468: 2013/06/25(火) 10:55:06.77 ID:91/mvLFM0

469: 2013/06/25(火) 10:56:56.73 ID:91/mvLFM0
――喫茶店

佐天「かんぱーーーーいっ!」

上条「乾杯ーっ」 カチャッ

佐天「いやぁ終わりましたねー、漸く、どうにか、何となくっ!」

上条「何となく、ってのは……まぁツッコむのも疲れてきたからいいや」

佐天「スタッフの皆さんにはホンッッットにお疲れ様でしたねー」

上条「『学園探訪』のスタッフは二人だからね?ぶっちゃけこのテーブルには二名しか居ないからな?」

佐天「そんな事無いですよねー?、ねー、トモちゃん?」

上条「誰も居ないからなっ!?虚空に向かって話しかけるのは怖いっ!」

上条「……つーか佐天さん言おうと思ってたんだけど」

佐天「はい?なんでしょうか」

上条「どうしてこないだから俺と視線を合わせようとしないの?」

佐天「やっだなー自意識過剰じゃないですかねー?あいたたーっ、ですよ」

上条「うん、だから明らかに今も目線が別の方向いてるんだけど」

佐天「……」

上条「……」

佐天「こ、こないだのアレが未だに恥ずかしすぎてっ!」

上条「だからその場のノリで行動するの止めなさい。あぁホラまだ腕プルプルするぐらい恥ずかしいんだからっ」

佐天「でもですね、あの時はああしろってあたしのゴーストが囁いて」

上条「空耳だよ?学園都市でも電脳化はまだしてないからね?多分研究はしていると思うけど」

佐天「義体ってなんであんなに工口いんですかね?ってか全員ガト○さんの方が効率良いですし」

上条「神様の趣味だよっ!あと○トーさんはア・バオ・アク○に居たんだからね?電脳化はしてないよ?」

佐天「ビームライフ○量産出来てなくて、初期生産型ゲルグ○はキャノン背負ってたってのに、大出力ビームライ○ル()て」

上条「……ねぇ、佐天さんはガンヲタを敵に回して何がしたいの?出来れば俺もそっちの方なんだけど」

佐天「まぁ色々ありましたねー」

上条「え、なんで回想の話になってるの?基本今大塚明○さんの話ししかしてないよね?」

佐天「上条さんはどのお話が印象に残ってますかー?」

上条「そうなー……楽で言えば『一人多い』と『メリーさん』かな?」

佐天「喫茶店でダベってただけですか」

上条「いや、心労が少なかったって言うのか。つーか『一人多い』に関してはあんなしょーもないオチで良かったのかと。未だに夢に出るし」

佐天「まぁ基本ノリと勢いで突っ走ってますからなぁ、いぇいっ!」

上条「直そう?危なっかしいにも程があるから、いい加減改善する方向で検討しようぜ?」

佐天「直感力って必要じゃないですかね?時としては考えるより、わーって行った方が」

上条「……世の中にはね、もう絶対に取り返しがつかない事だってあるんだよ?」

佐天「例えば?」

上条「そうだなぁ……風評とか?地方ケーブルとはいえ、電波に乗って『俺が酷いヤツ』って何度も何度も流された事とかなっ!」

佐天「ないすじょーく!」

上条「笑えないよ?こないだどっからか見た親から、『一度リポーターの娘さん連れてきなさいよ』って電話来たんだからね?」
とある魔術の禁書目録 31巻 (デジタル版ガンガンコミックス)
470: 2013/06/25(火) 10:57:53.57 ID:91/mvLFM0
佐天「(まぁあたしとしては願ったり叶ったりですけど)」 ボソッ

店員「ご注文のフルーツタルトとガトーショコラお持ちしましたー」

上条「あ、ども」

佐天「『わたしは帰ってきた!』」

上条「うん、なんでさっきからアナベル・ガト○ネタが続くの?ガトー・ショコラも見越して注文してたの?」

佐天「デンドロビウ○()」

上条「いいじゃねぇかっ!あれは男のロマンなんだよおぉっ!」

佐天「だったらGメ○を無かった事にしなくたって良いと思うんですよね」

上条「何?今日の主旨はガンダ○ファン凹まそうって企画か?」

店員「ごゆっくりどうぞー」 チッ

上条「……頭痛い会話ですいません」

佐天「まぁまぁいいじゃないですか、ってか普段からこんな感じですよね?」

上条「そうだけども――って、そういや番組の方はどうなったの?」

佐天「あ、聞いて下さいよっ!それがですね、『匿名希望のミサカさん』と『ゲコ太らぶりー』さん、あと『鈴木エツァリ』さん以外にも投稿が!」

上条「マジでっ!?良かったー、一般の人も見てくれてんだな」

佐天「確か『黒瓜アレイスター』さんだっけかな……?」

上条「隠せよっ!?もうちょっと頑張ろうぜ色々となっ!俺には誰だか分からないけど!」

佐天「その他にも結構ご感想を頂きましたけど……まぁ、アレでしてね」

上条「え、ちょっと凹むような内容だったの?」

佐天「ちょっと待ってて下さい」 ピッ

上条「あー、メールの内容ダウンロードしてんのな」

佐天「『上条×みさきちで撮るべきだと思う』」

上条「食蜂さんってそんなに人気だったの?」

佐天「『美琴派だったオレが動く喋る表情がコロコロ変わるフレンダをみて一撃でkoされフレンダ派になった』」

上条「あー……」

佐天「……あたしは?あたしって要らない娘ですかね?」

上条「うん」

佐天「うんって!?どういう意味ですかっ!?」

上条「あぁいやごめんっ今は相づちだからなっ!いや佐天さんも頑張ってたよ!つーか佐天さんがいなかったら番組成立しないものっ!」

佐天「……ですかねー?」

471: 2013/06/25(火) 10:59:32.76 ID:91/mvLFM0
上条「だって始まりは友達を助けるんだろ?だって普通は番組撮ろうだなんて思わないし、なっ?」

佐天「まぁ……そこら辺はそれなりの打算もあったんですけど、はい」

上条「あぁほらっ、佐天さんとしてはどの話が印象に残ってる?」

佐天「そりゃあ勿論全部、って答えた方かいいんでしょうけど、そうですねー……」

佐天「遊園地っ、遊園地で遊んだの楽しかったです!」

上条「取材な?確かに遊び回っていた記憶が結構あるけども」

佐天「いやーまさかあんな結末になるとは……」

上条「どんな結末?それっぽく言う意味ってあるの?」

佐天「初春ファンがある時を境にガッツリ減っちゃって」

上条「初春さんには何一つ責任はないよね?あと多分、君ら、つーか仲良しグループ四人組が仲良すぎるのにも問題あると思うんだよ」

佐天「薄い本が一杯出そうな予感が――あたし、予知能力覚醒したかもっ!?」

上条「ごめん。俺も何となくそんな気はしてる。君らに加えて、金髪自称美脚が酷い目に遭う話が大人気だと思うよ」

佐天「やっぱり『みんな大好き中学生』ってのは真理だった、と」

上条「例外だよ!?特定の時期、特定の地域に集まる人達が特別なだけだから!」

佐天「いやでもただ単に自分の欲望に正直なだけかも?」

上条「否定は出来ない、よなぁ」

佐天「後は……そうですねぇ、やっぱり『両想いになれる自販機』でしょうか」

上条「あのダラッダラとした話が?」

佐天「ヒドっ!?告白したのにっ!」

上条「ネタじゃねぇか!?あんな勢いで来られたらマジ告白でも断るわっ」

佐天「ですかねー。よっし反省反省――あぁでもあの回は、鈴木エツァリさんから『神回』と」

佐天「JKに告白されてるみたいで、と一部で大人気らしいですよ」

上条「……いやぁ、うん。その人達も何だかんだで、碌な事には使ってない気がするなぁ」

佐天「アイドルのイメージビデオみたいな感じです?」

上条「ノーコメントで」

佐天「そう言えば局の方から『水着で接客するお仕事をすればタレントになれる』ってお誘いが!」

上条「明らかにヤバい系の話じゃねぇかっ!?絶対真に受けるなよっ!」

472: 2013/06/25(火) 11:01:19.69 ID:91/mvLFM0
佐天「実はレポーターする際、ちょっと『アイドルとしてデビューしてみないくわっ!?』的な展開を期待してたんですが」

上条「あぁ、アイマ○的な?」

佐天「現実はそんな感じですよねー、はい」

上条(いやぁ多分過保護な第三位さんと、凄腕のスーパーハカーさんが何かしてるんじゃないかなー?)

佐天「でも何か番組を通して色々と勉強出来た、って感じがします」

上条「ふーん?」

佐天「あ、その顔は信じてませんね。『またなんか変なボケ挟むんだろー』って顔ですし」

上条「大体合ってるけどさ。どんなの?」

佐天「いやもう初春達遊ぶ時間が減っちゃいまして、えぇ」

上条「俺の期待を裏切ってないよね?」

佐天「あーいえいえ、多分上条さんの思ってるのとは意味が違うと思います」

上条「違う、ってどんな風に。友達と遊ぶのに代わりはないよな?」

佐天「そですねー……子供の時の優先度ってどんな感じでしたか?」

上条「うん?」

上条(いや、覚えてないけども)

佐天「小学生のあたしだと、『お父さん、お母さん、弟、友達、学校』ぐらいの世界だったんですよね」

佐天「それが中学に上がって『学園都市、初春、御坂さん』って具合に広がりまして」

上条「白井さんは?」

佐天「あたしの『世界』はそのぐらいの広さであって、当然一つ一つの比率も高いです」

上条「あー……つまり、佐天さんにとっては、『友達との時間』ってのは大事だと?」

佐天「むしろ大事じゃない人が居るのかとっ」

上条「だよなぁ」

佐天「あ、すいません……!」

上条「居るからね?流石に俺でも同性の友達ぐらいはな!」

佐天「んで、局で編集のお手伝いとかさせて貰ってる時、本物のタレントさん?なんかの仕事を見ました」

佐天「いやもう、ほんっとに凄かったですよ。あたしと同じぐらいだってのに」

佐天「多分、色々なものを支払って『その場所』に居るんじゃないかなー、と」

上条「……確かになー。売れれば売れる程、私生活だって減っていくだろうし。歌やお芝居とかの練習もするんだろうし」

佐天「まぁ実力だけでのし上がっていく裏では、出来なかった人達で氏屍累々かなって」

上条「華やかな世界だけどね、外から見る分には」

佐天「ってな事を再実感しただけ、あたしは成長したと思います」

上条「まぁなー」

上条(氏にそうな目に遭ってまで、こっちの大事な世界に帰ってきたいと思うのは理解出来る――いや、共感出来るし)

473: 2013/06/25(火) 11:03:07.46 ID:91/mvLFM0
佐天「前は、って言ったら矛盾するかもですけど、あたし異能とか超能力に憧れている、って言いましたよね?」

上条「聞いた聞いた。それの延長で都市伝説とかのオカルトに興味が、って所までは」

佐天「はい、それの続きです」

佐天「御坂さんスッゲ!って思ってた時期もありますし、今も尊敬してますよ?勿論、白井さんのような熱すぎる親愛の情ではないですけど」

上条「白井のアレは……うん、まぁいいや」

佐天「でも近くに居て一緒に遊んでたりしてるとですね、やっぱり『何かを犠牲』にしてるんですよね」

上条「能力開発、か」

佐天「勿論それもありますけど、他にも何かやってるような気がします。ちょい前まで酷かったですけど」

上条(うっわー。やっぱこの子直感で動いている分、そういう所は勘が鋭いか)

佐天「まぁ片っっっ端から見つけ次第、首を突っ込むつもりですが!」 グッ

上条「ヤメテあげような?確実に嫌がるから」

佐天「でもまぁ結局の所、あたしも御坂さんも、同じ高校生に騙される程度の人間じゃないですか?」

上条「人聞き悪っ!?つーかそのネタノルマのようにぶち込むの止めてくれるかなっ!?」

佐天「友達大事だし、力の有る無し関係なくでも突っ込んじゃう、って所も一緒ですし。まぁアレですね、つまり」

佐天「根っこは一緒なんだな、って」

上条「そりゃそうだろうな。人はいっぱい居るけど、行動原理自体はそんなに変わりようがないよ」

佐天「都市伝説も――と言うか神話やら伝承の部分も結構、根っこの部分は似てません?」

上条「ねっこ?」

佐天「蝋で出来た翼で空を飛んだり、ケンカで勝ちたいとか、長生きしたいとか。昔っから人類は中二病を罹患していますよね?」

上条「中二じゃねぇよ!ばっさり切るにも程がある上、当時の人は大真面目だっ!」

佐天「えぇ、はいそれはその通りだと思います。でもやっぱり、突き詰めていくと同じ所へ行きません?」

上条「動機がって話か」

佐天「はいです。自分に無いものを欲しがるのって、誰かに認められたいとか、助けになりたいとか」

上条「例外もあるだろうけど、昔から人の思いなんて変わらないだろうしな」

佐天「この間読んだ本、ゲーテの『ファウスト』ってご存じですか?」

上条「悪魔が出て来てファウスト博士を連れ回す話だっけ?」

佐天「あれは元々ドイツの民間伝承だったそうですね。『ドクトル・ファウスト』だかって言う」

上条「そう、なのか?オペラかなんかの創作だとばっかり」

佐天「んー、歌舞伎とか能でも、伝説から時事の事件を取り上げていますし?洋の東西に関わらず似たようなものじゃないかと」

佐天「スウィフトの『ガリバー旅行記』も政治的な揶揄や皮肉たっぷりのお話らしいですね」

上条(きちんと勉強してるんだな。ジャンルは偏っているけど)

佐天「日本でも……か、かごつるべ?なんかは、当時の事件を取り扱ったものですしねー」

上条「あぁ村雨の話だっけ?」

佐天「知ってるんですか?」

上条「刀身に水が溜まらないぐらいよく斬れる、まるで籠で釣瓶を掬っているみたいだ、とか」

佐天「へー」

上条「建宮――知り合いから吉原100人斬りの怪談を聞かされたんだよ」

474: 2013/06/25(火) 11:04:54.89 ID:91/mvLFM0
佐天「まぁその事件も突き詰めれば片思いですしね?『ファウスト』でも博士は若返って女の子を口説いたりします」

上条「……そう考えると小説や映画も恋愛要素は鉄板だしなぁ」

佐天「むしろ今じゃ、選ばれなかった子が他の子とくっつくだけで猛抗議を受ける時代です」

上条「うん、それは一部だからね?例外を全体の例として挙げるのは不適切だと思うんだ」

佐天「え、白井さんのバスケが大変な事に、って話を聞きましたけど?」

上条「黒子違いだ!脅迫はまごう事なき犯罪だしね!」

佐天「それは――タダの絵だっ!」

上条「やめよう?存在意義の全否定になるから、うん」

佐天「何の話でしたっけ?……あ、最後の最後でヒナ○ちゃんがヒロイン昇格したって」

上条「ネ○にぃさああぁぁぁぁぁんっ!?あそこはサス○ェ君の出番じゃないのっ!?」

佐天「ってか第七班にサク○シュトラッセときどき工口春野お天気雨ビッ×ちゃんじゃなく、ヒ○タちゃんが配属されれば分裂しませんでしたよね?」

上条「君がサ○ラちゃん嫌いなのは分かったけど、許してあげよう?海外のファンサイト覗いたら、未だにwo×とかビッ×って書き込みで溢れていたけど」

佐天「ごめんなさい、あたしその人知らないです」

上条「うん……まぁ確かにあの子はナル○に斬りつけた後、同じ言葉の刃物でサ○ケ君もザクザクいってたからね」

佐天「っていうか、皆さん誤解しているんですけど。最初にナ○ト君がぶち切れたのって、○ナタちゃんがネ○にいさんにボコられた時なんですよねー」

佐天「つまりメインヒロインはヒナ○ちゃんだったんですよ!」

上条「少年時代のナ○トには、イル○先生ぐらいしか理解者は居なかったし。あそこで優しい言葉の一つでもかけてあげてたのか、分かれ道っていうか」

佐天「でもなんだかんだでオビ○さんは片思いだけど、それなりに優しくしてくれた女の子も居ましたし?全周囲敵ばかりの○ルト君に比べたらまだまだヌルゲーかと」

上条「うん、そろそろ収拾がつかなくなるから話戻そう?」

佐天「じゃリク○君のカップリングについて」

上条「もっと荒れるよっ!?てか原作ではつら○が下克上かましたじゃないっ」

佐天「んー、あたし的にはリ○オ×馬頭○ですよねっ」

上条「ウルセェよっ!そういう需要が一定数あるのは認めるけどもっ!」

上条「あと言わせて貰えるならヒロイン下克上の件に関しては、夜○さんをぶっちぎった肉々しい星○さんは言っちゃダメだからな?」

佐天「何の話でしたっけ……そうですそうです!」

上条「よかったー、分かってくれたかっ」

佐天「デビルサバイバー○の主人公がダイ○・ヤマ○・憂う○の四角関係のド修羅場に!」

上条「俺のオト○さんはぁぁぁぁっ!?フ○さんとアイ○もリタイアしちゃってるし!」

佐天「――と言う訳で、人間の行動原理って変わってないぜ、って話なんですが」

上条「あ、あれ?こっから立て直すの?パワープレイもいい加減にしないと」

佐天「でも結局、そういったしょーもない、もしくは夢物語から人は進んでいくもんだな、って思いますよ」

佐天「ライト兄弟が『夢のつば○』に憧れて空を飛んだように」 キリッ

上条「時系列が狂ってるよね?なんで日本製のギャルゲーに憧れて空飛ぼうとしてんの?兄弟で変Oこじらせてるから」

佐天「オカルトだって『何が出来るか』んじゃなくって、『何がしたいか』がスタートですし、そこを辿っていけば結構ありがちな動機だったり」

上条「まぁ、人間の精神性はそんなに変わらないしな。だから数百年前の古典文学でも、現代語訳して共感とかされてんだし」

佐天「オカルトだから、科学では解明出来ないからってさじを投げるより、あたしは『じゃ、なんでそれが出来たんだろ?』ってしたいかなー、なんて」

佐天「噂が出来たとして、出来るだけの訳や理由があるかも知れませんし?」

上条「民俗学とか、文化人類学?の方面かな?」

佐天「まぁ取り敢えずは日々の勉強と初春を愛でるのに集中したいかとぉっ!」

475: 2013/06/25(火) 11:06:36.50 ID:91/mvLFM0
上条「そろそろ初春さんは解放してあげても良いと思うんだけど……まぁ、目標が見つかったんなら何よりだ」

佐天「漠然と過ごすよりかは、まだいいかなーと」

上条「友達と過ごす時間も大切だと思うけどな」

佐天「ですねー、はい」

佐天「あー、そうだ上条さん、ちょっといいですかね?」

上条「ん、何?」

佐天「あたしと結婚を前提にお付き合いしてくれませんか?」

上条「あぁうん、いいよ」

佐天「じゃ取り敢えず、次の長いお休みに実家の両親へ挨拶に来て貰う方向で」

上条「丁度良かった。俺も佐天さんのご両親には言いたい事か山ほどあるっ!主に子供の教育方針でな!」

佐天「えっと……?」

上条「うん……?」

佐天「……いいんですか?あたしはフツーですけど?」

上条「嘘吐くなっ!?悪い意味でアクティブ過ぎる面白人材がそこら辺に落ちてる訳ねぇだろっ!?」

佐天「イヤイヤイヤイヤっ!ここは『嫌です!』って断る流れじゃないですかっ!っていうか『イヤ』と『嫌』って被っているよって言いますか!」

上条「落ち着け?」

佐天「でも他にも居ますしっ!?イギリスとロシアに現地妻がっ!」

上条「いな――いよっ!」

佐天「今ちょっと『あれ?どうだったっけ?』みたいな顔しませんでした?」

上条「日本にも本妻は居ないし!……いや、あのマジ話な?」

佐天「かかってこぉいっ!」

上条「告白の返事待ちでそのリアクションもどうかと思うけど……まぁ、その、三ヶ月ちょい付き合ってだな、妙にしっくり来るって言うか」

佐天「あー、ありますあります。打てば響くって言うのか」

上条「こうやってダベってても、ダラダラしてて楽しいって言うのかな」

佐天「でもっ!」

上条「佐天さんが前言ってくれたように、別に人が人を好きになる理由は、そんなに要らないって」

上条「今なら、俺もそう思うよ」

佐天「……はい」

上条「だからその、結婚を前提とかってのはまだ早いと思うけど、俺は佐天さんと付き合いたい」

上条「一緒に遊んだり、思い出を作ったりしていきたい――好きな子と、一緒に」

佐天「はいっ!」

上条「……まぁ?正直『目を離したらこの子大丈夫?』的な思惑がない訳でもない」

佐天「よっしゃっ!」

上条「リアクション違っ!?そこは抗議する所じゃないのっ!?」

476: 2013/06/25(火) 11:08:13.72 ID:91/mvLFM0
佐天「いいじゃないですかー、勝ったもん勝ちですし?」

佐天「ま、それはさておきですねっ。実は問題がありまして」

上条「早速?つーか出来ればもっと早く言って欲しかった……」

佐天「まぁ、そこはそれ大人の事情的なものがありますが――『学園探訪』の続編っ、決定しましたーーーーーーーーっ!いえーーーーーーいっ!」

上条「おめ、でとう?」

佐天「思ったよりもリアクション悪いっ!?もっと喜ぶ場面ですし!」

上条「いや、あの地獄のスケジュールと突っ込みすぎて喉を枯らす日が帰ってくるかと思うと……」

佐天「でも楽しかったですよね?ねっ?」

上条「あぁまぁ否定はしないよ」

佐天「工口可愛い彼女もゲット出来ましたし?」

上条「いや可愛くはあるんだけど、工口は全然?」

佐天「まー、それは追々。時間はたっぷりあります、よね?」

上条「まぁそうだけども。でも問題ってそれだけ?」

佐天「いえいえ今の話に繋がるんですが、よっと」 ガサゴソ

佐天「はいっ」

看板『ドッキリ大成功!!!』

上条「……看板?立て札?これがなに?」

佐天「シムラうしろ、うしろー」

上条「はい?」 クルッ

カメラマン ジジーッ

上条「」

佐天「って訳で夏から始まる新番組っ、『新・学園都市七大不思議探訪』の番宣は以上でーすっ!」

上条「またっ!?またこっそり中継しやがってたのかっ!?」

佐天「おおっと!テレビの前のみんな、ボクは大切な事を忘れていたぜっ!君に届ける合言葉っ!」

上条「何っ!?じゃ今の告白とかアナベル・ガ○―さんの話とか学園内に中継されてんのっ!?完全に公開処刑じゃねぇかっ!?」

佐天「辛い時っ!悲しい時っ!困った時にはこの言葉っ!大声で叫んでみようぜ何となくっ!」

上条「待てよ!?流していい話じゃねぇからなっ!絶対にこれは誰も得しないってば!」

佐天「すっきりすれば儲けもんだしっ、しなくったってボクは知らないけれど!それでも言うさっ君に届くまで!」

上条「おぉいっ!佐天さん実はさっきから耳真っ赤だよねっ!?実はテンパってて自分がなにしてるか分かってないだけじゃないのっ!?」

佐天「うーーーーーーいーーーーーーーっはるーーーーーーっ!愛してるぞおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぅいっ!!!」 プツンッ


――学園都市七大不思議探訪 最終話 『縁結び』 -終-

――佐天「佐天さんの学園都市七大不思議探訪っ!はっじっまっるっよーーー!」 -完-

478: 2013/06/25(火) 11:16:31.08 ID:BSpTr9R50
乙ー!!!!
いい最終回だった!!!

499: 2013/06/29(土) 12:09:11.83 ID:asLCHwXvo
乙です

520: 2013/07/04(木) 13:06:12.33 ID:9fGwA9mv0


――とある魔術の禁書目録SS 幻想魔笛 『帰らず村』(予告編)


※こっそり告知をしてみたり


521: 2013/07/04(木) 13:07:37.88 ID:9fGwA9mv0
――学園都市『外』の某駅のホーム

アナウンス『4番線に列車が入りまぁす。お客様は白線の内側にまでお下がりくだぁさい』

上条「……」

五和「うっわー人多いですねー。あ、見て下さい上条さん、ゴス口リ着てる人が」

上条「学園都市のメイド中学を見慣れてると有り難みが……いやいやっ、そう言う事じゃなくってだ」

上条「つーか俺はどうして巻き込まれているの?ナチュラルに関係無いよね?」

五和「それがですねぇ。学園都市の生徒さんが“外”で失踪したらしくって、我々はその調査に行くんですから!」

上条「気合い入りすぎ……ってか、学園都市の話なのにどうして五和、つーか天草式の出番になるんだ?」

五和「あるぇ?説明しませんでしたっけ?」

上条「朝一で襲撃された上、事情も聞かされずに荷物ごと連行されたからなっ!」

五和「はい、インデックスさんもこちらでお預かりしてますし」

上条「いやまぁ学園都市側の都合に付き合わせないのは理解出来るけど、何で俺!?俺も学生だよなぁっ!?」

五和「今回の失踪事件、どうやらオカルトが関わっている可能性がありまして」

五和「学園側が学外で動くのは……憶測だけでは問題があるそうで。ですからオカルトにはオカルトのプロである私達の出番です!」

上条「下請けの下請けなんだろ?つーか駅のホームでオカルト連呼するのはどうかと思う」

五和「仕方が無いじゃないですか!イギリス清教の方々が日本で隠密行動なんて出来ないでしょうっ!?」

上条「シスター服の集団がウロウロと。そう言う映画あったよね」

五和「とにかくっ!そんな訳で付き合って下さいお願いしますっ!」

上条「やめろって!ホームで付き合うとか言うなっ!」

五和「え、ダメなんですか?」

上条「待てよっ!?周りの皆さんが『あのウニ頭、あんな可愛い子をフりやがって何様?』的な目で見てるからねっ!?」

上条「違うから!そーゆー話じゃないでしょおっ!」

五和「一生面倒見ます!」

上条「そーゆー話になってた!?あれ、おかしいのは俺の方なのかな?」

522: 2013/07/04(木) 13:09:16.26 ID:9fGwA9mv0
五和「話が失踪ですからねぇ。意外とどこかで遊び回っている可能性もありますし、勘違いでしたー、で済む話ならそれに越した事はありませんけど」

上条「まぁ、分かったよ。俺も付き合う――けど、オカルトってどんな話?三沢塾みたいなカルトじゃないんだよな?」

五和「あ、それは電車の中でお話しします」

上条「あぁ――っと?」 ピピッ

五和「メールですか?あぁインデックスさんから」

上条「いや、インデックスは使えない。一応携帯も持たせてんだけどなぁ」 ピッ

上条「……スパムみたい。何か変な質問か書かれている」

五和「質問ですか?こういうのって『貴方は100人に一人の幸運を手にしました!』って感じじゃ?」

上条「えっとなー……『母狼、兄狼、弟狼がいます。ある時、兄弟狼は川に流されてしまいました』」

五和「のっけからヘビーな展開ですね」

上条「『母狼はどちらを助けるでしょうか?』だって」

五和「スパムというよりは心理学テストっぽいですかね。私だったらどっちも、って答えますけど、それは多分ハズレかもです」

上条「心情的に考えれば弟の方なんだろうけど、だったら俺は兄狼の方かな?」

ジジッ

円周「うん、うんっ。科学的な見解からすれば正しい結論だよね、当麻お兄ちゃん」

円周「例えば兄狼は泳げたとしたって、助かる確率が高い方を選ぶのは当然なんだよ」

上条「……はい?」

円周「どうしたの当麻お兄ちゃん?……あ、エOチなのは後で、ね?」

上条「思ってもねぇよっ!?つーか小学生相手にどうこうする趣味はねぇしな!そうじゃなくって、今五和と話を――」

円周「逸話?だぁれ?」

上条「え、いやだって俺と話してたのは」

円周「失踪した学園生を探しに行く、って説明したよね?」

上条「した、けど。それは」

円周「うん、なーに?」

上条「……いや、なんでもない」

523: 2013/07/04(木) 13:12:09.07 ID:9fGwA9mv0
円周「これは独り言だけど、世界には色々な選択肢があるんだよっ」

円周「当麻お兄ちゃんがシスターさんを拾わなかったセカイ、第一位に負けたセカイとかね?」

円周「そういった『様々なセカイがごちゃ混ぜになって世界を構成している』んだ」

上条「明らかに俺に話しかけてると思うけど……それが?」

円周「能力開発でも教わったよね――自分だけの現実(パーソナルリアリティ)」

上条「俺には出来なかったけどな」

円周「超能力者が力を発現するためには、『重なり合っている現実を認識し、そこから自分だけの現実を構築する』」

円周「つまり、学生都市の能力者は様々なセカイから、『自分に都合の良いセカイ』を引き寄せてるんだね、ふっしぎーっ!」

上条「……良く分からないんだが」

円周「そうだねぇ――あ、お兄ちゃん。やっぱり正義ヒーロー側としては、弟狼を選ぶのがベターだと思うよ。好感度的にも」

上条「そんなもんは考慮してねぇ!……いや、まぁ確かに弟の方を助けたくなるけどさ」

ジジジッ

五和「やっぱり若い方が好みなんですかっ!?」

上条「やっぱりって言うなよ!俺は別に年下好きをこじらせて、る訳じゃ……」

五和「で、ですよねっ。年上系姉さん女房が至高だと思います!」

上条(俺は今、誰と喋ってたんだっけ……?)

上条「……あのさぁ五和さん?」

五和「どうしました、改まって」

上条「えっと、なんで学園都市を離れているのか、って話はしたよね?」

五和「はい、させて頂きました」

上条「狼の家族の話は……どっちを選んだんだ?」

五和「私が『どっちも助けられたいいのに』って言ったら、上条さんが『兄の方を……いや弟の方を助けたくなるよな』って」

上条(『自分だけの現実』の話が無くなってる……?)

上条「……あっれー……?」

五和「無理矢理連れ出しといて言うのも何なんですけど、体調良くないんでしたら、戻りましょうか?」

上条「いや、大丈夫。何も問題はないよ」

アナウンス『3番線に列車が入りまぁす。お客様は白線の内側にまでお下がりくだぁさい』

五和「って来ましたねー。じゃあ行きましょうかっ」

上条「……テンション上げられてもなー」



――とある魔術の禁書目録SS 幻想魔笛 『帰らず村』(予告編)-終-


※ちなみに最初の構想では上条さん×ねーちん・美琴さんのダブルヒロインのつもりでしたが、上司の要望により五和さん・円周さんへと変更致しました

引用: 佐天「佐天さんの学園都市七大不思議探訪っ!はっじっまっるっよーーー!」