781: 2014/04/10(木) 20:33:35 ID:ylB9TRLU



「釣りロマンを求めて」シリーズ

前回:男「釣りロマンを求めて」幼友「第一回!」幼馴染「釣り大会編です」

…翌週末、駅前


幼友「おはよ、お待たせ」

弟「おはよっぱい」

幼友「アンタら、朝はそれ言わなきゃ気がすまないの?」

弟「とんでもない。朝、幼友ちゃんに会う時だけだよ」


幼友「私以外の胸が大きい人だったら?」

弟「……どうだろう、言うかな……いや…しかし……いやいや…少し時間もらっていい?」

幼友「ごめん、答えなくていい」
放課後ていぼう日誌 11 (ヤングチャンピオン烈コミックス)

782: 2014/04/10(木) 20:34:30 ID:ylB9TRLU


幼友「……で、他に何か言う事は?」

弟「今日はよろしくお願いします」


幼友「うーん、そうじゃなくて」

弟「朝でも暖かくなったね?」

幼友「そうそう、だから私はね?」ピラッ


弟「…ごめん、わかってる。服、春らしくて可愛い」

幼友「まったく、そういう照れ隠しするとこそっくりなんだから」


弟「朝ごはんは?」

幼友「軽く食べてきた、そっちは?」

弟「食べてない……っていうか、喉を通らなかった」

幼友「あははっ、あんな挨拶するくせに緊張してんだー」

783: 2014/04/10(木) 20:35:15 ID:ylB9TRLU

幼友「どこか入る?」

弟「ショルダーにカ口リメ入れてるから、大丈夫だよ」


幼友「そっか、じゃあ…どこ行くの?」

弟「……あんまりいいプラン思いついてるわけじゃないんだ」

幼友「いいよ、思いついてるとこに連れていってくれたら」


弟「じゃあ、バスに乗ろう」

幼友「早速?」

弟「うん、動物園に行く」

幼友「動物園かあ、そんなデート初めてだなー」

784: 2014/04/10(木) 20:35:46 ID:ylB9TRLU

………


…バス車内


弟(近い近い近い、谷間がすぐ隣にあるよ)


幼友「バスの二人掛け席って、狭いよね」

弟「ほ、本当だよね」

幼友「余計緊張しちゃう?」クスッ

弟「しちゃう」

幼友「素直でよろしい」

785: 2014/04/10(木) 20:36:23 ID:ylB9TRLU

弟「動物園、行った事ある?」

幼友「誰でもあるでしょ」

弟「だよね」


幼友「でも、中学くらいの頃が最後かなー」

弟「………」

幼友「さっきも言ったけど、デートで行くのは初めてだよ?」

弟「…うん」


幼友「………」

弟「………」

幼友「……ぷっ…あははっ」

弟「な、何…急に笑って」

786: 2014/04/10(木) 20:37:06 ID:ylB9TRLU

幼友「素直に訊いたら? 言いたい事、顔に書いてあるよ」

弟「えっ」

幼友「まあいいや、特別に教えてあげよう」

弟「………」


幼友「高校の頃、二人とお付き合いをしました」

弟「………」


幼友「でも、その頃は妙に相手が子供っぽく感じられて、長続きしませんでした」

弟「……そう」

幼友「大学に入ってからも一人と付き合ったけど、明らかにカラダ目的っぽくてすぐに別れちゃった」

弟「………」

787: 2014/04/10(木) 20:37:57 ID:ylB9TRLU

幼友「高校の時、二人目の人にファーストキスだけはあげちゃった」

弟「うん」


幼友「…でも、喜べ少年。それだけだよ」

弟「うん、よかった。そうじゃなくても構わないけど、やっぱりよかった」


幼友「ただし、まだ誰のものでもないけどねー」

弟「予約済みだよ」

幼友「残念、今のところ予約は受け付けておりません」

弟「ちぇっ」

788: 2014/04/10(木) 20:38:41 ID:ylB9TRLU

幼友「弟君は、今まで彼女がいた事はあるのかな?」

弟「そんなのないよ」

幼友「だろうね」

弟「ひどっ」


幼友「だって勉強一筋だったんでしょ? それに明らかに女の子の扱いに慣れてないし」

弟「…ごめん」

幼友「責めてないぞ?」

弟「うん、ごめん」


幼友「モテなさそうとか、そんな意味じゃないからね」

弟「モテそう?」

幼友「それもないかな」

弟「ひどっ」

789: 2014/04/10(木) 20:39:20 ID:ylB9TRLU

………


…動物園入場口


弟「チケット買ってくるから待ってて」

幼友「お金は? 自分の出すよ」

弟「こういうのは奢るもんでしょ」


幼友「バイトもしてないくせに、無理してんじゃない?」

弟「ううん、本当に大丈夫だから」

幼友「……もしかして、男さん?」

弟「うん…何も話してはないんだけど。朝、洗面所に長くいたら『ちょっとは金持っとけ』って、渡されちゃったんだ…」

幼友「さすが」

790: 2014/04/10(木) 20:39:57 ID:ylB9TRLU

幼友「じゃあ、ここは甘えちゃおうかな」

弟「うん、ちょっと待ってて」

幼友「はーい」


弟「一人でどっか行っちゃだめだよ?」

幼友「私は子供ですか」

弟「ナンパされてもついていっちゃだめだよ」


幼友「彼氏と来てるって言うよ」

弟「やったぜ」

幼友「建前だぞ、建前」

791: 2014/04/10(木) 20:41:30 ID:ylB9TRLU

………



弟「おっけーだよ、入ろう」

幼友「うん」

弟「…もう一回試してみる」

幼友「何を?」


弟「手、繋いでいい?」

幼友「黙って手を出してごらん」

弟「………」スッ


幼友「ちゃんと…」

弟「……?」

幼友「楽しい一日にしてよね──」ギュッ

799: 2014/04/11(金) 16:36:52 ID:2HGAfDLU

……………
………


…幼馴染の家、玄関前


幼馴染(まだかな…)ソワソワ


幼馴染(だいぶ暖かくなったけど)

幼馴染(男と会うのにスカート履く事自体少ないので、なんかスースーします)

幼馴染(男、何か言うかな…)


幼馴染(あ…あの、サーフ…)

800: 2014/04/11(金) 16:38:04 ID:2HGAfDLU

ブロロロロロッ…ガチャッ


男「待たせました」

幼馴染「大丈夫、約束より早いです」ヒラッ

男「……?」

幼馴染(…やっぱり、何とも思わないみたいです)

男「乗らないのでしょうか?」

幼馴染「…ごめんなさい、乗ります」


…バタンッ


幼馴染「今日はどこに連れて行ってくれるのでしょう」

男「…ま、あちこちと」

801: 2014/04/11(金) 16:38:47 ID:2HGAfDLU

幼馴染「……?」

男「………」

幼馴染(なぜ走らないのでしょう)」


男「…ドア、大丈夫ですか?」

幼馴染「半ドアにはなっていないと思いますが」


男「スカート、挟んでませんか?」

幼馴染「…気付いていましたか」

男「当たり前です」


幼馴染「大丈夫、挟んだりしてません」

男「オッケーです、じゃあ行きましょう」

802: 2014/04/11(金) 16:39:22 ID:2HGAfDLU

男「……幼馴染」

幼馴染「?」


男「いつもとは雰囲気が違って、それも可愛いです」

幼馴染「てーい! てーい!」ビシビシ

男「運転手を叩かないで下さい」

幼馴染「…気付いた時に言ってくれたら良いものを」

男「ちょっと照れ臭くて」


幼馴染「…でも男のそういうところ、好きです」

男「べ、別に嬉しくなんてないんだからねっ!」

幼馴染「それはキモいです」

803: 2014/04/11(金) 16:40:09 ID:2HGAfDLU

………



ブロロロロロロ…
…ガコッ、ブロロロロ……


幼馴染「…郊外に向かっています」

男「街へ行きたかったでしょうか」

幼馴染「別に構いません。でも『それらしいデート』と言っていたので、てっきりそうかと」


男「まずはドライブです。田舎の方にオープンテラスのピッツェリアがあるそうなので、そこで昼にしましょう」

幼馴染「おお…オサレです」

男「時期も良いので、そんなのもいいでしょう」ガコッ

804: 2014/04/11(金) 16:40:58 ID:2HGAfDLU

…ガコッ


幼馴染「…いつも思いますが、そのシフト操作は面倒では無いのでしょうか」

男「慣れると息をするのと同じです。むしろATの方が退屈でいけません」


幼馴染「………」スッ

男「ん?」

幼馴染「手を重ねてたら、邪魔でしょうか」キュッ

男「……全然、大丈夫です」


幼馴染「何となく」

男「?」

幼馴染「この手も、好きです」

男「…運転を誤ってしまいそうです」ガコッ…

805: 2014/04/11(金) 16:46:34 ID:ox0UZaxU

男「……あっ」

幼馴染「どうしましたか」

男「…まずはコンビニに寄らせて下さい」


幼馴染「では私はミルクティーで」

男「飲み物を買うためではないのですが、わかりました」


幼馴染「ではなんのために?」

男「……ちょっとATMに」

幼馴染「言わせるべきでなかったです」


男(…ちょっと朝、格好つけすぎたな。もう一枚減らしときゃよかった)チッ

821: 2014/04/13(日) 20:08:53 ID:Ce.oHNhg

……………
………


…動物園


幼友「うわあぁ…久しぶりに生で見ると、キリンでかっ!」

弟「なんか全体のバランスがおかしいよね」

幼友「全速力で走った後ビタ止まりすると、首の重みで前にこけそう」


弟「なんか看板によると茶色の模様の内ひとつがハート形してるって」

幼友「うん、書いてあったね。よし、探そう」

弟「一緒に探して見つけた二人は結ばれるって」

幼友「そうは書いてなかったと思うけど」

弟「バレたか」

822: 2014/04/13(日) 20:09:42 ID:Ce.oHNhg


弟「うーん…よく判らないな…」

幼友「あっ…! 弟君、あの前脚の付け根のとこ!」

弟「えっ、どこ?」


幼友「あそこあそこ、ほらっ」グイッ

弟(近い近い! 何かいい匂いする!)

