704: 2014/07/07(月) 10:06:12.46 ID:FPCLCHCAO
705: 2014/07/07(月) 10:07:27.95 ID:FPCLCHCAO
――――トロッコ列車。
「紅葉が綺麗ですね、提督」
「あぁ、綺麗だ」
少し煤の臭いを感じながら、二人は窓の外の景色を眺める。赤と黄色の織り成す自然の芸術が、まるで絵画のように枠の向こうに広がっていた。
「私は昔から海とドックの内装ばかり見ていましたから、こういう景色がとても新鮮で、外出がいつも楽しみなんです。提督、色々な場所へと連れてきて下さって、本当に感謝しています」
「そう言ってもらえて何よりだ」
「今度、瑞鶴とも来てみたいわ」
そう口にした彼女の横顔に、以前のような危うさは何処にも見受けられない。シスコンな部分は残っているものの、病的という程のものでは無くなっていた。
「――提督?」
「ん? 何だ?」
「この方が写真を撮って下さるそうですよ」
――撮った写真は後で販売も致しますので、良ければ是非。
「じゃあ旅の思い出にもなるし、撮ってもらうか」
「では、折角ですしこうしましょう」
翔鶴は提督の腕に自分の腕を絡め、肩へともたれかかる。写真は口実であり、単純に彼女がそうしたかっただけというのは、その素早い動作から明白だ。
――撮りまーす……はい、ありがとうございましたー。
「――撮り終わったぞ」
「出来れば、このままずっと……いけませんか?」
「いけない理由が見当たらないな」
「ふふっ、“ここは譲れません”」
「加賀のマネか?」
「はい、瑞鶴もよくマネしていますよ。加賀さんに知られたら怒られそうですけど」
「口では怒ってても、多分内心喜んでると思うぞ。後、アイツが増えたみたいに感じるからやめてくれ」
「帰ったら、そうお伝えしておきますね」
「よし、願いを一つ叶えてやる。だからそれだけは絶対にやめろ」
「――何でも、いいの?」
提督の腕にかかっている力が、急に強まる。彼女の胸の感触がより鮮明に感じられようになったが、今はそれどころではない。
「何でもは無理だ、叶えられる範囲でな」
「……でしたら、今日1日は私だけを見て下さい」
「……あぁ、元からそのつもりだ」
窓から見える景色の様に赤く染まった翔鶴の顔を見ながら、提督は駅に着くまでの残りの時間を楽しむのだった。
――――提督、今、他の女性を見ていませんでしか?
――――翔鶴、痛い、血が止まる、見てない、見てないって!
「紅葉が綺麗ですね、提督」
「あぁ、綺麗だ」
少し煤の臭いを感じながら、二人は窓の外の景色を眺める。赤と黄色の織り成す自然の芸術が、まるで絵画のように枠の向こうに広がっていた。
「私は昔から海とドックの内装ばかり見ていましたから、こういう景色がとても新鮮で、外出がいつも楽しみなんです。提督、色々な場所へと連れてきて下さって、本当に感謝しています」
「そう言ってもらえて何よりだ」
「今度、瑞鶴とも来てみたいわ」
そう口にした彼女の横顔に、以前のような危うさは何処にも見受けられない。シスコンな部分は残っているものの、病的という程のものでは無くなっていた。
「――提督?」
「ん? 何だ?」
「この方が写真を撮って下さるそうですよ」
――撮った写真は後で販売も致しますので、良ければ是非。
「じゃあ旅の思い出にもなるし、撮ってもらうか」
「では、折角ですしこうしましょう」
翔鶴は提督の腕に自分の腕を絡め、肩へともたれかかる。写真は口実であり、単純に彼女がそうしたかっただけというのは、その素早い動作から明白だ。
――撮りまーす……はい、ありがとうございましたー。
「――撮り終わったぞ」
「出来れば、このままずっと……いけませんか?」
「いけない理由が見当たらないな」
「ふふっ、“ここは譲れません”」
「加賀のマネか?」
「はい、瑞鶴もよくマネしていますよ。加賀さんに知られたら怒られそうですけど」
「口では怒ってても、多分内心喜んでると思うぞ。後、アイツが増えたみたいに感じるからやめてくれ」
「帰ったら、そうお伝えしておきますね」
「よし、願いを一つ叶えてやる。だからそれだけは絶対にやめろ」
「――何でも、いいの?」
提督の腕にかかっている力が、急に強まる。彼女の胸の感触がより鮮明に感じられようになったが、今はそれどころではない。
「何でもは無理だ、叶えられる範囲でな」
「……でしたら、今日1日は私だけを見て下さい」
「……あぁ、元からそのつもりだ」
窓から見える景色の様に赤く染まった翔鶴の顔を見ながら、提督は駅に着くまでの残りの時間を楽しむのだった。
――――提督、今、他の女性を見ていませんでしか?
――――翔鶴、痛い、血が止まる、見てない、見てないって!
709: 2014/07/07(月) 20:42:22.42 ID:FPCLCHCAO
――――隣町。
「――? ここはどこでしょー?」
ずっと雲を見ながら小一時間程歩いていた綾波。人にはぶつからず、障害物も全て避け、辿り着いたのは隣町。
周囲に駅やバス停も見当たらず、とりあえずは来た道を戻ろうと振り返る。
「……綾波、どっちから来たんでしょうか」
目の前には十字路。無意識に歩いていた為、来た方向など彼女は全く覚えていない。
「ちょっと困りましたねー」
さして困ったようにも聞こえない声を出しながら、まずは真っ直ぐ行ってみようと綾波は歩き出す。
(あっそうだ。何方かに道を聞いて教えて頂きましょう)
最初に見かけた人物に声をかけようと決め、ちょうど曲がり角を曲がってきた男性へと、彼女は少し早足で近付いた。
「あの、少々お尋ねしたいことがあるのですがー」
――何? どうしたの?
――――鎮守府。
「――また綾波が消えた?」
「うん、雑誌読んでる一瞬の間に」
「まぁ何時もの事だし、アイツなら心配いらないだろ」
「そりゃそうだけど、最近はちょっと違う問題があってさー……」
「失礼します。敷波、綾波が戻ってきたわ」
「そうか。良かったな、敷波――敷波?」
(これだけ帰りが早いってことは、またっぽいな……)
「――? ここはどこでしょー?」
ずっと雲を見ながら小一時間程歩いていた綾波。人にはぶつからず、障害物も全て避け、辿り着いたのは隣町。
周囲に駅やバス停も見当たらず、とりあえずは来た道を戻ろうと振り返る。
「……綾波、どっちから来たんでしょうか」
目の前には十字路。無意識に歩いていた為、来た方向など彼女は全く覚えていない。
「ちょっと困りましたねー」
さして困ったようにも聞こえない声を出しながら、まずは真っ直ぐ行ってみようと綾波は歩き出す。
(あっそうだ。何方かに道を聞いて教えて頂きましょう)
最初に見かけた人物に声をかけようと決め、ちょうど曲がり角を曲がってきた男性へと、彼女は少し早足で近付いた。
「あの、少々お尋ねしたいことがあるのですがー」
――何? どうしたの?
――――鎮守府。
「――また綾波が消えた?」
「うん、雑誌読んでる一瞬の間に」
「まぁ何時もの事だし、アイツなら心配いらないだろ」
「そりゃそうだけど、最近はちょっと違う問題があってさー……」
「失礼します。敷波、綾波が戻ってきたわ」
「そうか。良かったな、敷波――敷波?」
(これだけ帰りが早いってことは、またっぽいな……)
710: 2014/07/07(月) 20:44:22.66 ID:FPCLCHCAO
――――鎮守府入口。
「皆さん、ありがとうございましたー」
――いいよいいよ、気にしないで。
――また何かあったら駆け付けるから。
――困った時はそこにかけて、次に迷った時はすぐに車で迎えに行くよ。
「ありがとうございます。でも、知らない人の車には乗らないように言われていますから」
「そもそも知らない奴について行くんじゃないわよ。まーたこんなに男引き連れて帰って来て」
「あっ敷波、ただいまー」
「ただいまーじゃない! 毎回毎回勝手にどっか消えて、ちょっとは探すあたしの身にもなりなさいよね。っていうか携帯どうしたのよ」
「充電、切れちゃってました」
「はぁ……まぁ、いいや。そこの人達、この子ちゃんと保護者兼彼氏居るから、大人しく諦めて」
――綾波ちゃん彼氏居たの!?
――とてもそんな風には……。
――でも、食事に誘ったらいいって言ったよね?
「そういえばそうでした。敷波、この方が美味しいお店を教えて下さるそうなんです。司令官をお誘いして今度一緒に行きませんかー?」
「綾波、アンタねぇ……」
――――コレ持って出歩け、明石に作らせた発信器だ。俺か敷波がすぐに迎えに行く。
――――司令官は心配性なんですねぇ。
「皆さん、ありがとうございましたー」
――いいよいいよ、気にしないで。
――また何かあったら駆け付けるから。
――困った時はそこにかけて、次に迷った時はすぐに車で迎えに行くよ。
「ありがとうございます。でも、知らない人の車には乗らないように言われていますから」
「そもそも知らない奴について行くんじゃないわよ。まーたこんなに男引き連れて帰って来て」
「あっ敷波、ただいまー」
「ただいまーじゃない! 毎回毎回勝手にどっか消えて、ちょっとは探すあたしの身にもなりなさいよね。っていうか携帯どうしたのよ」
「充電、切れちゃってました」
「はぁ……まぁ、いいや。そこの人達、この子ちゃんと保護者兼彼氏居るから、大人しく諦めて」
――綾波ちゃん彼氏居たの!?
――とてもそんな風には……。
――でも、食事に誘ったらいいって言ったよね?
「そういえばそうでした。敷波、この方が美味しいお店を教えて下さるそうなんです。司令官をお誘いして今度一緒に行きませんかー?」
「綾波、アンタねぇ……」
――――コレ持って出歩け、明石に作らせた発信器だ。俺か敷波がすぐに迎えに行く。
――――司令官は心配性なんですねぇ。
714: 2014/07/08(火) 01:31:58.00 ID:qfeTAvyAO
・電『二人で散歩なのです』、投下します
715: 2014/07/08(火) 01:32:32.10 ID:qfeTAvyAO
――――並木道。
「司令官さん、銀杏(いちょう)が綺麗ですね」
「銀杏(ぎんなん)食いたい」
「帰ったら茶碗蒸しをお作りしますから、今は花を見てくれませんか?」
「花を見ても腹は膨れん」
「身も蓋も無いことを言わないで欲しいのです……」
少しからかいすぎたと、提督は電の頭を二、三度軽くポンと叩く。そして、ある事に気が付く。
「電、また背伸びたな」
「最近、暁が頭を頻繁に押さえに来るのです」
「とうとう三人に抜かれたからな、アイツ……」
「――ようやく、司令官さんの胸の辺りですね」
電は前へと回り込み、自分の頭の上に置いた手を水平に提督の身体へと持っていく。以前にこうした時は鳩尾辺りだったので、約五センチ以上は伸びている計算になる。
「女の子は電ぐらいの時期が一番伸びやすいし、この調子なら俺の肩までぐらいはすぐに伸びると思うぞ」
「よく食べて、よく動いて、よく寝るのです」
「頼むから抜かさないでくれよ? 何人か俺より高い奴いるし、これ以上増えられると流石に悲しくなる」
「大丈夫なのです。電は司令官さんに抱き締められたらすっぽり埋まる程度の身長を目指しているのです」
それは狙ってどうにかなるものなのかと心の中でツッコミを入れながら、提督は電とズレかけた歩調を合わせる。後ろ向きに歩くのを注意しようかと考えるも、銀杏の花が舞う中で満面の笑みを自分に向ける少女を見ていると無粋に思えてきて、彼は口を噤(つぐ)んだ。
「少しずつ、少しずつ、司令官さんと目線の高さが合ってくるのが、電はとても嬉しいのです」
「……そうか」
「はいなのです」
真っ直ぐに向けられる好意。それは重くはなく、ただ優しく、暖かい。
――ふと、視界の端に良さそうな屋台を見付け、提督はその存在に気付いていないであろう少女に伝えようと口を開く。
「――なぁ、あそこにクレープの屋台があるけど、食べるか?」
「クレープ! 食べたいので――はにゃっ!?」
「電!?」
方向転換をしようとして失敗し、足をもつれさせた電。それを助けようと、提督は必氏に手を伸ばして支えようとするのだった。
――――司令官さん? 大丈夫ですか?
――――(コイツの身体能力忘れてた……俺が滑って転ぶとか情けねぇ……)
「司令官さん、銀杏(いちょう)が綺麗ですね」
「銀杏(ぎんなん)食いたい」
「帰ったら茶碗蒸しをお作りしますから、今は花を見てくれませんか?」
「花を見ても腹は膨れん」
「身も蓋も無いことを言わないで欲しいのです……」
少しからかいすぎたと、提督は電の頭を二、三度軽くポンと叩く。そして、ある事に気が付く。
「電、また背伸びたな」
「最近、暁が頭を頻繁に押さえに来るのです」
「とうとう三人に抜かれたからな、アイツ……」
「――ようやく、司令官さんの胸の辺りですね」
電は前へと回り込み、自分の頭の上に置いた手を水平に提督の身体へと持っていく。以前にこうした時は鳩尾辺りだったので、約五センチ以上は伸びている計算になる。
「女の子は電ぐらいの時期が一番伸びやすいし、この調子なら俺の肩までぐらいはすぐに伸びると思うぞ」
「よく食べて、よく動いて、よく寝るのです」
「頼むから抜かさないでくれよ? 何人か俺より高い奴いるし、これ以上増えられると流石に悲しくなる」
「大丈夫なのです。電は司令官さんに抱き締められたらすっぽり埋まる程度の身長を目指しているのです」
それは狙ってどうにかなるものなのかと心の中でツッコミを入れながら、提督は電とズレかけた歩調を合わせる。後ろ向きに歩くのを注意しようかと考えるも、銀杏の花が舞う中で満面の笑みを自分に向ける少女を見ていると無粋に思えてきて、彼は口を噤(つぐ)んだ。
「少しずつ、少しずつ、司令官さんと目線の高さが合ってくるのが、電はとても嬉しいのです」
「……そうか」
「はいなのです」
真っ直ぐに向けられる好意。それは重くはなく、ただ優しく、暖かい。
――ふと、視界の端に良さそうな屋台を見付け、提督はその存在に気付いていないであろう少女に伝えようと口を開く。
「――なぁ、あそこにクレープの屋台があるけど、食べるか?」
「クレープ! 食べたいので――はにゃっ!?」
「電!?」
方向転換をしようとして失敗し、足をもつれさせた電。それを助けようと、提督は必氏に手を伸ばして支えようとするのだった。
――――司令官さん? 大丈夫ですか?
――――(コイツの身体能力忘れてた……俺が滑って転ぶとか情けねぇ……)
724: 2014/07/09(水) 07:58:39.13 ID:3B1H+fKAO
・あきつ丸『提督殿、儚いでありますな』、投下します
725: 2014/07/09(水) 07:59:41.98 ID:3B1H+fKAO
――――海辺。
「提督殿、どっちが長く線香花火を落とさずいられるか勝負であります」
「何か賭けるのか?」
「勝ったら抱き締めるであります。負けたら抱き締めていいであります」
「それじゃ賭けになってないだろ……」
「不満でありますか?」
「別に賭けなくても後でしてやるから、今は普通に楽しめ」
「了解であります」
同時に火を着け、線香花火の放つ小さな音と光を、暫し無言で二人は楽しむ。
「――――あっ」
「お前のが先に落ちたな」
「……提督殿」
「何だ?」
「儚いでありますな、線香花火というのは」
あきつ丸は下を向いており、提督からは帽子に隠れたその表情を窺い知る事が出来ない。しかし、その声音から何を考えているか推察することは可能だった。
「――火を着けなきゃ、湿気ってそのまま捨てられる。自分の役目を全う出来るっていうのは、儚いか?」
「それは、名誉なことだと思うであります」
「風ですぐに落ちたり、上手く燃えなかったりもするが、それも役目を果たそうとした結果だ。俺は、線香花火を儚いとは思わない」
「……提督殿は、やはり変わっているでありますな」
「俺は至ってまとも――いや、まともじゃないな」
鎮守府の現状を鑑みると、どう考えても提督はまともとは言い難い。その事実を改めて意識し、眉間に皺を寄せる彼を見て、あきつ丸は少し苦笑しながら口を開く。
「憲兵のバイトをしていると、記録として“轟沈”や“氏亡”という単語を目にする機会が多くなったであります。彼女達の中には、命の灯火を踏みにじるように消された者や、名誉を汚された挙げ句、役目とは無関係な氏を与えられた者も居たであります」
「……だろうな」
「自分は……自分は今、幸せであります。しかし、彼女達の事を考える度、どうしようもなく胸が痛む……」
「――だから、お前は憲兵を続けているんだろ? なら、それ以上気に病むな。必氏に悲しみを減らそうと努力してるお前が笑えないんじゃ、意味がない」
「提督殿……」
「ほら、まだまだ花火はあるんだからやるぞ。湿っぽいのはコレで終わりだ」
「――了解であります」
――――負けたので抱き締めていいであります。
――――もう既に抱き着いてんじゃねえか……。
「提督殿、どっちが長く線香花火を落とさずいられるか勝負であります」
「何か賭けるのか?」
「勝ったら抱き締めるであります。負けたら抱き締めていいであります」
「それじゃ賭けになってないだろ……」
「不満でありますか?」
「別に賭けなくても後でしてやるから、今は普通に楽しめ」
「了解であります」
同時に火を着け、線香花火の放つ小さな音と光を、暫し無言で二人は楽しむ。
「――――あっ」
「お前のが先に落ちたな」
「……提督殿」
「何だ?」
「儚いでありますな、線香花火というのは」
あきつ丸は下を向いており、提督からは帽子に隠れたその表情を窺い知る事が出来ない。しかし、その声音から何を考えているか推察することは可能だった。
「――火を着けなきゃ、湿気ってそのまま捨てられる。自分の役目を全う出来るっていうのは、儚いか?」
「それは、名誉なことだと思うであります」
「風ですぐに落ちたり、上手く燃えなかったりもするが、それも役目を果たそうとした結果だ。俺は、線香花火を儚いとは思わない」
「……提督殿は、やはり変わっているでありますな」
「俺は至ってまとも――いや、まともじゃないな」
鎮守府の現状を鑑みると、どう考えても提督はまともとは言い難い。その事実を改めて意識し、眉間に皺を寄せる彼を見て、あきつ丸は少し苦笑しながら口を開く。
「憲兵のバイトをしていると、記録として“轟沈”や“氏亡”という単語を目にする機会が多くなったであります。彼女達の中には、命の灯火を踏みにじるように消された者や、名誉を汚された挙げ句、役目とは無関係な氏を与えられた者も居たであります」
「……だろうな」
「自分は……自分は今、幸せであります。しかし、彼女達の事を考える度、どうしようもなく胸が痛む……」
「――だから、お前は憲兵を続けているんだろ? なら、それ以上気に病むな。必氏に悲しみを減らそうと努力してるお前が笑えないんじゃ、意味がない」
「提督殿……」
「ほら、まだまだ花火はあるんだからやるぞ。湿っぽいのはコレで終わりだ」
「――了解であります」
――――負けたので抱き締めていいであります。
――――もう既に抱き着いてんじゃねえか……。
726: 2014/07/09(水) 11:38:02.39 ID:3B1H+fKAO
・衣笠『提督、私って遅れてる……?』、投下します
727: 2014/07/09(水) 11:38:28.24 ID:3B1H+fKAO
――――提督執務室。
「衣笠、悩みってのは何だ?」
「青葉にね、“衣笠のセンスや使う言葉は一昔前のでちょっと古いんですよねぇ”って言われたの。ねぇ、提督もそう思う?」
「あぁ、古い」
「即答!?」
「アフターファイブなんて言葉、俺の世代ですら基本的に知らんぞ。そもそもお前、どっからそんな言葉知ったんだよ」
「艦娘になった時から何故か知識として頭の中にあったんだけど……」
(そもそも艦娘自体が謎だから良く分からんが、コイツだけ時間軸間違えて情報を与えられたのか?)
「チョベリバとかナウいも氏語?」
「使うな、絶対に使うな」
「……提督、こんな子は嫌い?」
「そんなことで嫌う訳無いだろ。まぁ、記事書く時に使わないように気を付ければ、特に問題はないんじゃないか?」
「そうよね、氏語っぽいのを使わなければいいだけの話よね。ありがと、提督」
「話がそれで終わりなら、そろそろ昼飯作ってくれ」
「はーい」
「衣笠、悩みってのは何だ?」
「青葉にね、“衣笠のセンスや使う言葉は一昔前のでちょっと古いんですよねぇ”って言われたの。ねぇ、提督もそう思う?」
「あぁ、古い」
「即答!?」
「アフターファイブなんて言葉、俺の世代ですら基本的に知らんぞ。そもそもお前、どっからそんな言葉知ったんだよ」
「艦娘になった時から何故か知識として頭の中にあったんだけど……」
(そもそも艦娘自体が謎だから良く分からんが、コイツだけ時間軸間違えて情報を与えられたのか?)
「チョベリバとかナウいも氏語?」
「使うな、絶対に使うな」
「……提督、こんな子は嫌い?」
「そんなことで嫌う訳無いだろ。まぁ、記事書く時に使わないように気を付ければ、特に問題はないんじゃないか?」
「そうよね、氏語っぽいのを使わなければいいだけの話よね。ありがと、提督」
「話がそれで終わりなら、そろそろ昼飯作ってくれ」
「はーい」
728: 2014/07/09(水) 11:39:39.83 ID:3B1H+fKAO
――――同日、夕方。
「――ふぅ、ご馳走さん」
「どう? 美味しかった?」
「あぁ、美味かった。うちは料理できる艦娘が多くて助かる」
「提督が喜んで食べてくれるからだよ。あなたに“美味しい”って言ってもらう為なら、皆張り切っちゃうもん」
「そんなに舌が肥えてる訳でもないし、大抵美味いって言うぞ?」
「もっともーっと喜んでもらいたいの。皆飽きられないようにレシピ改良したり、メニュー自分で考えたりしてるんだからね」
「……衣笠、試作した料理って自分で普通食べるよな」
「うん、それがどうかしたの?」
「腹、少し出てきてないか?」
「ちょっ、あの、触るのはいいけど、お腹はつままないでくれます……? 提督こそデスクワークばっかりだから、ちょっとお腹が出て――ない」
「結構運動してるからな、むしろ前より痩せた」
「へー、そうなんだ。っていうか提督、そろそろお腹つまむのやめてよね」
「あぁ、すまんすまん」
「最近ずっと記事書くのに部屋に籠ってたし、コレはきっとそのせいなんだからね!」
「別に悪いとは言ってないだろ、その程度なら普通だ」
「――提督。運動、付き合ってくれる?」
(……痩せる一方だな、こりゃ)
――――どう? ボン、キュッ、ボンのナイスバディーでしょ?
――――それも氏語だ。
「――ふぅ、ご馳走さん」
「どう? 美味しかった?」
「あぁ、美味かった。うちは料理できる艦娘が多くて助かる」
「提督が喜んで食べてくれるからだよ。あなたに“美味しい”って言ってもらう為なら、皆張り切っちゃうもん」
「そんなに舌が肥えてる訳でもないし、大抵美味いって言うぞ?」
「もっともーっと喜んでもらいたいの。皆飽きられないようにレシピ改良したり、メニュー自分で考えたりしてるんだからね」
「……衣笠、試作した料理って自分で普通食べるよな」
「うん、それがどうかしたの?」
「腹、少し出てきてないか?」
「ちょっ、あの、触るのはいいけど、お腹はつままないでくれます……? 提督こそデスクワークばっかりだから、ちょっとお腹が出て――ない」
「結構運動してるからな、むしろ前より痩せた」
「へー、そうなんだ。っていうか提督、そろそろお腹つまむのやめてよね」
「あぁ、すまんすまん」
「最近ずっと記事書くのに部屋に籠ってたし、コレはきっとそのせいなんだからね!」
「別に悪いとは言ってないだろ、その程度なら普通だ」
「――提督。運動、付き合ってくれる?」
(……痩せる一方だな、こりゃ)
――――どう? ボン、キュッ、ボンのナイスバディーでしょ?
――――それも氏語だ。
741: 2014/07/09(水) 12:22:04.69 ID:3B1H+fKAO
・駆逐艦s『あえて長門に自分から抱き着いてみる』
・ビスマルク『いいから誉めなさい!』
・那智&足柄『どういう方向性になるか』
・夕立改二『今度は大鳳さんと提督さんも連れて、ぽいもの探すっぽい!』
・那珂『生ライブ? テレビ放送?』
・飛鷹『短冊にかける願い』
・メカ夕張『私が秘書艦?』
・青葉『青葉のカモフラージュは完璧です!』
・第六駆逐隊『流れるプール』
以上の九本でお送りします
・ビスマルク『いいから誉めなさい!』
・那智&足柄『どういう方向性になるか』
・夕立改二『今度は大鳳さんと提督さんも連れて、ぽいもの探すっぽい!』
・那珂『生ライブ? テレビ放送?』
・飛鷹『短冊にかける願い』
・メカ夕張『私が秘書艦?』
・青葉『青葉のカモフラージュは完璧です!』
・第六駆逐隊『流れるプール』
以上の九本でお送りします
745: 2014/07/09(水) 22:05:44.28 ID:3B1H+fKAO
・駆逐艦s『あえて長門に自分から抱き着いてみる』、投下します
どっかの猫と鼠の関係っぽく……
どっかの猫と鼠の関係っぽく……
746: 2014/07/09(水) 22:06:11.89 ID:3B1H+fKAO
――――鎮守府内、某所。
「今度こそ、今度こそ長門を……!」
「アンタもよぅやるなぁ、そんなに構ってもらえんくなったんが不満なん?」
「素直じゃないわねー陽炎ってば」
「黒潮も村雨もちょっと黙ってて」
「あの、私は別に仕返しとかはしたくないので、もう部屋に戻ってもいいでしょうか……?」
「私も、部屋でゲームしたい……」
「ダメよ、アンタ達にも協力してもらうわ」
「具体的にはどうするん?」
「作戦はこうよ、まずは完全に油断させる為に――」
「今度こそ、今度こそ長門を……!」
「アンタもよぅやるなぁ、そんなに構ってもらえんくなったんが不満なん?」
「素直じゃないわねー陽炎ってば」
「黒潮も村雨もちょっと黙ってて」
「あの、私は別に仕返しとかはしたくないので、もう部屋に戻ってもいいでしょうか……?」
「私も、部屋でゲームしたい……」
「ダメよ、アンタ達にも協力してもらうわ」
「具体的にはどうするん?」
「作戦はこうよ、まずは完全に油断させる為に――」
747: 2014/07/09(水) 22:06:42.32 ID:3B1H+fKAO
――――鎮守府内、廊下。
(毎日見回りだけというのも、案外疲れるものだな……)
「――あの、長門さん」
「む? 磯波が私に話しかけてくるなど珍しいな。まさか、駆逐艦娘を狙う不審者が現れたのか!?」
「いえ、あの、その……えいっ」
(――何、だと……?)
「ひ、日頃の感謝の気持ちです」
「あ、いや、私は当然の事をしているに過ぎない」
(磯波は自分から抱き着いてくるような、積極的な子では無かったはず……ようやく、ようやくこの長門の思いが通じたのか)
「私も、えいっ」
「む? 初雪もか?」
「うん」
(二人も私に自分から……胸が熱いな)
「長門はん、うちも感謝してるんよ」
「はいはーい、村雨も感謝してるわ」
「お前達……」
「長門さん、大好きです」
「長門さん、好きです」
「長門はん、好きやで」
「長門さん、好・き・よ」
「――この長門、今改めてこの場で誓おう。生涯お前達は私が守る!」
(私達が成長しても、この調子なんでしょうか……?)
(ちょっと、怖い)
(陽炎はこんなんのどこがえぇんやろなぁ)
(そろそろかしら? こっちはスタンバイOKよ!)
「よし、今日はお前達を何処かに食事に連れていって――」
「長門! 覚悟ぉぉぉぉぉっ!」
「ふんっ!」
「……アレ?」
「陽炎、感謝の意を素直に表せない故の後頭部へのジャンピングニー、しかと受け止めたぞ」
「えっ、いや、そんなつもりじゃ……」
「思えば、お前とは何度も楽しい追いかけっこをしたものだ。今、お前から感謝されるというのは、とても胸が熱くなる」
「私は楽しくなんて無かったわよ! 大体何よ、最近は文月ばっかり構ってて、全然私達を追いかけなくなったじゃない!」
「陽炎、本音出とるでー」
「そうか……寂しい思いをさせて済まなかったな、今度は陽炎も一緒に出掛けようじゃないか。無論、追いかけっこもまたやろう」
「べ、別に私は寂しくなんて無いわよ。……ただ、ちょっと最近つまんなかったってだけ」
(私、何のために付き合わされたんでしょうか……)
(部屋、戻ろ)
(青葉さんに教えに行っちゃおっかな)
(何や面白い事になったなぁ、暫くは面白くなりそうや)
(毎日見回りだけというのも、案外疲れるものだな……)
「――あの、長門さん」
「む? 磯波が私に話しかけてくるなど珍しいな。まさか、駆逐艦娘を狙う不審者が現れたのか!?」
「いえ、あの、その……えいっ」
(――何、だと……?)
「ひ、日頃の感謝の気持ちです」
「あ、いや、私は当然の事をしているに過ぎない」
(磯波は自分から抱き着いてくるような、積極的な子では無かったはず……ようやく、ようやくこの長門の思いが通じたのか)
「私も、えいっ」
「む? 初雪もか?」
「うん」
(二人も私に自分から……胸が熱いな)
「長門はん、うちも感謝してるんよ」
「はいはーい、村雨も感謝してるわ」
「お前達……」
「長門さん、大好きです」
「長門さん、好きです」
「長門はん、好きやで」
「長門さん、好・き・よ」
「――この長門、今改めてこの場で誓おう。生涯お前達は私が守る!」
(私達が成長しても、この調子なんでしょうか……?)
(ちょっと、怖い)
(陽炎はこんなんのどこがえぇんやろなぁ)
(そろそろかしら? こっちはスタンバイOKよ!)
「よし、今日はお前達を何処かに食事に連れていって――」
「長門! 覚悟ぉぉぉぉぉっ!」
「ふんっ!」
「……アレ?」
「陽炎、感謝の意を素直に表せない故の後頭部へのジャンピングニー、しかと受け止めたぞ」
「えっ、いや、そんなつもりじゃ……」
「思えば、お前とは何度も楽しい追いかけっこをしたものだ。今、お前から感謝されるというのは、とても胸が熱くなる」
「私は楽しくなんて無かったわよ! 大体何よ、最近は文月ばっかり構ってて、全然私達を追いかけなくなったじゃない!」
「陽炎、本音出とるでー」
「そうか……寂しい思いをさせて済まなかったな、今度は陽炎も一緒に出掛けようじゃないか。無論、追いかけっこもまたやろう」
「べ、別に私は寂しくなんて無いわよ。……ただ、ちょっと最近つまんなかったってだけ」
(私、何のために付き合わされたんでしょうか……)
(部屋、戻ろ)
(青葉さんに教えに行っちゃおっかな)
(何や面白い事になったなぁ、暫くは面白くなりそうや)
748: 2014/07/09(水) 22:07:19.44 ID:3B1H+fKAO
――――ちょっとアンタ仕事はどうしたのよ!?
――――武蔵に代理を頼んだ! 今日はお前達と追いかけっこだ!
――――真面目に働けバカ長門! こっち来んなぁぁぁぁ!
――――武蔵に代理を頼んだ! 今日はお前達と追いかけっこだ!
――――真面目に働けバカ長門! こっち来んなぁぁぁぁ!
752: 2014/07/10(木) 02:36:41.81 ID:GPhG0WGAO
・ビスマルク『いいから誉めなさい!』、投下します
753: 2014/07/10(木) 02:37:43.53 ID:GPhG0WGAO
――――提督執務室。
「提督、また売り上げが伸びたわ」
「そうか、頑張ってるなビスマルク」
「――それだけなの?」
物凄く不満気なビスマルク。出撃や演習、遠征も無くなった今、彼女が提督に求めているモノを得る為には、店を繁盛させて利益を上げるのが一番だ。
その努力の成果報告をさらりと流されたとあっては、黙って話を終わらせられるはずもない。
「この私が毎日朝から晩までパンを焼いて、新しいメニューを試行錯誤しながら寝る間も惜しんで頑張ったのよ?」
「ちゃんと寝ろ、身体壊したらどうする」
「ごめんなさい、毎日八時間は睡眠を取るようにするわ」
「ん、ならいい」
(ちゃんと今でも、体調の心配はキッチリしてくれるのね……)
過去に張り切り過ぎて体調を崩した時の事を思い出し、ビスマルクは目の前の想い人を見つめながら笑みを浮かべる。
「――ってそうじゃないわ。それだけ頑張ったのよ? もっと他に何か無いの?」
「何かって、何だ?」
「誉めなさい」
「頑張ったな」
「足りないわ」
「偉いぞ」
「言葉だけで済ませる気?」
「なら、具体的にどうして欲しいか言え」
提督もバカではない。最初からビスマルクが何を求めているのかは分かっている。
それでもこうやってわざと分からないフリをしているのは、仕事が無くて単純に手持ちぶさたなのと、彼女の反応を楽しんでいるからだ。
「そうね、誉める時は頭を撫でるのがドイツ軍では一般的だったわ」
(真顔でとんでもない嘘吐くなコイツ……)
「どうしたの? 早く誉めなさい」
「犬を飼うってのは、こんな気分なのかもしれんな」
「犬の話なんか今はどうでもいいわ」
「分かってるからちょっと待て――ほら、コレでいいのか?」
「……Sehr gut.」
「そうか、そりゃ良かった」
とても幸せそうに目を瞑りながら、ビスマルクは明日からまた働く為の活力を補給する。その姿を見て、提督もまた頑張ろうという活力をもらう。
お互いに幸せな時間は、そのまま一時間程続くのだった。
――――それじゃあ次はご飯を食べさせてね?
――――(やっぱり犬っぽいな……)
「提督、また売り上げが伸びたわ」
「そうか、頑張ってるなビスマルク」
「――それだけなの?」
物凄く不満気なビスマルク。出撃や演習、遠征も無くなった今、彼女が提督に求めているモノを得る為には、店を繁盛させて利益を上げるのが一番だ。
その努力の成果報告をさらりと流されたとあっては、黙って話を終わらせられるはずもない。
「この私が毎日朝から晩までパンを焼いて、新しいメニューを試行錯誤しながら寝る間も惜しんで頑張ったのよ?」
「ちゃんと寝ろ、身体壊したらどうする」
「ごめんなさい、毎日八時間は睡眠を取るようにするわ」
「ん、ならいい」
(ちゃんと今でも、体調の心配はキッチリしてくれるのね……)
過去に張り切り過ぎて体調を崩した時の事を思い出し、ビスマルクは目の前の想い人を見つめながら笑みを浮かべる。
「――ってそうじゃないわ。それだけ頑張ったのよ? もっと他に何か無いの?」
「何かって、何だ?」
「誉めなさい」
「頑張ったな」
「足りないわ」
「偉いぞ」
「言葉だけで済ませる気?」
「なら、具体的にどうして欲しいか言え」
提督もバカではない。最初からビスマルクが何を求めているのかは分かっている。
それでもこうやってわざと分からないフリをしているのは、仕事が無くて単純に手持ちぶさたなのと、彼女の反応を楽しんでいるからだ。
「そうね、誉める時は頭を撫でるのがドイツ軍では一般的だったわ」
(真顔でとんでもない嘘吐くなコイツ……)
「どうしたの? 早く誉めなさい」
「犬を飼うってのは、こんな気分なのかもしれんな」
「犬の話なんか今はどうでもいいわ」
「分かってるからちょっと待て――ほら、コレでいいのか?」
「……Sehr gut.」
「そうか、そりゃ良かった」
とても幸せそうに目を瞑りながら、ビスマルクは明日からまた働く為の活力を補給する。その姿を見て、提督もまた頑張ろうという活力をもらう。
お互いに幸せな時間は、そのまま一時間程続くのだった。
――――それじゃあ次はご飯を食べさせてね?
――――(やっぱり犬っぽいな……)
755: 2014/07/10(木) 11:00:31.13 ID:GPhG0WGAO
・那智&足柄『どういう方向性になるか』、投下します
756: 2014/07/10(木) 11:02:06.53 ID:GPhG0WGAO
――――居酒屋鳳翔。
「妙高姉さん、改二になって前より綺麗になってたわね」
「そうだな、羽黒も改二になって更に可愛らしくなった」
「……私達も改二に、いつかはなれるはずよね?」
「……そう願いたいものだ」
「那智姉さんは改二でどうなりたい?」
「私か? 特にコレといってないが……強いて挙げるとすれば、火力を重視した改造だと有難い」
「それは何でなの?」
「自分が一番姉妹艦の中で火力が高い事を、羽黒が気にしていてるというのを耳にしたのでな」
(あの子ってば、そんなこと気にする必要無いのに……)
「足柄、お前はどうなんだ?」
「私? 狼っぽくなれたらいいわね」
「四足で航行するのか?」
「流石にそれはちょっと嫌だわ……」
「――お前には、装甲重視の改造が最適だな」
「どうして?」
「もし仮にまた戦いが始まったら、お前は必ず突撃する。……私も妙高姉さん程ではないが、心配性になってしまったようだ」
「那智姉さんも前から心配性よ」
「ふっ……そうかもしれんな」
「――もう一杯、どうですか?」
「頂こう」
「私も頂くわ」
――――二人とも改二になったら、次は四人で飲もう。
――――いいわね、今から楽しみだわ。
「妙高姉さん、改二になって前より綺麗になってたわね」
「そうだな、羽黒も改二になって更に可愛らしくなった」
「……私達も改二に、いつかはなれるはずよね?」
「……そう願いたいものだ」
「那智姉さんは改二でどうなりたい?」
「私か? 特にコレといってないが……強いて挙げるとすれば、火力を重視した改造だと有難い」
「それは何でなの?」
「自分が一番姉妹艦の中で火力が高い事を、羽黒が気にしていてるというのを耳にしたのでな」
(あの子ってば、そんなこと気にする必要無いのに……)
「足柄、お前はどうなんだ?」
「私? 狼っぽくなれたらいいわね」
「四足で航行するのか?」
「流石にそれはちょっと嫌だわ……」
「――お前には、装甲重視の改造が最適だな」
「どうして?」
「もし仮にまた戦いが始まったら、お前は必ず突撃する。……私も妙高姉さん程ではないが、心配性になってしまったようだ」
「那智姉さんも前から心配性よ」
「ふっ……そうかもしれんな」
「――もう一杯、どうですか?」
「頂こう」
「私も頂くわ」
――――二人とも改二になったら、次は四人で飲もう。
――――いいわね、今から楽しみだわ。
757: 2014/07/10(木) 19:15:29.71 ID:GPhG0WGAO
・夕立改二『今度は大鳳さんと提督さんも連れて、ぽいもの探すっぽい!』、投下します
758: 2014/07/10(木) 19:16:05.62 ID:GPhG0WGAO
――――提督執務室。
「提督さん提督さん、一緒にぽいもの探すっぽい!」
「……どういうことだ?」
「言葉通り、そのままの意味です」
説明を求める提督の視線に、大鳳は説明など不要だと返す。事実、わざわざ説明するまでもないことだ。
「そうか。後、何で大鳳が一緒なのかも気になったんだが、それも説明はしてもらえないのか?」
「前に探すのに付き合ったから、今回も一緒に回ろうと誘われたんです。夕立の秘書艦日だから遠慮しようかとも思ったのだけど……」
「大鳳さんも一緒の方が楽しいっぽい!」
二人の腕を引っ張り楽しそうにしている夕立。その笑顔を見て、大鳳が断れるはずもない。
「まぁ当の本人が良いって言ってるんだし、三人で行くか」
「三人寄ればもんじゃ焼きっぽい?」
「使う場面を間違えているし、それを言うなら文殊の知恵よ?」
「提督さん提督さん、一緒にぽいもの探すっぽい!」
「……どういうことだ?」
「言葉通り、そのままの意味です」
説明を求める提督の視線に、大鳳は説明など不要だと返す。事実、わざわざ説明するまでもないことだ。
「そうか。後、何で大鳳が一緒なのかも気になったんだが、それも説明はしてもらえないのか?」
「前に探すのに付き合ったから、今回も一緒に回ろうと誘われたんです。夕立の秘書艦日だから遠慮しようかとも思ったのだけど……」
「大鳳さんも一緒の方が楽しいっぽい!」
二人の腕を引っ張り楽しそうにしている夕立。その笑顔を見て、大鳳が断れるはずもない。
「まぁ当の本人が良いって言ってるんだし、三人で行くか」
「三人寄ればもんじゃ焼きっぽい?」
「使う場面を間違えているし、それを言うなら文殊の知恵よ?」
759: 2014/07/10(木) 19:17:58.74 ID:GPhG0WGAO
――――鎮守府内、廊下。
「男の子っぽい」
「僕は女の子だよ」
「そうだぞ夕立、レーベはウィッグを付けてメイド服を着たら間違えようが無いぐらい可愛い――」
「わー! わー! その話はやめてよ! 絶対に内緒にしてってあんなにお願いしたのに酷いよ!」
「隠す必要も無いだろ」
「レーベ、顔真っ赤っぽい」
(写真は無いのかしら……)
――――工厰。
「ガラクタ置き場っぽい」
「ガラクタって言わないでよ。廃棄に困った危険物を置いてるだけなんだから」
「なおさら悪いわ!」
「夕張、いい加減処分したら?」
「運ぼうとすると、五月雨ちゃんが何故か必ず遊びに来ちゃうのよ……」
「五月雨はドジっ娘」
(夕立が言い切ったですって!?)
――――空母寮。
「まない――むぐっ?」
「傷を抉るのはやめてやれ。お前も十分大きい部類に入る」
(AはセーフAはセーフAはセーフ……)
「……キミ等、考えてる事丸分かりやで?」
――――???
「……何かのコレクション部屋っぽい?」
「ここはダメだ。他の場所に行こう」
「えぇ、その方が良さそうだわ」
「――見たのね?」
「っ!? 大鳳、後は任せた。夕立、来い!」
「逃げるっぽーい!」
「二人とも待って! 私を置いていかないで!」
「別に逃げなくても何もしないわ。ただ、少し中で話をするだけよ」
「だ、誰か助けてぇぇぇ……」
「男の子っぽい」
「僕は女の子だよ」
「そうだぞ夕立、レーベはウィッグを付けてメイド服を着たら間違えようが無いぐらい可愛い――」
「わー! わー! その話はやめてよ! 絶対に内緒にしてってあんなにお願いしたのに酷いよ!」
「隠す必要も無いだろ」
「レーベ、顔真っ赤っぽい」
(写真は無いのかしら……)
――――工厰。
「ガラクタ置き場っぽい」
「ガラクタって言わないでよ。廃棄に困った危険物を置いてるだけなんだから」
「なおさら悪いわ!」
「夕張、いい加減処分したら?」
「運ぼうとすると、五月雨ちゃんが何故か必ず遊びに来ちゃうのよ……」
「五月雨はドジっ娘」
(夕立が言い切ったですって!?)
――――空母寮。
「まない――むぐっ?」
「傷を抉るのはやめてやれ。お前も十分大きい部類に入る」
(AはセーフAはセーフAはセーフ……)
「……キミ等、考えてる事丸分かりやで?」
――――???
「……何かのコレクション部屋っぽい?」
「ここはダメだ。他の場所に行こう」
「えぇ、その方が良さそうだわ」
「――見たのね?」
「っ!? 大鳳、後は任せた。夕立、来い!」
「逃げるっぽーい!」
「二人とも待って! 私を置いていかないで!」
「別に逃げなくても何もしないわ。ただ、少し中で話をするだけよ」
「だ、誰か助けてぇぇぇ……」
760: 2014/07/10(木) 19:19:18.05 ID:GPhG0WGAO
――――提督執務室。
「はぁ、はぁ……ふぅー……夕立、良い子だからあの部屋で見たモノは忘れろ。アレは加賀の数少ない趣味だから」
「分かったっぽい」
(大鳳、すまん。今度埋め合わせはするから許せ……)
「んーと、んーと……」
「ん? どうした夕立、何を悩んでるんだ?」
「――提督さんは、お日様っぽい」
夕立は提督の服を掴みながら、顔を見上げる。いつもの無邪気さは成りを潜めており、少し大人びた顔をしていた。
「何で俺がお日様っぽいんだ?」
「一緒に居るとね、胸の奥の方が暖かいの。それにね、提督さんが居ると皆笑顔になるの」
「……そっか、ありがとな、夕立」
「? 提督さんがお礼を夕立に言うのはおかしいっぽい?」
「いいんだよ、言いたいんだから」
「変な提督さん」
「変とか言うとギュッとしてやらんぞ?」
「それはひどいっぽい! おーぼーっぽい!」
(頬を膨らませて怒るとか、まだまだ子供っぽいな)
まだまだ幼く、少女と呼ぶのが相応しい夕立。しかし、その無邪気さ故に、提督が彼女をよりいとおしく感じているのも確かだ。
「撫でたりギュッてして欲しいっぽいー!」
「ちょっ、待て、本気で叩くな! どっちもしてやるから!」
「ホント? えへへ、提督さん大好き」
(太陽か……それなら俺より、夕立の方が似合うと思うんだがな)
胸に頭を擦り付けている夕立の頭を撫でながら、提督はそんなことを考えるのだった。
――――二人とも、私を置いて逃げるなんて酷いわ!
――――夕立は提督さんに従っただけっぽい?
――――(意外に元気そうだな)
「はぁ、はぁ……ふぅー……夕立、良い子だからあの部屋で見たモノは忘れろ。アレは加賀の数少ない趣味だから」
「分かったっぽい」
(大鳳、すまん。今度埋め合わせはするから許せ……)
「んーと、んーと……」
「ん? どうした夕立、何を悩んでるんだ?」
「――提督さんは、お日様っぽい」
夕立は提督の服を掴みながら、顔を見上げる。いつもの無邪気さは成りを潜めており、少し大人びた顔をしていた。
「何で俺がお日様っぽいんだ?」
「一緒に居るとね、胸の奥の方が暖かいの。それにね、提督さんが居ると皆笑顔になるの」
「……そっか、ありがとな、夕立」
「? 提督さんがお礼を夕立に言うのはおかしいっぽい?」
「いいんだよ、言いたいんだから」
「変な提督さん」
「変とか言うとギュッとしてやらんぞ?」
「それはひどいっぽい! おーぼーっぽい!」
(頬を膨らませて怒るとか、まだまだ子供っぽいな)
まだまだ幼く、少女と呼ぶのが相応しい夕立。しかし、その無邪気さ故に、提督が彼女をよりいとおしく感じているのも確かだ。
「撫でたりギュッてして欲しいっぽいー!」
「ちょっ、待て、本気で叩くな! どっちもしてやるから!」
「ホント? えへへ、提督さん大好き」
(太陽か……それなら俺より、夕立の方が似合うと思うんだがな)
胸に頭を擦り付けている夕立の頭を撫でながら、提督はそんなことを考えるのだった。
――――二人とも、私を置いて逃げるなんて酷いわ!
――――夕立は提督さんに従っただけっぽい?
――――(意外に元気そうだな)
767: 2014/07/12(土) 11:27:58.08 ID:nJpOTjaqO
・那珂『生ライブ? テレビ放送?』、投下します
遅くなった上にライブ要素少なくてすいません……
遅くなった上にライブ要素少なくてすいません……
768: 2014/07/12(土) 11:29:46.39 ID:nJpOTjaqO
――――提督執務室。
「提督! ビッグニュースビッグニュース!」
「お前ちょっとは自分の声量考えろ。耳がキンキンする……」
「そんなことより凄いんだよ! 那珂ちゃんのライブが生中継されるんだよ!」
「もう知ってる。ここの最高責任者である俺が知らないとでも思ったか?」
「あっ、加賀さんが基本的に取り仕切ってるから忘れてた」
「人をお飾りみたいに言うな。で、それだけ言いに来たなら帰れ」
「もう、分かってるク・セ・に。今日は那珂ちゃんが提督だけのアイドルになる日だよ、きゃはっ」
「……疲れるから今日はアイドル引退してみないか?」
「そんなことしたら那珂ちゃんのアイデンティティーが崩壊しちゃうよ!?」
「提督! ビッグニュースビッグニュース!」
「お前ちょっとは自分の声量考えろ。耳がキンキンする……」
「そんなことより凄いんだよ! 那珂ちゃんのライブが生中継されるんだよ!」
「もう知ってる。ここの最高責任者である俺が知らないとでも思ったか?」
「あっ、加賀さんが基本的に取り仕切ってるから忘れてた」
「人をお飾りみたいに言うな。で、それだけ言いに来たなら帰れ」
「もう、分かってるク・セ・に。今日は那珂ちゃんが提督だけのアイドルになる日だよ、きゃはっ」
「……疲れるから今日はアイドル引退してみないか?」
「そんなことしたら那珂ちゃんのアイデンティティーが崩壊しちゃうよ!?」
769: 2014/07/12(土) 11:30:48.12 ID:nJpOTjaqO
――――ライブステージ。
「皆ー! 今日も来てくれてありがとー!」
――今日も可愛いよー!
――神通ちゃんはー?
――川内ちゃんは今日出るのー?
「二人は今日ちょっと色々忙しいから難しいかなー?」
――那珂ちゃんだけとか失望しました、那珂ちゃんのファン辞めます!
「那珂ちゃんのライブなのに!?」
――嘘だよー! 那珂ちゃん最高ー!
「ありがとー! でねでね、今日は何とねーテレビ中継が来てるんだよー!」
――ホントだ、撮影機材あるじゃん。
――那珂ちゃん生ライブ中継おめでとー!
「これも皆の応援のお陰だよ、ありがとー! それと、今日はまだ後もう一つ知って欲しい事があるの」
一般観客席とは少し離れた位置にあるVIP席。そこに座る人物が那珂の合図と共に、巨大なスクリーンへと映し出された。
「ライブを見てくれてる皆ー! この人が那珂ちゃんの提督だよー!」
(こんな演出あるなんて俺は聞いてないぞ!?)
鳩が豆鉄砲を喰らったような顔で、スクリーンに映る提督。かなり間抜けだ。
「提督に酷いことする人はー那珂ちゃん許さないぞー?」
(そんな大々的にアピールされたら街中で刺されそうで怖いんだがなぁ……)
――羨ましいぞこの野郎ー!
――爆発しなくていいから那珂ちゃん大事にしろー!
多少の妬みはあるものの、提督への声援が飛び交う。最初から理解してこの場にいる者しか居らず、彼に何かすれば那珂が悲しむと正常に判断できているからだ。
「じゃあ那珂ちゃんのファン第一号の紹介も終わったところで、一曲目いっくよー! 『艦娘だって恋がしたい!』」
(ファン第一号とかやめろぉぉぉぉっ!?)
「皆ー! 今日も来てくれてありがとー!」
――今日も可愛いよー!
――神通ちゃんはー?
――川内ちゃんは今日出るのー?
「二人は今日ちょっと色々忙しいから難しいかなー?」
――那珂ちゃんだけとか失望しました、那珂ちゃんのファン辞めます!
「那珂ちゃんのライブなのに!?」
――嘘だよー! 那珂ちゃん最高ー!
「ありがとー! でねでね、今日は何とねーテレビ中継が来てるんだよー!」
――ホントだ、撮影機材あるじゃん。
――那珂ちゃん生ライブ中継おめでとー!
「これも皆の応援のお陰だよ、ありがとー! それと、今日はまだ後もう一つ知って欲しい事があるの」
一般観客席とは少し離れた位置にあるVIP席。そこに座る人物が那珂の合図と共に、巨大なスクリーンへと映し出された。
「ライブを見てくれてる皆ー! この人が那珂ちゃんの提督だよー!」
(こんな演出あるなんて俺は聞いてないぞ!?)
鳩が豆鉄砲を喰らったような顔で、スクリーンに映る提督。かなり間抜けだ。
「提督に酷いことする人はー那珂ちゃん許さないぞー?」
(そんな大々的にアピールされたら街中で刺されそうで怖いんだがなぁ……)
――羨ましいぞこの野郎ー!
――爆発しなくていいから那珂ちゃん大事にしろー!
多少の妬みはあるものの、提督への声援が飛び交う。最初から理解してこの場にいる者しか居らず、彼に何かすれば那珂が悲しむと正常に判断できているからだ。
「じゃあ那珂ちゃんのファン第一号の紹介も終わったところで、一曲目いっくよー! 『艦娘だって恋がしたい!』」
(ファン第一号とかやめろぉぉぉぉっ!?)
770: 2014/07/12(土) 11:32:17.92 ID:nJpOTjaqO
――――ライブ中。
(俺、提督だったはずだよなぁ……)
「皆ー! まだまだ行くよー!」
「おー!」
――おー!
「次の曲は『シスターズ』だよ! お姉ちゃん達ステージに来てー!」
最初に出ないようなトークがあったが、テレビ局からの要望で急遽出るハメになり、二人がステージに上がる。
(会場の熱気が更に増したな、アイツ等もやっぱり人気あるのか……)
「夜戦忍者参上ー!」
「よろしくお願いします」
挨拶もそこそこに、曲が流れ始める。
三人同時にステージに上がるのはこの曲だけであり、会場も大いに盛り上がる。
(流石だ、息ピッタリだな)
「川内お姉ちゃん、神通お姉ちゃん!」
「任せて!」
「行きます!」
照明の落ちた暗いステージ上。
唯一の光源である神通の探照灯の光の中で、川内と那珂がダンスを披露する。
(……ライブステージの拡張、考えんといかんな)
新しい生き方をしっかりと見付けた三人。その輝く笑顔を見ながら、提督は明石へ頼む拡張工事の計画書を頭の中で組み立てるのだった。
――――次は二千人入るからな。
――――ホントに!? 提督ありがとー!
――――だから声のデカさを考えろ!
(俺、提督だったはずだよなぁ……)
「皆ー! まだまだ行くよー!」
「おー!」
――おー!
「次の曲は『シスターズ』だよ! お姉ちゃん達ステージに来てー!」
最初に出ないようなトークがあったが、テレビ局からの要望で急遽出るハメになり、二人がステージに上がる。
(会場の熱気が更に増したな、アイツ等もやっぱり人気あるのか……)
「夜戦忍者参上ー!」
「よろしくお願いします」
挨拶もそこそこに、曲が流れ始める。
三人同時にステージに上がるのはこの曲だけであり、会場も大いに盛り上がる。
(流石だ、息ピッタリだな)
「川内お姉ちゃん、神通お姉ちゃん!」
「任せて!」
「行きます!」
照明の落ちた暗いステージ上。
唯一の光源である神通の探照灯の光の中で、川内と那珂がダンスを披露する。
(……ライブステージの拡張、考えんといかんな)
新しい生き方をしっかりと見付けた三人。その輝く笑顔を見ながら、提督は明石へ頼む拡張工事の計画書を頭の中で組み立てるのだった。
――――次は二千人入るからな。
――――ホントに!? 提督ありがとー!
――――だから声のデカさを考えろ!
771: 2014/07/12(土) 12:32:19.56 ID:ibY6TAvIO
飛鷹『短冊にかける願い』、投下します
772: 2014/07/12(土) 12:33:06.88 ID:S5gMUgkN0
――――鎮守府中庭。
「短冊か……何を書いていいものやら」
「別に悩まなくても、提督の願いをそのまま書けばいいじゃない」
「そういう飛鷹はどうなんだよ、書くこと決まってんのか?」
「私はとっくに決まってるわ」
「教えろ」
「自己紹介の時に出雲丸って二度と言い間違えませんように」
「それ、短冊に書く願い事か……?」
「何を書こうと私の勝手でしょ、文句ある?」
「もっと美味い酒が飲みたいとか、もっと宴会したいとか、色々あるだろ」
「隼鷹も私も、そんなこと短冊に願ったりしないわよ」
「さっきのも大概だとは思うがな」
「私のを気にする暇があったら、提督は自分の短冊に何を書くか早く考えたらどう?」
「……実は決めてるんだが、あまりお前等に見られたくない」
「へぇー、書いたら見せて」
「お前人の話聞いてたか?」
「聞いてたわよ? でも、どうせ皆提督のはチェックするし、隠しても意味ないって」
「はぁ……分かったよ。その代わり、俺もお前等の見ていいってことだよな?」
「乙女の秘密覗き見るとか最低ね」
「提督だからいいんだよ」
「それ、どんな理屈よ……」
「――よし、書けた」
「スOベな事とか書いてないわよね?」
「そんなもん短冊に飾れるかアホ! 見たきゃ勝手に見ろ」
(‘全員が幸せでいられますように’、か……。提督らしいわね)
「見たら返せ、飾るついでに全員のを見てくる」
「はいはい、行ってらっしゃい」
(私のは後から飾るし、これなら見られなくて済むわね)
――――‘提督の願いが叶いますように’。
「短冊か……何を書いていいものやら」
「別に悩まなくても、提督の願いをそのまま書けばいいじゃない」
「そういう飛鷹はどうなんだよ、書くこと決まってんのか?」
「私はとっくに決まってるわ」
「教えろ」
「自己紹介の時に出雲丸って二度と言い間違えませんように」
「それ、短冊に書く願い事か……?」
「何を書こうと私の勝手でしょ、文句ある?」
「もっと美味い酒が飲みたいとか、もっと宴会したいとか、色々あるだろ」
「隼鷹も私も、そんなこと短冊に願ったりしないわよ」
「さっきのも大概だとは思うがな」
「私のを気にする暇があったら、提督は自分の短冊に何を書くか早く考えたらどう?」
「……実は決めてるんだが、あまりお前等に見られたくない」
「へぇー、書いたら見せて」
「お前人の話聞いてたか?」
「聞いてたわよ? でも、どうせ皆提督のはチェックするし、隠しても意味ないって」
「はぁ……分かったよ。その代わり、俺もお前等の見ていいってことだよな?」
「乙女の秘密覗き見るとか最低ね」
「提督だからいいんだよ」
「それ、どんな理屈よ……」
「――よし、書けた」
「スOベな事とか書いてないわよね?」
「そんなもん短冊に飾れるかアホ! 見たきゃ勝手に見ろ」
(‘全員が幸せでいられますように’、か……。提督らしいわね)
「見たら返せ、飾るついでに全員のを見てくる」
「はいはい、行ってらっしゃい」
(私のは後から飾るし、これなら見られなくて済むわね)
――――‘提督の願いが叶いますように’。
776: 2014/07/13(日) 03:26:21.89 ID:38ozNYD+O
・メカ夕張『私が秘書艦?』、投下します
777: 2014/07/13(日) 03:30:11.54 ID:38ozNYD+O
――――提督執務室。
「おはよう夕張」
「おはようございます、提督」
「――また実験か?」
眉間に皺を寄せ、提督は目の前に居る相手からドアへと視線を移す。しかし、一向にそれが開かれる気配はない。
「メカ夕張、夕張はどうした?」
「マスターは連日の徹夜で体調を崩し、今は自室で寝ておられます」
「……お前がここに居るのは、心配をかけさせない為か?」
「いえ、ついでだから提督と一日過ごして、データを収集してこいと仰せつかりました」
その返答を聞き、提督は執務机に顔を埋めそうな程ガックリと項垂れ、深く溜め息を吐いた。
「そんな事を頼む余裕があるなら、本当にただの寝不足なんだろうな」
「はい、明石様もそう仰っていました」
「次の秘書艦日は説教してやらんといかんな。一応秘書艦も立派な仕事だってこと、アイツ忘れてんだろ……」
提督と一日一緒に過ごすだけが、秘書艦日ではない。ちゃんと業務補佐という役割もあるのだ。
「提督は、私が仕事を補佐するのではご不満でしょうか?」
「いや、不満とかそういう訳じゃない。ただ、ちょっと段取りが狂ったからムカついただけだ」
「マスターに、ですか?」
「あぁ、せっかく人が買って来たってのに、渡すタイミング逃したんでな……」
提督の手には、綺麗に包装された箱が握られていた。中には、緑のリボンが入っている。
「――メカ夕張、そのリボンって夕張のを貰ったのか?」
「はい、マスターの物です」
「そうか、じゃあコレはお前にやる」
「よいのですか? コレはマスターへ贈る予定の物では……」
「来ない奴に渡すぐらいなら、来てる奴にやる。命令だ、受け取れ」
「――はい、了解しました」
「おはよう夕張」
「おはようございます、提督」
「――また実験か?」
眉間に皺を寄せ、提督は目の前に居る相手からドアへと視線を移す。しかし、一向にそれが開かれる気配はない。
「メカ夕張、夕張はどうした?」
「マスターは連日の徹夜で体調を崩し、今は自室で寝ておられます」
「……お前がここに居るのは、心配をかけさせない為か?」
「いえ、ついでだから提督と一日過ごして、データを収集してこいと仰せつかりました」
その返答を聞き、提督は執務机に顔を埋めそうな程ガックリと項垂れ、深く溜め息を吐いた。
「そんな事を頼む余裕があるなら、本当にただの寝不足なんだろうな」
「はい、明石様もそう仰っていました」
「次の秘書艦日は説教してやらんといかんな。一応秘書艦も立派な仕事だってこと、アイツ忘れてんだろ……」
提督と一日一緒に過ごすだけが、秘書艦日ではない。ちゃんと業務補佐という役割もあるのだ。
「提督は、私が仕事を補佐するのではご不満でしょうか?」
「いや、不満とかそういう訳じゃない。ただ、ちょっと段取りが狂ったからムカついただけだ」
「マスターに、ですか?」
「あぁ、せっかく人が買って来たってのに、渡すタイミング逃したんでな……」
提督の手には、綺麗に包装された箱が握られていた。中には、緑のリボンが入っている。
「――メカ夕張、そのリボンって夕張のを貰ったのか?」
「はい、マスターの物です」
「そうか、じゃあコレはお前にやる」
「よいのですか? コレはマスターへ贈る予定の物では……」
「来ない奴に渡すぐらいなら、来てる奴にやる。命令だ、受け取れ」
「――はい、了解しました」
778: 2014/07/13(日) 03:31:36.38 ID:38ozNYD+O
――――翌日、工厰。
「どうだった?」
「提督の事はよく分かりませんでした……。ただ、不明なバグのようなものが、胸の機関部に発生しています」
「へー……じゃあ、徹夜でメンテナンスした甲斐はあったわね」
「このバグは、メンテナンスに何処か不備があったからなのでは?」
「ううん、そうじゃないわ。むしろ成功の証だわ」
「よく分かりませんが、おめでとうございます、マスター」
――――乙女回路なんて、本当に出来ちゃうものなのね。
「どうだった?」
「提督の事はよく分かりませんでした……。ただ、不明なバグのようなものが、胸の機関部に発生しています」
「へー……じゃあ、徹夜でメンテナンスした甲斐はあったわね」
「このバグは、メンテナンスに何処か不備があったからなのでは?」
「ううん、そうじゃないわ。むしろ成功の証だわ」
「よく分かりませんが、おめでとうございます、マスター」
――――乙女回路なんて、本当に出来ちゃうものなのね。
790: 2014/07/14(月) 08:28:07.85 ID:0ZAjRSSAO
・青葉『青葉のカモフラージュは完璧です!』、投下します
791: 2014/07/14(月) 08:28:35.16 ID:ADx9lknA0
――――深夜、街中。
(これで準備はバッチリですね)
歩道と車道を隔てる生け垣の中で、青葉は張り込みの準備を終える。
夜明けにもまだ少し早く、辺りは静寂に包まれていた。
(こうしてると、昔の作戦を思い出しちゃいます)
服と肌が露出している部分を全て迷彩模様に塗り、更にその上から枝や葉で装飾。
パッと見ただけでは、そこに青葉が居ることなど分かろうはずもない。
(ではでは少し仮眠を取って、来るべき時に備えましょう)
体育座りのような体勢で、彼女は浅い眠りについた。目的の人物が現れるであろう時間は昼だ。
――――昼、同場所。
(事前リサーチが確かならば、今日現れるはずなんですが……)
ジッと息を潜め、自分が生け垣に居ると悟られないよう、細心の注意を払う。
待っているのは警戒心の塊のような人物の為、他の誰かにバレた時点で作戦は失敗となる。
(あの噂が本当だとすると、取材のしがいがありそうですねぇ)
青葉がこれだけの事をする値打ちのあるスクープの対象というと、自然と候補が絞られてくる。
(――来た来た、来ましたよ!)
「……」
普段と変わらぬ表情で、周囲を注意深く観察しながら歩く、私服姿の最強の正規空母。
髪を下し多少印象は変わっているが、それは間違いなく彼女の待っていた目的の人物だ。
(……)
距離はおよそ二十メートル、気付かれればお仕置きコースは避けられない。
青葉は額から頬へと嫌な汗が伝うのを感じ、生唾を飲み込む。そして、その緊張から解放される瞬間が遂に訪れた。
(――よし、店に入りました!)
写真にその様子を収め、突入するタイミングを見計らう。
加賀が店に入って三分後、意を決して彼女はその店の中へと飛び込んでいくのだった。
「ども、恐縮です、青葉です。加賀さんの御趣味についての取材申請に来ました!」
「……貴女の事ですから、ここで口を封じても既に写真のデータなどはどこかへ送ってあるのでしょうね」
「ご理解がお早くて助かります。でも、青葉は皆さんに加賀さんの可愛い一面を知ってもらいたいだけで、脅す気はこれっぽっちもありませんよ?」
「――そう、ならそこまで完璧にカモフラージュした努力に免じて、取材に協力してあげるわ」
「ありがとうございます!」
――――ぷちねんどろいど、お好きなんですねー。
――――集めて並べていると、気分が高揚します。
(これで準備はバッチリですね)
歩道と車道を隔てる生け垣の中で、青葉は張り込みの準備を終える。
夜明けにもまだ少し早く、辺りは静寂に包まれていた。
(こうしてると、昔の作戦を思い出しちゃいます)
服と肌が露出している部分を全て迷彩模様に塗り、更にその上から枝や葉で装飾。
パッと見ただけでは、そこに青葉が居ることなど分かろうはずもない。
(ではでは少し仮眠を取って、来るべき時に備えましょう)
体育座りのような体勢で、彼女は浅い眠りについた。目的の人物が現れるであろう時間は昼だ。
――――昼、同場所。
(事前リサーチが確かならば、今日現れるはずなんですが……)
ジッと息を潜め、自分が生け垣に居ると悟られないよう、細心の注意を払う。
待っているのは警戒心の塊のような人物の為、他の誰かにバレた時点で作戦は失敗となる。
(あの噂が本当だとすると、取材のしがいがありそうですねぇ)
青葉がこれだけの事をする値打ちのあるスクープの対象というと、自然と候補が絞られてくる。
(――来た来た、来ましたよ!)
「……」
普段と変わらぬ表情で、周囲を注意深く観察しながら歩く、私服姿の最強の正規空母。
髪を下し多少印象は変わっているが、それは間違いなく彼女の待っていた目的の人物だ。
(……)
距離はおよそ二十メートル、気付かれればお仕置きコースは避けられない。
青葉は額から頬へと嫌な汗が伝うのを感じ、生唾を飲み込む。そして、その緊張から解放される瞬間が遂に訪れた。
(――よし、店に入りました!)
写真にその様子を収め、突入するタイミングを見計らう。
加賀が店に入って三分後、意を決して彼女はその店の中へと飛び込んでいくのだった。
「ども、恐縮です、青葉です。加賀さんの御趣味についての取材申請に来ました!」
「……貴女の事ですから、ここで口を封じても既に写真のデータなどはどこかへ送ってあるのでしょうね」
「ご理解がお早くて助かります。でも、青葉は皆さんに加賀さんの可愛い一面を知ってもらいたいだけで、脅す気はこれっぽっちもありませんよ?」
「――そう、ならそこまで完璧にカモフラージュした努力に免じて、取材に協力してあげるわ」
「ありがとうございます!」
――――ぷちねんどろいど、お好きなんですねー。
――――集めて並べていると、気分が高揚します。
794: 2014/07/15(火) 10:30:09.20 ID:9/tiIpi2O
・第六駆逐隊『流れるプール』、投下します
暁は黒のセパレート
響は白のモノキニにパレオ
雷はトップがビキニタイプで下はホットパンツ
電はビキニにシャツ
暁は黒のセパレート
響は白のモノキニにパレオ
雷はトップがビキニタイプで下はホットパンツ
電はビキニにシャツ
795: 2014/07/15(火) 10:31:05.51 ID:mKlivWrN0
――――プール。
「いーい? 三人とも、ちゃんと暁からはぐれないようにするのよ?」
「了解。飛び込み台へ行ってくる」
「ちょっと泳いできまーす」
「ウォータースライダーに行ってくるのです」
「ちょっと! いきなりバラバラに行動しないでよ!」
「冗談だよ」
「暁を置いて行くわけないじゃない」
「一緒に回るのです」
「べ、別に一人だと寂しいとか思ってないんだから……」
(自分から暴露してるね)
(暁には私がついていてあげないとダメね)
(四人でプール、いっぱい遊ぶのです!)
――――飛び込み台。
(ここここ怖くなんてななななないんだから!)
――暁、怖かったら降りてきてもいいよ。
――そうよ、失敗したらケガしちゃうわ!
――意地を張っちゃダメですよ?
「ひ、響が飛び込めたんだから暁だって!」
五分後、降りれなくなり係員に下まで連れてきてもらいました。
――――ウォータースライダー。
「電、二人でアレに乗って滑ろう」
「はいなのです」
「暁は私と乗りましょ」
「一人前のレディーは一人でも大丈夫だけど、雷がそう言うならそうするわ」
――――滑降中。
(いい感じだな、嫌いじゃない)
(とっても楽しいのです!)
(後ろから悲鳴が聞こえたけど、大丈夫なのかしら……)
(早く下に着いてー!)
――――流れるプール。
「少しここでゆっくりしよう」
「プカプカ浮いているだけでも楽しいのです」
「――アレ? 暁は?」
「……流されているうちに、どうやらはぐれたみたいだ」
「三人ともどこよぉ……暁を一人にしないでよぉ……」
「いーい? 三人とも、ちゃんと暁からはぐれないようにするのよ?」
「了解。飛び込み台へ行ってくる」
「ちょっと泳いできまーす」
「ウォータースライダーに行ってくるのです」
「ちょっと! いきなりバラバラに行動しないでよ!」
「冗談だよ」
「暁を置いて行くわけないじゃない」
「一緒に回るのです」
「べ、別に一人だと寂しいとか思ってないんだから……」
(自分から暴露してるね)
(暁には私がついていてあげないとダメね)
(四人でプール、いっぱい遊ぶのです!)
――――飛び込み台。
(ここここ怖くなんてななななないんだから!)
――暁、怖かったら降りてきてもいいよ。
――そうよ、失敗したらケガしちゃうわ!
――意地を張っちゃダメですよ?
「ひ、響が飛び込めたんだから暁だって!」
五分後、降りれなくなり係員に下まで連れてきてもらいました。
――――ウォータースライダー。
「電、二人でアレに乗って滑ろう」
「はいなのです」
「暁は私と乗りましょ」
「一人前のレディーは一人でも大丈夫だけど、雷がそう言うならそうするわ」
――――滑降中。
(いい感じだな、嫌いじゃない)
(とっても楽しいのです!)
(後ろから悲鳴が聞こえたけど、大丈夫なのかしら……)
(早く下に着いてー!)
――――流れるプール。
「少しここでゆっくりしよう」
「プカプカ浮いているだけでも楽しいのです」
「――アレ? 暁は?」
「……流されているうちに、どうやらはぐれたみたいだ」
「三人ともどこよぉ……暁を一人にしないでよぉ……」
796: 2014/07/15(火) 10:35:35.68 ID:mKlivWrN0
十二時から五つだけリクエスト受け付けます
更新速度がかなり遅くなってしまっていますが、続けてはいきます
更新速度がかなり遅くなってしまっていますが、続けてはいきます
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