802: 2018/03/30(金) 03:27:19.763 ID:NItIZ8Gj0.net
おはよう…
最近は電気ついたまま意識途切れるのが普通になってしまった
女騎士「女魔法使いが結婚、ですか」【1】
女騎士「女魔法使いが結婚、ですか」【2】
女騎士「女魔法使いが結婚、ですか」【3】
女騎士「女魔法使いが結婚、ですか」【完結】
最近は電気ついたまま意識途切れるのが普通になってしまった
女騎士「女魔法使いが結婚、ですか」【1】
女騎士「女魔法使いが結婚、ですか」【2】
女騎士「女魔法使いが結婚、ですか」【3】
女騎士「女魔法使いが結婚、ですか」【完結】
803: 2018/03/30(金) 04:04:46.261 ID:NItIZ8Gj0.net
女騎士(魔導飛行船の準備にはまだ時間がかかるとのことです)
女騎士(準備にかかるのはおよそ三日ほど。武闘家さんたちの到着もなんとか間に合いそうです)
女騎士(すべてを整えて、万全の状態で魔王城に向かう。そのために今わたしたちができること……)
女騎士「はっ!」
ズバッ
魔物「ギィィィ!」
女騎士(準備にかかるのはおよそ三日ほど。武闘家さんたちの到着もなんとか間に合いそうです)
女騎士(すべてを整えて、万全の状態で魔王城に向かう。そのために今わたしたちができること……)
女騎士「はっ!」
ズバッ
魔物「ギィィィ!」
805: 2018/03/30(金) 04:08:32.367 ID:NItIZ8Gj0.net
女騎士「ふぅ。このあたりの魔物も、大分数が減ってきましたね」
戦士「今日はこの辺で終わりだ! 明日は王都北側の魔物をやる!」
戦士「お前らは明日に備えてさっさと帰って、寝ろ!」
騎士たち「はい!!」
戦士「今日はこの辺で終わりだ! 明日は王都北側の魔物をやる!」
戦士「お前らは明日に備えてさっさと帰って、寝ろ!」
騎士たち「はい!!」
806: 2018/03/30(金) 04:10:13.120 ID:NItIZ8Gj0.net
女騎士「…………」
戦士「……なんだよ」
女騎士「い、いえ。みんなに指示を飛ばす戦士さん、なんだか板についていましたね」
戦士「……ふん。最初に突っ走って一人で暴れてたら、あいつら、いつの間に後ろについて来てやがったんだ」
女騎士「戦いが終わってからも、このお仕事を続けてみてはどうですか?」
戦士「よせよ。……柄じゃねえのはわかってんだ。ただ、俺一人が好き勝手暴れてどうにかなる量でもねえからな。仕方なくだ」
戦士「……なんだよ」
女騎士「い、いえ。みんなに指示を飛ばす戦士さん、なんだか板についていましたね」
戦士「……ふん。最初に突っ走って一人で暴れてたら、あいつら、いつの間に後ろについて来てやがったんだ」
女騎士「戦いが終わってからも、このお仕事を続けてみてはどうですか?」
戦士「よせよ。……柄じゃねえのはわかってんだ。ただ、俺一人が好き勝手暴れてどうにかなる量でもねえからな。仕方なくだ」
807: 2018/03/30(金) 04:14:51.204 ID:NItIZ8Gj0.net
騎士団長「戦士殿」
戦士「!」
女騎士「あっ、団長! お体はもういいのですか?」
騎士団長「ああ。むしろ、休み過ぎたくらいだ。明日からは私も参加するとしよう」
戦士「へっ、これで俺もようやくお役御免って所か」
騎士団長「……私がいない間、王都を守っていただき、感謝いたします」
戦士「気にすんな。ついでだ、ついで」
戦士「!」
女騎士「あっ、団長! お体はもういいのですか?」
騎士団長「ああ。むしろ、休み過ぎたくらいだ。明日からは私も参加するとしよう」
戦士「へっ、これで俺もようやくお役御免って所か」
騎士団長「……私がいない間、王都を守っていただき、感謝いたします」
戦士「気にすんな。ついでだ、ついで」
808: 2018/03/30(金) 04:16:52.220 ID:NItIZ8Gj0.net
騎士団長「……決戦の日。我ら騎士団も同行します」
女騎士「!」
戦士「王都の守りはいいんかよ」
騎士団長「その憂いを断つため、出発までの間に可能な限り魔物を減らす」
騎士団長「力を尽くしましょう。……鈍った勘も、取り戻さねばなりますまい」
騎士団長「……私たちの力不足により、陛下をお守りすることができなかった。王都の盾として失格ですな」
騎士団長「ですが、ここで出なければ剣としても、ここに在る意味を失ってしまう。……勇者様の救出、魔王軍残党の掃討」
騎士団長「我々にも意地はある。絶対に、借りは返させてもらいましょう」
女騎士「団長……」
戦士「……いい気迫だ。頼りにするぜ」
女騎士「!」
戦士「王都の守りはいいんかよ」
騎士団長「その憂いを断つため、出発までの間に可能な限り魔物を減らす」
騎士団長「力を尽くしましょう。……鈍った勘も、取り戻さねばなりますまい」
騎士団長「……私たちの力不足により、陛下をお守りすることができなかった。王都の盾として失格ですな」
騎士団長「ですが、ここで出なければ剣としても、ここに在る意味を失ってしまう。……勇者様の救出、魔王軍残党の掃討」
騎士団長「我々にも意地はある。絶対に、借りは返させてもらいましょう」
女騎士「団長……」
戦士「……いい気迫だ。頼りにするぜ」
811: 2018/03/30(金) 05:01:28.922 ID:NItIZ8Gj0.net
ワイワイガヤガヤ…
ワイワイガヤガヤ…
角の少年「……凄いな、王都は。あの町とは比べ物にならない程、人がいる」
盗賊「そーですか」
角の少年「…………」
盗賊「…………」
盗賊(はぁ、何でまた俺はこんな役回りを……)
ワイワイガヤガヤ…
角の少年「……凄いな、王都は。あの町とは比べ物にならない程、人がいる」
盗賊「そーですか」
角の少年「…………」
盗賊「…………」
盗賊(はぁ、何でまた俺はこんな役回りを……)
812: 2018/03/30(金) 05:12:11.224 ID:NItIZ8Gj0.net
前日
盗賊『……で、そこの帽子の小僧は誰なんですかい。いい加減紹介してほしいもんだが』
角の少年『む』
女騎士『あれ。先日、石を通して自己紹介をしてもらったと思うのですが……』
盗賊『あれのどこが自己紹介だってんだよ』
女騎士『う……。どんな念が届いたのですか?』
盗賊『………………』
魔法使い『………………』
戦士『………………』
女騎士(あ、あの、本当に何を送ったんでしょう)
角の少年(わからない。俺はよろしく頼むとだけ伝えたはずだが)
盗賊『……で、そこの帽子の小僧は誰なんですかい。いい加減紹介してほしいもんだが』
角の少年『む』
女騎士『あれ。先日、石を通して自己紹介をしてもらったと思うのですが……』
盗賊『あれのどこが自己紹介だってんだよ』
女騎士『う……。どんな念が届いたのですか?』
盗賊『………………』
魔法使い『………………』
戦士『………………』
女騎士(あ、あの、本当に何を送ったんでしょう)
角の少年(わからない。俺はよろしく頼むとだけ伝えたはずだが)
813: 2018/03/30(金) 05:13:16.477 ID:NItIZ8Gj0.net
角の少年『上手く伝わらなかったようだな。あらためて、よろしく頼みたい』
盗賊『よろしく、だけじゃわからねえでしょ。お前さんは何者なんだ?』
角の少年『………………』
女騎士『え、えぇと……何と説明すれば良いのでしょう……少し複雑な事情がありまして』
角の少年『女騎士。いい。俺が話す』
角の少年『そうするべきだと、俺は思う』
パサッ
盗賊『なっ』
戦士『ぬっ』
魔法使い『……へぇ』
盗賊『よろしく、だけじゃわからねえでしょ。お前さんは何者なんだ?』
角の少年『………………』
女騎士『え、えぇと……何と説明すれば良いのでしょう……少し複雑な事情がありまして』
角の少年『女騎士。いい。俺が話す』
角の少年『そうするべきだと、俺は思う』
パサッ
盗賊『なっ』
戦士『ぬっ』
魔法使い『……へぇ』
814: 2018/03/30(金) 05:14:23.380 ID:NItIZ8Gj0.net
角の少年『俺にはこの通り、角がある』
角の少年『女騎士と出会うまでの記憶はないが、どうやら魔王城の実験室で眠っていたようだ』
角の少年『俺には俺の正体がわからない。だが、やるべきこと。そうした方がいいと思うことは、ある』
角の少年『心というものを教わったんだ』
女騎士『…………』
角の少年『俺は、この目で見た。魔王軍のやっていることは間違っていることだと思う』
角の少年『俺の正体が魔王軍の何なのかはまだわからないが、言葉に嘘は無い』
角の少年『協力、させてほしい』
角の少年『女騎士と出会うまでの記憶はないが、どうやら魔王城の実験室で眠っていたようだ』
角の少年『俺には俺の正体がわからない。だが、やるべきこと。そうした方がいいと思うことは、ある』
角の少年『心というものを教わったんだ』
女騎士『…………』
角の少年『俺は、この目で見た。魔王軍のやっていることは間違っていることだと思う』
角の少年『俺の正体が魔王軍の何なのかはまだわからないが、言葉に嘘は無い』
角の少年『協力、させてほしい』
815: 2018/03/30(金) 05:18:56.172 ID:NItIZ8Gj0.net
盗賊「さて、この辺はもう満足したか?」
角の少年「ああ」
盗賊(ま、女騎士が連れて来たってこたぁそんなに悪い奴じゃないんでしょうよ)
盗賊(目覚めたばかりってのも嘘じゃなさそうだ)
盗賊(おかげでこうして、女騎士に頼まれて子守みたいなことやらされちまってるがな)
角の少年「ああ」
盗賊(ま、女騎士が連れて来たってこたぁそんなに悪い奴じゃないんでしょうよ)
盗賊(目覚めたばかりってのも嘘じゃなさそうだ)
盗賊(おかげでこうして、女騎士に頼まれて子守みたいなことやらされちまってるがな)
817: 2018/03/30(金) 05:36:41.677 ID:NItIZ8Gj0.net
盗賊「……ん?」
盗賊「………………」
盗賊「……はぁ。ああいう輩ってのはどこにでもいるもんだな。このご時世だってのに逞しいもんだ」
角の少年「?」
盗賊「まあ、都会だしな。入れ食いだ。……耳が痛いっつーか、目が痛いっつーのか」
角の少年「埃でも入ったのか」
盗賊「ばっか、そうじゃねえよ……ちょっとこの辺で待ってろ」
角の少年「?」
盗賊「………………」
盗賊「……はぁ。ああいう輩ってのはどこにでもいるもんだな。このご時世だってのに逞しいもんだ」
角の少年「?」
盗賊「まあ、都会だしな。入れ食いだ。……耳が痛いっつーか、目が痛いっつーのか」
角の少年「埃でも入ったのか」
盗賊「ばっか、そうじゃねえよ……ちょっとこの辺で待ってろ」
角の少年「?」
818: 2018/03/30(金) 05:39:22.643 ID:NItIZ8Gj0.net
盗賊「待たせたな」
角の少年「何をしていたんだ。お前が話しかけた男。項垂れたまま兵士に連れて行かれるようだが」
盗賊「スリだよ。ちょいと事情があってその辺の目は嫌でも効いちまうんだ」
角の少年「スリ……盗みか……それは悪いこと、だな」
角の少年「あの男はこの後、殺されるのか?」
盗賊「ンなわけねえだろ」
角の少年「何をしていたんだ。お前が話しかけた男。項垂れたまま兵士に連れて行かれるようだが」
盗賊「スリだよ。ちょいと事情があってその辺の目は嫌でも効いちまうんだ」
角の少年「スリ……盗みか……それは悪いこと、だな」
角の少年「あの男はこの後、殺されるのか?」
盗賊「ンなわけねえだろ」
819: 2018/03/30(金) 05:44:00.242 ID:NItIZ8Gj0.net
盗賊「人頃しとか、よっぽどのことをしない限り、普通は処刑なんてされねえさ」
盗賊「ま、貴族サマとかその辺に無礼を働いた場合はその限りでもないだろうがね」
盗賊「あの程度なら、何日間か牢にぶち込まれて解放されるんじゃねえかな」
角の少年「……なぜ、そんなことをする?」
盗賊「なぜって、そりゃあ反省とかやり直しの機会を与えてやるためだろう」
角の少年「……反省。やり直し」
盗賊「ま、貴族サマとかその辺に無礼を働いた場合はその限りでもないだろうがね」
盗賊「あの程度なら、何日間か牢にぶち込まれて解放されるんじゃねえかな」
角の少年「……なぜ、そんなことをする?」
盗賊「なぜって、そりゃあ反省とかやり直しの機会を与えてやるためだろう」
角の少年「……反省。やり直し」
820: 2018/03/30(金) 05:45:15.372 ID:NItIZ8Gj0.net
盗賊「人間誰しも間違いは犯すもんさ。弱い人間なら特にな。お前さんは女騎士くらいとしか話したこと無いんだろうが、ありゃ特別だ。その辺りに関して参考にならねえよ」
角の少年「そうなのか?」
盗賊「戦士の兄さんも魔法使いの姐さんも同じだ、強すぎて参考にならねえ。その辺り、勉強するなら俺みたいな小市民に聞いた方がいいぜ」
角の少年「そうか」
角の少年「さっきのことと言い、盗賊は良い奴だな」
盗賊「……そういうのはやめろ」
角の少年「そうなのか?」
盗賊「戦士の兄さんも魔法使いの姐さんも同じだ、強すぎて参考にならねえ。その辺り、勉強するなら俺みたいな小市民に聞いた方がいいぜ」
角の少年「そうか」
角の少年「さっきのことと言い、盗賊は良い奴だな」
盗賊「……そういうのはやめろ」
864: 2018/03/30(金) 19:31:09.008 ID:NItIZ8Gj0.net
ただいま
869: 2018/03/30(金) 20:14:39.195 ID:NItIZ8Gj0.net
呪術師「……………………」
呪術師「……今、すべてが整った」
呪術師「集めた魂も、核となる者も、すべてだ」
呪術師「これより魔王様復活の儀を執り行う」
呪術師「勇者の身柄を、ここに」
中級悪魔「はっ」
呪術師「……今、すべてが整った」
呪術師「集めた魂も、核となる者も、すべてだ」
呪術師「これより魔王様復活の儀を執り行う」
呪術師「勇者の身柄を、ここに」
中級悪魔「はっ」
871: 2018/03/30(金) 20:16:07.124 ID:NItIZ8Gj0.net
呪術師「…………………………」
呪術師「………………………………」
呪術師「……………………………………」
呪術師「……おおおっ!!!」
カッ!!
勇者「……………………」
呪術師「………………………………」
呪術師「……………………………………」
呪術師「……おおおっ!!!」
カッ!!
勇者「……………………」
872: 2018/03/30(金) 20:16:43.734 ID:NItIZ8Gj0.net
ザッ
呪術師「……………………」
魔王「……………………」
呪術師「……………………魔王、様…………」
呪術師「……………………」
魔王「……………………」
呪術師「……………………魔王、様…………」
873: 2018/03/30(金) 20:17:49.339 ID:NItIZ8Gj0.net
魔王「…………呪術師か」
呪術師「!!」
呪術師「はっ! ここに……!」
魔王「……この状況、理解した。貴様ならばこの程度、やれて当然のことだろう」
呪術師「……恐れ多い」
魔王「この体は……勇者か」
魔王「……………………」
呪術師「!!」
呪術師「はっ! ここに……!」
魔王「……この状況、理解した。貴様ならばこの程度、やれて当然のことだろう」
呪術師「……恐れ多い」
魔王「この体は……勇者か」
魔王「……………………」
875: 2018/03/30(金) 20:19:11.889 ID:NItIZ8Gj0.net
魔王「……呪術師」
呪術師「はっ」
魔王「今の俺の気分がわかるか?」
呪術師「………………はっ?」
ガシッ!
呪術師「がっ!?」
ギリギリギリギリギリギリ…
魔王「最悪だ。悪い夢でも見ているかのようだ」
呪術師「はっ」
魔王「今の俺の気分がわかるか?」
呪術師「………………はっ?」
ガシッ!
呪術師「がっ!?」
ギリギリギリギリギリギリ…
魔王「最悪だ。悪い夢でも見ているかのようだ」
876: 2018/03/30(金) 20:20:16.271 ID:NItIZ8Gj0.net
魔王「俺の魂だ。そう簡単には滅びん」
魔王「たとえ肉体が滅んだとしても何者かが……それこそ呪術師。貴様のような者が蘇生を試みることはわかっていた」
ギリギリギリ…
呪術師「……あ……が……!!」
魔王「だがな。この俺は負けたのだ。姑息な手段を用いられたのならともかく、あろうことか正面から挑まれ打倒されたのだ」
魔王「悔いがなかった、とは言わん」
魔王「悲願はあった。野望もあった」
魔王「だが、あれほどの輝きに正面から討ち倒されたのだ」
魔王「俺とて貴様らに魔王と呼ばれる存在だが、同時に一個の魔族の戦士であるつもりだ」
魔王「その敗北を呑み込み、納得するだけの気概が俺に無いとでも思ったか」
呪術師「…………!!………………ッ!!」
ギリギリギリギリギリギリ…!
魔王「たとえ肉体が滅んだとしても何者かが……それこそ呪術師。貴様のような者が蘇生を試みることはわかっていた」
ギリギリギリ…
呪術師「……あ……が……!!」
魔王「だがな。この俺は負けたのだ。姑息な手段を用いられたのならともかく、あろうことか正面から挑まれ打倒されたのだ」
魔王「悔いがなかった、とは言わん」
魔王「悲願はあった。野望もあった」
魔王「だが、あれほどの輝きに正面から討ち倒されたのだ」
魔王「俺とて貴様らに魔王と呼ばれる存在だが、同時に一個の魔族の戦士であるつもりだ」
魔王「その敗北を呑み込み、納得するだけの気概が俺に無いとでも思ったか」
呪術師「…………!!………………ッ!!」
ギリギリギリギリギリギリ…!
877: 2018/03/30(金) 20:21:32.425 ID:NItIZ8Gj0.net
……ドサッ
呪術師「……がはっ! はぁ、はぁ、はぁ……!!」
魔王「だが……貴様らを統べる、魔王であるのも、確かだ。……ここは抑えよう」
魔王「これで、この一件は不問に処す」
呪術師「はぁ、はぁ、はぁ……!!」
魔王「呪術師、大義であった」
魔王「これが勇者の肉体であることも気に喰わんが、それもまた許そう」
呪術師「はぁ、はぁ、はぁ……! がふっ、はぁ……!」
呪術師「………………魔王様……ありがたき、お言葉……!」
呪術師「……がはっ! はぁ、はぁ、はぁ……!!」
魔王「だが……貴様らを統べる、魔王であるのも、確かだ。……ここは抑えよう」
魔王「これで、この一件は不問に処す」
呪術師「はぁ、はぁ、はぁ……!!」
魔王「呪術師、大義であった」
魔王「これが勇者の肉体であることも気に喰わんが、それもまた許そう」
呪術師「はぁ、はぁ、はぁ……! がふっ、はぁ……!」
呪術師「………………魔王様……ありがたき、お言葉……!」
880: 2018/03/30(金) 20:25:43.342 ID:NItIZ8Gj0.net
ドタドタ…
バン!
中級悪魔「呪術師様!」
呪術師「!」
呪術師「貴様! 魔王様の御前であるぞ!!」
中級悪魔「ま、魔王様……! お戻りに……失礼いたしました!!」ザッ
バン!
