501: 2014/06/28(土) 23:32:29.57 ID:8e/6w9oAO
502: 2014/06/28(土) 23:33:04.14 ID:8e/6w9oAO
――――食堂。
「あら? コレは……」
鎮守府の皆で仲良く食べるようにと設けられた、お菓子やティーパックなどの共有スペース。大鳳も良く持ち寄って補充しており、今日も幾つかのパーティーパックを補充しようとやって来たところだ。
そこに幾つかのギフト用らしきお菓子の箱が、封を切られた状態で置かれているのを彼女は見つける。“お土産です”と綺麗な字で書いた紙が、上には乗せてあった。
「また赤城が何処かへ行っていたのね……あの人、ほとんど鎮守府に居ないんじゃないかしら」
月に一度の監査日と、秘書艦日。この二つの時以外は大抵鎮守府を抜け出しており、帰って来る度に加賀からアイアンクローを受けているのを、大鳳も良く目にしている。
(ちょうど良かったわ。甘いものが欲しかったし、このチョコを一つ貰おうかしら)
――注意、この商品にはアルコールが含まれている為、お酒に弱い方はご遠慮下さい。
「――ヒック」
「あら? コレは……」
鎮守府の皆で仲良く食べるようにと設けられた、お菓子やティーパックなどの共有スペース。大鳳も良く持ち寄って補充しており、今日も幾つかのパーティーパックを補充しようとやって来たところだ。
そこに幾つかのギフト用らしきお菓子の箱が、封を切られた状態で置かれているのを彼女は見つける。“お土産です”と綺麗な字で書いた紙が、上には乗せてあった。
「また赤城が何処かへ行っていたのね……あの人、ほとんど鎮守府に居ないんじゃないかしら」
月に一度の監査日と、秘書艦日。この二つの時以外は大抵鎮守府を抜け出しており、帰って来る度に加賀からアイアンクローを受けているのを、大鳳も良く目にしている。
(ちょうど良かったわ。甘いものが欲しかったし、このチョコを一つ貰おうかしら)
――注意、この商品にはアルコールが含まれている為、お酒に弱い方はご遠慮下さい。
「――ヒック」
503: 2014/06/28(土) 23:33:33.71 ID:8e/6w9oAO
――――提督執務室。
「広島焼き美味いな」
「そう言ってもらえるとぶち嬉しいんじゃ」
「提督! 非常事態よ!」
この日の秘書艦は浦風、当然彼女か加賀以外は暗黙の了解で近付かない。しかし、それにも関わらず、飛鷹は執務室へと息を切らせて飛び込んだ。
「どうした、そんなに息を切らせて」
「飛鷹さん、非常事態って何がじゃ?」
「浦風も居るならちょうどいいわ、手伝って!」
「大鳳が酔っ払って手が付けられないの!」
「広島焼き美味いな」
「そう言ってもらえるとぶち嬉しいんじゃ」
「提督! 非常事態よ!」
この日の秘書艦は浦風、当然彼女か加賀以外は暗黙の了解で近付かない。しかし、それにも関わらず、飛鷹は執務室へと息を切らせて飛び込んだ。
「どうした、そんなに息を切らせて」
「飛鷹さん、非常事態って何がじゃ?」
「浦風も居るならちょうどいいわ、手伝って!」
「大鳳が酔っ払って手が付けられないの!」
504: 2014/06/28(土) 23:36:44.85 ID:8e/6w9oAO
――――鎮守府内、大広間。
「如月と弥生を返すっぴょん!」
「天津風は私と遊ぶんだから離してよー!」
「ふふっ、卯月と島風も後でいーっぱい可愛がってあげるわね」
声を荒げる二人。視線の先には如月・弥生・天津風を両腕で抱き締める大鳳の姿。その顔は、熟れたトマトのように真っ赤だ。
「髪が痛んじゃうからあまりキツく抱き締めないでよ、もうっ!」
「何か、今日の大鳳さん、怖い……」
「島風、離れなさい! 今日のこの人何か危ないわっ!」
抵抗する三人の力が弱いのか、今の大鳳の力が強いのか、拘束は一向に解けない。何時もならばこんな真似は決してしないが、今日の彼女は正気を完全に失ってしまっていた。
「姉さん!」
「大鳳!」
「あら、提督に浦風、ごきげんよう。こっちに来て一緒に楽しみましょ」
「な、何なんじゃ……?」
「飛鷹、どういうことか説明してくれ」
「彼女、物凄く酔っ払いやすくて、何ていうかこう、理性が完全にぶっ飛んじゃうのよ……」
以前に自分が受けた仕打ちを思い出し、飛鷹は顔を青ざめさせる。その一件以来大鳳を酒から遠ざけていたのだが、チョコレートまでは彼女もチェックしていなかった。
「で、あの状態か……」
「如月の髪の毛、艶々してて触り心地いいわねー。肌も手入れされてて気持ち良いわ」
「ちょ、ちょっとあんまり触らないで下さる?」
「弥生も可愛いわ」
「こしょばさ、ないでっ、下さい……」
「うふふふふっ」
「何時もの貴女は優しくて好きだけど、今の貴女は大っ嫌いよ」
「そういう事を言う子はお仕置きね」
「きゃっ!? お腹撫でないで!」
「如月も弥生も嫌がってるぴょん! 離さないとうーちゃん怒るぴょん!」
「天津風は私の友達なんだから返してよー!」
「あ……あんなん姉さんやない……」
頼りになる優しいお姉さんというイメージを強く持っていただけにショックが大きく、浦風は涙目で大鳳を見つめる。酒のせいとはいえ、今の彼女の行動は行き過ぎていた。
「全力の大鳳を抑えるとなるとかなりキツいな……そういえば、長門と天龍は来てないのか?」
「コテンパンにやられて、あそこで文月と暁達に慰められてるわよ」
「如月と弥生を返すっぴょん!」
「天津風は私と遊ぶんだから離してよー!」
「ふふっ、卯月と島風も後でいーっぱい可愛がってあげるわね」
声を荒げる二人。視線の先には如月・弥生・天津風を両腕で抱き締める大鳳の姿。その顔は、熟れたトマトのように真っ赤だ。
「髪が痛んじゃうからあまりキツく抱き締めないでよ、もうっ!」
「何か、今日の大鳳さん、怖い……」
「島風、離れなさい! 今日のこの人何か危ないわっ!」
抵抗する三人の力が弱いのか、今の大鳳の力が強いのか、拘束は一向に解けない。何時もならばこんな真似は決してしないが、今日の彼女は正気を完全に失ってしまっていた。
「姉さん!」
「大鳳!」
「あら、提督に浦風、ごきげんよう。こっちに来て一緒に楽しみましょ」
「な、何なんじゃ……?」
「飛鷹、どういうことか説明してくれ」
「彼女、物凄く酔っ払いやすくて、何ていうかこう、理性が完全にぶっ飛んじゃうのよ……」
以前に自分が受けた仕打ちを思い出し、飛鷹は顔を青ざめさせる。その一件以来大鳳を酒から遠ざけていたのだが、チョコレートまでは彼女もチェックしていなかった。
「で、あの状態か……」
「如月の髪の毛、艶々してて触り心地いいわねー。肌も手入れされてて気持ち良いわ」
「ちょ、ちょっとあんまり触らないで下さる?」
「弥生も可愛いわ」
「こしょばさ、ないでっ、下さい……」
「うふふふふっ」
「何時もの貴女は優しくて好きだけど、今の貴女は大っ嫌いよ」
「そういう事を言う子はお仕置きね」
「きゃっ!? お腹撫でないで!」
「如月も弥生も嫌がってるぴょん! 離さないとうーちゃん怒るぴょん!」
「天津風は私の友達なんだから返してよー!」
「あ……あんなん姉さんやない……」
頼りになる優しいお姉さんというイメージを強く持っていただけにショックが大きく、浦風は涙目で大鳳を見つめる。酒のせいとはいえ、今の彼女の行動は行き過ぎていた。
「全力の大鳳を抑えるとなるとかなりキツいな……そういえば、長門と天龍は来てないのか?」
「コテンパンにやられて、あそこで文月と暁達に慰められてるわよ」
505: 2014/06/28(土) 23:38:33.97 ID:8e/6w9oAO
「あの二人が駆逐艦娘守ろうとして負けるって大概だな……。加賀は今日赤城を追いかけるって外出してるし、大和と武蔵は?」
「二日酔いで部屋でぶっ倒れてるらしいぴょん」
「何やってんだよアイツ等……利根は?」
「今動いたら姉としての威厳が保てなくなるって断られたよ、酷いよね!」
(筑摩がまた張り切って作ったのか……)
「言っとくけど、木曾も大井に追い掛けられてて姿隠しちゃってるわよ。龍田も風邪で寝込んでるらしいし」
飛鷹が執務室に走ってきたのは、他に頼る相手が尽きたからだった。島風がまだ残っているが、暴走大鳳に餌を与えるようなモノで、救出には向いていない。
コレで万事休すかと思われたが、切り札がまだ彼等には残っていた。
「姉さん! 何やっとるんじゃ!」
「浦風、貴女もこっちに来て私と楽しみましょうよ」
「嫌じゃ! みんなに酷い事しよるようなそがぁな姉さん、大っ嫌いじゃ!」
「――うらかぜが、わたしを、キライ?」
大鳳の動きが止まる。一番自分になついており、姉さんとまで呼んでくれている浦風に嫌いと言われたことが、吹き飛んでいた理性を呼び起こす。
「そうじゃ! 嫌いじゃ!」「嫌われる? 浦風に?」
「嫌いじゃ嫌いじゃ大っ嫌いじゃ!」
「浦風、ストップ! ストーップ!」
提督に宥められ、浦風は気持ちを徐々に落ち着けていく。
その一方で、大鳳は余程ショックだったのか既に拘束を解いており、三人は卯月と島風と共に離脱していた。
「浦風に、嫌われた……ふふっ、うふふふふ……うわあぁぁぁぁぁん!」
「今度は子供みたいに泣き出しちまったか……」
床にペタンと座り込み、大鳳は大声で泣き始める。流石にその姿を見て責める者はおらず、提督も事態を収拾する為に浦風の背中を軽く叩いて前へと押し出す。
「浦風、慰めてやれ。さっきのは本心じゃないだろ?」
「……うん。――姉さん、うちはいつもの姉さんが大好きなんじゃ。だから、ほんに嫌っとるんやないし、泣かんでえぇんよ」
「……ホントに?」
「うちのこと見付けてくれよった時から、うちは姉さんが大好きじゃ」
「……うん、私も浦風大好きよ」
「完全に落ち着いたみたいだな」
「今度からあの子が酔ったら浦風にお願いするわ」
「浦風が危ない気もするがな……」
――――私、昨日何してたの……?
――――知らん方がえぇこともあるよ、姉さん。
「二日酔いで部屋でぶっ倒れてるらしいぴょん」
「何やってんだよアイツ等……利根は?」
「今動いたら姉としての威厳が保てなくなるって断られたよ、酷いよね!」
(筑摩がまた張り切って作ったのか……)
「言っとくけど、木曾も大井に追い掛けられてて姿隠しちゃってるわよ。龍田も風邪で寝込んでるらしいし」
飛鷹が執務室に走ってきたのは、他に頼る相手が尽きたからだった。島風がまだ残っているが、暴走大鳳に餌を与えるようなモノで、救出には向いていない。
コレで万事休すかと思われたが、切り札がまだ彼等には残っていた。
「姉さん! 何やっとるんじゃ!」
「浦風、貴女もこっちに来て私と楽しみましょうよ」
「嫌じゃ! みんなに酷い事しよるようなそがぁな姉さん、大っ嫌いじゃ!」
「――うらかぜが、わたしを、キライ?」
大鳳の動きが止まる。一番自分になついており、姉さんとまで呼んでくれている浦風に嫌いと言われたことが、吹き飛んでいた理性を呼び起こす。
「そうじゃ! 嫌いじゃ!」「嫌われる? 浦風に?」
「嫌いじゃ嫌いじゃ大っ嫌いじゃ!」
「浦風、ストップ! ストーップ!」
提督に宥められ、浦風は気持ちを徐々に落ち着けていく。
その一方で、大鳳は余程ショックだったのか既に拘束を解いており、三人は卯月と島風と共に離脱していた。
「浦風に、嫌われた……ふふっ、うふふふふ……うわあぁぁぁぁぁん!」
「今度は子供みたいに泣き出しちまったか……」
床にペタンと座り込み、大鳳は大声で泣き始める。流石にその姿を見て責める者はおらず、提督も事態を収拾する為に浦風の背中を軽く叩いて前へと押し出す。
「浦風、慰めてやれ。さっきのは本心じゃないだろ?」
「……うん。――姉さん、うちはいつもの姉さんが大好きなんじゃ。だから、ほんに嫌っとるんやないし、泣かんでえぇんよ」
「……ホントに?」
「うちのこと見付けてくれよった時から、うちは姉さんが大好きじゃ」
「……うん、私も浦風大好きよ」
「完全に落ち着いたみたいだな」
「今度からあの子が酔ったら浦風にお願いするわ」
「浦風が危ない気もするがな……」
――――私、昨日何してたの……?
――――知らん方がえぇこともあるよ、姉さん。
514: 2014/06/29(日) 10:40:33.28 ID:vIlG+LNAO
・夕立『最高に素敵なパーティーがしたいっぽい!』、投下します
駆逐艦は一応全員未成年扱いってことで
駆逐艦は一応全員未成年扱いってことで
515: 2014/06/29(日) 10:42:06.22 ID:vIlG+LNAO
――――提督執務室。
「提督さん、夕立、お願いがあるっぽい」
「叶えられる範囲でならいいぞ、言ってみろ」
「私、皆と素敵なパーティーがしたいっぽい!」
「パーティー? 料理とかを大量に作ってか?」
「うん、たまにはみんなで集まって楽しいことしましょ」
「パーティー、か……」
(食事は鳳翔と間宮と料理得意な奴に頼めば量は揃えられる。飲み物も酒を含めて用意出来ん事もないし、事前に言っておけばスケジュールも何とかなるな……)
「――よし、いいぞ、最高のパーティーをしようじゃないか」
――最高に素敵なパーティーが始まるっぽい?
「提督さん、夕立、お願いがあるっぽい」
「叶えられる範囲でならいいぞ、言ってみろ」
「私、皆と素敵なパーティーがしたいっぽい!」
「パーティー? 料理とかを大量に作ってか?」
「うん、たまにはみんなで集まって楽しいことしましょ」
「パーティー、か……」
(食事は鳳翔と間宮と料理得意な奴に頼めば量は揃えられる。飲み物も酒を含めて用意出来ん事もないし、事前に言っておけばスケジュールも何とかなるな……)
「――よし、いいぞ、最高のパーティーをしようじゃないか」
――最高に素敵なパーティーが始まるっぽい?
516: 2014/06/29(日) 10:43:31.02 ID:vIlG+LNAO
――――鎮守府内、大ホール。
普段は特に使われる事もなく、一時的に荷物を置くのに使われていた場所。だが、今はしっかりと本来の用途として使われていた。
きらびやかな装飾と、所狭しと並べられた料理の数々。それらを見つめる夕立の表情は、実に嬉しそうだ。
「提督さん、ホントにホントに素敵っぽい!」
(まさか、今日のうちに準備するとはな……)
夕立の話を聞いてすぐ、提督は内容を加賀へと伝えていた。準備や手間を考えると、なるべく早い方が良いと思ったからだ。
だが、まさかその日の昼のうちに全ての段取りを整え、夜にパーティーを開く程迅速に行動するとは、流石に彼も考えてはいなかった。
「夕立の提案に皆乗り気でしたので、手伝って頂きました。夕立、私も貴女の提案は凄く良いと思うわ」
「そう言ってもらえると、夕立とっても嬉しいっぽい!」
「全員の予定とかはどうしたんだ?」
「そんなものはどうとでもなります。ここの艦娘達は全員、楽しい事の為ならば協力を惜しみませんから」
手の空いていた者は全員、パーティー会場の準備と料理の用意。そして、すぐには手が空きそうに無い者の手伝いへと走り回って協力していた。
まだ出撃や遠征をしていた頃、一部採算度外視で普段交流の無さそうな艦娘同士を組ませ、提督は遠征へと送り出していた。それが、こんな場面で功を奏する。
「夕立、早く開始の音頭を取ってよ。皆、今か今かと待ち望んでいるよ」
「私は何もしてないっぽい?」
「言い出したのはお前だろ」
「んー、分かったっぽい!」
時雨と提督に促され、夕立はパーティー会場の前方に置いてあるマイクスタンドへと走っていく。全員の視線が彼女へと集まり、グラスを手にその瞬間を待つ。
『皆! 料理はちゃんとあるっぽい!?』
「あるので早くお願いします!」
「赤城さん、もうすぐですから我慢して下さい」
『飲み物は持ったっぽい!?』
「持ったぞ」
「持ってるわよ」
「那智さんも千歳お姉も徳利で乾杯はダメだって!」
『じゃあ、最ッッッ高に素敵なパーティーしましょ!』
普段は特に使われる事もなく、一時的に荷物を置くのに使われていた場所。だが、今はしっかりと本来の用途として使われていた。
きらびやかな装飾と、所狭しと並べられた料理の数々。それらを見つめる夕立の表情は、実に嬉しそうだ。
「提督さん、ホントにホントに素敵っぽい!」
(まさか、今日のうちに準備するとはな……)
夕立の話を聞いてすぐ、提督は内容を加賀へと伝えていた。準備や手間を考えると、なるべく早い方が良いと思ったからだ。
だが、まさかその日の昼のうちに全ての段取りを整え、夜にパーティーを開く程迅速に行動するとは、流石に彼も考えてはいなかった。
「夕立の提案に皆乗り気でしたので、手伝って頂きました。夕立、私も貴女の提案は凄く良いと思うわ」
「そう言ってもらえると、夕立とっても嬉しいっぽい!」
「全員の予定とかはどうしたんだ?」
「そんなものはどうとでもなります。ここの艦娘達は全員、楽しい事の為ならば協力を惜しみませんから」
手の空いていた者は全員、パーティー会場の準備と料理の用意。そして、すぐには手が空きそうに無い者の手伝いへと走り回って協力していた。
まだ出撃や遠征をしていた頃、一部採算度外視で普段交流の無さそうな艦娘同士を組ませ、提督は遠征へと送り出していた。それが、こんな場面で功を奏する。
「夕立、早く開始の音頭を取ってよ。皆、今か今かと待ち望んでいるよ」
「私は何もしてないっぽい?」
「言い出したのはお前だろ」
「んー、分かったっぽい!」
時雨と提督に促され、夕立はパーティー会場の前方に置いてあるマイクスタンドへと走っていく。全員の視線が彼女へと集まり、グラスを手にその瞬間を待つ。
『皆! 料理はちゃんとあるっぽい!?』
「あるので早くお願いします!」
「赤城さん、もうすぐですから我慢して下さい」
『飲み物は持ったっぽい!?』
「持ったぞ」
「持ってるわよ」
「那智さんも千歳お姉も徳利で乾杯はダメだって!」
『じゃあ、最ッッッ高に素敵なパーティーしましょ!』
517: 2014/06/29(日) 10:45:14.97 ID:vIlG+LNAO
開始と同時、料理と飲み物に一斉に手が付けられ、それぞれ好き勝手に盛り上がり始める。
料理を食べる者、互いの料理のレシピを交換する者、酒を酌み交わす者、ビンゴゲームで盛り上がる者、芸を披露する者、思い出話に花を咲かせる者。全員に共通しているのは、“楽しんでいる”ということだけだ。
「期待には沿えたか?……って言っても、俺は何もしてないんだがな」
「提督さんが居るから、皆今を目一杯楽しめるっぽい。夕立、提督さんのことだーい好きっ!」
「俺も、常に明るくて元気な夕立が大好きだぞ」
笑い声が響き合うパーティー会場を眺めながら、二人は飲み物を片手に手を繋ぎ合う。そして、どちらからともなく歩き出し、会場を回り始めた。
「夕立、私が作ったボルシチを食べてくれ」
「二人とも、自動蕎麦打ち機で蕎麦を作ってみたから、食べて後で感想聞かせてね?」
