800: 2009/05/10(日) 21:04:47 ID:8HYB0Yg6
――私は女好きだった。
変わることのない衝撃の事実に気付いたのは最近だ。何故だか分からないがとにかく女が好きなのだ。
年上でも年下でも構わない。美人ならば尚良し。可愛い子を愛でるのはもはや至高。
実体がくっきりと浮かばない、煽動的な鼓動が高まる。夜中、閨から聞こえる智子の切ない声。昼間、アホネン隊長以下数名の肉体的触れ合い。それらが私を掻き立てたのだ。本能が呼び起こされ、女子を愛でろと煩く喚く。
一念発起し、朝食を食べ終えた私は行動に出た。
…最初に、誰を誘惑し、"ものにする"か。扱いやすいのは間違いなく智子だ。彼女は毎晩のように同じ扶桑の痴女に良いようにされているからだ。…ふ、今ではハルカのことを痴女などとは言えないかな。何故なら私は今、智子だけでなく、世界中の女子を愛でる自信があるから。
生まれつきのイケメン(イケてる面相)、男勝りな性格。渋い煙草にコーヒーの芳香。あぁ、なんと凶悪な性能なのか、私は。
智子。智子か…。あぁ、扶桑人は見た目が幼いからな。より可愛く見えるのだろう。小振りな胸も良い。キャサリンの豊満な胸もいつか私のものにしてみせよう。素晴らしい楽園計画が組み上がっていた。
全員同じの寝室に戻ると、智子がベッドを整えていた。シーツは洗濯でもするのだろう、剥ぎ取って新品と替えていた。
「智子、ちょっといいか」
「何? 珍しいわね、ビューリングから話しかけてくるなんて」
「たまにはそういう気分になるときがあるんだ。分かるだろう?」
「まあ分からないけど…。それで、なんの用?」
穴吹智子は雰囲気に弱い。流動性で、開発はハルカによって進められている。
ハルカには悪いが、智子は私が頂くぞ。
話を聞く体勢として智子はベッドに腰掛けたので、私はその隣にいつもより距離を狭めて座った。
「なぁ、智子。…私は美人だと思うか?」
「何なのよ突然…そんなこと」
「ちょっと、気になったんだ。私に、素質があるかどうか」
「ねぇ、話が見えないわ。はっきり話して頂戴」
他に誰もいない寝室で、二人きりだ。神は私に味方している。あぁ神よ、朝日が素晴らしいグラデーションを織り成していますわ。
「例えば…、こうして顔を近づけてみるんだ」
「っ?!」
すっ、と智子の顔面に接近して、真正面から黒い瞳を見つめる。私はと言えばなるべく智子の心に訴えられるように、目を潤ませることも忘れていない。
近付いた私から逃げるように背筋を仰け反らせた智子。お互いが離れるが、私は智子の肩に手を回して引き寄せ、状況を元に戻す。
変わることのない衝撃の事実に気付いたのは最近だ。何故だか分からないがとにかく女が好きなのだ。
年上でも年下でも構わない。美人ならば尚良し。可愛い子を愛でるのはもはや至高。
実体がくっきりと浮かばない、煽動的な鼓動が高まる。夜中、閨から聞こえる智子の切ない声。昼間、アホネン隊長以下数名の肉体的触れ合い。それらが私を掻き立てたのだ。本能が呼び起こされ、女子を愛でろと煩く喚く。
一念発起し、朝食を食べ終えた私は行動に出た。
…最初に、誰を誘惑し、"ものにする"か。扱いやすいのは間違いなく智子だ。彼女は毎晩のように同じ扶桑の痴女に良いようにされているからだ。…ふ、今ではハルカのことを痴女などとは言えないかな。何故なら私は今、智子だけでなく、世界中の女子を愛でる自信があるから。
生まれつきのイケメン(イケてる面相)、男勝りな性格。渋い煙草にコーヒーの芳香。あぁ、なんと凶悪な性能なのか、私は。
智子。智子か…。あぁ、扶桑人は見た目が幼いからな。より可愛く見えるのだろう。小振りな胸も良い。キャサリンの豊満な胸もいつか私のものにしてみせよう。素晴らしい楽園計画が組み上がっていた。
全員同じの寝室に戻ると、智子がベッドを整えていた。シーツは洗濯でもするのだろう、剥ぎ取って新品と替えていた。
「智子、ちょっといいか」
「何? 珍しいわね、ビューリングから話しかけてくるなんて」
「たまにはそういう気分になるときがあるんだ。分かるだろう?」
「まあ分からないけど…。それで、なんの用?」
穴吹智子は雰囲気に弱い。流動性で、開発はハルカによって進められている。
ハルカには悪いが、智子は私が頂くぞ。
話を聞く体勢として智子はベッドに腰掛けたので、私はその隣にいつもより距離を狭めて座った。
「なぁ、智子。…私は美人だと思うか?」
「何なのよ突然…そんなこと」
「ちょっと、気になったんだ。私に、素質があるかどうか」
「ねぇ、話が見えないわ。はっきり話して頂戴」
他に誰もいない寝室で、二人きりだ。神は私に味方している。あぁ神よ、朝日が素晴らしいグラデーションを織り成していますわ。
「例えば…、こうして顔を近づけてみるんだ」
「っ?!」
すっ、と智子の顔面に接近して、真正面から黒い瞳を見つめる。私はと言えばなるべく智子の心に訴えられるように、目を潤ませることも忘れていない。
近付いた私から逃げるように背筋を仰け反らせた智子。お互いが離れるが、私は智子の肩に手を回して引き寄せ、状況を元に戻す。
801: 2009/05/10(日) 21:05:17 ID:8HYB0Yg6
「びゅ…りん、ぐ?」
きっと頭の中が真っ白なのだろう。あまりに突発的な行動に、"弱い"智子の理性は全てを放棄して本能に肉体を任せ始めるはずだ。
「こうやって間近で見てみると、ドキドキするかな?」
「す、するわよ…! び、美人、だもの…」
「そうか、それは良かった。…じゃあ私が仮に、"愛してる"と言ったら、智子は嬉しいかな?」
「あ、ああ愛ぃ?! ちょ、ちょとビューリング、まさかあなたまで、」
「ねぇ…嬉しいかな?」
私は自然と仰け反る智子を追いかけるように、視線が上からとなる。智子の姿勢は私の支えを無くせばベッドに押し倒されたようになるだろう。
「嬉しいけど! 嬉しいんだけどビューリング、その気持ちには答えられないわ…!」
「どうして?」
言葉は耳元で囁くように。一回一回、耳に向かって息を軽く吹きかけるのは忘れない。段々と、徐々に徐々に智子は体温が上がっていく。
「だ、だって…私はノーマルなのよ。友達としては嬉しいわよ、もちろん」
「じゃあ、どうしてハルカとあんなに仲良くしているんだ? ノーマルだと思っているのは君だけだぞ、智子」
「そんな…。それは……!」
「言い訳をするのか? そんな見苦しい真似をしてしまうより、認めた方が潔いぞ?」
「…レ、レOじゃないもん……」
口調が崩れた。理性はボロボロになり、退行し、素直になった証拠。もう一押しで、智子は堕ちる――!
智子を支えていた肩の手を離す。智子はベッドに落下し、情けない声を上げる。
「ひぅ…」
「智子は可愛いんだ。…愛しているよ、智子」
「んんー!!」
唇を塞ぐ。左右に揺れる頬を両手で押えて、さらに深く侵入していく。
「ん、ちゅ…ビューリング……待っ」
「…、うん…良い子だ」
頭を撫でてやると、智子は惚けたように瞳を揺らした。唇が艶かしく朝日を映す。
可愛い"いもうと"第一号として智子を選んだのは正解だった。アホネン隊長のごときエリザベス帝国建国までの道のりは明るい。智子を抱きしめながら、にやりと笑う私は、どこか活き活きしていた。
――
きっと頭の中が真っ白なのだろう。あまりに突発的な行動に、"弱い"智子の理性は全てを放棄して本能に肉体を任せ始めるはずだ。
「こうやって間近で見てみると、ドキドキするかな?」
「す、するわよ…! び、美人、だもの…」
「そうか、それは良かった。…じゃあ私が仮に、"愛してる"と言ったら、智子は嬉しいかな?」
「あ、ああ愛ぃ?! ちょ、ちょとビューリング、まさかあなたまで、」
「ねぇ…嬉しいかな?」
私は自然と仰け反る智子を追いかけるように、視線が上からとなる。智子の姿勢は私の支えを無くせばベッドに押し倒されたようになるだろう。
「嬉しいけど! 嬉しいんだけどビューリング、その気持ちには答えられないわ…!」
「どうして?」
言葉は耳元で囁くように。一回一回、耳に向かって息を軽く吹きかけるのは忘れない。段々と、徐々に徐々に智子は体温が上がっていく。
「だ、だって…私はノーマルなのよ。友達としては嬉しいわよ、もちろん」
「じゃあ、どうしてハルカとあんなに仲良くしているんだ? ノーマルだと思っているのは君だけだぞ、智子」
「そんな…。それは……!」
「言い訳をするのか? そんな見苦しい真似をしてしまうより、認めた方が潔いぞ?」
「…レ、レOじゃないもん……」
口調が崩れた。理性はボロボロになり、退行し、素直になった証拠。もう一押しで、智子は堕ちる――!
智子を支えていた肩の手を離す。智子はベッドに落下し、情けない声を上げる。
「ひぅ…」
「智子は可愛いんだ。…愛しているよ、智子」
「んんー!!」
唇を塞ぐ。左右に揺れる頬を両手で押えて、さらに深く侵入していく。
「ん、ちゅ…ビューリング……待っ」
「…、うん…良い子だ」
頭を撫でてやると、智子は惚けたように瞳を揺らした。唇が艶かしく朝日を映す。
可愛い"いもうと"第一号として智子を選んだのは正解だった。アホネン隊長のごときエリザベス帝国建国までの道のりは明るい。智子を抱きしめながら、にやりと笑う私は、どこか活き活きしていた。
――
802: 2009/05/10(日) 21:07:08 ID:8HYB0Yg6
――目が覚めた。
「………」
しばらく何が何だか分からなくて天井を睨み付けていた。頭痛が眠気を除去し終わっていない内から、今の夢で起こっていたことを思い起こす。
「……」
まだ誰も起床していない明け方。智子の方を見やると、乱れた服のまま就寝している。
私がやったのではないという保証は無い。かといって私が夢遊病であるとも言い難い。
いや待て落ち着け、あれは夢の中での私だ。現実の私は決してそういう趣味ではないのだ。平静を保ってきた。そうだろう?
「…」
ふと、腕にかかる重みに気付く。向き直ると、左腕を枕に、キャサリン・オヘアが眠っていた。
「なんで…?」
引きつる口端を右手で押さえ込んで、ゆっくりと左腕を救出する。腕の分だけ落下した頭が少しだけ覚めたのか寝言が聞こえた。
「ビューリング…気持ち、いいね」
……どうしてこうなった。
私は酷く混乱していた。夢では智子を? 現実ではキャサリンを? 何故…!?
頭を抱えて暴れたくなる衝動を抑えて起き上がり、深呼吸を始めた。
脳に酸素が行き渡って思考もクリアになり、混乱も鎮静化した。動悸も少し荒いだけとなった。
寝癖でボサボサの髪をさらに掻き乱してから前髪を持ち上げて、額を大気に広く当てる。冷却されたものの、この問題の解決案は出てこない。
「どうしてしまったんだ私は…」
つづく?
――
以上apsV9PCZでした。
「………」
しばらく何が何だか分からなくて天井を睨み付けていた。頭痛が眠気を除去し終わっていない内から、今の夢で起こっていたことを思い起こす。
「……」
まだ誰も起床していない明け方。智子の方を見やると、乱れた服のまま就寝している。
私がやったのではないという保証は無い。かといって私が夢遊病であるとも言い難い。
いや待て落ち着け、あれは夢の中での私だ。現実の私は決してそういう趣味ではないのだ。平静を保ってきた。そうだろう?
「…」
ふと、腕にかかる重みに気付く。向き直ると、左腕を枕に、キャサリン・オヘアが眠っていた。
「なんで…?」
引きつる口端を右手で押さえ込んで、ゆっくりと左腕を救出する。腕の分だけ落下した頭が少しだけ覚めたのか寝言が聞こえた。
「ビューリング…気持ち、いいね」
……どうしてこうなった。
私は酷く混乱していた。夢では智子を? 現実ではキャサリンを? 何故…!?
頭を抱えて暴れたくなる衝動を抑えて起き上がり、深呼吸を始めた。
脳に酸素が行き渡って思考もクリアになり、混乱も鎮静化した。動悸も少し荒いだけとなった。
寝癖でボサボサの髪をさらに掻き乱してから前髪を持ち上げて、額を大気に広く当てる。冷却されたものの、この問題の解決案は出てこない。
「どうしてしまったんだ私は…」
つづく?
――
以上apsV9PCZでした。
827: 2009/05/13(水) 11:32:59 ID:uqTHrLrb
「なあキャサリン。今朝はどんな夢を見ていたのか教えてくれないか…?」
朝食の場で、衝撃の寝言『気持ち、いいね…』の原因を究明しようと私はウルスラとじゃれていたキャサリンに訊ねた。
「Ahh... 気になるね?」
「決まってるだろう。私の寝床に侵入してまで見ていた夢は一体どんな夢なんだ」
私が悶々としている最中に目を覚ました彼女は、開口一番『OH! ソーリーねー』と言っただけで詳細は語らなかったのだった。少し余所余所しく感じたこと以外は何も怪しい点は無いように思えたが。
「一つ約束して欲しいね」「何だ?」
急かすように即答すると、キャサリンは応えた。
「怒らないで聞いて欲しいのね」「分かったから、早く教えてくれ」
コーヒーが冷めないうちに。渋々、と言った様子でキャサリンはやっと口を開いた。
「実は…夢の中でビューリングとポーカーしててね」
「ポーカー? 現実じゃあ酷く弱いのにか?」
僅かな冷笑を含んで言い放つと、それが突き刺さってしまったらしく、俯いて訥々となってしまった。
「それが悔しくて、ビューリングに勝つ妄想をしていたまま寝てしまって…、それが夢に出たんだと思うね」
「まあ…夢だからな。…それで、どうして"気持ちいい"に発展するんだ」
「夢の中ではミーはゴッドだったね! ビューリングが悔し泣きする顔まではっきり覚えてるね!」
もう開き直った地が明るい彼女。夢だから、と寛大な精神を一瞬だけ捨てそうになってしまうが、堪えることが出来た。
「それが堪らないほど気持ちよかったってわけだな?」
「Ah...実はまだ続きがあるね…」
「まさか私に何かやらせたんじゃないだろうな…? ん?」
「ユー! 怒らないって言ったじゃないのさ!」
「…く、…すまん。続けてくれ」
子供のように潤んだ瞳で訴えられては、私も大人しく引き下がるしかなかった。
「負けが続いたビューリングは、最後に悔し紛れに罰ゲーム有りの戦いを望んだのね。最後だけは絶対に勝ってミーに恥をかかせてやるって顔がモンキーみたいだったねー!」
あははー! とキャサリンは心底おかしかったらしく、笑いが止まらないみたいだった。
「いやー! そういう一面もあるんだって、ビューリングがさらに好きになったねー!」
「…っ! と、突然好きとか言うな!」
夢のことが脳裏を過ぎって過剰な反応をしてしまう。キャサリンがそういう人でないことは分かっているのにも関わらず、だ。
朝食の場で、衝撃の寝言『気持ち、いいね…』の原因を究明しようと私はウルスラとじゃれていたキャサリンに訊ねた。
「Ahh... 気になるね?」
「決まってるだろう。私の寝床に侵入してまで見ていた夢は一体どんな夢なんだ」
私が悶々としている最中に目を覚ました彼女は、開口一番『OH! ソーリーねー』と言っただけで詳細は語らなかったのだった。少し余所余所しく感じたこと以外は何も怪しい点は無いように思えたが。
「一つ約束して欲しいね」「何だ?」
急かすように即答すると、キャサリンは応えた。
「怒らないで聞いて欲しいのね」「分かったから、早く教えてくれ」
コーヒーが冷めないうちに。渋々、と言った様子でキャサリンはやっと口を開いた。
「実は…夢の中でビューリングとポーカーしててね」
「ポーカー? 現実じゃあ酷く弱いのにか?」
僅かな冷笑を含んで言い放つと、それが突き刺さってしまったらしく、俯いて訥々となってしまった。
「それが悔しくて、ビューリングに勝つ妄想をしていたまま寝てしまって…、それが夢に出たんだと思うね」
「まあ…夢だからな。…それで、どうして"気持ちいい"に発展するんだ」
「夢の中ではミーはゴッドだったね! ビューリングが悔し泣きする顔まではっきり覚えてるね!」
もう開き直った地が明るい彼女。夢だから、と寛大な精神を一瞬だけ捨てそうになってしまうが、堪えることが出来た。
「それが堪らないほど気持ちよかったってわけだな?」
「Ah...実はまだ続きがあるね…」
「まさか私に何かやらせたんじゃないだろうな…? ん?」
「ユー! 怒らないって言ったじゃないのさ!」
「…く、…すまん。続けてくれ」
子供のように潤んだ瞳で訴えられては、私も大人しく引き下がるしかなかった。
「負けが続いたビューリングは、最後に悔し紛れに罰ゲーム有りの戦いを望んだのね。最後だけは絶対に勝ってミーに恥をかかせてやるって顔がモンキーみたいだったねー!」
あははー! とキャサリンは心底おかしかったらしく、笑いが止まらないみたいだった。
「いやー! そういう一面もあるんだって、ビューリングがさらに好きになったねー!」
「…っ! と、突然好きとか言うな!」
夢のことが脳裏を過ぎって過剰な反応をしてしまう。キャサリンがそういう人でないことは分かっているのにも関わらず、だ。
828: 2009/05/13(水) 11:33:30 ID:uqTHrLrb
「何怒鳴ってるねー? 顔も赤いね」
私の内心の動揺に勘付いて、自分が有利なのだと思ったキャサリンは顔のニヤけが抑えられていない。迂闊だった。もっとクールにしていなければ、私が私でなくなってしまいそうだった。
「ゆ、夢の中の私だろうが。現実もそうだとは限らない」
「そうかねー? ユーは多分甘えんぼさんだと思うけどねー」
「馬鹿言うな!」
「そうやってムキになるのがまた怪しいねー」
「くぅぅ……」
調子に乗ってやがるこの田舎娘。シメるか。……待て、もう始末書は面倒だ。落ち着けエリザベス。頭を冷やせビューリング。
「…で、最後の勝負に私は当然勝ったんだよな?」
「負けたね」
「……くそったれ…」
そういえば起床してから煙草を吸っていない。どうにも落ち着かないのはこの所為だったか。ポケットを漁るが、まさか煙草が無いなんてことは…。………無い。どこにも無かった。
「負けたビューリングにミーはマッサージを命じたのね! これで夢の話は終わりね! ミーに罪は無いからね-!」
「現実だったら肩を砕いているところだ」
「何だか怖いねー…。でも、そういうビューリングも素敵な感じねー」
「……言うな、言わないでくれ」
視界の隅にウルスラを捉えたが、彼女は黙々と字を追っているだけで、こちらの話には一切興味がないようだった。
キャサリンに夢の中でも現実でも敗北感を味わわされた私は椅子の背凭れに全体重を乗せ、吐息を一つ。
「んー、ビューリング、何だか様子が変ね。ウルスラもそう思わないかー?」
その呼びかけに反応したウルスラは本から顔を上げて、私の顔をじっと見つめてきた。瞬き二つを経て、本に視線を戻しつつ一言。
「疲れてる」
「煙草が足りないだけだ」
「そうは思えないね」
「どういうことだ?」
「よく分からないね。…でも、確かに疲れてるのかも知れないねー」
疲れている? 私が? 夢の内容は壮絶で疲れるに足る物だったとは思うが、悪夢に魘された程度では私は疲れなどしない。
「すぐバレるジョークはやめることだな、キャサリン」
話を切り上げて私は立ち上がった。歩き始めてから、まともに食事を摂っていなかったことに気付いたが、戻るのも何だか締まらない。そのまま食堂を出て、手洗いへ向かった。
鏡に映る自らの灰色の瞳と目を合せてみる。…少し寝不足なのだろう。目元に隈が薄く出来ていた。疑念を払拭するように顔を荒く洗った。
「どうしてしまったんだ、私は…」
――
私の内心の動揺に勘付いて、自分が有利なのだと思ったキャサリンは顔のニヤけが抑えられていない。迂闊だった。もっとクールにしていなければ、私が私でなくなってしまいそうだった。
「ゆ、夢の中の私だろうが。現実もそうだとは限らない」
「そうかねー? ユーは多分甘えんぼさんだと思うけどねー」
「馬鹿言うな!」
「そうやってムキになるのがまた怪しいねー」
「くぅぅ……」
調子に乗ってやがるこの田舎娘。シメるか。……待て、もう始末書は面倒だ。落ち着けエリザベス。頭を冷やせビューリング。
「…で、最後の勝負に私は当然勝ったんだよな?」
「負けたね」
「……くそったれ…」
そういえば起床してから煙草を吸っていない。どうにも落ち着かないのはこの所為だったか。ポケットを漁るが、まさか煙草が無いなんてことは…。………無い。どこにも無かった。
「負けたビューリングにミーはマッサージを命じたのね! これで夢の話は終わりね! ミーに罪は無いからね-!」
「現実だったら肩を砕いているところだ」
「何だか怖いねー…。でも、そういうビューリングも素敵な感じねー」
「……言うな、言わないでくれ」
視界の隅にウルスラを捉えたが、彼女は黙々と字を追っているだけで、こちらの話には一切興味がないようだった。
キャサリンに夢の中でも現実でも敗北感を味わわされた私は椅子の背凭れに全体重を乗せ、吐息を一つ。
「んー、ビューリング、何だか様子が変ね。ウルスラもそう思わないかー?」
その呼びかけに反応したウルスラは本から顔を上げて、私の顔をじっと見つめてきた。瞬き二つを経て、本に視線を戻しつつ一言。
「疲れてる」
「煙草が足りないだけだ」
「そうは思えないね」
「どういうことだ?」
「よく分からないね。…でも、確かに疲れてるのかも知れないねー」
疲れている? 私が? 夢の内容は壮絶で疲れるに足る物だったとは思うが、悪夢に魘された程度では私は疲れなどしない。
「すぐバレるジョークはやめることだな、キャサリン」
話を切り上げて私は立ち上がった。歩き始めてから、まともに食事を摂っていなかったことに気付いたが、戻るのも何だか締まらない。そのまま食堂を出て、手洗いへ向かった。
鏡に映る自らの灰色の瞳と目を合せてみる。…少し寝不足なのだろう。目元に隈が薄く出来ていた。疑念を払拭するように顔を荒く洗った。
「どうしてしまったんだ、私は…」
――
829: 2009/05/13(水) 11:33:58 ID:uqTHrLrb
その晩、私は再び、帝国建立の為の野望を叶えようとしていた。
「ふ、ふふふ…。リベリオンの田舎娘か。元気も良いし、懐いてくれるだけで可愛いだろうな」
夢の中での私は完全に箍が外れていて、廊下のど真ん中でほくそ笑んでいた。
「キャサリンは陽気だから、多少派手なコミュニケーションをしても平気で受け入れてくれそうだな…」
そう、突然肩を組んだり、ハグしたり、キスしまくったり。こちらが受け入れれば向こうも受け入れてくれる。そんな娘だろうと当たりを付けた。
「Wow! ビューリング、廊下で何をぶつぶつ言ってるね-?」
突然背後から声を掛けられたが驚きはしなかった。ウルスラと同じく神出鬼没の気があるからな。
「そうそう、聞いて欲しいね! 夢についてもっと思い出したね!」
「そうか、どんなことを?」
「ビューリングにマッサージしてもらった場所はお風呂だったのね! ホットなボディにマッサージは一番効くからね!」
「な…、つまり、裸だったと?」
「その通りね! ビューリング、案外胸があって驚いたのねー」
「胸はキャサリンの方があると思うが?」
「イエース! ポーカーも胸もミーの勝ちねー!!」
「…無邪気な皮肉が刺さる……」
「でもミーだけがビューリングの胸を見るのも何だか忍びないね。…んー……YEAH!!」
溜めを作ってキャサリンは飛びかかってきた――! 私が避けてしまえばキャサリンは怪我をしてしまうだろう。だから、受け止めるしかなかった。豊満な胸が私の顔を包み込んだ。
「好きなだけ楽しむがいいねー!」
「…ん、…んー!!」
苦しい。正直、苦しい。人一人分の重みを支えていると、変に動くことも出来ず、キャサリンの胸に束縛される。
―――あぁ、だが…柔らかい。
これはまた、素晴らしい。他の隊員には無いものを、今私が独り占めしているのだ。
右手を動かして、巨大な果実を鷲掴みにした。
「OH! 意外にイケる口なのね?」
意味を好意的に受け取ることにして、左手はキャサリンを支えるために腰へ回し、少しだけ引きはがして、私が抱きかかえているようにした。
「全く、私をその気にさせたな…」
「What?! その気って何ね? え? ビューリング? hey!」
あくまでキャサリンはじゃれたつもりなのだろうが、覚醒済みの私に触れたが最後、ようこそ百合園へ。
「ああ、こうやってじゃれつかれるのも私は好きだからな。いつでもかかってこい」
イケる口であることを示して、腕の中のキャサリンを華麗に回して背後から抱きしめる。左手は胸に、右手は秘部に。首筋に、息を吹きかける。
「くすぐったいね-! AH! ビューリング、本気ねー?!」
「離さないからな?」
「オーマイガァ―――ッ!!!」
――
「ふ、ふふふ…。リベリオンの田舎娘か。元気も良いし、懐いてくれるだけで可愛いだろうな」
夢の中での私は完全に箍が外れていて、廊下のど真ん中でほくそ笑んでいた。
「キャサリンは陽気だから、多少派手なコミュニケーションをしても平気で受け入れてくれそうだな…」
そう、突然肩を組んだり、ハグしたり、キスしまくったり。こちらが受け入れれば向こうも受け入れてくれる。そんな娘だろうと当たりを付けた。
「Wow! ビューリング、廊下で何をぶつぶつ言ってるね-?」
突然背後から声を掛けられたが驚きはしなかった。ウルスラと同じく神出鬼没の気があるからな。
「そうそう、聞いて欲しいね! 夢についてもっと思い出したね!」
「そうか、どんなことを?」
「ビューリングにマッサージしてもらった場所はお風呂だったのね! ホットなボディにマッサージは一番効くからね!」
「な…、つまり、裸だったと?」
「その通りね! ビューリング、案外胸があって驚いたのねー」
「胸はキャサリンの方があると思うが?」
「イエース! ポーカーも胸もミーの勝ちねー!!」
「…無邪気な皮肉が刺さる……」
「でもミーだけがビューリングの胸を見るのも何だか忍びないね。…んー……YEAH!!」
溜めを作ってキャサリンは飛びかかってきた――! 私が避けてしまえばキャサリンは怪我をしてしまうだろう。だから、受け止めるしかなかった。豊満な胸が私の顔を包み込んだ。
「好きなだけ楽しむがいいねー!」
「…ん、…んー!!」
苦しい。正直、苦しい。人一人分の重みを支えていると、変に動くことも出来ず、キャサリンの胸に束縛される。
―――あぁ、だが…柔らかい。
これはまた、素晴らしい。他の隊員には無いものを、今私が独り占めしているのだ。
右手を動かして、巨大な果実を鷲掴みにした。
「OH! 意外にイケる口なのね?」
意味を好意的に受け取ることにして、左手はキャサリンを支えるために腰へ回し、少しだけ引きはがして、私が抱きかかえているようにした。
「全く、私をその気にさせたな…」
「What?! その気って何ね? え? ビューリング? hey!」
あくまでキャサリンはじゃれたつもりなのだろうが、覚醒済みの私に触れたが最後、ようこそ百合園へ。
「ああ、こうやってじゃれつかれるのも私は好きだからな。いつでもかかってこい」
イケる口であることを示して、腕の中のキャサリンを華麗に回して背後から抱きしめる。左手は胸に、右手は秘部に。首筋に、息を吹きかける。
「くすぐったいね-! AH! ビューリング、本気ねー?!」
「離さないからな?」
「オーマイガァ―――ッ!!!」
――
830: 2009/05/13(水) 11:38:02 ID:uqTHrLrb
――そして、目が覚めた。
もう嫌だ。昨晩の夢から考えて智子なら理解出来なくもなかったが、まさかキャサリンまで襲ってしまう夢とは、一体どういう改造を施されてしまったのだ私の思考回路は。しかも、着々と帝国成立に近付いている。これがまた悩みの種だ。
「わ、私は…レOじゃ……」
ない。否定したい。だが、夢はまるで欲望を晴らしているようで…。そんな錯覚をしてしまうほど、鮮明で情熱的な夢だった。智子に続き、キャサリンまでも。…このままでは、その日会話した娘の夢を見続けてしまいそうである。
「水…飲むか」
大声を出してしまった。誰も起きていないのかと周りを確認する内に瑠璃色の空を見て、もう明けるまで起きていよう。そう考えて、丸めたシーツを両手に抱いて、こそこそと寝室を出ようとした。
がしっ。キャサリンの横を通り過ぎようとしたところ、寝惚けているのか、足を掴まれた。
「こ、こら…離してくれ…!」
「大きな声で起きちゃったねー…」
「す…すまん……」
何故かそのまま両足を伝ってよじ登ってくるキャサリン。…待って、やめてくれ、それ以上は来ないでくれ…!
「…ん。…ビューリング、おもらしね?」
太腿まで到達したキャサリンは、容赦のない一言を私に浴びせかけた。目を開いて、私が手に持っているシーツも目撃したようだ。
「………ミーとユーだけの秘密ね…」
そう言って、緩慢に寝床に帰還を開始するトラブルメーカー。あぁ、私のプライドもイメージもズタボロだ。ふはは…。自暴自棄となった私が視線を動かして、そそくさと部屋を出ようとした。だが。
――智子と、目が合った。
「ビューリング…? もう起きてるの?」
目を擦りながら、シーツを抱く私を注視してきた。
な、な…、智子に、見られた…! この状況を――!?
「と、ととともこ…頼むからそのまま寝ててくれ―――ッ!」
「無理よ…もう起きちゃったもの。…それで、ビューリングあなた何を……」
やっと見開かれた瞳。同時に、足下のキャサリンは毛布に包まっていった。
キャサリンが離れたことを一瞬で確認した私は振り返って扉から猛ダッシュを開始。逃亡に成功したのだった。
「どうすればいいんだ…私は」
洗濯場のビューリングの真摯な嘆きは、朝日に照らされる夜闇のように掻き消えていった。
もう嫌だ。昨晩の夢から考えて智子なら理解出来なくもなかったが、まさかキャサリンまで襲ってしまう夢とは、一体どういう改造を施されてしまったのだ私の思考回路は。しかも、着々と帝国成立に近付いている。これがまた悩みの種だ。
「わ、私は…レOじゃ……」
ない。否定したい。だが、夢はまるで欲望を晴らしているようで…。そんな錯覚をしてしまうほど、鮮明で情熱的な夢だった。智子に続き、キャサリンまでも。…このままでは、その日会話した娘の夢を見続けてしまいそうである。
「水…飲むか」
大声を出してしまった。誰も起きていないのかと周りを確認する内に瑠璃色の空を見て、もう明けるまで起きていよう。そう考えて、丸めたシーツを両手に抱いて、こそこそと寝室を出ようとした。
がしっ。キャサリンの横を通り過ぎようとしたところ、寝惚けているのか、足を掴まれた。
「こ、こら…離してくれ…!」
「大きな声で起きちゃったねー…」
「す…すまん……」
何故かそのまま両足を伝ってよじ登ってくるキャサリン。…待って、やめてくれ、それ以上は来ないでくれ…!
「…ん。…ビューリング、おもらしね?」
太腿まで到達したキャサリンは、容赦のない一言を私に浴びせかけた。目を開いて、私が手に持っているシーツも目撃したようだ。
「………ミーとユーだけの秘密ね…」
そう言って、緩慢に寝床に帰還を開始するトラブルメーカー。あぁ、私のプライドもイメージもズタボロだ。ふはは…。自暴自棄となった私が視線を動かして、そそくさと部屋を出ようとした。だが。
――智子と、目が合った。
「ビューリング…? もう起きてるの?」
目を擦りながら、シーツを抱く私を注視してきた。
な、な…、智子に、見られた…! この状況を――!?
「と、ととともこ…頼むからそのまま寝ててくれ―――ッ!」
「無理よ…もう起きちゃったもの。…それで、ビューリングあなた何を……」
やっと見開かれた瞳。同時に、足下のキャサリンは毛布に包まっていった。
キャサリンが離れたことを一瞬で確認した私は振り返って扉から猛ダッシュを開始。逃亡に成功したのだった。
「どうすればいいんだ…私は」
洗濯場のビューリングの真摯な嘆きは、朝日に照らされる夜闇のように掻き消えていった。



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