640: 2014/08/04(月) 02:48:20.38 ID:jtUBh/AMo



暑さも激しさを増す、夏の真っ盛り。
艦娘達も人の子と言うことで、たまには本来の家族の元で水入らずで過ごすべしとの軍上層部からのお達しにより、
ここ○○鎮守府では現在夏休み中であった。

提督業に忙しく、約一年ほど親の顔を見ていないこともあり、
折角の機会と、里帰りをすることにした。



「あー、暑ちぃな、しっかし」

お盆前であり平日なためか、ホームの待合室には人はおらず閑散としていた。
すぐそこの自販機で買ったペットボトルのお茶を飲みながら電車を待っていると、扉の開く音がした。
ふとそちらに視線を向け……そして固まった。



「なんでお前らがいるんだよ……叢雲、それに榛名」



そこに居たのは、鎮守府において自身が最も信頼している、秘書艦2人の姿であった。

641: 2014/08/04(月) 02:53:54.70 ID:jtUBh/AMo
「居たわね。鎮守府ほっぽり出してどういうことかしら?」
「いや、そもそも夏休みだし」
「1日ぶりですね、提督」
「お疲れ榛名、実家はどうだった……って、そもそも2人ともなんでここにいる。帰省はどうした」


鎮守府に属す130人もの艦娘全てに、夏休みをここ数日の間与えていた。
この2人とて例外ではない。最後まで残り業務を片付けていたこの2人も2日前に送り出したはずであった。


「私は孤児院の先生とは毎月のように連絡取り合ってるから……1日ぐらいで帰ってきたのよ、そしたら鎮守府誰も居ないし、もしかしたらと思って駅に来たらビンゴだったわけ」
「私も、帰ってきた所で叢雲さんと鉢合わせまして、ついでにご一緒させていただきました。」

なんつータイミングの良さだよ。ていうか榛名結構遠いのに。


「ていうかな、そもそもここに来る事どころか帰省s」
「アンタ以前たまには帰省するか言ってたじゃない。なら今日あたりかって目星は付くわよ」
「後電車の時間的にはこの時間帯くらいかと思いまして」


あ、ああ。そこで2人が片手に持っている荷物に気がつく。
軽めのキャリーで引きずるタイプの旅行用カバンであり、明らかにこれから旅行しますよとまるわかりである。
叢雲も榛名もいつも鎮守府で着ている制服ないし巫女服ではなく、年頃の可愛らしい服を着飾っていた。
そこであまり考えたくなかった可能性に気がついた。



「って、もしかしてお前らも来るのか……」

642: 2014/08/04(月) 02:57:04.70 ID:jtUBh/AMo
二人の手にある3枚の切符に視線を移す。
どちらも最終目的地が自分の実家の最寄り駅が印字されている。

「未来の義両親ですもの、挨拶ぐらいって思って」
「当然、実家までのルートは把握済みです! 御義母様と御義父様に合うのが今から楽しみです」

サラッと義両親言うな。しかも2人ともケッコンカッコカリの指輪見せつけつつ……

「おう、そこんとこ結構重要な所なんだけど俺の実家住所いつ知ったそこの秘書艦その1とその2」
「執務中にいくらでもチャンスはあるもの」「はい」

まぁ9割方こいつらだしな。秘書艦。確かに知っててもおかしくはねーんだけど
そこ一応重要機密なはずなんだけどね。うん。深く考えたくはないけど。





「まぁ邪魔はしないわよ?」
「ええ、わずか数日ご一緒させて頂くだけですしね。榛名は大丈夫です」
「いや、問題はそこじゃなくてな……」

うちの両親は俺が艦娘を率いている事は知っているが、カッコカリの事は知らない。
そこにカッコカリ指輪をしたこいつらを連れてきてどう思うか。しかも2人も。

間違いなく、勘違いされる。ご近所にも言いふらされて色々言われそうだ。
あー……そういえば近所の△△さん、スピーカーだったし、まずいなぁ。尾ひれ絶対ついて拡散されるわ。

そんな事してたら数ヶ月後にはこいつらと新郎新婦席に座ることになりかねん。
いや、2人とも嫌いじゃないし好きだしけどさ……いや物事には順序ってものがな、うん。



遠くから電車の音が聞こえて来ると共に、
女性の声でアナウンスが鳴り響く。電車が、来たようだ。

「ん、そろそろ電車が来るようね、行きましょ」
「帰省中の話も電車の中で沢山しましょう、行きましょう、提督。」

かけられた声により思考の渦から抜け出すと共に、
彼女達に引きずられ、ホームへと引きずり出される。




一年ぶりの帰省は、実に前途多難であった。

643: 2014/08/04(月) 02:58:36.44 ID:jtUBh/AMo
終わり。叢雲と榛名の義実家で色々させたかったけど、思いつかなかった。
空白がなんか投稿した後におかしいけどまぁ見逃してください。

引用: 艦これSS投稿スレ2隻目