901: 2014/07/24(木) 22:18:47.56 ID:k2ckvLOxO
902: 2014/07/24(木) 22:20:00.78 ID:k2ckvLOxO
――――島風&天津風、私室。
「天津風、連装砲くんピカピカだね」
「連装砲ちゃんも綺麗になったじゃない」
「喜んでくれてるかな?」
「えぇ、きっと喜んでくれてるわ」
「連装砲ちゃんは、私の最初のお友達。ずーっと一緒に居たお友達」
「連装砲くんは、私の大切なパートナーだった」
「お話しは出来なかったけど、いつも一緒に遊んでくれた」
「島風と喧嘩して落ち込んでたら、励ましてくれた」
「連装砲ちゃんは、幸せだったのかな?」
「幸せだったに決まってるじゃない」
「……そうだね」
「さぁ、行きましょうか。今日もかけっこのコーチするんでしょ?」
「最近は教える子が増えて大変だよ……」
「全国大会に出た子が恩師に島風の名前を出しちゃったんだもの、それも仕方無いわ」
「私は誰かに教えるより自分が走りたいよー天津風ー」
「はいはい、また長良さんと私が付き合ってあげるから」
「やったー! 天津風大好きー!」
「全く……こんなに大きくなっても島風は子供ね。連装砲ちゃんに笑われるわよ?」
「天津風より胸大きいもん」
「しぃまぁかぁぜぇ?」
「あはははは」
「コラ、待ちなさーい!」
――終戦から十数年。世界は未だに平和を保てていた。
――艦娘達の兵装は使われることもなく、一部を残して廃棄、もしくは博物館に飾られることとなった。
――そして、連装砲ちゃんと連装砲くんもまた、役目はもう終わったと告げるように、ある日突然動くことを止めた。
――彼等は今、子供達が元気に走り回る鎮守府の遊技場を見守るように、並んでひっそりと佇んでいる。
――――連装砲ちゃん、今日も世界は平和だよ。
――――明日も、明後日も、きっと平和。
――――だから、ゆっくり休んでね。
――――お休み、連装砲ちゃん、連装砲くん。
「天津風、連装砲くんピカピカだね」
「連装砲ちゃんも綺麗になったじゃない」
「喜んでくれてるかな?」
「えぇ、きっと喜んでくれてるわ」
「連装砲ちゃんは、私の最初のお友達。ずーっと一緒に居たお友達」
「連装砲くんは、私の大切なパートナーだった」
「お話しは出来なかったけど、いつも一緒に遊んでくれた」
「島風と喧嘩して落ち込んでたら、励ましてくれた」
「連装砲ちゃんは、幸せだったのかな?」
「幸せだったに決まってるじゃない」
「……そうだね」
「さぁ、行きましょうか。今日もかけっこのコーチするんでしょ?」
「最近は教える子が増えて大変だよ……」
「全国大会に出た子が恩師に島風の名前を出しちゃったんだもの、それも仕方無いわ」
「私は誰かに教えるより自分が走りたいよー天津風ー」
「はいはい、また長良さんと私が付き合ってあげるから」
「やったー! 天津風大好きー!」
「全く……こんなに大きくなっても島風は子供ね。連装砲ちゃんに笑われるわよ?」
「天津風より胸大きいもん」
「しぃまぁかぁぜぇ?」
「あはははは」
「コラ、待ちなさーい!」
――終戦から十数年。世界は未だに平和を保てていた。
――艦娘達の兵装は使われることもなく、一部を残して廃棄、もしくは博物館に飾られることとなった。
――そして、連装砲ちゃんと連装砲くんもまた、役目はもう終わったと告げるように、ある日突然動くことを止めた。
――彼等は今、子供達が元気に走り回る鎮守府の遊技場を見守るように、並んでひっそりと佇んでいる。
――――連装砲ちゃん、今日も世界は平和だよ。
――――明日も、明後日も、きっと平和。
――――だから、ゆっくり休んでね。
――――お休み、連装砲ちゃん、連装砲くん。
912: 2014/07/24(木) 23:00:20.59 ID:k2ckvLOxO
すいません、いちゃラブコメにまとめて長めにします
・赤城『提督と鎮守府脱走』
・提督『大鯨が発注量間違えた』
・天龍田『些細で大きなすれ違い』
・暁『レディー修行から帰ってきたわ!』
・由良『暑い……』
以上五本でお送りします
食べなきゃ戦えないから食べるのはいいことなんです
・赤城『提督と鎮守府脱走』
・提督『大鯨が発注量間違えた』
・天龍田『些細で大きなすれ違い』
・暁『レディー修行から帰ってきたわ!』
・由良『暑い……』
以上五本でお送りします
食べなきゃ戦えないから食べるのはいいことなんです
925: 2014/07/26(土) 07:09:28.53 ID:hEaA7AqHO
・赤城『提督と鎮守府脱走』、投下します
926: 2014/07/26(土) 07:09:54.40 ID:hEaA7AqHO
――――提督執務室。
「提督、今日は――?」
秘書艦日を心待ちにしていた加賀。彼女が執務室に入ると、何時もは必ず出迎えてくれる提督の姿がない。
(まだ部屋で寝ている……? いえ、そんなはずはないわ)
前日の秘書艦である大鳳と、加賀は廊下ですれ違っている。つまり、提督も起きているということだ。
(御手洗いかしら……ん?)
執務机の上に置かれた手紙らしき紙に気付き、彼女はそれを手に取る。
「“加賀、提督を今日は借りますね。返して欲しかったら私のクレジットカードを返して下さい”……ふふ、犯人は赤城さんですか」
『全艦娘に通達。提督を赤城さんが拉致しました。捕らえた者には幼少時代の提督のアルバムの閲覧を許可します。必ず私の前に彼女を連れてきなさい、以上』
「提督、今日は――?」
秘書艦日を心待ちにしていた加賀。彼女が執務室に入ると、何時もは必ず出迎えてくれる提督の姿がない。
(まだ部屋で寝ている……? いえ、そんなはずはないわ)
前日の秘書艦である大鳳と、加賀は廊下ですれ違っている。つまり、提督も起きているということだ。
(御手洗いかしら……ん?)
執務机の上に置かれた手紙らしき紙に気付き、彼女はそれを手に取る。
「“加賀、提督を今日は借りますね。返して欲しかったら私のクレジットカードを返して下さい”……ふふ、犯人は赤城さんですか」
『全艦娘に通達。提督を赤城さんが拉致しました。捕らえた者には幼少時代の提督のアルバムの閲覧を許可します。必ず私の前に彼女を連れてきなさい、以上』
927: 2014/07/26(土) 07:10:21.50 ID:hEaA7AqHO
――――街。
「赤城、今すぐ戻れ」
「嫌です。コレは加賀が私のクレジットカードを没収したお返しなんですから」
「個人的な恨みなら俺を巻き込むのはやめろ、後で俺まで何されるか分かったもんじゃない……」
提督と腕を組みながら、引っ張るように歩く赤城。
加賀のお仕置きを平然と耐えられる彼女と違い、別の意味で後が怖い彼は、気が気ではない。
「大体、毎度毎度鎮守府を抜け出しては食べまくって帰ってくるお前が悪いんだろ」
「食べねば戦えませんよ?」
「何と戦ってるんだお前は……」
「それは秘密です」
笑って誤魔化す赤城。加賀が無表情ならば、赤城は感情表現が豊か故に真意を掴ませないタイプだ。
「お前と加賀って、色合い逆だよな」
「色合いですか?」
「赤城は理性的で、加賀は感情的だろ。赤と青のイメージからしたら逆だ」
「食欲に忠実だとは良く言われますが、理性的と言われたことはありませんね」
「お前が本気で怒ったところを、俺は見たことないぞ」
「提督の前では怒らないだけです。怒ると赤城さんは怖いです、と加賀に昔言われましたので」
(加賀が怖いと感じるって、何やったんだ……?)
鳳翔以外で加賀に怖いと言わせるものがあったことに、提督は驚く。
彼女がそう言うということはつまり、赤城を怒らせてはいけないということだ。
「そんなことより、せっかく街に出たんですからデートしましょうか」
「そろそろ鎮守府に――」
「最近良く出歩くので、提督に予備の靴を見繕って欲しいです」
「おい、ちょっとは人の話を聞け」
「――私とデートは、嫌ですか?」
「……俺は拉致されただけだからな、加賀にはちゃんとそう言え」
「提督が無理矢理私の事を連れ出して……」
「リアルに氏ぬからやめろ」
「冗談です。提督はちゃんと私が守りますから」
「最初から連れ出されなければ、至極安全だったと思うんだが」
「じゃあ――」
――ちゅっ。
「今日一日付き合って頂くお礼です。足りないでしょうか?」
「……靴でいいんだな?」
「はい、後出来れば洋服も」
「食べ物は今日は良いのか?」
「今日は食べ歩きがしたいわけではないので」
「明日は槍でも降るかもしれんな」
「そういうことを言うとグラビアに出ますよ?」
「俺が許可する訳無いだろ」
「独占欲ですか?」
「黙れ食欲魔神」
「赤城、今すぐ戻れ」
「嫌です。コレは加賀が私のクレジットカードを没収したお返しなんですから」
「個人的な恨みなら俺を巻き込むのはやめろ、後で俺まで何されるか分かったもんじゃない……」
提督と腕を組みながら、引っ張るように歩く赤城。
加賀のお仕置きを平然と耐えられる彼女と違い、別の意味で後が怖い彼は、気が気ではない。
「大体、毎度毎度鎮守府を抜け出しては食べまくって帰ってくるお前が悪いんだろ」
「食べねば戦えませんよ?」
「何と戦ってるんだお前は……」
「それは秘密です」
笑って誤魔化す赤城。加賀が無表情ならば、赤城は感情表現が豊か故に真意を掴ませないタイプだ。
「お前と加賀って、色合い逆だよな」
「色合いですか?」
「赤城は理性的で、加賀は感情的だろ。赤と青のイメージからしたら逆だ」
「食欲に忠実だとは良く言われますが、理性的と言われたことはありませんね」
「お前が本気で怒ったところを、俺は見たことないぞ」
「提督の前では怒らないだけです。怒ると赤城さんは怖いです、と加賀に昔言われましたので」
(加賀が怖いと感じるって、何やったんだ……?)
鳳翔以外で加賀に怖いと言わせるものがあったことに、提督は驚く。
彼女がそう言うということはつまり、赤城を怒らせてはいけないということだ。
「そんなことより、せっかく街に出たんですからデートしましょうか」
「そろそろ鎮守府に――」
「最近良く出歩くので、提督に予備の靴を見繕って欲しいです」
「おい、ちょっとは人の話を聞け」
「――私とデートは、嫌ですか?」
「……俺は拉致されただけだからな、加賀にはちゃんとそう言え」
「提督が無理矢理私の事を連れ出して……」
「リアルに氏ぬからやめろ」
「冗談です。提督はちゃんと私が守りますから」
「最初から連れ出されなければ、至極安全だったと思うんだが」
「じゃあ――」
――ちゅっ。
「今日一日付き合って頂くお礼です。足りないでしょうか?」
「……靴でいいんだな?」
「はい、後出来れば洋服も」
「食べ物は今日は良いのか?」
「今日は食べ歩きがしたいわけではないので」
「明日は槍でも降るかもしれんな」
「そういうことを言うとグラビアに出ますよ?」
「俺が許可する訳無いだろ」
「独占欲ですか?」
「黙れ食欲魔神」
928: 2014/07/26(土) 07:10:48.75 ID:hEaA7AqHO
――――靴屋。
「草履か?」
「普通に運動靴です」
「まぁ草履はこんなところには売ってないだろうしな」
「いざというときに動きやすい靴はどれでしょうか?」
「履いてみて馴染むのが一番だろ、幅や奥行きってのはサイズだけじゃ分からん」
「そうですね、試し履きを――という時間は無さそうです」
「どういう……摩耶っ!?」
提督と赤城の視線の先には、ガラス越しに店内を覗き込んでいる摩耶。その視線が、バッチリと交差する。
――見付けたぜ、大人しくアタシに捕まりな!
「さて、逃げましょうか」
「いや、大人しく捕ま――んぅ!?」
――なっ!? おいコラ! 人が見てる前で何てことしてやがんだ!
摩耶が見ているにも関わらず、赤城は提督へとキスをする。それも、かなり濃厚なものだ。
「――コレで、共犯ですね」
「このアホ! 余計に帰りにくくなっただろ!」
「そんなことより、逃げなくてもいいんですか?」
「とりあえず、心の準備が出来るまでは逃げる。だから今は摩耶を何とかしろ」
「了解しました、提督」
言うや否や、赤城は店から飛び出していく。
――摩耶、少し寝ていて下さいね。
――そう簡単にやられるかってんだ!
――買ってきた高級プリンを愛宕に食べられて、暫く拗ねていたそうですね?
――な、何でそれを!?
――動揺しすぎです。
――あぐっ!?……クソ、が……。
(摩耶、プリン好きだったのか。今度買ってやるとしよう)
「提督、今のうちに行きましょう」
「コレ、帰ってから余計に拗れたりしないよな?」
「次は服がいいですね」
「だから無視して引っ張るのはやめろ、今更だが腕に胸が当たってるぞ」
「? 胸なんてただの脂肪ですよ?」
「アイツが聞いたら泣いて荒れるぞ、それ」
「――それは、うちのことを言ってるん?」
「草履か?」
「普通に運動靴です」
「まぁ草履はこんなところには売ってないだろうしな」
「いざというときに動きやすい靴はどれでしょうか?」
「履いてみて馴染むのが一番だろ、幅や奥行きってのはサイズだけじゃ分からん」
「そうですね、試し履きを――という時間は無さそうです」
「どういう……摩耶っ!?」
提督と赤城の視線の先には、ガラス越しに店内を覗き込んでいる摩耶。その視線が、バッチリと交差する。
――見付けたぜ、大人しくアタシに捕まりな!
「さて、逃げましょうか」
「いや、大人しく捕ま――んぅ!?」
――なっ!? おいコラ! 人が見てる前で何てことしてやがんだ!
摩耶が見ているにも関わらず、赤城は提督へとキスをする。それも、かなり濃厚なものだ。
「――コレで、共犯ですね」
「このアホ! 余計に帰りにくくなっただろ!」
「そんなことより、逃げなくてもいいんですか?」
「とりあえず、心の準備が出来るまでは逃げる。だから今は摩耶を何とかしろ」
「了解しました、提督」
言うや否や、赤城は店から飛び出していく。
――摩耶、少し寝ていて下さいね。
――そう簡単にやられるかってんだ!
――買ってきた高級プリンを愛宕に食べられて、暫く拗ねていたそうですね?
――な、何でそれを!?
――動揺しすぎです。
――あぐっ!?……クソ、が……。
(摩耶、プリン好きだったのか。今度買ってやるとしよう)
「提督、今のうちに行きましょう」
「コレ、帰ってから余計に拗れたりしないよな?」
「次は服がいいですね」
「だから無視して引っ張るのはやめろ、今更だが腕に胸が当たってるぞ」
「? 胸なんてただの脂肪ですよ?」
「アイツが聞いたら泣いて荒れるぞ、それ」
「――それは、うちのことを言ってるん?」
929: 2014/07/26(土) 07:11:14.83 ID:hEaA7AqHO
「貴女も来たんですね」
「赤城、加賀がカンカンに怒っとるよ。はよ帰らんと知らんで?」
「報酬は何です?」
「鋭いなぁ、ホンマ。――“提督の幼少時代の写真”や」
「ちょっと待て、何でそんなものをアイツが持ってやがんだ?」
「ご実家に挨拶に伺ったと加賀から聞いていましたが、知らなかったんですか?」
「聞いてねぇよ。何を勝手に挨拶なんぞしてやがんだ……」
「とにかく、キミのちっこい頃の写真はうちが貰うで! 赤城、大人しく捕まりや!」
「仕方ありません――まな板まな板まな板まな板まな板まな板まな板まな板まな板まな板まな板まな板まな板まな板まな板まな板まな板まな板まな板まな板まな板まな板まな板まな板まな板」
「そ……そないに連呼せんでもえぇやないかぁぁぁぁぁ! 赤城のアホぉぉぉぉっ!」
「……今のは流石に胸が痛んだぞ」
「龍驤は胸ばかり気にしすぎなんです。女性の価値は胸ではありませんよ」
「そう言いながら押し付けるのはやめろ」
「加賀の胸と私の胸、どちらがお好きですか?」
「俺は足と髪の方が好きだ」
「それなら、足と髪で考えて下さいね」
「……次に行くか」
「無視はいけないんじゃなかったですか?」
「命の危険がある質問に答えられるわけないだろ!」
「赤城、加賀がカンカンに怒っとるよ。はよ帰らんと知らんで?」
「報酬は何です?」
「鋭いなぁ、ホンマ。――“提督の幼少時代の写真”や」
「ちょっと待て、何でそんなものをアイツが持ってやがんだ?」
「ご実家に挨拶に伺ったと加賀から聞いていましたが、知らなかったんですか?」
「聞いてねぇよ。何を勝手に挨拶なんぞしてやがんだ……」
「とにかく、キミのちっこい頃の写真はうちが貰うで! 赤城、大人しく捕まりや!」
「仕方ありません――まな板まな板まな板まな板まな板まな板まな板まな板まな板まな板まな板まな板まな板まな板まな板まな板まな板まな板まな板まな板まな板まな板まな板まな板まな板」
「そ……そないに連呼せんでもえぇやないかぁぁぁぁぁ! 赤城のアホぉぉぉぉっ!」
「……今のは流石に胸が痛んだぞ」
「龍驤は胸ばかり気にしすぎなんです。女性の価値は胸ではありませんよ」
「そう言いながら押し付けるのはやめろ」
「加賀の胸と私の胸、どちらがお好きですか?」
「俺は足と髪の方が好きだ」
「それなら、足と髪で考えて下さいね」
「……次に行くか」
「無視はいけないんじゃなかったですか?」
「命の危険がある質問に答えられるわけないだろ!」
930: 2014/07/26(土) 07:11:47.73 ID:hEaA7AqHO
――――服屋。
「提督、選んで下さいますか?」
「そっちのサマーセーターにロングスカート」
「少し、派手ではないでしょうか」
「コレで派手ってどういうことだよ」
「あまり目立たないようにしたいので」
「お前ならどこに居ても目立つだろ。黒髪長髪で何かを食べてなきゃ清楚な美人、食べてたら……まぁ、人によっては可愛く見える」
「そう言われると、流石に気分が高揚します」
「何で加賀の真似してんだよ」
「……可愛いと言われたのは、初めてなんです」
「照れてるお前を見るのは、俺も初めてだな」
「コレからも提督の前ではたくさん食べますね」
「程々に頼む」
「――もうそろそろいいだろうか?」
「律儀に待っていてくれた事には感謝しますが、私は帰りませんよ」
「那智まで来たのか、あんな写真目当てに……」
「私は貴様の写真の為に来たんじゃない。赤城を連れ戻せと命令を受けたから来たまでだ」
「真面目ですね」
「最近の赤城は不真面目が過ぎるのではないか?」
「真面目なだけでは出来ないこともありますよ」
「ここで問答をしていても仕方無い。帰らないと言うなら無理矢理連れて帰るまでだ」
「――なぁ赤城、いい加減帰らないか?」
「……そうですね、これ以上は鎮守府の皆に迷惑がかかりそうですし、今日はこのぐらいで帰ることにします」
「そうして貰えると私も助かる」
「写真は那智の物です、良かったですね」
「あぁ――いや、別に写真はどうでもよくてだな……」
(はぁ……ようやく帰れる。加賀の怒りはどの程度なのやら)
提督、一ヶ月のお小遣いカット。赤城、一ヶ月の外出禁止が言い渡される。
なお、帰るまでに机が四つ大破した模様。
――――赤城さん、外出禁止と言ったはずですが?
――――やることがありますので、今回は二、三日ですぐに戻りますよ。
――――たまには鎮守府に居て下さい。
――――私は私の為すべきことをします。では、行ってきます。
――――……全く、困った人ですね、赤城さんは。
「提督、選んで下さいますか?」
「そっちのサマーセーターにロングスカート」
「少し、派手ではないでしょうか」
「コレで派手ってどういうことだよ」
「あまり目立たないようにしたいので」
「お前ならどこに居ても目立つだろ。黒髪長髪で何かを食べてなきゃ清楚な美人、食べてたら……まぁ、人によっては可愛く見える」
「そう言われると、流石に気分が高揚します」
「何で加賀の真似してんだよ」
「……可愛いと言われたのは、初めてなんです」
「照れてるお前を見るのは、俺も初めてだな」
「コレからも提督の前ではたくさん食べますね」
「程々に頼む」
「――もうそろそろいいだろうか?」
「律儀に待っていてくれた事には感謝しますが、私は帰りませんよ」
「那智まで来たのか、あんな写真目当てに……」
「私は貴様の写真の為に来たんじゃない。赤城を連れ戻せと命令を受けたから来たまでだ」
「真面目ですね」
「最近の赤城は不真面目が過ぎるのではないか?」
「真面目なだけでは出来ないこともありますよ」
「ここで問答をしていても仕方無い。帰らないと言うなら無理矢理連れて帰るまでだ」
「――なぁ赤城、いい加減帰らないか?」
「……そうですね、これ以上は鎮守府の皆に迷惑がかかりそうですし、今日はこのぐらいで帰ることにします」
「そうして貰えると私も助かる」
「写真は那智の物です、良かったですね」
「あぁ――いや、別に写真はどうでもよくてだな……」
(はぁ……ようやく帰れる。加賀の怒りはどの程度なのやら)
提督、一ヶ月のお小遣いカット。赤城、一ヶ月の外出禁止が言い渡される。
なお、帰るまでに机が四つ大破した模様。
――――赤城さん、外出禁止と言ったはずですが?
――――やることがありますので、今回は二、三日ですぐに戻りますよ。
――――たまには鎮守府に居て下さい。
――――私は私の為すべきことをします。では、行ってきます。
――――……全く、困った人ですね、赤城さんは。
936: 2014/07/27(日) 23:12:09.79 ID:qGnavP0TO
・提督『大鯨が発注量間違えた』、投下します
937: 2014/07/27(日) 23:12:43.33 ID:qGnavP0TO
――――食堂。
「――で、大食い対決って訳か」
「加賀は巻き込まれたって顔してるわね」
「大和と武蔵は呼ばれた理由が分かってないな」
「鳳翔は……何だか楽しそうだわ」
「赤城と間宮は当然乗り気か」
提督とこの日が秘書艦日だった大鳳は、大鯨からの連絡を受け食堂へと来ていた。
発注量を間違えてしまったから、処理する為の大食い対決を開催する。
そのような発想をする辺り、間宮もこういう催しをするのが嫌いではないということだ。
「赤城だけで良かったんじゃないか?」
「面白そうだから対決にしましょうって、鳳翔さんが言い出したみたいです」
(加賀が拒否出来なかったのはそれが理由か……)
「さぁさぁ賭けるならまだ間に合うで! 赤城と加賀が勝つか、大和と武蔵が勝つか、一口1間宮アイスや!」
「見物客は大半が駆逐艦と……長門か」
「浦風保護してきます」
「大丈夫だろ、文月と陽炎が相手してるし」
――料理対決、コレより開始します。
「――で、大食い対決って訳か」
「加賀は巻き込まれたって顔してるわね」
「大和と武蔵は呼ばれた理由が分かってないな」
「鳳翔は……何だか楽しそうだわ」
「赤城と間宮は当然乗り気か」
提督とこの日が秘書艦日だった大鳳は、大鯨からの連絡を受け食堂へと来ていた。
発注量を間違えてしまったから、処理する為の大食い対決を開催する。
そのような発想をする辺り、間宮もこういう催しをするのが嫌いではないということだ。
「赤城だけで良かったんじゃないか?」
「面白そうだから対決にしましょうって、鳳翔さんが言い出したみたいです」
(加賀が拒否出来なかったのはそれが理由か……)
「さぁさぁ賭けるならまだ間に合うで! 赤城と加賀が勝つか、大和と武蔵が勝つか、一口1間宮アイスや!」
「見物客は大半が駆逐艦と……長門か」
「浦風保護してきます」
「大丈夫だろ、文月と陽炎が相手してるし」
――料理対決、コレより開始します。
938: 2014/07/27(日) 23:13:14.71 ID:qGnavP0TO
「豚カツですか……」
「下処理がしっかりとされていて、油もしつこくないですね――お代わり」
「武蔵、どうしたんですか?」
「……揚げ立て、か」
加賀は普通のペースで、赤城はいつものペースで、大和は一口一口ゆっくりと、武蔵は少し冷ましながら食べ進めていく。
大鯨が間違えたのは肉の発注。豚カツはまだまだ最初の小手調べに過ぎない。
三皿分を早々に完食した赤城の前には、別のメニューが運ばれてきた。
「チキン南蛮丼です」
「鶏の下拵えは間宮さんで、タルタルソースは私が作りました」
「良い匂いですね、では早速いただきます」
(赤城さん一人でやはり良かったのでは……)
「加賀、しっかり食べて下さいね?」
「……はい」
加賀も三皿目に手をつけ始め、黙々と食べ進めていく。赤城が速すぎるだけで、彼女も十分に速い。
「美味しいですね」
「味は当然申し分ない。しかし、熱いな……」
「武蔵が猫舌だったなんて、今まで知らなかったです」
「誰しも苦手なものの一つや二つあるものだ」
大和と武蔵は、ようやく二皿目に手をつけ始める。
ゆっくりと食べる大和と、冷ましながら食べている武蔵では、速度的な面において一航戦の二人に勝ち目は無い。
「こりゃ勝負にならないんじゃないか?」
「早食い対決ではないですし、最後に多く食べていれば――」
「お代わりお願いします」
「……一対三にした方が良かったんじゃないかしら」
「あぁ、俺もそう思う」
――現戦果。
加賀、豚カツ三皿完食。赤城、豚カツ三皿とチキン南蛮丼三杯完食。
大和、豚カツ二皿完食。武蔵、同じく二皿完食。
「下処理がしっかりとされていて、油もしつこくないですね――お代わり」
「武蔵、どうしたんですか?」
「……揚げ立て、か」
加賀は普通のペースで、赤城はいつものペースで、大和は一口一口ゆっくりと、武蔵は少し冷ましながら食べ進めていく。
大鯨が間違えたのは肉の発注。豚カツはまだまだ最初の小手調べに過ぎない。
三皿分を早々に完食した赤城の前には、別のメニューが運ばれてきた。
「チキン南蛮丼です」
「鶏の下拵えは間宮さんで、タルタルソースは私が作りました」
「良い匂いですね、では早速いただきます」
(赤城さん一人でやはり良かったのでは……)
「加賀、しっかり食べて下さいね?」
「……はい」
加賀も三皿目に手をつけ始め、黙々と食べ進めていく。赤城が速すぎるだけで、彼女も十分に速い。
「美味しいですね」
「味は当然申し分ない。しかし、熱いな……」
「武蔵が猫舌だったなんて、今まで知らなかったです」
「誰しも苦手なものの一つや二つあるものだ」
大和と武蔵は、ようやく二皿目に手をつけ始める。
ゆっくりと食べる大和と、冷ましながら食べている武蔵では、速度的な面において一航戦の二人に勝ち目は無い。
「こりゃ勝負にならないんじゃないか?」
「早食い対決ではないですし、最後に多く食べていれば――」
「お代わりお願いします」
「……一対三にした方が良かったんじゃないかしら」
「あぁ、俺もそう思う」
――現戦果。
加賀、豚カツ三皿完食。赤城、豚カツ三皿とチキン南蛮丼三杯完食。
大和、豚カツ二皿完食。武蔵、同じく二皿完食。
939: 2014/07/27(日) 23:14:38.39 ID:qGnavP0TO
――開始から一時間。
「流石にそろそろ限界なのですが……」
「まだまだ作ってますから頑張って下さいね」
「あの、ですから限界と――」
「すき焼き、食べないんですか?」
「……はい、いただきます」
(胃薬を後で貰いに行かないと……)
「このステーキ、胡椒が効いていて美味しいです。噛んだら口の中に肉の旨味がジワッと広がって、箸が進んでしまいます」
「すき焼き……」
「玉子で少し熱さが和らぐな」
「まだ武蔵は食べられそうですか?」
「加賀に勝つまでは手を動かす、赤城は知らん。あんな食欲の権化と張り合ってなどいられるか」
――現戦果。
加賀、豚カツ&チキン南蛮丼三杯完食、すき焼き一杯目に挑戦中。赤城、すき焼き三杯を平らげサーロインステーキ五百グラムへ挑戦中。
大和・武蔵、共にすき焼き一杯目に挑戦中。
「流石にそろそろ限界なのですが……」
「まだまだ作ってますから頑張って下さいね」
「あの、ですから限界と――」
「すき焼き、食べないんですか?」
「……はい、いただきます」
(胃薬を後で貰いに行かないと……)
「このステーキ、胡椒が効いていて美味しいです。噛んだら口の中に肉の旨味がジワッと広がって、箸が進んでしまいます」
「すき焼き……」
「玉子で少し熱さが和らぐな」
「まだ武蔵は食べられそうですか?」
「加賀に勝つまでは手を動かす、赤城は知らん。あんな食欲の権化と張り合ってなどいられるか」
――現戦果。
加賀、豚カツ&チキン南蛮丼三杯完食、すき焼き一杯目に挑戦中。赤城、すき焼き三杯を平らげサーロインステーキ五百グラムへ挑戦中。
大和・武蔵、共にすき焼き一杯目に挑戦中。
940: 2014/07/27(日) 23:15:59.91 ID:qGnavP0TO
――開始から一時間半経過。
(これ以上は……て、提督の前で醜態を晒すわけには……)
「豚しゃぶもタレによって味わいが違っていいですね」
「自慢のタレです、何にでも応用が利くんですよ」
「私のお店にも少し分けてもらっているんです」
「鳳翔さんのお店……焼き鳥ですね?」
「ふふ、正解です。また食べに来て下さいね」
「では今日の夜にでも」
苦しそうにしている加賀の横で、談笑しながら食べ続ける赤城。そのペースは全く衰えてはいない。
「武蔵……大和は……もう……」
「意地を見せるのだ大和……この鍋を空にすれば、加賀には勝てる……」
「ごめんなさい……先に、いき……」
「くっ……私だけでも、加賀に……」
――更に三十分後。
「手羽先もカラッと揚がっていてジューシーです。幾らでも食べられますね」
「まだまだありますからどうぞ」
「味噌カツも食べますか?」
加賀は既にリタイアしており、食べているのは赤城だけだ。その箸は、一向に止まる気配を見せない。
「加賀に……勝った……か……」
一方の武蔵は、食べていたすき焼き鍋を完食し、先にリタイアした大和の横に倒れ伏す。
これで勝負は決着したのだが、まだまだ赤城の挑戦は続く。その箸が止まったのは、更に一時間後の事だった。
――最終戦果。
加賀、豚カツ三皿、チキン南蛮丼三杯、すき焼き一杯半。
大和、豚カツ三皿、チキン南蛮丼三杯、すき焼き一杯半。
武蔵、豚カツ三皿、チキン南蛮丼三杯、すき焼き二杯。
赤城、豚カツ三皿、チキン南蛮丼三杯、すき焼き三杯、サーロインステーキ千五百グラム、豚しゃぶ三皿、手羽先三皿、味噌カツ三皿、牛角煮三皿、しょうが焼き三皿。
――――流石に一日動けません……。
――――鳳翔さんのところに行ってきますね。
――――武蔵、体重が……。
――――明日道場で……うっ……加賀、私にも胃薬をくれ。
(これ以上は……て、提督の前で醜態を晒すわけには……)
「豚しゃぶもタレによって味わいが違っていいですね」
「自慢のタレです、何にでも応用が利くんですよ」
「私のお店にも少し分けてもらっているんです」
「鳳翔さんのお店……焼き鳥ですね?」
「ふふ、正解です。また食べに来て下さいね」
「では今日の夜にでも」
苦しそうにしている加賀の横で、談笑しながら食べ続ける赤城。そのペースは全く衰えてはいない。
「武蔵……大和は……もう……」
「意地を見せるのだ大和……この鍋を空にすれば、加賀には勝てる……」
「ごめんなさい……先に、いき……」
「くっ……私だけでも、加賀に……」
――更に三十分後。
「手羽先もカラッと揚がっていてジューシーです。幾らでも食べられますね」
「まだまだありますからどうぞ」
「味噌カツも食べますか?」
加賀は既にリタイアしており、食べているのは赤城だけだ。その箸は、一向に止まる気配を見せない。
「加賀に……勝った……か……」
一方の武蔵は、食べていたすき焼き鍋を完食し、先にリタイアした大和の横に倒れ伏す。
これで勝負は決着したのだが、まだまだ赤城の挑戦は続く。その箸が止まったのは、更に一時間後の事だった。
――最終戦果。
加賀、豚カツ三皿、チキン南蛮丼三杯、すき焼き一杯半。
大和、豚カツ三皿、チキン南蛮丼三杯、すき焼き一杯半。
武蔵、豚カツ三皿、チキン南蛮丼三杯、すき焼き二杯。
赤城、豚カツ三皿、チキン南蛮丼三杯、すき焼き三杯、サーロインステーキ千五百グラム、豚しゃぶ三皿、手羽先三皿、味噌カツ三皿、牛角煮三皿、しょうが焼き三皿。
――――流石に一日動けません……。
――――鳳翔さんのところに行ってきますね。
――――武蔵、体重が……。
――――明日道場で……うっ……加賀、私にも胃薬をくれ。
951: 2014/07/29(火) 20:24:08.71 ID:JTOA8/PmO
・天龍田『些細で大きなすれ違い』、投下します
952: 2014/07/29(火) 20:24:35.14 ID:JTOA8/PmO
――――天龍&龍田私室。
「ねぇ天龍ちゃん、ここに置いてあったシュークリーム知らないかなぁ?」
「シュークリーム? あぁ、美味かったぜ」
「――二つとも、食べちゃったの?」
「甘いものがちょうど欲しくってなぁ、代わりに冷蔵庫にエクレア買ってきといたからよ」
「……天龍ちゃんのバカ」
「勝手に食って悪かったって、でもちゃんと代わり買って来ただろ?」
「どうして一言聞いてくれなかったのー?」
「俺と龍田のだと思ったから一つだけ食うつもりだったんだよ。でも食べたら美味くってさぁ、つい二つとも食っちまったぜ」
「……だって、美味しく作ったもの」
「アレ、龍田が作ったのか? そういやぁお菓子はまだ作ったことねぇな、今度教えて――」
「勝手に食べちゃうような天龍ちゃんには教えたくないかなぁ」
「だから悪かったって言ってんだろうがよ」
「私忙しいからもう行くねーエクレアはいらないから二つとも天龍ちゃん食べておいて」
「あっ、おい龍田! チッ、何だってんだよ龍田の奴、たかだかシュークリームぐらいであんなに怒りやがって……ん?」
(待てよ、今日って確か――)
「龍田の秘書艦日か……?」
「ねぇ天龍ちゃん、ここに置いてあったシュークリーム知らないかなぁ?」
「シュークリーム? あぁ、美味かったぜ」
「――二つとも、食べちゃったの?」
「甘いものがちょうど欲しくってなぁ、代わりに冷蔵庫にエクレア買ってきといたからよ」
「……天龍ちゃんのバカ」
「勝手に食って悪かったって、でもちゃんと代わり買って来ただろ?」
「どうして一言聞いてくれなかったのー?」
「俺と龍田のだと思ったから一つだけ食うつもりだったんだよ。でも食べたら美味くってさぁ、つい二つとも食っちまったぜ」
「……だって、美味しく作ったもの」
「アレ、龍田が作ったのか? そういやぁお菓子はまだ作ったことねぇな、今度教えて――」
「勝手に食べちゃうような天龍ちゃんには教えたくないかなぁ」
「だから悪かったって言ってんだろうがよ」
「私忙しいからもう行くねーエクレアはいらないから二つとも天龍ちゃん食べておいて」
「あっ、おい龍田! チッ、何だってんだよ龍田の奴、たかだかシュークリームぐらいであんなに怒りやがって……ん?」
(待てよ、今日って確か――)
「龍田の秘書艦日か……?」
953: 2014/07/29(火) 20:25:05.42 ID:JTOA8/PmO
――――提督執務室。
(何だこの重苦しい雰囲気は……)
提督の横で仕事を黙って処理している龍田。その顔はいつも通り微笑みを携えているのだが、肌に突き刺すような刺々しい空気を放っていた。
「龍田、何かあったのか?」
「どうしてそんなことを聞くのー?」
「どうしてっていつもと様子が違うぞ」
「気のせいじゃなーい?」
「……そうか」
(天龍と喧嘩でもしたのか? このままだと息が詰まるな)
「龍田、甘いものでも――っ!?」
「甘いものが、どうしたのー?」
「いや、何でもない……」
甘いもの、と口にした瞬間、龍田からどす黒いモノを感じて、提督はその先を続けるのをやめた。
(地雷は甘味系か……)
「お昼は何がいいかなぁ?」
「龍田に任せる」
「はーい」
障らぬ神に祟り無し、提督は今回の件に関しては直接関与することを諦めるのだった。
(何だこの重苦しい雰囲気は……)
提督の横で仕事を黙って処理している龍田。その顔はいつも通り微笑みを携えているのだが、肌に突き刺すような刺々しい空気を放っていた。
「龍田、何かあったのか?」
「どうしてそんなことを聞くのー?」
「どうしてっていつもと様子が違うぞ」
「気のせいじゃなーい?」
「……そうか」
(天龍と喧嘩でもしたのか? このままだと息が詰まるな)
「龍田、甘いものでも――っ!?」
「甘いものが、どうしたのー?」
「いや、何でもない……」
甘いもの、と口にした瞬間、龍田からどす黒いモノを感じて、提督はその先を続けるのをやめた。
(地雷は甘味系か……)
「お昼は何がいいかなぁ?」
「龍田に任せる」
「はーい」
障らぬ神に祟り無し、提督は今回の件に関しては直接関与することを諦めるのだった。
954: 2014/07/29(火) 20:25:37.95 ID:JTOA8/PmO
――――翌日、天龍&龍田、私室。
「……」
「……」
無言の空間。龍田は部屋の掃除をしており、天龍はベッドに転がっていた。
普段ならば昨日は提督と何をしたとか、夕飯は何がいいとか、そういった会話を楽しんでいる時間だ。
(切っ掛けが無いと言い出しづれぇなぁ……)
天龍は、前日に龍田が出ていった直後に、自分のしてしまった過(あやま)ちに気付いていた。
二つあったシュークリームのうち、一つは確かに天龍のものだったのだが、一つは提督にあげる為のものだったのだ。
(――よし!)
「龍田!」
「なぁに?」
「き、昨日はよ、その、何だ、俺が悪かった」
「何の事ー?」
「シュークリーム二つとも食っちまった事だよ。アレ、提督に食わせるつもりだったんだよな?」
「……テーブルにメモも無しに置いといた私も悪かったの、昨日はつい怒っちゃってごめんねー?」
謝るタイミングを失っていたのは龍田も同じで、天龍の謝罪を聞いて彼女も同様に謝る。
「じゃあお互いコレでも食って水に流そうじゃねぇか」
「――シュークリーム?」
「間宮に教えてもらったんだよ、上手く焼けなくて苦労したぜ」
「天龍ちゃん……」
「ほら、食えよ」
「うん、いただきまーす」
――――天龍ちゃん、ケーキ一緒に作らない?
――――いいぜ、生クリームはこの前作ったら任せろよな。
「……」
「……」
無言の空間。龍田は部屋の掃除をしており、天龍はベッドに転がっていた。
普段ならば昨日は提督と何をしたとか、夕飯は何がいいとか、そういった会話を楽しんでいる時間だ。
(切っ掛けが無いと言い出しづれぇなぁ……)
天龍は、前日に龍田が出ていった直後に、自分のしてしまった過(あやま)ちに気付いていた。
二つあったシュークリームのうち、一つは確かに天龍のものだったのだが、一つは提督にあげる為のものだったのだ。
(――よし!)
「龍田!」
「なぁに?」
「き、昨日はよ、その、何だ、俺が悪かった」
「何の事ー?」
「シュークリーム二つとも食っちまった事だよ。アレ、提督に食わせるつもりだったんだよな?」
「……テーブルにメモも無しに置いといた私も悪かったの、昨日はつい怒っちゃってごめんねー?」
謝るタイミングを失っていたのは龍田も同じで、天龍の謝罪を聞いて彼女も同様に謝る。
「じゃあお互いコレでも食って水に流そうじゃねぇか」
「――シュークリーム?」
「間宮に教えてもらったんだよ、上手く焼けなくて苦労したぜ」
「天龍ちゃん……」
「ほら、食えよ」
「うん、いただきまーす」
――――天龍ちゃん、ケーキ一緒に作らない?
――――いいぜ、生クリームはこの前作ったら任せろよな。
956: 2014/07/29(火) 23:44:54.02 ID:JTOA8/PmO
・暁『レディー修行から帰ってきたわ!』 、投下します
957: 2014/07/29(火) 23:45:28.91 ID:JTOA8/PmO
――――提督執務室。
「司令官、レディーとして成長してきたわ!」
「そうか、そりゃ良かったなー」
「もうっ! ちゃんと聞いてったら!」
「じゃあ具体的にどう成長したんだ?」
「お昼にお子様ランチじゃないハンバーグを食べさせてくれたら、見せてあげるわ」
「ハンバーグ……じゃあ大鯨に頼んで作っといてもらうとするか」
「ソースはデミウルゴスにしてちょうだい」
(デミグラスって言いたかったんだろうが、凄い間違いしやがったな……)
――――昼食。
「ほら、ハンバーグだ」
「見てなさい、暁だって何時までも子供じゃないんだから」
持ち方は上出来、ナプキンも首につけ、暁はハンバーグへと挑む。フォークを軽く刺し、ナイフでゆっくりと切っていく。。
そして、小さく切り分けたハンバーグを口へと運んだ。
「――どう? どう? 一人前のレディーに見えた?」
「練習したのは良く分かった。音もあまり立てなかったし、ハンバーグ食べるだけならレストランでも恥ずかしくは無いと思う」
「ふふーん、暁はもう一人前のレディーなんだから当然よね」
「――だがな、口元にソースをベッタリ付けてるのはどう見てもレディーじゃないぞ」
「こ、コレはちょっと失敗しただけなんだから!」
暁は即座に口の周りを拭くが、綺麗に拭けずに余計にソースが広がっていく。
「ほら、じっとしてろ、拭いてやるから」
「うぅー……せっかく練習したのに……」
「慣れてないんだから仕方無いだろ。そのうち綺麗に食えるようになるさ」
「ホント……?」
「あぁ」
「――司令官、テーブルマナーがちゃんと出来る様になったら、お洒落なレストランに連れて行ってくれる?」
「テーブルマナーなんぞ知らんから断る」
「そこは連れていってくれるって言ってくれてもいいじゃないのよ!」
「ファミレスでいいだろ」
「もう知らない! 司令官のバカー!」
「行っちまったか――テーブルマナーに詳しい奴って誰か居たっけなぁ……」
――――お茶を習ってみたわ。
――――(ダマだらけだな……)
「司令官、レディーとして成長してきたわ!」
「そうか、そりゃ良かったなー」
「もうっ! ちゃんと聞いてったら!」
「じゃあ具体的にどう成長したんだ?」
「お昼にお子様ランチじゃないハンバーグを食べさせてくれたら、見せてあげるわ」
「ハンバーグ……じゃあ大鯨に頼んで作っといてもらうとするか」
「ソースはデミウルゴスにしてちょうだい」
(デミグラスって言いたかったんだろうが、凄い間違いしやがったな……)
――――昼食。
「ほら、ハンバーグだ」
「見てなさい、暁だって何時までも子供じゃないんだから」
持ち方は上出来、ナプキンも首につけ、暁はハンバーグへと挑む。フォークを軽く刺し、ナイフでゆっくりと切っていく。。
そして、小さく切り分けたハンバーグを口へと運んだ。
「――どう? どう? 一人前のレディーに見えた?」
「練習したのは良く分かった。音もあまり立てなかったし、ハンバーグ食べるだけならレストランでも恥ずかしくは無いと思う」
「ふふーん、暁はもう一人前のレディーなんだから当然よね」
「――だがな、口元にソースをベッタリ付けてるのはどう見てもレディーじゃないぞ」
「こ、コレはちょっと失敗しただけなんだから!」
暁は即座に口の周りを拭くが、綺麗に拭けずに余計にソースが広がっていく。
「ほら、じっとしてろ、拭いてやるから」
「うぅー……せっかく練習したのに……」
「慣れてないんだから仕方無いだろ。そのうち綺麗に食えるようになるさ」
「ホント……?」
「あぁ」
「――司令官、テーブルマナーがちゃんと出来る様になったら、お洒落なレストランに連れて行ってくれる?」
「テーブルマナーなんぞ知らんから断る」
「そこは連れていってくれるって言ってくれてもいいじゃないのよ!」
「ファミレスでいいだろ」
「もう知らない! 司令官のバカー!」
「行っちまったか――テーブルマナーに詳しい奴って誰か居たっけなぁ……」
――――お茶を習ってみたわ。
――――(ダマだらけだな……)
966: 2014/07/31(木) 03:24:36.75 ID:bVQB/rshO
・由良『暑い……』、投下します
967: 2014/07/31(木) 03:25:04.64 ID:bVQB/rshO
――――長良型、私室。
「暑い……」
「暑いって言うと余計暑くなるからやめなさい」
「由良、アイス食べる?」
「食べる、ありがと」
「でも、確かにコレは中々キツいわね」
「壁に穴開けたら、涼しくなるかな?」
「蚊とか虫が入るからやめなさい」
「そういう問題じゃないと思うんだけど……はい、由良」
「ありがと、名取」
「それにしても――由良、貴女いくら暑いからって下着姿は感心しないわ」
「着たら、暑い」
「お腹出して寝たら、風邪引いちゃうよ」
「あっちの三人は、いいの?」
「長良と鬼怒は引きそうにないし、阿武隈は二人に挟まれて暖かそうだから大丈夫よ」
「私も、大丈夫」
「タンクトップでもいいから着ようね、ほら」
「――やっぱり、暑い」
「我慢しなさい」
「アイス、もう一つ食べたい」
「ダメだよ由良、お腹冷えちゃうから」
「じゃあ、少しだけクーラーかけて、ね、ね?」
「仕方無いわねぇ、由良が寝入るまでだけよ?」
「うん」
「このクーラー、早く明石さん直してくれるといいんだけど……」
「強しか出来ないなんて、本当に不便よね」
「――クーラー、涼しい」
「そう、なら早く寝ちゃいなさい」
「うん、お休みなさい。わがまま言って、ごめんね?」
「暑いのが苦手なのは仕方無いよ、気にしないで」
「妹のお願いも聞いてあげられないほど、狭い心は持ってないわ」
「……寝る」
「お休みなさい」
「お休み、由良」
――――太陽って、単装砲で撃ち抜けたりしない?
――――ちょ、ちょっと無理かな……。
――――出来たとしても人類が絶滅するわよ?
「暑い……」
「暑いって言うと余計暑くなるからやめなさい」
「由良、アイス食べる?」
「食べる、ありがと」
「でも、確かにコレは中々キツいわね」
「壁に穴開けたら、涼しくなるかな?」
「蚊とか虫が入るからやめなさい」
「そういう問題じゃないと思うんだけど……はい、由良」
「ありがと、名取」
「それにしても――由良、貴女いくら暑いからって下着姿は感心しないわ」
「着たら、暑い」
「お腹出して寝たら、風邪引いちゃうよ」
「あっちの三人は、いいの?」
「長良と鬼怒は引きそうにないし、阿武隈は二人に挟まれて暖かそうだから大丈夫よ」
「私も、大丈夫」
「タンクトップでもいいから着ようね、ほら」
「――やっぱり、暑い」
「我慢しなさい」
「アイス、もう一つ食べたい」
「ダメだよ由良、お腹冷えちゃうから」
「じゃあ、少しだけクーラーかけて、ね、ね?」
「仕方無いわねぇ、由良が寝入るまでだけよ?」
「うん」
「このクーラー、早く明石さん直してくれるといいんだけど……」
「強しか出来ないなんて、本当に不便よね」
「――クーラー、涼しい」
「そう、なら早く寝ちゃいなさい」
「うん、お休みなさい。わがまま言って、ごめんね?」
「暑いのが苦手なのは仕方無いよ、気にしないで」
「妹のお願いも聞いてあげられないほど、狭い心は持ってないわ」
「……寝る」
「お休みなさい」
「お休み、由良」
――――太陽って、単装砲で撃ち抜けたりしない?
――――ちょ、ちょっと無理かな……。
――――出来たとしても人類が絶滅するわよ?
972: 2014/07/31(木) 04:37:44.55 ID:TcSJnOdQ0
ナプキンについてご指摘がありましたが、マナーとしては膝の上が正しいです
首につけるのが正しいという風に書いてしまっていてすみませんでした
前掛けタイプと混同してました
後、提督のマナーについてはそういう場に行かないから忘れたということで…
首につけるのが正しいという風に書いてしまっていてすみませんでした
前掛けタイプと混同してました
後、提督のマナーについてはそういう場に行かないから忘れたということで…
973: 2014/07/31(木) 04:41:34.55 ID:TcSJnOdQ0
リクエストはもうして頂いてokです
リクエストの書き込みは次スレの方にお願いいたします
リクエストの書き込みは次スレの方にお願いいたします
994: 2014/07/31(木) 20:46:38.12 ID:dnSPciMSO
一航戦、赤城、このスレを埋めます!!
1000: 2014/07/31(木) 21:45:40.13 ID:uIji7qxGo
明日は何の日か知ってる?子の日だよー!
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります