1: 2011/10/04(火) 20:20:33.62 ID:8VPyQRdH0
一階

JUM「ふわぁ~」テクテク

真紅「あらジュン、やっと起きたのね。朝のニュース番組はもうとっくに終わってしまったわ」

JUM「昨日ちょっと夜更かしし過ぎた。まだ眠いや。ふわぁ」

真紅「寝不足は良くないわよ。体の調子が狂うわ。勉強でもしてたの?」

JUM「いや、ちょっとネットにハマっちゃって」

真紅「呆れた。ほらジュン、のりがせっかく作ってくれた朝ご飯がもう冷めてしまってるのだわ。レンジで温め直して早く食べなさい」

JUM「はいはい」

真紅「『はい』は一回」

JUM「はいはい。ん?」

真紅「どうかしたの?」

JUM「なあ真紅、そういえば雛苺と翠星石はどこにいるんだ?」


2: 2011/10/04(火) 20:25:30.98 ID:8VPyQRdH0
真紅「二人なら家にはいないわ」

JUM「じゃあどこに?」

真紅「雛苺はみっちゃんさんの家に遊びに行ったわ。翠星石は蒼星石と一緒に薔薇屋敷の手入れをしに行ったわ」

真紅「二人とも長居するから帰りは遅いと思うわ」

JUM「ふーん。あれ? と言うことは今日一日家にいるのは僕とお前だけか」

真紅「そうね。確かに今日は貴方と私の二人だけね」

JUM「久しぶりだな」

真紅「ええ」

JUM「じゃあ一気に静かになるな。まあ、静かな方が良いんだけど」


5: 2011/10/04(火) 20:27:46.05 ID:8VPyQRdH0
JUM「さて、朝食をレンジでチン、レンジでチンっと」

真紅「ジュン、その前に紅茶を入れてくれない?」

JUM「たまには自分でやれよ」

真紅「あら? 主人に対してそれはないんじゃないの?」

JUM「僕はお腹がペコペコなんだ。いくら僕が下僕だからって食事の楽しみを邪魔していいのか?」

真紅「そうね。頼み方が悪かったわね。ごめんなさい。レンジで温めてる間に紅茶を入れてくれないかしら?」

JUM「まあそれだったら」


6: 2011/10/04(火) 20:28:47.31 ID:8VPyQRdH0
ブーン(レンジ作動中)

コポコポ

JUM「ほら」スッ

真紅「ありがとう」

真紅「あら、今日は中々良いわね」

JUM「ふふん! 僕がいつまでも紅茶の入れ方が下手だと思うなよ?」

真紅「上達したわね。でも、まだまだ私が求める味には程遠いわ」

JUM「うわっ、ひっでぇ」

真紅「でも、確かに程遠いけど、この味の上達は貴方自身が成長している事にも等しいわ」

JUM「いや~、照れますな~。デュヘヘヘヘ」

真紅「こら、調子に乗らないの。キャラが崩壊してるわよ」

チーン!

JUM「お、温まったか。じゃあ食うか」


8: 2011/10/04(火) 20:31:04.56 ID:8VPyQRdH0
JUM「ふう、食った食った」

真紅「ジュン! 大変よ!」

JUM「どうした?」

真紅「今くんくんで応募やってたんだけど、なんと! 応募して当選した人には純金くんくんフィギュアが当たるかもしれないんですって!!七名様まで大丈夫なの!!!」キラキラ

JUM「へえー」

真紅「へえー、じゃないわ。ジュン、善は急げよ。ハガキ出して頂戴!」ソワソワ

JUM「わかったわかった。そんなに急(せ)かすな。今食器片付けるから待ってろ」

真紅「黄金に輝くくんくんを私の手の平に!」ソワソワ


11: 2011/10/04(火) 20:33:25.16 ID:8VPyQRdH0
ガチャガチャ

JUM「あれー? おかしいなー」

真紅「どうしたの?」

JUM「ハガキが見つからないんだよ」

真紅「ええ!?」

JUM「切らしたかも」

真紅「何ですって!?」

真紅「ああ……なんて残酷なの。こうしてる間にも純金くんくんを狙う輩がハガキを送ろうとしてるのだわ!」ワナワナ

真紅「嫌! 純金くんくんに会えないなんて嫌よ!」

真紅「ジュン、早くハガキを買いに行って!」

JUM「姉ちゃんが帰って来てからでいいだろ?それに、そんなすぐに応募する奴はいないだろ。早く送れば当たるとも限らないんだし」

真紅「何を言ってるの? 世の中にはラジオの応募を聞いてその場でハガキを書いて応募するハガキ職人の主婦だっているのよ! くんくんだってマニアが沢山いるの。
2ちゃ○ねるの実況板でいつも1000レスを超える程の人気なのよ!(再放送は別)」

真紅「ハガキ職人は沢山はいるわ。だから彼らに当選されないように早く買いに行って! 先手必勝なのだわ!」


12: 2011/10/04(火) 20:36:16.61 ID:8VPyQRdH0
JUM「落ち着け真紅。半狂乱になってるぞ」

真紅「当たり前じゃない。これが落ち着いていられるわけないわ」

JUM「全く、くんくんの事になるといつもこれだ。まさにスイッチが入ったら止まる思考回路じゃないか」

真紅「不完全燃焼になるよりはまだいいわ」

JUM「ハァ、しょうがない。仕度するか」

真紅「くんくん待ってて。必ず会いに行くのだわ」キラキラ

数分後

JUM「じゃあ買いに行くから」

真紅「お願いね。それと、ハガキは50枚から100枚は必要ね」

JUM「!? 待て待て、そんなに必要なのかよ?」

真紅「ジュン、これは戦いよ。数の暴力が勝敗を決めるの。これがお菓子に付いてくるシールを集めて応募するタイプとかだったらしょうがないけど、ハガキだけが必要ならいっぱい送った方が断然良いわ」


14: 2011/10/04(火) 20:39:28.40 ID:8VPyQRdH0
JUM「いやいや、それで当たるとは限らないだろ」

真紅「当たらないとも限らないわ。それにね、数の暴力はとても恐ろしいのよ」

真紅「EW(エンドレスワルツ)では、
いくら相手を頃してはいけないハンデがあったとは言え、ガンダム勢は数の暴力で追い詰められたじゃない?
ソレスタルビーイングだって、一期の時には数の暴力で追い詰められたじゃない?
劇場版だって、ELSによる数の暴力が原因で追い詰められたわ。相手がチート過ぎたのもあるけど」

真紅「だからね、戦いは数なのよ」

JUM「やだこの子恐い」

JUM「でも僕はそんなにお金持ってないぞ。それに、官製はがきが一枚50円だから、100枚で5000円。50枚で2500円。げっ、全然足りない」

真紅「えぇ……」

JUM「姉ちゃんが今ここにいるならお金の問題は解決するけど、学校に行ってるからな。だからって家のお金をネコババするわけにもいかない」

真紅「そうね。私もネコババしてまでは応募したくないわ」

真紅「ちなみにジュン、今所持金はどれくらいなの?」

JUM「千円ちょい……」

真紅「……」ズーン

JUM「いやだってしょうがないだろ! 引きこもりだから外に出る機会少ないんだよ! そりゃあ図書館には行くけどお金は使わないだろ!」


15: 2011/10/04(火) 20:43:12.78 ID:8VPyQRdH0
真紅「くんくん……」ズーン

JUM「そんなに落ち込むなよ。それにたくさん応募すれば良いってわけじゃないんだぞ」

JUM「ハガキにマーカーで色を付けたりしてハガキを目立つ様にすれば、当たる確率も上がる。
他にも、液晶テレビを当てたい時にハガキに『つい最近子供が生まれたばかりで新しいテレビを買う余裕がないんです』とか書いて相手の同情を誘うやり方もある」

JUM「量より質だ。ホワイトベースも戦争を生き残れた理由の大半が白い悪魔の性能と天パのニュータイプのお陰だ。主人公補正もあるけどさ。
∀の前じゃどれだけ多くのモビルスーツを用意したって、月光蝶の前じゃ一部のモビルスーツを除けば瞬殺さ」

JUM「そしてその一部のモビルスーツが瞬殺されないのはモビルスーツの性能が良いからだ。同じターンタイプならまだしも、クアンタなら生き残る可能性はあるだろ?」

真紅「月光蝶は質とは関係がない気がするわ。でも確かにそれも一理あるわね」

真紅「わかったわ。ハガキは10枚くらいでいいわ」

JUM「それでも10枚も買わなきゃいけないのかよ。やれやれだな」

JUM「じゃあ、そろそろ行くよ」

真紅「行ってらっしゃい。頼むわね」


16: 2011/10/04(火) 20:46:01.27 ID:8VPyQRdH0
テクテクテク、ガチャ、バタン

真紅「ハァ、ジュンが行ったら何だか気が抜けちゃったわ」

真紅「でも、純金くんくんは絶対に手にいれたいわ」

真紅(裏声)「こんにちは真紅」

真紅「くんくん!? くんくんなの?」クルッ

真紅(裏声)「ああ、そうだよ。真紅、君が応募してくれたお陰で僕は君に会えたんだ。会えて嬉しいよ真紅」クルッ

真紅「あああ……くんくん、貴方、とっても輝いてるのだわ」クルッ

真紅(裏声)「純金だからね」クルッ

真紅「素敵。百式やアカツキよりも、そしてゴルドランよりも黄金で高貴よ」クルッ

真紅(裏声)「真紅、もしよろしければ僕と踊ってくれないかい?」クルッ

真紅「ええ。喜んで」クルッ



17: 2011/10/04(火) 20:47:41.58 ID:8VPyQRdH0
「ククク……」

真紅「!? その声はジュン?」クルッ

JUM「やべぇ……もう我慢出来ねえ」プルプル

真紅「ど、どうしてここに? ハガキは?」

JUM「実はな、お前が一人で何してんのか気になって玄関の扉が開く音だけを出して、外に出たふりをしてお前にばれない様に家にいたんだよ」

JUM「それで覗いてみたらお前ププッ、一人でブハッ、何か演じてるハハハハッーーーーハ!!」

真紅「笑わないで! それよりもさっさとハガキを買いに行きなさい!」

JUM「ぷくく、行ってきまーす」ニヤニヤ

真紅「ニヤニヤしない!」


20: 2011/10/04(火) 20:50:37.87 ID:8VPyQRdH0
ガチャ、バタン

真紅「出てったふりしてないわよね?」サササッ

真紅「良かった。本当に出てってくれたわ。全く、恥を書いてしまったのだわ」

真紅「くんくん(ぬいぐるみ)に慰めてもらいましょう」

ポフッ

真紅「くんく~ん」スリスリ

真紅(裏声)「どうしたんだい真紅? すごい悲しそうな顔をしてるよ」

真紅「聞いてくんくん。私、ジュンに虐められたの」

真紅(裏声)「Oh……一体何があったんだい?」

真紅「私が金ぴかの貴方に会う時のイメージトレーニングをしてるのをジュンが見てて、それを馬鹿にしたの」

真紅(裏声)「かわいそうな真紅。僕が原因でそんな辛い目にあってたんだね。すまない真紅」

真紅「いいえ。貴方は何も悪くないわくんくん。悪いのは全部ジュンよ」


22: 2011/10/04(火) 20:53:19.84 ID:8VPyQRdH0
真紅(裏声)「ああ真紅、君はなんて優しいんだ。優しくて気高くて美しい真紅。
その傷ついた心を癒してあげたい」

真紅(裏声)「真紅、僕で良ければいっぱい甘えて欲しい。僕の胸の中で思う存分涙を流してくれ」

真紅「ありがとうくんくん。貴方みたいな素敵な紳士の胸の中で泣けるなんて、私は幸せ者よ」ギュッ

真紅「! 視線を感じるわ」クルッ

JUM「窓からこんにちは。プクク、腹が痛い。何やってんだよお前」ピクピク

真紅「ジュン!!」

JUM「やばい……最高ブォハハハハ!!!」

真紅「早く行きなさい!!!」


23: 2011/10/04(火) 20:55:08.33 ID:8VPyQRdH0
数十分後

JUM「ただいまー」ガチャ

真紅「お帰りなさい……」

JUM「ほら、買ってきたぞ」スッ

真紅「ええ」パッ

JUM「何だよ冷たいな」

真紅「当たり前じゃない。あれだけ馬鹿にされたら」ツン

JUM「ごめんごめん。僕も調子に乗りすぎたよ」

真紅「……」プイ、スタスタスタ

JUM「お、おい」

真紅「……」スタスタスタ

JUM「……本当にごめん」


24: 2011/10/04(火) 20:56:03.10 ID:8VPyQRdH0
ピタッ

真紅「……ジュン、ちょっとこっちにいらっしゃい」

JUM「あ、ああ」テクテク

真紅「しゃがんで」

JUM「こうか?」シャガム

真紅「私の方に顔近づけて」

JUM「お、おお」ドキッ

真紅「それ」ビンタ!

JUM「痛ッ」ペチ

真紅「ハガキ買ってきてくれたからビンタは弱めにしたわ。これで許してあげる」

JUM「……うん」


25: 2011/10/04(火) 20:57:39.89 ID:8VPyQRdH0
真紅「さっそくだけどジュン、ハガキを書いてくれないかしら」

JUM「宛先はメモしたのか?」

真紅「録画したから問題ないわ。今見るわね」

数分後

真紅「応援メッセージは赤のマーカーで目立たせて」

JUM「ああ」

真紅「それとペンネームはエリーホよ」

JUM「おう」

真紅「二枚目行くわよ。二枚目はもっと情熱的なメッセージにするわ」

JUM「根気が入るな、ホント」


26: 2011/10/04(火) 20:59:41.28 ID:8VPyQRdH0
真紅「……ジュン」

JUM「何だ?」

真紅「さっきはビンタしてごめんなさい」

JUM「いいよもう。悪いのは僕だし。それに謝る必要ないじゃん」

真紅「でも、いくら貴方が私を馬鹿にしたからと言っても、のりの帰りを待たないで、貴方になけなしのお金で半ば強制的に買いに行かせたんですもの。ストレスも溜まるわ。あんな行為に走ってもしょうがないわよね」

真紅「くんくんの事で盲目的になってた私にも非があるわ。ごめんなさい。それとジュン、ハガキ買ってきてくれてありがとう」

JUM「ん、うん」


27: 2011/10/04(火) 21:01:19.78 ID:8VPyQRdH0
JUM「ふぅー、五枚目も書き終わったぞ」

真紅「今日はこのくらいでいいわ」

JUM「もう書かなくてもいいのか?」

真紅「確かに善は急げとは言ったけど、残りは間隔をあけて応募するのが良いわね。当選の確率を上げるためにも」

JUM「わかった。じゃあポストに入れてくるよ」

真紅「ありがとう。お願いね」


28: 2011/10/04(火) 21:03:22.62 ID:8VPyQRdH0
そして

JUM「ただいま」

真紅「お帰りなさい」

JUM「いやぁ疲れた。今日は二回も外出しちゃったよ」

真紅「体の運動には良いと思うわよ」

ギュルルルル

JUM「ん、腹減ったな」

JUM「昼飯は……ないか」

JUM「まあお米だけでも食うか」パカッ

JUM「げっ!? 炊飯器の中空っぽだ」

真紅「そういえば今日はのり、寝坊したみたいだから結構急いでたわね」

JUM「マジかよ。じゃあ帰ってくるまで我慢するしかないか」


29: 2011/10/04(火) 21:04:49.06 ID:8VPyQRdH0
真紅「作ってあげてもいいわ」

JUM「え?」

真紅「料理、私が作ってあげてもいいわよ」

JUM「全力で遠慮します」

真紅「……あら、そんな言い方はないじゃない?」ピクピク

JUM「いやいや、真紅さんに料理を作らせるなんてとんでもない。真紅さんはいつもの様に家でくつろいでいれば良いのです」

真紅「何急に敬語になってるのよ? それに、私は貴方が見てない所でちゃんと練習してるのよ」

JUM「でもなあ……」

真紅「見てなさいジュン。涙が出るくらい美味しい料理を作ってあげるから」


30: 2011/10/04(火) 21:06:08.91 ID:8VPyQRdH0
真紅(エプロン)「さて、準備は出来たわ」

JUM「(不安だな)何を作るんだ?」

真紅「材料見てみたんだけど野菜炒めが無難ね」

JUM「野菜炒め……」ゾクリ

真紅「そんなに怯えないでよ。大丈夫だから」

JUM「なあ、手伝おうか?」

真紅「結構。一人で出来るわ。ジュンはテレビでも見てて」

JUM「……ああ」


31: 2011/10/04(火) 21:07:15.33 ID:8VPyQRdH0
ピッ

JUM(テレビ視聴中)「ちゃんとした料理が出てきますように」

トントントン、ガシャーン! キャッ、タイヘンナノダワ! ウッ! コッチハメチャクチャナノダワ!

JUM「大丈夫だよなあ……?」ガタガタ

40分後

真紅「ジュン、出来たわよー」

JUM「おお……」スタスタ

真紅「どうかしら?」スッ

JUM「! ちゃんとした野菜炒めになってる……!?」

真紅「失礼ね。練習してるんだから当たり前じゃない」

JUM「(これは期待出来るかもしれないな)食べてもいいか?」

真紅「ええ。もちろん」



35: 2011/10/04(火) 21:09:02.17 ID:8VPyQRdH0
シャキン!(箸の音)

JUM「いただきます」スッ、パクッ

モグモグモグモグ

真紅「どうかしら? ジュン?」ソワソワ

JUM「……」モグモグ

JUM「…………」モグモグモグモグ

真紅「ジュン?」

JUM「マッズウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!!!!???」


36: 2011/10/04(火) 21:10:23.30 ID:8VPyQRdH0
真紅「え?」

JUM「うっぷ」シュタタタタタタ!

ガチャ、オエエエエエエエエ! ビチャビチャ……、ジャー!

JUM「……」スタスタ

真紅「ジュン……?」

JUM「ふう、すっきりした」キラキラ


37: 2011/10/04(火) 21:11:52.75 ID:8VPyQRdH0
真紅「ひどい! いくら何でもそれは作ってくれた人に失礼だわ!」

JUM「じゃあ食ってみろ。涙が出るほど不味いぞ」

真紅「そんなの、食べてみなきゃわからないわ」パクッ

モグモグモグモグ

JUM「どうだ?」

真紅「普通に美味しい…じゃ……ない……………」

真紅「うっぷ」シュタタタタタタ!

ガチャ、オエエエエエエエエ! ビチャビチャ……、ジャー!

真紅「……」スタスタ

JUM「真紅……?」

真紅「ふう、すっきりしたのだわ」キラキラ


38: 2011/10/04(火) 21:15:00.34 ID:8VPyQRdH0
それから……

JUM(そろそろ上で勉強するか)

JUM「真紅、ハガキ、二階に持ってくから必要になったら言ってくれ」

真紅「わかったわ……」

二階

JUM「さて、勉強勉強」

ガンガンガン

JUM「何だ?」

ガララ

JUM「ああ、お前か。あんまり窓ガラス叩くなよ。本当に割れるからさ」

JUM「で、何か用か?」

JUM「タッパーとフォークを返しに来た? そういえばお前に貸してたな」

JUM「うん。確かに受け取ったよ」


40: 2011/10/04(火) 21:17:32.20 ID:8VPyQRdH0
JUM「ん? 何見てるんだ?」

JUM「何も見てない? いや、確かに何か見てただろ?」

JUM「意地張るなよ。しかも見てないって言っときながら何か見てるし」

JUM「お前の視線の向こうにあるのは……ハガキ?」

JUM「どうしてハガキなんか……そうか、お前もくんくんを見てハガキが必要になったのか」

JUM「何の事だって?とぼけても無駄だ。思いっきりきょどってるぞ」

JUM「純金くんくんなんか興味ない? おや、僕は純金くんくんだとは一言も言ってないぞ」

JUM「まだ認めないか。ふふふ、意地っ張りな奴よのぉ……」

JUM「ハガキが欲しいんだろ? そうなんだろ? そうなんだろ?」

JUM「! いや、土下座するなよ。ヤクルトと交換してってお前……別にいいよ。ハガキくらいタダであげるさ」

JUM「そんな号泣しなくても……え? もしかしたら当選者発表の時にくんくん見れないかもしれないからペンネーム覚えといてくれないかだって?」

JUM「まあ、別にいいけどさ。ペンネームは……ヤクルト大好き娘。うん。わかった」


41: 2011/10/04(火) 21:19:57.37 ID:8VPyQRdH0
一階

真紅「料理もっと上手になれないかしら……」

真紅「さすがの私も落ち込むのだわ」ショボン
真紅「ちょっと外の空気でも吸って気分でも変えようかしら」テクテク

ガララ

真紅「深呼吸して暗くなった心をヒィイイイイイイイイイイイイ!!!?」

猫「……」

真紅「猫なのだわ……!?」ガタガタ

猫「……」

真紅「ク、ククククッキーとマジックハンドはどこ? どこにあるの?」ガタガタ

真紅「あ、あったわ。ほ、ほ~れ、お前の好きなクッキーよ~。あ、これデジャヴっぽいのだわ」ガタガタ


42: 2011/10/04(火) 21:21:09.80 ID:8VPyQRdH0
猫「!」クンクン、パクッ、バリボリ

真紅「い、いい子ねー。オ、オーホホホ」プルプル

猫「……!」スッ、タッタッタッ

真紅「どうしたのかしら? もう帰るの? まあ私としてはその方が助かるんだけど」

ポツ

真紅「あら?」

ポツ、ポツポツポツ、ポツポツボツポツ

ザッーーーーーーーーー!!

真紅「雨だわ。大変! そういえば今日はのり、洗濯物出したままだったのよね。早くジュンに知らせないと」


43: 2011/10/04(火) 21:22:54.31 ID:8VPyQRdH0
JUM「……お?」テクテク

真紅「! ジュン、調度良かった。今雨が降ってるんだけど洗濯物干しっぱなしなままなの」

JUM「マジかよ。早く入れなきゃな」

真紅「! そのタッパーとフォークはどうしたの?」

JUM「ちょっとな」

数分後

JUM「うわぁ……せっかくの洗濯物が濡れちまったよ」

真紅「Oh……」

JUM「濡れなかった服もあったからまだ助かったけど。しょうがない、また洗うか」


44: 2011/10/04(火) 21:24:36.37 ID:8VPyQRdH0
洗濯物を洗濯機の中に入れて一分後

真紅「ねえジュン」

JUM「何だ?」

真紅「さっきのタッパーとフォークはどこから?」

JUM「ちょっとな」

真紅「そういえばこの前のりがタッパーとフォークが足りないって言ってたわね。貴方何に使ったの?」

JUM「ちょっと個人的な事に」

真紅「……何か隠してるわね」

JUM「隠してなんかないよ」

真紅「そうかしら? 目が泳いでるわよ」

JUM「し、知らないな」


45: 2011/10/04(火) 21:26:34.34 ID:8VPyQRdH0
真紅「隠し事されると少し寂しいわね」

JUM「んー、そんな風に言われたら僕も罪悪感を感じるな。ならこうしないか?」

真紅「何を?」

JUM「オセロ対決でお前が僕に勝ったら話すよ。逆に僕がお前に勝ったらもうこの事は追及しないでくれ」

真紅「……いいわよ」

そして

JUM「これで良し」

JUM「じゃあ始めるか」

真紅「ええ。すぐに吐かせてあげるわ」


46: 2011/10/04(火) 21:27:30.22 ID:8VPyQRdH0
数分後

真紅「負けた……」

JUM「ふふん」

真紅「も、もう一回、もう一回勝負よ。さっきのは調子が悪かったのよ」

JUM「ふふ、いいぞ」

数十分後

真紅「あれから三回も負けた……」


48: 2011/10/04(火) 21:29:01.83 ID:8VPyQRdH0
JUM「どうする? まだやるか?」

真紅「もういいわ……」

JUM「おや? 僕にはまだやりたそうに見えるぞ」

真紅「別にそんな事ないわ。強いわね、ジュン。参ったわ」

JUM「それで良いのか? まだ未練たらたらに見えるぞ」

JUM「不完全燃焼なんだろ? そうなんだろ? そうなんだろ?」

真紅「貴方それが言いたいだけでしょ。でもそこまで言われたらやらないわけにはいかないわね! いいわ。ここからが本当の勝負よ!」

真紅「オセロ界のハチワンダイバーの力、見せてあげる!」

数分後

真紅「……」ズーン


50: 2011/10/04(火) 21:32:17.41 ID:8VPyQRdH0
JUM「もうやめるか?」

真紅「実力差がありすぎるわ。キョンと古泉並の実力差じゃない」

JUM「じゃあこれで終いだ」

真紅「ねえ、どうしても聞いちゃ駄目?」

JUM「駄目だな」

真紅「う、ううう……」シクシク

JUM「な、泣いたふりするなよ。僕はそんなんで騙されないぞ」

真紅「ひどいのだわ……私は貴方の事が心配でヒクッ、聞いてるのにクスン」ポロポロ

JUM「(え? マジ泣き?)ちょ、ちょっと待てよ真紅」

真紅「私は……貴方のドールなのにヒクッ隠し事だなんて……」ポロポロ

JUM「わかったわかった。言うよ。あのタッパーとフォークは実は水銀燈に貸したんだよ」

真紅「水銀燈に?」クスン


51: 2011/10/04(火) 21:33:50.73 ID:8VPyQRdH0
JUM「ああ。あいつ、この前姉ちゃんとお前らがいない時にやって来てさ、それで僕が早めの夕食を食べようとしたら、ヨダレ垂らしてご飯を物欲しそうに見てたんだよ」

JUM「なんか可哀相だからあいつにもご飯食べさせたんだよ。それであいつが天使みたいな顔で美味しそうに食べてたらさ、水銀燈の奴、タッパーに入れて持ち帰りたいって言ったから貸したんだよ」

真紅「そうだったの。まあ大体予想はついてたけどすぐに言って欲しかったわ」ケロッ

JUM「水銀燈に口止めされてたんだよ。来た事誰にも言うなってさ。ていうかお前結局嘘泣きかよ」

真紅「こうでもしなきゃ言ってくれないじゃない。涙は女の武器よ」

JUM「お前意外と黒いな。ってか予想してたんなら聞かなくてもいいじゃん」

真紅「確信が欲しかっただけよ」


54: 2011/10/04(火) 21:40:22.32 ID:8VPyQRdH0
真紅「けど、嘘泣きはしたけど寂しかったのは本当よ」

JUM「ごめん。でも水銀燈に口止めされてたし」

真紅「まあ口止めされてたら仕方がないわよね」

真紅「ただ、別に脅されて口止めされてたわけでもなさそうだったから、ちょっと嫌だったの。なんだか避けられてる様な感じがして」

JUM「む、それはないぞ。なんだかんだでお前は僕にとって大切なドールなんだからさ」

真紅「え……?」

JUM「!? ち、違うぞ! そういう意味で言った訳じゃないからな。家族と言う意味でだ。雛苺も翠星石もそうだ!」

真紅「……ふふ」

JUM「わ、笑うなよ」

真紅「ねえジュン、ちょっとお願いがあるんだけど良いかしら?」


55: 2011/10/04(火) 21:42:52.44 ID:8VPyQRdH0
ポフッ

JUM「座る所はここで良いのか?」

真紅「ええ。くんくんの再放送は貴方の膝の上に座りながら見たい気分なの」

JUM「それにしてももうすぐ5時か。一日があっという間だな」

真紅「そうね。後は皆が帰って来て夕食を食べて、眠りにつく。そしてまた明日がやって来る」

JUM「だな」


57: 2011/10/04(火) 21:44:28.54 ID:8VPyQRdH0
真紅「ねえジュン、私ね、またいつか貴方に私の料理を食べて欲しいの」

JUM「全力で遠慮する」

真紅「こら、話は最後まで聞きなさい。確かに今回の料理は最悪だったわ。だから私ね、また貴方に料理を食べさせる時が来るまでいっぱい練習しようと思うの。もちろん味見もちゃんと確かめるわ」

JUM「期待しないで待ってる」

真紅「そこは期待しなさいよ」

JUM「ごめんごめん」

真紅「もう……でも、もしその時が来たら」

真紅「貴方と二人っきりで食事がしたいわ」



終わり

59: 2011/10/04(火) 21:47:50.11 ID:whuUlVhaO
綺麗に終わってよかったよ

引用: 真紅「そうね。確かに今日は貴方と私の二人だけね」