118: 2014/09/13(土) 00:53:39.13 ID:ySm3mTj1o


【諸注意】
・艦娘轟沈要素
・割とクズい?提督

【まえがき】
雑談スレの3-2想い出話から
実プレイの内容を多分に参考としているけど忠実ではないよ

119: 2014/09/13(土) 00:54:20.00 ID:ySm3mTj1o
Model Graphix ARCHIVES 艦隊これくしょん 「艦これ」2

    @月 @日

  始めまして吹雪です。
  なんて書いても日記には意味がないんだけど。
  今日は本営直々に建造された私が、司令官に会いに行く日。
  聞く話だとお互いに新米ということになるみたい。ちょっと緊張する。
 
  司令官は普通の人でした。特に個性のない人というのかな。ちょっとひどいか。
  まだ深く知っているわけではないけれど、不安と希望がちょっとずつなのは私と同じみたい。
  あと、お昼ご飯が美味しくて何よりです。
 
  とりあえずは何の任務も下されていないようなのでしばらく何もできないらしい。
  今日はこれから司令官と二人で就任祝いをやる。
  男の人と二人って意外と緊張するけど、どうせ秘書官になるんだからすぐ慣れるよね。
  何はともあれ、この人にならついていけそうかな。頑張って支えよう。可能な限り。



    @月 @日

  南西諸島海域の作戦に参加するようになった。
  ただ、初期艦の私はだんだんとローテーションに組み込まれる頻度が減っているような気がする。
  まあこの半年以上で色々とあったし仕方がない。損失ゼロなんだから優秀なことには違いないし。
  そもそも今まで第一艦隊に入れたのだって「思い入れがあるから」だもん。むしろ遅いよね。
  練度についてはトップ3から脱落したけどトップ5までは譲らない。
  まあたぶんすぐに遠征艦隊行きになって脱落するけどね。
  提督にはお気に入りの駆逐艦が他に居るし。

120: 2014/09/13(土) 00:55:12.89 ID:ySm3mTj1o

    @月 @日

  南西諸島海域の制圧を完了した。当面は西方海域に向かうらしい。
  提督はどうもあの激戦(2-4)の中で戦艦や空母じゃないとダメだって思ったみたい。
  しかし、後々で他の艦種が必要になることも分かっているし、
  なんだかんだでみんなの練度を底上げしたいとのことで私にお仕事が来た。
  第一艦隊所属の駆逐艦娘は忙しいので唯一手が空いてる中で一定の練度があるわたしに
  艦隊演習遠征へみんなを連れて行って練度を上げてこいとのことらしい。
  出撃でドックを占拠するのは第一艦隊だけにしたいし通常の演習も第一艦隊のために使うらしい。
 
  最初に会った時はおっかなびっくり任務をこなして、小破進撃すら悩むことがあったのに
  「すっかりとたくましくなっちゃったなあ」なんて今書いていて思う。



    @月 @日

  今日も黙々とみんなを鍛え続ける。
  戦艦や空母は勝手に第一艦隊で強くなるので重巡洋艦娘や軽巡洋艦娘、駆逐艦娘を鍛え続ける。
  とりあえずはみんな平等に。時折提督好みの可愛い子が入ったら優先的に
  そうすると可愛い子や必要な子はしばらく第一艦隊のローテーションに組み込まれる。
  私は黙々と艦隊演習遠征にみんなを連れていく。黙々と、粛々と。
  遠征は作戦の行きと帰りの間に疲れが抜けるからね。精神的な部分を除けば疲労なんてないし。
  ちなみに、初期艦の頃のアドバンテージや、遠征の頻度のお蔭でついに今日、練度トップ5に返り咲き。嬉しい。

121: 2014/09/13(土) 00:56:08.29 ID:ySm3mTj1o

    @月 @日

  西方海域の制圧が完了して破竹の勢いで北方海域を制圧中。久しぶりに私の出撃がやってくる。
  練度評定で5番目以上に入ったり落ちたりしてるわたしは結構目に留まっていたみたいで
  今度のキス島撤退戦通称3-2で久しぶりに出撃になった。
  司令官お気に入りの駆逐艦娘は二人なので私を入れても高練度は三人だけど
  その他の駆逐艦娘のみんなも最低レベル30以上を保っておいたのでご満悦だった。
  計画通りで良かったですね司令。わたし、頑張りました。
  近代化改修はレベル30台の子たちに使い切って私には施さないらしい。まあ当然と言えは当然。
 
  六回の出撃で五回とも私が中大破したので三回目辺りから「またか……」と小言を言われ
  五回目にはちょっとキレ気味で怒られる。
  戦艦の注意引きつけるのはいい案だと思ってたんだけどなかなか回避盾になれなくてごめんなさい司令官。
  しかし六回目では戦艦の攻撃含め全弾回避+敵の次巡行動艦を撃沈し続けるという名アシストで貢献しました。
  司令官お気に入りの旗艦が夜戦カットイン出してMVPはとれなかったけどね。

122: 2014/09/13(土) 00:56:51.71 ID:ySm3mTj1o



    @月 @日

  南方海域の制圧を終えたのも今は昔、もうかなりの間この艦隊司令部に居る気がする。
  この間ケッコンカッコカリした司令官に祝辞を述べに行ったら執務室が凄くゴージャスになってたし。
  黄ばんだ壁紙と冷たい木の床と段ボールと赤いカーテンの窓だった時代が懐かしいと思った。
 
  そういえばこの間AL・MI作戦というのが発令されたらしい。
  まあ主力以外ですら平均で60レベルあるウチがどうにかなるとは思わないけど
  一応、最近慢心気味な司令官には情報が出そろうまで静観するよう釘さしておこうかな。




    @月 @日

  話聞いてもらえなかった気がする。嫌な予感だ。と少し前に書いた通り嫌な予感は的中した。
  敵の反攻作戦があり、がら空きの鎮守府に敵が迫っているらしい。
  どうしようかな。今気づいたけど艦娘は足りてもホロ艦載機とか装備が足りない。
 
  とりあえずじっくりとやればいいんじゃないかな。そう思っていたけど司令官が急かしてくる。
  最近ランキングで上位に入るようになったしE6の報酬も欲しいのか。そっか。
  じゃあ吹雪さん頑張っちゃいますか。なにせ初期艦ですし、司令官を支えるって決めたからね。



.

123: 2014/09/13(土) 00:57:50.43 ID:ySm3mTj1o





          はじめまして、――です。 よろしくお願いいたします!



明るい呼び声が頭の中で響く。
止めることのできないフラッシュバックが湧き上がって、男は天井を仰ぎ、掴むように顔へ手を当てる。
深夜の執務室。椅子に腰かけて執務を行う提督は、消えない悔いに首を振る。
吐息一つ吐いて、ランプに照らし出された暗い部屋を見渡せば、また郷愁が襲った。
真新しく綺麗な彩色の壁紙、真っ白でふわふわの絨毯、上級の将官のため作られた重厚な机。
黒色系のシックなカーテン、壁にかかった大きな振り子時計、壁際の立派な桐箪笥。

何一つとして変わらないものなんてなかった。
ただ机に置かれた数個の写真立ての中身だけが、当時を思い起こさせる。
ほんの数年前の写真だった。しかし、今や遠すぎる記憶だ。

――青年と彼女が二人、とても緊張した面持ちで立っている。背景の水平線が綺麗だ。

――人数が増えた。六人の女性に寄り添われている青年はまだカタい。隣には彼女が居る。

――さらに人数は増える。二十数名の女性。頼もしくなった青年は中心で、彼女は少し離れているが最前列に。

――ついに長写真になった。何十人居るのか、それでも中心は青年で、彼女はひっそり端に立って微笑んでいる。

――燕尾服の青年が花嫁を持ち上げている。背景には百人以上が居る。でも彼女の姿はもうそこに無い。

青年は――提督は顔を上げた。
やはりいつまでも慣れない。しかし慣れたくもない。
動悸の音を聴きながら、提督は机の向こうの布団を見やった。
眠っているのは彼と揃いの指輪を左の薬指に、そして右の薬指に白いリングをそれぞれ嵌めた愛しき女性(ひと)。

124: 2014/09/13(土) 00:58:25.13 ID:ySm3mTj1o

提督が幾度も瞳を瞬かせた。眠気が来ているのかもしれない。
意識を保とうとしながら、眠っている正真正銘の嫁を見る。
提督と反対に、目が覚めたのかゆっくりと上体を起こしつつある姿に、何かが像を結んで――



「――あれ、司令官……?」


眠たげな顔でこちらへ身を起こす懐かしい少女を幻視する。
前任の使っていた小汚い壁紙、青いカーペット、赤いカーテン、小さな木製のサイドボード。
いつのまにか腰かけていた椅子も机もなくなって、万年布団に寝転がりながら書類を書いている。
提督は横目にそちらを見やった

「起こしてくれればお手伝いしたのに……。
わたし、司令官のために頑張るって決めたんですから」

夢だと知っていながら、ひと時の再会に喜んで。







終わり

125: 2014/09/13(土) 01:06:04.76 ID:5BD5B/ISO
おつおつ
胸にグサグサくるな
絶対に初期艦は轟沈させないようにしないと

126: 2014/09/13(土) 01:20:22.35 ID:gzbcSGeGO
乙です
同じく初期艦が吹雪なので、彼女がいなくなるのを想像したら泣きそうになった……慢心は駄目、絶対!

引用: 艦これSS投稿スレ3隻目