1: 2014/01/13(月) 15:55:29 ID:.9wEsY6g
>>12巻以降の本誌ネタバレ有り
2: 2014/01/13(月) 15:56:50 ID:.9wEsY6g
ミカサ(9)「お母さん見て見て」
お母さん「ん?どうしたの?」
ミカサ(9)「泥団子。作ったの!」
お母さん「まあ、上手にできたわねー」ニコニコ
ミカサ(9)「お母さん、あげる!」ズイッ
お母さん「ありがとう、ミカサ。今日のごはんは、このお団子のスープにしましょう」ニコニコ
ミカサ(9)「……え?」
お母さん「ん?どうしたの?」
ミカサ(9)「泥団子。作ったの!」
お母さん「まあ、上手にできたわねー」ニコニコ
ミカサ(9)「お母さん、あげる!」ズイッ
お母さん「ありがとう、ミカサ。今日のごはんは、このお団子のスープにしましょう」ニコニコ
ミカサ(9)「……え?」
3: 2014/01/13(月) 15:57:54 ID:.9wEsY6g
お母さん「お父さん、ミカサ、ごはんですよー」
お父さん「お、良い匂いだなー。今日のごはんは何かな?」
お母さん「ミカサが作ったお団子のスープですよ」
お父さん「おお、ミカサが作ったのか!嬉しいな」ニコニコ
お母さん「そう。美味しく出来てますよ。いま注ぎますからね」ニコニコ
ミカサ(9)「………」
お父さん「お、良い匂いだなー。今日のごはんは何かな?」
お母さん「ミカサが作ったお団子のスープですよ」
お父さん「おお、ミカサが作ったのか!嬉しいな」ニコニコ
お母さん「そう。美味しく出来てますよ。いま注ぎますからね」ニコニコ
ミカサ(9)「………」
4: 2014/01/13(月) 15:58:45 ID:.9wEsY6g
お母さん「お父さん、どうぞ」コトッ
お父さん「わあ、美味しそうだな」ニコニコ
ミカサ(9)(泥団子なのに…?)
お母さん「ミカサにもすぐに装いますからね」
ミカサ(9)「!」ビクッ
お母さん「どうしたの?ミカサ」
ミカサ(9)「お母さん、私も……あの…みんな…お父さんも」
お母さん「ん?」
ミカサ(9)「ど、泥団子…なんて、食べられないよ」
お父さん「わあ、美味しそうだな」ニコニコ
ミカサ(9)(泥団子なのに…?)
お母さん「ミカサにもすぐに装いますからね」
ミカサ(9)「!」ビクッ
お母さん「どうしたの?ミカサ」
ミカサ(9)「お母さん、私も……あの…みんな…お父さんも」
お母さん「ん?」
ミカサ(9)「ど、泥団子…なんて、食べられないよ」
5: 2014/01/13(月) 16:00:16 ID:.9wEsY6g
お父さん「どうしたんだミカサ、泥団子なんて言い出して…?」
ミカサ(9)「だって、スープに…」
お母さん「ミカサが作ってくれた泥団子は、立派なお団子になりましたよ」ニコニコ
ミカサ(9)「え?…え?」
お母さん「だから、ね。お団子をくれたミカサにはお返しにこれ。どうぞ召し上がれ」コトッ
ミカサ(9)「ん?……お母さん、これ」
お母さん「これはあなたの忘れ物。あなたが食べ忘れたニンジンですよ」
ミカサ(9)「だって、スープに…」
お母さん「ミカサが作ってくれた泥団子は、立派なお団子になりましたよ」ニコニコ
ミカサ(9)「え?…え?」
お母さん「だから、ね。お団子をくれたミカサにはお返しにこれ。どうぞ召し上がれ」コトッ
ミカサ(9)「ん?……お母さん、これ」
お母さん「これはあなたの忘れ物。あなたが食べ忘れたニンジンですよ」
6: 2014/01/13(月) 16:01:56 ID:.9wEsY6g
ミカサ(9)「えー。お母さん。私、ニンジン食べ忘れたんじゃなくて残したんだよー」
お母さん「好き嫌い言わないで食べなさい」メッ
ミカサ(9)「えー…。ねぇお父さーん」クルッ
お父さん「ダメだぞミカサ。きちんと食べないと大きくなれないぞ」メッ
ミカサ(9)「えーー。お母さん、私、ニンジンは甘ーく煮たのが良い」
お母さん「はいはい。また今度ね。今日はとりあえずそれ食べなさい」
ミカサ(9)「はーい…」
アッカーマン×3「いただきます」
モグモグ
モグモグ
モグモグ
お母さん「好き嫌い言わないで食べなさい」メッ
ミカサ(9)「えー…。ねぇお父さーん」クルッ
お父さん「ダメだぞミカサ。きちんと食べないと大きくなれないぞ」メッ
ミカサ(9)「えーー。お母さん、私、ニンジンは甘ーく煮たのが良い」
お母さん「はいはい。また今度ね。今日はとりあえずそれ食べなさい」
ミカサ(9)「はーい…」
アッカーマン×3「いただきます」
モグモグ
モグモグ
モグモグ
7: 2014/01/13(月) 16:02:41 ID:.9wEsY6g
お父さん「今日は二人で出掛けるんだったね」
お母さん「ええ。ミカサ早く準備しなさい」
ミカサ(9)「え?どこに行くの?」
お母さん「あなたのお友達に会いに行くの」
ミカサ(9)「へー…?」
お父さん「はい、お母さんこれ」ドサッ
お母さん「はい、たしかに」
ミカサ(9)「何?それ」ノゾキッ
お父さん「これはね、ミカサがここに来るまでに落としてきた忘れ物だよ」
ミカサ(9)「忘れ物?またニンジン?」
お母さん「ふふ、もうニンジンは入ってませんよ」
ミカサ(9)「そっか、良かった」
お母さん「ええ。ミカサ早く準備しなさい」
ミカサ(9)「え?どこに行くの?」
お母さん「あなたのお友達に会いに行くの」
ミカサ(9)「へー…?」
お父さん「はい、お母さんこれ」ドサッ
お母さん「はい、たしかに」
ミカサ(9)「何?それ」ノゾキッ
お父さん「これはね、ミカサがここに来るまでに落としてきた忘れ物だよ」
ミカサ(9)「忘れ物?またニンジン?」
お母さん「ふふ、もうニンジンは入ってませんよ」
ミカサ(9)「そっか、良かった」
8: 2014/01/13(月) 16:03:58 ID:.9wEsY6g
お父さん「じゃあ、二人とも。そろそろ」
お母さん「ええ、そうね。ミカサ、行きますよ」
ミカサ(9)「お父さんは?」
お父さん「お父さんはお留守番なんだ」
ミカサ(9)「なんで?」
お父さん「二人がきちんと帰られるように、暖炉の火を見ていなくちゃいけないからね」
ミカサ(9)「ふーん…?」
お母さん「わかったなら、さあ行きますよ」
ミカサ(9)「はーい」
お母さん・ミカサ「いってきまーす」
ガチャッ
お母さん「ええ、そうね。ミカサ、行きますよ」
ミカサ(9)「お父さんは?」
お父さん「お父さんはお留守番なんだ」
ミカサ(9)「なんで?」
お父さん「二人がきちんと帰られるように、暖炉の火を見ていなくちゃいけないからね」
ミカサ(9)「ふーん…?」
お母さん「わかったなら、さあ行きますよ」
ミカサ(9)「はーい」
お母さん・ミカサ「いってきまーす」
ガチャッ
9: 2014/01/13(月) 16:04:38 ID:.9wEsY6g
ミカサ(10)「ねえ、お母さん」
お母さん「どうしたの?ミカサ」
ミカサ(10)「お友達って、誰?」
お母さん「さあ?お母さんは会ったことないから」
ミカサ(10)「そうなの?私もわからないよ?その人って本当にお友達?」
お母さん「ええ、もちろん。会えばわかるわ」
ミカサ(10)「んーー…そうかなぁ?」
お母さん「そうですよ」ニコニコ
ミカサ(10)「そっかぁ…」
お母さん「どうしたの?ミカサ」
ミカサ(10)「お友達って、誰?」
お母さん「さあ?お母さんは会ったことないから」
ミカサ(10)「そうなの?私もわからないよ?その人って本当にお友達?」
お母さん「ええ、もちろん。会えばわかるわ」
ミカサ(10)「んーー…そうかなぁ?」
お母さん「そうですよ」ニコニコ
ミカサ(10)「そっかぁ…」
10: 2014/01/13(月) 16:05:14 ID:.9wEsY6g
ミカサ(10)「あっ」
お母さん「どうしたの?」
ミカサ(10)「薪拾わなきゃ」
お母さん「まあ、そうなの?」
ミカサ(10)「うん、そうなの!」タタッ
お母さん「あらあら、もう行っちゃった」
お母さん「どうしたの?」
ミカサ(10)「薪拾わなきゃ」
お母さん「まあ、そうなの?」
ミカサ(10)「うん、そうなの!」タタッ
お母さん「あらあら、もう行っちゃった」
11: 2014/01/13(月) 16:05:49 ID:.9wEsY6g
ミカサ(10)「………」セッセセッセ
ミカサ(10)(薪をたくさん拾って帰らないと)セッセセッセ
ミカサ(10)(このくらいで良いかな)セッセ…
ミカサ(10)(はやく持って戻らなきゃ…)スック
ミカサ(10)(……あれ?)
ミカサ(10)(薪をたくさん拾って帰らないと)セッセセッセ
ミカサ(10)(このくらいで良いかな)セッセ…
ミカサ(10)(はやく持って戻らなきゃ…)スック
ミカサ(10)(……あれ?)
12: 2014/01/13(月) 16:06:35 ID:.9wEsY6g
ミカサ(10)「お母さーん」タタタッ
お母さん「あらミカサ、早かったのね」
ミカサ(10)「うん、お母さんあのね」
お母さん「どうしたの?」
ミカサ(10)「私、いつも一人で薪拾ってた?」
お母さん「あらミカサ、早かったのね」
ミカサ(10)「うん、お母さんあのね」
お母さん「どうしたの?」
ミカサ(10)「私、いつも一人で薪拾ってた?」
13: 2014/01/13(月) 16:07:26 ID:.9wEsY6g
お母さん「さあ?どうだったかしらね?」
ミカサ(10)「………」
お母さん「あなたはどう思うの?ミカサ」
ミカサ(10)「…わからない」
お母さん「そう」
ミカサ(10)「………」
お母さん「大丈夫よ。じきに何もかもわかるようになりますよ」
ミカサ(10)「本当?」
お母さん「もちろん。…薪拾いご苦労様」
ミカサ(10)「あ、うん」
お母さん「薪拾いのお返しに忘れ物をひとつ返しましょうね」ゴソゴソ…
ミカサ(10)「………」
ミカサ(10)「………」
お母さん「あなたはどう思うの?ミカサ」
ミカサ(10)「…わからない」
お母さん「そう」
ミカサ(10)「………」
お母さん「大丈夫よ。じきに何もかもわかるようになりますよ」
ミカサ(10)「本当?」
お母さん「もちろん。…薪拾いご苦労様」
ミカサ(10)「あ、うん」
お母さん「薪拾いのお返しに忘れ物をひとつ返しましょうね」ゴソゴソ…
ミカサ(10)「………」
14: 2014/01/13(月) 16:08:25 ID:.9wEsY6g
お母さん「ああ、これ……」
ミカサ(10)「なになに?見せて。私の忘れ物」ズイッ
お母さん「…はい」スッ
ミカサ(10)「ひっ…!」
お母さん「ミカサ、取りなさい。あなたのものですよ」
ミカサ(10)「なになに?見せて。私の忘れ物」ズイッ
お母さん「…はい」スッ
ミカサ(10)「ひっ…!」
お母さん「ミカサ、取りなさい。あなたのものですよ」
15: 2014/01/13(月) 16:09:18 ID:.9wEsY6g
ミカサ(10)「し、知らない。お母さん、私こんなもの知らない。このナイフ、血がついてる…っ」イヤイヤ
お母さん「でも、たしかにあなたのものなのミカサ。…受け取って?」
ミカサ(10)「でも…」
お母さん「………」
お母さん「でも、たしかにあなたのものなのミカサ。…受け取って?」
ミカサ(10)「でも…」
お母さん「………」
16: 2014/01/13(月) 16:10:11 ID:.9wEsY6g
ミカサ(10)「………わかった」スッ
お母さん「……よく出来ました。強い子ね、ミカサ」
ミカサ(10)「うう…。でもこれ怖いよ、お母さん」
お母さん「服のポケットにしまっときなさい。見えないように」
ミカサ(10)「うん…」ゴソゴソ…
お母さん「……よく出来ました。強い子ね、ミカサ」
ミカサ(10)「うう…。でもこれ怖いよ、お母さん」
お母さん「服のポケットにしまっときなさい。見えないように」
ミカサ(10)「うん…」ゴソゴソ…
17: 2014/01/13(月) 16:11:16 ID:.9wEsY6g
お母さん「でもね、ミカサ。ポケットにナイフが入ってるって忘れてはダメよ?」
ミカサ(10)「うん」
お母さん「転んだりしたら危ないからね」
ミカサ(10)「うん」
お母さん「でも……怖いなら思い出さないようにしなさい…」
ミカサ(10)「うん」
お母さん「…いい子ねミカサ」ギュッ
ミカサ(10)「ん」
お母さん「さあ、行きましょう」
ミカサ(10)「うん」
ミカサ(10)「うん」
お母さん「転んだりしたら危ないからね」
ミカサ(10)「うん」
お母さん「でも……怖いなら思い出さないようにしなさい…」
ミカサ(10)「うん」
お母さん「…いい子ねミカサ」ギュッ
ミカサ(10)「ん」
お母さん「さあ、行きましょう」
ミカサ(10)「うん」
20: 2014/01/13(月) 23:48:28 ID:.9wEsY6g
お母さん「ねえ、ミカサ」
ミカサ(11)「何?お母さん」
お母さん「少し歩くの早くないかしら?疲れない?」
ミカサ(11)「え、そうかな?もっとゆっくり歩いた方が良い?」
お母さん「……ううん。ごめんなさい。ミカサがきつくないなら良いわ」
ミカサ(11)「お母さん疲れたの?それならゆっくりでも…」
お母さん「良いの。全然疲れてなんかいませんよ。ちょっと聞いてみただけ」
ミカサ(11)「そう…」
お母さん「そうよ」
ミカサ(11)「何?お母さん」
お母さん「少し歩くの早くないかしら?疲れない?」
ミカサ(11)「え、そうかな?もっとゆっくり歩いた方が良い?」
お母さん「……ううん。ごめんなさい。ミカサがきつくないなら良いわ」
ミカサ(11)「お母さん疲れたの?それならゆっくりでも…」
お母さん「良いの。全然疲れてなんかいませんよ。ちょっと聞いてみただけ」
ミカサ(11)「そう…」
お母さん「そうよ」
21: 2014/01/13(月) 23:49:26 ID:.9wEsY6g
ミカサ(11)「あっ」
お母さん「どうしたの?」
ミカサ(11)「あの荒野、冬が来る前に開墾してしまわないと」
お母さん「あら、そうなの?」
ミカサ(11)「うん、そうなの。だからお母さんちょっと待ってて」
お母さん「お母さんも手伝いましょうか?」
ミカサ(11)「ううん、大丈夫。お母さんは待ってて」タタタッ
お母さん「あら、そう…」
お母さん「どうしたの?」
ミカサ(11)「あの荒野、冬が来る前に開墾してしまわないと」
お母さん「あら、そうなの?」
ミカサ(11)「うん、そうなの。だからお母さんちょっと待ってて」
お母さん「お母さんも手伝いましょうか?」
ミカサ(11)「ううん、大丈夫。お母さんは待ってて」タタタッ
お母さん「あら、そう…」
22: 2014/01/13(月) 23:50:25 ID:.9wEsY6g
ミカサ(11)「………」ザッシュザッシュザッシュ…
ミカサ(11)(はやくはやく冬が来る前に)ザッシュザッシュザッシュ…
ミカサ(11)(耕してしまわなければ)ザッシュザッシュザッシュ
ミカサ(11)(私たち三人とも雪の中働くことに…)ザッシュザッシュザッシュ
ミカサ(11)(………あれ?)ザッシュザッシュザッシュ
ミカサ(11)(はやくはやく冬が来る前に)ザッシュザッシュザッシュ…
ミカサ(11)(耕してしまわなければ)ザッシュザッシュザッシュ
ミカサ(11)(私たち三人とも雪の中働くことに…)ザッシュザッシュザッシュ
ミカサ(11)(………あれ?)ザッシュザッシュザッシュ
23: 2014/01/13(月) 23:53:06 ID:.9wEsY6g
ミカサ(11)「お母さーん」タタタッ
お母さん「あら、ミカサもう終わったの?」
ミカサ(11)「うん。見てお母さん。黒くて立派な畑になったでしょう?」
お母さん「まあ、本当。よく働いたわね、ミカサ。良い畑だわ」
ミカサ(11)「ん…」
お母さん「素敵な畑のお返しに、またひとつ忘れ物を返しましょうね」ゴソゴソ
お母さん「あら、ミカサもう終わったの?」
ミカサ(11)「うん。見てお母さん。黒くて立派な畑になったでしょう?」
お母さん「まあ、本当。よく働いたわね、ミカサ。良い畑だわ」
ミカサ(11)「ん…」
お母さん「素敵な畑のお返しに、またひとつ忘れ物を返しましょうね」ゴソゴソ
24: 2014/01/13(月) 23:54:04 ID:.9wEsY6g
ミカサ(11)「ねえ、お母さん」
お母さん「ん?どうしたのミカサ」
ミカサ(11)「私、どうして荒野を耕してたのかな」
お母さん「さあ、どうしてかしら」
ミカサ(11)「………あとね」
お母さん「うん、どうしたの?」
ミカサ(11)「荒野を耕してたのって、私とお母さんとお父さんの三人?」
お母さん「いいえ、お母さんたちは耕していませんよ」
ミカサ(11)「そうだよね………?」
お母さん「ん?どうしたのミカサ」
ミカサ(11)「私、どうして荒野を耕してたのかな」
お母さん「さあ、どうしてかしら」
ミカサ(11)「………あとね」
お母さん「うん、どうしたの?」
ミカサ(11)「荒野を耕してたのって、私とお母さんとお父さんの三人?」
お母さん「いいえ、お母さんたちは耕していませんよ」
ミカサ(11)「そうだよね………?」
25: 2014/01/13(月) 23:55:38 ID:.9wEsY6g
お母さん「あ、これね、ミカサの次の忘れ物」ゴソ
ミカサ(11)「なに?」
お母さん「本の切れ端みたいね」スッ
ミカサ(11)「ん?」
お母さん「………」
ミカサ(11)「お母さん、これ…」
お母さん「何?」
ミカサ(11)「壁の外のことについて書いてある本だよ」キョロキョロ…
お母さん「あら、そうなの?」
ミカサ(11)「うん。見つかったら捕まっちゃうよ」オドオド
お母さん「まあ、大変。そこの畑に埋めてしまいましょうか」
ミカサ(11)「そんな…っ。ダメだよ…!」
お母さん「ダメなの?」
ミカサ(11)「うん。ダメなの」
ミカサ(11)「なに?」
お母さん「本の切れ端みたいね」スッ
ミカサ(11)「ん?」
お母さん「………」
ミカサ(11)「お母さん、これ…」
お母さん「何?」
ミカサ(11)「壁の外のことについて書いてある本だよ」キョロキョロ…
お母さん「あら、そうなの?」
ミカサ(11)「うん。見つかったら捕まっちゃうよ」オドオド
お母さん「まあ、大変。そこの畑に埋めてしまいましょうか」
ミカサ(11)「そんな…っ。ダメだよ…!」
お母さん「ダメなの?」
ミカサ(11)「うん。ダメなの」
26: 2014/01/13(月) 23:56:24 ID:.9wEsY6g
お母さん「ミカサは壁の外に出てみたいの?」
ミカサ(11)「そんな、ものすごく外に出たいわけではない…けれど…」
お母さん「けれど?」
ミカサ(11)「でも、埋めたりしちゃダメだよ…」
お母さん「そうなの」
ミカサ(11)「うん」
お母さん「だったらポケットの中にしまいなさい。誰にもばれないように」
ミカサ(11)「うん」ゴソゴソ
お母さん「きちんとしまえた?」
ミカサ(11)「うん。大丈夫」
お母さん「そう。じゃあ行きましょうか」
ミカサ(11)「うん」
ミカサ(11)「そんな、ものすごく外に出たいわけではない…けれど…」
お母さん「けれど?」
ミカサ(11)「でも、埋めたりしちゃダメだよ…」
お母さん「そうなの」
ミカサ(11)「うん」
お母さん「だったらポケットの中にしまいなさい。誰にもばれないように」
ミカサ(11)「うん」ゴソゴソ
お母さん「きちんとしまえた?」
ミカサ(11)「うん。大丈夫」
お母さん「そう。じゃあ行きましょうか」
ミカサ(11)「うん」
27: 2014/01/13(月) 23:57:31 ID:.9wEsY6g
ミカサ(12)「ねえ、お母さん」
お母さん「ん?」
ミカサ(12)「今から会う私のお友達って何人いるの?」
お母さん「さあ、何人かしらね」
ミカサ(12)「お母さんはわからない?」
お母さん「お母さんは会ったことがないから」
ミカサ(12)「そうなの…」
お母さん「ええ」
ミカサ(12)「あ…」
お母さん「どうしたのミカサ?」
お母さん「ん?」
ミカサ(12)「今から会う私のお友達って何人いるの?」
お母さん「さあ、何人かしらね」
ミカサ(12)「お母さんはわからない?」
お母さん「お母さんは会ったことがないから」
ミカサ(12)「そうなの…」
お母さん「ええ」
ミカサ(12)「あ…」
お母さん「どうしたのミカサ?」
28: 2014/01/13(月) 23:58:43 ID:.9wEsY6g
ミカサ(12)「お母さん、あそこに井戸がある。私、水汲みしないと」
お母さん「あら、そうなの?」
ミカサ(12)「うん。だからちょっと行ってくるね」タタッ
お母さん「………」
お母さん「あら、そうなの?」
ミカサ(12)「うん。だからちょっと行ってくるね」タタッ
お母さん「………」
31: 2014/01/14(火) 00:00:19 ID:5gHmYRyY
ミカサ(12)「………」カラカラカラ…
ミカサ(12)(水はどのくらい汲めば良かったっけ…?)バシャー…
ミカサ(12)(水瓶がいっぱいになるまで……つまりは何人分?)カラカラカラ…
ミカサ(12)(私たち三人家族の分ではとうていありえない…)バシャー…
ミカサ(12)(私はどうして水を汲んでいるの…?)
ミカサ(12)(水はどのくらい汲めば良かったっけ…?)バシャー…
ミカサ(12)(水瓶がいっぱいになるまで……つまりは何人分?)カラカラカラ…
ミカサ(12)(私たち三人家族の分ではとうていありえない…)バシャー…
ミカサ(12)(私はどうして水を汲んでいるの…?)
32: 2014/01/14(火) 00:02:57 ID:5gHmYRyY
ミカサ(12)「………」チャプンチャプン
お母さん「あらあらミカサ、大きな桶に汲んできたのね」
ミカサ(12)「うん」チャプン
お母さん「さあ、この水瓶に入れなさい」
ミカサ(12)「うん」
お母さん「これで当分の間お水に困らないわ。ありがとう」
ミカサ(12)「うん………」ザバー…
お母さん「水汲みのお返しに忘れ物を返しましょうね」ゴソゴソ
お母さん「あらあらミカサ、大きな桶に汲んできたのね」
ミカサ(12)「うん」チャプン
お母さん「さあ、この水瓶に入れなさい」
ミカサ(12)「うん」
お母さん「これで当分の間お水に困らないわ。ありがとう」
ミカサ(12)「うん………」ザバー…
お母さん「水汲みのお返しに忘れ物を返しましょうね」ゴソゴソ
33: 2014/01/14(火) 00:04:05 ID:5gHmYRyY
ミカサ(12)「………」
お母さん「あら、次はこれなのね」ゴソ
ミカサ(12)「何?お母さん」チラッ
お母さん「ハサミですよ」
ミカサ(12)「そんなハサミ、私、知らないよ?」
お母さん「ええ、そうね。今度はこのハサミそのものではないの」
ミカサ(12)「何なの?」
お母さん「ミカサ、髪を切りましょう」
ミカサ(12)「え?」
お母さん「あら、次はこれなのね」ゴソ
ミカサ(12)「何?お母さん」チラッ
お母さん「ハサミですよ」
ミカサ(12)「そんなハサミ、私、知らないよ?」
お母さん「ええ、そうね。今度はこのハサミそのものではないの」
ミカサ(12)「何なの?」
お母さん「ミカサ、髪を切りましょう」
ミカサ(12)「え?」
34: 2014/01/14(火) 00:04:58 ID:5gHmYRyY
お母さん「さあ、そこの椅子に腰掛けなさい」
ミカサ(12)「え…うん」ストッ
お母さん「お母さんが切ってあげますからね」
ミカサ(12)「私の髪、切っちゃうの?」
お母さん「ええ、そうよ。嫌ならやめましょうか?」
ミカサ(12)「え…」
お母さん「どうする?」
ミカサ(12)「でも、なんだか…」
お母さん「うん?」
ミカサ(12)「切らないと…長すぎる、ような気がする」
お母さん「そう。じゃあ切りましょうね」シャキン
ミカサ(12)「うん」
チョキン、チョキン…
ミカサ(12)「え…うん」ストッ
お母さん「お母さんが切ってあげますからね」
ミカサ(12)「私の髪、切っちゃうの?」
お母さん「ええ、そうよ。嫌ならやめましょうか?」
ミカサ(12)「え…」
お母さん「どうする?」
ミカサ(12)「でも、なんだか…」
お母さん「うん?」
ミカサ(12)「切らないと…長すぎる、ような気がする」
お母さん「そう。じゃあ切りましょうね」シャキン
ミカサ(12)「うん」
チョキン、チョキン…
35: 2014/01/14(火) 00:05:49 ID:5gHmYRyY
お母さん「出来ましたよ」
ミカサ(12)「ありがとう、お母さん」
お母さん「うん、よく似合ってるわ」ニコニコ
ミカサ(12)「そうかな」
お母さん「ええ、とても。ミカサ、素敵よ」ニコニコ
ミカサ(12)「お母さん、ありがとう」
お母さん「どういたしまして。さあ、行きましょう」
ミカサ(12)「うん」
ミカサ(12)「ありがとう、お母さん」
お母さん「うん、よく似合ってるわ」ニコニコ
ミカサ(12)「そうかな」
お母さん「ええ、とても。ミカサ、素敵よ」ニコニコ
ミカサ(12)「お母さん、ありがとう」
お母さん「どういたしまして。さあ、行きましょう」
ミカサ(12)「うん」
36: 2014/01/14(火) 00:07:40 ID:5gHmYRyY
お母さん「少し暗くなってきたわね」
ミカサ(13)「日が暮れてきたのかな」
お母さん「いいえ、これはね、家から遠ざかっているからですよ」
ミカサ(13)「家から?」
お母さん「そう、家に近いほど明るいの。お父さんが暖炉の火を絶やさないでいてくれるから」
ミカサ(13)「へえ、そうなんだ」
お母さん「ええ、そうですよ」
ミカサ(13)「………」クルリ
お母さん「どうしたのミカサ?」
ミカサ(13)「わあ、家の明かりがここからも見えるよお母さん」
お母さん「まあ、本当ね」
ミカサ(13)「金色に輝いて、すごく綺麗」
お母さん「ええ…」
ミカサ(13)「日が暮れてきたのかな」
お母さん「いいえ、これはね、家から遠ざかっているからですよ」
ミカサ(13)「家から?」
お母さん「そう、家に近いほど明るいの。お父さんが暖炉の火を絶やさないでいてくれるから」
ミカサ(13)「へえ、そうなんだ」
お母さん「ええ、そうですよ」
ミカサ(13)「………」クルリ
お母さん「どうしたのミカサ?」
ミカサ(13)「わあ、家の明かりがここからも見えるよお母さん」
お母さん「まあ、本当ね」
ミカサ(13)「金色に輝いて、すごく綺麗」
お母さん「ええ…」
37: 2014/01/14(火) 00:08:37 ID:5gHmYRyY
ミカサ(13)「あ、お母さん。あそこにジャガ芋が」
お母さん「あら本当」
ミカサ(13)「皮を剥かなきゃ」
お母さん「全部?」
ミカサ(13)「そう、全部」
お母さん「手伝いましょうか?」
ミカサ(13)「ううん、大丈夫。私が全部剥くので、お母さんは見てて」
お母さん「そう。だったら見てるわね」
ミカサ(13)「うん」
お母さん「あら本当」
ミカサ(13)「皮を剥かなきゃ」
お母さん「全部?」
ミカサ(13)「そう、全部」
お母さん「手伝いましょうか?」
ミカサ(13)「ううん、大丈夫。私が全部剥くので、お母さんは見てて」
お母さん「そう。だったら見てるわね」
ミカサ(13)「うん」
38: 2014/01/14(火) 00:09:28 ID:5gHmYRyY
ミカサ(13)「………」ショリショリ
お母さん「………」ジィー
ミカサ(13)「ねえ、お母さん」ショリショリ
お母さん「ん?」
ミカサ(13)「誰かものすごく芋が好きな女の子いなかった?」ショリショリ
お母さん「さあ、そんな娘いたかしら?」
ミカサ(13)「んー…誰かいたと思う…」ショリショリ
お母さん「よく考えてみなさい。きっと思い出しますよ」
ミカサ(13)「…うん。なんだか…」ショリショリ
お母さん「どうしたの?」
ミカサ(13)「他にもたくさん思い出さなきゃいけないことがあると思う」ショリショリ
お母さん「そうね。…少しずつ思い出しなさい」
ミカサ(13)「うん」ショリショリ
お母さん「………」ジィー
ミカサ(13)「ねえ、お母さん」ショリショリ
お母さん「ん?」
ミカサ(13)「誰かものすごく芋が好きな女の子いなかった?」ショリショリ
お母さん「さあ、そんな娘いたかしら?」
ミカサ(13)「んー…誰かいたと思う…」ショリショリ
お母さん「よく考えてみなさい。きっと思い出しますよ」
ミカサ(13)「…うん。なんだか…」ショリショリ
お母さん「どうしたの?」
ミカサ(13)「他にもたくさん思い出さなきゃいけないことがあると思う」ショリショリ
お母さん「そうね。…少しずつ思い出しなさい」
ミカサ(13)「うん」ショリショリ
39: 2014/01/14(火) 00:12:18 ID:5gHmYRyY
お母さん「包丁の使い方が随分上手になったわね、ミカサ」
ミカサ(13)「そうかな?」ショリショリ
お母さん「ええ、そうですよ。ミカサはきっと良いお嫁さんになれますよ」
ミカサ(13)「お嫁さん…。でも…」ショリショリ
お母さん「でも?」
ミカサ(13)「お嫁さんになる前に私、強くならなきゃ」ショリショリ
お母さん「まあ、どうして?」
ミカサ(13)「どうしてって……それは…」ショリショリ
お母さん「それは?」
ミカサ(13)「………お母さん、金色の瞳の男の子知らない?」ショリショリ
お母さん「さあ、わからないわね」
ミカサ(13)「さっき見た家の明かりみたいにキラキラした瞳の男の子」ショリショリ
お母さん「誰かしら?」
ミカサ(13)「………」ショリショリ…
ミカサ(13)「そうかな?」ショリショリ
お母さん「ええ、そうですよ。ミカサはきっと良いお嫁さんになれますよ」
ミカサ(13)「お嫁さん…。でも…」ショリショリ
お母さん「でも?」
ミカサ(13)「お嫁さんになる前に私、強くならなきゃ」ショリショリ
お母さん「まあ、どうして?」
ミカサ(13)「どうしてって……それは…」ショリショリ
お母さん「それは?」
ミカサ(13)「………お母さん、金色の瞳の男の子知らない?」ショリショリ
お母さん「さあ、わからないわね」
ミカサ(13)「さっき見た家の明かりみたいにキラキラした瞳の男の子」ショリショリ
お母さん「誰かしら?」
ミカサ(13)「………」ショリショリ…
40: 2014/01/14(火) 00:13:59 ID:5gHmYRyY
お母さん「あら、全部剥き終わっちゃったわね」
ミカサ(13)「あ、本当」
お母さん「ジャガ芋のお返しに、またひとつ忘れ物を返さないとね」ゴソゴソ
ミカサ(13)「うん………」
お母さん「はい、どうぞ」スッ
ミカサ(13)「これは、服?」
お母さん「ええ、そうね。ジャケットみたい」
ミカサ(13)「あ、本当」
お母さん「ジャガ芋のお返しに、またひとつ忘れ物を返さないとね」ゴソゴソ
ミカサ(13)「うん………」
お母さん「はい、どうぞ」スッ
ミカサ(13)「これは、服?」
お母さん「ええ、そうね。ジャケットみたい」
42: 2014/01/14(火) 07:13:43 ID:5gHmYRyY
ミカサ(13)「………」バッ
お母さん「まあ、良い生地だわ」
ミカサ(13)「これ、調査兵団の制服じゃない」
お母さん「まあ、そうなの?」
ミカサ(13)「そうだよ。この自由の翼。調査兵団のシンボルだもの」
お母さん「そうなのね。少し大きいけれど着てみたら?」
ミカサ(13)「うん」ゴソゴソ
お母さん「まあ、良い生地だわ」
ミカサ(13)「これ、調査兵団の制服じゃない」
お母さん「まあ、そうなの?」
ミカサ(13)「そうだよ。この自由の翼。調査兵団のシンボルだもの」
お母さん「そうなのね。少し大きいけれど着てみたら?」
ミカサ(13)「うん」ゴソゴソ
43: 2014/01/14(火) 07:14:24 ID:5gHmYRyY
お母さん「…よく………似合ってますよ」
ミカサ(13)「…少し大きい」
お母さん「そうみたいね」
ミカサ(13)「………」
お母さん「行きましょうか」
ミカサ(13)「うん」
ミカサ(13)「…少し大きい」
お母さん「そうみたいね」
ミカサ(13)「………」
お母さん「行きましょうか」
ミカサ(13)「うん」
44: 2014/01/14(火) 07:15:06 ID:5gHmYRyY
お母さん「だいぶ暗くなってきたわね」
ミカサ(14)「うん」
お母さん「ミカサ、もう少しゆっくり行かない?」
ミカサ(14)「お母さん、疲れた?」
お母さん「いえ、そうではなくて。………足元が暗くて危ないから」
ミカサ(14)「そっか。そうだよね」
お母さん「ええ」
ミカサ(14)「あ、お母さん、あそこ」
お母さん「え?」
ミカサ(14)「うん」
お母さん「ミカサ、もう少しゆっくり行かない?」
ミカサ(14)「お母さん、疲れた?」
お母さん「いえ、そうではなくて。………足元が暗くて危ないから」
ミカサ(14)「そっか。そうだよね」
お母さん「ええ」
ミカサ(14)「あ、お母さん、あそこ」
お母さん「え?」
45: 2014/01/14(火) 07:15:54 ID:5gHmYRyY
ミカサ(14)「シーツが干してある、取り込まないと」
お母さん「まあ、本当」
ミカサ(14)「ちょっと行ってくるね」
お母さん「ええ」
お母さん「まあ、本当」
ミカサ(14)「ちょっと行ってくるね」
お母さん「ええ」
46: 2014/01/14(火) 07:17:23 ID:5gHmYRyY
ミカサ(14)「………」バサッ
ミカサ(14)(…大きなシーツ)サッサッ
ミカサ(14)(私の家では見かけない。真っ白で…)サッ
ミカサ(14)(私の家では洗濯物は庭に干してる…)
ミカサ(14)(ならば…家の屋上?に洗濯物を干していたのは…誰?)
ミカサ(14)(いや、あれは屋上ではなくて、ベランダ…?)
ミカサ(14)(お母さん…ではなかった)
ミカサ(14)(だれ…?)
ミカサ(14)(このシーツも…)
ミカサ(14)(寮にいた頃は皆これを使ってて…)
ミカサ(14)(………寮?)
ミカサ(14)(…大きなシーツ)サッサッ
ミカサ(14)(私の家では見かけない。真っ白で…)サッ
ミカサ(14)(私の家では洗濯物は庭に干してる…)
ミカサ(14)(ならば…家の屋上?に洗濯物を干していたのは…誰?)
ミカサ(14)(いや、あれは屋上ではなくて、ベランダ…?)
ミカサ(14)(お母さん…ではなかった)
ミカサ(14)(だれ…?)
ミカサ(14)(このシーツも…)
ミカサ(14)(寮にいた頃は皆これを使ってて…)
ミカサ(14)(………寮?)
47: 2014/01/14(火) 07:18:07 ID:5gHmYRyY
お母さん「ミカサ、どうしたの。突っ立ったまま」
ミカサ(14)「お母さん…私…」
お母さん「……シーツを取り込んでくれてありがとう、ミカサ」
ミカサ(14)「あ………うん」
お母さん「お返しに忘れ物をひとつ返しましょうね」ゴソゴソ
ミカサ(14)「お母さん」
お母さん「何?」
ミカサ(14)「私…私、家とは違う場所で暮らしてた……ことがある?」
お母さん「さあ、あったかもしれないわね」ゴソゴソ
ミカサ(14)「………」
ミカサ(14)「お母さん…私…」
お母さん「……シーツを取り込んでくれてありがとう、ミカサ」
ミカサ(14)「あ………うん」
お母さん「お返しに忘れ物をひとつ返しましょうね」ゴソゴソ
ミカサ(14)「お母さん」
お母さん「何?」
ミカサ(14)「私…私、家とは違う場所で暮らしてた……ことがある?」
お母さん「さあ、あったかもしれないわね」ゴソゴソ
ミカサ(14)「………」
48: 2014/01/14(火) 07:18:56 ID:5gHmYRyY
お母さん「あったわ。これね。ミカサの忘れ物」バサッ
ミカサ(14)「これは、マント?」
お母さん「そうみたいね。ジャケットとお揃い」
ミカサ(14)「うん」
お母さん「………似合ってますよ」
ミカサ(14)「……うん。…本当?」
お母さん「…もちろん」
ミカサ(14)「そう…」
お母さん「行きましょう」
ミカサ(14)「うん」
お母さん「足元に気をつけてね」
ミカサ(14)「うん」
ミカサ(14)「これは、マント?」
お母さん「そうみたいね。ジャケットとお揃い」
ミカサ(14)「うん」
お母さん「………似合ってますよ」
ミカサ(14)「……うん。…本当?」
お母さん「…もちろん」
ミカサ(14)「そう…」
お母さん「行きましょう」
ミカサ(14)「うん」
お母さん「足元に気をつけてね」
ミカサ(14)「うん」
49: 2014/01/14(火) 07:19:46 ID:5gHmYRyY
ミカサ(15)「………」
ミカサ(15)(さっきは確かに何かを思い出しそうだった)
ミカサ(15)(ベランダで?シーツを取り込んでいたのは誰?)
ミカサ(15)(男の子が叱られていたはず)
ミカサ(15)(誰?)
ミカサ(15)(金色の瞳がまぶしくて…まぶしくて)
ミカサ(15)(何かを思い出しそう。大切なこと)
ミカサ(15)(あの子は…私の…)
ミカサ(15)「っ…!?」
お母さん「ミカサ!?どうかしたの?」
ミカサ(15)(さっきは確かに何かを思い出しそうだった)
ミカサ(15)(ベランダで?シーツを取り込んでいたのは誰?)
ミカサ(15)(男の子が叱られていたはず)
ミカサ(15)(誰?)
ミカサ(15)(金色の瞳がまぶしくて…まぶしくて)
ミカサ(15)(何かを思い出しそう。大切なこと)
ミカサ(15)(あの子は…私の…)
ミカサ(15)「っ…!?」
お母さん「ミカサ!?どうかしたの?」
50: 2014/01/14(火) 07:20:39 ID:5gHmYRyY
ミカサ(15)「お、お母さん。なんだかほっぺが痛い」ソッ…
お母さん「ちょっと見せなさい…!」
ミカサ(15)「…手に血が…。切れてる」
お母さん「本当ね、切れてるわ。どこで切ったの!?」
ミカサ(15)「っっ!!??」
お母さん「どうしたの?ミカサ!?」
お母さん「ちょっと見せなさい…!」
ミカサ(15)「…手に血が…。切れてる」
お母さん「本当ね、切れてるわ。どこで切ったの!?」
ミカサ(15)「っっ!!??」
お母さん「どうしたの?ミカサ!?」
51: 2014/01/14(火) 07:21:27 ID:5gHmYRyY
ミカサ(15)「脇腹が?…肋、が痛い」
お母さん「どうして?ミカサ…どこかにぶつけたの?」
ミカサ(15)「いや、これは…」
お母さん「これは?」
ミカサ(15)「ぶつけてない…」
お母さん「じゃあどうしたの…!?」
ミカサ(15)「………」
お母さん「大丈夫?しゃべることは出来る?」
ミカサ(15)「………」
お母さん「ミカサ!?」
ミカサ(15)「………」
お母さん「………」
ミカサ(15)「……………エレン」
お母さん「………!!」
お母さん「どうして?ミカサ…どこかにぶつけたの?」
ミカサ(15)「いや、これは…」
お母さん「これは?」
ミカサ(15)「ぶつけてない…」
お母さん「じゃあどうしたの…!?」
ミカサ(15)「………」
お母さん「大丈夫?しゃべることは出来る?」
ミカサ(15)「………」
お母さん「ミカサ!?」
ミカサ(15)「………」
お母さん「………」
ミカサ(15)「……………エレン」
お母さん「………!!」
52: 2014/01/14(火) 07:22:33 ID:5gHmYRyY
ミカサ(15)「ほっぺも…エレンが…」
お母さん「エレンが?」
ミカサ(15)「エレンを…助けようとして…」
お母さん「………」
ミカサ(15)「ほっぺも、肋も、私がエレンを助けたくて……」
お母さん「………」
ミカサ(15)「エレンだけじゃない、アルミンも、サシャも、クリスタも、ジャンもコニーも……他にも…たくさん思い出した」
お母さん「………」
お母さん「エレンが?」
ミカサ(15)「エレンを…助けようとして…」
お母さん「………」
ミカサ(15)「ほっぺも、肋も、私がエレンを助けたくて……」
お母さん「………」
ミカサ(15)「エレンだけじゃない、アルミンも、サシャも、クリスタも、ジャンもコニーも……他にも…たくさん思い出した」
お母さん「………」
53: 2014/01/14(火) 07:23:21 ID:5gHmYRyY
ミカサ(15)「…ハンネスさん、も」
お母さん「………」
ミカサ(15)「でも、ハンネスさんは……」
お母さん「…ミカサ」
ミカサ(15)「…お母さん……」
お母さん「…ミカサ」
ミカサ(15)「………」
お母さん「…今まで、よく頑張ってきたわね」
お母さん「………」
ミカサ(15)「でも、ハンネスさんは……」
お母さん「…ミカサ」
ミカサ(15)「…お母さん……」
お母さん「…ミカサ」
ミカサ(15)「………」
お母さん「…今まで、よく頑張ってきたわね」
54: 2014/01/14(火) 07:26:06 ID:5gHmYRyY
ミカサ(15)「お母さん、私は……氏んだ…の?」
お母さん「いいえ、あなたは生きていますよ」
ミカサ(15)「本当に?」
お母さん「ええ、もちろん。ただ、少しの間迷子だったのよ」
ミカサ(15)「ほ、本当?」
お母さん「ええ、本当」
ミカサ(15)「どうすれば…私は」
お母さん「お父さんが家で暖炉の火を見ていてくれているでしょう?」
ミカサ(15)「うん」
お母さん「いいえ、あなたは生きていますよ」
ミカサ(15)「本当に?」
お母さん「ええ、もちろん。ただ、少しの間迷子だったのよ」
ミカサ(15)「ほ、本当?」
お母さん「ええ、本当」
ミカサ(15)「どうすれば…私は」
お母さん「お父さんが家で暖炉の火を見ていてくれているでしょう?」
ミカサ(15)「うん」
55: 2014/01/14(火) 07:27:00 ID:5gHmYRyY
お母さん「だから家から遠ざかるほど暗くなる」
ミカサ(15)「うん」
お母さん「だからね、暖炉の火の影が濃くなる方へ濃くなる方へ進みなさい」
ミカサ(15)「暗い方へ?」
お母さん「ええ、そうよ。そうすれば元の場所に戻ることができます」
ミカサ(15)「そうなの?」
お母さん「ええ」
ミカサ(15)「はやく、はやく戻らなくちゃ。…エレンとアルミンが待ってる」
お母さん「…そうね」
ミカサ(15)「うん」スック
お母さん「あ…」
ミカサ(15)「痛っ…!」ドッ
お母さん「ミカサ!?」
ミカサ(15)「うん」
お母さん「だからね、暖炉の火の影が濃くなる方へ濃くなる方へ進みなさい」
ミカサ(15)「暗い方へ?」
お母さん「ええ、そうよ。そうすれば元の場所に戻ることができます」
ミカサ(15)「そうなの?」
お母さん「ええ」
ミカサ(15)「はやく、はやく戻らなくちゃ。…エレンとアルミンが待ってる」
お母さん「…そうね」
ミカサ(15)「うん」スック
お母さん「あ…」
ミカサ(15)「痛っ…!」ドッ
お母さん「ミカサ!?」
56: 2014/01/14(火) 07:28:06 ID:5gHmYRyY
ミカサ(15)(肋が、痛くて…)
お母さん「ちょっと待ちなさい、ミカサ」
ミカサ(15)「でも」
お母さん「まだ、あなたの忘れ物が残っています」ゴソゴソ
ミカサ(15)「え?」
お母さん「最後は、これ。マフラーね」
ミカサ(15)「ああ、マフラー…!」
お母さん「大事なものなのね」
ミカサ(15)「うん。エレンから貰った…から」
お母さん「そう。大切なお友達なのね」
ミカサ(15)「エレンは……大切な人なので…だから…」
お母さん「ちょっと待ちなさい、ミカサ」
ミカサ(15)「でも」
お母さん「まだ、あなたの忘れ物が残っています」ゴソゴソ
ミカサ(15)「え?」
お母さん「最後は、これ。マフラーね」
ミカサ(15)「ああ、マフラー…!」
お母さん「大事なものなのね」
ミカサ(15)「うん。エレンから貰った…から」
お母さん「そう。大切なお友達なのね」
ミカサ(15)「エレンは……大切な人なので…だから…」
57: 2014/01/14(火) 07:28:46 ID:5gHmYRyY
お母さん「そう。ほら、マフラー。はやく取りなさい」
ミカサ(15)「でも、お母さん」
お母さん「何?」
ミカサ(15)「私、今何も持ってない。マフラーと…交換できるようなことしてない」
お母さん「ああ、ミカサ。確かにそうね…」
ミカサ(15)「………」
お母さん「でもね、大丈夫よ」
ミカサ(15)「どうして?」
ミカサ(15)「でも、お母さん」
お母さん「何?」
ミカサ(15)「私、今何も持ってない。マフラーと…交換できるようなことしてない」
お母さん「ああ、ミカサ。確かにそうね…」
ミカサ(15)「………」
お母さん「でもね、大丈夫よ」
ミカサ(15)「どうして?」
58: 2014/01/14(火) 07:29:35 ID:5gHmYRyY
お母さん「お母さん、あなたの肋の怪我を代わりにもらうから」
ミカサ(15)「お母さん、そんな。ダメだよ」
お母さん「どうして?」
ミカサ(15)「痛いよ」
お母さん「大丈夫ですよ。帰ったらお父さんと分けますから。ちっとも痛くありませんよ」
ミカサ(15)「でも」
お母さん「お父さんもお母さんも、もう、何年もミカサに甘えてもらってないもの。たまには甘えなさい」
ミカサ(15)「お母さん…」
お母さん「わかった?」
ミカサ(15)「………うん」
お母さん「いい子ねミカサ。こっちにいらっしゃい」
ミカサ(15)「うん」
ミカサ(15)「お母さん、そんな。ダメだよ」
お母さん「どうして?」
ミカサ(15)「痛いよ」
お母さん「大丈夫ですよ。帰ったらお父さんと分けますから。ちっとも痛くありませんよ」
ミカサ(15)「でも」
お母さん「お父さんもお母さんも、もう、何年もミカサに甘えてもらってないもの。たまには甘えなさい」
ミカサ(15)「お母さん…」
お母さん「わかった?」
ミカサ(15)「………うん」
お母さん「いい子ねミカサ。こっちにいらっしゃい」
ミカサ(15)「うん」
59: 2014/01/14(火) 07:30:26 ID:5gHmYRyY
お母さん「マフラーを受け取りなさい」
ミカサ(15)「うん」スッ
お母さん「少しだけ、抱きしめさせて」
ミカサ(15)「うん…」
お母さん「…大きくなったわね」
ミカサ(15)「うん」ジワァ…
お母さん「肋の怪我をもらいますよ」
ミカサ(15)「うん」グスッ
お母さん「もう、次は迷子になるんじゃありませんよ」
ミカサ(15)「ぅん」グス…
ミカサ(15)「うん」スッ
お母さん「少しだけ、抱きしめさせて」
ミカサ(15)「うん…」
お母さん「…大きくなったわね」
ミカサ(15)「うん」ジワァ…
お母さん「肋の怪我をもらいますよ」
ミカサ(15)「うん」グスッ
お母さん「もう、次は迷子になるんじゃありませんよ」
ミカサ(15)「ぅん」グス…
60: 2014/01/14(火) 07:31:36 ID:5gHmYRyY
お母さん「今度家に来るのは、あなたがおばあさんになってからですよ。ニンジンを甘ーく煮ながら気長に待ってますからね」
ミカサ(15)「うん、でも」ポロ…
お母さん「でも?」
ミカサ(15)「お、おばあさんになってしまったら…私ってわからないよ」ポロポロ…
お母さん「わかりますよ。お母さんだもの」ギュウッ
ミカサ(15)「ほ、本当?」ポロポロ…
お母さん「もちろん。さあ、もう泣くのはやめなさい」
ミカサ(15)「ぅん…」グスッ
お母さん「もう肋は痛くないわね?」
ミカサ(15)「ん、治ってる」グス…
お母さん「そう、なら早く行きなさい。一人で行けるでしょう?」
ミカサ(15)「うん」
お母さん「行きなさい、ミカサ」
ミカサ(15)「うん、行ってきます。お母さん」
お母さん「行ってらっしゃい、ミカサ」
ミカサ(15)「うん、でも」ポロ…
お母さん「でも?」
ミカサ(15)「お、おばあさんになってしまったら…私ってわからないよ」ポロポロ…
お母さん「わかりますよ。お母さんだもの」ギュウッ
ミカサ(15)「ほ、本当?」ポロポロ…
お母さん「もちろん。さあ、もう泣くのはやめなさい」
ミカサ(15)「ぅん…」グスッ
お母さん「もう肋は痛くないわね?」
ミカサ(15)「ん、治ってる」グス…
お母さん「そう、なら早く行きなさい。一人で行けるでしょう?」
ミカサ(15)「うん」
お母さん「行きなさい、ミカサ」
ミカサ(15)「うん、行ってきます。お母さん」
お母さん「行ってらっしゃい、ミカサ」
61: 2014/01/14(火) 07:33:18 ID:5gHmYRyY
――――――――
――――――
――――
ミカサ「………」パチッ
エレン・アルミン「ミカサ!」
エレン「ミカサ、大丈夫か!?意識は?」
アルミン「僕、医者を呼んで来る」タタッ
ミカサ「エレ…ン、アルミン…」
エレン「おい、無理してしゃべるなよ」
ミカサ「ここ、どこ?」
エレン「兵団の医療施設だよ」
ミカサ「………」
――――――
――――
ミカサ「………」パチッ
エレン・アルミン「ミカサ!」
エレン「ミカサ、大丈夫か!?意識は?」
アルミン「僕、医者を呼んで来る」タタッ
ミカサ「エレ…ン、アルミン…」
エレン「おい、無理してしゃべるなよ」
ミカサ「ここ、どこ?」
エレン「兵団の医療施設だよ」
ミカサ「………」
62: 2014/01/14(火) 07:34:21 ID:5gHmYRyY
エレン「お前、壁の上に引き上げた後、意識がなくなってたんだ。丸一日寝てたぞ」
ミカサ「そう…だったの…」
エレン「今アルミンが医者を呼びに行ったからな。すぐ来る」
ミカサ「怪我は、もう治った」
エレン「いや、お前、こんな時にやせ我慢しなくても」
ミカサ「本当。治ってる。どこも痛くない」
エレン「じゃあお前、なんで泣いてんだよ」
ミカサ「………」
ミカサ「そう…だったの…」
エレン「今アルミンが医者を呼びに行ったからな。すぐ来る」
ミカサ「怪我は、もう治った」
エレン「いや、お前、こんな時にやせ我慢しなくても」
ミカサ「本当。治ってる。どこも痛くない」
エレン「じゃあお前、なんで泣いてんだよ」
ミカサ「………」
63: 2014/01/14(火) 07:35:09 ID:5gHmYRyY
エレン「まあ良い。じきに医者がくるから」
ミカサ「…痛くない、本当に」
エレン「あーもう、わかったよ。でも医者には診てもらうからな」
ミカサ「治ってる」
エレン「わかったって。もうしゃべるなよ」
ミカサ「痛くない」
エレン「もうしゃべんなって」
ミカサ「うん…」
ミカサ(治ってる)
ミカサ(痛くない)
ミカサ(でも…)
ミカサ(涙が止まらない)
―おわり―
ミカサ「…痛くない、本当に」
エレン「あーもう、わかったよ。でも医者には診てもらうからな」
ミカサ「治ってる」
エレン「わかったって。もうしゃべるなよ」
ミカサ「痛くない」
エレン「もうしゃべんなって」
ミカサ「うん…」
ミカサ(治ってる)
ミカサ(痛くない)
ミカサ(でも…)
ミカサ(涙が止まらない)
―おわり―
64: 2014/01/14(火) 07:36:34 ID:5gHmYRyY
ごめん、昨日は寝落ちした
最後まで読んでくれてありがとうございました
最後まで読んでくれてありがとうございました
66: 2014/01/14(火) 09:22:11 ID:rzif5Zxg
良かった
乙
乙
引用: ミカサ「忘れ物」
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