954: 2012/12/26(水) 23:27:47.02 ID:qub9d+OJ0
P「なぁ、智絵里」

智絵里「あ、はい……なんでしょうか?」

P「もうすぐさ、一年も終わりだよな」

智絵里「はい……もう一週間ありませんね」



P「思えばさ、この一年」

P「いろんな事があったと思うんだ」

智絵里「いっぱい……いーっぱい、ありました……」

P「一番最初は、勿論智絵里と出会った事だな」

P「智絵里、俺と最初に会った時、何て言ったか覚えてるか?」

智絵里「えっと……バレンタインより前、ですよね……?」
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958: 2012/12/26(水) 23:30:13.23 ID:qub9d+OJ0
P「そそ…智絵里はさ、最初の頃とても物怖じしててさ」

P「開口一番、『私をどうか見捨てないでください』って」

P「そう言ってたんだぞ?」

智絵里「えっと……あ、あはは……あの時は……まだ周りの人が怖くって……頼れる人が居なくって……」

P「うん、最初は何かに怯えているんじゃないかと心配にもなったよ」

智絵里「ぁぅぅ……ご、ごめんなさい」

P「でもさ、上手くいかないながらもゆっくり二人でさ、頑張っていこうなって言ってさ」


P「そして次はバレンタインのイベントになった時に」

P「智絵里はすこーしだけ、ほんの少しだけ一歩を踏み出せたよな」

智絵里「新しいこの衣装で……がんばりますって」

P「そうそう、四葉のアクセントを施した衣装でな」


no title

961: 2012/12/26(水) 23:32:37.97 ID:qub9d+OJ0
P「あの時からだろうな、一気にファンが増えたのは」

智絵里「まだあの時はファンが居てもらえるなんて実感なくって……」

P「『前みたいにはいかない、私だってアイドルだから』って頑張る姿に心打たれた人も居ただろう」

P「ちゃあんとファン、ついてたんだからな」


P「そもそも俺が智絵里のファン第一号なんだぞ?」

智絵里「そっ、それは……前から……そう言ってくれてます、けど……」

P「ついでに俺へ義理チョコ、くれたじゃないか」

智絵里「え、えーっと、それは、その……」

P「覚えてないのか?」

P「最初言い出しきれずにチョップしてきたあれだよ、あれ」

智絵里「や、やめてください! 思い出すだけでも、は、恥かしいんです……!」

智絵里(…………………それに、あれは義理じゃなくって……)

963: 2012/12/26(水) 23:35:23.23 ID:qub9d+OJ0
 
P「そのままさ、パジャマパーティなんかもやったな」

P「俺はその様子見れなかったけどな、ははっ」

智絵里「それは……いくらプロデューサーさんでも私たちの寝巻き姿なんて」

智絵里「見せられませんから……みんな恥かしいって、言ってました……」

智絵里「スタッフの人もみんな女の人ばかりで……リラックスできてた場所、でしたから……」

P「みんなか……って川島さんも?」


智絵里「…………」

智絵里「あ、はい……わかるわって言ってました」

P(何がわかるんだろう……)


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964: 2012/12/26(水) 23:37:47.21 ID:qub9d+OJ0
P「その次にさ、京町イベントで着物を着て、一緒に散策しながら仕事もしたな」

智絵里「はい……着物なんて普段、着る事がなくって……とっても新鮮で」

智絵里「秋模様もすっごく綺麗で……いっぱい…いーっぱい、楽しかった、です」

P「あぁ、智絵里の言う通り、あのイベントは智絵里と一緒にやった仕事でも屈指のものだったな」

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P「知ってるか? 智絵里はさ、少しづつ表情が良くなっていってた事を」

智絵里「わ、私が、ですか……? ええっと……あの、言われてもあんまり……実感、ないで、す……」

P「そっか……」

智絵里「あの……なんか……ごめんなさい……」

966: 2012/12/26(水) 23:40:07.80 ID:qub9d+OJ0
P「いいや」

P「俺としてはそれは喜ぶべき事だね!」

智絵里「えっ……?」

P「いいか、智絵里」

智絵里「はっ、はい……」

P「自覚がなくても表情は確実に良くなっている、これの意味するところは何か」


P「『自然さ』だよ」

智絵里「………………」

P「最初は周りに怯えるように頼ることもできなかった子がさ」

P「自分が笑っている、笑顔でいられるって事にも気づくことがなくって」

968: 2012/12/26(水) 23:43:03.79 ID:qub9d+OJ0
P「柔らかな表情や、時にはむくれるような事もある」

P「それだけ人前で色々な表情ができるようになったというのは」

P「自然に自分を見せる事に抵抗がなくなってきた、って事なんだ」

智絵里「私が……自然に………」


P「ああ、だからさ」

P「これからも智絵里のさ、ごく『自然』をもっと俺に見せて欲しいなって」

智絵里「わ、わたしの……自然………ぁぅ……」

P「……? 何を顔赤くしてるんだ?」

智絵里「はうっ!? な、なな、なんでも、ないです……」

P「ははっ……そっか、そうやって慌てる姿も昔じゃ見られなかったろうな」

智絵里「もうっ……プロデューサーさんのいじわる……!」

P「そう言うなって……まぁ」

970: 2012/12/26(水) 23:44:48.41 ID:qub9d+OJ0
P「これからもう少ししたら、新しい一年が始まるだろう」

P「新年の挨拶にゃあまだ早いが、宜しく頼むな」

智絵里「………はいっ! もっと……頑張ってみます……!」

P「元気な返事も今ならでは、だろうな」


P「よーし、それじゃあ部屋の電気消すぞー」

パチン

智絵里「あ、はい……おやすみ、なさいです……」

P「おう、おやすみさん」



P(……………今はパジャマ姿恥かしくなかったんだろうか…?)

-おしまい-

引用: モバP「クリスマスだしアイドルと遊ぼう」