171: 2009/03/21(土) 17:04:44 ID:X+Yz3JYc
酒の入った人間は危険である。
溜まりに溜まったうっぷんが爆発するのか?
はたまた理性と言う名の仮面で隠した“地”が出るのか……。積極的になるのである。殊更、普段は真面目な者に限って。
今日――三月十一日は特にひどかった。
ミーナの誕生日というわけで開かれたパーティは早々から酒の入ったミーナと、あっと言う間に出来上がった他の隊員によって単なる馬鹿騒ぎと化し――。
パーティの主役でもないのに、何故だか私は文字通り酔っ払い達ににもみくちゃにされた。
詳しいことは頭が思い出すことを拒否しているようで、よく思い出せない。
ミーナが私を押し倒した時にペリーヌが卒倒し、宮藤はといえば“おっOい! おっOい!”とか口走っていたりして。
もちろん他の隊員も好き勝手なことをやっており、まさしくあの瞬間、食堂は悪夢の様相を呈していた。
そんなことばかりが記憶に残っている。
いっそ私も酔って全てを忘れてしまいたかった。あの時ほど、あまり酒に酔えない自分の体質を恨んだことは無い。
あげくの果てに今、私はミーナの部屋にて酔った彼女の相手をしている。彼女に引きずり込まれたのだ。
「たぁのしぃパーティーだったわね」
ベットに腰掛けながらミーナは言った。私はと言えば、わざわざベットの脇まで椅子を持ってきて話をしている。
「私は……あまりそうでもなかったぞ、色々とやられた所為だな」
「あらあら~何に?」
素直に考えを言えばミーナが働いた(主に私への)狼藉に気付くかと思ったが、そんなことは無かった。
泥酔してる間の記憶は無いのかもしれない、だとすれば相当に性質が悪いな……。
「さあな」
「ふうん、まあ何でもいいわ」
あっさりと流すミーナ。私も最早追及するつもりはなかった。
「そんなことより聞いてくれないかしら美緒……」
「聞かんと言っても言うだろう? しょうがないな、言ってみろ」
恐らくは愚痴だと思う。隊長である以上彼女には気苦労が絶えない。
バルクホルンやハルトマンは私以上に付き合わされると聞く、よくもまぁ愚痴のタネが尽きないものだ。
やれやれ、しばらくはミーナをねぎらうとするか。
173: 2009/03/21(土) 17:05:24 ID:X+Yz3JYc
そんな調子で付き合っているうちに結構な時間が過ぎた。
すっかり遅くなってしまった、明日の事を考えるならそろそろ帰って眠るべきだろう。ミーナが返してくれるかどうかが不安要素なのだが。
「ふう……そろそろ私は部屋に帰るよ、おやすみミーナ」
「まだ早いわよ? もう帰ってしまうの?」
「ああ、生憎だが……」
そう言って椅子を立ち、彼女に背を向けた私だったが、軍服の袖を引っ張られたせいで進むことは出来なかった。
予感はしていたが……どうしたものか?
「放して、くれないか?」
その言葉を聞いてミーナはぎゅ、と袖をつかむ手の力を強めた。
放すつもりは無い、と言うことか。困ったものだな……。
ため息交じりに私は言う。
「何のつもりだ?」
ミーナは答えず、潤んだ目でこちらを見る。目をそらせば私がいなくなってしまうかのように。
そんな目で見つめられると、何だか悪いことをしてしまったかのように錯覚してしまう。そんなことはしていない無いのだが。
「もう少し、ここに居てほしいの。いけないかしら?」
ようやく発した言葉は彼女らしくも無い弱気な声による哀願で――。
その言葉には私を狼狽させるのに十分な重みがあった。
どうして私を引きとめるのか? わからない。しかし、わからなくともその願いに応じる義務がある。
ミーナがあんな顔で、頼んでいるのだから。
「しかたないな、お前の気がすむまでここに居るとしよう」
椅子にもう一度腰掛け、向かい合う。悲しげな表情は少しやわらいでいた。
「ありがとう、ごめんなさいね……わがままにつきあわせちゃって……」
「構わんさ、誕生日くらいお前の好きにしろ」
少し前に好き放題やられたばかりではある。まぁミーナが今から暴走する事は無い……筈だ。
「優しいわね美緒。でも……そんな風にペリーヌさん、宮藤さんにもあなたは優しいのでしょうね?」
突然出て来るペリーヌや宮藤の名前。また、わからない。彼女の真意はどこにある?
「いきなりだな? いや、厳しくしているつもりだが。お前には優しくしているように見えるか? ミーナ?」
「見えてしまうのよ、私は嫌な女だから」
そう言ってミーナは自嘲の笑みを見せる。これも、何故? さっきからわからないことだらけで、自分自身にうんざりする。
「わからないな、隊員に私が優しくしているように見えるのが、どうして嫌な女なんだ? 自分をそんな風に言うのはよせ……」
素直に疑問をぶつけてみると、ミーナは一瞬驚いたような顔をしていたが、すぐに笑みを見せた。
「きっと、あなたにはわからないわ。でもね、美緒はそれでいいのよ」
「納得がいかんぞ」
質問に答えてもらえなかった。私にはわからんとのことだが、もやもやする。
「いかなくていいの」
「むぅ」
「ふふ……」
もやもやする私の右頬にそっと彼女の指が触れた。そのまま慈しむようにその指を頬に滑らせる。
何やら恥ずかしいようなこそばゆいような不思議な感覚だ。
「すべすべしてるわ」
頬の感想なんぞ聞きたくない。
やがて、私の右頬を撫でる指は眼帯に到達し、それを上にずらしてしまいには取り払ってしまった。
視界が魔力を帯びたものになる。眼帯の下にある魔眼が露わになったのだ。ミーナは指を止め、私を見つめる。
すっかり遅くなってしまった、明日の事を考えるならそろそろ帰って眠るべきだろう。ミーナが返してくれるかどうかが不安要素なのだが。
「ふう……そろそろ私は部屋に帰るよ、おやすみミーナ」
「まだ早いわよ? もう帰ってしまうの?」
「ああ、生憎だが……」
そう言って椅子を立ち、彼女に背を向けた私だったが、軍服の袖を引っ張られたせいで進むことは出来なかった。
予感はしていたが……どうしたものか?
「放して、くれないか?」
その言葉を聞いてミーナはぎゅ、と袖をつかむ手の力を強めた。
放すつもりは無い、と言うことか。困ったものだな……。
ため息交じりに私は言う。
「何のつもりだ?」
ミーナは答えず、潤んだ目でこちらを見る。目をそらせば私がいなくなってしまうかのように。
そんな目で見つめられると、何だか悪いことをしてしまったかのように錯覚してしまう。そんなことはしていない無いのだが。
「もう少し、ここに居てほしいの。いけないかしら?」
ようやく発した言葉は彼女らしくも無い弱気な声による哀願で――。
その言葉には私を狼狽させるのに十分な重みがあった。
どうして私を引きとめるのか? わからない。しかし、わからなくともその願いに応じる義務がある。
ミーナがあんな顔で、頼んでいるのだから。
「しかたないな、お前の気がすむまでここに居るとしよう」
椅子にもう一度腰掛け、向かい合う。悲しげな表情は少しやわらいでいた。
「ありがとう、ごめんなさいね……わがままにつきあわせちゃって……」
「構わんさ、誕生日くらいお前の好きにしろ」
少し前に好き放題やられたばかりではある。まぁミーナが今から暴走する事は無い……筈だ。
「優しいわね美緒。でも……そんな風にペリーヌさん、宮藤さんにもあなたは優しいのでしょうね?」
突然出て来るペリーヌや宮藤の名前。また、わからない。彼女の真意はどこにある?
「いきなりだな? いや、厳しくしているつもりだが。お前には優しくしているように見えるか? ミーナ?」
「見えてしまうのよ、私は嫌な女だから」
そう言ってミーナは自嘲の笑みを見せる。これも、何故? さっきからわからないことだらけで、自分自身にうんざりする。
「わからないな、隊員に私が優しくしているように見えるのが、どうして嫌な女なんだ? 自分をそんな風に言うのはよせ……」
素直に疑問をぶつけてみると、ミーナは一瞬驚いたような顔をしていたが、すぐに笑みを見せた。
「きっと、あなたにはわからないわ。でもね、美緒はそれでいいのよ」
「納得がいかんぞ」
質問に答えてもらえなかった。私にはわからんとのことだが、もやもやする。
「いかなくていいの」
「むぅ」
「ふふ……」
もやもやする私の右頬にそっと彼女の指が触れた。そのまま慈しむようにその指を頬に滑らせる。
何やら恥ずかしいようなこそばゆいような不思議な感覚だ。
「すべすべしてるわ」
頬の感想なんぞ聞きたくない。
やがて、私の右頬を撫でる指は眼帯に到達し、それを上にずらしてしまいには取り払ってしまった。
視界が魔力を帯びたものになる。眼帯の下にある魔眼が露わになったのだ。ミーナは指を止め、私を見つめる。
174: 2009/03/21(土) 17:06:04 ID:X+Yz3JYc
「おい……さっきからどうしたんだ。見慣れたものだろう、私の魔眼なんて」
ミーナに見つめられたまま数十秒が経った。沈黙に耐えかねて私は口を開く。
「綺麗な眼……。今、美緒は私だけを見ているのよ……」
「は――恥ずかしいことを言うなッ!」
急激に顔が赤くなっているのを感じる。こんなことを言うとは……まだ酔っているらしいな。
「飲み過ぎたか? ミーナ」
「飲まなきゃこんなこと言えないわよ、らしくないわね赤くなるなんて」
開き直られてしまった。
「お前が妙な事を言うからだ――と、言うかだな……そろそろ帰らせてもらうぞ」
これ以上一緒にいたらされるか分かったものではない。
度々酔ったミーナに絡まれてきた私にはわかる。
「だーめ、まだつきあってもらうわよ」
けれども私の希望はあっさり却下された。さて、どうやって説き伏せようか?
無理に帰ろうとすると思いあまった彼女に押し倒されたりするかもしれない。慎重に事を運ばなければ。
「何故だ? もう遅いし、話すことなどないだろう。明日も任務はあるのだぞ」
「だって……今帰したら、また私以外の子を見るようになるでしょう? あなたってば、ジゴロなんですもの」
「ジ、ジゴロォ?」
何と言う事だ……ミーナには私がジゴロに見えるらしい。ならば先ほどおかしなことを言ったのにも頷ける。無論、そんな真似をした覚えなど全く無いが……。
「ええい、何を言っている!? 私はジゴロなんぞになったつもりは無いぞッ!」
いくら酔っ払いの言ったこととはいえ聞き捨てならない、なにしろ身に覚えがないことだ。
「そう言うと思ったわ、自覚が無いのが厄介なのよね……」
「お前は――」
――私が自覚の無いままに隊員をたらし込んでいたとでも?
のどまで差し掛かっていた言葉は結局、口から出てくることは無かった。
理由は簡単。
ミーナが獲物を襲う獣の如く俊敏な動きで腰かけていたベットから私へ飛びかかり、そのままキスをしたから。
私は椅子から立ち上がることすらできなかった。
「ん……ふぁ……ミ、ミーナッ!」
私は必氏の抵抗でどうにか彼女の唇から離れた。動悸が激しい、頭の中もぐしゃぐしゃに混乱している。
「言いたいことは色々とあるでしょうけれど、少なくとも今だけは絶対に離さないわよ、美緒……!」
ミーナは笑っている、捕まえた獲物をどう味わおうとするかを考えている。
――怖い。情けないことに私は怯えている、ここは戦場では無いと言うのに。
戦場で感じる恐怖とはまた別種の恐れが私の体を硬直させた。
「とりあえず落ち着くんだ……」
「私は至って冷静よ? こうでもしなきゃあなたは私の気持ちに気付かないもの」
「お前の気持ちだって……?」
ミーナの気持ち、想い。私は何も、気付かなかった。何も、わからなかった。それは、今も――。
「はっきりと言ったほうがいいわね。……愛してるわよ、美緒。他の子になんか目もくれないで、私だけを見て頂戴」
「え? ミーナ?」
違う。気付かなかったなんて嘘。薄々気付いていた、わかっていた。
酔った勢いなんて言葉で説明できないくらい酒の入った彼女はいつも私にアプローチをかけていたではないか。
それは素面でそんな事をする勇気がないから、酒の力を借りていただけだけに過ぎなかったのだ。
それでも私は自分を誤魔化していた。触れてしまえば後戻りできなくなってしまうから。
「本気か……?」
「興ざめな事を言わないで、こんな時に嘘なんてつかないわよ」
「だろう、な」
どうすればいい? 私は、どうすればいい? 思考は答えを出さないまま、ぐるぐると廻る。
ミーナに見つめられたまま数十秒が経った。沈黙に耐えかねて私は口を開く。
「綺麗な眼……。今、美緒は私だけを見ているのよ……」
「は――恥ずかしいことを言うなッ!」
急激に顔が赤くなっているのを感じる。こんなことを言うとは……まだ酔っているらしいな。
「飲み過ぎたか? ミーナ」
「飲まなきゃこんなこと言えないわよ、らしくないわね赤くなるなんて」
開き直られてしまった。
「お前が妙な事を言うからだ――と、言うかだな……そろそろ帰らせてもらうぞ」
これ以上一緒にいたらされるか分かったものではない。
度々酔ったミーナに絡まれてきた私にはわかる。
「だーめ、まだつきあってもらうわよ」
けれども私の希望はあっさり却下された。さて、どうやって説き伏せようか?
無理に帰ろうとすると思いあまった彼女に押し倒されたりするかもしれない。慎重に事を運ばなければ。
「何故だ? もう遅いし、話すことなどないだろう。明日も任務はあるのだぞ」
「だって……今帰したら、また私以外の子を見るようになるでしょう? あなたってば、ジゴロなんですもの」
「ジ、ジゴロォ?」
何と言う事だ……ミーナには私がジゴロに見えるらしい。ならば先ほどおかしなことを言ったのにも頷ける。無論、そんな真似をした覚えなど全く無いが……。
「ええい、何を言っている!? 私はジゴロなんぞになったつもりは無いぞッ!」
いくら酔っ払いの言ったこととはいえ聞き捨てならない、なにしろ身に覚えがないことだ。
「そう言うと思ったわ、自覚が無いのが厄介なのよね……」
「お前は――」
――私が自覚の無いままに隊員をたらし込んでいたとでも?
のどまで差し掛かっていた言葉は結局、口から出てくることは無かった。
理由は簡単。
ミーナが獲物を襲う獣の如く俊敏な動きで腰かけていたベットから私へ飛びかかり、そのままキスをしたから。
私は椅子から立ち上がることすらできなかった。
「ん……ふぁ……ミ、ミーナッ!」
私は必氏の抵抗でどうにか彼女の唇から離れた。動悸が激しい、頭の中もぐしゃぐしゃに混乱している。
「言いたいことは色々とあるでしょうけれど、少なくとも今だけは絶対に離さないわよ、美緒……!」
ミーナは笑っている、捕まえた獲物をどう味わおうとするかを考えている。
――怖い。情けないことに私は怯えている、ここは戦場では無いと言うのに。
戦場で感じる恐怖とはまた別種の恐れが私の体を硬直させた。
「とりあえず落ち着くんだ……」
「私は至って冷静よ? こうでもしなきゃあなたは私の気持ちに気付かないもの」
「お前の気持ちだって……?」
ミーナの気持ち、想い。私は何も、気付かなかった。何も、わからなかった。それは、今も――。
「はっきりと言ったほうがいいわね。……愛してるわよ、美緒。他の子になんか目もくれないで、私だけを見て頂戴」
「え? ミーナ?」
違う。気付かなかったなんて嘘。薄々気付いていた、わかっていた。
酔った勢いなんて言葉で説明できないくらい酒の入った彼女はいつも私にアプローチをかけていたではないか。
それは素面でそんな事をする勇気がないから、酒の力を借りていただけだけに過ぎなかったのだ。
それでも私は自分を誤魔化していた。触れてしまえば後戻りできなくなってしまうから。
「本気か……?」
「興ざめな事を言わないで、こんな時に嘘なんてつかないわよ」
「だろう、な」
どうすればいい? 私は、どうすればいい? 思考は答えを出さないまま、ぐるぐると廻る。
175: 2009/03/21(土) 17:06:45 ID:X+Yz3JYc
私の混乱を感じ取ったのか、ミーナは穏やかに笑う。その笑みは、母のそれとだぶって見えた。
「嫌?」
「……わからん」
嫌、ではないと思う。私だってミーナの事は……好きだ。
しかし今まで色恋沙汰とは無縁の暮らしをしていた私にはミーナに抱く好意が“そういう”ものかどうか判断できない。
「もし嫌でも続けるけど、ね!」
「おい、ちょっと待――」
衝撃的な事を言いつつ、私をしっかりと離さないように抱きしめるミーナ。
こんなことを(初めてではないとはいえ)されているのに抵抗をする気が起きないのは、私もこうなることを望んでいたからなのか?
ああ、ミーナはとても温かい。こうして彼女に身を委ねることも決して悪いことではない気がする。
「そうやって嫌がらないのなら、本当に続けちゃうわよ?」
少しの間ミーナのぬくもりを感じていたら、焦れたのだろう、ささやくようにミーナは言った。
「嫌でも続けるんじゃなかったのか?」
「あれは冗談。嫌がる美緒を無理やり~なんて、私に出来ると思う?」
「……お前ならやりかねん」
腕の力が強くなった。痛い。
「失礼ね! 私にそんな嗜好はないわよ!?」
はなはだ疑わしい。キスされた時とか、色々と覚悟したぞ?
「で? 答えを聞いてないけれど、つ・づ・き……どう?」
続きがどんなものなのか経験のないの私には想像しか出来ないが、まぁ多分ミーナが全てを教えてくれるだろう。
ただしミーナへの気持ちもわからないまま、こんな成り行きで続きをしてしまうのは間違っている。だから私の答えは一つ。
「嫌ではないし、私もミーナが好きだ……。でも止しておくよ。上手くは言えんがお前のことが好きなのか、愛してるのか。まだわからない」
それを聞いて、ミーナは残念そうに私から離れて、再びベットに座りなおした。もう抱きしめてもらえないのかと思うと少しだけ名残惜しい。
「正直、残念ね。いいわよ、絶対愛してるって思わせるんだから……! あの子たちには負けない!」
「あの子たち? まさか501の隊員か?」
「どうかしらね」
ミーナ以外にも私を狙う存在が居るらしい、自覚がないだけで私は本当にジゴロのようだ……。
誰なのかは考える気になれない、短い間で一気に疲れた。もう部屋に帰って眠りたい。
「うむ、じゃあ今度こそ帰らせてもらうぞ」
椅子から立ち上がり、ミーナに背を向けた。三度目の引き留めはいくらなんでもないと信じている。
「ええ! さようなら、今夜だけと思わないで頂戴ね。美緒」
三度目の正直。ようやく帰ることが出来るな。空恐ろしい別れの言葉は、聞き流しておく。
私は振り向くことなくミーナの部屋から退出した。
× × ×
……私はまだ知る由も無い。
その夜から、ネウロイの戦いとは異なる、長く熱い戦いが此処ブリタニアで勃発すると言う事を。
私をめぐる長く、熱い、隊員同士の戦いが――。
《続くのか?》
以上でした、ひとまずこの話はお終いです。
今後ペリーヌや芳佳もからませたSSを書けたらいいなぁ。まぁ、受けもっさんって需要がまるでない気もしますが……。
そもそも自分が受けもっさんを書くと、もっさんらしくなくなってしまうと言う罠
アレな感じのSSにおつきあい頂き、ほんとうにありがとうございます。esNTV3r0toでした。
「嫌?」
「……わからん」
嫌、ではないと思う。私だってミーナの事は……好きだ。
しかし今まで色恋沙汰とは無縁の暮らしをしていた私にはミーナに抱く好意が“そういう”ものかどうか判断できない。
「もし嫌でも続けるけど、ね!」
「おい、ちょっと待――」
衝撃的な事を言いつつ、私をしっかりと離さないように抱きしめるミーナ。
こんなことを(初めてではないとはいえ)されているのに抵抗をする気が起きないのは、私もこうなることを望んでいたからなのか?
ああ、ミーナはとても温かい。こうして彼女に身を委ねることも決して悪いことではない気がする。
「そうやって嫌がらないのなら、本当に続けちゃうわよ?」
少しの間ミーナのぬくもりを感じていたら、焦れたのだろう、ささやくようにミーナは言った。
「嫌でも続けるんじゃなかったのか?」
「あれは冗談。嫌がる美緒を無理やり~なんて、私に出来ると思う?」
「……お前ならやりかねん」
腕の力が強くなった。痛い。
「失礼ね! 私にそんな嗜好はないわよ!?」
はなはだ疑わしい。キスされた時とか、色々と覚悟したぞ?
「で? 答えを聞いてないけれど、つ・づ・き……どう?」
続きがどんなものなのか経験のないの私には想像しか出来ないが、まぁ多分ミーナが全てを教えてくれるだろう。
ただしミーナへの気持ちもわからないまま、こんな成り行きで続きをしてしまうのは間違っている。だから私の答えは一つ。
「嫌ではないし、私もミーナが好きだ……。でも止しておくよ。上手くは言えんがお前のことが好きなのか、愛してるのか。まだわからない」
それを聞いて、ミーナは残念そうに私から離れて、再びベットに座りなおした。もう抱きしめてもらえないのかと思うと少しだけ名残惜しい。
「正直、残念ね。いいわよ、絶対愛してるって思わせるんだから……! あの子たちには負けない!」
「あの子たち? まさか501の隊員か?」
「どうかしらね」
ミーナ以外にも私を狙う存在が居るらしい、自覚がないだけで私は本当にジゴロのようだ……。
誰なのかは考える気になれない、短い間で一気に疲れた。もう部屋に帰って眠りたい。
「うむ、じゃあ今度こそ帰らせてもらうぞ」
椅子から立ち上がり、ミーナに背を向けた。三度目の引き留めはいくらなんでもないと信じている。
「ええ! さようなら、今夜だけと思わないで頂戴ね。美緒」
三度目の正直。ようやく帰ることが出来るな。空恐ろしい別れの言葉は、聞き流しておく。
私は振り向くことなくミーナの部屋から退出した。
× × ×
……私はまだ知る由も無い。
その夜から、ネウロイの戦いとは異なる、長く熱い戦いが此処ブリタニアで勃発すると言う事を。
私をめぐる長く、熱い、隊員同士の戦いが――。
《続くのか?》
以上でした、ひとまずこの話はお終いです。
今後ペリーヌや芳佳もからませたSSを書けたらいいなぁ。まぁ、受けもっさんって需要がまるでない気もしますが……。
そもそも自分が受けもっさんを書くと、もっさんらしくなくなってしまうと言う罠
アレな感じのSSにおつきあい頂き、ほんとうにありがとうございます。esNTV3r0toでした。
176: 2009/03/21(土) 17:17:59 ID:JSvUoWqO
>>175
もっさん!もっさん!( ゚∀゚)o彡゚
GJ! 受けもっさんもイイヨイイヨー 続き期待してます。
もっさん!もっさん!( ゚∀゚)o彡゚
GJ! 受けもっさんもイイヨイイヨー 続き期待してます。
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