1: 2024/11/14(木) 01:14:39 ID:???00
前々したらばにて途中で終わってしまった、そして前のしたらばでは書いてる途中で板が吹っ飛んだ、みらくらぱーく!編の続きです

…というのを諸事情によりまた立て直すことになりました

無駄に長く書いてるものの、SSの話題でまっっっったく出たためしが無いんですがね
誰も読んでないことに勘付きつつ、もはやただの完結させたい意地を維持しつつ、いじけることなく突っ走ります

前編(前々したらば掲載)
【ラップSS】瑠璃乃「めぐちゃん!お宝っぽいマイクが!」【MP編】

※前したらば掲載分はこのスレでまた書きます

・スレタイのMPはみらくらぱーく!のことです。字数制限のため略すことになりました

・以前書いたCB(スリーズブーケ)編、DC(DOLLCHESTRA)編とリンクした話です

・3ユニットで同時進行している話をみらくらぱーく!の視点から描く、というコンセプトのため単体では不可解な描写があるかもしれません

・作中のラップをこちらのサイトで音声化したものを添えていきます。
https://www.suno.ai

サンプル(スリーズブーケ編より)

https://cdn1.suno.ai/0bf4a86c-5b22-4a41-9363-2ac2a33631c9.mp4

2: 2024/11/14(木) 01:22:37 ID:???00

3: 2024/11/14(木) 01:24:01 ID:???00
注意

※一部変えてはいますが、マイクなどの設定はヒプノシスマイクからの流用です

※時期は103期竜胆祭少し前を想定してます。本編ストーリーで語られていない箇所は作者の独自解釈・考察で補完しています

※一部キャラディス要素を含みます。キャラディスが苦手な方、キャラ同士のディスが苦手な人にはおすすめできません

※微リョナ要素ありです。苦手な方はご注意ください

4: 2024/11/14(木) 01:24:39 ID:???00
\これまでのみらくらぱーく!/

瑠璃乃「竜胆祭を目前に気合いを入れようと大倉庫の片付けをしていたスクールアイドルクラブ」

慈「なんと、片付け中にラップが具現化するマイクを見つけちゃった!それも6本!」

瑠璃乃「さやかちゃんとこずこず先輩のバトルがあったり、沙知パイセンがやべーのに襲われてたりして気づいたら…」

慈「なんとなんと!蓮ノ空そっくりの異世界にいたんだ」

瑠璃乃「どうやらこの世界には"もう一人の自分"…シャドウってのがいるらしく」

慈「もう一人の私はブラックめぐちゃんとか名乗ってこの世界そのものを爆弾でぶっ壊そうとしていたんだ」

瑠璃乃「ブラックめぐちゃんを止めるために、ルリたちは地下に作られたブラックめぐちゃん帝国を進んでいく」

5: 2024/11/14(木) 01:25:34 ID:???00
慈「ブラックめぐちゃんの城に入るためにはブラックめぐちゃん四天王が持つ4つの鍵が必要、タイムリミットは5時間」

瑠璃乃「鍵のうち一つは…」


「"大地を這う狂犬"こと『チャウチャウ=チャウ』さんや!」


瑠璃乃「…この世界に来てすぐに戦った、でっけーチャウチャウが持ってた」

慈「ま、私たちにかかればあんなザコ犬なんか楽勝だったけどね」

瑠璃乃「そのザコ犬に現在進行形で助けられてるわけですが」

6: 2024/11/14(木) 01:26:29 ID:???00
慈「鍵を手に入れるための試練ではちょっと不思議な出会いもあったんだ」



せつ菜『私は……どんな世界だろうとダイスキを諦めないヒーローになってみせます!!!』

せつ菜『以上、竹から生まれたかぐや姫こと…虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会、優木せつ菜でした!!』



