301: 2014/06/17(火) 23:20:36.77 ID:zzhy2jRAO
・朝潮『おかゆが風邪を作って司令官で看病します!』、投下します


大和は店の裏で二人と一緒に正座しながら、提督の良いところを延々語っていただけです

まぁ……ここの艦娘は提督の事になると大抵見境が無いので……

302: 2014/06/17(火) 23:21:06.19 ID:zzhy2jRAO



前回はこちら

――――提督私室。

「おはようございます司令官、本日はよろしく――司令官!?」

――――加賀私室。

「さて、今日の仕事を――」

「失礼します! おかゆが風邪を作って司令官で看病します! それでは!」

「……言いたい事は分かりましたが、あの取り乱し方で看病させて大丈夫なのでしょうか……」
艦隊これくしょん ‐艦これ‐ 艦娘型録
303: 2014/06/17(火) 23:22:26.07 ID:zzhy2jRAO
――――提督私室。

「悪い朝潮、秘書艦日だってのにこの様で……」

「そんなことはどうでもいいんです。司令官は今日1日ゆっくり休んでいて下さい」

「あぁ、お言葉に甘えて今日はゆっくり休むよ」

「食事や飲み物が欲しくなったらいつでも仰って下さい。私はずっとここに居ますから」

「ずっとは居なくていいんだぞ? 立って歩くぐらいの体力はあるし、お前も俺を見てるだけじゃ退屈だろ」

「司令官には一秒でも早く、元気になってもらいたいんです。……朝倒れてるのを見た時は、心臓が止まるかと思いました」

「そんな顔するなよ、風邪で氏にやしないんだから」

「風邪も悪化すれば命に関わります。風邪は万病の元です。ですから、今日は絶対に司令官から目を離しません」

(これは何を言っても無駄そうだな……)

「今、間宮さんと明石さんに頼んで、食材と水と調理用具を持ってきて頂いてます」

「本当にこの部屋から一切出ないつもりか? 俺も退引きならない事情で、部屋から出なきゃいけないこともある」

「その場合はついて行きます」

「女の子にこんなこと聞きたくないんだが、逆の場合はどうする気だ」

「その時は司令官をベッドにロープで縛り付けてから行きます。御心配には及びません」

「いや、別の意味で心配なんだが……」

「私は安心です」

「朝潮、因みに聞くけど拒否権はあるのか?」

「ありません。司令官は私達が体調を崩した時、同じ様な命令を出されていました。今日はそれを司令官にも守って頂きます」

(ここまでは俺も命令した覚え無いんだがなぁ……)

 ――朝潮ちゃん、食材持ってきましたよ。

 ――調理用具もここに置いときますねー。

「お二人ともありがとうございます!」

「何で二人とも部屋に入って来ないんだ?」

「面会謝絶にしてありますから」

「面会謝絶!? ただの風邪だぞっ!?」

「……今日は私が、秘書艦なんです」

(……そういうことか)

「おかゆ、作ってくれ。今日はまだ何も食べれてないから腹減った」

「――はい! すぐに調理に取りかかりますので待っていて下さい」

(顔が生き生きし始めたな。一緒に出掛けたりは出来ない分、今日は朝潮の望むようにさせてやるか)




――――風邪にはネギが良いと聞きましたので、たくさん入れてみました。どうぞ、召し上がって下さい。

 ――――(上のネギでおかゆが見えない、だと……?)

310: 2014/06/18(水) 04:22:58.22 ID:hjkFryDAO
――――鎮守府内、中庭。

「なぁ大鯨、鎮守府近海に何故か鯨が居るんだが、アレはお前の知り合いか何かか?」

「多分、わたしを乗せてくれた子です」

「信じてなかった訳じゃないが、鯨に乗って来たってのは本当なんだな」

「とっても優しい子でした」

(何故かは分からんが大鯨を心配してついてきたんだろうし、たまに海に出して会わせてやるか)

「えっと、一つ聞いてもいいですか?」

「何だ?」

「今日がわたしの秘書艦日って言われたのですが、わたしも提督にキスとかした方がいいんでしょうか……?」

「その認識は非常に問題だから待ってくれ。イムヤから秘書艦日について、何て説明されたんだ?」

「“司令官にキスしたりされたり、エOチな事をしたりされたりする日”、って……」

(アイツ何て説明をしてやがんだ……)

「ひ、拾って下さった恩もありますし、あの、その、そういう形で恩を返せと言われるなら……」

「待て待て、俺がお前を迎え入れたのはそういう事をさせる為じゃないし、秘書艦日は俺と1日居ていいってだけだ。仕事さえ手伝ってもらえたら、後は別に好きにしていいんだよ」

