13: 2009/04/10(金) 18:16:40 ID:MqPOlTjU
こんばんは。mxTTnzhmでございます。
思い付いたのをぱぱっと書いてみました。


14: 2009/04/10(金) 18:17:28 ID:MqPOlTjU
part1

しとしとと雨が降るある日の午後。ミーティングルームでお茶を楽しむウィッチーズ。
美味しいお菓子とお茶で、会話も弾む。
「坂本さんですか? お姉ちゃんって感じではないですよね」
雑談の最中、芳佳が笑いながら言った。
「当たり前だ。あくまで、上官と部下だ」
呆れる美緒。何か琴線に触るものが有ったのか、トゥルーデがいつの間にか芳佳の横に座っている。
「でも少佐は、訓練とか……、特に剣のお稽古になると、お師匠様って感じですよね」
リーネが訓練の様子を思い出す。
「お師匠様……『師匠!』 みたいな?」
芳佳が美緒を試しに呼んでみる。
「師匠……と言われる程私は凄い訳ではないぞ」
苦笑いする美緒。
「私はどうなんだ宮藤? 501の隊員は何せ皆家族、だからな。私の事を姉だと思って……」
「ば、バルクホルンさん。……お師匠様?」
「な、何ぃ!? 『お姉ちゃん』だろそこは!?」
「トゥルーデ、大丈夫?」
エーリカがトゥルーデを宥める。
「……はっ! いかんいかん。つい」
「トゥルーデ、相変わらずだね」
「流石にバルクホルン程ではないな」
笑う美緒。
「じゃあ、お姉ちゃま?」
「何か違うぞ」
「あねぇ」
「おねえたま」
「お姉様」
「ねえたま」
「アネキ」
「姉上様」
「姉くん」
「姉君さま」
「姉チャマ」
「姉ゃ」
いつの間にか周りに隊員が集まり、色々な呼び方で美緒を呼んでみる。脇では必氏に何かを堪えるトゥルーデの姿が。
その時、ミーナは美緒の異変に気付いた。
「坂本しょう……美緒、どうしたの? 何か今一瞬顔色が……」
「確かに、誰かの言葉に反応したよね?」
「何だ? どの呼び方だ?」
「アネキ……じゃあなさそうだなあ」
「姉上様」
ぽつり、とサーニャが言葉を繰り返す。
ごくり、と唾を飲み込む美緒を、一同は見逃さなかった。
「坂本さん!」「少佐!?」「美緒?」
「大丈夫だ。な、何でも……」
ティーカップを持つ手が震える美緒。芳佳の方を向き、声を掛ける。
「み、宮藤」
「はい、何でしょう?」
「私に、言ってくれないか? あ……『姉上』と」
「は、はいい!? どうしたんですか、坂本さん?」
「待てぇ! 宮藤は私の妹だ! 幾ら少佐でも渡す訳にはいかない!」
「退け、バルクホルン!」
「ちょっと、ふたりとも……」
「宮藤、私の事をもう一度……」
「宮藤は渡さん!」
「美緒、トゥルーデ、何やってるのよ貴方達は!」
「誰かとめてー」

15: 2009/04/10(金) 18:17:57 ID:MqPOlTjU
part2

霧雨が降るある日の午後。ミーティングルームで歌の準備をするウィッチーズ。
マイクをセットし、その他音響設備も準備完了。美緒が隊員に位置を指示する。
「さて、まずエイラとサーニャはピアノの所へ。宮藤は私と一緒だ。サーニャ達の横に位置を取るぞ」
「了解」
ミーティングルームの階段を眺め、隊員に指さす。
「シャーリーとルッキーニは階段の上。その中段には、ミーナとバルクホルン、ハルトマン。
あとリーネとペリーヌ、宮藤はその下だ。良いな」
「は~い」
「よし、全員揃ったな」
辺りを見回し、頷いた。
「うむ。問題なし。ちゃんと十二人全員居るな」
「はい」
全員の声。
「……ん?」
「あれ?」
「ちょっと待った」
「一人多くないか?」
「え?」
「誰でしょうね? 坂本さん」
「イヤですよ、怪談じゃあるまいし。ねえ、坂本さん」
「お前だ、宮藤! 何故二人居る?」
全員の視線が、二人の芳佳に集中する。
「おワ? 何で二人?」
ぎょっとするエイラ。
「分裂した?」
「芳佳ちゃんが、ふたり……」
慌てるリーネ。
「どっちかお化けだったりして~」
忍び寄った“黒い悪魔”がリーネの背後で囁いた。
「……怖い!」
「心配しないで、リーネちゃん」
「大丈夫だよ、私がついてるよ、リーネちゃん」
左右から同時にステレオで聞こえる芳佳の声に、リーネはしゃがみ込んで頭を抱えた。
「何を脅かしてるんだ、エーリカ。宮藤が二人になっただけだろう」
「随分冷静ね、トゥルーデ」
ミーナが芳佳ふたりを一緒に腕で抱えるトゥルーデを見て言う。
「何せ妹が二人に増えたんだ。嬉しいじゃないか」
「そう言う問題かしら?」
「坂本さん、私どうすればいいんでしょう?」
「坂本さん、私どうすればいいんでしょう?」
「うっ……何か微妙に面倒だな……」
二人に迫られて困る美緒。
「どっちかは偽物?」
「影は二人とも有るから、化け物じゃあないね」
エーリカが二人の足元を見て言った。
「影の有無で分かるのか」
「吸血鬼は、影が無いとか言わなかったっけ?」
「さあ」
「芳佳ちゃんがバンパイア!?」
リーネはがくがくと震えた。
「ちょっとリーネさん、貴方大丈夫ですの?」
ペリーヌがリーネの顔を見た。
サーニャは試しにレーダー魔導針を出してみるが、区別が付かないと言った顔をしている。
「そうだ良いこと思い付いた。宮藤、少佐を姉だと思って呼んでみ?」
シャーリーが二人の芳佳の肩を持って、並べた。
「そこは私の役目だろ!?」
「はいはいお姉ちゃんお姉ちゃん」
「はっ離せリベリアン!」
シャーリーに肩を掴まれずるずると引きずられるトゥルーデ。
「えっと……お姉ちゃん!?」
「……姉上?」
それぞれ違う呼び方をする二人の芳佳。
「本物はこっちだ!」
“姉上”と呼んだ芳佳を指さすシャーリー。
「どうしてそうなるンダ?」
首を捻るエイラ。
「いや、この前姉上って呼ぶと……少佐?」
気付くと、「姉上」と呼んだ方の芳佳をお姫様抱っこしている美緒。
「宮藤、もう一度私を呼んでくれ」
「姉上」
「うむ、言い響きだ。何かこう、満たされるものがあるな」
「ウジャー 今度は少佐がおかしくなったよ」
「美緒、貴方の魔眼で分からないの?」
「いや、私はこっちで良い。そっちの宮藤はバルクホルンにやろう」
「あのね、美緒。話を……」
「いっそ二人貰えないか」
既にもう片方の芳佳を一人ゲットしているトゥルーデが不満そうに言った。
「一人で我慢しろ。皆それぞれが少し我慢して……これぞ三方一両損」
「はい?」
「何です、それ?」
「ちょっと違うか?」
「全然違うかと」
「で、どうすんのよこの二人」

end

16: 2009/04/10(金) 18:20:03 ID:MqPOlTjU
オチが無い/(^o^)\
part1は、尊敬する絵描き様の漫画にインスパイアされて書きました。
呼称については「シスプリ」を参考にしました。
part2は、秘め歌コレクションのジャケット合成ネタから。
ホント勢いだけなんで、まあ、何と言うか……。

ではまた~。

33: 2009/04/11(土) 19:33:39 ID:U7.Vc9ms
とりあえず落ち着いた一同を前に、美緒は説明を始めた。
「『三方一両損』と言うのは、扶桑に昔居た有名な……裁判官みたいな者が行ったもの、とされているらしい……
私も正確な由来は詳しく知らんのだが、まあとにかく扶桑の昔の美談と言うか、故事、諺みたいなものだ」
「ほほう」
「それでそれで?」
興味津々なシャーリーとルッキーニ。
「つまりだ。この『三方一両損』を、今回の宮藤に例えるとだな……」
美緒はそれぞれの芳佳を指さし、手招きした。
「まず、リーネと恋人つなぎして座っている宮藤をここに。そしてバルクホルンがお姫様だっこしている宮藤もこっちに。
そして私と手を握っている宮藤を集めて、と。これで皆が一人ずつ宮藤を損しているので『三方一両損』、と言う訳だ。
さて、問題はこの宮藤達をどうするかだが……」
何だか納得出来ない様子で見ているミーナを見、美緒は言った。
「やる」
「え!? 私に?」
驚くミーナ。
「何か違うぞっ!」
「ちょっと待った。おかしくないか?」
違和感を口に出す一同。
「おかしい? 何処が?」
首を捻る美緒。
「イヤ、例えバ、宮藤がいつの間にか三人に増えてるとことカ」
エイラのツッコミで、ぎょっとして芳佳を見る501の面々。
「うわ、また一人増えた!」
「一体全体どうなってるんですの?」
「宮藤、なんか変なものでも食ったか?」
「私に言われても困ります!」「どうして私増えちゃったんだろう」「私に出来る事って……」
三者三様の困り顔を見せる、三人の芳佳。
「私も困ったな。どうするか」
美緒も顎に手をやり、ふうと溜め息を付く。
「美緒、貴方の魔眼で……」
「……別にネウロイではないし、特に変わった所もないな」
アイパッチをめくり、三人をちらりと見た上でミーナに言う美緒。
「私も、分かりません……」
サーニャがレーダー魔導針を出して確認する。
「まあ、宮藤が三人に増えたと言う事はだ。つまり単純に戦力が三倍になったと言う事で良いではないか」
豪快に笑う美緒。
「美緒、貴方ねぇ。ストライカーの維持費も戦費も、宮藤さんに掛かる経費とかも全部三倍になるって事じゃないの?」
「第一、ミヤフジのストライカーは元々一機分だけじゃないの?」
比較的冷静なカールスラントの二人から指摘を受ける美緒。
「そこは使い回し……はできんか。でも治癒魔法も三倍、使い放題! 怪我をしてももう大丈夫だぞ」
「あのぉ、負傷前提で話するの止めて貰えませんかね」
シャーリーがぼそっと言う。
「おい、宮藤! 私を姉だと思って呼んでみてくれ。さあ!」
トゥルーデがどうしようか考えている芳佳達に声を掛けた。
「お姉ちゃん!」「姉上」「お姉さま?」
「よし、私はこっちの宮藤を貰おう」
お姉ちゃんと呼んだ芳佳の手を引いて部屋に戻ろうとするトゥルーデ。
「おぉい待て待てバルクホルン! 何処連れてく気だ!?」
「芳佳ちゃん!」
「リーネちゃん、どうしたの?」「リーネちゃん、私に何か用?」
「じゃあ、私はこの芳佳ちゃんを……」
「リーネもやめんか!」
「姉上、私どうすれば」
「うむ。困ったな宮藤。私もどうしたら良いか、とんと見当が……」
「美緒? 貴方も宮藤さんを抱っこしてるじゃないの。何やってるの」
「んっ?」
ミーナの方を見る美緒と芳佳。

34: 2009/04/11(土) 19:34:27 ID:U7.Vc9ms
「とりあえず宮藤さん? ちょっとこっちへ」
ミーナは芳佳達を一箇所に集める。芳佳が言った。
「分かりました、ミーナ中佐! 『三人寄れば文殊の知恵』って訳ですね?」「流石ミーナ中佐」「ミーナ中佐凄いですねえ」
「……それはどう言う意味かしら、宮藤さん?」
「ええと、確か……」「特に頭が良くなくても三人集まって相談すれば……」「何か良い結果が出る、って事ですよ」
「扶桑には面白い諺が多いナ~。宮藤も面白過ぎるけどナ」
サーニャの手を引いて、様子を眺めるエイラ。
「じゃあ、試しに、貴方達でどうすれば良いか相談してみたらどう?」
投げ遣りなミーナは芳佳達に言った。
「私は、リーネちゃんが良いな」「ええ? 私もリーネちゃんが良い」「私もリーネちゃんが良い」
「そ、そんな……芳佳ちゃん三人も居たら、私、身体が保たない」
聞くなり、ぼっと顔を赤らめて頬に手をやるリーネ。
「待てぇ! 私はどうなる? 宮藤、こう言う時こそ、私を姉だと思って頼れ! 遠慮は要らん、さあ」
「有り難う、お姉ちゃん!」「バルクホルンさん、ありがとうございます」「バルクホルンさん、優しいんですね」
「さあ、行こう宮藤! いやこの際だ、芳佳と呼んで良いか?」
「トゥルーデ、三人連れて何処行く気よ」
「えっ?」
「こら待て! 抜け駆けは許さんぞ!」
「だったら、さっきの少佐が言ってた、三方いちナントカで、いいんじゃない?」
「具体的にどうするんだ?」
「そう言われても……困ったな」
「サーニャちゃんって、肌白いよね~」「いつも黒い服着てるから、余計目立つよね」「美白だよね~」
「三人揃ってサーニャをそんな目でミンナ~!」

end

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以上です。相変わらずオチは無い。反省もしていない。

タイトル名は、某アーケードゲーム基板から頂きました。特に意味は(ry

「三方一両損」のネタは……分かる人はそう言う事でお察し下さい。
本当の三方一両損の意味は……ぐぐってみて下さいw

ではまた~。

引用: ストライクウィッチーズでレズ百合萌え 避難所2