中級悪魔「呪術師様!」
呪術師「!」
呪術師「貴様! 魔王様の御前であるぞ!!」
中級悪魔「ま、魔王様……! お戻りに……失礼いたしました!!」ザッ
881: 2018/03/30(金) 20:27:58.607 ID:NItIZ8Gj0.net
魔王「構わん。それで、呪術師に何か用があったのだろう。火急の件ならばここで話せ」
中級悪魔「……はっ!」
中級悪魔「かねてより追跡していた勇者のつがいの女を捕らえました!」
呪術師「……ふん、一足遅かったな……」
呪術師「散々手こずらせてくれた、勇者の師はどうした」
中級悪魔「氏にました」
魔王「………………」
中級悪魔「……はっ!」
中級悪魔「かねてより追跡していた勇者のつがいの女を捕らえました!」
呪術師「……ふん、一足遅かったな……」
呪術師「散々手こずらせてくれた、勇者の師はどうした」
中級悪魔「氏にました」
魔王「………………」
882: 2018/03/30(金) 20:29:31.640 ID:NItIZ8Gj0.net
中級悪魔「最後まで抵抗を続け、我が軍の被害も相当……追跡していた幹部級の三名と相討つ形となりました」
呪術師「そうか……良くやった。幹部を失ったのは大きく、またその女は既に必要ないが、爺を頃したことはより大きい。いずれまた第二第三の勇者を育てんとも限らん」
中級悪魔「女は、こちらへ」
幼馴染「……………………」
魔王「……………………」
呪術師「ふむ。こいつが勇者の……」
中級悪魔「如何なされますか」
呪術師「魔王様がお戻りになられた今、この女は用済みだ。幹部連中の中にこの手の者を欲しがる輩がいただろう。適当にくれてやれ」
中級悪魔「はっ!」
呪術師「そうか……良くやった。幹部を失ったのは大きく、またその女は既に必要ないが、爺を頃したことはより大きい。いずれまた第二第三の勇者を育てんとも限らん」
中級悪魔「女は、こちらへ」
幼馴染「……………………」
魔王「……………………」
呪術師「ふむ。こいつが勇者の……」
中級悪魔「如何なされますか」
呪術師「魔王様がお戻りになられた今、この女は用済みだ。幹部連中の中にこの手の者を欲しがる輩がいただろう。適当にくれてやれ」
中級悪魔「はっ!」
883: 2018/03/30(金) 20:36:36.153 ID:NItIZ8Gj0.net
中級悪魔「では、私はこれで……」
魔王「……………………」
魔王「……………………待て」
呪術師「……………………は?」
魔王「……待て、と言ったのだ」
呪術師「し、しかし……」
魔王「その女に手を下すことは……気に喰わん」
呪術師「!!」
魔王「……その女は捕虜とする。牢にでも入れておけ。看守にも、決して手出しはならんと伝えておけ」
呪術師「……………………」
魔王「……二度、言わせるつもりか?」
呪術師「め、滅相もありません……」
中級悪魔「……では、そのように」
魔王「……………………」
魔王「……………………待て」
呪術師「……………………は?」
魔王「……待て、と言ったのだ」
呪術師「し、しかし……」
魔王「その女に手を下すことは……気に喰わん」
呪術師「!!」
魔王「……その女は捕虜とする。牢にでも入れておけ。看守にも、決して手出しはならんと伝えておけ」
呪術師「……………………」
魔王「……二度、言わせるつもりか?」
呪術師「め、滅相もありません……」
中級悪魔「……では、そのように」
884: 2018/03/30(金) 20:37:26.100 ID:NItIZ8Gj0.net
魔王「永き眠りから叩き起こされたのだ。俺は一度寝る。部屋まで案内しろ」
呪術師「…………はっ」
呪術師(魔王様…………まさか…………!!)
呪術師「…………はっ」
呪術師(魔王様…………まさか…………!!)
885: 2018/03/30(金) 20:48:27.097 ID:NItIZ8Gj0.net
女騎士(…………勇者さま…………)
女騎士「………………」
盗賊「よう」
女騎士「あっ、盗賊さん」
盗賊「いい夜だな。俺らが下でわちゃわちゃやってんのも、お星様には関係ねえってか」
女騎士「……そうですね……いい夜です」
女騎士「………………」
盗賊「よう」
女騎士「あっ、盗賊さん」
盗賊「いい夜だな。俺らが下でわちゃわちゃやってんのも、お星様には関係ねえってか」
女騎士「……そうですね……いい夜です」
886: 2018/03/30(金) 20:50:24.617 ID:NItIZ8Gj0.net
盗賊「あの角の小僧と王都を回ったぜ。世間知らずにも程がある。よくあんなのを連れてきたな」
女騎士「あはは……。先日のお話は聞きました。けど、とてもよい子でしょう? まだ目覚めたばかりで、子どものようなものですから。純粋で、真っ白で」
女騎士「だから、もっともっといろいろなことを知ってほしいんです。盗賊さんに案内をお願いすれば、その辺りのこと、頼れると思ったのです。ありがとうございました」
盗賊「礼を言われるほどのことでもねーですよ」
盗賊「……本当、あの小僧も、最初に拾われたのがアンタみたいなので良かったな」
女騎士「どう言う意味ですか?」
盗賊「なに、親が少しは間抜けな方が、子どもはのびのびと育つもんですよってこった」
女騎士「な、なんてこと言うんですかっ」
女騎士「あはは……。先日のお話は聞きました。けど、とてもよい子でしょう? まだ目覚めたばかりで、子どものようなものですから。純粋で、真っ白で」
女騎士「だから、もっともっといろいろなことを知ってほしいんです。盗賊さんに案内をお願いすれば、その辺りのこと、頼れると思ったのです。ありがとうございました」
盗賊「礼を言われるほどのことでもねーですよ」
盗賊「……本当、あの小僧も、最初に拾われたのがアンタみたいなので良かったな」
女騎士「どう言う意味ですか?」
盗賊「なに、親が少しは間抜けな方が、子どもはのびのびと育つもんですよってこった」
女騎士「な、なんてこと言うんですかっ」
887: 2018/03/30(金) 21:02:17.956 ID:NItIZ8Gj0.net
盗賊「……決戦も、もうすぐだな。アンタらも昼間の魔物退治で疲れてるだろうが、魔法使いの姐さんの働きっぷりは尋常じゃねえぜ、あれ」
女騎士「そうですね。お手伝いをしたくても、わたしじゃ役に立ちそうもありません」
盗賊「むしろ機材ぶっ壊して追い出されるところが目に見えるぜ」
女騎士「……もうっ!」
盗賊「はははっ……」
女騎士「そうですね。お手伝いをしたくても、わたしじゃ役に立ちそうもありません」
盗賊「むしろ機材ぶっ壊して追い出されるところが目に見えるぜ」
女騎士「……もうっ!」
盗賊「はははっ……」
888: 2018/03/30(金) 21:03:01.199 ID:NItIZ8Gj0.net
盗賊「……はぁ。また憎まれ口ばっか叩いちまう。やっぱりアンタと居ると調子が狂うな」
女騎士「……盗賊さん?」
盗賊「激励に来たんだよ。これでもな」
女騎士「……盗賊さん?」
盗賊「激励に来たんだよ。これでもな」
889: 2018/03/30(金) 21:07:01.894 ID:NItIZ8Gj0.net
盗賊「さっき、武闘家のおっさんと僧侶の姐さんが戻って来たぜ。今は部屋で休んでる」
女騎士「武闘家さんたちが……」
盗賊「ああ。後は魔法使いの姐さんと王都の技術士次第だ。魔導船が仕上がるのもそうかからないだろうさ」
女騎士「……では、もうすぐですね」
盗賊「ああ」
女騎士「武闘家さんたちが……」
盗賊「ああ。後は魔法使いの姐さんと王都の技術士次第だ。魔導船が仕上がるのもそうかからないだろうさ」
女騎士「……では、もうすぐですね」
盗賊「ああ」
891: 2018/03/30(金) 21:08:01.435 ID:NItIZ8Gj0.net
盗賊「……今さら見栄張るのもどうかと思うから言っちまうが、俺は弱い。それこそ丸腰のアンタにも勝てないくらいにはな」
女騎士「………………」
盗賊「魔導船の乗員、誘われたよ。ここまで来た仲間なんだからってな……笑える話だろ?」
盗賊「断ろうと思う」
女騎士「……………………」
女騎士「…………そう、ですか……」
盗賊「ははっ、止めねえのな」
女騎士「……わたしが決めることでは、ありませんから」
女騎士「………………」
盗賊「魔導船の乗員、誘われたよ。ここまで来た仲間なんだからってな……笑える話だろ?」
盗賊「断ろうと思う」
女騎士「……………………」
女騎士「…………そう、ですか……」
盗賊「ははっ、止めねえのな」
女騎士「……わたしが決めることでは、ありませんから」
892: 2018/03/30(金) 21:13:59.693 ID:NItIZ8Gj0.net
盗賊「……………………」
盗賊「あーーーあ、ちくしょうっ」
盗賊「弱すぎんだよ、俺ァ。まあ当然だわな。あんたたちが魔王を倒して世界を救おうって必氏こいて戦ってるときに、俺は裏でコソコソ人の目盗んで盗賊なんかやってやがった」
女騎士「………………」
盗賊「昔の自分を殴れるもんなら殴ってやりてえよ。もっと他のことに時間を使っていたなら。諦めずに、もっと頑張っていたのなら」
盗賊「今ごろこうして、惚れた女が氏地に向かうのを見送るだけだなんて、情けないことはしてなかっただろうになあ」
女騎士「……そう……ですね…………」
女騎士「……………………」
女騎士「………………………………ふぇ?」
盗賊「あーーーあ、ちくしょうっ」
盗賊「弱すぎんだよ、俺ァ。まあ当然だわな。あんたたちが魔王を倒して世界を救おうって必氏こいて戦ってるときに、俺は裏でコソコソ人の目盗んで盗賊なんかやってやがった」
女騎士「………………」
盗賊「昔の自分を殴れるもんなら殴ってやりてえよ。もっと他のことに時間を使っていたなら。諦めずに、もっと頑張っていたのなら」
盗賊「今ごろこうして、惚れた女が氏地に向かうのを見送るだけだなんて、情けないことはしてなかっただろうになあ」
女騎士「……そう……ですね…………」
女騎士「……………………」
女騎士「………………………………ふぇ?」
893: 2018/03/30(金) 21:15:28.143 ID:NItIZ8Gj0.net
盗賊「あっ、言っちまった」
女騎士「あ、あのっ?」
盗賊「決戦前夜なんかに言うつもりは無かったんだがな。やっぱりアンタと話してると調子が狂っちまう」
女騎士「え、えぇと、ですね」
盗賊「別に、なんでもねえよ。気にすんな」
女騎士「気にするなと言われてもっ……!」
女騎士「あ、あのっ?」
盗賊「決戦前夜なんかに言うつもりは無かったんだがな。やっぱりアンタと話してると調子が狂っちまう」
女騎士「え、えぇと、ですね」
盗賊「別に、なんでもねえよ。気にすんな」
女騎士「気にするなと言われてもっ……!」
894: 2018/03/30(金) 21:16:16.667 ID:NItIZ8Gj0.net
盗賊「本当に、今のは忘れてくれや。これでアンタまで調子崩して怪我でもされちまうと、俺だってやりきれねえっつの」
女騎士「盗賊さん……」
盗賊「……こんなはずじゃ無かったんだがな。小っ恥ずかしくなっちまったし、俺ももう帰るわ」
女騎士「………………」
盗賊「勇者とは、俺だってもう腐れ縁なんだ。……あいつを頼んだぜ」
女騎士「……はい。任せて、ください」
盗賊「必ず、無事に帰ってこいよな。柄じゃねえけど、このお星様にでも祈っておくよ」
女騎士「盗賊さん……」
盗賊「……こんなはずじゃ無かったんだがな。小っ恥ずかしくなっちまったし、俺ももう帰るわ」
女騎士「………………」
盗賊「勇者とは、俺だってもう腐れ縁なんだ。……あいつを頼んだぜ」
女騎士「……はい。任せて、ください」
盗賊「必ず、無事に帰ってこいよな。柄じゃねえけど、このお星様にでも祈っておくよ」
897: 2018/03/30(金) 21:24:48.649 ID:NItIZ8Gj0.net
翌日
女騎士「僧侶さん、武闘家さんっ」
武闘家「女騎士か。しばらくぶりだな」
僧侶「女騎士さん……えぇと、その子が、例の……?」
角の少年「お前たちが武闘家と僧侶か。女騎士から聞いている。よろしく頼む」
武闘家「……ふむ」
僧侶「こちらこそ、よろしくお願いしますね」
僧侶「………………」
僧侶(女騎士さん、後で説明だけお願いしますね)
女騎士「はい?」
魔法使い「みんな、揃ったわね。今から魔導船まで案内するわ」
女騎士「僧侶さん、武闘家さんっ」
武闘家「女騎士か。しばらくぶりだな」
僧侶「女騎士さん……えぇと、その子が、例の……?」
角の少年「お前たちが武闘家と僧侶か。女騎士から聞いている。よろしく頼む」
武闘家「……ふむ」
僧侶「こちらこそ、よろしくお願いしますね」
僧侶「………………」
僧侶(女騎士さん、後で説明だけお願いしますね)
女騎士「はい?」
魔法使い「みんな、揃ったわね。今から魔導船まで案内するわ」
898: 2018/03/30(金) 21:26:18.495 ID:NItIZ8Gj0.net
女騎士「す、すごい……」
戦士「……ああ」
武闘家「壮観だな」
僧侶「これが、空を飛ぶんですね……」
魔法使い「用意できた魔導船は全部で四隻よ。本当はもっと用意できれば良かったのだけれど……こればっかりは仕方ないわね」
女騎士「騎士団はもう集まっているみたいですね。わたしたちも行きましょう」
戦士「……ああ」
武闘家「壮観だな」
僧侶「これが、空を飛ぶんですね……」
魔法使い「用意できた魔導船は全部で四隻よ。本当はもっと用意できれば良かったのだけれど……こればっかりは仕方ないわね」
女騎士「騎士団はもう集まっているみたいですね。わたしたちも行きましょう」
899: 2018/03/30(金) 21:35:10.830 ID:NItIZ8Gj0.net
騎士団長「皆! これより空の魔王城へと乗り込む!」
騎士団長「我々はこれまでに二度、魔王軍による王都への侵攻を許した!」
騎士団長「二度目の際には、陛下を失い、勇者殿を攫われるという、これ以上ない程の大敗を喫した!」
騎士団長「このままで済ませても良いと言う騎士は、この場にはいないだろう」
騎士団長「今から行うのは、これまでばかりの守戦ではない、攻戦だ」
騎士団長「我々はこれまでに二度、魔王軍による王都への侵攻を許した!」
騎士団長「二度目の際には、陛下を失い、勇者殿を攫われるという、これ以上ない程の大敗を喫した!」
騎士団長「このままで済ませても良いと言う騎士は、この場にはいないだろう」
騎士団長「今から行うのは、これまでばかりの守戦ではない、攻戦だ」
900: 2018/03/30(金) 21:35:44.205 ID:NItIZ8Gj0.net
騎士団長「我々は今、王都の盾ではなく、剣となる」
騎士団長「厳しい戦いになるだろう。命を落とす者もいるだろう」
騎士団長「だが、無辜の民を脅かすあの魔王軍を、このままのさばらせておくわけには行くまい!」
騎士団長「騎士として、王都の剣として、誇りある戦いを奴らに見せてやれ!」
騎士団長「我々人類の意地を、奴らに叩きつけてやるのだ!」
騎士団長「厳しい戦いになるだろう。命を落とす者もいるだろう」
騎士団長「だが、無辜の民を脅かすあの魔王軍を、このままのさばらせておくわけには行くまい!」
騎士団長「騎士として、王都の剣として、誇りある戦いを奴らに見せてやれ!」
騎士団長「我々人類の意地を、奴らに叩きつけてやるのだ!」
2: 2018/03/31(土) 06:36:59.437 ID:pyCU+liR0
新魔王城
魔王「………………」
魔王の娘「父上、体調は如何か?」
魔王「……娘か」
魔王「万全に動くにはまだ足りん。だが並の相手ならば戦闘も問題ないだろう」
魔王の娘「……ふふ。その姿の父上というのも新鮮なものだ。以前の姿も雄々しく素敵であったが、今の姿も悪くない」
魔王「………………」
魔王「………………」
魔王の娘「父上、体調は如何か?」
魔王「……娘か」
魔王「万全に動くにはまだ足りん。だが並の相手ならば戦闘も問題ないだろう」
魔王の娘「……ふふ。その姿の父上というのも新鮮なものだ。以前の姿も雄々しく素敵であったが、今の姿も悪くない」
魔王「………………」
3: 2018/03/31(土) 06:38:05.085 ID:pyCU+liR0
魔王「何の用だ。俺も暇ではない。手短に済ませろ」
魔王の娘「なに、一つ気になることがあったというだけ。……あの人間の娘をどうするつもりなのか、父上の考えを聞かせてほしい」
魔王「………………」
魔王の娘「………………」
魔王の娘「……答えられぬ、か。それもまた一つの答えとみましょう」
魔王の娘「父上の手で殺せぬ、というならばこちらで処理しても良いが?」
魔王「……………………」
魔王の娘「なに、一つ気になることがあったというだけ。……あの人間の娘をどうするつもりなのか、父上の考えを聞かせてほしい」
魔王「………………」
魔王の娘「………………」
魔王の娘「……答えられぬ、か。それもまた一つの答えとみましょう」
魔王の娘「父上の手で殺せぬ、というならばこちらで処理しても良いが?」
魔王「……………………」
4: 2018/03/31(土) 06:39:13.198 ID:pyCU+liR0
魔王「……今はまだ」
魔王の娘「……?」
魔王「今はまだ、やめておけ。あの娘に手を出せば、俺はこの手でお前を縊り頃してしまうやもしれん」
魔王の娘「………………」
魔王の娘(……それほど、か)
魔王の娘(勇者。存外、まだ生きているのやもしれぬな)
魔王の娘「……?」
魔王「今はまだ、やめておけ。あの娘に手を出せば、俺はこの手でお前を縊り頃してしまうやもしれん」
魔王の娘「………………」
魔王の娘(……それほど、か)
魔王の娘(勇者。存外、まだ生きているのやもしれぬな)
5: 2018/03/31(土) 06:43:13.057 ID:pyCU+liR0
呪術師「…………魔王様……!」
魔王「呪術師か。どうした」
呪術師「は。……人間どもが、空飛ぶ舟に乗り、この城に接近しております」
魔王「…………」
魔王の娘「ほう」
魔王「呪術師か。どうした」
呪術師「は。……人間どもが、空飛ぶ舟に乗り、この城に接近しております」
魔王「…………」
魔王の娘「ほう」
6: 2018/03/31(土) 06:44:13.280 ID:pyCU+liR0
呪術師「数は三。人間の騎士どもと、かつての勇者の仲間たちが乗船していると思われます」
魔王「時はどれほどか」
呪術師「一刻ほど」
魔王「幹部は」
呪術師「……現在、その殆どが出払っております」
魔王「……寝起きというのに、騒がしい者どもだ。おかげで目が醒める」
魔王「時はどれほどか」
呪術師「一刻ほど」
魔王「幹部は」
呪術師「……現在、その殆どが出払っております」
魔王「……寝起きというのに、騒がしい者どもだ。おかげで目が醒める」
7: 2018/03/31(土) 06:45:54.538 ID:pyCU+liR0
魔導船
ビュゥゥゥゥゥ…
戦士「……結構速えじゃねえか」
魔法使い「実用予定の物はこんなに速度が出ないわ。これは少し特別製」
武闘家「飛ぶのは三隻、か」
魔法使い「脱出の時に万が一のことがあると困るでしょう。今飛べるのは本当にこれだけしか無いから、一隻は王都に残しておく必要があるわ」
角の少年「……女騎士は何をしているんだ?」
魔法使い「……あれはそっとしておいてあげて」
女騎士「……………………うぷっ……」
僧侶「大丈夫ですか、女騎士さん」サスサス…
馬刺し「ヒヒーン」
焼き鳥「キィ、キィ」
ビュゥゥゥゥゥ…
戦士「……結構速えじゃねえか」
魔法使い「実用予定の物はこんなに速度が出ないわ。これは少し特別製」
武闘家「飛ぶのは三隻、か」
魔法使い「脱出の時に万が一のことがあると困るでしょう。今飛べるのは本当にこれだけしか無いから、一隻は王都に残しておく必要があるわ」
角の少年「……女騎士は何をしているんだ?」
魔法使い「……あれはそっとしておいてあげて」
女騎士「……………………うぷっ……」
僧侶「大丈夫ですか、女騎士さん」サスサス…
馬刺し「ヒヒーン」
焼き鳥「キィ、キィ」
8: 2018/03/31(土) 06:56:17.120 ID:pyCU+liR0
ガァン! ガァン! ガァン!
ガァン! ガァン! ガァン!
全員「!!」
角の少年「これは、何の鐘だ」
戦士「魔物接近の合図だ。準備しておけ、坊主」
騎士「魔王城から、飛行系魔物の接近を確認! 接敵まで間も無くです!」
魔法使い「……来たわね。まあ、簡単に乗り込ませてはくれないと思っていたけれど」
ガァン! ガァン! ガァン!
全員「!!」
角の少年「これは、何の鐘だ」
戦士「魔物接近の合図だ。準備しておけ、坊主」
騎士「魔王城から、飛行系魔物の接近を確認! 接敵まで間も無くです!」
魔法使い「……来たわね。まあ、簡単に乗り込ませてはくれないと思っていたけれど」
9: 2018/03/31(土) 06:57:25.287 ID:pyCU+liR0
騎士団長「皆、配置に付け! 魔導隊、弓兵隊は攻撃準備。連携し、魔物どもを撃ち落とす。操舵手、及び他の二隻との連絡は密に行え! 近接部隊は敵の乗船に備え、迎撃準備を急げ!」
ウオオオオオオオオオオ!!!
角の少年「………………」
戦士「ようやくだな」
武闘家「……いよいよか」
魔法使い「この舟は先頭。騎士団長や主力が揃ってる。守るわよ、全力で」
角の少年「……これが、戦い……」
ウオオオオオオオオオオ!!!
角の少年「………………」
戦士「ようやくだな」
武闘家「……いよいよか」
魔法使い「この舟は先頭。騎士団長や主力が揃ってる。守るわよ、全力で」
角の少年「……これが、戦い……」
10: 2018/03/31(土) 07:01:32.602 ID:pyCU+liR0
魔将軍「数で押し潰せ。決して城には近付けるな」
魔将軍「奴らはあの舟以外に空を飛ぶ手段を持たない。撃ち落とすことを念頭に置いて動け」
中級悪魔A「はっ!」
中級悪魔B「将軍! 奴らの空飛ぶ舟から一騎、突出する影があります!」
魔将軍「一騎、だと?」
中級悪魔B「あれは……翼を持つ白馬……天馬です!」
魔将軍「奴らはあの舟以外に空を飛ぶ手段を持たない。撃ち落とすことを念頭に置いて動け」
中級悪魔A「はっ!」
中級悪魔B「将軍! 奴らの空飛ぶ舟から一騎、突出する影があります!」
魔将軍「一騎、だと?」
中級悪魔B「あれは……翼を持つ白馬……天馬です!」
11: 2018/03/31(土) 07:04:50.659 ID:pyCU+liR0
ヒュゥゥゥゥゥゥ……
馬刺し「ヒヒーン!」
女騎士「………………」
女騎士「馬刺し、焼き鳥……とうとう、ここまで来ましたね」
女騎士「思えば、お前たちとの付き合いも長いものになりました」
ナデナデ…
馬刺し「ブルルッ」
女騎士「これが終わったら、また一緒に旅をしましょう」
女騎士「必ず、勇者さまを助け出しましょう。この戦いを、終わらせるのです」
魔物の群れ「ギィィィ!」
女騎士「…………行きます!!」
バサッ!
馬刺し「ヒヒーン!」
女騎士「………………」
女騎士「馬刺し、焼き鳥……とうとう、ここまで来ましたね」
女騎士「思えば、お前たちとの付き合いも長いものになりました」
ナデナデ…
馬刺し「ブルルッ」
女騎士「これが終わったら、また一緒に旅をしましょう」
女騎士「必ず、勇者さまを助け出しましょう。この戦いを、終わらせるのです」
魔物の群れ「ギィィィ!」
女騎士「…………行きます!!」
バサッ!
12: 2018/03/31(土) 07:13:38.542 ID:pyCU+liR0
ドォン! ズガァン!
魔導隊「……数が、多すぎるっ」
弓兵「落とし切れない……!」
……カッ!
ズドォォォン!
魔導隊「この規模の爆発は……」
弓兵「……魔法使い様だ!」
魔導隊「……数が、多すぎるっ」
弓兵「落とし切れない……!」
……カッ!
ズドォォォン!
魔導隊「この規模の爆発は……」
弓兵「……魔法使い様だ!」
13: 2018/03/31(土) 07:15:21.531 ID:pyCU+liR0
魔法使い「今まで机に噛り付いてばかりだった分、今日は発散させてもらうわよ!」ビリビリッ…
ピシャァァァン!
魔物「ギィィィ……!!」
戦士「だが、やっぱ数が多いな……落とし切れてねえ」
角の少年「舟に入ってきそうだぞ」
武闘家「……仕方あるまい。俺は状況を見て他の舟の援護に動く。ここは頼むぞ」タンッ
騎士「乗り込まれます!!」
ピシャァァァン!
魔物「ギィィィ……!!」
戦士「だが、やっぱ数が多いな……落とし切れてねえ」
角の少年「舟に入ってきそうだぞ」
武闘家「……仕方あるまい。俺は状況を見て他の舟の援護に動く。ここは頼むぞ」タンッ
騎士「乗り込まれます!!」
15: 2018/03/31(土) 07:28:32.713 ID:pyCU+liR0
女騎士「やぁーーーー!」
ドシュッ!
上級悪魔「グオオオ……!!」
馬刺し「ヒヒーン!」
女騎士「はぁ、はぁ……! 聖槍の力の制御も、大分できてきましたね」
ズドッ! ザシュッ!
女騎士「これなら……まだまだ戦えます!」
バサッ!
ドシュッ!
上級悪魔「グオオオ……!!」
馬刺し「ヒヒーン!」
女騎士「はぁ、はぁ……! 聖槍の力の制御も、大分できてきましたね」
ズドッ! ザシュッ!
女騎士「これなら……まだまだ戦えます!」
バサッ!
16: 2018/03/31(土) 07:29:45.267 ID:pyCU+liR0
ピキピキ…
パキィィィン!
魔物の群れ「ギィィィィィ!!」
騎士団長「魔導隊、弓兵隊! 魔法使い殿の魔法に合わせ、一斉射だ!」
騎士団長「撃ち漏らした大型は女騎士がかかっている! そちらとも上手く連携を取っていけ!」
騎士団長「近接部隊は船上の魔物を最優先に! 手の空いた者は舟の側面にしがみついた魔物を叩き落とせ!」
パキィィィン!
魔物の群れ「ギィィィィィ!!」
騎士団長「魔導隊、弓兵隊! 魔法使い殿の魔法に合わせ、一斉射だ!」
騎士団長「撃ち漏らした大型は女騎士がかかっている! そちらとも上手く連携を取っていけ!」
騎士団長「近接部隊は船上の魔物を最優先に! 手の空いた者は舟の側面にしがみついた魔物を叩き落とせ!」
17: 2018/03/31(土) 07:33:06.061 ID:pyCU+liR0
魔物「ギィィィィィ!」
角の少年「……………………」ブゥン…
ズバッ! ザシュッ!
戦士「へぇ。まだ荒削りだが、そんなナリしてよくやるじゃねえか坊主」
ドカッ! ズバッ!
角の少年「……まだまだ、戦士や女騎士たちには及ばない」
角の少年「だが、俺も全力を尽くす。よろしく頼む」
ドシュッ!
角の少年「……………………」ブゥン…
ズバッ! ザシュッ!
戦士「へぇ。まだ荒削りだが、そんなナリしてよくやるじゃねえか坊主」
ドカッ! ズバッ!
角の少年「……まだまだ、戦士や女騎士たちには及ばない」
角の少年「だが、俺も全力を尽くす。よろしく頼む」
ドシュッ!
18: 2018/03/31(土) 07:43:16.381 ID:pyCU+liR0
騎士団長「負傷した部隊は一時船内に退避しろ! 救護隊と僧侶殿の治癒を終えたらまた戻ってこい! 部隊の再編は騎士隊長に任せる!」
騎士「魔王城、目前! 今、遠見の者が舟の着地点を探しています!」
騎士団長「もとより、安全に着地できるとは考えていない。乱暴なものになることは覚悟しておけ」
騎士「はっ」
騎士「魔王城、目前! 今、遠見の者が舟の着地点を探しています!」
騎士団長「もとより、安全に着地できるとは考えていない。乱暴なものになることは覚悟しておけ」
騎士「はっ」
24: 2018/03/31(土) 08:00:21.542 ID:pyCU+liR0
中級悪魔「敵魔導船、三隻とも重大な被害はなし。進路を見るに、庭園への着地を狙っています」
魔将軍「ここまでやるか、人間どもよ。前回の敗戦から驕りを捨てたつもりではあったが……」
魔将軍「城にいる上級悪魔を集めろ。もはや敵の着地は防げまい」
??「おい」
魔将軍「……!! 貴方は……!」
魔将軍「ここまでやるか、人間どもよ。前回の敗戦から驕りを捨てたつもりではあったが……」
魔将軍「城にいる上級悪魔を集めろ。もはや敵の着地は防げまい」
??「おい」
魔将軍「……!! 貴方は……!」
25: 2018/03/31(土) 08:00:54.706 ID:pyCU+liR0
騎士「着地点、確認しました! これより進行方向を固定します!」
騎士団長「皆、衝撃に備えろ!! 行儀よく着地できるとは思うな! 船体にしがみつけ!」
騎士「……!! 遠見から報告! 着地点に人影が、一つ!」
騎士団長「何……!?」
騎士「あれは……あれは!!」
騎士団長「皆、衝撃に備えろ!! 行儀よく着地できるとは思うな! 船体にしがみつけ!」
騎士「……!! 遠見から報告! 着地点に人影が、一つ!」
騎士団長「何……!?」
騎士「あれは……あれは!!」
26: 2018/03/31(土) 08:03:08.847 ID:pyCU+liR0
カッ!
ズドォォォン!
魔法使い「……ねえ。隣の舟の着地予定点、誰かいないかしら」
戦士「あぁん?」
ズドッ! バキッ!
戦士「居るにしたって、一人ってのはおかしいだろう」
角の少年「……いや、確かに誰かいるぞ。俺はお前たちに比べて目がいいらしい」
戦士「ちっ、たった一人で待ち構えようってのかよ。随分舐めたマネしてくれるじゃねえか」
魔法使い「ねえ、あなたの視力ではどのくらい見えているの? 相手の特徴はわかる?」
角の少年「…………人間……に、見える。一人の男だ。まだ若い。剣を一振り持っている」
魔法使い「人間……? 一人の男で、剣を持っている……!!」
戦士「…………まさか!」
ズドォォォン!
魔法使い「……ねえ。隣の舟の着地予定点、誰かいないかしら」
戦士「あぁん?」
ズドッ! バキッ!
戦士「居るにしたって、一人ってのはおかしいだろう」
角の少年「……いや、確かに誰かいるぞ。俺はお前たちに比べて目がいいらしい」
戦士「ちっ、たった一人で待ち構えようってのかよ。随分舐めたマネしてくれるじゃねえか」
魔法使い「ねえ、あなたの視力ではどのくらい見えているの? 相手の特徴はわかる?」
角の少年「…………人間……に、見える。一人の男だ。まだ若い。剣を一振り持っている」
魔法使い「人間……? 一人の男で、剣を持っている……!!」
戦士「…………まさか!」
28: 2018/03/31(土) 08:06:35.331 ID:pyCU+liR0
バサッ!
女騎士「はぁ、はぁ……どうにか、舟を無事に降ろせそうですね」
女騎士「舟が降りたら、一度僧侶さんの所へ行きましょう」
馬刺し「ヒヒーン」
女騎士「着地点の様子は、誰も……」
女騎士「…………………!!」
女騎士「あれは……!!」
「……………………」
女騎士「勇者さま!!」
女騎士「はぁ、はぁ……どうにか、舟を無事に降ろせそうですね」
女騎士「舟が降りたら、一度僧侶さんの所へ行きましょう」
馬刺し「ヒヒーン」
女騎士「着地点の様子は、誰も……」
女騎士「…………………!!」
女騎士「あれは……!!」
「……………………」
女騎士「勇者さま!!」
29: 2018/03/31(土) 08:28:45.137 ID:pyCU+liR0
戦士「あのやろう、無事だったか!」
魔法使い「ひとりで逃げ出してきたのかしら……でも、これ以上ないくらいの援軍よ!」
角の少年「勇者……? あれが、そうなのか」
角の少年「………………」
戦士「どうしたんだよ」
角の少年「お前たちの話は聞いている。勇者の人となりも、俺なりに理解はしていたつもりだ」
角の少年「だが、あれは本当に勇者なのか」
魔法使い「……どういう意味?」
角の少年「……………………」
角の少年「……俺には、あれが敵に見える」
魔法使い「ひとりで逃げ出してきたのかしら……でも、これ以上ないくらいの援軍よ!」
角の少年「勇者……? あれが、そうなのか」
角の少年「………………」
戦士「どうしたんだよ」
角の少年「お前たちの話は聞いている。勇者の人となりも、俺なりに理解はしていたつもりだ」
角の少年「だが、あれは本当に勇者なのか」
魔法使い「……どういう意味?」
角の少年「……………………」
角の少年「……俺には、あれが敵に見える」
30: 2018/03/31(土) 08:29:44.403 ID:pyCU+liR0
騎士団長「……まずい! 勇者殿のいる位置は隣の舟の着地点だ!」
騎士「……駄目です、伝達しましたが、もう進路は変えられません! ぶつかります!」
魔王「……………………」
騎士「……駄目です、伝達しましたが、もう進路は変えられません! ぶつかります!」
魔王「……………………」
31: 2018/03/31(土) 08:30:35.518 ID:pyCU+liR0
女騎士「……あれは、何ですか」
女騎士「本当に、勇者さま……?」
女騎士「!!」
女騎士「勇者さまの剣に、禍々しい魔力が集まって…………ッ!!」
女騎士「勇者さまっ! 何を!!」
バサッ!
女騎士「本当に、勇者さま……?」
女騎士「!!」
女騎士「勇者さまの剣に、禍々しい魔力が集まって…………ッ!!」
女騎士「勇者さまっ! 何を!!」
バサッ!
32: 2018/03/31(土) 08:33:18.212 ID:pyCU+liR0
魔王「……………………」スッ…
ブワッ!
騎士「え?」
ドパァァァァァァァン!!
ブワッ!
騎士「え?」
ドパァァァァァァァン!!
33: 2018/03/31(土) 08:33:44.606 ID:pyCU+liR0
騎士「………………え?」
騎士団長「……なっ」
騎士「……隣船っ、大破!!」
騎士「勇者様の……勇者様の、攻撃です!!」
騎士団長「……なっ」
騎士「……隣船っ、大破!!」
騎士「勇者様の……勇者様の、攻撃です!!」
34: 2018/03/31(土) 08:36:27.348 ID:pyCU+liR0
魔王「………………」
魔王「……大破、か」
魔王「一度に断ち切るつもりで放ったが」
魔王「……………………」
魔王「……お前か」
バサッ!
女騎士「……何を」
女騎士「何をやっているのですか! 勇者さま!!」
魔王「……大破、か」
魔王「一度に断ち切るつもりで放ったが」
魔王「……………………」
魔王「……お前か」
バサッ!
女騎士「……何を」
女騎士「何をやっているのですか! 勇者さま!!」
36: 2018/03/31(土) 08:57:11.928 ID:pyCU+liR0
騎士「隣船、不時着します!」
騎士団長「くっ……! 状況はわからんが、あれは一旦敵と見なす!!」
騎士団長「こちらも着地だ! 総員、備えろ!!」
騎士団長「くっ……! 状況はわからんが、あれは一旦敵と見なす!!」
騎士団長「こちらも着地だ! 総員、備えろ!!」
37: 2018/03/31(土) 08:58:09.844 ID:pyCU+liR0
ズズゥゥゥゥゥン……!!
パラパラ…
魔王「勇者、か。まさかこの俺がその名で呼ばれる日が来るとはな」
魔王「女騎士……」
女騎士「……………………」
魔王「この俺の魔力を見ても、まだそう呼べるか」
女騎士「……あなたは、まさか……!!」
パラパラ…
魔王「勇者、か。まさかこの俺がその名で呼ばれる日が来るとはな」
魔王「女騎士……」
女騎士「……………………」
魔王「この俺の魔力を見ても、まだそう呼べるか」
女騎士「……あなたは、まさか……!!」
38: 2018/03/31(土) 08:59:15.677 ID:pyCU+liR0
武闘家「女騎士」ザッ
女騎士「! 武闘家さんっ」
武闘家「今撃墜された舟に乗っていた」
武闘家「大破の衝撃と不時着により負傷者もいるが、被害の数はそれほどでもない」
武闘家「お前がいてくれなければ、危なかった」
武闘家「…………勇者、どういうつもりだ」
女騎士「! 武闘家さんっ」
武闘家「今撃墜された舟に乗っていた」
武闘家「大破の衝撃と不時着により負傷者もいるが、被害の数はそれほどでもない」
武闘家「お前がいてくれなければ、危なかった」
武闘家「…………勇者、どういうつもりだ」
39: 2018/03/31(土) 09:00:08.297 ID:pyCU+liR0
女騎士「武闘家さんっ、下がって! このひとは……勇者さまではありませんっ!」
武闘家「……何?」
魔王「………………」
魔王「女騎士、武闘家。……不思議なものだ。かつての宿敵であったはずの貴様らを、どこか懐かしく感じている」
魔王「敵としてではなく、近しい者としてな」
魔王「……これも、弊害か」
武闘家「……何?」
魔王「………………」
魔王「女騎士、武闘家。……不思議なものだ。かつての宿敵であったはずの貴様らを、どこか懐かしく感じている」
魔王「敵としてではなく、近しい者としてな」
魔王「……これも、弊害か」
41: 2018/03/31(土) 09:14:07.174 ID:pyCU+liR0
武闘家「……貴様、その眼の色……!」
女騎士「あれは……勇者さまの身体に取り憑いた……!」
魔王「かつて己を頃した相手とまみえることなど、そうはあるまい」
魔王「この身体、気に喰わん面もある」
魔王「だが、今この時はこの再会を喜ぼう」
魔王「会いたかったぞ……この肉体に染み付いた情からではなく」
魔王「貴様らに滅ぼされた男の魂として……」
魔王「貴様らの、宿敵として……!!」
女騎士「あのひとは、魔王です!!」
女騎士「あれは……勇者さまの身体に取り憑いた……!」
魔王「かつて己を頃した相手とまみえることなど、そうはあるまい」
魔王「この身体、気に喰わん面もある」
魔王「だが、今この時はこの再会を喜ぼう」
魔王「会いたかったぞ……この肉体に染み付いた情からではなく」
魔王「貴様らに滅ぼされた男の魂として……」
魔王「貴様らの、宿敵として……!!」
女騎士「あのひとは、魔王です!!」
43: 2018/03/31(土) 09:39:58.813 ID:pyCU+liR0
ズズゥゥゥゥゥン……
コツ、コツ……
魔王の娘「この派手な音……父上か」
魔王の娘「相変わらず激しいおひとよ」
魔王の娘「せっかくの城を壊さないでほしいものだが……いや、戦士としての父上にそのようなことを言うのも無粋よな」
コツ、コツ……
魔王の娘「……これが、勇者の」
幼馴染「……………………」
コツ、コツ……
魔王の娘「この派手な音……父上か」
魔王の娘「相変わらず激しいおひとよ」
魔王の娘「せっかくの城を壊さないでほしいものだが……いや、戦士としての父上にそのようなことを言うのも無粋よな」
コツ、コツ……
魔王の娘「……これが、勇者の」
幼馴染「……………………」
44: 2018/03/31(土) 09:41:10.233 ID:pyCU+liR0
魔王の娘「肉体の……勇者の残滓の影響とは言え、今の父上の情けを……」
魔王の娘「……いや、認めるか。今この時、最も父上の寵愛を受けている者よ」
魔王の娘「…………………」
キィィィィィィィン……!