「ほ、ホントに?」

「あぁ、だから安心してくれ。この際だし、何か困った事や聞きたい事があれば聞くぞ?」

「でしたら……何かを運ぶお仕事って、無いですか?」

「運ぶ仕事?」

「はい、元々は補給物資とかを運んでたので、そういう仕事があれば拾って下さった恩返しも出来るかなと思って……」

「運ぶ、運ぶか……そういうことなら、ぴったりの仕事があるぞ」

「ホ、ホントですかあ?」

「あぁ、今から連れてってやるから、手伝いたいって言えばすぐに仕事貰えるはずだ。それで大鯨の気が済むなら、皆も助かるし一石二鳥だ」

311: 2014/06/18(水) 04:24:14.68 ID:hjkFryDAO
――――鳳翔宅。

「――そういうことなら、こちらからお願いしたいぐらいです」

「はい、よろしくお願いします」

「じゃあこの馬鈴薯と人参、玉葱を持って行ってもらえますか?」

「分かりましたあ」

「ついでに間宮の所でも聞いてみるといい。料理を運ぶ人手も足りてるとは言い難いからな」

「はい、行ったら聞いてみます。――あの、提督」

「ん? どうかしたか?」

「どうしてわたしを拾って下さったんですか? その、戦いも終わったと聞きましたし、わたしなんか居ても邪魔なだけじゃないですか?」

「単純に仲間が増えたら嬉しがる奴が居て、うちの鎮守府には受け入れる余裕があって、大鯨は俺達に見付かった。ただ、それだけの話だ」

「……変ですね、提督って」

「そうか?」

「あんなにいっぱいの艦娘とキスしたりしてて、もっと女ったらしで軽薄な人かと思ってましたあ」

「お前、それ俺以外に言わない方がいい。何時間か正座させられて、延々と俺がああでこうでって話聞かされるぞ……」

「何かちょっと聞いてみたいです」

「お前も変わってるな」

「そうですかあ?」

「鯨に乗って来た時点で、変わってるよ」

「それは否定出来ないです」




――――提督、もし話を聞いて私も好きになったら、デート連れてってくれますかあ?

 ――――もしもそうなったら、な。

312: 2014/06/18(水) 07:58:36.33 ID:hjkFryDAO
・ぜかまし『たまにはゆっくりもいいよね!』、投下します

313: 2014/06/18(水) 08:01:25.28 ID:hjkFryDAO
――――鎮守府内、中庭。

「提督、風が気持ち良いね」

「そうだな」

「あのね、私と一緒にいっぱいかけっこしてた子が、運動会のかけっこで一番になったんだって」

「そうか、速い奴と走ってると自然に速くなるらしいからな。きっとその子が一番になったのは、島風のお陰だ」

「ううん、違うよ。あの子が頑張ったから、一番になれたんだよ」

「……そっか、そうだな」

「うん!」

「なぁ、島風」

「なぁに?」

「今、楽しいか?」

「うん! 毎日楽しいよ!」

「寂しくないか?」

「ちっとも寂しくないよ!」

「……そうか」

「提督、どうかしたの?」

「……島風、もう俺が一緒に居なくても、寂しくないよな」

「――え?」

「天津風も居るし、友達もいっぱい出来たみたいだし、“ずっと誰かと一緒に居たい”ってお前の願いは叶ったんだ」

「う、うん……」

「俺じゃかけっこには付き合えないし、今日は仕事ももう無いから天津風達の所に行っていいんだぞ?」

「……一緒が、いい」

「ん?」

「私、提督と一緒がいいもん!」

「うわっ!? ど、どうしたんだよ急に」

「天津風も大好きだし、かけっこ一緒にしてくれる友達も好きだし、ずっと皆一緒だから今は寂しくないよ。――でも、それは全部提督が居てくれるからだもん。提督が居なきゃ、また寂しくなっちゃうよ……」

(……やっちまったな)

「ごめんな、島風。もうさっきみたいな事は二度と言わないから、泣き止んでくれ」

「……うん。提督と一緒に原っぱに座って、お話して、お昼寝して、ご飯食べて、夜は一緒に寝るの。提督と居る時が、私は一番幸せだよ」

「俺も島風にそんな風に思ってもらえてて、幸せな気分だ」

「ホント?」

「あぁ」

「ずっと一緒に居てくれる?」

「あぁ」

「居なくなったら、世界中走り回って探すからね?」

「どこにも行かないから、安心しろ」

「うん。――大好きだよ、提督」

「俺もだよ、島風」



――――アレ? 天津風がこっち見てるよ? どうしたのかな?

 ――――(泣かせたの見られてたのか……次のアイツの秘書艦日がこえぇ……)

315: 2014/06/18(水) 21:05:10.03 ID:hjkFryDAO
――――提督執務室。

「司令官、ボルシチとピロシキを作ってみたんだ」

「あぁ、もらう」

「ボルシチはシンプルにしてみたよ」

「――うん、美味いな」

「少し肌寒くなってきたからね。それを飲んで身体の芯から暖まってくれ」

「向こうはやっぱり寒かったのか?」

「寒いというか、痛い」

(そういえば前に子日がロシアにワープして帰って来た時、涙流して日本は暖かいって言ってたな……)

「ピロシキも食べてみてよ」

「二種類あるな、何か違うのか?」

「片方は日本風、もう片方はロシア風だよ」

「じゃあこっちの揚げてるヤツもらう」

「それは日本風だよ。揚げたてで熱いから食べる時は――」

「あっちぃぃぃぃっ!」

「遅かったみたいだね。ほら、コレを飲むといい」

「す、すまん――ぶほっ!? げほっごほっ!」

「汚いよ司令官。少し顔にかかったじゃないか」

「何で水じゃなくてウォッカなんだよ!」

「ロシア料理を出してるんだから、ウォッカがあっても不思議じゃないさ」

「昼間っから酒飲まそうとするんじゃない!」

「司令官は酒に弱いと聞いたから、酔った姿が見られるかと思ったんだ」

「絶対に飲まんから、それは仕舞っとけ。後、ウォッカかかった部分拭いてやるからこっち来い」

「舐めとってくれてもいいよ?」

「舐めるかっ!」

 ――ペロッ。

「お前なぁ……」

「舐めてくれないなら、舐めるまでだよ」

316: 2014/06/18(水) 21:05:37.59 ID:hjkFryDAO
「……こっちのピロシキも食うぞ」

「顔が赤いよ? 酔ったのか?」

「焼いてるんだな、コレは」

「無視か、まぁいいさ。具は挽き肉とチーズ、ジャガイモ、茸を入れてみたよ」

「――うん、コレもなかなかイケるな」

「スパシーバ、そう言って貰えると嬉しいよ」

「ほら、ベリュニュイも一緒に食えよ。二人分だろ、コレ」

「暁のマネで仕返しって、意外と子供っぽいところもあるんだね」

「……すっげぇ言ってから後悔した」

「じゃあ失礼するよ。立ちながら食べるのは行儀が悪い」

「膝に座りたいって素直に言え」

「口移しで食べさせてくれ」

「お前は雛か」

「……ピヨ」

「……一回だけだぞ?」

「早くしてくれ、口を開けて待っているのは結構恥ずかしいんだ」

「――ん」

 ――れろ、ちゅう、くちゅ、ごくっ。

「……もう一口、くれないか?」

「断る!」

321: 2014/06/18(水) 23:45:03.03 ID:hjkFryDAO
――――監査先鎮守府、入口。

(提督殿と鎮守府の維持費の為とはいえ、働くの面倒であります)

「この前みたいに楽しい鎮守府だといいでありますが……」

「コレはコレはようこそお越し下さいました」

「此度の監査役を仰せつかったあきつ丸であります。艦娘の人数と提督殿の素行を調査させて頂きたい」

「どうぞ、お好きなだけ確認していただいて結構です。やましいことは何もありませんので」

「……そうさせてもらうであります」

――――演習場。

(コレで、リストに載っているのは全員でありますな)

「皆に聞きたいであります。何か隠している事は無いでありますか?」

(――動揺はあれど、無言でありますか……。しかし、自分に嘘は吐けないであります)

「……本当に、ここに居るのはコレだけでありますか?」

 ――!?

「はぁ……もう分かったであります。何も言わなくともいいであります」

(やっぱり、面倒な仕事になったであります)

――――提督執務室。

「失礼するであります」

「おや、もう監査はよろしいので?」

「提督殿に話を伺えば終わりであります」

「そうですか。何なりとお聞きください」

「残りの艦娘、どこでありますか?」

「はて? 残りの、とは?」

「別に隠すならそれでいいであります。ただ、発見した場合は罪が重くなるであります」

「逆に言えば、証拠が無ければ罪には問えない。違いますかな?」

「――余計な仕事を増やして欲しくなかったであります」

「私を尋問でもなさるおつもりで?」

「ブタを躾る趣味は無いでありますよ」

「ブタ!?」

「証拠ならもう見付けているであります。地下に艦娘が五名、意識は弱々しく、凌辱と暴力の痕跡あり――虫酸が走るとはこのことでありますよ」

「ど、どうしてあの場所がそんな簡単に……」

「企業秘密であります。では、報告書の作成と艦娘の保護で忙しいので、これで失礼するであります」

「待て! 私は軍上層部にも顔が利く、こんなことをしてタダで済むと思っているのか!」

「――権力が無ければ何も出来ない者になど、私は臆しないでありますよ」

322: 2014/06/18(水) 23:46:01.40 ID:hjkFryDAO
――――報告、ブタが五月蝿いから処分しておいて欲しいであります。

 ――――ご苦労あきつ丸。ところで今度うちに遊びに来んか? そして、うちの艦娘になってくれ。

――――元帥、セクハラとパワハラで訴えるでありますよ?

325: 2014/06/19(木) 06:48:42.97 ID:U6rJ+FPAO
――――提督執務室。

「提督、私が一番な事ってなーに?」

「白露が一番な事って、一番艦とかそういうのか?」

「ううん、そういうのじゃなくって、提督にとって私が一番な何かってある?」

「例えばどういうのだよ」

「一番抱き心地がいいとか、髪が綺麗とか、そういうのでないのー?」

「俺にお前等を順位付けしろってのか?」

「ダメ?」

「……どんなのでもいいんだな?」

「うんうん、教えて!」

「――腕のラインだ」

「腕の、ライン?」

「白露っていつも“いっちばーん”って言いながら腕を突き出してるだろ? その時の腕のラインが綺麗だと思った」

「提督って、変Oだったの?」

「真剣に答えたのにその反応は結構傷付くぞ。俺が腕を綺麗だって思うのは、かなり珍しいんだからな?」

「だって、何かあんまり嬉しくないんだもん」

「完全に言い損じゃねぇか!」

「……色々頑張ったら、他にも私が提督にとって一番なことって増えたりする?」

「そりゃ増える可能性はあるだろうが、そこまで一番に拘らなくても俺は白露のこと好きだぞ?」

「私も提督大好き! だから、今よりもっと好きになってもらう為に色んな一番目指してはりきっちゃうよー!」

326: 2014/06/19(木) 06:49:37.15 ID:U6rJ+FPAO
――――五年後。

「あーん」

「白露、たまには自分で――」

「あーん!」

「はいはい分かったよ、あーん」

「コレで提督にあーんした回数いっちばーん!」

「お前も本当に頑張るよな。俺をそれだけ好きでいてくれるって証拠だから、嬉しくはあるが」

「次はキスした回数一番目指しちゃうよー?」

「頼むから前の“1日ずっとキスしながら過ごす”みたいなキス系統のことは、もうやめにしないか?」

「アレ、今度もう一回やりたい!」

「人の話を聞いてくれ白露ー……」

「提督はいつだって私の一番なんだから、私も提督の一番になりたいの!」

「一番困った奴に認定してやろうか?」

「んもぉー! 提督のイジワル!」




――――夜戦回数も一番目指しちゃうよー!

 ――――それだけは絶対にやめろ。

342: 2014/06/19(木) 09:38:33.88 ID:U6rJ+FPAO
・浦風『提督さんとデートじゃ』、投下します

浦風居るところに彼女あり

343: 2014/06/19(木) 09:40:21.52 ID:U6rJ+FPAO
――――街中、大通り。

「提督さん、このアイスぶち美味しいんじゃ」

「そうか、良かったな浦風」

「はい、一口食べてつかぁさい」

「いや、俺はいいよ」

「そんな遠慮せんで」

「浦風が全部食べ――っ!?」

(何で大鳳が路地裏にっ!?――た・べ・な・さ・い?)

「うちが口をつけたのは嫌なんか……?」

「そ、そんな訳無いだろ、一口貰うよ――うん、甘くて美味しいな」

「うん、二人で食べた方が美味しいけぇ」

(関節キスとか気にしてないんだろうな、この顔は……)

「――ふぅ、ごちそうさま。提督さん、次はドーナツが食べたいんじゃ」

「ドーナツか……。あっちに美味しいって評判の店があったはずだから、そこに行くか」

――――評判の店の前、行列最後尾。

「ドーナツ食べるのに並んでるのかこの行列……浦風、ちょっと時間かかるけどいいか?」

「うちは提督さんと二人なら退屈せんから平気じゃ」

「分かった、じゃあ気長に待つとするか」

344: 2014/06/19(木) 09:40:53.48 ID:U6rJ+FPAO
――――十五分後。

「もうすぐだな」

「どんな味がするんか楽しみじゃ」

「浦風はどれが食べたいんだ?」

「フレンチクルーラー」

「そうか、じゃあ俺はオールドファッションにするかな」

「――提督さん、あそこ何か揉めとるようじゃ」

「揉めてる……?」

 ――割り込みすんなよ。

 ――さっきから並んでたよ、目悪いんじゃねぇの?

「割り込みか、店員が応対に追われて列が進まなくなっちまってるな……すまんな浦風、もうちょっとかかりそうだ」

「人気があるけぇ仕方無いことじゃ。うちは大丈夫じゃけぇ心配せんでえぇよ」

「そっか、入ったら好きなだけ食べていいからな」

「姉さんへのお土産もお願いしてえぇ?」

「勿論だ、アイツもきっと喜ぶよ」

 ――ちょっとそこの割り込みした男、こっちに来なさい。

 ――何だテメェは?

 ――いいからこっちに来なさい、あの二人の邪魔したら海に沈めるわよ。

 ――ちょっ、何なんだよ!? 離せ、離せって!

「……列動いたからすぐに食べれそうだな」

「今姉さんの声せんかった?」

「気のせいだ。――ほら、団体客が抜けたし入れそうだぞ」




――――このフレンチクルーラーぶち美味しいんじゃ。

 ――――ほら、こっちも食べていいからな。

  ――――(ドーナツ頬張る浦風可愛いわ……)

347: 2014/06/19(木) 17:50:23.35 ID:U6rJ+FPAO
・赤城『戦果は上々ね』、投下します

※別鎮守府(多摩スレ)で赤城が猪を退治して持って帰ってきた話です

348: 2014/06/19(木) 17:52:25.70 ID:U6rJ+FPAO
――――食堂。

「赤城さん」

「何ですか?」

「駆逐艦娘の一部の子達が怯えているので、あの猪は捨てて来て下さい」

「戦果ですので提督に差し上げようかと」

「いらんわ!」

「血も抜いて防腐もしましたよ?」

「そういう問題じゃねぇよ……」

「そもそも、何回無断で抜け出せば気が済むんですか? あ・か・ぎ・さん?」

「加賀、頭が痛いです。頭痛で牡丹鍋の味が分からなくなったら困ります」

(加賀のアイアンクローに動じない辺り、コイツも大概だよな……)

「皆さーん、牡丹鍋とすき焼き出来ましたよー」

(加賀のアイアンクローに動じない辺り、コイツも大概だよな……)

「皆さーん、牡丹鍋とすき焼き出来ましたよー」

「おっ出来たか。猪の肉は味に癖があるし、食べれない奴はすき焼きも用意したからそっち食え」

『はーい!』

「提督、加賀と一緒に私達は牡丹鍋を食べましょう。――はい、口を開けて下さい」

「珍しい事もあるものですね」

「……赤城、熱でもあるのか?」

「私だって、たまにはこういう行為をしたくなりますよ?」

「まぁ悪い気はしないし、貰う。――うん、やっぱり癖はあるがコレはコレでイケるな」

「それは何よりです。では私にも食べさせて下さい」

「お前本当に今日はどうした」

(頭強く握りすぎたかしら……)

「少し、若さに当てられたのかもしれませんね。提督、お腹が空いているので早くお願いします」

「あ、あぁ、ほら」

「――うん、上々ね」

「赤城さん、少し顔が赤いですよ?」

「……もぐもぐ」

「食べて誤魔化したな」

「少し赤城さんの可愛らしい一面が見られました」

349: 2014/06/19(木) 17:53:30.51 ID:U6rJ+FPAO
「二人とも食べないのでしたら、全部食べてしまいますよ?」

「待て待て、俺達に食わせる為に持って帰ってきたんだろうが、全部一人で食う奴があるか」

「このスペースの肉は譲れません」

「もぐもぐもぐもぐもぐもぐ」

「本当にちょっと待てお前等! 俺の食う分ちゃんと残せよっ!?」

「ここは戦場です。戦わざる者食うべからずです」

「流石に手が止まりません」

「赤城、そこの肉寄越せ! 加賀は葱を全部食うんじゃねぇ!」

「はい、どうぞ」

「そんなに欲しければどうぞ」

「むごっ!? むぐむぐ……誰も口に無理矢理突っ込めとは――」

「はい」

「どうぞ」

「むがっ!?」




――――食べさせて差し上げた分、後で提督を頂きますね?

 ――――頼むから物理的に食わないでくれよ?

350: 2014/06/20(金) 00:52:47.19 ID:nm4/dE+AO
・大和『これからの話』、投下します

351: 2014/06/20(金) 00:53:26.07 ID:nm4/dE+AO
――――客用和室、縁側。

「たまにはこういう場所で飲むのもありだな。と言っても、俺はあまり飲めんが」

「大和もそこまで強くありませんし、お酒を飲む雰囲気を楽しみながら、ゆっくり飲みましょう」

「あぁ、そうするか」

「今宵は、満月ですね」

「中秋の名月ってヤツか」

「こうしてあなたと月を眺めているだけで、大和は幸せです」

「……そうか」

「――提督は、大和のどこを好いてくれていますか?」

「髪、足、綺麗なくびれ、少しいじけやすい、優しい、気遣いが出来る、面倒見がいい、胸に徹甲弾」

「徹甲弾、今から着けてきた方がいいのかしら……」

「流石に冗談だ、お前が中破した時にドキッとしたのは事実だが」

「戦いの最中でしたし気にも留めていませんでしたが、そんなところを見ていらしたんですね」

「被害確認の為に仕方無くだ、やましい気持ちは無かったよ」

「――今でも、邪(よこしま)な気持ちはありませんか?」

「……魅力的な女性にしなだれかかられて意識しない程、鋼の精神は持ち合わせてない」

「大和はあなたをお慕いしています。これまでも、そして、これからも」

「どう、応えればいいんだろうな。月と酒とお前に酔って、言葉が出てこない」

「言葉で無くとも、いいんですよ?」

「――止まらんぞ?」

「あなたの、望むままに」

「その上気した頬も、潤んだ瞳も、少し汗ばんだ肌も、全部俺が好きにしていいんだな?」

「大和の身も、心も、あなたのものです」

「じゃあ、顔をよく見せてくれ」

「はい、ご存分にどうぞ」

「……酔ってるな、真っ赤だ」

「お酒の力を借りないと、恥ずかしくて上手に気持ちを伝えられませんから」

「酒の力なんか借りなくたって、お前は十分魅力的だ」

「……でしたら、このまま今日は大和に酔って溺れて下さい」

「言われるまでもなく、もう酔って溺れそうだよ」

「あなたのことを、愛しています」

「俺もだ、大和」

「――熱く、なってきました」

「……あぁ、そうだな」




――――やっぱり触ると柔らかくて徹甲弾とは大違いだな。

 ――――もうっ、徹甲弾と比べないで下さい。

352: 2014/06/20(金) 10:59:49.75 ID:nm4/dE+AO
・榛名『一生分の感謝をあなたに』、投下します

353: 2014/06/20(金) 11:00:28.66 ID:nm4/dE+AO
――――提督執務室。

「榛名」

「はい、榛名に何か御用でしょうか?」

「いや、特に無い。無いんだがその格好は何だ」

「御奉仕するならこの格好が一番相応しいと、漣に聞いたものですから」

「またアイツか……」

「榛名は、提督に感謝の気持ちを示したいんです」

「一応言っとくが、メイド服は感謝の気持ちを示したい人間が着る為の服って訳じゃないからな」

「でしたら、すぐに一番相応しい服に着替えてきます。具体的にはどのような服がよろしいのでしょうか?」

「別に格好は気にしなくていい。それで、感謝って何に対しての感謝だよ。身に覚えが無いんだが」

「――榛名を、一人にしないでくれました。お姉様達と霧島との悲しいお別れを、二度も経験させないでいてくれました。その、感謝の気持ちです」

「それなら俺じゃなくて、全力で戦った仲間達に示すべきだろ。俺はお前達に戦うことを命じていた側であって、感謝される対象には相応しくない」

「そんなことはありません。貴方が居てくれたから、榛名達は絶対に生きて帰りたいと思えたんです」

「……感謝したいのは、こっちなんだがな」

「加賀さんには結局一度も勝てないままでしたし、比叡お姉様の料理に苦しめられたりもしました。でも、そんな事も含めて、榛名は毎日が楽しかったです。いつもの何気無い日常に、お姉様達も、霧島も、他の皆さんも笑っていました。それ等全ての事にも、榛名は感謝しています」

「感謝する事が多すぎて大変そうだな」

「はい、ですから提督には、ずっと榛名から感謝され続けて頂きます」

「一生感謝し続ける気か?」

「いけないでしょうか?」

「いけなくはないが、疲れないか?」

「榛名は大丈夫です」

「そうか……まぁ、お前がそれで幸せならそれでいいんだろうな」

「この思いが尽きることなどありませんし、この思いがある限り、榛名は幸せです」

「――なら、感謝されとくよ」

「はい、そうして下さい」




――――提督は足が好きと伺ったので、今日は水着でお仕事をしますね。

 ――――足に目がいって集中出来ないから服を普通に着てくれ……。

354: 2014/06/20(金) 14:04:56.26 ID:nm4/dE+AO
・雪風『しれぇ! 雨です!』、投下します

355: 2014/06/20(金) 14:07:58.48 ID:nm4/dE+AO
――――とある店の軒先。

「突然降ってきやがるとはな……雪風、大丈夫か?」

「はい、少し濡れちゃいましたけど、雪風は大丈夫です」

「それなら良か――んっ!?」

(雨で服が透けまくってて全然大丈夫じゃねぇ……)

「雪風、とりあえずここ入るぞ」

「ここは何のお店ですか?」

「入りゃ分かるさ」

――――店内。

「しれぇ、洗濯機がいっぱいです!」

「コインランドリーだからな、いっぱいあって当然だ。――さぁて雪風、ちょっとこっちに来い」

「ゆ、雪風に何かご用でしょうか?」

(勘が鋭いな……)

「冷えただろ、暖めてやる」

「……しれぇがそう言うなら」

(小動物の警戒解いてる気分だ)

「あの、早くギュッてして下さい」

「あぁ、してやる。――その前に、タオルで拭くから脱げ!」

「し、しれぇ!? ダメです! 雪風これしか着てないんです!」

「乾燥機で乾かすから大人しく脱げ、タオルがそこにあるからそれ巻いてろ」

「パンツだけじゃ落ち着きません!」

「普段から服とパンツ一枚で過ごしてる癖に今更恥ずかしがんな!」

「雪風は脱ぎません!」

「濡れた服着てたら冷えるんだよ!」

「でも、脱ぎませんから!」

「雪風、胸見えてるぞ」

「えっ!? あっ、捲っちゃダメです!」

「一気に脱がすぞー」

「ず、ズルいですしれぇ!」

「はいはいタオル巻いてっと、そのままちょっと大人しくしてろ。暖かい飲み物でも買ってやるから」

「うぅ……しれぇに胸見られちゃいました……」

「他の奴に見られなかっただけマシと思え」

「帰ったら皆に、しれぇに脱がされたって言っちゃいますから!」

「理由を説明したら大丈夫……大丈夫、だよな?」

「……ギュッてしてくれないしれぇなんて、酷い目に合っちゃえばいいんです」

(あー、そういえばそうやって呼んだんだったな……)

「――雪風、コレでいいか?」

「まだ、許しませんから」

「もう少し強くした方がいいのか?」

「……もっと、ギュッてして欲しいです」

「あぁ、乾くまでこうしててやるよ」

356: 2014/06/20(金) 14:08:26.40 ID:nm4/dE+AO
――――乾いたぞ、雪風。――雪風?

 ――――……すぅ、すぅ……しれぇー……。

――――(仕方無い、服着せて家まで背負って帰るか……)

357: 2014/06/20(金) 15:34:55.82 ID:nm4/dE+AO
・扶桑『公園でデート』、投下します

358: 2014/06/20(金) 15:35:52.60 ID:nm4/dE+AO
――――公園。

「何ていうかこう、静かだな」

「そうですね」

「空、青いな」

「はい、青いです」

「……」

「……」

(――間が持たんっ! 山城から扶桑の良いところは氏ぬほど聞かされたが、会話に使えるようなネタが無い!)

「あの、提督?」

「――ん? どうした扶桑」

「そろそろ、お昼にしませんか?」

「あぁ、もうそんな時間か」

「お弁当を作って来たので、一緒に食べましょう」

「悪いな、手間だっただろ」

「いえ、提督に食べて頂けるなら喜ばしい限りですし、最近はよく作っていますから。どうぞ、ゆっくり召し上がって下さいね」

「――なるほど、確かに作ってるみたいだな。久し振りだよ、こういうの」

(タコさんウィンナーにイヌやネコの顔に型抜きしたお握り、か)

「あっごめんなさい。ついあの子達に作る時みたいにしてしまって……」

「いや、いいよ。コレを皆で食べてる微笑ましい光景が想像できて和むし」

「提督、お味はいかがですか?」

「――うん、美味い。山城から聞かされまくった通りの味だ」

「山城から?」

「“姉様の料理は繊細な味付けと魅力的な飾り付けがされていて、味も見た目も楽しめる”、だったか」

「山城ったら、そんな事を提督に言っていたんですね」

「もう何百回聞かされたか分からん。まぁ、最近は自分の事を話すようになってくれたが」

「うふふ、あの子も今はとても幸せそうですから」

「あの子“も”ってことは、扶桑も今、幸せなんだな」

「えぇ、提督と二人でこうして一緒に居るだけで、私は幸せです」

「……その笑顔を見たら、大抵の男は落ちるよな。告白する奴が後を絶たないのも分かる気がする」

「妬いて、くれますか?」

「いや、相手の男に同情するだけだ。扶桑には俺しか見えてないのは、重々承知してる」

「少し、残念です。浮気をしてみれば、もっと夢中になって妬いてくれるのかしら……」

「絶対にやめてくれ、山城が怖いし俺も気が気じゃなくなる」

「ふふふ、冗談ですよ。私には貴方しか居ませんから」

「……弁当、美味いな」

「食後のデザートにはリンゴも剥いてきましたから、しっかり召し上がって下さいね」

「ウサギか?」

「ウサギです」



――――次は山城や時雨達も一緒にどうだ?

 ――――はい、またお弁当作りますね。

362: 2014/06/21(土) 00:13:35.67 ID:4BOiK7rAO
・大潮『大潮の月』、投下します

ちょっとケッコンカッコカリボイスとは違います

363: 2014/06/21(土) 00:14:40.04 ID:4BOiK7rAO
――――提督執務室。

「大潮」

「何ですか、司令官」

「上からだとな、その、見える」

「大潮は大丈夫です!」

「いや、大丈夫じゃないからな」

「ダメですか?」

「ダメだ」

「いいじゃないですか、服の下に魚雷仕込むぐらい」

「膝の上に乗っけてる俺がよくねぇよ! 何かやけに抱いた時に感触が固いと思ったんだ……」

「コレで司令官のハートをドーン!」

「ハートを射抜きたいならせめて爆発物以外にしろ」

「それはともかく、こうして抱きしめてもらってるとぽかぽかしますねー」

「そうだなー俺はドキドキしてるぞー」

「大潮にですか?」

「魚雷に決まってんだろ!」

「司令官は小さな身体より、大きな魚雷の方が好きなんですか?」

「どっちもイエスと言うと危ない目で見られる選択肢を出すなよ……。大潮の事は、好きだ」

「はうあぁー……」

「こら、あまり動くな」

「だって、何か身体の内側が物凄くぽかぽかしててじっとしてられないんです」

「じゃあとりあえず魚雷を服から出せ」

「……出したら、もっと抱き締めてぽかぽかさせてくれるんですか?」

「あぁ、してやるから今度から魚雷は無しだ」

「じゃあ、そこに置いときます」

(コレで安全……じゃないな)

「大潮、サイズの大きい服買うのはいいが、上からだと中が見えるって分かってるか?」

「司令官が見たいならどうぞ!」

「見ない。抱き締めたら見えないから、コレでちょうどいいだろ」

「さっきから胸の辺りがぽかぽかしっぱなしです」

「良い気分なら、何よりだ」

「――司令官は、大潮のお月様です」

「どういう意味だ?」

「どんなに遠く離れても、また引力で引き寄せられちゃうってことです。行ってこいって送り出してもらえて、帰って来た時にはお帰りって言ってもらえて、それが何より大潮は嬉しかったんです」

「……お帰りとかお疲れって言えることが、俺は何より嬉しかったよ」

「えへへ、大潮と一緒ですね」

「秘書艦日、お帰りって迎えてやろうか?」

「じゃあ、大潮はただいまって言いますね!」

「あぁ……とりあえず今日は、このまま過ごすか」

「はい!」

364: 2014/06/21(土) 00:15:30.97 ID:4BOiK7rAO
――――やっぱり落ち着かないので魚雷を服に入れてもいいですか?

 ――――入れたら離れるからな。

365: 2014/06/21(土) 03:18:48.16 ID:4BOiK7rAO
・ながもん『文月と街へ』、投下します

366: 2014/06/21(土) 03:21:09.56 ID:4BOiK7rAO
――――街中。

「わーい、たかいたかーい」

「文月、どこか行きたいところはないか? この長門が今日はどこへなりと連れて行ってやるぞ」

「えっとねー、あたし、いっぱいケーキ食べたい!」

「了解だ! このビッグセブンに任せるがいい!」

――――ケーキバイキング。

「どうだ、美味しいか?」

「うん、おいしー。長門さんも食べて食べてー、はい、あーん」

(こ、この戦艦長門があーんをされる日が来るとは……胸が熱いな!)

「ねぇねぇ、食べないのー?」

「勿論食べるぞ文月。いざ、参る!――あぁ、確かに甘くて美味い」

「でしょー? あっ、あっちのケーキも美味しそー」

「待っていろ! 皿ごと持ってきてやる!」

「文月、そんなに食べれないよー? アレ? 行っちゃった……」

 ――お客様、困ります!

 ――離せ! 文月が食べたいと言っているんだ!

 ――大皿から1つずつお願いします!

「わーあんなに大きな皿片手で持ってるー。長門さん、すごいすごーい」

――――ペットショップ。

「長門さん、このにゃんこかわいいねー」

「そうだな、猫というのは可愛らしい生き物だ」

(そして、文月はもっと可愛らしい)

「あたしもにゃんこ飼いたいけど、もーっと大きくなって一人でお世話が出来るようになるまで、がまんするの」

「そうなのか。その志は立派だぞ、文月」

「うん、ありがとー」

(よし、この長門が一肌脱ごうではないか!)




――――鎮守府、睦月型私室。

「う、うーちゃんアレはちょっと飼いたくないっぴょん……」

「弥生も、ちょっと……」

「にゃあ!」

「長門さん、猫のマネへたっぴだねー」

「くっ……このビッグセブンの力を持ってしても無理だったか!」

(三日月からどうにかして欲しいと聞いて来てみれば……猫耳と猫尻尾に肉球グローブって、何やってんだよ長門……)

370: 2014/06/21(土) 14:25:31.91 ID:4BOiK7rAO
・古鷹『帰りたくないです』、投下します

ちょっと指定と違ったかも……

371: 2014/06/21(土) 14:27:03.82 ID:4BOiK7rAO
――――夜、旅館。

(ここからだと、朝に始発で帰るとかも厳しそうだよなぁ……そもそも、始発時間に起きれるかも分からんし)

「――提督、戻りました。温泉気持ち良かったです」

「そうか」

「あの、コレどうですか?」

「似合ってるぞ、浴衣」

「提督にそう言ってもらえると、とても嬉しいです」

「なぁ、古鷹」

「何ですか?」

「――帰らなくて、本当に良かったのか?」

「……鎮守府に帰ってしまうと、提督は皆の提督になってしまいますから」

「共有品扱いだからな、俺は」

「今日だけ……今日という日だけは、ずっと私だけの提督で居てもらいたかったんです」

「珍しいよな、古鷹がわがまま言うなんて」

「ご迷惑なのは分かっています。でも、どうしても気持ちが抑えられなかったんです」

(……今日、か)

「お前が優しくて皆に気を遣える奴だってのは、よく知ってる。だから、こうしてわがままを言っても俺は責めないし、わがままとそもそも思わない。お前達の良いところをいっぱい教えてもらった礼と思えば、こういうのも悪くないさ」

「提督……」

「この間、加古に聞いたから知ってる。毎年同じ日にうなされてることも、その時は必ず手を伸ばして何かを掴もうとしてるのも」

「そう、ですか」

「お前以外にも激しい戦いの末に沈んだ奴は、大勢居る。だからといって、遠慮する必要は無い。辛いなら、辛いって言え」

「……抱き締めて、下さい」

「いいぞ」

「泣いて顔がぐちゃぐちゃになっちゃうから、顔を見ないで……」

「あぁ」

「何処にも、行かないで下さい」

「ずっとここに居る」

「キス、して」

「……ん」

 ――ちゅ……はむ……ん……ちゅぱ……。

「――コレだけじゃ、足りないです。辛い事全部、忘れさせて下さい」

「……良いところも、悪いところも、全部含めて好きだ、古鷹」

「……はい、私の全部見て下さい」




――――明日、一緒に謝ってくれるか?

 ――――提督のカッコイイところ、私に見せてください。

――――情けない姿になる未来しか見えん……。

372: 2014/06/21(土) 15:11:36.99 ID:4BOiK7rAO
・あきつ丸『提督殿、ミカンの皮剥いて欲しいであります』、投下します

あきつ丸さん@働かない

373: 2014/06/21(土) 15:13:17.59 ID:4BOiK7rAO
――――あきつ丸、私室。

「提督殿、早くして欲しいであります」

「お前なぁ……秘書艦日は俺にみかんの皮剥かせてだらけていい日って訳じゃないからな?」

「そう言いつつも剥いてくれる提督殿は、優しいでありますな」

「ほら、食え」

「食べさせて欲しいであります」

「炬燵から手を出せ、そして自分で食え」

「その命令は拒否させて頂く」

「あーきーつーまーるー?」

「ほほほひっはははひへほひひへはひはふ」(訳:頬を引っ張らないで欲しいであります)

「良く伸びるな」

「暴力を受けたであります。提督殿を憲兵に引き渡すであります」

「みかん、いらないのか?」

「賄賂には屈するしかないでありますな」

「屈するなよ」

「大丈夫であります。元帥殿からの引き抜きには屈しないであります」

(あのクソオヤジいつかシメる……)

「喉が乾いた、お茶が飲みたいであります」

「ちょっとは自分で動けよお前」

「部下を労うのも提督殿のれっきとした業務であります。軍司令部に職務怠慢だと報告するであります」

「秘書艦日にこうしてゆっくり出来なく――」

「報告書作成めんどくさいであります」

「お前本当に監査役真面目にやってるよな? 不安になってきたんだが……」

「大丈夫であります。元帥殿への報告書は大抵三行以内であります」

「それは報告書と呼べる代物じゃないな絶対に、厳重注意か下手すりゃ懲罰モノだぞ」

「元帥殿から毎度セクハラとパワハラ紛いの誘いがあるので、お互い様であります」

「あのクソオヤジもいつか捕まるんじゃないかと心配になってきた……」

「――提督殿」

「何だ?」

「炬燵にずっと入っていたので、身体が熱くなってきたであります」

「じゃあ出ろよ」

「脱ぐであります」

「いや、だから出ろよ」

「部下の自由を認めない提督殿の横暴には屈しないであります」

「そこは屈しろ」

「次の秘書艦日に自分と海へ旅行すると約束すれば、この場は丸く収まるでありますよ」

「あぁ、約束してやる」

「では水着を新調するのに胸囲を測って欲しいので、脱ぐであります」

「お前来た頃と別人にすり替わってたりしないよな?」

「――自分は、提督殿の色に染められただけでありますよ」

374: 2014/06/21(土) 15:13:43.45 ID:4BOiK7rAO
――――離れないとメジャーが背中に回せないんだが。

 ――――気合いでどうにかして欲しいであります。

375: 2014/06/21(土) 15:24:32.46 ID:4BOiK7rAO
~お知らせ~

今日中に羽黒は書く予定です

前回同様、羽黒の話を投下直後の三十分でリクエストを受け付けます

後、明日は申し訳無いですが更新できないので、先にお伝えしておきます

379: 2014/06/21(土) 17:53:01.33 ID:4BOiK7rAO
・羽黒『ミ、ミニスカートでですか……?』、投下します

足フェチ加速中

380: 2014/06/21(土) 17:55:05.03 ID:4BOiK7rAO
――――街中。

「あの、司令官さん」

「どうした?」

「もっと道の端を歩きませんか?」

「車道側を歩いてるんだが、それだけじゃ不満か?」

「い、いえ、そうじゃないんです。その、視線が気になって落ち着かなくて……」

「大丈夫だ、気にするな」

「あぅ……」

(流石にそろそろやめないと逃げ出しかねんか……)

「ありがとうな羽黒、本当にミニスカで来てくれて」

「し、司令官さんに見たいと言われたので、かなり頑張りました」

「ロングスカートも羽黒には似合ってるし可愛いんだが、たまにはミニスカ姿も見てみたいと思ってな」

「ご満足、頂けましたか……?」

「あぁ、大満足だ」

「――なら、頑張って着てみて良かったです」

「……手を繋ぎながらこの距離で会話が出来るなんて、来た頃は考えもしなかったな」

「あ、あの頃は本当にごめんなさい……」

「仕方無いさ。恥ずかしがり屋で男性恐怖症なんて、簡単にどうにかなるもんじゃなかったし」

「……今は、こんなことだって出来ますよ?」

(腕組みか、顔真っ赤だけど大丈夫なのか……?)

「司令官さんはとても優しい人だって知ってます。私の、大切な人です」

「近付いてお前が涙目になる度、妙高から震え上がりそうな冷たい目で見られた甲斐があったよ」

「妙高姉さんは少し過保護なところがありますけど、優しい人ですから」

「あぁ、羽黒が俺の事を怖がらなくなった時、深々と頭を下げられた。“妹をどうかよろしくお願い致します”って」

「――私のこと、これからも大事にしてくれますか?」

「嫌だって答えるわけないだろ。これまでは俺が守ってもらってたんだ、これからは俺が大事にしてやる番だ」

「……はい、お願いします」

「――さて、喫茶店にでも入って少し休憩するか」

「あそこ、喫茶店ですよ。前に足柄姉さんと二人で来ましたし、紅茶が美味しかったです」

「そうか、ならあそこにするか」




――――あの、司令官さん。あまり足ばかり見ないで下さい……。

 ――――無理だ。

391: 2014/06/21(土) 18:33:45.88 ID:4BOiK7rAO
締め切ります

内容は考えたので次回のタイトル書きます

392: 2014/06/21(土) 18:46:13.76 ID:4BOiK7rAO
・鶴姉妹『お茶菓子と茶葉と着物が見たい』

・飛鷹『いつ何がどうなるかなんて分からない』

・北上『提督、ちょっとごっこ遊びに付き合ってよ』

・でち公『海の中を一緒に見たいでち』

・隼鷹『ほろ酔い気分で』

・大井『北上さんとしたなら、私ともして下さい』

・比叡『気合い! 入れて! 泳ぎます!』

・鳥海『眼鏡で合わせるか、コンタクトで合わせるか』

・初霜『かすり傷一つ負わさせません』

以上、9本でお送りします


引用: 【艦これ】大鳳「出入り自由な鎮守府」