「やっぱりパーティーならカレーだよねー」
「ちょっと鈴谷! わたくしの用意した神戸牛カレーに使いましたの!?」
「ほら、夕立もじゃんじゃん飲め飲めー!」
「ちょっと隼鷹! 駆逐艦の子達にお酒はまだ早いわ!」
「そ、そんなにいっぱいは夕立食べれないっぽいー!」
「向こうで何人か動きがおかしい奴が……ひょっとして酒飲ませたのか!?」
「い、いちにんまえろれでーならワインぐらい飲めるんらから!」
「大潮! おっきな魚雷、撃っちまーす!」
「連装砲ちゃんがいっぱい見えるよ、天津風!」
「そうね、島風も三人居るわね」
「誰かそいつ等が酒飲むの止めろ!」
「ゆーうーだーち!」
「し、時雨? 何か顔が赤いっぽい?」
「このジュース美味しいから、夕立も飲みなよ」
「何か凄く甘い匂いがするっぽい」
「果物が入ってるみたいだね。甘くて美味しいから、さぁ、飲んで」
「ちょっと待て時雨、それ果実酒かなんかだろ! 夕立飲むな!」
「はいはーい、提督にはコ・レ」
「村雨まで酔ってんのか!? 一升瓶なんからっぱ飲み出来るかっ!」
「てやんでぇーい! あたいの酒が飲めねぇってのか!?」
「涼風も酔ってるっぽい?」
「だぁーっ! もう収拾がつかん!」
賑やかな宴は、日付が変わる間際まで続いた。
料理を食べる者、互いの料理のレシピを交換する者、酒を酌み交わす者、ビンゴゲームで盛り上がる者、芸を披露する者、思い出話に花を咲かせる者。全員に共通しているのは、“楽しんでいる”ということだけだ。
「期待には沿えたか?……って言っても、俺は何もしてないんだがな」
「提督さんが居るから、皆今を目一杯楽しめるっぽい。夕立、提督さんのことだーい好きっ!」
「俺も、常に明るくて元気な夕立が大好きだぞ」
笑い声が響き合うパーティー会場を眺めながら、二人は飲み物を片手に手を繋ぎ合う。そして、どちらからともなく歩き出し、会場を回り始めた。
「夕立、私が作ったボルシチを食べてくれ」
「二人とも、自動蕎麦打ち機で蕎麦を作ってみたから、食べて後で感想聞かせてね?」
「やっぱりパーティーならカレーだよねー」
「ちょっと鈴谷! わたくしの用意した神戸牛カレーに使いましたの!?」
「ほら、夕立もじゃんじゃん飲め飲めー!」
「ちょっと隼鷹! 駆逐艦の子達にお酒はまだ早いわ!」
「そ、そんなにいっぱいは夕立食べれないっぽいー!」
「向こうで何人か動きがおかしい奴が……ひょっとして酒飲ませたのか!?」
「い、いちにんまえろれでーならワインぐらい飲めるんらから!」
「大潮! おっきな魚雷、撃っちまーす!」
「連装砲ちゃんがいっぱい見えるよ、天津風!」
「そうね、島風も三人居るわね」
「誰かそいつ等が酒飲むの止めろ!」
「ゆーうーだーち!」
「し、時雨? 何か顔が赤いっぽい?」
「このジュース美味しいから、夕立も飲みなよ」
「何か凄く甘い匂いがするっぽい」
「果物が入ってるみたいだね。甘くて美味しいから、さぁ、飲んで」
「ちょっと待て時雨、それ果実酒かなんかだろ! 夕立飲むな!」
「はいはーい、提督にはコ・レ」
「村雨まで酔ってんのか!? 一升瓶なんからっぱ飲み出来るかっ!」
「てやんでぇーい! あたいの酒が飲めねぇってのか!?」
「涼風も酔ってるっぽい?」
「だぁーっ! もう収拾がつかん!」
賑やかな宴は、日付が変わる間際まで続いた。
518: 2014/06/29(日) 10:45:43.40 ID:vIlG+LNAO
――――提督私室。
「すっごく楽しかったっぽい!」
「俺は氏ぬほど疲れた……」
「えへへ、夕立も実はかなり眠いっぽい」
ベッドに仰向けで体を投げ出した提督の上に、夕立は覆い被さる。暖かな温もりが疲れた身体には心地好く、そのまま頭を撫でているうち、彼は意識を手放した。
「――寝ちゃったっぽい?」
撫でる手が止まり、寝たのを確認すると、夕立は提督の顔へと自分の顔を近付けていく。
「また皆で、素敵なパーティーしましょ。お休みなさい、提督さん」
――ちゅ。
唇が触れる程度のキス。それで満足し、ギュッと身体にしがみつきながら、夕立もまた深い眠りへと落ちていく。
彼女の最高に素敵な1日は、こうして終わりを迎えるのだった。
――――提督さん、また次もパーティーがしたいっぽい!
――――ま、毎回はちょっと無理だからな……?
「すっごく楽しかったっぽい!」
「俺は氏ぬほど疲れた……」
「えへへ、夕立も実はかなり眠いっぽい」
ベッドに仰向けで体を投げ出した提督の上に、夕立は覆い被さる。暖かな温もりが疲れた身体には心地好く、そのまま頭を撫でているうち、彼は意識を手放した。
「――寝ちゃったっぽい?」
撫でる手が止まり、寝たのを確認すると、夕立は提督の顔へと自分の顔を近付けていく。
「また皆で、素敵なパーティーしましょ。お休みなさい、提督さん」
――ちゅ。
唇が触れる程度のキス。それで満足し、ギュッと身体にしがみつきながら、夕立もまた深い眠りへと落ちていく。
彼女の最高に素敵な1日は、こうして終わりを迎えるのだった。
――――提督さん、また次もパーティーがしたいっぽい!
――――ま、毎回はちょっと無理だからな……?
526: 2014/06/29(日) 15:42:20.41 ID:vIlG+LNAO
・那珂『皆ー! 那珂ちゃんだよー!』、投下します
527: 2014/06/29(日) 15:43:23.96 ID:vIlG+LNAO
――――ライブステージ。
「皆ー! 今日も那珂ちゃんのライブに来てくれてありがとー!」
――那珂ちゃーん! 今日も可愛いよー!
――頑張ってチケット取ったよー!
――に! よん! じゅういち!
「今那珂ちゃん解体した人はー主砲で撃っちゃうよー?」
――俺だよー! 撃ってー!
「じゃあ撃って欲しい人が居るみたいだからー……一曲目、『貴方の機関部を狙い撃ち』、いっくよー!」
爆破演出とサイリウムと照明の光の中、ライブが始まった。
那珂は歌いながらダンスやステップでステージ上を華麗に舞い、時折改造した主砲や副砲で観客席へと紙吹雪や水を発射する。
そのパフォーマンスの多彩さと、最後まで息切れもせず全力で動けるタフさが、彼女の持ち味だった。
「まだまだ声出るよねー!」
――おー!
「那珂ちゃんはー?」
――皆のアイドルー!
「海は那珂ちゃんのー?」
――ライブステージ!
「二曲目、『艦隊のアイドル』、いっくよー!」
「皆ー! 今日も那珂ちゃんのライブに来てくれてありがとー!」
――那珂ちゃーん! 今日も可愛いよー!
――頑張ってチケット取ったよー!
――に! よん! じゅういち!
「今那珂ちゃん解体した人はー主砲で撃っちゃうよー?」
――俺だよー! 撃ってー!
「じゃあ撃って欲しい人が居るみたいだからー……一曲目、『貴方の機関部を狙い撃ち』、いっくよー!」
爆破演出とサイリウムと照明の光の中、ライブが始まった。
那珂は歌いながらダンスやステップでステージ上を華麗に舞い、時折改造した主砲や副砲で観客席へと紙吹雪や水を発射する。
そのパフォーマンスの多彩さと、最後まで息切れもせず全力で動けるタフさが、彼女の持ち味だった。
「まだまだ声出るよねー!」
――おー!
「那珂ちゃんはー?」
――皆のアイドルー!
「海は那珂ちゃんのー?」
――ライブステージ!
「二曲目、『艦隊のアイドル』、いっくよー!」
528: 2014/06/29(日) 15:44:37.27 ID:vIlG+LNAO
――ライブ中盤。
「皆、疲れてきたー?」
――まだまだいけるよー!
「じゃあまだまだいっくよー!」
――おー!
「――ちょっと待った!」
会場に響き渡る、那珂ではない誰かの声。すぐに照明が、その声の主を照らし出す。
ステージを支える柱の上、夜風にマフラーをたなびかせ、彼女はそこに悠々と立っていた。
「夜戦忍者、参上!」
「現れたね夜戦忍者! 那珂ちゃんのライブは邪魔させないんだから!」
「やれるものならやってみなよ!」
――アレ、川内ちゃんか?
――あの子、可愛いしカッコイイ!
演出だと即座に理解し、観客席も大いに沸き立つ。こういった突発的なサプライズイベントがあるのも、彼女のライブが人気な理由の一つだ。
「ていっ! せやぁっ!」
「きゃあっ!?」
柱の上や機材の上を飛び回りながら、川内はクナイらしきものを放つ。それに合わせて、ステージの至るところに仕込んだ火薬により、爆発が起こっていく。
演出とは分かっていても、その臨場感はかなりのものだ。
「那珂ちゃんは、絶対に、ライブを成功させるんだからぁ!」
「コレで終わりだよ!」
ステージの骨組みを地面に見立てて蹴り、川内は中央に居る那珂の元へと突撃した。
全員が見守る中で二人の姿が交差し、再び巻き起こる大爆発。煙で観客席からステージが一度見えなくなり、観客はどうなってしまったのかと固唾を飲んで見守る。
――そして、煙が晴れていくと同時、再び曲が流れ始める。
「戦わなくても敵とだって分かり合える。だって那珂ちゃんには――この、笑顔があるから! 『無敵のスマイル』、いっちゃうよー!」
――おー!
再び姿を見せたステージ。そこには、衣装チェンジを済ませた那珂と、その背後にピッタリと張り付いて立つ川内の姿があった。
歌い始めると二人は鏡合わせの様に踊り出し、観客を魅了する。間奏ではそれぞれに独自のダンスも見せ、那珂だけでなく川内の名前も歓声に混じり始めていた。
――そして、楽しいライブにも終わりの時が近付く。
「次の曲が今日のラストだよー!」
――えー?
――もっと聞きたーい!
「ありがとー! でも、また必ず皆に歌声を届けるから、最後にこの曲を聞いてね!」
――――『静かな海で、貴方と共に』。
「皆、疲れてきたー?」
――まだまだいけるよー!
「じゃあまだまだいっくよー!」
――おー!
「――ちょっと待った!」
会場に響き渡る、那珂ではない誰かの声。すぐに照明が、その声の主を照らし出す。
ステージを支える柱の上、夜風にマフラーをたなびかせ、彼女はそこに悠々と立っていた。
「夜戦忍者、参上!」
「現れたね夜戦忍者! 那珂ちゃんのライブは邪魔させないんだから!」
「やれるものならやってみなよ!」
――アレ、川内ちゃんか?
――あの子、可愛いしカッコイイ!
演出だと即座に理解し、観客席も大いに沸き立つ。こういった突発的なサプライズイベントがあるのも、彼女のライブが人気な理由の一つだ。
「ていっ! せやぁっ!」
「きゃあっ!?」
柱の上や機材の上を飛び回りながら、川内はクナイらしきものを放つ。それに合わせて、ステージの至るところに仕込んだ火薬により、爆発が起こっていく。
演出とは分かっていても、その臨場感はかなりのものだ。
「那珂ちゃんは、絶対に、ライブを成功させるんだからぁ!」
「コレで終わりだよ!」
ステージの骨組みを地面に見立てて蹴り、川内は中央に居る那珂の元へと突撃した。
全員が見守る中で二人の姿が交差し、再び巻き起こる大爆発。煙で観客席からステージが一度見えなくなり、観客はどうなってしまったのかと固唾を飲んで見守る。
――そして、煙が晴れていくと同時、再び曲が流れ始める。
「戦わなくても敵とだって分かり合える。だって那珂ちゃんには――この、笑顔があるから! 『無敵のスマイル』、いっちゃうよー!」
――おー!
再び姿を見せたステージ。そこには、衣装チェンジを済ませた那珂と、その背後にピッタリと張り付いて立つ川内の姿があった。
歌い始めると二人は鏡合わせの様に踊り出し、観客を魅了する。間奏ではそれぞれに独自のダンスも見せ、那珂だけでなく川内の名前も歓声に混じり始めていた。
――そして、楽しいライブにも終わりの時が近付く。
「次の曲が今日のラストだよー!」
――えー?
――もっと聞きたーい!
「ありがとー! でも、また必ず皆に歌声を届けるから、最後にこの曲を聞いてね!」
――――『静かな海で、貴方と共に』。
534: 2014/06/29(日) 16:11:46.99 ID:3ShQNOBWo
まるゆによる白スク水布教 in 鎮守府
535: 2014/06/29(日) 16:26:28.26 ID:vIlG+LNAO
・瑞鳳『卵焼き作ったよ』
・夕張『提督で実験』
・五十鈴+潜水艦s『本気で鬼ごっこ』
・羽黒改二『司令官さん、あの、私、改二になったみたいです』
・まるゆ『白いスク水が一番落ち着きますよ?』
の、五本でお送りします
・夕張『提督で実験』
・五十鈴+潜水艦s『本気で鬼ごっこ』
・羽黒改二『司令官さん、あの、私、改二になったみたいです』
・まるゆ『白いスク水が一番落ち着きますよ?』
の、五本でお送りします
537: 2014/06/29(日) 17:28:36.98 ID:vIlG+LNAO
・瑞鳳『卵焼き作ったよ』、投下します
538: 2014/06/29(日) 17:30:20.17 ID:vIlG+LNAO
――――鎮守府、中庭。
「提督、お弁当作ったから食べてね」
「――瑞鳳、コレ、二人分か?」
「ううん、そっちは提督用で、こっちが私用」
(瑞鳳のは普通の弁当箱で、俺はこの重箱を一人で食えと……?)
「ねぇ、早く開けて食べてくれない?」
「あ、あぁ……」
(まぁうまけりゃ何とか食べられ――)
「おい、瑞鳳」
「なぁに?」
「何だこの黄色一色の弁当は! 他の色はどうした!」
「重箱が黒と赤でしょ」
「側なんかどうでもいいわ! 中身の話だ中身の!」
「二段目と三段目も見てから、そういうことは言ってよね」
「じゃあ見てやる。二段目は――やっぱり黄色いじゃねぇか!」
「ちゃんと中にほうれん草入れたよ?」
「だから、そういう問題じゃ、ない!」
「三段目は大丈夫だから安心して」
「本当だろうな? じゃあその三段目はっと……そうだな、色は増えたな。――錦糸卵かけたご飯ってやっぱりほとんど黄色じゃねえか!」
「だってしょうがなかったのよ、賞味期限切れかけなの忘れてたんだもん……」
「はぁ……まぁお前の卵焼きは甘くて美味いから好きではあるが、流石にこりゃ作りすぎだろ」
「しっかり食べてね」
「分かったよ、食うよ、食えばいいんだろ……」
「じゃあ私も、頂きます」
「――ミートボールにハンバーグが見えるのは、俺の気のせいか?」
「き、気のせいよ? ほら、あーんしたげるから卵焼き食べて、ね?」
「……あーん――うん、美味い」
「でしょ? 卵焼きだけは自信あるんだから」
「何か格納庫に卵焼き詰め込みたくなってきた」
「何でよ!?」
「提督、お弁当作ったから食べてね」
「――瑞鳳、コレ、二人分か?」
「ううん、そっちは提督用で、こっちが私用」
(瑞鳳のは普通の弁当箱で、俺はこの重箱を一人で食えと……?)
「ねぇ、早く開けて食べてくれない?」
「あ、あぁ……」
(まぁうまけりゃ何とか食べられ――)
「おい、瑞鳳」
「なぁに?」
「何だこの黄色一色の弁当は! 他の色はどうした!」
「重箱が黒と赤でしょ」
「側なんかどうでもいいわ! 中身の話だ中身の!」
「二段目と三段目も見てから、そういうことは言ってよね」
「じゃあ見てやる。二段目は――やっぱり黄色いじゃねぇか!」
「ちゃんと中にほうれん草入れたよ?」
「だから、そういう問題じゃ、ない!」
「三段目は大丈夫だから安心して」
「本当だろうな? じゃあその三段目はっと……そうだな、色は増えたな。――錦糸卵かけたご飯ってやっぱりほとんど黄色じゃねえか!」
「だってしょうがなかったのよ、賞味期限切れかけなの忘れてたんだもん……」
「はぁ……まぁお前の卵焼きは甘くて美味いから好きではあるが、流石にこりゃ作りすぎだろ」
「しっかり食べてね」
「分かったよ、食うよ、食えばいいんだろ……」
「じゃあ私も、頂きます」
「――ミートボールにハンバーグが見えるのは、俺の気のせいか?」
「き、気のせいよ? ほら、あーんしたげるから卵焼き食べて、ね?」
「……あーん――うん、美味い」
「でしょ? 卵焼きだけは自信あるんだから」
「何か格納庫に卵焼き詰め込みたくなってきた」
「何でよ!?」
539: 2014/06/29(日) 17:30:46.57 ID:vIlG+LNAO
「いや、なんとなく」
「たまに提督って変なこと言うよね」
「ひたすら卵焼きを食わされる俺の身にもなれ」
「はい、あーん」
「あーん――こうすりゃ俺が納得すると思ってないか?」
「美味しいでしょ?」
「美味い」
「はい、こっちのほうれん草入りも美味しいわよ」
「だからそれで納得すると――」
「あーん」
「あーん――ほうれん草入りもイケるな」
「ちょっと軽くほうれん草に味付けしてあるのよ」
「……納得してないからな?」
「はい、あーん」
「あーん」
――――次は肌色とピンク色のモノが食いたい。
――――タラコと明太子マヨネーズ?
――――ふざけてると噛むぞ。
「たまに提督って変なこと言うよね」
「ひたすら卵焼きを食わされる俺の身にもなれ」
「はい、あーん」
「あーん――こうすりゃ俺が納得すると思ってないか?」
「美味しいでしょ?」
「美味い」
「はい、こっちのほうれん草入りも美味しいわよ」
「だからそれで納得すると――」
「あーん」
「あーん――ほうれん草入りもイケるな」
「ちょっと軽くほうれん草に味付けしてあるのよ」
「……納得してないからな?」
「はい、あーん」
「あーん」
――――次は肌色とピンク色のモノが食いたい。
――――タラコと明太子マヨネーズ?
――――ふざけてると噛むぞ。
543: 2014/06/29(日) 22:11:02.64 ID:vIlG+LNAO
湯船で頭が少しスッキリしました
・夕張『提督で実験』、投下します
・夕張『提督で実験』、投下します
544: 2014/06/29(日) 22:11:29.98 ID:vIlG+LNAO
――――工廠。
(不安だ……)
「提督、準備はいいかしら?」
「良くないけど、いいぞ」
「じゃあスイッチオン!」
夕張の手により、スイッチがオフからオンへと変えられた。モーターの駆動音のようなモノが提督の耳に届き、確かに起動していることを知らせる。
「夕張、本当に大丈夫なんだよな?」
「大丈夫。だって私が作ったんだもの」
「いや、お前普通に失敗もしてるだろうが」
「細かい事を気にすると老けちゃいますよ?」
「実験で寿命がグンと縮まりそうではあるな」
夕張の作ったパワードスーツなるものを身にまとい、現在進行形で身の危険をひしひしと感じている提督。ストレスで若干寿命ぐらい縮んでいるかもしれない。
「それでそれで? 着心地はどう? 違和感は無い? このリンゴ持てる? 握り潰せる? 二つに割れる?」
「がっつきすぎだ。着心地は悪くないし、違和感は多少あるが気になる程じゃない。リンゴは――持てる。コレ、握り潰せるのか?」
「出力的には十分可能――な、はず」
「断言しろよ開発者。とりあえずやってみるぞ。――よっ!」
「はうっ!?」
提督が手に力を入れた瞬間、リンゴは綺麗に手からすっぽ抜けた。そして、見事に夕張の顔面へと直撃する。
「大丈夫か?」
「大丈夫じゃないし痛いに決まってるわ……」
涙目で訴える夕張の額は、少し赤くなっていた。かなりの勢いで直撃したのがよく分かる。
「滑りが良すぎやしないか、コレ」
「滑り止めのコーティングを後でしておきます」
「――で、早速危ない訳だが、続けるのか?」
「そうねー……ポチっと」
「おい待て夕張、今何を押した? 急に身体が動かなくなったんだが」
「起動実験と動作実験は済んだし……」
――――“操作実験”を試してみても、いいかしら?