幼馴染「……ぅ…………あぅ…………!!」
魔王の娘「……………………」
魔王の娘「……いや、認めるか。今この時、最も父上の寵愛を受けている者よ」
魔王の娘「…………………」
キィィィィィィィン……!
幼馴染「……ぅ…………あぅ…………!!」
魔王の娘「……………………」
45: 2018/03/31(土) 09:43:39.166 ID:pyCU+liR0
看守悪魔「い、いけません、姫!!」
看守悪魔「魔王様より、絶対に手出してはならぬと厳命されております! このままでは……!」
魔王の娘「………………………」
魔王の娘「……わかっておる。なに、今のはほんの戯れよ」
フッ…
幼馴染「……………………」
魔王の娘「いくら勇者の残滓といえど、時とともにいずれ消え失せよう」
魔王の娘「なに、良き女とは待つものだ」
魔王の娘「娘。その時こそ、妾の手で葬ってやるとしよう」
看守悪魔「魔王様より、絶対に手出してはならぬと厳命されております! このままでは……!」
魔王の娘「………………………」
魔王の娘「……わかっておる。なに、今のはほんの戯れよ」
フッ…
幼馴染「……………………」
魔王の娘「いくら勇者の残滓といえど、時とともにいずれ消え失せよう」
魔王の娘「なに、良き女とは待つものだ」
魔王の娘「娘。その時こそ、妾の手で葬ってやるとしよう」
50: 2018/03/31(土) 10:12:52.153 ID:pyCU+liR0
ギィン! ガキィン!
女騎士「はぁ、はぁ……!」
武闘家「くっ!」
魔王「……かつてまみえた時よりも力は上がっているようだが……技に冴えが無いぞ」
ギィン!
魔王「まさかこの身体に気を遣っているつもりか?」
魔王「そんな気概でこの俺を止めようなどと考えているのなら、心外だ」
ガァン!
魔王「あまりがっかりさせてくれるな。来るのなら、氏に物狂いで来い」
女騎士「くっ……!」
女騎士「はぁ、はぁ……!」
武闘家「くっ!」
魔王「……かつてまみえた時よりも力は上がっているようだが……技に冴えが無いぞ」
ギィン!
魔王「まさかこの身体に気を遣っているつもりか?」
魔王「そんな気概でこの俺を止めようなどと考えているのなら、心外だ」
ガァン!
魔王「あまりがっかりさせてくれるな。来るのなら、氏に物狂いで来い」
女騎士「くっ……!」
51: 2018/03/31(土) 10:13:15.727 ID:pyCU+liR0
……カッ!
魔王「……む?」
ズドォォォン!
魔王「………………」
パラパラ…
魔法使い「無傷、ね。……剣の一振りでほとんど相殺された。少しは加減したとは言え、ショックだわ」
魔王「………………」
魔王「……む?」
ズドォォォン!
魔王「………………」
パラパラ…
魔法使い「無傷、ね。……剣の一振りでほとんど相殺された。少しは加減したとは言え、ショックだわ」
魔王「………………」
52: 2018/03/31(土) 10:15:55.034 ID:pyCU+liR0
女騎士「魔法使いさん! その人はっ!」
魔法使い「大体把握しているわ。さっきの舟の撃墜……あんなに真っ黒な魔力は勇者には出せない」
魔法使い「聖槍で減衰されたって言うのにあれほどの威力を出せる輩も、武闘家とあなたとでこんなに苦戦するだなんて輩も、限られてるもの……!」
戦士「魔王!! てめえ!!」
角の少年「………………」
魔王「……来たか」
魔王「一人見慣れない者もいるが……かつてこの俺を滅ぼした者たちよ。よくここまで来た」
魔王「先も言ったが、この身体だからと手を抜いてくれる必要は無い。もとより、負けるつもりもない。存分にかかって来い、英雄達よ」
魔法使い「大体把握しているわ。さっきの舟の撃墜……あんなに真っ黒な魔力は勇者には出せない」
魔法使い「聖槍で減衰されたって言うのにあれほどの威力を出せる輩も、武闘家とあなたとでこんなに苦戦するだなんて輩も、限られてるもの……!」
戦士「魔王!! てめえ!!」
角の少年「………………」
魔王「……来たか」
魔王「一人見慣れない者もいるが……かつてこの俺を滅ぼした者たちよ。よくここまで来た」
魔王「先も言ったが、この身体だからと手を抜いてくれる必要は無い。もとより、負けるつもりもない。存分にかかって来い、英雄達よ」
53: 2018/03/31(土) 10:20:31.158 ID:pyCU+liR0
僧侶「女騎士さん!」
女騎士「はぁ、はぁ……! 僧侶さん」
僧侶「聖槍の消耗もあります! 一旦後ろに下がってください」
女騎士「ですが!」
僧侶「すぐに回復させます! ここにあなたの力が必要なことなんて、わかっています!」
女騎士「…………!」
僧侶「だからこそ、今は堪えて、下がってください!」
女騎士「……………お願いします」
女騎士「はぁ、はぁ……! 僧侶さん」
僧侶「聖槍の消耗もあります! 一旦後ろに下がってください」
女騎士「ですが!」
僧侶「すぐに回復させます! ここにあなたの力が必要なことなんて、わかっています!」
女騎士「…………!」
僧侶「だからこそ、今は堪えて、下がってください!」
女騎士「……………お願いします」
54: 2018/03/31(土) 10:33:15.919 ID:pyCU+liR0
ガァン! ギィン!
ズガッ! ガキィン!
女騎士「………………このままでは……」
女騎士(……どうすれば、魔王を止められるのでしょう……)
女騎士(みんな、頭ではわかっているんです……あれが、すでに勇者さまではないことを……)
女騎士(たとえ魔王を打ち倒したとしても……勇者さまが帰ってこないかもしれないことも……!)
女騎士(どうすれば……!)
……ドクンッ
ズガッ! ガキィン!
女騎士「………………このままでは……」
女騎士(……どうすれば、魔王を止められるのでしょう……)
女騎士(みんな、頭ではわかっているんです……あれが、すでに勇者さまではないことを……)
女騎士(たとえ魔王を打ち倒したとしても……勇者さまが帰ってこないかもしれないことも……!)
女騎士(どうすれば……!)
……ドクンッ
56: 2018/03/31(土) 10:34:37.855 ID:pyCU+liR0
女騎士「ッ!」
女騎士「これは……聖槍が……!?」
女騎士「…………見えます………………」
女騎士「……盗賊さんを救ったときと、同じ景色……聖槍の、力……」
女騎士「…………いま、勇者さまの身体の中には、魔王の魂が……」
女騎士「そして、もう小さいけれど……。暖かい……」
女騎士「消えかけているけど、光を持つ……あの魂は……!!」
女騎士「これは……聖槍が……!?」
女騎士「…………見えます………………」
女騎士「……盗賊さんを救ったときと、同じ景色……聖槍の、力……」
女騎士「…………いま、勇者さまの身体の中には、魔王の魂が……」
女騎士「そして、もう小さいけれど……。暖かい……」
女騎士「消えかけているけど、光を持つ……あの魂は……!!」
57: 2018/03/31(土) 10:39:14.416 ID:pyCU+liR0
焼き鳥「キィーーーーーー!」 バサッ
カッ!
馬刺し「ヒヒーン!」
僧侶「女騎士さんっ!? まだ治癒が……!」
女騎士「すみません僧侶さん! 試したいことがあるのです!」
バサッ!
カッ!
馬刺し「ヒヒーン!」
僧侶「女騎士さんっ!? まだ治癒が……!」
女騎士「すみません僧侶さん! 試したいことがあるのです!」
バサッ!
60: 2018/03/31(土) 11:04:44.431 ID:pyCU+liR0
ギィン!
魔王「……やるようになったな。ようやく腹を括ったか」
戦士「ああ決めたぜ! 元からてめえ相手に殺さないよう手加減なんざ無理な話だったんだ! 手足引き裂いてボロカスにしてでも連れ帰ってやるから、あとで僧侶にくっつけてもらえ!」
ガキィン!
魔王「…………ッ!」
角の少年「………………」スッ
ガシッ!
魔王「……やるようになったな。ようやく腹を括ったか」
戦士「ああ決めたぜ! 元からてめえ相手に殺さないよう手加減なんざ無理な話だったんだ! 手足引き裂いてボロカスにしてでも連れ帰ってやるから、あとで僧侶にくっつけてもらえ!」
ガキィン!
魔王「…………ッ!」
角の少年「………………」スッ
ガシッ!
61: 2018/03/31(土) 11:05:19.151 ID:pyCU+liR0
魔王「小僧……後ろからしがみついた程度で、俺を頃すに至ると思うか」
角の少年「思わないな。だから、こうする」
ギチッ!
魔王「貴様……手足を……。成る程な、見覚えがあるぞ。あの計画は俺の生前から動いていた」
魔王「だが、所詮は中身のない木偶人形にこの俺を止め切れると思うな」
バキバキ…!
角の少年「ッ! …………!!」
角の少年「思わないな。だから、こうする」
ギチッ!
魔王「貴様……手足を……。成る程な、見覚えがあるぞ。あの計画は俺の生前から動いていた」
魔王「だが、所詮は中身のない木偶人形にこの俺を止め切れると思うな」
バキバキ…!
角の少年「ッ! …………!!」
62: 2018/03/31(土) 11:06:34.896 ID:pyCU+liR0
角の少年「……………………」
角の少年「……いいんだ、これで、十分なんだ」
角の少年「……………………女騎士」
バサッ!
女騎士「やぁーーーー!!」
ドシュッ!
魔王「ッ!」
魔王「……クッ、この程度、どうということは…………」
魔王「……………………ッ!?」
角の少年「……いいんだ、これで、十分なんだ」
角の少年「……………………女騎士」
バサッ!
女騎士「やぁーーーー!!」
ドシュッ!
魔王「ッ!」
魔王「……クッ、この程度、どうということは…………」
魔王「……………………ッ!?」
63: 2018/03/31(土) 11:08:50.414 ID:pyCU+liR0
魔王「これは……ッ! 俺の、魂が……ッ!!」
女騎士(見える……聖槍が、魔王の魂を貫いて、浄化している……!)
女騎士「このまま…………!!」
コォォォォォ…!!
魔王「ぐ…………ああああああああ……!!」
女騎士「倒れてっ!!」
魔将軍「そこまでだ」
女騎士(見える……聖槍が、魔王の魂を貫いて、浄化している……!)
女騎士「このまま…………!!」
コォォォォォ…!!
魔王「ぐ…………ああああああああ……!!」
女騎士「倒れてっ!!」
魔将軍「そこまでだ」
64: 2018/03/31(土) 11:10:08.329 ID:pyCU+liR0
ズガッ!
女騎士「あっ!」
ズサァ…!
魔将軍「魔王様、ご無事で」
魔王「……将軍、貴様……」
バッ
魔将軍「彼奴らとは一人でやらせろ、という魔王様のご指示、承知の上です」
魔将軍「これでも一個の武人……貴方の覚悟を踏みにじったその重みは弁えております」
魔将軍「この首、刎ねられると言うのならどうぞ刎ねられよ。貴方の命に比べれば安い物だ」
魔王「……………………」
女騎士「あっ!」
ズサァ…!
魔将軍「魔王様、ご無事で」
魔王「……将軍、貴様……」
バッ
魔将軍「彼奴らとは一人でやらせろ、という魔王様のご指示、承知の上です」
魔将軍「これでも一個の武人……貴方の覚悟を踏みにじったその重みは弁えております」
魔将軍「この首、刎ねられると言うのならどうぞ刎ねられよ。貴方の命に比べれば安い物だ」
魔王「……………………」
65: 2018/03/31(土) 11:13:53.346 ID:pyCU+liR0
魔王「……………………」
魔王「……良い。俺も、少し熱くなりすぎた。王として、今ここで倒れる訳にはいかんな」
魔王「……今の一撃で、大分消耗した。俺は一度戻る
魔王「後は任せるぞ、将軍」
魔将軍「…………はっ!」
魔王「……良い。俺も、少し熱くなりすぎた。王として、今ここで倒れる訳にはいかんな」
魔王「……今の一撃で、大分消耗した。俺は一度戻る
魔王「後は任せるぞ、将軍」
魔将軍「…………はっ!」
71: 2018/03/31(土) 12:23:50.483 ID:pyCU+liR0
戦士「邪魔、すんじゃねえ!!」
ガギン!
魔将軍「ふん。……一度は取られた我らが王の命。二度も取り零すまい」
魔将軍「そうやすやすと、取られてたまるか!!!」
ギィン!!
ガギン!
魔将軍「ふん。……一度は取られた我らが王の命。二度も取り零すまい」
魔将軍「そうやすやすと、取られてたまるか!!!」
ギィン!!
72: 2018/03/31(土) 12:24:22.062 ID:pyCU+liR0
女騎士「はぁ、はぁ……! うぐっ……」
僧侶「女騎士さんっ!」
女騎士「はぁ、はぁ……ごめんなさい、取り逃がしました……!」
僧侶「そんなことより、早く治癒を……!」
武闘家「僧侶!」
女騎士「武闘家さん……ッ! その子は……」
角の少年「………………」
女騎士「う、腕が……! 僧侶さんっ!」
僧侶「女騎士さんっ!」
女騎士「はぁ、はぁ……ごめんなさい、取り逃がしました……!」
僧侶「そんなことより、早く治癒を……!」
武闘家「僧侶!」
女騎士「武闘家さん……ッ! その子は……」
角の少年「………………」
女騎士「う、腕が……! 僧侶さんっ!」
73: 2018/03/31(土) 12:26:07.535 ID:pyCU+liR0
僧侶「……わかりました。治癒します。でも、あなたが先です」
女騎士「そんなっ……! でもっ!」
僧侶「先ほどの魔王への一撃は見ました。あなたの考えも理解したつもりです。ならば、あの魔王を討てるのはあなたしかいないはずです」
女騎士「………………!!」
僧侶「この子の傷も重症ですが、幸いまだ命に関わるものではありません。あなたを治してからでも間に合います」
僧侶「この子の身を賭した覚悟に応えるために、あなたが今優先するべきことは何ですか?」
女騎士「…………ッ! ………………!!」
女騎士「……わかりました。よろしくお願いします、僧侶さん」
僧侶「…………えぇ。任せてください」
女騎士「そんなっ……! でもっ!」
僧侶「先ほどの魔王への一撃は見ました。あなたの考えも理解したつもりです。ならば、あの魔王を討てるのはあなたしかいないはずです」
女騎士「………………!!」
僧侶「この子の傷も重症ですが、幸いまだ命に関わるものではありません。あなたを治してからでも間に合います」
僧侶「この子の身を賭した覚悟に応えるために、あなたが今優先するべきことは何ですか?」
女騎士「…………ッ! ………………!!」
女騎士「……わかりました。よろしくお願いします、僧侶さん」
僧侶「…………えぇ。任せてください」
74: 2018/03/31(土) 12:39:38.203 ID:pyCU+liR0
騎士団長「先の戦いを見たか!! 我らも続く! 遅れを取るなぁっ!!」
ウオオオオオオオオ!!
魔将軍「我らの城に土足で上り込んだ人間どもを許すな! ここを氏地と捉えよ! 殲滅だ!!」
ガアアアアアアアア!!
ウオオオオオオオオ!!
魔将軍「我らの城に土足で上り込んだ人間どもを許すな! ここを氏地と捉えよ! 殲滅だ!!」
ガアアアアアアアア!!
75: 2018/03/31(土) 12:40:44.294 ID:pyCU+liR0
魔王「………………くっ」
呪術師「魔王様!」
魔王「……女騎士のあの聖槍……厄介だな。威力については報告にあったが、まさか魂に直接干渉してくるとは」
呪術師「魂に……!」
呪術師(まずい……いくら魔王様の魂が強靭とは言え、まだ器に定着して間もない……このままあの槍と戦い続ければ……!)
魔王「少し休む……戦のことは魔将軍に任せてある。貴様は貴様の為すべきことを為せ」
呪術師「……はっ!」
呪術師「魔王様!」
魔王「……女騎士のあの聖槍……厄介だな。威力については報告にあったが、まさか魂に直接干渉してくるとは」
呪術師「魂に……!」
呪術師(まずい……いくら魔王様の魂が強靭とは言え、まだ器に定着して間もない……このままあの槍と戦い続ければ……!)
魔王「少し休む……戦のことは魔将軍に任せてある。貴様は貴様の為すべきことを為せ」
呪術師「……はっ!」
76: 2018/03/31(土) 12:44:47.397 ID:pyCU+liR0
魔王の娘「父上!」
魔王「……娘か」
魔王の娘「その傷……聖槍の力か……」
魔王の娘「おのれ、小娘め……!」
魔王「貴様は下がっていろ」
魔王の娘「……また、ですか」
魔王の娘「また父上は、一人で逝こうと言うのか……妾を置いて!!」
魔王「………………娘」
魔王の娘「……少し、取り乱しました」
魔王の娘「……部屋に、戻っています。父上も早く休まれよ」
魔王「……………………」
魔王「……娘か」
魔王の娘「その傷……聖槍の力か……」
魔王の娘「おのれ、小娘め……!」
魔王「貴様は下がっていろ」
魔王の娘「……また、ですか」
魔王の娘「また父上は、一人で逝こうと言うのか……妾を置いて!!」
魔王「………………娘」
魔王の娘「……少し、取り乱しました」
魔王の娘「……部屋に、戻っています。父上も早く休まれよ」
魔王「……………………」
77: 2018/03/31(土) 12:51:21.973 ID:pyCU+liR0
僧侶「…………これで、治癒は完了です。疲労は残っていると思いますが、これでまた戦えるはず」
女騎士「ありがとうございます……馬刺し、焼き鳥っ」
馬刺し「ヒヒーン」
焼き鳥「キィ、キィ」
女騎士「……城の中で、騎乗は適しません。お前たちは魔導船の中で待っていてください」
馬刺し「ブルルッ」
焼き鳥「キィ…」
女騎士「大丈夫。必ず戻ってきます。そのとき、きっとまたお前たちの力が必要になるのです。今はゆっくり休んで、待っていてください」
女騎士「ありがとうございます……馬刺し、焼き鳥っ」
馬刺し「ヒヒーン」
焼き鳥「キィ、キィ」
女騎士「……城の中で、騎乗は適しません。お前たちは魔導船の中で待っていてください」
馬刺し「ブルルッ」
焼き鳥「キィ…」
女騎士「大丈夫。必ず戻ってきます。そのとき、きっとまたお前たちの力が必要になるのです。今はゆっくり休んで、待っていてください」
78: 2018/03/31(土) 12:52:26.565 ID:pyCU+liR0
女騎士「僧侶さん。……その子を、お願いしますね」
僧侶「えぇ。……それでは、女騎士さん」
武闘家「女騎士。戦士と魔法使いはこの乱戦に必要だが……せめて俺だけでも同行しよう。城へ、行くぞ」
女騎士「はい、行きましょうっ!」
僧侶「えぇ。……それでは、女騎士さん」
武闘家「女騎士。戦士と魔法使いはこの乱戦に必要だが……せめて俺だけでも同行しよう。城へ、行くぞ」
女騎士「はい、行きましょうっ!」
80: 2018/03/31(土) 13:16:55.647 ID:pyCU+liR0
魔物の群れ「ギィィィィィ!!」
ズバッ! ドシュッ!
ドガッ! ズガッ!
女騎士「はぁ、はぁ。やはり、城の中にも魔物はたくさんいますね」
武闘家「だが、幹部級は今庭園に出ているのが殆どのようだ。急襲作戦が成功したな。おそらく、地上の幹部を呼び戻す時間は無かったのだろう。揃えられていればこうも行くまい」
タタタッ…
ズバッ! ドシュッ!
ドガッ! ズガッ!
女騎士「はぁ、はぁ。やはり、城の中にも魔物はたくさんいますね」
武闘家「だが、幹部級は今庭園に出ているのが殆どのようだ。急襲作戦が成功したな。おそらく、地上の幹部を呼び戻す時間は無かったのだろう。揃えられていればこうも行くまい」
タタタッ…
81: 2018/03/31(土) 13:17:23.139 ID:pyCU+liR0
バァン!
女騎士「……広間……」
武闘家「大分進んだように思う。魔王の部屋を探そう」
女騎士「はい……」
武闘家「……………………むっ!」
武闘家「女騎士!!」
女騎士「……え?」
バキィッ!
女騎士「……広間……」
武闘家「大分進んだように思う。魔王の部屋を探そう」
女騎士「はい……」
武闘家「……………………むっ!」
武闘家「女騎士!!」
女騎士「……え?」
バキィッ!
82: 2018/03/31(土) 13:18:33.327 ID:pyCU+liR0
狼男「……へっ、やるじゃねえか。そこの女騎士はぼやっとしてっから簡単に仕留められると思ったんだがな」
狼男「相当、気配を読むのがお上手なようだ」
武闘家「………………」
女騎士「武闘家さんっ!」
武闘家「狼男。幹部級か」
狼男「おーおー、よりによって他の幹部連中が出払ってる時にやって来やがって。おかげで面倒なことになっちまったよ」
武闘家「………………」
狼男「相当、気配を読むのがお上手なようだ」
武闘家「………………」
女騎士「武闘家さんっ!」
武闘家「狼男。幹部級か」
狼男「おーおー、よりによって他の幹部連中が出払ってる時にやって来やがって。おかげで面倒なことになっちまったよ」
武闘家「………………」
83: 2018/03/31(土) 13:19:19.933 ID:pyCU+liR0
武闘家「女騎士、お前は先に行け」
女騎士「なっ……わたしも一緒に戦います!」
武闘家「駄目だ。こいつはまともに正面から戦う柄の男ではないだろう。おそらく徹底的に時間を稼ぐつもりだ」
武闘家「お前が魔王に与えたダメージは小さくないはずだ。特に、魂に与えたダメージ。回復される前に討つに越したことはない」
女騎士「……ッ」
武闘家「頼んだぞ。お前にしかできんことだ」
女騎士「……ご武運を」
女騎士「なっ……わたしも一緒に戦います!」
武闘家「駄目だ。こいつはまともに正面から戦う柄の男ではないだろう。おそらく徹底的に時間を稼ぐつもりだ」
武闘家「お前が魔王に与えたダメージは小さくないはずだ。特に、魂に与えたダメージ。回復される前に討つに越したことはない」
女騎士「……ッ」
武闘家「頼んだぞ。お前にしかできんことだ」
女騎士「……ご武運を」
84: 2018/03/31(土) 13:22:05.488 ID:pyCU+liR0
狼男「そう簡単に、行かせるわけねえだろっ!」
ビュッ
バキッ!
武闘家「そう簡単に、止められると思うなよ」
狼男「……チッ」
タタタッ…
ビュッ
バキッ!
武闘家「そう簡単に、止められると思うなよ」
狼男「……チッ」
タタタッ…
86: 2018/03/31(土) 13:43:25.764 ID:pyCU+liR0
ビュッ
ガッ! ドガッ!
シャッ
ズガッ! バキィ!
狼男「ったく、人間にしちゃあ速え奴だな」ズサァ!
武闘家「脚力にはそれなりに自信がある」
狼男「……オーケー、わかった。場所を変えようぜ。俺たちにとってこの部屋は少し狭すぎる」
バッ
ガシャァァァン!
武闘家「どこへ行くつもりだ」
狼男「なに、少し外にな。お前もこのくらいの高さ、跳べるだろ」
武闘家「……安い挑発だ」
バッ
ガッ! ドガッ!
シャッ
ズガッ! バキィ!
狼男「ったく、人間にしちゃあ速え奴だな」ズサァ!
武闘家「脚力にはそれなりに自信がある」
狼男「……オーケー、わかった。場所を変えようぜ。俺たちにとってこの部屋は少し狭すぎる」
バッ
ガシャァァァン!
武闘家「どこへ行くつもりだ」
狼男「なに、少し外にな。お前もこのくらいの高さ、跳べるだろ」
武闘家「……安い挑発だ」
バッ
87: 2018/03/31(土) 13:43:56.130 ID:pyCU+liR0
スタッ
狼男「……見てみろよ、もう夜だぜ。良い満月だ。こんな時間になったんだ。もう帰るって気はねえか?」
武闘家「愚問だな。無駄口に付き合う気はないぞ」
狼男「……そうかい」
狼男「……見てみろよ、もう夜だぜ。良い満月だ。こんな時間になったんだ。もう帰るって気はねえか?」
武闘家「愚問だな。無駄口に付き合う気はないぞ」
狼男「……そうかい」
88: 2018/03/31(土) 13:44:22.379 ID:pyCU+liR0
狼男「……お前、さっき俺のことを馬鹿にしたな」
武闘家「………………」
狼男「正面から戦わないだの、時間稼ぎだの、まるで俺がお前らに敵わねえみてえじゃねえか」
武闘家「否定はしない。お前はここで倒されるだろう」
狼男「ハッ、言ってくれやがる」
狼男「だがよ、見ろ。……満月だ。」
狼男「俺は狼男。この意味、わかるか?」
武闘家「……………………」
武闘家「………………」
狼男「正面から戦わないだの、時間稼ぎだの、まるで俺がお前らに敵わねえみてえじゃねえか」
武闘家「否定はしない。お前はここで倒されるだろう」
狼男「ハッ、言ってくれやがる」
狼男「だがよ、見ろ。……満月だ。」
狼男「俺は狼男。この意味、わかるか?」
武闘家「……………………」
89: 2018/03/31(土) 13:45:27.040 ID:pyCU+liR0
狼男「まあ、確かに俺ァ真正面か
ら馬鹿正直に、ってクチじゃねえ」
狼男「実際、勇者を倒した時もそんな感じだったしな」
武闘家「! 貴様が、勇者を……」
狼男「何だったかな……そうそう、騎士団長だったか。王様がおっ氏んじまったって聞いただけで馬鹿みたいに怒り狂いやがって。呪術師の野郎の術に簡単に引っかかりやがった」
武闘家「………………」
狼男「勇者の野郎も、ありゃ傑作だ。味方に剣突きつけられてビビっちまってよ。ロクに手出ししねえでやんの」
狼男「ついでに転がってた雑魚痛ぶってやればコロッと乗せられやがって、後はチョチョイのチョイよ」
狼男「お前ら人間どもの悪い癖だ。まあ、楽に倒せるってんならそれに越したことはねえよなあ?」ケラケラ
ら馬鹿正直に、ってクチじゃねえ」
狼男「実際、勇者を倒した時もそんな感じだったしな」
武闘家「! 貴様が、勇者を……」
狼男「何だったかな……そうそう、騎士団長だったか。王様がおっ氏んじまったって聞いただけで馬鹿みたいに怒り狂いやがって。呪術師の野郎の術に簡単に引っかかりやがった」
武闘家「………………」
狼男「勇者の野郎も、ありゃ傑作だ。味方に剣突きつけられてビビっちまってよ。ロクに手出ししねえでやんの」
狼男「ついでに転がってた雑魚痛ぶってやればコロッと乗せられやがって、後はチョチョイのチョイよ」
狼男「お前ら人間どもの悪い癖だ。まあ、楽に倒せるってんならそれに越したことはねえよなあ?」ケラケラ
90: 2018/03/31(土) 13:46:05.758 ID:pyCU+liR0
狼男「まあ、だが今は……」
バキバキバキバキ、メキメキメキメキ…!!
狼男「ンな小細工しなくっても、捻り潰してやるだけの力はあるぜ。満月の狼男、舐めるなよ」
武闘家「……随分と安く滑る口だ」
狼男「アァン? なに、怒った? 冷静さを失ってくれるんならそれならそれで歓迎だぜ、俺ァ」
武闘家「気にするな。この程度で平静を欠くほど、ヤワな鍛錬はしていない」
武闘家「ただ……」
武闘家「久々に、滾って来たのは確かだ」
バキバキバキバキ、メキメキメキメキ…!!
狼男「ンな小細工しなくっても、捻り潰してやるだけの力はあるぜ。満月の狼男、舐めるなよ」
武闘家「……随分と安く滑る口だ」
狼男「アァン? なに、怒った? 冷静さを失ってくれるんならそれならそれで歓迎だぜ、俺ァ」
武闘家「気にするな。この程度で平静を欠くほど、ヤワな鍛錬はしていない」
武闘家「ただ……」
武闘家「久々に、滾って来たのは確かだ」
91: 2018/03/31(土) 13:49:24.178 ID:pyCU+liR0
タタタッ…
女騎士「はぁ、はぁ……!」
魔物の群れ「ギィィィィィ!!」
女騎士「……どいて、くださいっ!」
ズバッ! ドシュッ!
女騎士「はぁ、はぁ……また階段……」
女騎士「随分上まで来たように思います……」
女騎士「もうすぐ……! 待っていてください、勇者さま……!」
女騎士「はぁ、はぁ……!」
魔物の群れ「ギィィィィィ!!」
女騎士「……どいて、くださいっ!」
ズバッ! ドシュッ!
女騎士「はぁ、はぁ……また階段……」
女騎士「随分上まで来たように思います……」
女騎士「もうすぐ……! 待っていてください、勇者さま……!」
93: 2018/03/31(土) 14:08:47.126 ID:pyCU+liR0
角の少年「…………う……」
僧侶「!」
僧侶「気がつきましたね」
角の少年「俺は……女騎士は、魔王はどうなった」
僧侶「あなたの決氏の足止めのおかげで、魔王に手傷を負わせることに成功しました」
僧侶「今は魔王は城の中に戻ってしまいましたが、女騎士さんと武闘家さんが追っています」
角の少年「そうか。俺は、役に立てただろうか」
僧侶「はい。とても。腕の治癒は粗方終わりましたが、まだ動けるような状態ではありません。休んでいてください」
角の少年「………………」
僧侶「私は、他の負傷者の所へ行ってきます。……動いてはいけませんよ?」
角の少年「………………」
角の少年(女騎士……まだ、戦っているのか)
角の少年(…………俺は)
フラッ…
僧侶「!」
僧侶「気がつきましたね」
角の少年「俺は……女騎士は、魔王はどうなった」
僧侶「あなたの決氏の足止めのおかげで、魔王に手傷を負わせることに成功しました」
僧侶「今は魔王は城の中に戻ってしまいましたが、女騎士さんと武闘家さんが追っています」
角の少年「そうか。俺は、役に立てただろうか」
僧侶「はい。とても。腕の治癒は粗方終わりましたが、まだ動けるような状態ではありません。休んでいてください」
角の少年「………………」
僧侶「私は、他の負傷者の所へ行ってきます。……動いてはいけませんよ?」
角の少年「………………」
角の少年(女騎士……まだ、戦っているのか)
角の少年(…………俺は)
フラッ…
96: 2018/03/31(土) 15:05:09.531 ID:pyCU+liR0
タタタッ… バァン!
女騎士「はぁ、はぁ……! ここも違う……」
タタタッ…
女騎士「……ここの、扉……」
バン!
女騎士「……………………」
女騎士「……この部屋は……」
女騎士「他の部屋と、雰囲気が違う……なんだか、とてもおぞましい様な……」
呪術師「ついにこんな所まで入り込んで来たか、女騎士よ」
女騎士「はぁ、はぁ……! ここも違う……」
タタタッ…
女騎士「……ここの、扉……」
バン!
女騎士「……………………」
女騎士「……この部屋は……」
女騎士「他の部屋と、雰囲気が違う……なんだか、とてもおぞましい様な……」
呪術師「ついにこんな所まで入り込んで来たか、女騎士よ」
97: 2018/03/31(土) 15:07:36.841 ID:pyCU+liR0
女騎士「……呪術師」
呪術師「侮るまい侮るまいとは考えてはいたが、そう考えていた時点で既に侮りがあったようだな」
呪術師「魔王様を蘇らせた時点で、私も少し気を抜いてしまっていた……」
呪術師「まさか、貴様がここまでの脅威となるとは思わなんだ」
女騎士「………………」
呪術師「その聖槍……少し眩しすぎる。貴様をこれ以上、魔王様と合わせるわけには行かない。ここで、すべてを終わらせてもらうぞ……!!」
呪術師「侮るまい侮るまいとは考えてはいたが、そう考えていた時点で既に侮りがあったようだな」
呪術師「魔王様を蘇らせた時点で、私も少し気を抜いてしまっていた……」
呪術師「まさか、貴様がここまでの脅威となるとは思わなんだ」
女騎士「………………」
呪術師「その聖槍……少し眩しすぎる。貴様をこれ以上、魔王様と合わせるわけには行かない。ここで、すべてを終わらせてもらうぞ……!!」
98: 2018/03/31(土) 15:09:13.789 ID:pyCU+liR0
キィィィィィィィン…!
女騎士「……ッ!? これは……!?」
呪術師「生半可な呪術では貴様とその聖槍に通用せんことはわかっている」
呪術師「この部屋は、少し特別でな」
呪術師「……今この瞬間、この時の呪術のためだけに、すべてを整えた」
呪術師「並の準備ではない。対象は若い女。人間。鎧持ち。槍使い。騎手。王都の血……すべて、お前のためだけに用意した術式だ」
呪術師「ここまで揃えれば聖槍の加護など貫くに容易いだろう」
女騎士「くぅ……ッ!!」
パリパリッ…!
女騎士「……ッ!? これは……!?」
呪術師「生半可な呪術では貴様とその聖槍に通用せんことはわかっている」
呪術師「この部屋は、少し特別でな」
呪術師「……今この瞬間、この時の呪術のためだけに、すべてを整えた」
呪術師「並の準備ではない。対象は若い女。人間。鎧持ち。槍使い。騎手。王都の血……すべて、お前のためだけに用意した術式だ」
呪術師「ここまで揃えれば聖槍の加護など貫くに容易いだろう」
女騎士「くぅ……ッ!!」
パリパリッ…!
99: 2018/03/31(土) 15:10:26.103 ID:pyCU+liR0
コツ、コツ……
呪術師「思えば、お前には随分と手こずらされて来た。王都東の村での魂集めから始まり、オークからの防衛、吸血鬼、海魔、蟲男、竜人。そして先の王都戦での活躍。……魔王様に負わせた手傷」
呪術師「お前のすべてを聞き及び、調べ上げた。今や私の中で、お前の脅威はかつての勇者よりも高いと考えている」
女騎士「う…………ぐぅ…………!!」
パリパリッ…!
呪術師「思えば、お前には随分と手こずらされて来た。王都東の村での魂集めから始まり、オークからの防衛、吸血鬼、海魔、蟲男、竜人。そして先の王都戦での活躍。……魔王様に負わせた手傷」
呪術師「お前のすべてを聞き及び、調べ上げた。今や私の中で、お前の脅威はかつての勇者よりも高いと考えている」
女騎士「う…………ぐぅ…………!!」
パリパリッ…!
100: 2018/03/31(土) 15:10:52.368 ID:pyCU+liR0
コツ、コツ……
呪術師「だが、それも、ここまでだ……」
呪術師「ここで、終わりにしてやる……私の手で!!!」
女騎士「ッ!!!」
ドッ……
呪術師「だが、それも、ここまでだ……」
呪術師「ここで、終わりにしてやる……私の手で!!!」
女騎士「ッ!!!」
ドッ……
101: 2018/03/31(土) 15:13:47.013 ID:pyCU+liR0
ポタ、ポタ……
呪術師「………………」
呪術師「……………………」
呪術師「……貴、様…………!!」
角の少年「はぁ、はぁ……!!」ブゥン…
女騎士「あなたは……!!」
呪術師「………………」
呪術師「……………………」
呪術師「……貴、様…………!!」
角の少年「はぁ、はぁ……!!」ブゥン…
女騎士「あなたは……!!」
102: 2018/03/31(土) 15:14:22.703 ID:pyCU+liR0
呪術師「不完全な……欠陥品がッ!!」
呪術師「離れろッ!!」
ドカッ!
ズサァ!
角の少年「ぐぁ…………」
ドシャッ
女騎士「!!」
女騎士「まだ傷口が塞がっていないじゃないですか!!」
女騎士「早く、戻ってください!!」
呪術師「離れろッ!!」
ドカッ!
ズサァ!
角の少年「ぐぁ…………」
ドシャッ
女騎士「!!」
女騎士「まだ傷口が塞がっていないじゃないですか!!」
女騎士「早く、戻ってください!!」
103: 2018/03/31(土) 15:16:51.897 ID:pyCU+liR0
角の少年「はぁ、はぁ……! それは、できない」
角の少年「お前はまだ、戦っているじゃないか」
角の少年「お前の方こそ、動けないんだろう」
角の少年「こいつは俺が倒す。そこで、黙って見ていてくれ」
女騎士「………………ッ!!」
角の少年「お前はまだ、戦っているじゃないか」
角の少年「お前の方こそ、動けないんだろう」
角の少年「こいつは俺が倒す。そこで、黙って見ていてくれ」
女騎士「………………ッ!!」
104: 2018/03/31(土) 15:20:17.276 ID:pyCU+liR0
呪術師「ふん、出来損ないが大言を。どこの誰に吹き込まれたのやら」
呪術師「……貴様、血を流しすぎだ。血というのは、呪術師の前で容易に流すものではない。床にこれほど大量に撒かれればな……」
スッ
ペロッ
呪術師「少し、私を見くびっていないか?」
角の少年「………………」
呪術師「血というのは、呪術にとって深い意味を持つ。貴様など、女騎士のような準備もいらぬ。即興の呪いで、頃してやる」
呪術師「……貴様、血を流しすぎだ。血というのは、呪術師の前で容易に流すものではない。床にこれほど大量に撒かれればな……」
スッ
ペロッ
呪術師「少し、私を見くびっていないか?」
角の少年「………………」
呪術師「血というのは、呪術にとって深い意味を持つ。貴様など、女騎士のような準備もいらぬ。即興の呪いで、頃してやる」
105: 2018/03/31(土) 15:30:42.844 ID:pyCU+liR0
キィィィィィィィン……!!
角の少年「……ぐっ…………!!」
呪術師「動けんだろう。今貴様の中に流れる血、そのすべてが鉛のように重く感じる筈だ」
呪術師「どう料理してやろうか。呪術と一口に言えど様々にある。一瞬で楽にしてやるものから長く苦しむものまでな」
呪術師「血を直接啜ったのだ。何でも叶えてやろう」
角の少年(……………………)
角の少年「……ぐっ…………!!」
呪術師「動けんだろう。今貴様の中に流れる血、そのすべてが鉛のように重く感じる筈だ」
呪術師「どう料理してやろうか。呪術と一口に言えど様々にある。一瞬で楽にしてやるものから長く苦しむものまでな」
呪術師「血を直接啜ったのだ。何でも叶えてやろう」
角の少年(……………………)
106: 2018/03/31(土) 15:32:05.142 ID:pyCU+liR0
女騎士「やめなさい!!」
女騎士「あなたの目的はわたしのはずです!!」
女騎士「これ以上はっ!!」
角の少年「女騎士、心配いらない」
ズバッ!!
ブシャァッ!!
女騎士「あなたの目的はわたしのはずです!!」
女騎士「これ以上はっ!!」
角の少年「女騎士、心配いらない」
ズバッ!!
ブシャァッ!!
107: 2018/03/31(土) 15:33:54.615 ID:pyCU+liR0
呪術師「なっ……!!」
女騎士「何を……何をやってるんですか!!」
女騎士「自分の……体をッ!!」
角の少年「そいつの言う通り、血がすべて重くなっていた。確かにそうだ。抜いてみると、随分軽くなった」
角の少年「重くなっているのが、血だけで良かった」
角の少年「だが、お前を倒すにはまだ足らないな」
女騎士「やめなさい!!」
ズバッ!!
ビチャビチャッ……
女騎士「何を……何をやってるんですか!!」
女騎士「自分の……体をッ!!」
角の少年「そいつの言う通り、血がすべて重くなっていた。確かにそうだ。抜いてみると、随分軽くなった」
角の少年「重くなっているのが、血だけで良かった」
角の少年「だが、お前を倒すにはまだ足らないな」
女騎士「やめなさい!!」
ズバッ!!
ビチャビチャッ……
108: 2018/03/31(土) 15:34:33.446 ID:pyCU+liR0
コツ、コツ……
角の少年「大分血を失ってしまったが、これでようやく動ける。俺を頑丈に作ってくれた奴に、感謝しないとな」
呪術師「貴様……ッ! 正気か!!!」
コツ、コツ……
角の少年「正気だ。ここでお前を倒せるのなら。女騎士を守れるなら、俺はここで氏んだっていい」
角の少年「血が邪魔になるのなら、もういらない。動く体と、心があればそれでいい」
呪術師「欠陥品が……ッ!! 邪魔をするなァ!!」
ブゥン…
ズバッ!
角の少年「大分血を失ってしまったが、これでようやく動ける。俺を頑丈に作ってくれた奴に、感謝しないとな」
呪術師「貴様……ッ! 正気か!!!」
コツ、コツ……
角の少年「正気だ。ここでお前を倒せるのなら。女騎士を守れるなら、俺はここで氏んだっていい」
角の少年「血が邪魔になるのなら、もういらない。動く体と、心があればそれでいい」
呪術師「欠陥品が……ッ!! 邪魔をするなァ!!」
ブゥン…
ズバッ!
110: 2018/03/31(土) 15:59:45.558 ID:pyCU+liR0
呪術師「……あ……が…………………魔王、様…………」
ドサッ
角の少年「………………」
フッ
女騎士「! 呪術の縛りが解けた……!!」
角の少年「……………………」フラッ…
ドサッ
女騎士「ッ!!!」
ダッ!
ドサッ
角の少年「………………」
フッ
女騎士「! 呪術の縛りが解けた……!!」
角の少年「……………………」フラッ…
ドサッ
女騎士「ッ!!!」
ダッ!
111: 2018/03/31(土) 16:00:09.977 ID:pyCU+liR0
角の少年「………………」
女騎士「起きて……起きてください…………ッ!!」
女騎士「そうだ、聖槍……!」
女騎士「聖槍の力で……ッ!!」ドスッ
角の少年「………………うっ……」
女騎士「!!」
女騎士「起きて……起きてください…………ッ!!」
女騎士「そうだ、聖槍……!」
女騎士「聖槍の力で……ッ!!」ドスッ
角の少年「………………うっ……」
女騎士「!!」
113: 2018/03/31(土) 16:01:59.412 ID:pyCU+liR0
女騎士「魂が、繋がった……!!」
女騎士「あとは治癒を……僧侶さん……僧侶さんッ!!」
角の少年「……女騎士。ここに、僧侶はいないぞ」
女騎士「でも……でもっ!! 早く治癒しないと、あなたが氏んじゃう!!」
角の少年「……もう、無理だ」
女騎士「何をっ……!」
角の少年「俺の体は少し特別で、そのおかげで動けていた。だが、やはり血を流しすぎたみたいだ」
角の少年「お前が魂を繋ぎ止めてくれても、もう間に合わないだろう」
女騎士「そんな……そんなっ!!」
女騎士「あとは治癒を……僧侶さん……僧侶さんッ!!」
角の少年「……女騎士。ここに、僧侶はいないぞ」
女騎士「でも……でもっ!! 早く治癒しないと、あなたが氏んじゃう!!」
角の少年「……もう、無理だ」
女騎士「何をっ……!」
角の少年「俺の体は少し特別で、そのおかげで動けていた。だが、やはり血を流しすぎたみたいだ」
角の少年「お前が魂を繋ぎ止めてくれても、もう間に合わないだろう」
女騎士「そんな……そんなっ!!」
114: 2018/03/31(土) 16:03:12.282 ID:pyCU+liR0
女騎士「だめですっ! まだあなたは……何もっ……!」
角の少年「……これでいいんだ。空っぽだった俺に、心を教えてくれた」
角の少年「お前は、俺の中で一番大切な人間になっていた」
角の少年「心を教えてくれて、こんな俺に、暖かさを教えてくれて、ありがとう」
角の少年「そんなお前を守ることが、俺のやるべきことだと、そう思ったんだ」
角の少年「お前の暖かさを守れたのなら、それで……」
角の少年「……これでいいんだ。空っぽだった俺に、心を教えてくれた」
角の少年「お前は、俺の中で一番大切な人間になっていた」
角の少年「心を教えてくれて、こんな俺に、暖かさを教えてくれて、ありがとう」
角の少年「そんなお前を守ることが、俺のやるべきことだと、そう思ったんだ」
角の少年「お前の暖かさを守れたのなら、それで……」
115: 2018/03/31(土) 16:03:54.126 ID:pyCU+liR0
角の少年「魔王軍のやっていることを許せないと思うのも、本当だ。お前なら、止められるだろう」
角の少年「……俺は、少しはお前の役に立てただろうか」
角の少年「みんなの役に立てただろうか」
角の少年「そうだったのなら、俺は嬉しい」
角の少年「でも、そうだな……最後にお前を泣かせてしまったのは……悪いこと、だな」
角の少年「……………………」
女騎士「……………………」
女騎士「あ、ああぁぁ…………」
女騎士「………………!!……………………ッ!!!!」
角の少年「……俺は、少しはお前の役に立てただろうか」
角の少年「みんなの役に立てただろうか」
角の少年「そうだったのなら、俺は嬉しい」
角の少年「でも、そうだな……最後にお前を泣かせてしまったのは……悪いこと、だな」
角の少年「……………………」
女騎士「……………………」
女騎士「あ、ああぁぁ…………」
女騎士「………………!!……………………ッ!!!!」
124: 2018/03/31(土) 16:32:03.503 ID:pyCU+liR0
ズドン!!
狼男「……………………」
武闘家「……………………」
武闘家「………がふっ!」
ビチャビチャッ……
武闘家「はぁ、はぁ、はぁ……!!」
狼男「……へっ……へへっ……!」
ドシャッ
狼男「……………………」
武闘家「……………………」
武闘家「………がふっ!」
ビチャビチャッ……
武闘家「はぁ、はぁ、はぁ……!!」
狼男「……へっ……へへっ……!」
ドシャッ
125: 2018/03/31(土) 16:33:56.034 ID:pyCU+liR0
狼男「……満月の狼男を……ノしちまうなんてなあ……」
武闘家「…………」
狼男「……胸を張っていいぜ。全力の俺をここまでやれる奴なんて……魔王様か勇者くらいだと思ってたよ……」
武闘家「………………」
狼男「……さっさと行きな、女騎士の奴、今ごろ呪術師の奴に呪い殺されてるかもしれねえぜ……」
武闘家「……………………」
スッ…
狼男「なぁんてな!! 氏ねえ!!」グワッ
武闘家「……つくづく救えん奴だ」
ドゴォン!!
狼男「…………ガフッ………………」
武闘家「…………」
狼男「……胸を張っていいぜ。全力の俺をここまでやれる奴なんて……魔王様か勇者くらいだと思ってたよ……」
武闘家「………………」
狼男「……さっさと行きな、女騎士の奴、今ごろ呪術師の奴に呪い殺されてるかもしれねえぜ……」
武闘家「……………………」
スッ…
狼男「なぁんてな!! 氏ねえ!!」グワッ
武闘家「……つくづく救えん奴だ」
ドゴォン!!
狼男「…………ガフッ………………」
126: 2018/03/31(土) 16:35:44.171 ID:pyCU+liR0
狼男「………この、野郎…………!!」
ドシャッ
武闘家「…………ぐっ……」フラッ…
武闘家「……情けないことに、しばらく動けそうにない……」
武闘家「女騎士……!」
ドサッ…
ドシャッ
武闘家「…………ぐっ……」フラッ…
武闘家「……情けないことに、しばらく動けそうにない……」
武闘家「女騎士……!」
ドサッ…
187: 2018/04/01(日) 10:08:05.892 ID:9TRm8/810USO
女騎士「……………………」
女騎士「…………………………」
女騎士「………………………………」
女騎士「……行かなきゃ」
女騎士「…………………………」
女騎士「………………………………」
女騎士「……行かなきゃ」
188: 2018/04/01(日) 10:08:54.115 ID:9TRm8/810USO
女騎士「……もっと」
女騎士「もっと、いろいろなことを教えてあげたかった」
女騎士「人の営みも。美味しいお料理も。春の野山の、きれいな花も」
女騎士「暖かさを、もっと知ってほしかった」
女騎士「天馬に乗せてあげる約束も、守ってあげられなかった」
女騎士「……………………」
女騎士「けれど、この約束だけは、守らなきゃ」
女騎士「もっと、いろいろなことを教えてあげたかった」
女騎士「人の営みも。美味しいお料理も。春の野山の、きれいな花も」
女騎士「暖かさを、もっと知ってほしかった」
女騎士「天馬に乗せてあげる約束も、守ってあげられなかった」
女騎士「……………………」
女騎士「けれど、この約束だけは、守らなきゃ」
189: 2018/04/01(日) 10:09:33.108 ID:9TRm8/810USO
シュゥゥゥゥゥ……
魔王「………………」
魔王「身体の傷は粗方治った、か」
魔王「…………だが」
……ズクンッ!
魔王「……魂の損傷はそう癒えんな」
魔王「………………」
魔王「身体の傷は粗方治った、か」
魔王「…………だが」
……ズクンッ!
魔王「……魂の損傷はそう癒えんな」
190: 2018/04/01(日) 10:10:29.776 ID:9TRm8/810USO
魔王「勇者め。俺の抑止力が弱まると見るや抵抗を増してきたか」
魔王「……この俺を、内側から喰らうつもりか」
魔王「クッ、面白い。それでこそ、一度は俺を滅ぼした男だ」
魔王「俺が貴様を屈服させるのが先か。貴様が俺を喰い頃すのが先か」
魔王「……………………」
魔王「……この俺を、内側から喰らうつもりか」
魔王「クッ、面白い。それでこそ、一度は俺を滅ぼした男だ」
魔王「俺が貴様を屈服させるのが先か。貴様が俺を喰い頃すのが先か」
魔王「……………………」
191: 2018/04/01(日) 10:11:49.661 ID:9TRm8/810USO
中級悪魔「魔王様っ!」
魔王「………………」
中級悪魔「…………あ…………し、失礼しました!」
魔王「…………話せ」
中級悪魔「は、はっ!」
中級悪魔「呪術師様が、城に侵入した女騎士と、例の欠陥品に敗れました!」
魔王「………………そうか」
魔王「氏んだか、呪術師……」
中級悪魔「同時に、侵入した武闘家と狼男様が戦闘! 戦闘中に城外へ行き、以降どちらも城へ戻りません! 時を見るに、相討ちとなったことが予想されます!」
中級悪魔「女騎士は現在、さらに城内を侵攻中! 城内の兵はまるで役に立たず、次々と城を攻略されているようです!」
魔王「…………………………」
魔王「………………」
中級悪魔「…………あ…………し、失礼しました!」
魔王「…………話せ」
中級悪魔「は、はっ!」
中級悪魔「呪術師様が、城に侵入した女騎士と、例の欠陥品に敗れました!」
魔王「………………そうか」
魔王「氏んだか、呪術師……」
中級悪魔「同時に、侵入した武闘家と狼男様が戦闘! 戦闘中に城外へ行き、以降どちらも城へ戻りません! 時を見るに、相討ちとなったことが予想されます!」
中級悪魔「女騎士は現在、さらに城内を侵攻中! 城内の兵はまるで役に立たず、次々と城を攻略されているようです!」
魔王「…………………………」
192: 2018/04/01(日) 10:12:56.488 ID:9TRm8/810USO
魔王「今この城に、あの女の進行を止められる者は居まい」
魔王「俺が出る。玉座へ向かおう」
中級悪魔「……は、はっ! しかし、魔王様、お体は………………がっ!?」
ジャキッ
魔王「出過ぎた真似をするな、中級悪魔」
魔王「貴様の仕事は俺に意見をすることか?」
中級悪魔「……あ…………い、いいえ!」
魔王「わかっているのなら持ち場に戻れ。これ以上、俺を煩わせるな」
中級悪魔「……はっ! 失礼しました!」
魔王「……………………」
魔王「俺が出る。玉座へ向かおう」
中級悪魔「……は、はっ! しかし、魔王様、お体は………………がっ!?」
ジャキッ
魔王「出過ぎた真似をするな、中級悪魔」
魔王「貴様の仕事は俺に意見をすることか?」
中級悪魔「……あ…………い、いいえ!」
魔王「わかっているのなら持ち場に戻れ。これ以上、俺を煩わせるな」
中級悪魔「……はっ! 失礼しました!」
魔王「……………………」
194: 2018/04/01(日) 10:28:27.150 ID:9TRm8/810USO
コツ、コツ…
魔王「ここで俺が倒れれば、この軍も終わりだな」
魔王「三度目の立て直しは効かないだろう」
コツ、コツ…
魔王「女騎士。強き者ではあったが、まさか女神の神器を携えここまでやるようになるとはな」
魔王「この俺が、ここまで追い詰めらるとは」
魔王「ここで俺が倒れれば、この軍も終わりだな」
魔王「三度目の立て直しは効かないだろう」
コツ、コツ…
魔王「女騎士。強き者ではあったが、まさか女神の神器を携えここまでやるようになるとはな」
魔王「この俺が、ここまで追い詰めらるとは」
195: 2018/04/01(日) 10:29:26.784 ID:9TRm8/810USO
コツ、コツ…
魔王「だが、負けるつもりは毛頭無い」
魔王「こちらにも積み上げて来た物。そしてこれから積み上げて行く物がある」
魔王「………………」
カチャ…
バン!
魔王「……………………」
女騎士「……………………」
魔王「……良い面構えになった」
魔王「貴様らにも背負う物はあるのだろうが、それはこちらとて同じことだ」
魔王「倒すぞ。お前を」
女騎士「……………………」
魔王「だが、負けるつもりは毛頭無い」
魔王「こちらにも積み上げて来た物。そしてこれから積み上げて行く物がある」
魔王「………………」
カチャ…
バン!
魔王「……………………」
女騎士「……………………」
魔王「……良い面構えになった」
魔王「貴様らにも背負う物はあるのだろうが、それはこちらとて同じことだ」
魔王「倒すぞ。お前を」
女騎士「……………………」
196: 2018/04/01(日) 10:30:46.733 ID:9TRm8/810USO
女騎士「……………………」
女騎士「多くを語るつもりはありません」
女騎士「あなたたちの所業を、止めに来ました」
女騎士「親を失う子がいた。子を失う親がいた」
女騎士「それを間違っていると、それを止めようと願った子がいた」
女騎士「わたしは、それに応えるためここに来ました」
女騎士「その体を……勇者さまを返してもらいます」
女騎士「この槍で、あなたを再び討ち滅ぼしましょう」
女騎士「多くを語るつもりはありません」
女騎士「あなたたちの所業を、止めに来ました」
女騎士「親を失う子がいた。子を失う親がいた」
女騎士「それを間違っていると、それを止めようと願った子がいた」
女騎士「わたしは、それに応えるためここに来ました」
女騎士「その体を……勇者さまを返してもらいます」
女騎士「この槍で、あなたを再び討ち滅ぼしましょう」
198: 2018/04/01(日) 10:47:51.447 ID:9TRm8/810USO
カッ!
ズドォォォン!
魔法使い「はぁ、はぁ……!!」
魔法使い「魔力不足になりかけるだなんて、いつ以来かしら……!」フラッ…
戦士「魔法使い!!」
魔将軍「余所見をする暇があるか!」
ギィン!
戦士「くっ……このっ!」
ガキィン!
ズドォォォン!
魔法使い「はぁ、はぁ……!!」
魔法使い「魔力不足になりかけるだなんて、いつ以来かしら……!」フラッ…
戦士「魔法使い!!」
魔将軍「余所見をする暇があるか!」
ギィン!
戦士「くっ……このっ!」
ガキィン!
199: 2018/04/01(日) 10:49:40.045 ID:9TRm8/810USO
僧侶「……………………」
シュゥゥゥゥゥ……
騎士A「……うっ。傷が……大分楽になりました。これでまた動けそうです」
僧侶「はぁ、はぁ……次の方、来てください……」
僧侶「………………あっ」フラッ…
騎士B「僧侶殿!」
僧侶「も、問題ありません。続きを……」
騎士B「いけません。あなたは少し休んでください。この場は救護隊の面々でなんとかしましょう」
僧侶「そのような訳にはいきません。まだ皆さん、戦っているのですから」
騎士B「だからこそです。あなたにここで倒れてしまっては、今戦っている者たちが帰って来た時にどうするのです」
僧侶「………………」
僧侶「……少し、休んできます。すぐに戻ります」
シュゥゥゥゥゥ……
騎士A「……うっ。傷が……大分楽になりました。これでまた動けそうです」
僧侶「はぁ、はぁ……次の方、来てください……」
僧侶「………………あっ」フラッ…
騎士B「僧侶殿!」
僧侶「も、問題ありません。続きを……」
騎士B「いけません。あなたは少し休んでください。この場は救護隊の面々でなんとかしましょう」
僧侶「そのような訳にはいきません。まだ皆さん、戦っているのですから」
騎士B「だからこそです。あなたにここで倒れてしまっては、今戦っている者たちが帰って来た時にどうするのです」
僧侶「………………」
僧侶「……少し、休んできます。すぐに戻ります」
200: 2018/04/01(日) 10:50:28.676 ID:9TRm8/810USO
僧侶「…………ふぅ……」
僧侶「……私、いけませんね、女騎士さんにあれだけ言っておきながら……」
僧侶「……………………」
キィィィン…
僧侶「!」
僧侶「これは……通信石が……」
僧侶「ッ! 武闘家さんから……!」
僧侶「……………………!!」
僧侶「……私、いけませんね、女騎士さんにあれだけ言っておきながら……」
僧侶「……………………」
キィィィン…
僧侶「!」
僧侶「これは……通信石が……」
僧侶「ッ! 武闘家さんから……!」
僧侶「……………………!!」
201: 2018/04/01(日) 10:55:03.740 ID:9TRm8/810USO
僧侶「大変……! あんな所で倒れていたら、いつ魔物に襲われるとも……!」
僧侶「女騎士さんも、一人で……」
僧侶「戦士さんも魔法使いさんも、通信石を見ている余裕はない……!」
僧侶「私は……私は…………!!」
僧侶「女騎士さんも、一人で……」
僧侶「戦士さんも魔法使いさんも、通信石を見ている余裕はない……!」
僧侶「私は……私は…………!!」
202: 2018/04/01(日) 10:55:42.149 ID:9TRm8/810USO
騎士B「……む、僧侶殿。まだ戻ってくるには早すぎると……」
僧侶「いいえ。私、行かなくてはなりません」
騎士B「……何か、あったようですな」
僧侶「………………」
騎士B「行ってこられよ。ここは我々にお任せください」
僧侶「……すみません、お願いしますっ!」
ダッ!
僧侶「いいえ。私、行かなくてはなりません」
騎士B「……何か、あったようですな」
僧侶「………………」
騎士B「行ってこられよ。ここは我々にお任せください」
僧侶「……すみません、お願いしますっ!」
ダッ!
203: 2018/04/01(日) 11:01:15.224 ID:9TRm8/810USO
タタタッ…
僧侶「はぁ、はぁ……確か、満月……武闘家さんは屋外に……高い所に居ましたね」
僧侶「廊下に戦闘痕があります……これをたどって行けば……!」
僧侶「……ッ!!」
僧侶「誰かの、助けを呼ぶ声……」
僧侶「戦闘痕からは少し外れますが……」
僧侶「………………」
僧侶「……これを見捨てては、後で武闘家さんに怒られてしまいますね……」
僧侶「待っていてください、すぐに行きますっ……!」
タタタッ…
僧侶「はぁ、はぁ……確か、満月……武闘家さんは屋外に……高い所に居ましたね」
僧侶「廊下に戦闘痕があります……これをたどって行けば……!」
僧侶「……ッ!!」
僧侶「誰かの、助けを呼ぶ声……」
僧侶「戦闘痕からは少し外れますが……」
僧侶「………………」
僧侶「……これを見捨てては、後で武闘家さんに怒られてしまいますね……」
僧侶「待っていてください、すぐに行きますっ……!」
タタタッ…
205: 2018/04/01(日) 11:14:34.062 ID:9TRm8/810USO
幼馴染「誰かーーーっ!! 助けてくださーーーい!!!」
幼馴染「ここに閉じ込められてるのーーーっ!! 誰かーーーっ!!」
看守悪魔「くっ、目を覚ました途端からうるさい小娘だ……魔王様の言いつけさえなければこんな奴……!」
幼馴染「誰かーーーっ!! ……はぁ、はぁ……」
幼馴染「ねえ、ここで何が起こっているの! 外ではすごい音がするし、振動も……」
幼馴染「教えてよ! 勇者は……勇者は無事なの!? どこにいるの!」
看守悪魔「こいつ……調子に乗りおって!」
ドガッ!
幼馴染「ここに閉じ込められてるのーーーっ!! 誰かーーーっ!!」
看守悪魔「くっ、目を覚ました途端からうるさい小娘だ……魔王様の言いつけさえなければこんな奴……!」
幼馴染「誰かーーーっ!! ……はぁ、はぁ……」
幼馴染「ねえ、ここで何が起こっているの! 外ではすごい音がするし、振動も……」
幼馴染「教えてよ! 勇者は……勇者は無事なの!? どこにいるの!」
看守悪魔「こいつ……調子に乗りおって!」
ドガッ!
207: 2018/04/01(日) 11:15:38.350 ID:9TRm8/810USO
僧侶「はぁ、はぁ……」
看守悪魔「ぐっ…………」
ドサッ
幼馴染「!!」
幼馴染「あなたは……僧侶さん! 僧侶さんですよねっ!」
僧侶「幼馴染さん……! 捕らえられていたのですかっ!」
僧侶「すぐに解放します、少し待ってくださいっ」
看守悪魔「ぐっ…………」
ドサッ
幼馴染「!!」
幼馴染「あなたは……僧侶さん! 僧侶さんですよねっ!」
僧侶「幼馴染さん……! 捕らえられていたのですかっ!」
僧侶「すぐに解放します、少し待ってくださいっ」
208: 2018/04/01(日) 11:26:41.759 ID:9TRm8/810USO
カチャッ
ギィィィ…
幼馴染「ありがとうございます、僧侶さん。あの、ここで何が起きてるんですかっ?」
僧侶「……少し、移動しながら説明します。動けますか?」
幼馴染「はい!」
ギィィィ…
幼馴染「ありがとうございます、僧侶さん。あの、ここで何が起きてるんですかっ?」
僧侶「……少し、移動しながら説明します。動けますか?」
幼馴染「はい!」
209: 2018/04/01(日) 11:27:36.493 ID:9TRm8/810USO
幼馴染「そんな、ことが……!」
幼馴染「勇者……!!」
僧侶「私はこのまま上に行かなければなりませんが……。でも、一度あなたを安全な場所へ……」
幼馴染「……わたしも行きます」
僧侶「……いけません。危険すぎます」
幼馴染「大丈夫です。勇者の師匠から動き方はある程度教わっていますから……戦えないにしても、僧侶さんのお邪魔にはなりません」
幼馴染「だから……お願いしますっ……!」
幼馴染「勇者……!!」
僧侶「私はこのまま上に行かなければなりませんが……。でも、一度あなたを安全な場所へ……」
幼馴染「……わたしも行きます」
僧侶「……いけません。危険すぎます」
幼馴染「大丈夫です。勇者の師匠から動き方はある程度教わっていますから……戦えないにしても、僧侶さんのお邪魔にはなりません」
幼馴染「だから……お願いしますっ……!」
210: 2018/04/01(日) 11:28:18.095 ID:9TRm8/810USO
僧侶「……………………」
僧侶「……私の判断で、危険と思った時にはすぐに引き返してください。指示には必ず従ってください」
僧侶「……いいですね?」
幼馴染「……はい!」
幼馴染「ありがとうございます、僧侶さん……!」
僧侶「……私の判断で、危険と思った時にはすぐに引き返してください。指示には必ず従ってください」
僧侶「……いいですね?」
幼馴染「……はい!」
幼馴染「ありがとうございます、僧侶さん……!」
211: 2018/04/01(日) 11:29:02.838 ID:9TRm8/810USO
ガキィン!!
魔王「………………」
女騎士「…………ッ!」
ギィン! ガァン!
ジャキッ! ガキィン!
魔王「………………」
女騎士「…………はぁっ!」
ギャリィィィン!!
魔王「………………」
女騎士「…………ッ!」
ギィン! ガァン!
ジャキッ! ガキィン!
魔王「………………」
女騎士「…………はぁっ!」
ギャリィィィン!!
213: 2018/04/01(日) 11:29:48.666 ID:9TRm8/810USO
魔王「…………ふん」
女騎士「…………はぁ、はぁ……!」
魔王「どうやら、既に消耗があるらしいな」
魔王「呪術師のことだ。タダでやられた訳ではあるまい」
魔王「だが、強い」
女騎士「………………」
女騎士「…………はぁ、はぁ……!」
魔王「どうやら、既に消耗があるらしいな」
魔王「呪術師のことだ。タダでやられた訳ではあるまい」
魔王「だが、強い」
女騎士「………………」
214: 2018/04/01(日) 11:31:19.666 ID:9TRm8/810USO
魔王「先ほどとはまるで別人だな」
魔王「何があったか、とは敢えて聞くまい」
魔王「この俺をここまで昂らせる個が、勇者以外にいるとは思わなんだ」
女騎士「……ッ!」
ギィィィン!
魔王「簡単に終わってくれるな」
魔王「王としての俺を、この時ばかりは少し忘れる」
魔王「一人の戦士として、ただこの時を愉しむことを考えよう」
ガキィン!!
魔王「何があったか、とは敢えて聞くまい」
魔王「この俺をここまで昂らせる個が、勇者以外にいるとは思わなんだ」
女騎士「……ッ!」
ギィィィン!
魔王「簡単に終わってくれるな」
魔王「王としての俺を、この時ばかりは少し忘れる」
魔王「一人の戦士として、ただこの時を愉しむことを考えよう」
ガキィン!!
216: 2018/04/01(日) 11:39:33.539 ID:9TRm8/810USO
タタタッ…
バン!
僧侶「ここは……広間……」
幼馴染「! 僧侶さん、あそこ!」
僧侶「硝子の破片……ここで誰かが戦って、あの窓から外に出たようですね」
僧侶「……武闘家さん……なの……?」
僧侶「幼馴染さん、ここで待っていてください!」
バッ
幼馴染「………………」
バン!
僧侶「ここは……広間……」
幼馴染「! 僧侶さん、あそこ!」
僧侶「硝子の破片……ここで誰かが戦って、あの窓から外に出たようですね」
僧侶「……武闘家さん……なの……?」
僧侶「幼馴染さん、ここで待っていてください!」
バッ
幼馴染「………………」
218: 2018/04/01(日) 11:44:43.090 ID:9TRm8/810USO
幼馴染「!」
ズズゥゥゥゥゥゥン……
パラパラ…
幼馴染「……………………」
幼馴染「…………………………」
幼馴染「……勇者?」
ズズゥゥゥゥゥゥン……
パラパラ…
幼馴染「……………………」
幼馴染「…………………………」
幼馴染「……勇者?」
219: 2018/04/01(日) 11:45:30.398 ID:9TRm8/810USO
幼馴染「………………」
幼馴染「……………………」
幼馴染「…………………………」
幼馴染「……ごめんなさい、僧侶さん……わたしっ……!」
タタタッ…
幼馴染「……………………」
幼馴染「…………………………」
幼馴染「……ごめんなさい、僧侶さん……わたしっ……!」
タタタッ…
222: 2018/04/01(日) 12:10:25.671 ID:9TRm8/810
魔王「おおおっ!!」
ガァン!!
女騎士「ッ! …………そこッ!」
ジャッ!
魔王「ぐっ……!」
ズサァ!
女騎士「はぁ、はぁ……!」
女騎士(身体のダメージは、わたしの方が上……)
女騎士(でも、見える……!)
女騎士(庭園で与えた魂のダメージはまだ回復していません……)
女騎士(先ほどの掠るような攻撃でも、この槍の一撃なら、魔王にだって通っているはずです……!)
ガァン!!
女騎士「ッ! …………そこッ!」
ジャッ!
魔王「ぐっ……!」
ズサァ!
女騎士「はぁ、はぁ……!」
女騎士(身体のダメージは、わたしの方が上……)
女騎士(でも、見える……!)
女騎士(庭園で与えた魂のダメージはまだ回復していません……)
女騎士(先ほどの掠るような攻撃でも、この槍の一撃なら、魔王にだって通っているはずです……!)
223: 2018/04/01(日) 12:10:54.856 ID:9TRm8/810
魔王「……………………」
ブワッ!
女騎士「!!」
女騎士「魔王の剣に……魔力が……!」
ブワッ!
女騎士「!!」
女騎士「魔王の剣に……魔力が……!」
224: 2018/04/01(日) 12:11:38.696 ID:9TRm8/810
魔王「……先ほどの庭園の一撃と同じと思うなよ。あれは挨拶だ」
女騎士「…………!!」
魔王「貴様も、構えろ」
魔王「先の、守るための一撃ではなく、この俺を滅ぼすだけの一撃を、叩き込んで来い」
魔王「捩じ伏せてやる」
女騎士「………………」
ジャキッ!
女騎士「…………!!」
魔王「貴様も、構えろ」
魔王「先の、守るための一撃ではなく、この俺を滅ぼすだけの一撃を、叩き込んで来い」
魔王「捩じ伏せてやる」
女騎士「………………」
ジャキッ!
225: 2018/04/01(日) 12:12:26.239 ID:9TRm8/810
魔王「……………………」
女騎士「……………………」
魔王「…………………………」
女騎士「…………………………ッ!」
カッ!!
ゴバッッッ!!!!!!
女騎士「……………………」
魔王「…………………………」
女騎士「…………………………ッ!」
カッ!!
ゴバッッッ!!!!!!
226: 2018/04/01(日) 12:13:15.405 ID:9TRm8/810
バン!
幼馴染「…………ここは……」
幼馴染「!」
幼馴染「誰か倒れてるっ……!」
幼馴染「………………」
幼馴染「……白い、きれいな男の子……」
幼馴染「角が生えてる……魔物……?」
幼馴染「……………………」
幼馴染「……いえ、でも……魔物……それにしては……」
幼馴染「とても、優しい顔をしている……」
幼馴染「…………………………」
幼馴染「…………ここは……」
幼馴染「!」
幼馴染「誰か倒れてるっ……!」
幼馴染「………………」
幼馴染「……白い、きれいな男の子……」
幼馴染「角が生えてる……魔物……?」
幼馴染「……………………」
幼馴染「……いえ、でも……魔物……それにしては……」
幼馴染「とても、優しい顔をしている……」
幼馴染「…………………………」
227: 2018/04/01(日) 12:14:19.476 ID:9TRm8/810
……ガァン…………ギィン……
幼馴染「!」
幼馴染「この音は……」
幼馴染「誰かが、戦っている……!」
……ズドォォォォォォォン!!!
幼馴染「ッ!」
幼馴染「……勇者!」
幼馴染「!」
幼馴染「この音は……」
幼馴染「誰かが、戦っている……!」
……ズドォォォォォォォン!!!
幼馴染「ッ!」
幼馴染「……勇者!」
228: 2018/04/01(日) 12:28:36.998 ID:9TRm8/810
女騎士「………………」
魔王「………………」
女騎士「……………………」
魔王「……………………」
魔王「……ガフッ!」
ビチャビチャッ…
女騎士「…………………………」
魔王「………………」
女騎士「……………………」
魔王「……………………」
魔王「……ガフッ!」
ビチャビチャッ…
女騎士「…………………………」
229: 2018/04/01(日) 12:29:06.289 ID:9TRm8/810
魔王「はぁ、はぁ……!」
女騎士「………………」
魔王「……ここまでの俺の全力を、正面から受け止めたのは、お前が初めてだ」
女騎士「……………………」
魔王「見事な一撃だった」
女騎士「………………」
魔王「……ここまでの俺の全力を、正面から受け止めたのは、お前が初めてだ」
女騎士「……………………」
魔王「見事な一撃だった」
230: 2018/04/01(日) 12:30:00.285 ID:9TRm8/810
魔王「………………」
女騎士「………………」
魔王「お前という騎士の名を、覚えておこう」
女騎士「………………」
魔王「俺の、勝ちだ……」
女騎士「………………」
魔王「お前という騎士の名を、覚えておこう」
女騎士「………………」
魔王「俺の、勝ちだ……」
231: 2018/04/01(日) 12:34:34.216 ID:9TRm8/810
魔王「…………ぐっ……!」
魔王「傷は、深い。また癒える時を待たねばな」
魔王「だが、その時こそ……」
バァン!!
魔王「……………………」
幼馴染「………………あ……」
魔王「傷は、深い。また癒える時を待たねばな」
魔王「だが、その時こそ……」
バァン!!
魔王「……………………」
幼馴染「………………あ……」
232: 2018/04/01(日) 12:35:32.613 ID:9TRm8/810
魔王「………………」
幼馴染「…………勇、者……?」
幼馴染「その、眼の色……」
幼馴染「!!」
幼馴染「お、女騎士さんっ!!」
幼馴染「大変っ……! こんなに血が……!!」
幼馴染「僧侶さん程じゃないけど、わたしの治癒で……!」
魔王「……………………」
幼馴染「…………勇、者……?」
幼馴染「その、眼の色……」
幼馴染「!!」
幼馴染「お、女騎士さんっ!!」
幼馴染「大変っ……! こんなに血が……!!」
幼馴染「僧侶さん程じゃないけど、わたしの治癒で……!」
魔王「……………………」
233: 2018/04/01(日) 12:36:13.725 ID:9TRm8/810
シュゥゥゥゥゥ……
幼馴染「はぁ、はぁ……!!」
幼馴染「はぁ、はぁ……!!」
幼馴染「……な、何やってるの、勇者! あなた、そんな所で突っ立って……」
幼馴染「あなたも、何かを……女騎士さんがっ!」
魔王「………………」
幼馴染「はぁ、はぁ……!!」
幼馴染「はぁ、はぁ……!!」
幼馴染「……な、何やってるの、勇者! あなた、そんな所で突っ立って……」
幼馴染「あなたも、何かを……女騎士さんがっ!」
魔王「………………」
234: 2018/04/01(日) 12:36:36.679 ID:9TRm8/810
コツ、コツ…
魔王「………………」
幼馴染「はぁ、はぁ!」
コツ、コツ…
魔王「………………」
幼馴染「はぁ……! はぁ……!!」 👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:0be15ced7fbdb9fdb4d0ce1929c1b82f)
魔王「………………」
幼馴染「はぁ、はぁ!」
コツ、コツ…
魔王「………………」
幼馴染「はぁ……! はぁ……!!」 👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:0be15ced7fbdb9fdb4d0ce1929c1b82f)
235: 2018/04/01(日) 12:37:34.688 ID:9TRm8/810
コツ、コツ…
魔王「………………」
魔王「……お前を殺せば、この魂の叫びも……」
魔王「消えて無くなるだろうか」
幼馴染「はぁ……! はぁ……! 何を、言って……!?」
魔王「氏んでくれ」
ドシュッ!
魔王「………………」
魔王「……お前を殺せば、この魂の叫びも……」
魔王「消えて無くなるだろうか」
幼馴染「はぁ……! はぁ……! 何を、言って……!?」
魔王「氏んでくれ」
ドシュッ!
237: 2018/04/01(日) 12:39:56.341 ID:9TRm8/810
ポタポタ……
魔王「………………」
魔王「……………………」
魔王「…………………………」
魔王「………………………………」
魔王「………………女、騎士……!!」
ギリッ!
女騎士「はぁ……! はぁ……!」
魔王「………………」
魔王「……………………」
魔王「…………………………」
魔王「………………………………」
魔王「………………女、騎士……!!」
ギリッ!
女騎士「はぁ……! はぁ……!」
238: 2018/04/01(日) 12:40:33.016 ID:9TRm8/810
女騎士「……もう、誰かを……目の前で失うのは……」
女騎士「嫌なんです……!」
女騎士「これで……!!」
女騎士「これで………………!!」
女騎士「倒れてっ!!!」
カッ!!
女騎士「嫌なんです……!」
女騎士「これで……!!」
女騎士「これで………………!!」
女騎士「倒れてっ!!!」
カッ!!
239: 2018/04/01(日) 12:47:58.453 ID:9TRm8/810
シュゥゥゥゥゥ……
女騎士「はぁ……! はぁ……!」ギリッ…!
魔王「……………………」
女騎士「はぁ……! はぁ……!」ギリギリッ…!
魔王「……………………」
女騎士「はぁ……! はぁ……!!」ギリギリッ…!
魔王「……もう良い」
魔王「核を壊された。俺の魂は時期に消滅するだろう」
女騎士「はぁ……! はぁ……!!」ギリギリギリギリッ…!
魔王「……これ以上、お前の仲間の身体を傷つけるのは、やめておけ」スッ
ズズ…
カラァン……
女騎士「はぁ……! はぁ……!」ギリッ…!
魔王「……………………」
女騎士「はぁ……! はぁ……!」ギリギリッ…!
魔王「……………………」
女騎士「はぁ……! はぁ……!!」ギリギリッ…!
魔王「……もう良い」
魔王「核を壊された。俺の魂は時期に消滅するだろう」
女騎士「はぁ……! はぁ……!!」ギリギリギリギリッ…!
魔王「……これ以上、お前の仲間の身体を傷つけるのは、やめておけ」スッ
ズズ…
カラァン……
241: 2018/04/01(日) 13:00:01.618 ID:9TRm8/810
魔王「敗因は幾通りも挙げられるが……言うまい」
魔王「良き、戦いであった」
魔王「…………女」
幼馴染「…………あっ……」
魔王「勇者はまだ生きている」
魔王「この身体も、俺の魂が消滅すれば勇者のもとに戻ることだろう」
魔王「貴様を視界に入れてからというもの、疼いて仕方がない。しぶとい奴よ」
魔王「結局、こちらでも。屈服させるには至らなかったか」
魔王「俺の……負け、だ……」
ドサッ
魔王「良き、戦いであった」
魔王「…………女」
幼馴染「…………あっ……」
魔王「勇者はまだ生きている」
魔王「この身体も、俺の魂が消滅すれば勇者のもとに戻ることだろう」
魔王「貴様を視界に入れてからというもの、疼いて仕方がない。しぶとい奴よ」
魔王「結局、こちらでも。屈服させるには至らなかったか」
魔王「俺の……負け、だ……」
ドサッ
242: 2018/04/01(日) 13:04:51.556 ID:9TRm8/810
幼馴染「ゆ、勇者っ!!」
ガバッ
勇者「……………………」
スゥ…
幼馴染「……生きてる……生きてる……!」
幼馴染「良かった……! 勇者……!!」
幼馴染「良かったよぉ……!」
ガバッ
勇者「……………………」
スゥ…
幼馴染「……生きてる……生きてる……!」
幼馴染「良かった……! 勇者……!!」
幼馴染「良かったよぉ……!」
243: 2018/04/01(日) 13:05:24.094 ID:9TRm8/810
女騎士「………………」フラッ…
幼馴染「!!」
幼馴染「女騎士さんっ!!」
幼馴染「傷は……女騎士さんの方が深い……!」
幼馴染「わたしの、治癒を……!」
幼馴染「!!」
幼馴染「女騎士さんっ!!」
幼馴染「傷は……女騎士さんの方が深い……!」
幼馴染「わたしの、治癒を……!」
244: 2018/04/01(日) 13:07:58.326 ID:9TRm8/810
シュゥゥゥゥゥ……
女騎士「…………うぅ……」
幼馴染「! 良かった……目を、覚ました……」
女騎士「……幼馴染さん……魔王は……勇者さまは……?」
幼馴染「魔王は勇者の体から出て行ったみたい……勇者も無事よ」
幼馴染「みんな、生きてる……!」
女騎士「……………………」
女騎士「…………うぅ……」
幼馴染「! 良かった……目を、覚ました……」
女騎士「……幼馴染さん……魔王は……勇者さまは……?」
幼馴染「魔王は勇者の体から出て行ったみたい……勇者も無事よ」
幼馴染「みんな、生きてる……!」
女騎士「……………………」
245: 2018/04/01(日) 13:24:59.251 ID:9TRm8/810
シュゥゥゥゥゥ……
女騎士「幼馴染さん……治癒は、もういいです」
幼馴染「で、でも、まだ……」
女騎士「あなたのおかげで、歩けるくらいには回復しました……」
女騎士「ここから……出ましょう」
女騎士「勇者さまはまだ目を覚ましていませんが、お願いできますか?」
幼馴染「……はいっ!」
女騎士「幼馴染さん……治癒は、もういいです」
幼馴染「で、でも、まだ……」
女騎士「あなたのおかげで、歩けるくらいには回復しました……」
女騎士「ここから……出ましょう」
女騎士「勇者さまはまだ目を覚ましていませんが、お願いできますか?」
幼馴染「……はいっ!」
246: 2018/04/01(日) 13:25:54.062 ID:9TRm8/810
女騎士「…………くっ……」フラッ…
幼馴染「! 女騎士さん、やっぱりまだ傷が……」
女騎士「はやく、帰らなきゃ……」
女騎士「魔王を倒したこと……勇者さまのご無事を、はやく伝えなきゃ……」
幼馴染「……………………」
幼馴染「女騎士さんっ、僧侶さんもこちらに向かっているはずです。わたし、先に合流しに行きます!」
幼馴染「合流したら一緒に戻ってくるので、僧侶さんの治癒を受けてください!」
女騎士「…………お願い、します……」
タタタッ…
幼馴染「! 女騎士さん、やっぱりまだ傷が……」
女騎士「はやく、帰らなきゃ……」
女騎士「魔王を倒したこと……勇者さまのご無事を、はやく伝えなきゃ……」
幼馴染「……………………」
幼馴染「女騎士さんっ、僧侶さんもこちらに向かっているはずです。わたし、先に合流しに行きます!」
幼馴染「合流したら一緒に戻ってくるので、僧侶さんの治癒を受けてください!」
女騎士「…………お願い、します……」
タタタッ…
247: 2018/04/01(日) 13:26:16.559 ID:9TRm8/810
女騎士「……これで、終わるのですね」
女騎士「ようやく、すべてが……」
女騎士「盗賊さんにも、なんて報告しましょう……」
女騎士「……あの子は……武闘家さんにお願いして……連れていってあげなくちゃいけませんね……」
女騎士「……外で戦っているみなさんは……無事でしょうか……」
女騎士「魔法使いさん……無理をしていなければいいのですが……」
女騎士「……はやく……戻らなくちゃ……はやく……」
女騎士「ようやく、すべてが……」
女騎士「盗賊さんにも、なんて報告しましょう……」
女騎士「……あの子は……武闘家さんにお願いして……連れていってあげなくちゃいけませんね……」
女騎士「……外で戦っているみなさんは……無事でしょうか……」
女騎士「魔法使いさん……無理をしていなければいいのですが……」
女騎士「……はやく……戻らなくちゃ……はやく……」
248: 2018/04/01(日) 13:27:21.105 ID:9TRm8/810
女騎士「……………………」
女騎士「…………この先に、あの子がいますね」
女騎士「…………………………」
……ドンッ!
女騎士「ッ!」
ドサッ…
女騎士「…………この先に、あの子がいますね」
女騎士「…………………………」
……ドンッ!
女騎士「ッ!」
ドサッ…
249: 2018/04/01(日) 13:28:30.359 ID:9TRm8/810
女騎士「ぐ…………」
女騎士(魔力弾……これは……)
魔王の娘「よくも……」
魔王の娘「よくも、父上を滅ぼしてくれたな」
魔王の娘「一度ならず、二度までも……!!」
女騎士「………………」
魔王の娘「魂を頃す聖槍……もう、父上に三度目はないだろう……」
魔王の娘「女騎士、貴様だけは絶対に許さん……」
女騎士「………………」
魔王の娘「妾の父上を頃して、貴様だけが生きて帰れると思うなァ!!!」
女騎士(魔力弾……これは……)
魔王の娘「よくも……」
魔王の娘「よくも、父上を滅ぼしてくれたな」
魔王の娘「一度ならず、二度までも……!!」
女騎士「………………」
魔王の娘「魂を頃す聖槍……もう、父上に三度目はないだろう……」
魔王の娘「女騎士、貴様だけは絶対に許さん……」
女騎士「………………」
魔王の娘「妾の父上を頃して、貴様だけが生きて帰れると思うなァ!!!」
250: 2018/04/01(日) 13:28:48.605 ID:9TRm8/810
女騎士「……わたしは、帰るんです。みんなのもとに、帰らなくちゃ……」ガシッ…
グググ…!
女騎士「…………どいて、ください……ッ!!!」
ダッ!
グググ…!
女騎士「…………どいて、ください……ッ!!!」
ダッ!
258: 2018/04/01(日) 14:41:10.116 ID:9TRm8/810
バン!
幼馴染「女騎士さんっ!」
僧侶「!! 倒れて……ッ!!」
ガバッ!
僧侶「………………」
僧侶「……生きています、いま治癒を掛けます!」
幼馴染「女騎士さんっ!」
僧侶「!! 倒れて……ッ!!」
ガバッ!
僧侶「………………」
僧侶「……生きています、いま治癒を掛けます!」
259: 2018/04/01(日) 14:41:49.625 ID:9TRm8/810
シュゥゥゥゥゥ……
幼馴染「! そこにも、倒れている女の人が……これは、魔族……?」
武闘家「……どことなく、元の魔王に似た面影があるな」
幼馴染「………………」
幼馴染「! そこにも、倒れている女の人が……これは、魔族……?」
武闘家「……どことなく、元の魔王に似た面影があるな」
幼馴染「………………」
260: 2018/04/01(日) 14:42:58.492 ID:9TRm8/810
ギャリィン!!
魔将軍「はぁ……! はぁ……!」
戦士「……チィッ! しぶとい野郎だ」
魔将軍「………………」
バァン!!
魔将軍「!!」
戦士「城門から……ありゃあ、僧侶、武闘家、女騎士に…………ッ!!」
魔法使い「魔王……いえ、あれは……!」
魔将軍「はぁ……! はぁ……!」
戦士「……チィッ! しぶとい野郎だ」
魔将軍「………………」
バァン!!
魔将軍「!!」
戦士「城門から……ありゃあ、僧侶、武闘家、女騎士に…………ッ!!」
魔法使い「魔王……いえ、あれは……!」
261: 2018/04/01(日) 14:43:48.372 ID:9TRm8/810
騎士団長「!! ……勇者殿……!!」
騎士「つ、つまり……!」
騎士団長「皆ァ!! 英雄達の手により、魔王を討ち取ったぞぉ!!」
ウオオオオオオオオ!!!!
騎士「つ、つまり……!」
騎士団長「皆ァ!! 英雄達の手により、魔王を討ち取ったぞぉ!!」
ウオオオオオオオオ!!!!
262: 2018/04/01(日) 14:45:27.246 ID:9TRm8/810
魔将軍「………………」
戦士「……ここでやめるか? ……って聞くのも野暮な話だな」
魔将軍「……………………」
チャキッ…
戦士「…………いいぜ」
戦士「後で化けて出てこないように、ここでしっかり叩き斬っておいてやるよ」
ジャキッ
戦士「……ここでやめるか? ……って聞くのも野暮な話だな」
魔将軍「……………………」
チャキッ…
戦士「…………いいぜ」
戦士「後で化けて出てこないように、ここでしっかり叩き斬っておいてやるよ」
ジャキッ
263: 2018/04/01(日) 14:45:58.611 ID:9TRm8/810
戦士「………………」
魔将軍「………………」
戦士「……………………」
魔将軍「……………………ッ!!」
魔将軍「…………おおおっ!!!」
戦士「……ッ!!」
ザンッ!
魔将軍「………………」
戦士「……………………」
魔将軍「……………………ッ!!」
魔将軍「…………おおおっ!!!」
戦士「……ッ!!」
ザンッ!
265: 2018/04/01(日) 14:58:21.480 ID:9TRm8/810
魔法使い「………………」パリパリッ…
ピシャァァァン!!
魔物「ギィィィ……!」
魔法使い「……これで、城に残った魔物も殆ど全滅ね」
魔法使い「………………」
ゴゴゴゴゴゴ……!!
魔法使い「!!」
魔法使い「……城が、落ちている……」
魔法使い「城主か、ここを維持していた誰かが倒れたのね」
ピシャァァァン!!
魔物「ギィィィ……!」
魔法使い「……これで、城に残った魔物も殆ど全滅ね」
魔法使い「………………」
ゴゴゴゴゴゴ……!!
魔法使い「!!」
魔法使い「……城が、落ちている……」
魔法使い「城主か、ここを維持していた誰かが倒れたのね」
266: 2018/04/01(日) 15:05:46.829 ID:9TRm8/810
騎士団長「皆!! 勝鬨を上げるのは後だ! 急ぎ舟に乗り込め!!」
騎士団長「大破した舟に乗っていた者達は均等に分かれ、残りの二隻に乗り込むように!!」
騎士団長「大破した舟に乗っていた者達は均等に分かれ、残りの二隻に乗り込むように!!」
267: 2018/04/01(日) 15:07:16.252 ID:9TRm8/810
ビュゥゥゥゥゥ……
戦士「……城、崩れていくな。この下に町とかねえだろうな」
武闘家「案ずるな。この辺りに人里はない」
魔法使い「後の瓦礫の撤去が大変そうだけれどね」
戦士「勇者と、女騎士は」
魔法使い「中で僧侶が診ているわ。命に別状はないそうよ」
戦士「そりゃあ……良かったな」
戦士「………………」
武闘家「……あの少年は、もう僧侶の手でも間に合わなかったそうだ」
武闘家「身体中の血を殆ど失ってしまっている。……一体、どんな戦い方をすればああなるのか」
魔法使い「………………」
戦士「………………」
戦士「……城、崩れていくな。この下に町とかねえだろうな」
武闘家「案ずるな。この辺りに人里はない」
魔法使い「後の瓦礫の撤去が大変そうだけれどね」
戦士「勇者と、女騎士は」
魔法使い「中で僧侶が診ているわ。命に別状はないそうよ」
戦士「そりゃあ……良かったな」
戦士「………………」
武闘家「……あの少年は、もう僧侶の手でも間に合わなかったそうだ」
武闘家「身体中の血を殆ど失ってしまっている。……一体、どんな戦い方をすればああなるのか」
魔法使い「………………」
戦士「………………」
268: 2018/04/01(日) 15:17:30.850 ID:9TRm8/810
騎士団長「皆!! よくぞ生き残った!!」
騎士団長「苦しい戦いだった!! 失くしたものも、ある!!」
騎士団長「だが、魔王は再び打倒された!!」
騎士団長「完膚なきまでに撃破された!! もう二度と復活することはないだろう!!」
騎士団長「魔王の陰に怯え、民が眠れる夜を過ごすことも無くなるだろう!!」
騎士団長「諸君のおかげだ!!」
騎士団長「胸を張って凱旋しよう!!」
騎士団長「我々の、勝利である!!」
騎士団長「苦しい戦いだった!! 失くしたものも、ある!!」
騎士団長「だが、魔王は再び打倒された!!」
騎士団長「完膚なきまでに撃破された!! もう二度と復活することはないだろう!!」
騎士団長「魔王の陰に怯え、民が眠れる夜を過ごすことも無くなるだろう!!」
騎士団長「諸君のおかげだ!!」
騎士団長「胸を張って凱旋しよう!!」
騎士団長「我々の、勝利である!!」
269: 2018/04/01(日) 15:21:12.878 ID:9TRm8/810
あとはエピローグ的なのをやって終わりです
270: 2018/04/01(日) 15:22:26.929 ID:9TRm8/810
ちょっと早いけど一旦休憩…
274: 2018/04/01(日) 15:31:09.657 ID:9TRm8/810
騎士団長「皆!! よくぞ生き残った!!」
騎士団長「苦しい戦いだった!! 失くしたものも、ある!!」
騎士団長「だが、魔王は再び打倒された!!」
騎士団長「完膚なきまでに撃破された!! もう二度と復活することはないだろう!!」
騎士団長「魔王の陰に怯え、民が眠れぬ夜を過ごすことも無くなるだろう!!」
騎士団長「諸君のおかげだ!!」
騎士団長「胸を張って凱旋しよう!!」
騎士団長「我々の、勝利である!!」
騎士団長「苦しい戦いだった!! 失くしたものも、ある!!」
騎士団長「だが、魔王は再び打倒された!!」
騎士団長「完膚なきまでに撃破された!! もう二度と復活することはないだろう!!」
騎士団長「魔王の陰に怯え、民が眠れぬ夜を過ごすことも無くなるだろう!!」
騎士団長「諸君のおかげだ!!」
騎士団長「胸を張って凱旋しよう!!」
騎士団長「我々の、勝利である!!」
281: 2018/04/01(日) 16:16:07.480 ID:9TRm8/810
女騎士「あれから、数ヶ月の時が経ちました」
女騎士「魔王軍による大規模侵攻……王都に残された傷痕はとても大きいものでした」
女騎士「新たな王の即位に、壊された建物等の修繕……」
女騎士「復興は進んでいますが、落ち着くにはまだまだ時間がかかりそうです」
女騎士「魔王軍による大規模侵攻……王都に残された傷痕はとても大きいものでした」
女騎士「新たな王の即位に、壊された建物等の修繕……」
女騎士「復興は進んでいますが、落ち着くにはまだまだ時間がかかりそうです」
282: 2018/04/01(日) 16:16:28.513 ID:9TRm8/810
女騎士「戦士さんと魔法使いさんは、復興にひと段落がつくとまた故郷に戻りました」
女騎士「魔法使いさんからこの前いただいたお手紙では、お腹も大分大きくなり、出産も近いようです」
女騎士「わたしも是非、立ち会いたいのですが……遠いですからね。間に合うと良いのですが」
女騎士「行くときにはまた、あの村人さんの舟に乗せてもらおうと思います」
女騎士「元気にしているといいのですが」
女騎士「魔法使いさんからこの前いただいたお手紙では、お腹も大分大きくなり、出産も近いようです」
女騎士「わたしも是非、立ち会いたいのですが……遠いですからね。間に合うと良いのですが」
女騎士「行くときにはまた、あの村人さんの舟に乗せてもらおうと思います」
女騎士「元気にしているといいのですが」
283: 2018/04/01(日) 16:17:11.932 ID:9TRm8/810
女騎士「武闘家さんと僧侶さんは、今はまだ王都に身を留めています」
女騎士「大規模侵攻による人々の怪我や、心のけあをしているそうです」
女騎士「直に、また旅立つとのことですが……」
女騎士「そろそろ身を落ち着ける場所を決めた方が良いのでは、と。戦士さんや魔法使いさんを見ていると思います」
女騎士「大規模侵攻による人々の怪我や、心のけあをしているそうです」
女騎士「直に、また旅立つとのことですが……」
女騎士「そろそろ身を落ち着ける場所を決めた方が良いのでは、と。戦士さんや魔法使いさんを見ていると思います」
284: 2018/04/01(日) 16:18:28.322 ID:9TRm8/810
女騎士「勇者さまと幼馴染さんは、故郷に戻り療養しています」
女騎士「……目覚めたときの勇者さまの荒れっぷりはすごかったですね」
女騎士「幼馴染さんのびんたですぐに落ち着いたみたいですが」
女騎士「……難しいお話ですよね」
女騎士「わたしとしては、早くまた元気な勇者さまに戻ってもらいたいと思います」
女騎士「幼馴染さんがいれば、大丈夫でしょう」
女騎士「あまり心配はいらないかもしれないですね」
女騎士「案外、もうすぐ近くに来ていたりするかもしれません」
女騎士「……目覚めたときの勇者さまの荒れっぷりはすごかったですね」
女騎士「幼馴染さんのびんたですぐに落ち着いたみたいですが」
女騎士「……難しいお話ですよね」
女騎士「わたしとしては、早くまた元気な勇者さまに戻ってもらいたいと思います」
女騎士「幼馴染さんがいれば、大丈夫でしょう」
女騎士「あまり心配はいらないかもしれないですね」
女騎士「案外、もうすぐ近くに来ていたりするかもしれません」
285: 2018/04/01(日) 16:19:09.030 ID:9TRm8/810
王都
ワイワイガヤガヤ…
盗賊「………………」
勇者「…………よう」
盗賊「……なんだよ、珍しいな。王都にいるなんて」
勇者「野暮用でな。少し話さないか?」
盗賊「幼馴染のねーちゃんはいいのかよ」
勇者「あいつは今、僧侶の所だよ。なんか長くなりそうだし、出てきた」
盗賊「そうかい」
ワイワイガヤガヤ…
盗賊「………………」
勇者「…………よう」
盗賊「……なんだよ、珍しいな。王都にいるなんて」
勇者「野暮用でな。少し話さないか?」
盗賊「幼馴染のねーちゃんはいいのかよ」
勇者「あいつは今、僧侶の所だよ。なんか長くなりそうだし、出てきた」
盗賊「そうかい」
286: 2018/04/01(日) 16:19:52.909 ID:9TRm8/810
勇者「……なぁ」
盗賊「なんだよ」
勇者「………………お友達からよろしくお願いします」
盗賊「ぶっ!!」
盗賊「……てめえ……!」
勇者「ククッ……生真面目なあいつらしいな」
盗賊「……ちっ、魔王の野郎に乗っ取られてから性格までひん曲がっちまったのかい」
勇者「まあ、そんなに怒るなよ」
盗賊「ケッ」
勇者「悪かったって。あいつも、実は満更でもないんじゃないか?」
盗賊「どうだかな」
盗賊「なんだよ」
勇者「………………お友達からよろしくお願いします」
盗賊「ぶっ!!」
盗賊「……てめえ……!」
勇者「ククッ……生真面目なあいつらしいな」
盗賊「……ちっ、魔王の野郎に乗っ取られてから性格までひん曲がっちまったのかい」
勇者「まあ、そんなに怒るなよ」
盗賊「ケッ」
勇者「悪かったって。あいつも、実は満更でもないんじゃないか?」
盗賊「どうだかな」
287: 2018/04/01(日) 16:20:11.728 ID:9TRm8/810
勇者「で、女騎士は? あいつの所にも寄ろうと思うんだが」
盗賊「……今はやめとけ」
勇者「?」
盗賊「墓参りだとよ」
勇者「………………そうか」
盗賊「……………………」
盗賊「……今はやめとけ」
勇者「?」
盗賊「墓参りだとよ」
勇者「………………そうか」
盗賊「……………………」
288: 2018/04/01(日) 16:20:51.427 ID:9TRm8/810
盗賊「帰ってきた時の落ち込みっぷりったらねえぜ」
盗賊「表面ばっか取り繕いやがって……見てらんなかったよ」
勇者「でも、よく見てるじゃないか」
盗賊「……………………」
勇者「応援してるぜ、親友」
盗賊「……せめて、悪友にしとけ」
盗賊「表面ばっか取り繕いやがって……見てらんなかったよ」
勇者「でも、よく見てるじゃないか」
盗賊「……………………」
勇者「応援してるぜ、親友」
盗賊「……せめて、悪友にしとけ」
289: 2018/04/01(日) 16:22:17.294 ID:9TRm8/810
女騎士「………………」
女騎士「……なんだか、あなたもよく知らない人のことの話までしてしまいましたね」
女騎士「……………………」
女騎士「……そろそろ、行かなきゃ」
女騎士「わたしも、復興のお手伝いがあるのです」
女騎士「これでも、頼りにされているんですよ?」
女騎士「また、来ますね」
女騎士「馬刺し、焼き鳥……」
馬刺し「ヒヒーン」
焼き鳥「キィ、キィ」
女騎士「あらためてですが、これからもよろしくお願いしますね」
女騎士「では、行きましょう」
女騎士「……なんだか、あなたもよく知らない人のことの話までしてしまいましたね」
女騎士「……………………」
女騎士「……そろそろ、行かなきゃ」
女騎士「わたしも、復興のお手伝いがあるのです」
女騎士「これでも、頼りにされているんですよ?」
女騎士「また、来ますね」
女騎士「馬刺し、焼き鳥……」
馬刺し「ヒヒーン」
焼き鳥「キィ、キィ」
女騎士「あらためてですが、これからもよろしくお願いしますね」
女騎士「では、行きましょう」
290: 2018/04/01(日) 16:22:36.500 ID:9TRm8/810
終わり
294: 2018/04/01(日) 16:24:07.345 ID:Vny7mxMPM
乙
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります