400: 2015/03/17(火) 21:52:25.17 ID:6UsDhP6y0
401: 2015/03/17(火) 21:52:53.03 ID:6UsDhP6y0
朝の執務室で軽快に動いていた二つのペン。その片方が不意に止まり、それを手にしていた山城が立ち上がりながら口を開く。
「提督、今日はこのぐらいにしませんか?」
「まだ朝だぞ、いくらなんでも早過ぎるだろ」
「今日はこのぐらいにして、休みませんか?」
「いや、だから早い――」
その時、提督は目の前で起きる惨事を見て思い出す。
山城が同じ言葉を繰り返すのは、言うことを聞けというサインであることを。
「提督、私と一緒に今日は休みますよね?」
「あ、あぁ、そうするか……」
同意の返事に満足したのか、彼女は提督の使っていた机から離れ、二人分のお茶を淹れに行く。
その嬉しそうな後ろ姿と、実力行使によって大破した執務机を見比べ、彼は深く溜め息を吐くのだった。
「提督、今日はこのぐらいにしませんか?」
「まだ朝だぞ、いくらなんでも早過ぎるだろ」
「今日はこのぐらいにして、休みませんか?」
「いや、だから早い――」
その時、提督は目の前で起きる惨事を見て思い出す。
山城が同じ言葉を繰り返すのは、言うことを聞けというサインであることを。
「提督、私と一緒に今日は休みますよね?」
「あ、あぁ、そうするか……」
同意の返事に満足したのか、彼女は提督の使っていた机から離れ、二人分のお茶を淹れに行く。
その嬉しそうな後ろ姿と、実力行使によって大破した執務机を見比べ、彼は深く溜め息を吐くのだった。
402: 2015/03/17(火) 21:53:20.60 ID:6UsDhP6y0
「で、休むはいいけど何するんだ?」
「何でもいいですから、適当に提督が話をしてくれます?」
「適当にってなぁ……本当に何でもいいのか?」
「私や扶桑姉様の事を提督はいっぱい知ってる癖に、私達が提督のことをあまり知らないのは、不公平です」
扶桑に関してはお前が話したんだろと口から出そうになったのを呑み込み、何を話せばいいのやらと提督は思考を巡らせる。
それを一時中断させたのは、足に感じた重みだった。
「――山城、寝るなら部屋に戻れ」
「今戻ったら姉様に秘書艦の仕事はどうしたのって怒られるじゃないですか。……重いとか、言わないですよね?」
「……寝たら起こすぞ、話をせがんだのはお前なんだから」
山城は返事の代わりに、腰の辺りを軽く引っ張り早くしろと催促する。
その仕草に自然と頬が緩むと同時に、提督は今からする話を何にするかを決めるのだった。
――――散々扶桑の魅力については聞かされたし、今日は俺が知ってるお前の魅力と、俺がお前に受けた仕打ちにどう感じてたかについてでも話すとしようか。
――――この体勢でそんな話をされるなんて、不幸だわ……。
「何でもいいですから、適当に提督が話をしてくれます?」
「適当にってなぁ……本当に何でもいいのか?」
「私や扶桑姉様の事を提督はいっぱい知ってる癖に、私達が提督のことをあまり知らないのは、不公平です」
扶桑に関してはお前が話したんだろと口から出そうになったのを呑み込み、何を話せばいいのやらと提督は思考を巡らせる。
それを一時中断させたのは、足に感じた重みだった。
「――山城、寝るなら部屋に戻れ」
「今戻ったら姉様に秘書艦の仕事はどうしたのって怒られるじゃないですか。……重いとか、言わないですよね?」
「……寝たら起こすぞ、話をせがんだのはお前なんだから」
山城は返事の代わりに、腰の辺りを軽く引っ張り早くしろと催促する。
その仕草に自然と頬が緩むと同時に、提督は今からする話を何にするかを決めるのだった。
――――散々扶桑の魅力については聞かされたし、今日は俺が知ってるお前の魅力と、俺がお前に受けた仕打ちにどう感じてたかについてでも話すとしようか。
――――この体勢でそんな話をされるなんて、不幸だわ……。
406: 2015/03/19(木) 17:34:40.82 ID:+Hlt1CMR0
・飛鷹&妙高『静かに酒を』、投下します
頭が上がらない艦娘が、また二人
頭が上がらない艦娘が、また二人
407: 2015/03/19(木) 17:35:10.50 ID:+Hlt1CMR0
「鳳翔さん、こんばんは」
「あら飛鷹、いらっしゃい」
夜も更けてきた頃、居酒屋鳳翔を訪れた飛鷹。いつもならばワンセットでついてくる相方は秘書艦日のため同行しておらず、この日は彼女一人だった。
「こんばんは、飛鷹さん」
「妙高? 貴女がここに来てるなんて珍しいじゃない、一人?」
「妹達が全員用事で出掛けてしまったものですから。そういう貴女こそ、お一人でというのは珍しいですね」
「今日アイツ秘書艦日なのよ。どう? 今日は寂しく一人で飲みに来た者同士、一緒に飲まない?」
「私で良ければ、お付き合いします」
「じゃあ決まりね」
妙高の隣の席に腰を下ろし、飛鷹は日本酒を熱燗で頼む。
それに合わせるかのように妙高も残りをグイッと飲み干し、二本目の熱燗を頼んだ。
「ふぅ……」
「……」
普段はあまり交流が無いからか最初の話題が見付からず、二人の間に暫し沈黙が流れる。
「――ふふっ、二人とも姉妹と一緒じゃないと本当に静かなのね」
「騒いでるの基本的に隼鷹だけだし、一緒に騒いでるみたいに言わないでもらえません?」
「私はハメを外しすぎないようにと言い含めていたりしただけで……」
「あら、ごめんなさい」
熱燗二本と共に出された助け船に乗り、二人は少しずつ自分の姉妹艦について話し始める。
「冷蔵庫開けたら缶ビールがギッチリ詰まってた時は、本当にどうしようかと思ったわ……」
「私達の部屋では大量の酒瓶が邪魔に……あれ以上増やして、どうするつもりなのでしょうか」
「隼鷹の保管庫にでも放り込ませてもらったら?」
「絶対にやめて欲しいと言われてしまいました。“あそこに置くと呑まれる”、と」
「いくら隼鷹でも人のにまで手は出さないから大丈夫、なはず、多分、きっと……」
最初は愚痴から始まった会話。それも酒が進むにつれ、次第に自慢へと変わっていく。
普段はあまり話さない相手であるが故に、本人達には絶対に言わないようなことを口にする二人を肴にして、鳳翔はちびちびと酒を飲むのだった。
「あら飛鷹、いらっしゃい」
夜も更けてきた頃、居酒屋鳳翔を訪れた飛鷹。いつもならばワンセットでついてくる相方は秘書艦日のため同行しておらず、この日は彼女一人だった。
「こんばんは、飛鷹さん」
「妙高? 貴女がここに来てるなんて珍しいじゃない、一人?」
「妹達が全員用事で出掛けてしまったものですから。そういう貴女こそ、お一人でというのは珍しいですね」
「今日アイツ秘書艦日なのよ。どう? 今日は寂しく一人で飲みに来た者同士、一緒に飲まない?」
「私で良ければ、お付き合いします」
「じゃあ決まりね」
妙高の隣の席に腰を下ろし、飛鷹は日本酒を熱燗で頼む。
それに合わせるかのように妙高も残りをグイッと飲み干し、二本目の熱燗を頼んだ。
「ふぅ……」
「……」
普段はあまり交流が無いからか最初の話題が見付からず、二人の間に暫し沈黙が流れる。
「――ふふっ、二人とも姉妹と一緒じゃないと本当に静かなのね」
「騒いでるの基本的に隼鷹だけだし、一緒に騒いでるみたいに言わないでもらえません?」
「私はハメを外しすぎないようにと言い含めていたりしただけで……」
「あら、ごめんなさい」
熱燗二本と共に出された助け船に乗り、二人は少しずつ自分の姉妹艦について話し始める。
「冷蔵庫開けたら缶ビールがギッチリ詰まってた時は、本当にどうしようかと思ったわ……」
「私達の部屋では大量の酒瓶が邪魔に……あれ以上増やして、どうするつもりなのでしょうか」
「隼鷹の保管庫にでも放り込ませてもらったら?」
「絶対にやめて欲しいと言われてしまいました。“あそこに置くと呑まれる”、と」
「いくら隼鷹でも人のにまで手は出さないから大丈夫、なはず、多分、きっと……」
最初は愚痴から始まった会話。それも酒が進むにつれ、次第に自慢へと変わっていく。
普段はあまり話さない相手であるが故に、本人達には絶対に言わないようなことを口にする二人を肴にして、鳳翔はちびちびと酒を飲むのだった。
410: 2015/03/19(木) 20:58:53.63 ID:+Hlt1CMR0
思えば、俺はアイツの指輪を受け取りはしたが、互いに好意を口にしたことはあっただろうか。
あの日、喉元に突き付けた刃に怯むこともなく、こんなものより怖いものが山ほどあると言ったアイツの目を、今でも俺ははっきりと覚えてる。
それまでの自分を捨てる覚悟が出来ずにいた俺に、覚悟させたのはあの目だ。
たまにもう一度あの目を無性に拝みたくなるが、一向にその機会は訪れそうにない。
例えば俺が襲われて氏にかけたら、また拝めるんだろうか。
フフ、怖いかって言ったら、アイツはどんな顔をするんだろうか。
そんな考えが頭にふっと浮かぶ程度には、アイツのことが大切になっちまってるらしい。
あの龍田にまで気に入られたってんだから、俺の目に狂いは無さそうだ。
軽くなった刃と、重くなった背中。
俺達の心をアイツが守るってんなら、アイツの心は俺達が守ってやる。
――俺の名は天龍。どうだ? 俺が居たら少しも怖くないだろ?
あの日、喉元に突き付けた刃に怯むこともなく、こんなものより怖いものが山ほどあると言ったアイツの目を、今でも俺ははっきりと覚えてる。
それまでの自分を捨てる覚悟が出来ずにいた俺に、覚悟させたのはあの目だ。
たまにもう一度あの目を無性に拝みたくなるが、一向にその機会は訪れそうにない。
例えば俺が襲われて氏にかけたら、また拝めるんだろうか。
フフ、怖いかって言ったら、アイツはどんな顔をするんだろうか。
そんな考えが頭にふっと浮かぶ程度には、アイツのことが大切になっちまってるらしい。
あの龍田にまで気に入られたってんだから、俺の目に狂いは無さそうだ。
軽くなった刃と、重くなった背中。
俺達の心をアイツが守るってんなら、アイツの心は俺達が守ってやる。
――俺の名は天龍。どうだ? 俺が居たら少しも怖くないだろ?
411: 2015/03/19(木) 20:59:20.78 ID:+Hlt1CMR0
「――それで? 何でここに戻ってきちゃったの~?」
「……言ってから我に返って、気付いたら突き飛ばして逃げてたんだよ」
「あらあら、天龍ちゃんったらおバカさんなんだから~」
「うるせぇ!」
「……言ってから我に返って、気付いたら突き飛ばして逃げてたんだよ」
「あらあら、天龍ちゃんったらおバカさんなんだから~」
「うるせぇ!」
424: 2015/03/20(金) 10:56:55.84 ID:lqcXxKh60
・磯風『しれぇ』
・プリンツ『ビスマルク姉さんに怒られちゃった……』
・由良『暑さ寒さも』
・鎮圧訓練
・雷『頼り頼られ』
・陽炎&曙『何よそれ』
以上6本でお送りします
・プリンツ『ビスマルク姉さんに怒られちゃった……』
・由良『暑さ寒さも』
・鎮圧訓練
・雷『頼り頼られ』
・陽炎&曙『何よそれ』
以上6本でお送りします
427: 2015/03/21(土) 08:19:17.20 ID:8TdOGJ630
・磯風『しれぇ』 、投下します
弱いのもいれば強いのもいる、強要ダメ、絶対
弱いのもいれば強いのもいる、強要ダメ、絶対
428: 2015/03/21(土) 08:19:42.94 ID:8TdOGJ630
「――磯風、この酒は何だ?」
「腹を割って話すには、これを飲みながらが一番だと聞いた」
「飲めない人間とどうやってこれで腹を割って話すんだよ」
「司令は酒が飲めないのか?」
「全く飲めないってことはないが……そもそも、お前こそ飲めるのか?」
「この磯風が飲めないはずがない」
(自信満々だが、飲んだ経験は無しってことか……)
「とりあえず、飲むならせめて飲みやすい酒にしてくれ。コレはかなりキツい」
「分かった、司令に合わせよう」
「カクテルとかでもいいよな?」
「正直、どれがどういうものなのかさっぱりだ。好きに選んでくれて構わない」
「あぁ、そうさせてもらう」
「腹を割って話すには、これを飲みながらが一番だと聞いた」
「飲めない人間とどうやってこれで腹を割って話すんだよ」
「司令は酒が飲めないのか?」
「全く飲めないってことはないが……そもそも、お前こそ飲めるのか?」
「この磯風が飲めないはずがない」
(自信満々だが、飲んだ経験は無しってことか……)
「とりあえず、飲むならせめて飲みやすい酒にしてくれ。コレはかなりキツい」
「分かった、司令に合わせよう」
「カクテルとかでもいいよな?」
「正直、どれがどういうものなのかさっぱりだ。好きに選んでくれて構わない」
「あぁ、そうさせてもらう」
429: 2015/03/21(土) 08:20:11.43 ID:8TdOGJ630
「そういう訳だから早霜、頼む」
「えぇ、分かりました。司令官にはいつものを、磯風さんには……コレなんてどうかしら」
「何だ、これは?」
「チョコレートリキュールです。お口に合えばいいのだけれど」
「チョコレートの酒などというものもあるのか。司令、まずは乾杯だ」
「あぁ、乾杯」
「――確かに甘いな」
「お前、一気に飲み干しちまったのか……」
「何だ、飲み干してはいけなかったのか?」
「いや、いけなくはないが」
「そうか。早霜、もう一杯同じのを頼む」
「はい、すぐに」
(コレは本当に酒に強いのかもしれんな)
「そういえば磯風、俺と話したいことって何だったんだ?」
「む、そうだった。司令、どうして浜風や谷風、浦風とケッコンカッコリとやらをしたのか、詳しく聞かせてもらいたい」
「プライベートな話なんで断る」
「まだ酒の量が足りないようだな。司令、飲んで飲んで飲みまくれ」
「飲んでも話さんし、そんなに飲めないって言っただろ」
「美味いぞ? 早霜、もう一杯だ」
「味とかじゃなくて体質的な問題だ。……にしても、ペース早いなお前」
「無論、司令が話してくれるまでら」
「だから話さないと――“ら”?」
「やはり料理の腕か? 浜風の料理は確かに美味い。だが、それだけが理由というのはどうなのら司令」
「そんなことは一言も言っとらん。後、お前酔ってるだろ」
「この磯風がこれしきの酒に負けるわけがない。早霜、もう一杯ら」
「磯風、それで最後にしとけ。……磯風?」
「料理が出来ないのがなんら、多少世俗に疎いのがなんら、私らって不慣れなりに努力しているんらぞしれぇ」
「それはお前の大好きな第十七駆逐隊の奴等にも分かってるさ。だから、グラスを置け、な?」
「む……しれぇも飲め、さっきから飲んでないぞ」
「はっ? いやちょっと待て磯ふぐっ!?」
「なんら、飲めるんじゃないかしれぇ」
(早霜、見てないで助けてくれ、頼む。おい、サングリア飲みながらそっぽ向くな、早霜、早霜っ!?)
「今日は朝まで付き合ってもらうぞしれぇ、まだまだ航行不能になるには早い」
(……勘弁してくれ)
「えぇ、分かりました。司令官にはいつものを、磯風さんには……コレなんてどうかしら」
「何だ、これは?」
「チョコレートリキュールです。お口に合えばいいのだけれど」
「チョコレートの酒などというものもあるのか。司令、まずは乾杯だ」
「あぁ、乾杯」
「――確かに甘いな」
「お前、一気に飲み干しちまったのか……」
「何だ、飲み干してはいけなかったのか?」
「いや、いけなくはないが」
「そうか。早霜、もう一杯同じのを頼む」
「はい、すぐに」
(コレは本当に酒に強いのかもしれんな)
「そういえば磯風、俺と話したいことって何だったんだ?」
「む、そうだった。司令、どうして浜風や谷風、浦風とケッコンカッコリとやらをしたのか、詳しく聞かせてもらいたい」
「プライベートな話なんで断る」
「まだ酒の量が足りないようだな。司令、飲んで飲んで飲みまくれ」
「飲んでも話さんし、そんなに飲めないって言っただろ」
「美味いぞ? 早霜、もう一杯だ」
「味とかじゃなくて体質的な問題だ。……にしても、ペース早いなお前」
「無論、司令が話してくれるまでら」
「だから話さないと――“ら”?」
「やはり料理の腕か? 浜風の料理は確かに美味い。だが、それだけが理由というのはどうなのら司令」
「そんなことは一言も言っとらん。後、お前酔ってるだろ」
「この磯風がこれしきの酒に負けるわけがない。早霜、もう一杯ら」
「磯風、それで最後にしとけ。……磯風?」
「料理が出来ないのがなんら、多少世俗に疎いのがなんら、私らって不慣れなりに努力しているんらぞしれぇ」
「それはお前の大好きな第十七駆逐隊の奴等にも分かってるさ。だから、グラスを置け、な?」
「む……しれぇも飲め、さっきから飲んでないぞ」
「はっ? いやちょっと待て磯ふぐっ!?」
「なんら、飲めるんじゃないかしれぇ」
(早霜、見てないで助けてくれ、頼む。おい、サングリア飲みながらそっぽ向くな、早霜、早霜っ!?)
「今日は朝まで付き合ってもらうぞしれぇ、まだまだ航行不能になるには早い」
(……勘弁してくれ)
430: 2015/03/21(土) 08:20:39.08 ID:8TdOGJ630
――――提督、おはようございます。昨日磯風が部屋に戻ってこなかったのですが、どこに居るかご存知ですか?
――――今頃俺のベッドで気持ち良さそうに寝てる。悪い浜風、ちょっと寝るから昼に起こしてくれ。
――――はい、了解しました。……ん? 磯風が提督のベッドで寝てる……?
――――(あー頭が痛ぇ……磯風には酒飲ませるなって、起きたら浜風に言っとくか)
――――今頃俺のベッドで気持ち良さそうに寝てる。悪い浜風、ちょっと寝るから昼に起こしてくれ。
――――はい、了解しました。……ん? 磯風が提督のベッドで寝てる……?
――――(あー頭が痛ぇ……磯風には酒飲ませるなって、起きたら浜風に言っとくか)
437: 2015/03/21(土) 20:50:37.47 ID:8TdOGJ630
・プリンツ『ビスマルク姉さんに怒られちゃった……』 、投下します
むしろ客はそのままを望んでいる
むしろ客はそのままを望んでいる
438: 2015/03/21(土) 20:51:04.65 ID:8TdOGJ630
「プリンツ」
「わあっ!? フォイヤー!……って今は艤装無かったんだっけ」
「一々声かけただけで砲撃しようとするな。それで、何をそんなに熱心に読んでるんだ?」
「提督には関係無いもの」
「――接客の基本、か」
「わっ、勝手に見ないで!」
「お前、それ内容ちゃんと理解出来てるのか?」
「で、出来てるに決まってるでしょ」
「客に苦情を言われたら?」
「クー・ジョー? 何それ?」
「プリンツ、時間の無駄だからそれ読むのやめろ」
「時間の無駄ですって!? 全然そんなことないし!」
「大体、何で急にそんな本読み始めたんだよ」
「ビスマルク姉さんに、接客もまともに出来ないなら国に帰れって怒られちゃって……」
(何かやらかしたってことか。むしろ、まともに出来てるアイツ等がおかしいんだがな……)
「それならレーベやマックスに教えてもらったらどうなんだ?」
「レーベにはボクには難しそうだって言われて、マックスはレーベに無理なら私にも無理って……」
「あー……だったら漣か間宮、大鯨辺りに話を聞いてきたらどうだ?」
「その人達とは一度も話したことないし……」
(ん? ひょっとしてコイツ……)
「大丈夫だ、思い切って話しかけてみろ。いきなり砲撃でもしない限り、普通に教えてくれる」
「……ホントに?」
「あぁ、ここの艦娘は外敵以外にはとことん優しいから安心しろ」
「――じゃあ、提督が教えて」
「……は?」
「ビスマルク姉さんを連れて帰るの暫く保留にしてあげるから、提督が私に日本のマナーと接客の基本教えて」
「ちょっと待て、どうしてそこで俺になる」
「ついでにビスマルク姉さんにホントに相応しいかどうか、見極めてやるんだから!」
「俺は接客業の経験なんか無いんだが?」
「茄子は生る!」
「それを言うなら為せば成るだ。全く、お前とユーには一度ちゃんと日本語覚えさせなきゃならんな……」
「あっ、ドイツ語で教えてくれたら分かりやすいかも」
「だからまだ教えるとは言ってない!」
――――Admiral、プリンツの様子はどう?
――――ビスマルク店長、店員の教育はお前の仕事じゃないか?
――――あの子がここに馴染む良いきっかけになりそうだもの。Admiralに任せるわ。
――――……はぁ、分かったよ。
「わあっ!? フォイヤー!……って今は艤装無かったんだっけ」
「一々声かけただけで砲撃しようとするな。それで、何をそんなに熱心に読んでるんだ?」
「提督には関係無いもの」
「――接客の基本、か」
「わっ、勝手に見ないで!」
「お前、それ内容ちゃんと理解出来てるのか?」
「で、出来てるに決まってるでしょ」
「客に苦情を言われたら?」
「クー・ジョー? 何それ?」
「プリンツ、時間の無駄だからそれ読むのやめろ」
「時間の無駄ですって!? 全然そんなことないし!」
「大体、何で急にそんな本読み始めたんだよ」
「ビスマルク姉さんに、接客もまともに出来ないなら国に帰れって怒られちゃって……」
(何かやらかしたってことか。むしろ、まともに出来てるアイツ等がおかしいんだがな……)
「それならレーベやマックスに教えてもらったらどうなんだ?」
「レーベにはボクには難しそうだって言われて、マックスはレーベに無理なら私にも無理って……」
「あー……だったら漣か間宮、大鯨辺りに話を聞いてきたらどうだ?」
「その人達とは一度も話したことないし……」
(ん? ひょっとしてコイツ……)
「大丈夫だ、思い切って話しかけてみろ。いきなり砲撃でもしない限り、普通に教えてくれる」
「……ホントに?」
「あぁ、ここの艦娘は外敵以外にはとことん優しいから安心しろ」
「――じゃあ、提督が教えて」
「……は?」
「ビスマルク姉さんを連れて帰るの暫く保留にしてあげるから、提督が私に日本のマナーと接客の基本教えて」
「ちょっと待て、どうしてそこで俺になる」
「ついでにビスマルク姉さんにホントに相応しいかどうか、見極めてやるんだから!」
「俺は接客業の経験なんか無いんだが?」
「茄子は生る!」
「それを言うなら為せば成るだ。全く、お前とユーには一度ちゃんと日本語覚えさせなきゃならんな……」
「あっ、ドイツ語で教えてくれたら分かりやすいかも」
「だからまだ教えるとは言ってない!」
――――Admiral、プリンツの様子はどう?
――――ビスマルク店長、店員の教育はお前の仕事じゃないか?
――――あの子がここに馴染む良いきっかけになりそうだもの。Admiralに任せるわ。
――――……はぁ、分かったよ。
443: 2015/03/23(月) 02:27:24.12 ID:XeBNqtcv0
・由良『暑さ寒さも』、投下します
444: 2015/03/23(月) 02:27:49.60 ID:XeBNqtcv0
「提督さん、暑い」
「そりゃ冬の恰好してたら暑いだろ」
「この前まで寒かったよ?」
「季節の変わり目だからな、気温が不安定なのは仕方無いさ」
「上、脱ぐからちょっと待って」
「半袖一枚は流石に寒くないか?」
「暑いよりいい。汗かきたくないし、寒くなったら提督さんにくっつくから」
(もう半分くっついてるようなもんだと思うんだが……)
「提督さん、忘れ物は無いよね?」
「必要なものは一式揃ってる、大丈夫だ」
「帰ったらぼた餅食べたい」
「間宮が大量に作ってるはずだから、帰ったら食堂行くか」
「うん」
「――ここだ、降りるぞ」
「そりゃ冬の恰好してたら暑いだろ」
「この前まで寒かったよ?」
「季節の変わり目だからな、気温が不安定なのは仕方無いさ」
「上、脱ぐからちょっと待って」
「半袖一枚は流石に寒くないか?」
「暑いよりいい。汗かきたくないし、寒くなったら提督さんにくっつくから」
(もう半分くっついてるようなもんだと思うんだが……)
「提督さん、忘れ物は無いよね?」
「必要なものは一式揃ってる、大丈夫だ」
「帰ったらぼた餅食べたい」
「間宮が大量に作ってるはずだから、帰ったら食堂行くか」
「うん」
「――ここだ、降りるぞ」
445: 2015/03/23(月) 02:28:38.71 ID:XeBNqtcv0
「提督さん、周りの掃除はこのぐらいでいいの?」
「あぁ、これぐらいやれば大丈夫だろ」
「じゃあはい、お水」
「墓石は俺がやるから、由良は水鉢とか拭いてくれ」
「うん、分かった」
「くれぐれも割るなよ?」
「大丈夫、ちゃんと昨日練習したから」
(割るかもって思ってたってことか……)
「――提督さん」
「何だ?」
「私達は氏んだら消えてしまうから、お墓には一緒に入れないね」
「……そう、だな」
「私が先に氏んだら、頑張って提督さんにとり憑くね」
「その時はゆっくり向こうで待ってろよ」
「嫌」
「下手すると俺の背中に百人以上とり憑くことになるんだぞ? 流石にそれは勘弁してくれ」
「頑張って」
「何を頑張れっていうんだよ……」
「頑張って、長生きしてね?」
「……努力はする」
――――提督さん、寒い。
――――由良、電車でがっしり抱き着くのはやめないか? 視線を凄く感じるんだが……。
――――後一分だけ、ね、ね?
――――……一分だけな。
「あぁ、これぐらいやれば大丈夫だろ」
「じゃあはい、お水」
「墓石は俺がやるから、由良は水鉢とか拭いてくれ」
「うん、分かった」
「くれぐれも割るなよ?」
「大丈夫、ちゃんと昨日練習したから」
(割るかもって思ってたってことか……)
「――提督さん」
「何だ?」
「私達は氏んだら消えてしまうから、お墓には一緒に入れないね」
「……そう、だな」
「私が先に氏んだら、頑張って提督さんにとり憑くね」
「その時はゆっくり向こうで待ってろよ」
「嫌」
「下手すると俺の背中に百人以上とり憑くことになるんだぞ? 流石にそれは勘弁してくれ」
「頑張って」
「何を頑張れっていうんだよ……」
「頑張って、長生きしてね?」
「……努力はする」
――――提督さん、寒い。
――――由良、電車でがっしり抱き着くのはやめないか? 視線を凄く感じるんだが……。
――――後一分だけ、ね、ね?
――――……一分だけな。
447: 2015/03/23(月) 21:15:28.36 ID:XeBNqtcv0
・『鎮圧訓練』、一旦投下します
ちょっと内容が内容だけに思案中
ちょっと内容が内容だけに思案中
448: 2015/03/23(月) 21:15:56.50 ID:XeBNqtcv0
深海棲艦の脅威が去り、人々は平和を取り戻していた。
しかし、今も昔も最も人を襲っていたのは、人である。
その抑止力として彼女達が選ばれるのは、至極当然の流れと言えた。
「――自爆」
「至近距離での爆発かつ一軒家を吹き飛ばす程度の威力であれば、流石に大半の艦娘が一時的に行動不能になると思われます」
「銃火器」
「妖精さんの作成物でなければ、駆逐艦娘が怪我をする程度かと」
「毒ガス」
「現状、人間に軽く身体構造が似てきているとはいえ、私達に脱力感や痺れを感じさせるのが関の山です」
「近代兵器……は考えなくていいか。密約がどうこうって話を元帥から聞いてる」
「仮に近代兵器を持ち出された場合は、どうされるおつもりですか?」
「イレギュラーにはイレギュラーで対処する。使いたくはないがな」
「そう……では、後は訓練ですね」
「ついでに安心安全な鎮守府ってイメージを更に定着させとくか」
「鎧袖一触よ、心配いらないわ」
「加賀、手加減忘れるなよ?」
しかし、今も昔も最も人を襲っていたのは、人である。
その抑止力として彼女達が選ばれるのは、至極当然の流れと言えた。
「――自爆」
「至近距離での爆発かつ一軒家を吹き飛ばす程度の威力であれば、流石に大半の艦娘が一時的に行動不能になると思われます」
「銃火器」
「妖精さんの作成物でなければ、駆逐艦娘が怪我をする程度かと」
「毒ガス」
「現状、人間に軽く身体構造が似てきているとはいえ、私達に脱力感や痺れを感じさせるのが関の山です」
「近代兵器……は考えなくていいか。密約がどうこうって話を元帥から聞いてる」
「仮に近代兵器を持ち出された場合は、どうされるおつもりですか?」
「イレギュラーにはイレギュラーで対処する。使いたくはないがな」
「そう……では、後は訓練ですね」
「ついでに安心安全な鎮守府ってイメージを更に定着させとくか」
「鎧袖一触よ、心配いらないわ」
「加賀、手加減忘れるなよ?」
452: 2015/03/24(火) 20:31:23.87 ID:mlbqI96k0
――――鎮守府入口。
「はーいちょっとそこの人止まってー」
――私に何か?
「鎮守府への危険物の持ち込みは、固くお断りしています」
「贈り物は嬉しいけどーそういうのはちょっと那珂ちゃん嬉しくないなー」
――何を証拠ぶっ!?
「怪我させないようにって難しいなぁ……」
「口、頭、腕、手、足、足首、拘束完了です」
「時限式か着火済みじゃなかったらこれでオッケーだね。後、神通お姉ちゃんちょっと絞めすぎ、犯人役の人とっても嬉しそうだけど」
「……訓練とはいえ、実戦を想定すべきでした」
「神通、ストップストップ! 本気で白目向き始めてるって!」
(んー、テロより神通お姉ちゃんを止める方が大変かなー?)
まず、入れない。
「はーいちょっとそこの人止まってー」
――私に何か?
「鎮守府への危険物の持ち込みは、固くお断りしています」
「贈り物は嬉しいけどーそういうのはちょっと那珂ちゃん嬉しくないなー」
――何を証拠ぶっ!?
「怪我させないようにって難しいなぁ……」
「口、頭、腕、手、足、足首、拘束完了です」
「時限式か着火済みじゃなかったらこれでオッケーだね。後、神通お姉ちゃんちょっと絞めすぎ、犯人役の人とっても嬉しそうだけど」
「……訓練とはいえ、実戦を想定すべきでした」
「神通、ストップストップ! 本気で白目向き始めてるって!」
(んー、テロより神通お姉ちゃんを止める方が大変かなー?)
まず、入れない。
453: 2015/03/24(火) 20:32:32.54 ID:mlbqI96k0
――――遊技場。
「みんなー、睦月に付いてきてねー」
――はーい!
「弾が小さいと避けるのも弾くのも掴むのも面倒だな」
「あらあら、火遊びしたいならお姉さんと向こうでしてみない?」
「おいおっさん達、ガキ共を守りてぇならもっと腰入れて構えろ!」
「そんな構え方じゃ怪我しちゃうんじゃないかしら~?」
――は、はい!
「うん、ちょうどいいわ。盾を構えるならその角度です」
「この程度の衝撃で怯むな! 後ろに居る者達のことを考えろ!」
「長月、その防護盾へしゃげる威力の銃火器飛んできたら普通耐えらんねぇって」
「……それもそうか」
入ったら、犯人が危ない。
「みんなー、睦月に付いてきてねー」
――はーい!
「弾が小さいと避けるのも弾くのも掴むのも面倒だな」
「あらあら、火遊びしたいならお姉さんと向こうでしてみない?」
「おいおっさん達、ガキ共を守りてぇならもっと腰入れて構えろ!」
「そんな構え方じゃ怪我しちゃうんじゃないかしら~?」
――は、はい!
「うん、ちょうどいいわ。盾を構えるならその角度です」
「この程度の衝撃で怯むな! 後ろに居る者達のことを考えろ!」
「長月、その防護盾へしゃげる威力の銃火器飛んできたら普通耐えらんねぇって」
「……それもそうか」
入ったら、犯人が危ない。
454: 2015/03/24(火) 20:33:00.24 ID:mlbqI96k0
――――鎮守府近辺。
『やりました』
『上々ね』
『ちょっ、誰かほっぽちゃん止めて!』
『蒼龍ってば、ちゃんと見張っててって言ったのに……』
『スイカクも手伝ってくれなくても大丈夫よ?』
『あっ、ほっぽちゃん見っけ! 私が捕まえるから皆よろしく!』
『後であのトリモチ剥がしに行くの大変そうね……』
『優秀なトリモチ……』
『雲龍姉さん、トリモチは貰っても使い途がないですから……』
車やヘリなどで大移動したら察知されて潰されます。
『やりました』
『上々ね』
『ちょっ、誰かほっぽちゃん止めて!』
『蒼龍ってば、ちゃんと見張っててって言ったのに……』
『スイカクも手伝ってくれなくても大丈夫よ?』
『あっ、ほっぽちゃん見っけ! 私が捕まえるから皆よろしく!』
『後であのトリモチ剥がしに行くの大変そうね……』
『優秀なトリモチ……』
『雲龍姉さん、トリモチは貰っても使い途がないですから……』
車やヘリなどで大移動したら察知されて潰されます。
457: 2015/03/25(水) 23:05:28.31 ID:Wc6cQMPm0
タイトル変更
・雷『偶々』、投下します
・雷『偶々』、投下します
458: 2015/03/25(水) 23:05:55.08 ID:Wc6cQMPm0
――――住宅街。
「ねぇおばあちゃん、重そうだし荷物持ってあげるわね」
――おやまぁこれはどうもご親切に、じゃあお願いさせてもらおうかねぇ。
「私に任せて、どこまで運べばいいのかしら」
――〇〇というところまでです。
「分かったわ、足元に気を付けて付いてきてね?」
――えぇえぇ、分かりました。
「今度からはタクシーを使った方が安全よおばあちゃん」
――こうして歩くのが何よりの楽しみでねぇ、どうしてもタクシーは使いたくないんですよ。
「でも、荷物をたくさん持ってふらふら歩いてると危ないし、歩くなら買い物は程々にしなきゃダメよ?」
――今度からは気を付けようかねぇ。
「ねぇおばあちゃん、重そうだし荷物持ってあげるわね」
――おやまぁこれはどうもご親切に、じゃあお願いさせてもらおうかねぇ。
「私に任せて、どこまで運べばいいのかしら」
――〇〇というところまでです。
「分かったわ、足元に気を付けて付いてきてね?」
――えぇえぇ、分かりました。
「今度からはタクシーを使った方が安全よおばあちゃん」
――こうして歩くのが何よりの楽しみでねぇ、どうしてもタクシーは使いたくないんですよ。
「でも、荷物をたくさん持ってふらふら歩いてると危ないし、歩くなら買い物は程々にしなきゃダメよ?」
――今度からは気を付けようかねぇ。
459: 2015/03/25(水) 23:06:21.79 ID:Wc6cQMPm0
「ここがおばあちゃんのおうちね」
――ほんに有り難うございました。お礼にお茶とお菓子をご馳走しますから、上がっていって下さいな。
「おばあちゃん、いいのよお礼なんて。困った人が居たら助ける、当然のことだもの」
――じゃあお茶に付き合ってくれる者も居らん寂しい老人を助けると思って、飲んでいってくれませんかねぇ?
「うーん、そういうことなら断る訳にはいかないわね、お邪魔しまーす」
――はい、どうぞ。
「――ふぅ、落ち着く味だわ」
――お煎餅もたくさんありますから、どうぞ。
「ありがとうおばあちゃん」
――帰る時にはこのリンゴも持って行って下さいねぇ。
「そこまでしてもらうのは……」
――いいんですよ、いっぱいありますから。
「……じゃあ、もらって帰るね」
――えぇえぇ、どうぞぉ。
「今度、私も美味しいみかんを持ってきてあげるわ」
――また来てくれるのかい? ありがとうねぇ。
「――じゃあ、そろそろ帰らないと。お茶とお煎餅、美味しかったわ」
――そうかいそうかい、またいつでもおいで。
「次は妹か姉も連れてくるわね」
――そりゃ楽しみだねぇ。
――ほんに有り難うございました。お礼にお茶とお菓子をご馳走しますから、上がっていって下さいな。
「おばあちゃん、いいのよお礼なんて。困った人が居たら助ける、当然のことだもの」
――じゃあお茶に付き合ってくれる者も居らん寂しい老人を助けると思って、飲んでいってくれませんかねぇ?
「うーん、そういうことなら断る訳にはいかないわね、お邪魔しまーす」
――はい、どうぞ。
「――ふぅ、落ち着く味だわ」
――お煎餅もたくさんありますから、どうぞ。
「ありがとうおばあちゃん」
――帰る時にはこのリンゴも持って行って下さいねぇ。
「そこまでしてもらうのは……」
――いいんですよ、いっぱいありますから。
「……じゃあ、もらって帰るね」
――えぇえぇ、どうぞぉ。
「今度、私も美味しいみかんを持ってきてあげるわ」
――また来てくれるのかい? ありがとうねぇ。
「――じゃあ、そろそろ帰らないと。お茶とお煎餅、美味しかったわ」
――そうかいそうかい、またいつでもおいで。
「次は妹か姉も連れてくるわね」
――そりゃ楽しみだねぇ。
460: 2015/03/25(水) 23:06:49.66 ID:Wc6cQMPm0
――お爺さん、今日艦娘さんに会いましたよ。
――ほんに貴方の言う通り、良い子でした。
――また来てくれると言うてくれましたし、孫が出来た様な気分ですよ。
――ですから、まだまだもう少しこっちで頑張りますね。
――ほんに貴方の言う通り、良い子でした。
――また来てくれると言うてくれましたし、孫が出来た様な気分ですよ。
――ですから、まだまだもう少しこっちで頑張りますね。
468: 2015/03/26(木) 21:14:11.76 ID:V6cRD+WZ0
・陽炎&曙『何よそれ』、投下します
ジゴロにする気は無いです
ジゴロにする気は無いです
469: 2015/03/26(木) 21:14:51.65 ID:V6cRD+WZ0
喧嘩の仲裁の様なことをしてから以降、時折曙と出掛けるようになった陽炎。
姉妹艦以外との交流は別段珍しくもなく、それを咎める者など居るはずもない。
――しかし、残念ながらこの二人の姉妹の中には、小悪魔のようにイタズラが大好きな者が二人居たのだった。
「陽炎、今日は雪風と遊びませんか?」
「うん、いいかもいいかもー」
「うわー陽炎好かれとんなーこれはお姉ちゃんとして無視する訳にはいかへんなー」
「ちょっとそこの関西弁、これどういうこと?」
ベッタリと両脇からくっつく妹二人をとりあえず撫でつつ、陽炎は黒潮をジト目で見る。
彼女が何かを企んでいるのは明白であり、ろくなことにはならないという結果が目に見えていたからだ。
「嫌やわ~うちは何もしてへんで? ただ、ちょっと最近陽炎が構ってくれへんようなったんちゃうかな~って二人の前で聞こえるように言っただけや」
「アンタねぇ……」
何もしてないに一人言は含まれないのかと問うても時間の無駄になるのが陽炎には分かっていた。
なので、あえてそこには触れず、彼女は両脇の二人に優しく諭す。
「今日は曙と先に約束があるから、帰ってからか明日遊んだげるわね」
「むぅ……約束があるなら仕方無いですね」
「そっかー、残念残念……」
寂しそうな二人の頭をまた撫で、陽炎は踵を返し部屋を出ようとした。
しかし、先程より少し大きな手が彼女を後ろから拘束する。
「なぁ陽炎、うちも構ってぇや~」
「怒るわよ? ってか殴るわよ?」
額に青筋を浮かべながら後ろに顔を向ける彼女の前で、ドアをノックする音が響く。
恐らく待ち合わせ時間を過ぎても来ない自分を迎えに来た曙だと思い、陽炎は直ぐ様手を伸ばしドアを開けた。
「悪いわね、ちょっと待ってすぐに出――曙、アンタその背中のどうしたの?」
そこには、背中に妹を抱えて息を切らせた曙の姿があった。
姉妹艦以外との交流は別段珍しくもなく、それを咎める者など居るはずもない。
――しかし、残念ながらこの二人の姉妹の中には、小悪魔のようにイタズラが大好きな者が二人居たのだった。
「陽炎、今日は雪風と遊びませんか?」
「うん、いいかもいいかもー」
「うわー陽炎好かれとんなーこれはお姉ちゃんとして無視する訳にはいかへんなー」
「ちょっとそこの関西弁、これどういうこと?」
ベッタリと両脇からくっつく妹二人をとりあえず撫でつつ、陽炎は黒潮をジト目で見る。
彼女が何かを企んでいるのは明白であり、ろくなことにはならないという結果が目に見えていたからだ。
「嫌やわ~うちは何もしてへんで? ただ、ちょっと最近陽炎が構ってくれへんようなったんちゃうかな~って二人の前で聞こえるように言っただけや」
「アンタねぇ……」
何もしてないに一人言は含まれないのかと問うても時間の無駄になるのが陽炎には分かっていた。
なので、あえてそこには触れず、彼女は両脇の二人に優しく諭す。
「今日は曙と先に約束があるから、帰ってからか明日遊んだげるわね」
「むぅ……約束があるなら仕方無いですね」
「そっかー、残念残念……」
寂しそうな二人の頭をまた撫で、陽炎は踵を返し部屋を出ようとした。
しかし、先程より少し大きな手が彼女を後ろから拘束する。
「なぁ陽炎、うちも構ってぇや~」
「怒るわよ? ってか殴るわよ?」
額に青筋を浮かべながら後ろに顔を向ける彼女の前で、ドアをノックする音が響く。
恐らく待ち合わせ時間を過ぎても来ない自分を迎えに来た曙だと思い、陽炎は直ぐ様手を伸ばしドアを開けた。
「悪いわね、ちょっと待ってすぐに出――曙、アンタその背中のどうしたの?」
そこには、背中に妹を抱えて息を切らせた曙の姿があった。
470: 2015/03/26(木) 21:15:20.65 ID:V6cRD+WZ0
「はぁ……はぁ……いい加減降りなさいよこのバカなみ!」
「今日のラッキーアイテムは曙って出たんで、それは無理な相談かなーって」
「降・り・ろ!」
「うん、それ無理」
後ろで同じように自分におぶさろうとする黒潮に拳骨を落とした後、陽炎は頭を抱える。
二人が共謀してイタズラを決行しているのは明白であり、理由が単に面白そうだからというのも、彼女には長い付き合いから既に分かっていた。
「それで? アンタ達どうしたいの? あんまりしつこいと本気で怒るわよ?」
「私はもう怒ってるわ。だから降りろって言ってんでしょ!」
「はにゃあ!? まだだ、まだ終わらんよ!」
投げられた漣は器用に受け身を取り、また曙へと突進する。
「……ウザい」
「曙ちゃんの冷ややかな言葉と視線いただきました!」
「何で嬉しそうなのよアンタは!?」
「曙、話が進まないからちょっと待って」
いつまでも終わりそうに無い絡みを一時停止させ、陽炎は二人に話すよう催促する。
そして、それを待っていたかのように二人は声を揃えてこう言った。
「「ショッピングに人数制限は無い!」」
「今日のラッキーアイテムは曙って出たんで、それは無理な相談かなーって」
「降・り・ろ!」
「うん、それ無理」
後ろで同じように自分におぶさろうとする黒潮に拳骨を落とした後、陽炎は頭を抱える。
二人が共謀してイタズラを決行しているのは明白であり、理由が単に面白そうだからというのも、彼女には長い付き合いから既に分かっていた。
「それで? アンタ達どうしたいの? あんまりしつこいと本気で怒るわよ?」
「私はもう怒ってるわ。だから降りろって言ってんでしょ!」
「はにゃあ!? まだだ、まだ終わらんよ!」
投げられた漣は器用に受け身を取り、また曙へと突進する。
「……ウザい」
「曙ちゃんの冷ややかな言葉と視線いただきました!」
「何で嬉しそうなのよアンタは!?」
「曙、話が進まないからちょっと待って」
いつまでも終わりそうに無い絡みを一時停止させ、陽炎は二人に話すよう催促する。
そして、それを待っていたかのように二人は声を揃えてこう言った。
「「ショッピングに人数制限は無い!」」
471: 2015/03/26(木) 21:15:49.28 ID:V6cRD+WZ0
――――悪いわね、ゆっくり回るつもりだったんだけど。
――――陽炎のせいじゃないから謝らないでいいわよ、それに……。
――――それに?
――――……たまには賑やかなのもいいかなって、思うし。
――――賑やか過ぎないといいんだけど……コラ雪風! 時津風! 走って人にぶつかるんじゃないわよ!
――――陽炎のせいじゃないから謝らないでいいわよ、それに……。
――――それに?
――――……たまには賑やかなのもいいかなって、思うし。
――――賑やか過ぎないといいんだけど……コラ雪風! 時津風! 走って人にぶつかるんじゃないわよ!
475: 2015/03/26(木) 23:28:39.35 ID:V6cRD+WZ0
次のリクエスト受付についてお知らせします
明日のヒトフタマルマルから三つ、フタヒトマルマルから三つです
後、四月からは仕事の関係で更新が出来ない日が出来る可能性が高いのでご了承下さい
明日のヒトフタマルマルから三つ、フタヒトマルマルから三つです
後、四月からは仕事の関係で更新が出来ない日が出来る可能性が高いのでご了承下さい
496: 2015/03/27(金) 21:13:07.28 ID:CkM37cvV0
・望月『んあ?』
・金剛『目を離さないでって言ったのにー!』
・時津風『んー? なになにー?』
・摩耶&鳥海『改二祝い』
・神通『あの……いえ、何でもないです』
・球磨『難しいk……ムズカシイ』
以上6本でお送りします
・金剛『目を離さないでって言ったのにー!』
・時津風『んー? なになにー?』
・摩耶&鳥海『改二祝い』
・神通『あの……いえ、何でもないです』
・球磨『難しいk……ムズカシイ』
以上6本でお送りします
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