丸「どうかしたずらか?」

梨子「え?」

花丸「見ない顔だね、観光客?」

梨子「あの、私さっきこの街にきたばかりで……」

花丸「おのぼりさん?」

梨子「おの……」


 梨子ちゃんは田舎者扱いされると怒ります


梨子「確かにここはそこそこ大きい町みたいだけど、オトノキアカデミーだって…」

花丸「はいはい、それよりどこに行きたいの?」

梨子「え…あっと、役場に……」

花丸「ふむ、じゃあこの道まっすぐ行けば立て看板があるからそれに従っていけばいいずら」

梨子「そうなんだ……」
 

13: 2018/03/30(金) 00:10:18.82 ID:guSn0Z3h.net
花丸「ん、なんならおらが案内してあげようか?」ニヤ

梨子「結構です! あ、ありがとうっ!」ダッ


花丸「ふむ……この時期に来るという事は、また後で会いそうずらね~♪」


 親切な人のおかげで梨子ちゃんはようやく町の役場に辿り着く事が出来ました


梨子「ここね、ヌマヅタウンホール。大きい建物ねー」

 ギイィィ…

梨子「すいませーん」

曜「はーい」
 

14: 2018/03/30(金) 00:11:35.00 ID:guSn0Z3h.net
花丸「ん、なんならおらが案内してあげようか?」ニヤ

梨子「結構です! あ、ありがとうっ!」ダッ


花丸「ふむ……この時期に来るという事は、また後で会いそうずらね~♪」


 親切な人のおかげで梨子ちゃんはようやく町の役場に辿り着く事が出来ました


梨子「ここね、ヌマヅタウンホール。大きい建物ねー」

 ギイィィ…

梨子「すいませーん」

曜「はーい」
 

15: 2018/03/30(金) 00:12:32.33 ID:guSn0Z3h.net
梨子「あの、私オトノキアカデミーから来ました桜内です」

曜「ああ桜内さんね、連絡はきてるよ~」

梨子「はい」

曜「卒業試験のために自立して工房を3年間運営するんだって?」

梨子「そうなんです」

曜「すごい伝統というか、おもしろいことしてるねーオトノキって」

梨子「はぁ……」

曜「2年前にも一人卒業試験だって子が来てね、まだがんばってるよ」

梨子(そんな話も聞いた事があったような……)

曜「とりあえずこの書類にサインして~」サッサッサッ

梨子「え、こんなに?」
 

16: 2018/03/30(金) 00:13:37.20 ID:guSn0Z3h.net
曜「住民登録のほかにオトノキから給付金でてるのと、保険と…あと家屋の使用申請と…」

梨子「は、はあ……」


 梨子ちゃんがたくさんの書類にサインしている頃には陽は傾いていました


曜「それじゃこれがこの街の全体地図と、周辺の簡単な地図ね」

梨子「ありがとう」ツカレタ…

曜「もしウチウラに行く用事がある時はキャラバンが出てると思うからそれを利用してね」

梨子「はい」

曜「んで、これがお家の鍵ね。電気水道はもう通ってると思うよ」

梨子「はあ、ようやく休める……」

曜「工房を開くってことは、お仕事とかもするんでしょ?」

梨子「はい、そのつもりです」

曜「それなら街の中心にある宿屋兼大衆酒場に行くといいよ」

梨子「酒場ですか…」

曜「この街の情報はだいたいそこで手に入るし、求人が張られてる事もあるからね」
 

17: 2018/03/30(金) 00:14:57.68 ID:guSn0Z3h.net
梨子「あー…すっかり日も暮れてる……」


 梨子ちゃんは地図と家の鍵と1000G手に入れた


梨子「私の家は……あ、ちょうど街の中心を通るのね……あ…」グー


 ハラペコ梨子ちゃんは酒場で晩御飯を食べようと足を運びました


梨子「それにしてもこの街……」

 ザワザワ… ガヤガヤ…

梨子「活気があって……ん、いい街だわ……」
 

18: 2018/03/30(金) 00:15:46.99 ID:guSn0Z3h.net
梨子「ここね、確かにすごい人だわ……」


 - 十千万旅館 & 酒場クニッキー -


梨子「とりあえず酒場のほうに……」キィ

 ガヤガヤ…

梨子「わぁ、繁盛してるのねぇ……」

花丸「いらっしゃいま~せ~ずらっ」

梨子「あれ、あなたさっきの?」

花丸「やっぱり来たね」クスクス
 

19: 2018/03/30(金) 00:16:23.54 ID:guSn0Z3h.net
花丸「カウンターしか空いてないけどいい?」

梨子「一人だしいいですよ」

花丸「はこれメニューね。お酒飲む?」

梨子「お、お酒はいいです。それより食べ物を……」グー

花丸「んふっ、だったらおらのおすすめがあるけど?」

梨子「正直どんなメニューがあるのかわからないので、それでお願いします」

花丸「はーい、ピルツ定食一つ~~」


<ハイヨー!


梨子「あなたここの店員さんだったのね」

花丸「ん、店員というかまぁ……関係者ではあるずら」
 

20: 2018/03/30(金) 00:17:13.81 ID:guSn0Z3h.net
梨子「私今日からこの町でお世話になる、桜内梨子です。よろしくね」

花丸「梨子ちゃんか、可愛い名前ずら。マルは国木田花丸」

梨子「花丸さんね」

花丸「さんはいらないよ、たぶんマルのほうが年下だと思うし」

梨子「そうなの?」

花丸「梨子ちゃん、アカデミーの卒業試験で来たんでしょ?」

梨子「え、知ってるの?」

花丸「この時期に地方からくる女の子の一人旅って、ほぼほぼそれだからね」

梨子「そういえばこの町で今も卒業試験に臨んでる人がいるって…」

花丸「いるねー」
 

21: 2018/03/30(金) 00:18:13.39 ID:guSn0Z3h.net
梨子「エリーのアトリエ?」

花丸「工房の名前ね。そこの主は絢瀬絵里ちゃんって子ずら」

梨子「私の先輩なんだよね……名前は聞いた事ないかな」

花丸「2年前にこの街にきて工房を開いてね、今じゃこの街でも1、2を争う人気の工房ずら」

梨子「すごいですね…」

花丸「梨子ちゃんも明日からがんばるなら、ちょくちょく酒場には顔をだしておくといいよ」

梨子「情報…ですか?」

花丸「それもあるけど、単純に顔を知ってもらえるのが一番の理由かな。あっちの席に男性が3人いるでしょ?」

梨子「えっああ…そうですね」

花丸「あの3人は左から古美術商の店主、診療所の先生、網元の頭目ずら」

梨子「すごい面子なんですね」

花丸「この酒場では簡単なものからそこそこ大きい求人募集まで出したりしてるけど、あの3人からもちょくちょく貰ってるずら」

梨子「なるほど……」
 

23: 2018/03/30(金) 00:19:34.78 ID:guSn0Z3h.net
花丸「梨子ちゃんも仕事をしていくのなら知名度は大事になるずらよ」

梨子「そうですね、ありがとうございます」

花丸「ま、わかんない事があったらマルに聞きに来るといいずら」

梨子「これからお世話になると思います」


 その後梨子ちゃんはピルツ定食でお腹いっぱいになり満足して酒場を出ました


梨子「わー、もう真っ暗ね…」


 街灯を頼りに夜の街を歩く梨子ちゃん
 5分ほどして迷子になりました
 

24: 2018/03/30(金) 00:20:35.35 ID:guSn0Z3h.net
梨子「あれー…地図だとこの辺りに家屋があるはずなんだけどなあ……」トボトボ

善子「おやそこにいるのは新米錬金術師さん?」

梨子「ひゃうっ…って、津島さん?」

善子「ヨハネよ! こんなところで何してるの?」

梨子「ええっと……」


 梨子ちゃんは素直に迷子になった事を伝えて助けを乞いました


善子「ふと気づいたんだけど…」

梨子「ん?」

善子「オトノキからここまでってそんなに複雑な道筋でもないわよね」

梨子「は、はぁ…」

善子「それなのに行き倒れになるまで疲弊して辿り着いたって……もしかして……」

梨子「///」


 梨子ちゃんは方向オンチでした
 

25: 2018/03/30(金) 00:21:46.61 ID:guSn0Z3h.net
善子「ここね」

梨子「ありがとう……」

善子「そっか、ここの工房をあなたがね……」

梨子「?」

善子「なんでもないわ、それより明日からがんばんなさいよ」

梨子「ホントに色々ありがとう、津島さん」

善子「ヨハネだってば!」


 梨子ちゃんは善子ちゃんにお礼をし、ようやくお家に辿り着く事が出来ました
 

27: 2018/03/30(金) 00:23:22.73 ID:guSn0Z3h.net
梨子(どんなところなのかな、ちょっと楽しみ…)

 ガチャ… ギイィ……

梨子「…………」


 期待に胸膨らませる梨子ちゃんでしたが、現実は厳しいものでした


梨子「なに、これ……」


 室内は荒れ果てていて、廃墟も同然でした
 いくつか確認できる錬金術に必要な道具も散乱し、壊れている物もありました


梨子「けほっ、埃もすごい……これじゃとても使えないよ…」


 かろうじて設置されていた電灯を点けると、室内の荒れ具合がよくわかりました


梨子「これじゃ、明日は一日掃除して終わりかな…」
 

28: 2018/03/30(金) 00:24:25.53 ID:guSn0Z3h.net
 ガチャッ


梨子「う、寝室……よね、ここ……?」


 工房の状況からも予想していた通り、寝室も埃まみれでした


梨子「家具一式そろってるっていうから荷物は軽い物しか持ってこなかったのに…ハァ」


 梨子ちゃんは終始グチを漏らしながら備え付けのベッドを掃除、持参した毛布一枚で就寝しました

 桜内梨子の卒業試験『校外での錬金術実習』はこうして始まったのでした
 

29: 2018/03/30(金) 00:25:24.87 ID:guSn0Z3h.net
 カランコローン

善子「いらっしゃいまーせ~」

梨子「こんにちはー」


 翌日梨子ちゃんは朝一で津島工具店に買い物に来ました(若干迷いながら)


善子「あら昨日の……」

梨子「おはようございます、昨日はお世話になりました」

善子「構わないわよ。それで、何かお買い物?」

梨子「えぇ…えっと……」

善子「ふふっあなたが何を求めているか、この紅朱の魔眼を通して当ててみせましょうか…」スッ

梨子「はぁ…」


善子「ズバリ、あなたが探しているのはこれね!」


 お掃除道具一式
 

30: 2018/03/30(金) 00:26:58.62 ID:guSn0Z3h.net
梨子「え、すごい…それです、どうして?」

善子「ふふ、この堕天使ヨハネに見えないものは無いのです」

梨子(もしかして本物なのかな?)

善子「言ったと思うけど、私は錬金術師の味方よ」

梨子「そういえばそうでしたね…」

善子「ってことで、特別料金で売ってあげるわ」ビシ

梨子「ありがとう、津島さん」

善子「ヨハネよ!」

梨子「ありがとう、ヨハネさん」

善子「ん……わ、わかればいいのよ///」


 梨子ちゃんはお掃除道具一式を購入しました
 

31: 2018/03/30(金) 00:28:22.93 ID:guSn0Z3h.net
善子「それとうちの店には錬金術に使う道具等も色々取り揃えているから、よければ買っていってね」

梨子「そうみたいですね、すごい品揃え」


 津島工具店には錬金術で使う基本的な道具から、プロ用の一級品まで置いてありました
 しかし当然、それらの物は値段もお高いのでした


梨子(でも今あるお金である程度の環境を整えるのが先だし、無理に買えないなぁ…)チラ

善子「?」

梨子(ああでも、あのろ過機、3層構造の最新モデルか…欲しいなぁ…)

善子「………」

梨子(あっちの棚にあるのって、ときめき分類学の本……)

善子「………」

梨子(んー…一週間の食費を切り詰めれば……)
 

33: 2018/03/30(金) 00:29:23.90 ID:guSn0Z3h.net
善子「これが欲しいの?」ガタッ

梨子「えっ!? あ、いや……はい……」

善子「なかなかお目が高いって言いたいとこだけど、生活が安定するまでは厳しいんじゃない?」

梨子「そうですね……またにします……」

善子「…………」

梨子「………ハァ」

善子「そ、そんなに落ち込まなくても」

梨子「ああいえ、そういうわけじゃ…」

善子「…………」

梨子「…………」
 

34: 2018/03/30(金) 00:30:19.42 ID:guSn0Z3h.net
善子「いいわ、このろ過機安くしてあげる」

梨子「えっ……で、でもこれ最新の……」

善子「勿論ただ安くするわけじゃない。仕事を受けてくれたらの話よ」

梨子「仕事ですか…」

善子「立派な錬金術士を目指すんなら丁度いい内容なんだけど、どうする?」

梨子「や、やります!」


 梨子ちゃんは最新モデルのろ過機の魅力に、二つ返事で引き受けました
 

36: 2018/03/30(金) 00:31:45.49 ID:guSn0Z3h.net
梨子「蒸留水ですか?」

善子「そうよ、生活の必需品でもあり錬金術の初歩でもある蒸留水の製作依頼が仕事よ」

梨子「わ、わかりましたっ! がんばります」

善子「近くの川の場所はわかる?」

梨子「地図を頂いたのでなんとか」

善子「それじゃー…えっと、期日は10日、必要数は…これだけあればいいわ」サッ

梨子「え……こ、こんなに?」

善子「最新のろ過機を安くしてあげるんだから、これくらいはがんばってよね」

梨子「うぅ……が、がんばります……」

善子「基礎中の基礎だけど、品質によっては少し色をつけてあげるわ」

梨子「それはとてもたすかるのですけど……どうしてそこまで?」


善子「言ったでしょ、私は錬金術師の味方だって」
 

37: 2018/03/30(金) 00:32:55.47 ID:guSn0Z3h.net
 当面の目標とお仕事を頂いた梨子ちゃんですが、今日はそれより優先する事がありました


梨子「掃除……一日で終わるかな……」

梨子「でも、ようやく始まった卒業試験だし、弱音を吐いてる場合じゃないよね」グッ


 改めて気合を入れなおす梨子ちゃんにお客さんが来たのはお昼を過ぎた頃でした


 コンコンッ

梨子「ん、はーい!」ガチャ

梨子「あれ、誰もいない?」

 チョイチョイ…

梨子「ん、下……あっ!」
 

38: 2018/03/30(金) 00:33:41.50 ID:guSn0Z3h.net
りん「こんにちー」

ぱな「はじめましてです?」


 そこにいたのは梨子ちゃんの膝くらいまでの小さな生き物、妖精さんでした


梨子「え、うそ…本物の妖精さん!?」パァッ

りん「ぎょい」

ぱな「ごきんじょつきあいするです?」

梨子「はわ、か、可愛い~」
 

39: 2018/03/30(金) 00:34:30.87 ID:guSn0Z3h.net
 錬金術師の元にやってきては身の回りのお世話やおつかいをしてくれる妖精さん
 授業で聞いていただけで、初めて本物を目にした梨子ちゃんは感動します


梨子「あれ、でも妖精さんって妖精の腕輪を持ってる者のところにしかこないって…」

りん「たんちき」

ぱな「このおうちからうでわのはんのうするです?」

梨子「え、そうなの?」

梨子(まだ細かいところまで見れてないけど、前に使ってた人のがあるのかな?)

 チョイチョイ…

梨子「ん?」

りん「ごけーやく」

ぱな「きゅうじんばいりつはいかほどです?」
 

40: 2018/03/30(金) 00:35:20.33 ID:guSn0Z3h.net
梨子「け、契約って…あ、そうか……」

梨子(錬金術には時間が多くとられることもあるから、細かい作業から雑用はお手伝いさんにって授業で…)

りん「♪」クルクル

ぱな「~♪」クルクル

梨子(でもまだ普通の生活も安定していないのに雇うなんて余裕は……)チラ

ぱな「?」ニコニコ


梨子「はわぁ~可愛い~」
 

41: 2018/03/30(金) 00:36:07.05 ID:guSn0Z3h.net
りん「ごけつだん」

ぱな「しょるいにはんこおすです?」

梨子「うぅ……雇いたいけど、まだお金に余裕がなくて……ごめんなさい」


りん「……せちがらいよのなか」ショボン

ぱな「しゅうしょくなんみんです?」ショボーン

梨子「ううっ」ズキズキ…

 クル トボトボ…

梨子(あぁ…もしかしたらこんな機会もうないのかも……!!)
 

42: 2018/03/30(金) 00:36:56.86 ID:guSn0Z3h.net
 梨子ちゃんはわりと出たとこ勝負でした


梨子「ま、まって妖精さん!」

りん「?」

ぱな「?」

梨子「け、契約します! だからお手伝いしてください!」

りん「!」

ぱな「ごりようはけいかくてきです?」

梨子「だ、大丈夫! なんとかなります!」グッ

梨子(妖精さん二人くらいならなんとかなるよね?)
 

43: 2018/03/30(金) 00:38:13.77 ID:guSn0Z3h.net
りん「けいやくかんりょう」クルクル

ぱな「いしょくじゅうがやくそくされたです?」

梨子「ふふ、可愛いなあ」

りん「さっそくとりぷるあたっく」

ぱな「ぜっこうのおひろめびよりです?」チョイチョイ

梨子「……ん?」

 ヒョコッ

梨子「え、まだいたの!?」

まき「……」ムスッ

梨子(な、なんか睨んでる……でも)

梨子「可愛い~」
 

44: 2018/03/30(金) 00:39:46.31 ID:guSn0Z3h.net
まき「まき」ムスッ

りん「り~ん」クルクル

ぱな「ぱな~」フワフワ


梨子「おお、か、かわいい決めポーズ!」

梨子(でもあの子だけ目つきわr……するどい)

梨子「というか、今のがあなた達のお名前でいいのかな?」

りん「こうてい」

ぱな「すえながくよろしくです?」

まき「………」ムスッ
 

45: 2018/03/30(金) 00:40:42.18 ID:guSn0Z3h.net
 妖精さんを雇った梨子ちゃんは手始めに工房の掃除をお願いしました
 そして出来た時間を利用し、仕事である蒸留水制作に努めます


梨子「えっと、これで準備はいいかな…」ガサッ

ぱな「おでかけです?」

梨子「ちょっと近くの川に水を汲みに行ってくるだけだよ」

ぱな「おてつだい?」

梨子「大丈夫よ水汲みだけだから。それよりもお家のお掃除お願いね?」

ぱな「おまかせあれです?」


 水汲みにでかけた梨子ちゃんが迷子となり、生き倒れているところを発見されたのは三日後の事でした
 

46: 2018/03/30(金) 00:45:33.55 ID:guSn0Z3h.net
 -梨子ちゃんの部屋

善子「まったくなにやってんだか……」

梨子「うぅぅ……ごめんなさ~い……」

善子「ちゃんとやってるか様子を見に来てみれば、妖精が部屋で踊ってるんだもん」

ぱな「そうさくだんすです?」


 妖精さんはお仕事が終わり、することがなくなるとみんなで踊りだすのだ!


善子「で、あなたがどこに行ったか聞いて見れば水を汲みにいったって言うじゃない。三日前に」

梨子「あは…は……」

善子「絶対なにかあったと思って捜索隊に連絡したら、隣町の畑に転がってたって……」

梨子「最後、トマトに囲まれて氏ぬんだなーって思いました」
 

47: 2018/03/30(金) 00:46:29.69 ID:guSn0Z3h.net
善子「方向音痴なのを自覚してるなら、誰かに同行してもらえばよかったじゃない」

梨子「地図だとすぐ近くにあるって思って……大丈夫だと思ったんです……」

善子「それで氏にかけてたんじゃしょうがないでしょ~」

梨子「まだここに来たばかりで、一緒に採取しに出かけてくれる知り合いなんていないし……うぅ」

善子「あーもう、泣かないの、ほら」グシグシ

梨子「ぅぃ……すいません……」ズビ…

善子「…………」
 

48: 2018/03/30(金) 00:47:51.40 ID:guSn0Z3h.net
善子「ちょっと待ってなさい、紹介状書いてあげるから」

梨子「紹介状?」

善子「町の自警団よ。依頼すれば採取にでかけるとき、護衛として雇う事ができるわ」

梨子「へー……あ、でも……」

善子「どうかした?」

梨子「雇うほどお金に余裕が……その…妖精さん雇ったし…」

善子「いきなり三匹も雇うからよ…」

梨子「それは…雇ったら増えたというか……」
 

49: 2018/03/30(金) 00:48:27.73 ID:guSn0Z3h.net
まき「………」ムスッ

善子「な、なんで睨んでるのよ…」

梨子「ああ、その子そういう目つきなんです。どうしたの?」

まき「………」スッ

善子「あら、パンとお水……これ、この子に?」

まき「………」コクッ

梨子「ありがとう、頂くね」

まき「………」ムスッ

善子「よくわかんない子達雇ったわねー」
 

50: 2018/03/30(金) 00:49:49.78 ID:guSn0Z3h.net
善子「とりあえず今日はこのまま寝てなさい。無理して体壊したら意味ないんだし」

梨子「はい……」

善子「それと、妖精に後で私の店にくるように言っといて」

梨子「えと、それは…?」

善子「さっき言ってた紹介状と、簡単なサポートをしてあげるわ」

梨子「うぅ……またお世話になってしまって……ほんとにありがとう…」

善子「その気持ちは依頼の達成と、出世払いでいいわよ」

梨子「が、がんばります…っ!」
 

51: 2018/03/30(金) 00:50:47.74 ID:guSn0Z3h.net
 その日は一日休む事にした梨子ちゃん
 そんな梨子ちゃんの元に善子ちゃんから届けられたものがありました


梨子「これ……最新式の、ろ過機……どうして?」

ぱな「おてがみあずかったです?」スッ

梨子「えっと…こっちは自警団への紹介状だね。それともう一通……」


 -ろ過機貸してあげるから、蒸留水の依頼とは別にろ過水の制作もよろしく!
  必要数は----で、期日は----。報酬はこのろ過機ね、がんばって!


梨子「……………」

ぱな「どうしたです?」

梨子「……ぅっ」ポロポロ

ぱな「ピィっ?」
 

52: 2018/03/30(金) 00:51:38.94 ID:guSn0Z3h.net
梨子「ご、ごめんね、大丈夫よ…」ズビ

ぱな「おからだおだいじにです?」

梨子「うん。ホント……がんばらないとね」


りん「ごはん」

まき「………」ムスッ

梨子「そうだね、ごはんにしようか」

ぱな「ぱな~♪」


 ぱなちゃんはごはんが大好きです
 

53: 2018/03/30(金) 00:52:51.82 ID:guSn0Z3h.net
 次の日から梨子ちゃんは気持ちを新たに、新生活をがんばります
 一度行った場所ということで水汲みを妖精さんに頼み、午前は依頼の蒸留水作りに専念します

 午後には町中で迷子にならないよう、まだ足を運んでいない場所を散策です


梨子「このあたりは市場なのね、おいしそうな匂いがする…」

「いらっしゃ~い、野菜買ってってー!」

「あら見ない顔ね。旅人さん?」

梨子「あ、先日この町に越してきました桜内です。よろしくお願いします」

「まぁ、あなたが噂の新人錬金術師さんね~」

「かわいいわ~」

梨子「え、噂…?」


 この町は古くから錬金術との繋がりがあるためか、錬金術師には皆親しみを持ちます
 そんな錬金術師の新人さんが来るとなるとその話は一日で町中に広まっているのでした
 

54: 2018/03/30(金) 00:53:55.63 ID:guSn0Z3h.net
「あんだこんな若いのにたいしだもんだでな」

「んだんだ」

梨子「ど、どうも……」


 きがつくと梨子ちゃんはおじいちゃんおばあちゃん達に可愛がられていました


「ほれ、これもお食べーさ」

梨子「ありがとうございます」

「ほんに立派だ。孫の嫁にこんけ?」

梨子「え、よ、嫁!?」

「べっぴんさんやし、かわいいひ孫が見たいのう」

梨子「あ、あの…それはちょっと……」

「えんきんじゅつゆーんで、わしの老眼治らんかの?」

梨子「遠近? それはちょっと違うような……あぁでも老眼鏡とかも作れたりするのかな…」

「んー、もうちょっと太らんと、丈夫な子生めんぞな」サワ

梨子「きゃっ! だだ、大丈夫です!」
 

55: 2018/03/30(金) 00:54:47.88 ID:guSn0Z3h.net
「こっちのもおいしいでよ」

「孫の嫁に…」

「えんきんじゅつでー…」

「ばあさんのケツはほんにようできとってのぅ…」

梨子「あうぅ……」


花丸「ほーら、じいちゃん達っ! 梨子ちゃん困ってるよー?」


梨子「はっ!?」

「おお、国木田さんとこの」

「花丸ちゃんじゃー」

「孫の嫁に…」

花丸「ばーちゃんとこのお孫さんはまだ5歳ずらよ」

梨子「え、そうなの?」
 

56: 2018/03/30(金) 00:56:30.99 ID:guSn0Z3h.net
花丸「基本は話半分に聞いてていいずらよ」

梨子「いいのかな、適当にあしらっちゃったけど」

花丸「若い子とお話しするのが好きなじいちゃん達ずら。また今度話相手になってあげてずら」

梨子「う、うん」

花丸「工房のほうはどう? 問題なくやれてる?」

梨子「ん、まだ慣れたとは言えないけど、お仕事も受けたし、がんばらないと…」

花丸「もう依頼を受けたんだ。どんなの?」

梨子「蒸留水とろ過水制作です。色々お世話になった方からの…」

花丸「へーそうなんだ。誰からとか…聞いてもいいずら?」

梨子「えっと…津島工具店のヨハネさんです」

花丸「ヨハ……ああ、善子ちゃんか……」
 

57: 2018/03/30(金) 00:57:20.21 ID:guSn0Z3h.net
梨子「ここに来たばかりの時に色々助けてもらって」

花丸「へー」

梨子「錬金術師の味方だって言って、ほんとにお世話になりっぱなしで…」

花丸「そう……善子ちゃんそんなこと……」

梨子「ん?」

花丸「んや、なんでもないずらよ。依頼がんばってね」

梨子「うん、ありがとう」

花丸「……………」
 

58: 2018/03/30(金) 00:58:32.73 ID:guSn0Z3h.net
 -それから数日後


梨子「よしっ、これで必要数の蒸留水は出来たかな」

りん「しゅくふく」

ぱな「おしごとぶじおえたです?」

梨子「ありがとう、みんなが手伝ってくれたおかげだよ」

まき「………」ムスッ

梨子「さて、まだろ過水の制作依頼があるけど、これはこれで先に届けに行こうかな」

ぱな「きじつないのうひん、しんらいどあっぷです?」

梨子「えっと、さすがに全部を一人で運ぶのは無理があるか……」
 

59: 2018/03/30(金) 00:59:35.50 ID:guSn0Z3h.net
梨子「まきちゃんりんちゃん、津島工具店まで蒸留水運ぶの手伝ってくれる?」

りん「ぎょい」

まき「………」ムスッ

梨子「ぱなちゃんはお留守番しててね」

ぱな「じたくけいびいんです?」

梨子「ふふ、まだ誰かくるなんてこともないけどね」ガチャ

ぱな「いってらっしゃいです?」
 

60: 2018/03/30(金) 01:00:30.29 ID:guSn0Z3h.net
梨子「これを届けたら今度はろ過水に必要な中和剤作らないと…」

りん「きそだいじ」

梨子「ホントだね。蒸留水は他にも使うからもっと必要だし、まだまだ落ち着くまで遠いなー」


まき「………」ムスッ

梨子「まきちゃんどうしたの? ん?」
 

61: 2018/03/30(金) 01:01:22.66 ID:guSn0Z3h.net
花丸「善子ちゃんだって未練あるずら!」

善子「ないって言ってるでしょ!!」


梨子「あれ、お店の前にいるのって、花丸ちゃんとヨハネさん?」

まき「………」ムスッ 


花丸「じゃあどうしてまだお節介続けるの?」

善子「お節介って…私はただ……」


梨子「あ、あれ……取り込み中かな?」
 

64: 2018/03/30(金) 01:03:03.39 ID:guSn0Z3h.net
花丸「そのために取り寄せてる器具だって……あ…」

梨子「こ、こんにちは……」

善子「あなた……」

梨子(見つかっちゃった…)


花丸「…………」

梨子「あ、あの……依頼の品を持ってきたんですけど…」

善子「そう…。店の中で待っててくれない?」

梨子「は、はい……いくよー」

まき「…………」ムスッ

りん「のうひんのうひん」
 

65: 2018/03/30(金) 01:03:59.84 ID:guSn0Z3h.net
梨子(なんだか穏やかじゃなかったけど…)


梨子「あ、まきちゃんこっちに置いて」

まき「………」ムスッ


善子「ご苦労様、今日持ってきたのは?」

梨子「あ、ヨハネさん……」

善子「…………なに?」

梨子「……ん、いえ……依頼されていた蒸留水です」

善子「そう……。どれどれ」

梨子(あんまり触れないほうがいいかな、さっきの事は……)
 

66: 2018/03/30(金) 01:04:44.71 ID:guSn0Z3h.net
善子「量は十分ね。品質は……んー…普通かなぁ」

梨子「……………」ドキドキ…

善子「まぁそれでも慣れない新生活の中じゃよくやってると思うわ」

梨子「………ッホ」

善子「うん、これでいいわ。ご苦労様」

梨子「あ、ありがとうございます」

善子「代金用意するからちょっと待ってて」

梨子「はい」
 

67: 2018/03/30(金) 01:05:21.38 ID:guSn0Z3h.net
りん「しょうだんせいりつ」

梨子「ふぅ……初めてのお仕事だったけど、うまくいってよかった」

まき「………」ムスッ

梨子「あ、まきちゃんも喜んでくれてるのね、ふふ」ナデナデ

まき「………///」ムスー


善子「お待たせ、これ代金ね」

梨子「ありがとうございます!」
 

68: 2018/03/30(金) 01:06:33.15 ID:guSn0Z3h.net
善子「それで、ろ過水のほうはどう?」

梨子「それはこれからすぐに…まずは材料確保から」

善子「蒸留石の採取場所は把握してる?」

梨子「近いところだと日時計の草原にあるということなので明日行こうかなと…」

善子「まさか一人で?」ジロ…

梨子「一人……と言いたいところですが初めていく場所なのでこのあいだ頂いた紹介状を使おうかなと」

善子「まぁそんなに遠い場所でもないし、一番暇そうなヤツに頼むといいわよ」

梨子「そういうものなんですかねぇ……」

善子「それと、依頼のための材料集めも大事だけど、これから先必要になりそうな素材はどんどん集めなさい」

梨子「んー…でも一度にカゴに入れて持ち運ぶにも限度があるし……」

善子「そこでこのビッグサイズの丈夫なカゴよ!」ドン
 

69: 2018/03/30(金) 01:07:14.01 ID:guSn0Z3h.net
梨子「す、すごい…これならたくさん採取できそう……」ゴクッ

善子「採取量の確保は大事よ。今ならこのお値段だけどどう?」スッ

梨子「…………高い」

善子「このサイズだもん、当然よ」

梨子「うぅ……さすがに今無理して買うと生活に支障がでそうなのでやめておきます…」

善子「そう。まぁまだ在庫はあるから余裕ができたら買うといいわ」

梨子「そうします」
 

70: 2018/03/30(金) 01:09:23.83 ID:guSn0Z3h.net
 なんとか初めての依頼を達成し、気分のいい梨子ちゃんはそのまま外食コースです
 妖精さん達を先に帰し、酒場クニッキーに足を運びました


花丸「いらっしゃいま~せ~ずらっ」

梨子「こんばんはー」

花丸「梨子ちゃんいらっしゃい」ニコニコ

梨子(さっきと別人みたい……)

花丸「どうかしたずらか?」

梨子「い、いえ…」

花丸「テーブル席も空いてるけどどうする?」

梨子「私はカウンターで」

花丸「はーい、ではこちらへどうぞ~」
 

71: 2018/03/30(金) 01:10:27.42 ID:guSn0Z3h.net
梨子「ピルツ定食ください」

花丸「はーい。気に入ってくれた?」

梨子「はい、けっこう好きな味付けでした」

花丸「それは良かったずら。ちょっと待っててね~」タッタッタ

梨子(ヨハネさんと話してた事には触れない方がいいかな……)

花丸「あ、そうだ」ヒョコッ

梨子「は、はい!?」ビクッ

花丸「?」

梨子「い、いえ……なんでもないです」
 

72: 2018/03/30(金) 01:11:15.72 ID:guSn0Z3h.net
花丸「入り口横のボードに新しい求人札が貼ってあるから。よかったら見てみると言いずらよ」

梨子「求人札…?」

花丸「誰かに何か頼みたい時に人に向けた札を貼ってあるんだよ」

梨子「お仕事の依頼ですか?」

花丸「内容は様々だから料理が出来るまで見てみれば?」

梨子「そうですね、じゃあ……」

花丸「さっき更新したばかりだから複雑なものから簡単なものまでたくさんあるずらよ」

梨子「へー……」
 

73: 2018/03/30(金) 01:13:25.19 ID:guSn0Z3h.net
梨子「いろんな種類があるのねー……えっと…」

梨子「道具の制作依頼に素材の採取依頼か……あ、これ蒸留石の依頼とかもあるのね」

梨子「こっちは鋼やコメート納品……は、さすがにいい値段してるのね。でもちょっと今の設備じゃ厳しいかな…」


 梨子ちゃんはたくさん貼りだされている求人札をまじまじと見つめています
 集中して見ていたせいか、すぐ隣に人が立っているのにも気がつきませんでした


梨子「期日に余裕がありそうなのやってみようかな……えと、さっきの蒸留石の期日は…」スッ

 ペリッ

梨子「あ……」

??「ん?」


 梨子ちゃんが手に取ろうとした札を先に取ったのは隣にいた女の子でした
 梨子ちゃんよりも少し背が高い、金髪のすんげー美人さんと梨子ちゃんは目があります
 

74: 2018/03/30(金) 01:14:29.41 ID:guSn0Z3h.net
絵里「ごめんなさい、これ…あなたが?」

梨子「あ、いえ、どうぞ……」


 梨子ちゃんは金髪美女のオーラに圧倒されます


絵里「そう。なら頂くわね」

梨子「はい……」


梨子(わぁ……すごい綺麗な人だなぁ……)

絵里「んー……これもいけそうかなっ」ピッ

梨子(今のってグラセン鉱石の依頼だったような…すごいな、いけるんだ…)
 

76: 2018/03/30(金) 01:15:42.73 ID:guSn0Z3h.net
絵里「お、これもよさそうね……と、こっちも…」ピッ ピリッ

梨子「………」

絵里「んっと、後は……」

梨子(すごい、躊躇なく難しそうな依頼を一度に…この人は一体…)


??「あらエリーじゃな~い!」


梨子「?」

絵里「ん…」
 

78: 2018/03/30(金) 01:16:45.10 ID:guSn0Z3h.net
 梨子ちゃんが金髪美女に圧倒されてる横に、さらにもう一人の金髪美女があらわれました


鞠莉「ひさしぶりね~、元気だったー?」

絵里「鞠莉……」

梨子(わっ、またすっごい綺麗な人が……)


絵里「珍しいわね、あなたがこっちに来るなんて」

鞠莉「んー、たまには普通の依頼もやんなきゃね~と思ってたからね。エリーもそうでしょ?」

絵里「私は生活がかかってるのよ」

鞠莉「あれだけ稼いでおいてよく言うわね。まぁいいけどっ」


梨子「」ドキドキ

鞠莉「あら?」
 

80: 2018/03/30(金) 01:17:48.93 ID:guSn0Z3h.net
鞠莉「あなた見かけない子ね」ズイ

梨子「えっ、あ、は、はい…まだここにきたばかりで……」

絵里「…………」

鞠莉「ふむ………」ジー

梨子「……………」


鞠莉「なるほど、同業者さんね」

梨子「えっ?」

絵里「そうみたいね。もしかしてあなた、オトノキから来たの?」

梨子「ど、どうしてそれを……?」
 

81: 2018/03/30(金) 01:18:32.67 ID:guSn0Z3h.net
鞠莉「こんなにハッキリと妖精さんの香りをまとってたらわかるわよ」

絵里「今の時期にこの町に来る錬金術師なんて、それこそオトノキの卒業試験しかないだろうし…」

梨子「う…………」

鞠莉「じゃあこの子、エリーの後輩なんだ?」

絵里「私は初対面だけどね」

梨子(ん……先輩……エリー……?)


梨子「あっ、エリーのアトリエのエリーさん!?」

鞠莉「あら、後輩にまで名が知れ渡ってるようよ、エリーさん」

絵里「どんな広まり方をしてるのやら……」
 

82: 2018/03/30(金) 01:20:20.57 ID:guSn0Z3h.net
梨子「すごい! この町でも1,2を争う工房の錬金術師さんに会えるだなんて!」

鞠莉「だ、そうよエリーさん」

絵里「はじめて聞いたわそんなの」

梨子「わ、私桜内梨子といいます、よろしくお願いしますエリー先輩!」ペコッ

絵里「先輩って……別に私とあなたはそういうんじゃないけど……」

鞠莉「ふふ、可愛い後輩が出来て良かったじゃない? エリー先輩」

絵里「うっさい」

梨子「」キラキラ
 

83: 2018/03/30(金) 01:21:11.74 ID:guSn0Z3h.net
絵里「いちおう自己紹介しておくわ。私は絢瀬絵里。知っているようだけど、この町で卒業試験真っ最中よ」

鞠莉「もうとっくにクリア水準突破してるけどね」

梨子「す、すごい……」

絵里「3年もあるんだからそれくらいはね……で、こっちが…」

鞠莉「oh-私も紹介してくれるの?」

絵里「このうるさいのは小原鞠莉。たぶんあなたが言ってた1,2を争ってる相手よ」

梨子「え…?」

鞠莉「んふ、マリーのアトリエっていう工房をやってるの。よかったら今度いらっしゃい」

梨子「え、えええぇ!?」


 突如出会った二人の錬金術師。マリーとエリー
 この出会いが梨子ちゃんにとって多大な影響を与える事になるのを、梨子ちゃんはまだ知りませんでした
 

97: 2018/03/30(金) 23:07:55.12 ID:guSn0Z3h.net
花丸「そっか、二人とも来てたんだ」

梨子「あの二人は良く来るの?」モグモグ…

花丸「絵里ちゃんのほうは時折ご飯食べに来たり依頼を見に来たりしてるずら」

梨子「ふむ…」ムグムグ…

花丸「鞠莉ちゃんのほうは最近はめったに来ないかな。色々忙しいみたいだし」

梨子「マリーさんもやっぱりすごい人なの?」

花丸「すごいずらよ。遠方から鞠莉ちゃんを訪ねてくる人もいるし、国から依頼を受けたこともあるずら」

梨子「国から!? それって物凄い事じゃ……」

花丸「会ったらわかると思うけど、本人はあんな感じだからすごいっていうオーラはあんまりないけど」

梨子「そ、そんなすごい人だったなんて……」ズズ…
 

98: 2018/03/30(金) 23:10:17.66 ID:guSn0Z3h.net
花丸「でも、鞠莉ちゃんも絵里ちゃんも最初は今の梨子ちゃんみたいだったずらよ」

梨子「え?」

花丸「かけだしの頃ね。鞠莉ちゃんはこの町で5年、絵里ちゃんは3年目だけどみんないきなりすごかったわけじゃないずら」

梨子「…………」

花丸「だから梨子ちゃんも気負いしてないでがんばるずら!」

梨子「う、うん……だね」

花丸「…………」

梨子「とりあえず今出来る事を確実にやっていくしかないし、がんばる」

花丸「地道なのが一番ずらよ」

梨子「ありがとう、花丸ちゃん」

花丸「…………………善子ちゃんもその気持ちを思い出せば」ボソッ

梨子「ん?」

花丸「なんでもないずら」
 

99: 2018/03/30(金) 23:11:02.38 ID:guSn0Z3h.net
 妖精さんへのお土産も購入し、梨子ちゃんは帰路につきます
 さすがにこのあたりでは迷わなくなった梨子ちゃんですが、明日はまた新しい場所へでかけます


梨子「緊張してきたー……」

ぱな「じゅんびばんたんです?」

梨子「念のために色々持って行く予定だけど、あまり荷物を多くしても採取量が減っちゃうから…」

りん「りんきおうへん」

まき「…………」ムスッ
 

100: 2018/03/30(金) 23:11:43.72 ID:guSn0Z3h.net
 -翌日

 ろ過水の生成に必要な素材、蒸留石を求めて梨子ちゃんは日時計の草原に挑みます
 単独で採取に出かけて氏の淵を味わった梨子ちゃんは護衛を雇う事にします


梨子「ここね……自警団詰所」

 ギィ… バタン

梨子「ご、ごめんくださいーい…」

曜「はーい」トテトテ

梨子「あれ、あなた……」

曜「お、噂の新人錬金術師さんじゃん。どうしたの?」

梨子「えっと…町の外へ採取に出かけたいので、どなたか護衛をお願いしたいのですけど」

曜「護衛依頼ね、リョーカイ!」ビシッ

梨子(やっぱり、役場にいた受付さんよね?)
 

101: 2018/03/30(金) 23:12:32.14 ID:guSn0Z3h.net
曜「期間はどれくらい?」

梨子「往復で4日、予備日に1日つけて5日間の予定です」

曜「場所は?」

梨子「日時計の草原を予定しています」

曜「ふむ……」サラサラ…

梨子「いけるでしょうか?」

曜「ちょっとまってね、今人員の確認するから…あ、それと誰かからの紹介状とかある?」

梨子「あ、そういえばあります!」サッ

曜「それがあると初回割引が受けられるからね、はい確認するね」

梨子(そういうものだったのね、ヨハネさんありがとう)
 

102: 2018/03/30(金) 23:13:00.93 ID:guSn0Z3h.net
曜「ってこれ善子ちゃんのじゃん」

梨子「ご存じですか?」

曜「まあ…ね。そっか、善子ちゃんが……」

梨子(やっぱりみんなヨハネさんの事善子ちゃんって呼ぶのね)

曜「ちょっと待っててね」タッタッタ

梨子「あ……」


 受付の奥にひっこんだ曜ちゃんが戻ってきたのはそれから5分ほどしてからでした
 

103: 2018/03/30(金) 23:13:39.47 ID:guSn0Z3h.net
曜「お待たせ、じゃあ行こうか」

梨子「え?」

曜「日時計の草原、行くんでしょ?」

梨子「はい、だからそのための護衛を…」

曜「それは私が引き受けたから」

梨子「えっ!?」

曜「あ、私は渡辺曜。てきとうに呼んでくれていいよ」

梨子「ち、ちょっと待って、あなた受付さんじゃ?」

曜「受付兼傭兵、まぁ簡単に言うとなんでも屋みたいなもんだよ」

梨子「だ、大丈夫なの?」

曜「日時計の草原なら何度も行った事あるから平気だよ、さっ行こ!」

梨子「あ、待って~」


 こうして曜ちゃんを護衛に加え、梨子ちゃんは採取の旅にでるのでした
 

104: 2018/03/30(金) 23:15:12.71 ID:guSn0Z3h.net
 -日時計の草原


曜「はい、着いたよー」

梨子「はぁ、はぁ……ようやく……」

曜「梨子ちゃんはもうちょっと体力つけたほうがいいね」

梨子「よ、曜ちゃんが……タフなだけじゃ…」


 一緒に旅をする中で、二人は同年代ということもありすっかり仲良くなりました


曜「何言ってるの、採取時にそんなに疲れてたら満足な量は取れないよ?」

梨子「うぅ……」

曜「それに、錬金術師の中には自分用の装備を作って、戦いながら採取する人だっているんだよ」

梨子「そ、そうなの?」
 

105: 2018/03/30(金) 23:15:53.08 ID:guSn0Z3h.net
梨子「それって……あの…エリー先輩とかも、そうなの?」

曜「絵里ちゃん? ああそっか、梨子ちゃんもオトノキから来たんだったね。うん、そうだよ」

梨子「マ、マリーさんも?」

曜「鞠莉ちゃんは戦闘はしないかな。すっごく強い護衛の子がいつも傍にいるから」

梨子「そうなんだ……うぅ、がんばらないとダメかぁ……」

曜「体力だけならこうやって採取にでかけていれば自然とついてくると思うよ」

梨子「そうだといいんだけど……」

曜「戦う術は人それぞれ得意なものがあると思うから、自分に合ってるのを探すといいよ」

梨子「わかった~……」
 

106: 2018/03/30(金) 23:16:41.69 ID:guSn0Z3h.net
 休憩を挟み、梨子ちゃんの採取活動が始まります
 目的は蒸留石ですが、これから必要になるかもしれない素材は可能な限り集めます


梨子「蒸留石といっても、大きさは色々あるのねぇ…」ガラガラ…

曜「全部同じに見える…」

梨子「曜ちゃんは錬金術はやらないの?」ガラガラ…

曜「あー私そういう頭使うのって向いてないんだよね~」

梨子「そうなの? 曜ちゃんって器用になんでもやりそうなのに」

曜「そんなことないよー……どっちかというと、こういう……」スッ

梨子「え?」

 シュッ バキ!

曜「わかりやすいほうが好きだよ」
 

107: 2018/03/30(金) 23:17:29.62 ID:guSn0Z3h.net
 採取する梨子ちゃんの頭上に、いつのまにか怪鳥アードラが迫っていました
 しかしその嘴が梨子ちゃんに襲い掛かる前に、曜ちゃんの回し蹴りによってアードラは倒されます


梨子「い、いつのまに……」

曜「こいつらって上空から獲物目掛けて一気に急降下してくるからわかりにくいんだよね」

梨子「それをあっさり撃退するなんて…すごいんだね曜ちゃん……」

曜「ま、いちおう仕事だしね。なにはともあれ今日の晩御飯が手に入ってよかったよかった」

梨子「ん………え!?」

曜「やっぱり丸焼きが一番おいしいよね」

梨子「た、食べるの?」

曜「おいしいんだよ?」

梨子「おいしいって……でも……」

曜「それにアードラの羽根って確かいい素材になるんでしょ?」

梨子(あ……そういえば本で見た事あるかも…そうか、これが……)
 

108: 2018/03/30(金) 23:18:41.33 ID:guSn0Z3h.net
曜「でも梨子ちゃんが嫌ならこれはそのへんに捨ててくるけど…」

梨子「いいえ、しっかりと頂きましょう!」

曜「目がキラキラしてるよ?」

梨子「えっと、じゃあ私もう少し採取してるから、キャンプの準備お願いしていい?」

曜「オッケー、あでも、あんまり離れないでね、アードラ以外にも何かいる可能性もあるから」

梨子「素材自体は見える範囲にたくさんあるから遠くへはいかないよ」

曜「うん、それがいいね」


 無事に採取を終え、明日の朝に帰路につく梨子ちゃん達は最後のキャンプを楽しみます
 しかし夜も更けて周囲が闇に包まれる頃、梨子ちゃん達を取り囲む集団が迫っているのでした!
 

109: 2018/03/30(金) 23:20:59.05 ID:guSn0Z3h.net
曜「……………」パチ

梨子「すー……ん……」Zzz


 ザッザッザッ… ガサガサ…


曜「音たてすぎ、気配ダダ漏れ……素人集団かな?」ムクッ

梨子「うに……まきちゃんが笑ってるー……フヘヘ…」Zzz

曜「梨子ちゃん……梨子ちゃーん…」ユサユサ…

梨子「んん……曜ちゃん? どうしたの……」

曜「たぶん夜盗の類だと思うけど、囲まれてる」

梨子「えっ!?」バッ

曜「しー…大きな声ださないで。大丈夫、たいしたことない相手みたいだし」

梨子「で、でも……」
 

110: 2018/03/30(金) 23:23:19.02 ID:guSn0Z3h.net
曜「いちおう安全のためにここにいてね」

梨子「よ、曜ちゃんはどうするの?」

曜「ちょっといってお帰り頂くようにお願いしてくるよ」

梨子「お願いって……」

梨子(目が笑ってない……)

曜「でも夜盗……盗賊の類がこの辺に来るなんて珍しいな」

梨子「そうなの?」

曜「見ての通りこの辺りは自然ばかりで、旅人も通る場所じゃないからね」

梨子「素材目当てな私みたいなのしかこないと…」

曜「まぁそのへんの事情はこっちには関係ないけどね…よっ」バッ

梨子「き、気を付けてね…」

曜「大丈夫、この曜ちゃんにまかせなさい!」
 

111: 2018/03/30(金) 23:24:00.66 ID:guSn0Z3h.net
 曜ちゃんがすばやくテントから出ていくと同時に、周囲で騒ぎが起きました


「うわっ、こいつどこから!?」

 バキッ ドス  ドカッ

「くそ、見えねーぞ!」ブンッ

曜「夜目もきかないでよく襲撃しようとするもんだ」ササッ

 ドス ゴッ

「うろたえるな、相手は多くないぞ!」ブンブン

曜「一人だってーの」スッ

 ガッ ドカッ

「うがっ」
 

112: 2018/03/30(金) 23:25:01.94 ID:guSn0Z3h.net
梨子「だ、大丈夫かな……」コソコソ…

 バキッ  ドカッ

「うぐっ…」ドサッ

梨子「きゃっ!」

曜「梨子ちゃん、中入ってないと危ないよ!」


??「え…この声…!?」


「くそ、撤退だ! おい新入り、足止めしてこい!」

??「あ、あう……」

「はやくいけ!」

??「は、はい~」

曜「ん?」
 

113: 2018/03/30(金) 23:25:52.83 ID:guSn0Z3h.net
曜「治安維持のために全員逃がすわけないでしょ!」ダッ

??「ぴぎっ!?」ビクッ

曜「ん、この鳴き声……」シュ

 バキッ 

??「きゅい~~~~」バタン

曜「弱っ…って、あ!!」


「覚えてやがれ~~!!」ダダダ


曜「あー…ボスっぽいの逃がした~~」
 

114: 2018/03/30(金) 23:26:47.91 ID:guSn0Z3h.net
梨子「お、終わったの?」キョロキョロ

曜「数人のびてるから今のうちにしばっとくね。それと…」サッ

??「ムキューー……」グルグル

曜「フードで見えないけど、さっきの鳴き声からするに…」ガサッ

梨子「ど、どうしたの?」

曜「あれまぁ、ホントにいたよ……」

梨子「え、夜盗って…女の子?」

曜「そりゃ夜盗にも女の子はいるだろうけど。というか、なにやってんだか……」

??「…………っは!?」

曜「おーい」

??「あわわ、よ、曜ちゃん!」バッ
 

115: 2018/03/30(金) 23:27:37.87 ID:guSn0Z3h.net
梨子「知り合いなの?」

曜「んーまーね。で、なにしてるの………ルビィちゃん?」

ルビィ「はぅ……」


 -黒澤ルビィ ちょっと難しいお年頃


梨子「ルビィ?」

曜「もう、ダイヤさんに心配かけっぱなしでどこいったのかと思えば…盗賊の仲間だなんて」

ルビィ「う……ぅゅ……」
 

116: 2018/03/30(金) 23:31:58.44 ID:guSn0Z3h.net
 曜ちゃんは数人の夜盗達を縄で一くくりにし、近くの岩陰に転がします
 後で自警団に連絡して全員捕まえてもらうためです
 しかしボスを取り逃がしてしまったので夜盗すべてを壊滅させることは出来そうにありませんでした


梨子「あれほっといたら獣に襲われて危ないんじゃ……?」

曜「そこは大丈夫だよ、こういう事も稀にあるから連絡手段は確保してあるから」サッ

梨子「それは?」

曜「返り札って言って、ここに伝えたい要件を書いて空になげると、札の大本に返っていくんだ」

梨子「へーすごい……はじめて聞いたよ」

曜「これ、鞠莉ちゃんが作り出した魔法道具だよ」

梨子「え、す、すごい……」

曜「大本が自警団にあってね、この場所に捕まえた盗賊がいるから確保しにきてって書いて送ると、二日くらいで到着するの」

梨子「二日って…それまで野ざらし?」

曜「獣避けの仕掛けはしておくけど、全員連れだって移動するほうが危険だからね」
 

118: 2018/03/30(金) 23:33:08.45 ID:guSn0Z3h.net
梨子「で、この子はどうするの?」

ルビィ「うー………」

曜「この子は別に捜索届がでているからね、連れていくよ」

梨子「どういう子なの?」

曜「町でも三本の指にはいる権力者さんとこの子だよ」

梨子「権力者って……え、この子お嬢様?」

曜「だったんだけど、家でなにかあったらしくてね、しばらく行方不明に…」

梨子「それが……夜盗……盗賊に?」

ルビィ「……………」
 

119: 2018/03/30(金) 23:34:02.72 ID:guSn0Z3h.net
曜「さ、連絡もしたし朝日もでてきたから、とっとと帰ろうか」グイ

ルビィ「ぁぅ……」

梨子「ちょっと曜ちゃん、そんなに縄でがんじがらめにしたら可哀想だよ」

曜「油断してるとすぐ逃げ出す可能性もあるからね、必要だよ」

ルビィ「…………」

梨子「でも……」

ルビィ「いいんです……これで…」

梨子「え?」

ルビィ「ルビィは悪い事したんです。盗賊さんのお手伝いとか……だから…」

曜「…………」
 

120: 2018/03/30(金) 23:34:59.03 ID:guSn0Z3h.net
 行きと違い、帰りの旅路は少し重い空気となりました


梨子(曜ちゃん……どこかピリピリしてるなぁ…)チラ

曜「……………」

梨子(お互い知り合いみたいだし、複雑なのかなぁ)

ルビィ「……………」

梨子(この空気やだよ~)


 梨子ちゃんが重苦しい空気に耐えつつも町へ帰ってきた頃、一つの騒動が起きていました
 

121: 2018/03/30(金) 23:38:45.02 ID:guSn0Z3h.net
続きます…

131: 2018/03/31(土) 22:50:41.58 ID:WP0qEKvw.net
梨子「や、やっと帰ってきた……」グデー

曜「初採取お疲れ様、梨子ちゃん」

梨子「うん…ありがとう……」

曜「それじゃ私はルビィちゃんを親元に連れていくから、ここで」

ルビィ「……………」

梨子「わかった、お疲れ様曜ちゃん」

曜「ルビィちゃんは町中で目立たないようにフード被ってようね」ボフッ

ルビィ「あぅ…」

梨子(こんだけ縄で縛りつけてたら十分目立つと思うのだけど…)
 

132: 2018/03/31(土) 22:51:57.26 ID:WP0qEKvw.net
<オーイ! ヨーウ!!


曜「…ん?」

果南「曜! ちょうどいいところに!」

曜「果南ちゃん、どうしたの?」

梨子(曜ちゃんのお知り合いかな、随分慌てているようだけど…)

果南「レッテン廃鉱で落石事故がおきたんだ! 数名生き埋めになったって!」

曜「えっ!?」ドキ

梨子(事故……)

果南「その中にはエリーもいるって話だよ」

曜「エリーちゃんが!?」

梨子「エリー先輩!?」ドキ
 

133: 2018/03/31(土) 22:52:43.30 ID:WP0qEKvw.net
果南「捜索隊はもうでてるけど、周囲になぜか魔物がたくさんいて状況は危険らしい」

曜「なんでそんな急に……」

果南「私もこれから応援に行くところなんだけど、曜もできれば手を貸して欲しい」

曜「わ、わかった! 急がないと!」

果南「現場まで鞠莉の馬車で行くから、準備がよければすぐにでも」

曜「うん。あ……えっと……」チラ

梨子「ん?」

曜「梨子ちゃんゴメン、この子を黒澤さんの家まで連れて行ってくれるかな」

ルビィ「……………」

梨子「わ、私が?」

曜「事情はいま聞いた通り緊急事態なの、私すぐに行かないと」

梨子「う、うん……わかった…」
 

134: 2018/03/31(土) 22:53:49.93 ID:WP0qEKvw.net
 レッテン廃鉱でおきた事故……生き埋めになった数名
 それがどれだけ大変な事態なのか梨子ちゃんにも想像できました

 しかし自身に託された役割も十分大変なものでした


梨子「いっちゃった……」

ルビィ「…………」

梨子「えっと……じ、じゃあ行こうか…」

ルビィ「…………」

梨子「ご、ごめんね、私ひ弱なのでこのまま縄で引っ張ってくけど…」クイ

ルビィ「…………」ジ…

梨子(う、動いてくれない……)
 

135: 2018/03/31(土) 22:54:58.36 ID:WP0qEKvw.net
梨子「ね、ねえルビィちゃん……はやく」

ルビィ「あのっ!」

梨子「はい!」ビク

ルビィ「お願いします! ルビィを自警団に突き出してください!!」

梨子「え……自警団?」

ルビィ「ルビィ、いっぱい悪い事しました。だからちゃんと罪を償わないと…」

梨子「そ、そうなんだ……」

ルビィ「だ、だから……」
 

136: 2018/03/31(土) 22:56:11.34 ID:WP0qEKvw.net
梨子「でも私一応曜ちゃんにお家に連れていくように頼まれたし、だから自警団にはその後自分で…」

ルビィ「それじゃダメなんです!!」

梨子「」ビクゥゥ!


 梨子ちゃんは大きな音や声が苦手です


ルビィ「そんな事したら、ルビィ二度とあの家からでられません…」

梨子「でられないって……」

ルビィ「ルビィのやったことも全部なかったことにされます。それじゃ意味がないんです!」

梨子「……………」


 フードでよく顔が見えないルビィちゃんですが、梨子ちゃんはこの雰囲気にただならぬものを感じます
 そして同時に直感めいたものもありました…


梨子(これって…ものすごい面倒事を任されたんじゃ……)
 

137: 2018/03/31(土) 22:57:17.85 ID:WP0qEKvw.net
 曜ちゃんに言われた通りルビィちゃんを黒澤宅へ届けるか
 それともルビィちゃんの望み通り、自警団に連れていくか

 はたまた面倒なので逃げられた事にしてこのままお別れするか


梨子「………………」

ルビィ「……………」


 少し考えましたが根が真面目な梨子ちゃんは…


梨子「ごめんね、曜ちゃんにお願いされたから…」

ルビィ「ぴぎゅぅ………」

梨子「あなたにどんな事情があるのか知らないけど、やっぱりちゃんと家に帰ったほうがいいよ」

ルビィ「………………」
 

138: 2018/03/31(土) 23:02:15.19 ID:WP0qEKvw.net
梨子「さ、行こ」グイ

ルビィ「ぅぅぅ、嫌ですぅ……」グッ

梨子(うぅ、私より小さいのにすごい力……動かないよぅ…)

ルビィ「じ、自警団に連れてってくれないなら、ルビィ…あなたに酷い事しますよ!」

梨子「えー……どういう脅しなのそれ……」

ルビィ「両手は使えなくても、足で蹴れるんだからっ」ケシッ

梨子「いたっ脛を蹴らないでっ!」

ルビィ「じゃあ自警団に行ってくれますね?」ケシッ ケシッ

梨子「あーんもう~~~!」
 

139: 2018/03/31(土) 23:03:16.75 ID:WP0qEKvw.net
善子「なにしてんの?」

梨子「え…あ、善子ちゃん」

ルビィ「!?」ドキ

善子「採取から帰ったのね、あとヨハネよ」

梨子「はい、ついさっき」

ルビィ「…………」コソコソ

梨子「あ、こらっ逃げないの!」グイ

善子「なにその小汚いの?」

ルビィ「ぁぅ……」
 

140: 2018/03/31(土) 23:04:21.12 ID:WP0qEKvw.net
梨子「採取中に護衛さんが捕まえた盗賊なんですけど、どうも事情があるみたいで…」

善子「盗賊?」ジー

ルビィ「……………」コソコソ

梨子「今お家まで送り届けるところです」

善子「盗賊なら自警団に引き渡せばいいじゃない」

ルビィ「………」ウンウン

梨子「そうなんですけど、訳ありみたいで……」

善子「ふーん…ま、いいわ」
 

141: 2018/03/31(土) 23:06:25.71 ID:WP0qEKvw.net
善子「それより今たいへんな事がおきてるのよ!」

梨子「もしかして廃鉱の?」

善子「知ってるのね。そう、レッテン廃鉱で大きな落石事故があってね」

梨子「生き埋めになった人達がいるって聞きました」

善子「そうなのよ。少し前から進められていたある大きなプロジェクトのチームが…」

梨子「プロジェクト?」

善子「今度教えてあげるわ。それよりもおかげでこっちも大忙しなのよっ!」

梨子「そうなんですか?」
 

142: 2018/03/31(土) 23:07:29.72 ID:WP0qEKvw.net
善子「お得意先の網元さんとこの娘が家出中なんだけど」

ルビィ「…………」ドキッ

善子「その子が廃鉱付近にいたっていう目撃情報があったの」

梨子「そうなんだ」

ルビィ「…‥‥?」

善子「それで、その家出娘の姉が探しに行くって騒いでてね、うちの店にある戦闘用の道具を全部買ってったわ」

梨子「す、すごいね……あ、廃鉱近辺に出没しているっていうモンスターに?」

善子「おそらくね。くわしい状況はわかんないけど、まだ物資が必要になるかもしれない」

ルビィ「…………」
 

143: 2018/03/31(土) 23:08:12.71 ID:WP0qEKvw.net
善子「ってことで私は道具の仕入れ先に行ってくるわ。数日留守にするから」

梨子「え、お店は?」

善子「代理が店をやってるから大丈夫よ。依頼の品が出来たらそいつに渡しておいてくれる?」

梨子「はい」

善子「じゃーねっ!」タタタ…

梨子「いってらっしゃい~」

ルビィ「…………」
 

144: 2018/03/31(土) 23:08:56.42 ID:WP0qEKvw.net
梨子「廃鉱の人達、無事だといいけど……」

ルビィ「…………」

梨子「さ、私達も行こっ。いい加減観念して……」

ルビィ「あ、あの!!」

梨子「」ビクッ

ルビィ「ちゃんと話ますから、お願いです……家には……」ギュッ

梨子「話すって……えー……」

ルビィ「私、黒澤ルビィっていいます……」

梨子「これから行くお宅が黒澤さんだから、そうだと思うけど…」

ルビィ「さっき善子ちゃんが言ってた、網元の家の娘です」

梨子「……え?」
 

145: 2018/03/31(土) 23:10:03.29 ID:WP0qEKvw.net
 -梨子ちゃん家


梨子「どうぞー」

ルビィ「あれ、ここって…」

梨子「どうしたの?」

ルビィ「いえ…お、お邪魔します」


ぱな「おかえりなさいです?」

りん「せいかん」

まき「…………」ムスッ

梨子「ただいまーみんな」

ルビィ「わ、わあぁ妖精しゃんだ~♪」パアァ

梨子(すっごい笑顔…)

ルビィ「これ、お姉さんが雇ってる子?」キラキラ

梨子「そ、そうだよ」
 

146: 2018/03/31(土) 23:13:02.32 ID:WP0qEKvw.net
ルビィ「可愛い~」ナデナデ

まき「………///」ムスッ

ルビィ「お名前なんていうの?」キラキラ

まき「まき」ムスッ

りん「り~ん」クルクル

ぱな「ぱな~♪」フワフワ

ルビィ「きゃ~~~♪」

梨子「…………」
 

147: 2018/03/31(土) 23:13:36.09 ID:WP0qEKvw.net
梨子「えっと……ルビィちゃん?」

ルビィ「はっ……す、すいません……」

梨子「妖精さんが好きなのね」

ルビィ「はい、可愛いです」

梨子「可愛いよねっ」


ルビィ「………」

梨子「………」
 

148: 2018/03/31(土) 23:14:32.06 ID:WP0qEKvw.net
梨子「それで、話というのは?」

ルビィ「はい……えっと、その前に私の家についてお話ししますね」

梨子「うん。あ、まきちゃ~ん、お茶淹れてくれる?」

まき「…………」コクッ


 今黒澤家には誰もいないと思うと言うルビィちゃんの話もあり、梨子ちゃんは取り敢えず自分の家に招きました
 絶対暴れない、大人しくするという条件で縄を解き、今回の事情を聴きます


ルビィ「この町には町長さんの家と他に、二つの大きなお家があって……」

梨子(権力者のお家…)
 

149: 2018/03/31(土) 23:16:23.19 ID:WP0qEKvw.net
 ヌマヅタウンには代々町長を務めてきた南家、
 町の診療所、医療関係を取り仕切る西木野家、
 水産業を始め町の漁業組合を取りまとめる網元の黒澤家がありました


梨子「ホントにお嬢様なのねぇ」

ルビィ「…………」


 町は実質この御三家の影響下にありました
 皆そこに不満はなく、それぞれがとてもよい関係を築いていたのです

 しかしそんな関係を揺るがす事件が起きたのが二年前……


ルビィ「それぞれの家には次代を担う跡取りがいたんですけど、その……」

梨子「?」
 

150: 2018/03/31(土) 23:17:31.69 ID:WP0qEKvw.net
まき「…………」ムスッ

梨子「あ、まきちゃんありがとう」カチャ

ルビィ「西木野家の跡取り、長女さんが行方不明になったんです」

梨子「え……?」

ルビィ「ルビィは直接お会いした事はないんですけど、その子と仲良しだったお友達と一緒に突然……」

梨子「…………」

ルビィ「その後にその子を探しに行くと言って南家の跡取りである長女さんが旅にでちゃって…」

梨子「へ、へー……」
 

151: 2018/03/31(土) 23:18:44.54 ID:WP0qEKvw.net
梨子「それが今の状況とどういう関係があるの?」

ルビィ「ルビィの家は、お姉ちゃんが次の頭領になることが決まっているんですけど…その…」


<コンコン…


梨子「あ、ちょっと待ってね、お客さんかな?」

ルビィ「……………」

梨子「ここでじっとしててね……まきちゃん、見ててくれる?」

まき「…………」コクッ
 

152: 2018/03/31(土) 23:20:01.83 ID:WP0qEKvw.net
梨子「はーい」ガチャ

花丸「よかった、帰ってたずら!」ハァハァ…

梨子「花丸ちゃん? どうしたのそんなに慌てて…」

花丸「緊急事態ずら!ちょっと中にお邪魔するずら!」

梨子「え、あ、ちょっと待って、花丸ちゃ……」

花丸「とても大事な話が……あ…って……」


ルビィ「マ、マルちゃ……」

花丸「ルビィ………ちゃん?」
 

162: 2018/04/01(日) 23:09:29.11 ID:XXbc9m1/.net
花丸「ルビィちゃんがどうして梨子ちゃんのところに……?」

ルビィ「…………」

梨子(え、二人は知り合いなんだ……)

花丸「そ、それより今までどこにいたのっ!!」バッ

梨子「」ビクッ!

ルビィ「…………」

花丸「マル達がどれだけ心配したか……ダイヤさんが…どれだけ……」フラッ

ルビィ「マルちゃん……」


 ギュッ


花丸「ずっと…探して……でも…無事で………よかった……」

ルビィ「ぅゅ……マルちゃぁん……」
 

163: 2018/04/01(日) 23:10:22.70 ID:XXbc9m1/.net
りん「」ホロリ

まき「」ホロリ

ぱな「ぜんべいがないたです?」ホロリ

梨子「よ、よくわからないけど…友達だったのかな……」


花丸「ルビィちゃん……」スッ

ルビィ「マルちゃん……?」


 ゴツンッ!


ルビィ「ぴぎぃ!」

花丸「いっぱい言いたい事あるけど、今はそれどころじゃないずら!」

ルビィ「ぁぅ……」ヒリヒリ
 

164: 2018/04/01(日) 23:11:04.00 ID:XXbc9m1/.net
花丸「梨子ちゃん!」バッ

梨子「は、はい!」ビクッ

花丸「大急ぎで作って欲しい道具があるずら!」

梨子「え……あ、制作依頼?」

花丸「そう、今この町でこれができるのは梨子ちゃんしかいないずら!」

梨子「え?」

花丸「梨子ちゃんにフラムやクラフト系の道具を作って欲しいの!」

梨子「フラム……って、爆弾?」

花丸「ギガフラム作れる?」
 

165: 2018/04/01(日) 23:11:58.78 ID:XXbc9m1/.net
 ギガフラム……フラム系最強の威力を誇る爆弾です


梨子「ギガフラムは……ごめんね、材料がないわ……それに器具も基礎的なのしか…」

花丸「材料は適当にいっぱい持ってきたずら!」バッ

梨子「あ、そのリュックに詰まってるのね」


 ドン ガラガラガラ… バサー


ルビィ「マルちゃん、こんなに……」

花丸「善子ちゃんの店から持てるだけ持ってきたずら!」フンッ

梨子「わぁ………」キラキラ
 

166: 2018/04/01(日) 23:12:53.89 ID:XXbc9m1/.net
花丸「ギガフラムが無理ならマグネフラムやメガフラムでもメガクラフトでも、とにかくお願いしたいの」

ルビィ「どうしてそんなに?」

花丸「……………」


 花丸ちゃんが持参した材料には爆弾の制作に必要な材料はありました
 しかし梨子ちゃんの爆弾制作はアカデミーの授業で基礎作りをした程度のレベルです


梨子(えっと確かギガフラムに必要なのは……)カシャカシャ

花丸「この町にモンスターの群れが迫ってるずら…」

ルビィ「えぇっ!?」


梨子(これはダメ…メガフラム……元となるフラムの材料はある…黄金色の岩とロウも揃ってる…)
 

167: 2018/04/01(日) 23:13:42.71 ID:XXbc9m1/.net
花丸「こんな事今までなかったのに、隣町の観測所で群れが確認されたの」

ルビィ「こ、この町に?」

花丸「北の方角からまっすぐ向かってるって……このままだと3日後に到着してしまうずら…」


梨子(メガフラムは可能……実際に作った事はないけど…あとはメガクラフト…こっちも可能…)


ルビィ「じ、自警団の人には?」

花丸「マルのとこにきた情報だから同時に自警団にもいってるはずだけど、ちょっと他の場所に…」

ルビィ「もしかしてレッテン廃鉱の事故?」

花丸「知ってるずらか?」
 

168: 2018/04/01(日) 23:14:34.77 ID:XXbc9m1/.net
梨子(こっちを作っていくと中和剤(赤)の数が足りないか…大きいの少数か、小さいの多数か……)


花丸「人手が分散しているとこに、廃鉱付近での謎のモンスターの群れが発生して…」

ルビィ「ど、どうしよう……」

梨子「ねえ花丸ちゃん」

花丸「なんずらか?」

梨子「爆弾って、威力重視で少数か、威力控えめでもたくさんあるほうがいいか、どっちかな?」

花丸「……………」

梨子「それによって材料の仕分けがかわってくるのだけど…」
 

169: 2018/04/01(日) 23:15:16.36 ID:XXbc9m1/.net
花丸「可能な限りどっちもずら!」

梨子「えー……」

花丸「今言った通り、もうじきモンスターの群れがここに来るずら!」

梨子「え!? モ、モンスター?」

ルビィ「聞いてなかったんですね…」

梨子「ご、ごめん…たくさんの材料を前にすると色々工数計算しちゃうの…」


 錬金術師の性でした


梨子「で、でもモンスターの群れなんて非常事態じゃないの?」

花丸「マルの聞いた話では20年ぶりくらいの事件ずら!」

梨子「そ、そんな大事な時に私がどうして爆弾を…?」
 

170: 2018/04/01(日) 23:16:06.38 ID:XXbc9m1/.net
花丸「ないからずら……」

梨子「え?」

花丸「今この町にはロクな戦闘手段がないからずら!」

ルビィ「え、どうして……」

花丸「自警団のほとんどはレッテン廃鉱の事故と発生したモンスターの対処に…」

梨子「確かにそっちも放っておけないだろうけど……」

花丸「そしてなぜかダイヤさんが善子ちゃんとこにある爆弾系や戦闘用アイテムを根こそぎ買い占めてったずら!」

ルビィ「お姉ちゃん!?」

梨子「あ……さっきそういう話聞いたような……」
 

171: 2018/04/01(日) 23:17:10.48 ID:XXbc9m1/.net
梨子「レッテン廃鉱の近くで網元さんのとこの娘さんが目撃されたとかで…」

花丸「え?」

梨子「その娘さんのお姉さんがアイテム買い占めて探しにいったとか……」

ルビィ「………」

花丸「その網元の娘って、ルビィちゃんの事じゃ……」

ルビィ「はい…」

梨子「え……じゃあ目撃情報って?」

ルビィ「たぶん、誤報じゃないかと……」

花丸「なーんだ、一瞬驚いたずら」

ルビィ「だね~」

梨子「…………」
 

172: 2018/04/01(日) 23:17:49.68 ID:XXbc9m1/.net
梨子「って、誤報ならお姉さんがルビィちゃんを探しに行く必要もなかったんじゃ…」

花丸「道具を買い占めていく事も……」

ルビィ「あ、お姉ちゃん強いから大丈夫! 護衛の人もたくさん…」

花丸「そういう問題じゃないずら~~!!」ガウッ

ルビィ「ぴぎぃ~~!」

梨子「問題は確かにあるけど、追加で余計な問題を引き起こした犯人は目の前にいたのね」

花丸「ルビィちゃんには問題が解決した後にじっくりお説教するずらっ!」

ルビィ「びえ……ご、ごめんなさ~い!」
 

173: 2018/04/01(日) 23:18:36.06 ID:XXbc9m1/.net
花丸「とにかく、マル達も可能な限りお手伝いするからがんばって欲しいの!」

梨子「ん……で、でも私一人でモンスターの群れと戦うぶんの爆弾なんて…」

花丸「勿論梨子ちゃん一人におしつけてるわけじゃないよ、町の中でできるだけ手は打つから」

梨子「そ、そうなの?」

花丸「だけどさっきもいったように20年ぶりの出来事に加えて、自警団の主力がいない状態なの」

梨子「うん……」

花丸「マルはマルに出来る事で町を守りたいの」

ルビィ「マルちゃん……」
 

174: 2018/04/01(日) 23:19:43.09 ID:XXbc9m1/.net
梨子「わ、わかった……がんばる」

花丸「とりあえずマル達にできることはある?」

ルビィ「ル、ルビィも?」

花丸「当然ずら」

ルビィ「ぅゅ…」

梨子「………ん」


 迫るモンスターの群れに対処するための爆弾制作
 知識としてあるだけで、授業で作った事しかない物です

 材料、調合器具は花丸ちゃんがたくさん持ってきてくれました
 必要なのは時間と計算でした


梨子「花丸ちゃん……」

花丸「なんずら?」

梨子「1時間くれるかな? 部屋で考えてくるね」

花丸「わかったずら」
 

175: 2018/04/01(日) 23:20:58.38 ID:XXbc9m1/.net
 錬金術士を目指す者には必要とされる要素がたくさんあります

 知識に対する認識、理解力……それらを行使するための技術、応用力
 その他にも未知への探求心、向上心。さまざまです

 梨子ちゃんはとりわけ技術力があるわけではありません、平凡です
 世界中の神秘を追い求める!なんて探求心もありません、平和な日常が一番です
 そんな梨子ちゃんがオトノキアカデミーの卒業試験を受けられるまでに成長させた分野があります


梨子「まきちゃーん、お茶のおかわりくれるかな?」

まき「…………」ムスッ


 梨子ちゃんが他の錬金術士よりも秀でていた能力。それは……妄想です


梨子(制限はなし……よし、やってみよ)ガサッ


 普段ではなかなかお目にかからない素材や器具を前にして梨子ちゃんの目の色が変わる
 梨子ちゃんは愛用のノートを取り出すと、すぐになにかを書き込んでいきます


梨子(北から来るって事は、防衛ラインはここかな。人手があるなら人海戦術で)サラサラ……
 

176: 2018/04/01(日) 23:22:36.20 ID:XXbc9m1/.net
 ――妄想の錬金術師 桜内梨子

 アカデミーの友達につけられた梨子ちゃんの異名。称号といってもいいようなものです
 妄想、想像力は大事な要素ですが、それらは形にならないと本当に妄想の産物になります

 口で言うには簡単。しかし梨子ちゃんの妄想は画期的で、町中の工場機器に革命をもたらせたほどです
 理論上は可能。可能であればそこに到達してしまうのが、梨子ちゃんの才能でした

 卒業試験前に書いた梨子ちゃんの論文は今でもアカデミーで物議が交わされているそうです

 そして今、想像できても実行するだけの材料、人手がないようなものでもそれらがクリアされた状態です
 普段の妄想癖がここにきて本領発揮するのでした


梨子(最初は生産ラインを数に絞って、防衛を維持する事を目標にして、威力重視のとっておきを後から追加…)サラサラ…

まき「…………」ムスッ

梨子「ありがとう、そこに置いておいて」サラサラ…

まき「…………」ムスッ カチャ

梨子(規模が不明な分持久戦になっちゃうのは仕方ないとして、これなら起動にのれば毎日爆弾を供給し続けられるかな)サラサラ…
 

190: 2018/04/02(月) 23:15:40.63 ID:xJQewBOo.net
 時間にしておよそ1時間経過した頃、梨子ちゃんが部屋から出てきました


ルビィ「あ……」

梨子「ふぅ、おまたせー。あれ、花丸ちゃんは?」

ルビィ「1時間あるなら他の準備もしてくるって、出かけました」

梨子「そうなんだ。それでルビィちゃんはどうしてまた椅子にグルグル巻きにされてるの?」

ルビィ「ルビィが逃げ出さないように花丸ちゃんが……」

梨子「もう逃げたりしないよね?」サッ

ルビィ「大変な時ですし、ルビィにも少し責任あるし……」パサッ

梨子(少しじゃないような…)


 梨子ちゃんはルビィちゃんの拘束を解いてあげます
 盗賊をやっていたというルビィちゃんだけど、どこか悪い子には思えない部分もあったからです
 でも蹴られた事は忘れません

 そうこうしていると花丸ちゃんが戻ってきました
 

191: 2018/04/02(月) 23:16:26.15 ID:xJQewBOo.net
花丸「爆弾制作、できそうずらか?」

梨子「計画は立てたよ、はいこれ」サッ

花丸「確認するね…えっと……」


ルビィ「ルビィはなにをお手伝いすればいいですか?」

梨子「荷物運び、かな?」

ルビィ「?」


花丸「な、なにこれ? こんなのでいけるの?」

梨子「いけると思うけど、現場の状況次第なところもあるから、意見あるなら欲しいな」

ルビィ「どんなの?」ヒョコッ
 

192: 2018/04/02(月) 23:18:31.08 ID:xJQewBOo.net
花丸「爆弾制作ライン……これって作って対応するというより、作り続ける簡易工場を作るって言う事?」

梨子「群れっていうのがどの程度の規模かわからないから、掃討作戦より主力が戻るまでの防衛作戦のほうがいいかなって」

ルビィ「この側溝制作って何するの?」

梨子「ラインを抜けてくるモンスターが容易に町に入れないように、そこに罠をしかけるの」

花丸「フラムを敷き詰めるってあるけど……」

梨子「威力がなくても密集させれば十分に効果はあるから、溝にはこれを蒔いておくといいかなって」


 梨子ちゃんの作戦は防衛ラインの制作と後方の最終防衛ラインでの対応策でした
 一度に強力な爆弾を作るよりも地形や作戦を用いた守備に徹する事で被害を最小限におさえるためです


梨子「主力の自警団の人達が戻るのはどれくらい?」

花丸「今回の問題が発覚してからすぐに連絡員は走らせたから、向こうの状況にもよるけど6日くらい」

ルビィ「モ、モンスターが来るのって…確か……」

花丸「今のままだと3日後ずら…」

梨子(花丸ちゃんてどういう立場なんだろ?)
 

193: 2018/04/02(月) 23:19:45.10 ID:xJQewBOo.net
花丸「でも梨子ちゃんのこの案はすぐに使えそうずら。今このライン近辺に簡易バリケードを作らせてるから」

ルビィ「じゃああとは爆弾を作るだけ?」

梨子「花丸ちゃんが持ってきてくれた大量の材料と、私が採取してきたばかりの材料も合わせての計画だから…」チラッ

花丸「ん、まだなにかあるずら?」

梨子「花丸ちゃん、動かせる人員はどれくらいいるの?」

花丸「えっと……そ、それなり……ずら」

梨子「計画に必要だからちゃんと教えてくれる?」

花丸「うぅ……し、しょうがないずら……でもあまり他の人には言わないで欲しいずら」

梨子「え?」


花丸「……元冒険者の傭兵が6人。この人達に防衛ラインに最初に立ってもらうずら」

梨子「他には?」

花丸「男手は町のおっちゃん達に、こっちは20人くらい。女手は10人くらい」

梨子(町の人達を動かせる花丸ちゃんって一体……)

花丸「雑用関係なら子供達も手を貸してくれるずら、こっちはちょっと数は不明だけど」

梨子「じゃあそのおっちゃん達……10人ほどにお願いがあるの」

花丸「緊急事態だからみんな率先して動いてくれると思うずら」


 梨子ちゃんは町のおっちゃん達に、カノーネ岩の採取をお願いします
 

194: 2018/04/02(月) 23:20:59.31 ID:xJQewBOo.net
ルビィ「材料が不足してるんですか?」

梨子「ううん、計画的には十分。だけどそれは自警団が戻るまでの防衛に徹しての事だから」

花丸「何か一つでもアクシデントがあると崩れる可能性があるずらね?」

梨子「うん。だから出来る準備は今のうちから。それと、おそらく一般家庭に乳鉢とかあるはずだから、借りてきてくれる?」

花丸「それは爆弾作りに使うずら?」

梨子「爆弾作りでの一番の基礎、フラムをとにかく大量に作るためかな」


 カノーネ岩をすり潰して生成する燃える砂とロウを練り固める事で出来るのがフラムです
 他にも中和剤(赤)の材料にもなるため、カノーネ岩はあればあるだけ使い道があります

 梨子ちゃんは次に女性陣にニューズの採取をお願いします
 

195: 2018/04/02(月) 23:22:30.89 ID:xJQewBOo.net
花丸「ニューズなら近くの森にたくさんあるからマダム達でも安全ずらね」

ルビィ「それはなにに使うの?」

梨子「クラフトっていう炸裂弾の材料になるの。ここにもけっこうあるけど、これもたくさんあっていいから」

ルビィ「ああ、あのスリングで投げてたクラフトの材料なんだね」

花丸「ルビィちゃん使った事あるずらか?」


 盗賊の下っ端をやっていた時に使っていた武器でした


ルビィ「ち、ちょっとね……」
 

196: 2018/04/02(月) 23:23:34.20 ID:xJQewBOo.net
花丸「それじゃマルはその作業をお願いしてくるずら、後で乳鉢もたくさん届けさせるから」

梨子「うん。こっちは今から爆弾制作始めるね」

ルビィ「えと、ルビィは…?」

花丸「ルビィちゃんは現在行方不明中ずら。なんの説明もないままいきなり町中にいても余計な問題おこすだけだから…」

梨子「ルビィちゃんには私の助手をやってもらおうかな。さっきも言った通り荷物運びがメインだけど」

ルビィ「わかりました、がんばルビィ!」グッ

花丸「それ、ひさしぶりに聞いたずら」

ルビィ「ぅゅ…」

梨子「ふふ、がんばろうね」
 

197: 2018/04/02(月) 23:24:46.04 ID:xJQewBOo.net
 作戦開始ということで花丸ちゃんが走り回ります
 梨子ちゃんは工房のいたるところに乳鉢を設置し、一番数が必要になるフラム制作に努めます
 妖精さん達にも簡単な作業を手伝ってもらう事によってその効率は跳ね上がります

 そしてルビィちゃんの役割は……


ルビィ「追加のロウ、ここに置いとくね」ドサツ

ぱな「かんしゃです?」カシャカシャ


ルビィ「魔法の草持ってきたよー」ガサッ

りん「ウイ」


ルビィ「ニューズ持って…いたた!」グサッ

まき「…………」ムスッ


 妖精さんのお手伝いから、


梨子「ルビィちゃん、お茶いれてくれるかなー?」

ルビィ「はーい」


 梨子ちゃんの身の回りのお世話まで、出来る事はなんでもがんばります
 

198: 2018/04/02(月) 23:26:58.34 ID:xJQewBOo.net
 -作業開始から6時間経過 夜


梨子「あむ……ん、おいし~」パクパク

ルビィ「お口に合ってよかったです」

梨子「ルビィちゃんお料理もできるのね」ムグムグ…

ルビィ「いえ…お姉ちゃんにくらべたら、全然です」

梨子「あ、そういえば…」ズズッ


 話の途中で花丸ちゃんが緊急事態を伝えに来たので中断していたルビィちゃんの事情
 休憩中、その話をあらためて聞いて見る事にします


ルビィ「えっと、どこまで話ましたっけ…?」

梨子「町の権力者の内、2つの家の跡取りがどこかへ行っちゃったとこかな」

ルビィ「ああはい、そうです」
 

199: 2018/04/02(月) 23:28:13.07 ID:xJQewBOo.net
 ヌマヅタウンの権力者、南家、西木野家、黒澤家
 その内の一つ西木野家で問題が起こり、南家をまきこむかたちで次代の跡取りがいなくなってしまいます
 そして残った黒澤家には二人の娘がいました

 黒澤ダイヤ、黒澤ルビィ

 黒澤家の頭首は責任感の強い人で、町の将来の事を見据え跡取りである黒澤ダイヤにいつも以上の教育をと考えます


ルビィ「それまでは週の習い事とかもそんなに多くはなかったんですけど、いきなり毎日になって…」

梨子「町のためにお姉さんを立派な後継者にしようとしたのね」

ルビィ「でも、あんなの酷いです。お姉ちゃんなんの自由もなくて…全然お友達とも話せなくなって…」

梨子「スパルタ教育になったのね」

ルビィ「ルビィとも、全然遊んでくれなくなって……だから……」
 

200: 2018/04/02(月) 23:29:35.43 ID:xJQewBOo.net
 元々お姉ちゃんが大好きで、父親とはあまりうまくいっていなかったルビィちゃん
 どうしてお姉ちゃんばかりがこんな目にあうのかと、この町のシステムそのものに不満を抱くようになります


梨子「まさかルビィちゃん…盗賊になったのって……」

ルビィ「ルビィが大悪党になれば、黒澤の名前に傷がついて権力者の地位もなくなると思って……」


 ペシン!


ルビィ「ぴぎっ!?」

梨子「あっゴメンね、つい…」


 梨子ちゃんは無意識にルビィちゃんの頭をはたいていました


梨子「あのねルビィちゃん、その方法が本当に正しいって思ってるのかな?」

ルビィ「え?」
 

201: 2018/04/02(月) 23:30:55.06 ID:xJQewBOo.net
 梨子ちゃんは理にかなわない行動、論理的でないもの、矛盾といったものが大嫌いです


梨子「それはお姉さんのためになるの?」

ルビィ「権力者の家なんてものがなくなれば、お姉ちゃんは自由になれます!」


 ペシン! ペシン!


ルビィ「ぴぎっ!?」

梨子「そんなの誰も幸せになれないよ?」

ルビィ「ど、どうしてですか?」


 梨子ちゃんは表情にこそだしませんでしたが、ちょっとイラっとしています
 

202: 2018/04/02(月) 23:31:50.31 ID:xJQewBOo.net
梨子「お家の名声が崩れて権力を失う。権力を失うという事はそれに連なる人すべてに迷惑がかかるのよ?」

ルビィ「……………?」

梨子「えっと、網元のお家なんだっけ、黒澤家って」

ルビィ「はい。他にも水産業全般を……」

梨子「それがどれだけ多くの人の生活を支えているかわかっているの?」

ルビィ「で、でも……」

梨子「そこが崩れるという事はお姉さんが自由になるだけじゃないの。いいえ、むしろもっと不自由になるのよ」

ルビィ「どうしてですか?」

梨子「家を失うという事は、生きていくために違う事で働かないといけないからよ」

ルビィ「…………」

梨子「ルビィちゃん、お金ってただそこにあるわけじゃないのよ。誰かが働いてその対価としてあるの」

ルビィ「それくらい……ルビィだってわかって……」


 ゴツン!


ルビィ「ぴぎゃっ!?」


 ついにグーでいきました
 

203: 2018/04/02(月) 23:32:58.54 ID:xJQewBOo.net
梨子「わかってないよ、ルビィちゃん」

ルビィ「ひう……」

梨子「お姉さんは家の汚名を背負ったまま生きていかなくちゃいけない。それも、大好きな妹が盗賊になんてなったと知らされて」

ルビィ「え………」

梨子「目撃情報があったからと家中総出で迎えに行こうとしてるんだから、きっとお姉さんはルビィちゃんの事が大好きよ」

ルビィ「ぁぅ………」

梨子「そんなお姉さんに今以上の苦労や心配をかけて、それを自由だなんて言えるの?」

ルビィ「……………」

梨子「それにルビィちゃんはそんなお姉さんと一緒にいられなくなるんだよ? 盗賊なんて掴まって縛り首だよ?」

ルビィ「ぅぅぅ………じ、じゃあどうすればいいんですかぁ……」

梨子「ルビィちゃんはお姉さんと一緒に遊びたいだけなの?」

ルビィ「そんなこと……ないです……」
 

204: 2018/04/02(月) 23:34:42.23 ID:xJQewBOo.net
梨子「だったらお姉さんを支えてあげられる存在になろうよ。大変な役目だっていうなら傍にいてあげないと」

ルビィ「うっ……ぅぅ……ぅぇ…グスッ」

梨子「だから、今の問題が解決したらお家に帰ろうね」

ルビィ「ぅぅぅぅ…………ぁぃ……」コクッ


まき「…………」ムスッ スッ


ルビィ「あ……ありがとう……グスッ」チーン


梨子「はい、じゃあ休憩はお終い! 爆弾作りがんばろう」

ルビィ「ズ……はいっ!」
 

217: 2018/04/03(火) 23:43:33.13 ID:fO6eEQaS.net
 -モンスターの群れが到着するまで あと1日


梨子「……………」ゴクッ

ぱな「…………」

まき「…………」ムスッ


梨子「ゆっくり……ゆっくりと……」ソー

りん「じゅんちょう」

梨子「うん、あとはこれを混ぜれば……」カサカサッ  ポンッ


 ~ メガクラフトが完成しました ~


梨子「できた~~♪」

ぱな「おめでとうです?」

りん「しゅくふく」

まき「………」ムスッ
 

218: 2018/04/03(火) 23:44:34.12 ID:fO6eEQaS.net
梨子「これで制作ノートにも記録できたし、もうちょっと効率あげればぱなちゃん達も作れるかな」

ぱな「きたいちはねあがりです?」

梨子「さて、とりあえず次のメガクラフトの仕込みをしてからメガフラムの途中経過を確認……」

まき「…………」ムスッ スッ

梨子「あー、フラムの回収と次の材料補充、乳鉢に再セット……他にもやることは山積みだね」

ぱな「ろうどうのよろこびです?」

梨子「お仕事ならそうだけどこれはやらないと危ないからね、報酬なんてものは……」


花丸「あるずらよ」ガチャッ


梨子「え、花丸ちゃん?」
 

219: 2018/04/03(火) 23:45:33.99 ID:fO6eEQaS.net
花丸「フラムの回収にきたずら」

梨子「もう定期回収の時間なのね。それより、さっきのは?」

花丸「町のためにみんなが力を合わせるのは当然だけど、特に負担をかける梨子ちゃんにはそれなりにお礼を用意するずら」

梨子「ほ、ほんと?」


 梨子ちゃんはこういう時に遠慮はしません、生活に必要なものは遠慮なく頂きます


花丸「とりあえず善子ちゃんのとこから持ってきた器具から好きなのを……うーん、2つほどあげるずら」

梨子「え、でもこれってヨハネさんとこの売り物じゃ?」

花丸「だから対価ずら。マルが買ってあげる」

梨子「買ってって…これどれも高級品だよ?」

花丸「だから2つずら。ホントは全部あげたいところだけど、善子ちゃんのお店が潰れちゃうから」
 

220: 2018/04/03(火) 23:46:19.14 ID:fO6eEQaS.net
梨子「………………」


花丸「おーい、ルビィちゃーん」

ルビィ「はーい、今持っていくね~」ゴソゴソ


梨子「ねえ、花丸ちゃんって何者なの?」

花丸「え、いきなりなんずら?」

梨子「全員じゃないにしろ、町の人を動かせる立場で、高級器具を買うお金も持ってて…」

花丸「マルは酒場の看板娘ずらよ~」

梨子「………………」ジ…

花丸「……………」
 

221: 2018/04/03(火) 23:47:16.34 ID:fO6eEQaS.net
花丸「ま、どのみち秘密にしておくのにも限界があるずらね…」

梨子「あんまり隠す気もない気がするけど」

花丸「梨子ちゃんが信頼できる錬金術士さんだって、もうわかったからね」

梨子「ん……それはどうも」


 ドサッ ドサッ


ルビィ「花丸ちゃん家はね、町のご意見番なんだよ」ンショッ

梨子「ご意見番?」

花丸「今はもう引退してるけどマルのじいちゃんは元町長もやっていてね、国木田は表にはでないで影で町を支えているずら」

梨子「じゃああの酒場って……」

花丸「外の情報を収集するには酒場はうってつけずらよ」
 

222: 2018/04/03(火) 23:48:13.32 ID:fO6eEQaS.net
ルビィ「マルちゃんてすごいんだよ。おじいさんからいろんな事を教わっていて、とっても物知りなの!」

梨子「そうだったのね」

花丸「知っていても、マルには出来る事はそうないずら……」

ルビィ「そんな事ないよ、マルちゃんは今も町のためにがんばってるよ」

花丸「ルビィちゃん……」

ルビィ「それなのにルビィは……嫌な事から逃げてばかりで……」

花丸「………………」


梨子「はーい、二人ともまだやる事たくさんあるんだから止まってる暇はないよ!」パンパン


ルビィ「あ、は、はい!」

花丸「マ、マルはこのフラムをまた防衛線に届けるずらっ」バッ
 

223: 2018/04/03(火) 23:49:48.93 ID:fO6eEQaS.net
梨子「みんなそれぞれがんばってるんだね」

ルビィ「花丸ちゃんはいつだって町の事を第一に考えてます。いまもがんばってます」

梨子「勿論、ルビィちゃんもでしょ?」

ルビィ「…………はい、もう誰かに迷惑をかけるような事はしません!」

梨子「それは当然だけど、責任もちゃんととらないといけないよ?」

ルビィ「え?」

梨子「盗賊やって人に迷惑かけるような事をしてたんだから、そこはね」

ルビィ「ぁぅ…」

梨子「さ、まずはがんばって町を守らないと!」


 梨子ちゃんはあくまで現実的に筋を通すことを考えます


ルビィ「……………」


 ルビィちゃんは少し不安になりました
 

224: 2018/04/03(火) 23:50:58.32 ID:fO6eEQaS.net
 -モンスター到着予定日


梨子「……………」ゴクッ

まき「…………」ムスッ

りん「…………」

ぱな「…………」


梨子「そーっと……そーっと……」カツン

 シュワシュワシュワ…… ポフン


 ~ メガフラムが完成しました ~


梨子「できた~~♪」

ぱな「れきしてきしゅんかんです?」フワフワ

りん「かんどう」クルクル

まき「…………」ムスッ パチパチ
 

225: 2018/04/03(火) 23:51:59.89 ID:fO6eEQaS.net
梨子「あー緊張したぁぁ」バタバタ

ルビィ「おめでとうございます、梨子さん!」

梨子「ありがとうルビィちゃん、これで威力の高い爆弾も供給していけるよ」


 ガチャ


花丸「おはようございます、お邪魔するずら~」

ルビィ「マルちゃん、おはよう」

花丸「ルビィちゃんおはよう! 梨子さん、爆弾は!?」


梨子「たった今出来たよ、メガフラム!」ジャーン

花丸「おお!」
 

226: 2018/04/03(火) 23:52:37.61 ID:fO6eEQaS.net
梨子「仕込みをしてあるのはまだあるから、これからしばらく毎日供給できそうだよ」

花丸「さすが錬金術士ずら」

ルビィ「傍で見てて、感動しました!」

梨子「やだもー、照れるよ~」テレテレ


花丸「じゃあさっそく、それを持ってマルと行くずら!」


梨子「ん?」


花丸「外に馬車を待たせてあるずら」ギュッ

梨子「んん?」

ルビィ「ぅゅ?」
 

227: 2018/04/03(火) 23:53:42.67 ID:fO6eEQaS.net
梨子「えっと、どうして私の手を……」ググ…

花丸「どうしてって、もうモンスターの群れは観測されてるずら」

梨子「それは当初の予定通りよね」

花丸「持久戦をするにしても最初の衝突でどう状況が動くかわからないずら」

梨子「それも予定通りだよね?」

花丸「梨子ちゃんには変化する状況に対応する知恵を貸して欲しいずら」

梨子「私が前線で戦えると思う? すっごく貧弱だよ?」

花丸「そこまで前にでろとは言わないずら。後方でマルと一緒に見ているずらよ」グイッ

梨子「ちょちょ、ちょっとまって!」ググッ

花丸「観念するずら~」グイグイ
 

228: 2018/04/03(火) 23:54:29.81 ID:fO6eEQaS.net
梨子「私まだ仕込んであるフラム制作も見ないといけないのっ!」

花丸「それは大丈夫ずら、もうじき助っ人がくるから」

ルビィ「助っ人?」


 ドドドドド…… バンッ!


善子「んのズラ丸~~!!!」


梨子「ヨ、ヨハネさん!?」ビクッ

ルビィ「ぴぎっ!?」

花丸「善子ちゃんやっときたずらね」
 

229: 2018/04/03(火) 23:55:16.10 ID:fO6eEQaS.net
善子「あんた、店番ほっぽりだして何してるのよ、なんか売り物ごっそりなくなってるし!」

花丸「ちゃんと書置きしておいたのに…」

善子「梨子のとこに持って行くってだけで、他に何も書いてなかったわよ、どういう事か説明しなさいよ!」


梨子「……………」

ルビィ「…………」


善子「って、なにこれ!? そこらじゅうフラム臭すっごいんだけど……」チラッ

ルビィ「…………」

善子「……………」


善子「ルビィィィィ!!?」ガタッ

ルビィ「ピギー!」

花丸「うるさいずら……」

梨子(なんだろこの展開……)
 

230: 2018/04/03(火) 23:56:17.41 ID:fO6eEQaS.net
善子「えっ!? モンスターの群れ?」

花丸「どうして隣町に行ってたのに知らないずら……」

善子「いやぁ、なんかみんなざわついてるなーとは思ってたのよ」

梨子「もうすぐそこまで来てるそうだよ」

善子「一大事じゃない!?」

花丸「だから今のこの時間ももったいないずら」

梨子「えっと、花丸ちゃん、助っ人というのは…?」

花丸「善子ちゃんずら」

善子「はぁ?」

梨子「え?」
 

231: 2018/04/03(火) 23:57:01.27 ID:fO6eEQaS.net
花丸「善子ちゃん、町をモンスターの群れから守るために今はみんなやるべき事をやっているずら」

善子「そうみたいね……で?」

花丸「ここで梨子ちゃんが作り続けている爆弾制作を少しの間引き継いで欲しいの」

梨子「は、花丸ちゃん!?」


善子「……………梨子はどこにいくの?」

花丸「梨子ちゃんはマルと一緒に前線近くまで行くずら」

善子「それは、必要な事なのね?」

花丸「…………」コクッ


梨子「まって花丸ちゃん、いくら制作ラインができているといっても錬金術の魔力がない人には爆弾は……」


善子「いいわ、引き受ける」

梨子「ヨハネさん!?」
 

232: 2018/04/03(火) 23:57:58.85 ID:fO6eEQaS.net
善子「花丸がそう言うって事は、梨子は前線に行く必要があって、ここでの爆弾作りも必要なんでしょ?」

花丸「そうずら」

善子「それが町を守るためにあんたが出した案だというなら我儘言うつもりはないわ」

梨子「あのねヨハネさん、爆弾作りは……」


善子「…………ふむ」スッ


 善子ちゃんは工房のあちこちに仕掛けられた乳鉢をざっと見渡します
 その次に奥の部屋にある細工道具と、天秤にかけられたメガフラムやメガクラフトの仕込みを確認

 時間にして1分、それらを見回った善子ちゃんはあらためて花丸ちゃんに向き直ります


善子「いいわ、堕天使ヨハネが今一度この魔力を行使してあげましょう」バッ

梨子「え……?」
 

233: 2018/04/03(火) 23:59:18.72 ID:fO6eEQaS.net
善子「梨子、あなたが作った工程…すごいのね」

梨子「ヨハネさん……あなたは……」

善子「そこの端の乳鉢から順番に収穫していけるように考えて設置されている。そして各乳鉢の前に次の材料を設置する器も……」

梨子「……………」

善子「無駄のないラインね、これならフラムに関しては毎時間作り続けられそう」

ルビィ「こっちに追加分の材料も用意してあるんだよ、善子ちゃん!」


梨子「ど、どういう事?」

花丸「善子ちゃんは元錬金術士ずら」

梨子「えっ!?」

花丸「本当は今でもその道をあきらめていないのに、つまらない事に拘って……」

善子「うるさいわよ、やるって言ってるんだからその話は今はなしよ!」
 

234: 2018/04/04(水) 00:00:39.06 ID:ww3LwOvQ.net
花丸「だから、ここは善子ちゃんにまかせてマル達は行くずら!」

梨子「じ、事情はわかったけどちょっと待って、ヨハネさんに道具の場所とか…」

善子「平気よ、どうせ戸棚で収納できそうなものって決まってるし」

梨子「え………」

ルビィ「この工房、昔善子ちゃんが使っていたところなんです」


梨子「え……えええぇぇぇ!?」


善子「ルビィ、あんたも花丸達と行くの?」

ルビィ「ううん、ルビィはここでお手伝い中だから…」

善子「そう……じゃあどうしてあんたがここにいるのかというのもじっくり聞きたいから……」


花丸「さ、観念して行くよ~~!」ズルズル…

梨子「きゃ~~~」


善子「また…手伝ってくれる? 昔みたいに……」

ルビィ「うんっ!」
 

235: 2018/04/04(水) 00:02:22.97 ID:ww3LwOvQ.net
続くーずら

247: 2018/04/04(水) 23:39:37.91 ID:ww3LwOvQ.net
 -モンスターの群れ襲来中


 花丸ちゃんが用意した馬車に乗り、二人は防衛線近くの小高い丘にやってきました


花丸「ありがとう。この爆弾を前線後方の部隊に届けて欲しいずら」


 馭者に爆弾を託し、花丸ちゃんと梨子ちゃんはこの場所から戦場を見渡します


梨子「はじまってるね」サッ

花丸「予定通りずらね」ササッ

梨子「あれ……思っていたより規模は小さいのかな」

花丸「んー……どうかな」
 

248: 2018/04/04(水) 23:40:38.21 ID:ww3LwOvQ.net
花丸「報告にあったのより小さい……というよりかは、モンスターの中でも脚の速さに差があるずら?」

梨子「それなら最初の目撃情報の時点で差異があると思うよ?」

花丸「北の山からやってきたって事だから、山越えするまではそうなかったという可能性は?」

梨子「ないかな」

花丸「んん……じゃあどういう事ずら?」


 戦局は予想に反して被害もなく、初日の防衛は果たせそうでした
 しかし群れの後方には違う群れがその影を見せています

 これからこの場所を起点にしての持久戦が始まるのでした


花丸「どう? 勝てそうずらか?」

梨子「私は戦術アドバイザーとかそういうのじゃないからわからないけど……」

花丸「梨子ちゃんの考えでいいから」
 

249: 2018/04/04(水) 23:41:29.64 ID:ww3LwOvQ.net
梨子「じゃあ、120%くらいかな」

花丸「高いずらね……」

梨子「だって、最初から手持ちでどうにかできるように作戦を立てたんだもん」


 そこに町の人達の協力を得て、材料や制作ラインの拡大などの要素をすべてプラスに考えた場合の結論でした
 しかしそんな梨子ちゃんの言葉も花丸ちゃんは安心できませんでした


花丸「なんだかスッキリしないずら……」

梨子「懸念材料があるってこと?」

花丸「20年ぶりの異変なのに、こんな簡単に終わっていいのかなって……」

梨子「考えすぎじゃない?」
 

250: 2018/04/04(水) 23:42:30.72 ID:ww3LwOvQ.net
花丸「それでも今回の事、梨子ちゃんがいなかったらって思うと恐ろしいずら……」

梨子「それはたまたまであって、私がいないなら違う形で対応していたと思うよ」

花丸「でも今回は他のみんなも………あっ」

梨子「ん?」


 防衛隊とモンスターの衝突を遠くに見つめながら花丸ちゃんは考えます
 一つの疑問は別の疑問を発生させ、どんどん連鎖します


花丸「まさか……考えすぎずら」

梨子「どうかしたの?」


 花丸ちゃんは今の事態に少しひっかかるものを覚えます
 

251: 2018/04/04(水) 23:46:46.20 ID:ww3LwOvQ.net
花丸「どうして今のタイミングでこんな群れが押し寄せてくるんだろうって、考えてたずら」

梨子「20年前はどういった事情だったの?」

花丸「原因は不明らしいけど、町に向かって一直線に向かってきていたそうずら」

梨子「全部撃退したの?」

花丸「じいちゃんが言うにはそうずら。町を目指していたのか、町が進路上にあっただけなのかは謎で…」

梨子「ふむ……。でもここから見えるだけでもあの群れって種族バラバラだよね」

花丸「あまり脅威じゃないぷにぷにの種類が一番多いけど、ウォルフもいるしアードラもいるし、マンドラコラまでいるずら」

梨子「そういう群れというか混合した種族で意思統一なんてできるものなの?」

花丸「普通はできないずら」

梨子「じゃあこれって……」


 梨子ちゃんは想像します。ここ数日の状況、町に起こっている事態
 偶然と考えてよいのか……


花丸「あ、あの群れの後ろに構えてるの、サラマンダずら!」

梨子「サラマンダ!?」ピクッ


 錬金術において貴重な素材を得ることができる竜、サラマンダ
 レアなモンスターの情報に梨子ちゃんはさっきまでと思考がガラリと切り替わります
 

252: 2018/04/04(水) 23:48:03.29 ID:ww3LwOvQ.net
梨子「あの素材欲しいな~」

花丸「梨子ちゃん?」

梨子「サラマンダの素材ってとても貴重なの、知ってる?」

花丸「滅多に姿を見せないからレアだというのは聞いたことがあるずら」

梨子「防衛隊の人達、退けることに徹してるけど……倒してくれないかなぁ」

花丸「素材が欲しいの?」

梨子「欲しい!」

花丸「なら、町にあるずらよ」

梨子「ホント!?」キラキラ

花丸「先月だったかな、町にきた行商さんが持ってたのを仕入れたって情報があったずら」

梨子「そういうのも管理してるの?」

花丸「情報に関してはだいたいの事はマルの耳に入るずらっ」

梨子「すごいんだねーご意見番って……ん?」
 

253: 2018/04/04(水) 23:49:52.02 ID:ww3LwOvQ.net
 そこで一つ梨子ちゃんは閃きます
 決していい事ではないけど、少しこの事態の原因解明になるかもしれない事でした


梨子「ねえ、一つ聞いていいかな?」

花丸「素材が必要なら確認してみるけど……?」

梨子「そうじゃなくてね、ルビィちゃんの目撃情報って花丸ちゃんは聞いてないの?」

花丸「ん…………聞いてなかったずら。だから梨子ちゃんのところにルビィちゃんがいて驚いたの」

梨子「ルビィちゃんは黒澤家のお嬢様で、捜索届がだされているくらいの人物でしょ?」

花丸「………………」

梨子「それなのに町のご意見番である花丸ちゃんに話がいかないのは、なんだか不自然かなって」

花丸「……………梨子ちゃん」


梨子「レッテン廃鉱の事故に合わせてまるで町から戦力を剥ぐのが目的のようにも見えるね」


花丸「…………つまり梨子ちゃんは……今回の事…」

梨子「作為的な……誰かの計画かもしれないかな~って」
 

254: 2018/04/04(水) 23:51:37.25 ID:ww3LwOvQ.net
 梨子ちゃんの言葉に花丸ちゃんの表情が一変します
 しかしその緊張した空気は戦場の大きな爆発音でかき消されました

 梨子ちゃんの制作したメガフラムやメガクラフトが使われたのです


梨子「おー、いい感じの威力がでてるんじゃないかな?」

花丸「名称が同じでも、けっこういい品質だったと思うずら」

梨子「それは材料が制限なく使えたからね。普通にやってたら無理だよ」

花丸「そんなことない、梨子ちゃんの腕前ずらよ……」

梨子「あー……サラマンダ逃げちゃった……」

花丸「撃退に成功したずらね。今日はもう落ち着くずら」


 防衛の初戦は大きな被害もなく終わりました
 梨子ちゃんが大量に作ったフラムを込めた長銃が大活躍です

 その結果に梨子ちゃんは満足しますが、花丸ちゃんは先の事が気にかかるのでした…… 
 

255: 2018/04/04(水) 23:53:37.78 ID:ww3LwOvQ.net
 -夜


花丸「ただいまずら~」ガチャ

梨子「ふぅ、疲れた……」


ぱな「おつとめごくろうさまです?」

まき「…………」ムスッ


 工房では妖精さん達がかわらず作業を続けていました
 しかしそこにりんちゃんの姿がありません


梨子「あれ、ぱなちゃん~りんちゃんは?」

ぱな「しゅっちょうじぎょうです?」

梨子「出張?」


 パタパタパタ…


ルビィ「あ、おかえりなさ~い」

花丸「ルビィちゃんただいま。善子ちゃんは?」
 

256: 2018/04/04(水) 23:54:35.29 ID:ww3LwOvQ.net
ルビィ「えっと、善子ちゃんは爆弾制作の効率をあげるためにお店のほうに一度戻りました」

梨子「りんちゃんはどこかな?」

ルビィ「善子ちゃんが雑用係がいるって言って、連れてっちゃいました」

梨子「えー…」

花丸「緊急事態なんだからガマンするずらよ」

梨子「ヨハネさんも錬金術士らしいから、まぁ大丈夫かな……」

花丸「さて、それよりさっそくだけど……」

梨子「うん。ルビィちゃ~ん、おいで~」クイクイ


ルビィ「ぴぎっ!?」ビクッ


梨子「ちょっとお話し聞かせてもらいたいの」ニコ

ルビィ「えと、それはどういう…?」
 

 どうしても立場上、緊張してしまうルビィちゃんでした
 

257: 2018/04/04(水) 23:57:25.68 ID:ww3LwOvQ.net
ルビィ「え……ルビィ達が日時計の草原にいたワケですか?」

花丸「それが梨子ちゃんがひっかかってる部分ずら?」

梨子「引っかかるというか、その理由によってはちょっと…ってくらいかな」


 馬車での帰り道、二人が今回の事件に対して見方を変えて考えてみようという話がでました
 そこで梨子ちゃんは持ち前の妄想で、もしかしたらの話をだします


ルビィ「ルビィのいた盗賊団は日時計の草原のもっと北にある洞窟にアジトがあったんですけど……」

花丸「日時計の北……モンスターの群れがやってきたヴィラント山の東になるのかな」

ルビィ「うん、その辺です」

梨子「曜ちゃんが、日時計の草原に夜盗……盗賊が来るなんてなかったからって言ってたけど、あれは?」

ルビィ「えっと…それは……」

花丸「梨子ちゃん、曜ちゃんと一緒だったずらか?」

梨子「採取での護衛をお願いしてたの」
 

258: 2018/04/04(水) 23:59:40.46 ID:ww3LwOvQ.net
ルビィ「じつはルビィ達、少数のモンスターに襲われてアジトをとられちゃったんです」

梨子「アジトを……って、モンスター達に?」

ルビィ「はい。ある日突然アジトに現れて、それで逃げるしかできなくて…」

花丸「盗賊の件も十分驚いたけどけっこう危ない目にあってたずらね、ルビィちゃん」

梨子「それで日時計の草原に流れてたのね。で、キャンプ中の私達に狙いをつけたと」

ルビィ「ごめんなさい。みんな慌てて飛び出したから、満足に食料もなくて……」

梨子「数って、倒せないほどだったの?」

ルビィ「あの辺りには生息しないガイコツとかアポステルなんかがきて…そんなのとはとても……」

花丸「アポステル!?」


 アポステルとはダンジョンなどの奥深くにいる魔法生物
 盗賊程度ではとても太刀打ちできない強力なモンスターです


梨子「うーん……」

花丸「そんなのが盗賊のアジトを強襲……たんなる偶然?」
 

259: 2018/04/05(木) 00:00:50.02 ID:5CNy51UL.net
梨子「関連づけたら面白い事になってそうなんだけど……」

花丸「面白い事?」

梨子「もしもね、今回のモンスターの群れがすべて作為的なものだとすると……」

花丸「さっき言ってた事だね」

梨子「アジトを襲撃したのは、そのあたりの人目を遠ざける必要があったから…」

ルビィ「ぅゅ?」

梨子「最初観測されたモンスターの群れが次に目撃された時に減っていたのは、二通りの可能性…」

花丸「な、なんずら?」


梨子「一つは、群れにまぎれて何かを移動させていたか……群れを誘導できる存在が別動隊を動かしている可能性」


花丸「別動隊……まさか!?」ガタッ

ルビィ「ゅゅ?」
 

260: 2018/04/05(木) 00:02:57.96 ID:5CNy51UL.net
梨子「これがもし、レッテン廃鉱の事故とルビィちゃんのお姉さんを町から引き剥がす目的と連なっているとしたら」

ルビィ「え、どうゆうことですか?」

梨子「町をどうかしたいという目的の場合、主力のいない今、防衛にも人手を割いてる最初の日の夜が一番危険かな」

花丸「それって……」

梨子「うん、今日だね」

花丸「って、それ全然面白くないずらよ!!」

梨子「あくまで可能性であって、確定じゃないから……」

花丸「可能性が0じゃない時点で動かないとダメずら~~!」ダッ

ルビィ「あ、花丸ちゃん!」


 梨子ちゃんの示す一つの可能性を受け止め、花丸ちゃんは工房を飛び出していきました
 それに対して梨子ちゃんは可能性としては考えますが、決定づける理由が不足していてまだ思案します

 ルビィちゃんはよくわからずオロオロしています
 

261: 2018/04/05(木) 00:03:32.71 ID:5CNy51UL.net
続きます~

272: 2018/04/05(木) 23:14:19.57 ID:5CNy51UL.net
 -次の日


 タタタ… バァン!


善子「お邪魔するわよ~!」

りん「」グデ…


ぱな「ぴゃぁ!?」

まき「…………」ムスッ


梨子「ふあ…ぁ……ん、おはようございますヨハネさん」

善子「おはよう、いい感じのフラムが出来たわよ!」ドサドサ ケシッ

梨子「これって、メガフラムですか?」

善子「そうよ、徹夜でできそうなのは完成させといたわ」ケシッ ケシッ
 

273: 2018/04/05(木) 23:15:24.23 ID:5CNy51UL.net
梨子「って、りんちゃん大丈夫ー?」

善子「ちょっと無理させちゃったかもだけど、まぁ大丈夫でしょ」ケシッ ケシッ

梨子「ぱなちゃん、りんちゃんを休ませてあげて~」

ぱな「さいじゅうようあんけんです?」タタタ…


善子「ちゃんと妖精専用の栄養ドリンク飲ませといたから大丈夫よ」ケシッ ケシッ

梨子「しっかり疲弊してるじゃないですか、もう……」ナデナデ

りん「りんしたいけん…」グデ…

善子「大袈裟ねぇ……って、あんたいつまで人の脚蹴ってるのよ!」ケシッ ケシッ

まき「…………」ムスッ ケシッ

梨子「当然です」ムスッ
 

274: 2018/04/05(木) 23:16:59.37 ID:5CNy51UL.net
善子「それより昨夜はなにかあったの? ずっと外が騒がしかったようだけど」

梨子「たぶん、花丸ちゃんが自警団の人を飽き集めて夜間警備のために町を走り回ってたんじゃないかと」

善子「警備? モンスターの群れは防衛ラインで抑えられてるんじゃないの?」

梨子「それが囮の可能性がでてきたので、念のためです」

善子「んん? ちょっと詳しく教えてくれる?」


 ガチャ…


花丸「あー……疲れたずらー……」フラフラ…

梨子「花丸ちゃん?」

善子「ちょっと大丈夫?」
 

275: 2018/04/05(木) 23:18:10.92 ID:5CNy51UL.net
 徹夜で駆け回っていた花丸ちゃんが疲労とともにソファでダウン
 遅く起きてきたルビィちゃんが介抱している間に、梨子ちゃんが善子ちゃんに経緯を説明します


善子「で、結局その危険な日にモンスターは襲ってこなかったんでしょ?」

梨子「そうみたいですね」

善子「じゃあ取り越し苦労だったって事じゃないの?」

梨子「…………うーん…」


 どうにもスッキリしない梨子ちゃんは今回の事を終わりにできません
 もやもやするものがずっと引っかかっているからです


善子「それより今日も爆弾制作がんばらないといけないんでしょ?」

梨子「勿論です、ここで手を止めるわけにはいきませんから」

善子「じゃあ手伝ってあげるから、やりましょ」

梨子「……………」
 

276: 2018/04/05(木) 23:19:13.67 ID:5CNy51UL.net
善子「ん、なに?」

梨子「いえ、ヨハネさんも昔錬金術士だった話しを聞いてないなと思って…」

善子「昔の話よ……今は別に……」

梨子「ヨハネさんの作ってくれたメガフラム、すごく丁寧に作られてます。きっと私なんかよりも全然…」

善子「だから昔の話だって、今は応援する立場なの! 私は……」


花丸「そんなことないずら!」ヨロッ…

ルビィ「花丸ちゃん…」サッ


善子「花丸……ちゃんと寝てなさいよ」

花丸「善子ちゃんは今でもやりたいんでしょ? 錬金術!」

善子「今の私は道具屋の店主…それだけよ……」

ルビィ「……………」


梨子(この前言い合ってたのはこの事かな……)
 

277: 2018/04/05(木) 23:22:16.82 ID:5CNy51UL.net
花丸「嘘だよ、昨日だって無理やりお願いした形だけど、錬金術に関われる事を善子ちゃんは喜んでいたよ」

善子「そんな事ないわよ……」

花丸「それにこれ……善子ちゃんが作ってきたメガフラム、とても綺麗ずら」サッ

善子「……………」


 善子ちゃんが制作した爆弾は梨子ちゃんも認めています。それが片手間に作っているような物ではないと
 問題としては蚊帳の外ですが、梨子ちゃんは花丸ちゃんの言葉に共感します


善子「爆弾なんて危ない物を適当に作れるわけないでしょ」

ルビィ「ルビィもそう思うよ、善子ちゃん!」

善子「な、なによルビィまで……」

ルビィ「昨日お手伝いしてて思ったもん。善子ちゃん前みたいにキラキラしてた、楽しそうだった」

善子「……………」
 

278: 2018/04/05(木) 23:23:12.46 ID:5CNy51UL.net
ルビィ「それにルビィも楽しかった、また三人でやりたいって思ったもん」

梨子(また? 昔は三人でこの工房を運営していたのかな?)

花丸「善子ちゃん………」


善子「……………」


梨子(とりあえずこの空気は苦手だなぁ…)


善子「それでも……今はまだ、出来ないわよ……」

花丸「まだあの事を気にしてるの?」


梨子(なにか新しいワードが……)

善子「……………」
 

279: 2018/04/05(木) 23:23:50.68 ID:5CNy51UL.net
善子「もうっ、二人ともこういう状況でその話をするのはズルイのよ!」

花丸「マルは善子ちゃんにまた輝いて欲しいだけずら!」

ルビィ「ルビィも!」

善子「ぅぅ…………」


 


梨子「ぱなちゃん、こっちで作業しよっか…」

ぱな「いちれんたくしょうです?」

梨子「そんな時間ないよ~っと」


 じっと眺めているほど暇ではないので梨子ちゃんは爆弾作業を再開します
 

280: 2018/04/05(木) 23:24:57.82 ID:5CNy51UL.net
善子「ほ、ほらっ…梨子も作業してるんだし、この話はまた今度ね」

花丸「むぅ…善子ちゃんズルイずら」

ルビィ「むぅ」

善子「マジで今はそれどころじゃないっていうのは本当でしょ?」

花丸「まぁ、そうだけど……」

ルビィ「…………」ジ…


梨子「え、どうしてこっちが睨まれるの?」


 とんだとばっちりでした


善子「まずはやることをやって、それからまた…ね」

花丸「わかったずら……」

善子「ほらっ、さっさと作業するわよ!」

ルビィ「うん」
 

281: 2018/04/05(木) 23:25:58.31 ID:5CNy51UL.net
梨子「落ち着いてよかったです」

善子「悪かったわね、騒がせて」

梨子「いえいえ。とりあえずフラムの回収とセットは終わりました」

善子「早いわね、これなら毎日十分な数が賄えるわ」

梨子「材料をずっと供給してもらってますから」

善子「町の人の協力もそうだけど、梨子がいてくれてホント良かったわ」

梨子「ええー、褒めてもなにもでませんよ?」

善子「何言ってんの、梨子がいなかったらもっと大変な事になってたわよ、自信持ちなさい」

梨子「そうですかね………うーん……ん?」


 それだけ言うと善子ちゃんは作業に入ります
 ですが、梨子ちゃんはここにきて一つ……引っかかっていたものがスポンと抜ける感覚を覚えます


 そして梨子ちゃんは妄想します……今回の事件について……


梨子「……………」
 

282: 2018/04/05(木) 23:26:49.43 ID:5CNy51UL.net
 -お昼前


花丸「それじゃお昼ご飯を食べたら梨子ちゃん、またマルと防衛ラインを視察にいくずら」


梨子「んー……」


花丸「梨子ちゃん?」

善子「なんだか途中から考え事してるみたいよ」

ルビィ「梨子さん、時折こんな感じに考え事するとしばらく無言だったりします」

花丸「ふむ……」


梨子「あー…そうなのかなぁ?」


花丸「梨子ちゃん何を考えていたずら?」

梨子「今回のモンスター襲来にもし犯人と呼ぶべき存在がいるとして……」

花丸「っ!」

善子「なに?」
 

283: 2018/04/05(木) 23:27:51.15 ID:5CNy51UL.net
梨子「もしかしてその犯人って、私の事知らないのかもって思って…」

花丸「どういう事ずら?」


梨子「昨日の襲撃で、防衛したじゃない?」

花丸「そうずらね、梨子ちゃんのフラム大量生産作戦がきいたずら」

梨子「サラマンダいたでしょ、群れに」

善子「え、あの真紅の邪竜があらわれたの!?」

花丸「でもなんとか撃退したよ?」

梨子「うん。もしも群れが囮だとしたら、そんな強力なモンスターを配置させるかなって…」

善子「どういう事よ?」

梨子「やっぱりあれは町を襲撃する目的の群れで、その戦力配分を間違えたんじゃないかな?」
 

284: 2018/04/05(木) 23:28:59.07 ID:5CNy51UL.net
花丸「間違えたって……そんなマヌケな理由があるずら?」

梨子「本来はレッテン廃鉱とその周辺のモンスターに人手を取られて、防衛するにしても武器が足りなかったでしょ?」

花丸「あ………」

梨子「町の事情は理解していて、ルビィちゃんのお姉さんを嘘の情報で出し抜く事もできるくらいに詳しい存在」

善子「なのにうまくいかなかった作戦……違う部分は……」

花丸「梨子ちゃんの存在……」


梨子「よくこういう時って相手の手の内が見えない事で焦ったりするけど、後々考えると相手も焦ってたりするもの」


花丸「…………なるほど」

善子「でもそれって根拠はないんでしょ?」

梨子「きっかけはあるけど、夕べ何もなかったから少し信憑性はでたかなって」

花丸「夕べって梨子ちゃんが奇襲があるかもって言ってた事?」
 

285: 2018/04/05(木) 23:30:22.60 ID:5CNy51UL.net
梨子「私がそう言った事で花丸ちゃんが夜間警備を強化して走り回ってたでしょ?」

花丸「当然ずら、町が襲われるかもって時にのんびりしていられないずら」

梨子「それも相手にしてみれば二段構えの奇襲作戦が未然に防がれたって流れにならないかな?」

善子「つまりやっぱり昨日モンスターの襲撃があったかもって事?」

梨子「可能性としてね」


ルビィ「んふふ、ごはんおいしい?」ナデナデ

ぱな「ぱな~♪」

まき「………」ムスッ モグモグ


梨子「ねえ花丸ちゃん」

花丸「なに?」

梨子「オトノキアカデミーから私がここにくるって連絡は花丸ちゃんの情報網にかからなかったのはなぜ?」

花丸「町としては錬金術協会とのパイプはあるけど国木田にはないから。それでも1日あれば耳には入ったと思う」
 

286: 2018/04/05(木) 23:31:47.04 ID:5CNy51UL.net
梨子「それと同じ体系の組合は他にある?」

花丸「………………」

梨子「もしくは、昔から町にいるけど最近の事情にはうとい人。もし犯人が町中にいるとしたら……」

善子「え、そんなことある?」

梨子「町の事情に詳しくないとこんなにうまく町から戦力を削る事はできないよ」

善子「まさか、梨子はレッテン廃鉱の事故も?」

梨子「偶然落盤事故が起きて、偶然行方不明のルビィちゃんがいたという誤報が流れて、偶然モンスターの群れが襲来するかな?」

善子「…………それは……ちょっとしんどいわね」

梨子「ただそれでもわからない部分がまだあるの。盗賊のアジトが襲撃された理由とか……」

花丸「…………」

梨子「それでどうかな、条件にあう組織、組合、人物……心当たりはある?」
 

287: 2018/04/05(木) 23:34:17.62 ID:5CNy51UL.net
花丸「条件的には入るところはあるずら、でも……」

梨子「それはどこ?」

花丸「いや……やっぱり理由がない……ありえないずら……」

善子「なによ、歯切れが悪いわね」

花丸「情報に関してはあてはまるようなのはたくさんあるずら。その中で梨子ちゃんの事を知らない可能性があるのも数人……」

梨子「…………」

花丸「数人だけどそんなのありえないし……一人は今も……きっとこの状況を知らないずら」

善子「それってもしかして……」

花丸「だからゴメン、可能性以前の問題ずら……」
 

288: 2018/04/05(木) 23:35:29.63 ID:5CNy51UL.net
梨子「相手が私を知らないように、私もその相手を知らない。だから花丸ちゃんや善子ちゃん達にわからないのであればこの話はここで終わりだけど」

花丸「ちょっとこっちの方で確認するずら」

梨子「他に知ってるかもしれない人はいる?」

花丸「それも踏まえて確認ずら……」

梨子「そう。それじゃ、話はここまでにしてお昼ご飯にしましょう」


善子「………花丸」

花丸「…………」

善子「そんなことあるわけないって思ってるけど……あんた……」

花丸「出来るわけない……あの子は今そんな状態じゃない……そんな事……」


梨子(どうやらこの町、色々と複雑な部分もあるみたいね……)


ルビィ「ふぅ、ごちそうさま~♪」

ぱな「おそまつさまです?」

まき「…………」ムスッ
 

289: 2018/04/05(木) 23:36:58.41 ID:5CNy51UL.net
続く~~ ケシッ

【ラブライブ】 リリーのアトリエ【後編】

290: 2018/04/05(木) 23:55:49.30 ID:6z2cgyYJ.net

引用: 【SS】 リリーのアトリエ