600: 2014/07/02(水) 13:13:49.43 ID:jq8hZkgAO
601: 2014/07/02(水) 13:15:49.73 ID:jq8hZkgAO
――――提督執務室。
「――ほら、お茶」
「ありがとうございます」
いつもならば自分の仕事だと頑なにさせようとはしないのだが、この日は珍しく提督が茶を淹れていた。それというのも、部屋に入ってきて早々“疲れました、労って下さい”と彼女が要求した為だ。
「ここに座って下さい」
「労えって奴の上に乗っていいのか?」
「早急にお願いします」
膝を叩いて早くしろと訴える加賀に苦笑しながら、提督は彼女の上に腰を下ろす。それを待ちわびていたかのように、すぐに後ろから手が回され、彼は強く抱き締められた。
「加賀が甘えてくるなんて珍しいな」
「……何か問題?」
「いや、ちょっと可愛いと思った」
「……」
背中に頭がグリグリと擦りつけられ、提督は今の彼女の顔が赤いであろうことを想像して笑みを浮かべた。
「甘えるぐらいで疲れが取れるなら、いくらでも甘えてくれて構わないからな?」
「……はい」
更に強く抱き締められたことにより、心臓の鼓動が提督へと伝わるようになる。そのリズムは、少し速い。
「一つ、聞いていいか?」
「えぇ」
「俺からのスキンシップを増やしたら、お前は嬉し――」
「限り無く気分が高揚して疲れなど消え失せます」
「そ、そうか……」
一応念のために確認してみただけだったのだが、加賀の反応は予想を上回っていた。無言のプレッシャーを背中に感じつつ、提督は手を後ろへと伸ばす。。
「いつもありがとな、加賀」
「……頭を撫でられるというのも、悪くないものですね」
「撫でといてなんだが、子供扱いするなとか、髪が乱れるとか言わないのか?」
「この心地好い感覚の為なら、誇りや羞恥心など捨てます」
「おい、捨ててどうする」
「ふふっ、冗談です。貴方の前以外で、このような姿は見せません」
「そうだな、締まりの無い顔してるし」
「そんな顔はしていませんが?」
「じゃあ見せ――」
「お断りします」
「そうか、キスしてやろうかと思ったんだが、顔が見れなきゃ無理か」
「……そういうことでしたら、どうぞ」
(――赤面してる加賀、いいな)
「あまり、ジッと見ないで頂けますか……?」
「断る」
「……仕方の無い人ですね、貴方は」
「今更だろ?――ん」
「――ほら、お茶」
「ありがとうございます」
いつもならば自分の仕事だと頑なにさせようとはしないのだが、この日は珍しく提督が茶を淹れていた。それというのも、部屋に入ってきて早々“疲れました、労って下さい”と彼女が要求した為だ。
「ここに座って下さい」
「労えって奴の上に乗っていいのか?」
「早急にお願いします」
膝を叩いて早くしろと訴える加賀に苦笑しながら、提督は彼女の上に腰を下ろす。それを待ちわびていたかのように、すぐに後ろから手が回され、彼は強く抱き締められた。
「加賀が甘えてくるなんて珍しいな」
「……何か問題?」
「いや、ちょっと可愛いと思った」
「……」
背中に頭がグリグリと擦りつけられ、提督は今の彼女の顔が赤いであろうことを想像して笑みを浮かべた。
「甘えるぐらいで疲れが取れるなら、いくらでも甘えてくれて構わないからな?」
「……はい」
更に強く抱き締められたことにより、心臓の鼓動が提督へと伝わるようになる。そのリズムは、少し速い。
「一つ、聞いていいか?」
「えぇ」
「俺からのスキンシップを増やしたら、お前は嬉し――」
「限り無く気分が高揚して疲れなど消え失せます」
「そ、そうか……」
一応念のために確認してみただけだったのだが、加賀の反応は予想を上回っていた。無言のプレッシャーを背中に感じつつ、提督は手を後ろへと伸ばす。。
「いつもありがとな、加賀」
「……頭を撫でられるというのも、悪くないものですね」
「撫でといてなんだが、子供扱いするなとか、髪が乱れるとか言わないのか?」
「この心地好い感覚の為なら、誇りや羞恥心など捨てます」
「おい、捨ててどうする」
「ふふっ、冗談です。貴方の前以外で、このような姿は見せません」
「そうだな、締まりの無い顔してるし」
「そんな顔はしていませんが?」
「じゃあ見せ――」
「お断りします」
「そうか、キスしてやろうかと思ったんだが、顔が見れなきゃ無理か」
「……そういうことでしたら、どうぞ」
(――赤面してる加賀、いいな)
「あまり、ジッと見ないで頂けますか……?」
「断る」
「……仕方の無い人ですね、貴方は」
「今更だろ?――ん」
602: 2014/07/02(水) 13:16:16.64 ID:jq8hZkgAO
――――夕飯は肉じゃがを作って下さい。
――――(昼から搾られた俺に夕飯作れとか鬼か……)
――――(昼から搾られた俺に夕飯作れとか鬼か……)
604: 2014/07/02(水) 17:03:47.16 ID:jq8hZkgAO
・ながもん『何!? 敵が現れただと!?』 、投下します
※戦闘は雰囲気ですので深く気にしないで下さい
※戦闘は雰囲気ですので深く気にしないで下さい
605: 2014/07/02(水) 17:05:05.27 ID:jq8hZkgAO
――――鎮守府内、某所。
「最近はすっかり大人しくなったけど、私は以前に追いかけ回された事を忘れちゃいないわ」
「あの痛み、悪くはなかった。だが、度が過ぎてはいた」
「この谷風さんを気絶する程抱き締めるなんざぁ、許しちゃおけねーってもんだ!」
「あたしに気安く触れていいのは提督だけだ」
「捕ってきた蟹、全部ぐちゃぐちゃに潰された……」
「アタシが炬燵で気持ち良く寝てたの、無理矢理引き摺り出しやがった」
「じゃあ皆“対長門報復作戦”、開始するわよ!」
――――鎮守府近海。
(何故今になって近海の警備を私が……いや、提督が何の意味もなく私に命令を出すはずもないか。深く考えるのは止しておくとしよう)
『長門ー聞こえるかー?』
「提督か、何だ? 相変わらず海は穏やかそのものだぞ」
『近海に偵察機を飛ばしていた瑞鶴からの通信の内容を伝える。“深海棲艦らしき存在を確認、至急現場へ向かわれたし”』
「深海棲艦だと!? 分かった、最大戦速でその場所へ向かう! 提督、発見したポイントは何処だ!?」
『二時の方角、距離は約10000だ』
「了解!」
「最近はすっかり大人しくなったけど、私は以前に追いかけ回された事を忘れちゃいないわ」
「あの痛み、悪くはなかった。だが、度が過ぎてはいた」
「この谷風さんを気絶する程抱き締めるなんざぁ、許しちゃおけねーってもんだ!」
「あたしに気安く触れていいのは提督だけだ」
「捕ってきた蟹、全部ぐちゃぐちゃに潰された……」
「アタシが炬燵で気持ち良く寝てたの、無理矢理引き摺り出しやがった」
「じゃあ皆“対長門報復作戦”、開始するわよ!」
――――鎮守府近海。
(何故今になって近海の警備を私が……いや、提督が何の意味もなく私に命令を出すはずもないか。深く考えるのは止しておくとしよう)
『長門ー聞こえるかー?』
「提督か、何だ? 相変わらず海は穏やかそのものだぞ」
『近海に偵察機を飛ばしていた瑞鶴からの通信の内容を伝える。“深海棲艦らしき存在を確認、至急現場へ向かわれたし”』
「深海棲艦だと!? 分かった、最大戦速でその場所へ向かう! 提督、発見したポイントは何処だ!?」
『二時の方角、距離は約10000だ』
「了解!」
606: 2014/07/02(水) 17:07:06.72 ID:jq8hZkgAO
――――謎の深海棲艦確認地点。
(――アレか!)
「今までどうやって生き延びていたのかは知らんが、このビッグセブンである長門が居る限り、鎮守府には近付けさせんぞ!」
――(来たわね、皆、作戦通りに行くわよ!)
――(((((了解!)))))
(……? 見た目も珍妙だが、動きもただの駆逐艦の群れにしては奇妙だな……)
「それに――思わず抱き締めたくなる衝動に、胸が熱くなる」
――(動きが止まったわ、今よ!)
――(魚雷、発射!)
「あの動き、統率の取り方……そうか、非常時に私がしっかりと自分達を守ってくれるのかを確かめたかったのだな……いいだろう! 日々の鍛練の成果をとくと見るがいい!」
――(魚雷が迫る中を真っ正面から突っ込んできたですって!?)
――(しかも前よりめっちゃ速いよ!?)
「一番手前に居るのは誰だ? 光を反射するという事は眼鏡をかけているな?――望月か。そっちは長波だな」
――(……バレてね?)
――(文月と電と雷と若葉を後ろ姿だけで見分けるぐらいだからな……このぐらいの変装じゃ、すぐに見破られてもおかしくないか)
「バレたって何だっていいわ、砲撃よ、砲撃!」
「波による誤差修整よし、回避行動パターンBと認識、対象の膝に照準固定――発射」
「ぬぅっ!? この精密な射撃、若葉もそこに居るな?」
「装甲が厚い、一撃では無理か……」
「私達の砲撃じゃ数十発必要、多分」
「動きが止まりゃいいの! 魚雷次弾装填、全艦発射するわよ!」
「がってん!」
「いっくよー!」
「陽炎型の一番艦というだけはあるな、統率力と指揮の的確さは見事なものだ。――だが、このビッグセブンを侮ってもらっては困るな!」
「ちょっと、魚雷無視して撃つ気!?」
「回避間に合わない、絶対」
「帰りは全員背負ってやるから安心していいぞ。――全主砲斉射、てーいっ!」
「こんのバカ長門ぉぉぉぉっ!」
――――発射直後の魚雷が数発、主砲の着弾の衝撃で爆発。残りは全て至近弾を狙っていたこともあり、駆逐艦娘六名は中破状態で気絶。
帰投時には全員を背負っていたこともあり、長門はキラキラしていたという……。
――――次こそは絶対に懲らしめてやるんだから!
――――(入渠までさせたってのに、陽炎がキラキラしてるのは何でだ……?)
(――アレか!)
「今までどうやって生き延びていたのかは知らんが、このビッグセブンである長門が居る限り、鎮守府には近付けさせんぞ!」
――(来たわね、皆、作戦通りに行くわよ!)
――(((((了解!)))))
(……? 見た目も珍妙だが、動きもただの駆逐艦の群れにしては奇妙だな……)
「それに――思わず抱き締めたくなる衝動に、胸が熱くなる」
――(動きが止まったわ、今よ!)
――(魚雷、発射!)
「あの動き、統率の取り方……そうか、非常時に私がしっかりと自分達を守ってくれるのかを確かめたかったのだな……いいだろう! 日々の鍛練の成果をとくと見るがいい!」
――(魚雷が迫る中を真っ正面から突っ込んできたですって!?)
