43: 2011/05/29(日) 23:46:45.94 ID:bZcMacGe0

翠  「このお肉おいしいですねぇ」 ハムハム

蒼  「味わい深い肉汁と絶妙な柔らかさがたまらないね。これは何の肉なんだい?」 ハムハム

のり 「これは真紅ちゃんが持ってきたお肉なのよ。ねえ」

紅  「え、ええ。そうよ」

のり 「それで真紅ちゃん、こんなおいしいお肉をどこで買ってきたの?」

紅  「そ、それは……」

苺  「ねえねえ、JUMはどこなのー?」

紅  「!」 ギクリ
ローゼンメイデン 愛蔵版 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
114: 2011/05/30(月) 20:42:40.82 ID:gFC00tDg0
>>43の続きでも

真紅  「ジュ、JUMなら薔薇水晶を作ったあの男……ええっと……」

蒼星石 「槐さんかい?」

真紅  「そう! 槐のところに人形細工の勉強に行ったのだわ! 泊り込みで!!」

雛苺  「うゆ……。それじゃあ今日はJUMのぼりができないのー……」

のり   「あらあらそうだったの。それじゃ槐さんにお礼の電話しておかなきゃ」 ガタッ

真紅  「!?」

のり   「えーっと、槐さんちの電話番号は……っと」 ペラッ

真紅  「ま、待ちなさいのり!」

のり   「ふえ?」

真紅  「作業中の人形師に電話をするのはドールの眠りを妨げることに等しい、絶対に許されないことなのよ!!」 アセアセ

115: 2011/05/30(月) 20:45:23.26 ID:gFC00tDg0

のり   「でも……」

真紅  「でももヘチマもないのだわ! お礼なら後日改めてすればいいのよ!」

のり   「うーん……。真紅ちゃんがそういうなら、そうしましょうか」

蒼星石 「ボクはそんな話聞いたことないけどなぁ。それにこの時間ならきっとご飯を食べて――――」

真紅  「おだまりなさい!」 シュッ

蒼星石 「わっ」 サッ

翠星石 「しっかし大丈夫ですかねぇ。あの薔薇水晶のところなんて一人で泊まるだなんて」

のり   「でも一人でお泊りなんて、少しは男の子らしくなったという証でもあるから、ちょっぴり嬉しいかな」 ニコッ

真紅  「そ、そうよ! 家来として磨きをかけるための、これはいわば修行なのだわ!」 オドオド

蒼星石 「…………?」

117: 2011/05/30(月) 20:47:36.07 ID:gFC00tDg0

真紅  (ふぅっ、これで何とか誤魔化せそうね)

のり   「それで真紅ちゃん、このお肉はどこから?」

真紅  「!」

雛苺  「今度このお肉で花丸ハンバーグ作ってほしいなのー!」

のり   「ふふっ、もちろんよ雛ちゃん」

雛苺  「うわぁ~い!!」 キャッキャッ

翠星石 「こんなにうまい肉の出所をごまかそうだなんて思っても、そうはいかねーですよ真紅」 モグモグ

真紅  (くっ! せっかく話が逸らせたと思ったのに……! しつこいのだわ……!!) イライラ

118: 2011/05/30(月) 20:49:56.14 ID:gFC00tDg0

真紅  「こ、これは……。……その……そう! 槐よ! 槐からのお裾分けよ!」

蒼星石 「槐さんかぁ。けっこう気前いいんだねあの人」

翠星石 「店は閑古鳥にすら見放されてる有様なのに意外ですねぇ」

蒼星石 「あはははっ。確かに」

のり   「それじゃあJUM君がお世話になったのと合わせてお礼しなきゃ」

真紅  「そ、そうね。そうするといいのだわ……」 ドキドキ

蒼星石 「…………」

119: 2011/05/30(月) 20:52:01.98 ID:gFC00tDg0

――夜――

パカッ

真紅  「……」 スクッ

カチャリ ガラッ



蒼星石 「……ようやく動いたね」 パカッ

翠星石 「今日の真紅はどうも様子がおかしいですぅ」 パカッ

蒼星石 「うん。今から気付かれないよう彼女を尾行するよ」

雛苺  「何か隠し事をしてるみたいなのー!」 パカッ

翠星石 「しーっ! 声がでかすぎるですちびちび」

蒼星石 「明日、のりさんにも相談しよう。何か嫌な予感がするんだ……」

120: 2011/05/30(月) 20:57:48.43 ID:gFC00tDg0

真紅  「……」 スタスタ




蒼星石 「どうやら真紅は裏庭に向かっているらしい」

雛苺  「お外、まっくらなのー……」

翠星石 「すっ、すすす、翠星石はぜぜぜ、全然怖くねーですよ!」 ガタガタガタガタ

雛苺  「だったら、そんなに強く服を掴まないでほしいのー」

翠星石 「こ、これはですねぇ、ビビリなチビ苺のためを思って――――」

ワン!! ワンワン!!

翠星石 「ひいいいいいいいっ!?」 ビクッ!

蒼星石 「犬が吠えただけだよ。大袈裟だなあ」

121: 2011/05/30(月) 21:00:52.72 ID:gFC00tDg0

雛苺  「ビビリは翠星石の方なのー」

翠星石 「ちっ、ちげーですぅ! この私がまさかチビ苺より怖がりだなんてありえるわけが……!」

蒼星石 「しっ、二人とも静かに!」 サッ

翠星石 「蒼星石? 急にどうしたですかぁ?」

蒼星石 「あそこを見て。ほら、あそこ」 ピッ

翠星石 「?」

雛苺  「真紅が穴を掘ってるなの」





真紅  「……ふぅ……ふぅ……」 ザックザック

122: 2011/05/30(月) 21:04:05.93 ID:gFC00tDg0

翠星石 「これは大チャンスですぅ! のりに相談だなんて悠長なことはせずに、ここで一気に暴いてやるです!」 ガサッ

蒼星石 「翠星石!? ちょっと! 待ってよ!!」

雛苺  「ヒナも行くのー!」 ダッ

蒼星石 「ああもう! これじゃあ僕の計画が台無しじゃないか!」 バッ





ドサッ

真紅  「まだ肉が残ってるわね……。汁気が出てきたから早めに処理しないと腐ってしまうのだわ……」

翠星石 「し~ん~くぅ~。そ・こ・で・何をしてるですかぁ?」 ニタニタ

真紅  「ッ!!」 ビクッ!!

124: 2011/05/30(月) 21:07:46.29 ID:gFC00tDg0

真紅  「ち、ちがうのよ! これは私のせいじゃ……!」

翠星石 「何わけのわからねーこと言ってやがるですか! そこを退くですぅ!」

真紅  「! 待って! 見ては駄目よ! 翠星石!!」

翠星石 「隠しても無駄ですぅ! とっとと観念しやがれで――――ん?」


グチャァ…


翠星石 「ひいいいいいいいいいいいっ!? なっ、何ですかぁこれは!? 焼けた人間が転がってるですぅ!!」

真紅  「ああ…………。見てしまったのね。ならもう隠すこともないわ……」

雛苺  「な、何かその赤黒い塊から鉄錆のにおいがするの!」 ゴクリ

蒼星石 「黒縁のメガネにパーカー!? それはまさか……!」



真紅  「……ええ。それは紛れも無くJUM。いえ……JUM『だった』というのが正しいかしら」 ユラリ

125: 2011/05/30(月) 21:10:36.90 ID:gFC00tDg0

蒼星石 「真紅! まさか君が!?」

真紅  「そうよ。だから何?」

蒼星石 「なんて事を! 何でJUM君を頃したんだ!?」

真紅  「アリスになるためよ。でもJUMは氏んでしまった。ただそれだけなのだわ」

蒼星石 「…………ッ!」 ギリッ

雛苺  「JUM……JUM~~!! うぇぇぇぇん!」 シクシク

翠星石 「そ、そんな事……あるはずねーです……チビ人間が……JUMが氏ぬだなんて……ひぐっ……」 ポロポロ





真紅  「いくら泣いてみてもJUMは生き返らないわ。もう過ぎてしまったことなんだから」 クスッ

127: 2011/05/30(月) 21:14:34.34 ID:gFC00tDg0

真紅  「それよりもご覧なさい、JUMのその見事な焼き加減……これこそがアリスに求められる焼き加減。これこそ……」

蒼星石 「……」

真紅  「ミーディアム・レアなのだわ!」 ドヤッ

蒼星石 「……真紅。言いたいことはそれだけかい?」

真紅  「ずいぶんと怖い顔してるわね。感情に流されるのは貴女の悪い癖よ蒼星石。JUMの命一つがそんなに――――」

蒼星石 「違うんだ。僕が君に伝えたいのはそういうことじゃない」

真紅  「?」









蒼星石 「ミーディアムを焼いたのなら、それを食べるのがドールとしてあるべき姿なんじゃないか?」 クワッ

真紅  「!?」

129: 2011/05/30(月) 21:17:59.48 ID:gFC00tDg0

真紅  「……冗談言わないでちょうだい。人肉なんて食えるはずが無いでしょう」

蒼星石 「果たしてそうかな? 後ろを見てごらん」

真紅  「後ろ?」 クルッ

翠星石 「えぐっ……えぐっ……JUM……。JUMのお肉……柔くて食べやすいですぅ……」 クッチャクッチャ

雛苺  「ぐすっ……。JUMはヒナたちの中で生き続けるのよー……」 ムッシャムッシャ

真紅  「!? な、何をしてるの貴女たち!? ショックで気でもおかしくなったの!?」 ゾワワワ

蒼星石 「彼女たちはアリスになるため、ミーディアムの肉を喰らっているんだ。薔薇乙女の本能だよ。何もおかしいことじゃない」


ブシュゥッ!!

翠星石 「あむあむ……。んー、チビ人間の肝臓はやせぎすでイマイチですねぇ」 グッチャグッチャ

雛苺  「おめめはおいしいなのー! ちゅるっちゅるっしててとろーりなのよー!」 チュルルルル

翠星石 「あっ! ずるいですよチビ苺! 翠星石にも目玉をよこすですぅ!」

真紅  「うっ……! 吐き気が……!!」 ウプッ

130: 2011/05/30(月) 21:22:14.27 ID:gFC00tDg0

蒼星石 「さあ真紅。僕たちもご馳走になろうじゃないか」

真紅  「ふ、ふざけるのはよしなさ――――」

ガシッ

翠星石 「ほーれほれほれ。真紅のためにチビ人間の小腸を引きずり出してきてやったですよぉ」

真紅  「!?」

翠星石 「ちょーっと腐れかけですけどねぇ。いーっひっひっひ」 ズルリ

雛苺  「こっちはJUMの耳なのよー。軟骨こりこりしてておいしいなのー」 ベチャリ

真紅  「きゃあああああああああああああ!?」

蒼星石 「僕は……ああ、ここがいいかな。レンピカ!」 ザシュッ

131: 2011/05/30(月) 21:25:43.29 ID:gFC00tDg0

蒼星石 「さあ。僕たちでJUM君の身体を喰らい尽くそうじゃないか」

真紅  「嫌! 嫌よ! 止めて……!! こんなの絶対に間違ってるのだわ!」

蒼星石 「はい真紅、あーんして」 ガシッ

真紅  「はっ!?」

パクッ

真紅  「!? く、くさっ……!? 何よこれは!?」

蒼星石 「JUM君のペOスだよ。ボクの鋏で睾丸ごと切り落としてきたんだ」 シャキン

真紅  「」 ベチャッ

蒼星石 「おや? 真紅の口には合わなかったかな? この生臭さと食感が最高なのに」 クチャクチャ



雛苺  「JUMを食べ終わったらのりも食べるのー!」

蒼星石 「そうだね。新鮮なうちに食べたら人間はどんな味がするのか、僕も興味あるよ」

翠星石 「早めにシメて血抜きしといたほうがいいですぅ」

真紅  「こ、これは夢よ……!! こんな現実があってたまるものですか……きっと……きっと悪夢なのだわ……!!」 ガタガタ

133: 2011/05/30(月) 21:31:02.52 ID:gFC00tDg0

のり   「――――というお話の演劇なんだけど、どうかしら?」

蒼星石 「流石にそれはちょっと……」

のり   「だめ?」

翠星石 「駄目に決まってるですぅ! チビ苺なんか片隅で縮こまってやがるじゃねーですか!」

雛苺  「怖いなの……怖いなの……」 ガタガタブルブル

真紅  「あきれてものも言えないわね」 ペラリ

のり   「えへへ、やっぱだめかぁ」


ガチャリ

JUM  「ただいまー……って、何だよお前ら、その目は? 僕の顔になんかついてるのか?」

134: 2011/05/30(月) 21:36:18.92 ID:gFC00tDg0

のり  「お帰りなさい、JUM君」

JUM  「……ん」 ズイッ

のり  「あら? これは何かしら?」

JUM  「槐さんから。お前らに土産だって」

のり   「わあ、おいしそー! これはお肉?」

JUM  「槐さんが近々うちに副業としてドールカフェやるらしくて、そこの看板メニューにするんだって」

蒼星石 「へえ。見事なステーキだね。おいしそう」

JUM  「だろ? それの名前ももう決まっててミーディアム・レアっていうんだってさ」

一同  「ミーディ……ッ!?」



JUM  「ん……? どうしたんだよお前ら、何で僕から離れていくんだ? おい」



めでたしめでたし

141: 2011/05/30(月) 21:56:01.28 ID:gFC00tDg0
クサマンにしたり実行犯にしたり
損な役ばかりさせてごめんね真紅ちゅっちゅっ

さあバトンタッチだ

150: 2011/05/30(月) 23:29:35.51 ID:gFC00tDg0
私待つわ

引用: 真紅「JUMを焼いてみたわ」