321: 2013/04/09(火) 09:42:36.81 ID:T7fmS7FrP
おはよー
前回:魔王「私が勇者になる……だと?」【1】
前回:魔王「私が勇者になる……だと?」【1】
322: 2013/04/09(火) 09:52:46.34 ID:T7fmS7FrP
魔王「で……それを阻止する為に私は城を出た、と言うか」
魔王「出さされた……と言うか」
船長「出さされた?」
魔王「さっきも言っただろう?優秀な側近が居るんだ」
魔王「私の不在を他に知らせない為に、あいつ自身は城から離れられないが」
魔王「連絡は何時でも取れる」
魔王(この風景を見ていれば……血でも吐いてるかもしれんがな)
姫「どうやって? ……まさか、何度も転移で戻るわけには……」
魔王「ああ、それはな……魔導将軍も網を張っているだろうし」
魔王「魔力の痕跡をつかまれたくはないからな」
魔王「私の一部を持っているから、かな。それによって繋がっている」
姫「まさか……瞳!?」
魔王「……まあ、そうだ」
船長「奪われた、のか?」
魔王「そんなんじゃ無い。私が与えた……こういうことになった時に」
魔王「手っ取り早く連絡を取る事ができるからな」
魔王「出さされた……と言うか」
船長「出さされた?」
魔王「さっきも言っただろう?優秀な側近が居るんだ」
魔王「私の不在を他に知らせない為に、あいつ自身は城から離れられないが」
魔王「連絡は何時でも取れる」
魔王(この風景を見ていれば……血でも吐いてるかもしれんがな)
姫「どうやって? ……まさか、何度も転移で戻るわけには……」
魔王「ああ、それはな……魔導将軍も網を張っているだろうし」
魔王「魔力の痕跡をつかまれたくはないからな」
魔王「私の一部を持っているから、かな。それによって繋がっている」
姫「まさか……瞳!?」
魔王「……まあ、そうだ」
船長「奪われた、のか?」
魔王「そんなんじゃ無い。私が与えた……こういうことになった時に」
魔王「手っ取り早く連絡を取る事ができるからな」
323: 2013/04/09(火) 10:08:15.20 ID:T7fmS7FrP
盗賊「それ……元に戻る、のか?」
魔王「どうだろうなぁ……でもまあ、もしもの時に」
魔王「あいつの力が増幅されるならそれはそれで助かるし」
船長「……にわかには信じられない話だな」
魔王「私は……まだ疑われているのか?」
船長「ああ、そうじゃ無くて……いや、その、な?」
姫「事実自体が現実離れしてるって事よ……」
盗賊「でも、なんでお前が……なんだよ。魔王なんだろ?」
魔王「一番身軽だからな。最悪転移魔法ですぐに戻れるし」
魔王「……私の本当の力を知っているのは、側近と後数人しかいない」
姫「魔導将軍、言ってたわね……ええっと『腑抜けの王』だったかしら」
魔王「私の……不干渉で良いじゃないかと言うのが気に入らんのだろう」
船長「気に入らんからと言って、自分らの主だろう、お前……」
魔王「親父の代からそれほど大きな争いなんか起きていないからな」
魔王「今の隊長クラスが私の実力を知らないのは無理も無い……し」
魔王「殆どが世襲制だとしか思っていないからな」
盗賊「違うのか?」
魔王「いや、まあ……そうなんだがな」
姫「要するに、血だけで魔王の座を簡単に手に入れられるなんてズルイ」
姫「魔族らしく実力勝負にすれば良いのに……て言いたいのね」
魔王「ま、そんな所だろう」
魔王「どうだろうなぁ……でもまあ、もしもの時に」
魔王「あいつの力が増幅されるならそれはそれで助かるし」
船長「……にわかには信じられない話だな」
魔王「私は……まだ疑われているのか?」
船長「ああ、そうじゃ無くて……いや、その、な?」
姫「事実自体が現実離れしてるって事よ……」
盗賊「でも、なんでお前が……なんだよ。魔王なんだろ?」
魔王「一番身軽だからな。最悪転移魔法ですぐに戻れるし」
魔王「……私の本当の力を知っているのは、側近と後数人しかいない」
姫「魔導将軍、言ってたわね……ええっと『腑抜けの王』だったかしら」
魔王「私の……不干渉で良いじゃないかと言うのが気に入らんのだろう」
船長「気に入らんからと言って、自分らの主だろう、お前……」
魔王「親父の代からそれほど大きな争いなんか起きていないからな」
魔王「今の隊長クラスが私の実力を知らないのは無理も無い……し」
魔王「殆どが世襲制だとしか思っていないからな」
盗賊「違うのか?」
魔王「いや、まあ……そうなんだがな」
姫「要するに、血だけで魔王の座を簡単に手に入れられるなんてズルイ」
姫「魔族らしく実力勝負にすれば良いのに……て言いたいのね」
魔王「ま、そんな所だろう」
324: 2013/04/09(火) 10:14:42.62 ID:T7fmS7FrP
魔王「実際に進言してきた奴はおらんが……事実がそう物語っているな」
魔王「親父……前魔王の息子と言うだけで、魔王……魔族の頂点に君臨するんだ」
魔王「しかもそいつが『腑抜け』と見れば……と言う気持ちも分からんでも無いが」
魔王「だが……過ぎた行為には罰を与えねば、な」
船長「……舐められるお前にも原因があると思うが」
魔王「それを言われると痛い……全く持って否定はできん」
魔王「私としては……な。魔王としてこうだ、と宣言したり命令したりするより」
魔王「人も魔も、それぞれが自分で考えた上で」
魔王「この……今の状況ってのが一番ありがたいんだがな」
姫「少年……」
魔王「命令されて、嫌々従っても……それは本当の意味の幸せじゃないだろうし」
魔王「押さえつけると逆に、反発は強くなるだろうしなぁ」
盗賊「……」
魔王「が、まあ……それじゃ駄目だった、と言うのが現実だ」
魔王「だから、な……」
姫「城を出て来たのね。身分を隠して……」
盗賊「……」
船長「さっき、出さされたと言ったのは?」
魔王「親父……前魔王の息子と言うだけで、魔王……魔族の頂点に君臨するんだ」
魔王「しかもそいつが『腑抜け』と見れば……と言う気持ちも分からんでも無いが」
魔王「だが……過ぎた行為には罰を与えねば、な」
船長「……舐められるお前にも原因があると思うが」
魔王「それを言われると痛い……全く持って否定はできん」
魔王「私としては……な。魔王としてこうだ、と宣言したり命令したりするより」
魔王「人も魔も、それぞれが自分で考えた上で」
魔王「この……今の状況ってのが一番ありがたいんだがな」
姫「少年……」
魔王「命令されて、嫌々従っても……それは本当の意味の幸せじゃないだろうし」
魔王「押さえつけると逆に、反発は強くなるだろうしなぁ」
盗賊「……」
魔王「が、まあ……それじゃ駄目だった、と言うのが現実だ」
魔王「だから、な……」
姫「城を出て来たのね。身分を隠して……」
盗賊「……」
船長「さっき、出さされたと言ったのは?」
325: 2013/04/09(火) 10:19:49.56 ID:T7fmS7FrP
魔王「まあ、人の振りして旅に出ろと発案したのはその……側近なんだ」
魔王「勇者と呼ばれる様に振る舞ってこい、とな」
姫「勇者?」
魔王「ああ。勇者と言うのは、悪い魔王を倒す為に」
魔王「光の中から颯爽と現れたりするものじゃないらしな」
船長「えっ」
盗賊「えっ」
姫「えっ」
魔王「……なんだ」
船長「当たり前だろう、阿呆かお前は」
姫「……そうなの?」
盗賊「姉ちゃんまで……まあ、でも仕方無い……か」
盗賊「悪い魔王をやっつける為に、伝説の勇者が……なんてのは」
盗賊「御伽噺の世界だけのもんだよ」
盗賊「現実に、そんなもの居るはずが無い……居たら……この世界は……」
魔王「……」
魔王「まあ、な。私だって、魔物や魔族達を統べる、魔の世界の王と言うだけで」
魔王「人間の世界に存在する一国の王とやらと何も代わらない筈なんだが」
姫「魔王って言うだけで、恐ろしいイメージしか無いわよね」
魔王「勇者と呼ばれる様に振る舞ってこい、とな」
姫「勇者?」
魔王「ああ。勇者と言うのは、悪い魔王を倒す為に」
魔王「光の中から颯爽と現れたりするものじゃないらしな」
船長「えっ」
盗賊「えっ」
姫「えっ」
魔王「……なんだ」
船長「当たり前だろう、阿呆かお前は」
姫「……そうなの?」
盗賊「姉ちゃんまで……まあ、でも仕方無い……か」
盗賊「悪い魔王をやっつける為に、伝説の勇者が……なんてのは」
盗賊「御伽噺の世界だけのもんだよ」
盗賊「現実に、そんなもの居るはずが無い……居たら……この世界は……」
魔王「……」
魔王「まあ、な。私だって、魔物や魔族達を統べる、魔の世界の王と言うだけで」
魔王「人間の世界に存在する一国の王とやらと何も代わらない筈なんだが」
姫「魔王って言うだけで、恐ろしいイメージしか無いわよね」
326: 2013/04/09(火) 10:26:14.45 ID:T7fmS7FrP
船長「しかし……勇者になれ?ん?勇者と呼ばれろ?か?」
船長「……てのは?」
魔王「まあ、要するに……勇者と言う存在が明るみにでて来れば」
魔王「牽制になり、奴ら……過激派の奴らも」
魔王「反乱企んでる暇無くなるだろうと言う……な」
姫「ああ、成る程……で、少年が勇者だったら」
魔王「そう。私が倒される心配も無い……まあ」
魔王「そうそう、私が誰かに負ける事なんて無いと思うがな」
船長「随分な自身だな」
魔王「……魔導将軍達は、私の本当の実力を知らないと言っただろう?」
盗賊「お前……強いのか?まあ……」
盗賊「転移だの何だの……聞いてりゃ、まあ……あれだけど」
魔王「隊長クラスが全員束になって掛かってきても」
魔王「氏にはしないだろうな」
盗賊「え!?」
船長「……随分と吹きやがるな」
魔王「氏にはしないだろう、と言うだけだ」
魔王「五体満足でいられるかは別問題だぞ」
盗賊「……じゃ、じゃあ、魔導将軍一人だったら……!!」
魔王「確かに、頃すだけならばな。だが……」
姫「魔導の街の人達を巻き込んでしまっている以上……」
魔王「そうだ。あいつ一人を頃して、その後の展開が気になる」
魔王「おいそれと手を出すには……情報が少なすぎる」
船長「……てのは?」
魔王「まあ、要するに……勇者と言う存在が明るみにでて来れば」
魔王「牽制になり、奴ら……過激派の奴らも」
魔王「反乱企んでる暇無くなるだろうと言う……な」
姫「ああ、成る程……で、少年が勇者だったら」
魔王「そう。私が倒される心配も無い……まあ」
魔王「そうそう、私が誰かに負ける事なんて無いと思うがな」
船長「随分な自身だな」
魔王「……魔導将軍達は、私の本当の実力を知らないと言っただろう?」
盗賊「お前……強いのか?まあ……」
盗賊「転移だの何だの……聞いてりゃ、まあ……あれだけど」
魔王「隊長クラスが全員束になって掛かってきても」
魔王「氏にはしないだろうな」
盗賊「え!?」
船長「……随分と吹きやがるな」
魔王「氏にはしないだろう、と言うだけだ」
魔王「五体満足でいられるかは別問題だぞ」
盗賊「……じゃ、じゃあ、魔導将軍一人だったら……!!」
魔王「確かに、頃すだけならばな。だが……」
姫「魔導の街の人達を巻き込んでしまっている以上……」
魔王「そうだ。あいつ一人を頃して、その後の展開が気になる」
魔王「おいそれと手を出すには……情報が少なすぎる」
327: 2013/04/09(火) 10:38:47.74 ID:T7fmS7FrP
船長「しかし……指導者が居なくなれば、挫かれないか?」
魔王「どうだろうな……良い方に転がってくれれば良いが」
魔王「魔導将軍が居る限り、矛先が私なのが解っているからな」
魔王「……あの街の貴族共は、攻撃の対象を……力の無い人達に向けそうだからな」
盗賊「あ……」
魔王「今現在、お前達の島の所在はばれていない、と思っているんだな?」
船長「ああ、へまはしてないつもりでいた。いた、が」
船長「魔導将軍が魔族だと解った以上、全く安心は出来ないな」
盗賊「な、なんでだよ!!」
船長「魔族の力がどの程度なのかわからないが……」
船長「……人であると思っていた時以上の警戒はすべきだろう?」
姫「そうね……魔導将軍も、気配とか……わかるみたいだし、ね」
魔王「図書館での話か。あれは魔力の察知しただけにすぎんだろう」
魔王「その証拠に、盗賊が来た時は気がついていなかっただろう?」
魔王「……まあ、興奮して集中を欠いていたと言うのもあるだろうが」
魔王「どうだろうな……良い方に転がってくれれば良いが」
魔王「魔導将軍が居る限り、矛先が私なのが解っているからな」
魔王「……あの街の貴族共は、攻撃の対象を……力の無い人達に向けそうだからな」
盗賊「あ……」
魔王「今現在、お前達の島の所在はばれていない、と思っているんだな?」
船長「ああ、へまはしてないつもりでいた。いた、が」
船長「魔導将軍が魔族だと解った以上、全く安心は出来ないな」
盗賊「な、なんでだよ!!」
船長「魔族の力がどの程度なのかわからないが……」
船長「……人であると思っていた時以上の警戒はすべきだろう?」
姫「そうね……魔導将軍も、気配とか……わかるみたいだし、ね」
魔王「図書館での話か。あれは魔力の察知しただけにすぎんだろう」
魔王「その証拠に、盗賊が来た時は気がついていなかっただろう?」
魔王「……まあ、興奮して集中を欠いていたと言うのもあるだろうが」
328: 2013/04/09(火) 10:45:47.53 ID:T7fmS7FrP
船長「ああ……ばれていて、機会をうかがってただけだとしたら」
魔王「まあ、大会が終わる迄は……大丈夫だろうと思うがな」
盗賊「保証はネェだろう……!?」
魔王「いや……聞いた話だとな」
盗賊「え?」
魔王「あの……娼館の中で過ごす者達は」
魔王「『エルフの若者が一族の娘に婚姻を断られた腹いせに劣等種を逃がした』」
魔王「『が、魔導将軍に掴まって皆頃しにされた』と……聞かされているらしい」
船長「何……?」
魔王「だから、お前達が生きている事は知らないし、希望も持っていない」
盗賊「な、なんでそんな事知ってんだよ!どこでそんな事……!!」
魔王「調べたい事があると言っただろう……娼館にいってみたんだ」
魔王「そこで直接、女という娘に聞いた」
盗賊「!」
魔王「……逃げられるとしたら、逃げたいか、ともな」
魔王「聞いてみたんだが……」
盗賊「そんなの、逃げたいに決まってんだ!何言って……!」
魔王「まあ、大会が終わる迄は……大丈夫だろうと思うがな」
盗賊「保証はネェだろう……!?」
魔王「いや……聞いた話だとな」
盗賊「え?」
魔王「あの……娼館の中で過ごす者達は」
魔王「『エルフの若者が一族の娘に婚姻を断られた腹いせに劣等種を逃がした』」
魔王「『が、魔導将軍に掴まって皆頃しにされた』と……聞かされているらしい」
船長「何……?」
魔王「だから、お前達が生きている事は知らないし、希望も持っていない」
盗賊「な、なんでそんな事知ってんだよ!どこでそんな事……!!」
魔王「調べたい事があると言っただろう……娼館にいってみたんだ」
魔王「そこで直接、女という娘に聞いた」
盗賊「!」
魔王「……逃げられるとしたら、逃げたいか、ともな」
魔王「聞いてみたんだが……」
盗賊「そんなの、逃げたいに決まってんだ!何言って……!」
334: 2013/04/09(火) 13:34:58.26 ID:T7fmS7FrP
魔王「……」
盗賊「おい!少年……何とか……!」
魔王「今更、自由を与えられてもどうすれば良いのかわからないし」
魔王「怖い……のだそうだ」
盗賊「そんな!!」
船長「……だが、それと大会が終わるまで安全というのは何も繋がらネェぞ」
魔王「娼館で、少女という娘に会ったんだが」
魔王「少女は、茶を運んでくれたりするだけでな」
魔王「理由を聞いてみると、魔導将軍が大会が終われば、手を着けるらしく」
魔王「……今はまだ、誰の相手もしていないらしいんだ」
盗賊「だから……なんだっていうんだよ!」
魔王「あいつは私の力を……まあ、完全に舐めきっている……し」
魔王「大会に出るのは、姫だ」
姫「……負ける筈が無いと思っているでしょうね、あの人は」
魔王「ああ。それに……棄権は許さんとも言っていただろう?」
姫「ええ」
魔王「確実にお前を、舞台の上でなぶり頃しにし、見世物にする気だろう」
船長「……随分あっさりと言うな」
姫「……」
盗賊「おい!少年……何とか……!」
魔王「今更、自由を与えられてもどうすれば良いのかわからないし」
魔王「怖い……のだそうだ」
盗賊「そんな!!」
船長「……だが、それと大会が終わるまで安全というのは何も繋がらネェぞ」
魔王「娼館で、少女という娘に会ったんだが」
魔王「少女は、茶を運んでくれたりするだけでな」
魔王「理由を聞いてみると、魔導将軍が大会が終われば、手を着けるらしく」
魔王「……今はまだ、誰の相手もしていないらしいんだ」
盗賊「だから……なんだっていうんだよ!」
魔王「あいつは私の力を……まあ、完全に舐めきっている……し」
魔王「大会に出るのは、姫だ」
姫「……負ける筈が無いと思っているでしょうね、あの人は」
魔王「ああ。それに……棄権は許さんとも言っていただろう?」
姫「ええ」
魔王「確実にお前を、舞台の上でなぶり頃しにし、見世物にする気だろう」
船長「……随分あっさりと言うな」
姫「……」
335: 2013/04/09(火) 13:40:48.32 ID:T7fmS7FrP
魔王「私が着いているんだ。絶対にそんな事はさせない」
盗賊「……随分な自信だな。相手は魔導将軍だぞ!?」
魔王「私は魔王だ」
姫「……ちゃんと、特訓してくれるんでしょうね」
魔王「心配するな。お前も、お前の腹の子も……ちゃんと守る」
船長「しかし、だからって……」
魔王「魔導将軍は残忍な男だ……し、趣味も悪い」
姫「そうね。随分と加虐するのが好きみたいだったわ」
盗賊「……そう、なのか?」
姫「ええ。恐怖や苦痛に歪む顔はたまらないとかね」
船長「成る程な。娼館の少女や、お嬢ちゃん……その楽しみがある限り」
魔王「ああ。無茶をすれば楽しみが奪われるからな。しかも、勝てると確信している姫が相手だ」
魔王「……それに、私も居る」
盗賊「少年」
魔王「なんだ」
盗賊「……信じて良いんだな」
魔王「ああ」
船長「聞く限り、その転移術とやらで……何時だって逃げられたんだろう」
魔王「そうだな。それ以前に……あんな鍵、意味は無い」
盗賊「……随分な自信だな。相手は魔導将軍だぞ!?」
魔王「私は魔王だ」
姫「……ちゃんと、特訓してくれるんでしょうね」
魔王「心配するな。お前も、お前の腹の子も……ちゃんと守る」
船長「しかし、だからって……」
魔王「魔導将軍は残忍な男だ……し、趣味も悪い」
姫「そうね。随分と加虐するのが好きみたいだったわ」
盗賊「……そう、なのか?」
姫「ええ。恐怖や苦痛に歪む顔はたまらないとかね」
船長「成る程な。娼館の少女や、お嬢ちゃん……その楽しみがある限り」
魔王「ああ。無茶をすれば楽しみが奪われるからな。しかも、勝てると確信している姫が相手だ」
魔王「……それに、私も居る」
盗賊「少年」
魔王「なんだ」
盗賊「……信じて良いんだな」
魔王「ああ」
船長「聞く限り、その転移術とやらで……何時だって逃げられたんだろう」
魔王「そうだな。それ以前に……あんな鍵、意味は無い」
336: 2013/04/09(火) 13:47:27.16 ID:T7fmS7FrP
姫「本当に規格外よね……」
船長「規格外か……違い無い」
盗賊「……少年、あの」
魔王「何だ」
盗賊「駄目なのか。救えないのか!?」
魔王「……解らん。こればっかりは。だが……」
盗賊「だが……?」
魔王「今は、大会に勝つ事を考えるべきだ」
船長「……そうだな。だが、嬢ちゃんじゃ……」
魔王「素質は悪く無い、と思うんだが……しかしな」
姫「何よ……」
魔王「身重の娘になぁ……それに」
魔王「相手はあの魔導将軍だからな……流石に、正直勝てるとは思わん、のだが」
姫「やってみなくちゃわかんないでしょ!」
魔王「取りあえず、まあ……特訓とやらをしようじゃないか」
魔王「予選で負ければそれはそれだ」
盗賊「で、でも……!」
船長「盗賊。流石に……無茶は言えネェぞ」
船長「魔導将軍が魔族だと解った以上……他人様には」
盗賊「……ああ。だけど」
魔王「まあ、あまり深く悩むな。心配しなくても策はある」
姫「……何企んでるのよ」
船長「規格外か……違い無い」
盗賊「……少年、あの」
魔王「何だ」
盗賊「駄目なのか。救えないのか!?」
魔王「……解らん。こればっかりは。だが……」
盗賊「だが……?」
魔王「今は、大会に勝つ事を考えるべきだ」
船長「……そうだな。だが、嬢ちゃんじゃ……」
魔王「素質は悪く無い、と思うんだが……しかしな」
姫「何よ……」
魔王「身重の娘になぁ……それに」
魔王「相手はあの魔導将軍だからな……流石に、正直勝てるとは思わん、のだが」
姫「やってみなくちゃわかんないでしょ!」
魔王「取りあえず、まあ……特訓とやらをしようじゃないか」
魔王「予選で負ければそれはそれだ」
盗賊「で、でも……!」
船長「盗賊。流石に……無茶は言えネェぞ」
船長「魔導将軍が魔族だと解った以上……他人様には」
盗賊「……ああ。だけど」
魔王「まあ、あまり深く悩むな。心配しなくても策はある」
姫「……何企んでるのよ」
337: 2013/04/09(火) 13:54:05.19 ID:T7fmS7FrP
魔王「とにかく、特訓とやらをするにしても」
魔王「船の上ではどうにもならないだろう」
姫「そうね……でも、予選当日まで街には戻らない方が良いわよ」
姫「この船……それこそ目をつけられちゃうわ」
魔王「そうだな。まあ、移動は心配無い。私がお前を抱えて飛べば良い」
盗賊「お、俺も連れて行ってくれよ!?」
魔王「盗賊は駄目だ……魔導将軍に顔がばれてるだろ」
船長「そうだ。お前は大人しくしておけ」
盗賊「……」
船長「仕方ないな……何時までもウロウロとしている訳にもいかん」
船長「島へ行く……良いな?」
盗賊「……勝手にしろ」
船長「拗ねるな糞ガキ……ったく。魔導将軍さえどうにかなれば」
船長「助かる道だって探せるだろう……目先の事ばかりに囚われるなよ」
魔王「どれぐらいかかる?」
船長「今日は一日、この侭北へ向かう……それからぐるっと一つ、大陸を回り」
船長「廃港で小さな船に乗り換える」
魔王「廃港?」
船長「そうだ。大陸とはお世辞にも呼べない小さな……陸地がある」
船長「そこに、もう古くなって使われていない港があるんだ」
船長「港とは名ばかりだけどな……まあ、この船でも」
船長「ぎりぎり着岸はできるんだ」
魔王「船の上ではどうにもならないだろう」
姫「そうね……でも、予選当日まで街には戻らない方が良いわよ」
姫「この船……それこそ目をつけられちゃうわ」
魔王「そうだな。まあ、移動は心配無い。私がお前を抱えて飛べば良い」
盗賊「お、俺も連れて行ってくれよ!?」
魔王「盗賊は駄目だ……魔導将軍に顔がばれてるだろ」
船長「そうだ。お前は大人しくしておけ」
盗賊「……」
船長「仕方ないな……何時までもウロウロとしている訳にもいかん」
船長「島へ行く……良いな?」
盗賊「……勝手にしろ」
船長「拗ねるな糞ガキ……ったく。魔導将軍さえどうにかなれば」
船長「助かる道だって探せるだろう……目先の事ばかりに囚われるなよ」
魔王「どれぐらいかかる?」
船長「今日は一日、この侭北へ向かう……それからぐるっと一つ、大陸を回り」
船長「廃港で小さな船に乗り換える」
魔王「廃港?」
船長「そうだ。大陸とはお世辞にも呼べない小さな……陸地がある」
船長「そこに、もう古くなって使われていない港があるんだ」
船長「港とは名ばかりだけどな……まあ、この船でも」
船長「ぎりぎり着岸はできるんだ」
338: 2013/04/09(火) 14:01:45.82 ID:T7fmS7FrP
魔王「成る程、そこから小さな船でやっと行ける島、か」
船長「……まぁ、な」ニヤ
姫「……?」
船長「まあ、二日あれば着けるって事だ。あんた達の移動時間を考えんで済むなら」
船長「何も問題はないだろう」
船長「後、魔法の特訓なら甲板でやりな。どうせもう少し北へ出れば」
船長「海の魔物にも襲われるだろう」
姫「海にも……魔物が居るの?」
船長「ああ……通る辺りはまだそれほど強い奴じゃないけどな」
姫「北へ行くほど……魔物は強くなるの?」
船長「空を見れば納得するさ」
姫「空……?」
船長「後で甲板に出て、北の方角を見ろ……理由が解るさ」
魔王「……行ってみるか?」
船長「俺は舵を見に行くさ。進路も伝えねばならんからな」
船長「後で、ちゃんとした部屋を用意させる……それ迄は自由にしてろ」スタスタ
パタン
魔王「どうする、姫?」
姫「ええ……行くわ。盗賊は?」
盗賊「俺は……良いよ」
船長「……まぁ、な」ニヤ
姫「……?」
船長「まあ、二日あれば着けるって事だ。あんた達の移動時間を考えんで済むなら」
船長「何も問題はないだろう」
船長「後、魔法の特訓なら甲板でやりな。どうせもう少し北へ出れば」
船長「海の魔物にも襲われるだろう」
姫「海にも……魔物が居るの?」
船長「ああ……通る辺りはまだそれほど強い奴じゃないけどな」
姫「北へ行くほど……魔物は強くなるの?」
船長「空を見れば納得するさ」
姫「空……?」
船長「後で甲板に出て、北の方角を見ろ……理由が解るさ」
魔王「……行ってみるか?」
船長「俺は舵を見に行くさ。進路も伝えねばならんからな」
船長「後で、ちゃんとした部屋を用意させる……それ迄は自由にしてろ」スタスタ
パタン
魔王「どうする、姫?」
姫「ええ……行くわ。盗賊は?」
盗賊「俺は……良いよ」
339: 2013/04/09(火) 14:05:25.03 ID:T7fmS7FrP
姫「そう……じゃあ、後で」スタスタ。パタン
魔王「盗賊……」
盗賊「……疑って悪かったな」
魔王「いや。怪しいかそうでないかと言われれば、な」
魔王「当然の感情だろう……構わんさ」
盗賊「なあ……勝てるのか?姉ちゃん……」
盗賊「本当の夫婦じゃ無いとは言え……」
魔王「心配に決まってる。だが……」
魔王「私がいるんだ。大丈夫だ……本当に行かないのか?」
盗賊「北の空なんて見飽きたさ……行ってこいよ」
魔王「……そうか」スタスタ……パタン
盗賊「何だよ、自由が怖いって……」
盗賊「今の状態が、正しい訳無いだろう!?」
盗賊「俺たちだって……人間なんだぞ!?生きてるんだぞ!?」
盗賊「物じゃ……道具なんかじゃ……無いんだ……!!」
……
………
…………
魔王「盗賊……」
盗賊「……疑って悪かったな」
魔王「いや。怪しいかそうでないかと言われれば、な」
魔王「当然の感情だろう……構わんさ」
盗賊「なあ……勝てるのか?姉ちゃん……」
盗賊「本当の夫婦じゃ無いとは言え……」
魔王「心配に決まってる。だが……」
魔王「私がいるんだ。大丈夫だ……本当に行かないのか?」
盗賊「北の空なんて見飽きたさ……行ってこいよ」
魔王「……そうか」スタスタ……パタン
盗賊「何だよ、自由が怖いって……」
盗賊「今の状態が、正しい訳無いだろう!?」
盗賊「俺たちだって……人間なんだぞ!?生きてるんだぞ!?」
盗賊「物じゃ……道具なんかじゃ……無いんだ……!!」
……
………
…………
340: 2013/04/09(火) 14:15:09.90 ID:T7fmS7FrP
魔王「……姫」
姫「風が強いわね……空って……あれの事?」
魔王「……ああ。そうだな」
姫「真っ黒……紫?にも見えるわ」
姫「貴方の瞳みたい」
魔王「……あの暗い空の下……北の果てには」
姫「……?」
魔王「私の城がある」
姫「魔王の、城……?」
魔王「そうだ。最果ての大陸にある最果ての街。そこが……私達魔族の暮らす街だ」
姫「魔族の街……」
魔王「果てしなく広がる大きな大陸だ……全貌は私にも解らない」
魔王「人が踏み入れれば、渦巻く魔の気に」
魔王「弱い身は蝕まれるだろう……と、言われているな」
姫「実際の所はどうなの?」
魔王「さあな。好んで近寄ってくる人間は居ないだろうからな」
姫「……あの闇色の雲は、魔の気の集まりなのね」
魔王「そうだな。かといって別に、心地よいとも思わないがな」
姫「風が強いわね……空って……あれの事?」
魔王「……ああ。そうだな」
姫「真っ黒……紫?にも見えるわ」
姫「貴方の瞳みたい」
魔王「……あの暗い空の下……北の果てには」
姫「……?」
魔王「私の城がある」
姫「魔王の、城……?」
魔王「そうだ。最果ての大陸にある最果ての街。そこが……私達魔族の暮らす街だ」
姫「魔族の街……」
魔王「果てしなく広がる大きな大陸だ……全貌は私にも解らない」
魔王「人が踏み入れれば、渦巻く魔の気に」
魔王「弱い身は蝕まれるだろう……と、言われているな」
姫「実際の所はどうなの?」
魔王「さあな。好んで近寄ってくる人間は居ないだろうからな」
姫「……あの闇色の雲は、魔の気の集まりなのね」
魔王「そうだな。かといって別に、心地よいとも思わないがな」
341: 2013/04/09(火) 14:24:50.34 ID:T7fmS7FrP
姫「そうなの?」
魔王「ああ。こうして……人の暮らす大陸へと渡ったのは初めてだが」
魔王「澄み渡る様な青い空や、緑の香を含む柔らかい風の方が私は好きだな」
魔王「……気分が良くなる」
姫「変わってる……のかしらね。魔族……なのに」
魔王「どうかな。案外……そういうのに焦がれて」
魔王「それを手に入れたいと思っただけなのかもしれんぞ?」
魔王「……人間を侵略しよう、等と、思った切欠はな」
姫「身勝手な話ね」
魔王「もう何百年も昔……親父が魔王になった頃の話だからな」
魔王「人と魔の全面戦争、なんて」
姫「……少年……魔王の、お父様が……始めたの?」
魔王「少年で良い……いや、魔王でも良いけど……ああ、戦争の話か?」
魔王「いや……言葉が足らなかったな」
魔王「実際に戦争があったのは親父の前の魔王の時だ」
姫「おじいさま……?」
魔王「か、ばぁさんか知らん。が、随分と好戦的な奴だったらしくてな」
魔王「親父が……そいつを倒し、勇者を退けたって事ぐらいしか解らんが」
姫「お父様は……強かったのね」
魔王「ああ。こうして……人の暮らす大陸へと渡ったのは初めてだが」
魔王「澄み渡る様な青い空や、緑の香を含む柔らかい風の方が私は好きだな」
魔王「……気分が良くなる」
姫「変わってる……のかしらね。魔族……なのに」
魔王「どうかな。案外……そういうのに焦がれて」
魔王「それを手に入れたいと思っただけなのかもしれんぞ?」
魔王「……人間を侵略しよう、等と、思った切欠はな」
姫「身勝手な話ね」
魔王「もう何百年も昔……親父が魔王になった頃の話だからな」
魔王「人と魔の全面戦争、なんて」
姫「……少年……魔王の、お父様が……始めたの?」
魔王「少年で良い……いや、魔王でも良いけど……ああ、戦争の話か?」
魔王「いや……言葉が足らなかったな」
魔王「実際に戦争があったのは親父の前の魔王の時だ」
姫「おじいさま……?」
魔王「か、ばぁさんか知らん。が、随分と好戦的な奴だったらしくてな」
魔王「親父が……そいつを倒し、勇者を退けたって事ぐらいしか解らんが」
姫「お父様は……強かったのね」
342: 2013/04/09(火) 14:34:47.57 ID:T7fmS7FrP
魔王「魔王だからな」
姫「でも、その……お父様を、倒したのは貴方」
魔王「ああ……親父はどちらかと言えば人が好きだったらしい」
魔王「私は……良くわからん。解らん……が」
魔王「別に侵略しようとは思わんしな」
姫「不干渉が丁度良いって言ってたわね」
魔王「そうだな」
姫「……貴方や、お父様みたいな考え方してくれる方が……人間にはありがたいんでしょうね」
魔王「だろうな。さっき言った切欠って言うのは、ただの冗談だが」
魔王「……この空の下で暮らしたいと言うのなら、共存の道を探せば良いだけだ」
魔王「私は御免だがな」
姫「……お父様は、そう考えていらしたの?」
魔王「いや……まあ、もう本当のところはわからんが」
魔王「不干渉で丁度良いのだろうとは良く口にしていたな」
姫「でも、その……お父様を、倒したのは貴方」
魔王「ああ……親父はどちらかと言えば人が好きだったらしい」
魔王「私は……良くわからん。解らん……が」
魔王「別に侵略しようとは思わんしな」
姫「不干渉が丁度良いって言ってたわね」
魔王「そうだな」
姫「……貴方や、お父様みたいな考え方してくれる方が……人間にはありがたいんでしょうね」
魔王「だろうな。さっき言った切欠って言うのは、ただの冗談だが」
魔王「……この空の下で暮らしたいと言うのなら、共存の道を探せば良いだけだ」
魔王「私は御免だがな」
姫「……お父様は、そう考えていらしたの?」
魔王「いや……まあ、もう本当のところはわからんが」
魔王「不干渉で丁度良いのだろうとは良く口にしていたな」
343: 2013/04/09(火) 14:40:26.83 ID:T7fmS7FrP
魔王「自分に言い聞かしていたのかもしれん。穏健派の……殆どは」
魔王「親父の代からの古参の連中だ。寿命でもう世を去った者も多いが」
魔王「人が好きだと言う奴も多かった……共存を未だに願う者も居るのかもな」
姫「……魔族にも寿命があるの?」
魔王「不老の者は居るが、不氏では無いさ。親父だってそれを悟って」
魔王「力が衰えきる前に。他の魔族を押さえられなくなる前に……」
姫「貴方に、魔王の名を譲ったのね……」
魔王「寿命が近いとは言え、親父は強かった……まあ、そんな状態の親父に」
魔王「勝てない程度では、私も魔王の器とは言えないのだろうが」
姫「勝てなければ……どうなったの?」
魔王「さぁ、な……こればっかりはわからん」
姫「そう……そうよね」
魔王「ん……」
姫「え?」
魔王「昔話はこれぐらいにしよう……波が」
姫「波……?」
魔王「急に静かに……!!」
グラグラ……!
姫「きゃ……ッ!?」
海賊「魔物だー!」
魔王「ふむ……いきなりの実戦か」
姫「え、ええ!?」
魔王「親父の代からの古参の連中だ。寿命でもう世を去った者も多いが」
魔王「人が好きだと言う奴も多かった……共存を未だに願う者も居るのかもな」
姫「……魔族にも寿命があるの?」
魔王「不老の者は居るが、不氏では無いさ。親父だってそれを悟って」
魔王「力が衰えきる前に。他の魔族を押さえられなくなる前に……」
姫「貴方に、魔王の名を譲ったのね……」
魔王「寿命が近いとは言え、親父は強かった……まあ、そんな状態の親父に」
魔王「勝てない程度では、私も魔王の器とは言えないのだろうが」
姫「勝てなければ……どうなったの?」
魔王「さぁ、な……こればっかりはわからん」
姫「そう……そうよね」
魔王「ん……」
姫「え?」
魔王「昔話はこれぐらいにしよう……波が」
姫「波……?」
魔王「急に静かに……!!」
グラグラ……!
姫「きゃ……ッ!?」
海賊「魔物だー!」
魔王「ふむ……いきなりの実戦か」
姫「え、ええ!?」
344: 2013/04/09(火) 14:44:44.03 ID:T7fmS7FrP
魔王「海の魔物に水の魔法は不利……だろうが、まあ良いだろう」
姫「ちょ、そんな……!」
魔王「大丈夫だ……お前なら」
魔王「教えてくれたのはお前だろう……願えば、叶う……だったか?」
姫「え!?」
海賊「槍を持てー!」
船長「な、なんだどうした……ッ 魔物か!?」
船長「お嬢ちゃん、少年!」
キシャアアアア!
魔王「集中して……今だ、放て!」
姫「え、え……ッ み、水よ……!!」
ギャアアアア!!
魔王「うん、そんな感じ……だが、流石に効いてないな……」
姫「ひッ ……い、今の、私が……!?」
魔王「数も多いな……姫、下がっていろ……雷よ!」
ピシャアアアア……ン!!
ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!
姫「ちょ、そんな……!」
魔王「大丈夫だ……お前なら」
魔王「教えてくれたのはお前だろう……願えば、叶う……だったか?」
姫「え!?」
海賊「槍を持てー!」
船長「な、なんだどうした……ッ 魔物か!?」
船長「お嬢ちゃん、少年!」
キシャアアアア!
魔王「集中して……今だ、放て!」
姫「え、え……ッ み、水よ……!!」
ギャアアアア!!
魔王「うん、そんな感じ……だが、流石に効いてないな……」
姫「ひッ ……い、今の、私が……!?」
魔王「数も多いな……姫、下がっていろ……雷よ!」
ピシャアアアア……ン!!
ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!
345: 2013/04/09(火) 14:51:58.09 ID:T7fmS7FrP
船長「……す、すげぇ」
海賊「嘘だろ……一発で、あんな大群……!」
魔王「ふむ……やはり雷に弱いのか……ッ う…ッ!?」ピリピリ…
魔王「ああ、暫く水に触るなよ……感電するぞ」
船長「マジかよ……」
姫「……凄い」
魔王「姫、大丈夫か?」
姫「え、ええ……まあ……」
魔王「……」キョロキョロ
魔王「なんだ、みんな揃って……口、開いてるぞ」
船長「そりゃびっくりもするわ!……何だよ、今の威力は……」
側近『こらあああああああああああああああああ!』
魔王「うわッ」
姫「え!?」
側近『おーまーえーはあああああ!!』
側近『あれほど、あれほど目立つ事はすんなと……言っただろうがあああ!!』
側近『本当にあれか!?お前は心労で俺を頃す気か!?何!?何なの!?』
側近『俺に個人的な怨みかなんかあんの!?ねえ!!! ……ッう……』
側近『胃がいてええぇ……』
魔王『あ、ああ……その、ちゃんと説明するから……』
側近『薬……胃の薬……』
海賊「嘘だろ……一発で、あんな大群……!」
魔王「ふむ……やはり雷に弱いのか……ッ う…ッ!?」ピリピリ…
魔王「ああ、暫く水に触るなよ……感電するぞ」
船長「マジかよ……」
姫「……凄い」
魔王「姫、大丈夫か?」
姫「え、ええ……まあ……」
魔王「……」キョロキョロ
魔王「なんだ、みんな揃って……口、開いてるぞ」
船長「そりゃびっくりもするわ!……何だよ、今の威力は……」
側近『こらあああああああああああああああああ!』
魔王「うわッ」
姫「え!?」
側近『おーまーえーはあああああ!!』
側近『あれほど、あれほど目立つ事はすんなと……言っただろうがあああ!!』
側近『本当にあれか!?お前は心労で俺を頃す気か!?何!?何なの!?』
側近『俺に個人的な怨みかなんかあんの!?ねえ!!! ……ッう……』
側近『胃がいてええぇ……』
魔王『あ、ああ……その、ちゃんと説明するから……』
側近『薬……胃の薬……』
369: 2013/04/10(水) 10:05:35.99 ID:9DeXYz1TP
姫「少年……どうしたの?」
魔王「あ、ああ……ちょっと待ってくれ……」
船長「頭抱えて……痛むのか」
魔王「い、いや……」
側近『はぁ……全く、なぁにを堂々とがっつり魔法ぶちかましちゃってくれてんの!!』
側近『とにかく説明しなさい、今すぐ!!』
魔王『わ、わかった。解ったらから落ち着け!今海賊船の中でだな』
側近『海賊船んんんん!?』
魔王『だ、だから……』
バタバタバタ……!
盗賊「おい、凄い音したけど大丈夫か……!?」
盗賊「少年!?どうした……」
魔王「あ、ああ……大丈夫だ。大丈夫だから……ちょっと待ってくれ」
魔王『とにかく、全部説明するから、ちょっと落ち着け!』
魔王『……良い方向に進むかもしれん。知恵を貸せ、側近』
魔王「あ、ああ……ちょっと待ってくれ……」
船長「頭抱えて……痛むのか」
魔王「い、いや……」
側近『はぁ……全く、なぁにを堂々とがっつり魔法ぶちかましちゃってくれてんの!!』
側近『とにかく説明しなさい、今すぐ!!』
魔王『わ、わかった。解ったらから落ち着け!今海賊船の中でだな』
側近『海賊船んんんん!?』
魔王『だ、だから……』
バタバタバタ……!
盗賊「おい、凄い音したけど大丈夫か……!?」
盗賊「少年!?どうした……」
魔王「あ、ああ……大丈夫だ。大丈夫だから……ちょっと待ってくれ」
魔王『とにかく、全部説明するから、ちょっと落ち着け!』
魔王『……良い方向に進むかもしれん。知恵を貸せ、側近』
371: 2013/04/10(水) 10:24:31.09 ID:9DeXYz1TP
……
………
…………
魔王『と、言う訳でだな』
側近『……』
魔王『側近?』
側近『だな、じゃねえええええええええええええええよ!』
魔王『……だから、うるさいってお前』
側近『何でこんな短時間でそんな展開になってんの!!!』
魔王『ちょっとみんなに身分がばれて……』
側近『宣戦布告さてただけってか!!!』
魔王『……まあ、まあ』
側近『血吐きそう………』
魔王『お前そんなにメンタル弱かったか?』
………
…………
魔王『と、言う訳でだな』
側近『……』
魔王『側近?』
側近『だな、じゃねえええええええええええええええよ!』
魔王『……だから、うるさいってお前』
側近『何でこんな短時間でそんな展開になってんの!!!』
魔王『ちょっとみんなに身分がばれて……』
側近『宣戦布告さてただけってか!!!』
魔王『……まあ、まあ』
側近『血吐きそう………』
魔王『お前そんなにメンタル弱かったか?』
372: 2013/04/10(水) 10:36:14.06 ID:9DeXYz1TP
側近『お前がいい加減過ぎるんだよ!あれほど目立つなと……!』
魔王『まあ、まあ……そう悲観するな』
魔王『見えてきた物もあるだろう?』
側近『……それは否定しないが』
側近『過ぎた事を言っても仕方ないけどな……』
魔王『ああ。それに……この機会に魔導の街も鎮圧させてしまいたい』
側近『……争いは嫌いじゃ無かったのか』
魔王『戦争などする気は無いぞ……しかし今のあの状況の侭放置しておくと』
魔王『魔導将軍が例え居なくなっても、何れ同じ事を繰り返すだろう』
側近『ふむ……』
魔王『それに武力行使なんかすれば、人間は魔王の侵略だ何だと』
魔王『それこそ、世界中で戦争に向かっての歩みが進むだろう?』
側近『……どうするつもりなんだ』
魔王『だから知恵を貸せと言っただろう』
側近『え……もしかして、俺に丸投げ?』
魔王『まあ、まあ……そう悲観するな』
魔王『見えてきた物もあるだろう?』
側近『……それは否定しないが』
側近『過ぎた事を言っても仕方ないけどな……』
魔王『ああ。それに……この機会に魔導の街も鎮圧させてしまいたい』
側近『……争いは嫌いじゃ無かったのか』
魔王『戦争などする気は無いぞ……しかし今のあの状況の侭放置しておくと』
魔王『魔導将軍が例え居なくなっても、何れ同じ事を繰り返すだろう』
側近『ふむ……』
魔王『それに武力行使なんかすれば、人間は魔王の侵略だ何だと』
魔王『それこそ、世界中で戦争に向かっての歩みが進むだろう?』
側近『……どうするつもりなんだ』
魔王『だから知恵を貸せと言っただろう』
側近『え……もしかして、俺に丸投げ?』
373: 2013/04/10(水) 10:50:42.17 ID:9DeXYz1TP
魔王『い、いや、そう言う訳じゃない』
魔王『……が、私一人で考えてもな。勿論……姫達の力も借りるが』
魔王『お前の意見も聞いた方が良いだろう?』
側近『まあ……お前の暴走止めないとな』
魔王『私の事……信用してないのか?』
側近『今更何言ってくれちゃってんの、お前……』
魔王『側近酷い』
側近『あれだけやっちゃ駄目って事散々やっといて良く言うね!』
魔王『……すまん』
側近『素直だな』
魔王『まあ、成り行きとは言えちょっとやり過ぎた感が無くは無い』
側近『ちょっと?』
魔王『……』
側近『まあ、良い。たっぷり説教したいのは山々だが』
側近『時間も無いな……とりあえず』
魔王『……が、私一人で考えてもな。勿論……姫達の力も借りるが』
魔王『お前の意見も聞いた方が良いだろう?』
側近『まあ……お前の暴走止めないとな』
魔王『私の事……信用してないのか?』
側近『今更何言ってくれちゃってんの、お前……』
魔王『側近酷い』
側近『あれだけやっちゃ駄目って事散々やっといて良く言うね!』
魔王『……すまん』
側近『素直だな』
魔王『まあ、成り行きとは言えちょっとやり過ぎた感が無くは無い』
側近『ちょっと?』
魔王『……』
側近『まあ、良い。たっぷり説教したいのは山々だが』
側近『時間も無いな……とりあえず』
374: 2013/04/10(水) 10:57:20.54 ID:9DeXYz1TP
側近『その、島とやらに向かうんだな』
魔王『ああ……攻撃を仕掛けてくる可能性は低いだろうから』
魔王『船上と、そこで姫に魔法を教えようと思う』
側近『……劣等種の集まりの島だろう。反発されないか?』
魔王『それについてはちょっと考えがある』
側近『えー』
魔王『……なんだ』
側近『いや、大丈夫かなと』
魔王『信用しろ』
側近『あんなけ……まあ、良い。胃が痛くなる、思い出すと』
魔王『……一つ、問題が残るんだが』
側近『一つしかないの?本当に?』
魔王『……』
側近『悪かったよ。拗ねるな。で?何だよ』
魔王『いや、何かあったかなって考えてただけだ』
側近『あ、そ……』
魔王『魔導将軍の事だが……』
側近『ん?』
魔王『頃して良いんだな』
魔王『ああ……攻撃を仕掛けてくる可能性は低いだろうから』
魔王『船上と、そこで姫に魔法を教えようと思う』
側近『……劣等種の集まりの島だろう。反発されないか?』
魔王『それについてはちょっと考えがある』
側近『えー』
魔王『……なんだ』
側近『いや、大丈夫かなと』
魔王『信用しろ』
側近『あんなけ……まあ、良い。胃が痛くなる、思い出すと』
魔王『……一つ、問題が残るんだが』
側近『一つしかないの?本当に?』
魔王『……』
側近『悪かったよ。拗ねるな。で?何だよ』
魔王『いや、何かあったかなって考えてただけだ』
側近『あ、そ……』
魔王『魔導将軍の事だが……』
側近『ん?』
魔王『頃して良いんだな』
375: 2013/04/10(水) 11:09:59.74 ID:9DeXYz1TP
側近『何だ、そんな事か。好きにしろ』
魔王『……あっさりだな』
側近『生かしておく理由は?』
魔王『戦力的にどうとかこうとか?』
側近『不干渉最高とか言ってて?』
魔王『……まあ、最悪私一人でどうにかなるが』
側近『武力放棄する必要は無いと思うが、反乱の芽なんかいらないだろ?』
魔王『……まあな。だが……吉とでるか否か』
側近『他の過激派のやつらに、か……まあ、十中八九』
側近『……反抗心に火をつけるだろうな』
魔王『だな……だが、仕方ない』
側近『ん?』
魔王『咲こうとするなら摘んで回るさ……いらないんだろう、そんな芽など』
側近『……』
魔王『どうした?』
側近『いや、魔王らしい事言ってるな、と……初めて思った』
魔王『だから、お前は私を何だと……』
側近『勇者になれ、って……最初の目的からはかけ離れてきたが』
側近『これはこれで……まあ、良い方向に進んでるんだろう……と』
側近『信じたいね』
魔王『ああ……』
側近『意地でも信じておかないと、本当に俺の胃がやられる……』
魔王『……お大事に』
魔王『……あっさりだな』
側近『生かしておく理由は?』
魔王『戦力的にどうとかこうとか?』
側近『不干渉最高とか言ってて?』
魔王『……まあ、最悪私一人でどうにかなるが』
側近『武力放棄する必要は無いと思うが、反乱の芽なんかいらないだろ?』
魔王『……まあな。だが……吉とでるか否か』
側近『他の過激派のやつらに、か……まあ、十中八九』
側近『……反抗心に火をつけるだろうな』
魔王『だな……だが、仕方ない』
側近『ん?』
魔王『咲こうとするなら摘んで回るさ……いらないんだろう、そんな芽など』
側近『……』
魔王『どうした?』
側近『いや、魔王らしい事言ってるな、と……初めて思った』
魔王『だから、お前は私を何だと……』
側近『勇者になれ、って……最初の目的からはかけ離れてきたが』
側近『これはこれで……まあ、良い方向に進んでるんだろう……と』
側近『信じたいね』
魔王『ああ……』
側近『意地でも信じておかないと、本当に俺の胃がやられる……』
魔王『……お大事に』
376: 2013/04/10(水) 11:16:16.82 ID:9DeXYz1TP
側近『ありがとよ、元凶』
魔王『トゲがあるなぁ……まあ良いけど』
側近『遠慮しあう仲でもネェだろ』
魔王『ああ。それからな……ちょっと考えておいて欲しい事があるんだが』
側近『あ?』
……
………
…………
姫「少年……遅いわね」
船長「城にいる側近って奴と心話……だったか」
船長「しかし……魔族ってのは本当に何でもできるんだな」
姫「彼は特別よ……魔王ですもの」
船長「しかし……」
姫「言ってたわ。魔導将軍は……少年の力を舐めている、って」
船長「確かに……あの雷の魔法はスゲェが」
盗賊「……あいつの属性ってなんなんだ?」
姫「え?」
盗賊「紫の瞳なんて、見たことなかった……聞いた事も」
船長「雷じゃないのか?」
姫「本人曰く……炎も水も、風も操れるそうよ」
盗賊「え!?」
魔王『トゲがあるなぁ……まあ良いけど』
側近『遠慮しあう仲でもネェだろ』
魔王『ああ。それからな……ちょっと考えておいて欲しい事があるんだが』
側近『あ?』
……
………
…………
姫「少年……遅いわね」
船長「城にいる側近って奴と心話……だったか」
船長「しかし……魔族ってのは本当に何でもできるんだな」
姫「彼は特別よ……魔王ですもの」
船長「しかし……」
姫「言ってたわ。魔導将軍は……少年の力を舐めている、って」
船長「確かに……あの雷の魔法はスゲェが」
盗賊「……あいつの属性ってなんなんだ?」
姫「え?」
盗賊「紫の瞳なんて、見たことなかった……聞いた事も」
船長「雷じゃないのか?」
姫「本人曰く……炎も水も、風も操れるそうよ」
盗賊「え!?」
377: 2013/04/10(水) 11:27:54.80 ID:9DeXYz1TP
姫「複数の加護を持つなんて聞いた事も無いけど……」
船長「まあ……人智を超えた存在なんだろう」
盗賊「……ずるいよな」
船長「あん?」
盗賊「人の中でもさ……俺らみたいのも居るのに」
姫「……」
船長「一緒に考えちゃいけねぇだろ……ありゃ、魔族だ」
船長「人じゃネェ……そういう、存在なんだ」
姫「でも、生きてるのは一緒よ。人も……魔も、エルフも」
船長「……」
姫「その重さに差違なんか無い」
盗賊「……御免」
姫「なんで謝るの」
盗賊「色々……なんか。旨く言えない、けど……」
盗賊「俺が……あんな事頼まなきゃ……命、狙われなくてすんだのに」
姫「なんだ、そんな事」
盗賊「そんな事、て……」
姫「大丈夫よ。少年が言ってたでしょ……氏なせないって」
姫「信じてるわ。大丈夫」
船長「まあ……人智を超えた存在なんだろう」
盗賊「……ずるいよな」
船長「あん?」
盗賊「人の中でもさ……俺らみたいのも居るのに」
姫「……」
船長「一緒に考えちゃいけねぇだろ……ありゃ、魔族だ」
船長「人じゃネェ……そういう、存在なんだ」
姫「でも、生きてるのは一緒よ。人も……魔も、エルフも」
船長「……」
姫「その重さに差違なんか無い」
盗賊「……御免」
姫「なんで謝るの」
盗賊「色々……なんか。旨く言えない、けど……」
盗賊「俺が……あんな事頼まなきゃ……命、狙われなくてすんだのに」
姫「なんだ、そんな事」
盗賊「そんな事、て……」
姫「大丈夫よ。少年が言ってたでしょ……氏なせないって」
姫「信じてるわ。大丈夫」
378: 2013/04/10(水) 11:41:28.18 ID:9DeXYz1TP
カチャ
魔王「すまん、待たせたな」
船長「おう……終わったか?」
魔王「ああ……今どの辺だ?」
船長「明日の夜には廃港に着く……まあ、のんびりしておけ」
魔王「そうか……姫、体調は?」
姫「平気よ」
魔王「盗賊は?」
盗賊「え?」
魔王「まあ、気分とか?」
盗賊「あ、ああ……俺は別に……」
魔王「ふむ、重畳……では、特訓始めるぞ」
盗賊「え、俺も?」
魔王「そうだ」
盗賊「な、何の嫌がらせだよ!俺は魔法なんて……!」
魔王「気を悪くしないで聞いて欲しい」
魔王「お前、一応魔法の基礎は身についているんだろう?」
盗賊「え? ……ああ、まあ」
魔王「うん……それは、島にいる人達も一緒だな?」
盗賊「ああ……だが、それが何なんだよ」
魔王「金が無くても、生活が豊かになる方法を考えてみた」
盗賊「え?」
船長「俺は必要なさそうだな……操舵室に行くぜ?」
魔王「ああ……だが、お前にも後で手伝って欲しい事があるんだ、船長」
船長「俺に?俺は……魔法の知識なんざネェぞ」
魔王「別件だ……まあ、これからする事に無関係では無いが」
船長「?」
魔王「すまん、待たせたな」
船長「おう……終わったか?」
魔王「ああ……今どの辺だ?」
船長「明日の夜には廃港に着く……まあ、のんびりしておけ」
魔王「そうか……姫、体調は?」
姫「平気よ」
魔王「盗賊は?」
盗賊「え?」
魔王「まあ、気分とか?」
盗賊「あ、ああ……俺は別に……」
魔王「ふむ、重畳……では、特訓始めるぞ」
盗賊「え、俺も?」
魔王「そうだ」
盗賊「な、何の嫌がらせだよ!俺は魔法なんて……!」
魔王「気を悪くしないで聞いて欲しい」
魔王「お前、一応魔法の基礎は身についているんだろう?」
盗賊「え? ……ああ、まあ」
魔王「うん……それは、島にいる人達も一緒だな?」
盗賊「ああ……だが、それが何なんだよ」
魔王「金が無くても、生活が豊かになる方法を考えてみた」
盗賊「え?」
船長「俺は必要なさそうだな……操舵室に行くぜ?」
魔王「ああ……だが、お前にも後で手伝って欲しい事があるんだ、船長」
船長「俺に?俺は……魔法の知識なんざネェぞ」
魔王「別件だ……まあ、これからする事に無関係では無いが」
船長「?」
379: 2013/04/10(水) 11:46:27.18 ID:9DeXYz1TP
魔王「後で時間があれば話を聞いてくれ」
船長「ああ……まあ、じゃあ後でな」スタスタ
姫「何を企んでいるのよ」
魔王「楽しい事だ」ニッ
盗賊「金が無くても……本当か?」
魔王「まあ、まだ考えてみた、だからな。実現可能かどうかは」
魔王「やってみなければ解らない……が」
盗賊「……」
魔王「で、勿論姫の力も居る訳だ」
姫「私で出来る事なら」
魔王「ああ。ついでに……特訓にもなる」
姫「……早く言いなさいよ」
魔王「良し……まず私がやってみるから見ていてくれ……炎よ」ボゥ
盗賊「うわ、お前船室で何を……!!」
姫「きゃ……ッ」
魔王「心配するな……これ以上でかくはならん」
盗賊「……て、手のひらから炎が出てる……!」
姫「……これを、どうするの」
魔王「こうする……集中して、イメージするんだ」
魔王「この炎を……そうだな。石に変える……閉じ込める」シュゥ……
盗賊「……!」
姫「炎が……固まった……!?」
船長「ああ……まあ、じゃあ後でな」スタスタ
姫「何を企んでいるのよ」
魔王「楽しい事だ」ニッ
盗賊「金が無くても……本当か?」
魔王「まあ、まだ考えてみた、だからな。実現可能かどうかは」
魔王「やってみなければ解らない……が」
盗賊「……」
魔王「で、勿論姫の力も居る訳だ」
姫「私で出来る事なら」
魔王「ああ。ついでに……特訓にもなる」
姫「……早く言いなさいよ」
魔王「良し……まず私がやってみるから見ていてくれ……炎よ」ボゥ
盗賊「うわ、お前船室で何を……!!」
姫「きゃ……ッ」
魔王「心配するな……これ以上でかくはならん」
盗賊「……て、手のひらから炎が出てる……!」
姫「……これを、どうするの」
魔王「こうする……集中して、イメージするんだ」
魔王「この炎を……そうだな。石に変える……閉じ込める」シュゥ……
盗賊「……!」
姫「炎が……固まった……!?」
380: 2013/04/10(水) 11:53:43.46 ID:9DeXYz1TP
魔王「これが、魔石」コロン
盗賊「紅い……透明な石?……綺麗だ」
魔王「触って良いぞ。熱くは無い」
姫「……本当ね。ただの石に見える……けど」
盗賊「俺にも貸して……宝石みたいだな」
魔王「では、これを……解放する」
盗賊「解放?」
魔王「そうだ。石を魔法に戻す……こうして、握って……」ボウッ……シュウ……
盗賊「うあ……ッ」
姫「凄い……!」
魔王「私の魔力だからな。最小限に押しとどめて具現化したに過ぎないが」
魔王「普通に解放してしまうと、船を燃やしかねんから、今は私の中に戻したが」
魔王「これを応用すれば、島での生活……楽にならんか?」
盗賊「………!」
魔王「価値が理解されるなら、流通させれば金にも換えられるだろう」
盗賊「す……すげぇ!」
魔王「盗賊。また気を悪くさせたらすまないが……」
盗賊「な、なんだ」
魔王「優れた加護を持たないと言うだけで、普通に魔法を使える者もいるのだろう?」
盗賊「劣等種の中にか?勿論だ。そう言う奴らの方が多い」
姫「そうか!その人達に、この技術を教えれば……!」
魔王「そうだ。島の者達だけでも作れるだろう?」
魔王「私がある程度用意してやるのは構わないんだが……それじゃ意味が無いだろう」
盗賊「紅い……透明な石?……綺麗だ」
魔王「触って良いぞ。熱くは無い」
姫「……本当ね。ただの石に見える……けど」
盗賊「俺にも貸して……宝石みたいだな」
魔王「では、これを……解放する」
盗賊「解放?」
魔王「そうだ。石を魔法に戻す……こうして、握って……」ボウッ……シュウ……
盗賊「うあ……ッ」
姫「凄い……!」
魔王「私の魔力だからな。最小限に押しとどめて具現化したに過ぎないが」
魔王「普通に解放してしまうと、船を燃やしかねんから、今は私の中に戻したが」
魔王「これを応用すれば、島での生活……楽にならんか?」
盗賊「………!」
魔王「価値が理解されるなら、流通させれば金にも換えられるだろう」
盗賊「す……すげぇ!」
魔王「盗賊。また気を悪くさせたらすまないが……」
盗賊「な、なんだ」
魔王「優れた加護を持たないと言うだけで、普通に魔法を使える者もいるのだろう?」
盗賊「劣等種の中にか?勿論だ。そう言う奴らの方が多い」
姫「そうか!その人達に、この技術を教えれば……!」
魔王「そうだ。島の者達だけでも作れるだろう?」
魔王「私がある程度用意してやるのは構わないんだが……それじゃ意味が無いだろう」
381: 2013/04/10(水) 12:01:18.90 ID:9DeXYz1TP
姫「そうね。それに……やめておいた方が良い。貴方……魔族だもの」
盗賊「え?」
姫「盗賊は……いいえ、人には、ね。感じないと思うけど」
姫「……魔族の魔気は……エルフには、辛い」
姫「持っているだけで、息苦しくなりそうだったわ」
姫「……最小限の力で、それだもの」
盗賊「お、俺は感じなかったけど……」
魔王「ふむ……姫の……エルフの感じる力、だろうな」
魔王「だが生成するのが人間で、使うのも人間ならば支障は無いだろう」
姫「ええ。問題無いわ」
魔王「私のは見本に過ぎん。実際にいくつか作って島に持って行くつもりだが」
魔王「それは姫の役目だ」
姫「え……私?」
魔王「ああ。お前の加護は水だろう?」
魔王「最も生活に欠かせない物だし……一応、魔法の特訓のつもりでもあるしな」
姫「……わかったわ。やってみる!」
盗賊「お、俺は何をすれば良いんだ?」
魔王「姫の作った魔石から、魔法を取り出す特訓だ」
魔王「お前ができなければ、島の人達に教えてやれないだろう?」
盗賊「そ、そうか……良し!頑張るぞ!」
魔王「二人ともやる気になってくれた様で何よりだ」
盗賊「え?」
姫「盗賊は……いいえ、人には、ね。感じないと思うけど」
姫「……魔族の魔気は……エルフには、辛い」
姫「持っているだけで、息苦しくなりそうだったわ」
姫「……最小限の力で、それだもの」
盗賊「お、俺は感じなかったけど……」
魔王「ふむ……姫の……エルフの感じる力、だろうな」
魔王「だが生成するのが人間で、使うのも人間ならば支障は無いだろう」
姫「ええ。問題無いわ」
魔王「私のは見本に過ぎん。実際にいくつか作って島に持って行くつもりだが」
魔王「それは姫の役目だ」
姫「え……私?」
魔王「ああ。お前の加護は水だろう?」
魔王「最も生活に欠かせない物だし……一応、魔法の特訓のつもりでもあるしな」
姫「……わかったわ。やってみる!」
盗賊「お、俺は何をすれば良いんだ?」
魔王「姫の作った魔石から、魔法を取り出す特訓だ」
魔王「お前ができなければ、島の人達に教えてやれないだろう?」
盗賊「そ、そうか……良し!頑張るぞ!」
魔王「二人ともやる気になってくれた様で何よりだ」
382: 2013/04/10(水) 12:09:29.58 ID:9DeXYz1TP
姫「ええと……まずは魔法を……」
魔王「いきなり全開にするなよ、攻撃する訳じゃないんだから」
魔王「小さく、手の平の上に乗せる様に……」
姫「み……水よ!」ザァ……
バッッシャアアアアアアアアアアアン!
盗賊「つめてぇ!」ポタポタ……
魔王「……姫」ポタポタ……
姫「ご、ごめんなさい!」
バタバタ、バタン!
船長「どうし……!? ……何やってんだお前ら……!?」
姫「ごめんなさい……」
盗賊「……本当に姉ちゃん、濡れてねぇ……ズルイ」
魔王「濡れただけで済んだんだ。それだけでもまあ……大したもんだ」
魔王「一応、普通の水を呼べたと言う事だな……すまん、タオルくれ」
船長「……甲板でやってくんねぇか。特訓なんだろうが」
船長「失敗される度に部屋が水浸しじゃ、そのうち船がプールになっちまう」
魔王「……すまん」
盗賊「ほら、タオル……外でやろうぜ」
姫「うん……ごめんなさい」
魔王「いきなり全開にするなよ、攻撃する訳じゃないんだから」
魔王「小さく、手の平の上に乗せる様に……」
姫「み……水よ!」ザァ……
バッッシャアアアアアアアアアアアン!
盗賊「つめてぇ!」ポタポタ……
魔王「……姫」ポタポタ……
姫「ご、ごめんなさい!」
バタバタ、バタン!
船長「どうし……!? ……何やってんだお前ら……!?」
姫「ごめんなさい……」
盗賊「……本当に姉ちゃん、濡れてねぇ……ズルイ」
魔王「濡れただけで済んだんだ。それだけでもまあ……大したもんだ」
魔王「一応、普通の水を呼べたと言う事だな……すまん、タオルくれ」
船長「……甲板でやってくんねぇか。特訓なんだろうが」
船長「失敗される度に部屋が水浸しじゃ、そのうち船がプールになっちまう」
魔王「……すまん」
盗賊「ほら、タオル……外でやろうぜ」
姫「うん……ごめんなさい」
383: 2013/04/10(水) 12:17:42.54 ID:9DeXYz1TP
お昼ご飯してくるー!
午後からちょっと幼女と出かけます
やっと明日から幼稚園始まるぜー!
これたら夕方来るけど、夜は今日は寝ないと明日もたんし
体調も万全じゃ無いので、夕方無理なら明日になっちゃう……ごめん
保守していただけると嬉しいです
では!
午後からちょっと幼女と出かけます
やっと明日から幼稚園始まるぜー!
これたら夕方来るけど、夜は今日は寝ないと明日もたんし
体調も万全じゃ無いので、夕方無理なら明日になっちゃう……ごめん
保守していただけると嬉しいです
では!
395: 2013/04/10(水) 19:00:27.38 ID:9DeXYz1TP
……
………
…………
姫「水よ!…… ………!」ユラ……
盗賊「やったぁ………!?」
魔王「気を抜くな、姫……その侭……」
姫「これを……石に……なるように……ッ」
魔王「気負い過ぎるな……ゆっくりだ」
姫「……!」コロン
盗賊「出来た!」
姫「でき、た……?」
魔王「……うん、そうだな。今の感覚を忘れるな」
盗賊「すげぇ……本当に、石みたいだ……蒼くて、綺麗だ」
魔王「良し、じゃあ次は……盗賊だ」
魔王「最初は解放してしまって良い……水に戻す事だけを考えろ」
魔王「慣れれば、少しずつ取り出すなりなんなり応用は利く」
盗賊「戻す……水に」
魔王「あふれ出す様を。滝の様にでも良い。わき水でも……何でも」
盗賊「水……ッ」ザァアアア……ッ
姫「やったわ!」
………
…………
姫「水よ!…… ………!」ユラ……
盗賊「やったぁ………!?」
魔王「気を抜くな、姫……その侭……」
姫「これを……石に……なるように……ッ」
魔王「気負い過ぎるな……ゆっくりだ」
姫「……!」コロン
盗賊「出来た!」
姫「でき、た……?」
魔王「……うん、そうだな。今の感覚を忘れるな」
盗賊「すげぇ……本当に、石みたいだ……蒼くて、綺麗だ」
魔王「良し、じゃあ次は……盗賊だ」
魔王「最初は解放してしまって良い……水に戻す事だけを考えろ」
魔王「慣れれば、少しずつ取り出すなりなんなり応用は利く」
盗賊「戻す……水に」
魔王「あふれ出す様を。滝の様にでも良い。わき水でも……何でも」
盗賊「水……ッ」ザァアアア……ッ
姫「やったわ!」
397: 2013/04/10(水) 19:05:14.71 ID:9DeXYz1TP
盗賊「できた……俺に……?」
魔王「上出来だ。流石だな」
盗賊「え?」
魔王「一生懸命学んできたんだろう。無駄でも何でも無い」
盗賊「……ああ!」
魔王「姫、失敗しても良いから、さっきの要領でどんどん作るんだ」
魔王「盗賊は片っ端から水へと変えろ……慣れれば、次に進もう」
盗賊「姉ちゃん……なんか、御免な。一生懸命作ってくれてるのに」
姫「それは違うわ、盗賊……競争よ」
盗賊「競争?」
姫「解放が追いつかない位、どんどん作ってやるわ!!」
盗賊「ま、負けないからな!!」
魔王「……お互い、気を遣わなくて済むのは良いが」
姫「水よ!」バッシャン!
姫「ああ、もう……もう一度……ッ 出来た!」コロン
盗賊「良し……解放……あれ?」
盗賊「解放……!」ザァァ
姫「あ……!ま、負けないわよ!」ミズヨ!
盗賊「俺だって!」カイホウ!
魔王「……まあ、良いか。何だか楽しそうだし」
魔王「上出来だ。流石だな」
盗賊「え?」
魔王「一生懸命学んできたんだろう。無駄でも何でも無い」
盗賊「……ああ!」
魔王「姫、失敗しても良いから、さっきの要領でどんどん作るんだ」
魔王「盗賊は片っ端から水へと変えろ……慣れれば、次に進もう」
盗賊「姉ちゃん……なんか、御免な。一生懸命作ってくれてるのに」
姫「それは違うわ、盗賊……競争よ」
盗賊「競争?」
姫「解放が追いつかない位、どんどん作ってやるわ!!」
盗賊「ま、負けないからな!!」
魔王「……お互い、気を遣わなくて済むのは良いが」
姫「水よ!」バッシャン!
姫「ああ、もう……もう一度……ッ 出来た!」コロン
盗賊「良し……解放……あれ?」
盗賊「解放……!」ザァァ
姫「あ……!ま、負けないわよ!」ミズヨ!
盗賊「俺だって!」カイホウ!
魔王「……まあ、良いか。何だか楽しそうだし」
398: 2013/04/10(水) 19:08:31.99 ID:9DeXYz1TP
船長「おい、少ね……うわ、なんだこれ!?」
魔王「ああ、船長か……すまんな」
船長「……まあ、甲板だから別に良いがな」
魔王「溜まってきたら……海に捨てとく」
船長「……で、具体的に何やってんだ?」
魔王「まあ……魔力の結晶を作ってる、んだ」
船長「結晶?」
魔王「ああ、船長か……すまんな」
船長「……まあ、甲板だから別に良いがな」
魔王「溜まってきたら……海に捨てとく」
船長「……で、具体的に何やってんだ?」
魔王「まあ……魔力の結晶を作ってる、んだ」
船長「結晶?」
399: 2013/04/10(水) 19:09:41.43 ID:9DeXYz1TP
お風呂入って飯食ってくるー!
又明日!
又明日!
423: 2013/04/11(木) 14:27:13.59 ID:IKnsrjixP
魔王「ああ。魔力を石に変えると言うか、閉じ込めると言うか……」
船長「そんな事出来るのか? ……エルフってのは凄いな」
魔王「いや。あれは見本を作って貰ってるに過ぎんよ。特訓の役目もあるが」
船長「見本?」
魔王「そうだ……ああ、今時間は良いのか?」
船長「ああ、海も荒れてないし、後は任せておいて行けるだろう」
魔王「そうか……なら少し、詳しく話そう」
船長「じゃあ中に入れ……甲板の様子も見える」
魔王「解った……姫と盗賊に伝えて、すぐに行く」
船長「待ってるぜ」スタスタ
魔王「姫!盗賊!」
姫「あはは、ほら、頑張らなきゃ!私随分慣れてきたわよ!」コロン、コロン
盗賊「くっそぉ。負けネェよ!」ザバァ……ザザ……
魔王「私は船長室に居る!何かあったら呼びに来てくれ!」
姫「解ったわ!」
盗賊「おう!」
魔王「疲れたら休めよ!船長と話が終わったら、次に進むからな!」
姫「ええ……それ!」コロンコロン
盗賊「俺だって!」ザバァ……
魔王「……遊んでる様にしか見えんな」スタスタ……カチャ
船長「まあ、楽しく学べると言うのは良いことさ」
船長「そんな事出来るのか? ……エルフってのは凄いな」
魔王「いや。あれは見本を作って貰ってるに過ぎんよ。特訓の役目もあるが」
船長「見本?」
魔王「そうだ……ああ、今時間は良いのか?」
船長「ああ、海も荒れてないし、後は任せておいて行けるだろう」
魔王「そうか……なら少し、詳しく話そう」
船長「じゃあ中に入れ……甲板の様子も見える」
魔王「解った……姫と盗賊に伝えて、すぐに行く」
船長「待ってるぜ」スタスタ
魔王「姫!盗賊!」
姫「あはは、ほら、頑張らなきゃ!私随分慣れてきたわよ!」コロン、コロン
盗賊「くっそぉ。負けネェよ!」ザバァ……ザザ……
魔王「私は船長室に居る!何かあったら呼びに来てくれ!」
姫「解ったわ!」
盗賊「おう!」
魔王「疲れたら休めよ!船長と話が終わったら、次に進むからな!」
姫「ええ……それ!」コロンコロン
盗賊「俺だって!」ザバァ……
魔王「……遊んでる様にしか見えんな」スタスタ……カチャ
船長「まあ、楽しく学べると言うのは良いことさ」
424: 2013/04/11(木) 14:40:54.38 ID:IKnsrjixP
船長「で……なんだ」
魔王「海賊ってのは、何処にでも行くのか?」
船長「まあ、海がある限りな」
魔王「ふむ……略奪等も行うのか」
船長「……何が言いたい?」
魔王「咎めたりしたい訳では無い。どういう物か知りたいだけだ」
船長「それが……お前の言ってた話たい内容、か?」
魔王「関係はある」
船長「まあ……良いだろう。海賊と言っても、様々だ」
船長「俺たちだけでは無いからな」
魔王「それはそうだな。他にも居るだろう」
船長「だが、これほど大きな船を有している奴らは他にはいない……と」
船長「自負はしている」
魔王「ふむ……収入源は?」
船長「さっきお前が言ったとおり。略奪も含まれる……が」
船長「俺たちは基本、同族の船しか襲わない」
魔王「他の海賊船か……」
船長「そうだ。余りにも酷い奴らは船毎ぶっつぶしたのもある」
魔王「……ほう。確かに、この船には屈強な奴らが多いな」
魔王「海賊ってのは、何処にでも行くのか?」
船長「まあ、海がある限りな」
魔王「ふむ……略奪等も行うのか」
船長「……何が言いたい?」
魔王「咎めたりしたい訳では無い。どういう物か知りたいだけだ」
船長「それが……お前の言ってた話たい内容、か?」
魔王「関係はある」
船長「まあ……良いだろう。海賊と言っても、様々だ」
船長「俺たちだけでは無いからな」
魔王「それはそうだな。他にも居るだろう」
船長「だが、これほど大きな船を有している奴らは他にはいない……と」
船長「自負はしている」
魔王「ふむ……収入源は?」
船長「さっきお前が言ったとおり。略奪も含まれる……が」
船長「俺たちは基本、同族の船しか襲わない」
魔王「他の海賊船か……」
船長「そうだ。余りにも酷い奴らは船毎ぶっつぶしたのもある」
魔王「……ほう。確かに、この船には屈強な奴らが多いな」
425: 2013/04/11(木) 14:49:29.91 ID:IKnsrjixP
船長「船を襲うのは同族だけじゃないからな」
魔王「……魔物だな」
船長「そうだ。寧ろ、そっちの方が多い……し、手強い」
船長「ああ、そうだ。さっきの……お前の雷の魔法か」
魔王「ん?ああ」
船長「……スゲェ威力だった。やはり……魔族と言うのは恐ろしいな」
魔王「別に魔力の問題だけじゃ無い。海の魔物は雷を苦手とするものが多いんだ」
船長「……そうなのか?」
魔王「ああ。弱点を突くのは大事な事だ」
船長「そうか……だが、この船に魔法を使える奴は居ないからな」
船長「……話が逸れたな。まあ……海賊ってのも、昔に比べれば減った訳だ」
魔王「ふむ……」
船長「俺たちだって……人間同士で争いたい訳じゃないからな」
船長「だが……生きて、生活していかなきゃならねぇ」
船長「……お前、エルフの知人の話は聞いただろう?」
魔王「ああ。魔導将軍に殺されたって言う……」
船長「そうだ。俺は……俺たちは、昔、小さな島に停泊した」
船長「何かお宝でも眠ってやしねぇかと探検に行ったわけだ」
魔王「? ……ああ」
魔王「……魔物だな」
船長「そうだ。寧ろ、そっちの方が多い……し、手強い」
船長「ああ、そうだ。さっきの……お前の雷の魔法か」
魔王「ん?ああ」
船長「……スゲェ威力だった。やはり……魔族と言うのは恐ろしいな」
魔王「別に魔力の問題だけじゃ無い。海の魔物は雷を苦手とするものが多いんだ」
船長「……そうなのか?」
魔王「ああ。弱点を突くのは大事な事だ」
船長「そうか……だが、この船に魔法を使える奴は居ないからな」
船長「……話が逸れたな。まあ……海賊ってのも、昔に比べれば減った訳だ」
魔王「ふむ……」
船長「俺たちだって……人間同士で争いたい訳じゃないからな」
船長「だが……生きて、生活していかなきゃならねぇ」
船長「……お前、エルフの知人の話は聞いただろう?」
魔王「ああ。魔導将軍に殺されたって言う……」
船長「そうだ。俺は……俺たちは、昔、小さな島に停泊した」
船長「何かお宝でも眠ってやしねぇかと探検に行ったわけだ」
魔王「? ……ああ」
426: 2013/04/11(木) 15:04:33.83 ID:IKnsrjixP
船長「そこは、エルフの森がある島だった」
魔王「!」
船長「俺たちは散り散りになり、彷徨った。俺は運良く……知人に助けられた、のさ」
魔王「それで知っていたのだな。心優しき物は……」
船長「ああ。知人に聞いた話だ。奴は、森を出て来たところだったんだ」
船長「だが、どこかへ行こうにも足が無い。方法も解らない」
船長「助けてやる代わりに、自分を船に乗せてくれ、とな」
魔王「島から連れ出せ、って事か」
船長「ああ……結局、船に戻った人間は2/3程度だった」
船長「それで、その話を聞いたって訳だ。お宝を探しに行った奴の2/3が」
船長「心優しいってのも……笑い話だがな」
魔王「残りは?」
船長「知人曰く森の中で息絶えるだろうとの事だった」
船長「肉は土に還り、エルフの森の養分となる」
船長「そうして、エルフの森は……エルフ達は」
船長「人の命を吸って、生きているのだ、とな」
魔王「……」
船長「安心しろ。姫には言わん」
魔王「いや……別に、それは……な」
船長「……まあ、良い、それでな」
船長「知人を船に乗せ、暫くのんびりと世界を回った訳だ」
魔王「!」
船長「俺たちは散り散りになり、彷徨った。俺は運良く……知人に助けられた、のさ」
魔王「それで知っていたのだな。心優しき物は……」
船長「ああ。知人に聞いた話だ。奴は、森を出て来たところだったんだ」
船長「だが、どこかへ行こうにも足が無い。方法も解らない」
船長「助けてやる代わりに、自分を船に乗せてくれ、とな」
魔王「島から連れ出せ、って事か」
船長「ああ……結局、船に戻った人間は2/3程度だった」
船長「それで、その話を聞いたって訳だ。お宝を探しに行った奴の2/3が」
船長「心優しいってのも……笑い話だがな」
魔王「残りは?」
船長「知人曰く森の中で息絶えるだろうとの事だった」
船長「肉は土に還り、エルフの森の養分となる」
船長「そうして、エルフの森は……エルフ達は」
船長「人の命を吸って、生きているのだ、とな」
魔王「……」
船長「安心しろ。姫には言わん」
魔王「いや……別に、それは……な」
船長「……まあ、良い、それでな」
船長「知人を船に乗せ、暫くのんびりと世界を回った訳だ」
427: 2013/04/11(木) 15:16:07.86 ID:IKnsrjixP
船長「知人は、色んな地域で様々な野草や香草を集め、それを煎じてくれた」
船長「エルフってのは、そういう扱いだとか知識に長けるらしくてな」
船長「そういうのを売ったりして、少しずつ金を貯めた訳だ」
魔王「ふむ……」
船長「ノウハウも教えてはくれたんだが、やはり奴には敵わネェ……」
船長「確保した取引先も、品質が落ちたと知れば値を渋る……ま、当然だわな」
魔王「ああ……しかし」
船長「だからって、それで良しとは行かネェだろ?」
船長「こんな事にならなけりゃ、次は……北の大陸に出向こうかと思っていた所だったんだ」
魔王「……最果ての街に、か」
船長「ああ。だが……やめた」
魔王「……」
船長「魔導将軍みたいな奴らが、わんさか居るんだろう?」
船長「命が幾つあっても足りネェよ」
魔王「……ふむ」
船長「今までの顧客の中には、手に入れるのが少々危険だったり」
船長「……まあ、曰く付きのモンを好んで集めたがる変人達が多少は居るからな」
船長「そういう依頼をこなしていれば、多少は……潤うさ」
魔王「成る程、な」
船長「話は終わりだ……気は済んだか?」
魔王「そうだな……では、次は私が話そう」
船長「何だ、聞きたいだけじゃ無かったのか?」
船長「エルフってのは、そういう扱いだとか知識に長けるらしくてな」
船長「そういうのを売ったりして、少しずつ金を貯めた訳だ」
魔王「ふむ……」
船長「ノウハウも教えてはくれたんだが、やはり奴には敵わネェ……」
船長「確保した取引先も、品質が落ちたと知れば値を渋る……ま、当然だわな」
魔王「ああ……しかし」
船長「だからって、それで良しとは行かネェだろ?」
船長「こんな事にならなけりゃ、次は……北の大陸に出向こうかと思っていた所だったんだ」
魔王「……最果ての街に、か」
船長「ああ。だが……やめた」
魔王「……」
船長「魔導将軍みたいな奴らが、わんさか居るんだろう?」
船長「命が幾つあっても足りネェよ」
魔王「……ふむ」
船長「今までの顧客の中には、手に入れるのが少々危険だったり」
船長「……まあ、曰く付きのモンを好んで集めたがる変人達が多少は居るからな」
船長「そういう依頼をこなしていれば、多少は……潤うさ」
魔王「成る程、な」
船長「話は終わりだ……気は済んだか?」
魔王「そうだな……では、次は私が話そう」
船長「何だ、聞きたいだけじゃ無かったのか?」
428: 2013/04/11(木) 15:23:11.44 ID:IKnsrjixP
魔王「手伝って欲しい事があると言っただろう?」
船長「ああ……そうだったな。だが……アレの事じゃネェのか?」
船長「無関係じゃネェとか言ってただろ……だが」
魔王「アレ……ああ、あの二人か。まあ、そうなんだが」
船長「俺は魔法に関してはからっきしだって言っただろ?」
魔王「まあ、聞いてくれ……さっきのお前の話を聞いて」
魔王「私は……大丈夫だろうと確信できたしな」ニッ
船長「?」
魔王「とりあえず、あの二人が今作っているものだが」
船長「魔法の結晶、だろう?」
魔王「そうだ。魔石、だ。あれは見本だと言っただろう?」
船長「ああ……だが見本ってのはどういう意味だ?」
魔王「姫の特訓にもなるし、目で見た方が信じるだろうと思ってな」
魔王「……あれを、島へと持って行くんだ」
船長「……島へ?」
魔王「ああ。そうして、作り方や使い方を教え、島の人達に作って貰う」
船長「待て待て待て。それは無理だろ!あいつら……!」
魔王「劣等種、と言いたいんだろう?だが」
魔王「そう呼ばれる要因は何だ?優れた加護がないからと言うだけだろう」
船長「ま、まあ……そうだが」
船長「ああ……そうだったな。だが……アレの事じゃネェのか?」
船長「無関係じゃネェとか言ってただろ……だが」
魔王「アレ……ああ、あの二人か。まあ、そうなんだが」
船長「俺は魔法に関してはからっきしだって言っただろ?」
魔王「まあ、聞いてくれ……さっきのお前の話を聞いて」
魔王「私は……大丈夫だろうと確信できたしな」ニッ
船長「?」
魔王「とりあえず、あの二人が今作っているものだが」
船長「魔法の結晶、だろう?」
魔王「そうだ。魔石、だ。あれは見本だと言っただろう?」
船長「ああ……だが見本ってのはどういう意味だ?」
魔王「姫の特訓にもなるし、目で見た方が信じるだろうと思ってな」
魔王「……あれを、島へと持って行くんだ」
船長「……島へ?」
魔王「ああ。そうして、作り方や使い方を教え、島の人達に作って貰う」
船長「待て待て待て。それは無理だろ!あいつら……!」
魔王「劣等種、と言いたいんだろう?だが」
魔王「そう呼ばれる要因は何だ?優れた加護がないからと言うだけだろう」
船長「ま、まあ……そうだが」
429: 2013/04/11(木) 15:34:26.74 ID:IKnsrjixP
魔王「だが、きっちりと基本は押さえている筈だ」
魔王「それに、優れた加護を持たんと言うだけで、普通に魔法を使える者も多いのだろう?」
船長「それはそうだが……」
魔王「で、あれば……方法さえ教えれば、飲み込みは早いはずだ」
船長「しかし……魔法だとか、そういう物に……コンプレックス持ってる連中ばっかりだぜ?」
船長「そう旨く行くかぁ?」
魔王「だから盗賊に使い方を教えたんだ」
船長「?」
魔王「わからんか?あいつは……確かに加護の力が弱いが」
魔王「魔法に関しての基礎はきっちりと身についている筈だ。使えない、と言うだけでな」
船長「……率先してあいつにやらせる事で」
魔王「ああ。自分にも出来ると……自信になると思う、んだが」
魔王「それによって、島の生活は便利になるはずだ……し」
船長「ん?」
魔王「安定して生産、供給できる様になれば、流通もさせやすいだろう?」
船長「流通?」
魔王「お前に頼みたいのは、それだ……価値が認められ、収入源になれば」
魔王「島も、お前も……潤わないか?」
船長「……」
魔王(あれ……安直だったか?)
魔王「それに、優れた加護を持たんと言うだけで、普通に魔法を使える者も多いのだろう?」
船長「それはそうだが……」
魔王「で、あれば……方法さえ教えれば、飲み込みは早いはずだ」
船長「しかし……魔法だとか、そういう物に……コンプレックス持ってる連中ばっかりだぜ?」
船長「そう旨く行くかぁ?」
魔王「だから盗賊に使い方を教えたんだ」
船長「?」
魔王「わからんか?あいつは……確かに加護の力が弱いが」
魔王「魔法に関しての基礎はきっちりと身についている筈だ。使えない、と言うだけでな」
船長「……率先してあいつにやらせる事で」
魔王「ああ。自分にも出来ると……自信になると思う、んだが」
魔王「それによって、島の生活は便利になるはずだ……し」
船長「ん?」
魔王「安定して生産、供給できる様になれば、流通もさせやすいだろう?」
船長「流通?」
魔王「お前に頼みたいのは、それだ……価値が認められ、収入源になれば」
魔王「島も、お前も……潤わないか?」
船長「……」
魔王(あれ……安直だったか?)
430: 2013/04/11(木) 15:39:59.42 ID:IKnsrjixP
船長「……しかし」
魔王「ん?」
船長「いや……だとしたら……」
魔王「あの……船長?」
船長「ちょっと黙ってろ! ……あっちのおっさんは……」ブツブツ
魔王「……」
船長「そうか!あのババアなら高く買うだろうな!それに……!」
魔王「……ッ」ビクッ
魔王(……ノリノリ、と見て良いんだろうな)
船長「おい、少年!」
魔王「な、何だ……」
船長「何でもその魔石とやらに出来るのか!?」
魔王「な、何でもってのは……?」
船長「島には治癒魔法が使える奴も居るはずだ。そういう奴の力を魔石にすれば」
船長「怪我も治せるだろ!?」
魔王「あ、ああ……まあ、そういう使い方も出来る、かな?」
船長「そりゃあ良い!傭兵だとか賞金稼ぎにゃ高値で売れるだろう!」
魔王「……」
魔王(目、キラキラさせてまぁ……)
カチャ。バタン!
魔王「ん?」
船長「いや……だとしたら……」
魔王「あの……船長?」
船長「ちょっと黙ってろ! ……あっちのおっさんは……」ブツブツ
魔王「……」
船長「そうか!あのババアなら高く買うだろうな!それに……!」
魔王「……ッ」ビクッ
魔王(……ノリノリ、と見て良いんだろうな)
船長「おい、少年!」
魔王「な、何だ……」
船長「何でもその魔石とやらに出来るのか!?」
魔王「な、何でもってのは……?」
船長「島には治癒魔法が使える奴も居るはずだ。そういう奴の力を魔石にすれば」
船長「怪我も治せるだろ!?」
魔王「あ、ああ……まあ、そういう使い方も出来る、かな?」
船長「そりゃあ良い!傭兵だとか賞金稼ぎにゃ高値で売れるだろう!」
魔王「……」
魔王(目、キラキラさせてまぁ……)
カチャ。バタン!
431: 2013/04/11(木) 15:54:18.99 ID:IKnsrjixP
姫「もう、無理……」
盗賊「船長、タオルくれ、タオル……!」
船長「……」ブツブツ
魔王(聞いてないな……仕方ない)
魔王「……ちょっと待ってろ……ほら」
魔王「しかし……なんで盗賊だけそんなびしょ濡れなんだ」
盗賊「最後の最後で姉ちゃんにぶちかまされたんだよ……」
姫「ごめんなさい……はぁ、ちょっと……座らせて……」
魔王「大丈夫か?」
盗賊「ああ、平気だ……それより、これ見てくれよ!」コロンコロンコロン……
魔王「ほう……随分出来たな」
船長「お……!見せてくれよ……へぇ。綺麗なモンだな」
姫「コツはかなり掴めたわ」
魔王「あの短時間で大したもんだ……身体は冷えてないか?」
姫「大丈夫……私は濡れて無いもの」
盗賊「本当にズルいよな、姉ちゃん……あ、でも聞いてくれよ、少年!」
魔王「ん?」
盗賊「ほら、これ……こうやってな?」グッ
サァアアアアア……
船長「ああああ、お前、部屋の中で何すんだ!」
魔王「ふむ……シャワーだな」
姫「凄いでしょ、盗賊」
盗賊「んで……ほら!」
ザアアアアア!
魔王「勢いを変えられるのか」
船長「おい、こら俺の部屋……!ああ、もう!後で拭けよ!」
盗賊「船長、タオルくれ、タオル……!」
船長「……」ブツブツ
魔王(聞いてないな……仕方ない)
魔王「……ちょっと待ってろ……ほら」
魔王「しかし……なんで盗賊だけそんなびしょ濡れなんだ」
盗賊「最後の最後で姉ちゃんにぶちかまされたんだよ……」
姫「ごめんなさい……はぁ、ちょっと……座らせて……」
魔王「大丈夫か?」
盗賊「ああ、平気だ……それより、これ見てくれよ!」コロンコロンコロン……
魔王「ほう……随分出来たな」
船長「お……!見せてくれよ……へぇ。綺麗なモンだな」
姫「コツはかなり掴めたわ」
魔王「あの短時間で大したもんだ……身体は冷えてないか?」
姫「大丈夫……私は濡れて無いもの」
盗賊「本当にズルいよな、姉ちゃん……あ、でも聞いてくれよ、少年!」
魔王「ん?」
盗賊「ほら、これ……こうやってな?」グッ
サァアアアアア……
船長「ああああ、お前、部屋の中で何すんだ!」
魔王「ふむ……シャワーだな」
姫「凄いでしょ、盗賊」
盗賊「んで……ほら!」
ザアアアアア!
魔王「勢いを変えられるのか」
船長「おい、こら俺の部屋……!ああ、もう!後で拭けよ!」
432: 2013/04/11(木) 16:15:31.31 ID:IKnsrjixP
魔王「凄いな……本当に、二人とも良くやった」
盗賊「へへ……」
姫「水だから、勢いに差をつける位しか出来ないけどね」
船長「確かに……こりゃスゲェな」
魔王「ああ、そうだ……船長、さっきの話の続きだが」
船長「おう、任せとけ!なぁに……悪い様にはしねぇよ!」
魔王「あ、ああ……」
盗賊「何の話だ?」
魔王「まあ……後でゆっくり説明してやる。とりあえず、二人ともゆっくり休め」
船長「そうだな……の前に、盗賊!お前は掃除だ! ……ったく」
船長「水浸しにしやがって……」ブツブツ
盗賊「えぇ!?俺だって疲れてんのに……」
船長「阿呆!やることやってから寝ろ!」
魔王「では、姫……部屋へ戻ろう」
姫「え、ええでも……」
盗賊「あー……良いよ、俺一人でやるよ」
盗賊「姉ちゃんだいぶ魔力消費しただろ?……腹に子もいるんだから」
姫「……じゃあ、お言葉に甘えて」
船長「ああ、案内させるわ……おい!」
海賊「あいよ! ……こっちだ。ついてきな」
盗賊「へへ……」
姫「水だから、勢いに差をつける位しか出来ないけどね」
船長「確かに……こりゃスゲェな」
魔王「ああ、そうだ……船長、さっきの話の続きだが」
船長「おう、任せとけ!なぁに……悪い様にはしねぇよ!」
魔王「あ、ああ……」
盗賊「何の話だ?」
魔王「まあ……後でゆっくり説明してやる。とりあえず、二人ともゆっくり休め」
船長「そうだな……の前に、盗賊!お前は掃除だ! ……ったく」
船長「水浸しにしやがって……」ブツブツ
盗賊「えぇ!?俺だって疲れてんのに……」
船長「阿呆!やることやってから寝ろ!」
魔王「では、姫……部屋へ戻ろう」
姫「え、ええでも……」
盗賊「あー……良いよ、俺一人でやるよ」
盗賊「姉ちゃんだいぶ魔力消費しただろ?……腹に子もいるんだから」
姫「……じゃあ、お言葉に甘えて」
船長「ああ、案内させるわ……おい!」
海賊「あいよ! ……こっちだ。ついてきな」
433: 2013/04/11(木) 16:29:27.36 ID:IKnsrjixP
……
………
…………
カチャ……パタン
姫「はぁ……疲れた!」ゴロン
魔王「しかし、これはまた……凄い部屋だな」
姫「そうね……豪華な部屋」
魔王「……無理はしてないか?」
姫「ええ……楽しかったわ」
魔王「そうか」
姫「コツも掴んだし……まあ、攻撃するのとは随分違う、けど」
姫「コントロールする、って言うのは……解った気がする」
魔王「ああ……着くまでゆっくり休んでいると良い」
姫「ええ……そう、ね……」スゥ
魔王「眠ったか……私も少し休む、かな」
魔王(さて……問題は魔導将軍、だな)
魔王(どうするか……)スウ ……
……
………
…………
盗賊「なあ、船長」ゴシゴシ
船長「ほら、そっちまだ濡れてるぞ……なんだ?」
盗賊「……やれると、思うか?」
船長「だからさっき説明しただろ?俺が船で……」
盗賊「魔石の話じゃネェよ!」
船長「あん? ……じゃあ何だよ」
盗賊「魔導将軍、だ!」
船長「ああ……そっちか」
………
…………
カチャ……パタン
姫「はぁ……疲れた!」ゴロン
魔王「しかし、これはまた……凄い部屋だな」
姫「そうね……豪華な部屋」
魔王「……無理はしてないか?」
姫「ええ……楽しかったわ」
魔王「そうか」
姫「コツも掴んだし……まあ、攻撃するのとは随分違う、けど」
姫「コントロールする、って言うのは……解った気がする」
魔王「ああ……着くまでゆっくり休んでいると良い」
姫「ええ……そう、ね……」スゥ
魔王「眠ったか……私も少し休む、かな」
魔王(さて……問題は魔導将軍、だな)
魔王(どうするか……)スウ ……
……
………
…………
盗賊「なあ、船長」ゴシゴシ
船長「ほら、そっちまだ濡れてるぞ……なんだ?」
盗賊「……やれると、思うか?」
船長「だからさっき説明しただろ?俺が船で……」
盗賊「魔石の話じゃネェよ!」
船長「あん? ……じゃあ何だよ」
盗賊「魔導将軍、だ!」
船長「ああ……そっちか」
434: 2013/04/11(木) 16:34:07.24 ID:IKnsrjixP
盗賊「あいつを片付けねぇと……どっちにしろ」
盗賊「魔石の流通だとか、何だとか……旨くいかねぇんだぜ?」
船長「まあ……そうだよな」
盗賊「少年なら……大丈夫なんだろうけど……」
船長「だが……これだけの魔石をあの短時間で作っちまうんだ」
船長「お嬢ちゃんだって相当なモンだろう?」
盗賊「魔力の量の問題じゃ無い……だろう?」
船長「ん?」
盗賊「魔法で戦う、んだぜ……尋常じゃ無い魔力量があったって」
盗賊「姉ちゃんは、スタミナもねぇ……」
船長「……」
盗賊「特訓、たって……確かに、姉ちゃんすげぇコントロールできる様になってたけど」
盗賊「……攻撃力とか、戦闘術、とかさ」
船長「明日には、島に着く」
船長「……向こうでどうにか鍛えるんだろうさ。俺には……わからん」
盗賊「……まあ、そうだろうけど。でも、場所がなぁ……」
船長「そうだな。あまり派手にやられても……な」
盗賊「良し……終わった」
船長「ご苦労さん……お前も休め」
船長「明日も魔石とやら、作るんだろ?」
盗賊「ああ……じゃあ、戻るわ」スタスタ
船長「おやすみ」
盗賊「魔石の流通だとか、何だとか……旨くいかねぇんだぜ?」
船長「まあ……そうだよな」
盗賊「少年なら……大丈夫なんだろうけど……」
船長「だが……これだけの魔石をあの短時間で作っちまうんだ」
船長「お嬢ちゃんだって相当なモンだろう?」
盗賊「魔力の量の問題じゃ無い……だろう?」
船長「ん?」
盗賊「魔法で戦う、んだぜ……尋常じゃ無い魔力量があったって」
盗賊「姉ちゃんは、スタミナもねぇ……」
船長「……」
盗賊「特訓、たって……確かに、姉ちゃんすげぇコントロールできる様になってたけど」
盗賊「……攻撃力とか、戦闘術、とかさ」
船長「明日には、島に着く」
船長「……向こうでどうにか鍛えるんだろうさ。俺には……わからん」
盗賊「……まあ、そうだろうけど。でも、場所がなぁ……」
船長「そうだな。あまり派手にやられても……な」
盗賊「良し……終わった」
船長「ご苦労さん……お前も休め」
船長「明日も魔石とやら、作るんだろ?」
盗賊「ああ……じゃあ、戻るわ」スタスタ
船長「おやすみ」
435: 2013/04/11(木) 16:40:55.51 ID:IKnsrjixP
船長「……魔石、ね」コロン
船長「スゲェやつらを、船に乗せちまったもんだ」
船長「おう。俺も休むわ……時間になったら起こせよ!」
アイアイサー!
船長「スピードを緩めるな……良い波だしな」
海賊「この侭行けば、明日の昼前には着きますぜ?」
船長「半日早いな……まあ、良いだろう」
……
………
…………
コンコン……コンコン!
魔王「……ん?」
姫(すやすや)
魔王「姫……は寝てるか……はい?」
盗賊「俺だ。開けて良いか?」
魔王「ああ……構わん」
カチャ
盗賊「おはよう……と、姉ちゃんまだ寝てるのか」
魔王「もう朝か……余程疲れたんだろうな。起きたらまた昨日の続きを……」
盗賊「もう昼過ぎだよ」
魔王「何……?そんなに寝たのか」
盗賊「それに、続きは後だ」
魔王「……何かあったのか?」
船長「スゲェやつらを、船に乗せちまったもんだ」
船長「おう。俺も休むわ……時間になったら起こせよ!」
アイアイサー!
船長「スピードを緩めるな……良い波だしな」
海賊「この侭行けば、明日の昼前には着きますぜ?」
船長「半日早いな……まあ、良いだろう」
……
………
…………
コンコン……コンコン!
魔王「……ん?」
姫(すやすや)
魔王「姫……は寝てるか……はい?」
盗賊「俺だ。開けて良いか?」
魔王「ああ……構わん」
カチャ
盗賊「おはよう……と、姉ちゃんまだ寝てるのか」
魔王「もう朝か……余程疲れたんだろうな。起きたらまた昨日の続きを……」
盗賊「もう昼過ぎだよ」
魔王「何……?そんなに寝たのか」
盗賊「それに、続きは後だ」
魔王「……何かあったのか?」
436: 2013/04/11(木) 16:46:48.32 ID:IKnsrjixP
盗賊「ああ、違う違う……まあ、夜の間に何回か魔物に襲われたけど」
魔王「……マジで?」
盗賊「大丈夫だよ。海賊達、強いしな」
魔王「そ、そうか……すまんな」
盗賊「それに、もうすぐ廃港に着くんだ……一度上陸して、夜を待つんだとさ」
魔王「……随分早くないか」
盗賊「良い風に良い波だったんだと……まあ、急がなくて良いから」
盗賊「下船できる準備しといてくれ……で、食事も用意できてるし」
姫「……んん」
魔王「起きたか?」
姫「お腹……すいた……」
盗賊「ははッ ……じゃあ、食堂で待ってるよ。俺もマダだし、飯」
魔王「ああ……すぐに行くよ」
……
………
…………
船長「おう、おはようさん」
姫「おはよう、船長……もう着くんですって?」
船長「ああ……随分と条件が良くてな」
魔王「降りるのか?」
船長「小舟に乗り換える必要があるからな……俺も行くぜ」
魔王「船長も?」
魔王「……マジで?」
盗賊「大丈夫だよ。海賊達、強いしな」
魔王「そ、そうか……すまんな」
盗賊「それに、もうすぐ廃港に着くんだ……一度上陸して、夜を待つんだとさ」
魔王「……随分早くないか」
盗賊「良い風に良い波だったんだと……まあ、急がなくて良いから」
盗賊「下船できる準備しといてくれ……で、食事も用意できてるし」
姫「……んん」
魔王「起きたか?」
姫「お腹……すいた……」
盗賊「ははッ ……じゃあ、食堂で待ってるよ。俺もマダだし、飯」
魔王「ああ……すぐに行くよ」
……
………
…………
船長「おう、おはようさん」
姫「おはよう、船長……もう着くんですって?」
船長「ああ……随分と条件が良くてな」
魔王「降りるのか?」
船長「小舟に乗り換える必要があるからな……俺も行くぜ」
魔王「船長も?」
437: 2013/04/11(木) 16:55:09.24 ID:IKnsrjixP
船長「何だ、不服か?」
魔王「いや、そうじゃない……留守にして良いのか?」
船長「野郎共がいりゃ心配はネェよ。船もうごかす訳で無し」
盗賊「何でも、お前に見せたい場所があるらしいぜ、少年」
魔王「私に?」
船長「ま、着いてからのお楽しみだ」ニヤ
姫「……なんか企んでる顔ね」
船長「ふふん」
盗賊「しかし……姉ちゃん本当に良く食うよな」
姫「二人分ですもの」
魔王「……食欲旺盛なのは良いことだ」
魔王(エルフってのは皆、大食いなのか……?)
船長「お……そろそろだな。おい、飯が済んだら甲板に来い」
船長「俺は先に行くぜ」スタスタ
魔王「ああ……私も行こう。姫は盗賊とゆっくり来い……どうせ」
魔王「……まだ食うんだろう」
姫「ええ……そうね。盗賊、そっちのパン取ってくれない?」
盗賊「……4つ目だぜ。まあ、良いけど……腹、痛くならねぇ?」
姫「なんで?」モグモグ
盗賊「……どうぞ」ハイ
……
………
…………
魔王「……あれか」
船長「ああ」
魔王「いや、そうじゃない……留守にして良いのか?」
船長「野郎共がいりゃ心配はネェよ。船もうごかす訳で無し」
盗賊「何でも、お前に見せたい場所があるらしいぜ、少年」
魔王「私に?」
船長「ま、着いてからのお楽しみだ」ニヤ
姫「……なんか企んでる顔ね」
船長「ふふん」
盗賊「しかし……姉ちゃん本当に良く食うよな」
姫「二人分ですもの」
魔王「……食欲旺盛なのは良いことだ」
魔王(エルフってのは皆、大食いなのか……?)
船長「お……そろそろだな。おい、飯が済んだら甲板に来い」
船長「俺は先に行くぜ」スタスタ
魔王「ああ……私も行こう。姫は盗賊とゆっくり来い……どうせ」
魔王「……まだ食うんだろう」
姫「ええ……そうね。盗賊、そっちのパン取ってくれない?」
盗賊「……4つ目だぜ。まあ、良いけど……腹、痛くならねぇ?」
姫「なんで?」モグモグ
盗賊「……どうぞ」ハイ
……
………
…………
魔王「……あれか」
船長「ああ」
438: 2013/04/11(木) 17:06:16.61 ID:IKnsrjixP
魔王「ここから……見てもぼろぼろだな」
船長「言っただろう、辛うじて……だと」
魔王「見せたかった物って言うのはこれか?」
船長「いや、それは降りてからだ」
魔王「しかし……随分……」
船長「何だ?」
魔王「……なんと言えば良いのか。息が……詰まりそうだ」
船長「美しいだろ……無人の島なんだ」
魔王「無人……?」
船長「ああ……噂では魔物に食われ全滅したらしいぞ」
魔王「……」
船長「それも、随分昔の話だ。少し行けば……廃墟がある」
魔王「街があったのか」
船長「小さい街だがな……城跡もある」
魔王「……見せたいのはそれか」
船長「ああ……来たな」
魔王「ん? ……ああ」
姫「あそこに降りるのね……」
魔王「ああ……大丈夫か?」
姫「何が?」
船長「言っただろう、辛うじて……だと」
魔王「見せたかった物って言うのはこれか?」
船長「いや、それは降りてからだ」
魔王「しかし……随分……」
船長「何だ?」
魔王「……なんと言えば良いのか。息が……詰まりそうだ」
船長「美しいだろ……無人の島なんだ」
魔王「無人……?」
船長「ああ……噂では魔物に食われ全滅したらしいぞ」
魔王「……」
船長「それも、随分昔の話だ。少し行けば……廃墟がある」
魔王「街があったのか」
船長「小さい街だがな……城跡もある」
魔王「……見せたいのはそれか」
船長「ああ……来たな」
魔王「ん? ……ああ」
姫「あそこに降りるのね……」
魔王「ああ……大丈夫か?」
姫「何が?」
439: 2013/04/11(木) 17:10:32.04 ID:IKnsrjixP
魔王「体調……と言うか、気分」
姫「ええ……これといって。どころか……」
姫「随分と……良い気分だわ。空気も澄んでいるし……光に溢れてる」
盗賊「おい、二人とも何かに掴まれ。揺れるぞ……着岸する」
グラグラ……
魔王「ああ……っと。姫、掴まれ」
姫「きゃっ ……ええ」
船長「良し……降りるぞ」スタスタ
盗賊「おう」スタスタ
魔王「……」
姫「少年?」
魔王「いや……」
魔王(何だろう……息苦しい、と言うか……)
魔王(自然が美しくて、息が詰まる……?否、違うな……)
魔王「……行こうか」スタスタ
姫「ええ」スタスタ
姫「ええ……これといって。どころか……」
姫「随分と……良い気分だわ。空気も澄んでいるし……光に溢れてる」
盗賊「おい、二人とも何かに掴まれ。揺れるぞ……着岸する」
グラグラ……
魔王「ああ……っと。姫、掴まれ」
姫「きゃっ ……ええ」
船長「良し……降りるぞ」スタスタ
盗賊「おう」スタスタ
魔王「……」
姫「少年?」
魔王「いや……」
魔王(何だろう……息苦しい、と言うか……)
魔王(自然が美しくて、息が詰まる……?否、違うな……)
魔王「……行こうか」スタスタ
姫「ええ」スタスタ
440: 2013/04/11(木) 17:15:29.42 ID:IKnsrjixP
船長「おいお前ら!日が沈んだら小舟を下ろす」
船長「ちょっと行ってくるから……それまでに準備頼んだぞ!」
アイアイサー!
魔王「……」
姫「少年……大丈夫?顔色が悪いわ」
魔王「ふむ……なんだろうな、これは」
船長「おいおい、どうした?」
船長「魔王が船酔いか?……格好つかねぇな」
魔王「いや、そんなんじゃ無い……この場所は……」
姫「……清浄すぎる、のかしら」
盗賊「え?」
姫「私には……凄く、心地が良い。そうね……何かに癒されているみたい」
盗賊「自然が多いからな。なぁんにもない小さい陸なんだぜ?でも……」
盗賊「花も草木も、すげぇ元気なんだ。いつ来ても」
船長「船に戻るか……と言いたいが……」
魔王「いや、見せたい物があるんだろう。構わん……大丈夫だ」
姫「……魔族には、辛いのかもね」
姫「光が……とても、多い」
魔王「……かもな」
船長「ちょっと行ってくるから……それまでに準備頼んだぞ!」
アイアイサー!
魔王「……」
姫「少年……大丈夫?顔色が悪いわ」
魔王「ふむ……なんだろうな、これは」
船長「おいおい、どうした?」
船長「魔王が船酔いか?……格好つかねぇな」
魔王「いや、そんなんじゃ無い……この場所は……」
姫「……清浄すぎる、のかしら」
盗賊「え?」
姫「私には……凄く、心地が良い。そうね……何かに癒されているみたい」
盗賊「自然が多いからな。なぁんにもない小さい陸なんだぜ?でも……」
盗賊「花も草木も、すげぇ元気なんだ。いつ来ても」
船長「船に戻るか……と言いたいが……」
魔王「いや、見せたい物があるんだろう。構わん……大丈夫だ」
姫「……魔族には、辛いのかもね」
姫「光が……とても、多い」
魔王「……かもな」
441: 2013/04/11(木) 17:22:10.15 ID:IKnsrjixP
船長「良し……無理はするなよ。こっち……この川沿いの道だ」
魔王「この先に……その廃墟と城跡があるのか」
船長「ああ……だがそこまで行ってる時間はネェ」
魔王「うん?しかし……」
船長「途中で道を曲がる……小高い丘があるんだ」
船長「そこに……知人の墓がある」
盗賊「……」
魔王「見せたい物……は、それか」
船長「後は……行けば解る」
姫「……本当に、凄いわね」
盗賊「え?」
姫「川を流れる水も……綺麗。見ているだけで癒されるみたい……」
盗賊「ああ……人が、居ないからかもな」
姫「……自然しか無いから?でも、街があったんでしょう?」
魔王「大昔に魔物に襲われて全滅した……んだそうだ」
姫「……そう」
盗賊「噂に過ぎないぜ?」
魔王「しかし……」
船長「ん?」
魔王「……私ですら、息苦しく感じる程だ」
魔王「この先に……その廃墟と城跡があるのか」
船長「ああ……だがそこまで行ってる時間はネェ」
魔王「うん?しかし……」
船長「途中で道を曲がる……小高い丘があるんだ」
船長「そこに……知人の墓がある」
盗賊「……」
魔王「見せたい物……は、それか」
船長「後は……行けば解る」
姫「……本当に、凄いわね」
盗賊「え?」
姫「川を流れる水も……綺麗。見ているだけで癒されるみたい……」
盗賊「ああ……人が、居ないからかもな」
姫「……自然しか無いから?でも、街があったんでしょう?」
魔王「大昔に魔物に襲われて全滅した……んだそうだ」
姫「……そう」
盗賊「噂に過ぎないぜ?」
魔王「しかし……」
船長「ん?」
魔王「……私ですら、息苦しく感じる程だ」
442: 2013/04/11(木) 17:27:21.44 ID:IKnsrjixP
魔王「獣に近いだろう、下等な……そうだな」
魔王「あまり力の強くない魔物しか生息できなさそうだがな……」
船長「確かに、弱い魔物しか居ないな」
船長「戦う術を知らネェ女子供ならまだしも、力の弱い盗賊一人でも」
船長「余裕で一人で行き来出来る程度だからな」
魔王「昔はどうだったのか解らんがな……今のこの状態では……な」
盗賊「俺が強くなったんじゃねぇの?」
魔王「……丘の上、あれか?」
船長「ああ、そうだ……もう少しだ」
盗賊「無視かよ!」
姫「まあまあ……わ、 ……あ……ッ」
ザアアアアァァ……ッ
姫「な、に……これ……!なんて……美しい、の……!」
魔王「……これは、見事」
盗賊「すげぇだろ?」
船長「あいつの亡骸を拾って、ここに埋めたらな」
船長「一月もしないうちに、この様だ」
魔王「あまり力の強くない魔物しか生息できなさそうだがな……」
船長「確かに、弱い魔物しか居ないな」
船長「戦う術を知らネェ女子供ならまだしも、力の弱い盗賊一人でも」
船長「余裕で一人で行き来出来る程度だからな」
魔王「昔はどうだったのか解らんがな……今のこの状態では……な」
盗賊「俺が強くなったんじゃねぇの?」
魔王「……丘の上、あれか?」
船長「ああ、そうだ……もう少しだ」
盗賊「無視かよ!」
姫「まあまあ……わ、 ……あ……ッ」
ザアアアアァァ……ッ
姫「な、に……これ……!なんて……美しい、の……!」
魔王「……これは、見事」
盗賊「すげぇだろ?」
船長「あいつの亡骸を拾って、ここに埋めたらな」
船長「一月もしないうちに、この様だ」
443: 2013/04/11(木) 17:36:21.92 ID:IKnsrjixP
姫「……光が、溢れてる。本当に……凄い……!」
盗賊「枯れないんだ。ここの花も……草も」
姫「エルフの祝福ね……」
船長「祝福?」
姫「ええ……エルフの亡骸は、森の中では……だけど」
姫「勿論、土に還される。そして森の生命力となるのよ」
姫「花となり、草となり……風になり、雨になる」
姫「私達、残されたエルフに、恵みがある様に」
盗賊「……そっか」
姫「きっと……この土地、この島は……浄化されたのね」
姫「エルフの血肉で……」
魔王「……成る程な。光の力の強い土地なのか」
船長「そうなのか?」
魔王「私達魔族の住む最果ての地……北の大地は」
魔王「こことは逆だ。魔の気が渦巻き、光の力は弱い」
魔王「……船上で、姫に話したな」
姫「ええ……でも、少年は」
姫「海を渡る風や、晴れやかな蒼い空の方が心地良いって言ったじゃ無い」
魔王「ああ……気分的にはな。だが……」
魔王「やはり……私は魔族だからな」
盗賊「枯れないんだ。ここの花も……草も」
姫「エルフの祝福ね……」
船長「祝福?」
姫「ええ……エルフの亡骸は、森の中では……だけど」
姫「勿論、土に還される。そして森の生命力となるのよ」
姫「花となり、草となり……風になり、雨になる」
姫「私達、残されたエルフに、恵みがある様に」
盗賊「……そっか」
姫「きっと……この土地、この島は……浄化されたのね」
姫「エルフの血肉で……」
魔王「……成る程な。光の力の強い土地なのか」
船長「そうなのか?」
魔王「私達魔族の住む最果ての地……北の大地は」
魔王「こことは逆だ。魔の気が渦巻き、光の力は弱い」
魔王「……船上で、姫に話したな」
姫「ええ……でも、少年は」
姫「海を渡る風や、晴れやかな蒼い空の方が心地良いって言ったじゃ無い」
魔王「ああ……気分的にはな。だが……」
魔王「やはり……私は魔族だからな」
444: 2013/04/11(木) 17:44:17.82 ID:IKnsrjixP
魔王「光が濃すぎるのは……少々、堪える様だ」
盗賊「魔王にも弱点があるんだな」
姫「おかしな話よね……光と闇なんて……同じなのに」
船長「同じ?」
姫「同じと言うか……光が無ければ闇も生まれないでしょう?」
姫「闇が無ければ、光は輝けない……表裏一体じゃない」
盗賊「……知人が言ってた。そういえば」
船長「ありゃあ、御伽噺だろう?」
姫「御伽噺?」
盗賊「光と闇の獣ってのが、人間だとさ」
魔王「なんだ、それは」
盗賊「人は弱いけど、強いから……それは、光も闇も」
盗賊「両方を兼ね備えているから、だって。だから」
盗賊「人は、善にも悪にもなれる……ってさ」
魔王「……ふむ」
姫「魔族は……闇の力が濃いのかしら。だから……少年は……」
魔王「溢れんばかりの光は苦痛に感じるのかもな」
盗賊「だが、光そのもの、闇そのもの……なんてモンは存在しないだろう?」
魔王「存在するとすれば、それこそ御伽噺……や、神話の世界だな」
船長「……さて、長居する必要もないだろう」
船長「そろそろ戻るか……じき、日も暮れるぜ」
盗賊「魔王にも弱点があるんだな」
姫「おかしな話よね……光と闇なんて……同じなのに」
船長「同じ?」
姫「同じと言うか……光が無ければ闇も生まれないでしょう?」
姫「闇が無ければ、光は輝けない……表裏一体じゃない」
盗賊「……知人が言ってた。そういえば」
船長「ありゃあ、御伽噺だろう?」
姫「御伽噺?」
盗賊「光と闇の獣ってのが、人間だとさ」
魔王「なんだ、それは」
盗賊「人は弱いけど、強いから……それは、光も闇も」
盗賊「両方を兼ね備えているから、だって。だから」
盗賊「人は、善にも悪にもなれる……ってさ」
魔王「……ふむ」
姫「魔族は……闇の力が濃いのかしら。だから……少年は……」
魔王「溢れんばかりの光は苦痛に感じるのかもな」
盗賊「だが、光そのもの、闇そのもの……なんてモンは存在しないだろう?」
魔王「存在するとすれば、それこそ御伽噺……や、神話の世界だな」
船長「……さて、長居する必要もないだろう」
船長「そろそろ戻るか……じき、日も暮れるぜ」
445: 2013/04/11(木) 17:57:52.10 ID:IKnsrjixP
姫「ええ……でも、船長はどうしてここを……見せようと思ったの?」
船長「何となくだ……ついで、だよ。墓参りも兼ねて、な」
魔王「……街と城跡も気になるが」
船長「ここから半日ほど掛かるぜ?」
魔王「そうか……」
盗賊「またにしろよ……魔導将軍さえ倒せば、何時だって来れる」
魔王「……ああ」
魔王(後で……側近に調べておいて貰うか)
……
………
…………
船長「良し、準備出来てるな……気をつけて乗れよ? ……っと」
姫「小舟って……これ!?」
盗賊「四人か……ギリギリだな……よっと!おい船長、腹が邪魔だ」
船長「うるせぇ、小さくなってろ!」
船長「俺と少年と交代で漕げば……夜明けまでには着くだろ」
魔王「人力か……」
船長「目立つ訳にいかねぇだろうが」
船長「何となくだ……ついで、だよ。墓参りも兼ねて、な」
魔王「……街と城跡も気になるが」
船長「ここから半日ほど掛かるぜ?」
魔王「そうか……」
盗賊「またにしろよ……魔導将軍さえ倒せば、何時だって来れる」
魔王「……ああ」
魔王(後で……側近に調べておいて貰うか)
……
………
…………
船長「良し、準備出来てるな……気をつけて乗れよ? ……っと」
姫「小舟って……これ!?」
盗賊「四人か……ギリギリだな……よっと!おい船長、腹が邪魔だ」
船長「うるせぇ、小さくなってろ!」
船長「俺と少年と交代で漕げば……夜明けまでには着くだろ」
魔王「人力か……」
船長「目立つ訳にいかねぇだろうが」
446: 2013/04/11(木) 18:04:35.43 ID:IKnsrjixP
姫「無茶苦茶ね……よいしょ……きゃっ」
魔王「気をつけろ……ん、揺れるな」
船長「乗ったな? ……あんまり動くなよ」
魔王「まあ、待て……方向はどっちだ?」
船長「ん? ……こっちへ、真っ直ぐだ。取りあえずな」
魔王「そうか……座っておけよ……水よ!」
姫「え、ちょっと……何する気……ッ きゃあ!」
盗賊「うわッ」
魔王「波打ちて運べ……音立てず、静寂の内に」
魔王「行け、滑る様に……走れ!」
ザアアアアアアアアアアアア……ッ
船長「……ま、まじか……!」
魔王「あんまり喋るな。舌噛むぞ……方向だけ指してくれ」
船長「……お、おう……そのまま ……もう少し、北東」
盗賊「……信じらんねぇ……痛ッ」
船長「見えた、あれだ! ……ああ、そっちへ行くな反対の……あの、入り江へ」
魔王「……良し。ここだな」
姫「……本当に規格外ね」
魔王「言い飽きてくれ、そろそろ……それ」
魔王「気をつけろ……ん、揺れるな」
船長「乗ったな? ……あんまり動くなよ」
魔王「まあ、待て……方向はどっちだ?」
船長「ん? ……こっちへ、真っ直ぐだ。取りあえずな」
魔王「そうか……座っておけよ……水よ!」
姫「え、ちょっと……何する気……ッ きゃあ!」
盗賊「うわッ」
魔王「波打ちて運べ……音立てず、静寂の内に」
魔王「行け、滑る様に……走れ!」
ザアアアアアアアアアアアア……ッ
船長「……ま、まじか……!」
魔王「あんまり喋るな。舌噛むぞ……方向だけ指してくれ」
船長「……お、おう……そのまま ……もう少し、北東」
盗賊「……信じらんねぇ……痛ッ」
船長「見えた、あれだ! ……ああ、そっちへ行くな反対の……あの、入り江へ」
魔王「……良し。ここだな」
姫「……本当に規格外ね」
魔王「言い飽きてくれ、そろそろ……それ」
447: 2013/04/11(木) 18:11:31.64 ID:IKnsrjixP
船長「……あっちゅーまに着いちまった」
盗賊「まだ……みんな起きてるだろうな」
魔王「ふむ。就寝前なら迷惑でも無いだろう……で、ここは」
魔王「位置的にどの辺なんだ?」
船長「ああ、そうか……まだ言ってなかったな」
盗賊「聞いて驚け!……ここはな。魔導の街の、すぐ傍の無人島だ」
姫「……ええ!?」
船長「住んでるのは魔導の街からは見えない裏っかわだけどな」
魔王「灯台もと暗し、と言う奴か……?」
船長「しらみつぶしに探してる訳じゃネェだろうってのもあるがな」
盗賊「だからこんな方法でしか来れないんだよ」
盗賊「……見つかるかもって思ってビクビク過ごすってのは」
盗賊「どうせ、どこに居たって一緒なんだ」
姫「……考えた、わね」
船長「良し、コッチだ……ちょっと歩くぞ」
盗賊「取りあえず、俺が事情を説明してくる……俺の家で待っててくれ」
姫「旨く行く……かしら、ね」
魔王「さぁな……」
……
………
…………
盗賊「まだ……みんな起きてるだろうな」
魔王「ふむ。就寝前なら迷惑でも無いだろう……で、ここは」
魔王「位置的にどの辺なんだ?」
船長「ああ、そうか……まだ言ってなかったな」
盗賊「聞いて驚け!……ここはな。魔導の街の、すぐ傍の無人島だ」
姫「……ええ!?」
船長「住んでるのは魔導の街からは見えない裏っかわだけどな」
魔王「灯台もと暗し、と言う奴か……?」
船長「しらみつぶしに探してる訳じゃネェだろうってのもあるがな」
盗賊「だからこんな方法でしか来れないんだよ」
盗賊「……見つかるかもって思ってビクビク過ごすってのは」
盗賊「どうせ、どこに居たって一緒なんだ」
姫「……考えた、わね」
船長「良し、コッチだ……ちょっと歩くぞ」
盗賊「取りあえず、俺が事情を説明してくる……俺の家で待っててくれ」
姫「旨く行く……かしら、ね」
魔王「さぁな……」
……
………
…………
448: 2013/04/11(木) 18:18:30.34 ID:IKnsrjixP
姫「……遅いわね」
船長「まあ……待つしかねぇだろ」
魔王「船長は……面識あるんだろう?」
船長「一応な。だが……そんな頻繁に来る訳じゃねぇからな」
船長「盗賊と一緒に食料とか運んでは来るが……漕ぎ手は大体他の海賊共に」
船長「任せるしな……それに、来ても」
船長「会って話して、ってのは……しねぇしな」
姫「……難しそうね」
魔王「ああ……だが……」
船長「持って行ったんだろう?あの……魔石、か」
魔王「ああ。見せてくるって張り切ってたが」
姫「……不必要に、虐げられてきた人達だもの」
姫「すぐに……心を開けと言う方が、無理があるわ」
船長「……近道が一つだけある」
姫「魔導将軍を倒して、娼館で働く人を……解放する、ね」
魔王「前者はどうにでもなる。問題は……後者だ」
船長「……」
バタバタバタ……バタン!
盗賊「姉ちゃん!来てくれ!」
船長「まあ……待つしかねぇだろ」
魔王「船長は……面識あるんだろう?」
船長「一応な。だが……そんな頻繁に来る訳じゃねぇからな」
船長「盗賊と一緒に食料とか運んでは来るが……漕ぎ手は大体他の海賊共に」
船長「任せるしな……それに、来ても」
船長「会って話して、ってのは……しねぇしな」
姫「……難しそうね」
魔王「ああ……だが……」
船長「持って行ったんだろう?あの……魔石、か」
魔王「ああ。見せてくるって張り切ってたが」
姫「……不必要に、虐げられてきた人達だもの」
姫「すぐに……心を開けと言う方が、無理があるわ」
船長「……近道が一つだけある」
姫「魔導将軍を倒して、娼館で働く人を……解放する、ね」
魔王「前者はどうにでもなる。問題は……後者だ」
船長「……」
バタバタバタ……バタン!
盗賊「姉ちゃん!来てくれ!」
449: 2013/04/11(木) 18:26:55.25 ID:IKnsrjixP
姫「え!?わ、私……!?」
盗賊「見せてやって欲しいんだ! ……魔石に、なるところ」
姫「え、ええ……それは……」
盗賊「早く!」グイッタタタ
姫「ちょ、ちょっと待って……!」タタタ
船長「お、おい!」ガタッ
魔王「まあ、待て……」
船長「しかし、放っておくのは……」
魔王「案外、姫だけの方がうまく行くかもしれん……任せよう」
船長「あ、ああ……しかし……」
魔王「さて……寝床はここで良いのか?」
船長「あ?ああ……まあ、ここしかどうしようもネェだろ」
魔王「ふむ……私は街へ戻ろうと思う」
船長「ん?ああ……まあ、お前はそれで……良いだろうけど」
船長「姫は良いのか?」
魔王「手紙でも残していくさ。ここへ戻るだろう?」
魔王「船へ戻るなら送り届けよう……あの廃港から離れれば」
船長「……まあ、確かに……何日もあんな場所に止めっぱなしにしてるよりゃ」
船長「良いだろうが……」
魔王「ああ。つながりがあると疑われるのもまずいだろう」
船長「良し……じゃあそうするか」
魔王「予選が始まれば、私達は街を離れられなくなる」
魔王「予選の前日……あの廃港に居てくれ」
盗賊「見せてやって欲しいんだ! ……魔石に、なるところ」
姫「え、ええ……それは……」
盗賊「早く!」グイッタタタ
姫「ちょ、ちょっと待って……!」タタタ
船長「お、おい!」ガタッ
魔王「まあ、待て……」
船長「しかし、放っておくのは……」
魔王「案外、姫だけの方がうまく行くかもしれん……任せよう」
船長「あ、ああ……しかし……」
魔王「さて……寝床はここで良いのか?」
船長「あ?ああ……まあ、ここしかどうしようもネェだろ」
魔王「ふむ……私は街へ戻ろうと思う」
船長「ん?ああ……まあ、お前はそれで……良いだろうけど」
船長「姫は良いのか?」
魔王「手紙でも残していくさ。ここへ戻るだろう?」
魔王「船へ戻るなら送り届けよう……あの廃港から離れれば」
船長「……まあ、確かに……何日もあんな場所に止めっぱなしにしてるよりゃ」
船長「良いだろうが……」
魔王「ああ。つながりがあると疑われるのもまずいだろう」
船長「良し……じゃあそうするか」
魔王「予選が始まれば、私達は街を離れられなくなる」
魔王「予選の前日……あの廃港に居てくれ」
450: 2013/04/11(木) 18:36:18.25 ID:IKnsrjixP
船長「わかった……が、盗賊はどうする?」
魔王「船に届けるか、ここに置いていく……私は場所さえ解れば」
魔王「何時でも戻れるからな。船の位置までは流石に見つけられんが」
船長「そういう事か。解った……予選の前日に、廃港で」
魔王「ああ……ちょっとだけ待ってくれ。メモを……」サラサラ
魔王「良し……では、掴まれ」
船長「お、おう……」
シュゥン……
魔王「……っと」トン
海賊「うわあああああああああああ!?」
船長「……ッ う、お、あ……!」ドタ
魔王「……ちゃんと掴まれと言っただろうに」
海賊「せ、せせせせ、せんちょう!?」
海賊「ど、どこから ……!?」
魔王「ではな」シュゥウン
船長「消えた……本当に、すげぇな」
海賊「……」
船長「おい、何時までそんなとこ座ってんだ」
海賊「腰が……抜けました……」
船長「……なんだ、情けねぇな。海の男が……」
海賊「船長も足がくがくしてるじゃないっすか」
船長「う……うるせぇ!」
魔王「船に届けるか、ここに置いていく……私は場所さえ解れば」
魔王「何時でも戻れるからな。船の位置までは流石に見つけられんが」
船長「そういう事か。解った……予選の前日に、廃港で」
魔王「ああ……ちょっとだけ待ってくれ。メモを……」サラサラ
魔王「良し……では、掴まれ」
船長「お、おう……」
シュゥン……
魔王「……っと」トン
海賊「うわあああああああああああ!?」
船長「……ッ う、お、あ……!」ドタ
魔王「……ちゃんと掴まれと言っただろうに」
海賊「せ、せせせせ、せんちょう!?」
海賊「ど、どこから ……!?」
魔王「ではな」シュゥウン
船長「消えた……本当に、すげぇな」
海賊「……」
船長「おい、何時までそんなとこ座ってんだ」
海賊「腰が……抜けました……」
船長「……なんだ、情けねぇな。海の男が……」
海賊「船長も足がくがくしてるじゃないっすか」
船長「う……うるせぇ!」
451: 2013/04/11(木) 18:43:49.46 ID:IKnsrjixP
……
………
…………
シュゥン……トン
魔王「多分、この辺……ああ、ここだな」
魔王『側近』
側近『おう、なんだ……頃したか?』
魔王『……物騒だな』
側近『違うのか……で、何だよ』
魔王『見てくれ』
側近『は!?』
魔王『最初に言っただろう。望めば俺が見ている物が見れると』
側近『ああ、そういう意味ね……ちょっと待て。ええと……どうやるんだよ、ったく』
魔王『この間の時も見たんじゃ無いのか?』
側近『あんなけ派手に魔法ぶちかましゃ厭でも感じるっつーの……まあ』
側近『お前の目ん玉、飲み込んだからだろうがな……ん、どこだ、そこ?』
魔王『廃墟の街と……城跡らしい』
側近『はぁ……どこに居んの、お前……』
魔王『昔、魔物に襲われて全滅したらしいんだがな。廃港の様なものもある』
魔王『島の規模はそれほど大きくないんだが……どうも、光の力が強い様でな』
側近『光?』
魔王『ああ……丘の上にエルフの知人の墓がある。姫はエルフの加護だとか』
魔王『言ってたが……元々それほど強い魔物も生息していそうにない』
側近『浄化されたとでも?だが……滅ぼされたのは昔なんだよな?』
魔王『その辺も定かじゃ無いんだ……で』
側近『俺に調べとけって事ね……はいはい』
………
…………
シュゥン……トン
魔王「多分、この辺……ああ、ここだな」
魔王『側近』
側近『おう、なんだ……頃したか?』
魔王『……物騒だな』
側近『違うのか……で、何だよ』
魔王『見てくれ』
側近『は!?』
魔王『最初に言っただろう。望めば俺が見ている物が見れると』
側近『ああ、そういう意味ね……ちょっと待て。ええと……どうやるんだよ、ったく』
魔王『この間の時も見たんじゃ無いのか?』
側近『あんなけ派手に魔法ぶちかましゃ厭でも感じるっつーの……まあ』
側近『お前の目ん玉、飲み込んだからだろうがな……ん、どこだ、そこ?』
魔王『廃墟の街と……城跡らしい』
側近『はぁ……どこに居んの、お前……』
魔王『昔、魔物に襲われて全滅したらしいんだがな。廃港の様なものもある』
魔王『島の規模はそれほど大きくないんだが……どうも、光の力が強い様でな』
側近『光?』
魔王『ああ……丘の上にエルフの知人の墓がある。姫はエルフの加護だとか』
魔王『言ってたが……元々それほど強い魔物も生息していそうにない』
側近『浄化されたとでも?だが……滅ぼされたのは昔なんだよな?』
魔王『その辺も定かじゃ無いんだ……で』
側近『俺に調べとけって事ね……はいはい』
452: 2013/04/11(木) 18:49:06.88 ID:IKnsrjixP
魔王『ああ……頼む。私は今から魔導の街に戻る』
側近『……頼むから変な事すんなよ?』
魔王『大丈夫だ……あの街に居れば、逆にあいつも手を出せんだろう』
側近『今のところ、他も目立った動きはねぇな……が』
魔王『が? ……なんだ』
側近『魔導将軍をやった後は、こうのんびりはしてられねぇぞ』
魔王『……だろうな』
側近『姫の事もあるだろう……惚れたのか?』
魔王『身重の娘にか……阿呆か』
側近『違うなら良いがね……どうするんだ?』
魔王『どうしようか』
側近『お前なぁ……』
魔王『生まれるとしても、50年も先だろう』
魔王『それまで、共にしているとは思えんさ』
側近『……ま、良い。取りあえず調べておくぜ……ああ、もう本当手が足りん!』
魔王『すまんな』
側近『放り出したのは俺だしな……変な心配して胃が痛むより随分マシだ』
魔王『……悪かった、って』
側近『……頼むから変な事すんなよ?』
魔王『大丈夫だ……あの街に居れば、逆にあいつも手を出せんだろう』
側近『今のところ、他も目立った動きはねぇな……が』
魔王『が? ……なんだ』
側近『魔導将軍をやった後は、こうのんびりはしてられねぇぞ』
魔王『……だろうな』
側近『姫の事もあるだろう……惚れたのか?』
魔王『身重の娘にか……阿呆か』
側近『違うなら良いがね……どうするんだ?』
魔王『どうしようか』
側近『お前なぁ……』
魔王『生まれるとしても、50年も先だろう』
魔王『それまで、共にしているとは思えんさ』
側近『……ま、良い。取りあえず調べておくぜ……ああ、もう本当手が足りん!』
魔王『すまんな』
側近『放り出したのは俺だしな……変な心配して胃が痛むより随分マシだ』
魔王『……悪かった、って』
453: 2013/04/11(木) 18:53:36.58 ID:IKnsrjixP
側近『じゃあな……何かあったらすぐ知らせろよ』
魔王『ああ……頼む』
魔王(さて……街へ戻るか)
シュゥウン
魔王(ここは……ん?)
魔王(娼館の裏手か……丁度良い)
魔王「……おい、管理人」
管理人「何だ……! こ、ここここ、これは少年様!」
魔王「女を頼む……それから」
管理人「フランボワーズですね!」
魔王「覚えていてくれたんだな」
管理人「それはもう……!さあ、どうぞ」
……
………
…………
コンコン
少女「失礼致します……お茶をお持ちしました」
魔王「ああ、ありがとう……少女」
少女「……もう、来られないかと思っておりました」
魔王「何故だ?」
少女「何となく……です。どうぞ……」
魔王「ありがとう……良い香りだ。君も座って……つきあってくれ」
少女「はい……ありがとうございます」
魔王『ああ……頼む』
魔王(さて……街へ戻るか)
シュゥウン
魔王(ここは……ん?)
魔王(娼館の裏手か……丁度良い)
魔王「……おい、管理人」
管理人「何だ……! こ、ここここ、これは少年様!」
魔王「女を頼む……それから」
管理人「フランボワーズですね!」
魔王「覚えていてくれたんだな」
管理人「それはもう……!さあ、どうぞ」
……
………
…………
コンコン
少女「失礼致します……お茶をお持ちしました」
魔王「ああ、ありがとう……少女」
少女「……もう、来られないかと思っておりました」
魔王「何故だ?」
少女「何となく……です。どうぞ……」
魔王「ありがとう……良い香りだ。君も座って……つきあってくれ」
少女「はい……ありがとうございます」
476: 2013/04/12(金) 09:28:21.75 ID:MY2NTeWoP
おはよー!
幼女幼稚園に放してきた!やっとはじまったー!
けど帰ってくるの早いのよね……orz
お迎えまで少しだけー
>>415
ふおおおおおおおおおお、ありがとう!
側近、毛根が……www
イメージは人それぞれだからなぁ、仕方ないと思うけど
気にせず、書きたいもの書いてなー?
私はすっげぇ嬉しいよ!
絵がかけるだけでもすげぇのに漫画とかすげーな!
ほんまにありがとーーーー!!!
幼女幼稚園に放してきた!やっとはじまったー!
けど帰ってくるの早いのよね……orz
お迎えまで少しだけー
>>415
ふおおおおおおおおおお、ありがとう!
側近、毛根が……www
イメージは人それぞれだからなぁ、仕方ないと思うけど
気にせず、書きたいもの書いてなー?
私はすっげぇ嬉しいよ!
絵がかけるだけでもすげぇのに漫画とかすげーな!
ほんまにありがとーーーー!!!
478: 2013/04/12(金) 09:43:01.35 ID:MY2NTeWoP
魔王「今日は……少し突っ込んだ事を聞いても良いか?」
少女「お戯れ以外、拒否する権利はありませんから」
魔王「ふむ……甘い物は好きか?」
少女「え? ……はあ、まあ」
魔王「何が好きなんだ……やはりケーキか?」
少女「……クリーム系は、ちょっと。タルトとか……好きです」
魔王「ふむ。覚えておこう」
少女「突っ込んだ事、と言うのは……それですか?」
魔王「ああ、いやいや……気を悪くしたら、すまん」
少女「……」
魔王「お前は、優れた加護を持たないだけか?」
少女「……? 仰る意味が……」
魔王「ああ、すまん……普通に魔法は使えるのか」
少女「ああ……はい。一応……」
魔王「ふむ」
少女「それが、どうかしましたか」
魔王「もう一つ……お前の属性……加護は、風か?」
魔王「綺麗な緑の瞳をしている」
少女「……使える魔法は風です。緑……大地の加護を受けています」
少女「お戯れ以外、拒否する権利はありませんから」
魔王「ふむ……甘い物は好きか?」
少女「え? ……はあ、まあ」
魔王「何が好きなんだ……やはりケーキか?」
少女「……クリーム系は、ちょっと。タルトとか……好きです」
魔王「ふむ。覚えておこう」
少女「突っ込んだ事、と言うのは……それですか?」
魔王「ああ、いやいや……気を悪くしたら、すまん」
少女「……」
魔王「お前は、優れた加護を持たないだけか?」
少女「……? 仰る意味が……」
魔王「ああ、すまん……普通に魔法は使えるのか」
少女「ああ……はい。一応……」
魔王「ふむ」
少女「それが、どうかしましたか」
魔王「もう一つ……お前の属性……加護は、風か?」
魔王「綺麗な緑の瞳をしている」
少女「……使える魔法は風です。緑……大地の加護を受けています」
479: 2013/04/12(金) 09:47:55.15 ID:MY2NTeWoP
魔王「大地の加護か……そうか」
魔王「うん、解った。ありがとう」
少女「? ……はぁ」
魔王「あと少しだな。予選まで」
少女「そうですね」
魔王「……魔導将軍は恐ろしいか?」
少女「それこそ、拒否する権利などありません」
魔王「ふむ。少女は……本は好きか?」
少女「本? ……読書、と言う意味ですか」
魔王「まあそうだな」
少女「家に居る時はよく読みました。幼い時は童話や神話の類を」
魔王「うん」
少女「……魔力が発現してからは、魔導書のみしか与えられませんでしたが」
魔王「魔導書?」
少女「はい。この街の図書館にも沢山あるはずです」
魔王「そうか……一度行ってみても良いな」
少女「お好きでしたら……お勧めです」
コンコン
魔王「ああ……来たな」
少女「はい……では、私はこれで」
魔王「ああ、また明日な」
少女「明日?」
女「失礼致します……」
少女「……では、私はこれで」
魔王「うん、解った。ありがとう」
少女「? ……はぁ」
魔王「あと少しだな。予選まで」
少女「そうですね」
魔王「……魔導将軍は恐ろしいか?」
少女「それこそ、拒否する権利などありません」
魔王「ふむ。少女は……本は好きか?」
少女「本? ……読書、と言う意味ですか」
魔王「まあそうだな」
少女「家に居る時はよく読みました。幼い時は童話や神話の類を」
魔王「うん」
少女「……魔力が発現してからは、魔導書のみしか与えられませんでしたが」
魔王「魔導書?」
少女「はい。この街の図書館にも沢山あるはずです」
魔王「そうか……一度行ってみても良いな」
少女「お好きでしたら……お勧めです」
コンコン
魔王「ああ……来たな」
少女「はい……では、私はこれで」
魔王「ああ、また明日な」
少女「明日?」
女「失礼致します……」
少女「……では、私はこれで」
480: 2013/04/12(金) 09:50:28.37 ID:MY2NTeWoP
パタン
女「いらっしゃいませ、少年様」
魔王「ああ、元気にしていたか」
女「つい先日じゃありませんか……これ、どうぞ」
魔王「おお……旨そうだな」
女「約束ですから」
魔王「……一つだけか?」
女「え?」
魔王「お前の分が無いじゃないか」
女「え、そんな、私は……」
魔王「甘い物は好きなのだろう?」
女「そうですが……」
魔王「気の利かない男だな、あの管理人は……仕方ない」
魔王「今日は、半分こしよう」
女「え、ええ!?」
魔王「なんだ、厭か?」
女「いえ、あの……!」
魔王「遠慮はせんで良い……ああ、そうだ。女」
女「は、はい……?」
女「いらっしゃいませ、少年様」
魔王「ああ、元気にしていたか」
女「つい先日じゃありませんか……これ、どうぞ」
魔王「おお……旨そうだな」
女「約束ですから」
魔王「……一つだけか?」
女「え?」
魔王「お前の分が無いじゃないか」
女「え、そんな、私は……」
魔王「甘い物は好きなのだろう?」
女「そうですが……」
魔王「気の利かない男だな、あの管理人は……仕方ない」
魔王「今日は、半分こしよう」
女「え、ええ!?」
魔王「なんだ、厭か?」
女「いえ、あの……!」
魔王「遠慮はせんで良い……ああ、そうだ。女」
女「は、はい……?」
481: 2013/04/12(金) 09:55:06.70 ID:MY2NTeWoP
魔王「タルトは好きか?」
女「え? ……ああ、はい、まあ」
魔王「そうか、良かった……ん、皿を取ってくれるか」
女「あ、は、はい!」
魔王「ん……半分な」
女「あ……ありがとうございます……」
魔王「まあ、座れ。ああ、すまん茶を……」
女「じ、自分でやります!」
魔王「そうか?では任せる ああ、そうだ……先日は、大丈夫だったか?」
女「ああ……ええ。随分と驚いてはいらっしゃいましたが」
魔王「うむ」
女「もう少し……ここに居られる事になりました」
魔王「ほう?」
女「……大会が終われば、どこかへ行かれるのでしょう?」
魔王「ん?」
女「少なくとも、それまでは」
魔王「……本当に数日の話ではないか」
女「少年様が必要とされる限りは……です」
魔王「……」
女「あ……! も、申し訳ありません。催促をする訳では……!」
女「え? ……ああ、はい、まあ」
魔王「そうか、良かった……ん、皿を取ってくれるか」
女「あ、は、はい!」
魔王「ん……半分な」
女「あ……ありがとうございます……」
魔王「まあ、座れ。ああ、すまん茶を……」
女「じ、自分でやります!」
魔王「そうか?では任せる ああ、そうだ……先日は、大丈夫だったか?」
女「ああ……ええ。随分と驚いてはいらっしゃいましたが」
魔王「うむ」
女「もう少し……ここに居られる事になりました」
魔王「ほう?」
女「……大会が終われば、どこかへ行かれるのでしょう?」
魔王「ん?」
女「少なくとも、それまでは」
魔王「……本当に数日の話ではないか」
女「少年様が必要とされる限りは……です」
魔王「……」
女「あ……! も、申し訳ありません。催促をする訳では……!」
482: 2013/04/12(金) 09:59:20.10 ID:MY2NTeWoP
魔王「あ?ああ……いや、そういう」
魔王「……」
女「少年様……あの、お気を悪く……されました……よね」
女「どうか……お許しください!その……!」
魔王「違う」
女「え……?」
魔王「必要としていれば、拒否はしないで居てくれるのだな?」
女「そ、それは……勿論です」
魔王「その時、お前に拒否する権利があるとすればどうだ?」
女「そんな……そんな権利は、私には……」
魔王「あったとして、だ」
女「……前にも、申し上げました。私は……」
魔王「期待するのは厭、か」
女「……はい。もう絶望を味わうのは……厭です」
魔王「必ず約束すると言っても?」
女「……申し訳ありません」
魔王「信じられんか?」
魔王「……」
女「少年様……あの、お気を悪く……されました……よね」
女「どうか……お許しください!その……!」
魔王「違う」
女「え……?」
魔王「必要としていれば、拒否はしないで居てくれるのだな?」
女「そ、それは……勿論です」
魔王「その時、お前に拒否する権利があるとすればどうだ?」
女「そんな……そんな権利は、私には……」
魔王「あったとして、だ」
女「……前にも、申し上げました。私は……」
魔王「期待するのは厭、か」
女「……はい。もう絶望を味わうのは……厭です」
魔王「必ず約束すると言っても?」
女「……申し訳ありません」
魔王「信じられんか?」
483: 2013/04/12(金) 10:07:32.15 ID:MY2NTeWoP
女「……」
魔王「いや、すまん……無茶な話だな」
女「私は、何を信じれば良いのか……そもそも、それすら解らないんです」
魔王「……」
女「あの家に生まれたばかりに。私に優れた加護が無いばかりに」
女「……親に捨てられ、道具として扱われ」
女「最後は、売られるか処分されるか……いえ。売られた先での扱いも」
女「期待できた物ものではありません」
魔王「……」
女「氏んだ方がましだとすら……思えなくなりました」
女「ですが……それすらも欲ですよね?」
魔王「欲……?」
女「はい。最後の、欲……ここに居れば綺麗な服を着、髪を結われ」
女「お客様に選んでさえ戴ければ……生きてはいられる」
女「不思議です。あんなに辛いと。もう……氏にたいと何度も思ったのに」
女「でも、私は生きています。生きたいと思います」
魔王「……」
女「でもそれは……何れ、氏ぬから」
女「暖かい布団の上では無いでしょう。大事な人に看取られてでも無い」
魔王「いや、すまん……無茶な話だな」
女「私は、何を信じれば良いのか……そもそも、それすら解らないんです」
魔王「……」
女「あの家に生まれたばかりに。私に優れた加護が無いばかりに」
女「……親に捨てられ、道具として扱われ」
女「最後は、売られるか処分されるか……いえ。売られた先での扱いも」
女「期待できた物ものではありません」
魔王「……」
女「氏んだ方がましだとすら……思えなくなりました」
女「ですが……それすらも欲ですよね?」
魔王「欲……?」
女「はい。最後の、欲……ここに居れば綺麗な服を着、髪を結われ」
女「お客様に選んでさえ戴ければ……生きてはいられる」
女「不思議です。あんなに辛いと。もう……氏にたいと何度も思ったのに」
女「でも、私は生きています。生きたいと思います」
魔王「……」
女「でもそれは……何れ、氏ぬから」
女「暖かい布団の上では無いでしょう。大事な人に看取られてでも無い」
484: 2013/04/12(金) 10:11:56.43 ID:MY2NTeWoP
女「使えなくなった道具を、玩具を破棄するだけですから」
女「……そして、それは近い内にやってくるんです」
女「だから、せめて今は生きてはいたい……勿論」
女「自決等選ぶと、他の人達に迷惑がかかるから……と言うのも」
女「……ありますけど」
魔王「ふむ」
女「やっぱり、氏ぬのは怖いですから」
魔王「……そんな泣きそうな顔で笑わないでくれ」
女「最後に、こうして……少年様に選ばれて良かったです」
女「楽しい時間も過ごせたのだと、そう思って……残りを過ごせます」
魔王「それは、違う」
女「え?」
魔王「楽しい時間を経験すれば、もっと楽しくいたいと思うのが……人……」
魔王「否。生きている者の正直な気持ちの筈だ」
女「……」
魔王「何を信じたら良いのか解らないと言ったな」
女「……はい」
魔王「自分のその気持ちを信じてはみないか?」
女「え……?」
女「……そして、それは近い内にやってくるんです」
女「だから、せめて今は生きてはいたい……勿論」
女「自決等選ぶと、他の人達に迷惑がかかるから……と言うのも」
女「……ありますけど」
魔王「ふむ」
女「やっぱり、氏ぬのは怖いですから」
魔王「……そんな泣きそうな顔で笑わないでくれ」
女「最後に、こうして……少年様に選ばれて良かったです」
女「楽しい時間も過ごせたのだと、そう思って……残りを過ごせます」
魔王「それは、違う」
女「え?」
魔王「楽しい時間を経験すれば、もっと楽しくいたいと思うのが……人……」
魔王「否。生きている者の正直な気持ちの筈だ」
女「……」
魔王「何を信じたら良いのか解らないと言ったな」
女「……はい」
魔王「自分のその気持ちを信じてはみないか?」
女「え……?」
485: 2013/04/12(金) 10:23:33.54 ID:MY2NTeWoP
魔王「私と居て楽しい。ならば……もっと居たいとは思って貰えないのか?」
女「そ、それは……勿論、そう思います!ですが……」
女「大会が終われば、貴方は去ってしまわれる」
女「……それに、奥様もいらっしゃるのでしょう?」
魔王「……まあ、それはそうだが」
魔王(忘れてた……が、そんな話したか……?)
魔王(……魔導将軍か)
女「私は……たかだか商売女……いえ。そんな良い物ですら」
魔王「……」
女「物の分際で……出過ぎた事を思っても……」
魔王「違う、そうでは無くて……」
女「違いません! ……ここを出て、生きて行けた者等居ない……!」
魔王「……居る」
女「え……?」
魔王「居るんだ、女。詳細は言えない、し他言もしないで欲しい」
女「だ、だって……皆頃しに……!」
魔王「違う。皆生きている……勿論、贅沢な暮らしなどしていないだろう」
魔王「髪も結っては貰えない。綺麗な服だって着れない」
魔王「だがな?」
女「そ、それは……勿論、そう思います!ですが……」
女「大会が終われば、貴方は去ってしまわれる」
女「……それに、奥様もいらっしゃるのでしょう?」
魔王「……まあ、それはそうだが」
魔王(忘れてた……が、そんな話したか……?)
魔王(……魔導将軍か)
女「私は……たかだか商売女……いえ。そんな良い物ですら」
魔王「……」
女「物の分際で……出過ぎた事を思っても……」
魔王「違う、そうでは無くて……」
女「違いません! ……ここを出て、生きて行けた者等居ない……!」
魔王「……居る」
女「え……?」
魔王「居るんだ、女。詳細は言えない、し他言もしないで欲しい」
女「だ、だって……皆頃しに……!」
魔王「違う。皆生きている……勿論、贅沢な暮らしなどしていないだろう」
魔王「髪も結っては貰えない。綺麗な服だって着れない」
魔王「だがな?」
486: 2013/04/12(金) 10:30:27.38 ID:MY2NTeWoP
魔王「……そういう者達は、今から自分たちを、自分たちでどうにかしようと」
魔王「頑張っている……筈だ」
魔王(盗賊と姫が……旨くやって居るはずだ。そうであって欲しい)
魔王「生きたいと願い、楽しく過ごしたいと自分で考えている」
魔王「……願えば叶う」
女「……嘘です!何をどう願っても……何も、叶い等……!」
魔王「では、今から叶う様、努力すれば良い……確かに、お前一人では」
魔王「……否。誰も一人では成し遂げられん。色々と根が深く、問題も多い」
魔王「だが、私だけでは無い。皆で……知恵を出し、身を動かせば」
魔王「夢を、現実にしようと……引き寄せるべく、動けば」
女「……よしんば、生きていたとて」
女「私には……そんな強さは、ありません……!」
魔王「やらずに諦める方が楽か?道具の様に使い捨てられ、氏ぬ方が?」
魔王「……生きていたいと願うのは、確かに自分だろうに」
女「……」ポロポロ
魔王「すまん……きつい言い方だったか」
女「……いいえ。申し訳ありません……」グイッゴシゴシ
魔王「すぐに……どうこうしろとは言わん」
魔王「少しだけで良い。信じて……見てはくれんか」
女「……」
魔王「楽しい時間を過ごしていたいと思った……お前自身を」
リン……リリン……
魔王「……この音は?」
魔王「頑張っている……筈だ」
魔王(盗賊と姫が……旨くやって居るはずだ。そうであって欲しい)
魔王「生きたいと願い、楽しく過ごしたいと自分で考えている」
魔王「……願えば叶う」
女「……嘘です!何をどう願っても……何も、叶い等……!」
魔王「では、今から叶う様、努力すれば良い……確かに、お前一人では」
魔王「……否。誰も一人では成し遂げられん。色々と根が深く、問題も多い」
魔王「だが、私だけでは無い。皆で……知恵を出し、身を動かせば」
魔王「夢を、現実にしようと……引き寄せるべく、動けば」
女「……よしんば、生きていたとて」
女「私には……そんな強さは、ありません……!」
魔王「やらずに諦める方が楽か?道具の様に使い捨てられ、氏ぬ方が?」
魔王「……生きていたいと願うのは、確かに自分だろうに」
女「……」ポロポロ
魔王「すまん……きつい言い方だったか」
女「……いいえ。申し訳ありません……」グイッゴシゴシ
魔王「すぐに……どうこうしろとは言わん」
魔王「少しだけで良い。信じて……見てはくれんか」
女「……」
魔王「楽しい時間を過ごしていたいと思った……お前自身を」
リン……リリン……
魔王「……この音は?」
487: 2013/04/12(金) 10:33:58.74 ID:MY2NTeWoP
女「あ……時間、です」
魔王「そうか……」
女「あの……」
魔王「ん?」
女「……出過ぎた事を言いました。どうか、お許しを」
魔王「遠慮する事など何も無い……今日も楽しかった」
女「ありがとうございます……ケーキ、美味しかったです」
魔王「ああ……また来る」
女「……お待ちしております。では」スタスタ
カチャ
魔王(前進した、と……思って良い、のだろうかな)
魔王(……泣かせてしまった)
コンコン。カチャ
管理人「少年様!今日もありがとうございます!……如何でしたか?」
魔王「明日は、フルーツタルトを三つ用意しておいてくれ」
管理人「は!?は、はい!」
魔王「金だ……ではな」
魔王「そうか……」
女「あの……」
魔王「ん?」
女「……出過ぎた事を言いました。どうか、お許しを」
魔王「遠慮する事など何も無い……今日も楽しかった」
女「ありがとうございます……ケーキ、美味しかったです」
魔王「ああ……また来る」
女「……お待ちしております。では」スタスタ
カチャ
魔王(前進した、と……思って良い、のだろうかな)
魔王(……泣かせてしまった)
コンコン。カチャ
管理人「少年様!今日もありがとうございます!……如何でしたか?」
魔王「明日は、フルーツタルトを三つ用意しておいてくれ」
管理人「は!?は、はい!」
魔王「金だ……ではな」
488: 2013/04/12(金) 10:42:20.27 ID:MY2NTeWoP
魔王(娼館の裏手……ここで良いか……ん?)
魔王(あれは……!? ……あ、しま……ッ)
シュゥウン
魔導将軍「少年は来たか?」
管理人「はい、今し方帰られましたが……」
魔導将軍「そうか、やはり今の気配は……」
管理人「魔導将軍様?」
魔導将軍「いや……良い。誰を召した?」
管理人「以前と同じ、女です」
魔導将軍「そうか……では、その女を呼べ」
管理人「は、はい、直ちに!」
魔導将軍「後、酒だ……少女に相手をさせる」
魔導将軍「準備が出来ればすぐにだ……良いな」
管理人「勿論です! ……どうぞ」
……
………
…………
シュゥウン……スタッ
姫「きゃあッ ……しょ、少年!」
盗賊「うわああああ!?」
魔王「あ、ああ……すまん」
魔王(あれは……!? ……あ、しま……ッ)
シュゥウン
魔導将軍「少年は来たか?」
管理人「はい、今し方帰られましたが……」
魔導将軍「そうか、やはり今の気配は……」
管理人「魔導将軍様?」
魔導将軍「いや……良い。誰を召した?」
管理人「以前と同じ、女です」
魔導将軍「そうか……では、その女を呼べ」
管理人「は、はい、直ちに!」
魔導将軍「後、酒だ……少女に相手をさせる」
魔導将軍「準備が出来ればすぐにだ……良いな」
管理人「勿論です! ……どうぞ」
……
………
…………
シュゥウン……スタッ
姫「きゃあッ ……しょ、少年!」
盗賊「うわああああ!?」
魔王「あ、ああ……すまん」
489: 2013/04/12(金) 10:47:57.38 ID:MY2NTeWoP
魔王(魔導将軍……少女に会いに来たのか?)
魔王(……まあ、良い。まさか戻るわけにはいかん)
魔王(ばれて……いるだろうな。仕方ない……大会までは)
魔王(奴も目立った事はできんだろう)
姫「どこ行ってたのよ、もう……」
魔王「メモを残しておいただろう?」
盗賊「……て、転移……て、奴か……?」
姫「すぐに戻る、ってだけじゃわかんないでしょ! ……船長は?」
魔王「船に戻してきた……何時までもあそこに停泊させているよりは良いだろう」
盗賊「……腰抜かしてたんじゃネェの、船長」
魔王「大丈夫だろう……それより、どうだった?」
姫「ええ……結論は、大成功よ!」
魔王「ほう?」
盗賊「最初はみんな怯えてたけどな」
姫「盗賊にも出来る……て言うのは、大きかったみたい。こんな言い方……申し訳ないけど」
盗賊「気にしなくて良い……事実だし、実際、効果はでかいんだ」
魔王「では……」
姫「ええ。流石に……ちゃんと学んでいるだけあるわ。皆飲み込み早いもの」
盗賊「姫に実際にやってもらったんだ。で……やってみたら出来る奴も結構居た」
魔王「凄いな」
盗賊「流石にもうみんな寝たけどな……魔法使う事なんて殆どないしよ」
姫「疲れちゃったのね」
魔王(……まあ、良い。まさか戻るわけにはいかん)
魔王(ばれて……いるだろうな。仕方ない……大会までは)
魔王(奴も目立った事はできんだろう)
姫「どこ行ってたのよ、もう……」
魔王「メモを残しておいただろう?」
盗賊「……て、転移……て、奴か……?」
姫「すぐに戻る、ってだけじゃわかんないでしょ! ……船長は?」
魔王「船に戻してきた……何時までもあそこに停泊させているよりは良いだろう」
盗賊「……腰抜かしてたんじゃネェの、船長」
魔王「大丈夫だろう……それより、どうだった?」
姫「ええ……結論は、大成功よ!」
魔王「ほう?」
盗賊「最初はみんな怯えてたけどな」
姫「盗賊にも出来る……て言うのは、大きかったみたい。こんな言い方……申し訳ないけど」
盗賊「気にしなくて良い……事実だし、実際、効果はでかいんだ」
魔王「では……」
姫「ええ。流石に……ちゃんと学んでいるだけあるわ。皆飲み込み早いもの」
盗賊「姫に実際にやってもらったんだ。で……やってみたら出来る奴も結構居た」
魔王「凄いな」
盗賊「流石にもうみんな寝たけどな……魔法使う事なんて殆どないしよ」
姫「疲れちゃったのね」
495: 2013/04/12(金) 14:01:46.24 ID:MY2NTeWoP
魔王「そうか……ん、これか?」
姫「ええ……炎に、水、風……雷に……」
盗賊「間違えない様にだけしないとな」
魔王「まあ、大体の色で区別出来るだろう」
姫「ええ……でも、見て?これ、私ので……こっちは、島の人の」
魔王「……微かにだが、色が違うな」
盗賊「個人差、だろ?」
魔王「ああ、そうだろうな……しかし」
姫「何?」
魔王「いや。綺麗だなと思って」
盗賊「そうだな……見た目も綺麗で、しかも使って便利ってなりゃ」
盗賊「……生活資金も、充分まかなえるだろう」
魔王「流通するまでが大変だろうけどな」
姫「そこは船長が張り切ってたじゃないの」
盗賊「ああ……だけど」
魔王「全て……魔導将軍を倒してから、だ」
姫「……」
盗賊「……」
魔王「二人とも、そんな顔をするな」
姫「でも……私で、大丈夫かしら」
魔王「……無理だろう」
盗賊「少年……!」
姫「ええ……炎に、水、風……雷に……」
盗賊「間違えない様にだけしないとな」
魔王「まあ、大体の色で区別出来るだろう」
姫「ええ……でも、見て?これ、私ので……こっちは、島の人の」
魔王「……微かにだが、色が違うな」
盗賊「個人差、だろ?」
魔王「ああ、そうだろうな……しかし」
姫「何?」
魔王「いや。綺麗だなと思って」
盗賊「そうだな……見た目も綺麗で、しかも使って便利ってなりゃ」
盗賊「……生活資金も、充分まかなえるだろう」
魔王「流通するまでが大変だろうけどな」
姫「そこは船長が張り切ってたじゃないの」
盗賊「ああ……だけど」
魔王「全て……魔導将軍を倒してから、だ」
姫「……」
盗賊「……」
魔王「二人とも、そんな顔をするな」
姫「でも……私で、大丈夫かしら」
魔王「……無理だろう」
盗賊「少年……!」
496: 2013/04/12(金) 14:09:36.28 ID:MY2NTeWoP
魔王「殺せるか?」
姫「……え?」
魔王「魔導将軍を倒そうと思えば、頃す気で行かねば敵わないだろう」
魔王「それに……」
盗賊「……それに?」
魔王「実際……私はそのつもりだ」
姫「!」
盗賊「……ッ で、でも……大会のルールは……」
魔王「姫を頃すと、堂々と宣戦布告されたのに」
魔王「こちらは負かすだけで良いのか?」
魔王「……敵も取りたいのだろう」
盗賊「それは……そうだけど」
魔王「私としては……魔王以下、現状維持を望む立場としては」
魔王「生かしておく必要は無い……が」
魔王「流石に私も、その役目を姫に押しつける気は無い」
姫「……」
盗賊「だけど……」
魔王「大丈夫だ。だが……姫には予選にはちゃんと出て貰う」
姫「……ええ」
盗賊「頃す……のか」
魔王「怖じ気づいたか?」
盗賊「……ッ 違……ッ」
姫「……え?」
魔王「魔導将軍を倒そうと思えば、頃す気で行かねば敵わないだろう」
魔王「それに……」
盗賊「……それに?」
魔王「実際……私はそのつもりだ」
姫「!」
盗賊「……ッ で、でも……大会のルールは……」
魔王「姫を頃すと、堂々と宣戦布告されたのに」
魔王「こちらは負かすだけで良いのか?」
魔王「……敵も取りたいのだろう」
盗賊「それは……そうだけど」
魔王「私としては……魔王以下、現状維持を望む立場としては」
魔王「生かしておく必要は無い……が」
魔王「流石に私も、その役目を姫に押しつける気は無い」
姫「……」
盗賊「だけど……」
魔王「大丈夫だ。だが……姫には予選にはちゃんと出て貰う」
姫「……ええ」
盗賊「頃す……のか」
魔王「怖じ気づいたか?」
盗賊「……ッ 違……ッ」
497: 2013/04/12(金) 14:16:00.01 ID:MY2NTeWoP
魔王「まあ良い……任せておけ」
盗賊「……ああ。それが良いんだろう……否」
盗賊「それしか……無いんだろうな」
姫「ねえ、少年」
魔王「なんだ?」
姫「次の段階に進む、って言ってたでしょ?」
魔王「ああ、そうだな……まあ、発想の問題なんだが」
盗賊「発想?」
魔王「ああ、例えば……使うぞ?」コロン
姫「ええ……」
魔王「器に、水の魔石で……水を、注ぐ」ザァ……
盗賊「うん」
魔王「これもな、少しだけ解放すれば、石の中に力を残した侭にできるだろう?」
姫「ああ……繰り返し何度か使えるって事ね」
魔王「そうだ……これは姫のだな。結構残ってるな」
盗賊「そうか、威力を押さえた侭、力を注ぎ続けられれば……」
魔王「ああ。圧縮して容量を増やせる……ま、それは鍛錬次第だな」
魔王「で、だ……ここに、火の魔石をかざす……ほら」グツグツ……
盗賊「湯になった!」
魔王「……これも慣れねば一気に沸き立つか……蒸発するだろうが」
盗賊「……ああ。それが良いんだろう……否」
盗賊「それしか……無いんだろうな」
姫「ねえ、少年」
魔王「なんだ?」
姫「次の段階に進む、って言ってたでしょ?」
魔王「ああ、そうだな……まあ、発想の問題なんだが」
盗賊「発想?」
魔王「ああ、例えば……使うぞ?」コロン
姫「ええ……」
魔王「器に、水の魔石で……水を、注ぐ」ザァ……
盗賊「うん」
魔王「これもな、少しだけ解放すれば、石の中に力を残した侭にできるだろう?」
姫「ああ……繰り返し何度か使えるって事ね」
魔王「そうだ……これは姫のだな。結構残ってるな」
盗賊「そうか、威力を押さえた侭、力を注ぎ続けられれば……」
魔王「ああ。圧縮して容量を増やせる……ま、それは鍛錬次第だな」
魔王「で、だ……ここに、火の魔石をかざす……ほら」グツグツ……
盗賊「湯になった!」
魔王「……これも慣れねば一気に沸き立つか……蒸発するだろうが」
498: 2013/04/12(金) 14:21:30.26 ID:MY2NTeWoP
盗賊「成る程な……風の魔石で洗濯物も乾かせるかな?」
魔王「慣れる迄は切り刻むかもしれないがな……まあ、そういう風に」
魔王「工夫して使ってみて欲しい」
盗賊「おう!……あ、そういえば船長が言ってたぜ」
魔王「ん?」
盗賊「治癒魔法を使える奴の力を魔石にすれば……って」
姫「ああ、成る程……怪我も治せるわね」
魔王「そうだな……ふむ、この透明の石がそうか?」
姫「ああ、そうだわ。水の加護を持つ子だったのだけど」
姫「治癒の力を得意とする様ね」
魔王「……薄い水色にも見えるな」
盗賊「間違えない様にしないとな」
魔王「姫ならば、触れば解るんだろうがな……」
盗賊「見分け方とかも考えないとなぁ……」
魔王「そっちは任せた……姫は教えつつ」
魔王「コントロールする方法を身につけておいてくれ」
姫「ええ」
魔王「戦う術については……明日だな」
魔王「慣れる迄は切り刻むかもしれないがな……まあ、そういう風に」
魔王「工夫して使ってみて欲しい」
盗賊「おう!……あ、そういえば船長が言ってたぜ」
魔王「ん?」
盗賊「治癒魔法を使える奴の力を魔石にすれば……って」
姫「ああ、成る程……怪我も治せるわね」
魔王「そうだな……ふむ、この透明の石がそうか?」
姫「ああ、そうだわ。水の加護を持つ子だったのだけど」
姫「治癒の力を得意とする様ね」
魔王「……薄い水色にも見えるな」
盗賊「間違えない様にしないとな」
魔王「姫ならば、触れば解るんだろうがな……」
盗賊「見分け方とかも考えないとなぁ……」
魔王「そっちは任せた……姫は教えつつ」
魔王「コントロールする方法を身につけておいてくれ」
姫「ええ」
魔王「戦う術については……明日だな」
499: 2013/04/12(金) 14:27:49.38 ID:MY2NTeWoP
盗賊「剣なら多少は教えてやれる……んだがな」
魔王「ああ、それでも良いぞ?」
姫「え?」
魔王「盗賊に相手して貰って、避ける練習ぐらいはしておくと良い」
魔王「治癒魔法を使える者が居るのならば、安心だ」
姫「そうね……多少の痛みにも、慣れないと」
魔王「ついでに水の壁を張る練習にもなるな」
姫「水の……壁?」
魔王「ああ……こんな風に」ザァ……ッ
盗賊「うあ」
姫「……あっさりね」
魔王「魔法を跳ね返せれば、上出来だ」
盗賊「……お前、本当に何でもできるんだな」
魔王「まあ、魔王だからな……だが」
魔王「姫の様に、優れた加護とやらは私には無い様だぞ?」
姫「そ……そうなの?」
魔王「ああ。船の上で、お前の魔法の水でずぶ濡れになっただろう」
盗賊「そういえば……」
姫「水じゃ無いかもしれないじゃない……ああ、でも」
姫「……様々な加護を持っているものね」
魔王「どうなんだろうな……私の属性がなんなのか」
魔王「自分でもさっぱりわからんがな。魔法が色々と使えると言うだけで」
盗賊「……本当に規格外だ」
魔王「ああ、それでも良いぞ?」
姫「え?」
魔王「盗賊に相手して貰って、避ける練習ぐらいはしておくと良い」
魔王「治癒魔法を使える者が居るのならば、安心だ」
姫「そうね……多少の痛みにも、慣れないと」
魔王「ついでに水の壁を張る練習にもなるな」
姫「水の……壁?」
魔王「ああ……こんな風に」ザァ……ッ
盗賊「うあ」
姫「……あっさりね」
魔王「魔法を跳ね返せれば、上出来だ」
盗賊「……お前、本当に何でもできるんだな」
魔王「まあ、魔王だからな……だが」
魔王「姫の様に、優れた加護とやらは私には無い様だぞ?」
姫「そ……そうなの?」
魔王「ああ。船の上で、お前の魔法の水でずぶ濡れになっただろう」
盗賊「そういえば……」
姫「水じゃ無いかもしれないじゃない……ああ、でも」
姫「……様々な加護を持っているものね」
魔王「どうなんだろうな……私の属性がなんなのか」
魔王「自分でもさっぱりわからんがな。魔法が色々と使えると言うだけで」
盗賊「……本当に規格外だ」
500: 2013/04/12(金) 14:32:50.38 ID:MY2NTeWoP
魔王「さて、そろそろ休むと良い……私も、休ませて貰おう」
姫「明日も……どこかへ行くの?」
魔王「ああ。約束がある」
盗賊「約束……?」
魔王「ちょっとな……夜には戻る」
姫「気をつけてね」
魔王「大丈夫だ……ではな」スタスタ
盗賊「おいおい、どこ行くんだよ」
魔王「ここで三人は無理があるだろう。二人はゆっくり休め」
魔王「……私は何処でも眠れる」
パタン
盗賊「良いのか?」
姫「え?」
盗賊「……まあ、本当の夫婦じゃ無いんだろうが、さ」
姫「大丈夫よ……彼は、魔王だもの」
盗賊「まあ……そうだけど」
姫「私達は、私達の出来る事をしましょ」
盗賊「ああ……姫が、そういうなら良いけどさ」
姫「休むのも大事……布団、借りるわよ?」
盗賊「おう……あ、真ん中で寝るなよ、それしか無いんだから」
姫「うん……蹴らないでよ」
盗賊「そんな寝相悪くねぇよ!」
姫「明日も……どこかへ行くの?」
魔王「ああ。約束がある」
盗賊「約束……?」
魔王「ちょっとな……夜には戻る」
姫「気をつけてね」
魔王「大丈夫だ……ではな」スタスタ
盗賊「おいおい、どこ行くんだよ」
魔王「ここで三人は無理があるだろう。二人はゆっくり休め」
魔王「……私は何処でも眠れる」
パタン
盗賊「良いのか?」
姫「え?」
盗賊「……まあ、本当の夫婦じゃ無いんだろうが、さ」
姫「大丈夫よ……彼は、魔王だもの」
盗賊「まあ……そうだけど」
姫「私達は、私達の出来る事をしましょ」
盗賊「ああ……姫が、そういうなら良いけどさ」
姫「休むのも大事……布団、借りるわよ?」
盗賊「おう……あ、真ん中で寝るなよ、それしか無いんだから」
姫「うん……蹴らないでよ」
盗賊「そんな寝相悪くねぇよ!」
501: 2013/04/12(金) 14:36:08.89 ID:MY2NTeWoP
……
………
…………
魔王(星空か……綺麗だな)
魔王(城からは……否。あの最果ての地の空には……星など、煌めかん)
魔王「……」
魔王『側近。起きてるか』
側近『……ああ、今調べていた所だ』
魔王『書庫か?』
側近『ああ』
魔王『一人……だな?』
側近『こんなかび臭い場所、好んで利用するのはお前ぐらいのモンだ』
魔王『そうか……重畳』シュゥウン
側近『え?』
魔王「……ふむ。懐かしい匂いだ」シュゥン
側近「おわああああああああああああ!」
魔王「でかい声出すな。うるさい」
………
…………
魔王(星空か……綺麗だな)
魔王(城からは……否。あの最果ての地の空には……星など、煌めかん)
魔王「……」
魔王『側近。起きてるか』
側近『……ああ、今調べていた所だ』
魔王『書庫か?』
側近『ああ』
魔王『一人……だな?』
側近『こんなかび臭い場所、好んで利用するのはお前ぐらいのモンだ』
魔王『そうか……重畳』シュゥウン
側近『え?』
魔王「……ふむ。懐かしい匂いだ」シュゥン
側近「おわああああああああああああ!」
魔王「でかい声出すな。うるさい」
502: 2013/04/12(金) 14:40:07.90 ID:MY2NTeWoP
側近「お、おま、おま……!な、なななな、何やってんだ!!」
魔王「うるさいと言っているだろう」
側近「……もう、何も言わん。何も考えん!」
魔王「心労が溜まるとハゲるぞ」
側近「……頃すぞ、お前」
魔王「出来る物ならどうぞ……なんだ、気にしてたのか」ナデ
側近「額を撫でるなああああああああ!」
魔王「……なんだこれ、古い地図だな」
側近「人の話……聞こうよ……」
魔王「泣くな、男の泣き顔など可愛くない」
側近「……本当に、お前って奴は」
魔王「ふむ……始まりの街?」
側近「……もう、良い。何も言わん。何も考えん……」
魔王「それはさっきも聞いた………おい、この地図……」
側近「……」ハァ
側近「お前の『目』を通して見たあの街、な」
側近「多分……これだ」
魔王「うるさいと言っているだろう」
側近「……もう、何も言わん。何も考えん!」
魔王「心労が溜まるとハゲるぞ」
側近「……頃すぞ、お前」
魔王「出来る物ならどうぞ……なんだ、気にしてたのか」ナデ
側近「額を撫でるなああああああああ!」
魔王「……なんだこれ、古い地図だな」
側近「人の話……聞こうよ……」
魔王「泣くな、男の泣き顔など可愛くない」
側近「……本当に、お前って奴は」
魔王「ふむ……始まりの街?」
側近「……もう、良い。何も言わん。何も考えん……」
魔王「それはさっきも聞いた………おい、この地図……」
側近「……」ハァ
側近「お前の『目』を通して見たあの街、な」
側近「多分……これだ」
503: 2013/04/12(金) 14:46:52.45 ID:MY2NTeWoP
魔王「……港。これは……川だな」
側近「ああ、街まで通って無かったか?」
魔王「自分で歩いた訳では無いが……地形的にはそんな感じだったな」
側近「この……地図の小さな街が多分そうだ。城の印もある」
魔王「……ふむ」
側近「先々代の時の戦争で……あの地に魔物が放たれた様だ」
側近「えっと……ああ、これだ。ちょっと読みにくいがな」
魔王「どれ……狼将軍の部隊……か?」
側近「ああ。暫く手下共が住み着いたんだろうが……」
魔王「海に浮かぶ大きくは無い……島、か」
側近「食料の人も居なくなり、共食いしたんだろう」
魔王「共食い?」
側近「あの将軍の眷属の狼は、そういう種族だ」
魔王「……で、自ら滅びたか」
側近「そもそも、それほど強い魔物が住む土地じゃ無い」
魔王「ふむ……しかし、先住の魔物は……どうやって生き延びた?」
側近「元々が獣に近い種族しか居ない上に、自然の多い土地だ」
側近「まあ……推測に過ぎんが、闘争本能が強く無い分」
側近「……どうにか逃げ、隠れ……てた、んじゃないか?」
側近「未だに魔物が住んでいると言うなら、それぐらいしか思い浮かばんよ」
側近「ああ、街まで通って無かったか?」
魔王「自分で歩いた訳では無いが……地形的にはそんな感じだったな」
側近「この……地図の小さな街が多分そうだ。城の印もある」
魔王「……ふむ」
側近「先々代の時の戦争で……あの地に魔物が放たれた様だ」
側近「えっと……ああ、これだ。ちょっと読みにくいがな」
魔王「どれ……狼将軍の部隊……か?」
側近「ああ。暫く手下共が住み着いたんだろうが……」
魔王「海に浮かぶ大きくは無い……島、か」
側近「食料の人も居なくなり、共食いしたんだろう」
魔王「共食い?」
側近「あの将軍の眷属の狼は、そういう種族だ」
魔王「……で、自ら滅びたか」
側近「そもそも、それほど強い魔物が住む土地じゃ無い」
魔王「ふむ……しかし、先住の魔物は……どうやって生き延びた?」
側近「元々が獣に近い種族しか居ない上に、自然の多い土地だ」
側近「まあ……推測に過ぎんが、闘争本能が強く無い分」
側近「……どうにか逃げ、隠れ……てた、んじゃないか?」
側近「未だに魔物が住んでいると言うなら、それぐらいしか思い浮かばんよ」
504: 2013/04/12(金) 14:54:35.59 ID:MY2NTeWoP
側近「それに、あの狼共は必要以上に水を嫌うからな」
側近「……水辺に住む奴らは、案外安全だったのかもな」
魔王「水棲の魔物……ふむ」
側近「見たか?」
魔王「否……確認はしていない。だが……光の力が強いと言う現象は?」
側近「あっちこっち書物をひっくり返したが……まだ何もわからん」
側近「姫が言う様に……エルフの加護だとか言うモンが以外とでかいのかもな」
魔王「しかし……エルフと言うのは光の加護を持つのか?」
側近「それこそエルフのお姫さんに聞けよ」
魔王「……そうだな」
側近「まあ、強い魔物がいないってのは土地的なモンもでかいぜ」
魔王「ん?」
側近「現存した街としては……ここから、最も遠いからな」
魔王「……成る程な」
側近「この大陸に近づけば近づく程、魔の気が濃くなってくるからな」
魔王「そうか……ありがとう」
側近「魔導将軍の方はどうだ」
魔王「大会までは動かないとみて良いだろう」
魔王「あいつの悪趣味具合には反吐が出る……宣言通り」
魔王「……舞台の上で姫を嬲り頃すつもりなのだろう」
側近「あっさり言うね……」
魔王「私がそんな事させる筈無いだろう?」
側近「……水辺に住む奴らは、案外安全だったのかもな」
魔王「水棲の魔物……ふむ」
側近「見たか?」
魔王「否……確認はしていない。だが……光の力が強いと言う現象は?」
側近「あっちこっち書物をひっくり返したが……まだ何もわからん」
側近「姫が言う様に……エルフの加護だとか言うモンが以外とでかいのかもな」
魔王「しかし……エルフと言うのは光の加護を持つのか?」
側近「それこそエルフのお姫さんに聞けよ」
魔王「……そうだな」
側近「まあ、強い魔物がいないってのは土地的なモンもでかいぜ」
魔王「ん?」
側近「現存した街としては……ここから、最も遠いからな」
魔王「……成る程な」
側近「この大陸に近づけば近づく程、魔の気が濃くなってくるからな」
魔王「そうか……ありがとう」
側近「魔導将軍の方はどうだ」
魔王「大会までは動かないとみて良いだろう」
魔王「あいつの悪趣味具合には反吐が出る……宣言通り」
魔王「……舞台の上で姫を嬲り頃すつもりなのだろう」
側近「あっさり言うね……」
魔王「私がそんな事させる筈無いだろう?」
505: 2013/04/12(金) 14:59:29.73 ID:MY2NTeWoP
側近「まあ……お前がその気ならそうだろう、が」
側近「……本当に惚れたんじゃ無いのか?」
魔王「阿呆……人の子を孕むエルフの娘に惚れてどうするんだ」
側近「……ま、良いさ」
魔王「もう少しここで本を読んでいく」
側近「あ?ああ……別に構わんけど」
魔王「……どうした?」
側近「へ?」
魔王「いや……何時もなら怒鳴られそうなモンなのに」
側近「言っただろ。もう何も考えたくないの!」
魔王「信じてる位言えば良いのに……」
側近「何それ気持ち悪い」
魔王「……見張ってろよ」
側近「俺は寝ちゃいけないのかよ!」
魔王「私が見つかったら困るだろう」
側近「そりゃあもう、がっつり困る」
魔王「ん、任せた……朝には転移する」
側近「……あ、あれ?」
魔王「ほら、出てけ……しっかり寝ないと、抜けるぞ?」
側近「はげてねぇわ!抜けねぇわ!しかもアンタが今寝るなって!」
魔王「寝るなとは言ってない……ああ、もう時間がもったいない」
魔王「頼んだぞ?」ペラペラ
側近「本当……理不尽だよなぁ……」ハァ……スタスタ
パタン
側近「……本当に惚れたんじゃ無いのか?」
魔王「阿呆……人の子を孕むエルフの娘に惚れてどうするんだ」
側近「……ま、良いさ」
魔王「もう少しここで本を読んでいく」
側近「あ?ああ……別に構わんけど」
魔王「……どうした?」
側近「へ?」
魔王「いや……何時もなら怒鳴られそうなモンなのに」
側近「言っただろ。もう何も考えたくないの!」
魔王「信じてる位言えば良いのに……」
側近「何それ気持ち悪い」
魔王「……見張ってろよ」
側近「俺は寝ちゃいけないのかよ!」
魔王「私が見つかったら困るだろう」
側近「そりゃあもう、がっつり困る」
魔王「ん、任せた……朝には転移する」
側近「……あ、あれ?」
魔王「ほら、出てけ……しっかり寝ないと、抜けるぞ?」
側近「はげてねぇわ!抜けねぇわ!しかもアンタが今寝るなって!」
魔王「寝るなとは言ってない……ああ、もう時間がもったいない」
魔王「頼んだぞ?」ペラペラ
側近「本当……理不尽だよなぁ……」ハァ……スタスタ
パタン
531: 2013/04/13(土) 10:34:22.00 ID:ttjS92xMP
魔王(始まりの街、か……そんな名があったのだな。あの……街)
魔王(水辺に魔物……ではあの丘を迂回して、平地を行けば)
魔王(もう少し安全に移動できるのだろうか?)
魔王(……まあ、良い。それよりも……確か……ああ、あった)バサバサ
魔王「……げほッ」
魔王(埃が……私しか使わないからなぁ)
魔王(エルフの本に、勇者と魔王の物語……それから)
魔王(人と魔の……神話)
魔王(これぐらいで良いか……あとは)ドサッ
魔王「……光、と、闇……どこかで見た気がするんだがな」
魔王(魔導書……童話、歴史書……片っ端から放り出すか)ポイポイ
魔王「それから……ああ、あった」ペラ
魔王(水辺に魔物……ではあの丘を迂回して、平地を行けば)
魔王(もう少し安全に移動できるのだろうか?)
魔王(……まあ、良い。それよりも……確か……ああ、あった)バサバサ
魔王「……げほッ」
魔王(埃が……私しか使わないからなぁ)
魔王(エルフの本に、勇者と魔王の物語……それから)
魔王(人と魔の……神話)
魔王(これぐらいで良いか……あとは)ドサッ
魔王「……光、と、闇……どこかで見た気がするんだがな」
魔王(魔導書……童話、歴史書……片っ端から放り出すか)ポイポイ
魔王「それから……ああ、あった」ペラ
532: 2013/04/13(土) 10:48:23.93 ID:ttjS92xMP
魔王「ふむ ……」ペラ
魔王(以前、おもしろそうだと思って避けてあったんだが)
魔王(……人の書いた本、なんだろうが)
魔王(ちんぷんかんぷんだな……仕方ない。これは置いておこう)ポイ
魔王「これと、これと……良し」
魔王(朝まで……もう少しあるな)
魔王(もう一度……目を通しておくか)
……
………
…………
コンコン
側近「おい……居るのか?」カチャ……キョロキョロ
側近「……行ったか」
側近「結局……一睡もできんかった」ハァ
側近「……ん、なんだこれ……『商売の基本?』」ペラ
側近「魔王様の本……か?あいつ、こんなもん……」ペラペラ……
側近(ふむふむ)
……
………
…………
シュゥウン、スタ…
魔王(魔導の街の……外の、森か)
魔王(……丁度良いな。本も……うん、間違えて無いな)バサバサ
魔王(残りの分は盗賊の部屋に置いてきたし)
魔王(……二人とももう居なかったな。熱心な事だ)
魔王(以前、おもしろそうだと思って避けてあったんだが)
魔王(……人の書いた本、なんだろうが)
魔王(ちんぷんかんぷんだな……仕方ない。これは置いておこう)ポイ
魔王「これと、これと……良し」
魔王(朝まで……もう少しあるな)
魔王(もう一度……目を通しておくか)
……
………
…………
コンコン
側近「おい……居るのか?」カチャ……キョロキョロ
側近「……行ったか」
側近「結局……一睡もできんかった」ハァ
側近「……ん、なんだこれ……『商売の基本?』」ペラ
側近「魔王様の本……か?あいつ、こんなもん……」ペラペラ……
側近(ふむふむ)
……
………
…………
シュゥウン、スタ…
魔王(魔導の街の……外の、森か)
魔王(……丁度良いな。本も……うん、間違えて無いな)バサバサ
魔王(残りの分は盗賊の部屋に置いてきたし)
魔王(……二人とももう居なかったな。熱心な事だ)
534: 2013/04/13(土) 11:12:19.35 ID:ttjS92xMP
魔王「さて……管理人。いるか?」
管理人「おお!少年様!お待ちしておりましたぞ!」
魔王「女を頼む」
管理人「ええ、ええ!ケーキもご用意しております!」
魔王「そうか。まず一つ持ってきてくれ。二つは……後ほど」
管理人「はい。では二つは女に準備させます。どうぞ」カチャ
魔王「ああ」スタスタ
管理人「今日は……ちょっと趣向を凝らせましてな」
魔王「ほう?」
管理人「まあ……お楽しみに」ニヤニヤ
魔王(笑うと気持ち悪いなぁ)
管理人「では……いつも通り、こちらでお待ちください」
魔王「ああ……ありがとう」
管理人「では、失礼致します」
パタン……コンコン
魔王「はい?」
少女「失礼致します……お茶と、ケーキをお持ちしました」
魔王「ああ。ありがとう……それは、君の分だ」
少女「え?」
管理人「おお!少年様!お待ちしておりましたぞ!」
魔王「女を頼む」
管理人「ええ、ええ!ケーキもご用意しております!」
魔王「そうか。まず一つ持ってきてくれ。二つは……後ほど」
管理人「はい。では二つは女に準備させます。どうぞ」カチャ
魔王「ああ」スタスタ
管理人「今日は……ちょっと趣向を凝らせましてな」
魔王「ほう?」
管理人「まあ……お楽しみに」ニヤニヤ
魔王(笑うと気持ち悪いなぁ)
管理人「では……いつも通り、こちらでお待ちください」
魔王「ああ……ありがとう」
管理人「では、失礼致します」
パタン……コンコン
魔王「はい?」
少女「失礼致します……お茶と、ケーキをお持ちしました」
魔王「ああ。ありがとう……それは、君の分だ」
少女「え?」
535: 2013/04/13(土) 11:19:48.30 ID:ttjS92xMP
魔王「タルトが好きだと言っていただろう」
少女「……ありがとう、ございます」
魔王「ああ……座って食べなさい」
少女「はい……では、先にお茶の準備を」
魔王「うん……それからな」
少女「はい?」
魔王「これを」スッ
少女「……本?」
魔王「ああ……本も好きだと言っていたからな。読書をする時間があれば良いが」
少女「ええ、まあそれは……」
少女「御伽噺、ですか?勇者と魔王、エルフ……神話」
魔王「ああ。気に入ってくれれば良いんだが」
少女「……」
魔王(あ、微かに頬が綻んでる)
少女「……良いんですか?」
魔王「ああ、構わん。私はもう何度も読んだしな」
少女「……ありがとう、ございます」
魔王「ああ……座って食べなさい」
少女「はい……では、先にお茶の準備を」
魔王「うん……それからな」
少女「はい?」
魔王「これを」スッ
少女「……本?」
魔王「ああ……本も好きだと言っていたからな。読書をする時間があれば良いが」
少女「ええ、まあそれは……」
少女「御伽噺、ですか?勇者と魔王、エルフ……神話」
魔王「ああ。気に入ってくれれば良いんだが」
少女「……」
魔王(あ、微かに頬が綻んでる)
少女「……良いんですか?」
魔王「ああ、構わん。私はもう何度も読んだしな」
536: 2013/04/13(土) 11:29:50.07 ID:ttjS92xMP
少女「ありがとう……ございます」
魔王(あまり表情の変わらん娘だと思っていたが)
魔王(……嬉しそうだ。良かった)
少女「……少年様」
魔王「何だ?」
少女「昨日、魔導将軍がいらっしゃいました」
魔王「……そうか」
魔王(やはり、昨日転移の直前に見たと思ったのは間違いじゃ無かったんだな)
魔王「お前に会いに来たんだろう?」
少女「……女を召された様です」
魔王「あの娘……を?」
少女「私は……特例です。普段、誰が誰のお気に入りであろうと」
少女「関係ありません……金で、買われる玩具に過ぎません」
魔王「まあ……娼館だからな」
少女「魔導将軍は、それだけ……この街で力を持っています」
魔王「……みたいだな」
少女「魔導将軍が……女に興味を持ったのは……」
魔王「私がここ連日、あの娘を召している、からか」
少女「はい……そして」
少女「昨日は、随分と興奮された様子で帰って行かれました」
魔王「興奮?」
少女「……行為の後でしょうから。当然と言えば当然なんですが」
少女「昨日は、なんと言うか……」
魔王(あまり表情の変わらん娘だと思っていたが)
魔王(……嬉しそうだ。良かった)
少女「……少年様」
魔王「何だ?」
少女「昨日、魔導将軍がいらっしゃいました」
魔王「……そうか」
魔王(やはり、昨日転移の直前に見たと思ったのは間違いじゃ無かったんだな)
魔王「お前に会いに来たんだろう?」
少女「……女を召された様です」
魔王「あの娘……を?」
少女「私は……特例です。普段、誰が誰のお気に入りであろうと」
少女「関係ありません……金で、買われる玩具に過ぎません」
魔王「まあ……娼館だからな」
少女「魔導将軍は、それだけ……この街で力を持っています」
魔王「……みたいだな」
少女「魔導将軍が……女に興味を持ったのは……」
魔王「私がここ連日、あの娘を召している、からか」
少女「はい……そして」
少女「昨日は、随分と興奮された様子で帰って行かれました」
魔王「興奮?」
少女「……行為の後でしょうから。当然と言えば当然なんですが」
少女「昨日は、なんと言うか……」
537: 2013/04/13(土) 11:37:58.11 ID:ttjS92xMP
少女「怒りと、興奮と……」
魔王「……?」
少女「『明日の少年の顔が見物だ』と……笑ってらしたので」
魔王「……」
少女「……」
魔王「どうして、教えてくれる?」
少女「……わかりません。何となく、です」
魔王「そうか……ありがとう」
少女「いいえ……昨日……」
魔王「ん?」
少女「もう、来られないと思っていたと言いましたよね」
魔王「ああ……そういえば言ってたな」
少女「この街に……魔導将軍を恐れ、崇め……讃えない人間は居ません」
少女「だから……」
魔王「そうか……私は、ただの旅人だ。ここの人間ではないからな」
少女「それだけですか?」
魔王「……」
少女「……」
魔王「……?」
少女「『明日の少年の顔が見物だ』と……笑ってらしたので」
魔王「……」
少女「……」
魔王「どうして、教えてくれる?」
少女「……わかりません。何となく、です」
魔王「そうか……ありがとう」
少女「いいえ……昨日……」
魔王「ん?」
少女「もう、来られないと思っていたと言いましたよね」
魔王「ああ……そういえば言ってたな」
少女「この街に……魔導将軍を恐れ、崇め……讃えない人間は居ません」
少女「だから……」
魔王「そうか……私は、ただの旅人だ。ここの人間ではないからな」
少女「それだけですか?」
魔王「……」
少女「……」
538: 2013/04/13(土) 11:43:28.49 ID:ttjS92xMP
魔王「ああ……それだけだ」
少女「そうですか……奥様がご無事である事を祈ります」
魔王「……何か聞いたのか?」
少女「……」
魔王「少女?」
魔王「……否。言いたく無いなら……」
少女「あの方は、酔われるととても……口が良くお滑りになる」
少女「ご自分の正体も。貴方様も本名も……奥様をどうしたいのかも」
魔王「……」
少女「私を、どうしたいのかも。全て……」
魔王「君は……大会が終われば、どうなる?」
少女「初めてを捧げるのでしょう……そうして、いたぶり弄んだ後」
少女「頃してしまわれるおつもりの様ですよ」
魔王「!?」
少女「だから、安心して酒を飲み、そうして零してしまうのでしょう」
魔王「……もう一度、聞こう」
少女「はい」
魔王「君は魔導将軍の正体も、私や、ひ……妻の事も」
魔王「全て知っている上で、私にそれを教えてくれているのか」
少女「……はい」
魔王「何故だ?」
少女「そうですか……奥様がご無事である事を祈ります」
魔王「……何か聞いたのか?」
少女「……」
魔王「少女?」
魔王「……否。言いたく無いなら……」
少女「あの方は、酔われるととても……口が良くお滑りになる」
少女「ご自分の正体も。貴方様も本名も……奥様をどうしたいのかも」
魔王「……」
少女「私を、どうしたいのかも。全て……」
魔王「君は……大会が終われば、どうなる?」
少女「初めてを捧げるのでしょう……そうして、いたぶり弄んだ後」
少女「頃してしまわれるおつもりの様ですよ」
魔王「!?」
少女「だから、安心して酒を飲み、そうして零してしまうのでしょう」
魔王「……もう一度、聞こう」
少女「はい」
魔王「君は魔導将軍の正体も、私や、ひ……妻の事も」
魔王「全て知っている上で、私にそれを教えてくれているのか」
少女「……はい」
魔王「何故だ?」
539: 2013/04/13(土) 11:50:26.28 ID:ttjS92xMP
少女「先ほど言いました。何となく……です」
魔王「……」
少女「希望の光を見いだすとすれば」
魔王「……?」
少女「今、貴方しか無いのでしょう……魔王様」
魔王「私が……希望の光? ……魔王が、光か」
少女「はい」
魔王「……」
少女「……」
コンコン
少女「では、私はこれで……もう、明日はきっと来られないでしょう」
少女「……もし、次に会う事があれば。本……返します」
魔王「それは別に……構わんぞ。元々お前にあげるつもりで……」
少女「返します。次まで、お借りします。ですから……」
魔王「……」
少女「……」
コンコン
少女「……では」
魔王「約束だ、少女……また、後で」
少女「はい……また後で」カチャ
女「失礼……致します」
少女「……手伝いましょうか」
女「いえ……一人でやれと……言われましたから」
魔王「……」
少女「希望の光を見いだすとすれば」
魔王「……?」
少女「今、貴方しか無いのでしょう……魔王様」
魔王「私が……希望の光? ……魔王が、光か」
少女「はい」
魔王「……」
少女「……」
コンコン
少女「では、私はこれで……もう、明日はきっと来られないでしょう」
少女「……もし、次に会う事があれば。本……返します」
魔王「それは別に……構わんぞ。元々お前にあげるつもりで……」
少女「返します。次まで、お借りします。ですから……」
魔王「……」
少女「……」
コンコン
少女「……では」
魔王「約束だ、少女……また、後で」
少女「はい……また後で」カチャ
女「失礼……致します」
少女「……手伝いましょうか」
女「いえ……一人でやれと……言われましたから」
540: 2013/04/13(土) 11:55:51.20 ID:ttjS92xMP
少女「……そうですか」
女「……」フラフラ
パタン
魔王「……?」
女「お待ち……しておりました……少年様」カチャ
魔王「どうした、顔色が……しかし」
魔王「今日はまた……随分と雰囲気が違う」
女「……」
魔王「……何故、そこに黙って立っている?」
魔王(ケーキの盆を持つ手が震えて……否、何故片手で持っているんだ?)
魔王(しかも……真っ黒のドレスに、ベール……顔色が悪く見えるのは)
魔王(影になっている所為か?しかし……あれではまるで喪に服す者の格好だ)
魔王「女……?」
女「こういうのが、お好みだと……魔導将軍様が、一通り」
女「……昨夜、与えて下さいました……」フラ
魔王「危ない……!」タタ……ガシッ
魔王「!?」
女「……」フラフラ
パタン
魔王「……?」
女「お待ち……しておりました……少年様」カチャ
魔王「どうした、顔色が……しかし」
魔王「今日はまた……随分と雰囲気が違う」
女「……」
魔王「……何故、そこに黙って立っている?」
魔王(ケーキの盆を持つ手が震えて……否、何故片手で持っているんだ?)
魔王(しかも……真っ黒のドレスに、ベール……顔色が悪く見えるのは)
魔王(影になっている所為か?しかし……あれではまるで喪に服す者の格好だ)
魔王「女……?」
女「こういうのが、お好みだと……魔導将軍様が、一通り」
女「……昨夜、与えて下さいました……」フラ
魔王「危ない……!」タタ……ガシッ
魔王「!?」
541: 2013/04/13(土) 12:11:05.07 ID:ttjS92xMP
魔王「お前、腕が……!!」
魔王(左腕が……無い……!?)
女「……治癒は、していただいてます……心配は」
女「いりません……」
魔王「……ッ とにかく、横になれ」ヒョイ
女「きゃ……ッ」
魔王「……傷を見せろ」ドサ……ゴソゴソ
女「……ッ」
魔王「あ、すまん……痛むか?」
女「……はい。少し」
魔王(確かに、傷口はふさがっているが……ぐちゃぐちゃだ)
魔王(力任せに引きちぎったな)
魔王(顔色が悪いのは痛みと……失血か。傷は治しても)
魔王(……失った血は簡単に戻らない)
女「……申し訳、ありません……断る事ができず……」
魔王「魔導将軍か……」
女「……いえ。それは……この、服……です」
魔王「ああ……そんな事か。気にする事は無い」
魔王(喪服……本気で姫を頃す気だと……言いたいのか……!!)
女「……ふぅ」
魔王「横になっていろ……食欲は?」
女「いえ……折角ですが……」
魔王「そうか」
女「申し訳ありません……私の、分まで……用意して、くださった、のに」
魔王(左腕が……無い……!?)
女「……治癒は、していただいてます……心配は」
女「いりません……」
魔王「……ッ とにかく、横になれ」ヒョイ
女「きゃ……ッ」
魔王「……傷を見せろ」ドサ……ゴソゴソ
女「……ッ」
魔王「あ、すまん……痛むか?」
女「……はい。少し」
魔王(確かに、傷口はふさがっているが……ぐちゃぐちゃだ)
魔王(力任せに引きちぎったな)
魔王(顔色が悪いのは痛みと……失血か。傷は治しても)
魔王(……失った血は簡単に戻らない)
女「……申し訳、ありません……断る事ができず……」
魔王「魔導将軍か……」
女「……いえ。それは……この、服……です」
魔王「ああ……そんな事か。気にする事は無い」
魔王(喪服……本気で姫を頃す気だと……言いたいのか……!!)
女「……ふぅ」
魔王「横になっていろ……食欲は?」
女「いえ……折角ですが……」
魔王「そうか」
女「申し訳ありません……私の、分まで……用意して、くださった、のに」
542: 2013/04/13(土) 12:16:24.27 ID:ttjS92xMP
魔王「……気にするな」
魔王(ろくな食事も与えられて居ないのだろう、このままでは……ん?)コロン
魔王(……あ!)
魔王「昨日、あのまま……持ってきたのか」
女「何です、それ……綺麗……」
魔王「もう一度傷を見せてくれ……触れるぞ」
女「……? は……い、 ……ッ」
魔王「少し、我慢しろ……」パァ……
女「ぅ…… ……ん……?」
魔王「痛みは……気分はどうだ?」
女「え……嘘みたい……痛くない……」
魔王「ふぅ……そうか……」パリン……ッ
魔王(割れた……使い尽くしたか)
女「あ……あの、それは……?」
魔王「ああ……後で説明する。顔色は……余り戻らないな」
魔王「気分が良いのなら、ケーキを食べろ……まあ、余り栄養にはならないが」
魔王「食べないよりマシだろう」
魔王(ろくな食事も与えられて居ないのだろう、このままでは……ん?)コロン
魔王(……あ!)
魔王「昨日、あのまま……持ってきたのか」
女「何です、それ……綺麗……」
魔王「もう一度傷を見せてくれ……触れるぞ」
女「……? は……い、 ……ッ」
魔王「少し、我慢しろ……」パァ……
女「ぅ…… ……ん……?」
魔王「痛みは……気分はどうだ?」
女「え……嘘みたい……痛くない……」
魔王「ふぅ……そうか……」パリン……ッ
魔王(割れた……使い尽くしたか)
女「あ……あの、それは……?」
魔王「ああ……後で説明する。顔色は……余り戻らないな」
魔王「気分が良いのなら、ケーキを食べろ……まあ、余り栄養にはならないが」
魔王「食べないよりマシだろう」
547: 2013/04/13(土) 13:17:06.29 ID:ttjS92xMP
女「はい……」
魔王「ああ、起きなくて良い……いや、食えんか」
魔王「そこに……もたれておけ。茶と一緒に準備しよう」
女「そ、そんな、あの……!」
魔王「構わん……甘えておけ」
女「申し訳ありません……」
魔王「……ほら、あーん」
女「え……」
魔王「ん?」
女「あ、あーん」
魔王「旨いか?」
女「はい……美味しい」
魔王「うん。私も頂こう」
女「少年様は……治癒魔法が使えるのですか」
魔王「ん?ああ……あれは私の魔法では無いぞ」
女「え? ……でも」
魔王「見ただろう?さっきの……あの石」
女「はい……薄い、水色の……あ、でも割れて……」
魔王「ああ、使い切ってしまったからな」
女「?」
魔王「ああ、起きなくて良い……いや、食えんか」
魔王「そこに……もたれておけ。茶と一緒に準備しよう」
女「そ、そんな、あの……!」
魔王「構わん……甘えておけ」
女「申し訳ありません……」
魔王「……ほら、あーん」
女「え……」
魔王「ん?」
女「あ、あーん」
魔王「旨いか?」
女「はい……美味しい」
魔王「うん。私も頂こう」
女「少年様は……治癒魔法が使えるのですか」
魔王「ん?ああ……あれは私の魔法では無いぞ」
女「え? ……でも」
魔王「見ただろう?さっきの……あの石」
女「はい……薄い、水色の……あ、でも割れて……」
魔王「ああ、使い切ってしまったからな」
女「?」
548: 2013/04/13(土) 13:33:39.02 ID:ttjS92xMP
魔王「あれは魔石と言ってな。まあ……魔力を結晶化したものだ」
女「え……そ、そんな事が……出来る人がいるの……ですか」
魔王「鍛錬次第で誰でもできるぞ?」
女「……まさか!」
魔王「本当だ。それに……さっきのあの、治癒の力の魔石はな」
魔王「……劣等種の一人が、作った者だ」
魔王(何か他に言い方無いもんかなぁ……しかし島の者とも今は言えんしな)
女「……それは、流石に……嘘、でしょう……?」
魔王「今更お前を騙してどうする……まあ、良い。信じられないのも仕方ない」
魔王「だが……石の姿はお前も見ただろう。そして、お前の痛みを取ったのも事実だ」
女「……はい。それは疑ってもおりませんが」
魔王「昨日、言ったであろう……生きている、と」
女「はい……詳細は話せない……でしたね」
魔王「ああ。彼らの安全を守ってやらねばならんのでな」
女「……ですが、劣等種は……」
魔王「優れた加護が無いと言うだけだろう?」
魔王「そんな者、私にも無い」
女「……え!?」
魔王「魔導将軍がどんな説明を管理人にしたのかは知らんが」
魔王「『凄まじい魔力をお持ちの様で』だとか……そんな事しか私は言われていない」
女「え……そ、そんな事が……出来る人がいるの……ですか」
魔王「鍛錬次第で誰でもできるぞ?」
女「……まさか!」
魔王「本当だ。それに……さっきのあの、治癒の力の魔石はな」
魔王「……劣等種の一人が、作った者だ」
魔王(何か他に言い方無いもんかなぁ……しかし島の者とも今は言えんしな)
女「……それは、流石に……嘘、でしょう……?」
魔王「今更お前を騙してどうする……まあ、良い。信じられないのも仕方ない」
魔王「だが……石の姿はお前も見ただろう。そして、お前の痛みを取ったのも事実だ」
女「……はい。それは疑ってもおりませんが」
魔王「昨日、言ったであろう……生きている、と」
女「はい……詳細は話せない……でしたね」
魔王「ああ。彼らの安全を守ってやらねばならんのでな」
女「……ですが、劣等種は……」
魔王「優れた加護が無いと言うだけだろう?」
魔王「そんな者、私にも無い」
女「……え!?」
魔王「魔導将軍がどんな説明を管理人にしたのかは知らんが」
魔王「『凄まじい魔力をお持ちの様で』だとか……そんな事しか私は言われていない」
549: 2013/04/13(土) 13:38:37.62 ID:ttjS92xMP
女「で、でも……!」
魔王「信じられんか?では……見せよう。炎よ!」ボゥ……ジュ!
女「腕が……!! や、やめてください……!!」
魔王「な?火傷しただろう?」
女「……ど、どうして……!?」
魔王「ん?」
女「どうして、そこまでするんです……!?」
魔王「こんな物で信じて貰えるなら易いもんだ」
女「……」
魔王「そんな呆れた様な顔をするな……大丈夫だから」
女「……」ポロポロ
魔王「な、なんで泣くんだ……悪かったよ。ちゃんと、後で治癒して貰うさ」
女「……」ポロポロ
魔王「……困ったな」
女「ち……違います」
魔王「ん……何がだ?」
女「……ん、ですね?」
魔王「うん?」
女「信じて……良いのです、ね?」
魔王「……勿論だ」
魔王「信じられんか?では……見せよう。炎よ!」ボゥ……ジュ!
女「腕が……!! や、やめてください……!!」
魔王「な?火傷しただろう?」
女「……ど、どうして……!?」
魔王「ん?」
女「どうして、そこまでするんです……!?」
魔王「こんな物で信じて貰えるなら易いもんだ」
女「……」
魔王「そんな呆れた様な顔をするな……大丈夫だから」
女「……」ポロポロ
魔王「な、なんで泣くんだ……悪かったよ。ちゃんと、後で治癒して貰うさ」
女「……」ポロポロ
魔王「……困ったな」
女「ち……違います」
魔王「ん……何がだ?」
女「……ん、ですね?」
魔王「うん?」
女「信じて……良いのです、ね?」
魔王「……勿論だ」
550: 2013/04/13(土) 13:45:12.25 ID:ttjS92xMP
女「……ッ 申し訳ありません。お見苦しい所を、お見せ……しました」ゴシゴシ
魔王「いや……構わん。落ち着いたか?」
女「はい……」
魔王「……言いにくいだろうが。昨日の話を聞かせてくれるか」
女「大丈夫です……昨日、少年様と入れ替わりに魔導将軍がいらっしゃいました」
魔王「ああ……」
女「そして……普段、少年様と何をしているのか、と」
魔王「……」
……
………
…………
女「少年様と、ですか……それは」
魔導将軍「何もしていないらしいのは聞いている」
魔導将軍「話すだけで帰るのだろう……何の話をしているのか、と」
魔導将軍「聞いているんだ……話せ」
女「お客様の情報を漏らす訳には……きゃっ」バシッ
魔導将軍「私が話せと言っているんだ」グイ
女「い、痛い……ッ か、髪を……掴まな……ッ」
魔導将軍「ほう?私に逆らうか?」ブチブチッ
女「きゃあああああ!」
魔導将軍「痛いか? ……髪を抜かれた程度で大袈裟だな」
魔導将軍「もっと痛くされたくなければ……」
女「りょ……料理の、話とか、です……!」
魔導将軍「料理?」
魔王「いや……構わん。落ち着いたか?」
女「はい……」
魔王「……言いにくいだろうが。昨日の話を聞かせてくれるか」
女「大丈夫です……昨日、少年様と入れ替わりに魔導将軍がいらっしゃいました」
魔王「ああ……」
女「そして……普段、少年様と何をしているのか、と」
魔王「……」
……
………
…………
女「少年様と、ですか……それは」
魔導将軍「何もしていないらしいのは聞いている」
魔導将軍「話すだけで帰るのだろう……何の話をしているのか、と」
魔導将軍「聞いているんだ……話せ」
女「お客様の情報を漏らす訳には……きゃっ」バシッ
魔導将軍「私が話せと言っているんだ」グイ
女「い、痛い……ッ か、髪を……掴まな……ッ」
魔導将軍「ほう?私に逆らうか?」ブチブチッ
女「きゃあああああ!」
魔導将軍「痛いか? ……髪を抜かれた程度で大袈裟だな」
魔導将軍「もっと痛くされたくなければ……」
女「りょ……料理の、話とか、です……!」
魔導将軍「料理?」
553: 2013/04/13(土) 13:53:32.97 ID:ttjS92xMP
女「は、はい……私は、知識が無いので、大半は理解出来ません、が……」
魔導将軍「嘘を吐け!」バシン!バシ
女「い、ヤ……ッ ほ、ほんと……です!」
女「ふ、フランボワーズが、お好き……だ、とか……」
魔導将軍「……」バシッ
女「い、イヤ……あ、ゥ……え……ッ」
魔導将軍「フン……まだ言わんか……言えん程の事か?」
女「ほ、ほん……と …うぇ、ええ……ッ 本当、に……!」ゲホゲホッ
魔導将軍「……腰抜けめ。まあ良い」
魔導将軍「女、酒をつげ」
女「は、はい……ただ、いま……」
魔導将軍「……」グイッゴクゴク
魔導将軍「おい、女」
女「は……い……」
魔導将軍「嘘を吐くと……どうなるか解るだろう?」
女「……はい。私、は……嘘など、つきません」
女「魔導将軍につく嘘など……ありません」
魔導将軍「そうだな。私に逆らえる者等居ない」
女「はい……」
魔導将軍「……あの男は本当にどうしようも無い……阿呆だ」
魔導将軍「腰抜けだ……!女連れで旅行とは……腐った野郎だ!」
魔導将軍「嘘を吐け!」バシン!バシ
女「い、ヤ……ッ ほ、ほんと……です!」
女「ふ、フランボワーズが、お好き……だ、とか……」
魔導将軍「……」バシッ
女「い、イヤ……あ、ゥ……え……ッ」
魔導将軍「フン……まだ言わんか……言えん程の事か?」
女「ほ、ほん……と …うぇ、ええ……ッ 本当、に……!」ゲホゲホッ
魔導将軍「……腰抜けめ。まあ良い」
魔導将軍「女、酒をつげ」
女「は、はい……ただ、いま……」
魔導将軍「……」グイッゴクゴク
魔導将軍「おい、女」
女「は……い……」
魔導将軍「嘘を吐くと……どうなるか解るだろう?」
女「……はい。私、は……嘘など、つきません」
女「魔導将軍につく嘘など……ありません」
魔導将軍「そうだな。私に逆らえる者等居ない」
女「はい……」
魔導将軍「……あの男は本当にどうしようも無い……阿呆だ」
魔導将軍「腰抜けだ……!女連れで旅行とは……腐った野郎だ!」
554: 2013/04/13(土) 14:01:28.41 ID:ttjS92xMP
女「……わ、私……私、達は……」
魔導将軍「うん?」
女「劣等種です……貴方様、魔導将軍様方に、逆らって……生きて、など」
魔導将軍「そうだな。良いだろう。信じてやる……が」ギュ
女「あり……がとうござ……?」
魔導将軍「細い腕だな……こうすると、取れてしまいそうだ……!」グイ……ブチブチ!
女「ぎ、い ……ァ、 ……ああああああああああああああああ!!」
女「あ、ァアア、あ……! あ……あ ァ アアアア……!」ゴロゴロ……
魔導将軍「フン……ここで生きるのに、腕一本無くても支障はあるまい?」ポイ
魔導将軍「さあ、話せ……少年は何を喋った。お前に何を聞いた」
女「イッィ、 あ、あ……ァあ……ッ」
魔導将軍「言えと言ってるんだ!」ガスッ ……グリグリ!
女「あ、あ……ッ い、あ、足……ふま、な……ッ」
魔導将軍「言え!」
女「……お、美味しい…… ケーキ、の作り方、を……!」
魔導将軍「……本当にそれだけなのか?」
女「……う、うそ、等……! あ、ぁ……」
魔導将軍「……本当の愚か者だったか」スタスタ……チリン、チリン
コンコン。カチャ
管理人「魔導将軍様、お呼び…… ……で、しょ、うか……」
魔導将軍「フン、蒼い顔をして……見慣れているだろうに」
管理人「い、いやはや……私は、その……ええ、まあ」
魔導将軍「治癒出来る者を呼べ。今こいつを頃す訳にはいかん」
魔導将軍「うん?」
女「劣等種です……貴方様、魔導将軍様方に、逆らって……生きて、など」
魔導将軍「そうだな。良いだろう。信じてやる……が」ギュ
女「あり……がとうござ……?」
魔導将軍「細い腕だな……こうすると、取れてしまいそうだ……!」グイ……ブチブチ!
女「ぎ、い ……ァ、 ……ああああああああああああああああ!!」
女「あ、ァアア、あ……! あ……あ ァ アアアア……!」ゴロゴロ……
魔導将軍「フン……ここで生きるのに、腕一本無くても支障はあるまい?」ポイ
魔導将軍「さあ、話せ……少年は何を喋った。お前に何を聞いた」
女「イッィ、 あ、あ……ァあ……ッ」
魔導将軍「言えと言ってるんだ!」ガスッ ……グリグリ!
女「あ、あ……ッ い、あ、足……ふま、な……ッ」
魔導将軍「言え!」
女「……お、美味しい…… ケーキ、の作り方、を……!」
魔導将軍「……本当にそれだけなのか?」
女「……う、うそ、等……! あ、ぁ……」
魔導将軍「……本当の愚か者だったか」スタスタ……チリン、チリン
コンコン。カチャ
管理人「魔導将軍様、お呼び…… ……で、しょ、うか……」
魔導将軍「フン、蒼い顔をして……見慣れているだろうに」
管理人「い、いやはや……私は、その……ええ、まあ」
魔導将軍「治癒出来る者を呼べ。今こいつを頃す訳にはいかん」
555: 2013/04/13(土) 14:05:59.33 ID:ttjS92xMP
管理人「は、は……直ちに!」
魔導将軍「明日、少年に会わせてやらんとならんからな……それに」
魔導将軍「こうも汚れていては抱く気にもならん……別の部屋を用意しろ」
魔導将軍「酒の追加もだ……少女に持って来させろ」
管理人「は、は……!誰か!手当を!」
魔導将軍「それから、これを」バサッ
管理人「こ、このドレス……は?」
魔導将軍「何、この娘に今日の礼だ……明日、少年にこれを着せて会わせろ」
管理人「か……かしこまりました。すぐにご用意致しますのであちらへ……」
……
………
…………
女「……」
魔王「……」
女「……私はその後、治癒され……再度、魔導将軍の待つ部屋へ」
女「それから……その……強引に、何度も私を……」
魔王「もう良い……すまなかった」
女「い、いえ、そんな……!少年様の所為では……!」
魔王「……」
魔王(魔導将軍……あの、男……!)
魔王「……女」
女「はい……」
魔導将軍「明日、少年に会わせてやらんとならんからな……それに」
魔導将軍「こうも汚れていては抱く気にもならん……別の部屋を用意しろ」
魔導将軍「酒の追加もだ……少女に持って来させろ」
管理人「は、は……!誰か!手当を!」
魔導将軍「それから、これを」バサッ
管理人「こ、このドレス……は?」
魔導将軍「何、この娘に今日の礼だ……明日、少年にこれを着せて会わせろ」
管理人「か……かしこまりました。すぐにご用意致しますのであちらへ……」
……
………
…………
女「……」
魔王「……」
女「……私はその後、治癒され……再度、魔導将軍の待つ部屋へ」
女「それから……その……強引に、何度も私を……」
魔王「もう良い……すまなかった」
女「い、いえ、そんな……!少年様の所為では……!」
魔王「……」
魔王(魔導将軍……あの、男……!)
魔王「……女」
女「はい……」
556: 2013/04/13(土) 14:14:51.05 ID:ttjS92xMP
魔王「顔を見せてみろ……ああ、酷い痣だな」
女「……大丈夫、です。さっきの石のおかげで痛みは……」
魔王「……すまなかった。この通りだ」ペコ
女「あ、頭を上げてください!貴方の所為じゃ……!」
魔王「いや……私の所為だ。私が……!」
魔王「……」
魔王「女……今は、まだ詳しくは話せない」
女「……?」
魔王「だが、勇気を出して……私を信じてくれ」
女「少年様」
魔王「ん?」
女「先ほど、言いましたよ……信じます」
女「彼らが……生きている事も」
女「……貴方を。信じます……期待、して良いんですね?」
魔王「勿論だ」
女「……はい」
魔王「1度目は」
女「?」
魔王「期待しないで待っていると言ったな」
女「??」
魔王「昨日は、はっきり待っていると言ってくれた」
女「ああ……はい」
女「……大丈夫、です。さっきの石のおかげで痛みは……」
魔王「……すまなかった。この通りだ」ペコ
女「あ、頭を上げてください!貴方の所為じゃ……!」
魔王「いや……私の所為だ。私が……!」
魔王「……」
魔王「女……今は、まだ詳しくは話せない」
女「……?」
魔王「だが、勇気を出して……私を信じてくれ」
女「少年様」
魔王「ん?」
女「先ほど、言いましたよ……信じます」
女「彼らが……生きている事も」
女「……貴方を。信じます……期待、して良いんですね?」
魔王「勿論だ」
女「……はい」
魔王「1度目は」
女「?」
魔王「期待しないで待っていると言ったな」
女「??」
魔王「昨日は、はっきり待っていると言ってくれた」
女「ああ……はい」
557: 2013/04/13(土) 14:19:06.39 ID:ttjS92xMP
魔王「明日は……来れん。予選の前日だ」
女「……出られるのですね」
魔王「妻が、だがな……」
女「……」
魔王「だが、約束する。大会が終われば、お前を……お前達を解放する」
女「え……?」
魔王「この腐った制度をぶち壊してやる。劣等種等と、二度と呼ばせはしない」
女「で、でも……」
魔王「言うほど簡単で無いのは解っている。すぐには無理だろう」
魔王「だが……二度とこんな目には遭わせない。こんな生活はさせない」
魔王「自分で考え、自分で生きていく様に……辛い、かもしれん」
魔王「自由は、不自由かもしれん……だが」
魔王「不自由が自由だ等と、二度と口にしないで良い様に」
女「……」
魔王「約束する。絶対だ……私は裏切らない」
女「はい……信じます。期待しています」
女「……お待ち、しております」
魔王「うん」
女「……少年様」
魔王「ん?」
女「……」
魔王「どうした?」
女「……いえ」
女「……出られるのですね」
魔王「妻が、だがな……」
女「……」
魔王「だが、約束する。大会が終われば、お前を……お前達を解放する」
女「え……?」
魔王「この腐った制度をぶち壊してやる。劣等種等と、二度と呼ばせはしない」
女「で、でも……」
魔王「言うほど簡単で無いのは解っている。すぐには無理だろう」
魔王「だが……二度とこんな目には遭わせない。こんな生活はさせない」
魔王「自分で考え、自分で生きていく様に……辛い、かもしれん」
魔王「自由は、不自由かもしれん……だが」
魔王「不自由が自由だ等と、二度と口にしないで良い様に」
女「……」
魔王「約束する。絶対だ……私は裏切らない」
女「はい……信じます。期待しています」
女「……お待ち、しております」
魔王「うん」
女「……少年様」
魔王「ん?」
女「……」
魔王「どうした?」
女「……いえ」
558: 2013/04/13(土) 14:23:07.52 ID:ttjS92xMP
魔王「何だ。ハッキリ言え」
女「一つ、お願いがある……の、ですが」
魔王「ああ、言ってみろ」
女「今度、で良いです」
魔王「?」
女「大会が終わって、ゆっくり、時間がある時に」
魔王「……ああ。解った。約束だ」ニコ
女「はい!」ニコ
魔王「……魔導将軍も、もう忙しいだろう。来ないだろうと思うが」
女「大丈夫です……来ても、何も言いません」
女「腕が無くなろうが、足が無くなろうが……」
女「大丈夫です。必ず、もう一度会えると信じています」
女「……願えば、叶うんですよね?」
魔王「ああ……必ず。私が叶えてやる」
リン……リリン……
魔王「時間だな……このまま、ここに居ろ」
女「で、でも……」
魔王「構わん。管理人の所へは私が行く」スタスタ
女「あ、お……お待ちを!」スタ……
魔王「何だ……あ、お前、動くな……と ……っ!」チュ
女「……いって、らっしゃいませ」
魔王「……ああ」
女「一つ、お願いがある……の、ですが」
魔王「ああ、言ってみろ」
女「今度、で良いです」
魔王「?」
女「大会が終わって、ゆっくり、時間がある時に」
魔王「……ああ。解った。約束だ」ニコ
女「はい!」ニコ
魔王「……魔導将軍も、もう忙しいだろう。来ないだろうと思うが」
女「大丈夫です……来ても、何も言いません」
女「腕が無くなろうが、足が無くなろうが……」
女「大丈夫です。必ず、もう一度会えると信じています」
女「……願えば、叶うんですよね?」
魔王「ああ……必ず。私が叶えてやる」
リン……リリン……
魔王「時間だな……このまま、ここに居ろ」
女「で、でも……」
魔王「構わん。管理人の所へは私が行く」スタスタ
女「あ、お……お待ちを!」スタ……
魔王「何だ……あ、お前、動くな……と ……っ!」チュ
女「……いって、らっしゃいませ」
魔王「……ああ」
559: 2013/04/13(土) 14:28:27.47 ID:ttjS92xMP
パタン
魔王(びっくりした……)
魔王(……人と言うのは、強いな)
魔王(裏切る訳にはいかん……管理人は……ああ、居た)スタスタ
魔王「おい」
管理人「は、はい……!?しょ、少年様!?」
管理人「ど……どう、されまし……た……?」
魔王「……あの部屋を貸し切るのに、どれほどの値がかかる」
管理人「は!?」
魔王「あの娘、随分と無茶をされた様だ。大会が終わる迄、あの部屋を使わせるのと」
魔王「娘に充分な食事を与えるのにどれぐらい掛かるんだ」
管理人「は……は、あの……それは、あのえっと……」
管理人「……こ、これぐらい、で」スッ
魔王「……良いだろう。ただし」ジロッ
管理人「ひッ」
魔王「部屋から放り出したり、食事を与えねば……それ相応の事をさせて貰うぞ」
管理人「は、はい、それは……もう……ッ」
魔王「では……ほら」ジャラ
管理人「ひ、ひぃ、ふぅ……み………」
魔王「……」
管理人「す、少し多い、ですが……」
魔王「きちんとすると約束するなら、取っておけ」
管理人「い、良いんですか」
魔王「約束するなら、だ」
管理人「そ、それはもう!い、いやぁ……!少年様は、お優しい事で……!」
魔王(びっくりした……)
魔王(……人と言うのは、強いな)
魔王(裏切る訳にはいかん……管理人は……ああ、居た)スタスタ
魔王「おい」
管理人「は、はい……!?しょ、少年様!?」
管理人「ど……どう、されまし……た……?」
魔王「……あの部屋を貸し切るのに、どれほどの値がかかる」
管理人「は!?」
魔王「あの娘、随分と無茶をされた様だ。大会が終わる迄、あの部屋を使わせるのと」
魔王「娘に充分な食事を与えるのにどれぐらい掛かるんだ」
管理人「は……は、あの……それは、あのえっと……」
管理人「……こ、これぐらい、で」スッ
魔王「……良いだろう。ただし」ジロッ
管理人「ひッ」
魔王「部屋から放り出したり、食事を与えねば……それ相応の事をさせて貰うぞ」
管理人「は、はい、それは……もう……ッ」
魔王「では……ほら」ジャラ
管理人「ひ、ひぃ、ふぅ……み………」
魔王「……」
管理人「す、少し多い、ですが……」
魔王「きちんとすると約束するなら、取っておけ」
管理人「い、良いんですか」
魔王「約束するなら、だ」
管理人「そ、それはもう!い、いやぁ……!少年様は、お優しい事で……!」
560: 2013/04/13(土) 14:33:02.52 ID:ttjS92xMP
管理人「ま、魔導将軍様は、その……少々、残虐な趣味をおもちでしてな」
管理人「あの方はあの方で、素晴らしい方なのですが、いや、流石!」
管理人「少年様は、さらに……」
魔王「あの男の話を私にするな!」
管理人「ひッ ……も、申し訳ありません!」ビクッ
魔王「……くれぐれも、頼んだぞ」
管理人「は、はい!これからも、どうぞ、ごひいきに……!!」
魔王「……」スタスタ
魔王(……乗ってやろう、魔導将軍。お前の策に)
魔王(決勝まで……姫を進ませてやる。そして……)
魔王(決戦の舞台で、思う存分……八つ裂きに……してみるが良い!)
魔王(……出来るものならば、な)
……
………
…………
シュゥン……スタ……
姫「おかえりなさい、少年」
盗賊「うあああああああああ!」
姫「……そろそろ慣れなさいよ。うるさいわね」
魔王「行くぞ」
姫「え……もう?」
魔王「あの墓へ寄っていく」
盗賊「……どうしたのさ、少年……随分……怖い顔して」
管理人「あの方はあの方で、素晴らしい方なのですが、いや、流石!」
管理人「少年様は、さらに……」
魔王「あの男の話を私にするな!」
管理人「ひッ ……も、申し訳ありません!」ビクッ
魔王「……くれぐれも、頼んだぞ」
管理人「は、はい!これからも、どうぞ、ごひいきに……!!」
魔王「……」スタスタ
魔王(……乗ってやろう、魔導将軍。お前の策に)
魔王(決勝まで……姫を進ませてやる。そして……)
魔王(決戦の舞台で、思う存分……八つ裂きに……してみるが良い!)
魔王(……出来るものならば、な)
……
………
…………
シュゥン……スタ……
姫「おかえりなさい、少年」
盗賊「うあああああああああ!」
姫「……そろそろ慣れなさいよ。うるさいわね」
魔王「行くぞ」
姫「え……もう?」
魔王「あの墓へ寄っていく」
盗賊「……どうしたのさ、少年……随分……怖い顔して」
561: 2013/04/13(土) 14:37:42.11 ID:ttjS92xMP
魔王「……すまん」
姫「何か……あったの?」
魔王「いや……大丈夫だ。すまん落ち着いたら……話す」
魔王「とにかく、準備をしよう」
盗賊「な、なあ……やっぱ、俺は留守番なのか?」
魔王「……ここに残すか、船に残すか……と思っていたが」
盗賊「……だ、よな」
魔王「魔導将軍が氏ぬところを見たいのか」
盗賊「……ッ」ビクッ
盗賊(少年……なんか、今日本当に……怖い)
姫「……少年、話したくないなら聞かないけど」
姫「盗賊を怖がらせないで。女の子なのよ?」
魔王「……すま……ん?女の子?」
盗賊「……そうだよ」
魔王「……まじで?」
盗賊「わ、悪かったな!まじだよ!こんなんでもな!」
魔王「そ、そうか……い、いや。すまん。男だからと……怖がらせて良い訳でも」
魔王「無いんだが……そ、そうか……」
姫「気付いて無かったの?」
魔王「え……あ、ああ……」
盗賊「……それでよく、自分の奥さんと二人っきりにしといたな」
姫「……振り、だから」
魔王「……すまなかった」
姫「何か……あったの?」
魔王「いや……大丈夫だ。すまん落ち着いたら……話す」
魔王「とにかく、準備をしよう」
盗賊「な、なあ……やっぱ、俺は留守番なのか?」
魔王「……ここに残すか、船に残すか……と思っていたが」
盗賊「……だ、よな」
魔王「魔導将軍が氏ぬところを見たいのか」
盗賊「……ッ」ビクッ
盗賊(少年……なんか、今日本当に……怖い)
姫「……少年、話したくないなら聞かないけど」
姫「盗賊を怖がらせないで。女の子なのよ?」
魔王「……すま……ん?女の子?」
盗賊「……そうだよ」
魔王「……まじで?」
盗賊「わ、悪かったな!まじだよ!こんなんでもな!」
魔王「そ、そうか……い、いや。すまん。男だからと……怖がらせて良い訳でも」
魔王「無いんだが……そ、そうか……」
姫「気付いて無かったの?」
魔王「え……あ、ああ……」
盗賊「……それでよく、自分の奥さんと二人っきりにしといたな」
姫「……振り、だから」
魔王「……すまなかった」
562: 2013/04/13(土) 14:46:06.24 ID:ttjS92xMP
魔王「しかし……そんなに行きたいのか?」
盗賊「そ……りゃあ」
姫「別に、良いじゃないの。連れて行ってやれば」
魔王「ふむ……しかし、その姿は見られているだろう?」
姫「ふふ……ちょっと、耳貸して、少年」ゴニョゴニョ
魔王「……姫、随分楽しそうだな」
姫「でも良い考えでしょ?」
盗賊「お、おい……なんだよ!」
魔王「行きたいんだろう?」
盗賊「……そうだって言ってんだろ」
盗賊「あいつは……知人の敵だ!俺が……敵わないなら、せめて」
盗賊「氏に様……見てやる……!」
魔王「良いだろう……だが、大人しくしていろよ?」
盗賊「も、勿論だ!」
姫「うふふ……決まりね」
盗賊「……?」
魔王「石の方はどうなった?」
姫「出来る人が増えてきたわ……やっぱり、飲み込みが早い」
姫「それに……盗賊に付き合って貰って鍛錬もしたし」
盗賊「姉ちゃん、すげぇよ。戦闘慣れなんてしてないはずなのに」
盗賊「俺のスピードに劣らないどころか……俺も追いつけねぇんだぜ」
魔王「エルフは身が軽いと言うからな」
盗賊「そ……りゃあ」
姫「別に、良いじゃないの。連れて行ってやれば」
魔王「ふむ……しかし、その姿は見られているだろう?」
姫「ふふ……ちょっと、耳貸して、少年」ゴニョゴニョ
魔王「……姫、随分楽しそうだな」
姫「でも良い考えでしょ?」
盗賊「お、おい……なんだよ!」
魔王「行きたいんだろう?」
盗賊「……そうだって言ってんだろ」
盗賊「あいつは……知人の敵だ!俺が……敵わないなら、せめて」
盗賊「氏に様……見てやる……!」
魔王「良いだろう……だが、大人しくしていろよ?」
盗賊「も、勿論だ!」
姫「うふふ……決まりね」
盗賊「……?」
魔王「石の方はどうなった?」
姫「出来る人が増えてきたわ……やっぱり、飲み込みが早い」
姫「それに……盗賊に付き合って貰って鍛錬もしたし」
盗賊「姉ちゃん、すげぇよ。戦闘慣れなんてしてないはずなのに」
盗賊「俺のスピードに劣らないどころか……俺も追いつけねぇんだぜ」
魔王「エルフは身が軽いと言うからな」
563: 2013/04/13(土) 14:52:46.28 ID:ttjS92xMP
魔王「問題は……実戦だと言う事と、スタミナか」
姫「これ……ちょっと貰ってきたの」コロン
魔王「ん?魔石か?」
姫「治癒魔法のね……こっそり持っとこうかと」
魔王「成る程な」
盗賊「作戦は先手必勝!素早さ行かして先制攻撃狙えば……行けるだろう」
魔王「ふむ……まあ、実際それしかないな。長引けば振りだ」
魔王「それに……多分、予選ではそれほど強い奴とはあたらんだろう」
盗賊「え……そりゃわかんねぇだろ?」
魔王「魔導将軍の望みは?」
姫「……決勝の舞台で、私を八つ裂きにする事」
魔王「そうだ……進ませるだろうさ、なんとしても決勝まで」
盗賊「……自分の欲望の為に、か」
魔王「ああ……喜んでその策に乗ってやろう」ニィ
姫「……魔王らしく見えるわね、そんな顔してると」
盗賊「確かに」
魔王「……私は確かに魔王なんだが?」
盗賊「良し、じゃあ……行くぞ!」
魔王「無視か!」
姫「ええ……少年、良い?」
魔王「ああ、掴まれ」
盗賊「え……あ、そうか、転移魔法」
魔王「しっかり掴まっておけよ」シュゥウン
……
………
…………
シュゥン……スタ
姫「……あら?」
盗賊「うわあああああああああああああッ」 ドタッ
魔王「寄ると行っただろう」
姫「これ……ちょっと貰ってきたの」コロン
魔王「ん?魔石か?」
姫「治癒魔法のね……こっそり持っとこうかと」
魔王「成る程な」
盗賊「作戦は先手必勝!素早さ行かして先制攻撃狙えば……行けるだろう」
魔王「ふむ……まあ、実際それしかないな。長引けば振りだ」
魔王「それに……多分、予選ではそれほど強い奴とはあたらんだろう」
盗賊「え……そりゃわかんねぇだろ?」
魔王「魔導将軍の望みは?」
姫「……決勝の舞台で、私を八つ裂きにする事」
魔王「そうだ……進ませるだろうさ、なんとしても決勝まで」
盗賊「……自分の欲望の為に、か」
魔王「ああ……喜んでその策に乗ってやろう」ニィ
姫「……魔王らしく見えるわね、そんな顔してると」
盗賊「確かに」
魔王「……私は確かに魔王なんだが?」
盗賊「良し、じゃあ……行くぞ!」
魔王「無視か!」
姫「ええ……少年、良い?」
魔王「ああ、掴まれ」
盗賊「え……あ、そうか、転移魔法」
魔王「しっかり掴まっておけよ」シュゥウン
……
………
…………
シュゥン……スタ
姫「……あら?」
盗賊「うわあああああああああああああッ」 ドタッ
魔王「寄ると行っただろう」
564: 2013/04/13(土) 15:03:31.80 ID:ttjS92xMP
盗賊「……知人の墓か……うあッ」ドタッ
姫「ちょっと、何やってるのよ……大丈夫?」
盗賊「あ、足が震えて立てねぇ……」
姫「情けないわね……」
魔王「やはり……息苦しいな」
姫「こんなに心地良いのにね」
魔王「……仕方ない」
盗賊「……知人、待ってろよ。絶対……敵、取るからな……!」
魔王「姫、エルフは……光の加護を受ける者がいるのか?」
姫「え……?いいえ。光の加護なんて聞いた事無いわ」
魔王「そうなのか?」
姫「そうよ……闇の加護を持つ者だって居ないのと同じ」
盗賊「……少年は、違うのか?」
姫「え?」
魔王「……どうだかな。魔王だから闇の加護とは安直な気もするが」
姫「可能性は無くはないわね……規格外だし」
魔王「……紫、闇の色の瞳、か……成る程」
姫「そんな他人事みたいに……」
魔王「まあ、良い……忘れてくれ」
魔王(光の加護は存在しない……?では……)
魔王(この土の下に眠る者は……光の加護を受けている訳では無いのか)
魔王(……では、何故……まあ、良い)
魔王(今は……やることがある)
盗賊「サンキュ……連れてきてくれて」
姫「ちょっと、何やってるのよ……大丈夫?」
盗賊「あ、足が震えて立てねぇ……」
姫「情けないわね……」
魔王「やはり……息苦しいな」
姫「こんなに心地良いのにね」
魔王「……仕方ない」
盗賊「……知人、待ってろよ。絶対……敵、取るからな……!」
魔王「姫、エルフは……光の加護を受ける者がいるのか?」
姫「え……?いいえ。光の加護なんて聞いた事無いわ」
魔王「そうなのか?」
姫「そうよ……闇の加護を持つ者だって居ないのと同じ」
盗賊「……少年は、違うのか?」
姫「え?」
魔王「……どうだかな。魔王だから闇の加護とは安直な気もするが」
姫「可能性は無くはないわね……規格外だし」
魔王「……紫、闇の色の瞳、か……成る程」
姫「そんな他人事みたいに……」
魔王「まあ、良い……忘れてくれ」
魔王(光の加護は存在しない……?では……)
魔王(この土の下に眠る者は……光の加護を受けている訳では無いのか)
魔王(……では、何故……まあ、良い)
魔王(今は……やることがある)
盗賊「サンキュ……連れてきてくれて」
565: 2013/04/13(土) 15:07:59.58 ID:ttjS92xMP
魔王「いや……私も確かめたい事があったんだ」
姫「ここから廃港が見える……船、いるわね」
魔王「ああ……行こう」
盗賊「……もう一回、か……酔いそう」
魔王「掴まったな? ……行くぞ」シュゥン
……
………
…………
シュウン…スタ
スタ……ドタ!
姫「船長、久しぶり」
盗賊「いたた……ッ」
魔王「待たせたな」
船長「おう……準備は整ったか?」
魔王「ああ……盗賊も連れて行く」
船長「こいつも?」
盗賊「……見てやる。しっかり、この目で……あいつの最期……ッ」
魔王「だ、そうだ」
船長「ふむ……」
姫「取りあえず、予選の間は船に居て頂戴よ?」
盗賊「解ってるよ」
魔王「では、私と姫は行く……」
船長「ああ……気をつけろよ?」
姫「大丈夫よ」
姫「ここから廃港が見える……船、いるわね」
魔王「ああ……行こう」
盗賊「……もう一回、か……酔いそう」
魔王「掴まったな? ……行くぞ」シュゥン
……
………
…………
シュウン…スタ
スタ……ドタ!
姫「船長、久しぶり」
盗賊「いたた……ッ」
魔王「待たせたな」
船長「おう……準備は整ったか?」
魔王「ああ……盗賊も連れて行く」
船長「こいつも?」
盗賊「……見てやる。しっかり、この目で……あいつの最期……ッ」
魔王「だ、そうだ」
船長「ふむ……」
姫「取りあえず、予選の間は船に居て頂戴よ?」
盗賊「解ってるよ」
魔王「では、私と姫は行く……」
船長「ああ……気をつけろよ?」
姫「大丈夫よ」
566: 2013/04/13(土) 15:11:25.31 ID:ttjS92xMP
ばーいーとー!
又明日、昼過ぎに!
明日朝早いんだよねぇ……orz
又明日、昼過ぎに!
明日朝早いんだよねぇ……orz
577: 2013/04/14(日) 07:31:29.29 ID:siYl2q+VP
姫「少年が……魔王が味方よ。安心して」
盗賊「言葉だけ聞くと色々おかしいよな……いってらっしゃい」
シュゥン……
船長「……ん、お前何持ってんだ?」
盗賊「ああ、これ?少年がどっかから持ってきたんだ」
船長「本? ……うわ、こりゃ……随分と古いな……っぷ、かび臭ぇ!」げほ
船長「しかし……ぼろぼろだが随分良い装飾だな……」ペラペラ
盗賊「これは神話だって言ってたな。後は童話に……魔導書」
船長「魔導書……は、パス。俺にはさっぱりだ……ほれ」
盗賊「ちょ、投げんなよ……でもさ、これ」
船長「ん?」
盗賊「俺らが読んでたのと全く違う内容だったんだぜ」
船長「お前も読んだのか?」
盗賊「姉ちゃんが読んでる間暇だったからな」
船長「ほう……で、違うってのはどういう事だ?」
盗賊「俺も詳しくはわかんねぇけど、人を魔に変えるとかさ」
船長「はぁ?んな事出来るのか?」
盗賊「さぁね……少年ならできんじゃねーの?なんせ魔王だし」
船長「ふぅん……」ペラ
船長「光と、闇……ねぇ」ペラ
船長「……」
盗賊「……」
盗賊(読書姿がすっげぇ似合わねぇ……)
盗賊「言葉だけ聞くと色々おかしいよな……いってらっしゃい」
シュゥン……
船長「……ん、お前何持ってんだ?」
盗賊「ああ、これ?少年がどっかから持ってきたんだ」
船長「本? ……うわ、こりゃ……随分と古いな……っぷ、かび臭ぇ!」げほ
船長「しかし……ぼろぼろだが随分良い装飾だな……」ペラペラ
盗賊「これは神話だって言ってたな。後は童話に……魔導書」
船長「魔導書……は、パス。俺にはさっぱりだ……ほれ」
盗賊「ちょ、投げんなよ……でもさ、これ」
船長「ん?」
盗賊「俺らが読んでたのと全く違う内容だったんだぜ」
船長「お前も読んだのか?」
盗賊「姉ちゃんが読んでる間暇だったからな」
船長「ほう……で、違うってのはどういう事だ?」
盗賊「俺も詳しくはわかんねぇけど、人を魔に変えるとかさ」
船長「はぁ?んな事出来るのか?」
盗賊「さぁね……少年ならできんじゃねーの?なんせ魔王だし」
船長「ふぅん……」ペラ
船長「光と、闇……ねぇ」ペラ
船長「……」
盗賊「……」
盗賊(読書姿がすっげぇ似合わねぇ……)
578: 2013/04/14(日) 08:03:58.05 ID:siYl2q+VP
……
………
…………
シュゥン……
姫「……ここは?」
魔王「最初、この街に来る前に飛んできた辺りだな」
姫「喧噪が……聞こえる」
魔王「夜が明ければ予選が始まるからな」
姫「一度宿に戻らないとね」
魔王「ああ……手配が済めば」
姫「……お腹すいた」
魔王「……手配が済んで、食事が済めば……ショッピング、だな」
姫「そうね……あの店に行くの?」
魔王「否……違う所に行こう」
姫「? ……あそこ、美味しかったのに」
魔王「情報収集も兼ねて……な。ここからは歩くぞ。ほら、掴まれ」
姫「大丈夫よ?」
魔王「私達は夫婦なのだろう?」
姫「……何か企んでるわね?」
魔王「そんな事は無い」ニッ
姫「嘘ばっかり……ま、良いわ。行きましょう」
………
…………
シュゥン……
姫「……ここは?」
魔王「最初、この街に来る前に飛んできた辺りだな」
姫「喧噪が……聞こえる」
魔王「夜が明ければ予選が始まるからな」
姫「一度宿に戻らないとね」
魔王「ああ……手配が済めば」
姫「……お腹すいた」
魔王「……手配が済んで、食事が済めば……ショッピング、だな」
姫「そうね……あの店に行くの?」
魔王「否……違う所に行こう」
姫「? ……あそこ、美味しかったのに」
魔王「情報収集も兼ねて……な。ここからは歩くぞ。ほら、掴まれ」
姫「大丈夫よ?」
魔王「私達は夫婦なのだろう?」
姫「……何か企んでるわね?」
魔王「そんな事は無い」ニッ
姫「嘘ばっかり……ま、良いわ。行きましょう」
579: 2013/04/14(日) 08:24:27.17 ID:siYl2q+VP
……
………
…………
カラン、コロン
イラッシャイマセ……
魔王「二人だ」
マスター「……どうぞ、こちらへ」
姫「……あ!」
魔導将軍「……これは、これは」
魔王「ああ……」
姫「……」チラ。ギュ
魔王「食事か」ギュウ
魔導将軍「ええ。ここは酒だけで無く飯も旨いのですよ」
魔導将軍「初めまして……細君、でよろしいのですかな」
姫「……」
魔王「ああ。私の妻だ」
魔導将軍「……明日の予選に、出られるとか?」
姫「……ええ、そうよ」
魔王「私達も食事にしよう、姫……好きな物を頼みなさい」スタスタ。ストン
姫「……」タタ、ストン
姫「ちょっと、少年!」コソコソ
魔王「しッ……普通にしていろ。大丈夫だ」コソコソ
姫「……解ってて連れてきたわね」コソ
魔王「何のことだか……私はワインを。彼女には……」
姫「木の実のジュース。それから……牛肉のワイン煮、ほうれん草とベーコンのキッシュ」
姫「シーザーサラダと、キノコのクリームパスタ、後……」
魔王「……取りあえずそれぐらいで」
姫「えぇ……」
魔王「足りなければ後で!」
………
…………
カラン、コロン
イラッシャイマセ……
魔王「二人だ」
マスター「……どうぞ、こちらへ」
姫「……あ!」
魔導将軍「……これは、これは」
魔王「ああ……」
姫「……」チラ。ギュ
魔王「食事か」ギュウ
魔導将軍「ええ。ここは酒だけで無く飯も旨いのですよ」
魔導将軍「初めまして……細君、でよろしいのですかな」
姫「……」
魔王「ああ。私の妻だ」
魔導将軍「……明日の予選に、出られるとか?」
姫「……ええ、そうよ」
魔王「私達も食事にしよう、姫……好きな物を頼みなさい」スタスタ。ストン
姫「……」タタ、ストン
姫「ちょっと、少年!」コソコソ
魔王「しッ……普通にしていろ。大丈夫だ」コソコソ
姫「……解ってて連れてきたわね」コソ
魔王「何のことだか……私はワインを。彼女には……」
姫「木の実のジュース。それから……牛肉のワイン煮、ほうれん草とベーコンのキッシュ」
姫「シーザーサラダと、キノコのクリームパスタ、後……」
魔王「……取りあえずそれぐらいで」
姫「えぇ……」
魔王「足りなければ後で!」
581: 2013/04/14(日) 08:28:25.87 ID:siYl2q+VP
魔導将軍「はっはっは!随分と食欲旺盛であられるな。その細身の何処へ入るやら」
姫「食べても太らない体質なのよ」
魔王(……ふむ。気配を手繰って来たは良いが)
魔王(さて……流石にぼろはださんだろうが……私は、情報集めておくか)
『あいつ、この間の……』
『紫の瞳の魔法剣士か……随分と美しい娘だ』
『妻だとか言ってたな……あの娘が大会に?』
『いくら治癒されると言っても……あの娘の叫びが聞けると思うと』
『ふふ……見物だな。だが……あれでは』
『予選は勝ち残れまい』
魔王(趣味の悪い奴ばかりだな……)
姫「少年?」
魔王「ああ、すまん。どうした?」
姫「乾杯しましょ……『私達』の勝利を願って!」
魔王「ああ、乾杯!」
姫「食べても太らない体質なのよ」
魔王(……ふむ。気配を手繰って来たは良いが)
魔王(さて……流石にぼろはださんだろうが……私は、情報集めておくか)
『あいつ、この間の……』
『紫の瞳の魔法剣士か……随分と美しい娘だ』
『妻だとか言ってたな……あの娘が大会に?』
『いくら治癒されると言っても……あの娘の叫びが聞けると思うと』
『ふふ……見物だな。だが……あれでは』
『予選は勝ち残れまい』
魔王(趣味の悪い奴ばかりだな……)
姫「少年?」
魔王「ああ、すまん。どうした?」
姫「乾杯しましょ……『私達』の勝利を願って!」
魔王「ああ、乾杯!」
582: 2013/04/14(日) 08:59:28.12 ID:siYl2q+VP
魔導将軍「……随分な自信ですな。まあ、そうで無くては大会を開いた意味も無い」
魔王「皆、我こそはと集うのだろう……何、私達も」
魔王「……旅の途中の暇つぶしだ」
魔導将軍「暇つぶし……だと?」
魔王「ああ。長い当ての無い旅だからな……偶には刺激も必要だ、なぁ?」
姫「このお肉美味しい!上品な味ね……スープも欲しいわ……すみませーん!」
魔王「……」
魔導将軍「フン……成る程な。これだけ暢気な夫婦では……ははッ!」
魔王「食欲があるのは良いことだろう……今は外で食すしか無いが」
魔王「何れ戻った時には、腕の振るい甲斐があると言うものだ」
魔導将軍「……連れ戻るつもりなのか」
魔王「妻を置いて何処へ行く夫も居るまい?」
魔導将軍「……」
魔王「……」ニコ
姫「暖まる……少年、美味しいわよ、このミネストローネ」
魔導将軍「……世継ぎを設ける気か?」
魔王「我が家は世襲制な物でな。男子では無くとも構わんが」
魔王「妻に似た娘ならば、さぞや可愛いだろう」
魔導将軍「こんな状況におかれ、暢気な事よ!だから貴様は……!!」
『先ほどから……何の話をしているんだ、魔導将軍は……』
『旧知の仲なのか?あの二人……しかし、以前は……』
『どうやら、使い古した玩具がお気に入りだと聞いたがな』
魔王「皆、我こそはと集うのだろう……何、私達も」
魔王「……旅の途中の暇つぶしだ」
魔導将軍「暇つぶし……だと?」
魔王「ああ。長い当ての無い旅だからな……偶には刺激も必要だ、なぁ?」
姫「このお肉美味しい!上品な味ね……スープも欲しいわ……すみませーん!」
魔王「……」
魔導将軍「フン……成る程な。これだけ暢気な夫婦では……ははッ!」
魔王「食欲があるのは良いことだろう……今は外で食すしか無いが」
魔王「何れ戻った時には、腕の振るい甲斐があると言うものだ」
魔導将軍「……連れ戻るつもりなのか」
魔王「妻を置いて何処へ行く夫も居るまい?」
魔導将軍「……」
魔王「……」ニコ
姫「暖まる……少年、美味しいわよ、このミネストローネ」
魔導将軍「……世継ぎを設ける気か?」
魔王「我が家は世襲制な物でな。男子では無くとも構わんが」
魔王「妻に似た娘ならば、さぞや可愛いだろう」
魔導将軍「こんな状況におかれ、暢気な事よ!だから貴様は……!!」
『先ほどから……何の話をしているんだ、魔導将軍は……』
『旧知の仲なのか?あの二人……しかし、以前は……』
『どうやら、使い古した玩具がお気に入りだと聞いたがな』
583: 2013/04/14(日) 09:12:54.92 ID:siYl2q+VP
魔王「何かな?」
魔導将軍「……」
『使い古し……ふふ、妻が若くつまらんのか』
『確かに美しい娘だが……まあ、男にはそういうときもある』
『ははは……ッ優れた加護を持とうが否、そこは関係無いさ……』
ははは……ッ
姫「ねえ、少年。デザート食べて良い?」
魔王「どうぞ? ……今度、時間がある時に私が作ってやろう」
姫「本当?約束よ?」
魔王「ああ」
魔導将軍「……私はそろそろ失礼する!」ガタン
姫「頑張って決勝まで行きたいわ……そうなれば宜しくね、魔導将軍」
魔導将軍「……期待していますぞ」スタスタ
魔王「……解ってやってるな」
姫「人の事言えるの貴方」
魔王「奴は激昂しやすい……これで、意地でも決勝で」
姫「そうね……私と、当たる様にするでしょうね。でも」
姫「……必要無かったんじゃ無いの?こんなの」
魔導将軍「……」
『使い古し……ふふ、妻が若くつまらんのか』
『確かに美しい娘だが……まあ、男にはそういうときもある』
『ははは……ッ優れた加護を持とうが否、そこは関係無いさ……』
ははは……ッ
姫「ねえ、少年。デザート食べて良い?」
魔王「どうぞ? ……今度、時間がある時に私が作ってやろう」
姫「本当?約束よ?」
魔王「ああ」
魔導将軍「……私はそろそろ失礼する!」ガタン
姫「頑張って決勝まで行きたいわ……そうなれば宜しくね、魔導将軍」
魔導将軍「……期待していますぞ」スタスタ
魔王「……解ってやってるな」
姫「人の事言えるの貴方」
魔王「奴は激昂しやすい……これで、意地でも決勝で」
姫「そうね……私と、当たる様にするでしょうね。でも」
姫「……必要無かったんじゃ無いの?こんなの」
584: 2013/04/14(日) 09:17:39.65 ID:siYl2q+VP
魔王「ん?」
姫「こんな事しなくても……」
魔王「まあ、な。だが……ここの飯が旨そうだったからな」
魔王「姫にも食わしてやりたかったんだ」
姫「そう……ありがとう」
魔王(一人で来たと後でばれたら怨まれそうだしな)
姫「じゃあ……次はショッピングね」
魔王「ああ……では行こうか」
『食事にショッピング……まあ、暢気な事で』
『仕方あるまい……明日になって蒼い顔をしているのも見物だ』
『違い無い……はは!』
『しかし……もしかしたら相当強いのかもしれんぞ?』
『あの娘がか?』
『魔導将軍にあれほどの口をきけるのだ……相当の阿呆か、大物か』
『良し!前者に賭けるぞ』
『あ、ズルイな……俺も前者だ……』
魔王(……本当に腐ってるなぁ。まあ、良い。それも……もう少しだ)
アリガトウゴザイマシタ……
姫「まずは……服、ね」
姫「こんな事しなくても……」
魔王「まあ、な。だが……ここの飯が旨そうだったからな」
魔王「姫にも食わしてやりたかったんだ」
姫「そう……ありがとう」
魔王(一人で来たと後でばれたら怨まれそうだしな)
姫「じゃあ……次はショッピングね」
魔王「ああ……では行こうか」
『食事にショッピング……まあ、暢気な事で』
『仕方あるまい……明日になって蒼い顔をしているのも見物だ』
『違い無い……はは!』
『しかし……もしかしたら相当強いのかもしれんぞ?』
『あの娘がか?』
『魔導将軍にあれほどの口をきけるのだ……相当の阿呆か、大物か』
『良し!前者に賭けるぞ』
『あ、ズルイな……俺も前者だ……』
魔王(……本当に腐ってるなぁ。まあ、良い。それも……もう少しだ)
アリガトウゴザイマシタ……
姫「まずは……服、ね」
585: 2013/04/14(日) 09:25:39.31 ID:siYl2q+VP
では、バイトいってきまーす!
590: 2013/04/14(日) 13:19:53.17 ID:siYl2q+VP
魔王「楽しそうだな、姫」スタスタ
姫「そうね……あ、あのドレス可愛い!」タタタッ
魔王「どれ……あの、ふりふりした奴か」
姫「似合いそうじゃない?」
魔王「……否定はしないが」
姫「何よ」
魔王「こんなもん着れるかー!ってキレてるあいつの顔が容易に想像出来る」
姫「可愛いのに……」
魔王「着飾りたい気持ちは分からんでもないがな」
魔王「もう少し、こう……難易度の低いのをだな」
姫「んん……じゃあ、あれは?」
魔王「外から見ても仕方ないだろう。店内に入れば良い」
イラッシャイマセー
姫「一杯あるわね……迷っちゃう」
魔王「欲しければ自分のも買うと良い」
姫「……聞こうと思って忘れてたんだけど」
魔王「ん?」
姫「貴方……お金は大丈夫なの?」
姫「そうね……あ、あのドレス可愛い!」タタタッ
魔王「どれ……あの、ふりふりした奴か」
姫「似合いそうじゃない?」
魔王「……否定はしないが」
姫「何よ」
魔王「こんなもん着れるかー!ってキレてるあいつの顔が容易に想像出来る」
姫「可愛いのに……」
魔王「着飾りたい気持ちは分からんでもないがな」
魔王「もう少し、こう……難易度の低いのをだな」
姫「んん……じゃあ、あれは?」
魔王「外から見ても仕方ないだろう。店内に入れば良い」
イラッシャイマセー
姫「一杯あるわね……迷っちゃう」
魔王「欲しければ自分のも買うと良い」
姫「……聞こうと思って忘れてたんだけど」
魔王「ん?」
姫「貴方……お金は大丈夫なの?」
591: 2013/04/14(日) 13:27:50.97 ID:siYl2q+VP
魔王「まあ……結構持ち出してきたからな」
魔王(側近はまた胃を痛めてるかもしれんが)
姫「そう……あれだけ食べておいてなんだけど」
魔王「全く今更だな」
姫「……ごめんなさい」
魔王「良いさ。無くなれば稼げば良い」
姫「……あ、このローブ綺麗……!」
魔王(聞いてるのか否か、気にしてるのか否か)フフ
魔王(こうしていると、何処にでも居る娘にしか見えんな……可愛いモンだ)
魔王(……可愛い、か)
姫「ねえ、少年!」
魔王「ん」
姫「これどう? ……彼女に」
魔王「ほう……良いんじゃないか?シンプルだし」
姫「でも黒って言うのもね……」
魔王「紅い髪に紅い瞳をしているんだ。別に良いだろう」
姫「うーん、もうちょっと可愛い方が……あ、同じ形のピンクがあるわ!」
魔王(盗賊……ご愁傷様)
姫「これにしましょう、少年!あと、靴と……リボンも居るわね」
魔王(姫だったら文句も言うまい……)
姫「ん。これで良いわ」
魔王(まあ、満足そうだから良いか)
魔王「……あのローブはいらんのか?」
姫「……ええ」
魔王「欲しければ……」
姫「いえ、良いの。全部終わってからにする」
魔王「……そうか」
魔王(側近はまた胃を痛めてるかもしれんが)
姫「そう……あれだけ食べておいてなんだけど」
魔王「全く今更だな」
姫「……ごめんなさい」
魔王「良いさ。無くなれば稼げば良い」
姫「……あ、このローブ綺麗……!」
魔王(聞いてるのか否か、気にしてるのか否か)フフ
魔王(こうしていると、何処にでも居る娘にしか見えんな……可愛いモンだ)
魔王(……可愛い、か)
姫「ねえ、少年!」
魔王「ん」
姫「これどう? ……彼女に」
魔王「ほう……良いんじゃないか?シンプルだし」
姫「でも黒って言うのもね……」
魔王「紅い髪に紅い瞳をしているんだ。別に良いだろう」
姫「うーん、もうちょっと可愛い方が……あ、同じ形のピンクがあるわ!」
魔王(盗賊……ご愁傷様)
姫「これにしましょう、少年!あと、靴と……リボンも居るわね」
魔王(姫だったら文句も言うまい……)
姫「ん。これで良いわ」
魔王(まあ、満足そうだから良いか)
魔王「……あのローブはいらんのか?」
姫「……ええ」
魔王「欲しければ……」
姫「いえ、良いの。全部終わってからにする」
魔王「……そうか」
592: 2013/04/14(日) 13:34:19.52 ID:siYl2q+VP
アリガトウゴザイマシター
姫「……服って高いのね」
魔王「そうか。こんな風に買い物したりするのは……」
姫「ええ、初めてよ……びっくりした」
魔王「この店……否、街は特別だろう」
魔王「これで成り立つと言うのも大した物だが」
姫「でも……手触りは良かったわね」
魔王「そうだな。まあ……確かに良い物だ」
姫「さて……どうしましょうか」
魔王「宿の手配も済ましてあるし、もう戻って眠ろう」
魔王「……気付いているだろう?」コソ
姫「ええ……見張られてる」コソ
魔王「予選が済むまで大人しくしているに限る」
姫「そうね……確か、二日休みがあるんだったかしら」
魔王「ああ。その間に迎えに行くか……船には離れておいて貰わないとな」
姫「……私、大丈夫かしら」
魔王「不安になってきたか?」
姫「少し……だけ」
魔王「大丈夫だ……信じろ」
姫「ん……」
姫「……服って高いのね」
魔王「そうか。こんな風に買い物したりするのは……」
姫「ええ、初めてよ……びっくりした」
魔王「この店……否、街は特別だろう」
魔王「これで成り立つと言うのも大した物だが」
姫「でも……手触りは良かったわね」
魔王「そうだな。まあ……確かに良い物だ」
姫「さて……どうしましょうか」
魔王「宿の手配も済ましてあるし、もう戻って眠ろう」
魔王「……気付いているだろう?」コソ
姫「ええ……見張られてる」コソ
魔王「予選が済むまで大人しくしているに限る」
姫「そうね……確か、二日休みがあるんだったかしら」
魔王「ああ。その間に迎えに行くか……船には離れておいて貰わないとな」
姫「……私、大丈夫かしら」
魔王「不安になってきたか?」
姫「少し……だけ」
魔王「大丈夫だ……信じろ」
姫「ん……」
593: 2013/04/14(日) 13:41:46.12 ID:siYl2q+VP
魔王「部屋へ戻って……休もう。明日は本当に早い」
姫「ええ……そうね。行きましょ」スタスタ……パタン
オカエリナサイマセー
『……真っ直ぐ宿に向かったな』
『しかし……魔導将軍もあの二人を見張れとは……どういうことだ?』
『詮索は身を滅ぼすぞ……充分すぎる大金、貰ってんだ』
『そうだな……後で一杯やろうぜ』
『おう……一時間ほど、見て……出てこなければ……』
魔王(……ご苦労な事で)
魔王「姫、明日は……おや」
姫「……」スゥスゥ
魔王「食って、騒いで寝て……子供みたいだな」クス
魔王(おやすみ、姫……さて)
魔王(私も……休む、かな。小細工は不要だろうが……)
魔王(力を温存して置くに越したことは無い。いよいよ……だ)
……
………
…………
翌日・予選会場
姫「……凄い人」
魔王「選手と関係者だけだと聞いていたがな」
姫「50人……ですっけ?」
魔王「どういうルールでやるんだかな」
姫「ええ……そうね。行きましょ」スタスタ……パタン
オカエリナサイマセー
『……真っ直ぐ宿に向かったな』
『しかし……魔導将軍もあの二人を見張れとは……どういうことだ?』
『詮索は身を滅ぼすぞ……充分すぎる大金、貰ってんだ』
『そうだな……後で一杯やろうぜ』
『おう……一時間ほど、見て……出てこなければ……』
魔王(……ご苦労な事で)
魔王「姫、明日は……おや」
姫「……」スゥスゥ
魔王「食って、騒いで寝て……子供みたいだな」クス
魔王(おやすみ、姫……さて)
魔王(私も……休む、かな。小細工は不要だろうが……)
魔王(力を温存して置くに越したことは無い。いよいよ……だ)
……
………
…………
翌日・予選会場
姫「……凄い人」
魔王「選手と関係者だけだと聞いていたがな」
姫「50人……ですっけ?」
魔王「どういうルールでやるんだかな」
594: 2013/04/14(日) 13:53:00.45 ID:siYl2q+VP
姫「一対一では……時間が掛かりすぎるわ」
『それでは、予選を開始したいと思います!』
『選手番号、1~25の方は会場の方へ!』
魔王「姫は?」
姫「……49」
魔王「うん?……結構早く受け付けたろうに」
姫「……そうよね……あ!少年……!」
魔王「……魔導将軍か」
『では、これより予選を開始します……!』
『ルールは簡単!終了時間まで会場内に残っていた方が予選通過です!』
魔王「ほう……」
姫「え?どういうこと?」
『なお、場外へ出された場合、棄権された場合は失格となります!』
魔王「簡単だ。その場に立ち続け、向かってくる奴は吹っ飛ばせば良い」
姫「どこが簡単よ!」
『それでは、予選を開始したいと思います!』
『選手番号、1~25の方は会場の方へ!』
魔王「姫は?」
姫「……49」
魔王「うん?……結構早く受け付けたろうに」
姫「……そうよね……あ!少年……!」
魔王「……魔導将軍か」
『では、これより予選を開始します……!』
『ルールは簡単!終了時間まで会場内に残っていた方が予選通過です!』
魔王「ほう……」
姫「え?どういうこと?」
『なお、場外へ出された場合、棄権された場合は失格となります!』
魔王「簡単だ。その場に立ち続け、向かってくる奴は吹っ飛ばせば良い」
姫「どこが簡単よ!」
595: 2013/04/14(日) 14:02:18.72 ID:siYl2q+VP
魔王「……サポートはする」
姫「ど……どうやって、よ」
魔王「お前は普通に戦っていれば良い……ほら、始まるぞ」
魔王(随分強そうな奴が揃っている……が)
魔王(魔導将軍……どう出る?)
『揃いましたね……では、始めます!』
ワアアアアアアッ
魔導将軍「……氷よ」
バキィィィンッ
姫「! ……そんな、一瞬で氷った!?」
魔王「……」
魔王(同じ加護の者が居たとして……さて)
魔王(どれほど残るかな)
炎使い「く……ッ いきなり、とはね……ッ」ホノオヨ!
風使い「切り裂け……ッ風よ!」
水使い「ゆるりと溶かせ……我が、水よ!」
氷使い「効かないわよ!」パリンッ
魔王(1.2.3……4人、か)
姫「嘘……四人がかりなのに……魔導将軍に効いてないじゃない……ッ」
魔王「そりゃそうだろう……随分、力は押さえている様だが」
魔王(さて……後半戦は何人残るかな)
姫「ど……どうやって、よ」
魔王「お前は普通に戦っていれば良い……ほら、始まるぞ」
魔王(随分強そうな奴が揃っている……が)
魔王(魔導将軍……どう出る?)
『揃いましたね……では、始めます!』
ワアアアアアアッ
魔導将軍「……氷よ」
バキィィィンッ
姫「! ……そんな、一瞬で氷った!?」
魔王「……」
魔王(同じ加護の者が居たとして……さて)
魔王(どれほど残るかな)
炎使い「く……ッ いきなり、とはね……ッ」ホノオヨ!
風使い「切り裂け……ッ風よ!」
水使い「ゆるりと溶かせ……我が、水よ!」
氷使い「効かないわよ!」パリンッ
魔王(1.2.3……4人、か)
姫「嘘……四人がかりなのに……魔導将軍に効いてないじゃない……ッ」
魔王「そりゃそうだろう……随分、力は押さえている様だが」
魔王(さて……後半戦は何人残るかな)
596: 2013/04/14(日) 14:09:57.75 ID:siYl2q+VP
『そこまで! ……救護班急いでください!』
『予選通過者は……』
『魔導将軍!風使い!氷使い!炎使い!水使い!』
『15分後、後半戦を行います!』
姫「む……無理、よ……!」
魔王「落ち着け、姫……魔導将軍はもう出てこない」
姫「でも……!」
魔王「……多分、真っ先にお前が狙われるだろう」
姫「……」
魔王「始まればすぐに、全力で水の壁を築け」
姫「……解った」
魔王「後は……まあ、任せておけ」
『出場者、26~52迄の方は会場の方へ!』
魔王「……良し。大丈夫だ、信じろ」
姫「いって……きます」スタスタ
魔王(さて……ん?)
魔導将軍「如何でしたかな」
魔王「……流石、と言う他無いが」
魔導将軍「姫には勝ち残って貰わねば困る」
魔王「お前の欲望の為にか」
『予選通過者は……』
『魔導将軍!風使い!氷使い!炎使い!水使い!』
『15分後、後半戦を行います!』
姫「む……無理、よ……!」
魔王「落ち着け、姫……魔導将軍はもう出てこない」
姫「でも……!」
魔王「……多分、真っ先にお前が狙われるだろう」
姫「……」
魔王「始まればすぐに、全力で水の壁を築け」
姫「……解った」
魔王「後は……まあ、任せておけ」
『出場者、26~52迄の方は会場の方へ!』
魔王「……良し。大丈夫だ、信じろ」
姫「いって……きます」スタスタ
魔王(さて……ん?)
魔導将軍「如何でしたかな」
魔王「……流石、と言う他無いが」
魔導将軍「姫には勝ち残って貰わねば困る」
魔王「お前の欲望の為にか」
597: 2013/04/14(日) 14:16:11.69 ID:siYl2q+VP
魔導将軍「……どうせ、力添えする気だろう」
魔王「お前が咎めるか」
魔導将軍「否?いくら……腰抜け腑抜けの貴様だとて」
魔導将軍「それを貴様の仕業と見抜ける者は居まい……私以外にはな」
魔王「見逃すと?」
魔導将軍「言っただろう……勝ち残って貰わねば困る、と」
魔導将軍「……どうせ、何の細工もして無いとは思っていまい?」
魔王「さてな」
魔導将軍「昨夜の挑発に態々乗ってやったんだ。感謝して貰いたい」
魔王「何のことやら」
魔導将軍「何十倍……否、何百倍の後悔で己の愚かさを嘆くが良い」
魔王「そっくり返してやるよ」
魔導将軍「……ッ 言わせておけば……ッ」
魔王「私を誰だと思っている……阿呆め」
魔導将軍「世襲制で王の座に納まっただけの貴様に、何が出来る!」
魔王「声を荒げるなよ……目立つぞ」
魔導将軍「……!」
魔王「……随分少ないな」
魔導将軍「当然だろう。私の力に臆さぬ者等、余程の阿呆だけだ」
魔導将軍「……お前達の様にな」
魔王「お前が咎めるか」
魔導将軍「否?いくら……腰抜け腑抜けの貴様だとて」
魔導将軍「それを貴様の仕業と見抜ける者は居まい……私以外にはな」
魔王「見逃すと?」
魔導将軍「言っただろう……勝ち残って貰わねば困る、と」
魔導将軍「……どうせ、何の細工もして無いとは思っていまい?」
魔王「さてな」
魔導将軍「昨夜の挑発に態々乗ってやったんだ。感謝して貰いたい」
魔王「何のことやら」
魔導将軍「何十倍……否、何百倍の後悔で己の愚かさを嘆くが良い」
魔王「そっくり返してやるよ」
魔導将軍「……ッ 言わせておけば……ッ」
魔王「私を誰だと思っている……阿呆め」
魔導将軍「世襲制で王の座に納まっただけの貴様に、何が出来る!」
魔王「声を荒げるなよ……目立つぞ」
魔導将軍「……!」
魔王「……随分少ないな」
魔導将軍「当然だろう。私の力に臆さぬ者等、余程の阿呆だけだ」
魔導将軍「……お前達の様にな」
598: 2013/04/14(日) 14:25:53.28 ID:siYl2q+VP
魔王「……蒼い瞳の者が多いな」
魔導将軍「偶然だ」
魔王(姫と同じ加護の者を集めたな……姫にダメージが行かない様に、か)
魔王(後はスタミナ勝負……だが)
魔王(優れた加護を持たねば、同じ加護同士 ……姫の敵じゃ無い)
魔導将軍「約半分……か。まあまあだな」
魔王「本戦に進むのは8人だろう?」
魔導将軍「大凡な……以下であれば問題無い」
魔王「……随分と大雑把な事で。 ……で、お前何時までここにいるつもりだ」
魔導将軍「お前が逃げださんならば必要無いがな……折角だ」
魔導将軍「出来レースに似たものとは言え、あの娘の肌に傷が付くのを」
魔導将軍「見ていくのも良いだろう」
魔王「……悪趣味な奴め」
魔導将軍「お前の力が及ばぬならば……私が変わりになってやらねばな?」
魔王(どうあっても姫を勝たす気……か)
魔王「お気遣いどうも……始まるな」
『では……開始!』
姫「……ええと、水の壁……!」
姫(手が……足が……震えて……!)
雷使い「お嬢ちゃん、あんよが震えてるわよ?」
雷使い「大人しく……!」
姫「……水よ、土よりも硬く壁となりて、守れ!」
ゴオオオオオォ!
雷使い「きゃ、あ………ッ」
水魔導師「うあ……ッ 押される……!?」
姫「行け……ッ 粛々と押し流せ!」
ザアアアアアアアアアアアアアア!
魔導将軍「偶然だ」
魔王(姫と同じ加護の者を集めたな……姫にダメージが行かない様に、か)
魔王(後はスタミナ勝負……だが)
魔王(優れた加護を持たねば、同じ加護同士 ……姫の敵じゃ無い)
魔導将軍「約半分……か。まあまあだな」
魔王「本戦に進むのは8人だろう?」
魔導将軍「大凡な……以下であれば問題無い」
魔王「……随分と大雑把な事で。 ……で、お前何時までここにいるつもりだ」
魔導将軍「お前が逃げださんならば必要無いがな……折角だ」
魔導将軍「出来レースに似たものとは言え、あの娘の肌に傷が付くのを」
魔導将軍「見ていくのも良いだろう」
魔王「……悪趣味な奴め」
魔導将軍「お前の力が及ばぬならば……私が変わりになってやらねばな?」
魔王(どうあっても姫を勝たす気……か)
魔王「お気遣いどうも……始まるな」
『では……開始!』
姫「……ええと、水の壁……!」
姫(手が……足が……震えて……!)
雷使い「お嬢ちゃん、あんよが震えてるわよ?」
雷使い「大人しく……!」
姫「……水よ、土よりも硬く壁となりて、守れ!」
ゴオオオオオォ!
雷使い「きゃ、あ………ッ」
水魔導師「うあ……ッ 押される……!?」
姫「行け……ッ 粛々と押し流せ!」
ザアアアアアアアアアアアアアア!
599: 2013/04/14(日) 14:31:39.68 ID:siYl2q+VP
魔王(ほーぉ……大した物だ)
魔王(これは……私は必要なさそう、だが)
魔王(……ま、ちょっと後押ししとくか。魔導将軍の目もあるし)
魔導将軍「……腐っても魔族か」
魔王「そりゃどうも」
雷使い「く……雷よ!勢いを……削げ……ッ」
水魔導師「ま、守れ……水よ、同族よ……飲み込め!」
『そ……そこまで!救護班、場外の選手の救出を……!』
魔導将軍「終わったな……まあ、本命が残ったか」
魔王「……予想通りか?」
魔導将軍「さあな……では、失礼する」
魔導将軍「……決勝で会おう、と伝えておいてくれ」
魔王「忘れなければな」
魔王(今のところ……一番厄介なのは、水魔導師……あいつか)
姫「少年!」タタタ
魔王「ああ、お疲れ……予選突破おめでとう」
魔王(これは……私は必要なさそう、だが)
魔王(……ま、ちょっと後押ししとくか。魔導将軍の目もあるし)
魔導将軍「……腐っても魔族か」
魔王「そりゃどうも」
雷使い「く……雷よ!勢いを……削げ……ッ」
水魔導師「ま、守れ……水よ、同族よ……飲み込め!」
『そ……そこまで!救護班、場外の選手の救出を……!』
魔導将軍「終わったな……まあ、本命が残ったか」
魔王「……予想通りか?」
魔導将軍「さあな……では、失礼する」
魔導将軍「……決勝で会おう、と伝えておいてくれ」
魔王「忘れなければな」
魔王(今のところ……一番厄介なのは、水魔導師……あいつか)
姫「少年!」タタタ
魔王「ああ、お疲れ……予選突破おめでとう」
600: 2013/04/14(日) 14:36:40.33 ID:siYl2q+VP
姫「ありがとう……ねえ?」
魔王「ん?」
姫「予選……二日に分けてやるって言ってなかった?」
魔王「……そういえば」
『えー、ここでルールの変更をお伝え致します!』
『決勝進出者8名が出揃いましたので、明日からトーナメント戦を行います!』
『対戦順は追ってお知らせしますので、出場者の方はその侭お待ちください!』
姫「えぇ……!?」
『回復が必要な方は救護ブースまでお越し下さい!』
魔王「……逃がさないと言いたいのか」
姫「逃げ出したりしないわよ」
魔王「まあ、良い……発表されれば、宿へ戻ろう」
姫「え……彼女、どうするの?」
魔王「どうにだってなるさ……要は逃げなければ良いだけの話だろう」
姫「ええ……そうだけど」
『それではただいまより、発表致します!』
魔王「ん?」
姫「予選……二日に分けてやるって言ってなかった?」
魔王「……そういえば」
『えー、ここでルールの変更をお伝え致します!』
『決勝進出者8名が出揃いましたので、明日からトーナメント戦を行います!』
『対戦順は追ってお知らせしますので、出場者の方はその侭お待ちください!』
姫「えぇ……!?」
『回復が必要な方は救護ブースまでお越し下さい!』
魔王「……逃がさないと言いたいのか」
姫「逃げ出したりしないわよ」
魔王「まあ、良い……発表されれば、宿へ戻ろう」
姫「え……彼女、どうするの?」
魔王「どうにだってなるさ……要は逃げなければ良いだけの話だろう」
姫「ええ……そうだけど」
『それではただいまより、発表致します!』
601: 2013/04/14(日) 14:39:28.30 ID:siYl2q+VP
第1試合
水魔導師 - 魔導将軍
第2試合
雷使い - 炎使い
第3試合
水使い - 姫
第4試合
氷使い - 風使い
姫「……これも、仕組んだのかしらね」
魔王「さてな……」
『明日、午前午後に別れ、2試合行います!』
『以後の予定は都度……』
魔王「では、戻ろうか、姫」
姫「え、ええ……だけど……」
魔王「大丈夫だ」
水魔導師 - 魔導将軍
第2試合
雷使い - 炎使い
第3試合
水使い - 姫
第4試合
氷使い - 風使い
姫「……これも、仕組んだのかしらね」
魔王「さてな……」
『明日、午前午後に別れ、2試合行います!』
『以後の予定は都度……』
魔王「では、戻ろうか、姫」
姫「え、ええ……だけど……」
魔王「大丈夫だ」
602: 2013/04/14(日) 14:46:21.65 ID:siYl2q+VP
……
………
…………
宿屋
姫「どうするのよ。相変わらず、見張り居たわよ?」
魔王「ここから転移して、また戻ってくれば良い」
姫「……あ、そうか。でも……部屋を覗かれたら?」
魔王「心配性だな……では、そこに枕を二つ並べてくれ」
姫「……こう?」
魔王「ああ……良し」パァ……ッ
姫「あ……わ、私と、少年……!?」
魔王「動かんがな」
姫「……寝てる様には見えるわね」
魔王「これで良いだろう……私達は、疲れてぐっすり、だ」
姫「……本当に何でも出来るのね」
魔王「願えば叶うのだろう?」
姫「だからって……程があるわよ」
魔王「ふむ……そうかな。姫、ドレスは持ったか?」
姫「あ、いけない……! うん……良いわよ」
魔王「では、行こうか」シュゥウン
………
…………
宿屋
姫「どうするのよ。相変わらず、見張り居たわよ?」
魔王「ここから転移して、また戻ってくれば良い」
姫「……あ、そうか。でも……部屋を覗かれたら?」
魔王「心配性だな……では、そこに枕を二つ並べてくれ」
姫「……こう?」
魔王「ああ……良し」パァ……ッ
姫「あ……わ、私と、少年……!?」
魔王「動かんがな」
姫「……寝てる様には見えるわね」
魔王「これで良いだろう……私達は、疲れてぐっすり、だ」
姫「……本当に何でも出来るのね」
魔王「願えば叶うのだろう?」
姫「だからって……程があるわよ」
魔王「ふむ……そうかな。姫、ドレスは持ったか?」
姫「あ、いけない……! うん……良いわよ」
魔王「では、行こうか」シュゥウン
603: 2013/04/14(日) 14:53:45.56 ID:siYl2q+VP
……
………
…………
シュゥン……スタ!
盗賊「おう……あれ、早くねぇか?」
船長「おわ!」
姫「流石に慣れたのね」
魔王「予選は無事に終わったぞ」
盗賊「え……もう?」
船長「いきなり魔導将軍と一騎打ち……じゃネェだろうな」
魔王「まだだ……明日から本戦開始だそうだ」
盗賊「……早まったのか?予定」
姫「どうあっても私を……私達を逃がさないつもりの様よ?」
魔王「ご丁寧に見張りまでつけてな」
盗賊「で、迎えに来てくれたのか……て」
盗賊「……何でそんなニヤニヤしてんだよ、姉ちゃん」
姫「ニコニコって言ってよ」
魔王「……私を責めるなよ」
盗賊「え?」
………
…………
シュゥン……スタ!
盗賊「おう……あれ、早くねぇか?」
船長「おわ!」
姫「流石に慣れたのね」
魔王「予選は無事に終わったぞ」
盗賊「え……もう?」
船長「いきなり魔導将軍と一騎打ち……じゃネェだろうな」
魔王「まだだ……明日から本戦開始だそうだ」
盗賊「……早まったのか?予定」
姫「どうあっても私を……私達を逃がさないつもりの様よ?」
魔王「ご丁寧に見張りまでつけてな」
盗賊「で、迎えに来てくれたのか……て」
盗賊「……何でそんなニヤニヤしてんだよ、姉ちゃん」
姫「ニコニコって言ってよ」
魔王「……私を責めるなよ」
盗賊「え?」
604: 2013/04/14(日) 14:57:01.97 ID:siYl2q+VP
姫「大人しくしてるって、約束したわよね?」
盗賊「え、え?」
姫「きっと貴方に似合うわよ!ちゃんと私が選んだんだから!」
盗賊「な、何の話だよ……」
姫「さ、こっち……船長、部屋借りるわよ?」ガシ
船長「お、おう……何が始まるんだ?」
盗賊「え、ちょ、姉ちゃん!? ちょ、離して……!!」ズルズル……
魔王「……見てれば解る」ハァ
魔王(姫……完全に楽しんでいるな)
パタン
船長「お嬢ちゃん、やけに楽しそうだったな」
魔王「買い物は楽しかったんだそうだ」
船長「……ああ、そういう事な」
魔王「良い玩具だな……あれでは」
船長「まあ良いじゃネェか。盗賊だって女なんだし、嫌々言ってても内心は……」
コンナフクキレルカー!
カワイイジャナイノ、ヨクニアッテルワヨ!
ショウネンー!ナンデトメナカッタンダヨー!
船長「……心底嫌がってるか」
魔王「やっぱり黒にしてれば良かったか」
船長「何選んだんだ……?」
魔王「……ピンクのドレス」
船長「……」ハァ
盗賊「え、え?」
姫「きっと貴方に似合うわよ!ちゃんと私が選んだんだから!」
盗賊「な、何の話だよ……」
姫「さ、こっち……船長、部屋借りるわよ?」ガシ
船長「お、おう……何が始まるんだ?」
盗賊「え、ちょ、姉ちゃん!? ちょ、離して……!!」ズルズル……
魔王「……見てれば解る」ハァ
魔王(姫……完全に楽しんでいるな)
パタン
船長「お嬢ちゃん、やけに楽しそうだったな」
魔王「買い物は楽しかったんだそうだ」
船長「……ああ、そういう事な」
魔王「良い玩具だな……あれでは」
船長「まあ良いじゃネェか。盗賊だって女なんだし、嫌々言ってても内心は……」
コンナフクキレルカー!
カワイイジャナイノ、ヨクニアッテルワヨ!
ショウネンー!ナンデトメナカッタンダヨー!
船長「……心底嫌がってるか」
魔王「やっぱり黒にしてれば良かったか」
船長「何選んだんだ……?」
魔王「……ピンクのドレス」
船長「……」ハァ
628: 2013/04/15(月) 09:49:03.12 ID:/4uiwsxlP
カチャ
姫「少年、見てよ! ……可愛いでしょ? ……と、ちょっと!」グイ
姫「盗賊!」グイグイ
盗賊「痛い痛い、引っ張るなって……! …わッ」タタ
魔王「ほーぉ……可愛いじゃ無いか」
船長「……馬子にも衣装」
盗賊「う、ううううう、うるせぇ!」
姫「褒めてるんじゃないの……良く似合ってるって」
姫「ね?少年」
魔王「うん。可愛いな」
盗賊「なッ あ、べ、別に、俺は……!」カァ
姫「わ・た・し!」
盗賊「へ?」
姫「俺、じゃないでしょ? ……大人しくしてるって約束。忘れた?」
盗賊「……絶対喋らねぇ」
船長「そっちの特訓もした方が良いんじゃねぇのか」クック
盗賊「うるせ……ッ」
姫「……」ジロ
盗賊「う……うるさ、い……わ、ね……ッ」
魔王(わお、真っ赤)
盗賊「ああああああああああああ、もおッ」ダダダダ
姫「あ、ちょっと、何処行くのよ!」タタタ
船長「あっはっはっは!一丁前に照れてやがる!」
魔王「……ちょっと可哀想な気がしなくもないが」
姫「少年、見てよ! ……可愛いでしょ? ……と、ちょっと!」グイ
姫「盗賊!」グイグイ
盗賊「痛い痛い、引っ張るなって……! …わッ」タタ
魔王「ほーぉ……可愛いじゃ無いか」
船長「……馬子にも衣装」
盗賊「う、ううううう、うるせぇ!」
姫「褒めてるんじゃないの……良く似合ってるって」
姫「ね?少年」
魔王「うん。可愛いな」
盗賊「なッ あ、べ、別に、俺は……!」カァ
姫「わ・た・し!」
盗賊「へ?」
姫「俺、じゃないでしょ? ……大人しくしてるって約束。忘れた?」
盗賊「……絶対喋らねぇ」
船長「そっちの特訓もした方が良いんじゃねぇのか」クック
盗賊「うるせ……ッ」
姫「……」ジロ
盗賊「う……うるさ、い……わ、ね……ッ」
魔王(わお、真っ赤)
盗賊「ああああああああああああ、もおッ」ダダダダ
姫「あ、ちょっと、何処行くのよ!」タタタ
船長「あっはっはっは!一丁前に照れてやがる!」
魔王「……ちょっと可哀想な気がしなくもないが」
629: 2013/04/15(月) 09:57:58.07 ID:/4uiwsxlP
船長「良いんだよ、連れて行くのに約束したんだろ?」
魔王「まあ、大人しくしてろよ、とはな」
船長「はぁ、腹が痛ェ……ああ、そうだ少年」
魔王「何だ?」
船長「この本なんだが」トントン
魔王「ん?ああ……盗賊が持ってきたんだな」
船長「随分年代物だな……どうしたんだ?」
魔王「城から持ってきた……私も読もうと思ってたんだがな」
船長「ほう……中々興味深いぞ、これ」
魔王「読んだのか?」
船長「ぱらぱらとだけだがな……まあ、お前達を待っている間」
船長「良い暇つぶしになるさ」
魔王「……しかし似合わんな」
船長「俺が本を読んでるのがか? ……ほっとけ」
魔王「光と闇の神話……か」ペラ
船長「神話と言うより、詩かね」
魔王「詩?」
船長「ああ……『始まりは終わりだった。古の神との忘れられた契約』」ペラ
魔王「『限りなく遠く、果てしなく近い最果ての地』……最果ての、地?」ペラ
船長「……な?面白いだろう」
魔王「……『神は光と闇を生み出し、大地を作り水を育み炎を抱き過ごした』」
魔王「ふむ……」
魔王「まあ、大人しくしてろよ、とはな」
船長「はぁ、腹が痛ェ……ああ、そうだ少年」
魔王「何だ?」
船長「この本なんだが」トントン
魔王「ん?ああ……盗賊が持ってきたんだな」
船長「随分年代物だな……どうしたんだ?」
魔王「城から持ってきた……私も読もうと思ってたんだがな」
船長「ほう……中々興味深いぞ、これ」
魔王「読んだのか?」
船長「ぱらぱらとだけだがな……まあ、お前達を待っている間」
船長「良い暇つぶしになるさ」
魔王「……しかし似合わんな」
船長「俺が本を読んでるのがか? ……ほっとけ」
魔王「光と闇の神話……か」ペラ
船長「神話と言うより、詩かね」
魔王「詩?」
船長「ああ……『始まりは終わりだった。古の神との忘れられた契約』」ペラ
魔王「『限りなく遠く、果てしなく近い最果ての地』……最果ての、地?」ペラ
船長「……な?面白いだろう」
魔王「……『神は光と闇を生み出し、大地を作り水を育み炎を抱き過ごした』」
魔王「ふむ……」
630: 2013/04/15(月) 10:11:35.97 ID:/4uiwsxlP
船長「まだ読んでないんだろう……終われば、読んでみれば良い」
魔王「そうだな……確かに、興味深い」
バタバタバタ
盗賊「ハァ、ハァ……」
魔王「……何やってるんだ」
姫「な、なんで逃げるのよ……」
盗賊「何で追っかけてくるんだよ!」
船長「……あんまり暴れ回るなよ、お前ら」
魔王「姫、この本……読んだか?」
姫「え……?ああ、それ……うん。読んだわよ」
魔王「どうだった?」
姫「どう、って……面白かったけど……そうね、えっと……」
姫「『途切れる事無く回り続ける、表裏一体の運命の輪』だったかしら」
魔王「表裏一体の運命の輪……」
姫「説明しがたいわね……読んでみるのが一番だと思うけど」
魔王「ふむ」
姫「前に言った……でしょう?」
姫「光と闇は、表裏一体……そんな感じの事が書いてあったわ」
船長「ストップ、そこまでだ……俺もまだ読んでないからな」
盗賊「……面白いのか、それ」
魔王「そうだな……確かに、興味深い」
バタバタバタ
盗賊「ハァ、ハァ……」
魔王「……何やってるんだ」
姫「な、なんで逃げるのよ……」
盗賊「何で追っかけてくるんだよ!」
船長「……あんまり暴れ回るなよ、お前ら」
魔王「姫、この本……読んだか?」
姫「え……?ああ、それ……うん。読んだわよ」
魔王「どうだった?」
姫「どう、って……面白かったけど……そうね、えっと……」
姫「『途切れる事無く回り続ける、表裏一体の運命の輪』だったかしら」
魔王「表裏一体の運命の輪……」
姫「説明しがたいわね……読んでみるのが一番だと思うけど」
魔王「ふむ」
姫「前に言った……でしょう?」
姫「光と闇は、表裏一体……そんな感じの事が書いてあったわ」
船長「ストップ、そこまでだ……俺もまだ読んでないからな」
盗賊「……面白いのか、それ」
631: 2013/04/15(月) 10:27:03.82 ID:/4uiwsxlP
姫「神様が人と魔を作った、って言うお話、ね」
船長「言うなって言ってんだろうが……」
姫「あ……ご、ごめんなさい」
盗賊「どうせ俺には……私には理解できね……ないわよ」
魔王「頑張ってるじゃないか」ニヤニヤ
盗賊「……こんな格好に迄されて、置いてかれたらたまらないよ」
魔王「では行くか……」
盗賊「明日の朝じゃ無いのか?」
魔王「試合は昼からだがな……夜の内に移動しておいた方が良いだろう」
盗賊「……怪しまれない?」
魔王「まあ、部屋に戻れば解る……逃げなければ良いのさ」
姫「魔導将軍の心配はそこだけね」
魔王「そういう事」
盗賊「……とうとう、か」
船長「ああ……俺も、色々準備をしておこうかね」ニヤ
魔王「……船長が?」
船長「おう……まあ、お前さん達が旨くやってくれるのが大前提だがな」
魔王「心配するな。大丈夫だ……約束もしたしな」
姫「約束?」
魔王「姫は明日、勝つ事だけを考えていれば良い」
盗賊「……頼むぜ、姉ちゃん、少年」
船長「言うなって言ってんだろうが……」
姫「あ……ご、ごめんなさい」
盗賊「どうせ俺には……私には理解できね……ないわよ」
魔王「頑張ってるじゃないか」ニヤニヤ
盗賊「……こんな格好に迄されて、置いてかれたらたまらないよ」
魔王「では行くか……」
盗賊「明日の朝じゃ無いのか?」
魔王「試合は昼からだがな……夜の内に移動しておいた方が良いだろう」
盗賊「……怪しまれない?」
魔王「まあ、部屋に戻れば解る……逃げなければ良いのさ」
姫「魔導将軍の心配はそこだけね」
魔王「そういう事」
盗賊「……とうとう、か」
船長「ああ……俺も、色々準備をしておこうかね」ニヤ
魔王「……船長が?」
船長「おう……まあ、お前さん達が旨くやってくれるのが大前提だがな」
魔王「心配するな。大丈夫だ……約束もしたしな」
姫「約束?」
魔王「姫は明日、勝つ事だけを考えていれば良い」
盗賊「……頼むぜ、姉ちゃん、少年」
632: 2013/04/15(月) 10:33:41.61 ID:/4uiwsxlP
……
………
…………
翌日
ザワザワ……
盗賊「すげぇ人……」
姫「見物人がこんなに……ちょっと緊張するわ」
魔王「午前中の2試合の結果はどうだったんだろうな」
盗賊「あっちに張り出されてるぞ」スタスタ
姫「……私はそろそろ行かないとね」
魔王「ああ……気をつけて行ってこい」
姫「……ええ」
魔王(水使い、だったか……まあ、姫が有利に違い無いだろうが)
盗賊「少年、これ……」
魔王「魔導将軍と、雷使いが残ったか……まあ、予想通りだな」
盗賊「そうなのか?」
魔王「予選を見た限り……はな」
魔導将軍「逃げずに来たか」
盗賊「あ……ッ!」ギュ
魔王「……」ギュ
魔導将軍「何時ぞやの猿か……フン。旨く化けたものだ」
盗賊「誰が猿だ……!」
魔王「気にするな……逃がすつもりもなかろうに良く言うな」
………
…………
翌日
ザワザワ……
盗賊「すげぇ人……」
姫「見物人がこんなに……ちょっと緊張するわ」
魔王「午前中の2試合の結果はどうだったんだろうな」
盗賊「あっちに張り出されてるぞ」スタスタ
姫「……私はそろそろ行かないとね」
魔王「ああ……気をつけて行ってこい」
姫「……ええ」
魔王(水使い、だったか……まあ、姫が有利に違い無いだろうが)
盗賊「少年、これ……」
魔王「魔導将軍と、雷使いが残ったか……まあ、予想通りだな」
盗賊「そうなのか?」
魔王「予選を見た限り……はな」
魔導将軍「逃げずに来たか」
盗賊「あ……ッ!」ギュ
魔王「……」ギュ
魔導将軍「何時ぞやの猿か……フン。旨く化けたものだ」
盗賊「誰が猿だ……!」
魔王「気にするな……逃がすつもりもなかろうに良く言うな」
633: 2013/04/15(月) 10:40:14.35 ID:/4uiwsxlP
魔導将軍「怖じ気づいて逃亡されると私の楽しみが奪われるのでな」
魔王「で……お前も見ていくのか?」
魔導将軍「否?流石に忙しくてね……相手がアレでは、心配のしようも無いしな」
魔王「……やはり細工したな」
魔導将軍「何のことだか……では失礼。姫の勝利を祈っているよ。心から……な」
魔王「姫は必ず勝つさ……決勝の舞台に立つ為にな」
魔導将軍「……フン。その強がり、何時まで持つやら……!」スタスタ
盗賊「……」カタカタ
魔王「恐れずとも良い」
盗賊「こ、怖がってなんか……!」
魔王「震えてるぞ……」
盗賊「……ッ」ギュ
魔王「はいはい……ほら、適当な場所に座るぞ……始まる」
『それではこれより、第3試合!水使いvs姫の試合を開始します!』
『時間内に場外へ出た場合、魔法以外の攻撃をした場合は失格になります!』
『では、初め!』
ワアアアアアアアアアアアア!
盗賊「姉ちゃん……」
魔王「大丈夫だ……最悪私がどうにかする」
盗賊(頑張れ……!)
魔王「で……お前も見ていくのか?」
魔導将軍「否?流石に忙しくてね……相手がアレでは、心配のしようも無いしな」
魔王「……やはり細工したな」
魔導将軍「何のことだか……では失礼。姫の勝利を祈っているよ。心から……な」
魔王「姫は必ず勝つさ……決勝の舞台に立つ為にな」
魔導将軍「……フン。その強がり、何時まで持つやら……!」スタスタ
盗賊「……」カタカタ
魔王「恐れずとも良い」
盗賊「こ、怖がってなんか……!」
魔王「震えてるぞ……」
盗賊「……ッ」ギュ
魔王「はいはい……ほら、適当な場所に座るぞ……始まる」
『それではこれより、第3試合!水使いvs姫の試合を開始します!』
『時間内に場外へ出た場合、魔法以外の攻撃をした場合は失格になります!』
『では、初め!』
ワアアアアアアアアアアアア!
盗賊「姉ちゃん……」
魔王「大丈夫だ……最悪私がどうにかする」
盗賊(頑張れ……!)
634: 2013/04/15(月) 10:49:20.46 ID:/4uiwsxlP
姫(先手必勝、先手必勝……!)
姫「みず……!」
水使い「水よ!彼の者を覆い絡め取れ!」
姫「!」
姫(しま……ッ)
ザァ……!グルグル………!ギュぅ……!
姫「……ッ」
水使い「君は動けない! ……水よ、そのまま……!」
姫「水よ、広がり、放て……他の魔力そのまま、我が力へと!」ググ……ッ
バシャアアアアア!
水使い「な……ッ!?」
盗賊「うわ……ぁ……」
魔王(姫には効かん……相手の魔法を取り込んで、そのまま返したか)
魔王(……長期戦に持ち込まれると、厄介だが)
姫「みず……!」
水使い「水よ!彼の者を覆い絡め取れ!」
姫「!」
姫(しま……ッ)
ザァ……!グルグル………!ギュぅ……!
姫「……ッ」
水使い「君は動けない! ……水よ、そのまま……!」
姫「水よ、広がり、放て……他の魔力そのまま、我が力へと!」ググ……ッ
バシャアアアアア!
水使い「な……ッ!?」
盗賊「うわ……ぁ……」
魔王(姫には効かん……相手の魔法を取り込んで、そのまま返したか)
魔王(……長期戦に持ち込まれると、厄介だが)
635: 2013/04/15(月) 10:50:08.57 ID:/4uiwsxlP
お迎えー!
帰ってきて出かけるまでにまた来れたらー!
帰ってきて出かけるまでにまた来れたらー!
638: 2013/04/15(月) 13:23:52.32 ID:/4uiwsxlP
間に合わんかったーわ……
面接行ってきまー。
夕方帰って時間あったらー!
面接行ってきまー。
夕方帰って時間あったらー!
640: 2013/04/15(月) 13:41:33.64 ID:/4uiwsxlP
姫「……押し出せ!」
ザァアアア…!
盗賊「……やった……か!?」
魔王「場外を狙ったか……」
魔王(だが……!)
水使い「……ぅ、あ……ッ あ、まい!」
水使い「水よ……! 巻き付け……!」
盗賊「ああ……!」
魔王(自分の体を水の勢いで引き戻すつもりか……力くらべだな)
魔王(五分……否、長引けば……姫が不利だ)
盗賊「姉ちゃん!頑張れ……!」
魔王「……」
魔王(仕方ない、少し私が……ん?)
姫「甘いのは、貴方よ……!行け!」
姫「……追撃!」
ザァアアアアアアア!
ザァアアア…!
盗賊「……やった……か!?」
魔王「場外を狙ったか……」
魔王(だが……!)
水使い「……ぅ、あ……ッ あ、まい!」
水使い「水よ……! 巻き付け……!」
盗賊「ああ……!」
魔王(自分の体を水の勢いで引き戻すつもりか……力くらべだな)
魔王(五分……否、長引けば……姫が不利だ)
盗賊「姉ちゃん!頑張れ……!」
魔王「……」
魔王(仕方ない、少し私が……ん?)
姫「甘いのは、貴方よ……!行け!」
姫「……追撃!」
ザァアアアアアアア!
647: 2013/04/15(月) 15:10:46.58 ID:/4uiwsxlP
水使い「な、まだ、余力が……!?」
水使い「あ、ぁ……ッ」
ザザァア……ッ
『場外ー!!水使い、失格です!!』
『勝者、姫ー!!』
ワァアアアアアアアア!!!
魔王(これは……魔石、か?)
魔王(……成る程な。私が手を貸す迄もなかったか)
盗賊「す、すげぇ……姉ちゃん、勝っちまった……」
魔王「次の試合が始まるな……見たいか?」
盗賊「え、お……じゃ無かった、私?」
魔王「……」
盗賊「何でそこで変な顔すんだよ」
魔王「いや、慣れないな、と……痛い、殴るな」
水使い「あ、ぁ……ッ」
ザザァア……ッ
『場外ー!!水使い、失格です!!』
『勝者、姫ー!!』
ワァアアアアアアアア!!!
魔王(これは……魔石、か?)
魔王(……成る程な。私が手を貸す迄もなかったか)
盗賊「す、すげぇ……姉ちゃん、勝っちまった……」
魔王「次の試合が始まるな……見たいか?」
盗賊「え、お……じゃ無かった、私?」
魔王「……」
盗賊「何でそこで変な顔すんだよ」
魔王「いや、慣れないな、と……痛い、殴るな」
649: 2013/04/15(月) 15:19:33.49 ID:/4uiwsxlP
盗賊「どっちでも良いよ。どうせ……明日はまだ、魔道将軍とは当たらないだろ」
魔王「まぁ……そうだろうな」
姫「少年!」タタタ……
魔王「お疲れ、姫……良く頑張った」
『そこまで!勝者、風使いー!』
魔王「……随分早いな」
姫「このまま続けて準決勝ですって」
魔王「何……?」
盗賊「まじで?」
姫「ええ……だから会場内にいるように言われたんだけど……」
魔王「幾ら回復して貰えるとは言え……根本的にスタミナが……」
魔王「まぁ……そうだろうな」
姫「少年!」タタタ……
魔王「お疲れ、姫……良く頑張った」
『そこまで!勝者、風使いー!』
魔王「……随分早いな」
姫「このまま続けて準決勝ですって」
魔王「何……?」
盗賊「まじで?」
姫「ええ……だから会場内にいるように言われたんだけど……」
魔王「幾ら回復して貰えるとは言え……根本的にスタミナが……」
650: 2013/04/15(月) 15:44:59.65 ID:/4uiwsxlP
魔王(疲れさせるつもりか……?)
魔王(しかし……そんな事をしても、意味が無いだろう……)
魔王(ん、あれは……魔道将軍?)
盗賊「……少年?」
魔王「ちょっと……待ってくれ」
魔王(集中すれば……聞こえるか)
『あれが例の娘か……成る程、美しいな』
『で……隣に居るのが、夫だと?』
『はい……請われ、私が娼館へ招待した者です』
『フン……あれ程の美しい者を妻にしておきながら』
『女を選んだと言う物好きか』
魔王(見た事の無い男と喋ってるな)
『準決勝まで勝ち残ったとなると、中々の力の持ち主の様だな』
『はい。試合を見ていた所、優れた加護の持ち主の様で』
魔王(しかし……そんな事をしても、意味が無いだろう……)
魔王(ん、あれは……魔道将軍?)
盗賊「……少年?」
魔王「ちょっと……待ってくれ」
魔王(集中すれば……聞こえるか)
『あれが例の娘か……成る程、美しいな』
『で……隣に居るのが、夫だと?』
『はい……請われ、私が娼館へ招待した者です』
『フン……あれ程の美しい者を妻にしておきながら』
『女を選んだと言う物好きか』
魔王(見た事の無い男と喋ってるな)
『準決勝まで勝ち残ったとなると、中々の力の持ち主の様だな』
『はい。試合を見ていた所、優れた加護の持ち主の様で』
656: 2013/04/15(月) 20:30:44.10 ID:/4uiwsxlP
『ほう……残念だな。相手がおらねば息子の嫁に欲しいが』
『……五体満足で無くて良いなら、ご用意しましょうか?』
『……ふむ』
『予定とは少々狂いますが……それも、一興』
『そなたも目を着けておったのか、魔道将軍』
『まあ……ですが、ご領主様のご意向とあれば、無視する訳には行きますまい?』
『成る程……そなたは誠、出来た男よな……だか、男はどうする』
『……お許し頂けましたら、処分を』
『口外するは相成らぬぞ?』
『勿論で御座います』
『……五体満足で無くて良いなら、ご用意しましょうか?』
『……ふむ』
『予定とは少々狂いますが……それも、一興』
『そなたも目を着けておったのか、魔道将軍』
『まあ……ですが、ご領主様のご意向とあれば、無視する訳には行きますまい?』
『成る程……そなたは誠、出来た男よな……だか、男はどうする』
『……お許し頂けましたら、処分を』
『口外するは相成らぬぞ?』
『勿論で御座います』
657: 2013/04/15(月) 20:46:38.86 ID:/4uiwsxlP
『……思い出すのぅ。そなたが、あの……何と言ったか。エルフの男を頃した時の事を』
『……』
『そんな複雑な顔をするで無い……魔道将軍。何時も感謝しているのだ』
『は……』
『こうして、空いた時間に来て試合の段取りを着けてくれた事にも礼を言おう』
『……勿体無いお言葉』
『あの娘の血に濡れた姿は……さぞ、美しいだろう』
『ご領主様。お約束の件ですが……』
『解っている……我が優れた血筋の者を集め、私設軍隊を作る、だな』
『はい……魔族が大人しくしている今、我ら……優れた者達が』
『最果てと呼ばれる北の大地……魔族共の住む土地を攻めるのだろう?』
『……』
『そんな複雑な顔をするで無い……魔道将軍。何時も感謝しているのだ』
『は……』
『こうして、空いた時間に来て試合の段取りを着けてくれた事にも礼を言おう』
『……勿体無いお言葉』
『あの娘の血に濡れた姿は……さぞ、美しいだろう』
『ご領主様。お約束の件ですが……』
『解っている……我が優れた血筋の者を集め、私設軍隊を作る、だな』
『はい……魔族が大人しくしている今、我ら……優れた者達が』
『最果てと呼ばれる北の大地……魔族共の住む土地を攻めるのだろう?』
658: 2013/04/15(月) 21:14:20.57 ID:/4uiwsxlP
『そうして……魔王を倒し、我らが世界の覇者となる……我らならそれが出来ると』
『そう、申したな……魔道将軍』
『はい』
『確かにそなた程の力があれば可能だろう……楽しみにしているぞ』
『御意』
『……先ずはそなたか』
『ええ……では、これで』
『期待しているぞ、魔道将軍……』
魔王(……ふざけた真似を)
盗賊「おい、少年?」
魔王「……姫、予定変更だ」
『そう、申したな……魔道将軍』
『はい』
『確かにそなた程の力があれば可能だろう……楽しみにしているぞ』
『御意』
『……先ずはそなたか』
『ええ……では、これで』
『期待しているぞ、魔道将軍……』
魔王(……ふざけた真似を)
盗賊「おい、少年?」
魔王「……姫、予定変更だ」
659: 2013/04/15(月) 21:32:30.24 ID:/4uiwsxlP
姫「え?」
魔王「こっちへ……恐らく、一瞬で方がつくだろう……今の内だ」グイ
姫「え、ちょっ……!」
盗賊「お、おい、どこ行くんだよ!」
魔王「少しそこで待っててくれ……直ぐに戻る」
盗賊「……」
盗賊(何処に……木陰?何やって……)
『これより準決勝!魔道将軍vs風使いの試合を始めます!』
盗賊「あ……始まっ……うわ……!」
『じ、場外!風使い選手、一瞬で場外へと吹き飛ばされました!』
『勝者!魔道将軍!』
盗賊「……本当に一瞬じゃねえか」
盗賊(少年達……何処に……)
魔王「こっちへ……恐らく、一瞬で方がつくだろう……今の内だ」グイ
姫「え、ちょっ……!」
盗賊「お、おい、どこ行くんだよ!」
魔王「少しそこで待っててくれ……直ぐに戻る」
盗賊「……」
盗賊(何処に……木陰?何やって……)
『これより準決勝!魔道将軍vs風使いの試合を始めます!』
盗賊「あ……始まっ……うわ……!」
『じ、場外!風使い選手、一瞬で場外へと吹き飛ばされました!』
『勝者!魔道将軍!』
盗賊「……本当に一瞬じゃねえか」
盗賊(少年達……何処に……)
660: 2013/04/15(月) 21:45:08.79 ID:/4uiwsxlP
魔王?「……」スタスタ
盗賊「あ、少年……!あれ、姉ちゃんは?」
魔王?「……」ス…
盗賊「ん、あっち? ……ああ、集合か……てか何で喋んな……!?」
盗賊(あ、あれ……瞳が……蒼い……?)ジィ
魔王?「……」
盗賊(……まさか!?)
魔王?「シィ……!」
盗賊「え……ええ!?」バッ!
『では、始めます……!』
『準決勝二回戦は、姫vs雷使い!』
盗賊(あれ……姉ちゃんの姿だけど……)
盗賊(少年!?)
盗賊「あ、少年……!あれ、姉ちゃんは?」
魔王?「……」ス…
盗賊「ん、あっち? ……ああ、集合か……てか何で喋んな……!?」
盗賊(あ、あれ……瞳が……蒼い……?)ジィ
魔王?「……」
盗賊(……まさか!?)
魔王?「シィ……!」
盗賊「え……ええ!?」バッ!
『では、始めます……!』
『準決勝二回戦は、姫vs雷使い!』
盗賊(あれ……姉ちゃんの姿だけど……)
盗賊(少年!?)
662: 2013/04/15(月) 21:59:56.83 ID:/4uiwsxlP
姫?「……」
雷使い「片目瞑っちゃって余裕ね?アンタ、優れた加護持ってんのね……」
姫?「……」
雷使い「……水使いの時は余裕だったろうけど、アタシが相手なら話は別よ」
雷使い「その澄ました顔、苦痛に歪ませてやるわ……ッ雷よ!」
バリバリ…ッ
姫?「……水よ」
ザァア…ッ
雷使い「また水の防壁?何とかの一つ覚えね……ッ 落ちろ!」
雷使い「片目瞑っちゃって余裕ね?アンタ、優れた加護持ってんのね……」
姫?「……」
雷使い「……水使いの時は余裕だったろうけど、アタシが相手なら話は別よ」
雷使い「その澄ました顔、苦痛に歪ませてやるわ……ッ雷よ!」
バリバリ…ッ
姫?「……水よ」
ザァア…ッ
雷使い「また水の防壁?何とかの一つ覚えね……ッ 落ちろ!」
665: 2013/04/15(月) 22:16:23.98 ID:/4uiwsxlP
姫?「…… 行け」
バリバリ…ッ パリ……ザァアアアアア!
雷使い「な…ッ!?」
盗賊「……み、水が雷帯びた侭……雷使いに……!!」
雷使い「きゃ……ぁあああ!」
姫?「……帯電してるとキツイだろうな」
雷使い「あ、あ…… ッ!!」バタッ
魔王?「……私じゃ、ああは行かないわね」
盗賊「……その声、やっぱり」
魔王?「……話は、後。先に宿に戻りましょ……魔道将軍にはばれてる筈よ」
盗賊「……ああ」
魔王?「なるべく人の多い所……選んて行くわよ」
バリバリ…ッ パリ……ザァアアアアア!
雷使い「な…ッ!?」
盗賊「……み、水が雷帯びた侭……雷使いに……!!」
雷使い「きゃ……ぁあああ!」
姫?「……帯電してるとキツイだろうな」
雷使い「あ、あ…… ッ!!」バタッ
魔王?「……私じゃ、ああは行かないわね」
盗賊「……その声、やっぱり」
魔王?「……話は、後。先に宿に戻りましょ……魔道将軍にはばれてる筈よ」
盗賊「……ああ」
魔王?「なるべく人の多い所……選んて行くわよ」
666: 2013/04/15(月) 22:21:14.16 ID:/4uiwsxlP
『雷使い選手、起き上がれません!』
『勝者、姫!』
ワァアアアアアアアア!
姫?「……すまんな」スタスタ
領主「いや見事だ!なぁ、魔道将軍?」
魔道将軍「……ええ」
領主「優れた加護もさることながら、魔力も申し分無い……あの娘がいれば」
領主「……魔族にも勝てるだろう!」
魔道将軍「……」
領主「魔道将軍」
魔道将軍「はい……」
領主「五体満足で連れて来い……何とか兵士とすべく説得しろ」
魔道将軍「……し、しかし!」
『勝者、姫!』
ワァアアアアアアアア!
姫?「……すまんな」スタスタ
領主「いや見事だ!なぁ、魔道将軍?」
魔道将軍「……ええ」
領主「優れた加護もさることながら、魔力も申し分無い……あの娘がいれば」
領主「……魔族にも勝てるだろう!」
魔道将軍「……」
領主「魔道将軍」
魔道将軍「はい……」
領主「五体満足で連れて来い……何とか兵士とすべく説得しろ」
魔道将軍「……し、しかし!」
667: 2013/04/15(月) 22:25:05.14 ID:/4uiwsxlP
領主「そなたには他を当てがってやる」
領主「魔族共を滅ぼした後、息子の子供を産ませた後ならば好きにしても良い……解ったな!」
魔道将軍「……仰せの侭に」
領主「うむ……明日が楽しみだ!」ハハハ!
魔道将軍(潮時か……まぁ、良い)
魔道将軍(予定とは随分違ったが……直接決着を着けるのも悪くない)
魔道将軍(明日……貴様を、切り裂いてやる……魔王!)
領主「魔族共を滅ぼした後、息子の子供を産ませた後ならば好きにしても良い……解ったな!」
魔道将軍「……仰せの侭に」
領主「うむ……明日が楽しみだ!」ハハハ!
魔道将軍(潮時か……まぁ、良い)
魔道将軍(予定とは随分違ったが……直接決着を着けるのも悪くない)
魔道将軍(明日……貴様を、切り裂いてやる……魔王!)
669: 2013/04/15(月) 22:56:48.86 ID:/4uiwsxlP
……
………
…………
宿屋
カチャ……パタン
盗賊「おう、おかえり」
姫?「ああ……大丈夫だったか?」
魔王?「ええ、人が多くて助かったわ……」
盗賊「……ごめん、何か、うん。すげぇ違和感」
姫?「ま、そりゃそうだろうな……」
魔王?「とりあえず、一端戻してよ」
姫?「ふむ、そうだな……」シュウ…
姫「……ふう」
魔王「やはりしっくりくるな」
盗賊「……しかし、何だってこんな事……」
魔王「この街の領主らしき男と魔道将軍の話を耳にしたからな」
………
…………
宿屋
カチャ……パタン
盗賊「おう、おかえり」
姫?「ああ……大丈夫だったか?」
魔王?「ええ、人が多くて助かったわ……」
盗賊「……ごめん、何か、うん。すげぇ違和感」
姫?「ま、そりゃそうだろうな……」
魔王?「とりあえず、一端戻してよ」
姫?「ふむ、そうだな……」シュウ…
姫「……ふう」
魔王「やはりしっくりくるな」
盗賊「……しかし、何だってこんな事……」
魔王「この街の領主らしき男と魔道将軍の話を耳にしたからな」
670: 2013/04/15(月) 23:02:22.74 ID:/4uiwsxlP
盗賊「何時の話だ?」
魔王「姫の最初の試合が終わった後だな」
盗賊「え……え?」
魔王「受付だかの側の賓客席だろう場所に見えたんだ」
盗賊「……随分離れてるじゃねぇかよ。聞こえたのか!?」
魔王「集中すればな」
盗賊「……はぁ」
姫「規格外って忘れちゃ駄目よ」
魔王「姫……酷い」
姫「事実でしょ」
魔王「……内容は、こうだ」
魔王「領主は息子の嫁に姫が欲しいが、夫……私が居る」
魔王「魔道将軍は、姫を頃すつもりだが、五体満足で無くて良いならと約束した」
姫「勝手な……!」
魔王「姫の最初の試合が終わった後だな」
盗賊「え……え?」
魔王「受付だかの側の賓客席だろう場所に見えたんだ」
盗賊「……随分離れてるじゃねぇかよ。聞こえたのか!?」
魔王「集中すればな」
盗賊「……はぁ」
姫「規格外って忘れちゃ駄目よ」
魔王「姫……酷い」
姫「事実でしょ」
魔王「……内容は、こうだ」
魔王「領主は息子の嫁に姫が欲しいが、夫……私が居る」
魔王「魔道将軍は、姫を頃すつもりだが、五体満足で無くて良いならと約束した」
姫「勝手な……!」
671: 2013/04/15(月) 23:07:54.49 ID:/4uiwsxlP
魔王「領主も了承した……私の処分を魔道将軍が行う許可も含めてな」
盗賊「!」
魔王「領主も知人の件は知っていた様だ……ま、当然だろうが」
盗賊「……あいつら!」
姫「急に準決勝が行われたのは、領主が来たから……なのね?」
魔王「だろうな。魔道将軍と同じ様な悪趣味な男の様だ」
盗賊「そりゃそうだろう……あんな、娼館だ、奴隷だ……劣等種だと」
盗賊「言い出した奴ら……!」
魔王「本当は明日の時点で姫とすり替わるつもりだったんだかな」
盗賊「!」
魔王「領主も知人の件は知っていた様だ……ま、当然だろうが」
盗賊「……あいつら!」
姫「急に準決勝が行われたのは、領主が来たから……なのね?」
魔王「だろうな。魔道将軍と同じ様な悪趣味な男の様だ」
盗賊「そりゃそうだろう……あんな、娼館だ、奴隷だ……劣等種だと」
盗賊「言い出した奴ら……!」
魔王「本当は明日の時点で姫とすり替わるつもりだったんだかな」
672: 2013/04/15(月) 23:13:56.04 ID:/4uiwsxlP
魔王「属性的に不利だからな……あの雷使い、実力はずば抜けていたし」
姫「そうなの?」
魔王「見た感じ……な」
盗賊「……明日、どうするんだ?」
魔王「向こうは色々と予定が狂ったろうが……私の予定は変わらんさ」
姫「魔道将軍を……頃すのね」
魔王「ああ……領主もな」
盗賊「え!?」
姫「……」
魔王「私は最初からそのつもりだったが?」
盗賊「……そ、そうなのか……?」チラ
姫「……私は知らなかったわよ」
姫「そうなの?」
魔王「見た感じ……な」
盗賊「……明日、どうするんだ?」
魔王「向こうは色々と予定が狂ったろうが……私の予定は変わらんさ」
姫「魔道将軍を……頃すのね」
魔王「ああ……領主もな」
盗賊「え!?」
姫「……」
魔王「私は最初からそのつもりだったが?」
盗賊「……そ、そうなのか……?」チラ
姫「……私は知らなかったわよ」
673: 2013/04/15(月) 23:41:43.31 ID:/4uiwsxlP
魔王「こんな制度、無くした方が良い。この街には前科もあることだしな」
盗賊「……30年前の、か」
魔王「そうだ……私達魔族にとっても、人にとっても……害にしかならん」
盗賊「だが……恨みは買うぜ?」
姫「そうね……最低な奴らとは思うけど、貴族達も人よ」
姫「それに……そう簡単には……それこそ、物理的に壊しでもしない限り」
魔王「……出来る事をするだけさ」
魔王「様は住み分けだろう?……不干渉万歳、さ。価値が違いすぎるならば、な」
盗賊「……信じてるぜ」
魔王「うん?」
盗賊「……30年前の、か」
魔王「そうだ……私達魔族にとっても、人にとっても……害にしかならん」
盗賊「だが……恨みは買うぜ?」
姫「そうね……最低な奴らとは思うけど、貴族達も人よ」
姫「それに……そう簡単には……それこそ、物理的に壊しでもしない限り」
魔王「……出来る事をするだけさ」
魔王「様は住み分けだろう?……不干渉万歳、さ。価値が違いすぎるならば、な」
盗賊「……信じてるぜ」
魔王「うん?」
674: 2013/04/15(月) 23:46:27.32 ID:/4uiwsxlP
盗賊「……願い、叶えてくれ」
盗賊「劣等種も、人なんだ。生きてるんだ」
姫「……」
盗賊「せめて……物じゃなくなる様に……!」
魔王「……心配するな。信じろ」
姫「明日は朝からよ、少年」
魔王「ああ……ゆっくり休もう」
魔王「明日……いよいよだ」
盗賊「……魔道将軍」
姫「頃す……のね」
魔王「ああ。腐った不条理をぶっつぶす」
魔王「私が勇者になる……だと?」【3】
盗賊「劣等種も、人なんだ。生きてるんだ」
姫「……」
盗賊「せめて……物じゃなくなる様に……!」
魔王「……心配するな。信じろ」
姫「明日は朝からよ、少年」
魔王「ああ……ゆっくり休もう」
魔王「明日……いよいよだ」
盗賊「……魔道将軍」
姫「頃す……のね」
魔王「ああ。腐った不条理をぶっつぶす」
魔王「私が勇者になる……だと?」【3】
引用: 魔王「私が勇者になる……だと?」
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