(不安だ……)
「提督、準備はいいかしら?」
「良くないけど、いいぞ」
「じゃあスイッチオン!」
夕張の手により、スイッチがオフからオンへと変えられた。モーターの駆動音のようなモノが提督の耳に届き、確かに起動していることを知らせる。
「夕張、本当に大丈夫なんだよな?」
「大丈夫。だって私が作ったんだもの」
「いや、お前普通に失敗もしてるだろうが」
「細かい事を気にすると老けちゃいますよ?」
「実験で寿命がグンと縮まりそうではあるな」
夕張の作ったパワードスーツなるものを身にまとい、現在進行形で身の危険をひしひしと感じている提督。ストレスで若干寿命ぐらい縮んでいるかもしれない。
「それでそれで? 着心地はどう? 違和感は無い? このリンゴ持てる? 握り潰せる? 二つに割れる?」
「がっつきすぎだ。着心地は悪くないし、違和感は多少あるが気になる程じゃない。リンゴは――持てる。コレ、握り潰せるのか?」
「出力的には十分可能――な、はず」
「断言しろよ開発者。とりあえずやってみるぞ。――よっ!」
「はうっ!?」
提督が手に力を入れた瞬間、リンゴは綺麗に手からすっぽ抜けた。そして、見事に夕張の顔面へと直撃する。
「大丈夫か?」
「大丈夫じゃないし痛いに決まってるわ……」
涙目で訴える夕張の額は、少し赤くなっていた。かなりの勢いで直撃したのがよく分かる。
「滑りが良すぎやしないか、コレ」
「滑り止めのコーティングを後でしておきます」
「――で、早速危ない訳だが、続けるのか?」
「そうねー……ポチっと」
「おい待て夕張、今何を押した? 急に身体が動かなくなったんだが」
「起動実験と動作実験は済んだし……」
――――“操作実験”を試してみても、いいかしら?
545: 2014/06/29(日) 22:12:53.06 ID:vIlG+LNAO
“操作実験”、提督はそんな実験については一言も聞かされていなかった。確かな事は、今夕張の顔が物凄く笑顔ということだけだ。
「説明しろ、手短に」
「私の命令に絶対服従」
「よし、脱ぐ」
「優しく私を抱き締めて」
「脱ーがーせーろー!」
提督の意思とは関係無く、パワードスーツは命令に従い夕張を抱き締める。問題があるとすれば、“優しく”という部分が命令から完全に抜けているということ。
「くっ……苦し……でも、提督をしっかり感じられて……ちょっと良い気持ち……」
「危ない方向に目覚めるんじゃない! さっさと命令を取り消せ!」
「離、して」
命令に従い、パワードスーツは夕張を離す。――遠くへと。
「きゃっ!?」
「夕張っ!?」
工廠に山のように積まれた部品や工具の中へと、凄まじい落下音と破砕音を伴いながら、夕張は吸い込まれていった。いくら大丈夫だとは分かっていても、目の前で重たいものの下敷きになってしまうのを見て、心配しないはずもない。
「夕張、大丈夫かっ!?」
「ちょっと命令認識設定ミスったかなぁ……」
流石に練度の高さのお陰か、多少服や肌が汚れているものの、特に怪我もしていない夕張が荷物の下から這い出てくる。ずっとパワードスーツの問題点について考えているのか、頭の埃すら払う気配もない。
「夕張、おーい」
「もう少し音声認識の精度と感度を上げれば……」
「話聞けメロン」
「メロンって言わないで!」
「ようやく反応したか」
「私だってメロンとまではいかなくても綺麗な形してるって自分では思って……」
「そういうの今はいいから脱がせろ」
「――キス、してちょうだい」
「お前ちょっとは懲りるって事を覚えろよ! 絶対に頭突きの流れだろコレ!」
「……私とは、嫌?」
少し瞳を潤ませ、夕張は提督を見つめている。そして、この時になって初めてようやく気付く。
(……動けるようになってる?)
――――キスも実験するのか?
――――コレは失敗も成功も無く、きっといつでも良い気持ち……。
「説明しろ、手短に」
「私の命令に絶対服従」
「よし、脱ぐ」
「優しく私を抱き締めて」
「脱ーがーせーろー!」
提督の意思とは関係無く、パワードスーツは命令に従い夕張を抱き締める。問題があるとすれば、“優しく”という部分が命令から完全に抜けているということ。
「くっ……苦し……でも、提督をしっかり感じられて……ちょっと良い気持ち……」
「危ない方向に目覚めるんじゃない! さっさと命令を取り消せ!」
「離、して」
命令に従い、パワードスーツは夕張を離す。――遠くへと。
「きゃっ!?」
「夕張っ!?」
工廠に山のように積まれた部品や工具の中へと、凄まじい落下音と破砕音を伴いながら、夕張は吸い込まれていった。いくら大丈夫だとは分かっていても、目の前で重たいものの下敷きになってしまうのを見て、心配しないはずもない。
「夕張、大丈夫かっ!?」
「ちょっと命令認識設定ミスったかなぁ……」
流石に練度の高さのお陰か、多少服や肌が汚れているものの、特に怪我もしていない夕張が荷物の下から這い出てくる。ずっとパワードスーツの問題点について考えているのか、頭の埃すら払う気配もない。
「夕張、おーい」
「もう少し音声認識の精度と感度を上げれば……」
「話聞けメロン」
「メロンって言わないで!」
「ようやく反応したか」
「私だってメロンとまではいかなくても綺麗な形してるって自分では思って……」
「そういうの今はいいから脱がせろ」
「――キス、してちょうだい」
「お前ちょっとは懲りるって事を覚えろよ! 絶対に頭突きの流れだろコレ!」
「……私とは、嫌?」
少し瞳を潤ませ、夕張は提督を見つめている。そして、この時になって初めてようやく気付く。
(……動けるようになってる?)
――――キスも実験するのか?
――――コレは失敗も成功も無く、きっといつでも良い気持ち……。
551: 2014/06/30(月) 17:56:33.16 ID:miSLO2sAO
・五十鈴+潜水艦s『本気で鬼ごっこ』、投下します
五十鈴は優しいお姉さん、何も問題はない
五十鈴は優しいお姉さん、何も問題はない
552: 2014/06/30(月) 17:57:15.46 ID:miSLO2sAO
――――海。
ツインテールの髪を海面に揺らめかせながら、彼女は海にその身を任せ、空を見上げていた。その口元は、微かに何かを唱えるように動き続けている。
「――99、100。さぁ、あの子達はどこへ行ったのかしら?」
百を数え終わり、彼女は身体を起こして索敵を開始する。その目は、獲物を狩る獣のそれと似ていた。
いつまでも負けたままではいられないと、申し込まれた本気の勝負。五十鈴対潜水艦娘で繰り広げられる、鬼ごっこ(狩り)が、今幕を開ける。
ツインテールの髪を海面に揺らめかせながら、彼女は海にその身を任せ、空を見上げていた。その口元は、微かに何かを唱えるように動き続けている。
「――99、100。さぁ、あの子達はどこへ行ったのかしら?」
百を数え終わり、彼女は身体を起こして索敵を開始する。その目は、獲物を狩る獣のそれと似ていた。
いつまでも負けたままではいられないと、申し込まれた本気の勝負。五十鈴対潜水艦娘で繰り広げられる、鬼ごっこ(狩り)が、今幕を開ける。
553: 2014/06/30(月) 17:57:53.47 ID:miSLO2sAO
~鬼ごっこのルール説明~
・制限時間は五時間。
・艤装は使用禁止(イクのみ魚雷発射禁止という条件で魚雷所持)
・範囲制限は五十鈴の初期待機位置から三キロ(出たら自動的に負け)
・“捕縛”(触れるだけではダメ)されたらアウト、全員が捕縛されたら勝負終了
・負けた方が勝った方の願いを一つ叶える
・制限時間は五時間。
・艤装は使用禁止(イクのみ魚雷発射禁止という条件で魚雷所持)
・範囲制限は五十鈴の初期待機位置から三キロ(出たら自動的に負け)
・“捕縛”(触れるだけではダメ)されたらアウト、全員が捕縛されたら勝負終了
・負けた方が勝った方の願いを一つ叶える
554: 2014/06/30(月) 17:58:38.90 ID:miSLO2sAO
――――海中。
(ここにずっと隠れてれば見付からないはずよね……)
イムヤは岩影に潜む選択肢を選ぶ。目立つ髪の色を隠す為、岩に擬態出来る布で身体を隠す念の入れようだ。
(いくら五十鈴さんでもここまですれば見落として――?)
急に布越しに影が差し込み、大きな魚でも通ったのかとイムヤは顔を上げる。
――そして、二つの視線が、バッチリと合わさった。
(……っ!?)
気付いた時には、全てが遅かった。既に身体に回されようとしていた二つの腕にしっかりと抱き締められ、一人目の犠牲者は静かに勝負から姿を消すのだった。
(ここにずっと隠れてれば見付からないはずよね……)
イムヤは岩影に潜む選択肢を選ぶ。目立つ髪の色を隠す為、岩に擬態出来る布で身体を隠す念の入れようだ。
(いくら五十鈴さんでもここまですれば見落として――?)
急に布越しに影が差し込み、大きな魚でも通ったのかとイムヤは顔を上げる。
――そして、二つの視線が、バッチリと合わさった。
(……っ!?)
気付いた時には、全てが遅かった。既に身体に回されようとしていた二つの腕にしっかりと抱き締められ、一人目の犠牲者は静かに勝負から姿を消すのだった。
555: 2014/06/30(月) 17:59:24.19 ID:miSLO2sAO
――――海中、海藻の中。
(ここなら簡単には見付からないでち)
ゴーヤは生い茂る海藻の中に身を潜め、やり過ごそうと試みる。やはり目立つ髪の色がネックになるが、ちょうど手近にあるモノを利用して、更なるカモフラージュを図った。
(ちょっと海藻がヌメッとして気持ち悪いよぉ……でも、五十鈴さんに勝ちたいでち)
不快感に堪え、制限時間いっぱい我慢することを、ゴーヤは決意する。
(んー、何かお腹の辺りがくすぐったいでち……)
腹部に触れている海藻を払い除けようと、ゴーヤは腕を振る。
――その腕は、海藻とは思えない肉感のある何かに触れ、振り切れずに腹部の辺りで止まった。
(――海藻巻きのゴーヤは、きっと美味しくないでち……)
後ろから引き寄せられる感覚に抗うことも出来ぬまま、二人目の犠牲者は身体に巻いた海藻と共に、何処かへと姿を消した。
(ここなら簡単には見付からないでち)
ゴーヤは生い茂る海藻の中に身を潜め、やり過ごそうと試みる。やはり目立つ髪の色がネックになるが、ちょうど手近にあるモノを利用して、更なるカモフラージュを図った。
(ちょっと海藻がヌメッとして気持ち悪いよぉ……でも、五十鈴さんに勝ちたいでち)
不快感に堪え、制限時間いっぱい我慢することを、ゴーヤは決意する。
(んー、何かお腹の辺りがくすぐったいでち……)
腹部に触れている海藻を払い除けようと、ゴーヤは腕を振る。
――その腕は、海藻とは思えない肉感のある何かに触れ、振り切れずに腹部の辺りで止まった。
(――海藻巻きのゴーヤは、きっと美味しくないでち……)
後ろから引き寄せられる感覚に抗うことも出来ぬまま、二人目の犠牲者は身体に巻いた海藻と共に、何処かへと姿を消した。
556: 2014/06/30(月) 18:00:40.04 ID:miSLO2sAO
――――海上。
「うーん、やっぱ泳ぐのって気持ち良いよねー」
シオイは潜水艦だ。確かに潜水艦だ。だが、彼女は普通にクロールで逃げていた。
今回は双方とも、艤装を装備しているわけではない。なので、純粋に泳いで逃げるというのも、有効な手段の一つとなっている。
「今回は五十鈴さんに勝ちたいなー。皆もまだ無事だといいんだけど」
「貴女で三人目よ?」
「――えっ?」
海中から海面へと腕が二本飛び出し、シオイの身体をガッチリと捕らえる。真下から奇襲を受けるという貴重な体験を手土産に、三人目の犠牲者もまた、あっさりと勝負から脱落した。
「うーん、やっぱ泳ぐのって気持ち良いよねー」
シオイは潜水艦だ。確かに潜水艦だ。だが、彼女は普通にクロールで逃げていた。
今回は双方とも、艤装を装備しているわけではない。なので、純粋に泳いで逃げるというのも、有効な手段の一つとなっている。
「今回は五十鈴さんに勝ちたいなー。皆もまだ無事だといいんだけど」
「貴女で三人目よ?」
「――えっ?」
海中から海面へと腕が二本飛び出し、シオイの身体をガッチリと捕らえる。真下から奇襲を受けるという貴重な体験を手土産に、三人目の犠牲者もまた、あっさりと勝負から脱落した。
557: 2014/06/30(月) 18:02:33.76 ID:miSLO2sAO
――――海中。
四方を見渡せる場所。周囲に障害物も無く、近付くには必ず姿を見せなければいけない位置で、イクは五十鈴を待ち構えていた。
(五十鈴さんの裏を掻くのは無理なの。それなら爆雷で攻撃されない今回は、正々堂々見晴らしの良い場所で待ち構えるのがベストなのね)
潜水艦娘はその特性として、息を止めていられる時間が異常に長い。それに加えて、勘の異様に鋭いイクならば、鬼が接近する前に必ず気付けるという寸法だ。
(絶対に勝ってみせるのね!)
意気込みは十分。準備も万端。
――但し、それは敵にも同じことが言えた。
(――な、何なのっ!?)
大きく、海面と海中に揺らぎが発生する。見上げるイクの頭上には、大鯨を心配して鎮守府近海を回遊している鯨の姿があった。
(何か嫌な予感が――)
イクの勘は正しく働く。背筋に感じた嫌な感覚に従い、後ろを確認した彼女が見たものは、優しく笑う鬼の手を広げた姿。
(この人に、どうやったら勝てるのね……)
四人目の犠牲者は、柔らかな彼女の胸の中で敗北感にうちひしがれながら、勝負から脱落した。
四方を見渡せる場所。周囲に障害物も無く、近付くには必ず姿を見せなければいけない位置で、イクは五十鈴を待ち構えていた。
(五十鈴さんの裏を掻くのは無理なの。それなら爆雷で攻撃されない今回は、正々堂々見晴らしの良い場所で待ち構えるのがベストなのね)
潜水艦娘はその特性として、息を止めていられる時間が異常に長い。それに加えて、勘の異様に鋭いイクならば、鬼が接近する前に必ず気付けるという寸法だ。
(絶対に勝ってみせるのね!)
意気込みは十分。準備も万端。
――但し、それは敵にも同じことが言えた。
(――な、何なのっ!?)
大きく、海面と海中に揺らぎが発生する。見上げるイクの頭上には、大鯨を心配して鎮守府近海を回遊している鯨の姿があった。
(何か嫌な予感が――)
イクの勘は正しく働く。背筋に感じた嫌な感覚に従い、後ろを確認した彼女が見たものは、優しく笑う鬼の手を広げた姿。
(この人に、どうやったら勝てるのね……)
四人目の犠牲者は、柔らかな彼女の胸の中で敗北感にうちひしがれながら、勝負から脱落した。
558: 2014/06/30(月) 18:03:06.67 ID:miSLO2sAO
――――海上。
ハチは、本を読む為に海上に居た。小さなボートの中にすっぽりと身を収め、下手な小細工をせず、波に身を任せて漂うという逃げ方だ。
(どうせ五十鈴さんには考え読まれてるし、無駄な労力をはっちゃんは使いたくないし……)
なるようにしかならないという考えの元、彼女はのんびりとただただ海を漂う。確かにこの方法ならば、五十鈴の裏を掻ける可能性があった。
「――逃げなくていいの?」
「近付かれた時点で、はっちゃんの負けだもの」
「そう……じゃあ」
――つ・か・ま・え・た。
ハチは、本を読む為に海上に居た。小さなボートの中にすっぽりと身を収め、下手な小細工をせず、波に身を任せて漂うという逃げ方だ。
(どうせ五十鈴さんには考え読まれてるし、無駄な労力をはっちゃんは使いたくないし……)
なるようにしかならないという考えの元、彼女はのんびりとただただ海を漂う。確かにこの方法ならば、五十鈴の裏を掻ける可能性があった。
「――逃げなくていいの?」
「近付かれた時点で、はっちゃんの負けだもの」
「そう……じゃあ」
――つ・か・ま・え・た。
559: 2014/06/30(月) 18:03:34.77 ID:miSLO2sAO
――――海上。
「うふふ、ほら、早く逃げないと捕まるわよ?」
「ひいぃぃぃぃっ!?」
鬼ごっことは本来こういうものだ。鬼から逃げるという行為無くして、鬼ごっこは成立し得ない。
――しかし、追われる方が本当に怯えている場合、鬼の姿がずっと後ろに見えているというのは、相当な恐怖を伴う。
「後はまるゆだけよ、必氏に逃げなさい」
「も、もう、無理……」
「あら、だらしないわねぇ」
余裕を見せる五十鈴とは違い、ただ泳ぐだけというのが苦手なまるゆは、既に満身創痍だ。泳ぐのをやめて動きを止めた獲物へと、鬼はゆっくりと近付く。
「勝負に負けたらどうなるか、分かってるわよね?」
「うぅ……はい……」
「じゃあ改めて――つ・か・ま・え・た」
所要時間、二時間四十七分。五十鈴の圧勝により、鬼ごっこ終了。
「うふふ、ほら、早く逃げないと捕まるわよ?」
「ひいぃぃぃぃっ!?」
鬼ごっことは本来こういうものだ。鬼から逃げるという行為無くして、鬼ごっこは成立し得ない。
――しかし、追われる方が本当に怯えている場合、鬼の姿がずっと後ろに見えているというのは、相当な恐怖を伴う。
「後はまるゆだけよ、必氏に逃げなさい」
「も、もう、無理……」
「あら、だらしないわねぇ」
余裕を見せる五十鈴とは違い、ただ泳ぐだけというのが苦手なまるゆは、既に満身創痍だ。泳ぐのをやめて動きを止めた獲物へと、鬼はゆっくりと近付く。
「勝負に負けたらどうなるか、分かってるわよね?」
「うぅ……はい……」
「じゃあ改めて――つ・か・ま・え・た」
所要時間、二時間四十七分。五十鈴の圧勝により、鬼ごっこ終了。
560: 2014/06/30(月) 18:04:21.90 ID:miSLO2sAO
――――鎮守府内、長良型私室。
「――五十鈴、何してるの?」
「抱き枕を抱いているだけよ?」
「あの、それ……」
「名取、触れない方がいい」
「五十鈴姉ちゃん、マジパナイ」
「私は何も見てない私は何も見てない……」
――――今日から六日間は良い夢が見られそうね。
――――五十鈴さん、胸に顔が埋もれてちょっと苦しいわ……。
「――五十鈴、何してるの?」
「抱き枕を抱いているだけよ?」
「あの、それ……」
「名取、触れない方がいい」
「五十鈴姉ちゃん、マジパナイ」
「私は何も見てない私は何も見てない……」
――――今日から六日間は良い夢が見られそうね。
――――五十鈴さん、胸に顔が埋もれてちょっと苦しいわ……。
565: 2014/06/30(月) 22:32:42.41 ID:miSLO2sAO
若干タイトル変更
・羽黒改二『司令官さん、あの、私、改二になってみました』、投下します
夕張と明石は久々の仕事で張り切りました
・羽黒改二『司令官さん、あの、私、改二になってみました』、投下します
夕張と明石は久々の仕事で張り切りました
566: 2014/06/30(月) 22:33:22.95 ID:miSLO2sAO
――――提督執務室。
「あ、あの……」
「ん? どうした羽黒、早く入れ」
「司令官さん、私……改二に、なりました」
「――は?」
部屋へと恐る恐る入る羽黒。改二になったことを簡単に証明する手段として、彼女は艤装を装備してきている。それは見る者に若干威圧感を与える程、以前より兵器感を醸し出していた。
「何で今、改二になったんだよ」
「あの、もっと自信を付けたいって思って、神通さんに相談したんです」
(そこに行ったか……)
普段は自分同様に大人しい雰囲気の神通。しかし、戦闘では鬼神とでも呼ぶべき迫力を見せていた彼女に、羽黒は密かに憧れていたのだ。
そう言う彼女自身も決戦では獅子奮迅の大活躍を見せていたのだが、自信を持っているかどうかという点では、確かに劣っていた。
「それで、彼女に話を伺ったら、改二になった時に気持ちが更に引き締まったと聞いたので」
「で、改二になったと」
「はい、か、勝手な事してごめんなさい……」
「いや、別に怒ってはないさ。それでお前は自信を持てたんだろ?」
「は、はい! 以前よりも少し背筋が伸びた気がします!」
艤装の重さを支えるのに猫背だとしんどいからではないか、そう思いつつも、提督は黙って頷いて返した。
「あの、司令官さん。まだまだ臆病な私ですが、ずっとお側に置いて下さいますか……?」
「あぁ、当たり前だ」
「――今日は、勇気を出してみますね」
羽黒は提督の元へと歩み寄り、抱き締めようと腕を伸ばす。目を合わせる事すら出来なかった頃と比べると、考えられない程の進歩だ。
それに応える為に、提督は椅子から立ち上がった。
「司令官さん、好きです」
「引っ込み思案はコレで卒業だな……好きだぞ、羽黒」
二人は抱き合い、そのまま良い雰囲気になる――はずだった。
「は、ぐろ……くるし、しぬ……」
「えっ!? あ、あの、ごめんなさい! まだ改二になったばかりで力加減が分からなくって……」
「な、慣れていけば大丈夫だ、気にするな……」
「うぅ……司令官さんともっと仲良く出来るはずだったのに……」
落ち込む羽黒を見ながら、やはりどこか放っておけないという保護欲のようなものを掻き立てられ、提督は優しく頭を撫でるのだった。
――――羽黒、とりあえず艤装外して来ないか?
――――はい、実はコレ少し重くって……。
「あ、あの……」
「ん? どうした羽黒、早く入れ」
「司令官さん、私……改二に、なりました」
「――は?」
部屋へと恐る恐る入る羽黒。改二になったことを簡単に証明する手段として、彼女は艤装を装備してきている。それは見る者に若干威圧感を与える程、以前より兵器感を醸し出していた。
「何で今、改二になったんだよ」
「あの、もっと自信を付けたいって思って、神通さんに相談したんです」
(そこに行ったか……)
普段は自分同様に大人しい雰囲気の神通。しかし、戦闘では鬼神とでも呼ぶべき迫力を見せていた彼女に、羽黒は密かに憧れていたのだ。
そう言う彼女自身も決戦では獅子奮迅の大活躍を見せていたのだが、自信を持っているかどうかという点では、確かに劣っていた。
「それで、彼女に話を伺ったら、改二になった時に気持ちが更に引き締まったと聞いたので」
「で、改二になったと」
「はい、か、勝手な事してごめんなさい……」
「いや、別に怒ってはないさ。それでお前は自信を持てたんだろ?」
「は、はい! 以前よりも少し背筋が伸びた気がします!」
艤装の重さを支えるのに猫背だとしんどいからではないか、そう思いつつも、提督は黙って頷いて返した。
「あの、司令官さん。まだまだ臆病な私ですが、ずっとお側に置いて下さいますか……?」
「あぁ、当たり前だ」
「――今日は、勇気を出してみますね」
羽黒は提督の元へと歩み寄り、抱き締めようと腕を伸ばす。目を合わせる事すら出来なかった頃と比べると、考えられない程の進歩だ。
それに応える為に、提督は椅子から立ち上がった。
「司令官さん、好きです」
「引っ込み思案はコレで卒業だな……好きだぞ、羽黒」
二人は抱き合い、そのまま良い雰囲気になる――はずだった。
「は、ぐろ……くるし、しぬ……」
「えっ!? あ、あの、ごめんなさい! まだ改二になったばかりで力加減が分からなくって……」
「な、慣れていけば大丈夫だ、気にするな……」
「うぅ……司令官さんともっと仲良く出来るはずだったのに……」
落ち込む羽黒を見ながら、やはりどこか放っておけないという保護欲のようなものを掻き立てられ、提督は優しく頭を撫でるのだった。
――――羽黒、とりあえず艤装外して来ないか?
――――はい、実はコレ少し重くって……。
568: 2014/07/01(火) 10:47:40.64 ID:QSbwxHUAO
・まるゆ『白いスク水が一番落ち着きますよ?』、投下します
569: 2014/07/01(火) 10:49:06.43 ID:QSbwxHUAO
――――鎮守府内、プール。
「ふむ、悪くないのぅ」
「サイズが少し小さいですね」
「私もちょっと、胸が……」
「あの、私は潜水母艦ですよお?」
「何で俺まで……」
同じ水着を着用した五人。彼女達にそれを手渡した者もまた、同じ水着を着用している。
「お似合いですよ、皆さん」
この鎮守府内で唯一、陸軍指定の白スク水を着ていたまるゆ。彼女は前々から一人だけ違う水着であることに、少し寂しさを感じていた。
そこで今回、各サイズを何枚か支給してもらい、白スク水の布教へと乗り出したのだ。
「妾は黒より白を好んで着ておる。コレは肌触りも良い、気に入ったのじゃ」
「そうですね、白は着ていて気持ちが良いです」
「こっちの方が目立たない……かも?」
「黒も白も鯨さんの色なので、私は好きですよお」
「まぁ、白もありだな」
「そうですよね、白もいいですよねっ!」
予想以上の好感触であった事に喜び、まるゆはキラキラとした笑顔を五人に向ける。
初春と浜風は元々白という色を好んでおり、潮は以前に漣から黒い下着を“何か工口い”と言われたことで、黒を敬遠中。大鯨は黒も白も好きで、木曾は自分を慕うまるゆとお揃いで満更でもないといった感じだ。
「他の皆さんも着てみてくれるといいんだけど……」
他にも着てくれそうな艦娘が居ないか、まるゆは次のターゲットを頭に思い浮かべる。
常にサラシの褐色艦娘、僕っ娘ドイツ艦娘、睦月型の美容担当艦娘、改二で白服に変わった艦娘、良いところを広めてくれそうな重巡艦娘、肌を露出した姿を見た事が無い最強空母艦娘。
(皆が白スク水を着たら、今よりもっと私に親近感が湧いて、もっと仲良くなれるはず!)
微かな期待に胸を膨らませつつ、まるゆは様々なサイズの白スク水を手に、鎮守府内を走り回るのだった。
~続く?~
「ふむ、悪くないのぅ」
「サイズが少し小さいですね」
「私もちょっと、胸が……」
「あの、私は潜水母艦ですよお?」
「何で俺まで……」
同じ水着を着用した五人。彼女達にそれを手渡した者もまた、同じ水着を着用している。
「お似合いですよ、皆さん」
この鎮守府内で唯一、陸軍指定の白スク水を着ていたまるゆ。彼女は前々から一人だけ違う水着であることに、少し寂しさを感じていた。
そこで今回、各サイズを何枚か支給してもらい、白スク水の布教へと乗り出したのだ。
「妾は黒より白を好んで着ておる。コレは肌触りも良い、気に入ったのじゃ」
「そうですね、白は着ていて気持ちが良いです」
「こっちの方が目立たない……かも?」
「黒も白も鯨さんの色なので、私は好きですよお」
「まぁ、白もありだな」
「そうですよね、白もいいですよねっ!」
予想以上の好感触であった事に喜び、まるゆはキラキラとした笑顔を五人に向ける。
初春と浜風は元々白という色を好んでおり、潮は以前に漣から黒い下着を“何か工口い”と言われたことで、黒を敬遠中。大鯨は黒も白も好きで、木曾は自分を慕うまるゆとお揃いで満更でもないといった感じだ。
「他の皆さんも着てみてくれるといいんだけど……」
他にも着てくれそうな艦娘が居ないか、まるゆは次のターゲットを頭に思い浮かべる。
常にサラシの褐色艦娘、僕っ娘ドイツ艦娘、睦月型の美容担当艦娘、改二で白服に変わった艦娘、良いところを広めてくれそうな重巡艦娘、肌を露出した姿を見た事が無い最強空母艦娘。
(皆が白スク水を着たら、今よりもっと私に親近感が湧いて、もっと仲良くなれるはず!)
微かな期待に胸を膨らませつつ、まるゆは様々なサイズの白スク水を手に、鎮守府内を走り回るのだった。
~続く?~
581: 2014/07/01(火) 11:33:03.41 ID:QSbwxHUAO
・愛宕『提督、しっかり見て選んで下さいね?』
・高雄『コレは提督の執務の範疇です』
・加賀『たまには甘えてみようと思います』
・ながもん『何!? 敵が現れただと!?』
・那智『貴様も酒ぐらい飲めるようになれ』
・榛名『改二改造可能者への通達……?』
・加賀&第六駆逐隊『やるからには本気でいきます』
・加賀『先を越された……? そんな、馬鹿な……』
・龍驤改二『何でや! 改二って希望に溢れてたんちゃうんか!?』
の九本でお送りします
何だこの驚異の加賀さん率は……
・高雄『コレは提督の執務の範疇です』
・加賀『たまには甘えてみようと思います』
・ながもん『何!? 敵が現れただと!?』
・那智『貴様も酒ぐらい飲めるようになれ』
・榛名『改二改造可能者への通達……?』
・加賀&第六駆逐隊『やるからには本気でいきます』
・加賀『先を越された……? そんな、馬鹿な……』
・龍驤改二『何でや! 改二って希望に溢れてたんちゃうんか!?』
の九本でお送りします
何だこの驚異の加賀さん率は……
589: 2014/07/01(火) 18:45:35.36 ID:QSbwxHUAO
――――女性用水着売り場。
(居心地悪いなやっぱり)
「提督、コレなんてどうかしらー?」
「淡い水色か……うん、いいんじゃないか?」
「じゃあ試着するからちょっと待ってて下さる?」
「まぁそうなるよな……分かった、なるべく早く頼む」
「はーい」
――三分後。
「ぱんぱかぱーん!」
「お前わざとだろ、絶対にそれサイズ小さいぞ」
「提督が揉むからまた大きくなったのかしら」
「口を閉じてサイズを変えてちゃんと選べ」
「こんな場所で口を塞げですってー? もうっ、提督ってば大胆ねー」
「そっち方向に無理矢理結び付けんな。いいからさっさと選べ」
「はーい」
――更に十分後。
「ぱんぱかぱーん」
「お前ちょっとは真面目に選べ! 帰るぞ!」
「だって小さいのはダメって言ったじゃない」
「だからって手でずっと押さえてなきゃいけないようなのを選ぶ奴があるか!」
「提督、ここで触りたいって気持ちは抑えて下さいね?」
「その上手くもない返しには触れないでおいてやるから、さっさと次を選んでこい」
「はーい」
――五分後。
「今度はライムグリーンか、サイズも今回は大丈夫そうだし、爽やかな感じがしていいと思うぞ」
「うふふ、見てると興奮します?」
「残念ながら俺は足派だ」
「じゃあこの密かに持ってきてたロングパレオをこうして――はい、コレでどうかしら?」
「さぁ買って帰るぞ、用事は済んだな」
「あら、感想をまだ聞いてないわ」
「ちょっと待て、試着室からそのまま出てくるな、っていうか抱き着くな!」
「ちゃんと感想を聞かせて下さるなら、離れてあげるわよ?」
「……グッと魅力が増した、コレでいいか?」
「……うふふっ」
「おいコラ愛宕、離すって約束を――」
「あー足がもつれたわー」
(わざとらしいセリフで試着室に引きずり込む気かっ!?)
――――タンクが大きいと紐がほどけやすいのよねぇ……もう一度結んで下さる?
――――その前に退け、タンクに埋もれて前が見えん。
(居心地悪いなやっぱり)
「提督、コレなんてどうかしらー?」
「淡い水色か……うん、いいんじゃないか?」
「じゃあ試着するからちょっと待ってて下さる?」
「まぁそうなるよな……分かった、なるべく早く頼む」
「はーい」
――三分後。
「ぱんぱかぱーん!」
「お前わざとだろ、絶対にそれサイズ小さいぞ」
「提督が揉むからまた大きくなったのかしら」
「口を閉じてサイズを変えてちゃんと選べ」
「こんな場所で口を塞げですってー? もうっ、提督ってば大胆ねー」
「そっち方向に無理矢理結び付けんな。いいからさっさと選べ」
「はーい」
――更に十分後。
「ぱんぱかぱーん」
「お前ちょっとは真面目に選べ! 帰るぞ!」
「だって小さいのはダメって言ったじゃない」
「だからって手でずっと押さえてなきゃいけないようなのを選ぶ奴があるか!」
「提督、ここで触りたいって気持ちは抑えて下さいね?」
「その上手くもない返しには触れないでおいてやるから、さっさと次を選んでこい」
「はーい」
――五分後。
「今度はライムグリーンか、サイズも今回は大丈夫そうだし、爽やかな感じがしていいと思うぞ」
「うふふ、見てると興奮します?」
「残念ながら俺は足派だ」
「じゃあこの密かに持ってきてたロングパレオをこうして――はい、コレでどうかしら?」
「さぁ買って帰るぞ、用事は済んだな」
「あら、感想をまだ聞いてないわ」
「ちょっと待て、試着室からそのまま出てくるな、っていうか抱き着くな!」
「ちゃんと感想を聞かせて下さるなら、離れてあげるわよ?」
「……グッと魅力が増した、コレでいいか?」
「……うふふっ」
「おいコラ愛宕、離すって約束を――」
「あー足がもつれたわー」
(わざとらしいセリフで試着室に引きずり込む気かっ!?)
――――タンクが大きいと紐がほどけやすいのよねぇ……もう一度結んで下さる?
――――その前に退け、タンクに埋もれて前が見えん。
595: 2014/07/01(火) 23:04:57.31 ID:QSbwxHUAO
・高雄『コレは提督の執務の範疇です』、投下します
596: 2014/07/01(火) 23:06:28.42 ID:QSbwxHUAO
――――提督執務室。
「提督、どうでしょうか?」
「いや、どうと言われても困るんだが……」
高雄の差し出してきた書類に目を通した後、提督はそれをどう処理しようかと思案に耽る。 今、彼が読んでいたのは艦娘からの嘆願書であり、鎮守府の活動を円滑に維持していく為の貴重な糧だ。観光に訪れる客のマナーから、日常生活の中の些細な問題まで、様々な内容のものが毎日執務室へと寄せられている。
「――なぁ、一つ聞きたいんだが、コレ書いたのお前か?」
「いえ、そのような内容のものを書いた覚えは無いわ」
(視線がさ迷ってる時点でバレバレだろ……)
「“提督は秘書艦娘に対してですら、スキンシップは必要最低限に抑えようとしておられるように見受けられます。早急に改善されますようお願い申し上げます”……俺に四六時中仕事もせず、秘書艦娘にベタベタしろってことか?」
「えぇ、その通り――いえ、私には何とも」
(黒確定)
「でも、提督があまり自分から触れて下さらないのは事実だわ」
「そうか?」
「秘書艦娘ともっと親交を深めるというのも、提督の大事な執務の一つではありませんか?」
そんな執務あるか、等と言うだけ無駄な事は提督も分かっている。下手に何か言えば即夜戦に突入しかねないことも、身に沁みて理解していた。
(妥協点を探ってなんとか切り抜けるしかないか……)
「具体的にはどうすればいいんだ?」
「肌と肌を重ね合いましょう」
「お前と摩耶を足して2で割りたくなってきた」
手が触れ合うだけで顔を真っ赤にして罵倒してくる摩耶と、真顔でド直球な要求をしてくる高雄。どちらもどう扱うべきか悩むという点においては、提督の中では大差なかった。
「それがダメでしたら……書類を書きながらキスなどもいい感じね」
「集中出来んわ!」
「では、書きながら身体に触れて頂くだけでも構いません」
「まぁ、それぐらいなら……」
「では、こちらの書類をお願い致します」
「――なぁ高雄」
「はい」
「何で服を脱いでいってるんだ?」
「?」
「首傾げてんじゃねぇよ、別に脱ぐ必要は無いだろうが」
「……一生の不覚ね、今まで気がつかなかったわ。まさか、提督が服を脱がせたい派だったなんて」
「夜にならなくても扱いに困るとか勘弁してくれよ……」
――――分かったわ。提督は着衣の方がお好きなのですね?
――――違う!
「提督、どうでしょうか?」
「いや、どうと言われても困るんだが……」
高雄の差し出してきた書類に目を通した後、提督はそれをどう処理しようかと思案に耽る。 今、彼が読んでいたのは艦娘からの嘆願書であり、鎮守府の活動を円滑に維持していく為の貴重な糧だ。観光に訪れる客のマナーから、日常生活の中の些細な問題まで、様々な内容のものが毎日執務室へと寄せられている。
「――なぁ、一つ聞きたいんだが、コレ書いたのお前か?」
「いえ、そのような内容のものを書いた覚えは無いわ」
(視線がさ迷ってる時点でバレバレだろ……)
「“提督は秘書艦娘に対してですら、スキンシップは必要最低限に抑えようとしておられるように見受けられます。早急に改善されますようお願い申し上げます”……俺に四六時中仕事もせず、秘書艦娘にベタベタしろってことか?」
「えぇ、その通り――いえ、私には何とも」
(黒確定)
「でも、提督があまり自分から触れて下さらないのは事実だわ」
「そうか?」
「秘書艦娘ともっと親交を深めるというのも、提督の大事な執務の一つではありませんか?」
そんな執務あるか、等と言うだけ無駄な事は提督も分かっている。下手に何か言えば即夜戦に突入しかねないことも、身に沁みて理解していた。
(妥協点を探ってなんとか切り抜けるしかないか……)
「具体的にはどうすればいいんだ?」
「肌と肌を重ね合いましょう」
「お前と摩耶を足して2で割りたくなってきた」
手が触れ合うだけで顔を真っ赤にして罵倒してくる摩耶と、真顔でド直球な要求をしてくる高雄。どちらもどう扱うべきか悩むという点においては、提督の中では大差なかった。
「それがダメでしたら……書類を書きながらキスなどもいい感じね」
「集中出来んわ!」
「では、書きながら身体に触れて頂くだけでも構いません」
「まぁ、それぐらいなら……」
「では、こちらの書類をお願い致します」
「――なぁ高雄」
「はい」
「何で服を脱いでいってるんだ?」
「?」
「首傾げてんじゃねぇよ、別に脱ぐ必要は無いだろうが」
「……一生の不覚ね、今まで気がつかなかったわ。まさか、提督が服を脱がせたい派だったなんて」
「夜にならなくても扱いに困るとか勘弁してくれよ……」
――――分かったわ。提督は着衣の方がお好きなのですね?
――――違う!
599: 2014/07/02(水) 08:11:05.00 ID:oGzfo74Oo
乙です
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります