305: 2014/08/30(土) 23:45:07.65 ID:vrOtUJfJ0
306: 2014/08/30(土) 23:46:26.66 ID:vrOtUJfJ0
――――白露型、私室。
「大事なことだから、しっかり答えてよ」
「えっと、何で……?」
「あたいの精神衛生上の問題」
「うーん、自分からボケようとはしない、かな」
「天然って言われたことは?」
「無い、と思う」
「よっしゃ、じゃあ春雨はあたいと一緒にツッコミ側でよろしく!」
「え? ツッコミ側って、何……?」
――翌日。
「おはよう、今日も良い天気だね」
「おはようございま――す?」
(鼻メガネ? えっ? 時雨姉さん気付いてないの……?)
「春雨、どうかした?」
「えっと、あの、それ……」
「?」
(ストレートに言っていいんでしょうか……)
「グッモーニーン!」
「あっ村雨姉さっ!?」
(村雨姉さんも鼻メガネ!?)
「あらー? お姉さんの顔をジッと見て、どうかした?」
「いえ、あの、えっと……」
「さっきから変だよ春雨、身体の調子でも悪いの? 明石さんのところに一緒に行ってあげようか?」
「だ、大丈夫です」
「無理しちゃダメよ、何かあったらちゃーんとお姉さんに相談しなさいね」
「は、はい……」
「おっはよー!」
「おはよー、って朝っぱらから何やってんのさ……」
「おはようございます、夕立姉さん、涼風」
「あははははは! 何それ、私もしたいっぽい!」
「いいよ、はいコレ」
「――どう? 夕立、似合うっぽい?」
「春雨、初ツッコミよろしく」
「ひゃいっ!?」
「ねぇ春雨、どう? どう?」
「……ヒゲが、足りない?」
――――春雨も天然だったのかよ……。
――――な、何か違った……?
「大事なことだから、しっかり答えてよ」
「えっと、何で……?」
「あたいの精神衛生上の問題」
「うーん、自分からボケようとはしない、かな」
「天然って言われたことは?」
「無い、と思う」
「よっしゃ、じゃあ春雨はあたいと一緒にツッコミ側でよろしく!」
「え? ツッコミ側って、何……?」
――翌日。
「おはよう、今日も良い天気だね」
「おはようございま――す?」
(鼻メガネ? えっ? 時雨姉さん気付いてないの……?)
「春雨、どうかした?」
「えっと、あの、それ……」
「?」
(ストレートに言っていいんでしょうか……)
「グッモーニーン!」
「あっ村雨姉さっ!?」
(村雨姉さんも鼻メガネ!?)
「あらー? お姉さんの顔をジッと見て、どうかした?」
「いえ、あの、えっと……」
「さっきから変だよ春雨、身体の調子でも悪いの? 明石さんのところに一緒に行ってあげようか?」
「だ、大丈夫です」
「無理しちゃダメよ、何かあったらちゃーんとお姉さんに相談しなさいね」
「は、はい……」
「おっはよー!」
「おはよー、って朝っぱらから何やってんのさ……」
「おはようございます、夕立姉さん、涼風」
「あははははは! 何それ、私もしたいっぽい!」
「いいよ、はいコレ」
「――どう? 夕立、似合うっぽい?」
「春雨、初ツッコミよろしく」
「ひゃいっ!?」
「ねぇ春雨、どう? どう?」
「……ヒゲが、足りない?」
――――春雨も天然だったのかよ……。
――――な、何か違った……?
311: 2014/08/31(日) 20:09:53.66 ID:i5t7OYTG0
・摩耶『粗暴な言葉を禁止された』 、投下します
312: 2014/08/31(日) 20:10:27.51 ID:i5t7OYTG0
――――提督執務室。
「し、失礼します」
「……摩耶、か?」
「アタシに決まってんだ……決まってます」
「頭でも打ったのか?」
「うるせぇ、でございます」
「無理するな、普段通りにしろ」
「高雄姉ぇ達に今日は粗暴な言葉禁止って言われたんだ、です」
「ですます付けりゃ敬語って訳でもないぞ」
「じゃあどうしろってんだよ」
「そうだな……姉妹艦三人の真似すればいいんじゃないか?」
「高雄姉ぇ達の?――バカめ!」
「何でよりによってその一部分だけをチョイスしたんだよ」
「仕方ねぇだろ! コレが一番真似しやすかったんだ!」
「次、愛宕」
「愛宕姉ぇ? 愛宕姉ぇ……ぱ、ぱんぱかぱーん……」
「だから何でそういう方向に行く」
「愛宕姉ぇって聞くと真っ先に思い浮かぶんだよ」
「……それは否定できん」
「最後は鳥海だよな。し、司令官さん、す、す――言えるかクソが!」
「うおっ!? いきなり殴ろうとするな、危ないだろ」
「チッ、やっぱりアタシにはこういうの無理だぜ……」
「まぁ無理しなくていいんじゃないか? 前みたいにガッチガチなのも困るしな」
「――あの時は、マジで悪かったよ」
「来た時の話はもう忘れろって言っただろ、俺は気にしてない」
「アタシに半頃しにされかけたんだぞ、ちょっとは気にしろってんだ」
「散々高雄達から摩耶は口は悪いが優しい子だって聞いてたからな、姉妹を思っての行動を咎める気は俺には無い」
「……やっぱりお前、ウザい」
「今の流れで何でそうなる」
「ウザいったらウザいんだよ! コレでも食って少し黙ってな!」
「コレは――弁当?」
「まずかったら、捨てていいかんな」
「分かった、一品一品感想を言えばいいんだな」
「いいから黙って食え!」
――――おい、野菜はどうした。
――――男なら肉だろ肉。
――――(鳥海、止めなかったのかよ……)
「し、失礼します」
「……摩耶、か?」
「アタシに決まってんだ……決まってます」
「頭でも打ったのか?」
「うるせぇ、でございます」
「無理するな、普段通りにしろ」
「高雄姉ぇ達に今日は粗暴な言葉禁止って言われたんだ、です」
「ですます付けりゃ敬語って訳でもないぞ」
「じゃあどうしろってんだよ」
「そうだな……姉妹艦三人の真似すればいいんじゃないか?」
「高雄姉ぇ達の?――バカめ!」
「何でよりによってその一部分だけをチョイスしたんだよ」
「仕方ねぇだろ! コレが一番真似しやすかったんだ!」
「次、愛宕」
「愛宕姉ぇ? 愛宕姉ぇ……ぱ、ぱんぱかぱーん……」
「だから何でそういう方向に行く」
「愛宕姉ぇって聞くと真っ先に思い浮かぶんだよ」
「……それは否定できん」
「最後は鳥海だよな。し、司令官さん、す、す――言えるかクソが!」
「うおっ!? いきなり殴ろうとするな、危ないだろ」
「チッ、やっぱりアタシにはこういうの無理だぜ……」
「まぁ無理しなくていいんじゃないか? 前みたいにガッチガチなのも困るしな」
「――あの時は、マジで悪かったよ」
「来た時の話はもう忘れろって言っただろ、俺は気にしてない」
「アタシに半頃しにされかけたんだぞ、ちょっとは気にしろってんだ」
「散々高雄達から摩耶は口は悪いが優しい子だって聞いてたからな、姉妹を思っての行動を咎める気は俺には無い」
「……やっぱりお前、ウザい」
「今の流れで何でそうなる」
「ウザいったらウザいんだよ! コレでも食って少し黙ってな!」
「コレは――弁当?」
「まずかったら、捨てていいかんな」
「分かった、一品一品感想を言えばいいんだな」
「いいから黙って食え!」
――――おい、野菜はどうした。
――――男なら肉だろ肉。
――――(鳥海、止めなかったのかよ……)
325: 2014/08/31(日) 23:17:17.58 ID:i5t7OYTG0
・谷風『こいつは粋な計らいだね!』
・隼鷹『提督、改二になれた祝い酒付き合ってよ』
・浦風&大鳳『尾行がバレた』
・ちびあきつ丸『大手を振ってサボれ――』
・加賀『夜戦ですか?』
以上五本でお送りします
・隼鷹『提督、改二になれた祝い酒付き合ってよ』
・浦風&大鳳『尾行がバレた』
・ちびあきつ丸『大手を振ってサボれ――』
・加賀『夜戦ですか?』
以上五本でお送りします
328: 2014/09/02(火) 22:03:26.84 ID:zkUb7ofJ0
・谷風『こいつは粋な計らいだね!』 、投下します
谷風さんを小一時間つつき回しても明確な谷風さん像を作れなかった…谷風さんっぽく無かったらごめんなさい
谷風さんを小一時間つつき回しても明確な谷風さん像を作れなかった…谷風さんっぽく無かったらごめんなさい
329: 2014/09/02(火) 22:04:00.92 ID:zkUb7ofJ0
――――温泉。
「かーっ! 生き返るー!」
「オッサンかお前は」
「オッサンは酷くないかい? コレでも谷風さんは花も恥じらう乙女だよ?」
「花も恥じらう乙女が両手を広げて頭にタオル乗せて風呂に入るわけ無いだろ」
「コイツは一本取られたね、いやー参った参った」
「あのなぁ……」
「――提督、もう少しそっち行っていい?」
「もう少しって、隣に座ってんのにこれ以上どうやって近付くんだよ」
「こう、後ろからガバッとさ」
「言い方を考えろ、犯罪者か俺は」
「いいじゃんいいじゃん、ほいっと」
「……頭に顎を乗せたくなるな」
「そんなことしたら頭突きすんよ?」
「構えるな、冗談だ」
「冗談言ってないで早くガバッと来なよ」
「花も恥じらうはどこに消えたんだよ」
「この谷風さんのスベスベ柔肌を堪能させてあげるんだから、細かい事は気にすんなって!」
「ほー、そうか。なら遠慮なく」
「ひゃうっ!? ちょ、ちょい待った! こそばすの無し!」
「言われた通りにガバッとしてやってるぞ、文句言うな」
「た、谷風さんに、こんなことしてタダで済むと、おも、おもっ……あははははっ!」
(確かにまぁ、スベスベはスベスベだな……)
「いい、加減に――しろいっ!」
「ぐおっ!?」
「あー笑い氏ぬかと思ったよ、いくら提督でも悪ふざけが過ぎっとこういう事に――提督? 提督ー!?」
――――いくらなんでもこそばしたぐらいで頭突きで沈めることはないだろ……。
――――だからちゃんとこうして膝枕してあげてんだから許しなって、な? ついでによしよしもすりゃー満足するかい?
――――俺は子供か!
「かーっ! 生き返るー!」
「オッサンかお前は」
「オッサンは酷くないかい? コレでも谷風さんは花も恥じらう乙女だよ?」
「花も恥じらう乙女が両手を広げて頭にタオル乗せて風呂に入るわけ無いだろ」
「コイツは一本取られたね、いやー参った参った」
「あのなぁ……」
「――提督、もう少しそっち行っていい?」
「もう少しって、隣に座ってんのにこれ以上どうやって近付くんだよ」
「こう、後ろからガバッとさ」
「言い方を考えろ、犯罪者か俺は」
「いいじゃんいいじゃん、ほいっと」
「……頭に顎を乗せたくなるな」
「そんなことしたら頭突きすんよ?」
「構えるな、冗談だ」
「冗談言ってないで早くガバッと来なよ」
「花も恥じらうはどこに消えたんだよ」
「この谷風さんのスベスベ柔肌を堪能させてあげるんだから、細かい事は気にすんなって!」
「ほー、そうか。なら遠慮なく」
「ひゃうっ!? ちょ、ちょい待った! こそばすの無し!」
「言われた通りにガバッとしてやってるぞ、文句言うな」
「た、谷風さんに、こんなことしてタダで済むと、おも、おもっ……あははははっ!」
(確かにまぁ、スベスベはスベスベだな……)
「いい、加減に――しろいっ!」
「ぐおっ!?」
「あー笑い氏ぬかと思ったよ、いくら提督でも悪ふざけが過ぎっとこういう事に――提督? 提督ー!?」
――――いくらなんでもこそばしたぐらいで頭突きで沈めることはないだろ……。
――――だからちゃんとこうして膝枕してあげてんだから許しなって、な? ついでによしよしもすりゃー満足するかい?
――――俺は子供か!
331: 2014/09/03(水) 17:16:23.56 ID:NmruhIam0
・隼鷹『提督、改二になれた祝い酒付き合ってよ』、投下します
332: 2014/09/03(水) 17:16:56.43 ID:NmruhIam0
――――居酒屋鳳翔。
「まずは生でいっかな」
「ウーロン茶」
「はい、ちょっと待ってて下さい」
「ちょっと提督、祝い酒って言ったじゃんかさー」
「お前のペースに付き合わされたら一時間で潰れる。それに、この前みたいに記憶無くなるのはまずい」
「あー……うん、アレはアタシも色々と困るね……」
「なら、俺に酒の強要はしないことだ」
「でも、後で一杯ぐらいは飲んでよ?」
「そのつもりだ。ただし、絶対に一杯だけだからな」
「そんなに念を押さなくても分かってるって」
「――はい、生とウーロン茶です。ツマミはどうされますか?」
「お任せでパーッと持ってきてよ」
「焼き鳥頼む」
「分かりました、じゃあ焼き鳥以外は適当に作ってきますね」
「よろしくー。そんじゃ提督、アタシの改二を祝ってカンパーイ!」
「あぁ、乾杯」
「――ぷはぁー!」
「イッキ飲みとかよく出来るな」
「このぐらいじゃ水と変わんないからね、じゃんじゃん飲めるよ」
「こっちは見てるだけで酔いそうだ」
「何? アタシの魅力に酔っちゃいそうだって?」
「……」
「じょ、冗談だってば提督。あんましジッと見ないでよ……」
「――前、閉まらなくなったのか?」
「へ? あぁ、コレの事? 改二になってから閉めるとキツくってさー」
「改二になると身体的な変化が起こる奴もいるが、お前の場合はそこだったって訳か……」
「前に飛鷹が服が入らなくなったって騒いでたことあったけど、アタシも同じ目に遇うとは思わなかったよ」
「――服、買ってやろうか?」
「変な服買って着せようってんじゃあないだろうねぇ?」
「アホ、買うのやめるぞ」
「もー冗談だってば、提督がアタシの為に買ってくれるんならどんなのでも嬉しいから着たげるよ」
「……そうか」
――――提督はこういう服がお好きなのですか?
――――服に合わせて口調変えなくていいぞ。
――――あら? お気に召しませんでしたか?
――――片手に酒瓶持ってなきゃ、それも良かったかもな。
「まずは生でいっかな」
「ウーロン茶」
「はい、ちょっと待ってて下さい」
「ちょっと提督、祝い酒って言ったじゃんかさー」
「お前のペースに付き合わされたら一時間で潰れる。それに、この前みたいに記憶無くなるのはまずい」
「あー……うん、アレはアタシも色々と困るね……」
「なら、俺に酒の強要はしないことだ」
「でも、後で一杯ぐらいは飲んでよ?」
「そのつもりだ。ただし、絶対に一杯だけだからな」
「そんなに念を押さなくても分かってるって」
「――はい、生とウーロン茶です。ツマミはどうされますか?」
「お任せでパーッと持ってきてよ」
「焼き鳥頼む」
「分かりました、じゃあ焼き鳥以外は適当に作ってきますね」
「よろしくー。そんじゃ提督、アタシの改二を祝ってカンパーイ!」
「あぁ、乾杯」
「――ぷはぁー!」
「イッキ飲みとかよく出来るな」
「このぐらいじゃ水と変わんないからね、じゃんじゃん飲めるよ」
「こっちは見てるだけで酔いそうだ」
「何? アタシの魅力に酔っちゃいそうだって?」
「……」
「じょ、冗談だってば提督。あんましジッと見ないでよ……」
「――前、閉まらなくなったのか?」
「へ? あぁ、コレの事? 改二になってから閉めるとキツくってさー」
「改二になると身体的な変化が起こる奴もいるが、お前の場合はそこだったって訳か……」
「前に飛鷹が服が入らなくなったって騒いでたことあったけど、アタシも同じ目に遇うとは思わなかったよ」
「――服、買ってやろうか?」
「変な服買って着せようってんじゃあないだろうねぇ?」
「アホ、買うのやめるぞ」
「もー冗談だってば、提督がアタシの為に買ってくれるんならどんなのでも嬉しいから着たげるよ」
「……そうか」
――――提督はこういう服がお好きなのですか?
――――服に合わせて口調変えなくていいぞ。
――――あら? お気に召しませんでしたか?
――――片手に酒瓶持ってなきゃ、それも良かったかもな。
344: 2014/09/04(木) 20:09:16.79 ID:ivAZIQmj0
・浦風&大鳳『尾行がバレた』、投下します
345: 2014/09/04(木) 20:09:50.17 ID:ivAZIQmj0
――――街。
「こんなところで会うなんて、ぐ、偶然ね」
(鎮守府からずっと尾行してきてて、偶然も何も無いだろ……)
「姉さんも一緒に行こ」
「でも、デートなんでしょ? 私が居ると邪魔じゃないかしら……」
「うちと一緒に行くの……嫌?」
「行くわ」
(張り合う気は無いが、浦風と俺なら迷わず浦風選ぶんじゃないかコイツ)
「提督、次はどこに行く予定なの?」
「適当にブラブラしようかと思ってたからな、特に決めてない」
「浦風はどこか行きたいところある?」
「そうじゃねぇ……三人でプリクラっちゅうの撮ってみたい」
「アレか……」
「提督、まさか嫌とか言わないわよね?」
「言わんから笑顔で威圧すんのやめろ」
「この辺に撮れるところがあるって、鈴谷さんに聞いたんじゃ」
「多分、あそこのゲーセンだろうな」
「前を通ったことはあるけど、入るのは初めてだわ」
「撮るついでに、少し遊んで行くとするか」
「こんなところで会うなんて、ぐ、偶然ね」
(鎮守府からずっと尾行してきてて、偶然も何も無いだろ……)
「姉さんも一緒に行こ」
「でも、デートなんでしょ? 私が居ると邪魔じゃないかしら……」
「うちと一緒に行くの……嫌?」
「行くわ」
(張り合う気は無いが、浦風と俺なら迷わず浦風選ぶんじゃないかコイツ)
「提督、次はどこに行く予定なの?」
「適当にブラブラしようかと思ってたからな、特に決めてない」
「浦風はどこか行きたいところある?」
「そうじゃねぇ……三人でプリクラっちゅうの撮ってみたい」
「アレか……」
「提督、まさか嫌とか言わないわよね?」
「言わんから笑顔で威圧すんのやめろ」
「この辺に撮れるところがあるって、鈴谷さんに聞いたんじゃ」
「多分、あそこのゲーセンだろうな」
「前を通ったことはあるけど、入るのは初めてだわ」
「撮るついでに、少し遊んで行くとするか」
346: 2014/09/04(木) 20:10:31.68 ID:ivAZIQmj0
――――ゲーセン。
「へー、結構色々あるのね」
「浦風、何かやりたいのあるか?」
「うーん……あっ、アレやってみたい」
(UFOキャッチャーか、まぁ無難――ってプライズ“艦娘シリーズ”かよ……)
「姉さん人形可愛いのぉ」
「浦風のは? 浦風のはどこ?」
「底に埋もれてるな」
「提督、一回百円と書いてあるけど、一万円あれば浦風のは取れるかしら?」
「お前は一人でゲーセンには絶対に来ないようにしろ」
――十分後。
(来てくれた店員が艦娘のファンで助かった、かなり良い場所に移動してくれなかったら樋口辺りまでは吹き飛んでたな……)
「ふふ、やっぱり浦風は人形でも可愛いわね」
「二つとも取れてえかったんじゃ」
「次はどうする?」
「そうね……あら、あの人だかりは何かしら?」
「行ってみれば分かるんじゃ」
(アレは……ガンシュー系か? ってことはまさか――)
――アレ“WKB”だよな、絶対。
――間違いないだろ、あの正確な射撃は。
――ここまでノーミスとかマジかよ……。
「提督、あそこに居るのって、若葉よね?」
「どう見ても若葉じゃねぇ」
「やっぱりか」
「何でこんなに周りに人が集まっているの?」
「凄く上手いんだよアイツ、結構ゲーセンでは有名人らしい」
「集中しとるみたいやし、邪魔せん方がえぇよね」
「そうだな、俺達はそろそろ当初の目的を果たしに行くとするか」
――――提督さん、もうちっと引っ付かんとちゃんと写らんよ?
――――コラ、左右から引っ張るな。
――――じゃあ、こうしましょうか。
――――ちょっと待てお前等、コレ写真に残る――。
――――若葉だ。
「へー、結構色々あるのね」
「浦風、何かやりたいのあるか?」
「うーん……あっ、アレやってみたい」
(UFOキャッチャーか、まぁ無難――ってプライズ“艦娘シリーズ”かよ……)
「姉さん人形可愛いのぉ」
「浦風のは? 浦風のはどこ?」
「底に埋もれてるな」
「提督、一回百円と書いてあるけど、一万円あれば浦風のは取れるかしら?」
「お前は一人でゲーセンには絶対に来ないようにしろ」
――十分後。
(来てくれた店員が艦娘のファンで助かった、かなり良い場所に移動してくれなかったら樋口辺りまでは吹き飛んでたな……)
「ふふ、やっぱり浦風は人形でも可愛いわね」
「二つとも取れてえかったんじゃ」
「次はどうする?」
「そうね……あら、あの人だかりは何かしら?」
「行ってみれば分かるんじゃ」
(アレは……ガンシュー系か? ってことはまさか――)
――アレ“WKB”だよな、絶対。
――間違いないだろ、あの正確な射撃は。
――ここまでノーミスとかマジかよ……。
「提督、あそこに居るのって、若葉よね?」
「どう見ても若葉じゃねぇ」
「やっぱりか」
「何でこんなに周りに人が集まっているの?」
「凄く上手いんだよアイツ、結構ゲーセンでは有名人らしい」
「集中しとるみたいやし、邪魔せん方がえぇよね」
「そうだな、俺達はそろそろ当初の目的を果たしに行くとするか」
――――提督さん、もうちっと引っ付かんとちゃんと写らんよ?
――――コラ、左右から引っ張るな。
――――じゃあ、こうしましょうか。
――――ちょっと待てお前等、コレ写真に残る――。
――――若葉だ。
347: 2014/09/04(木) 20:11:14.40 ID:ivAZIQmj0
――――後日。
「テートクゥ! 一緒にゲーセン行くネー!」
「榛名もお供します」
「提督さん、私も私も」
「ここは譲れません」
「吾輩も行くぞ」
「電も行きたいのです」
(こうなる予感はしてたんだよなぁ……)
大鳳と浦風の部屋には、提督の頬に左右からキスをしているプリクラが大事に保管されるようになりました。
「テートクゥ! 一緒にゲーセン行くネー!」
「榛名もお供します」
「提督さん、私も私も」
「ここは譲れません」
「吾輩も行くぞ」
「電も行きたいのです」
(こうなる予感はしてたんだよなぁ……)
大鳳と浦風の部屋には、提督の頬に左右からキスをしているプリクラが大事に保管されるようになりました。
355: 2014/09/05(金) 20:34:06.40 ID:ftiJacNn0
・ちびあきつ丸『大手を振ってサボれ――』、投下します
356: 2014/09/05(金) 20:34:39.91 ID:ftiJacNn0
――――廊下。
(提督殿に愛して頂けて、一週間は仕事をしなくていい。正に一石二鳥であります)
ずり落ちて片目が隠れそうになっているいつもの帽子と、膝までを覆うようになったブカブカの服を着て、あきつ丸は自室へと歩いていた。
この姿では憲兵としての仕事が出来ないという大義名分が出来たので、一週間サボれると考えている辺り、やはり昔の真面目さは欠片程も感じられない。
「映画もこの姿なら子供料金で見られるでありますな、存分に子供姿を満喫させてもらうでありま――」
「あっあきつ丸さん! ちょうどいいところに居てくれて助かりました!」
「何でありますか漣。自分は今から部屋で借りているDVDを見るという大事な使命が――」
「ビスマルクさんのパン屋が人足りなくて、てんてこ舞いなんですよ。ちょっとそのまま外で待ってるお客様方にお茶配って下さい」
「こ、この恰好ででありますか!?」
「破壊力抜群だと思いますよ、それ。さぁさぁ行っちゃいましょうやっちゃいましょう」
「待つであります、いくらなんでもこの恰好は恥ずかしいでありますー!」
――二時間後。
(ひ、酷い目に遇ったであります……)
しっかりこき使われた後、ようやく解放されたあきつ丸は今度こそ自室を目指す。
片手には焼きたてのパンが握られているが、食べる気力などあるはずも無い。
(今日はもう部屋に籠るであります、絶対に出ないであります)
そう強く決意したあきつ丸。
――しかし、現実はそんなに甘くはなかった。
「あきつ丸」
「っ!? な、何でありますか大淀、書類の件ならもう散々謝ったであります」
「いえ、今日は別の件で来ました」
「まだ何かあるでありますか?」
「えぇ、提督から自主的に貴女が鎮守府内の店舗運営などに関する監査を行っていると聞きました。今回はそれをより明確なデータとして形にする為に、チェックシートを作ろうと思っています」
「ま、まさかそれを今から作るのを手伝えというつもりでありますか……?」
「当然です。コレは貴女の仕事なんですから」
「そうでありますか……絶対に嫌であります!」
(ここは逃げるが勝ちでありま――)
「身体が縮んでること、忘れてませんか?」
「はーなーすーでーあーりーまーすー!」
「さぁ、行きますよ」
「何で、何で小さくなったのに仕事ばっかなのでありますかー!」
(提督殿に愛して頂けて、一週間は仕事をしなくていい。正に一石二鳥であります)
ずり落ちて片目が隠れそうになっているいつもの帽子と、膝までを覆うようになったブカブカの服を着て、あきつ丸は自室へと歩いていた。
この姿では憲兵としての仕事が出来ないという大義名分が出来たので、一週間サボれると考えている辺り、やはり昔の真面目さは欠片程も感じられない。
「映画もこの姿なら子供料金で見られるでありますな、存分に子供姿を満喫させてもらうでありま――」
「あっあきつ丸さん! ちょうどいいところに居てくれて助かりました!」
「何でありますか漣。自分は今から部屋で借りているDVDを見るという大事な使命が――」
「ビスマルクさんのパン屋が人足りなくて、てんてこ舞いなんですよ。ちょっとそのまま外で待ってるお客様方にお茶配って下さい」
「こ、この恰好ででありますか!?」
「破壊力抜群だと思いますよ、それ。さぁさぁ行っちゃいましょうやっちゃいましょう」
「待つであります、いくらなんでもこの恰好は恥ずかしいでありますー!」
――二時間後。
(ひ、酷い目に遇ったであります……)
しっかりこき使われた後、ようやく解放されたあきつ丸は今度こそ自室を目指す。
片手には焼きたてのパンが握られているが、食べる気力などあるはずも無い。
(今日はもう部屋に籠るであります、絶対に出ないであります)
そう強く決意したあきつ丸。
――しかし、現実はそんなに甘くはなかった。
「あきつ丸」
「っ!? な、何でありますか大淀、書類の件ならもう散々謝ったであります」
「いえ、今日は別の件で来ました」
「まだ何かあるでありますか?」
「えぇ、提督から自主的に貴女が鎮守府内の店舗運営などに関する監査を行っていると聞きました。今回はそれをより明確なデータとして形にする為に、チェックシートを作ろうと思っています」
「ま、まさかそれを今から作るのを手伝えというつもりでありますか……?」
「当然です。コレは貴女の仕事なんですから」
「そうでありますか……絶対に嫌であります!」
(ここは逃げるが勝ちでありま――)
「身体が縮んでること、忘れてませんか?」
「はーなーすーでーあーりーまーすー!」
「さぁ、行きますよ」
「何で、何で小さくなったのに仕事ばっかなのでありますかー!」
357: 2014/09/05(金) 20:35:07.83 ID:ftiJacNn0
――――パン屋チェックシート作成鬼ごっこ大会清掃その他諸々……もう働きたくないであります……。
――――あきつ丸さん、ちょっと服のモデルしてもらえないかしらー?
――――荒潮、他を当たって欲しいでありま――っていつの間に着替えさせたでありますか!?
――――うふふ、さぁ行きましょうか。
――――もう勘弁して欲しいでありますー!
――――あきつ丸さん、ちょっと服のモデルしてもらえないかしらー?
――――荒潮、他を当たって欲しいでありま――っていつの間に着替えさせたでありますか!?
――――うふふ、さぁ行きましょうか。
――――もう勘弁して欲しいでありますー!
360: 2014/09/06(土) 21:56:07.80 ID:m/LW+JTF0
・加賀『夜戦ですか?』、投下します
361: 2014/09/06(土) 21:56:46.72 ID:m/LW+JTF0
――――提督私室。
「お断りします」
「……分かった」
たまには自分から誘ってみようと、勇気を出した提督。
結果は拒否。加賀から断られるなどとは思っていなかっただけに、一気に彼の気分は深く沈む。
(何か怒らせるような事、したか……?)
原因を考えるものの、この日も二人は普段通りに仲睦まじく過ごしていたので、全く提督には心当たりが無い。
「提督」
「何だ? 部屋に戻りたいのなら戻っても構わないぞ?」
「? 何故戻らなければいけないの? そうではなくて、その……ごめんなさいね」
「待て、何で加賀が謝る」
「明後日、地域の方と今度開催する催し物の打ち合わせがあって、小さくなる訳にはいかないの。だから……」
「嫌だから断ったんじゃ、ないのか?」
「それはあり得ません」
「そ、そうか……はぁ」
「次の秘書艦日は必ず大丈夫にしておきます。ですから、その時に……」
「あぁ、分かった」
「では、そろそろベッドに」
「そうだな、寝るか」
「――提督」
「ん? どうした?」
「ど、どうしてもというのなら代役を立てて……」
「いや、大丈夫だ。次の秘書艦日まで待つさ」
「……そう」
「――加賀、顔が近い」
「近いわね」
「膝が当たってるんだが」
「そうね」
「コレで寝ろと?」
「えぇ、寝て下さい」
「寝れるか!」
「そうですか。では、仕方ありません」
「おい待て、どうする気だ」
「提督が安眠出来るよう、全力を尽くします」
(……抵抗するだけ無駄だな、もうなるようになれ)
――――結ばれなければ、小さくはならないようですね。
――――みたいだな……。
――――では、失礼します。
――――(……暫く夜戦、断らせてくれねぇかな……)
「お断りします」
「……分かった」
たまには自分から誘ってみようと、勇気を出した提督。
結果は拒否。加賀から断られるなどとは思っていなかっただけに、一気に彼の気分は深く沈む。
(何か怒らせるような事、したか……?)
原因を考えるものの、この日も二人は普段通りに仲睦まじく過ごしていたので、全く提督には心当たりが無い。
「提督」
「何だ? 部屋に戻りたいのなら戻っても構わないぞ?」
「? 何故戻らなければいけないの? そうではなくて、その……ごめんなさいね」
「待て、何で加賀が謝る」
「明後日、地域の方と今度開催する催し物の打ち合わせがあって、小さくなる訳にはいかないの。だから……」
「嫌だから断ったんじゃ、ないのか?」
「それはあり得ません」
「そ、そうか……はぁ」
「次の秘書艦日は必ず大丈夫にしておきます。ですから、その時に……」
「あぁ、分かった」
「では、そろそろベッドに」
「そうだな、寝るか」
「――提督」
「ん? どうした?」
「ど、どうしてもというのなら代役を立てて……」
「いや、大丈夫だ。次の秘書艦日まで待つさ」
「……そう」
「――加賀、顔が近い」
「近いわね」
「膝が当たってるんだが」
「そうね」
「コレで寝ろと?」
「えぇ、寝て下さい」
「寝れるか!」
「そうですか。では、仕方ありません」
「おい待て、どうする気だ」
「提督が安眠出来るよう、全力を尽くします」
(……抵抗するだけ無駄だな、もうなるようになれ)
――――結ばれなければ、小さくはならないようですね。
――――みたいだな……。
――――では、失礼します。
――――(……暫く夜戦、断らせてくれねぇかな……)
368: 2014/09/06(土) 22:53:08.29 ID:m/LW+JTF0
・鳳翔『私の一日』
・ゴーヤ『改良品がまた出来たでち』
・叢雲『私の魅力』
・ちび龍驤『駆逐艦ちゃうわ!』
・由良『あっ……』
以上五本でち
・ゴーヤ『改良品がまた出来たでち』
・叢雲『私の魅力』
・ちび龍驤『駆逐艦ちゃうわ!』
・由良『あっ……』
以上五本でち
373: 2014/09/07(日) 14:57:14.84 ID:UksAuQbu0
・鳳翔『私の一日』、投下します
374: 2014/09/07(日) 14:57:43.06 ID:UksAuQbu0
――――早朝。
――コーケコッコー!
「今日も美味しい卵をありがとうございます」
鶏の鳴き声と共に起床し、身支度を整え、卵を回収するところから鳳翔の一日は始まる。
(豆腐のお味噌汁と沢庵、鯖の塩焼き、後は玉子焼きとほうれん草のお浸しにしましょう)
朝食を作り、鎮守府の中心部からは離れたこの家で一人で――。
「おはようございまあす」
「大鯨、おはようございます」
「今日もご一緒させてもらってもいいんですか?」
「一人分も二人分も変わりませんから」
「ありがとうございます、鳳翔さん」
「うふふ、たくさん召し上がって下さいね」
今は、二人で食べている。
「それでは大鯨、コレとコレとコレを間宮さんのところまでお願いします」
「分かりました。またお昼ぐらいに来ますね」
「えぇ、お茶を用意して待ってますね」
朝食後、収穫した野菜等を大鯨に運んでもらい、それから畑の手入れを開始。
一通り手入れを終えた後は、昼食を作る傍ら、居酒屋用の仕込みも始める。
(今日は誰が来るかしら)
毎日必ず誰かしらが来るのは、料理の腕前は勿論のこと、鳳翔の人柄によるところが大きい。
――コーケコッコー!
「今日も美味しい卵をありがとうございます」
鶏の鳴き声と共に起床し、身支度を整え、卵を回収するところから鳳翔の一日は始まる。
(豆腐のお味噌汁と沢庵、鯖の塩焼き、後は玉子焼きとほうれん草のお浸しにしましょう)
朝食を作り、鎮守府の中心部からは離れたこの家で一人で――。
「おはようございまあす」
「大鯨、おはようございます」
「今日もご一緒させてもらってもいいんですか?」
「一人分も二人分も変わりませんから」
「ありがとうございます、鳳翔さん」
「うふふ、たくさん召し上がって下さいね」
今は、二人で食べている。
「それでは大鯨、コレとコレとコレを間宮さんのところまでお願いします」
「分かりました。またお昼ぐらいに来ますね」
「えぇ、お茶を用意して待ってますね」
朝食後、収穫した野菜等を大鯨に運んでもらい、それから畑の手入れを開始。
一通り手入れを終えた後は、昼食を作る傍ら、居酒屋用の仕込みも始める。
(今日は誰が来るかしら)
毎日必ず誰かしらが来るのは、料理の腕前は勿論のこと、鳳翔の人柄によるところが大きい。
375: 2014/09/07(日) 14:58:12.77 ID:UksAuQbu0
――――昼過ぎ。
「鳳翔さん、来ましたよー」
「いらっしゃい。今お茶淹れますから」
「一緒に食べようと思って、間宮さんから羊羮貰ってきちゃいました」
「あら嬉しい。じゃあ切り分けますね」
今は大鯨がほぼ毎日、空母組も時折ちらほらと訪れ、午後の静かな一時を彼女と過ごす。
――――夕方。
(今日は何を作ろうかしら)
居酒屋開店の為の粗方の仕込みや準備を終えると、鳳翔は編み物や裁縫を始める。
頼まれて作ることもあるが、基本的には自由気ままに作って店に飾ったり、訪れた者に配ったりしていた。
(――うん、今日は加賀の縫いぐるみにしましょう)
――――開店時間。
「いらっしゃい、千歳、千代田」
「鳳翔さん、芋焼酎頂けますか?」
「私は今日は梅酒にしよっかな」
「何か作りましょうか?」
「じゃあ、タコわさを」
「えーっと……軟骨の唐揚げで」
「はい、すぐに作りますね」
「鳳翔さん聞いてよ、千歳お姉ぇったら私に黙って提督と温泉行ってたんだよ、酷いと思わない?」
「あら、そうなの?」
「千代田も比叡と山城と旅行に行ってたんです。それなのにこの子ってば……」
「ふふ、千代田も提督と千歳と温泉に行きたかったのよね」
「……うん」
「なら、次は三人で行きたいって提督にお願いしてみたらどう?」
「……うん、そうする」
「ようやく姉離れしてくれたと思ったのに、まだまだ手がかかるんだから……」
「あら、千代田が旅行に行ってる間、眠りが浅いって言ってた気が――」
「ちょっと鳳翔さん! それは千代田には内緒って言ったじゃないですか!」
「そうだったかしら?」
「千歳お姉ぇも私の事言えないじゃん」
「仕方無いじゃない、何だか落ち着かないんだもの」
(うちの姉妹艦達は本当に仲が良くていいわね、見てて微笑ましいわ)
店に来る艦娘達と色々な話をするのが、鳳翔の一番の楽しみだ。
時には愚痴を、時には悩みを聞きながら、彼女はこれからも居酒屋鳳翔を憩いの場として営業し続ける。
「鳳翔さん、来ましたよー」
「いらっしゃい。今お茶淹れますから」
「一緒に食べようと思って、間宮さんから羊羮貰ってきちゃいました」
「あら嬉しい。じゃあ切り分けますね」
今は大鯨がほぼ毎日、空母組も時折ちらほらと訪れ、午後の静かな一時を彼女と過ごす。
――――夕方。
(今日は何を作ろうかしら)
居酒屋開店の為の粗方の仕込みや準備を終えると、鳳翔は編み物や裁縫を始める。
頼まれて作ることもあるが、基本的には自由気ままに作って店に飾ったり、訪れた者に配ったりしていた。
(――うん、今日は加賀の縫いぐるみにしましょう)
――――開店時間。
「いらっしゃい、千歳、千代田」
「鳳翔さん、芋焼酎頂けますか?」
「私は今日は梅酒にしよっかな」
「何か作りましょうか?」
「じゃあ、タコわさを」
「えーっと……軟骨の唐揚げで」
「はい、すぐに作りますね」
「鳳翔さん聞いてよ、千歳お姉ぇったら私に黙って提督と温泉行ってたんだよ、酷いと思わない?」
「あら、そうなの?」
「千代田も比叡と山城と旅行に行ってたんです。それなのにこの子ってば……」
「ふふ、千代田も提督と千歳と温泉に行きたかったのよね」
「……うん」
「なら、次は三人で行きたいって提督にお願いしてみたらどう?」
「……うん、そうする」
「ようやく姉離れしてくれたと思ったのに、まだまだ手がかかるんだから……」
「あら、千代田が旅行に行ってる間、眠りが浅いって言ってた気が――」
「ちょっと鳳翔さん! それは千代田には内緒って言ったじゃないですか!」
「そうだったかしら?」
「千歳お姉ぇも私の事言えないじゃん」
「仕方無いじゃない、何だか落ち着かないんだもの」
(うちの姉妹艦達は本当に仲が良くていいわね、見てて微笑ましいわ)
店に来る艦娘達と色々な話をするのが、鳳翔の一番の楽しみだ。
時には愚痴を、時には悩みを聞きながら、彼女はこれからも居酒屋鳳翔を憩いの場として営業し続ける。
376: 2014/09/07(日) 14:58:51.23 ID:UksAuQbu0
――――こんな感じでいいでしょうか。
――――えぇ、これなら問題ありません。
――――じゃあ“鳳翔さんの一日”、早速記事にしちゃいますね。
――――写真はなるべく綺麗に写ってるのでお願いしますね。
――――えぇ、これなら問題ありません。
――――じゃあ“鳳翔さんの一日”、早速記事にしちゃいますね。
――――写真はなるべく綺麗に写ってるのでお願いしますね。
378: 2014/09/08(月) 21:01:16.83 ID:YJvfZAtp0
・ゴーヤ『改良品がまた出来たでち』 、投下します
379: 2014/09/08(月) 21:01:44.58 ID:YJvfZAtp0
――――???
「出来たでち、コレでまたてーとくが褒めてくれるでち」
鎮守府の一角にあるゴーヤ栽培施設。
日々品種改良が繰り返されており、これまでに“でちゴーヤ”、“なのねゴーヤ”等が市場へと卸されていた。
「イムヤ、はっちゃん、協力感謝でち」
ゴーヤの声に、二人は机に突っ伏したまま手をヒラヒラと振り応える。
その机の上には、所狭しとゴーヤ料理が並べられていた。
(でもやっぱり、試食はもっといっぱいしてもらいたいでち。鎮守府の皆にも配ってみよっと)
――第一次鎮守府内語尾崩壊事件、始まります。
「出来たでち、コレでまたてーとくが褒めてくれるでち」
鎮守府の一角にあるゴーヤ栽培施設。
日々品種改良が繰り返されており、これまでに“でちゴーヤ”、“なのねゴーヤ”等が市場へと卸されていた。
「イムヤ、はっちゃん、協力感謝でち」
ゴーヤの声に、二人は机に突っ伏したまま手をヒラヒラと振り応える。
その机の上には、所狭しとゴーヤ料理が並べられていた。
(でもやっぱり、試食はもっといっぱいしてもらいたいでち。鎮守府の皆にも配ってみよっと)
――第一次鎮守府内語尾崩壊事件、始まります。
380: 2014/09/08(月) 21:02:18.59 ID:YJvfZAtp0
――――食堂。
「どうでちか?」
「美味しいですよっぽい」
「以前卸してもらってたのとはまた少し味が違いますにゃ」
「こ、このゴーヤ大丈夫なんですかあクマ?……クマッ!?」
「身体には一切問題ないよ? ゴーヤのゴーヤは安心安全がモットーでち」
「お代わりお願いしますっぽい」
「全部食べちゃダメでち!」
――――金剛型私室。
「比叡さんのカレーに入れてみたでち」
「good tasteネーであります」
「私のカレーに凄く合いますぴょん」
「は、榛名は大丈夫です……」
「榛名、鎮守府の仲間の為に協力してあげるべきかと思いますのじゃ」
「榛名さん、美味しいから騙されたと思って食べてみて欲しいでち」
「榛名は大丈夫ですー!」
――――提督執務室。
「何か鎮守府のそこかしこから色々聞こえてきたんだが、お前の仕業か?」
「その言い方は酷いでち、ゴーヤはただ美味しいゴーヤを配って歩いてるだけだよぉ……」
(まぁ、確かに味は良いんだよな……)
「悪かった、俺も食べるからくれ」
「召し上がれでち」
「――うん、前より口当たりが良くなったな……ん?」
「どうしたでちか?」
「いや、コレが普通なんだが、語尾は変わらないのか?」
「コレは普通に美味しく作ったゴーヤだよ? 全部が全部あんな風に作ってる訳じゃないでち」
「正直、お前が作ると全部語尾が変わると思ってた」
「てーとくはゴーヤの事を何だと思ってるでちか」
(普通は絶対に出来ないと思うんだがなぁ……)
「お代わり、いる?」
「あぁ、食べる」
――――次は見た目にインパクトのあるゴーヤを作るでち。
――――具体的にはどんなのを作るんだ?
――――紫と黄色の斑模様にしてみるでち。
――――やめろ、食欲を無くす。
「どうでちか?」
「美味しいですよっぽい」
「以前卸してもらってたのとはまた少し味が違いますにゃ」
「こ、このゴーヤ大丈夫なんですかあクマ?……クマッ!?」
「身体には一切問題ないよ? ゴーヤのゴーヤは安心安全がモットーでち」
「お代わりお願いしますっぽい」
「全部食べちゃダメでち!」
――――金剛型私室。
「比叡さんのカレーに入れてみたでち」
「good tasteネーであります」
「私のカレーに凄く合いますぴょん」
「は、榛名は大丈夫です……」
「榛名、鎮守府の仲間の為に協力してあげるべきかと思いますのじゃ」
「榛名さん、美味しいから騙されたと思って食べてみて欲しいでち」
「榛名は大丈夫ですー!」
――――提督執務室。
「何か鎮守府のそこかしこから色々聞こえてきたんだが、お前の仕業か?」
「その言い方は酷いでち、ゴーヤはただ美味しいゴーヤを配って歩いてるだけだよぉ……」
(まぁ、確かに味は良いんだよな……)
「悪かった、俺も食べるからくれ」
「召し上がれでち」
「――うん、前より口当たりが良くなったな……ん?」
「どうしたでちか?」
「いや、コレが普通なんだが、語尾は変わらないのか?」
「コレは普通に美味しく作ったゴーヤだよ? 全部が全部あんな風に作ってる訳じゃないでち」
「正直、お前が作ると全部語尾が変わると思ってた」
「てーとくはゴーヤの事を何だと思ってるでちか」
(普通は絶対に出来ないと思うんだがなぁ……)
「お代わり、いる?」
「あぁ、食べる」
――――次は見た目にインパクトのあるゴーヤを作るでち。
――――具体的にはどんなのを作るんだ?
――――紫と黄色の斑模様にしてみるでち。
――――やめろ、食欲を無くす。
385: 2014/09/09(火) 20:57:09.48 ID:iTO+Ag7j0
・叢雲『私の魅力』、投下します
あっちで酉つけ忘れた…
あっちで酉つけ忘れた…
386: 2014/09/09(火) 20:58:09.33 ID:iTO+Ag7j0
――――提督執務室。
「ほら、昼食作ってあげたわよ、食べなさい」
「ん、コレが終わったら――ってコラ叢雲! 書類返せ!」
「さっさと食べて、片付けられないから」
「書類一枚終わらせる程度は待ってくれてもいいだろ」
「……冷めないうちに食べて欲しいだけよ、悪い?」
「――すまん、すぐに食べる」
「ふん、最初からそうしなさい」
「うん、熱々で美味いぞ、このドリア」
「私が作ったんだから当然でしょ。足りなければお代わりも用意してあるわ」
「あぁ、頼む」
「……司令官」
「ん? 何だ?」
「コレ、どう?」
「ポニーテールは引っ張りた――待て、盆の角は地味に痛いからやめろ」
「私は真面目に聞いているの」
「そうだな……普段のストレートも好きだが、ポニーテールも可愛いと思うぞ」
「……そ、じゃあ今日はこのままにしておくから有り難く拝みなさい」
「なぁ叢雲、少し引っ張って――」
「ドリアを顔面に投げ付けるわよ?」
「食べ物を粗末にするのはいかんからやめとく」
「全く、アンタみたいなのが司令官だと苦労させられっぱなしだわ」
「今更何言ってんだ、起きてるだけ今はマシだろ」
「そうね、起きてるだけマシね。結局は吹雪と加賀さんと大淀さんが大半の雑務はこなしているようだけど」
「おい、俺が全く働いてないみたいな言い方はやめろ」
「まっ、精々頑張りなさい」
「言われなくてもコレ食ったら頑張るさ」
(……この話題は失敗だったかもしれないわね)
――翌日。
「で、どうだった?」
「仕事を張り切ってて、少しなら髪を触っていいとか言うタイミングを逃したわ」
「叢雲、髪綺麗なのに今までは頑なに触らせようとしなかったもんね」
「髪だけが私の魅力だと言われているみたいで癪だったのよ」
「司令官はちゃんと一人一人を見てくれてるよ?」
「さぁ、どうかしら……」
――――アンタ、私の魅力的なところを十個言ってみなさい。
――――十個でいいのか?
――――え?
――――容姿と性格は分けて十個ずつってことなのか?
――――そ、そんなにいっぱい言わなくていいわよ!
「ほら、昼食作ってあげたわよ、食べなさい」
「ん、コレが終わったら――ってコラ叢雲! 書類返せ!」
「さっさと食べて、片付けられないから」
「書類一枚終わらせる程度は待ってくれてもいいだろ」
「……冷めないうちに食べて欲しいだけよ、悪い?」
「――すまん、すぐに食べる」
「ふん、最初からそうしなさい」
「うん、熱々で美味いぞ、このドリア」
「私が作ったんだから当然でしょ。足りなければお代わりも用意してあるわ」
「あぁ、頼む」
「……司令官」
「ん? 何だ?」
「コレ、どう?」
「ポニーテールは引っ張りた――待て、盆の角は地味に痛いからやめろ」
「私は真面目に聞いているの」
「そうだな……普段のストレートも好きだが、ポニーテールも可愛いと思うぞ」
「……そ、じゃあ今日はこのままにしておくから有り難く拝みなさい」
「なぁ叢雲、少し引っ張って――」
「ドリアを顔面に投げ付けるわよ?」
「食べ物を粗末にするのはいかんからやめとく」
「全く、アンタみたいなのが司令官だと苦労させられっぱなしだわ」
「今更何言ってんだ、起きてるだけ今はマシだろ」
「そうね、起きてるだけマシね。結局は吹雪と加賀さんと大淀さんが大半の雑務はこなしているようだけど」
「おい、俺が全く働いてないみたいな言い方はやめろ」
「まっ、精々頑張りなさい」
「言われなくてもコレ食ったら頑張るさ」
(……この話題は失敗だったかもしれないわね)
――翌日。
「で、どうだった?」
「仕事を張り切ってて、少しなら髪を触っていいとか言うタイミングを逃したわ」
「叢雲、髪綺麗なのに今までは頑なに触らせようとしなかったもんね」
「髪だけが私の魅力だと言われているみたいで癪だったのよ」
「司令官はちゃんと一人一人を見てくれてるよ?」
「さぁ、どうかしら……」
――――アンタ、私の魅力的なところを十個言ってみなさい。
――――十個でいいのか?
――――え?
――――容姿と性格は分けて十個ずつってことなのか?
――――そ、そんなにいっぱい言わなくていいわよ!
387: 2014/09/10(水) 01:13:15.62 ID:hd5IM8UC0
・ちび龍驤『駆逐艦ちゃうわ!』、投下します
388: 2014/09/10(水) 01:13:45.96 ID:hd5IM8UC0
――――鎮守府。
(何や変な気分やなぁ、ちっちゃいっちゅうんは)
フラフラと鎮守府内を散歩する龍驤。
その姿は縮んでおり、今はデニムのサロペットにシャツという恰好だ。
(コレで似合ってるとか言われても嬉し無いわ)
確かに今の恰好は、龍驤にとても似合っている。しかし、それは子供らしいとか、可愛らしいといった意味でである。
綺麗と言われたい彼女からすれば、素直に喜べるものではない。
「――あっ、くちくかんのお姉ちゃんだ」
「駆逐艦ちゃうわ!」
「ひっ!?」
「あっ、ご、ごめんな急に怒鳴ってもうて、お詫びにコレあげるわ」
「コレ、なぁに?」
「クッキーや、間宮さんのやから美味しいで」
幼い少女に怒鳴ってしまったお詫びに、龍驤はポケットにたまたま入れていた袋入りの間宮特製クッキーを手渡す。
それを一口二口と食べていくうちに、涙目になっていた少女の顔はみるみる明るくなり、クッキーを食べ終わる頃にはニコニコとしていた。
「どうや? 美味しかったやろ?」
「うん!」
「それで、キミは何でここに居んの? どっから来たん?」
「んとね、たいほーってくちくかんのお姉ちゃん探してるの。いつものベンチに居なかったから」
「く、駆逐艦……ま、まぁそれは今は置いといて、大鳳探してんの?」
「うん、色んなかんむすのお姉ちゃん達のお話をいっつも聞かせてくれるから」
(参ったねこりゃ、大鳳は今日秘書艦日で提督と出掛ける言うてたし……)
「たいほーお姉ちゃん、居ないの……?」
「ごめんな、大鳳は今日はちょっと忙しくてお話出来ひんのよ。――その代わり、うちが今日はキミに面白い話いっぱいしたげるわ」
「ホント!?」
「ホントホント、だから一緒にあっち行こうな。こっちは危ないで、おっかなーい加賀ってお姉ちゃんがおるからな」
「聞いたことある! 怒るとツノが生えるお姉ちゃんでしょ?」
(大鳳、普段何話してんねん……)
(何や変な気分やなぁ、ちっちゃいっちゅうんは)
フラフラと鎮守府内を散歩する龍驤。
その姿は縮んでおり、今はデニムのサロペットにシャツという恰好だ。
(コレで似合ってるとか言われても嬉し無いわ)
確かに今の恰好は、龍驤にとても似合っている。しかし、それは子供らしいとか、可愛らしいといった意味でである。
綺麗と言われたい彼女からすれば、素直に喜べるものではない。
「――あっ、くちくかんのお姉ちゃんだ」
「駆逐艦ちゃうわ!」
「ひっ!?」
「あっ、ご、ごめんな急に怒鳴ってもうて、お詫びにコレあげるわ」
「コレ、なぁに?」
「クッキーや、間宮さんのやから美味しいで」
幼い少女に怒鳴ってしまったお詫びに、龍驤はポケットにたまたま入れていた袋入りの間宮特製クッキーを手渡す。
それを一口二口と食べていくうちに、涙目になっていた少女の顔はみるみる明るくなり、クッキーを食べ終わる頃にはニコニコとしていた。
「どうや? 美味しかったやろ?」
「うん!」
「それで、キミは何でここに居んの? どっから来たん?」
「んとね、たいほーってくちくかんのお姉ちゃん探してるの。いつものベンチに居なかったから」
「く、駆逐艦……ま、まぁそれは今は置いといて、大鳳探してんの?」
「うん、色んなかんむすのお姉ちゃん達のお話をいっつも聞かせてくれるから」
(参ったねこりゃ、大鳳は今日秘書艦日で提督と出掛ける言うてたし……)
「たいほーお姉ちゃん、居ないの……?」
「ごめんな、大鳳は今日はちょっと忙しくてお話出来ひんのよ。――その代わり、うちが今日はキミに面白い話いっぱいしたげるわ」
「ホント!?」
「ホントホント、だから一緒にあっち行こうな。こっちは危ないで、おっかなーい加賀ってお姉ちゃんがおるからな」
「聞いたことある! 怒るとツノが生えるお姉ちゃんでしょ?」
(大鳳、普段何話してんねん……)
389: 2014/09/10(水) 01:14:15.03 ID:hd5IM8UC0
――――遊技場。
「いつもここでお話してくれるんだよ」
「うん、知っとるよ。お姉ちゃんも大鳳とは仲良しやからね」
「――アレ、今日は大鳳お姉ちゃんじゃないの?」
「お姉ちゃん、誰?」
「うちはなぁ、龍驤っていうんよ。コレでもちゃんとした空母なんやで?」
「うっそだー絶対くちくかんでしょ」
「駆逐艦じゃなくて空母やって」
「嘘つきはドロボーの始まりなんだよー?」
「嘘やないってば」
「じゃあ証拠見せてよー」
「うぐっ……い、今はちょーっと都合が悪くてな?」
「やっぱりお姉ちゃん、くちくかんなんでしょ」
「――分かった。ちょっと待っときや、すぐに証拠見せたるから」
――――止めんなや夕張! うちにもプライドっちゅうもんがあるんや!
――――龍驤今は小さくなってるんだから、艤装なんて装備したら何起こるか分からないから絶対にダメ!
――――うちは空母やー! 駆逐艦とちゃうんやー!
――――誰かこの駄々っ子止めるの手伝ってー!
「いつもここでお話してくれるんだよ」
「うん、知っとるよ。お姉ちゃんも大鳳とは仲良しやからね」
「――アレ、今日は大鳳お姉ちゃんじゃないの?」
「お姉ちゃん、誰?」
「うちはなぁ、龍驤っていうんよ。コレでもちゃんとした空母なんやで?」
「うっそだー絶対くちくかんでしょ」
「駆逐艦じゃなくて空母やって」
「嘘つきはドロボーの始まりなんだよー?」
「嘘やないってば」
「じゃあ証拠見せてよー」
「うぐっ……い、今はちょーっと都合が悪くてな?」
「やっぱりお姉ちゃん、くちくかんなんでしょ」
「――分かった。ちょっと待っときや、すぐに証拠見せたるから」
――――止めんなや夕張! うちにもプライドっちゅうもんがあるんや!
――――龍驤今は小さくなってるんだから、艤装なんて装備したら何起こるか分からないから絶対にダメ!
――――うちは空母やー! 駆逐艦とちゃうんやー!
――――誰かこの駄々っ子止めるの手伝ってー!
395: 2014/09/10(水) 21:08:10.01 ID:hd5IM8UC0
・由良『あっ……』、投下します
396: 2014/09/10(水) 21:08:45.85 ID:hd5IM8UC0
――――長良型私室。
(どうしよう……名取のマグカップ割っちゃった……)
洗い物の最中、手から滑り落ちたマグカップ。
とっさに掴んだまでは良かったのだが、力加減を間違えて砕いてしまう。
(コレ、名取が提督にプレゼントしてもらったって言って大事にしてたやつだよね……本当にどうしよう……)
蛇口から流れる水の音と、後ろから聞こえる五人の笑い声を聞きながら、由良は暫しそのまま硬直する。
そして、十数秒経ってからようやく彼女は再び動き出した。
(とりあえず、提督さんに相談して同じの探そう。うん、そうしよう)
怒られるのが怖いとか嫌なのではなく、悲しむ名取の顔を見たくないと言うのが由良の正直な気持ちだ。
それは所詮先伸ばしでしか無く、新しく買ってきて済む話では無いにしても、そうしなければ大好きな姉に申し訳無さすぎて彼女自身が辛いのだった。
――――提督執務室。
「――だから、今から買ったお店に連れてって」
「待て、仕事はどうすんだよ」
「後で頑張る」
「書類、かなりあるんだが」
「いっぱい頑張るよ? 提督さんのお願いも何でも聞いてあげるから、ね? ね?」
「……俺じゃなくて、名取のお願い聞いてやれ」
「うん、分かった」
(どうしよう……名取のマグカップ割っちゃった……)
洗い物の最中、手から滑り落ちたマグカップ。
とっさに掴んだまでは良かったのだが、力加減を間違えて砕いてしまう。
(コレ、名取が提督にプレゼントしてもらったって言って大事にしてたやつだよね……本当にどうしよう……)
蛇口から流れる水の音と、後ろから聞こえる五人の笑い声を聞きながら、由良は暫しそのまま硬直する。
そして、十数秒経ってからようやく彼女は再び動き出した。
(とりあえず、提督さんに相談して同じの探そう。うん、そうしよう)
怒られるのが怖いとか嫌なのではなく、悲しむ名取の顔を見たくないと言うのが由良の正直な気持ちだ。
それは所詮先伸ばしでしか無く、新しく買ってきて済む話では無いにしても、そうしなければ大好きな姉に申し訳無さすぎて彼女自身が辛いのだった。
――――提督執務室。
「――だから、今から買ったお店に連れてって」
「待て、仕事はどうすんだよ」
「後で頑張る」
「書類、かなりあるんだが」
「いっぱい頑張るよ? 提督さんのお願いも何でも聞いてあげるから、ね? ね?」
「……俺じゃなくて、名取のお願い聞いてやれ」
「うん、分かった」
397: 2014/09/10(水) 21:09:12.31 ID:hd5IM8UC0
――――同日、夜。
「――名取」
「由良? どうかしたの? 今日秘書艦日でしょ?」
「あの、ね……ごめん、コレ……」
「あっ、私のマグカップ……そっか、割れちゃったんだ……」
「朝、割っちゃって、それで――」
「怪我は? 欠片で指切ったりしてない?」
「えっ? あっ、うん、大丈夫、だよ?」
「そう、良かった」
「……怒ら、ないの?」
「ちょっと悲しいけど、割れちゃった物は仕方無いよ」
「ごめんね、本当に、ごめん……」
「ほら、泣かないで由良。私は怒ってないから」
「うん……あの、コレ」
「――同じマグカップ? 由良が買ってきてくれたの?」
「提督さんに教えてもらって、同じの探したの。代わりにならないのは分かってるけど……」
「ううん、ありがとう由良。大事に使うね」
「……うん」
――――それで? この書類の山は何?
――――カッコつけた結果だよ!
――――はぁ……妹の為だから今回だけは大目に見てあげるわ。さっさと片付けるわよ。
――――すまん、助かる……。
「――名取」
「由良? どうかしたの? 今日秘書艦日でしょ?」
「あの、ね……ごめん、コレ……」
「あっ、私のマグカップ……そっか、割れちゃったんだ……」
「朝、割っちゃって、それで――」
「怪我は? 欠片で指切ったりしてない?」
「えっ? あっ、うん、大丈夫、だよ?」
「そう、良かった」
「……怒ら、ないの?」
「ちょっと悲しいけど、割れちゃった物は仕方無いよ」
「ごめんね、本当に、ごめん……」
「ほら、泣かないで由良。私は怒ってないから」
「うん……あの、コレ」
「――同じマグカップ? 由良が買ってきてくれたの?」
「提督さんに教えてもらって、同じの探したの。代わりにならないのは分かってるけど……」
「ううん、ありがとう由良。大事に使うね」
「……うん」
――――それで? この書類の山は何?
――――カッコつけた結果だよ!
――――はぁ……妹の為だから今回だけは大目に見てあげるわ。さっさと片付けるわよ。
――――すまん、助かる……。
398: 2014/09/10(水) 21:15:54.99 ID:hd5IM8UC0
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最近夜ばかりだったのでたまには朝で
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