399: 2015/01/01(木) 00:13:08.64 ID:IGroanoS0


前回はこちら

・初霜『悪というものになってみる』

・飛鷹『バカ』

・武蔵『着崩し』

・第七駆逐隊『書き初め』

・赤城『お守り』

以上五本でお送りします

フライングの方はごめんなさい…

400: 2015/01/01(木) 00:18:04.97 ID:IGroanoS0
「新年明けた途端に氏屍累々、か」

「普段から夜更かしな子は起きているようね」

「酒飲んで潰れた奴も居るし、誰が大丈夫なのか分からんな……」

「まだ飲み続けるなら、先に駆逐艦の子達を運ぶのを手伝うように言ってきます」

(浦風に背負われてる空母がいる気がするが、気にしないでおくか)

 ――あーかぐさぁんだぁ……。

 ――瑞鶴、貴女は少し酔いすぎです。翔鶴は……。

 ――すぅ……すぅ……。

 ――……本当に、手間のかかる子達ね。

(加賀も捕まったか……となると後は)

「赤城、大和、悪いが手伝ってくれ」

「了解しました」

「大和にお任せ下さい」

「――さて、俺はコイツ等をどうするかなぁ……」

「んぅ……クソてーとく……」

「しれぇ……」

「てーとくぅ……」

(……もう少し、このまま寝かせとくか)
艦隊これくしょん ‐艦これ‐ 艦娘型録
404: 2015/01/01(木) 01:43:41.14 ID:IGroanoS0
「きゅーきゅーかんばくはーあしがかわいいのよーあしがー」

「ごめんなさい、瑞鳳が壊れたテープレコーダーみたいになってるから先に戻りますね」

「うん、足元気を付けてね。千代田もお姉が那智さんと飲んでるから控え目にしとかないと……」

「キミ等は大変やね。うち等は気楽な姉妹艦居らん勢やし、帰れさえしたら問題無いから気楽やわ。なぁ鳳翔?」

「あら、たまに無理矢理押し掛けてきて、閉店しても帰らない困ったお客様は誰だったかしら」

「鳳翔の家広いし、寝る場所には困らんやん」

「次からは宿泊費としてお店を手伝ってもらいますね」

「えぇけど、うちは鳳翔程の料理の腕は無いで?」

「大丈夫です、表で呼び込みをしてもらうだけですから」

「凍えるし店目当ての客しか通らんやないかアホ!」

(何だかんだこの二人、仲良いなぁ……)

405: 2015/01/01(木) 01:44:09.09 ID:IGroanoS0
「あら? 長門、どこ行くの?」

「少し夜風に当たってくるだけだ、すぐ戻る」




「――少し、料理を取り分けておいた。多少冷めてはいるが、美味しいぞ」

「……カエレ」

「あぁ、また気配を感じたら来る。器はその辺に置いておいてくれ」




(……美味シイ……暖カイ)

409: 2015/01/01(木) 16:07:37.22 ID:IGroanoS0
「マタ、近クマデ来テルワネ」

「電波乙」

「厨二乙」

「二人共、何処デソンナ言葉覚エテキタノヨ……」

「「漣」」

(駆逐棲姫ハ良イトシテ、ヲ級ハ天然ダシ変ナ言葉ヲ教エルノハヤメテモラエナイカシラ……)

「アノ子ハ警戒心強イカラ仕方無イ。ソノウチ、安全ダト確信シタラ来ル」

「なのトてーとく、アレハ安全ト言ッテイイノカ?」

「舐メラレルノト甘噛ミサレルノニ目ヲ瞑レバ安全ヨ、生キタ心地ガシナイ時ハアルケレド」

「ソレ、離島ダケ」

「良カッタナ、ナツカレテイテ」

「嬉シクナイワヨ!」

「アノ子来タラ、賑ヤカニナリソウ」

「元カラ此処ハ賑ヤカダ」

「違イナイワネ」

412: 2015/01/02(金) 07:21:43.02 ID:lB5hXSJd0
・初霜『悪というものになってみる』 、投下します

グレるの 法則が 乱れる!

413: 2015/01/02(金) 07:22:09.36 ID:lB5hXSJd0
――――提督執務室。

「――初霜がグレた?」

「お主、何ぞ心当たりは無いかのぅ?」

「心当たり、と言われてもなぁ……」

「グレたとは言うても、さして今のままでも問題は無い可愛らしいものよ。とはいえ、やはり心配なものは心配じゃ。この件、よろしく頼みますぞ?」

「分かった、話を聞いてみる。それにしても、あの初霜がか……想像出来ん」

「あれは根が真面目じゃからのぅ、人知れず鬱憤を溜めておったのやもしれぬなぁ……」

(とにかく、話を聞かんことには始まらん。この後すぐに行ってみるか)

414: 2015/01/02(金) 07:22:41.94 ID:lB5hXSJd0
――――初春型私室。

「初霜、居るか?」

「私に何か用?」

(……何だ? 何ていうかこう、色々おかしいな)

「なぁ、何で部屋の中でサングラスかけてるんだ?」

「かけたいから」

「シガレットチョコ、袋のままくわえて楽しいか?」

「買ったものをどうしようと私の勝手でしょ」

「その虎と龍の絵のジャンパー、どこで手に入れたんだ?」

「黒潮が古着屋で大量買いした中に混じってたの」

(……グレてる、のか?)

「用が無いなら帰って、今から金剛さんのカフェでスマイルを注文して三時間粘るので忙しいの」

「榛名が余裕で三時間やりかねんから意味無いぞそれ。――で? そんなことをする理由は何だ?」

「……提督のせいよ」

「俺、何かお前の気に障る様なことしたか?」

「私の言うことを、全然守ってくれないじゃない」

「一人で外出する時には必ず同行させろって奴か? なるべく最近は一人での外出は控えてるぞ?」

「“控える”じゃなくて、“絶対にしない”ようにしてもらいたいの」

「そうは言うが、緊急で出掛ける場合もあるしなぁ……」

「守ってくれないなら、これからも悪逆非道の限りを尽くしてみせます」

(悪逆非道? スマイルで三時間粘るのが初霜の中では悪逆非道なのか……?)

「はぁ……分かった、緊急時には鎮守府放送で報せて誰かに同行を頼むようにする。可能な限り、お前にも声をかける」

「その言葉、信じていいのね……?」

「あぁ、だからその似合わないのはさっさとやめろ」

「……実はコレ、結構恥ずかしかったの」

「安心しろ、それが恥ずかしくない奴はこの鎮守府には居ない」




(若葉は悪くないと思っていたんだが……そうか、恥ずかしいのか……だが、あえて着てみるのも悪くない)




 プチ悪駆逐艦ブームが到来しました。

421: 2015/01/03(土) 11:40:39.05 ID:OXYzlMwf0
「ねのひは、可愛いだけじゃないんだよー?」

「ねのひ、カツアゲの日ー」

「初霜、ちゃんと悪い子演じられてるかなぁ……」

 ――子日ちゃん、もうそろそろ揚がりそう?

「うん、こんがりきつね色だよぉー」

 ――じゃあ十三番にお願いねー。

「はーい、ねのひ、食堂当番の日ー」




 初霜は相談する相手を間違えていたようです。

422: 2015/01/03(土) 11:42:34.09 ID:OXYzlMwf0
・飛鷹『バカ』、投下します

423: 2015/01/03(土) 11:43:16.44 ID:OXYzlMwf0
――――提督執務室。

「提督、どう? 似合ってる?」

「何だ、十二単じゃないのか」

「殴られたい?」

「冗談だ、似合ってる」

「ふふっ、ありがと」

「流石に左前とか古典的なネタの心配はいらなかったか」

「隼鷹も私もその辺はキッチリしてるから大丈夫よ。あっちは今頃飲んで着崩れまくってるかもしれないけどね……」

「全部脱がなきゃセーフってことにしておく」

「提督はこういうの着ないの?」

「悪いが俺に女装の趣味は……」

「わざと? ねぇ、わざと?」

「落ち着け飛鷹、せっかくの着物を俺の鼻血で染めるのは勿体無いだろう?」

「そんなキツく殴らないってば」

「違う、問題はそこじゃない」

「全く、年も明けたっていうのに人をからかう癖はちっとも変わらないんだから」

「からかう相手は決め――だから待て、初爆撃とかめでたくも何ともないぞ」

「……せっかくの着物なんでしょ? もう少し色々無いの?」

「髪、結わなかったんだな」

「隼鷹は結ったんだけどね、どっかの誰かさんにぐちゃぐちゃにされそうだったからやめたわ」

「そうか、少し残念だ」

「やっぱり、結った方が良かった?」

「どっちも見たかったってのが正直な感想ではある」

「じゃあ次は結ってみよっかな」

「……」

「何? 人の顔ジッと見て」

「そうして座ってると本当に深窓の令嬢って感じだな、黙ってればだが」

「口が悪くて悪かったわね……」

「せっかくだし、帯回しでもするか?」

「どこがどうなったらそういう発想にたどり着くわけ?」

「着物、綺麗な女、帯回し、そこまで突飛な発想でもない思うが」

「……やりたいの?」

「どうしてもって程にやりたくはないが、どんなものか気になってはいる」

「……しょうがないわね、付き合ってあげるわよ」



――――予想通り、短すぎて回した気にもならんな。

 ――――感想、それだけなの?

――――他にどう言えってんだ。

 ――――……バカッ!

――――ゴフッ!?

 ――――(ちょっと期待した私がバカみたいじゃない、もうっ!)

424: 2015/01/03(土) 23:23:35.28 ID:OXYzlMwf0
・武蔵『着崩し』、投下します

425: 2015/01/03(土) 23:24:03.95 ID:OXYzlMwf0
――――鎮守府、各艦種寮区域前。

「武蔵、それじゃまるで花魁ですよ?」

「五月蝿く着ろと言うから着てやったんだ、着方まで指図される筋合いは無い」

「言うだけ無駄じゃぞ大和、こやつのは一種の露出癖に近いからなぁ」

「鏡を見てから言ったらどうだ?」

「失敬な! 吾輩はちゃんと今は履いておるぞ!」

(ほとんどどんぐりの背比べじゃねぇか……)

「私は着物って走れなくてやだなー」

「貴女にとっては、落ち着きというものを学ぶ良い機会ね」

「加賀よ、お前にだけは島風も言われたくないと思うがな」

「どういう意味かしら」

「自覚していないのか? さっきから歩幅が徐々に大きくなってきているぜ」

「何々? 競歩するの?」

「……気のせいです」

「そうか、気のせいならば私は気にせず先に行かせてもらうぞ」

「やっぱりやるの? 武蔵にだって足の速さなら負けないよ!」

「新年早々賑やかな奴等だ」

「そういう木曾も振袖はしっかり着てるんですね」

「大井姉が提督が喜ぶから着ろってしつこかったんだよ、別に俺は普段着でも良かったってのに……」

 ――最後に来た奴がお汁粉を七人分運ぶってのはどうだい?

 ――いいでしょう、受けて立ちます。

 ――速さなら島風が一番だよ!

 ――うむ、異論は無いぞ。

「……お前の妹、うちの姉貴達と同類だな」

「お互い、苦労するわね」

 ――そこの二人は不戦敗でいいのか?

「仕方ねぇ、付き合ってやるか」

「戦艦大和、本気で行くわ!」

426: 2015/01/03(土) 23:24:30.56 ID:OXYzlMwf0
――――提督執務室。

「――で? お前達は新年早々何で走り込みみたいなことをやってるんだ?」

「一着は譲れません」

「どう考えても私の胸部装甲が最初にここに入っただろう」

「大和が一番ですか、とても晴れがましいですね」

「お前等の目は節穴だな、俺が一着だ」

「吾輩が一番に決まっておる」

「絶対私が一番だよ! だって速いもん!」

「……とりあえず、武蔵以外は自分の今の格好を鏡見て直してこい」

「「「「「……あ」」」」」




――――提督よ、こういう格好の私も、悪くないと思わないか?

 ――――お前、それが一番先に言いたくて競争させたのか?

――――質問に質問で返すのは野暮ってもんだぜ?

 ――――……力強くもあり、美しくもある、お前らしくていいと思うぞ。

――――ふむ……だったらもっと近くで見せてやるとしよう。

 ――――(あっ、これは多分五秒後にはここが――)




 三秒で執務室が吹き飛びました。

428: 2015/01/04(日) 04:07:15.80 ID:BK4+rqh00
・第七駆逐隊『書き初め』 、投下します

429: 2015/01/04(日) 04:07:47.89 ID:BK4+rqh00
――――第七駆逐隊私室。

「墨よーし、筆よーし」

「蟹、よし」

「蟹はいらないでしょ」

「朧ちゃんの文鎮、蟹だから」

「そんなのあるんだ」

「三人とも、書く言葉のチョイスはオケ?」

「朧は大丈夫、決まってる」

「まぁ……一応、ね」

「書くならこれかなって、思います」

「じゃあちゃちゃっとその熱いパトスをキャンバスにぶちまけちゃいましょー」

「半紙よね、コレ」

「あはは……」




「――よし、書けたわ」

「うん、良い出来」

「ちゃんとうまく書けてるでしょうか……」

「ちょっと本気出し過ぎちゃいました」

「それで、この書初めどうするの? まさかどこかに貼るなんて言わないでしょうね?」

「イグザクトリー、ご主人様の部屋に今から貼りに行きますが、何か問題でも?」

「く、クソ提督の部屋っ!?」

「漣ちゃん、それはちょっと私も恥ずかしいかなって……」

「朧はいいよ、見られても恥ずかしくないし」

「漣、そんな勝手な事許さ――って居ない!?」

「み、皆の書き初めも無くなってる……」

「漣なら、二人が戸惑ってるうちに出てったよ」

「ちょっと何で止めないのよ朧!」

「四人のを並べて貼るの、朧は賛成」

「うぅ……恥ずかしいよぉ……」

(クソ提督の部屋に私の書き初めが……? 冗談じゃないわ!)




――――私の書き初め返しなさいよ、このクソ提督!

 ――――って言ってるが、曙の書き初めはどれなんだ?

――――あーうっかり名前の部分を墨で塗りつぶしちゃったので分かりませんねー。

 ――――そうか、じゃあこの“素直になる”って書き初めも四人のうちの誰のか分からんな。

――――……私が書いたの、それじゃないけど?

 ――――……何?

430: 2015/01/04(日) 04:08:22.97 ID:BK4+rqh00
朧:『毎日楽しく』

曙:『お礼を必ず口にする』

潮:『自信をもっと持つ』

漣:『もっと素直になる』

436: 2015/01/05(月) 00:22:41.69 ID:umRNGmni0
・赤城『お守り』、投下します

赤城さんが慢心?んなばかな

437: 2015/01/05(月) 00:24:15.24 ID:umRNGmni0
――――神社。

「珍しいな、いつもならこういう時は他の奴に行く権利を譲ってたのに」

「“ご褒美”、だそうです」

「褒美、か。そりゃ受け取らなきゃ罰が当たるな」

「えぇ、ですから提督のご褒美も期待しておきますね?」

「……新年早々財布を空にするとかはやめてくれよ?」

「大丈夫です、そういったものを望んでいるわけではありませんから」

「そうか、そりゃ安心だ」

「――提督は、今年は何をお願いするんですか?」

「そうだな……全員の姉妹艦の着任でも願っとくか」

「ふふっ、今よりも更に賑やかになって毎日大変そうですね」

「そういう赤城はどうなんだ?」

「秘密です」

「おい、人に聞いといてそれは卑怯だろ」

「あっ、私達の番ですね」

(流しやがった……)

「あの、提督……」

「ん? どうした?」

「お財布を忘れてしまったみたいで、その……」

「持ち物確認を怠ったな、慢心だぞ? ほら、五円だ」

「すいません、ありがとうございます」




(全員の願いが叶いますように)

(今の幸せが、ずっと続きますように)

438: 2015/01/05(月) 00:24:43.74 ID:umRNGmni0
「どうする? 御神籤引くか?」

「そうですね、引いてみましょうか。あっでも……」

「気にするな、それぐらいは出す」

「はい、ではお言葉に甘えさせて頂きます」




(中吉……待人、必ず来る、か)

「赤城、そっちはどうだった?」

「……」

「赤城?」

「……はい? 何か言いましたか?」

「御神籤、どうだったんだ?」

「今年は大吉でした。提督はどうだったんですか?」

「中吉、まぁそこそこだ」

「では、あちらに結んでそろそろ戻りましょう」

「あぁ、じゃあどこか近場で食べて帰るとするか」

「でしたら、良いお店を知ってますのでご案内しますね」

「そりゃ期待出来るな」

「はい、とても美味しいですよ。――すいません提督、用事を思い出したので階段を降りたところで待っていて下さい」

「……分かった、下で待ってる」




――――そういえば、結局俺からのご褒美は何をやればいいんだ?

 ――――大丈夫です、もう貰いましたから。

――――……? 俺、何かやったか……?

 ――――はい、しっかりと。

439: 2015/01/05(月) 00:36:06.31 ID:umRNGmni0
それではまた五本までリクエストを受け付けます

きっと他のスレの方が争いは熾烈だと思うでち

446: 2015/01/05(月) 00:46:23.08 ID:umRNGmni0
・叢雲『別に喜んでなんかないわ』

・朝雲&山雲『悪い子じゃ無い』

・雲龍『お礼』

・野分『身体の節々が痛い……』

・五月雨&比叡『一緒に料理』

以上五本でお送りします

山雲書いたら出るよね…

454: 2015/01/05(月) 22:57:15.35 ID:umRNGmni0
叢雲『別に喜んでなんかないわ』、投下します

ケーキ食べてテンション上がる叢雲可愛い

455: 2015/01/05(月) 22:57:42.27 ID:umRNGmni0
――――提督執務室。

「はい、アンタにあげるわ」

「チョコマフィンか、作ったのか?」

「クリスマス用に買ってあった材料の処理よ」

「――ん、甘さは控え目で食いやすいな」

「アンタが文句言うから控え目にしたんじゃない」

「別に文句は言ってないぞ。毎日は絶対に無理だなって言っただけだ」

「バカが全部食べきろうとするからでしょ」

「残したらせっかく作ってくれた奴等に悪いだろ。一応、プチホールサイズには全員してくれてたしな」

「その年で糖尿病とか情けなくて目も当てられないし、まぁ精々気を付けなさい」

「健康には気を遣ってるつもりだから安心しろ」

「アンタ、脳味噌詰まってんの? 時々徹夜で書類書いてて秘書艦娘に心配かけてる癖に何が安心しろよ、バカじゃないの?」

「叢雲、上官に向かってバカとは何だバカとは。言葉遣いには気を付け――」

「論点すり替えなんかさせないわよ。第一、“クソ提督”と“クズ”と“お前”と“アンタ”に一切何も言ってこなかった上に元帥を“クソじじい”呼ばわりしてるアンタには絶対言われたくないわ」

(ぐぅの音も出ねぇ……)

「そ、そうだ叢雲、吹雪の改二が決まったが、お祝いはするのか?」

「やるわよ、当然じゃない。既に白雪達とバレない様にパーティーの準備を着々と進めてるし」

(よし、すり替えせいこ――)

「当然、もう吹雪へのプレゼントは用意してあるんでしょうね?」

「・・・・・・」

「……今すぐ出掛けるわよ、その書類を後五分で終わらせなさい」

「ちょっと待て、無茶言うな。そんなすぐに終わる書類じゃないぞコレ」

「聞こえなかったの? 終 わ ら せ な さ い」

「分かった、分かったからその物騒なモノはしまえ」

「ったく、余計な手間かけさせんじゃないっての」

「ホント、仲良いよなお前等」

「ずっと顔合わせてる相手と仲悪いのが嫌なだけ、それだけよ」

(素直じゃないな、コイツも)

「そんなことよりさっさと書類終わらせなさい、遅れたら夕飯作らないわよ?」

「その時は俺が作るとするさ」

(……それもありね)




――――叢雲、これなんてどうだ?

 ――――それだと初雪と種類が被るからやめときなさい。

――――いや、これはお前にだぞ。

 ――――……あっそ、だったらいいわ。

456: 2015/01/05(月) 23:13:52.05 ID:umRNGmni0
「提督さんからのお知らせを伝えるけぇ聞いてつかぁさい。朝雲と山雲の話は着任含めて二本分を一つにまとめて書くらしいんじゃ」

「良く出来たわ浦風、完璧ね」

「姉さん、流石にこれぐらいは誰でも出来るけぇ誉められてもあんま嬉しゅうないよ……?」

「不知火神」

「……うちが悪かった。じゃけぇあの劇のことははよう忘れてあげるんじゃ」

(アレはアレで可愛かったとも思うし、浦風も読み間違ったりしないかしら)




着任しちゃいました

465: 2015/01/07(水) 01:32:24.56 ID:oksryC4q0
――――遊技場。

「ここ、本当に鎮守府なの?」

「見紛うことなく鎮守府だ」

「あそこで霰が着ぐるみ着て風船配ってるんだけど」

「今日はペンギンだな、機嫌が良いらしい」

(私の妹ってあんな子だったっけ……?)

「基本的に駆逐艦と軽巡にここは任せてるが、ベンチで日向ぼっこしながら監視してる空母も居るから紹介しておく。ここで分からないことがあればそいつに聞くといい」

「そんなことより、ここって鎮守府として本当にちゃんと機能してるの?」

「その辺も会って聞けば分かるさ、来た頃はお前より不審がってた奴だからな」

「ふーん……本当にこんなところで待ってたら、山雲が来るのかしら……」

 ――貴女、大丈夫?

 ――はい~何とか~。

「あそこに居るのがそうなんだが、誰か介抱してるな。少し待ってから――」

「山雲!? 嘘でしょ!?」

(……手間が省けたと思えばいいのか、手間が増えたと思えばいいのか……とりあえず、間宮に一人追加って連絡しないとな)

「あら~朝雲姉久し振りね~」

「山雲、何でベンチで横になってるの?」

「コーヒーカップで回しすぎたみたい」

「朝雲姉が居る様な気がしたから来たんだけどー、面白そうなものがあったからつい乗っちゃったの~」

「私が探し回ってたっていうのに、本当にマイペースなんだから、もうっ」

「そうなの~? それはごめんなさいねー」

「……でも、また会えて良かったわ」

「山雲も~嬉しいわ~」

(……私、ひょっとしてここに居ると邪魔なのかしら)




――――山雲が着任しました。

469: 2015/01/07(水) 17:02:07.25 ID:oksryC4q0
・朝雲&山雲『悪い子じゃ無い』、投下します

470: 2015/01/07(水) 17:02:39.01 ID:oksryC4q0
――――食堂。

「司令さ~ん、私もここに住んでいいのー?」

「山雲」

「特に問題でも無い限り、ここは無条件で受け入れるからな」

「へ~じゃあお言葉にー、甘えさせてもらうわねー」

「山雲ってば」

「必要な書類とかは後で渡す。ここでの生活については朝潮達にでも聞け、姉妹艦がまだ一番聞きやすいだろ。後の細かいことは各施設の管理艦娘にでも聞くといい。秘書艦はローテーション制だからその内やってもらうが、すぐには回って来ないから安心してくれ」

「部屋割りは~どうなるのー?」

「やーまーぐーもー?」

「基本的には同型艦で一部屋だ」

「じゃあ朝雲姉もー同じ部屋なのねー、嬉しいわー」

「やーまーぐーもー!」

「朝雲姉、何かしらー?」

「ずっと抱き着かれてると料理食べにくいんだけど」

「あーん」

「自分で食べられるでしょ」

「朝雲姉がー冷たくて悲しいわー……」

「もうっ、分かったからそんな声出さないでよ。ほら、何が食べたいの?」

「そこの煮物、美味しそうねー」

「煮物ね、分かったわ」

「あー、煮物で思い出したわ~。司令さーん、家庭菜園をー作ってもいいー?」

「構わんぞ、好きにしろ。その煮物に使ってる野菜も半分はここで収穫したものだ」

「じゃあ朝雲姉、一緒に作りましょー、ねー」

「私が手伝うのは決定なんだ……まぁいいけど」

「次はーそっちのお漬け物が食べたいかしらー」

「芝漬け? たくあん?」

「たくあんがいいわー」

「野菜が好きなら鳳翔のところに行ってみるといい、新鮮な野菜を食べさせてくれるぞ」

「そうなのー? それは楽しみー」

「山雲、次は何食べたい?」

「卵かけご飯がー食べたいわー」

(……朝雲が探してた理由、何となく分かったかもしれん)




――――お前の言う通り、多少マイペース過ぎるが、悪い奴ではないな。

 ――――時々妄想の世界に入り込んじゃうこともあるけど、少ししたらちゃんと戻ってくるわ。

――――すぅ……すぅ……。

 ――――(書類は、また明日にするか)

471: 2015/01/08(木) 11:35:02.43 ID:OKljPZga0
・雲龍『お礼』、投下します

※建造時に戦闘以外に必要な一般常識とかを意図的に奪われているので若干口調や行動が突飛なものになっていたりするという設定あり

472: 2015/01/08(木) 11:35:32.69 ID:OKljPZga0
――――提督私室。

「提督、朝です」

「ん……? 雲龍、か? どうした、こんな朝早く」

「今日は私が秘書艦だから、起こしに来たの」

「それはそうだが、別に起こしに来なくてもいいんだぞ?」

「えっと……お礼」

「お礼?」

「そう、優秀な艦載機をくれたお礼。まだしてなかったから」

「アレは必要だから与えただけだ」

「……朝食、作って来たから食べて」

(朝食か……断る理由は無いな)

「有り難く食わせてもらう。着替えるから少し待っててくれ」

「着替えるのを――」

「却下というか拒否だ」

「……そう」

473: 2015/01/08(木) 11:35:59.94 ID:OKljPZga0
「簡単な物しかまだ作れないから、他の艦娘の料理より見劣りはするかもしれないけど」

「おにぎりと味噌汁だな。……うん、おにぎりと味噌汁だよな」

「おにぎりの具は、たくさん入れたから」

(確かにたくさん入ってそうだ、バレーボールぐらいあるぞコレ……)

「味噌汁は、赤と白を合わせてみたの」

「俺の好み、間宮にでも聞いたのか?」

「……食べて」

(都合が悪くなるとすぐに流すなコイツ。まぁいい、とりあえず食べるか)

「――最初の具は昆布か」

「全部で具は五種類入れたの」

「この大きさだと作るの大変だっただろ」

「おれ……秘書艦の仕事を、しただけ」

「秘書艦の仕事に“朝食を作る”は含まれてないぞ」

「味噌汁も、飲んで」

「――うん、赤が気持ち少ない気もするが、あっさりとした味に仕上がってて朝飲むにはいい」

「口に合ったのなら、良かった」

「ところで、お前は食わないのか?」

「失敗したのを食べてきたから、平気」

「……そうか」




「雲龍、ちゃんと喜んでもらえているでしょうか」

「鳳翔さん……わたし、もう食べられません……」

474: 2015/01/08(木) 11:36:17.48 ID:OKljPZga0
――――提督執務室。

「雲龍、一つ確認しておきたいんだが、お前の頭の中の秘書艦像はどうなってるんだ?」

「私、何か間違っているの?」

「チャイナ服が間違っていないなら何が間違いなんだ逆に」

「コレを着ると提督が喜ぶと聞いたのだけど」

「誰にだ?」

「飛鷹に」

(この前謝ったのにまだ根に持ってやがったなアイツ……)

「人を喜ばせるのって、難しいのね」

「艦載機の礼なら朝の食事で十分だ。もう無理に俺に何かをしようとしなくていい」

「これは、私が望んでしていることだから」

「……程々に頼む」




――――昨日はどうでしたか?

 ――――少しは喜んでくれていた……と、思う。入浴とベッドを共にするのは断られてしまったけど。

――――……雲龍、次は私に全部相談して下さい。

 ――――?

――――(流石にまだそういった知識は……いりませんよね?)

481: 2015/01/09(金) 07:49:36.67 ID:njO4BUBB0
・野分『身体の節々が痛い……』、投下します

那珂ちゃんのライブ出演者が増えました

482: 2015/01/09(金) 07:50:08.81 ID:njO4BUBB0
――――特別ダンス教室(水上)。

「野分、そこでスピン!」

「す、スピン?」

「台風をイメージして!」

「そんなこと言われても……」

「隣の那珂さんをお手本に!」

「那珂ちゃんトルネード!」

(トルネードは台風じゃなくて竜巻じゃ……それにしても、息一つ乱さずあんなに激しく動き続けられるなんて、那珂さんはやっぱり凄いわ)

「やっぱり練度の問題かな、ちょーっと動きがぎこちないんだよね」

「踊るのは今日が初めてなんだから、そんなにうまく踊れる訳無いでしょ」

「じゃあ今日から特訓だね! 那珂ちゃんのバックダンサーへの道は遠く険しいよ?」

(決定事項!?)

「大丈夫だって野分、私も一緒にやるから」

「那珂さんのライブ、天龍さんと龍田さんの演武とか長月の氷柱割りとか、前座が超人染みてるし、川内さんと神通さんも居るのにバックダンサーなんてとてもじゃないけど私には……」

「やる前から諦めんのは早いってーやろうよのわっちー」

「のわっちはやめて」

「野分ちゃんってーまだ艦娘としての演習したことないよね?」

「はい、まだしたことはありませんが……それが何か?」

「じゃあダンスの練習しながら演習もしちゃえば一石二鳥だね、那珂ちゃん天才!」

「あたしも賛成ー! 早速提督に許可取らなきゃ」

「えっ? 舞風、踊りながら演習ってどういう……」

「心配いらないよ野分、慣れればどうってことないから」

(演習で……踊る?)

483: 2015/01/09(金) 07:50:35.55 ID:njO4BUBB0
「野分ちゃん、舞風ちゃんとステップしっかり合わせてね」

「は、はい!」

「じゃあもう一回行ってみよー」

「お願いします!」




「そこでジャンプ!」

「と、跳ぶんですか!?」

「跳べない艦娘はただの艦娘、だよっ!」




「動きが遅れたらー那珂ちゃんの弾がどんどん当たっちゃうよ、キャハッ」

(本当に動きが狂った場所をピンポイントで……)




「今日はコレでおしまいだよ、明日も頑張ろうね」

「は……はい……お願い……しま……」

「あっ、顔から倒れた。野分ーだらしないぞー」

(何で、昼から夕方まであれだけ動いて平気なの……?)




――――野分、お前その大量の湿布どうしたんだ?

 ――――……司令、ここの艦娘の皆さんは凄いですね……。

――――変わった奴は多いが、頼りになるのは確かだな。

 ――――駆逐艦野分、精一杯ダンス演習をこなしてみせます!

――――(野分はそっち方向に突き抜けるのか……まぁ舞風と仲良いならそうなるよな)




 一週間後、そこには見事に練度が最高に達してダンスをマスターした野分の姿があった。

491: 2015/01/10(土) 00:15:39.92 ID:Legt71Qd0
※アニメの内容に触れています。読まれる際はご注意下さい。




「少し気合いを入れ過ぎました……」

「流石に前にやった劇とは違って、本格的でしたね」

「睦月、テレビに出れて感激ー!」

「パンチラ……練度ゼロ……うぅ……」

「カラコン毎回着けるのめんどくさいっぽいー」

「まさか浦風に出番が無いなんて……」

「姉さんも無かったねぇ」

「ごめん飛龍、出撃シーンカットになっちゃって……」

(はみ出てカットしたところって、スタッフの人に言ったら見せてもらえるのかな)

「響、何で暁のセリフの後にハラショーって言ったの?」

「アドリブでいいと言われたからだよ」

「間宮さん、あんなにあんみつ大盛りにして大丈夫なのかしら」

「アニメ放映期間中だけ、あの量で作るそうなのです」

「私も夜戦やりたかったなー」

「球磨の活躍シーンが少ないクマー」

「多摩も少ないにゃ」

「久し振りに、身体が火照ってきてしまいました」

「那珂ちゃんはーやっぱりアイドルだよ、キャハッ」

「北上さんが黙ってお手洗いに行くのなんて、私は気にしないですけど」

「大井っちーあの演技だと説得力無いよー?」

「出番? いらないねぇそんなものは」

「大和はもう出番が決まっていますから」

「この戦艦武蔵を出さないだと……? 大和は出るというのに、また秘匿扱いか……」

「ぶるまぁとやらは初めて履いたが、なかなか動きやすかったぞ」

「利根より絶対私の方がはっやーい!」

「走って汗をかくだけで傷む程、肌も髪も手入れは怠っていないのだけど……」

「私が秘書艦か……胸が熱いな」

「化粧品、収録する時は良いのを使わないとね」

「オペレーターということは、私は出撃しなくて良さそうですね」

「大淀さん以外に適役が居なかったんです」

「夕張さん、何で二人で裏方やるって言ってたのに自分はちゃっかり出てるんですか? 私も深海棲艦のCG凄い頑張ったんですよ?」

「あっ、バレてた? いいでしょ、後ろ姿ぐらい」

「朝潮達はセリフがありませんでしたね……」

「この遠さだと、パッと見ただけじゃ私なのか朝潮ちゃんなのか分からないわねぇ」

「大きな画面に小さな大潮……」

「別に私はどうでもいいわ」

「やっと会えた! 通行人Aよ、よろしくね!」

「ご、ごめんなさい、私が転けたせいで三回も撮り直すことになっちゃって……」

492: 2015/01/10(土) 00:16:15.59 ID:Legt71Qd0
「これ、結局綾波とあたし、どっちが出たカットなの?」

「どっちなんでしょうねー」

「一番先に、サービスシーンお披露目!」

「僕達三人はどうして昼間にお風呂に入っているんだろう。演習でもしていたってことなのかな……」

「村雨の、ちょっと良いとこ!……見せすぎじゃない?」

「Oh……私の日本語力が疑われてしまうネー……」

「ちょ、ちょっと抜けてるお姉様も素敵ですよ!?」

「比叡姉様、フォローになっていないかと」

「一番最初に画面に映るのが榛名で良かったのでしょうか……」

「瑞鶴の出番はいつなのかしら……」

「翔鶴姉、一話から出れていいなぁ……」

「セリフがパンパカパーンだけだと、アホな子みたいに見えないかしらー?」

「中破する為に出たボクよりはマシだと思うよ……」

493: 2015/01/10(土) 00:16:53.15 ID:Legt71Qd0
「大半が合成か水着着用の上とはいえ……吹雪のはどうにかならなかったのか?」

「成長物語って銘打ってやってますから、主人公はあぁいうダメなところを出した方がいいんです」

「いや、パンチラはダメな部分として必要ない気がするが……」

「だって視聴率をある程度取ればしざ……か、艦娘の更なるイメージアップに繋がるじゃないですか」

「夕張、後で叢雲とゆっくり話して来い」

「吹雪ちゃんには一応納得してもらったんだってばー!」




「あの出撃方法、非効率極まりないわね」

「あくまで広報活動の一環ですし、派手な方が見映えもしますから」

「“ここは譲れません”が口癖の怖そうな空母というのも納得がいかないわ」

「い、一応意味は通じてますし、戦果の凄まじさから畏怖されているだけですよ……?」

「……あたりまえ体操」

「本当にすいませんでした!」




「モーションキャプチャートカイウノ、凄イ大変、疲レタ……」

「お疲れ様、ヲーちゃん」

「何ナノアノ障壁、私ハアンナモノ使ッテナカッタワヨ」

「夕張さんが、ボスは障壁を張るものなんだって、言ってました」

「障壁ラシキモノヲ張レタノハ、アレダケダ」

(そういえば島風ちゃんがそんなこと言ってたかも……)




 製作協力:〇〇鎮守府一同

498: 2015/01/10(土) 11:56:40.20 ID:Jt8Uim4SO
乙です
俺の住んでる地域は明日の深夜から放送開始



引用: 【艦これ】大鳳「浦風が可愛い鎮守府」提督「多分一応は鎮守府」