1: 2009/02/24(火) 20:27:07.76 ID:PhmToeM20
ジ「どうした真紅。ほほなんかさすって」

紅「なんかわからないけど、歯がズキズキするのだわ」

ジ「歯が?まさか虫歯か?」

紅「虫歯?人形が虫歯になるわけないのだわ」

ジ「じゃあなんで歯が痛いんだよ?」

紅「きっと・・・どこかにぶつけたのだわ」

ジ「歯だけ器用にぶつかるもんだな」

紅「・・・」
ローゼンメイデン 愛蔵版 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
2: 2009/02/24(火) 20:30:41.97 ID:PhmToeM20
ジ「ちょっと見せてみろ」

紅「い、いやよ」

ジ「・・・」

がしっ

紅「あがっ!?」

ジ「んー・・・どれどれ」

紅「ほあ!!あへあはい!!」

ジ「こうみると人間とそんなに変わらないな・・・ん?」

ジ「おい真紅!右奥歯に虫歯あるぞ!」

紅「あひへ!?」

ジ「てか、人形が虫歯になるのかよ」

ぱっ

紅「はー・・・はー・・・唇がエンプーサみたいになるところだったわ」

ジ「おまえら小さいから見えにくいんだよ」

3: 2009/02/24(火) 20:33:25.42 ID:PhmToeM20
ジ「なんで人形のおまえが虫歯になるんだ?」

紅「知らないのだわ・・・そもそも虫歯ってなんでなるの?」

ジ「人間生まれたときは本当は虫歯なんてないんだよ」

紅「そりゃ歯がないでしょうしね」

ジ「違う。虫歯の原因になる菌が存在しないんだよ」

紅「じゃあどうやって虫歯になるの?」

ジ「口移しとかで、親の口から移ることがあるんだとさ」

紅「!!」

ジ「それ以外の原因といったらなんだろうな・・・ん?どうした真紅?」

紅「な、なんでもないのだわ」

紅「(まさかあれが原因だったのかしら・・・)」

4: 2009/02/24(火) 20:36:10.02 ID:PhmToeM20
─ 回想 ─

紅「・・・ジュンは寝たわね」

紅「普段翠星石や雛苺にちやほやされているけど」

紅「本当は私だってジュンに甘えたいのだわ・・・」

紅「でも、プライドが邪魔をする・・・素直じゃないのは私の方ね」

紅「だからこうして、夜に内緒でジュンに甘えるしかないのだわ・・・」

紅「ジュン・・・」

れろっ ちゅっ ちゅぱっ

紅「んっ・・・」

ジ「うーん・・・」

6: 2009/02/24(火) 20:38:21.47 ID:PhmToeM20
─ 回想終了 ─

紅「(毎夜のキスが原因で虫歯が移るなんて・・・)」

ジ「とりあえず、そのままじゃ大変だろうから、治療するか?」

紅「ど、どうやって?」

ジ「さすがにこのまま歯医者につれてはいけないよなー・・・」

紅「ジュン、勘違いしないでちょうだい」

ジ「は?」

紅「私はこの虫歯ごときじゃへこたれないのだわ。普段通り過ごしてみせるわ」

ジ「大丈夫か?」

7: 2009/02/24(火) 20:41:48.76 ID:PhmToeM20
紅「大丈夫よ。我慢強さだけは負けないのだわ」

ジ「何と比べて?」

紅「しかも、今日はローゼンメイデン全員呼んでお茶会を開くのよ。治療している場合じゃないのだわ」

ジ「また勝手に・・・」

紅「もうそろそろ来るわね。ジュン、準備をしてちょうだい」

ジ「僕がするのかよ」

紅「当たり前じゃない。そもそも私が虫歯になったのはあなたのせいなのよ?償いなさい」

ジ「なんで僕のせいなんだ!?」

紅「あっ・・・な、なんでもないのだわ!下僕なんだから早くしなさい!」

ジ「・・・?」

10: 2009/02/24(火) 20:44:45.72 ID:PhmToeM20
紅「今日はみんなよく集まってくれたのだわ」

蒼「みんながそろったのは久しぶりだね」

銀「ちょっとぉ、なんで私の目の前が真紅なのよぉ」

紅「席順がこうなったから仕方がないのだわ」

金「まあまあ、この際席順なんか気にしないかしら」

翠「それじゃ早く紅茶もってこいです!ジュン!」

ジ「やれやれ、8人分かよ・・・」

ジ「(・・・8?)」

くるっ

薔「・・・スコーン・・・」

雪「(にこにこ)」

ジ「(なんかいる・・・)」

13: 2009/02/24(火) 20:49:09.26 ID:PhmToeM20
ジ「ほら、淹れたぞ」

紅「ちゃんと熱湯からいれたわよね?」

ジ「何回おまえの紅茶を入れてると思ってるんだ」

紅「くすっ、いい子ね、ジュン」

紅「それじゃ、いただきましょう」

ジ「・・・あ、真紅。そういえば虫歯に熱い紅茶はだm」

ぐいっ

紅「・・・───!!!!」

ガタッ!!

紅「ああああああwせdrftgyふじこlp!!!」

ブンッ!! バキッ ガシャーン!!!

銀「おばふっ!!!」

雛「水銀燈ぉぉぉ!」

16: 2009/02/24(火) 20:52:12.05 ID:PhmToeM20
紅「ジュン!何この紅茶!?激痛が走ったのだわ!!」

ジ「虫歯なのに熱い紅茶飲むからだよ」

雛「水銀燈の額にティーカップがささっているのー!」

翠「真紅、いったいどうしたんですか?」

紅「な、何でもないのだわ」

銀「・・・」

ビクンッ ビクンッ

蒼「うん、翠星石のスコーンはおいしいなあ」

19: 2009/02/24(火) 20:55:17.13 ID:PhmToeM20
金「真紅、やけどでもしたかしら?今冷たいお水もってくるかしら!」

薔「さくさく」

雪「ずずーっ」

ジ「(マイペースだなこいつら)」

金「はい、真紅。水かしら」

紅「ありがとう、金糸雀」

ごくっ

ジ「あ、キンキンに冷えた水もやb」

紅「────!!!」

ブンッ ゴスッ!! バリーン!!!

金「ゴヒュッ」

ガタンッ

雛「金糸雀ぁぁぁ!!」

21: 2009/02/24(火) 20:58:24.51 ID:PhmToeM20
紅「ジュン!金糸雀が水に毒をいれたのだわ!」

ジ「いれてないから」

翠「真紅、いくらお茶会だからってはしゃぎすぎですぅ」

蒼「ふふっ、真紅らしくないね」

雛「金糸雀の頭に少しヒビが入ってるの・・・」

金「・・・」

ガクガクガクガク

ジ「てかおまえら水銀燈と金糸雀の心配してやれよ」

22: 2009/02/24(火) 21:00:53.79 ID:PhmToeM20
翠「まったく、真紅はまだまだ子供ですぅ」

蒼「翠星石の焼いたスコーンでも食べて落ち着きなよ」

紅「そ、そうね・・・ごめんみんな」

雛「とりあえず二人ともソファーに運んでおくの・・・」

ずるずる

薔「おかわり」

雪「ジョッキで」

ジ「紅茶ジョッキですか」

26: 2009/02/24(火) 21:08:32.53 ID:PhmToeM20
紅「それじゃ翠星石のスコーンでもいただくわ」

すっ

ジ「あ、真紅。そのスコーン銀紙がついてr」

さくっ

もぐもぐ・・・

紅「・・・ホアアアアアアアアア!!!」

くるっ

ブンッ!! ストッ

雛「?」

ジ「(雛苺の縦ロールにスコーンが刺さってる・・・)」

翠「真紅!翠星石みたいな声だしてどうしたですぅ!?」

紅「翠星石のスコーン、電気が走ってるのだわ!」

28: 2009/02/24(火) 21:13:17.39 ID:PhmToeM20
翠「はぁ?」

蒼「きっと、あまりのおいしさに電気が走ったんだよ」

翠「なんだ、そういうことですか。ほめすぎですよ真紅」

紅「違う!本当にビリって、ビリって!」

ジ「真紅、落ち着け」

紅「ジュン、いくらローゼンメイデン一の淑女である私でも、我慢の限界なのだわ」

ジ「(自分で言っちゃってるよ)」

紅「これじゃ普段の生活でも支障がでるのだわ」

紅「その・・・『はいちゃ』さんに連れてってちょうだい」

ジ「(噛んだ・・・しかもかわいい)」

31: 2009/02/24(火) 21:18:07.31 ID:PhmToeM20
─ ジュンの部屋 ─

ジ「とは言っても本当の歯医者なんか無理だ」

紅「じゃあどうするの」

ジ「人形のことは人形師に聞くしかない」

紅「お父様?」

ジ「いや、もっと身近にいる・・・」

紅「薔薇水晶の?」

ジ「聞いてみる価値はあるかもしれないぞ」

紅「それほど期待もできなさそうだけど、仕方がないのだわ」

36: 2009/02/24(火) 21:25:00.18 ID:PhmToeM20
─ ドールショップ ─

槐「は?虫歯?」

ジ「はい」

槐「・・・ドールが虫歯?」

ジ「・・・はい」

槐「・・・」

ジ「(うわーすごい深く考え出しちゃった・・・)」

槐「ローゼンめ・・・かなりの高等技術を持っている・・・」

ジ「あの、直し方なんてわかります?」

槐「ローゼンのドールが虫歯になるんだ。私の薔薇水晶だってきっと虫歯に・・・」

ジ「もしもーし?」

38: 2009/02/24(火) 21:29:32.73 ID:PhmToeM20
白「歯を交換するしかないかな」

ジ「あ」

白「人形とはいえ、ご飯を食べたりするから歯は消耗品なんだ」

白「ちょっと失礼」

紅「あがっ!!」

白「ここをこうやってちょいっと動かすと・・・ほらとれた」

紅「知らなかったのだわ・・・」

ジ「タフグリップも無しに歯がついていたのか」

40: 2009/02/24(火) 21:35:05.07 ID:PhmToeM20
白「真紅ちゃんの大きさなら・・・これかな」

かちっ

白「はい、おわり」

紅「あ、ありがとう・・・」

ジ「(人間もこれくらい楽に虫歯が交換できたらなぁ)」

白「でもね真紅ちゃん」

紅「何?」

白「歯は交換したけど、虫歯菌はまだ残ってると思うんだ」

紅「え?」

白「さすがに口を丸ごと交換はできないからね」

白「でも、予防策はあるよ。それはね・・・」

42: 2009/02/24(火) 21:38:32.21 ID:PhmToeM20
─ 翌朝 ─

しゃこしゃこしゃこ・・・

ジ「ふああ・・・おはよう」

紅「おあよう」

ジ「お、歯磨きか」

紅「ぶくぶくぶく・・・ぺっ」

翠「真紅、ドールは虫歯なんかならないから歯磨きなんて必要ないですぅ」

紅「何言ってるの?いつどこで虫歯になるかわからないのよ?」

翠「別に、菌持ってるやつから口移しとかしなきゃいいだけですぅ」

紅「・・・」

すたすた

紅『それじゃいつまでたってもジュンとキスはできないわね』

翠「!!」

翠「・・・や、やっぱ歯磨きは大切ですね~!」

ジ「?」

44: 2009/02/24(火) 21:41:58.56 ID:PhmToeM20
紅「雛苺、あなたも歯磨きしなさい」

紅「うゆ・・・したいけどなんか昨日から頭がちくちくするのー」

ジ「(スコーンささったままかよ)」

紅「ふぅ、こんなにすがすがしい気分は久しぶりなのだわ」

紅「歯磨きは大切なのね。ジュン、あなたもしっかり磨きなさい」

ジ「はいはい、わかったよ」

紅「モニターの前のあなたも、寝る前に歯をちゃんと磨くのだわ」

ジ「誰に向かって言ってるんだよ」

                      ─  完  ─

46: 2009/02/24(火) 21:44:25.91 ID:PhmToeM20
銀「・・・」

金「・・・」

薔「水銀燈・・・紅茶くさい・・・」

雪「金糸雀の頭から薔薇の花が咲いてきた・・・」

52: 2009/02/24(火) 22:02:59.13 ID:PhmToeM20
短い話だったけど最後までお付き合いありがとうございました。

もっと長くしたかったけど眠たさに負けた。

最後に、金糸雀は俺の嫁。

引用: 真紅「歯がズキズキするのだわ・・・」