1: 2014/07/31(木) 03:48:27.65 ID:bVQB/rshO
・前スレに引き続き後日談を書いていきます


前回はこちら




7: 2014/07/31(木) 05:34:33.43 ID:bVQB/rshO
・提督『起きたら幼女が居た』

・舞風『ねぇ、踊らない?』

・朧『蟹捕ってたら変なもの見付けた』

・提督『何で俺が裁判されにゃならんのだ』

・伊8『本とお菓子と提督と』

以上五本でお送りします

22: 2014/08/01(金) 05:01:57.01 ID:zJM1GtiUO
――――提督私室。

「ん……朝か……」

 まだ薄ぼんやりとしている意識をはっきりさせようと、提督はとりあえずベッドの上で起きようとした。
 そして、自分の手を掴んでいる相手が居ることに気付く。

(そういえば昨晩は大鳳と寝たんだっけか……まずは何か着て――ん?)

 微かな違和感が、提督の行動を停止させる。
 確かに大鳳は小柄と言っていい体格である。しかし、今彼を掴んでいる手と、布団から出ている彼女の頭は、余りにも小さいのだ。

「――大鳳、起きろ」

「ん、んぅ……? なんですか、提督……もう少し寝かせて下さい……」

 昨晩の夜戦の疲れがかなり残っており、大鳳はベッドから起き上がるのを拒み、寝返りを打って提督の声に応じる。

「いいから起きろ。起きて、自分の身体をよく見てみろ」

「からだ……?」

 真剣な口調で起きろともう一度促され、彼女はようやく身体を起こす。
 それと同時に、提督の顔はみるみる青ざめていき、顔を手で覆って項垂れた。



 ――そして、静寂を切り裂く悲鳴が朝の鎮守府に響き渡る。

“私、小さくなってる!?”
艦隊これくしょん ‐艦これ‐ 艦娘型録
23: 2014/08/01(金) 05:02:25.29 ID:zJM1GtiUO
――――鎮守府、集会場。

「あー……集まってもらったのは他でもない、大鳳についてだ」

 鎮守府を一時封鎖し、全員を提督はこの場に召集していた。色々と確認することがあったからだ。

「提督、彼女は本当に大鳳なの……?」

「あぁ、お前の知ってる大鳳に間違いない」

「そう、ですか……」

 普段は沈着冷静な加賀ですら、今回の一件には困惑した表情を浮かべていた。
 それもそのはず、提督の後ろに隠れるように立っている少女――大鳳の身体が明らかに昨日までより縮んでいる、というより、幼児化しているのだ。

「提督、どうしてもこの姿で皆の前に出なければいけないの?」

「出ないと説明出来んだろ」

「隠れてちゃ、ダメ?」

「……ダメだ。――皆、このちっこいのがお前等も良く知ってる大鳳だ」

 不安そうに見上げる幼女大鳳の言葉に一瞬心を揺らがせながらも、提督は大鳳を全員に見えるように抱き上げた。
 驚き、疑問、黄色い声、様々な声が飛び交い、会場はどよめく。

「誰か大鳳がこんなチビになった理由を知らないか?」

「チビっていわないでください!」

 ジタバタと暴れる大鳳で遊びながら、提督は全員の反応を待つ。
 しかし、皆一様に顔を見合わせたり首を傾げるだけで、明確な答えが返ってくることは無かった。

(やっぱり誰も理由は分からんか……)

「あの、いい加減下ろしてくれませんか?」

「抱き心地良いし、このまま抱っこしてちゃダメか?」

「後ろで拳を握ってる加賀が許可したら、いいですよ?」

「了解、直ちに下ろす」

 大鳳を下ろした後、提督は再びマイクへと向かう。もう一つ言っておかなければならないことがあるからだ。

「まぁ何だ、大鳳はチビになったが中身は一緒だから今まで通り接してやってくれ。それと、誰かコイツを連れて子供服買いに行ってくれないか? 着てるのが加賀のシャツ一枚だけってのは、流石に不味いしな」

「あら、私の出番かしらー?」

「ちっこい姉さん可愛いんじゃ」

「着ぐるみ、着せる」

「えっ、あの、自分で歩け――浦風に抱っこされるって新鮮でいいわね……」

 荒潮、浦風、霰の三名が大鳳を確保し、早速買い物へと向かう。他にも青葉などが後を追っているのが視界に入ったものの、特に問題はないと提督は見送った。

24: 2014/08/01(金) 05:02:52.12 ID:zJM1GtiUO
 ――1週間後。

「提督! 元に戻ったわ!」

「おぉ、良かっ――服、着替えてから来いよ」

「あっ……」




――――夜戦をするとチビになる。そんな確証の無い噂が鎮守府に流れ始めました。

30: 2014/08/02(土) 00:34:24.22 ID:cjZ+eAVkO
――――提督執務室。

「提督、舞風と踊らなーい?」

「俺に何を踊らせる気だよ、社交ダンスなんかしたら足踏むぞ」

「阿波踊りとか?」

「二人で阿波踊りってシュール過ぎるだろ」

「じゃあモンキーダンスにする?」

「古いわ!」

「もう、提督はノリが悪いなぁー」

「ノリの問題じゃない。第一、執務室で踊れんだろ」

「気合いで何とかなるっしょ」

「なるわけないだろ」

「そんなこと言わずに踊ろうよー」

「……今は仕事しろ」

「ちぇっ、提督の意地悪」

「後で少しぐらいなら付き合ってやろうかと思ったが、無しだな」

「嘘、ウソウソ、今の無し!」

「はぁ……分かったから仕事してくれ」

「了解しましたー!」

「――そういえば、お前踊りなら何でも踊れるのか?」

「何でもは言い過ぎだけど、大抵メジャーなのなら踊れるかなー?」

「ファイヤーダンスとリンボーダンス」

「ファイヤーは無理だけど、リンボーなら出来るよ」

「じゃあシットロト踊り」

「提督、何でそれ踊れるかあたしに聞いたの? 踊れってこと?」

「いや、聞いてみただけだ。クックロビン音頭はどうだ?」

「アレは簡単じゃん。――っていうか、チョイスが謎過ぎない?」

「一部の間では有名だろうが」

「そうなのかもしれないけどさぁー」

「――どうだ、ちょっとは気分が紛れたか?」

「っ……あたし、そんなに分かりやすい?」

「テンション無理矢理上げてるの丸分かりだ。台風が原因ってのも知ってる」

「提督ってば舞風のこと好き過ぎー普通分かるわけないって」

「全員気付かないフリしてくれてるだけだろ」

「――だって、しょうがないじゃんか。あの時のこと思い出しちゃうし……」

「別に悪いとは言ってない。ただ、無理して明るく振る舞うのはやめろ」

「……大鯨みたいに、いつか来ると思う?」

「ずっと全員が揃うのを願ってる幸運艦が居るんだ、必ずどこかで艦娘として生を受けるさ」

「……うん、そうだよね」



――――来たら一緒に踊りまくるぞぉ!

 ――――踊れるの前提で考えるのはやめてやれ……。

36: 2014/08/03(日) 23:58:53.79 ID:OWUgXho7O
・朧『蟹捕ってたら変なもの見付けた』、投下します

37: 2014/08/03(日) 23:59:19.77 ID:OWUgXho7O
――――海上。

(今日も大漁。喜んでくれるよね、きっと)

「――あれ? コレ、何だろ?」

 蟹に混じって網の中から光を放つ何かを見付け、朧は取り出して眺める。
 砕けた欠片のようなそれはキラキラと輝いていて、とても綺麗に見えた。

「潮にあげたら、喜ぶかも」

 妹への手土産として持ち帰ることを決めてポケットに入れ、朧は帰りを急ぐ。
 彼女の頭の中は、拾った欠片から昼御飯に作る予定の蟹チャーハンへとすぐに切り替わるのだった。

38: 2014/08/03(日) 23:59:49.03 ID:OWUgXho7O
――――提督執務室。

「今日は蟹チャーハンにしてみた、自信作」

「毎度すまんな、わざわざ捕りに行くの大変だろ」

「大丈夫、もう慣れた。味はどうかな?」

「シンプルに蟹と玉子だけであっさりしてるが、味はちゃんとしっかりしてて美味いぞ」

「そう、良かった」

 蟹チャーハンを頬張る提督を、幸せそうに朧は見つめる。
 前日から準備して、軽く睡眠不足になりながらも捕りに行った疲れや苦労も、彼の美味しいの一言で吹き飛んでいた。

「――あっ、そういえば、変わったモノ拾ったよ」

「変わったモノ?」

「うん、コレ。後で潮にあげるつもり」

「見た感じ水晶の欠片みたいだな、どこで拾ったんだ?」

「網に入ってた」

「そうか、潮が喜ぶといいな」

「うん」

「――じゃあ、朧にもプレゼントだ」

 唐突に取り出された、小さめの箱。包装はしっかりとされており、中身は分からない。

「開けて、いい?」

「いいぞ、開けて中見てみろ」

「――髪留め?」

「そういうの、あんまりつけてるのを見たことがなかったんでな。いらなかったら誰かにやってくれ」

「そんなことしない、するわけない……ありがとう提督、大事にする」

「喜んでもらえたなら何よりだ。仕事も後一時間あれば片付くし、出掛けるか?」

「いいの?」

「ついでだから服も買ってやる。たまには可愛い系も着てみたら印象変わるぞ」

 普段着はTシャツにデニムの朧。秘書艦日以外ではスカートも履かず、漣から飾りっ気の欠片も無いと言われていたりする。

「可愛い系……似合うかな?」

「大丈夫だ、俺が保証してやる」

「そう……なら、選んで欲しい」

「よし、蟹チャーハンでやる気も出たし、さっさと終わらせて行くとするか」

「朧も手伝う、何でも言って」




――――コレ、可愛い。

 ――――(ブランドは――“sea breeze”?……帰ったら荒潮に特注品で一着頼んでみるか)

39: 2014/08/04(月) 00:00:20.70 ID:1ZgljTieO
――――朧・曙・漣・潮、私室。

「朧ちゃんがくれたコレ、綺麗だな……ちゃんとしまっとこ」









――――ヲ?

63: 2014/08/06(水) 16:04:00.07 ID:7AxsQgJ6O
・提督『何で俺が裁判されにゃならんのだ』、投下します

逆転裁判風にはちょっと程遠いかも…

64: 2014/08/06(水) 16:04:27.96 ID:7AxsQgJ6O
――――鎮守府内某所。

「――何だ、こりゃ」

「即席法廷デース」

「何で作った」

「必要だからっぽい?」

「何の為にだよ」

「貴様を裁くそうだ」

「……はぁ?」

「テートクの罪を暴くのは私ネー」

「判決言い渡すっぽい!」

「弁護する」

「待て、俺が何をしたってんだよ」




――――とうとう駆逐艦に手を出したネー?

 ――――提督さん、夕立はダメっぽい?

――――弁護はしよう。……が、黒なら私も問い詰める。

65: 2014/08/06(水) 16:04:55.03 ID:7AxsQgJ6O
――――鎮守府法廷。

「えー何々? この場において嘘を吐いたら針千本飲むことを誓います? 嘘吐いたら氏ぬってどんな法廷だよ……」

「夕立が裁判官だから、このホーテイでは夕立がルールっぽい?」

「おい誰か夕立と代われ、どう考えてもダメだろ」

「公正にくじ引きで決めたのだ、変更は認められない」

「くじ引きのどこが公正だ!」

「lieを吐かなきゃいいだけの話ネー」

「うっかり間違えても嘘に入るなら危なすぎるわ!」

「始めるっぽいー」

「始めるなー!」

 ――裁判、開始。

「提督さん、提督さんはまだ手を出さないって言ってた駆逐艦、夕雲に手を出したっぽい?」

「夕雲……? 身に覚えが無い。まだ最後の一線を越えたことはないぞ」

「提督さんは容疑を否認するっぽい。那智さん、弁護お願いします」

「了解だ。――司令官、貴様は節度を持った付き合いが出来る男だな?」

「当然だ」

「いくら迫られたとしても、まだ外見的には中学生程度の夕雲には手を出さない。誓って言えるな?」

「あぁ、言える」

「あの駆逐艦にしては立派な胸部装甲にも目が眩まない、そうだな?」

「足派だからな」

「この様に、司令官が夕雲に手を出す理由は無い。以上だ」

「那智さん、お疲れ様っぽい。じゃあ次は金剛さんね」

「ではお聞きしマース。テートクは既に夕雲とDeep kissは済ませたネー?」

「うぐっ……イエス」

「ズルいっぽい! まだ夕立は提督さんとデープキスとかいうのはしてないっぽい!」

「裁判官が法廷を乱してどうする。夕立、大人しく座っていろ」

「うぅ……いいもん! さっさと裁判終わらせてデープキスしてもらうもん!」

「は、話を続けるヨー? テートクは既に夕雲をladyとして扱っていマース。それなら一線だって超えてもおかしくないはずデース」

 ――レディーなら暁だって!

 ――暁、裁判中は黙っておかなきゃいけないのです。

「アレはディープキスしたんじゃなくてされたんだよ。不意打ちでな」

「But、テートクはそれを受け入れたネー?」

「……されちまったんなら、足掻いても仕方無いだろ」

「だったら夕雲に押し切られて夜戦した可能性もあるはずデース」

「そんなに俺を疑うなら夕雲に聞け、それではっきりするだろ」




「――夕雲をお呼びですか?」

66: 2014/08/06(水) 16:05:21.85 ID:7AxsQgJ6O
 ――夕雲、入廷。

「では夕雲、幾つか質問させてもらうぞ」

「はい、何なりと」

「司令官と関係を持ったというのは本当か?」

「えぇ、本当ですよ」

「嘘吐くな夕雲!」

「被告人は発言を控えて欲しいっぽい」

「まだ手を出される成長度合いではないと思うが?」

「あら、胸なら那智さんと変わらないぐらい大きいですよ?」

「……司令官は胸派ではない。だから問題ない」

「うふふ」

「質問を続ける! 夕雲、司令官とは何回したのだ?」

「三回です」

「三回か……数としては妥当だな」

「異議あり! 異議ありデース!」

「金剛さん、何かおかしいっぽい?」

「私は大抵二回しかしてもらってないデース!」

「お前等アホかぁぁぁぁぁ!」

「被告人は静かにして欲しいっぽい! 金剛さん、意味の無い異議は認めないよ?」

「納得してませんが仕方無いデース……」

「では最後の質問をさせてもらおう」




――――小さくなっていないのは何故だ?

67: 2014/08/06(水) 16:05:49.09 ID:7AxsQgJ6O
「ちょっと待つネー。その事に関してはまだ推測の域を出てないはずデース」

「異議を認めるっぽい」

「ではこう言い替えよう。何故夕雲だけが小さくならなかったのだ?」

「提督が避妊具を付けて下さったからかもしれません」

「Oh……夕雲、それは信憑性低いネー……」

「ど、どうしてかしら?」

「司令官は一度もそういった物を購入していないし、私達も買った事がないからだ」

(事実だが、何故そんなことまで把握されてるんだ……?)

「じ、実は恥ずかしかったから言い出せなかっただけで、夕雲が自分で買ったんです。それなら――」

「ならば何処で買ったか調べよう。鎮守府からの外出は全て記録に残っているし、それと照らし合わせれば確認は容易だ。夕雲が実物をこの場に持参出来れば、一番話は早いがな」

「……」

「質問は以上だ。金剛、まだ続けるのか?」

「夕雲には私からの質問はもう無いデース。But、もう一人証人が残ってマース」

「もう一人の証人……?」





「Come-on、巻雲!」

68: 2014/08/06(水) 16:09:16.05 ID:7AxsQgJ6O
 ――巻雲、入廷。

「巻雲、Youは朝にテートクの部屋で全裸の夕雲を目撃したネー?」

「はい、夕雲姉さんに用があって部屋に行ったんです。そしたら中から全裸の夕雲姉さんが出てきてビックリしちゃいました」

「その時の彼女の様子はどんなだったデース?」

「はっきりとは覚えてないですけど、足下が少し覚束無い感じだったような……」

「皆聞いたネー? 全裸で足下が覚束無い、事後以外にそんな状況あり得ないデース」

「異議あり、寝起きなら足下が覚束無い事もあるだろう。全裸だったのも、誘惑に失敗してそのまま着なかっただけという考え方も出来るはずだ」

「異議を認めるっぽい。夕立も寝起きに村雨のお腹を踏んでスッゴク怒られたことがあるっぽい」

 ――アレ、痛かったわよー!

「では断定は避けておきマース。じゃあ次の質問デース。テートクが服を着てたかは見た?」

「少なくとも上は着てなかったのが見えました」

「暖房はついてた?」

「ついてました」

「今は冬、暖房つけて服を着てないっておかしいデース」

「そこについては異論はない。続けてくれ」

「コレが私からの最後の質問デース。巻雲は夕雲がテートクと夜戦したと思う?」

「夕雲姉さんはそう望んでたから、そうだったら巻雲は素直に嬉しいです」

「私からの質問は以上デース」

「那智さん、巻雲に質問はあるっぽい?」

「いや、金剛の聞いた範囲で情報は十分だ。それよりも、もう一度司令官に問いたいのだが、構わないか?」

「じゃあ提督さん、またそこへ立って欲しいっぽい」

「そ、そろそろ終わりにしないか? 俺も仕事が――」

 ――問題ないわ。

 ――司令官の代わりに済ませておきました。

「ちくしょう……優秀なのが今だけは恨めしいぞ……」

「さて、貴様に問いたいのだが……何故、夕雲は全裸だったのだ?」

「自分で脱いだからだ」

「そうか、では貴様が裸だったのは何故だ?」

「下はちゃんと履いてたぞ」

「――履いていたのではなく、履いたの間違いだろう」

「っ……何の事だ?」

「貴様が夕雲と最後の一線を越えていないことは確かだと、私は確信している。しかし、越える手前まではいっていたのではないか?」

「那智、お前弁護してくれる側のはずだよな……?」

69: 2014/08/06(水) 16:09:43.23 ID:7AxsQgJ6O
「あぁ、だから一線を越えていないことについては弁護をしてやろう。だが、それ以外について弁護するつもりはない」

「……裸で抱き合って寝ていたのは事実だ、それは認める。だが、それだけだぞ?」

「――夕雲の足は太かったか?」

「いや、ほっそりとしてて触り心地も――あっ……」

「金剛、後は検事役のお前に任せる」

「了解デース」

「夕立も詳しく聞きたいっぽい」

「待て、話せば分かる。夕雲! お前からも何か言え!」

「提督はとても優しかったわ」

「夕雲ぉぉぉぉぉっ!?」




 ――判決、有罪。

70: 2014/08/06(水) 16:10:09.28 ID:7AxsQgJ6O
「――最初から仕組んでたのか?」

「艦娘には年齢なんて概念適応されませんし、提督が私達を何歳と判断するかで愛してもらう時間が減ってしまうのは酷い話だわ」

「だからといって、“この鎮守府の艦娘に求められたら、それが誰であれ断ってはいけない”なんて罰は無しだろ……」

「ふふ、ちゃんと皆自分で判断出来るから大丈夫ですよ」

「はぁ……前より朝が辛くなる日が増えそうだ」

「頑張って下さいね、提督」




――――駆逐艦の一部が夜戦対象になりました。

82: 2014/08/08(金) 15:28:01.90 ID:bNf/tnOCO
タイトル少し変更

・伊8『本と眼鏡と提督と』、投下します

83: 2014/08/08(金) 15:28:49.44 ID:bNf/tnOCO
――――鎮守府近海、海上。

「本、楽しいか?」

「うん、楽しいよ」

「何読んでんだ?」

「『ツァラトゥストラはかく語りき』」

「また変わったモノを……」

「提督は読書、好き?」

「好きだぞ。最近は時間が無くてあまり読んでなかったがな」

「そうなんだ」

「今度最近のオススメ教えてくれ、一冊ぐらいは読む余裕が出来そうだ」

「うん、いいよ」

 会話しながらも、ハチの視線は本に注がれている。
 彼女にとっての至福の時間は、こうして提督とゆったり過ごしながら、本を読んでいる時だ。
 それを彼も分かっており、遊びに行こうと誘ったり、ちょっかいをかけることもない。

「――そういえば、それ原文か?」

「そう、ドイツ語だよ」

「よく辞書も無しに読めるな」

「いっぱい勉強したから、レーベにも教えてもらったし」

「そうか、頑張ってたもんな」

「うん、いつかレーベ達とドイツ、行ってみたいなぁ……」

「――そのうち連れていってやるさ」

「……Danke」

 ずっと落としていた視線を上に向け、自分を抱いている提督へとハチは笑顔を見せる。
 彼は優しく頭を撫でて、それに返した。

「――コンタクトにはしないのか?」

 ふと湧いた疑問を、提督は投げ掛ける。
 その問いに数秒考える素振りを見せた後、ハチは眼鏡を外しながら口を開く。

「眼鏡の方が、何かしっくりくるんだよね」

「コンタクトだと落ち着かないって事か」

「提督は眼鏡、好き?」

「まぁ、好きだな」

「外した私は嫌い?」

「ハチはハチだろ、好きに決まってる」

「なら、一粒で二度美味しいと思ってくれたら嬉しいな」

 裸眼で少しボヤけたピントを、ハチは大切な人の顔にしっかりと合わせた。
 そして、少しずつ身体を起こし、標的目掛けて顔を近付ける。

「――ん……次は眼鏡をかけて、する?」

 ついばむようなキスをして直ぐに離れたハチは、眼鏡をかけ直して目を瞑るのだった。




――――はい、オススメの本持ってきたわ。

 ――――(『今日から貴方も眼鏡男子』……?)

89: 2014/08/08(金) 16:06:38.29 ID:bNf/tnOCO
・提督『変わった妖精』(パラレル扱い)

・幼女那智『羽黒の目が輝いている気がする』

・大和『手を繋いで寄り添って』

・??『(小さくなりすぎです)』

以上四本でお送りします

イベントで新艦取れたら何か書きます

96: 2014/08/09(土) 08:53:42.96 ID:auYOO52NO
・提督『変わった妖精』、投下します

妖精さんと会話出来るのは提督のみで、艦娘にはジェスチャーしてる設定

97: 2014/08/09(土) 08:54:09.83 ID:auYOO52NO
――――工厰。

「夕張、そろそろ廃棄――っと、入る度に飛び付くのはいい加減止めたらどうだ?」

 ――いらっしゃいまし、今日は何か作るです?

「いや、廃棄だけだ。今のところ足りてるからな」

 ――ではでは改造して艤装にトースターなんてどうです?

「流石に勘弁してくれ、砲弾の代わりにパンが跳んだら洒落にならん」

 ――腹が減っては戦が出来ぬですよ。

「腹を満たす為に戦が出来なきゃ本末転倒だろ、気持ちだけ受け取っとくよ」

 ――じゃあ今ここで全自動和洋中フルコース製造機で昼食を振る舞うです。

「昼飯か……じゃあ、和食で頼む」

 ――お任せあれです。

(前は洋だけだったのに、和食と中華が追加されたのか。そのうち全国の料理が出来そうだな)

「あっ提督、何か御用ですか?」

「ちょっと装備の廃棄ついでに昼飯を食べに来た」

「あー、またあの妖精さんですね」

「良く働いてくれるよな、あの妖精」

「提督に夢中ですし、張り切ってるんですよ」

「……いくらなんでも小さすぎるんだよな」

「? 何か言いましたか?」

「いや、何でもない」

 ――出来たです。夕張さんも一緒にどうです?

「一緒にどうだって言ってるぞ」

「私は……遠慮しときます。邪魔しちゃ悪いわ」

「? じゃあ俺はあっちで飯食ってるから、それとそれとそれ、廃棄しといてくれ」

「了解です、どうぞごゆっくりー妖精さんファイト!」

 ――頑張るです。

「――煮魚まで全自動で尚且つ短時間とは、毎度のことながら恐れ入るな」

 ――どぞ、召し上がれです

「いただきます。――うん、しっかりと味付けも出来てて美味いな」

 ――リクエストがあれば、次の時までに用意しとくですよ?

「じゃあドイツ料理頼む、ビスマルク達に祖国の料理を食わせてやりたいしな」

 ――かしこまり。次までには用意しとくです。

「あぁ、頼む。ほら、お前も食え」

 ――あーんしてくれるです? 感謝感激雨霰。

「大袈裟だな。いつも助かってるし、これぐらいならいつでもしてやるぞ」

 ――是非是非、毎日でも希望です。

「妖精じゃなくて艦娘だったら秘書艦にするんだがな、残念だ」

 ――かしこまり。

「……何?」

98: 2014/08/09(土) 08:54:35.47 ID:auYOO52NO
「大きくなりましたです」

「……大きくなれたのか、お前」

「禁則事項故、詳しいことは秘密です。妖精用兵装でお役に立ちますです」




――――……ケッコンカッコカリは、出来るのか?

 ――――猫吊るし様が妖精用の指輪と書類販売してるです。

100: 2014/08/09(土) 09:37:40.74 ID:fzs+Gpybo
鬼!悪魔!猫吊るし!


引用: 【艦これ】提督「鎮守府として色々不味いことになった」