74: 2009/01/30(金) 19:53:51.74 ID:NxpoeUmM0
――これは、歯車が彼らの歯車が回り始める前のほんの一幕にすぎません。
自ら動く人形に罪はあるのか? さてさて、その答えは何でしょう?
登場するのは、可憐な少女人形達と、それをとりまく人々。
そして、一人の老いた――しろがねです。
ルシール「……」
……おっとと、そのしろがねはどうやら相当に人形を憎んでいるようだ。
ワタクシめも、彼女の怒りに触れる前に退散する事にいたします。
皆様は、引き続きこの不可思議な話をお楽しみください。
それでは、はじまりはじまり――
自ら動く人形に罪はあるのか? さてさて、その答えは何でしょう?
登場するのは、可憐な少女人形達と、それをとりまく人々。
そして、一人の老いた――しろがねです。
ルシール「……」
……おっとと、そのしろがねはどうやら相当に人形を憎んでいるようだ。
ワタクシめも、彼女の怒りに触れる前に退散する事にいたします。
皆様は、引き続きこの不可思議な話をお楽しみください。
それでは、はじまりはじまり――
75: 2009/01/30(金) 20:01:17.46 ID:NxpoeUmM0
・ ・ ・
のり「すっかり帰りが遅くなっちゃった……。
「早く帰って、ご飯の支度をしなきゃ――」
タッタッタッタッ…ドンッ!
のり「きゃっ!?」
「――おやおや、そんなに急いでどうしたんだね?」
のり「す、すみません! ぼうっとしてて……」
老婆「日本は静かだって聞いてたけど、そんな事もないみたいだね」
のり(……外国の人?)
老婆「――ああ、ところでお嬢ちゃん」
のり「はい?」
老婆「動 く 人 形 に 心 当 た り は お あ り で な い か い ?」ズイッ
のり「すっかり帰りが遅くなっちゃった……。
「早く帰って、ご飯の支度をしなきゃ――」
タッタッタッタッ…ドンッ!
のり「きゃっ!?」
「――おやおや、そんなに急いでどうしたんだね?」
のり「す、すみません! ぼうっとしてて……」
老婆「日本は静かだって聞いてたけど、そんな事もないみたいだね」
のり(……外国の人?)
老婆「――ああ、ところでお嬢ちゃん」
のり「はい?」
老婆「動 く 人 形 に 心 当 た り は お あ り で な い か い ?」ズイッ
77: 2009/01/30(金) 20:10:19.90 ID:NxpoeUmM0
のり(動く人形って――真紅ちゃん達のことかしら?
……でも、なんだか黙っておいた方が良さそう)
のり「……あn」
老婆「どうやら知ってるみたいだねぇ」ニィィ
のり「えっ、いや、違……!」ワタワタ
老婆「その慌てぶりは、答えを言っているようなものさ」ズイッ
のり「……あ、あの……」
老婆「隠すとためにならないよ。さあ、早くお教え」
のり「あ……う……」
老婆「おやおや、少しばかり脅しをかけすぎたみたいだね。悪かったよ、お嬢ちゃん」
のり「あ、いえ、そんな――」
老婆「自己紹介がまだだったね、私はルシール。お嬢ちゃんの名前は?」
のり「あ、えっと……桜田のりです」
ルシール「そうかい、のりか。いい名前だね。――その調子で、家まで案内してくれると助かるねぇ」
のり「あの……す、すみません! 急ぎますんで!」
ダッ――
ルシール「……ほほほ! 元気の良い事だねぇ!――」
……でも、なんだか黙っておいた方が良さそう)
のり「……あn」
老婆「どうやら知ってるみたいだねぇ」ニィィ
のり「えっ、いや、違……!」ワタワタ
老婆「その慌てぶりは、答えを言っているようなものさ」ズイッ
のり「……あ、あの……」
老婆「隠すとためにならないよ。さあ、早くお教え」
のり「あ……う……」
老婆「おやおや、少しばかり脅しをかけすぎたみたいだね。悪かったよ、お嬢ちゃん」
のり「あ、いえ、そんな――」
老婆「自己紹介がまだだったね、私はルシール。お嬢ちゃんの名前は?」
のり「あ、えっと……桜田のりです」
ルシール「そうかい、のりか。いい名前だね。――その調子で、家まで案内してくれると助かるねぇ」
のり「あの……す、すみません! 急ぎますんで!」
ダッ――
ルシール「……ほほほ! 元気の良い事だねぇ!――」
79: 2009/01/30(金) 20:17:22.33 ID:NxpoeUmM0
・ ・ ・
JUM「……ったく、どこをほっつき歩いてるんだアイツは」
真紅「あら、ジュン。のりの事が心配?」
JUM「誰が!」
翠星石「全く、チビ人間は素直じゃねーですぅ!」
JUM「へん! お前に言われたくないね!」
翠星石「なな、ぬわんですってぇ!? 翠星石は、素直で優しくて可愛いですぅ~!」
雛苺「ぶぅ~! 翠星石は、ヒナにいつも意地悪するの!」
翠星石「ちょっと黙ってるですチビいち――」
『た、たたた、ただいまぁ~!』
真紅「……のりが帰ってきたようだけれど、随分慌てているみたいね」
JUM「どうせ大した事じゃないさ」
翠星石「とにかく! チビ人間は翠星石を――」
『たた、大変よぅ~!!』
真紅「……――何かあったみたいね。下に行きましょう」
翠星石「まだ話は終わってねーですぅ!」
雛苺「はーい、なの」
真紅「ジュン、抱っこしてちょうだい」
JUM「……はいはい」
翠星石「むむっ、無視すんなですぅ――ッ!」
JUM「……ったく、どこをほっつき歩いてるんだアイツは」
真紅「あら、ジュン。のりの事が心配?」
JUM「誰が!」
翠星石「全く、チビ人間は素直じゃねーですぅ!」
JUM「へん! お前に言われたくないね!」
翠星石「なな、ぬわんですってぇ!? 翠星石は、素直で優しくて可愛いですぅ~!」
雛苺「ぶぅ~! 翠星石は、ヒナにいつも意地悪するの!」
翠星石「ちょっと黙ってるですチビいち――」
『た、たたた、ただいまぁ~!』
真紅「……のりが帰ってきたようだけれど、随分慌てているみたいね」
JUM「どうせ大した事じゃないさ」
翠星石「とにかく! チビ人間は翠星石を――」
『たた、大変よぅ~!!』
真紅「……――何かあったみたいね。下に行きましょう」
翠星石「まだ話は終わってねーですぅ!」
雛苺「はーい、なの」
真紅「ジュン、抱っこしてちょうだい」
JUM「……はいはい」
翠星石「むむっ、無視すんなですぅ――ッ!」
80: 2009/01/30(金) 20:24:29.69 ID:NxpoeUmM0
のり「あっ、ジュンくんに皆! 大変なのよぅ!」
トタトタ…
JUM「そんなに騒ぐなよな。うるさいぞ」
真紅「ジュン、その言い方はきつすぎるわ。謝りなさい」
JUM「――はいはい、悪うございましたね」
雛苺「のり~! 今日は花丸ハンバーグって約束だったの~!」
のり「そそっ、それ所じゃないのよぅ!」
雛苺「ええっ!? そ、そんなぁ~……」ウルッ
のり「あああ、ごめんねヒナちゃん。すぐに作るからね~」アセアセ
JUM「――なんだよ。何も用がないなら僕は部屋に戻るからな」
のり「ま、待ってジュンくん! 大変なの!」
JUM「……だから何がだよ? ハッキリ言えよな」
真紅「そうね。何を焦っているの、のり?」
のり「なっ……なんだか真紅ちゃん達の事を調べてる人がいるのよぅ!」
真紅「えっ?」
雛苺「うゆ?」
JUM「――何だって?」
翠星石「こら~っ! 翠星石を置いていくなんて――って、どうして皆そんな顔をしてるんですか?」
トタトタ…
JUM「そんなに騒ぐなよな。うるさいぞ」
真紅「ジュン、その言い方はきつすぎるわ。謝りなさい」
JUM「――はいはい、悪うございましたね」
雛苺「のり~! 今日は花丸ハンバーグって約束だったの~!」
のり「そそっ、それ所じゃないのよぅ!」
雛苺「ええっ!? そ、そんなぁ~……」ウルッ
のり「あああ、ごめんねヒナちゃん。すぐに作るからね~」アセアセ
JUM「――なんだよ。何も用がないなら僕は部屋に戻るからな」
のり「ま、待ってジュンくん! 大変なの!」
JUM「……だから何がだよ? ハッキリ言えよな」
真紅「そうね。何を焦っているの、のり?」
のり「なっ……なんだか真紅ちゃん達の事を調べてる人がいるのよぅ!」
真紅「えっ?」
雛苺「うゆ?」
JUM「――何だって?」
翠星石「こら~っ! 翠星石を置いていくなんて――って、どうして皆そんな顔をしてるんですか?」
82: 2009/01/30(金) 20:32:32.51 ID:NxpoeUmM0
・ ・ ・
JUM「――夢でも見たんだろ。それか、重度の被害妄想だな」
JUM「大体だな、黒ずくめのドレスを着た外人のおばあさん――それも大きなトランクを持った人が、
どうして真紅達のことを調べなきゃいけないんだ」
真紅「……ええ。もうドールは全て揃っているのだし、マスターの線も有り得ないわ」
翠星石「そうですねぇ。何かの勘違いだったんじゃねーでしょうか?」
雛苺「のり~! お腹ぺこぺこなの~!」
のり「み、皆~!」
JUM「それに、走って逃げたんだろ? だった、もう問題はないじゃないか」
のり「で、でもぅ……」
JUM「それとも何か? そのばあさんが追っかけてくるとでも? ははっ、馬鹿馬鹿しい」
のり「……うん、そうよね」
雛苺「のり~!」
のり「――すぐ作るから、ちょ~っと待っててね~」
JUM「――夢でも見たんだろ。それか、重度の被害妄想だな」
JUM「大体だな、黒ずくめのドレスを着た外人のおばあさん――それも大きなトランクを持った人が、
どうして真紅達のことを調べなきゃいけないんだ」
真紅「……ええ。もうドールは全て揃っているのだし、マスターの線も有り得ないわ」
翠星石「そうですねぇ。何かの勘違いだったんじゃねーでしょうか?」
雛苺「のり~! お腹ぺこぺこなの~!」
のり「み、皆~!」
JUM「それに、走って逃げたんだろ? だった、もう問題はないじゃないか」
のり「で、でもぅ……」
JUM「それとも何か? そのばあさんが追っかけてくるとでも? ははっ、馬鹿馬鹿しい」
のり「……うん、そうよね」
雛苺「のり~!」
のり「――すぐ作るから、ちょ~っと待っててね~」
83: 2009/01/30(金) 20:38:52.24 ID:NxpoeUmM0
・ ・ ・
蒼星石「――おじいさん達の手伝いをしてたら、スッカリ遅くなっちゃったよ」
蒼星石「急がないと、間に合わなくなっちゃう。――せっかくお呼ばれしたんだから……」
…ポツ…ポツ――
蒼星石「うわっ、雨が降ってきちゃった。これなら、nのフィールドを通ってくれば良かったよ――ん?」
ルシール「……」
蒼星石(あのおばあさん……どうして雨が降り出してるのに、あそこでジーッと立ってるんだろう?)
―ザアァァァァ!
蒼星石「――っと、急がないと鞄の中まで濡れちゃう!」
ルシール「……」ニマァ
―ピシャアアアン!
蒼星石「――おじいさん達の手伝いをしてたら、スッカリ遅くなっちゃったよ」
蒼星石「急がないと、間に合わなくなっちゃう。――せっかくお呼ばれしたんだから……」
…ポツ…ポツ――
蒼星石「うわっ、雨が降ってきちゃった。これなら、nのフィールドを通ってくれば良かったよ――ん?」
ルシール「……」
蒼星石(あのおばあさん……どうして雨が降り出してるのに、あそこでジーッと立ってるんだろう?)
―ザアァァァァ!
蒼星石「――っと、急がないと鞄の中まで濡れちゃう!」
ルシール「……」ニマァ
―ピシャアアアン!
84: 2009/01/30(金) 20:43:36.51 ID:NxpoeUmM0
・ ・ ・
―ピシャアアアン!
翠星石「ひいいいっ!?」
雛苺「ピカッてしたの~!!」
ぎゅうぅ!
JUM「たかが雷で大げさだな」
翠星石「――こっ、これはチビ人間が怖がってるんじゃねーかと思ってですね!?」
雛苺「ジュン! ジュン~!」
ぎゅうっ!
JUM「……やれやれ」
真紅「――そうよ。雷くらいで騒ぐなんて、ローゼンメンとしての自覚が足りないわね」
…ガシャアアン!
一同「!?」
―ピシャアアアン!
翠星石「ひいいいっ!?」
雛苺「ピカッてしたの~!!」
ぎゅうぅ!
JUM「たかが雷で大げさだな」
翠星石「――こっ、これはチビ人間が怖がってるんじゃねーかと思ってですね!?」
雛苺「ジュン! ジュン~!」
ぎゅうっ!
JUM「……やれやれ」
真紅「――そうよ。雷くらいで騒ぐなんて、ローゼンメンとしての自覚が足りないわね」
…ガシャアアン!
一同「!?」
85: 2009/01/30(金) 20:48:59.45 ID:NxpoeUmM0
翠星石・雛苺「~~~ッ!!?」
ぎゅうううっ!
JUM「いたたたたっ!? そんなに強く裾をひっぱるな!」
蒼星石「――遅くなってごめんよ……って、どうしたの?」
真紅「騒々しいわよ、蒼星石」
JUM「……お前は、ウチに来る時は窓を割らないと気がすまないのか?」
蒼星石「あっ、ゴメンよジュンくん。雨が降ってるから、中にふきこんじゃうよね」
JUM「そういう問題じゃない!――真紅、頼めるか?」
真紅「仕方ないわね」
パァァァ―
JUM「よし、これで元通りだな」
真紅「……」
JUM「ん? どうした真紅」
真紅「……――今、視線を感じたわ」
JUM「気のせいだろ」
真紅「……だと、いいのだけど」
ぎゅうううっ!
JUM「いたたたたっ!? そんなに強く裾をひっぱるな!」
蒼星石「――遅くなってごめんよ……って、どうしたの?」
真紅「騒々しいわよ、蒼星石」
JUM「……お前は、ウチに来る時は窓を割らないと気がすまないのか?」
蒼星石「あっ、ゴメンよジュンくん。雨が降ってるから、中にふきこんじゃうよね」
JUM「そういう問題じゃない!――真紅、頼めるか?」
真紅「仕方ないわね」
パァァァ―
JUM「よし、これで元通りだな」
真紅「……」
JUM「ん? どうした真紅」
真紅「……――今、視線を感じたわ」
JUM「気のせいだろ」
真紅「……だと、いいのだけど」
87: 2009/01/30(金) 20:55:40.98 ID:NxpoeUmM0
・ ・ ・
ルシール「飛行ユニットを持つ自動人形とはね……これは中々に面倒そうだよ」
ルシール「――それに、家の中の様子を聞く限りじゃあ、相手は一体じゃなさそうだ」
ルシール「……仕方ないね、『ムジンニィ』だけで済むと思ってたけれど、得物が必要になりそうだよ」
ルシール「……」
ルシール「――今は笑っているがいいさ、自動人形」
ルシール「必ず……歯車に戻してあげるよ」ニィィ
ルシール「飛行ユニットを持つ自動人形とはね……これは中々に面倒そうだよ」
ルシール「――それに、家の中の様子を聞く限りじゃあ、相手は一体じゃなさそうだ」
ルシール「……仕方ないね、『ムジンニィ』だけで済むと思ってたけれど、得物が必要になりそうだよ」
ルシール「……」
ルシール「――今は笑っているがいいさ、自動人形」
ルシール「必ず……歯車に戻してあげるよ」ニィィ
88: 2009/01/30(金) 21:02:38.70 ID:NxpoeUmM0
・ ・ ・
翌朝
JUM「――ふわあぁ……あ」
トタトタ…ガチャッ
真紅「ジュン、朝食の前に顔を洗って来なさい」
蒼星石「昨日も夜遅くまで勉強してたのかい? 眠そうだね」
JUM「あれ、昨日は結局泊まったのか?」
蒼星石「うん、鞄も濡れちゃってたし、凄い雨だったからね」
JUM「nのフィールドを使えば良かったじゃないか」
翠星石「そりゃどういう意味ですか? チビ人間は、蒼星石が泊まってっちゃいけねーって言うんですか?」
JUM「だ、誰もそんな事言ってないだろ!?」
雛苺「ジュン~……」
くいくいっ
JUM「ああもう、今度は何だよ?」
雛苺「あのね、ヒナ、朝起きてね……窓から見ちゃったの」
JUM「何をだ?」
雛苺「――黒い……おばあさんを」
翌朝
JUM「――ふわあぁ……あ」
トタトタ…ガチャッ
真紅「ジュン、朝食の前に顔を洗って来なさい」
蒼星石「昨日も夜遅くまで勉強してたのかい? 眠そうだね」
JUM「あれ、昨日は結局泊まったのか?」
蒼星石「うん、鞄も濡れちゃってたし、凄い雨だったからね」
JUM「nのフィールドを使えば良かったじゃないか」
翠星石「そりゃどういう意味ですか? チビ人間は、蒼星石が泊まってっちゃいけねーって言うんですか?」
JUM「だ、誰もそんな事言ってないだろ!?」
雛苺「ジュン~……」
くいくいっ
JUM「ああもう、今度は何だよ?」
雛苺「あのね、ヒナ、朝起きてね……窓から見ちゃったの」
JUM「何をだ?」
雛苺「――黒い……おばあさんを」
89: 2009/01/30(金) 21:10:41.17 ID:NxpoeUmM0
JUM「――はぁ? お前までそんな事言ってるのか?」
雛苺「ヒナ、見たの!」
JUM「はいはい」
雛苺「うゆぅ~! 嘘じゃないの~!」
JUM「……いいか雛苺。お前が見たおばあさんと、
昨日のりが見たおばあさんが同じ人とは限らないだろ?」
雛苺「そ……そうだけど」
JUM「考えすぎなんだよ。怖がりすぎだ、全く……」
真紅「――待ちなさいジュン。その話と関係があるかわから無いけれど――
昨日、私も力を使ったときに視線を感じたわ」
JUM「お前まで何を言い出すんだ……」
蒼星石「あっ、そういえば……僕も黒いおばあさんを見たよ。
雨の中、大きなトランクを持ってジッと立ってた」
JUM「お前も見たのか?」
翠星石「す、翠星石は――……見てないです……」ショボン
JUM「……あ、そう」
雛苺「ヒナ、見たの!」
JUM「はいはい」
雛苺「うゆぅ~! 嘘じゃないの~!」
JUM「……いいか雛苺。お前が見たおばあさんと、
昨日のりが見たおばあさんが同じ人とは限らないだろ?」
雛苺「そ……そうだけど」
JUM「考えすぎなんだよ。怖がりすぎだ、全く……」
真紅「――待ちなさいジュン。その話と関係があるかわから無いけれど――
昨日、私も力を使ったときに視線を感じたわ」
JUM「お前まで何を言い出すんだ……」
蒼星石「あっ、そういえば……僕も黒いおばあさんを見たよ。
雨の中、大きなトランクを持ってジッと立ってた」
JUM「お前も見たのか?」
翠星石「す、翠星石は――……見てないです……」ショボン
JUM「……あ、そう」
92: 2009/01/30(金) 21:18:08.64 ID:NxpoeUmM0
JUM「とにかく、もうくだらない事で騒ぐなよな」
真紅「けれど――気になるわ」
JUM「……ふん! 勝手にしろ」
真紅「待ちなさい、ジュン! 貴方、下僕としての自覚が――」
JUM「いいか? 僕は忙しいんだ。付き合ってられないね」
真紅「……そう、わかったわ」
JUM「な、なんだよ……」
真紅「別に。なんでもないわ」
JUM「――ああ、そうかよ」
バタンッ!
雛苺「うゆぅ~……ジュン、怒ってたの……」
真紅「放っておきなさい。もし、私達の事を調べているのなら――私達自身で解決すべき問題だわ」
蒼星石「そうだね。ジュンくんに、余計な迷惑をかける訳にはいかないもんね」
翠星石「……むぅ~」
真紅「けれど――気になるわ」
JUM「……ふん! 勝手にしろ」
真紅「待ちなさい、ジュン! 貴方、下僕としての自覚が――」
JUM「いいか? 僕は忙しいんだ。付き合ってられないね」
真紅「……そう、わかったわ」
JUM「な、なんだよ……」
真紅「別に。なんでもないわ」
JUM「――ああ、そうかよ」
バタンッ!
雛苺「うゆぅ~……ジュン、怒ってたの……」
真紅「放っておきなさい。もし、私達の事を調べているのなら――私達自身で解決すべき問題だわ」
蒼星石「そうだね。ジュンくんに、余計な迷惑をかける訳にはいかないもんね」
翠星石「……むぅ~」
94: 2009/01/30(金) 21:23:30.69 ID:NxpoeUmM0
蒼星石「? どうしたんだい、翠星石?」
翠星石「……なんだか面白くねーです」
蒼星石「えっ?」
翠星石「だってですね――」
翠星石「真紅は視線を感じて――」
真紅「ええ、そうね」
翠星石「蒼星石と、チビ苺は黒いオババを見てるんですよ?」
雛苺「……なんだか、生きてる人に見えなかったの」
蒼星石「黒い服に銀髪だけど――水銀燈みたいに感情があるようには見えなかったね」
翠星石「……むう~! どうして翠星石は何もねーんですか!?」
一同「何が?」
翠星石「――あっ、そうです! ちょっと散歩に行って来るですぅ~!」ピューッ!
蒼星石「あっ、翠星石――」
翠星石「……なんだか面白くねーです」
蒼星石「えっ?」
翠星石「だってですね――」
翠星石「真紅は視線を感じて――」
真紅「ええ、そうね」
翠星石「蒼星石と、チビ苺は黒いオババを見てるんですよ?」
雛苺「……なんだか、生きてる人に見えなかったの」
蒼星石「黒い服に銀髪だけど――水銀燈みたいに感情があるようには見えなかったね」
翠星石「……むう~! どうして翠星石は何もねーんですか!?」
一同「何が?」
翠星石「――あっ、そうです! ちょっと散歩に行って来るですぅ~!」ピューッ!
蒼星石「あっ、翠星石――」
96: 2009/01/30(金) 21:31:40.65 ID:NxpoeUmM0
・ ・ ・
翠星石「どうして翠星石だけ何もねーんですか! 全く、なってないですぅ!」
ふわふわ
翠星石「しょうがないから、こっちから出向いてやるですぅ!」
翠星石「……それに、黒いオババを翠星石が捕まえれば、きっと――」
JUM『うわあ、凄いじゃないか翠星石! だっこしてやるぞ~!』
蒼星石『すごいや! さすが僕の姉だね翠星石!』
真紅『ローゼンメイデンに一番相応しいのは貴方よ』
雛苺『うゆ~……ヒナのうにゅーをこれからずっとあげるの~』
翠星石「――ってなるに違いありません」ニヘラ
翠星石「……さ~て、どこに隠れてやがるんですか真っ黒オババは――」
―バスン!
翠星石「――へっ?」
翠星石「どうして翠星石だけ何もねーんですか! 全く、なってないですぅ!」
ふわふわ
翠星石「しょうがないから、こっちから出向いてやるですぅ!」
翠星石「……それに、黒いオババを翠星石が捕まえれば、きっと――」
JUM『うわあ、凄いじゃないか翠星石! だっこしてやるぞ~!』
蒼星石『すごいや! さすが僕の姉だね翠星石!』
真紅『ローゼンメイデンに一番相応しいのは貴方よ』
雛苺『うゆ~……ヒナのうにゅーをこれからずっとあげるの~』
翠星石「――ってなるに違いありません」ニヘラ
翠星石「……さ~て、どこに隠れてやがるんですか真っ黒オババは――」
―バスン!
翠星石「――へっ?」
101: 2009/01/30(金) 21:39:51.76 ID:NxpoeUmM0
翠星石「ど、どうして鞄に穴が――」
バスンバスン!
翠星石「!? なんですかなんですかなんなんですか~ッ!?」ワタワタ
ヒュルルルル……ドサッ!
翠星石「あうっ!……――つつつ、下が草むらで助かったですぅ……」
全く! 一体何があったっていうんですか!?」
「ほ ほ ほ ! 随分元気が良い自動人形だね」
翠星石「!? 誰で――」
バサッ!
翠星石「うわぷっ!? 何ですかこの網は!? 翠星石は魚じゃねーですぅ!」ジタバタ
ルシール「暴れるのはおよし。その網は、いくらお前達の力でも千切れないように出来てるのさ」ニィ
翠星石「……――真っ黒……オババ」
バスンバスン!
翠星石「!? なんですかなんですかなんなんですか~ッ!?」ワタワタ
ヒュルルルル……ドサッ!
翠星石「あうっ!……――つつつ、下が草むらで助かったですぅ……」
全く! 一体何があったっていうんですか!?」
「ほ ほ ほ ! 随分元気が良い自動人形だね」
翠星石「!? 誰で――」
バサッ!
翠星石「うわぷっ!? 何ですかこの網は!? 翠星石は魚じゃねーですぅ!」ジタバタ
ルシール「暴れるのはおよし。その網は、いくらお前達の力でも千切れないように出来てるのさ」ニィ
翠星石「……――真っ黒……オババ」
105: 2009/01/30(金) 21:48:34.29 ID:NxpoeUmM0
ルシール「真っ黒オババ? おやおや、レディに向かって何て言い草だい」
翠星石「とにかく、この網をなんとかするですぅ!」
ルシール「お断りさ。特に、自動人形の頼みだしねぇ」
翠星石「……自動人形?」
ルシール「トボけるのはおよし」
きりきり…きりきり…
翠星石「? 何ですかこの音は……?」
ルシール「この音を聞いたことがないのかい。
まあ、私の名前を知らない時点で下級の自動人形って事か」
きりきり…きりきり…
翠星石「!!?」
ルシール「必氏でお願いしてごらん? そうしたら、私も残酷にはならないかもしれないよ」
きりきり…きりきり…
ムジンニィ「」
翠星石「とにかく、この網をなんとかするですぅ!」
ルシール「お断りさ。特に、自動人形の頼みだしねぇ」
翠星石「……自動人形?」
ルシール「トボけるのはおよし」
きりきり…きりきり…
翠星石「? 何ですかこの音は……?」
ルシール「この音を聞いたことがないのかい。
まあ、私の名前を知らない時点で下級の自動人形って事か」
きりきり…きりきり…
翠星石「!!?」
ルシール「必氏でお願いしてごらん? そうしたら、私も残酷にはならないかもしれないよ」
きりきり…きりきり…
ムジンニィ「」
137: 2009/01/30(金) 22:28:10.39 ID:NxpoeUmM0
翠星石「――なっ、何をするつもりですか!?」
ルシール「良いのは威勢だけかい?」
きりっ!
ムジンニィ「!」グワッ
翠星石「ひいっ!?」
ルシール「……」
きり――
ムジンニィ「」ピタッ!
翠星石「……な、なな、なん――」
ルシール「怖いかい? まだ、何もされちゃあいないのに」
翠星石「お前は……何なんですか……!?」ビクビク
ルシール「――そうだねえ、教えておいてあげようか」
ルシール「私はルシール――お前達自動人形の破壊者である『しろがね』さ」
ルシール「良いのは威勢だけかい?」
きりっ!
ムジンニィ「!」グワッ
翠星石「ひいっ!?」
ルシール「……」
きり――
ムジンニィ「」ピタッ!
翠星石「……な、なな、なん――」
ルシール「怖いかい? まだ、何もされちゃあいないのに」
翠星石「お前は……何なんですか……!?」ビクビク
ルシール「――そうだねえ、教えておいてあげようか」
ルシール「私はルシール――お前達自動人形の破壊者である『しろがね』さ」
143: 2009/01/30(金) 22:39:03.10 ID:NxpoeUmM0
翠星石「自動人形? 何の話で――」
ルシール「おだまり」ズイッ
翠星石「ひっ!?」
ルシール「いいかい、よ~くお聞き。私はお前が自分が何者かしらなくても――関係ないのさ」
翠星石「あ、う……」タジッ…
ルシール「お前のその手首のものは、この私の目だってようく見える。――人間には無い、球体関節がね」ズイッ
翠星石「く、来るなです……」ズッ…
ルシール「つまり、お前は人間じゃあない――人形って事さ。おわかりかい?」ズイッ
翠星石「こっちに来るなです――ッ!」ズッ…
ルシール「人は土に――」
きりきり…きりきり…
ルシール「人形は――歯車に」
ムジンニィ「!」
翠星石「――ッ!」
「――あらあら、なさけないわねぇ」
ルシール「おだまり」ズイッ
翠星石「ひっ!?」
ルシール「いいかい、よ~くお聞き。私はお前が自分が何者かしらなくても――関係ないのさ」
翠星石「あ、う……」タジッ…
ルシール「お前のその手首のものは、この私の目だってようく見える。――人間には無い、球体関節がね」ズイッ
翠星石「く、来るなです……」ズッ…
ルシール「つまり、お前は人間じゃあない――人形って事さ。おわかりかい?」ズイッ
翠星石「こっちに来るなです――ッ!」ズッ…
ルシール「人は土に――」
きりきり…きりきり…
ルシール「人形は――歯車に」
ムジンニィ「!」
翠星石「――ッ!」
「――あらあら、なさけないわねぇ」
147: 2009/01/30(金) 22:47:06.23 ID:NxpoeUmM0
ルシール「――どうやらお仲間が来たみたいだね」
翠星石「ど、どうしてここにいるですか!?」
水銀燈「仲間? ふん……そこで怯えているだけの子と一緒にしないでちょうだい」
翠星石「ま、まさか――翠星石を助けに……?」
水銀燈「――お馬鹿さぁん。アリスゲームの“お誘い”をしようと思ったら、偶然見かけたからよ」
翠星石「と、とりあえずこの網をなんとかするですぅ!」
水銀燈「はぁ? どうして私がそんな事をしなくちゃいけないのよ」
翠星石「んなっ!?」
水銀燈「だって、放っておけば貴方はそこでジャンクになるんでしょう?」
翠星石「ほっ、本気で言ってるですか!?」
水銀燈「あははは、当然じゃなぁい! 貴方がジャンクになった後、ゆっくりとローザミスティカを――」
ルシール「お待ち。――後から割り込んできて、随分と品の無い事を言ってるじゃないか」
水銀燈「……何ですって?」
ルシール「ほほほ、品が無い上に頭も弱いときた。所詮は人形って事だねぇ!」
水銀燈「――良い度胸じゃない」
翠星石「ど、どうしてここにいるですか!?」
水銀燈「仲間? ふん……そこで怯えているだけの子と一緒にしないでちょうだい」
翠星石「ま、まさか――翠星石を助けに……?」
水銀燈「――お馬鹿さぁん。アリスゲームの“お誘い”をしようと思ったら、偶然見かけたからよ」
翠星石「と、とりあえずこの網をなんとかするですぅ!」
水銀燈「はぁ? どうして私がそんな事をしなくちゃいけないのよ」
翠星石「んなっ!?」
水銀燈「だって、放っておけば貴方はそこでジャンクになるんでしょう?」
翠星石「ほっ、本気で言ってるですか!?」
水銀燈「あははは、当然じゃなぁい! 貴方がジャンクになった後、ゆっくりとローザミスティカを――」
ルシール「お待ち。――後から割り込んできて、随分と品の無い事を言ってるじゃないか」
水銀燈「……何ですって?」
ルシール「ほほほ、品が無い上に頭も弱いときた。所詮は人形って事だねぇ!」
水銀燈「――良い度胸じゃない」
154: 2009/01/30(金) 22:54:49.16 ID:NxpoeUmM0
ルシール「おやおや、頭にきたのかい?」
水銀燈「――人間が、いい気になるんじゃないわよ」
ルシール「私が人間?――そんなもの、とうの昔にやめてるさ」
水銀燈「そんな事はどうでも良いわ。私を侮辱した事を――後悔しなさい」
ルシール「空の上から見下ろしてるつもりで、
スカートの中を見せびらかす様なはしたない人形が笑わせるのはおよし」
水銀燈「……ジャンクにしてあげる――!」
ピシュシュシュッ!
ルシール「口だけは達者なつもりかい?」
きりいっ!
ムジンニィ「!」
ブワッ――!
水銀燈「……人間のくせにやるじゃなぁい」
ルシール「ほほほ、ルシール先生を侮るんじゃあないよ」
水銀燈「――人間が、いい気になるんじゃないわよ」
ルシール「私が人間?――そんなもの、とうの昔にやめてるさ」
水銀燈「そんな事はどうでも良いわ。私を侮辱した事を――後悔しなさい」
ルシール「空の上から見下ろしてるつもりで、
スカートの中を見せびらかす様なはしたない人形が笑わせるのはおよし」
水銀燈「……ジャンクにしてあげる――!」
ピシュシュシュッ!
ルシール「口だけは達者なつもりかい?」
きりいっ!
ムジンニィ「!」
ブワッ――!
水銀燈「……人間のくせにやるじゃなぁい」
ルシール「ほほほ、ルシール先生を侮るんじゃあないよ」
159: 2009/01/30(金) 23:02:44.75 ID:NxpoeUmM0
水銀燈「……!」
ルシール「良いねぇ、その目。私はお前達自動人形の、その敵意がこもった目は好物さ」
翠星石(な、なんだかしらないけどチャンスですぅ!)
翠星石「スィドリーム、この事を真紅達に――」
ルシール「――オイタはおよし」
翠星石「っ!?」ビクッ
ルシール「私の目は、お前達のどんな動きも――」
…スラッ
水銀燈「ふっ!」
ヒュッ―…カキインッ!
ルシール「見逃さないように出来てるのさ」
ルシール「良いねぇ、その目。私はお前達自動人形の、その敵意がこもった目は好物さ」
翠星石(な、なんだかしらないけどチャンスですぅ!)
翠星石「スィドリーム、この事を真紅達に――」
ルシール「――オイタはおよし」
翠星石「っ!?」ビクッ
ルシール「私の目は、お前達のどんな動きも――」
…スラッ
水銀燈「ふっ!」
ヒュッ―…カキインッ!
ルシール「見逃さないように出来てるのさ」
164: 2009/01/30(金) 23:10:23.85 ID:NxpoeUmM0
水銀燈「――くっ……!」
水銀燈(何よこの人間――翠星石の方に注意がいってたじゃない!)
ルシール「しろがねになり立ての若造と一緒にするでないよ。
お前達は、“観客の前じゃあ見える程にしか動けない”のは――基本的な事だろうに」
水銀燈(観客……?)
ルシール「これでも私は最古のしろがね。
お前達に関することは、忘れないし――ぬかりがないのさ」
水銀燈「……貴方――一体何者?」
ルシール「――おやおや、いくら島国とは言え、自動人形は連絡手段もないのかい?」
水銀燈(何よこの人間――翠星石の方に注意がいってたじゃない!)
ルシール「しろがねになり立ての若造と一緒にするでないよ。
お前達は、“観客の前じゃあ見える程にしか動けない”のは――基本的な事だろうに」
水銀燈(観客……?)
ルシール「これでも私は最古のしろがね。
お前達に関することは、忘れないし――ぬかりがないのさ」
水銀燈「……貴方――一体何者?」
ルシール「――おやおや、いくら島国とは言え、自動人形は連絡手段もないのかい?」
168: 2009/01/30(金) 23:17:40.64 ID:NxpoeUmM0
・ ・ ・
真紅「翠星石……遅いわね」
蒼星石「鞄も無いし――どこまで行ったんだろう」
雛苺「も、もしかして、あの黒いおばあさんに――」
真紅「……探しに行きましょう」
蒼星石・雛苺「えっ?」
真紅「翠星石が、貴方達が言っている――黒いおばあさんを探しに行ったのは明白だわ」
蒼星石「うん、彼女のあの勢いだったら……まず、間違いないと思う」
雛苺「うゆぅ~……でも、でも……」
真紅「雛苺。貴方はここで待っていても構わないわ。――なんだか嫌な予感がするの」
蒼星石「僕は行くよ。だって、彼女は僕の双子の姉だからね」
雛苺「う、うゆううぅ~~~……」
真紅「急ぎましょう」
ヒュッ――!
蒼星石「そうだね」
ヒュッ――!
雛苺「うゆぅ、う、うう……雛も行く~!」
ピュ~!
真紅「翠星石……遅いわね」
蒼星石「鞄も無いし――どこまで行ったんだろう」
雛苺「も、もしかして、あの黒いおばあさんに――」
真紅「……探しに行きましょう」
蒼星石・雛苺「えっ?」
真紅「翠星石が、貴方達が言っている――黒いおばあさんを探しに行ったのは明白だわ」
蒼星石「うん、彼女のあの勢いだったら……まず、間違いないと思う」
雛苺「うゆぅ~……でも、でも……」
真紅「雛苺。貴方はここで待っていても構わないわ。――なんだか嫌な予感がするの」
蒼星石「僕は行くよ。だって、彼女は僕の双子の姉だからね」
雛苺「う、うゆううぅ~~~……」
真紅「急ぎましょう」
ヒュッ――!
蒼星石「そうだね」
ヒュッ――!
雛苺「うゆぅ、う、うう……雛も行く~!」
ピュ~!
176: 2009/01/30(金) 23:27:25.57 ID:NxpoeUmM0
・ ・ ・
ルシール「――まあ、いいさ」
きりきり…きりきり…
ムジンニィ「」
ルシール「これからのあんた達には――関係のない事だからね」
きりきり…きりきり…
水銀燈「くっ……!」
翠星石「ひっ……!?」
水銀燈(この人間――普通じゃないわ。一旦ここは離れて、翠星石のローザミスティカを後で取りに……)
翠星石(どどっ、どうしたら良いんですか!? 蒼星石……ジュン――!)
ルシール「さあ……閉幕といこうじゃないか……」
きりきり…きりきり…
ルシール「――まあ、いいさ」
きりきり…きりきり…
ムジンニィ「」
ルシール「これからのあんた達には――関係のない事だからね」
きりきり…きりきり…
水銀燈「くっ……!」
翠星石「ひっ……!?」
水銀燈(この人間――普通じゃないわ。一旦ここは離れて、翠星石のローザミスティカを後で取りに……)
翠星石(どどっ、どうしたら良いんですか!? 蒼星石……ジュン――!)
ルシール「さあ……閉幕といこうじゃないか……」
きりきり…きりきり…
180: 2009/01/30(金) 23:36:06.87 ID:NxpoeUmM0
ムジンニィ「」
翠星石「~~~ッ!」
水銀燈(――翠星石にあのデカブツが仕掛けてる内に――!)
ルシール「――逃げられると思うのはおよし」
水銀燈「っ!?」ピタッ
ルシール「とりあえず……おやり、ムジンニィ」
きりいっ!
ムジンニィ「!」
グワアッ――
翠星石「ジュン――!」
―ガキインッ!
翠星石「……!…………?」
蒼星石「――間に合ったみたいで良かったよ。……とりあえず、今のは内緒にしておくね」
翠星石「~~~ッ!」
水銀燈(――翠星石にあのデカブツが仕掛けてる内に――!)
ルシール「――逃げられると思うのはおよし」
水銀燈「っ!?」ピタッ
ルシール「とりあえず……おやり、ムジンニィ」
きりいっ!
ムジンニィ「!」
グワアッ――
翠星石「ジュン――!」
―ガキインッ!
翠星石「……!…………?」
蒼星石「――間に合ったみたいで良かったよ。……とりあえず、今のは内緒にしておくね」
184: 2009/01/30(金) 23:43:25.95 ID:NxpoeUmM0
翠星石「蒼星石ッ!」
―ふわっ
真紅「――どうやら、嫌な予感は当たっていたようね」
雛苺「翠星石! 大丈夫なの!?」
翠星石「真紅に――チビ苺まで!」
真紅「水銀燈……貴方が翠星石を守ってくれたのね」
水銀燈「はぁ? 何を甘い事を言ってるのよ真紅。そんなわけないじゃなぁい」
真紅「――そうかもしれないけれど、結果的に貴方は彼女を助けたわ。……ありがとう」
水銀燈「……気味が悪いからやめなさい。なんなら、今すぐにでもアリスゲームをはじめても良いのよぉ?」
蒼星石「二人共、とりあえず今は……」
ルシール「……」
水銀燈「――そうねぇ。あの人間をジャンクにするのが先よねぇ」
真紅「人間。一体どうしてこんな真似を――」
ルシール「ほ ほ ほ ほ ほ ! 五体も自動人形が出てくるとは、さすがに驚いたよ!」
―ふわっ
真紅「――どうやら、嫌な予感は当たっていたようね」
雛苺「翠星石! 大丈夫なの!?」
翠星石「真紅に――チビ苺まで!」
真紅「水銀燈……貴方が翠星石を守ってくれたのね」
水銀燈「はぁ? 何を甘い事を言ってるのよ真紅。そんなわけないじゃなぁい」
真紅「――そうかもしれないけれど、結果的に貴方は彼女を助けたわ。……ありがとう」
水銀燈「……気味が悪いからやめなさい。なんなら、今すぐにでもアリスゲームをはじめても良いのよぉ?」
蒼星石「二人共、とりあえず今は……」
ルシール「……」
水銀燈「――そうねぇ。あの人間をジャンクにするのが先よねぇ」
真紅「人間。一体どうしてこんな真似を――」
ルシール「ほ ほ ほ ほ ほ ! 五体も自動人形が出てくるとは、さすがに驚いたよ!」
190: 2009/01/30(金) 23:52:28.49 ID:NxpoeUmM0
・ ・ ・
「――けれど、その程度の性能で何とかなるとお思いかい?」
金糸雀「……」コソッ
金糸雀(急いで三人の後を追いかけて来たけど――)
「しかも、そのサイズじゃ大したギミックもなさそうだね」
金糸雀「……」コソコソッ
金糸雀(アイツは一体――何なのかしら!? なんだか指で大きい人形を操ってるみたいだけど……)
「誰からダンスを踊ってくれるんだい? 全員一緒にでも私は構わないよ」ニィィ
金糸雀「……」コソリ
金糸雀(……――と、とにかくここは、隠れて相手の出方を待つかしら! 出来ればずっとこのま――)
「そこに隠れてるオチビさんからでも構わないよ」ギョロリ
金糸雀「……――か、カナはここには居ないかしら~……」コソコソッ
「――けれど、その程度の性能で何とかなるとお思いかい?」
金糸雀「……」コソッ
金糸雀(急いで三人の後を追いかけて来たけど――)
「しかも、そのサイズじゃ大したギミックもなさそうだね」
金糸雀「……」コソコソッ
金糸雀(アイツは一体――何なのかしら!? なんだか指で大きい人形を操ってるみたいだけど……)
「誰からダンスを踊ってくれるんだい? 全員一緒にでも私は構わないよ」ニィィ
金糸雀「……」コソリ
金糸雀(……――と、とにかくここは、隠れて相手の出方を待つかしら! 出来ればずっとこのま――)
「そこに隠れてるオチビさんからでも構わないよ」ギョロリ
金糸雀「……――か、カナはここには居ないかしら~……」コソコソッ
191: 2009/01/30(金) 23:53:42.26 ID:NxpoeUmM0
一服
200: 2009/01/31(土) 00:10:51.54 ID:TPOkldCf0
真紅「金糸雀?」
金糸雀「だ、誰のことかしら?」
翠星石「お前に決まってるですチビカナ!」
金糸雀「か、カナはチビじゃないかしらー!……あ」
蒼星石「金糸雀、この網をどかすのを手伝ってくれないかい?」
雛苺「うゆぅ~! 全然切れないの~!」
金糸雀「……わ、わかったからしら! もう、感謝するかしら!」
水銀燈「――ふふっ……どうするつもり、人間?」
ルシール「どうする? そんなのは決まってるさ――」
きりきり…きりきり…
ルシール「ああ……嬉しいねえ。全部で六体の自動人形を闇にかえせるんだから」
きりきり…きりいっ!
ムジンニィ「!」
真紅「――来るわ!」
金糸雀「だ、誰のことかしら?」
翠星石「お前に決まってるですチビカナ!」
金糸雀「か、カナはチビじゃないかしらー!……あ」
蒼星石「金糸雀、この網をどかすのを手伝ってくれないかい?」
雛苺「うゆぅ~! 全然切れないの~!」
金糸雀「……わ、わかったからしら! もう、感謝するかしら!」
水銀燈「――ふふっ……どうするつもり、人間?」
ルシール「どうする? そんなのは決まってるさ――」
きりきり…きりきり…
ルシール「ああ……嬉しいねえ。全部で六体の自動人形を闇にかえせるんだから」
きりきり…きりいっ!
ムジンニィ「!」
真紅「――来るわ!」
206: 2009/01/31(土) 00:28:01.17 ID:TPOkldCf0
真紅がそう言った瞬間、ルシールの操るマリオネット――ムジンニィは、
その左腕のギミック――レフトハンド・ブレードを唸らせながらドール達の下へ一瞬で詰め寄った。
その巨体から、動きは鈍重だろうという想像は見事にはずれ、虚を突かれたために、
一番ムジンニィに近い位置に立っていた真紅は無防備なまま迫り来る刃を見つめる事しか出来ずにいた。
両断される。
真紅がそう思っていた――
「何ぼんやりしてるのよ真紅!」
――が、寸前の所でムジンニィの刃を水銀燈の剣が受け流した。
重量差のある刃を受け流すというのは用意ではなく、また、ムジンニィのスピードも相まり、
水銀燈は完全には刃を受け流すことが出来なかったのだろう。
水銀燈の持つ剣の刃は無残な程に欠け、既に“剣”として認識するには難しい存在になっていた。
「――ごめんなさい、水銀燈。……ありがとう」
「ふん! 今はそんな場合じゃないわぁ」
今の一瞬の攻防でドール達は理解した。
目の前に立つ人形は――自分たちよりも強い“力”を持っている、と。
「ほほほほほ、今のを受け流したのかい。――なら、次はもう少し速度を上げようかねぇ」
そして、それを操る黒衣の老婆は、自分たちが考えている人間とは違うものだ、と。
ドール達が抱いた感想は間違っていない。
ルシールは――人間である事をとうの昔にやめていたのだから。
210: 2009/01/31(土) 00:34:37.11 ID:TPOkldCf0
蒼星石「――よしっ、これで大丈夫!」
雛苺「とれたのー!」
金糸雀「も、もう帰ってもいいかしら!?」
ばさっ!
翠星石「……――ふっふっふ――翠星石も反撃開始ですぅ!」
ルシール「おやおや、さっきまで怖がってたのに、もう平気なのかい?」ニヤァ
翠星石「うるさいです黙るですぅ! 庭師のジョウロが使えればお前なんか――」
蒼星石「す、翠星石! さすがにそれはまずいよ!」
翠星石「ええい、止めるんじゃありません!」
蒼星石「ここはnのフィールドじゃないんだよ!? こんな場所で使ったら大変な事になっちゃうよ!」
ルシール「へえ……そこのボウヤは中々冷静なようだね」
蒼星石「……――翠星石。僕が隙をつくるからその間に……」
翠星石「わかったですぅ! 任せましたよ、蒼星石!」
雛苺「とれたのー!」
金糸雀「も、もう帰ってもいいかしら!?」
ばさっ!
翠星石「……――ふっふっふ――翠星石も反撃開始ですぅ!」
ルシール「おやおや、さっきまで怖がってたのに、もう平気なのかい?」ニヤァ
翠星石「うるさいです黙るですぅ! 庭師のジョウロが使えればお前なんか――」
蒼星石「す、翠星石! さすがにそれはまずいよ!」
翠星石「ええい、止めるんじゃありません!」
蒼星石「ここはnのフィールドじゃないんだよ!? こんな場所で使ったら大変な事になっちゃうよ!」
ルシール「へえ……そこのボウヤは中々冷静なようだね」
蒼星石「……――翠星石。僕が隙をつくるからその間に……」
翠星石「わかったですぅ! 任せましたよ、蒼星石!」
212: 2009/01/31(土) 00:42:02.24 ID:TPOkldCf0
ルシール「――それを許すとお思いかい?」
きりいっ!
ムジンニィ「!」
ブワッ――
真紅「くっ――」
水銀燈「ちいっ――」
蒼星石「!?」
翠星石「こっ、こっちに来たですぅ!?」
ルシール「まずは――二体」
きりい…っ
ルシール「!?」
ムジンニィ「…!」
ゴッ―!
蒼星石「うぐうっ!?」
翠星石「いうっ!?」
…ドサッ
きりいっ!
ムジンニィ「!」
ブワッ――
真紅「くっ――」
水銀燈「ちいっ――」
蒼星石「!?」
翠星石「こっ、こっちに来たですぅ!?」
ルシール「まずは――二体」
きりい…っ
ルシール「!?」
ムジンニィ「…!」
ゴッ―!
蒼星石「うぐうっ!?」
翠星石「いうっ!?」
…ドサッ
215: 2009/01/31(土) 00:49:51.89 ID:TPOkldCf0
真紅「翠星石、蒼星石!」
水銀燈「――使えない妹達ねぇ」
翠星石・蒼星石「……」
ルシール「――中々面白いギミックを持ってるじゃないか。
数を減らそうと思ったんだけれど、遊びが過ぎたみたいだねぇ」
雛苺「……う、ううっ……!」
ルシール「マリオネットの糸に――わだちを絡ませて動きを鈍くする、か。
確かにそれは効果的さ。……けれどね」
きりきり…きりきり
ルシール「手品の種っていうのは、一度割れたらそれまでのものだよ」
きりいっ!
ムジンニィ「!」
―ぶつんっ!
ルシール「――そろそろ閉幕にしようか」
水銀燈「――使えない妹達ねぇ」
翠星石・蒼星石「……」
ルシール「――中々面白いギミックを持ってるじゃないか。
数を減らそうと思ったんだけれど、遊びが過ぎたみたいだねぇ」
雛苺「……う、ううっ……!」
ルシール「マリオネットの糸に――わだちを絡ませて動きを鈍くする、か。
確かにそれは効果的さ。……けれどね」
きりきり…きりきり
ルシール「手品の種っていうのは、一度割れたらそれまでのものだよ」
きりいっ!
ムジンニィ「!」
―ぶつんっ!
ルシール「――そろそろ閉幕にしようか」
222: 2009/01/31(土) 01:20:12.79 ID:TPOkldCf0
・ ・ ・
巨大なマリオネットの立てるキリキリという音だけが聞こえていた。
この人間は何者なのだろうか?
その疑問を口にしようとしたが、意味の無いことだと思い瞼を閉じた。
既に両腕は取れ、脚も半分砕け散っていた。
「“しろがね”にも時間制限はある。――次は新入りの面倒を見なきゃいけないんで、私は忙しいのさ」
老婆の独白が聞こえたが、それを意図的に聞き流した。
アリスゲームが――まさかこんな形で決着を迎えてしまうとは思ってもいなかった。
今頃、ジュンは皆の帰りが遅いと心配しているだろうか?
「土は土に、灰は灰に――」
――ああ、ジュン。
「……忌まわしき人形は――歯車に」
――……貴方のいれた紅茶を飲みた――
・ ・ ・
これにて物語は閉幕です。
紳士淑女の皆々様方、物を投げないでくださいますと助かります。
それでは、次の幕までさようなら――
巨大なマリオネットの立てるキリキリという音だけが聞こえていた。
この人間は何者なのだろうか?
その疑問を口にしようとしたが、意味の無いことだと思い瞼を閉じた。
既に両腕は取れ、脚も半分砕け散っていた。
「“しろがね”にも時間制限はある。――次は新入りの面倒を見なきゃいけないんで、私は忙しいのさ」
老婆の独白が聞こえたが、それを意図的に聞き流した。
アリスゲームが――まさかこんな形で決着を迎えてしまうとは思ってもいなかった。
今頃、ジュンは皆の帰りが遅いと心配しているだろうか?
「土は土に、灰は灰に――」
――ああ、ジュン。
「……忌まわしき人形は――歯車に」
――……貴方のいれた紅茶を飲みた――
・ ・ ・
これにて物語は閉幕です。
紳士淑女の皆々様方、物を投げないでくださいますと助かります。
それでは、次の幕までさようなら――
223: 2009/01/31(土) 01:21:26.21 ID:TPOkldCf0
駄目だああああああああああああああ!!!!
持ってくる時期を間違えたあああああああああああああああ!!!!11111111
持ってくる時期を間違えたあああああああああああああああ!!!!11111111
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