幼友「…ちゃんと見てる?」

弟「み、見てる!」


幼友「ハート形…ちょっと微妙かな?」

弟「うん、言われなきゃ判らないくらいだね」

823: 2014/04/13(日) 20:10:44 ID:Ce.oHNhg

幼友「キリンって、ビールメーカーの麒麟のシンボルとは全然違うよね」

弟「うん、でも名前は昔中国で皇帝に献上される時、あの神獣麒麟として紹介された故事によるらしいよ」

幼友「へえ、なんか無理矢理っぽいなぁ」

弟「なのに現代では、中国ではキリンとは呼ばずに首の長い鹿扱いなんだって」


幼友「ほほう、さすが博学だね」

弟「いやー、それほどでも」


幼友「実際に生息してる国はどこなの?」

弟「えーっと、ちょっと待ってね」

幼友「弟君、写真撮るふりしてWikipedia見てない?」

弟「またバレたか」

824: 2014/04/13(日) 20:11:50 ID:Ce.oHNhg


幼友「あ…弟君、あっちワニだって」

弟「うん、行こう行こう」


幼友「おおー、これまたでかい」

弟「動かないね」

幼友「うん、なんかおとなしそうに思えちゃう」


弟「…すごい感覚だね」

幼友「あ、今あきれたでしょ」

弟「ちょっと」


幼友「残念、私達って感性が違うのかもしれないね…」フッ…

弟「たぶんすごくおとなしいと思うんだ、僕ちょっと背中に乗ってみるよ」ヨッコラショ

幼友「はやまるな」

825: 2014/04/13(日) 20:38:55 ID:Ce.oHNhg

幼友「ワニって美味しいんだよ」

弟「少し幼友ちゃん見る目が変わりそう」


幼友「いやいや、居酒屋で唐揚げを出す店があるんだよ。他にもカエルとかスズメとかも。それは食べた事ないけど」

弟「ワニは食べたと」

幼友「うん、全然クセもなくて鶏の胸肉と変わらなかった」

弟「まじですか」


幼友「でもカエルはやっぱりちょっと臭みがあったりするんだって。その店に連れてってくれた人が言ってた」

弟「…他の人とのデートの話はあんまり聞きたくないかな」

幼友「おたくのお兄さんとその彼女と一緒の忘年会ですが」

弟「まじですか」

827: 2014/04/13(日) 21:03:28 ID:Ce.oHNhg

弟「アシカプール発見」

幼友「生きろ、そなたは美しい」

弟「僕、ツッこまなきゃだめかな」

幼友「言っただけで満足してるから、大丈夫だよ」


弟「エサ売ってる、買おっか?」

幼友「いいね」

弟「えーっと、三百円…」パカッ

幼友「…ただの豆アジだよね、これ」

弟「うん、どこかの壁っぽい人が釣りまくったアレだね」

幼友「三百円か…」

弟「やめとこっか」パタン

アシカ「えっ」

833: 2014/04/15(火) 19:10:00 ID:9CvvOWdY

弟「ミニ水族館だって。熱帯魚ゾーン、すごい綺麗」

幼友「あ、あれニモ!」

弟「カクレクマノミだね」


幼友「可愛い、ドリーはいないかな」

弟「ドリーってナンヨウハギだっけ、あれじゃない?」

幼友「おー、本当だ」

弟「サンゴにすごく派手なウミウシくっついてる」


幼友「いいなー、アクアリウム…癒されるなぁ」

弟「うん、解った。将来は家に大型水槽置こう」

幼友「じゃあ、たまに遊びに行くよ」

弟「やったあ……って、あれ…なんか違うぞ…?」

834: 2014/04/15(火) 19:10:33 ID:EQLNjKm.

幼友「海月の水槽があるよ」

弟「和むよねー、海月。キクラゲとか好きだな」

幼友「はいはい」ヤレヤレ

弟「うわ、冷てえ」


幼友「えーと、水クラゲとアカクラゲ…」

弟「………」

幼友「…釣りしてたら見るやつだね」

弟「…次、行こっか」

835: 2014/04/15(火) 19:11:10 ID:BfGPflXk

弟「アッと言う間にミニ水族館は終わりかぁ」

幼友「ま、動物園だしね」


弟「右に行くとペンギン、左は猛獣エリアだって」

幼友「ここは先に猛獣見てからペンギンで和むコースで」

弟「いえっさー」


弟「猛獣かぁ…『きゃっ!』って言いながら抱きつく準備はOK?」

幼友「そっちこそ、急に吠えられて抱きついてくるんじゃない?」

弟「それもアリだな…」

幼友「『とーう』の準備は万端だからね」

836: 2014/04/15(火) 19:11:55 ID:9CvvOWdY

弟「えーと、最初の檻は…」

幼友「ふっふっ…これは名前見なくても判るよ。ヒョウだね、ヒョウ柄してるもん」

弟「え? チーターでしょ?」


幼友「はぁ? チーターは茶色ベースに黒い斑点だよ。この花模様みたいのに黒い輪郭の模様はヒョウでしょ」

弟「いやいや、チーターだってば」

幼友「じゃあネームプレート見てみようよ」

弟「よしきた」


【ジャガー(ネコ科ヒョウ属)】


弟「……えっと、僕の負けでいいよ?」

幼友「釈然としない…」フルフル

837: 2014/04/15(火) 19:13:03 ID:4Bw6Y6Sk

幼友「次は百獣の王ってやつだね!」

弟「あなたの暮らしを見つめる」

幼友「これが部屋にいたら、おちおち歯も磨けないね」


弟「ライオンってオスとメスがはっきりしてていいよね」

幼友「さっきのジャガーとか判らないもんね」

弟「仲良さそうだなー、寄り添ってる」

幼友「こんな感じかな?」ピタッ

弟「おぅふ」ズキューン

幼友「はい、サービス終わり」スッ


弟「あ、今度はメスがオスの顔舐めてるよ」ドキドキ

幼友「しないからね?」

838: 2014/04/15(火) 19:37:25 ID:dXxagDfg

……………
………


…田舎のピザ屋


幼馴染「びっくりです、本当にオサレなところでした」

男「まだ少し昼には早いので、人が少なくて良かったです」


幼馴染「男はどこでこの店の情報を?」

男「それは気にしなくていいです。とりあえず店の中で注文するようです」

幼馴染「なぜ教えませんか」

男「いいから、入りましょう」

幼馴染「……?」

839: 2014/04/15(火) 19:39:22 ID:dXxagDfg

キイッ…カランコローン


店員「いらっしゃいませー」

男「おお…本場のメニューばかり」


幼馴染「せっかく本格的な石窯まである店なので、私は基本中の基本でマルゲリータにします」

男「決まったなら先に出て、表のテーブルをキープしておいて下さい、早く」

幼馴染「妙に急かされました」

男「いいから、頼んでおくから」


幼馴染(…何か引っかかります)

幼馴染(ハッ…まさか、初めて来たふりをしてるけど、他の女の子とよく来てて店員さんに覚えられてるとか…?)

840: 2014/04/15(火) 19:40:20 ID:dXxagDfg

…カランコローン


幼馴染(扉を鳴らして、出たふりだけしてみます。よーし、気づいてない──)ププッ


男「じゃあ…マルゲリータひとつと、ボスカイオーラひとつ」

店員「かしこまりました」

男「あの、それと…」

店員「はい?」


男「『るるぶ』見ました」


店員「あ、はい。じゃあ5%引きにいたしますね」

男「お願いします」


幼馴染「──ごめん、男っ!」カランコローン、タタタッ

男「うわ、聞かれた!?」

843: 2014/04/16(水) 09:57:52 ID:/Sa31UrI

………



男「………」ムスー

幼馴染「まあ、そう不貞腐れずに」


男「どうせこんな店知らないから下調べしましたよ」

幼馴染「るるぶで?」

男「るるぶとおでかけまっぷるで」


幼馴染「二冊も買ったのですか」

男「ほとんどの情報が被ってました…」

幼馴染「それはそうでしょう」

844: 2014/04/16(水) 09:58:32 ID:/Sa31UrI

幼馴染「…でも、嬉しいです」

男「はい?」

幼馴染「いつもと違うデートのために、情報を仕入れたり努力してくれた事が」

男「…できれば色んなスポットを知ってるふりがしたかったです」


幼馴染「確かに…今日は感心しておいて、後から男の部屋で情報誌を見つけるとかのシチュエーションも捨てがたい」

男「それも恥ずかしいです」

幼馴染「しかもデートで寄ったスポットのページが、いちいち角をドッグイヤーにしてあったりすると萌え萌えです」

男「萌えとか言うな」

845: 2014/04/16(水) 09:59:25 ID:/Sa31UrI

店員「お待たせしましたー」


男「でかっ」

幼馴染「直径30cm以上あります」

男「…薄生地ではありますが、これは二人で一枚とサイドメニューくらいで良かったのかも」


幼馴染「大丈夫、食べられます」

男「まじですか」

幼馴染「たぶん余裕です」


男「…お菓子も好きだし、なぜ幼馴染は太らないのでしょう」

幼馴染「体質でしょうか」

男「脂肪がつきにくい体質──?」

幼馴染「──待て、続きが読めた。みなまで言うな」

864: 2014/04/18(金) 13:21:35 ID:.8rL.fu.

男「さあ、熱い内に食べましょう」

幼馴染「では、いただきます」


男「おおおぉぉぉおぉおぉ?」トローン

幼馴染「すごいチーズが伸びています。食べにくそうです」クスクス

男「……美味い、チーズのコクが全然違います」モグモグ


幼馴染「マルゲリータもバジルの香りがいいです。ああ…幸せ」

男「歯にバジルついてても教えずに写真撮ってやります」

幼馴染「ご心配なく。先ほどお手洗いを借りた時に、化粧室に歯磨きセットが置いてあるのを確認してますので」

男「ぐぬぬ」

865: 2014/04/18(金) 13:22:57 ID:.8rL.fu.

男「あ、幼馴染…向こうの山を見て下さい」

幼馴染「えっ」クルッ


──ヒョイッ、ピッピピッ…


幼馴染「……新緑が綺麗なだけですが」

男「ああ…鹿がいたけど、隠れてしまいました」

幼馴染「それは残念。でも今は目の前のピザに夢中です」パクッ

男「………」


幼馴染「うーん…チーズがマイル…ド……ふぁっ!? か、辛っ…! 辛いぃっ!?」

男「どうしましたか」ププッ

幼馴染「ふえぇ……なんかこの一切れだけ、タバスコがかかってます…辛くて食べられません」

男「幼馴染は辛いの苦手でしたね、仕方ないから俺が食べましょう」クックック…

866: 2014/04/18(金) 13:23:46 ID:.8rL.fu.

幼馴染「ではボスカイオーラも一切れ下さい」

男「嫌です」

幼馴染「えっ」

男「さっき『萌え萌え』とか言って俺を辱めた罰です。何か俺を萌えさせたらあげましょう」モグモグ


幼馴染「うわ目遣い」

男「まだまだ」


幼馴染「…手で猫耳」ピコッ

男「もうひと声」


幼馴染「……胸、小さくてごめん…ね…?」グスッ、ウルウル…

男「ごめん、あげる。そこまでするとは、本当ごめん」

883: 2014/04/21(月) 00:38:25 ID:j2gv5r6I

……………
………


…動物園フードコート


弟「そろそろ何か食べよう」

幼友「うん、お腹空いてきた」

弟「こういうところだから、そんなに味に期待はできないかもだけど」

幼友「でもこんな時は安っぽい味も似合ったりするよね」


弟「僕、ホットドッグとカップ唐揚げ」

幼友「じゃあ、ポテト餅とフランクフルト」

弟「飲み物はこのストローを二本差すラブいビッグカップで──」

幼友「私、缶ビールで」

弟「………」

幼友「缶ビールで」

884: 2014/04/21(月) 00:39:27 ID:j2gv5r6I

………



弟「良かった、席まだ空いてる」

幼友「いやー悪いねー、自分だけ飲んじゃって」プシッ

弟「僕、まだ未成年だし」


幼友「……こんな時にまで昼間からビール飲む女なんて、嫌でしょ?」

弟「滅相もない、それが僕の好きなヒトだから」


幼友「私がオトコの人だったら、嫌かもしれないなぁ」ゴキュゴキュ

弟「僕は嫌じゃないよ。…ってか、成人したら一緒に昼から飲みたいね」


幼友「なかなか…しぶといね」プハ

弟「まだまだ、僕はしつこいよ」

幼友「…その意気だよ」クスッ

885: 2014/04/21(月) 00:41:33 ID:j2gv5r6I

幼友「マスタード、もうちょい欲しかったな…」カプッ


弟「おぉ…フランクフルトを咥える口もと、それでご飯三杯はイケるな」

幼友「人が食べてる物に変な想像しないでくれる?」モグモグ…

弟「ん? 僕が何を想像したと思ってるのかな?」

幼友「むっ…目上の人をからかうんじゃないのっ」

弟「あはは、ごめん」


幼友「まったく……はい、どーぞ?」スッ

弟「え?」ドキッ


幼友「言って欲しいの? ふふっ…あーんして」クスッ

弟「うわ、嬉しい。あーん──」パクッ
幼友「──で、さっきは何を想像したのかな」

弟「………」エレエレエレ…

886: 2014/04/21(月) 00:43:09 ID:j2gv5r6I

弟「なんかさっきの『あーん』以降、めちゃくちゃ周りの視線を浴びてる気がするんだ」

幼友「それは自意識過剰ってもんだよ」


弟「でも絶対、今フードコートにいる中で一番かわいいと思う」

幼友「間違いなく言い過ぎだよ」


弟「少なくともおっOいはブッちぎりだと思うんだ」

幼友「ほほう、じゃあ比較のために他の娘の胸も見てると」

弟「それは仕方がないよ」

幼友「言い訳もしないんだ…」


弟「もうカップルとすれ違う度に内心勝ち誇っちゃうもん」

幼友「人の胸で勝手に勝負しないでくれる?」

887: 2014/04/21(月) 00:45:08 ID:j2gv5r6I

弟「…幼友ちゃん、今のところ楽しい?」

幼友「うん、意外と悪くないね。こういうデートも」


弟「意外とって事は、最初は不安だった?」

幼友「不安って事はないけどね」

弟「正直、僕は不安だったよ」


幼友「もし全然盛り上がらなかったら…」

弟「…盛り上がらなかったら?」

幼友「たぶん弟君はどんどんプレッシャーを感じて、更に空回りするだろうからね」

弟「そう…だったかも」

幼友「あはは…だから、その時にはそれをからかうのも楽しいかも…って、今朝はそう思ってた」

弟「ひでえ」


幼友「何にしても、楽しみにしてたって意味だよ」

弟「……うん、ありがとう」

888: 2014/04/21(月) 00:45:58 ID:j2gv5r6I

幼友「今日は、このまま動物園で一日使っちゃう?」

弟「いや…他にも行きたいけど、まだもう少しはまわろうと思ってる。…構わない?」

幼友「うん、まだ見てないエリアもあるしね」


弟「その後は駅前に戻って、ちょっと買い物して…それから晩ごはんでも」

幼友「買い物?」

弟「今日の記念になるものを買いたいんだ」


幼友「ほほう、何かの記念日なのかな?」

弟「意地悪だなぁ……いいんだ、僕にとっては記念日なんだよ」


幼友「ふふっ…ごめんごめん。じゃあ、食べ終わったし…行く?」

弟「うん…えっと」

幼友「………」


弟「……ん」スッ…

幼友「そうそう、黙って…ね」ギュッ

895: 2014/04/21(月) 10:00:49 ID:ADf0AcF2

男「よかっ…た……お前ら…も楽しそうにやっ…てる…な…」

弟「あれ? 兄ちゃん、なんで動物園に?」

幼馴染「…重大…な…タイムパラドクス…時空の崩壊…」

幼友「じゃ…私達、消えちゃうんだね…」


男「また…必ず……次の時間軸で…も……会いましょう、そし…て…その時も……」

弟「うん、分かってる」

男「…そう…か」


幼馴染「私…も…です……仕方ない…から」

幼友「付き合いますよ、男さん──」

… … …

男「釣りロマンを求めて」
幼馴染「仕方ないから付き合います」


── 完 ──

897: 2014/04/21(月) 10:17:42 ID:ADf0AcF2

………



幼友「カピバラさん発見ー」

弟「最大のげっ歯類なんだよね」


幼友「でも本当に最大のげっ歯類は、ある夢の国にいるよね」

弟「そういえばそうだね」

幼友「カピバラさんは全然あのネズミとは似てないねー」


弟「って言うか、げっ歯類か怪しいよね。前歯無いもん。そもそも背中にはファスナーが──」

幼友「──ハハッ」ゴスッ

898: 2014/04/21(月) 10:18:48 ID:ADf0AcF2

弟「ふれあいコーナーあるよ。でもウサギとか抱っこしたら、服汚れちゃうか…」

幼友「入る」フンス

弟「え? 入るの?」

幼友「入る、ウサギ触る」ワキワキ


弟「二重扉になってる、動物が逃げないようにだね」カタンッ

幼友「そっち、閉めた?」

弟「大丈夫だよ、入ろう」ガチャ


幼友「とーう」ガバッ

弟「いきなり襲いかかるから逃げてるよ、こっちのケージのモルモットの方が簡単に…」

幼友「逃げるな! とーうとーうっ!」

弟(…ウサギ、好きなのか)

899: 2014/04/21(月) 10:20:15 ID:ADf0AcF2

幼友「えへへ…捕まえた、二匹も」ホワワーン

弟「幸せそうだなー」

幼友「あああぁぁあぁぁ…可愛い…!」モフモフモフ

弟「ウサギ、くっそ羨ましい」チッ


幼友「あ、でも服は噛んじゃだめよ、とーう」ヒョイッ


…ビヨーン、チラッ


幼友「あっ」

弟(服…胸元が伸ばされて、ブラが…!!)ムハーッ

幼友「…見た?」ジロッ

弟「見テナイ、ゼンゼン」プシュー

幼友「説得力皆無なんだけど」

900: 2014/04/21(月) 10:54:13 ID:hGaKZoEY

………



弟「ポニー乗馬体験だって、乗る?」

幼友「ポニーに大人って乗れるの? …それに」

弟「それに?」


幼友「…私、今日スカート履いてるんだからね?」

弟「だから言ったんだけど」

幼友「とーう」ビシッ

901: 2014/04/21(月) 10:54:50 ID:hGaKZoEY

弟「幼友ちゃん、将来は犬とか猫とか飼いたい?」

幼友「んー、どっちかと言うとさっきそんな話題になったけど、熱帯魚飼いたい」

弟「今日、水族館にすべきだったかなー」


幼友「見るのは動物も魚も好きよ? でもやっぱり哺乳類のペットはお別れの時が悲しすぎる気がするから」

弟「ああ…そうかも、でも魚だって氏んだら悲しいだろうね」

幼友「釣って食べるのとは訳が違うからねー」


弟「…考えてみれば、釣りって餌や魚の命をたくさん奪ってるんだよね」

幼友「自分が生きる糧とするために『自分で頃すか』『他人に頃してもらったものを食べるか』だけの違いだよ」

弟「うわ、幼友ちゃん格好いい」

幼友「…ある人の受け売りだよーだ」クスクス

902: 2014/04/21(月) 11:08:05 ID:Bpiq8/uk

弟「幼友ちゃん、その『ある人』って…」

幼友「あー、アルカパ。なんか変な体型だよねー」

弟「…ずるい」

幼友「え? 何か言ってたっけ? よく聞こえなかったや」

弟「アルカパじゃなくて、アルパカだよね」ボソッ


幼友「………」

弟「………」


幼友「まただね…私達、価値観が違うみたい…」フッ…

弟「やっぱ聞こえてるし、そこは譲れないかな」

幼友「くっそ」

906: 2014/04/21(月) 12:48:17 ID:BeYJtAas

弟「幼友ちゃん、まだ兄ちゃんの事…好きなの?」

幼友「…直球だね」

弟「ん、答えなくてもいいけど」


幼友「前はね、このくらい好きだった」

弟「軽く両腕を広げたくらい?」

幼友「でも幼馴染ちゃんの事は、このっ……くらい好き」

弟「広げすぎ。腕、千切れる千切れる」


幼友「で、男さんの事…今は」

弟「今は…?」ゴクリ

幼友「…解んない。きっと違う感情に変わっていってるんだよ」


弟「そっか…じゃあ、僕は?」

幼友「教えなーい」ベーッ

907: 2014/04/21(月) 12:49:38 ID:BeYJtAas

弟「僕も…昔、好きだった人はいたんだ」

幼友「ほほう、興味深いね」


弟「小学校の同級生で、生意気言うけど多分お互い好きだったと思う」

幼友「………」

弟「でも、五年生の時に引っ越しちゃったんだ。それから暫くは年賀状なんかは交換してたけど、それも途絶えちゃった」


幼友「…もしそのままだったら、弟君にもいい仲のオサナナジミがいたのかもしれないね」

弟「うん、だけど良かったよ」

幼友「良かったの?」


弟「だからこそ、幼友ちゃんを好きになれたから」


幼友「とーう! とーう!」ビシビシ

弟「いてててて」


幼友「…悔しいけど、今までの中では一番ぐっときたよ」

914: 2014/04/22(火) 12:36:31 ID:vPHSOxR2

……………
………


…男&幼馴染、昼食後


ガチャッ…バタン…
…ズキュキュキュッ、ブロロンッ


男「スカート、挟んでないでしょうか?」

幼馴染「大丈夫だと言うに」

男「こちらとしては慣れないもので」


幼馴染「ショートパンツにすべきだったでしょうか」

男「そんな事ないです。さあ、次は街中プランとアウトドアでない郊外プラン、どっちがいいでしょう?」

幼馴染「全部お任せです」ニコッ

男「では…>>915

917: 2014/04/22(火) 16:48:07 ID:Vxx/Eimc

男「じゃあ、街へ。何かショッピングとかで見たいジャンルはあるでしょうか」

幼馴染「特に今、これといって見たいものはありません」

男「なら適当に、駅前に車を停めて歩きますか」


幼馴染「ここからだと車でどの位かかるのでしょう」

男「一時間までかかるかどうか…というところでしょうか」


幼馴染「では」

男「おやすみなさい」


幼馴染「……まだ何も言ってないのですが、当てられました」

男「だてに長く付き合っていません。その代わり起きたらラブホの駐車場かもしれませんが」ニヤリ…

幼馴染「何ら困りません」

男「ですよねー」

918: 2014/04/22(火) 16:49:19 ID:Vxx/Eimc

………


…駅前、コインパーキング


バタン、バタンッ…


男「田舎から街中へ、ガラッとロケーションチェンジです」

幼馴染「特に目的地はありませんが」

男「一番店の多い通りをぶらぶらしましょう」


幼馴染「………」

男「よっ…と」ギュッ

幼馴染「おお、あっさり手を握られました」

男「そう見えて、内心そんなにあっさりでもなかったりします」ポリポリ

幼馴染「…よきかな」

919: 2014/04/22(火) 16:50:12 ID:Vxx/Eimc

幼馴染「男も見たい店があったら寄って下さい」

男「なら早速、そこのシューズショップへ」


幼馴染「ほほう、小ぢんまりした店ですが所狭しとディスプレイされています」

男「けっこう好みのものを集めてて、お気に入りの店です」


幼馴染「ジャンルも様々、値段もピンキリ」

男「ピンキリの『キリ』の方も揃えているのがいいところ」

幼馴染「確かに」

920: 2014/04/22(火) 16:51:28 ID:Vxx/Eimc

幼馴染「いらっしゃいませぇ、どのようなシューズお探しですかぁ?」

男「なぜに店員」

幼馴染「なんとなく、見立ててあげようかと」


男「だんだん暑くなってくる時期なので、夏を通して履けるようなのを探すつもりです」

幼馴染「サンダルではなく?」

男「サンダルはスリッポンからレザーまでだいたい揃っているので、七分丈のジーンズに合うようなデッキシューズ系を」


幼馴染「そういえば男はサンダル以外で言うと、釣り用のシューズかブーツ系を履いているイメージしかありません」

男「失礼な、普通のスニーカーも持っています」

幼馴染「どんな時に履くのでしょう」

男「…足場の良い釣りの時かな」

921: 2014/04/22(火) 16:52:12 ID:Vxx/Eimc

幼馴染「では物色していきます」

男「よろしくお願いします」


幼馴染「淡いカラーだけの、ごく普通なデッキシューズでは面白くありません」

男「ふむふむ」

幼馴染「そこでこちらなど如何でしょう。白をベースにしながらもベージュの縁取りとヒール周りのネイビーが無難なのに個性的」

男「ほほう」


幼馴染「白の部分は布地ですが、カラーのところはスエード調となっており、実用性外のオサレ要素も」

男「良さげです。して、お値段は」

幼馴染「こちら、なんと」ピラッ


男「ピンキリで言うと」

幼馴染「…ピンでした」イソイソ、ナイナイ…

929: 2014/04/22(火) 19:52:44 ID:kGbTvlmQ

………



男「結局、似たデザインの安価な品をお買い上げました」

幼馴染「良いと思います」


男「さあ、またぶらぶらしますか」

幼馴染「らぶらぶしても良くってよ?」

男「まあ、ほどほどに」

幼馴染「ほどほどにぶらぶらでらぶらぶ」ププッ

男「若干、笑いのツボがわかりません」

930: 2014/04/22(火) 19:53:43 ID:kGbTvlmQ

男「ゲーセン、入りますか?」

幼馴染「メダルゲームの多いところなら入りたいです」

男「確かここはまあまああったはず…」


幼馴染「おお、あります。メダルは…100枚千円ですか」

男「とりあえず千円分だけ買います」ジャラジャラジャラ…


幼馴染「何に挑みますか」ワクワク

男「まあ待て、焦るな」フフン

幼馴染「ギャンブラーな顔になっています」


男「まずは地味ですが、手堅く元手を増やします」

幼馴染「これは…メダルポーカー?」

男「ワンペアから配当があり、かつ連続ダブルアップが可能な台を選びます」

931: 2014/04/22(火) 19:54:42 ID:kGbTvlmQ

男「はい、スリーカード。配当3枚、迷わずダブルアップ」

幼馴染「元は1枚賭けだから気楽です」


男「おっ、ディーラーが4です。ラッキー」パシーン

幼馴染「6、意外とギリでした」


男「はい次、8か…五分だな。まあ、怖れる配当じゃ無し」パシーン

幼馴染「おお、ジャック」


男「更に次…よし、7です」

幼馴染「これを当てれば24枚…」

男「おっけー!キング出現ー!」


幼馴染「更にいきますか」

男「いや、最初は配当が20枚を超えたら引きます。手持ちが200~300枚になったら引き際を50枚にするのが俺のジャスティス」

932: 2014/04/22(火) 19:57:22 ID:kGbTvlmQ

男「よーし、元手の倍にはなったから一回払い出して…」ジャラララララ…

幼馴染「ちょっと下さい」フンスフンス

男「そのつもりです。目の届く範囲で、好きなのやってて下さい。俺ももう少し増やしたら行きます」

幼馴染「ラジャ!」ビシッ

… … …

男「チッ…あれ以降、思うように増えねえな…」パシーン


オトコー、オトコー!


男(いっそベット枚数を増すか…? でも、それやって良い方向になった事がないしな…)


オートーコー!
チョット キテクダサイー!


男(ん…? 何か呼ばれた?)


ヒギャアアアアァァァ!
マタ アタッターー!

933: 2014/04/22(火) 19:58:06 ID:kGbTvlmQ

男「どうしましたか、競馬ゲームの台で」

幼馴染「はわ…はわわ…」フルフル


男「ああ…120枚。割と増えているようですが、声が大袈裟──」

幼馴染「違います、120『倍』です」


男「…何枚賭けで?」

幼馴染「間違えて10枚一気賭けのボタン押しました…しかも二回連続」


男「じゃあ、今の貯メダルは」

幼馴染「2000枚くらい」

男「地味にポーカーなんかやってられっかあああぁぁ!」ムキーッ

935: 2014/04/22(火) 20:38:05 ID:dnK4YTJY

……………
………


…弟&幼友ペア、バスの中


弟「ウサギ、可愛かったね」

幼友「………」

弟「手を繋いで歩くの、嬉しかった」

幼友「………」

弟「この後は街より手前の河川公園で降りて、ちょっとボーッと話でも──」

幼友「………」コクッ


──トサッ

936: 2014/04/22(火) 20:38:43 ID:dnK4YTJY

弟「幼友ちゃん…?」ドキッ

幼友「………」スゥ…


弟(寝てる、肩に寄りかかって…)

弟(動物園では、よく歩いたもんな)

弟(髪…いい匂いだなー)


『きっと違う感情に変わっていってるんだよ──』


弟(『変わっていってる』って事は、まだ全てが変わってはいないって事…だよね)

弟(まだ幼友ちゃんには、兄ちゃんを好きな気持ちも燻ってる)

弟(悔しいなぁ…)

937: 2014/04/22(火) 20:39:37 ID:dnK4YTJY

弟(でも…超えるよ、兄ちゃん)

弟(僕が同級生のあの娘が引っ越した事を、今では良かったと思えるように)

弟(幼友ちゃんにも、いつか『男さんの傍に幼馴染ちゃんがいて良かった』って、言わせてみせるから)

弟(そして、その時こそ──)


《次は河川公園前です》ピンポーン


弟「あ…」

幼友「………」スゥ…

弟(河川公園は、やめとこっかな…)


弟(──兄ちゃん)

弟(その時こそ、勝ち誇った顔で)

弟(『巨O最高』って言ってやるからな──)

942: 2014/04/23(水) 13:09:56 ID:WvZ6zsek

………



《次は終点、◯△駅前です》ピンポーン


幼友「…ん……」

弟「おはよ」


幼友「……ごめん、めっちゃ寝てた」

弟「うん、いっぱい歩いたからね」

幼友「あの、つまらない訳じゃないからね」

弟「わかってる、寧ろ嬉しかった。……あっ」

幼友「ん? …どしたの?」


弟「おはよおっOい」

幼友「わざわざ言い直すな」

943: 2014/04/23(水) 13:10:40 ID:WvZ6zsek


………



弟「駅前に帰ってきたねー」


幼友「どこか行きたい店とかは?」

弟「特に目当てとかは無いかな。でもさっき言った通り、何か記念になるもの買いたい」

幼友「記念になるもの…ねぇ」


弟「うーん、服とかは違う気がするし…アクセサリーなんか着けるガラじゃないし」

幼友「じゃあ色んなお店のある通りをぶらぶらしよう。いい店あったら入ればいいよ」

弟「通りをらぶらぶ?」

幼友「置いてくよ」

944: 2014/04/23(水) 13:11:14 ID:WvZ6zsek


弟「シューズショップも違うなー」

幼友「記念の品が履き潰されるってのもね」


弟「あ、このゲーセン懐かしい」

幼友「今は関係ないぞ?」

弟「はーい」


幼友「…そうだ、この少し先に雑貨屋さんあるよ」

弟「ああ、いいかも。行こう行こう」

945: 2014/04/23(水) 13:12:07 ID:WvZ6zsek

………


…雑貨屋


弟「おー、女の人向けの物が多いけど、オトコ向けのもちょいちょいある」

幼友「アクセサリーじゃなくとも、何か小物がいいかもね」


弟「この多機能ナイフ、かっこいいなー。色んなツールがひとつになってて、釣りでも役立ちそう」

幼友「ビクトリノックスは有名だね。…でも」

弟「でも?」


幼友「こういう時の記念の品で、刃物はいいのかな? 関係を断ち切る…ってね」

弟「ぜってぇ買わねえ! 見向きもしねえっ!」

946: 2014/04/23(水) 13:12:53 ID:WvZ6zsek

幼友「時計とかは?」

弟「欲しいようなのになると、ちょっと高いかなー」


幼友「文房具とか」

弟「好きだけど、こないだ兄ちゃんに合格祝いでクロスの複合ボールペン貰っちゃった」

幼友「そっかー」


弟「………」

幼友「何がいいかな…」

弟(…手を繋ぐのも黙って差し出せって言われたし。きっと強気にいった方がいい…はず)


幼友「あっち、見てみよっか──」

弟「──幼友ちゃん。何か…お揃いのもの、買いたいんだ」

947: 2014/04/23(水) 13:13:42 ID:WvZ6zsek

幼友「…グイッと来たね、どうしよっかなー?」

弟「いや…まだ違う…これじゃ足りないね」

幼友「ん?」


弟「幼友ちゃん。何かお揃いのもの買うから、一緒に持って下さい」


幼友「……あはっ、いいね。嫌いじゃないよ、そういうの」ニコッ

弟「良かったぁ…」

幼友「じゃあ、携帯のストラップ見よう」

弟「うん、レジの近くのところにあったよ」

948: 2014/04/23(水) 13:14:50 ID:WvZ6zsek

幼友「これ、格好いいよ?」

弟「あ、いいね。でも僕、だいたい携帯をポケットに入れるから、金属部分が多いと傷まみれになっちゃいそう」

幼友「そっか、女の子はだいたいバッグに入れるからなぁ」


弟「これは? ちょっとエスニックな感じ、金属パーツも無し」

幼友「組紐細工だね、けっこう好きな感じだよ」

弟「幼友ちゃんなら、この薄ピンクとブラウンの紐を組んだのが合いそう」


幼友「うーん、もうワンアクセント欲しいな」

弟「じゃあ、こっち。同じ配色で、先にシルバーの飾りついてる」

幼友「金属パーツだけど、いいの?」

弟「このくらいなら平気かな、僕はどの色にしよう」


幼友「同じデザインのやつで…このオレンジとブラウンのは?」

弟「この黄色と緑のやつ好きだなー」

949: 2014/04/23(水) 13:15:44 ID:WvZ6zsek

幼友「黄色と緑……それは似合わないよ」


弟「えっ…ショック、センス悪い?」

幼友「ううん、弟君のイメージじゃないかなって。こっちにしようよ、せっかくならブラウン基調もお揃いで」

弟「僕がオレンジで、幼友ちゃんがピンクかぁ。…うん、それも嬉しいかも」


幼友「よーし、じゃあ…これは買ってもらっちゃおうかな」

弟「うん、僕が買うって言ったし。レジ行ってくるから、ちょっと待ってて」


幼友(……ごめんね、弟君)

幼友(黄色と緑の組み合わせ…綺麗だと思うよ)

幼友(ただ…なんとなく、ミモザの花を連想しちゃったんだ──)

950: 2014/04/23(水) 15:23:03 ID:78dFNlpM

……………
………


…男&幼馴染、ゲーセンの外


幼馴染「結局、使い切れなかったです…」

男「1000枚以上、預け入れしました」


幼馴染「でも預かり期間中に来る事があるのでしょうか」

男「大丈夫です。この貯メダル証を、街によく出る友人に売りつけます。三千円くらいはカタい」


幼馴染「それなら二千円は私の分です」ニコッ

男「えっ、元手は俺の…」

幼馴染「大当てしたのは誰でしょう」

男「…ですよねー」ガクッ

951: 2014/04/23(水) 15:23:46 ID:78dFNlpM


幼馴染「夕方が近づいています」

男「でもすっかり日が長くなりました」


幼馴染「…この後は、どうするのでしょう」ドキドキ

男「どこかで食事して、それから…」

幼馴染「……帰る?」

男「帰さない…と言うべきところです」

幼馴染「既に何度も外泊した事はありますが、今日はなんとなくいつもと気分が違います…」


男「デート、こんな感じで良かったでしょうか」

幼馴染「すごく楽しかったです」

952: 2014/04/23(水) 15:24:25 ID:78dFNlpM


幼馴染「だけど…」

男「?」

幼馴染「男と一緒に過ごすのは、いつだって楽しいです」

男「感無量です」


幼馴染「もちろん幼友や弟君、少年君も少女ちゃんも。みんなで過ごす時間だって幸せですが」

男「…そういえば、あいつらどうしてるかな」

幼馴染「弟君もどこかへ?」


男「はい、たぶん…幼友ちゃんと」

幼馴染「もしかして、この前の釣り勝負の…」

男「朝、洗面台を長く占領していた感じからして間違いないと思います」

953: 2014/04/23(水) 15:25:08 ID:78dFNlpM

幼馴染「…弟君には頑張ってほしいです」

男「もちろん俺も兄としてそう願っています…が、何しろ相手は幼友ちゃん。なかなか高嶺の花です」


幼馴染「でもそんな幼友は、男の事…」

男「幼馴染」

幼馴染「…ごめんなさい」


男「そこの雑貨屋、高校の頃に来たのを覚えていますか」

幼馴染「それはもう、はっきりと」

男「今だから言えますが、実はあの時はデートだと意気込んで緊張しきりでした」

幼馴染「私もそうだった気がします」


男「…同じ店、久しぶりに入りましょうか」

幼馴染「はい、今度は手を繋いで」ニコッ

男「ん」ギュッ

954: 2014/04/23(水) 15:25:46 ID:78dFNlpM


………


…雑貨屋、入り口


男「…俺は幼馴染一人を幸せにする事で手一杯です」

幼馴染「はい」

男「幼友ちゃんの気持ちを迷惑だと言う気はありませんが、それに応える事もできません」

幼馴染「…はい」


男「高校の頃も、ずっとこれからも…決して脇目は──」

幼友「──あれ?」


男「おはよおっOい」

幼馴染「てーい」ビシッ

955: 2014/04/23(水) 15:26:40 ID:78dFNlpM

幼馴染「おやおやー? 幼友、誰と手を繋いで何をしてるのでしょうか」ニヤニヤ

弟「違うよ、幼馴染ちゃん。こないだの釣りで一位をとれたらって、僕がお願いしてただけ──」


幼友「──デートだよ、楽しかったんだから」ギュッ

弟「えっ」

幼友「オトモダチとのデートだけどねっ」クスッ


男(…まずまず、上手くやったみたいだな)

幼馴染「楽しかったなら、良かったです。私達も楽しい一日を過ごせました」

幼友「二人はこれからどうするの?」

男「特に決めてはないです。適当な時間に夕食を摂って…」

956: 2014/04/23(水) 15:27:37 ID:78dFNlpM

幼友「………」チラッ

弟「…僕、今日はもう充分に満足したよ?」

幼馴染「なんとなくこうなったらこうなったで、それでいい気がします」

男「……じゃあ、四人で動きますか」


弟「兄ちゃん…晩ご飯、オススメのとこは?」

男「うーん、正直知識は飲み屋ばっかりです」

幼友「飲んじゃう? 飲んじゃう?」ウキウキ

男「それが車を置いているので」

弟「僕、まだ免許ないからなー」

957: 2014/04/23(水) 15:29:02 ID:78dFNlpM

幼馴染「…それなら、いい方法があります」

男「ほほう」


幼友「私も、何となく思いついたよ? …みんなで車に乗って」

弟「美味しいもの、テイクアウトして」

幼馴染「トランクにいつでも入ってるクーラーボックスに、お酒も買い込んで」

男「…ついでに餌も買い込んで?」

幼友「波音聞きながら乾杯してっ」

幼馴染「眠くなったら、車内で寝られます」

弟「朝にはお酒も抜けるしね」


男「じゃ、いつも通りですが。…釣りに行きますか──」



【デート閑話、おわり】

958: 2014/04/23(水) 15:30:49 ID:78dFNlpM
これにて2スレ目の本文投下は終了です
ありがとうございました

それではまた、てーいしましょう

弟「釣りロマンを求めて」幼友「春の淡水釣り編だよー」前編

引用: 男「釣りロマンを求めて」幼馴染「二投目です」