430: 2009/03/23(月) 03:31:29 ID:nO1BTXww
けだるい午後の台所。芳佳とリーネ、美緒の三人が居る。
「で、戸棚にしまってあったケーキを食べた犯人ですが」
芳佳は台所の現場を指さして言った。
「ふむ。午後の休憩用に作ったケーキが無くなったと」
報告を受け、顎に手をやり様子を見る美緒。
「全員分用意してたんです。十一個。でも全部無くなってて」
「どうしよう、芳佳ちゃん」
「大丈夫、きっと解決するよ」
おろおろするリーネを前に、頷く芳佳。
「しかし、どうやって犯人を割り出すんだ」
美緒は何故か自信たっぷりの芳佳に聞いた。
「犯人の特徴は、大体分かってます」
「ほう? どんなだ?」
美緒の問いに、芳佳は腰に手を当て、ゆっくりと説明する。
「年齢は十代前半から後半、もしくは二十代前半の女性。身長は百四十センチ台から百六十センチ台。
午後のおやつに不満を持っているか、食欲による衝動的犯行か愉快犯か、もしくはそれ以外の理由も考えられます。
犯人の国籍はロマーニャ人と思われますが他国の人である可能性も捨てきれないですね。
犯人は単独犯か同一グループの複数犯、または別々のグループが同時に犯行に及んだものと……」
「芳佳ちゃん……」
「宮藤」
「はい?」
「全然絞り込めてないが」
「え、そうですか? 結構いいセン行ってると思ったんですけど」
「大丈夫かお前は……」
苦い顔をする美緒。こめかみの辺りを指で少し押さえ、言葉を続ける。
「仮にもここは軍の施設だからな。出入り可能な人間は限られる。しかし、わざわざ指紋採取や尋問などをするつもりか?」
「いえ、そこまでは流石に……」
「とりあえず、すぐ出せそうな代わりのモノは無いのか?」
「ええっと。リーネちゃん、何か有ったかなあ?」
「う~ん……。作り置きのクッキーとかで良ければ」
「なら今日はそれを代わりに出せば良い。あと夕刻皆が食事に集まるだろうから、その時改めて聞いて回れば良いだろう」
「はい」
「では後は頼んだ」
美緒はそれだけ言うと、すたすたと執務室に戻った。
「ケーキ? ああ、ごちそうさん」
「ウジャッ あれ食べちゃダメだったの?」
「犯人はやっぱりルッキーニちゃんだったのね」
シャーリーの部屋でケーキの皿を見つける芳佳とリーネ。シャーリーとルッキーニは罪悪感の欠片もなく、首を傾げている。
「リーネちゃんが二時間掛けてじっくり焼いたケーキなんだよ? せっかく午後の休憩で出そうと思ってたのに」
シャーリーのベッドに寝転ぶルッキーニに顔を近付けて、諭す様に注意する芳佳。
「ごめぇん芳佳、リーネ。でもお腹空いてたし、十一個きれいに分けてあったからいいかな~なんて」
「だからって全部食べちゃ……」
「ゥエッ? あ、あたし全部食べてないよ!? ねえシャーリー?」
「あ、ああ。ほら、この通り」
ケーキの皿を二枚寄越すシャーリー。
「すげえ美味かったよ。また今度作ってくれよな。楽しみにしてるからさ」
「はあ……」
それ以上の追及は諦め、皿を二枚持って部屋を出る二人。
「じゃあ、後は誰なんだろう?」
「う~ん……」
「これカ?」
エイラが差し出したのは、ケーキを置いていた筈の皿。二枚有る。
「あう……エイラさん達もですか」
エイラの部屋で見つかった新たな証拠。エイラの部屋にはサーニャも居た。
「ハラヘッタナ~とか思ってタラ、ちょうどケーキが十一個置いてあったから貰ったんダケド。食っちゃまずかったノカ?」
「……いえ、結局は皆さん食べるからいいんですけど」
「リーネさん。美味しかった、このケーキ。また、食べたいな」
「リーネ、サーニャがこう言ってるんだ、絶対作れヨナ? 私も期待してるゾ?」
「あ、ありがとうございます」
エイラが発する「はよ出てけ」オーラを敏感にキャッチした二人は、お皿を回収してそそくさと立ち去った。
「で、戸棚にしまってあったケーキを食べた犯人ですが」
芳佳は台所の現場を指さして言った。
「ふむ。午後の休憩用に作ったケーキが無くなったと」
報告を受け、顎に手をやり様子を見る美緒。
「全員分用意してたんです。十一個。でも全部無くなってて」
「どうしよう、芳佳ちゃん」
「大丈夫、きっと解決するよ」
おろおろするリーネを前に、頷く芳佳。
「しかし、どうやって犯人を割り出すんだ」
美緒は何故か自信たっぷりの芳佳に聞いた。
「犯人の特徴は、大体分かってます」
「ほう? どんなだ?」
美緒の問いに、芳佳は腰に手を当て、ゆっくりと説明する。
「年齢は十代前半から後半、もしくは二十代前半の女性。身長は百四十センチ台から百六十センチ台。
午後のおやつに不満を持っているか、食欲による衝動的犯行か愉快犯か、もしくはそれ以外の理由も考えられます。
犯人の国籍はロマーニャ人と思われますが他国の人である可能性も捨てきれないですね。
犯人は単独犯か同一グループの複数犯、または別々のグループが同時に犯行に及んだものと……」
「芳佳ちゃん……」
「宮藤」
「はい?」
「全然絞り込めてないが」
「え、そうですか? 結構いいセン行ってると思ったんですけど」
「大丈夫かお前は……」
苦い顔をする美緒。こめかみの辺りを指で少し押さえ、言葉を続ける。
「仮にもここは軍の施設だからな。出入り可能な人間は限られる。しかし、わざわざ指紋採取や尋問などをするつもりか?」
「いえ、そこまでは流石に……」
「とりあえず、すぐ出せそうな代わりのモノは無いのか?」
「ええっと。リーネちゃん、何か有ったかなあ?」
「う~ん……。作り置きのクッキーとかで良ければ」
「なら今日はそれを代わりに出せば良い。あと夕刻皆が食事に集まるだろうから、その時改めて聞いて回れば良いだろう」
「はい」
「では後は頼んだ」
美緒はそれだけ言うと、すたすたと執務室に戻った。
「ケーキ? ああ、ごちそうさん」
「ウジャッ あれ食べちゃダメだったの?」
「犯人はやっぱりルッキーニちゃんだったのね」
シャーリーの部屋でケーキの皿を見つける芳佳とリーネ。シャーリーとルッキーニは罪悪感の欠片もなく、首を傾げている。
「リーネちゃんが二時間掛けてじっくり焼いたケーキなんだよ? せっかく午後の休憩で出そうと思ってたのに」
シャーリーのベッドに寝転ぶルッキーニに顔を近付けて、諭す様に注意する芳佳。
「ごめぇん芳佳、リーネ。でもお腹空いてたし、十一個きれいに分けてあったからいいかな~なんて」
「だからって全部食べちゃ……」
「ゥエッ? あ、あたし全部食べてないよ!? ねえシャーリー?」
「あ、ああ。ほら、この通り」
ケーキの皿を二枚寄越すシャーリー。
「すげえ美味かったよ。また今度作ってくれよな。楽しみにしてるからさ」
「はあ……」
それ以上の追及は諦め、皿を二枚持って部屋を出る二人。
「じゃあ、後は誰なんだろう?」
「う~ん……」
「これカ?」
エイラが差し出したのは、ケーキを置いていた筈の皿。二枚有る。
「あう……エイラさん達もですか」
エイラの部屋で見つかった新たな証拠。エイラの部屋にはサーニャも居た。
「ハラヘッタナ~とか思ってタラ、ちょうどケーキが十一個置いてあったから貰ったんダケド。食っちゃまずかったノカ?」
「……いえ、結局は皆さん食べるからいいんですけど」
「リーネさん。美味しかった、このケーキ。また、食べたいな」
「リーネ、サーニャがこう言ってるんだ、絶対作れヨナ? 私も期待してるゾ?」
「あ、ありがとうございます」
エイラが発する「はよ出てけ」オーラを敏感にキャッチした二人は、お皿を回収してそそくさと立ち去った。
431: 2009/03/23(月) 03:31:54 ID:nO1BTXww
「……ご馳走様」
ペリーヌが突き出したのは、ケーキの皿。口元をナプキンで拭いている。
「まさかペリーヌさんまで盗み食いするなんて」
驚く芳佳。
「盗み食いとは失敬な! 棚に隊の人数分綺麗に分けてあったら、一皿は自分の分であるとか、思いませんこと?」
「でも、断り無しは良くないです」
リーネが消え入りそうな声で正論を言う。
「そ、それは……なら、今度から張り紙でもしておいてくださいまし!」
「そんなあ」
「ともかく、また作って頂けるのを期待しておりますから」
そう言い残し、ペリーヌは部屋のドアをばたんと閉めた。
呆気に取られる芳佳とリーネ。
「ごち~」
「美味かったぞリーネ。流石だな」
トゥルーデの部屋。目の前でいちゃつくバカップル二人を前に、食事当番の二人は心が折れる寸前。
エーリカがテーブルに手を伸ばし、ほい、と皿を取り、芳佳達に返す。これで回収された皿は七枚。
「また作ってね~。今日のすごい美味しかったよ。ねえトゥルーデ」
「ああ。今日のは美味かった。なあエーリカ」
「いえ……。どうしたしまして」
皿を受け取りつつ、二人の顔を見る芳佳。肌は妙に艶が有って……ケーキで何をしたか何となく想像出来てしまう。
「どうした宮藤、リーネ? 何か問題でも有ったか?」
「いえ、無いです」
「お邪魔しました」
二人はそっと扉を閉めると、はふうと溜め息を付いた。
「あら。このケーキ、食べちゃいけなかったの?」
口元に手をやり驚くミーナ。執務室に戻った美緒から話を聞き、まるで初耳とばかりに少々戸惑っている。
「とりあえず私が事情を話すから、すぐに空いた皿を寄越すんだ。ケーキを持ってきた私に責任が有る」
「美緒、口元……」
「ん? 何か付いてるか?」
そっと顎に手をやると、そのまま唇を奪うミーナ。危うく皿を落としそうになる美緒。
「な、何をするんだ、このタイミングで」
「こう言うのもたまにはどうかなって思って」
うふっと笑うミーナ。美緒は複雑な顔をしつつも、最後は少々の照れ笑いをする。
「まあ、その、なんだ。宮藤達が心配してるから、早く……」
ドアがノックされ、入って来たのは芳佳とリーネ。
ふたりとふたりの、目が合った。
「あ」
「あら」
台所に戻った芳佳とリーネは、皿を洗う作業に入った。
「何か疲れたね、芳佳ちゃん」
「だね、リーネちゃん。結局、全員持ってったんだね……」
「芳佳ちゃんの推理、当たってたね」
「結果的にそう言う事になるかな」
苦笑いをする芳佳。
「でも」
ふと思い出したかの様に、皿を見る。
「どうかした?」
「お皿は十一枚有ったのに、何で全部無くなったんだろうね?」
「そう言えばそうだよね。あと、みんな『十一皿有ったから』って言ってたよね」
「そこもなんか、おかしいよね」
手元にある九枚の皿を数え、首を傾げる芳佳とリーネ。
「あと二枚。私達の分、どこ行ったんだろうね」
「もう私訳分かんなくなってきた……」
「でも、皆さん美味しいって言ってくれたし。私、また頑張って作るよ」
「わあ、リーネちゃん前向き! 私もまた手伝うから、頑張ろう!」
「ありがと、芳佳ちゃん」
ペリーヌが突き出したのは、ケーキの皿。口元をナプキンで拭いている。
「まさかペリーヌさんまで盗み食いするなんて」
驚く芳佳。
「盗み食いとは失敬な! 棚に隊の人数分綺麗に分けてあったら、一皿は自分の分であるとか、思いませんこと?」
「でも、断り無しは良くないです」
リーネが消え入りそうな声で正論を言う。
「そ、それは……なら、今度から張り紙でもしておいてくださいまし!」
「そんなあ」
「ともかく、また作って頂けるのを期待しておりますから」
そう言い残し、ペリーヌは部屋のドアをばたんと閉めた。
呆気に取られる芳佳とリーネ。
「ごち~」
「美味かったぞリーネ。流石だな」
トゥルーデの部屋。目の前でいちゃつくバカップル二人を前に、食事当番の二人は心が折れる寸前。
エーリカがテーブルに手を伸ばし、ほい、と皿を取り、芳佳達に返す。これで回収された皿は七枚。
「また作ってね~。今日のすごい美味しかったよ。ねえトゥルーデ」
「ああ。今日のは美味かった。なあエーリカ」
「いえ……。どうしたしまして」
皿を受け取りつつ、二人の顔を見る芳佳。肌は妙に艶が有って……ケーキで何をしたか何となく想像出来てしまう。
「どうした宮藤、リーネ? 何か問題でも有ったか?」
「いえ、無いです」
「お邪魔しました」
二人はそっと扉を閉めると、はふうと溜め息を付いた。
「あら。このケーキ、食べちゃいけなかったの?」
口元に手をやり驚くミーナ。執務室に戻った美緒から話を聞き、まるで初耳とばかりに少々戸惑っている。
「とりあえず私が事情を話すから、すぐに空いた皿を寄越すんだ。ケーキを持ってきた私に責任が有る」
「美緒、口元……」
「ん? 何か付いてるか?」
そっと顎に手をやると、そのまま唇を奪うミーナ。危うく皿を落としそうになる美緒。
「な、何をするんだ、このタイミングで」
「こう言うのもたまにはどうかなって思って」
うふっと笑うミーナ。美緒は複雑な顔をしつつも、最後は少々の照れ笑いをする。
「まあ、その、なんだ。宮藤達が心配してるから、早く……」
ドアがノックされ、入って来たのは芳佳とリーネ。
ふたりとふたりの、目が合った。
「あ」
「あら」
台所に戻った芳佳とリーネは、皿を洗う作業に入った。
「何か疲れたね、芳佳ちゃん」
「だね、リーネちゃん。結局、全員持ってったんだね……」
「芳佳ちゃんの推理、当たってたね」
「結果的にそう言う事になるかな」
苦笑いをする芳佳。
「でも」
ふと思い出したかの様に、皿を見る。
「どうかした?」
「お皿は十一枚有ったのに、何で全部無くなったんだろうね?」
「そう言えばそうだよね。あと、みんな『十一皿有ったから』って言ってたよね」
「そこもなんか、おかしいよね」
手元にある九枚の皿を数え、首を傾げる芳佳とリーネ。
「あと二枚。私達の分、どこ行ったんだろうね」
「もう私訳分かんなくなってきた……」
「でも、皆さん美味しいって言ってくれたし。私、また頑張って作るよ」
「わあ、リーネちゃん前向き! 私もまた手伝うから、頑張ろう!」
「ありがと、芳佳ちゃん」
432: 2009/03/23(月) 03:33:19 ID:nO1BTXww
そんな二人を、物陰からそっと見つめる人物が。
「ウジャー どうしようシャーリー。何か言いにくいふんいきだよ~」
「流石に四皿食ったとは言い出しにくいよなぁ」
「でも、このお皿どうしよう」
「さりげなく食堂のテーブルに置いて、逃げるか」
「了ぉ解ぃ」
二人は忍び足で食堂テーブルの端に皿を置き、脱兎の如く逃げた。
「あら? シャーリー大尉にルッキーニさん。……これは?」
入れ違いに食堂にやってきたペリーヌは、卓上に投げ出された皿を二枚手に取った。
「あ」
「あ」
「……え?」
芳佳とリーネが振り向き、皿を持つペリーヌと目が合った。
end
----
以上です。
オチらしいオチも無いんですけどね……。
某所でお馴染み、名推理が冴えるあの方を501でやったらどうなるかなーと。
「実は全員が犯人」と言うのもありがちですが、ひとまずはこんなとこで。
タイトルは、有名なあの人のあの曲から……。このPV好きなんです。どうでも良い事ですけどw
ではまた~。
「ウジャー どうしようシャーリー。何か言いにくいふんいきだよ~」
「流石に四皿食ったとは言い出しにくいよなぁ」
「でも、このお皿どうしよう」
「さりげなく食堂のテーブルに置いて、逃げるか」
「了ぉ解ぃ」
二人は忍び足で食堂テーブルの端に皿を置き、脱兎の如く逃げた。
「あら? シャーリー大尉にルッキーニさん。……これは?」
入れ違いに食堂にやってきたペリーヌは、卓上に投げ出された皿を二枚手に取った。
「あ」
「あ」
「……え?」
芳佳とリーネが振り向き、皿を持つペリーヌと目が合った。
end
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以上です。
オチらしいオチも無いんですけどね……。
某所でお馴染み、名推理が冴えるあの方を501でやったらどうなるかなーと。
「実は全員が犯人」と言うのもありがちですが、ひとまずはこんなとこで。
タイトルは、有名なあの人のあの曲から……。このPV好きなんです。どうでも良い事ですけどw
ではまた~。
433: 2009/03/23(月) 11:20:55 ID:8dy5OQx6
>>432
最後ペリーヌさんがかわいそすぎるwwwGJ!
最後ペリーヌさんがかわいそすぎるwwwGJ!
引用: ストライクウィッチーズ避難所1
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