――(しかも前よりめっちゃ速いよ!?)
「一番手前に居るのは誰だ? 光を反射するという事は眼鏡をかけているな?――望月か。そっちは長波だな」
――(……バレてね?)
――(文月と電と雷と若葉を後ろ姿だけで見分けるぐらいだからな……このぐらいの変装じゃ、すぐに見破られてもおかしくないか)
「バレたって何だっていいわ、砲撃よ、砲撃!」
「波による誤差修整よし、回避行動パターンBと認識、対象の膝に照準固定――発射」
「ぬぅっ!? この精密な射撃、若葉もそこに居るな?」
「装甲が厚い、一撃では無理か……」
「私達の砲撃じゃ数十発必要、多分」
「動きが止まりゃいいの! 魚雷次弾装填、全艦発射するわよ!」
「がってん!」
「いっくよー!」
「陽炎型の一番艦というだけはあるな、統率力と指揮の的確さは見事なものだ。――だが、このビッグセブンを侮ってもらっては困るな!」
「ちょっと、魚雷無視して撃つ気!?」
「回避間に合わない、絶対」
「帰りは全員背負ってやるから安心していいぞ。――全主砲斉射、てーいっ!」
「こんのバカ長門ぉぉぉぉっ!」
――――発射直後の魚雷が数発、主砲の着弾の衝撃で爆発。残りは全て至近弾を狙っていたこともあり、駆逐艦娘六名は中破状態で気絶。
帰投時には全員を背負っていたこともあり、長門はキラキラしていたという……。
――――次こそは絶対に懲らしめてやるんだから!
――――(入渠までさせたってのに、陽炎がキラキラしてるのは何でだ……?)
617: 2014/07/04(金) 00:00:04.87 ID:yf/e0vRAO
・那智『貴様も酒ぐらい飲めるようになれ』、投下します
618: 2014/07/04(金) 00:00:42.53 ID:yf/e0vRAO
――――提督私室。
「飲め」
「いや、だから俺は酒に弱いと言ってるだろ」
目の前に突き出された盃を押し返すと、それがまた押し返される。このやり取りが先程から既に十数回、テーブルを挟んで繰り返されていた。
「コレはそこまで度数が強くはないし飲みやすい、飲め」
「度数が弱いにしても、なみなみと注がなくてもいいだろう」
「ちびちびと飲めばいい」
「……はぁ、分かったよ」
強引に押し切られ、提督はとうとう盃を手にした。そして、躊躇いがちに口を付ける。
「――美味いな、コレ」
「千歳と色々な酒を飲み歩いて、ようやく見付けたんだ。貴様と二人で飲めそうな、この酒をな」
「……悪い、手間かけさせた」
「そう思うならしっかりと今日は付き合ってくれ。貴様とこうして飲める日を、私は楽しみにしていたんだからな」
盃を傾けながら、那智は目を細める。その言葉の全てが彼女の包み隠さぬ本心だと、優しげな横顔が語っていた。
「飲み過ぎて酔ったら、ちゃんと介抱してくれよ?」
「安心しろ、酔わなくなるまで鍛えてやる」
「安心出来んぞ、それ……」
ゆっくりと、ゆったりと、提督のペースに合わせて、那智は盃を傾けていく。今彼女が楽しんでいるのは、酒の味というよりはこの一時だ。
一言二言、言葉を交わし、また口を付ける。まるで飲みきるのを惜しむかの如く、盃を傾ける速度は一向に変わらない。
「司令官」
「何だ?」
「酒を、少しは好きになれたか?」
「……あぁ」
「そうか」
「那智」
「何だ?」
「今度、鳳翔のところに二人で飲みに行かないか?」
「喜んで付き合おう」
そこで一度、会話が途切れる。ちょうど二人の盃に注がれた酒は、無くなっていた。
「――司令官、もう少し飲まないか?」
「……さっきの半分ぐらいにしてくれ」
――――頭が痛ぇ……。
――――私を放置して寝た報いだ。
「飲め」
「いや、だから俺は酒に弱いと言ってるだろ」
目の前に突き出された盃を押し返すと、それがまた押し返される。このやり取りが先程から既に十数回、テーブルを挟んで繰り返されていた。
「コレはそこまで度数が強くはないし飲みやすい、飲め」
「度数が弱いにしても、なみなみと注がなくてもいいだろう」
「ちびちびと飲めばいい」
「……はぁ、分かったよ」
強引に押し切られ、提督はとうとう盃を手にした。そして、躊躇いがちに口を付ける。
「――美味いな、コレ」
「千歳と色々な酒を飲み歩いて、ようやく見付けたんだ。貴様と二人で飲めそうな、この酒をな」
「……悪い、手間かけさせた」
「そう思うならしっかりと今日は付き合ってくれ。貴様とこうして飲める日を、私は楽しみにしていたんだからな」
盃を傾けながら、那智は目を細める。その言葉の全てが彼女の包み隠さぬ本心だと、優しげな横顔が語っていた。
「飲み過ぎて酔ったら、ちゃんと介抱してくれよ?」
「安心しろ、酔わなくなるまで鍛えてやる」
「安心出来んぞ、それ……」
ゆっくりと、ゆったりと、提督のペースに合わせて、那智は盃を傾けていく。今彼女が楽しんでいるのは、酒の味というよりはこの一時だ。
一言二言、言葉を交わし、また口を付ける。まるで飲みきるのを惜しむかの如く、盃を傾ける速度は一向に変わらない。
「司令官」
「何だ?」
「酒を、少しは好きになれたか?」
「……あぁ」
「そうか」
「那智」
「何だ?」
「今度、鳳翔のところに二人で飲みに行かないか?」
「喜んで付き合おう」
そこで一度、会話が途切れる。ちょうど二人の盃に注がれた酒は、無くなっていた。
「――司令官、もう少し飲まないか?」
「……さっきの半分ぐらいにしてくれ」
――――頭が痛ぇ……。
――――私を放置して寝た報いだ。
619: 2014/07/04(金) 00:03:58.28 ID:yf/e0vRAO
・榛名『改二改造可能者への通達……?』、投下します
若干メタなので今回はキャラが一部言動おかしいです
若干メタなので今回はキャラが一部言動おかしいです
620: 2014/07/04(金) 00:06:45.83 ID:yf/e0vRAO
――――提督執務室。
「――って訳で、有事の際に改造してたんじゃ遅いから、月末に一斉に改二になれる者は改造しろって上からのお達しだ。何か問題はあるか?」
「いえ、榛名は特に問題ありません」
「そうか、ならもう下がって――」
「Hey、榛名ー! 改二決定おめでとデース!」
「私も自分の事の様に嬉しいです!」
「おめでとう榛名、改二になったらまたデータを取らせてね」
「ドアを壊すなよお前等……」
「お姉様方も、霧島も、ありがとうございます。これからも、榛名は頑張ります」
「コレで金剛型sister'sは皆改二って事デース」
「榛名はどんな風になるんでしょうね?」
「主砲を全て取り払って対空砲火特化型とかどうかしら?」
「それならいっそ装甲も薄くして超軽量型戦艦を目指してみるネー」
「あの、金剛姉様も霧島も、榛名の改二改造後の艤装を予想して遊ばないで下さい……」
「主砲から牛乳が出るとかどうですか?」
「艤装から凄い臭いするぞ、それ」
「出すならやっぱり紅茶がいいデース」
「拡声器になってて声で攻撃とか、面白いんじゃないかしら」
「……」
「カレーが出るっていうのもいいかもしれませんね」
「海汚れるからその系統から離れろよ」
「じゃあいっそ霧島と合体出来るようになるとかどうネー?」
「それは素敵ね、とても良いと思いますよお姉様。榛名もそう思わない?……榛名?」
「――勝手な! 妄想は! 許しませんっ!」
「っ!? 榛名、ちょっと落ち着くデース!」
「ヒェーッ!?」
「改二にならなくともこの戦闘力……月末が楽しみね」
「誰かさっさと止めろ! 部屋が壊れる!」
「榛名は……榛名はそんな変な改造、絶対に許しません!」
――――榛名さんの改造、どうします?
――――色々試してみたいわね。ちょうど対空ミサイルもあるし、積んじゃいましょう。
「――って訳で、有事の際に改造してたんじゃ遅いから、月末に一斉に改二になれる者は改造しろって上からのお達しだ。何か問題はあるか?」
「いえ、榛名は特に問題ありません」
「そうか、ならもう下がって――」
「Hey、榛名ー! 改二決定おめでとデース!」
「私も自分の事の様に嬉しいです!」
「おめでとう榛名、改二になったらまたデータを取らせてね」
「ドアを壊すなよお前等……」
「お姉様方も、霧島も、ありがとうございます。これからも、榛名は頑張ります」
「コレで金剛型sister'sは皆改二って事デース」
「榛名はどんな風になるんでしょうね?」
「主砲を全て取り払って対空砲火特化型とかどうかしら?」
「それならいっそ装甲も薄くして超軽量型戦艦を目指してみるネー」
「あの、金剛姉様も霧島も、榛名の改二改造後の艤装を予想して遊ばないで下さい……」
「主砲から牛乳が出るとかどうですか?」
「艤装から凄い臭いするぞ、それ」
「出すならやっぱり紅茶がいいデース」
「拡声器になってて声で攻撃とか、面白いんじゃないかしら」
「……」
「カレーが出るっていうのもいいかもしれませんね」
「海汚れるからその系統から離れろよ」
「じゃあいっそ霧島と合体出来るようになるとかどうネー?」
「それは素敵ね、とても良いと思いますよお姉様。榛名もそう思わない?……榛名?」
「――勝手な! 妄想は! 許しませんっ!」
「っ!? 榛名、ちょっと落ち着くデース!」
「ヒェーッ!?」
「改二にならなくともこの戦闘力……月末が楽しみね」
「誰かさっさと止めろ! 部屋が壊れる!」
「榛名は……榛名はそんな変な改造、絶対に許しません!」
――――榛名さんの改造、どうします?
――――色々試してみたいわね。ちょうど対空ミサイルもあるし、積んじゃいましょう。
621: 2014/07/04(金) 00:10:18.61 ID:yf/e0vRAO
・加賀&第六駆逐隊『やるからには本気でいきます』、投下します
622: 2014/07/04(金) 00:10:53.93 ID:yf/e0vRAO
――――演習場。
「本当にやるのね?」
「暁達だって一人前の艦娘よ。ちゃんと加賀さん相手でも戦えるんだから!」
「本気でいくよ、手加減は無用だ」
「この雷様の力を見せてあげるわ!」
「加賀さんに勝ってみせるのです!」
「……分かりました」
――――挑んで来たからには、全力で相手をしてあげます。
「本当にやるのね?」
「暁達だって一人前の艦娘よ。ちゃんと加賀さん相手でも戦えるんだから!」
「本気でいくよ、手加減は無用だ」
「この雷様の力を見せてあげるわ!」
「加賀さんに勝ってみせるのです!」
「……分かりました」
――――挑んで来たからには、全力で相手をしてあげます。
623: 2014/07/04(金) 00:11:36.66 ID:yf/e0vRAO
四対一、数の上では第六駆逐隊が有利。しかし、武蔵に一度着任時に黒星を付けられて以降、全勝無敗の加賀に挑むのは、かなり厳しいものがある。
だが、彼女達も無策で挑んだ訳ではない。
(雷とヴェールヌイは対空砲、電はあの消音砲、暁は――バルジ?)
既に涙目の暁を先頭に、雷とヴェールヌイがその後ろに続き、電が最後尾。単縦陣の短期決戦狙いで、多少の被弾は覚悟しての初霜愛用小型バルジを使用、そう加賀は推測する。
「では、大和の合図に合わせて開始します」
「一人前のレディーである暁は、いつでも準備出来てるわ」
「暁、足がガクガク震えてるよ」
「もう、だらしないわねぇ。そんなんじゃ勝てないわよ?」
「こ、コレは武者震いなんだから!」
「皆で頑張るのです!」
審判役である大和の合図を、五人は待つ。短期決戦を目的としている場合、開始直後にどれだけ素早く動けるかが重要となる。
――そして、空へと向けて轟音と共に、開始の合図が発射された。
だが、彼女達も無策で挑んだ訳ではない。
(雷とヴェールヌイは対空砲、電はあの消音砲、暁は――バルジ?)
既に涙目の暁を先頭に、雷とヴェールヌイがその後ろに続き、電が最後尾。単縦陣の短期決戦狙いで、多少の被弾は覚悟しての初霜愛用小型バルジを使用、そう加賀は推測する。
「では、大和の合図に合わせて開始します」
「一人前のレディーである暁は、いつでも準備出来てるわ」
「暁、足がガクガク震えてるよ」
「もう、だらしないわねぇ。そんなんじゃ勝てないわよ?」
「こ、コレは武者震いなんだから!」
「皆で頑張るのです!」
審判役である大和の合図を、五人は待つ。短期決戦を目的としている場合、開始直後にどれだけ素早く動けるかが重要となる。
――そして、空へと向けて轟音と共に、開始の合図が発射された。
624: 2014/07/04(金) 00:12:11.59 ID:yf/e0vRAO
「突撃ー!」
「Ура!」
「一気に決めちゃうわ!」
「近付く手間が省けて助かります」
「ひっ!?」
「雷!」
「言われなくても分かってるわ、撃てー!」
開始早々、加賀へと突撃する暁達。だが、加賀もまた暁達の元へと最大戦速で向かっていた。
「いいいい一人前のレディーは怯えたりなんかしないんだから!」
「まさか艦載機を発艦させずに突撃してくるとは思わなかったよ」
「とにかく撃つわ!」
ヴェールヌイと雷は、連装砲を暁の後方から撃ち続ける。
それを意にも介さず、加賀は速度を落とすこと無く距離を詰めていく。二人からの砲撃は激しく、徐々に両者が距離を詰めるごとに、彼女も回避行動を取らざるを得なくなっていった。
そうまでして、最大戦速で敵に突っ込むという空母らしからぬ行動をした彼女の目的は――。
「――捕まえました」
「だ、だずげでぇ……」
――暁、加賀により捕獲。
「Ура!」
「一気に決めちゃうわ!」
「近付く手間が省けて助かります」
「ひっ!?」
「雷!」
「言われなくても分かってるわ、撃てー!」
開始早々、加賀へと突撃する暁達。だが、加賀もまた暁達の元へと最大戦速で向かっていた。
「いいいい一人前のレディーは怯えたりなんかしないんだから!」
「まさか艦載機を発艦させずに突撃してくるとは思わなかったよ」
「とにかく撃つわ!」
ヴェールヌイと雷は、連装砲を暁の後方から撃ち続ける。
それを意にも介さず、加賀は速度を落とすこと無く距離を詰めていく。二人からの砲撃は激しく、徐々に両者が距離を詰めるごとに、彼女も回避行動を取らざるを得なくなっていった。
そうまでして、最大戦速で敵に突っ込むという空母らしからぬ行動をした彼女の目的は――。
「――捕まえました」
「だ、だずげでぇ……」
――暁、加賀により捕獲。
625: 2014/07/04(金) 00:13:37.12 ID:yf/e0vRAO
「ちょっと、捕まえるなんて反則じゃないの!」
「ルールにそんなことは書いてありませんが?」
「確かに、書いてはいないな」
「そうでもしないと――」
「きゃんっ!?」
「っ……暁、ごめんなさいなのです」
「あの子は一筋縄ではいきそうにありませんので」
背後から音もなく迫った砲撃を、加賀は暁のバルジで受け止める。奇襲が失敗に終わり、電はまた移動を開始した。
「躊躇わずに姉を撃つ芯の強さ、やはり侮れません」
「撃たせたのは加賀じゃないか」
「手近に居たもので、つい」
「これぐらい……へっちゃ……ら……」
「暁!?」
「気絶してしまったわね……仕方ありません。このまま担いで続けます」
中断して暁を大和に預けるという選択肢もあるが、加賀はそのまま暁を背負って演習続行を決意する。そして同時に、空母としての行動も開始した。
「全機発艦、速やかに殲滅します」
「艦載機を狙う? それとも加賀さん?」
「暁みたいに捕まるのは避けたいな。距離を取りつつ、艦載機を狙うよ」
連装砲ではなく広角砲に攻撃手段を切り替え、後退しながら二人は艦載機を狙う。加賀の航行速度よりも早く、当たれば一撃で大破する攻撃の雨を降らせるそれらの方が危険だからだ。
艦載機の操作に集中出来ないよう、電が断続的に加賀を狙い撃っている事もあり、二人は無事に加賀から距離を取ることに成功する。
――だが、武蔵に化物とまで言わしめた彼女の本領が発揮されるのは、ここからだった。
「――お疲れ様、雷、ヴェールヌイ。次に期待しています」
「ルールにそんなことは書いてありませんが?」
「確かに、書いてはいないな」
「そうでもしないと――」
「きゃんっ!?」
「っ……暁、ごめんなさいなのです」
「あの子は一筋縄ではいきそうにありませんので」
背後から音もなく迫った砲撃を、加賀は暁のバルジで受け止める。奇襲が失敗に終わり、電はまた移動を開始した。
「躊躇わずに姉を撃つ芯の強さ、やはり侮れません」
「撃たせたのは加賀じゃないか」
「手近に居たもので、つい」
「これぐらい……へっちゃ……ら……」
「暁!?」
「気絶してしまったわね……仕方ありません。このまま担いで続けます」
中断して暁を大和に預けるという選択肢もあるが、加賀はそのまま暁を背負って演習続行を決意する。そして同時に、空母としての行動も開始した。
「全機発艦、速やかに殲滅します」
「艦載機を狙う? それとも加賀さん?」
「暁みたいに捕まるのは避けたいな。距離を取りつつ、艦載機を狙うよ」
連装砲ではなく広角砲に攻撃手段を切り替え、後退しながら二人は艦載機を狙う。加賀の航行速度よりも早く、当たれば一撃で大破する攻撃の雨を降らせるそれらの方が危険だからだ。
艦載機の操作に集中出来ないよう、電が断続的に加賀を狙い撃っている事もあり、二人は無事に加賀から距離を取ることに成功する。
――だが、武蔵に化物とまで言わしめた彼女の本領が発揮されるのは、ここからだった。
「――お疲れ様、雷、ヴェールヌイ。次に期待しています」
626: 2014/07/04(金) 00:15:50.21 ID:yf/e0vRAO
「っ!? いったぁーい! 今のどこから!?」
「雷!? くっ……」
二人が後退した方向から、加賀の艦載機が姿を現す。気付かれぬ様に細心の注意を払いながら、十機程回り込ませていたのだ。
反応に遅れた雷は轟沈判定、ヴェールヌイは直前に気付き、被害を中破に留める。
「二人とも、大丈――はにゃあ!?」
「優しい貴女なら、この瞬間に足を止めると思っていたわ。電、次は一対一でやりましょう」
姉二人を気にかけた瞬間を狙われ、電も轟沈判定を受ける。コレで、残ったのは中破のヴェールヌイだけだ。
「不氏鳥の通り名は流石ね。でも、コレで終わりです」
「最後に一矢ぐらいは報いさせてもらうよ」
「そう……なら、最後まで全力で相手をしてあげるわ」
残る艦載機を全てヴェールヌイへと向けて飛ばし、加賀は勝負を終わらせようとする。
――しかし、最後の最後で一つの誤算が生じた。
「今よ! 響!」
「雷!? くっ……」
二人が後退した方向から、加賀の艦載機が姿を現す。気付かれぬ様に細心の注意を払いながら、十機程回り込ませていたのだ。
反応に遅れた雷は轟沈判定、ヴェールヌイは直前に気付き、被害を中破に留める。
「二人とも、大丈――はにゃあ!?」
「優しい貴女なら、この瞬間に足を止めると思っていたわ。電、次は一対一でやりましょう」
姉二人を気にかけた瞬間を狙われ、電も轟沈判定を受ける。コレで、残ったのは中破のヴェールヌイだけだ。
「不氏鳥の通り名は流石ね。でも、コレで終わりです」
「最後に一矢ぐらいは報いさせてもらうよ」
「そう……なら、最後まで全力で相手をしてあげるわ」
残る艦載機を全てヴェールヌイへと向けて飛ばし、加賀は勝負を終わらせようとする。
――しかし、最後の最後で一つの誤算が生じた。
「今よ! 響!」
627: 2014/07/04(金) 00:16:54.73 ID:yf/e0vRAO
(気絶していたはずではなかったの……?)
ずっと肩に担がれていた暁。彼女は今、加賀にしがみつきながら両手で目隠しをして、艦載機の操作を妨害するという荒業に打って出ていた。
すぐに目隠しを振りほどく事は出来たものの、その一瞬で、ヴェールヌイは連装砲を加賀へと向けて放っていた。
(回避は……間に合いませんね)
被弾を覚悟し、彼女は艦載機の操作を優先する。
結果、連装砲が加賀へ着弾した直後、流星改の雷撃がヴェールヌイを捉えるのだった。
――加賀、小破。第六駆逐隊、全員轟沈判定。よって、此度の演習は加賀の勝利とする。
「あの時既に気絶判定を受けていたので、最後の妨害は反則です。少し、暁にはお仕置きが必要なようね」
「お、お仕置きなんて別に暁は怖くないわ」
「お尻を提督が見ている前で百回叩きます」
「そ……そんな一人前のレディーとして恥ずかしいお仕置きは嫌ー!」
ずっと肩に担がれていた暁。彼女は今、加賀にしがみつきながら両手で目隠しをして、艦載機の操作を妨害するという荒業に打って出ていた。
すぐに目隠しを振りほどく事は出来たものの、その一瞬で、ヴェールヌイは連装砲を加賀へと向けて放っていた。
(回避は……間に合いませんね)
被弾を覚悟し、彼女は艦載機の操作を優先する。
結果、連装砲が加賀へ着弾した直後、流星改の雷撃がヴェールヌイを捉えるのだった。
――加賀、小破。第六駆逐隊、全員轟沈判定。よって、此度の演習は加賀の勝利とする。
「あの時既に気絶判定を受けていたので、最後の妨害は反則です。少し、暁にはお仕置きが必要なようね」
「お、お仕置きなんて別に暁は怖くないわ」
「お尻を提督が見ている前で百回叩きます」
「そ……そんな一人前のレディーとして恥ずかしいお仕置きは嫌ー!」
628: 2014/07/04(金) 00:19:51.64 ID:yf/e0vRAO
・加賀『先を越された……? そんな、馬鹿な……』、投下します
629: 2014/07/04(金) 00:20:18.01 ID:yf/e0vRAO
――――提督執務室。
「結婚して下さい」
「……は?」
「ウェディングドレスか白無垢、提督が好きな方を着ます。ですから、結婚しましょう」
熱でもあるのかと言いたくなるような発言を朝から繰り返す加賀に、提督は頭を抱える。原因は間違いなく、北上と大井の件だ。
「あのな加賀、アレはごっこ遊び――」
全てを言い切る前に、提督の頭の横で破砕音が響く。彼はブリキのオモチャにでもなったかのように、ゆっくりと顔を横に向けた。
(拒否したら、次は俺がこうなるってか……?)
椅子の背もたれに開いた穴。それは、綺麗に加賀の拳の形になっていた。
「ウェディングドレスと白無垢、どちらがよろしいですか?」
「……ウェディングドレスで頼む」
「結婚して下さい」
「……は?」
「ウェディングドレスか白無垢、提督が好きな方を着ます。ですから、結婚しましょう」
熱でもあるのかと言いたくなるような発言を朝から繰り返す加賀に、提督は頭を抱える。原因は間違いなく、北上と大井の件だ。
「あのな加賀、アレはごっこ遊び――」
全てを言い切る前に、提督の頭の横で破砕音が響く。彼はブリキのオモチャにでもなったかのように、ゆっくりと顔を横に向けた。
(拒否したら、次は俺がこうなるってか……?)
椅子の背もたれに開いた穴。それは、綺麗に加賀の拳の形になっていた。
「ウェディングドレスと白無垢、どちらがよろしいですか?」
「……ウェディングドレスで頼む」
630: 2014/07/04(金) 00:20:47.13 ID:yf/e0vRAO
――――結婚式場、控え室。
スタッフの人間に白い目で見られながら、提督は再びタキシードへと袖を通していた。
(そりゃあ違う女を取っ替え引っ替え連れてくるわ、参列客も居ないわ、神父や神主すら不要なんて客はこういう目で見られるよな……)
「提督、料理が見当たらないのですが……」
「あるかそんなもん。っていうか何しに来た赤城」
「加賀の準備が出来ましたので、呼びに来ました。料理が無いのでしたら、私はコレで」
「お前、加賀のウェディングドレスが見たかっただけなんだろ?」
「……とても綺麗でしたよ。チャペルで待ってますから、行ってあげて下さい」
「あぁ、待たせたら怖いしすぐ行く。じゃあまたな」
「――加賀がウェディングドレスなら、私は白無垢でしょうか?」
スタッフの人間に白い目で見られながら、提督は再びタキシードへと袖を通していた。
(そりゃあ違う女を取っ替え引っ替え連れてくるわ、参列客も居ないわ、神父や神主すら不要なんて客はこういう目で見られるよな……)
「提督、料理が見当たらないのですが……」
「あるかそんなもん。っていうか何しに来た赤城」
「加賀の準備が出来ましたので、呼びに来ました。料理が無いのでしたら、私はコレで」
「お前、加賀のウェディングドレスが見たかっただけなんだろ?」
「……とても綺麗でしたよ。チャペルで待ってますから、行ってあげて下さい」
「あぁ、待たせたら怖いしすぐ行く。じゃあまたな」
「――加賀がウェディングドレスなら、私は白無垢でしょうか?」
631: 2014/07/04(金) 00:22:12.72 ID:yf/e0vRAO
――――チャペル。
扉を開き、提督は中へと入る。早足に来たので、少し息は上がっていた。
「悪い、待たせた」
「いえ、思いの外ウェディングドレスで歩くのに手間取ったので、私も今来たところです」
「そうか」
会話だけを聞けば、いつもと変わらない雰囲気が二人の間に流れているかのように思える。だが、お互いがお互いの姿をしっかりと見ようとしていない時点で、ぎこちないことこの上なかった。
「えっとな、加賀」
「はい」
「その、何だ。一緒に居た時間が無駄に長いと、こういう時に気恥ずかしさが増すな」
「わざわざそういう事を口にしないで下さい」
「――なぁ、ずっと聞きたかったこと、聞いていいか?」
提督の声音が、急に真剣なものへと変わる。加賀もそれに倣い、黙って頷いた。
「お前は、何で秘書艦日制を受け入れたんだ?」
「……貴方が、提督だからです」
「俺が、提督だから?」
「提督として生きる貴方を、私は愛しています。提督という肩書きの無い貴方のことも、愛しています。――そして、あの鎮守府で皆に囲まれて幸せそうにしている貴方を支えることが、私の生き甲斐であり、幸せです」
一人の男と一人の女としてずっと過ごすよりも、今のこの関係の方が幸せだと、加賀は口にする。
誰かが欠ければずっと翳りを残していたであろう幸せならば、これからも全員で今まで通り共に居ることが、最良の選択である。そう、彼女は考えたのだ。
「ですから、今回の件も先をこされたからといって、彼女達を恨んだりはしていません。むしろ、提督を喜ばせてくれた事に感謝しています」
「昔は張り詰めた弓みたいな顔ばっかしてたのに、本当に優しく笑うようになったよな」
「今でも感情表現は苦手です。ですが、思わず笑みを浮かべてしまうような小さな幸せを、たくさん見付けるようになりました」
「今の加賀は、綺麗より可愛いと思う機会が増えた」
「可愛いはやめてください」
「――ウェディングドレス姿は、綺麗だぞ」
「タキシードが可哀想ですね」
「照れ隠しに俺を攻撃するのやめろ」
「……あの」
「何だ?」
「指輪を、お願いします」
「……あぁ」
――――私は、生涯貴方と共に居ることを誓います。
――――俺も、生涯お前達と共に居ることを誓う。
――――愛しています、提督。
――――愛してるぞ、加賀。
扉を開き、提督は中へと入る。早足に来たので、少し息は上がっていた。
「悪い、待たせた」
「いえ、思いの外ウェディングドレスで歩くのに手間取ったので、私も今来たところです」
「そうか」
会話だけを聞けば、いつもと変わらない雰囲気が二人の間に流れているかのように思える。だが、お互いがお互いの姿をしっかりと見ようとしていない時点で、ぎこちないことこの上なかった。
「えっとな、加賀」
「はい」
「その、何だ。一緒に居た時間が無駄に長いと、こういう時に気恥ずかしさが増すな」
「わざわざそういう事を口にしないで下さい」
「――なぁ、ずっと聞きたかったこと、聞いていいか?」
提督の声音が、急に真剣なものへと変わる。加賀もそれに倣い、黙って頷いた。
「お前は、何で秘書艦日制を受け入れたんだ?」
「……貴方が、提督だからです」
「俺が、提督だから?」
「提督として生きる貴方を、私は愛しています。提督という肩書きの無い貴方のことも、愛しています。――そして、あの鎮守府で皆に囲まれて幸せそうにしている貴方を支えることが、私の生き甲斐であり、幸せです」
一人の男と一人の女としてずっと過ごすよりも、今のこの関係の方が幸せだと、加賀は口にする。
誰かが欠ければずっと翳りを残していたであろう幸せならば、これからも全員で今まで通り共に居ることが、最良の選択である。そう、彼女は考えたのだ。
「ですから、今回の件も先をこされたからといって、彼女達を恨んだりはしていません。むしろ、提督を喜ばせてくれた事に感謝しています」
「昔は張り詰めた弓みたいな顔ばっかしてたのに、本当に優しく笑うようになったよな」
「今でも感情表現は苦手です。ですが、思わず笑みを浮かべてしまうような小さな幸せを、たくさん見付けるようになりました」
「今の加賀は、綺麗より可愛いと思う機会が増えた」
「可愛いはやめてください」
「――ウェディングドレス姿は、綺麗だぞ」
「タキシードが可哀想ですね」
「照れ隠しに俺を攻撃するのやめろ」
「……あの」
「何だ?」
「指輪を、お願いします」
「……あぁ」
――――私は、生涯貴方と共に居ることを誓います。
――――俺も、生涯お前達と共に居ることを誓う。
――――愛しています、提督。
――――愛してるぞ、加賀。
632: 2014/07/04(金) 00:22:41.36 ID:yf/e0vRAO
――――翌週。
「赤城さんが白無垢を着て待っています」
「ちょっとは期間を置けぇぇぇ!」
「赤城さんが白無垢を着て待っています」
「ちょっとは期間を置けぇぇぇ!」
641: 2014/07/04(金) 20:34:38.94 ID:yf/e0vRAO
・龍驤改二『何でや! 改二って希望に溢れてたんちゃうんか!?』、投下します
提督がもう色々ありすぎて遠慮なくなり始めてます
提督がもう色々ありすぎて遠慮なくなり始めてます
642: 2014/07/04(金) 20:35:05.71 ID:yf/e0vRAO
――――工廠。
「何でなん!? 何でこうなるん!?」
「私に言われても……ほら、結構いいんじゃない?」
「私も良いと思いますよ」
「違う……うちの求めてたんはこんなん違う!」
「あっ龍驤!」
「行ってしまいましたね……」
「まぁ、提督が慰めてくれるわ、きっと」
「そうですね、お任せしちゃいましょう」
「何でなん!? 何でこうなるん!?」
「私に言われても……ほら、結構いいんじゃない?」
「私も良いと思いますよ」
「違う……うちの求めてたんはこんなん違う!」
「あっ龍驤!」
「行ってしまいましたね……」
「まぁ、提督が慰めてくれるわ、きっと」
「そうですね、お任せしちゃいましょう」
643: 2014/07/04(金) 20:36:12.86 ID:yf/e0vRAO
――――提督執務室。
「キミ、ちょっと話聞いてよー」
「誰だお前」
「うちに決まってるやんか!」
「冗談だ冗談。しっかしお前もかよ、改二になるなら事前に言っとけ。羽黒の時も司令部に対して事情でっち上げるの大変だったんだからな……」
「そんなことより、今のうち見てキミはどう思うん?」
「今の龍驤か? そうだな……前より幼い印象が強くなった気がする。まぁ、可愛いぞ」
「そう、そうなんよ。何で改二で綺麗系にシフトチェンジしてくれんかったんや……」
「おい人が可愛いって言ってやってんのにスルーか」
「まぁ、まな板言われんのはもうしゃーないって諦めもついたんよ? せやから、改二で貧O綺麗系知的美人キャラ目指そ思てたっちゅうのに……何なんこの童顔、完全に逆方向やないか!」
「お前は改造を何だと思ってんだ」
「美容整形とかオシャレの一種やろ?」
「確かに艤装にも変化があるし、迷彩施したり目の色変わった奴も居たが、断じて違う!」
「そんな目くじら立てて怒鳴らんでもえぇやないの。ちょっとした冗談や冗談。あんまり怒ると老けるで?」
「それはここで提督してる限り老けるって言いたいんだな?」
「キミ、老けた方が渋なってえぇかもしれんよ」
「そりゃどうも……。なぁ龍驤、ちょっとこっち来い」
「何?」
「あら、よっと」
「ちょっ、何すんの!」
「前々から一度こうしてみたかったんだ。うん、中々抱き心地いいぞ」
「なぁ、流石にこの扱いはなんぼなんでも怒るよ?」
「もっと秘書艦娘へのスキンシップを増やせっていう嘆願書があってな、お前は必要無いってんなら離れてくれて構わない」
「い、嫌っちゅう訳やないんやけどね……ちょっちコレは恥ずかしいわ」
「頭もついでに撫でるか」
「キミ、今のうちの話聞いとった?」
「ん? 嫌なら退いていいぞ?」
「――うち、やっぱ女の魅力無い?」
「何言ってんだ。胸は二の次だし、足は健康的だし、髪もサラサラだし、抱き心地もいいし、場を盛り上げる陽気さと皆への気遣いが出来る優しさを持ってる。お前のことを俺は、魅力的な女性だってちゃんと認識してる」
「ちょっちその評価、キミの趣味に偏りすぎてるんやない?……まぁでも、ちゃんとうちのこと見ててくれて、ありがとぅ」
――――髪、ほどいていいか?
――――キミ、髪も好きやったんやね。
「キミ、ちょっと話聞いてよー」
「誰だお前」
「うちに決まってるやんか!」
「冗談だ冗談。しっかしお前もかよ、改二になるなら事前に言っとけ。羽黒の時も司令部に対して事情でっち上げるの大変だったんだからな……」
「そんなことより、今のうち見てキミはどう思うん?」
「今の龍驤か? そうだな……前より幼い印象が強くなった気がする。まぁ、可愛いぞ」
「そう、そうなんよ。何で改二で綺麗系にシフトチェンジしてくれんかったんや……」
「おい人が可愛いって言ってやってんのにスルーか」
「まぁ、まな板言われんのはもうしゃーないって諦めもついたんよ? せやから、改二で貧O綺麗系知的美人キャラ目指そ思てたっちゅうのに……何なんこの童顔、完全に逆方向やないか!」
「お前は改造を何だと思ってんだ」
「美容整形とかオシャレの一種やろ?」
「確かに艤装にも変化があるし、迷彩施したり目の色変わった奴も居たが、断じて違う!」
「そんな目くじら立てて怒鳴らんでもえぇやないの。ちょっとした冗談や冗談。あんまり怒ると老けるで?」
「それはここで提督してる限り老けるって言いたいんだな?」
「キミ、老けた方が渋なってえぇかもしれんよ」
「そりゃどうも……。なぁ龍驤、ちょっとこっち来い」
「何?」
「あら、よっと」
「ちょっ、何すんの!」
「前々から一度こうしてみたかったんだ。うん、中々抱き心地いいぞ」
「なぁ、流石にこの扱いはなんぼなんでも怒るよ?」
「もっと秘書艦娘へのスキンシップを増やせっていう嘆願書があってな、お前は必要無いってんなら離れてくれて構わない」
「い、嫌っちゅう訳やないんやけどね……ちょっちコレは恥ずかしいわ」
「頭もついでに撫でるか」
「キミ、今のうちの話聞いとった?」
「ん? 嫌なら退いていいぞ?」
「――うち、やっぱ女の魅力無い?」
「何言ってんだ。胸は二の次だし、足は健康的だし、髪もサラサラだし、抱き心地もいいし、場を盛り上げる陽気さと皆への気遣いが出来る優しさを持ってる。お前のことを俺は、魅力的な女性だってちゃんと認識してる」
「ちょっちその評価、キミの趣味に偏りすぎてるんやない?……まぁでも、ちゃんとうちのこと見ててくれて、ありがとぅ」
――――髪、ほどいていいか?
――――キミ、髪も好きやったんやね。
660: 2014/07/04(金) 23:24:32.50 ID:yf/e0vRAO
・朝潮『待てと言われましたから』
・那智『司令官、頼む』
・電『こ、混浴、ですか……?』
・青葉『司令官、取材旅行手伝って下さい!』
・曙『クソ提督と観覧車』
・翔鶴『二人寄り添いながら』
・綾波『天然さんってよく言われますねー』
・電『二人で散歩なのです』
・あきつ丸『提督殿、儚いでありますな』
・衣笠『提督、私って遅れてる……?』
以上10本でいきます
ら、ランダムにしようかなやっぱり……
多摩鎮守府との交流はあちらの方で
・那智『司令官、頼む』
・電『こ、混浴、ですか……?』
・青葉『司令官、取材旅行手伝って下さい!』
・曙『クソ提督と観覧車』
・翔鶴『二人寄り添いながら』
・綾波『天然さんってよく言われますねー』
・電『二人で散歩なのです』
・あきつ丸『提督殿、儚いでありますな』
・衣笠『提督、私って遅れてる……?』
以上10本でいきます
ら、ランダムにしようかなやっぱり……
多摩鎮守府との交流はあちらの方で
669: 2014/07/05(土) 13:28:01.29 ID:NlR3N4fAO
――――提督執務室。
「朝潮、待て」
「それは御命令ですか?」
「あぁ」
「はい、了解しました」
提督からの命令に従い、朝潮は手に持ったスプーンをテーブルに置いて待つ。意図はどうあれ、命令に彼女が背くはずもない。
だが、それ故に少し心配もされていた。
(多少は気を抜くようになったが、やっぱりどっか固いな……)
戦いも終わり、今まで以上に砕けた態度を取る艦娘も増えてきている中、朝潮は未だに“御命令ですか?”という返しを多用する傾向にある。それが例え命令であってもそうでなくても、断る気が無いにも関わらず、だ。
そして、今のように間宮アイスが溶けていくのを見つめながらも、彼女は決して何も言わない。
(こっちとしては、ちょっとぐらいワガママ言ったりしてくれる方が嬉しいんだがなぁ……)
「……」
(……流石に見てて胸が痛くなってきた。もう溶けてるし、アレは俺が食べて新しいの用意してやるか)
「朝潮」
「はい、何でしょうか」
「意地悪言って悪かったな。間宮には俺から言っとくから、新しいの貰って来て食べていいぞ」
「意地悪、だったのですか……?」
そんなこととは露程も思っていなかった朝潮は、心底意外そうな声を出す。提督の行動には全て意味があると思っている彼女からすれば、今回のコレが意地悪だという発想そのものが無かったのだ。
「アイス食うの待てなんて、普通言わないだろ」
「溶けたアイスがどんな味なのかを、私に教えて下さろうとしているものだとばかり思っていました」
「お前は少しでも俺を疑ったり、ワガママを言おうという気は無いのか?」
「ありません」
(根が真面目で良い子なんだがな、本当に……)
キッパリと言い切られ、提督はどうしたものかと頭を掻く。それを見て、朝潮は頬を染めながら躊躇いがちに口を開いた。
「あの、司令官……」
「何だ?」
「アイスを貰って来ますので、執務机で一緒に食べて頂いてもよろしいでしょうか?」
「――あぁ、いいぞ」
――――(甘えはしてくれるってことか)
――――(司令官の膝の上で間宮さんのアイス……幸せです)
「朝潮、待て」
「それは御命令ですか?」
「あぁ」
「はい、了解しました」
提督からの命令に従い、朝潮は手に持ったスプーンをテーブルに置いて待つ。意図はどうあれ、命令に彼女が背くはずもない。
だが、それ故に少し心配もされていた。
(多少は気を抜くようになったが、やっぱりどっか固いな……)
戦いも終わり、今まで以上に砕けた態度を取る艦娘も増えてきている中、朝潮は未だに“御命令ですか?”という返しを多用する傾向にある。それが例え命令であってもそうでなくても、断る気が無いにも関わらず、だ。
そして、今のように間宮アイスが溶けていくのを見つめながらも、彼女は決して何も言わない。
(こっちとしては、ちょっとぐらいワガママ言ったりしてくれる方が嬉しいんだがなぁ……)
「……」
(……流石に見てて胸が痛くなってきた。もう溶けてるし、アレは俺が食べて新しいの用意してやるか)
「朝潮」
「はい、何でしょうか」
「意地悪言って悪かったな。間宮には俺から言っとくから、新しいの貰って来て食べていいぞ」
「意地悪、だったのですか……?」
そんなこととは露程も思っていなかった朝潮は、心底意外そうな声を出す。提督の行動には全て意味があると思っている彼女からすれば、今回のコレが意地悪だという発想そのものが無かったのだ。
「アイス食うの待てなんて、普通言わないだろ」
「溶けたアイスがどんな味なのかを、私に教えて下さろうとしているものだとばかり思っていました」
「お前は少しでも俺を疑ったり、ワガママを言おうという気は無いのか?」
「ありません」
(根が真面目で良い子なんだがな、本当に……)
キッパリと言い切られ、提督はどうしたものかと頭を掻く。それを見て、朝潮は頬を染めながら躊躇いがちに口を開いた。
「あの、司令官……」
「何だ?」
「アイスを貰って来ますので、執務机で一緒に食べて頂いてもよろしいでしょうか?」
「――あぁ、いいぞ」
――――(甘えはしてくれるってことか)
――――(司令官の膝の上で間宮さんのアイス……幸せです)
673: 2014/07/05(土) 18:59:00.78 ID:NlR3N4fAO
――――妙高型私室。
「どうだ、何とかなりそうか?」
「分からん。そもそも何で雨漏りの補修を明石じゃなくて俺に頼むんだよ」
「他にも色々作業が立て込んでいて、こちらへの対応は時間がかかると言われてしまった」
(そういえば、夕張も一緒に点検して回ってるって言ってたな……。俺もこれぐらいの補修は何とかやってみるか)
「司令官、ここもだいぶ老朽化してきた。コレを期に全面改築も視野に入れておいた方がよいのではないか?」
「そうだな……いくら台風が直撃したとはいえ、雨漏りまでするとなると安全面が心配だ。ちょっと後で加賀や明石と相談してみる」
「――すまない」
「何で謝るんだよ、雨漏りしたのはお前のせいじゃないだろ」
「今回の台風の一件の対応に追われて、あまり貴様が休めていないと聞いている。本来ならば秘書艦として、今は休ませてやるべきなのだが……」
「そんなことなら気にしなくても大丈夫だ。たまには頼りになるところを見せんと、お前達に愛想を尽かされるかもしれんしな」
「……女の評価を気にするような軟派な男の方が、私は嫌いかもしれんぞ?」
「慣れないことした上に嫌われるとか踏んだり蹴ったりだな、おい……とりあえず、屋上行くとするか」
「私も行こう、任せっきりは性に合わん」
――屋上。
「うげっ……かなりデカイな、このヒビ」
「位置的に私達の部屋の真上だな。雨漏りが酷かったのも頷ける」
「こりゃ補修しても一時しのぎにしかならんなぁ……やっぱりいっそ建て替えるか」
「建て替えの間、私達の住む場所はどうするつもりだ?」
「空母寮と駆逐寮に割り振る。元々広めに作ってあるから何とかなるだろ。新しい寮が出来たら、残りの古い寮も同じ様に建て替えていけばいい」
「そうか、なら私は千歳のところにでも世話になるとしよう」
「じゃあ話も決まったところで、一時しのぎの突貫工事やるとするか」
「あぁ、手早く済ませてしまおう」
――――どうだ、少しは疲れが取れそうか?
――――(風呂で疲れは取れるが、横に那智が裸で居る時点で気持ちは休まらん……)
「どうだ、何とかなりそうか?」
「分からん。そもそも何で雨漏りの補修を明石じゃなくて俺に頼むんだよ」
「他にも色々作業が立て込んでいて、こちらへの対応は時間がかかると言われてしまった」
(そういえば、夕張も一緒に点検して回ってるって言ってたな……。俺もこれぐらいの補修は何とかやってみるか)
「司令官、ここもだいぶ老朽化してきた。コレを期に全面改築も視野に入れておいた方がよいのではないか?」
「そうだな……いくら台風が直撃したとはいえ、雨漏りまでするとなると安全面が心配だ。ちょっと後で加賀や明石と相談してみる」
「――すまない」
「何で謝るんだよ、雨漏りしたのはお前のせいじゃないだろ」
「今回の台風の一件の対応に追われて、あまり貴様が休めていないと聞いている。本来ならば秘書艦として、今は休ませてやるべきなのだが……」
「そんなことなら気にしなくても大丈夫だ。たまには頼りになるところを見せんと、お前達に愛想を尽かされるかもしれんしな」
「……女の評価を気にするような軟派な男の方が、私は嫌いかもしれんぞ?」
「慣れないことした上に嫌われるとか踏んだり蹴ったりだな、おい……とりあえず、屋上行くとするか」
「私も行こう、任せっきりは性に合わん」
――屋上。
「うげっ……かなりデカイな、このヒビ」
「位置的に私達の部屋の真上だな。雨漏りが酷かったのも頷ける」
「こりゃ補修しても一時しのぎにしかならんなぁ……やっぱりいっそ建て替えるか」
「建て替えの間、私達の住む場所はどうするつもりだ?」
「空母寮と駆逐寮に割り振る。元々広めに作ってあるから何とかなるだろ。新しい寮が出来たら、残りの古い寮も同じ様に建て替えていけばいい」
「そうか、なら私は千歳のところにでも世話になるとしよう」
「じゃあ話も決まったところで、一時しのぎの突貫工事やるとするか」
「あぁ、手早く済ませてしまおう」
――――どうだ、少しは疲れが取れそうか?
――――(風呂で疲れは取れるが、横に那智が裸で居る時点で気持ちは休まらん……)
678: 2014/07/06(日) 14:54:27.66 ID:NWgQzl/AO
間違えて青葉を先に書いちゃいました……電の話は夜には書き上げて来ますので、申し訳無いのですがもう暫くお待ちください
・青葉『司令官、取材旅行手伝って下さい!』、投下します
・青葉『司令官、取材旅行手伝って下さい!』、投下します
679: 2014/07/06(日) 14:55:11.22 ID:NWgQzl/AO
――――提督執務室。
「司令官司令官、ちょーっと青葉の取材に付き合ってもらえますか?」
「それは構わないんだが……そのスーツケース、何だ?」
「嫌ですねぇ司令官。女の子の荷物をチェックしたいなんて、青葉困っちゃいます」
「いや、そういう問題じゃなくてだな……」
「大丈夫です、問題なんて一つも無いです。加賀さんと明日と明後日と明明後日の秘書艦娘の子達には土下座して許可得ちゃいましたから」
「おいコラ聞き捨てならない問題と事態が増えてるぞ」
「細かいことは後でちゃんと説明しますから、今はタクシーにレッツゴーです。このままだと飛行機に乗り遅れちゃいますから」
「飛行機!?」
「いやーやっと海外での取材許可が下りたんですよ。青葉、感激です」
「待て待て待て待て! 海外に行くのは流石にマズイだろ!?」
「――司令官、こういう時に相応しい言葉を、青葉は初雪から借りたゲームで教えてもらいました」
――――大丈夫だ、問題ない。
――――いや、それダメフラグだからな?
「司令官司令官、ちょーっと青葉の取材に付き合ってもらえますか?」
「それは構わないんだが……そのスーツケース、何だ?」
「嫌ですねぇ司令官。女の子の荷物をチェックしたいなんて、青葉困っちゃいます」
「いや、そういう問題じゃなくてだな……」
「大丈夫です、問題なんて一つも無いです。加賀さんと明日と明後日と明明後日の秘書艦娘の子達には土下座して許可得ちゃいましたから」
「おいコラ聞き捨てならない問題と事態が増えてるぞ」
「細かいことは後でちゃんと説明しますから、今はタクシーにレッツゴーです。このままだと飛行機に乗り遅れちゃいますから」
「飛行機!?」
「いやーやっと海外での取材許可が下りたんですよ。青葉、感激です」
「待て待て待て待て! 海外に行くのは流石にマズイだろ!?」
「――司令官、こういう時に相応しい言葉を、青葉は初雪から借りたゲームで教えてもらいました」
――――大丈夫だ、問題ない。
――――いや、それダメフラグだからな?
680: 2014/07/06(日) 14:55:48.96 ID:NWgQzl/AO
――――イタリア。
「着きました!」
「着いちまった……」
「司令官、取材するなら何処が良いと思いますか?」
「行くなら定番の観光名所でいいだろ。俺もお前もイタリア観光なんか初めてなんだし」
「そうですね、じゃあ早速出発しちゃいます!」
「はぁ……ってコラおい青葉! スーツケースを置いて行くんじゃねぇ!」
――――ローマ。
「それで、取材ってどんな記事書くんだ?」
「“カップルで行くイタリア旅行! 青葉、体験して来ちゃいました!”ってタイトルですよ?」
「……俺を連れてきたのはそういうこ嫌な奴とイタリアまで来て腕組んで歩きたいんだな?」
「何でそう一々回りくどい言い方をするんですか、もう! ストレートに言ってくれてもいいじゃないですか!」
「つまらん事を聞くからだ」
「うー……」
「唸るな。ほら、ジェラートでも食いに行くぞ」
「司令官の注文するの一口下さいね?」
「そっちのもくれるならな」
「着きました!」
「着いちまった……」
「司令官、取材するなら何処が良いと思いますか?」
「行くなら定番の観光名所でいいだろ。俺もお前もイタリア観光なんか初めてなんだし」
「そうですね、じゃあ早速出発しちゃいます!」
「はぁ……ってコラおい青葉! スーツケースを置いて行くんじゃねぇ!」
――――ローマ。
「それで、取材ってどんな記事書くんだ?」
「“カップルで行くイタリア旅行! 青葉、体験して来ちゃいました!”ってタイトルですよ?」
「……俺を連れてきたのはそういうこ嫌な奴とイタリアまで来て腕組んで歩きたいんだな?」
「何でそう一々回りくどい言い方をするんですか、もう! ストレートに言ってくれてもいいじゃないですか!」
「つまらん事を聞くからだ」
「うー……」
「唸るな。ほら、ジェラートでも食いに行くぞ」
「司令官の注文するの一口下さいね?」
「そっちのもくれるならな」
681: 2014/07/06(日) 14:57:08.33 ID:NWgQzl/AO
――――広場。
「有名映画のあそこでは飲食禁止されてるし、この辺で落ち着いて食うか」
「ほうへふね」
「……美味いか? ブラッドベリージェラート」
「はい、とっても」
「一口で半分ほど食べられてるのは気のせいだよな? なぁ、青葉」
「し、司令官? もしかして結構ジェラート楽しみにしてました?」
「そんなことはないぞ? だから、そっちのを一口寄越せ。一口で口に含める限界まで食ってやる」
「確実に半分以上青葉のストロベリージェラート食べる気じゃないですか!?」
「取材に付き合ってやってんだ、それぐらいは――ってコラ、急いで自分のを食うな!」
「ほへは青葉のれふ」
「ほー、そうかそうか……じゃあ青葉が食べたジェラートの味は、青葉から直接教えて貰うとするか」
「っ!?」
――ちゅる、ちゅぱ、じゅる。
「――ぷはっ! な、ななな何するんですかいきなり!?」
「ん、甘くて美味いなストロベリーも」
「甘くて美味いな、じゃありませんよ! 青葉に取材する時はせめて事前にアポを取って番号をお確かめの上、改めてご連絡下さいっていつも言ってるじゃないですか!」
「動揺し過ぎて言ってる事が滅茶苦茶になってるぞ。それに、カップル用の記事書くならこういうのもありだろ」
「そ、それは、そうでしょうけど……」
「――四日間、きっちり取材に協力してやるからな?」
「程々でいいです。というか、程々にして貰わないと青葉が持ちません」
「有名映画のあそこでは飲食禁止されてるし、この辺で落ち着いて食うか」
「ほうへふね」
「……美味いか? ブラッドベリージェラート」
「はい、とっても」
「一口で半分ほど食べられてるのは気のせいだよな? なぁ、青葉」
「し、司令官? もしかして結構ジェラート楽しみにしてました?」
「そんなことはないぞ? だから、そっちのを一口寄越せ。一口で口に含める限界まで食ってやる」
「確実に半分以上青葉のストロベリージェラート食べる気じゃないですか!?」
「取材に付き合ってやってんだ、それぐらいは――ってコラ、急いで自分のを食うな!」
「ほへは青葉のれふ」
「ほー、そうかそうか……じゃあ青葉が食べたジェラートの味は、青葉から直接教えて貰うとするか」
「っ!?」
――ちゅる、ちゅぱ、じゅる。
「――ぷはっ! な、ななな何するんですかいきなり!?」
「ん、甘くて美味いなストロベリーも」
「甘くて美味いな、じゃありませんよ! 青葉に取材する時はせめて事前にアポを取って番号をお確かめの上、改めてご連絡下さいっていつも言ってるじゃないですか!」
「動揺し過ぎて言ってる事が滅茶苦茶になってるぞ。それに、カップル用の記事書くならこういうのもありだろ」
「そ、それは、そうでしょうけど……」
「――四日間、きっちり取材に協力してやるからな?」
「程々でいいです。というか、程々にして貰わないと青葉が持ちません」
682: 2014/07/06(日) 14:59:51.00 ID:NWgQzl/AO
コピペ失敗、修正しました
>>680
――――イタリア。
「着きました!」
「着いちまった……」
「司令官、取材するなら何処が良いと思いますか?」
「行くなら定番の観光名所でいいだろ。俺もお前もイタリア観光なんか初めてなんだし」
「そうですね、じゃあ早速出発しちゃいます!」
「はぁ……ってコラおい青葉! スーツケースを置いて行くんじゃねぇ!」
――――ローマ。
「それで、取材ってどんな記事書くんだ?」
「“カップルで行くイタリア旅行! 青葉、体験して来ちゃいました!”ってタイトルですよ?」
「……俺を連れてきたのはそういうことか」
「そういう理由で連れて来ちゃいました。それとも、他の男の人を連れて来た方が良かったですか?」
「即却下」
「なら、ちゃんと取材に協力して下さいね」
「……腕でも、組むか」
「組みます! 組んじゃいます!」
「そんなに引っ張ってお前は俺を投げ飛ばしたいのか? はしゃぎすぎて取材忘れないように気を付けろよ」
「大丈夫です。青葉はコレでも一応プロの記者ですから」
「取材にかこつけて俺と海外旅行を満喫しようって奴が何言ってやがる」
「むぅ……青葉と旅行、司令官は嫌なんですか?」
「お前は嫌な奴とイタリアまで来て腕組んで歩きたいんだな?」
「何でそう一々回りくどい言い方をするんですか、もう! ストレートに言ってくれてもいいじゃないですか!」
「つまらん事を聞くからだ」
「うー……」
「唸るな。ほら、ジェラートでも食いに行くぞ」
「司令官の注文するの一口下さいね?」
「そっちのもくれるならな」
>>680
――――イタリア。
「着きました!」
「着いちまった……」
「司令官、取材するなら何処が良いと思いますか?」
「行くなら定番の観光名所でいいだろ。俺もお前もイタリア観光なんか初めてなんだし」
「そうですね、じゃあ早速出発しちゃいます!」
「はぁ……ってコラおい青葉! スーツケースを置いて行くんじゃねぇ!」
――――ローマ。
「それで、取材ってどんな記事書くんだ?」
「“カップルで行くイタリア旅行! 青葉、体験して来ちゃいました!”ってタイトルですよ?」
「……俺を連れてきたのはそういうことか」
「そういう理由で連れて来ちゃいました。それとも、他の男の人を連れて来た方が良かったですか?」
「即却下」
「なら、ちゃんと取材に協力して下さいね」
「……腕でも、組むか」
「組みます! 組んじゃいます!」
「そんなに引っ張ってお前は俺を投げ飛ばしたいのか? はしゃぎすぎて取材忘れないように気を付けろよ」
「大丈夫です。青葉はコレでも一応プロの記者ですから」
「取材にかこつけて俺と海外旅行を満喫しようって奴が何言ってやがる」
「むぅ……青葉と旅行、司令官は嫌なんですか?」
「お前は嫌な奴とイタリアまで来て腕組んで歩きたいんだな?」
「何でそう一々回りくどい言い方をするんですか、もう! ストレートに言ってくれてもいいじゃないですか!」
「つまらん事を聞くからだ」
「うー……」
「唸るな。ほら、ジェラートでも食いに行くぞ」
「司令官の注文するの一口下さいね?」
「そっちのもくれるならな」
683: 2014/07/06(日) 15:02:49.84 ID:NWgQzl/AO
――――真実の口。
「あ、青葉の腕がー!」
「帰ったら明石に言えば治る」
「ちょっとはノって下さいよ……」
「傷口を縛って焼けばいいのか?」
「さぁ次に行きましょー」
――――コロッセオ。
「絶対に戦ったら生き残れませんよね」
「武器と盾がまず持てるかどうかだな」
「でも、司令官は青葉が守っちゃいますから大丈夫です」
「頼むぞ、ソロモンの狼」
「ワレアオバ、ワレアオバ」
「おいやめろ。……まぁ、何があっても生き延びてやるさ」
「じゃあ司令官の取材ノートを後三百冊書くまで氏なないで下さいよ?」
「流石に寿命の場合は勘弁してくれないか?」
――――トレヴィの泉。
「司令官、青葉の目にはコインが三枚見えちゃってますよ? 気付いてないとでも思ってました?」
「じょ、冗談だから腕を捻り上げるな! ちゃんと二枚投げる、投げるって!」
「冗談でもやって良いことと悪いことがありますよぉ……」
「ほら、拗ねてないで投げるぞ」
「えいっ」
「そんなヤケクソに……」
――誰かの投げたコインが突き刺さったぞー!
――み、水が漏れてきてないか!?
「撤収」
「皆はまだこちらに気付いてないみたいですね」
「気付かれてたまるかっ!」
「あ、青葉の腕がー!」
「帰ったら明石に言えば治る」
「ちょっとはノって下さいよ……」
「傷口を縛って焼けばいいのか?」
「さぁ次に行きましょー」
――――コロッセオ。
「絶対に戦ったら生き残れませんよね」
「武器と盾がまず持てるかどうかだな」
「でも、司令官は青葉が守っちゃいますから大丈夫です」
「頼むぞ、ソロモンの狼」
「ワレアオバ、ワレアオバ」
「おいやめろ。……まぁ、何があっても生き延びてやるさ」
「じゃあ司令官の取材ノートを後三百冊書くまで氏なないで下さいよ?」
「流石に寿命の場合は勘弁してくれないか?」
――――トレヴィの泉。
「司令官、青葉の目にはコインが三枚見えちゃってますよ? 気付いてないとでも思ってました?」
「じょ、冗談だから腕を捻り上げるな! ちゃんと二枚投げる、投げるって!」
「冗談でもやって良いことと悪いことがありますよぉ……」
「ほら、拗ねてないで投げるぞ」
「えいっ」
「そんなヤケクソに……」
――誰かの投げたコインが突き刺さったぞー!
――み、水が漏れてきてないか!?
「撤収」
「皆はまだこちらに気付いてないみたいですね」
「気付かれてたまるかっ!」
684: 2014/07/06(日) 15:03:23.16 ID:NWgQzl/AO
――――ホテル。
「流石に動き回ったから疲れたな……」
「青葉もクタクタです……」
「――なぁ青葉、足マッサージしてやろうか?」
「遠慮します拒否します全力でお断りします」
「おいそこまで嫌がられると流石に傷付くぞこっちも」
「だって司令官、足触る時の手付きがいやらしいんですよ」
「そんなことは多分ない」
「……じゃあ、明日お願いします」
「ん、了解」
「流石に動き回ったから疲れたな……」
「青葉もクタクタです……」
「――なぁ青葉、足マッサージしてやろうか?」
「遠慮します拒否します全力でお断りします」
「おいそこまで嫌がられると流石に傷付くぞこっちも」
「だって司令官、足触る時の手付きがいやらしいんですよ」
「そんなことは多分ない」
「……じゃあ、明日お願いします」
「ん、了解」
685: 2014/07/06(日) 15:04:13.55 ID:NWgQzl/AO
――――ピサの斜塔。
「傾いてますねぇ」
「こっちが傾いてる感覚に陥るな」
「何か見てると段々首が痛くなってきちゃいました」
「そりゃずっと首を傾けてるからだろ」
「後、青葉はお昼にピザが食べたいです」
「……奇遇だな、俺も食いたい」
――――ベネツィア。
「日本の船渡しとかとはまた違った風情があるな」
「何かこうしてると不思議な気分になりますね。青葉達は自分で水の上を移動するのが当たり前になっちゃってますから」
「そのうち慣れるさ」
「――司令官」
「何だ?」
「酔っちゃいました、肩貸して下さい」
「艦娘がこんなので船酔いってあり得んだろ……」
「いいから貸して下さいよ」
「十分一万」
「青葉の温もりプライスレスです」
「無料ならじっくりと味わうとするか」
「そういう意味で言ったんじゃありませんよっ!」
「街並み、綺麗だな」
「司令官の横に可愛い女の子も居ますねぇ」
「そっちは後でいくらでも見れるから今はいい」
「……それはそれで困っちゃいます」
「傾いてますねぇ」
「こっちが傾いてる感覚に陥るな」
「何か見てると段々首が痛くなってきちゃいました」
「そりゃずっと首を傾けてるからだろ」
「後、青葉はお昼にピザが食べたいです」
「……奇遇だな、俺も食いたい」
――――ベネツィア。
「日本の船渡しとかとはまた違った風情があるな」
「何かこうしてると不思議な気分になりますね。青葉達は自分で水の上を移動するのが当たり前になっちゃってますから」
「そのうち慣れるさ」
「――司令官」
「何だ?」
「酔っちゃいました、肩貸して下さい」
「艦娘がこんなので船酔いってあり得んだろ……」
「いいから貸して下さいよ」
「十分一万」
「青葉の温もりプライスレスです」
「無料ならじっくりと味わうとするか」
「そういう意味で言ったんじゃありませんよっ!」
「街並み、綺麗だな」
「司令官の横に可愛い女の子も居ますねぇ」
「そっちは後でいくらでも見れるから今はいい」
「……それはそれで困っちゃいます」
686: 2014/07/06(日) 15:05:11.83 ID:NWgQzl/AO
――――日本。
「青葉、着いたぞ」
「……」
「何だ、どうした?」
「……腰、痛いんですよ」
「知らん、俺のせいじゃない。さっさと鎮守府に帰って土産配るぞ」
「司令官の鬼! 悪魔! あることないこと鎮守府新聞に書いちゃいますからね!」
「いいから早く来い、やっぱり何日も鎮守府から離れてると落ち着かん」
「……もう、次があっても付き合ってくれませんか?」
「――ドイツなら考えてやる」
「言いましたね? 言っちゃいましたね? 青葉、ちゃんと聞きましたよ? 是が非でも次はドイツ取材にします!」
(また来年もか……まぁ、悪くなかったしたまにはいいか)
――――あっ……ツーショットばっかり撮ってて記事に使えそうな写真が……。
――――やっぱり取材忘れてたんじゃねぇか!
「青葉、着いたぞ」
「……」
「何だ、どうした?」
「……腰、痛いんですよ」
「知らん、俺のせいじゃない。さっさと鎮守府に帰って土産配るぞ」
「司令官の鬼! 悪魔! あることないこと鎮守府新聞に書いちゃいますからね!」
「いいから早く来い、やっぱり何日も鎮守府から離れてると落ち着かん」
「……もう、次があっても付き合ってくれませんか?」
「――ドイツなら考えてやる」
「言いましたね? 言っちゃいましたね? 青葉、ちゃんと聞きましたよ? 是が非でも次はドイツ取材にします!」
(また来年もか……まぁ、悪くなかったしたまにはいいか)
――――あっ……ツーショットばっかり撮ってて記事に使えそうな写真が……。
――――やっぱり取材忘れてたんじゃねぇか!
690: 2014/07/06(日) 17:38:25.53 ID:NWgQzl/AO
・電『こ、混浴、ですか……?』、投下します
691: 2014/07/06(日) 17:39:23.31 ID:NWgQzl/AO
――――温泉宿。
「司令官さん、どうしてここを選んだのですか?」
「露天で混浴って探して適当に」
「こん、よく?」
「一緒に入るってことだ」
「こん浴……混浴……っ!?」
意味から混浴という字に行き着く。納得して頷く。硬直。赤面。こういう反応は純粋に可愛いなと、提督もそれを見ながら頷いた。
「こっ、混浴なのです!?」
「言ってなかったか?」
「電は何も聞いてないのです。そういうことは先に言って欲しかったのです」
「別に問題はないだろ」
「女の子には色々準備というものがあるのです!」
「はいはい、次からは気を付けるから背中を叩くな。ほら、温泉行くからついてこい」
「き、緊張しちゃいます……」
「少し歩くし、今から緊張してたら着く前に疲れるぞ? 転ばないように手繋ぐか?」
「手……繋ぎたいのです」
「司令官さん、どうしてここを選んだのですか?」
「露天で混浴って探して適当に」
「こん、よく?」
「一緒に入るってことだ」
「こん浴……混浴……っ!?」
意味から混浴という字に行き着く。納得して頷く。硬直。赤面。こういう反応は純粋に可愛いなと、提督もそれを見ながら頷いた。
「こっ、混浴なのです!?」
「言ってなかったか?」
「電は何も聞いてないのです。そういうことは先に言って欲しかったのです」
「別に問題はないだろ」
「女の子には色々準備というものがあるのです!」
「はいはい、次からは気を付けるから背中を叩くな。ほら、温泉行くからついてこい」
「き、緊張しちゃいます……」
「少し歩くし、今から緊張してたら着く前に疲れるぞ? 転ばないように手繋ぐか?」
「手……繋ぎたいのです」
692: 2014/07/06(日) 17:41:09.70 ID:NWgQzl/AO
――――沢沿いの露天風呂。
(出てこないな、電……)
「――お待たせしちゃいましたか?」
「女の子には色々準備があるんだろ? 男は基本早いから仕方無いさ」
「コレならあんまり恥ずかしくないのです」
「変な奴が居たら困るし、その辺はちゃんとチェックしてるに決まってるだろ」
脱衣場で湯着を着用し、二人は合流する。提督も電の性格を考慮して、なるべく露出はしなくて済む混浴を選んでいたのだ。
「とりあえず入るか」
「はいなのです」
周囲の景色を楽しみながら、二人は露天風呂へと身体をゆっくりと浸からせる。
「――ふぅ、良い感じだな」
「とっても温かくて気持ち良いのです」
「他に客も居ないし、寛げていい」
「司令官さんと二人っきり、嬉しいのです」
「こっち、来るか?」
「あの……その……はいなのです」
一人分程空けていた距離を詰め、電は提督の横にピッタリとくっついた。鳥の囀りや木々の揺れる音を聞きながら、二人は暫しそのまま無言で過ごす。
「――電」
「何ですか、司令官さん」
「人、来たっぽい」
(胸の大きいお姉さんが二人なのです……)
「男じゃなくて良かったな」
「……あまり、良くはないですね」
「?」
「何でも無いのです!」
――わーあの子凄い可愛い!
――兄妹かな?
(やっぱり、電は妹に見えちゃうのですね……)
「――電、今はコレで我慢しろ」
「はにゃっ!? し、司令官さん!?」
――えっ?……今、頬にキスしてなかった……?
――見間違いじゃないの?
(司令官さんに、司令官さんに頬にキスされたのです……はぅっ)
「端から見たら犯罪者になんのか俺はやっぱり……ん?」
「はにゃー……」
「逆上せてる!? おい、しっかりしろ電! 電ー!」
――――司令官さん……大好き……なのです……。
――――(また来ような、次はお前が大きくなった時に)
(出てこないな、電……)
「――お待たせしちゃいましたか?」
「女の子には色々準備があるんだろ? 男は基本早いから仕方無いさ」
「コレならあんまり恥ずかしくないのです」
「変な奴が居たら困るし、その辺はちゃんとチェックしてるに決まってるだろ」
脱衣場で湯着を着用し、二人は合流する。提督も電の性格を考慮して、なるべく露出はしなくて済む混浴を選んでいたのだ。
「とりあえず入るか」
「はいなのです」
周囲の景色を楽しみながら、二人は露天風呂へと身体をゆっくりと浸からせる。
「――ふぅ、良い感じだな」
「とっても温かくて気持ち良いのです」
「他に客も居ないし、寛げていい」
「司令官さんと二人っきり、嬉しいのです」
「こっち、来るか?」
「あの……その……はいなのです」
一人分程空けていた距離を詰め、電は提督の横にピッタリとくっついた。鳥の囀りや木々の揺れる音を聞きながら、二人は暫しそのまま無言で過ごす。
「――電」
「何ですか、司令官さん」
「人、来たっぽい」
(胸の大きいお姉さんが二人なのです……)
「男じゃなくて良かったな」
「……あまり、良くはないですね」
「?」
「何でも無いのです!」
――わーあの子凄い可愛い!
――兄妹かな?
(やっぱり、電は妹に見えちゃうのですね……)
「――電、今はコレで我慢しろ」
「はにゃっ!? し、司令官さん!?」
――えっ?……今、頬にキスしてなかった……?
――見間違いじゃないの?
(司令官さんに、司令官さんに頬にキスされたのです……はぅっ)
「端から見たら犯罪者になんのか俺はやっぱり……ん?」
「はにゃー……」
「逆上せてる!? おい、しっかりしろ電! 電ー!」
――――司令官さん……大好き……なのです……。
――――(また来ような、次はお前が大きくなった時に)
695: 2014/07/06(日) 20:06:28.67 ID:NWgQzl/AO
・曙『クソ提督と観覧車』、投下します
高校一年生程度の曙をご想像下さい
後、鈴谷は善意で教えただけです
高校一年生程度の曙をご想像下さい
後、鈴谷は善意で教えただけです
696: 2014/07/06(日) 20:08:33.43 ID:NWgQzl/AO
――――提督執務室。
「クソ提督!」
「曙、ノックはしなくていいがドアはゆっくり開けろ。誰かにぶつかったらどうする」
「あっ、うん、ごめん」
「よし。で、何だ?」
「行きたいところあるから連れてって」
「行きたいところ?」
「――大阪、行きたい」
――――大阪。
「何で大阪に来たかったんだ?」
「鈴谷さんにオススメの場所聞いたのよ」
「鈴谷に? 何のオススメだよ」
「べ、別に何だっていいじゃない」
(デートスポットに決まってんでしょこのクソ提督!)
「まぁ、行きたい場所があるならとりあえずそこに行くか。方向はどっちだ?」
「えっと、多分こっち」
「多分ってお前なぁ……。とにかく行くぞ」
「あっ……うん」
(手、今日はちゃんと何も言わずに繋いでくれた。えへへっ)
――――梅田、某観覧車。
「ここに、来たかったのか……?」
「クソ提督、ここ知ってるの?」
「まぁ、一応な」
(鈴谷、お前バレたら漣達にシメられるぞ絶対に……)
「早く乗るわよ、ほら」
「あっちょっと待て曙、今券買うから!」
「クソ提督!」
「曙、ノックはしなくていいがドアはゆっくり開けろ。誰かにぶつかったらどうする」
「あっ、うん、ごめん」
「よし。で、何だ?」
「行きたいところあるから連れてって」
「行きたいところ?」
「――大阪、行きたい」
――――大阪。
「何で大阪に来たかったんだ?」
「鈴谷さんにオススメの場所聞いたのよ」
「鈴谷に? 何のオススメだよ」
「べ、別に何だっていいじゃない」
(デートスポットに決まってんでしょこのクソ提督!)
「まぁ、行きたい場所があるならとりあえずそこに行くか。方向はどっちだ?」
「えっと、多分こっち」
「多分ってお前なぁ……。とにかく行くぞ」
「あっ……うん」
(手、今日はちゃんと何も言わずに繋いでくれた。えへへっ)
――――梅田、某観覧車。
「ここに、来たかったのか……?」
「クソ提督、ここ知ってるの?」
「まぁ、一応な」
(鈴谷、お前バレたら漣達にシメられるぞ絶対に……)
「早く乗るわよ、ほら」
「あっちょっと待て曙、今券買うから!」
697: 2014/07/06(日) 20:09:00.12 ID:NWgQzl/AO
――――観覧車内。
「へー結構眺めいいじゃない」
「かなりの範囲見渡せるからな」
「クソ提督は、前にも誰かと乗ったことあるの?」
「家族と昔乗ったには乗ったが、もう十年以上前の話だ」
「ふーん……そっか」
「それがどうかしたのか?」
「ううん、別に。――そろそろ、一番上ね」
「そうだな」
「あの、ね? クソ提督……その……」
(……定番っちゃ定番だし、曙がそれを望んでるなら、いいか)
「曙、こっち向け。そんなに時間無いぞ」
「えっ――んっ!?」
――ちゅっ、ちゅぱ。
「っ……んぅ……っはぁ、はぁ……ふぅ」
「おっと、大丈夫か?」
「大丈夫じゃ、ないわよぉ……頭、ボーっとするし……このっ、クソ提督ぅ……」
「そんだけ勢いの無いクソ提督は初めて聞いたな」
「……て」
「ん? どうした?」
「――もっと、して?」
――――写真も撮ってもらえるけど、いるか?
――――いるに決まってんじゃない! そんなの聞くんじゃないわよ、このクソ提督!
「へー結構眺めいいじゃない」
「かなりの範囲見渡せるからな」
「クソ提督は、前にも誰かと乗ったことあるの?」
「家族と昔乗ったには乗ったが、もう十年以上前の話だ」
「ふーん……そっか」
「それがどうかしたのか?」
「ううん、別に。――そろそろ、一番上ね」
「そうだな」
「あの、ね? クソ提督……その……」
(……定番っちゃ定番だし、曙がそれを望んでるなら、いいか)
「曙、こっち向け。そんなに時間無いぞ」
「えっ――んっ!?」
――ちゅっ、ちゅぱ。
「っ……んぅ……っはぁ、はぁ……ふぅ」
「おっと、大丈夫か?」
「大丈夫じゃ、ないわよぉ……頭、ボーっとするし……このっ、クソ提督ぅ……」
「そんだけ勢いの無いクソ提督は初めて聞いたな」
「……て」
「ん? どうした?」
「――もっと、して?」
――――写真も撮ってもらえるけど、いるか?
――――いるに決まってんじゃない! そんなの聞くんじゃないわよ、このクソ提督!
698: 2014/07/06(日) 23:18:44.48 ID:NWgQzl/AO
翔鶴は明日になります
後、曙のを補足しておくと、乗ったら別れるというジンクスのある観覧車です
鈴谷はそういうの気にしないで、単純にオススメとして曙に伝えたという話でした
後、曙のを補足しておくと、乗ったら別れるというジンクスのある観覧車です
鈴谷はそういうの気にしないで、単純にオススメとして曙に伝えたという話でした
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります