303: 2014/12/24(水) 12:09:50.22 ID:WxJ9mDfj0
308: 2014/12/24(水) 22:16:40.23 ID:WxJ9mDfj0
まとめて五つ一気に投下します
309: 2014/12/24(水) 22:17:16.34 ID:WxJ9mDfj0
「ねぇ、隼鷹」
「何?」
「皆サンタコスよね?」
「だねぇ」
「――何で私達、ドレスなの?」
「シャンパン飲んでりゃ絵になるからだってさ」
「楽といえば楽だけど、ずっとこの恰好で外でシャンパン飲んでられる訳無いじゃない……」
「シャンパンじゃなくて熱燗飲めばいんじゃね?」
「ドレスで熱燗飲んでどうすんのよ」
「大丈夫大丈夫、ちゃんと売り子やってりゃ漣も文句言わないって」
「そもそもここじゃ、熱燗用意出来ないし」
「マジで寒いんだから現実逃避ぐらいいいじゃんかよぉ……」
「……何かごめん」
――すいません、一杯頂けますか?
「あっ、はい。少々お待ちください」
「よろしければあちらにシャンパンに合う軽食もありますので、そちらもどうぞ」
――ありがとう、見てきます。
「お待たせしました、どうぞ」
「ありがとうございました、ごゆっくりなさって下さいね」
「――猫被るのも慣れたもんよね」
「そこは素ってことにしとこうぜ」
「素なら胸元にしか目がいかないような奴爆撃するに決まってるじゃない」
「おっかないねぇ、飛鷹ってば」
「……提督、早く覗きに来なさいよ」
「飲ませて酔わせりゃここにずっと居させられっかもよ?」
「それは……ありね」
(アタシは冗談のつもりだったんだけどな……まっ、いっか)
――――お前等、寒そうだな……。
――――あー! 提督ー! 熱燗持ってきてー!
――――開口一番酒かよ。
――――しょうがないじゃない、寒いのよ……。
「何?」
「皆サンタコスよね?」
「だねぇ」
「――何で私達、ドレスなの?」
「シャンパン飲んでりゃ絵になるからだってさ」
「楽といえば楽だけど、ずっとこの恰好で外でシャンパン飲んでられる訳無いじゃない……」
「シャンパンじゃなくて熱燗飲めばいんじゃね?」
「ドレスで熱燗飲んでどうすんのよ」
「大丈夫大丈夫、ちゃんと売り子やってりゃ漣も文句言わないって」
「そもそもここじゃ、熱燗用意出来ないし」
「マジで寒いんだから現実逃避ぐらいいいじゃんかよぉ……」
「……何かごめん」
――すいません、一杯頂けますか?
「あっ、はい。少々お待ちください」
「よろしければあちらにシャンパンに合う軽食もありますので、そちらもどうぞ」
――ありがとう、見てきます。
「お待たせしました、どうぞ」
「ありがとうございました、ごゆっくりなさって下さいね」
「――猫被るのも慣れたもんよね」
「そこは素ってことにしとこうぜ」
「素なら胸元にしか目がいかないような奴爆撃するに決まってるじゃない」
「おっかないねぇ、飛鷹ってば」
「……提督、早く覗きに来なさいよ」
「飲ませて酔わせりゃここにずっと居させられっかもよ?」
「それは……ありね」
(アタシは冗談のつもりだったんだけどな……まっ、いっか)
――――お前等、寒そうだな……。
――――あー! 提督ー! 熱燗持ってきてー!
――――開口一番酒かよ。
――――しょうがないじゃない、寒いのよ……。
310: 2014/12/24(水) 22:17:43.34 ID:WxJ9mDfj0
「皆、ちゃんと並んでね。ほらそこ、割り込みなんてしちゃダメよ! 良い子にしてないとサンタさんはプレゼントをくれないわ」
「あなた、迷子なの? 大丈夫、私が居るから心配しないで。すぐにお母さんを見付けてあげるからね」
「私は雷よ、サンタさんじゃないわ。プレゼントが欲しい子はこの列に並んでね」
「おばあちゃん、そんな薄着で寒くない? 待ってて、温かいお茶とカイロを持ってくるから」
「雷、そろそろ交代するよ」
「あっ響、もうそんな時間?」
「大変だったみたいだね」
「大変は大変だったけど、色んな人から“ありがとう”って言われて凄く嬉しかったわ」
「それはいいな、やりがいがありそうだ」
「暁達は?」
「さっきまで龍驤達のショーを見てたよ。雷も行ってみるといい」
「そうするわ。じゃあ響も頑張ってね」
「了解」
――――雷、お疲れ様なのです。
――――アレ、暁は?
――――あそこでトナカイクッキー貰える列に並んでるのです。
――――子供に混じっててもあんまり違和感無いわね……。
「あなた、迷子なの? 大丈夫、私が居るから心配しないで。すぐにお母さんを見付けてあげるからね」
「私は雷よ、サンタさんじゃないわ。プレゼントが欲しい子はこの列に並んでね」
「おばあちゃん、そんな薄着で寒くない? 待ってて、温かいお茶とカイロを持ってくるから」
「雷、そろそろ交代するよ」
「あっ響、もうそんな時間?」
「大変だったみたいだね」
「大変は大変だったけど、色んな人から“ありがとう”って言われて凄く嬉しかったわ」
「それはいいな、やりがいがありそうだ」
「暁達は?」
「さっきまで龍驤達のショーを見てたよ。雷も行ってみるといい」
「そうするわ。じゃあ響も頑張ってね」
「了解」
――――雷、お疲れ様なのです。
――――アレ、暁は?
――――あそこでトナカイクッキー貰える列に並んでるのです。
――――子供に混じっててもあんまり違和感無いわね……。
311: 2014/12/24(水) 22:18:13.01 ID:WxJ9mDfj0
「待機という言葉にも、すっかり抵抗が無くなったな」
「そうですね」
「大和は完全武装か」
「サンタの恰好は少し恥ずかしいですけど、せっかくの皆で楽しむクリスマスですから」
「そうだな、全力で楽しむのが一番アイツも喜ぶだろうさ」
「――あの、武蔵」
「何だ?」
「赤鼻とトナカイの角、今は外しててもらってもいい? 思わず笑ってしまいそうで……」
「待機中とはいえ、これも立派な武装だ。外す訳にはいかんよ」
「提督がいらしても?」
「当然だな」
「そうですか……あちらでお腹を抱えて笑い堪えるのに必氏みたいよ?」
「……意地でも外さん」
――――何でお前だけトナカイなんだよ……。
――――サンタの恰好だと上も着ろと言われたからな、これなら上を着ずともおかしくはない。
――――いや、違う意味でおかしいからな?
――――たまにはウケというのを狙ってるのも一興だろ?
――――清霜が見てはいけないものを見たって感じでさっき通りすぎたけどな。
「そうですね」
「大和は完全武装か」
「サンタの恰好は少し恥ずかしいですけど、せっかくの皆で楽しむクリスマスですから」
「そうだな、全力で楽しむのが一番アイツも喜ぶだろうさ」
「――あの、武蔵」
「何だ?」
「赤鼻とトナカイの角、今は外しててもらってもいい? 思わず笑ってしまいそうで……」
「待機中とはいえ、これも立派な武装だ。外す訳にはいかんよ」
「提督がいらしても?」
「当然だな」
「そうですか……あちらでお腹を抱えて笑い堪えるのに必氏みたいよ?」
「……意地でも外さん」
――――何でお前だけトナカイなんだよ……。
――――サンタの恰好だと上も着ろと言われたからな、これなら上を着ずともおかしくはない。
――――いや、違う意味でおかしいからな?
――――たまにはウケというのを狙ってるのも一興だろ?
――――清霜が見てはいけないものを見たって感じでさっき通りすぎたけどな。
312: 2014/12/24(水) 22:18:43.86 ID:WxJ9mDfj0
「大盛況だね、朧ちゃん」
「うん、まだまだ頑張る」
「後どのぐらい焼けそうかな?」
「後五十枚は焼ける、多分」
「分かった、曙ちゃんに伝えてくるね」
「潮、コレ二人の分、持っていって」
「ありがとう、ヲーちゃんもお手伝いありがとね」
「ヲッ! トッピング頑張ル!」
「じゃあまた後で」
――ウィンタークラブ朧スペシャル二枚注文入ったわよー!
「朧、注文来タ」
「うん、ヲーちゃんは具材準備して、朧はピザ生地伸ばすから」
「ヲッ!」
「――注文してもいいか?」
「提督、ズルはダメ。表から注文してくれなきゃ焼かないよ」
「冗談だ、もう注文してきた。今作ってるそれが俺のだ」
「そう……じゃあ、一番美味しくなるように頑張る」
「贔屓はしていいのか?」
「デスソース、塗ってあげる」
「それ、焼くお前も大変なことになるぞ」
「冗談、多分」
「そこは言い切ってくれ」
「漣、楽しそうにしてた?」
「今も主催者として走り回ってるよ、こっちにもそのうち顔出すんじゃないか?」
「そう」
「お前はどうなんだ? 楽しめてるのか?」
「クリスマスも、他のイベントも、皆が楽しめてるなら、朧は好きです」
「そうか、なら良かった」
「――提督」
「ん?」
「メリークリスマス、ピザ生地、コレでいい?」
「メリークリスマス、珍しくていいんじゃないか、ハート型」
――――朧、サッキハ凄ク良イ笑顔ダッタ!……ドウカシタ? 朧ノ顔、今ハ凄ク赤イ。
――――ピザ焼いてるから、多分。
――――……焦ゲテルヨ?
――――あっ……。
「うん、まだまだ頑張る」
「後どのぐらい焼けそうかな?」
「後五十枚は焼ける、多分」
「分かった、曙ちゃんに伝えてくるね」
「潮、コレ二人の分、持っていって」
「ありがとう、ヲーちゃんもお手伝いありがとね」
「ヲッ! トッピング頑張ル!」
「じゃあまた後で」
――ウィンタークラブ朧スペシャル二枚注文入ったわよー!
「朧、注文来タ」
「うん、ヲーちゃんは具材準備して、朧はピザ生地伸ばすから」
「ヲッ!」
「――注文してもいいか?」
「提督、ズルはダメ。表から注文してくれなきゃ焼かないよ」
「冗談だ、もう注文してきた。今作ってるそれが俺のだ」
「そう……じゃあ、一番美味しくなるように頑張る」
「贔屓はしていいのか?」
「デスソース、塗ってあげる」
「それ、焼くお前も大変なことになるぞ」
「冗談、多分」
「そこは言い切ってくれ」
「漣、楽しそうにしてた?」
「今も主催者として走り回ってるよ、こっちにもそのうち顔出すんじゃないか?」
「そう」
「お前はどうなんだ? 楽しめてるのか?」
「クリスマスも、他のイベントも、皆が楽しめてるなら、朧は好きです」
「そうか、なら良かった」
「――提督」
「ん?」
「メリークリスマス、ピザ生地、コレでいい?」
「メリークリスマス、珍しくていいんじゃないか、ハート型」
――――朧、サッキハ凄ク良イ笑顔ダッタ!……ドウカシタ? 朧ノ顔、今ハ凄ク赤イ。
――――ピザ焼いてるから、多分。
――――……焦ゲテルヨ?
――――あっ……。
313: 2014/12/24(水) 22:19:30.91 ID:WxJ9mDfj0
「赤城、そのバレル何個目?」
「十八個目です。霞も遠慮せずに食べていいんですよ?」
「見てるだけでお腹いっぱいになったわ」
「それなら次は甘いものにしましょう」
「いや、そういう問題じゃないってば」
「でしたら、霞の行きたいところに行きませんか?」
「……青葉のとこ」
「青葉のところというと、特別記念撮影コーナーですね」
「写真、好きなんでしょ?」
「私の行きたいところではなく、霞の行きたいところでいいんですよ?」
「私も行きたいのよ」
「クリスマスぐらい、好きなことを――」
「赤城と二人で撮りたいの! 悪い!?」
「……分かりました、青葉のところですね?」
「くどいわね、だからそう言ってるじゃない」
「――ふふっ」
「何よ、急に笑いだして」
「いえ、小さくて可愛いサンタから思わぬプレゼントを貰えたものですから」
「はぁ!?」
(また、大切な思い出が増えそうね)
――――ではでは撮りますよー。
――――ちょっと赤城! 顔近いったら!
――――……ダメ、でしょうか?
――――……ほら、写るんだから笑いなさいよ。
――――(仲良き事は美しきかな、ってやつですねー)
「十八個目です。霞も遠慮せずに食べていいんですよ?」
「見てるだけでお腹いっぱいになったわ」
「それなら次は甘いものにしましょう」
「いや、そういう問題じゃないってば」
「でしたら、霞の行きたいところに行きませんか?」
「……青葉のとこ」
「青葉のところというと、特別記念撮影コーナーですね」
「写真、好きなんでしょ?」
「私の行きたいところではなく、霞の行きたいところでいいんですよ?」
「私も行きたいのよ」
「クリスマスぐらい、好きなことを――」
「赤城と二人で撮りたいの! 悪い!?」
「……分かりました、青葉のところですね?」
「くどいわね、だからそう言ってるじゃない」
「――ふふっ」
「何よ、急に笑いだして」
「いえ、小さくて可愛いサンタから思わぬプレゼントを貰えたものですから」
「はぁ!?」
(また、大切な思い出が増えそうね)
――――ではでは撮りますよー。
――――ちょっと赤城! 顔近いったら!
――――……ダメ、でしょうか?
――――……ほら、写るんだから笑いなさいよ。
――――(仲良き事は美しきかな、ってやつですねー)
315: 2014/12/24(水) 23:37:19.08 ID:WxJ9mDfj0
――――クリスマスイベント終了後、撤収中。
「コレでツリーは最後か――ん?」
「ンショ……ンショ……」
(どうやらまた、深海棲艦のようだな)
「ンショ……ンショ……イタッ」
「大丈夫か?」
「っ!? ク、来ルナ!」
「その星が欲しいのか?」
「来ルナ!」
「っ……怯えなくていい、私はお前に危害を加えたりしない」
「カエレ! 来ルナ! アッチ行ケ!」
(中々効くな、ヲーちゃんの艦載機は豆鉄砲と聞いていたのだが……)
「大丈夫だ、すぐに取ってやろう」
「来ルナァァァァッ!」
(くっ……この長門に傷を付けるとは、小さいながら大したものだ)
「嫌、来ナイデ……」
「もう少しで――よし」
「ヒッ!?……?」
「星はここに置いておく。外は危険だ、隠れるならばこの鎮守府の敷地内がいいだろう。お前の仲間も居る、会いたくなったらまた来るといい」
「……オ前ハ、私ヲ追イカケナイノ?」
「追いかけずとも、待てばいいと学んだからな」
「……名前、教工口」
「長門だ」
「ナガ、ト……長門、マタ、来ル」
「あぁ、待っているぞ」
――――あら、ツリー一つ運ぶにしては遅――長門!? ちょっとどうしたのよその目!?
――――そう騒がずとも大丈夫だ。それより、提督に入渠の許可を貰ってきてくれないか?
――――分かったわ、ちょっと待ってて。詳しい話、絶対後で聞かせてもらうわよ?
――――(近いうちに、またここの住人が増えるのか。胸が熱いな)
――――???が鎮守府敷地内で度々確認されるようになりました。
「コレでツリーは最後か――ん?」
「ンショ……ンショ……」
(どうやらまた、深海棲艦のようだな)
「ンショ……ンショ……イタッ」
「大丈夫か?」
「っ!? ク、来ルナ!」
「その星が欲しいのか?」
「来ルナ!」
「っ……怯えなくていい、私はお前に危害を加えたりしない」
「カエレ! 来ルナ! アッチ行ケ!」
(中々効くな、ヲーちゃんの艦載機は豆鉄砲と聞いていたのだが……)
「大丈夫だ、すぐに取ってやろう」
「来ルナァァァァッ!」
(くっ……この長門に傷を付けるとは、小さいながら大したものだ)
「嫌、来ナイデ……」
「もう少しで――よし」
「ヒッ!?……?」
「星はここに置いておく。外は危険だ、隠れるならばこの鎮守府の敷地内がいいだろう。お前の仲間も居る、会いたくなったらまた来るといい」
「……オ前ハ、私ヲ追イカケナイノ?」
「追いかけずとも、待てばいいと学んだからな」
「……名前、教工口」
「長門だ」
「ナガ、ト……長門、マタ、来ル」
「あぁ、待っているぞ」
――――あら、ツリー一つ運ぶにしては遅――長門!? ちょっとどうしたのよその目!?
――――そう騒がずとも大丈夫だ。それより、提督に入渠の許可を貰ってきてくれないか?
――――分かったわ、ちょっと待ってて。詳しい話、絶対後で聞かせてもらうわよ?
――――(近いうちに、またここの住人が増えるのか。胸が熱いな)
――――???が鎮守府敷地内で度々確認されるようになりました。
316: 2014/12/24(水) 23:42:56.55 ID:WxJ9mDfj0
クリスマスネタこれにて終了
明日の昼12時よりリクエストを今回は3つまで受け付けます
更新出来ない日や書き貯めたいものもあるので…
明日の昼12時よりリクエストを今回は3つまで受け付けます
更新出来ない日や書き貯めたいものもあるので…
338: 2014/12/25(木) 12:24:41.31 ID:W8YAe6VT0
・鳳翔&瑞鳳『玉子焼き以外』
・睦月『妹が風邪引いたのね』
・武蔵『提督と呼ばない日』
・元帥鎮守府『やり過ぎた』
・大鯨『間宮さんの着ていた服』
以上五本でお送りします
流石に3つだと少なすぎましたね…年明けまでには書きます
・睦月『妹が風邪引いたのね』
・武蔵『提督と呼ばない日』
・元帥鎮守府『やり過ぎた』
・大鯨『間宮さんの着ていた服』
以上五本でお送りします
流石に3つだと少なすぎましたね…年明けまでには書きます
344: 2014/12/26(金) 21:08:54.94 ID:ddU8J2iO0
・鳳翔&瑞鳳『玉子焼き以外』、投下します
345: 2014/12/26(金) 21:09:26.35 ID:ddU8J2iO0
――――鳳翔宅。
「玉子焼き以外、ですか?」
「そう、玉子焼き以外にも色々覚えたいなーって思って」
「そうですね、提督も喜んで下さると思いますよ」
「べ、別にそれだけが理由じゃないのよ?」
「では、教えるのは提督の好物でなくても――」
「それ! それ教え……あっ」
「色々、じゃなかったの?」
「……出来れば、提督の好きそうなのがいいかな」
「ふふっ、じゃあ早速始めましょうか」
「何の作り方を教えてくれるの?」
「そうねぇ……アレにしましょう」
「玉子焼き以外、ですか?」
「そう、玉子焼き以外にも色々覚えたいなーって思って」
「そうですね、提督も喜んで下さると思いますよ」
「べ、別にそれだけが理由じゃないのよ?」
「では、教えるのは提督の好物でなくても――」
「それ! それ教え……あっ」
「色々、じゃなかったの?」
「……出来れば、提督の好きそうなのがいいかな」
「ふふっ、じゃあ早速始めましょうか」
「何の作り方を教えてくれるの?」
「そうねぇ……アレにしましょう」
346: 2014/12/26(金) 21:10:25.20 ID:ddU8J2iO0
「後は固めれば出来上がりです」
「うん、大体流れは分かったかな。ありがとね、鳳翔さん」
「また何か覚えたくなった時は、いつでも聞きに来て下さいね」
「そうさせてもらうね。今のうちにお店の仕込みとか手伝えるなら手伝うけど、何かしようか?」
「それなら、少しお茶に付き合ってもらってもいいかしら」
「喜んで!」
「じゃあすぐに淹れますね。……あの、瑞鳳」
「?」
「そこに置いてある雑誌の付箋が付いているページ、開いてみてくれますか?」
「これ? これがどうかしたの?」
「……その服、私に似合うでしょうか」
(……ふーん、なるほどなるほど)
「鳳翔さん、明日一緒に街に行かない?」
「街、ですか? 恐らく、お昼過ぎなら時間はありますけど……」
「じゃあ決まりね」
――――これなんてどうかな?
――――少し派手ではありませんか?
――――このぐらいなら鳳翔さんの雰囲気崩れないから大丈夫だって、ね?
――――……試着だけ、してみますね。
――――(和服以外の鳳翔さん、初めて見るかも)
「うん、大体流れは分かったかな。ありがとね、鳳翔さん」
「また何か覚えたくなった時は、いつでも聞きに来て下さいね」
「そうさせてもらうね。今のうちにお店の仕込みとか手伝えるなら手伝うけど、何かしようか?」
「それなら、少しお茶に付き合ってもらってもいいかしら」
「喜んで!」
「じゃあすぐに淹れますね。……あの、瑞鳳」
「?」
「そこに置いてある雑誌の付箋が付いているページ、開いてみてくれますか?」
「これ? これがどうかしたの?」
「……その服、私に似合うでしょうか」
(……ふーん、なるほどなるほど)
「鳳翔さん、明日一緒に街に行かない?」
「街、ですか? 恐らく、お昼過ぎなら時間はありますけど……」
「じゃあ決まりね」
――――これなんてどうかな?
――――少し派手ではありませんか?
――――このぐらいなら鳳翔さんの雰囲気崩れないから大丈夫だって、ね?
――――……試着だけ、してみますね。
――――(和服以外の鳳翔さん、初めて見るかも)
355: 2014/12/28(日) 05:22:01.29 ID:4DMAPXgS0
・睦月『妹が風邪引いたのね』、投下します
長月は紛れもなく普通の風邪です
長月は紛れもなく普通の風邪です
356: 2014/12/28(日) 05:24:32.39 ID:4DMAPXgS0
――――睦月型私室。
「長月、具合はどうかにゃ?」
「あぁ、だいじょゲホッ!……大丈夫だ」
「バレバレな嘘吐かないのですよー。今日は部屋から出ちゃダメなのね」
「このぐらい何て事は無い」
「睦月の言うことを聞くのです」
「長月に命令していいのは司令官だけ――」
「聞・け・な・い・の?」
「……分かった、休もう」
「じゃあ大人しく布団に戻りましょー」
「多少咳が出るだけだ、床に着く必要は無い」
「いいから戻るのですよー」
「強引な姉だな全く……コレでいいんだな?」
「うむ、よいぞ!」
「似合わないな、そのセリフ」
「長月だって人のこと言えないのね」
「……りんご、剥いてくれ」
「ウサギさんにしてあげよっか?」
「普通でいい」
「遠慮しなくてよいのだぞー?」
「睦月がそうしたいだけじゃないのか?」
「バレてしまっては仕方無いのでウサギさんにするのです」
「まぁ食べられるなら文句は無いさ」
「長月、具合はどうかにゃ?」
「あぁ、だいじょゲホッ!……大丈夫だ」
「バレバレな嘘吐かないのですよー。今日は部屋から出ちゃダメなのね」
「このぐらい何て事は無い」
「睦月の言うことを聞くのです」
「長月に命令していいのは司令官だけ――」
「聞・け・な・い・の?」
「……分かった、休もう」
「じゃあ大人しく布団に戻りましょー」
「多少咳が出るだけだ、床に着く必要は無い」
「いいから戻るのですよー」
「強引な姉だな全く……コレでいいんだな?」
「うむ、よいぞ!」
「似合わないな、そのセリフ」
「長月だって人のこと言えないのね」
「……りんご、剥いてくれ」
「ウサギさんにしてあげよっか?」
「普通でいい」
「遠慮しなくてよいのだぞー?」
「睦月がそうしたいだけじゃないのか?」
「バレてしまっては仕方無いのでウサギさんにするのです」
「まぁ食べられるなら文句は無いさ」
357: 2014/12/28(日) 05:25:41.68 ID:4DMAPXgS0
「……ねぇ、長月」
「何だ?」
「体調が悪いなら、隠さないで欲しいのね」
「こんなものはただの風邪だ、命に関わる様なものじゃない」
「ただの風邪でも、睦月は心配なのです」
「……分かった。次からは、そうする」
「よしよし、長月は良い子なのですよ」
「んぅ、頭を撫でるな……そんなことよりもりんご、早くしてくれ」
「はい、あーん」
「自分で食べれる」
「あーん」
「食べれると言っている」
「あーん」
「…………あーん」
「はい、ウサギさん」
「――おい、このウサギ耳が片方取れているぞ」
「ちょ、ちょっと今回は失敗しちゃっただけなのね」
「全く、頼りになるのかならんのか分からん姉だ」
「むー、もっと睦月を頼って良いのだぞー?」
「気が向いたらな」
――――……寝るまで、手を握っていてくれないか?
――――それぐらいならお安いご用なのですよ。
――――あぁ……こいつは良い夢が……見れそう……。
――――(お休み、長月)
「何だ?」
「体調が悪いなら、隠さないで欲しいのね」
「こんなものはただの風邪だ、命に関わる様なものじゃない」
「ただの風邪でも、睦月は心配なのです」
「……分かった。次からは、そうする」
「よしよし、長月は良い子なのですよ」
「んぅ、頭を撫でるな……そんなことよりもりんご、早くしてくれ」
「はい、あーん」
「自分で食べれる」
「あーん」
「食べれると言っている」
「あーん」
「…………あーん」
「はい、ウサギさん」
「――おい、このウサギ耳が片方取れているぞ」
「ちょ、ちょっと今回は失敗しちゃっただけなのね」
「全く、頼りになるのかならんのか分からん姉だ」
「むー、もっと睦月を頼って良いのだぞー?」
「気が向いたらな」
――――……寝るまで、手を握っていてくれないか?
――――それぐらいならお安いご用なのですよ。
――――あぁ……こいつは良い夢が……見れそう……。
――――(お休み、長月)
359: 2014/12/28(日) 22:56:19.33 ID:4DMAPXgS0
・武蔵『提督と呼ばない日』、投下します
一騎当千の呂布みたいに羽織ればどうということはない(サラシキャストオフ)
一騎当千の呂布みたいに羽織ればどうということはない(サラシキャストオフ)
360: 2014/12/28(日) 22:56:47.72 ID:4DMAPXgS0
――――提督執務室。
「来たぞダーリン」
「・・・・・・あぁ、武蔵か」
「どうしたダーリン」
「お前こそどうした、頭でも打ったか? それとも何かの罰ゲームか?」
「私は至って正常だぞダーリン」
「鳥肌、立ってるぞ」
「ダーリンこそ、顔がひきつっているぞ」
「意地でもその呼び方続ける気か……」
「どうだダーリン、これで少しはむさぴょんと呼ばれた私の気持ちが分かっただろう」
「……悪かった、謝る。だからもうその呼び方はやめろ」
「そうだな、お互いに得が無い。長崎旅行で手を打とう」
「そういえば、まだ行ったこと無かったな」
「カステラだけは赤城が土産に持って帰って来たんで食えたんだがな、実際に長崎の街をこの目で見てみたい」
「分かった、次の秘書艦日に行けるよう調整しておく」
「数年遅れのハネムーン、というやつか」
「ハネムーン、なんて柄じゃないだろ」
「これでも私は女だぞ、そういったものに少しは興味もある」
「なら旅行中はダーリン、ハニーって呼び合うか?」
「それこそ私の柄じゃない」
「――肝心な事を思い出した」
「胸を見るのは構わんが、触りたいなら夜にしろよ? 朝からは流石に私も気が乗らんぞ」
「そうじゃない、旅行に行きたきゃ上を着ろ。この付近ではもう珍しくも無くなってるからいいが、いくらなんでも旅行先で余計な面倒事は避けたい」
「了解だ、羽織るだけなら考えておく」
「……珍しく簡単に折れたな」
「余計な面倒事で時間を割かれるのは、私も望んでいないさ。――なぁ、提督よ」
「何だ?」
――――ウェディングドレスなら……まぁ、いつでも着てやらんこともない。
――――……特注になりそうだな。
「来たぞダーリン」
「・・・・・・あぁ、武蔵か」
「どうしたダーリン」
「お前こそどうした、頭でも打ったか? それとも何かの罰ゲームか?」
「私は至って正常だぞダーリン」
「鳥肌、立ってるぞ」
「ダーリンこそ、顔がひきつっているぞ」
「意地でもその呼び方続ける気か……」
「どうだダーリン、これで少しはむさぴょんと呼ばれた私の気持ちが分かっただろう」
「……悪かった、謝る。だからもうその呼び方はやめろ」
「そうだな、お互いに得が無い。長崎旅行で手を打とう」
「そういえば、まだ行ったこと無かったな」
「カステラだけは赤城が土産に持って帰って来たんで食えたんだがな、実際に長崎の街をこの目で見てみたい」
「分かった、次の秘書艦日に行けるよう調整しておく」
「数年遅れのハネムーン、というやつか」
「ハネムーン、なんて柄じゃないだろ」
「これでも私は女だぞ、そういったものに少しは興味もある」
「なら旅行中はダーリン、ハニーって呼び合うか?」
「それこそ私の柄じゃない」
「――肝心な事を思い出した」
「胸を見るのは構わんが、触りたいなら夜にしろよ? 朝からは流石に私も気が乗らんぞ」
「そうじゃない、旅行に行きたきゃ上を着ろ。この付近ではもう珍しくも無くなってるからいいが、いくらなんでも旅行先で余計な面倒事は避けたい」
「了解だ、羽織るだけなら考えておく」
「……珍しく簡単に折れたな」
「余計な面倒事で時間を割かれるのは、私も望んでいないさ。――なぁ、提督よ」
「何だ?」
――――ウェディングドレスなら……まぁ、いつでも着てやらんこともない。
――――……特注になりそうだな。
361: 2014/12/28(日) 22:57:54.07 ID:4DMAPXgS0
・元帥鎮守府『やり過ぎた』、投下します
和を着せるなら次は洋
和を着せるなら次は洋
362: 2014/12/28(日) 22:58:24.60 ID:4DMAPXgS0
――――元帥鎮守府。
「ちょっとクソ親父! 何なのよコレ!」
「これ、ドアは静かに開けんか曙。――ふむ、可愛いドレスじゃな、自分で買ったのか? 儂は知らんぞ」
「しらばっくれんじゃないわよ! 私の服どこやったの!?」
「卯月、知っとるか?」
「うーちゃん知らないぴょん」
「そういうのいいから早く服返して、これじゃどこにも行けないじゃない……」
「今日は休暇だろう。その格好で何も問題は無いじゃないか」
「問題大有りよ! 今日は潮と二人で少し遠くまで出掛けるんだから」
「そうかそうか。だったら卯月、この前のアレを出してやったらどうじゃ?」
「了解でぇーっす。こんなこともあろうかと発注しといた曙用対大掃除特化型和服だぴょん」
(何でこんなのが元帥とその秘書艦やってて、この国大丈夫だったのかしら……)
「三角巾、竹箒、ハタキ、オプション品もバッチリ!」
「ほぅ、これはポイントが高いのぅ」
「もう小芝居はいいから服返してくれない? 潮待たせてるんだから」
「そうつれないことを言わず、老い先短い老人の頼みを聞くと思って着てみんか?」
「どこが老い先短いのよ、頃しても氏にそうに無い癖に」
「流石に首撥ねたら氏ぬぴょん」
「それは誰だって氏ぬっての」
「――実はな曙、この前健康診断で……」
「ちょっと、何よ急に真面目な顔して、騙されないわよ?」
「……治らない、そうです」
「卯月、アンタまで冗談キツ……ホント、なの?」
「信じたくはありませんが、はっきりと医者に宣告されました」
「ちょっと、え? 嘘よね……? 嘘って言ってよ……」
――全部嘘だよ、曙ちゃん。
「ちょっとクソ親父! 何なのよコレ!」
「これ、ドアは静かに開けんか曙。――ふむ、可愛いドレスじゃな、自分で買ったのか? 儂は知らんぞ」
「しらばっくれんじゃないわよ! 私の服どこやったの!?」
「卯月、知っとるか?」
「うーちゃん知らないぴょん」
「そういうのいいから早く服返して、これじゃどこにも行けないじゃない……」
「今日は休暇だろう。その格好で何も問題は無いじゃないか」
「問題大有りよ! 今日は潮と二人で少し遠くまで出掛けるんだから」
「そうかそうか。だったら卯月、この前のアレを出してやったらどうじゃ?」
「了解でぇーっす。こんなこともあろうかと発注しといた曙用対大掃除特化型和服だぴょん」
(何でこんなのが元帥とその秘書艦やってて、この国大丈夫だったのかしら……)
「三角巾、竹箒、ハタキ、オプション品もバッチリ!」
「ほぅ、これはポイントが高いのぅ」
「もう小芝居はいいから服返してくれない? 潮待たせてるんだから」
「そうつれないことを言わず、老い先短い老人の頼みを聞くと思って着てみんか?」
「どこが老い先短いのよ、頃しても氏にそうに無い癖に」
「流石に首撥ねたら氏ぬぴょん」
「それは誰だって氏ぬっての」
「――実はな曙、この前健康診断で……」
「ちょっと、何よ急に真面目な顔して、騙されないわよ?」
「……治らない、そうです」
「卯月、アンタまで冗談キツ……ホント、なの?」
「信じたくはありませんが、はっきりと医者に宣告されました」
「ちょっと、え? 嘘よね……? 嘘って言ってよ……」
――全部嘘だよ、曙ちゃん。
363: 2014/12/28(日) 22:58:51.38 ID:4DMAPXgS0
「潮……?」
「元帥なのにバカなところは氏んでも治らないってかかりつけのお医者様に言われたの。古くからの友人なんだって」
「簡単にバラすとつまらんじゃないか潮、もう少しで曙が泣きながら儂に――」
「ちょっと黙っててね嘘つきで最低なお爺さん」
「」
「フリーズしたぴょん。相変わらず潮はキツイぴょん」
「卯月ちゃん、今度リゾット作るから手伝ってね。温かいお湯を用意して待ってるから」
(笑ってるのに目が笑ってないですね……ちょっとやり過ぎたか)
「曙ちゃん、朧ちゃんが服貸してくれるみたいだから着替えて早く行こ」
「へっ? あ、あぁ、そうね。二人とも、帰ってくるまでに服は戻しときなさいよ!」
「それじゃあ行ってきます」
「……ちとやり過ぎたかのぅ?」
「素直に言えない子しか居ませんからね、ここは」
「素直に言ってもいいんじゃぞ?」
「寿命消費おめでとうございます。精々長生きして下さい」
「ひねくれとるのぅ……」
――――潮、決まった?
――――うん、ボケ防止にゲーム。
――――それ、ネタなの? 本気?
――――コレ、パーティーゲームだから。
「元帥なのにバカなところは氏んでも治らないってかかりつけのお医者様に言われたの。古くからの友人なんだって」
「簡単にバラすとつまらんじゃないか潮、もう少しで曙が泣きながら儂に――」
「ちょっと黙っててね嘘つきで最低なお爺さん」
「」
「フリーズしたぴょん。相変わらず潮はキツイぴょん」
「卯月ちゃん、今度リゾット作るから手伝ってね。温かいお湯を用意して待ってるから」
(笑ってるのに目が笑ってないですね……ちょっとやり過ぎたか)
「曙ちゃん、朧ちゃんが服貸してくれるみたいだから着替えて早く行こ」
「へっ? あ、あぁ、そうね。二人とも、帰ってくるまでに服は戻しときなさいよ!」
「それじゃあ行ってきます」
「……ちとやり過ぎたかのぅ?」
「素直に言えない子しか居ませんからね、ここは」
「素直に言ってもいいんじゃぞ?」
「寿命消費おめでとうございます。精々長生きして下さい」
「ひねくれとるのぅ……」
――――潮、決まった?
――――うん、ボケ防止にゲーム。
――――それ、ネタなの? 本気?
――――コレ、パーティーゲームだから。
364: 2014/12/28(日) 23:18:24.48 ID:4DMAPXgS0
――――提督執務室。
「決まったぞ」
「何が決まったんですか?」
「改二」
「誰の?」
「お前の」
「フユキじゃなくて?」
「そんな艦娘は居ない」
「私?」
「あぁ」
「や……や……」
「や?」
「やったあぁぁぁぁぁっ!!」
「うおっ!?」
「司令官、私、やっと、やっとぉ……」
「何も泣くことはないだろ……ほら、鼻水拭け」
「あ゛い……」
「――おめでとう、吹雪」
「今回の改二はどういった理由だ?」
『パンツ、パンツ』
「相変わらず公表出来ん理由じゃな、全く……」
「決まったぞ」
「何が決まったんですか?」
「改二」
「誰の?」
「お前の」
「フユキじゃなくて?」
「そんな艦娘は居ない」
「私?」
「あぁ」
「や……や……」
「や?」
「やったあぁぁぁぁぁっ!!」
「うおっ!?」
「司令官、私、やっと、やっとぉ……」
「何も泣くことはないだろ……ほら、鼻水拭け」
「あ゛い……」
「――おめでとう、吹雪」
「今回の改二はどういった理由だ?」
『パンツ、パンツ』
「相変わらず公表出来ん理由じゃな、全く……」
369: 2014/12/30(火) 19:07:49.69 ID:h7XIbTli0
・大鯨『間宮さんの着ていた服』、投下します
龍鳳になりますん
龍鳳になりますん
370: 2014/12/30(火) 19:08:17.10 ID:h7XIbTli0
――――食堂。
(改めて見ると、凄いデザインですね)
閉店後の食堂で一人、大鯨はとある服を広げて見つめていた。
某給糧艦曰く、一部分だけを直せば冬場は常に着てていいかもしれない着心地の服だ。
(……ちょっとだけ、わたしも着てみようかしら)
羞恥心に興味が勝り、大鯨はその服に袖を通す。既に間宮と伊良湖が自室へと戻っており、ここへは誰も来ないという安心感が彼女の行動を後押ししていた。
(――確かにこれ、着心地は凄くいいかも)
やや胸元が不安なものの、彼女の胸部装甲も中々の厚みがあり、着れないという程ではない。
店先に出る前に身だしなみをチェックする鏡の前で、大鯨はクルクルと回って全身を確認する。
「提督に見せたら、喜んでくれるでしょうか……」
保護してもらった恩、今の楽しい生活を与えてもらった恩。それを返したいと言ったら首を横に振られ、ケッコンカッコカリしたいと申し出た時もまた、彼女は首を縦に振ってはもらえずにいた。
(最初は本当に恩返しがしたいという気持ちだけでしたけど、今は……)
胸にそっと手を当て、大鯨は目を閉じて提督の顔を思い浮かべる。肌が露出しており一番冷えやすいはずのそこは、徐々に早くなる心臓の鼓動に合わせて、次第に熱を帯びていった。
(わたしも、皆と同じ提督との絆が欲しい。例えもう戦う必要が無かったとしても、あの人の為に、皆と戦える強さが欲しい……)
守られる側から、守る側へ。彼女の静かな決意の固さは、鳳翔と密かに演習して到達した練度の高さが物語っていた。
(うん、決めました。明日もう一度提督に話を――?)
目を開けて数秒、あり得ないことが起きているのに気付く。鏡越しに、誰かと視線が合っているのだ。
まるで壊れかけのブリキのロボットのように、大鯨はゆっくりと後ろを振り向き、自分の今着ている服の持ち主の顔を直に見る。
「あのね大鯨ちゃん、私はちょっと忘れ物を取りに来ただけだから、今日ここで見たものは誰にも言わないわ。だから、えっと……ごゆっくり?」
「あぅ……あ……」
次の日、大鯨が自室から出てくることは無かった。
(改めて見ると、凄いデザインですね)
閉店後の食堂で一人、大鯨はとある服を広げて見つめていた。
某給糧艦曰く、一部分だけを直せば冬場は常に着てていいかもしれない着心地の服だ。
(……ちょっとだけ、わたしも着てみようかしら)
羞恥心に興味が勝り、大鯨はその服に袖を通す。既に間宮と伊良湖が自室へと戻っており、ここへは誰も来ないという安心感が彼女の行動を後押ししていた。
(――確かにこれ、着心地は凄くいいかも)
やや胸元が不安なものの、彼女の胸部装甲も中々の厚みがあり、着れないという程ではない。
店先に出る前に身だしなみをチェックする鏡の前で、大鯨はクルクルと回って全身を確認する。
「提督に見せたら、喜んでくれるでしょうか……」
保護してもらった恩、今の楽しい生活を与えてもらった恩。それを返したいと言ったら首を横に振られ、ケッコンカッコカリしたいと申し出た時もまた、彼女は首を縦に振ってはもらえずにいた。
(最初は本当に恩返しがしたいという気持ちだけでしたけど、今は……)
胸にそっと手を当て、大鯨は目を閉じて提督の顔を思い浮かべる。肌が露出しており一番冷えやすいはずのそこは、徐々に早くなる心臓の鼓動に合わせて、次第に熱を帯びていった。
(わたしも、皆と同じ提督との絆が欲しい。例えもう戦う必要が無かったとしても、あの人の為に、皆と戦える強さが欲しい……)
守られる側から、守る側へ。彼女の静かな決意の固さは、鳳翔と密かに演習して到達した練度の高さが物語っていた。
(うん、決めました。明日もう一度提督に話を――?)
目を開けて数秒、あり得ないことが起きているのに気付く。鏡越しに、誰かと視線が合っているのだ。
まるで壊れかけのブリキのロボットのように、大鯨はゆっくりと後ろを振り向き、自分の今着ている服の持ち主の顔を直に見る。
「あのね大鯨ちゃん、私はちょっと忘れ物を取りに来ただけだから、今日ここで見たものは誰にも言わないわ。だから、えっと……ごゆっくり?」
「あぅ……あ……」
次の日、大鯨が自室から出てくることは無かった。
379: 2014/12/31(水) 02:25:49.00 ID:vz8pquiw0
――――提督執務室。
「そこ、もう少し綺麗に拭きなさいよねクソ提督」
「嫁に小言言ってくる姑かお前は」
「毎日毎日艦娘を連れ込む部屋なんだから、綺麗な方が都合が良いんじゃないの?」
「極一部で流行ってるよなその言い回し。仮にその通りだとして、今日連れ込まれてるのはお前だけど、いいのか?」
「お、大晦日に何考えてんのよこの変Oクソ提督!」
「ハタキを投げるな雑巾を投げるな台から落ちる危ない!」
「……新年、綺麗な部屋で迎えた方が気持ち良いでしょ?」
「その気合いの入ったいかにも掃除してますって服で言われたら説得力があるな」
「漣がどこからか持ってきたのよ、一着も二着も準備するのに手間は変わらないとか言いながら」
(恐らくもう一着は元帥のところか……)
「ねぇ……変じゃない、わよね?」
「いつも着てる様な服とはまた印象が変わってて良いと思うぞ、その花の髪留めとも良く合ってる」
「変かどうかだけ答えれば良かったのに……ホント、クソ提督なんだから」
(今度は洋服じゃなくて和服にしてみるか)
「手、止めてないで早くやったら?」
「りょーかい」
「そこ、もう少し綺麗に拭きなさいよねクソ提督」
「嫁に小言言ってくる姑かお前は」
「毎日毎日艦娘を連れ込む部屋なんだから、綺麗な方が都合が良いんじゃないの?」
「極一部で流行ってるよなその言い回し。仮にその通りだとして、今日連れ込まれてるのはお前だけど、いいのか?」
「お、大晦日に何考えてんのよこの変Oクソ提督!」
「ハタキを投げるな雑巾を投げるな台から落ちる危ない!」
「……新年、綺麗な部屋で迎えた方が気持ち良いでしょ?」
「その気合いの入ったいかにも掃除してますって服で言われたら説得力があるな」
「漣がどこからか持ってきたのよ、一着も二着も準備するのに手間は変わらないとか言いながら」
(恐らくもう一着は元帥のところか……)
「ねぇ……変じゃない、わよね?」
「いつも着てる様な服とはまた印象が変わってて良いと思うぞ、その花の髪留めとも良く合ってる」
「変かどうかだけ答えれば良かったのに……ホント、クソ提督なんだから」
(今度は洋服じゃなくて和服にしてみるか)
「手、止めてないで早くやったら?」
「りょーかい」
380: 2014/12/31(水) 02:26:24.75 ID:vz8pquiw0
「やっと粗方終わったわね」
「後は床掃除だな」
「じゃあ雑巾がけしてからワックスで――ってきゃあっ!?」
「曙!?」
「やっぱり、慣れない服なんか着るんじゃなかったわ……」
「見たところ怪我は無さそうだが……ずぶ濡れだな」
「寒いし気持ち悪い、着替える」
「あぁ、じゃあまた後でな」
「だから、着替えるって言ってんでしょこのクソ提督」
「……ひょっとして、ここで着替えるのか?」
「濡れたまま駆逐艦寮まで戻れっての?」
「……それもそうだな。適当にそこから合うやつを探せ」
「言われなくても分かってるわよ、あたしの買った服も何着か置いてあるもの。多少サイズがキツいかもしれないけど、それで我慢するわ」
「じゃあ着替え終わったら呼べ、外で待ってる」
「いいからクソ提督は掃除してて。その代わり、こっち向いたらタダじゃ済まさないから」
「分かった分かった。ほら、さっさと机の裏ででも着替えろ、風邪引くぞ」
(えーっと……あっ、あった。コレ、濡れると脱ぎにくいなぁ……あ)
――――あの、クソ提督……。
――――どうした? 着替え終わったのか?
――――まだこっち見んな!……その……服、貸して。
――――俺のだとデカ過ぎるだろ。
――――いいから貸しなさいよクソ提督!
「後は床掃除だな」
「じゃあ雑巾がけしてからワックスで――ってきゃあっ!?」
「曙!?」
「やっぱり、慣れない服なんか着るんじゃなかったわ……」
「見たところ怪我は無さそうだが……ずぶ濡れだな」
「寒いし気持ち悪い、着替える」
「あぁ、じゃあまた後でな」
「だから、着替えるって言ってんでしょこのクソ提督」
「……ひょっとして、ここで着替えるのか?」
「濡れたまま駆逐艦寮まで戻れっての?」
「……それもそうだな。適当にそこから合うやつを探せ」
「言われなくても分かってるわよ、あたしの買った服も何着か置いてあるもの。多少サイズがキツいかもしれないけど、それで我慢するわ」
「じゃあ着替え終わったら呼べ、外で待ってる」
「いいからクソ提督は掃除してて。その代わり、こっち向いたらタダじゃ済まさないから」
「分かった分かった。ほら、さっさと机の裏ででも着替えろ、風邪引くぞ」
(えーっと……あっ、あった。コレ、濡れると脱ぎにくいなぁ……あ)
――――あの、クソ提督……。
――――どうした? 着替え終わったのか?
――――まだこっち見んな!……その……服、貸して。
――――俺のだとデカ過ぎるだろ。
――――いいから貸しなさいよクソ提督!
384: 2014/12/31(水) 21:54:25.43 ID:vz8pquiw0
「年越しそばは全員に行き渡ったなー?」
――はーい!
「寝そうな奴はそばに撃沈しないように起こしてやれー」
――姉さん、もう少しですから頑張って。
――吾輩は……寝かけてなど……おらぬ、のじゃ……。
「七味を横の奴のそばに大量に入れようとするのはやめろよー」
――怒ってなんか……ない、ですよ?
――怒ってるぴょん! そのグーは絶対怒ってるぴょん!
「独創的なそばにアレンジするのはいいが、しっかり食えよー」
――お姉ちゃん、玉子焼き、入れる?
――せっかくだし、入れてみましょうか。
――色々試してみても、いいんじゃない?
――マスター、乗せすぎです。
「よし、じゃあ全員準備はいいな。作ってくれた間宮と材料提供してくれた鳳翔に感謝を込めて――」
『いただきます!』
――はーい!
「寝そうな奴はそばに撃沈しないように起こしてやれー」
――姉さん、もう少しですから頑張って。
――吾輩は……寝かけてなど……おらぬ、のじゃ……。
「七味を横の奴のそばに大量に入れようとするのはやめろよー」
――怒ってなんか……ない、ですよ?
――怒ってるぴょん! そのグーは絶対怒ってるぴょん!
「独創的なそばにアレンジするのはいいが、しっかり食えよー」
――お姉ちゃん、玉子焼き、入れる?
――せっかくだし、入れてみましょうか。
――色々試してみても、いいんじゃない?
――マスター、乗せすぎです。
「よし、じゃあ全員準備はいいな。作ってくれた間宮と材料提供してくれた鳳翔に感謝を込めて――」
『いただきます!』
386: 2014/12/31(水) 22:27:46.23 ID:vz8pquiw0
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります