404: 2014/09/11(木) 02:26:40.13 ID:Qq1+B6Zn0


前回はこちら

全部書けるだけのキャパシティが1に無くて申し訳無いのです…

そんな訳で気紛れ更新

405: 2014/09/11(木) 02:27:17.87 ID:Qq1+B6Zn0
――――提督執務室。

「提督、紅茶を淹れたわ。お茶にしましょうよ」

「あぁ、わか・・・・・・んっ!?」

「どうかしたの? 私の顔に何かついてる?」

「金剛、お前、英語……」

「試しに日本語だけにしてみたの、変かしら?」

「いや、おかしくはないんだが、どうしたんだよ急に」

「ふふ、提督を驚かせたかったのが一番ね。凄く間抜けな顔しちゃってたわよ?」

「完全にやられたよ、練習したのか?」

「ううん、もうだいぶ前からこういう風に話せたけど、そうしなかっただけ」

「比叡達は知ってるのか?」

「いいえ、提督以外まだ誰も知らないわ」

「そうか、これからはその話し方を続けるのか?」

「特別な時以外は、これからも前の話し方でいくつもりよ」

「特別な時?」

「それは――」




――――テートクゥ、早く来るネー!

 ――――コラ引っ張るな、旅館は逃げん。

――――……二人っきりじゃないと、二人の秘密を楽しめないじゃないの。

 ――――(二人だけの秘密が欲しい、ね……まぁ付き合ってやるか)

――――Hurry Hurry Hurryデース!

 ――――ちょっとペース落とせ! 千切れる! 腕が千切れるから!
艦隊これくしょん ‐艦これ‐ 艦娘型録
406: 2014/09/11(木) 02:27:49.80 ID:Qq1+B6Zn0
――――提督執務室。

「どうする? 何する?」

「仕事」

「えー? 鈴谷カラオケの気分なんですけどー」

「歌いながら仕事しろ」

「何その罰ゲーム、めっちゃ恥ずかしいじゃん」

「ほら、思う存分歌え。霧島が置いてったマイクあるぞ」

「分かった、分かったってばー仕事するからそのマイク仕舞ってくんない?」

「よし――まぁ、終わって時間があったら連れて行ってやる」

「マジ? 絶対だかんね?」

「あぁ、だから早く終わらせろ」

「熊野も連れてっていい?」

「別に構わんぞ、俺はどうせ歌わないからな」

「カラオケ行って歌わないって意味無いじゃん。提督、ひょっとして音痴?」

「音痴じゃない」

「じゃあ歌ってよ、提督の歌聞きたいし」

「断る」

「えーいいじゃん。一曲だけでいいからさー」

「仕事に集中しろ」

「うわっ、露骨に話逸らした。絶対音痴なんでしょー」

「……分かった、一曲だけだからな」




――――(……え、マジ? めっちゃ上手いじゃん)

 ――――歌、お上手ですのね。

――――古い曲しか知らんからあまり歌いたくないんだがな……。

 ――――提督、鈴谷の好きな曲覚えて! そんで次カラオケ来たら歌って!

――――気が向いたらな。

414: 2014/09/11(木) 09:19:56.26 ID:Qq1+B6Zn0
・清霜『戦艦になりたい』

・川内『ファンクラブ?』

・瑞鳳『触りすぎ』

・明石『提督、新しい艦娘が増えてきましたね』

・龍田『お触りは』

以上五本でお送りします

422: 2014/09/12(金) 14:04:32.61 ID:a6YCYBXw0
・清霜『戦艦になりたい』、投下します

423: 2014/09/12(金) 14:05:04.27 ID:a6YCYBXw0
――――提督執務室。

「ねぇ司令官、清霜はいつ戦艦に改造してもらえるの?」

「駆逐艦から戦艦に改造は無理だと何度説明したら分かってくれるんだお前は……」

「だって初霜ちゃんは戦艦の砲撃受けてもビクともしないぐらい頑丈って聞いたし、由良さんは軽巡だけど戦艦並の火力があるって聞いたよ? それなら清霜だって戦艦になれるはずじゃない」

「待て待て、初霜のは護衛用の技術と装甲盾で戦艦の砲撃を防いでただけだ。由良のにしてもトンデモ兵装とそれを扱う為に鍛えまくった結果で、一応は軽巡の枠内に収まってる」

「じゃあ初霜ちゃんの技術と装甲盾と、由良さんの単装砲を扱う力があれば、清霜も武蔵さんみたいになれるってこと?」

(何か嫌な予感が……)

「司令官、清霜に装甲盾と由良さんのと同じ単装砲ちょうだい」

「ダメだ、あんな危なくて扱いにくいモノを何個も開発されてたまるか」

「えー、司令官のケチ。いいもん、初霜ちゃんと由良さんに貸して貰えるように頼むから」

「あっコラ清霜! そもそも兵装は俺の許可無く――ってもう居ねぇし」

(あー……どうすりゃ納得するかなぁ……)

424: 2014/09/12(金) 14:05:49.66 ID:a6YCYBXw0
――――工廠。

「初霜、由良、二人ともどうしたの?」

「清霜に呼び出されたんです」

「私も」

(何かまた面倒事っぽいなー……)

「メカ夕張、私は奥で作業するから話聞いといて。艤装関連なら提督に何も聞いてないし全部却下ね」

「了解しました、マスター」

 ――五分後。

「ごめんなさい、待たせちゃった?」

「いいえ、それほど待ってないわ」

「それより、私達に用事って、何?」

「えっとね、二人の兵装、ちょっとだけ貸してもらえないかな」

「貸すって、あの盾を? アレを使いたいなら、暫く専用の訓練をしないといけないわ」

「私の単装砲、今の清霜が撃ったら骨折れるかも」

「それ以前に、マスターが許可なく艤装及び兵装を持ち出すことを禁止しています」

「うーん、やっぱりそう簡単には戦艦になれないか……」

「どうして清霜はそんなに戦艦になりたいの?」

「だって、強くてカッコいいじゃない」

「――アレ、見ても言える?」

「アレ? アレって……武蔵さん?」




――――明石、二日酔いの薬を頼めるか……?。

 ――――また飲み過ぎたんですか武蔵さん。程ほどにしないとダメですよ?

――――善処する……。

 ――――(今の武蔵さんはカッコ悪いかも……)

426: 2014/09/12(金) 18:37:19.46 ID:a6YCYBXw0
――――提督執務室。

「そう、ファンクラブだ。那珂だけじゃなくて、お前と神通のも作った」

「何でそんなの作ったの?」

「勝手に出来そうな程の人気だからな、先にこっちで管理する為に作ったんだよ」

「そっか。何か恥ずかしいね、自分にファンが居るのって」

「それだけお前達が凄いってことだ」

「……提督も、ファンだったりするの?」

「……ん」

(――ファンクラブ会員ナンバー、1番?)

「提督が1番じゃないのはおかしいって、那珂に押し切られた」

「あはは、那珂らしいや」

「まぁ、他の誰かになられて良い気はしないのも事実だからな」

「――提督ってさ、結構独占欲強いよね」

「そうか?」

「何だかんだ言って、全員とケッコンカッコカリしちゃったじゃん」

「今は艦娘も増えてるし、全員じゃないけどな」

「私より先に那珂と神通だけケッコンカッコカリしちゃった時、結構ショックだったなぁ……」

「仕方無かったんだよ、練度がお前だけ足りなかったんだから」

「うん、私が悪かったのは分かってるよ。――でも、提督の事を三人の中で一番最初に好きになったの私だったからさ」

「……初耳だぞ、それ」

「うん、誰にも言ってないし」

「俺、お前に何かしたか? 好かれるような行動を取った覚えが無いんだが……」

「“那珂ちゃんはアイドルになりたいの!”って言われて、“じゃあ艦隊のアイドルにしてやるよ”って即答する様な面白い提督、他に居ないって思ったから」

「面白いって、それが理由か?」

「最初はそうだったよ。でも、冗談じゃなくて真剣に那珂と向き合ってる提督見てたらさ、何だかカッコ良く見えたんだよね」

「端から見たら間抜けにしか見えなかった様な気もするがな」

「そうかな? 私は提督カッコいいと思うよ」

「今まで言われた事が一度も無い言葉だぞ、それ」

「ふーん……じゃあ、これからは私が言ってあげるね」

「やめろ」

「あっ、ひょっとして照れてる?」

「照れてない」

「ふふっ、そういうところも好きだよ、提督」




――――ねぇ提督、新しいマフラー欲しいから買ってくれないかな。

 ――――別に構わんが、何でだ?

――――この長さだと引き摺っちゃうから。

 ――――……了解。

434: 2014/09/13(土) 19:19:16.74 ID:nWbx8wyy0
・瑞鳳『触りすぎ』、投下します

全部温泉と浴衣が悪い

435: 2014/09/13(土) 19:20:25.46 ID:nWbx8wyy0
――――温泉。

「ちょっとさっきから触りすぎ、ってか邪魔、ゆっくり温泉楽しみたいんだけど」

「気にするな」

「ずっと触られてるとむずむずして落ち着かないの!」

「分かったよ。だからそう睨むな」

「提督のスOベ」

「俺は格納庫は一度もまさぐってないぞ」

「それとこれとは話が別」

「……今日は一切触れない様にする。それでいいか?」

「そういうことでもないの!」

「じゃあ何なんだ」

「私は温泉にゆっくり入りたいだけ、提督もゆっくり入りなよ。最近忙しかったんでしょ?」

「まぁ、な……」

「足触りたいなら、その……今でなくてもいいじゃない」

「いつ触るの?」

「今で――ってだから今じゃないから!」

「――温泉、気持ちいいな」

「うん、温泉最高ー」

「全員で慰安旅行でも出来りゃいいんだが……」

「ちょっとそれは無理かな、何人かに分けたら何とかなるかもだけど」

「帰ったら加賀達に相談してみる、俺だけで決められることじゃないしな」

「うん、それがいいかもね」

「――よし、そろそろ上がるか」

「提督は先に上がってて、私はもう少し入ってくから」

「分かった、逆上せないようにな」

436: 2014/09/13(土) 19:20:52.29 ID:nWbx8wyy0
――――客室。

「提督、上がったよ」

「あぁ――浴衣、似合ってるぞ」

「そ、そう?……うん、ありがと」

「で、どうする? 寝るには結構早い時間だが」

「提督はどうしたいの?」

「九九艦爆の脚の話以外なら何でも良い」

「最近はしないようにしてるでしょ」

「なら――瑞鳳の足を愛でる」

「変O」

「後でなら触っていいって言ったのお前だろうが」

「話の流れとか雰囲気とかもうちょっと考えてよ!」

「じゃあいつならいいんだ」

「……今でいいよ、もう」




――――温泉でスベスベになってて、触り心地がいつもより良いな。

 ――――ねぇ、足だけ触るのやめてくれない?

――――変Oらしいから諦めろ。

438: 2014/09/14(日) 17:16:41.17 ID:Nm6mgUM90
・明石『提督、新しい艦娘が増えてきましたね』 、投下します

439: 2014/09/14(日) 17:17:43.91 ID:Nm6mgUM90
――――提督執務室。

「――明石、一応聞いておく。それ、何だ?」

「提督は見飽きるぐらい見たと思いますけど?」

「……十セット程あるように見えるが、新しい艦娘はそんなに増えてないぞ」

「予備です、多分また増えますから」

「絶対に必要になるとは限らんだろ、第一練度が――」

「大鯨さんと雲龍さんと大淀さんと清霜ちゃんと磯風ちゃんは既に条件を満たしてますよ?」

「……は?」

「雲龍さんは大鳳さんや瑞鶴さんと頻繁に演習してましたし、大淀さんは元々練度が相当高かったんです」

「確かにその二人は分かる。だが、後の三人は何でだよ」

「清霜ちゃんは戦艦級駆逐艦目指すんだって長月ちゃんと毎日特訓、磯風ちゃんはすることが無くて暇だから武蔵さんと大和さんと稽古ばっかりしてたそうです。大鯨さんは……謎です」

(大半が陸で練度最高まで上がるってどういうことだよ……)

「という訳で提督、お買い上げありがとうございます」

「誰も買うとは言ってないし、アイツ等が受けるかどうかも分からんだろ」

「大鯨さんは居場所を与えてくれた恩人なので、提督とならしたいと仰ってました。雲龍さんも艦載機くれたからオッケーだそうです」

「大鯨もまずは直接話してからだが、雲龍に関しては考え直す様に言っとく。そんな理由でオッケーされてたまるか」

「大淀さんは司令部に戻りたくないから、清霜ちゃんはもっと強くなりたいから、磯風ちゃんは答えてくれませんでした」

「もう理由として明らかにおかしいだろ……」

「少なくとも嫌ってはいないからオッケーしたんだと思いますよ?」

「艦娘にとっては一生に関わる問題だ。そんな簡単に決めていいもんじゃない」

「提督となら衣食住も完全に保証されてて、優良物件だと思いますけど」

「そういう制度じゃないからな、コレ」

「――でも、私は提督とケッコンカッコカリして、今とても幸せです」

「衣食住完備でか?」

「そういうこと言うとクレーンぶつけちゃいますよ?」

「普通に氏ぬからやめろ」

「安心して下さい、多分今の技術ならちょっと氏ぬぐらいだったら蘇生出来ます」

「安心出来るか!」




――――それで、次は誰とケッコンカッコカリされますか?

 ――――だからするとは言ってない!

443: 2014/09/15(月) 02:37:30.19 ID:quJzgckM0
・龍田『お触りは』、投下します

444: 2014/09/15(月) 02:38:09.32 ID:quJzgckM0
――――提督執務室。

「提督の手って温かいんだね~」

「龍田が冷たすぎるんだよ、艦娘にも冷え性とかあるんだな」

「んー、前はそうでもなかったんだけど、終戦しちゃってから体質変わったみたいなの」

(冷え性か……縮んだ件といい、全員に一度検査を受けさせるべきか?)

「――えいっ」

「冷たっ!?」

「眉間に皺寄せてたら老けちゃうよ?」

「首はやめろ、首は」

「難しいこと考えてる暇があるなら、手を温めてくれないかな~」

「カイロとかは持って無いのか?」

「部屋にはあるけどー今日は必要無いかなって」

「何でだよ」

「だって、提督が温めてくれるでしょ?」

「散々お前には触るなって言われた気がするんだがな……」

「そんなこと言ったかな~?」

「最初に軍から支給された服をお前に切られて袖を縫うハメになったから、よく覚えてる」

「アレは急に背後に立つからいけないんだよ~」

「糸屑取ろうとして腕が飛ばされかけると誰が思うんだよ……」

「だって、これっぽっちも信用してなかったもの~」

「今背後に立ったら?」

「どうもしないけど~? でも、流石に廊下で抱き着かれたりしたら怒るかな~」

「それはないから大丈夫だ」

「――あんなに避けてたのに、提督はどうして私にケッコンカッコカリ申し込んだの~?」

「……天龍以外の拠り所になってやりたかった」

「どういう意味~?」

「お前、あの頃は天龍以外を一切信じてなかったし、アイツに何かあったら尋常じゃないぐらい取り乱してただろ」

「だって、天龍ちゃんは私にとって、とってもと~っても大事だもの」

「全く、天龍が居るからって三回も断られて、流石に心が折れかけたぞ」

「諦めちゃえば良かったのに~」

「天龍の為なら轟沈しても構わないなんて奴、ほっとけるかよ」

「私だけじゃなくてー皆ほっとけないんでしょ~?」

「あー……否定は出来んな」

「――あの時、提督が天龍ちゃんを見捨てようとしなかったから、私も信じようかな~って思ったの」

「簡単に見捨てられるなら、俺は提督やってない」

「欲張り過ぎるのは良くないんじゃないかな~?」

「なら、今すぐこの手を振り払ってみるか」

「……え?」

(――アレ? 龍田、泣いて、え?)

445: 2014/09/15(月) 02:38:40.64 ID:quJzgckM0
――――頼む、して欲しい事あれば何でもしてやるから泣くな、な?

 ――――……ホントに~?

――――(あっ、ヤバ……)

 ――――天龍ちゃんと私と提督の三人で旅行とか行きたいな~。

――――……分かったよ、天龍には龍田から伝えといてくれ。

 ――――はーい、うふふ、楽しみだな~。

467: 2014/09/15(月) 12:32:03.05 ID:quJzgckM0
・雷電『気付くかな?』

・千代田『千歳お姉ぇ……じゃない!?』

・蒼龍『二人で気ままに』

・元帥鎮守府の卯月『黙秘するぴょん』

・大鳳『……妖精?』

以上五本でお送りします

472: 2014/09/15(月) 22:58:29.10 ID:quJzgckM0
――――鎮守府内、某所。

「いいじゃない、ちょっとした実験よ」

「でも、司令官に迷惑かけちゃうかもしれないのです」

「司令官ならすぐに見抜いてくれるはずだから、問題ないわ」

「……分かったのです」

――――提督執務室。

「失礼します」

「失礼しま……しまーす」

「ん? 今日は雷の秘書艦日のはずだが、電も来たのか?」

「そう、なのです」

「た、たまには二人秘書艦が居てもいいでしょ?」

「――そうだな、俺は構わんぞ」

「じゃあ早速お手伝いするのです。どんどん頼って欲しいのです」

「私にも頼っていいので――いいのよ?」

「……じゃあ雷は書類の整理、電はコレを加賀のところに持って行ってくれ」

「了解なの、よ」

「はーい、なのです」

 ――十分後。

「戻った、のです」

「あぁ、ご苦労さん。後は雷と一緒に書類整理しててくれ」

「分かった、のです」

「……気付かないのです」

「おかしいわねぇ……」

「ちょっと切ないのです……」

「こんなに司令官が鈍感だとは思わなかったわ」

「――二人とも、そろそろ休憩にしないか?」

「じゃあお茶を淹れる、のです」

「司令官、お茶菓子は煎餅でいいの、かしら?」

「あぁ、いいぞ。確か電は塩煎餅が好きだったよな?」

「はいなの――あっ……」

「詰めが甘いな、やるなら徹底しないと俺は二人を間違えたりしないぞ」

「司令官ってばひょっとして最初から分かってたの? 分かってて黙ってるとかひどーい」

「先に仕掛けてきたのはそっちだろ、それに付き合っただけだ」

「でも、気付いてもらえて嬉しいのです」

「またやりたくなったら何時でもやれ、絶対に見抜いてやるから」

「じゃあ間違えたら私と電を一時間抱っこしてね?」

「……同時は勘弁してくれないか?」

「司令官、ファイトなのです」

(絶対に間違えられんな、コレは……)

473: 2014/09/15(月) 22:58:58.24 ID:quJzgckM0

――――私は歩き方ですが、提督はどこで気付いたのですか?

 ――――足と髪の感じ。

――――……足だけで全員誰か分かるの?

 ――――さぁな、試してみないと分からん。

476: 2014/09/17(水) 00:13:51.52 ID:5NMdlgvo0
――――街。

「提督、今日はどこへ行く予定なんですか?」

「特に考えてない」

「前々から出掛けるって決めてたのに?」

「……昨日思い出した」

「へー、私と出掛けるのは忘れちゃうような事なんですねー」

「い、行きたいところとか無いか?」

「じゃあ、高級中華料理食べたいかなー」

(財布に三万、クレカ使うとして合計八万が限度、ギリギリか? いや、後の事考えたら使いきるのはマズイか……)

「ふふ、冗談です。適当にブラブラしましょうよ」

「……すまん。次は考えとく」

「はい、期待しときますね」

「さて、ブラブラするのはいいとして、どうする? 蒼龍は何か買いたい物とか無いのか?」

「うーん、私は特に――あっ」

「あるようだな、まずはそこに行くか」

「はい。後、さっきから言おうと思ってたんですけど……手、繋いでくれないんですか?」

「……いつの間にか繋いでる奴が多かったから忘れてた」

「もうっ、自分から言い出せない子とかもいるんですから、女の子に対する気遣いをもうちょっとしっかりして下さいね?」

「以後気を付ける」

(――ここで恋人握り選択しちゃう辺りがズルいなぁ……)

477: 2014/09/17(水) 00:14:26.45 ID:5NMdlgvo0
――――???

(……ここ、か)

「提督、ケーキとコレ頼みますね」

「まぁ、ここ来たならそれ頼むことになるよな……」

「前に来たことあるんですか?」

「暁型全員、一度ずつ連れてきてる」

「……提督、よく捕まりませんでしたね」

「電と来た時に通報されかけた。アレは本気で焦ったぞ……」

「じゃあとりあえず、注文しちゃいましょうか」

「あぁ、そうだな」

(――ん? サービス期間……?)

 ――ご注文をお伺い致します。

「このカップル限定トロピカルジュースと、日替わりケーキ二つお願いします」

 ――本日、キスをして下さったお客様にはトロピカルジュース分の代金をサービスさせて頂いております。どうされますか?

「あの、提督……」

(観念、するしかないか……)

 ――チュッ。

「――コレで、いいんですか?」

 ――あっ、大変申し訳ございません……。頬では無く、唇にお願いします。

「おい、先にそういうことは――」

 ――チュッ。

「――はい、コレでいいんですね?」

 ――はい、ありがとうございます。それでは少々お待ちください。

「……お前、さては知ってたな?」

「な、何の事ですか?」

「何で頬を向けてたんだよ、人前では俺も結構勇気いるんだぞ」

「二回、したいなーって思って……」

「……次からは鎮守府に居る時にしてくれ」




 ――――そういえば、写真が貼られるみたいですね。

 ――――っ!? 店員に外すように頼んでくる。

 ――――ダ・メ・で・す! コレも記念になるんですから。

 ――――(……この店、他の奴等も知ってたりしないよな……?)

485: 2014/09/17(水) 21:45:46.61 ID:5NMdlgvo0
・千代田『千歳お姉ぇ……じゃない!?』、投下します

没ネタもついでにドン

486: 2014/09/17(水) 21:48:05.95 ID:5NMdlgvo0
――――千歳&千代田私室。

「起きろ」

「んぅ……千歳お姉ぇ、後五分……」

「いいから起きろ、襲うぞアホ」

「そういう趣味は私には無いよ、千歳お姉ぇ――じゃない!?」

「はぁ……やっと起きたか」

「ちょっ、えっ、何で提督が私のベッドに居るの!?」

「来るのが遅いから起こしに来たら、お前に引きずり込まれたんだよ」

「……寝てる間に私に何かした?」

「ついでだから寝顔を一分眺めてたぐらいで、後は何もしてない」

「じゃあ何で私、下着姿なの?」

「俺が知るか、最初から着てなかったぞ」

「――って」

「ん?」

「服着るから出てってー!」

487: 2014/09/17(水) 21:48:45.76 ID:5NMdlgvo0
――――提督執務室。

「――で、昨日は千歳の晩酌に付き合ってて、途中から記憶が無い訳か」

「うん……普段はちゃんと服着て寝てるんだからねっ!?」

「分かった分かった。それにしても千歳の奴、妹を酔い潰れさせてどうすんだよ……」

(あっ、千歳お姉ぇからメールだ)

「――っ!?」

「ん? どうかしたか?」

「……千歳お姉ぇの仕業だった」

「どういう意味だ?」

「“提督はちゃんと優しくしてくれた?”、だって」

「アイツは何考えてんだよ……」

「私にもそんなのさっぱり分から――あっ」

(酔ってる時に千歳お姉ぇばっかり贔屓されててズルいとか言ったかも……)

「千代田、心当たりがあるって顔してるぞ」

「……提督が悪い」

「何で俺のせいになるんだ、何もしてないぞ俺は」

「だって、姉妹平等に扱うとか言っときながら、一緒に居たら千歳お姉ぇのことばっかり見てるじゃない」

「――お前等、やっぱり姉妹だな」

「どういうこと?」

「それ、千歳にも言われた」

「千歳お姉ぇに?」

「“千代田ばっかり構わず、私のことも構ってくれないと拗ねますよ”、ってな」

「千歳お姉ぇの方が構ってもらってる気がするけどなぁ……」

「アイツも千代田が自分と同じ様に考えてること知って、姉として気を利かせた結果がアレだったってことだ」

「極端すぎるよ、もう……」

「まぁそれは置いといて、何かして欲しいことがあるなら言っていいぞ」

「何でもいいの?」

「出来る範囲で頼む」

「うーん……じゃあ――」




――――うちの鎮守府の艦娘達は、膝枕に何か特別な思い入れがあるのか?

 ――――多分、加賀さんがずっとしてるの見てたからだと思う。

――――俺はされてる側だったんだが……。

 ――――して欲しいなら後で交代ね。

488: 2014/09/17(水) 21:49:20.14 ID:5NMdlgvo0
――――千歳&千代田私室。

「起きろ」

「んぅ……千歳お姉ぇ、後五分……」

「いいから起きろ、今何時だと思ってる」

「時間……?――あっ!? 今日秘書艦日ぃっ!?」

「っ……こんのアホォ! 寝坊した挙げ句に頭突きかますか普通!?」

「そんなところに提督が居るのが悪――何で提督が部屋に居るの!?」

「今頃気付いたのか……もう昼も近いってのにお前が来ないから呼びに来たんだよ」

(昼!? ヤバ、昨日千歳お姉ぇの晩酌に付き合って飲みすぎちゃったんだ……)

「と、とりあえず、すぐに準備するから出てって」

「あぁ、五分で準備しろ」

「ちょっ、五分とか無理だってば!?」

(ど、どうしよどうしよ!? 化粧は無理だから服だけ着替え――)

「……私、下着姿で寝てたんだ」

――――提督執務室。

「朝昼兼用で何か一緒に食べるか?」

「いい……」

「二日酔いか? なら軽く雑炊とかどうだ?」

「いらない……」

(参ったな、どうしたもんか……)

(あんなだらしない姿、千歳お姉以外に見せたくなかったのに……しかもよりによって提督に見られるなんて……)

「「はぁ……」」

491: 2014/09/19(金) 02:29:25.91 ID:ftwWsXg50
・元帥鎮守府の卯月『黙秘するぴょん』 、投下します

ネタバレに触れそうだったので一部無理矢理文章を省いてます

そのうちそこについては触れます

492: 2014/09/19(金) 02:30:00.96 ID:ftwWsXg50
――――鎮守府、中庭。

「うーちゃんだぴょん」

「うーちゃんだぴょん」

「「さぁ、どっちがどっちか当ててみるぴょん」」

「右」

「左が儂の可愛い卯月だ」

「何で見分け付くんだぴょん?」

「あんな風にお前は睨まないだろ」

「儂のとかやめて下さい」

「執務以外で敬語は使用禁止と言ったではないかうーちゃん」

「次にうーちゃんって呼んだら晩御飯作らないぴょん」

「くっ……兵糧攻めとは卑怯な……」

「アレ、仲良しなんだぴょん?」

「仲良しだぞ。あのジジイが艦娘を率いるようになってから、ずっと傍に居る艦娘の筆頭だからな」

「へー、とてもそうは見えないぴょん」

「何じゃ、儂と卯月の馴れ初めが気になるのか?」

「嫌がるうーちゃんに無理矢理指輪ハメて自分のモノにしたんだぴょん」

「コラ卯月、嘘はやめなさい」

「本当はどういう風に仲良しになったんだぴょん?」

「黙秘するぴょん」

「懐かしいのぅ、アレは今から――」

「勝手に話し始めるんじゃないぴょん!」

「まぁまぁ良いではないか卯月。元より“馴れ初め”なんぞ、儂とお前にはありはせんのだから」

「……好きにすればいいぴょん」

「――結論から言うとな、儂と卯月は恋仲では無い。既に氏別はしとるが、生涯愛すと誓った嫁もおった身だ」

「じゃあ何でケッコンカッコカリしたんだぴょん?」

「ケッコンカッコカリとはな、そもそも二つの意味を込めて付けられた名称なのだ。一つは結婚に準ずる制度として、そしてもう一つは――」

493: 2014/09/19(金) 02:30:36.81 ID:ftwWsXg50
「――といった訳でな、儂と卯月はケッコンカッコカリしとる」

「大事な部分が抜けてるぴょん、何でそこの“卯月”を選んだんだぴょん?」

「氏んだ嫁に似ていた、こんな娘が欲しかった、明るさに救われた、まぁそんなところだ」

「傍迷惑な話だぴょん、お陰で毎日元帥の面倒を見なきゃいけなくなったぴょん」

「素直じゃないのぅ、指輪を渡した時は泣いて喜んどったじゃないか」

「アレはこんな爺と深い絆で結ばれるのかっていう悲しみの涙です。勘違いしないで下さい」

「敬うならちゃんとお爺様と呼ばんか、何ならパパでも良いぞ」

「寝言は寝て言えぴょん」

「……やっぱり仲良く見えないぴょん」

「二人ともひねくれてるから、あぁいうコミュニケーションの取り方しか出来ないんだよ。仮にも元帥が頻繁にフラフラ出歩けるのは、あの子が常に目を光らせてるからだ。そうでなきゃ、とっくにくたばってるぞあの爺さん」

「うーちゃんには全然理解出来ないぴょん」

「それでいいんじゃないか? 同じ“卯月”だからって、性格まで一緒である必要もない」

「良く分かんないけど、分かったぴょん」




――――とっととくたばるぴょん。

 ――――心配せんでも百まで長生きしてやるわい。

――――百とか冗談じゃないぴょん!

 ――――わっはっは! 百でダメなら百二十までだって生きてやるぞ!

――――……言ったからには、守って下さい。

 ――――うむ、任せておけ。

497: 2014/09/21(日) 08:44:30.93 ID:eVYxXpQm0
・大鳳『……妖精?』、投下します

(復旧前に結晶破壊作戦書ききりたかった…)

498: 2014/09/21(日) 08:45:17.84 ID:eVYxXpQm0
――――鎮守府、廊下。

 現在時刻は午前二時、一部夜更かしな者を除き、大抵の艦娘は眠りに就いている時間だ。

(静かね……まるで誰も居ないみたいだわ)

 そんな時間に廊下を歩く、一人の艦娘が居た。
 お手洗いに目が覚めた大鳳である。

(夕張とか秋雲はこの時間でも起きてるって聞いたけど、朝ちゃんと起きられてるのかしら?)

 基本的に健康な生活スタイルを保っている大鳳からすれば、三時間睡眠や徹夜が当たり前な二人の日常は、想像も付かない。

(さて、早く部屋に戻って浦風の寝顔見てから寝直しましょうか)

 廊下を小走りに進み、大鳳は角を曲がる。
 ――そして、彼女は“それ”を目撃するのだった。




――――ヲッ?

499: 2014/09/21(日) 08:46:23.97 ID:eVYxXpQm0
――――提督執務室。

「夜な夜な現れる妖精?」

「そう、私だけじゃなくて他に何人も見ているの」

「見間違いではない、か……メカ妖精って線は無いのか?」

「夕張に聞いてみたけど、夜中は充電してるから動かないそうよ」

(普通の妖精は早寝早起きだからそんな時間に起きてるわけ無いし、メカでも無い……また何か変な現象が起きてるのかもしれんな)

「とりあえず、見付けたら捕獲するように艦娘全員に通達しておく。大鳳もまた遭遇したら頼むぞ」

「了解です」

 ――あ、あの、入ってもよろしいでしょうか。

「あぁ、入っていいぞ」

「はい、失礼します」

「あら、今日の秘書艦は潮だったのね。ごめんなさい、すぐに出ていくから」

「えと、少しの間居て頂けると助かります……」

「?」

「お二人とも、今から見せるモノを見て、出来れば大きな声は出さない様にしてもらえますか?」

「何だか良く分からんが、努力はしよう」

「えぇ、分かったわ」

「じゃあ、見せますね」

 ――ヲ? ウシオ、ゴ飯?

「……大鳳、俺には今とてつもなく非現実的な光景が見えてるんだが、お前にも見えてるのか?」

「えぇ、考えられないことだわ。――胸に生き物を潜ませるなんて」

「そこじゃないだろ!」

 ――ヲッ!?

「大丈夫だよ、提督も大鳳さんもイジメたりしないから」

「……やっぱりその小さいの、空母ヲ級よね?」

「潮、危険は無いのか?」

「お腹が空くとちっちゃい艦載機を飛ばして家具に傷を付けちゃうかも、です」

「大きくなったりは?」

「ヲーちゃん、大きくなれる?」

 ――ヲ? 大キク、無理。コレ、限界。

「らしい、です」

(簡単に信用する訳にはいかないが、敵意らしきモノがまるで感じられんな……この生き物は本当にヲ級なのか?)

「潮、貴女は平気なの? 大きさが変わって可愛らしくなっていても、深海棲艦なのよ?」

「……この子を見付けた時、昔の私みたいに怯えて震えてたんです。どうしても、放っておけなくて……」

 ――ヲッ! ウシオ優シイ、ゴ飯クレタ!

「――分かった、暫くは様子を見る。判断はそれからだ」

「っ……提督、ありがとう、ございます」

「提督、いいんですか? 何時また前の様に襲ってくるか分からないわよ?」

「無論、警戒は最大限にする。加賀や待機組の監視下に置いてな」

500: 2014/09/21(日) 08:46:51.40 ID:eVYxXpQm0
「あの、何かに閉じ込めるんですか……?」

「いや、交代で見張らせるって意味だ。建物から出さなければ自由に連れ歩いて構わん」

「深海棲艦に恨みがある艦娘も多いわ。それで本当に大丈夫なのかしら……」

「大丈夫だ、もう戦いは“終わった”んだからな」

「加賀達に相談せずに決めて良かったの?」

「どうせ俺に判断を委ねるって返すよ、アイツ等は。先に決めて伝えた方が効率がいい」

「それはそうかもしれないけど……」

「それに、この鎮守府の基本方針を忘れたのか?」

「――“やりたいことをやれ”、だったかしら?」

「あぁ、潮がそうしたいってんなら、出来る限りサポートしてやるのが俺の仕事だ。――それに、アレを見てどうこうなんて、俺には到底出来んよ」

「……えぇ、そうね」




――――ウシオ、オ腹空イタ。

 ――――ちょっと待ってね。はい、ビスケット。

――――アリガト、ウシオ!

 ――――(……皆、ヲーちゃんと仲良くしてくれるでしょうか……)

501: 2014/09/21(日) 08:47:17.92 ID:eVYxXpQm0
――――翌日、休憩所。

「ヲーちゃん、チョコ食べる?」

 ――ヲッ! 食ベル!

「大鳳、甘いものばかり食べさせないで」

「いいじゃない、喜んでいるもの」

「はぁ……手乗りサイズとはいえ、深海棲艦を匿うことになるとは夢にも思いませんでした」

「提督が決めたことよ。それに、加賀も気付いているんじゃない?」

「――この子がもう“深海棲艦”という存在ではない、ということ?」

「えぇ、上手く言葉に言い表せないけど、私達と“同じ”感じがするの」

「何にせよ、二度と戦わずに済むなら、それに越したことは無いわ」

「……そうね。それに――」

 ――ヲッ?

「こんなに小さくて可愛いと、憎みたくても憎めないわ」

「……否定はしません」




 鎮守府の非公式隠れマスコット、ヲーちゃんが追加されました。

502: 2014/09/21(日) 08:53:13.21 ID:koqCwo4w0
乙です
ヲッさんはどこ行っても愛されてるなww


引用: 【艦これ】提督「鎮守府として色々不味いことになった」