67: 2013/10/04(金) 19:30:49.15 ID:1updYrrx0


 夕暮れ時を迎えた海岸、その砂浜を1人の男が走る。
 一定のペースで刻まれていく足跡は既に幾重もの線となっており、男が海岸を何往復もしているということが見て取れた。


金剛「提督ゥー? いつまで走ってるネー?」

「ん? ……もうこんな時間なのか」


 少女────金剛の声で、その男は止まる。
 まるで気が付いていなかったかのように振る舞う男の姿を見て、金剛はクスリと笑った。





金剛「もー、Trainingもホドホドにネ?」

「いや、もうちょっと待って欲しい。やっとウォーミングアップが終わったんだ」

金剛「でもご飯出来たヨ? 早く食べないと冷めちゃうネー」

「うーん……分かった。金剛さんの言う通りにするよ」

金剛「素直なのはGoodデース!」


 満面の笑みを浮かべた金剛が親指を立てる。

 本音を言うならば、男は練習がしたかった。しかし金剛の残念そうな表情と、彼の鼻が捉えたカレーの香りに、今回は折れることにしたのだ。


(練習は……夜にするかな?)


 鎮守府へと歩みを進める金剛の背中を追おうとする男。

 その海に背を向けた瞬間、男は気付いた。


金剛「ン? 提督どうかしたネ?」

「……ちょっとね」


 男は海へと目を向けて立ち止まり、男が歩みを止めたことに気付いた金剛が疑問の声を投げかける。


(……うん。念のためにやっておこうか)


 決意し、男はどこからともなく木製のバットを取り出す。

 足場をゆっくりと均し、呼吸を整え、鋭い目つきとなって海の遙か彼方先を睨む。

 そしてバットを構えた数瞬後、男は海に向かってそのバットを振り抜いた。


「────うん。良い感じだ」


 足場が砂ということをものともしない、完成されたスイングフォーム。
 そのあまりの美しさたるや、『知る』人が見れば綺麗なセンター返しを幻視することになったであろうことは間違い無い。

 ……惜しむらくはそれを見たのが『知らない』少女であったことだろう。

 『知らない』少女は、ただただ目の前の出来事に困惑していた。



68: 2013/10/04(金) 19:32:25.83 ID:1updYrrx0

────鎮守府より500キロ先の沖


 最初に感じたのは突風。
 次いで自らの装備が外れていく感触を深海棲艦────空母ヲ級は味わった。

 今回ヲ級は近寄れない海域が有るという報告を受け、その謎を解明すべくここまで進行していた。

 しかしその海域に侵入しようとした結果がこれである。

 装備や艦載機は何故か一つ一つの部品に分解され、戦闘に備えて持ってきたものが使用不可能になってしまっている。

 それでいて自分への傷、ダメージは全く見られない。


ヲ級「ヲ、ヲ……」


 信じられない出来事に驚愕し、辺りをキョロキョロと見回すヲ級だが、その視界には海以外の何者も映りはしない。


ヲ級「ヲ…………」


 そしてしばしの時を経て、諦めたヲ級は帰路へとつく。
 その背中は、ほんの少しだけしょんぼりとして見えた。


70: 2013/10/04(金) 19:33:45.49 ID:1updYrrx0












金剛「────アレ? さっきの棒みたいなのは……?」

「あれはバットって言うんだよ」

金剛「えーと、そのバット? どこに隠したネ?」

「あはは、隠してなんかいないよ」

金剛「むぅー、まるでMagicianデース……」



「マジシャン?」

「それは違うよ」




71: 2013/10/04(金) 19:34:41.68 ID:1updYrrx0





イチロー「僕はイチロー」

イチロー「メジャーリーガーさ」






72: 2013/10/04(金) 19:37:08.51 ID:CmPMQslv0

タイトルを付けるなら
『イチローが鎮守府に着任しました』

室伏がハンマーで艦載機を落として、
北島が敵潜水艦にダイレクトアタック。

そんな妄想です。

お目汚し失礼しました。


73: 2013/10/04(金) 20:06:22.46 ID:PpUwNShVo
もうあいつらだけでいいんじゃないかな乙。

74: 2013/10/04(金) 21:16:21.75 ID:veamT/2Co
室伏のハンマーならフラ戦ワンパン撃沈できるんじゃないかな

引用: 艦これSS投稿スレ