710: 2015/05/13(水) 23:19:25.75 ID:OWchazFa0


前回はこちら

「――なぁ金剛、ここってお前達の店だよな?」

「そうデスネー」

「じゃああそこでパスタ作ってるのは誰だ?」

「知らないデース」

「ついでにもう一つ聞くが、そこでパスタ食ってる奴いつからいる?」

「お昼前にフラっと来たヨ?」

「そうか……探し回った挙句に余計に疲労の溜まる光景だな、これは……」

 ――姉さん、もうすぐお代わりが出来ます。

 ――Grazie! ローマのパスタはいつ食べても美味しいですね。




――――ローマもなぜか着任しました。
艦隊これくしょん ‐艦これ‐ 艦娘型録
711: 2015/05/13(水) 23:29:55.24 ID:/NELvgDk0
ローマおめです!

ここではパスタ職人ですかww

712: 2015/05/13(水) 23:35:45.35 ID:OWchazFa0
「大艇ちゃん!」

「連装砲ちゃん!」

「だーいーてーいーちゃーん!」

「れーんーそーほーちゃーん!」

「(あの子、どこの子なんでしょうか……?)」

「(知らないけど、島風と同レベルかもしれないわね……)」

「大艇ちゃんったら大艇ちゃん!」

「連装砲ちゃんったら連装砲ちゃん!」

「こうなったらどっちが可愛いか勝負するしかないかも!」

「絶対に負けないよー! 秋月と天津風もやるよね!?」

「えっ」

「そんな気はしてたわ……」





――――厚化粧(?)な艦娘が島風達と遊んでいるところを発見されました。

730: 2015/05/21(木) 09:58:42.73 ID:bmEWC6oe0
・陽炎達Vsながもん『酔った駆逐艦に迫られて私はもうダメかもしれない』、投下します

試合に負けて勝負に勝つ、K潮は善意に満ち溢れた良い子

731: 2015/05/21(木) 09:59:17.77 ID:bmEWC6oe0
 ――それは、ほんの些細なイタズラから始まった。

(聞いた話によるとこの辺りだが……)

 自然豊かな遠足の行き先などにも度々選ばれる公園。そこに数名の駆逐艦が集まって盛り上がっているという話を聞き、一応の監視兼リフレッシュの為に長門はその集まりを探していた。

「――あそこか」

 遠目ではあったものの、陽炎と他に数名の艦娘が居るのを発見し、早足で歩み寄る。
 段々と駆逐艦娘の元へ近付いていくうち、少し様子がおかしいことに長門は気付いた。

(これは一体どういうことだ……?)

 彼女が目にしたものは、野分に膝枕されご満悦な舞風、あらぬ方向を三角座りで凝視したまま微動だにしない不知火、服の乱れた浜風に覆い被さる磯風と谷風、そして黒潮にコップを突きだしている目の据わった陽炎というなかなかな光景だった。

「あっ! ならとだ! みんら~ならとにとつげきー!」

「何だ、来て早々か? 私は一応監視のつもりで来たのだが、遊びたいと言われてビッグセブンが断るわけには……お前達、その奇妙な足取りはどうした」

 長女の命令に従い、一斉に動き出す妹達。しかし、その動きは驚くほどぎこちなかった。
「目……合う……敵……」

「あの枕は磯風のものだ」

 一番手と二番手は不知火と磯風。他の者と比べればこの二人の足取りはまだしっかりしており、それ故に接近するのも早かったからだ。

(もしや酔っているのか? いや、陽炎に限って酒を鎮守府外で飲むことを許しは――む?)

 不知火に首を絞められ、磯風に軽いローキックをもらいながら、長門は視界の隅にこっそりと隠れようとする元凶を捉える。
 しかし、次々と自分に手を伸ばし近付いてくる駆逐艦娘の可愛らしさがそれを追うという選択肢を彼女から奪い去っていった。

「皆で踊れば楽しい楽しい~」

「のわっちじゃないもん……のわっちじゃないもん……」

「ちゃんと言えるんですよぉ、勝って……兜の……兜……ひっく」

「かぁー目の前が揺れるぅ……」

 各々何かを口走りながらまとわりつき、長門の身体を徐々に覆っていく。
 そして、最後に一番もたつく足取りでやってきた陽炎が正面に立ち、ジト目でにらみつける。

「……また他の子ばっかり構って、私も構えっ!」

(これは異常……いや、しかしすぐに引き剥がすのは……だがビッグセブンとして……)

 長門はそのうち、考えるのをやめた。

732: 2015/05/21(木) 09:59:48.49 ID:bmEWC6oe0
「全く、私が来なければどうなっていたか」

「どっちにしても全員寝てしもたやろうから、誰か迎え呼べば良かっただけやん」

「そういう問題ではないだろう……」

「ここに陽炎が長門さんのことを好き言うてる部分を録音したテープがあんねやけど、欲しない?」

「それとこれとは別問題だが私も無闇に人を叱りつけたくはない。次からは飲ませるにしても鎮守府内でと約束すれば、この話は提督達には黙っておこう」

「流石長門さんや、話が早うて助かるわ」




――――ちょっ!? な、何なのよそれ!?

 ――――私の宝物の一つだが。

――――今すぐ消しなさいよ!

 ――――断る。

――――(暫くはこのネタでまた楽しめそうやなぁ)

737: 2015/05/24(日) 09:54:38.38 ID:dWul4xkF0
・舞風『野分が最近何かそわそわしてる』 、投下します

酔って甘えた、酔って甘えられた、win-winだった

738: 2015/05/24(日) 09:55:13.32 ID:dWul4xkF0
 野分の様子がおかしくなったのはほんの数日前、決まった時間に近づくと何だか落ち着かないといった感じで時計をしきりに見始める。そして、決まった時間にどこかへと出かけて行ってしまう。
 一度行き先を聞いてみたけど、はぐらかすだけで答えてはくれなかった。
 別に隠し事をされるのが嫌な訳じゃないけど、部屋を出ていくときのあの笑顔が私と居る時に見せるものとは違っていて、少し寂しく感じてしまった。

(――だからって尾行しちゃうのはやり過ぎかなぁ……)

 建物の陰に身を潜めながら、野分をこっそりと追いかける。
 向かっている方向は鎮守府の入り口とは反対方向なので、外で何か変な遊びに熱中しているということは無さそうだ。

(まぁそもそも野分に限ってそんな心配いらないよね)

 少し安心したものの、やはりどこへ行っているのかは気になるので尾行は続行――。

「那珂ちゃんはーそれはダメだと思うなー」

「っ!?」

 普段ならば気付けたし驚きもしなかったけれど、後ろめたいことをしているという意識が身体を強張らせる。
 振り向けばいつも笑顔を絶やさない艦隊のアイドルが立っていて、人差し指を立てて“めっ”と言ってきた。

「こっ、これは違うんです。野分のことが心配で、その……」

「嘘は良くないよ?」

「うっ……私と居るより楽しい何かを見つけちゃったのかなって不安で……」

「うん、素直が一番! じゃあはい、コレ」

「へっ? いや、あの、那珂さん?」

 そこで私はようやく気付いた。艦隊のアイドルが“ダメ”と言ったのは尾行ではなく、尾行のやり方であったことに。

739: 2015/05/24(日) 09:55:56.23 ID:dWul4xkF0
 暖かな春の日の午後、トレンチコートにサングラスで木陰に隠れる私と那珂さん。正直、とても暑い。

「(これ着る必要はどこに?)」

「(新聞紙が手近になかったなんて、那珂ちゃん一生の不覚だよ!)」

 何故かついてきたアイドルへの突っ込みはスルーされ、気にするのを諦める。
 野分の行き先はもう大体見当がついたため、これ以上はこそこそする必要性もあまり無いけれど、とりあえず目的地に到着するまでは続けることにした。




「――やっぱり、ここだったんだ」

 途中姿を隠す物が無くなりバレそうになりながらもなんとか気付かれずに到着したのは、あまり自分には縁の無い場所だった。
 玄関からでは中の様子が窺えそうもないので、縁側のある方へと回り込む。

「舞風ちゃん、那珂ちゃんは向こうで待ってるね」

 ここまで先導するようにしてついてきていた那珂さんの言葉を背に受けながら、家の中を覗き込む。
 そこにはこちらに背中を向けている野分と、バッチリとこちらを見ながらニコニコと笑っている鳳翔さんが居た。

(も、ものすっごくバレてる……)

 叱られるかと一瞬背筋に冷たいものが走ったけれど、こちらから視線を外すと鳳翔さんは野分へと話しかけ始めた。

「野分ちゃん、やっぱりそれ持って帰ったらどうかしら?」

「いえ、絶対にからかわれてしまいますので……」

「ふふっ、いっそ本人にそうしてあげたら喜ぶかもしれませんよ」

「それもちょっと……」

 何をしているのかがすごく気になり、角度を変えて野分の手元を覗き込む。
 そこには、予想外の物があった。

「――それ、私のぬいぐるみ?」

「えっ!? まいかっ!? いったぁ……」

 急に立ち上がろうとしてちゃぶ台で足を打つ野分。それだけ驚いたってことみたい。

「ねぇねぇ野分、何で私のぬいぐるみを抱きしめてるの?」

「こっ、これは別に舞風って訳じゃ――」

「この前舞風ちゃんを抱きしめたらとても落ち着いたらしくて、本人に度々そうするのは恥ずかしいからぬいぐるみで我慢してるそうですよ」

「鳳翔さん!?」

「ほほぅ……ほぅほぅ、なるほどなるほど……のーわーきー」

「な、何?」




――――とても微笑ましい光景ですね。

 ――――那珂ちゃんもたまには甘えてみよっかなー。

――――舞風、ちょっと苦しい……。

 ――――ぬいぐるみで代用するなんて良くないぞー?

756: 2015/05/24(日) 20:39:11.16 ID:dWul4xkF0
・雷『いかずち門?』

・陸奥愛宕那珂『鎮守府コレクション』

・飛鷹&暁『疲れるだけ』

・金剛&大鳳『結構似た者同士』

・大鳳&浦風『以心伝心』

・飲食店経営組『漣の企画が全力で私達の羞恥心にダイレクトアタックしてくる』

以上六本でお送りします


760: 2015/05/27(水) 16:08:21.60 ID:qwsIMAHQ0
・雷『いかずち門?』、投下します

奴は四天王の中では一番のレディー…?

761: 2015/05/27(水) 16:08:55.85 ID:qwsIMAHQ0
「雷、それは雷(かみなり)門だ」

「そうなの? いかずち門だったら良かったのに」

「先に言っとくが、菓子の方もかみなりおこしだぞ」

「そうなんだ。でも、面白そうだし買って帰ろーっと」

「俺は鳳翔とかに頼まれたし、煎餅買って帰るとするか」

「ねぇ司令官、暁にこれなんてどうかしら?」

「ん?……涙目になりながら無理して食うだろうからやめてやれ」

 一味煎餅、一袋三百九十八円、税込。

「まぁ流石にこれは冗談として、やっぱり甘いものがいいわよね」

「ベタだし東京以外でも同じ様な物は買えるが、人形焼きとかいいんじゃないか?」

「横須賀で売ってる“艦娘焼き”みたいなもの?」

「それの元だよ。アレみたいになかなか袋に入ってないレア艦を見付けるみたいな楽しみ方は無いがな」

 レア扱いとして中破状態案を出したら申請が通らず、衣装と台詞違いがレア扱いとなった艦娘焼き、一袋五百円。
 以前何袋買っても扶桑が入っておらず、山城に不幸だわと言われた提督の財布へのダメージ五千円。

762: 2015/05/27(水) 16:09:47.52 ID:qwsIMAHQ0
「さて、買い物も終わったし……ってしまった、先に買っちまった」

 右手、煎餅の袋入り紙袋。左手、雷の右手。

「どうしたの司令官? 困ったことがあったなら私に任せて!」

 左手、お土産どっさり。右手、司令官の左手。

「大丈夫だ、帰りに買う予定にしてたのを忘れてたってだけだよ。なぁ雷、本堂の方にも行ってみないか?」

「司令官が行きたいなら、どこにでもついていくわ」

「じゃあ悪いが付き合ってくれ」




「ねぇ司令官、お寺好きなの?」

「好んで巡ったりはしないが、行くのに抵抗は無い。たまに行きたいって言い出す奴もいるしな」

「ふーん。その妖精さんは?」

「知らん。俺達が行くってどこから知ったか知らんが、あのじいさんに頼まれて連れてきた」

「元帥のおじいちゃん、たまに謎よね」

「謎でいいんだよ、下手に知っちまった方が不味いこともある」

「さっきからずっと妖精さんが仁王さんのポーズしてるけど、何でかしら」

「妖精さんの思考も謎だらけだし、気にしたら負けだ」

「じゃあ、私達の考えてることは?」

「分かった方が良いことは、大体分かってるつもりだ」

「……うん」

「さてと、連れてきてどうしろとは言われてないし、適当に軽く見て回るか」

「じゃああっちから見て回りましょ!」

「ちょっと待て雷、引っ張るな、荷物が……」




――――四天王……私達だと雷天とか電天とかになるのかしら?

 ――――暁に守護される側がかなり不安な気がするんだが、気のせいか?

768: 2015/05/31(日) 22:13:42.06 ID:z6uEBBuq0
・陸奥愛宕那珂『鎮守府コレクション』、投下します

衣装協力荒潮

爆発しても簡単には破れない

火遊び(意味深or主砲発射)

769: 2015/05/31(日) 22:14:19.87 ID:z6uEBBuq0
「ぱんぱかぱ~ん、今日は鎮守府コレクションにお集まり頂きありがとうございまーす」

「司会兼企画発案者の那珂ちゃんだよーよっろしくー!」

「メイク担当の陸奥よ、よろしくね」

「そして私がぱんぱかぱ~ん兼ヘアメイク担当の愛宕よ」

「今日は艦娘の為のファッションショーだからー皆気兼ねせずに楽しんでね?」

「コンセプトは“即戦闘可能なお洒落”よ。仮にも軍属である私達が服の裾につまずくなんてことがあってはいけないわ」

「それじゃあ早速モデルの皆、お願いね~」

「最初はラフで動きやすいというのを追求したスポーティなスタイル。ホットパンツにTシャツ、パーカーとシンプルながら足に自信があれば破壊力は抜群ね」

 ――あ、あの、私じゃなくて長良姉さんで良かったんじゃ……。

「さぁどんどんいってみよー!」

「ホテルのバーカウンターに座っていてもおかしくない黒のドレス。少しタイトだけど走るのに支障が無い仕立てになってるわ」

 ――うっわマジでこういうの恥ずかしいんですけどぉ……。

「まだまだいくわよ~」

「今度は逆に幼さ全開! フリルとリボンいっぱいのホワイト口リータ! 色々仕込む場所もいっぱいだよ!」

 ――ほわ~何かヒラヒラ~。

「お次は皆の鎮守府の提督を落とすちょっと大胆なスタイルに着替えた陸奥さんの登場よ。胸と背中の辺りがぱんぱかぱ~んってなってるのと、足首から太ももまで入ったスリットがセクシーでしょ?」

「火遊びにはもってこいね」

「続いては艦隊のアイドル、那珂ちゃんのイチオシだよ! チューブトップにミニスカート、健康的だけど男の子の視線を集めちゃおっ!」

「最後は私よ~。ぱんぱかぱ~んと夏を先取り、あえてビキニじゃなく腰のくびれを強調出来るデザインにしたワンピースタイプの水着よ。どうかしら~?」

「今日はお試しだからこれだけだけどー要望が多かったらまた開催するね?」

「皆の健闘を祈っているわ。メイクの相談もいつでもオッケーよ」

「合言葉は“ぱんぱかぱ~ん”、覚えて帰ってね?」




――――……通販か?

 ――――(提督の好みとしてはスリットの入ったものでしょうか……)

――――(胸……最初のが一番私には合っているわね、トレーニングは欠かさないし……)

 ――――(提督さん的にあの白口リはどうかねぇ?)

773: 2015/06/05(金) 00:06:40.39 ID:u68usdcU0
タイトル変更

・飛鷹&暁『雰囲気に酔う』、投下します

774: 2015/06/05(金) 00:07:21.81 ID:u68usdcU0
「飛鷹さん、今日はどうされますか?」

「そうねぇ、そこのレミーマルタン一杯もらえる?」

「はい」

「暁はいつものをお願いするわ」

「えぇ、いつものですね」

「暁、貴女お酒飲めたの?」

「妹の響だって飲めるんだから、当然飲めるわ」

「へー、意外ね」

「お二人とも、どうぞ」

「ありがとう早霜。うーん、良い香り」

「ねぇねぇ飛鷹さん、暁にもどんな香りか確かめさせて」

「いいわよ、はい」

「……何か変な匂い」

「ふふっ、ちょっとまだ暁にはこれは早いのかもね」

「べ、別に飲もうと思えば飲めるんだから!」

「じゃあ私の奢りで一杯飲んでみる?」

「えっ……きょ、今日はあんまりいっぱい飲みたくないし、またの機会にさせてもらってもいい?」

「ならまた今度にしましょうか」

「う、うん……」

(どうしよう……鼻を近付けただけでクラクラしたのなんか飲めない……)

「ところで、暁の頼んだそれは何なの?」

「これは暁の為に早霜が特別に作ってくれた、大人のレディー専用の酔わないお酒よ。ねぇ早霜?」

「えぇ、それは暁さん専用のカクテルです」

「どんなのか気になるわね……私もそれ、一杯もらってもいい?」

「はい、すぐにお作りします」

「んくっ、んくっ、ふぅ……やっぱりこのカクテルが一番よね! 早霜、暁にももう一杯作ってちょうだい」

「そんなジュースみたいに飲んで大丈夫なの?」

「一人前のレディーにはこのぐらいへっちゃらよ」

「お二人とも、どうぞ」

(……? これ、ひょっとして……)

「甘くて美味しいし、これなら何杯でも飲めちゃうわ」




――――カクテルはカクテルでも、アレってノンアルコールカクテルでしょ?

 ――――以前、ワインを一口飲んだら倒れてしまったので、それ以来ずっとノンアルコールカクテルをお出ししています。

――――暁らしいわね……。それで、貴女は何杯飲むつもり?

 ――――眠くなるまでだよ。

――――(妹の方は顔色一つ変えずに飲んでるし、やっぱり姉妹でも色々違うもんね)

777: 2015/06/05(金) 22:54:07.50 ID:u68usdcU0
ちょっとした話三つ投下

リクエストの方は明日更新します

778: 2015/06/05(金) 22:54:37.25 ID:u68usdcU0
 全てを託すに値するか、見極めなければいけない。
 もし見誤れば、あの子達を危険に晒してしまう。
 自分が消えるだけならば、既に戦いの終わった今の世に思い残すことは無い。
 その時が来たならば、私は躊躇うことなく氏を選びましょう。
 それで、あの子達が助かるのなら――。




「(いけませんねぇ、これは司令官に報告しないと)」

「(尾行って何かかっこいいよね、一度やってみたかったんだー)」

「(くれぐれもバレないようにお願いしますね?)」

「(分かってるって)」

(――青葉、久しぶりに本気見せちゃいます)

(こういうのは誰も知らないうちに処理するのが一番だよね、うん)




 ??の秘密について?葉と川?が調査を始めました。

779: 2015/06/05(金) 22:55:08.76 ID:u68usdcU0
――弥生はいつも無表情だった。

 ――卯月はいつもふざけて怒られていた。

――弥生は何を言われても、何をされても無表情なままだった。

 ――卯月は嫌なことがあるとすぐに逃げていた。

――どうして弥生はあんな風に我慢出来るんだろう。

 ――どうして卯月はあんなに自分に正直なんだろう。

――楽しくもない、ただ辛いだけの戦いなんて嫌。

 ――戦うのは辛いし怖いけど、守らないと。

――ずっと楽しく遊んでいたい。

 ――せめて、弥生みたいに卯月にはなって欲しくないから。

――でも、卯月の本当にしたいことは……。

 ――でも、出来ることなら……。




「相変わらずだな、あの二人は」

「おりょ? 弥生と卯月のこと?」

「あぁ、さっきあれだけぶっ飛ばしてぶっ飛ばされたってのに、どっちも一切気にしてないだろ」

「当然なのね。アレが二人の仲良しの秘訣にゃしぃ」

「遊びに来てる子供に悪い影響が無いといいんだがな……」




「卯月が……いっぱい……幸せ……」

「うーちゃんはサンドバッグじゃない……ぴょん……」




 ――出来ることなら、周りを気にせず二人で思いっきり遊んでみたい。

780: 2015/06/05(金) 22:55:39.66 ID:u68usdcU0
 きっかけは、何気無いたった一言だった。

 でもさ、あたしにはその一言が凄く嬉しかったんだ。

 姉妹に比べれば女の子らしいところなんてこれっぽっちも無いし、別に気にもしてなかった。

 だけど、いざ言われたらやっぱり意識しちゃうもんだよな。

 しかも吹雪の失敗した料理にはっきり“不味い”って言ったし、思ったことをしっかり言う人だってことじゃん。

 あっ、ちゃんとその時の料理は完食してたし、吹雪も次は頑張るって張り切ってたよ。

 ってそうじゃなくて、あたしが言いたいのはさ……その、あたしもやっぱり女の子なんだなーってこと!




「深雪、ギブ、ギブ!」

「えー? まだかけたばっかだぜ?」

「俺の意識が欠けていくんだよ!」

「ちぇっ、せっかく対陸戦用深雪スペシャルが完成したからお披露目に来たってのに」

「俺で試すな、やるなら若葉とか武蔵とかにしろ」

「はいはい分かりましたー。じゃあこっちならいいよな?」

「おー、そっちの深雪スペシャルなら歓迎だ」

「いっぱい作ったからどんどん食べてくれよ!」




――――深雪、ちょっといいか。

 ――――司令官? 何か用?

――――これをたまたま寄った店で見付けてな、お前の好みかは分からんが、気に入ったならやる。

 ――――何であたしに?

――――? 似合うと思った以外に何があるんだ?

 ――――吹雪とか白雪じゃなくて?

――――あぁ、お前にだ。

 ――――……だったら、もらおっかな。

――――そうか、じゃあコレ。

 ――――あっ、ありがとな、司令官。

――――お礼は深雪スペシャルで頼む。

784: 2015/06/06(土) 21:36:54.36 ID:6qniaYDX0
・金剛&大鳳『結構似た者同士』、投下します

比叡と榛名と霧島のもちゃんと集めてたりする

785: 2015/06/06(土) 21:37:26.94 ID:6qniaYDX0
「Hey大鳳、ご注文は何にするデース?」

「ダージリン」

「今ならランチサービスでサンドイッチと合わせて八百円ネー」

「じゃあそれでお願い」

「了解デース。比叡、サンドイッチお願いしマース」

 ――気合い! 入れて! 作ります!

(サンドイッチに気合いって必要かしら……)

「今日は浦風はどうしてるデース?」

「今頃磯風達と料理してるわ」

「Oh……」

「浦風から聞いた話ではだいぶ一般的な知識は身に付いたらしいから、もう大丈夫だとは思うわよ?」

「極端に甘いか辛いかダブルアタックっていうのは、なかなか舌と胃に来るものがあったネ……」

「あら、比叡の料理で慣れてるんじゃないの?」

「アレは味覚以前の問題だったデース……」

「お待たせしました! 比叡特製カレーサンドです!」

「ありがとう比叡」

「ダージリンもちょうど入ったネー」

「――ふぅ……まぁ、比叡だって今は色々な美味しい料理を作っているみたいだし、磯風もきっと大丈夫よ」

「そうなることを切に願いマース」

786: 2015/06/06(土) 21:38:01.64 ID:6qniaYDX0
「ところで金剛、約束のモノは持ってきてくれたの?」

「当然ネー」

「じゃあ交渉成立ね」

「またcuteなのが撮れたら連絡しマース」

「えぇ、私もすぐに知らせるわ」

「お姉様、何を交換したんですか?」

「秘密のcollectionデース」




「それ、うちも見せてもろてえぇ?」

787: 2015/06/06(土) 21:39:02.90 ID:6qniaYDX0
――――全く、油断も隙もありゃせんねぇ。

 ――――うぅ……浦風怒ると怖いデース……。

――――(ちゃんと撮る許可を取ったのに寝ぼけてたから覚えてないなんて、不幸だわ……)

791: 2015/06/08(月) 22:52:31.18 ID:2D5HRCql0
・大鳳&浦風『以心伝心』 、投下します

二人ともちょっと怖がり

人参大好き

792: 2015/06/08(月) 22:53:03.35 ID:2D5HRCql0
「浦風、アレどこかしら」

「そこの引き出しの二番目に入っとるよ」

「ありがと浦風。そういえばあの店、この近くに出来るみたいね」

「そりゃぶち嬉しいんじゃ。姉さん、出来たら一緒に行こね」

「えぇ、もちろん」

「ところでお昼はどうするんじゃ? 冷蔵庫にアレとアレ残っとるけど」

「だったら付け合わせにこの前貰ったアレを炒めましょうか」

「うちはそれでえぇよ」

「じゃあそうしましょう」




「はい、浦風」

「ありがと姉さん」

「やっぱり伊良湖の作る最中は美味しいわね」

「お茶も鳳翔さんからの貰いもので良い香りじゃねぇ」

「この前借りてきたDVDでも見る?」

「どれを先に見るんじゃ?」

「こっちの『世にも奇妙な鎮守府~8~』から見ましょうか」

「6の『顔の無い艦娘』は怖かったなぁ……」

「浦風って、少し怖がりよね」

「姉さんだけには言われとうないんじゃ」

「わ、私はちっとも怖くなんかなかったわよ?」

「そう言いながらうちを後ろから抱き締めとるのは何でか言うてみ? ん?」

「あっ、ほら始まるわよ浦風、前見て前」

793: 2015/06/08(月) 22:53:33.21 ID:2D5HRCql0
 ――人参美味しいぴょん。

「ね、ねぇ浦風、この人参って……」

「アレはただの大きい人参じゃ姉さん」

 ――皆、どこ行っちゃったんだぴょん?

「な、何でさっきから顔を映さないのかしら」

「ただの演出じゃ、心配いらんよ」

 ――司令官、卯月、人参食べられるようになったぴょん。

「」

(アレはケチャップアレはケチャップアレはケチャップアレはケチャップ……)




「最後の『猫になった多摩』は面白かったんじゃ」

「やっと元に戻ったと思ったら、球磨が熊になってしまうなんてね」

「さてと、姉さん次はどれにする?」

「『ぷちむす』」

「姉さんそれ好きじゃねぇ」

「だって可愛いんだもの、浦風も出てるし」




――――浦風がこのぐらいのサイズになったらずっと抱っこしていたいわ。

 ――――(今も大抵一緒の時は抱き締められとる気がするんじゃけど……)

798: 2015/06/10(水) 17:41:46.56 ID:m1+cE+iS0
・飲食店経営組『漣の企画が全力で私達の羞恥心にダイレクトアタックしてくる』、投下します

一部艦娘のモノはお好きなモノをご想像下さい

799: 2015/06/10(水) 17:42:16.83 ID:m1+cE+iS0
 鎮守府に現在ある飲食店は全部で六つ。
 そのうち二つは一般人には開放されていない区画にあり、今回の会議には不参加である。
 そして、犠牲者――もとい、漣に集められた店のオーナーは以下の三名だ。

「Hey漣ー、今回はどんなとんでもない企画を思い付いたんデスか?」

「企画によっては私は降りさせてもらうわ」

「前回みたいなのは私もちょっと……」

 比較的まだ乗り気な金剛、警戒しているビスマルク、苦笑いの間宮。
 それぞれに反応は違うが、そんなことは意にも介さず伊達眼鏡をクイッと上げながら漣は企画の説明を始める。

「えー、本日はお日柄も良く、晴れ晴れとしております。そして、私達の居るこの鎮守府は海に面していて、尚且つそれを最大限活かせる武器を持っています」

 柄にもなく真面目な口調で話を進める漣。
 しかし、既に三人は気付いていた。
 漣の後ろに詰まれた段ボールに書かれてあるものが、自分達にこれから訪れる地獄だということを。



「――つまり、皆水着になっちまいましょうか」 

800: 2015/06/10(水) 17:42:55.37 ID:m1+cE+iS0
「榛名は大丈夫じゃないです!」

「No problemネー。似合ってマス榛名」

「金剛お姉様、私は? 私は似合ってますか?」

「当然デース。比叡のワンピースもvery cuteネ」

(榛名の貝殻ビキニは少々やり過ぎな気もしますが、売り上げの為ならやむ無しですね)

「榛名は……榛名は絶対に大丈夫じゃないです!」




「ねぇビスマルク、これは僕に何を求めてるのかな?」

「(マックス、どう返事をするべきかしら?)」

「(私に聞かないで)」

「ビスマルク姉さん、これってスク・ミズーとかいうもの?」

「そうだよプリンツ。三人のはハチ達が着ているスク水で、僕のは何故かビキニと水着パーカーだよ……」

「(恥ずかしがっているようだけど、あまりいつもの服と変わらない気もするわね)」

「(レーベの中では何かが違うんじゃないかしら。……まぁ、私は気にしないけど)」

「うわっ!? よく考えたらこれエプロンしないとズッペはねて熱いっ!」

801: 2015/06/10(水) 17:43:29.32 ID:m1+cE+iS0
「間宮さん」

「な、なぁに伊良湖」

「目を背けても水着は消えないと思います」

「うっ……伊良湖は嫌じゃないの?」

「お菓子を作るのに支障はありませんので」

(この子、本当にお菓子作り以外興味ないんじゃないかしら……)

「大鯨ちゃんはど――」

「間宮さん、この水着どうでしょうかあ?」

「え? えぇ、淡い水色がとても良く合ってて可愛いと思うわよ?」

「ふふっ、提督と海へ行く約束をしたところだったので、とっても助かりましたあ」

(いつもの大鯨ちゃんならもう少し恥ずかしがってたんでしょうけど、笑顔がキラキラしてるわね……)

「――このまた胸元の開いてるのを、着るしかないのかしら……」




「は、恥ずかしいよぉ……」

「蟹をイメージした水着、嫌いじゃない」

「ちょっと待ちなさいよ漣! 私のこの水着何なのよ!?」

「ご注文通り“露出が少なくて派手じゃない水着”ですが、何か問題でも?」

「問題大ありよ! 何で私だけダイビングスーツなのよ! しかもご丁寧に酸素ボンベまで用意してるし!」

「肌の露出はほぼゼロ、飾りっ気もなく地味、ほらね?」

「ほらねじゃないわよ、このっ! このっ!」

「痛っ、酸素ボンベは鈍器じゃ痛っ、痛いですってば!? ならこっちだったら文句無いでしょ!」

「はぁ……はぁ……花柄の、ワンピース? こういうのがあるなら、最初から、出しなさいよ、全く……」

(よし、ミッションコンプリート! 胸にツンデレって浮かび上がる細工が仕掛けてあるのは注意深く調べないとバレませんし、これで当日はまた面白くなりそうですねー)

「(漣ちゃんがまた悪いこと考えてる顔してる……)」

「(朧は蟹が可愛いから満足、潮の牛柄も可愛い)」




 なお、イベントは提督への虚偽申請が発覚した為、初日で中止となったそうな。

802: 2015/06/10(水) 17:43:58.64 ID:m1+cE+iS0
――――鳳翔さん、新作茶碗蒸しの味、見?

 ――――あ……瑞鳳、これは違うの。久しく着てなかったからまだ着れるか確かめようと思って、それで……。

――――(鳳翔さんって、意外に結構大胆な水着選ぶんだ……)

803: 2015/06/10(水) 18:00:07.66 ID:m1+cE+iS0
次のリクエストは今日の21時から三つ、明日の12時から三つ受け付けます

朝霜と高波は除きます



引用: 【艦これ】浦風「姉さんが拗ねとる鎮守府」大鳳「最近私の影が薄い鎮守府」