ミア『名乗ってなかったな…ボクとしたことが』

ミア『ミア・テイラー、お騒がせしまくった優木せつ菜と同じく虹ヶ咲学園でスクールアイドルをやってる』


慈「2つ目の鍵は虹ヶ咲学園ってところでスクールアイドルをしてるせつ菜ちゃんとミアちゃんと一緒にゲット」

7: 2024/11/14(木) 01:27:04 ID:???00
瑠璃乃「3つ目の鍵は…謎のヒーロー、シャゼリア⭐︎キッスと」


曜『…名乗るのは初めてだよね。私は渡辺曜』

ルビィ『黒澤ルビィです』

善子『そして私が堕天使ヨハ…』

ルビィ『よしこちゃん?』

善子『そうね…津島善子。それが私の名前よ』


瑠璃乃「これまたスクールアイドルをしてる曜さん、ルビィちゃん、善子ちゃんとのコラボでゲット」

8: 2024/11/14(木) 01:27:29 ID:???00
瑠璃乃「残る鍵はあと一つ」

慈「このまま駆け抜けていこうぜ!」

慈「…あれ?そういえばもう一人のるりちゃんには会ってないよね」

瑠璃乃「えっと…そいつは…あははは」

慈「???」

9: 2024/11/14(木) 01:28:03 ID:???00
みらくらぱーく!③-3

大沢瑠璃乃
~風の鳴く夜は思い出して
泣いた軌跡と奇跡明かして~

瑠璃乃(また…ふわふわ浮かんでる…もう2度目だしわかる)

瑠璃乃(ここはルリの夢の中、ルリだけの世界)

瑠璃乃(3つ目の鍵クリアして、充電切れして、多分またチャウチャウの背中に乗せられてんだろうな)

瑠璃乃(あと鍵をひとつとブラックめぐちゃん…)

瑠璃乃(そこをなんとかすれば全部解決)

瑠璃乃「……」

瑠璃乃「というわけにもいかないのかな?また会ったね、もう一人のルリ」

10: 2024/11/14(木) 01:28:45 ID:???00
シャドウ瑠璃乃「ルリは別に戦うつもりも邪魔するつもりもないよ」

シャドウ瑠璃乃「お互いそんなことで充電無駄遣いしたくないでしょ」

瑠璃乃「はは、そこは同感」

瑠璃乃「だからこそ、こんな夢の中で二人きりで話してんだし」

瑠璃乃「だけどさ…」

シャドウ瑠璃乃「なに?」

瑠璃乃「ちょっち色んなもん見て、戦わないってのは贅沢なんじゃないかなってルリはちょっと思った」

11: 2024/11/14(木) 01:29:14 ID:???00
瑠璃乃「戦わなきゃいけない状況ってあんじゃん。戦わないでなんとかしましょうなんてのが通用しない時にルリはどうするんだろ」

シャドウ瑠璃乃「……さあね…」

シャドウ瑠璃乃「少なくも今のルリにはそれに答えることはできない」

シャドウ瑠璃乃「誰かといても無くなるものの方が多かった…戦う理由もわからない…だったら一人でいいじゃんって」

シャドウ瑠璃乃「それが、もう一人のあなた…ルリの行き着いた先」

瑠璃乃「なるほど、なるほど、わかったよ」

瑠璃乃(チャウチャウが言ってた。ここでは人の想いやら感情やらから別の自分が生まれることがあるって)

瑠璃乃「つまり、あなたを…もう一人のルリを生み出した想いってのは」

12: 2024/11/14(木) 01:30:19 ID:???00
………

………………

瑠璃乃「ん…みゅう…」

チャウチャウ=チャウ「起きたようやな」

瑠璃乃(ばたんきゅーしたルリを乗せてのしのし歩いてる、でっけーチャウチャウが話しかけてきた)

瑠璃乃(でっけー上に言葉話すチャウチャウがチャウチャウかってのは置いといて…この子、敵だったはずのチャウチャウ=チャウはすっかりパーティの一員になっていた)

13: 2024/11/14(木) 01:31:08 ID:???00
慈「充電はできたかい?るりちゃん」

瑠璃乃「うん、ばっちり」

瑠璃乃「……」

慈「どうしたの?」

瑠璃乃「いんや、なんでもにゃーですわ」

チャウ「さーて!そろそろ第三ステージや!」

瑠璃乃「ハリハリメッセ…ね」

慈「元にしてるのはあそこなんだろうね」

14: 2024/11/14(木) 01:32:00 ID:???00
瑠璃乃「たしかスクールアイドルのライブがあるとか…って」

瑠璃乃「なんじゃこりゃあああ!?」

瑠璃乃(見えてきたのはそびえ立つ、壁、壁、壁)

慈「そういえば言われてたっけ。会場の周りが迷路になってるって」

チャウチャウ=チャウ(以下、チャウ)「お!なんか書いてあるで」

~~~~鍵の入手方法~~~~~~

迷宮の先で

みんなの心を一つにして

ライブをしよう

その声が鍵を生み出すよ

~~~~~~~~~~~~~~~~

15: 2024/11/14(木) 01:33:13 ID:???00
慈「迷宮の先って…ここ進むの?」

瑠璃乃「まあ、迷路ならとりあえず進むしかないっしょ」

チャウ「お供いたしますぜ」

瑠璃乃(そうして、迷路を攻略しはじめて10分くらい経った頃)

ブォォォォオオオオオオオオオン!!

瑠璃乃「はえええ!?」

慈「ちょっ、いきなり風が吹いてきた!」

チャウ「ああああああっ!!」

16: 2024/11/14(木) 01:33:51 ID:???00
瑠璃乃「まずい!まずいって!」

慈「飛ばされる!」

チャウ「あーれー」

???「そのまま後ろに下がって!」

瑠璃乃「ん?」

???「早く!」

慈「るりちゃん!」

瑠璃乃「やるっきゃないか」

チャウ「ワイも付いていきます」

17: 2024/11/14(木) 01:35:02 ID:???00
瑠璃乃(そのまま後ろに下がった、すると)

???「thanks、信じてくれてありがとう」

瑠璃乃(地面が、開いた)

瑠璃乃「っておい!またこれ?」

慈「ちょっと!駄犬なにやってんの!?」

チャウ「ワイやない!ワイなんもやっとらんで!」

ドサっ…

瑠璃乃「あたたた…」

???「すまない。落下の衝撃を考慮するべきだったね」

???「何はともあれ大したケガもないようでよかった」

18: 2024/11/14(木) 01:35:57 ID:???00
瑠璃乃(困惑するルリの顔を光が照らす)

???「暗くてすまないね。もう少し光を強めるか」

瑠璃乃(落ちた先にいたのはルリたちと同じくらいの歳の子だった)

瑠璃乃(白衣を着て、ちょっと気だるげな雰囲気を纏ったその子は…懐中電灯にしてはパワフルな光を手に、もう片方の手を顎に当てて興味深げにルリたちを見ている)

???「ああ、まずは名乗るのがこういう時の礼儀だよね」

???「私は今日ここでライブをする予定のスクールアイドルグループのメンバー…」

四季「若菜四季だよ。はじめまして」

19: 2024/11/14(木) 04:47:42 ID:???00
瑠璃乃「スクール…アイドル…」

慈「またか、またなのか…」

「ちょっと!私を無視して話を進めないでくれる!?」

瑠璃乃「ん?」

瑠璃乃(なんだろ?向こうからお怒りモードでドシドシと歩いてくる…いや、実際にそんな音がしてるわけじゃないが…)

四季「だってマルガレーテちゃん、どうでもいいとか言ってたし」

マルガレーテ「だとしても完全に無視するな!」

四季「めんどくさい」

マルガレーテ「ごめんなさいね!めんどくさい新メンバーで」

20: 2024/11/14(木) 04:48:17 ID:???00
瑠璃乃「あのー、なぜルリたちはこのような場所に招かれたのかお聞きしてもよろしいでしょうか?」

四季「そうだね。不毛なやりとりはやめよう」

マルガレーテ「不毛ってなによ!」

マルガレーテ「まあ…いいわ。私も子供じゃないもの。やるべきことが何かはわかってる」

四季「驚いたよ。まさか、まだ人がいるなんて思わなくて」

瑠璃乃「寝たり起きたりで気にしてなかったけど、そういやマジで誰もいなかったね」

四季「この一帯の人たちはみんな吹き飛ばされたからね」

慈「たしかライブ会場が占拠されたとか聞いたけど」

21: 2024/11/14(木) 04:49:02 ID:???00
マルガレーテ「そうね。ライブの準備をしていたらあいつらがぞろぞろやってきたの」

瑠璃乃「あいつら?」

四季「私たちもあれが何かはわかってないんだ。そこらへんのものが集まって人の形になって動き出した」

四季「もちろん私たちも抵抗はした。でも…」

マルガレーテ「ダメージを与えてもバラバラになるだけでまた復活して襲ってきた。不氏の軍隊ってやつね」

四季「手持ちの液体窒素とか濃硫酸とかで押し返そうとはしたんだけだけど、多勢に無勢ってやつだった」

瑠璃乃「おい、なんか今手持ちだとおかしいワードが出てきたぞ」

マルガレーテ「そうこうしてるうちにスタッフが捕らわれて、会場もどんどん制圧されて、悪趣味なゾンビ映画でも見てる気分だったわ」

22: 2024/11/14(木) 04:50:38 ID:???00
マルガレーテ「それでも私と四季先輩がこうして外に出られたのは不幸中の幸い…かと思ったら」

マルガレーテ「人っこ一人いないってなによ!」

四季「こんな風の中じゃ立ってるのも困難、まあ避難はするよね」

四季「たまたま持っていた穴掘りマシーンで地下に潜って、ひとまず道具はそろえようとうちの学校まで掘り進んで行こうと思ったんだけど…無理だった」

マルガレーテ「千葉から原宿までを近場のコンビニへの買い物感覚で移動しようとしないで」

瑠璃乃「はは…って、ん?」

慈「千葉?」

四季「違うの?ここは千葉だと思ったんだけど」

23: 2024/11/14(木) 04:54:40 ID:???00
瑠璃乃「いやいや!ここは石川県金沢…ってそれも怪しいか」

瑠璃乃「ルリたちはこのずっと上から落ちてきて、で上にあるのは金沢で」

マルガレーテ「なによ上って、千葉の上空に金沢があるっての?私だってそんな位置関係おかしいってわかるわよ」

四季「いや…もしかしたら謎がひとつ解けたかもしれない」

四季「さっきうちの学校に行こうとしたって言ったけどさ、千葉から原宿に向かって進んでいたはずなのに気づいたら元の場所にいたんだ」

慈「どういうこと?」

四季「あくまでも仮説だけど、ある地点を境に空間的なつながりが異常になっているのかもしれない」

24: 2024/11/14(木) 04:56:13 ID:???00
四季「地上に出て空を見上げても上にあるのは空…でも二人は上から落ちてきた、これは真実のはず」

瑠璃乃「お、おう」

四季「落ちてくる時のこと覚えてる?もしかしたら落ちる瞬間と落ちた後の間の記憶がなかったり」

瑠璃乃「あ…」

慈「…るりちゃんも?」

慈「犬っころ、あんたはどうなの?って」

瑠璃乃「あれ?チャウチャウどこいった?」

マルガレーテ「犬?チャウチャウ?」

25: 2024/11/14(木) 04:57:18 ID:???00
瑠璃乃「えっと…こーんくらいでっかいチャウチャウがいたと思うんだけど」

四季「いたのは二人だけだったよ」

マルガレーテ「そんな大きさのチャウチャウが現実にいるとは思えないんだけど」

慈「ま、そうだよね。でもいたんだよ」

四季「話を戻していい?二人の言うように高いところから落ちてきたんだとしたら、それなりにケガとかしてるはずなんだ」

瑠璃乃「おお、そういえば」

慈「たしかに私たち高いところから落ちてきたって状態でもなかったね」

瑠璃乃「うん、今さっき地上から落っこちてきた時の方が痛かったかも」

26: 2024/11/14(木) 04:59:19 ID:???00
四季「つまり、正確には落ちる…重力に従っての落下ではなく別概念の三次元軸移動、もしかしたらもっと多次元軸の移動なのかもしれない」

慈「んんん…何の話??」

マルガレーテ「ワープってことでしょ。もっと単純に言いなさいよ」

慈「ああ、たしかにここまでにも微妙にワープしてきたっぽい人たちいたしありえるね」

マルガレーテ「あるいは私たちも会場周辺ごとワープしてきたのかもね。会場から離れようとしても一定以上離れると戻されるみたいだし」

四季「とても興味をそそられる現象だよ…こんな状況じゃなかったら是非とも詳しく調べたい」

瑠璃乃「あの、話をちょっと戻すんですけどいいです?」

四季「構わないよ」

27: 2024/11/14(木) 05:03:10 ID:???00
瑠璃乃「お二人は仲間が捕まって、なんとか外に出られた…で地下に潜ってここまで掘り進んで来たで合ってます?」

四季「うん、そうだよ」

瑠璃乃「ということはこの道は会場まで繋がってるはず」

慈「そうか。会場まではここを通ればいいんだ」

マルガレーテ「話聞いてなかったの?会場に行ったところで敵がうようよしてるの!ライブなんてできっこない」

瑠璃乃「ルリたちにその敵さんを倒せる方法があるとしたら、どうかな?」

四季「あるの?そんなものが」

28: 2024/11/14(木) 05:04:17 ID:???00
瑠璃乃「まあ…確実にじゃねーですがね」

慈「そうだね。ぶちかましちゃいますか!みらくらのラップを」

四季「ラップ?」

瑠璃乃「実は…」

瑠璃乃(マイクのこと、ブラックめぐちゃんのこと、鍵を集めないといけないこと、その他もろもろを四季さんとマルガレーテちゃんに話す)

マルガレーテ「とりあえず、私たちもあなたたちもライブの開催を目指している。利害が一致してる。そして…」

マルガレーテ「あなたたちにはそれを達成するための力がある、ということね」

29: 2024/11/15(金) 00:11:33 ID:???00
四季「なるほど、これがラップを具現化するマイクと」

マルガレーテ「オーバーテクノロジーなんてもんじゃないわね…って私たちが言えたことじゃないか」

瑠璃乃「ルリたちがこいつで敵さんを蹴散らすから二人は捕まったメンバーさんを助けてあげて」

慈「あとは何の心配もなくライブ開催、私たちは鍵をゲットって寸法さ」

四季「このまま、手をこまねいていても時間が過ぎるだけ…やってみる価値はある」

四季「いいよね?マルガレーテちゃん」

マルガレーテ「ライブができるならなんでもいいわ」

マルガレーテ「足は引っ張らないでよね。あんたたち」

30: 2024/11/15(金) 00:12:01 ID:???00
瑠璃乃(そんなこんなで四季さんが掘ってきた穴を戻って会場に向かうことになったのだった)

四季「すまないね。協力感謝するよ」

瑠璃乃「そんな、感謝なんて。スクールアイドルどうし助け合いましょうよ」

四季「ふふっ、そうか…スクールアイドルなんだよねお互い」

四季「今でもたまに思うんだ。私がスクールアイドルをしてるなんて不思議だなって」

瑠璃乃「そうなんですか?」

四季「私がスクールアイドルをはじめたのは、隣にいた素直じゃない子をスクールアイドルの舞台にあげたかったから」

四季「ステージに引きあげるなら、私自身が上がるのが早いと思ったから」

31: 2024/11/15(金) 00:12:33 ID:???00
瑠璃乃「あはは、それわかります」

慈「その素直じゃない子はちゃんとステージに上がれた?」

四季「うん、今は同じグループでスクールアイドルをしてる」

瑠璃乃「おおっ!」

四季「むしろステージに引き上げられたのは私の方だった」

四季「メイが気づかせてくれたんだ。私自身も気づいてなかった熱さを」

四季「私もスクールアイドルをやりたいと願ってたんだ…」

32: 2024/11/15(金) 00:12:58 ID:???00
慈「うんうん、そっちもそっちでなかなか熱いことしてるみたいだね」

四季「私にだって色があって、それは強い光の中では見えない白かもしれない…」

四季「だけどそんな色だってあっていいんだ。白は色が無いんじゃない。影の中で一番綺麗に光る色なんだから」

慈「その通りさ。わかってんじゃん」

瑠璃乃「影の中で綺麗な色に光ればいい…か」

マルガレーテ「まったく、あんたたちは甘いわね」

マルガレーテ「友情努力勝利なんてマンガの中だけにしなさい」

33: 2024/11/15(金) 00:13:33 ID:???00
四季「その甘いスクールアイドルにこてんぱんにされたのはどこの誰だったっけ?」

マルガレーテ「あんな負けなんて認めない。実力では私の方がずっと上よ」

マルガレーテ「スクールアイドルなんてお遊び、今は将来のために仕方なくあんたたちに協力してるって忘れないで」

慈「あー、なるほど…本気だって言っちゃうのが怖いんだ」

マルガレーテ「はあっ!?」

慈「ま、私も『スクールアイドルなんて将来のための踏み台でーす』なんて言ってた時期あったからね…わかるよ」

慈「だけどさ、そういう人ほど負けたり上手くいかなかったりした時に火がついちゃうんだ…私の経験則なんだけどね」

34: 2024/11/15(金) 00:14:02 ID:???00
マルガレーテ「あんたに何が!」

マルガレーテ「…今はそんなこと言い争ってる場合じゃないか」

瑠璃乃(なんてやりとりをしながら、地下道を通って会場に戻る、なんかずるいような気もするが…まあ時間もねえし!オッケー!)

………

…………

35: 2024/11/15(金) 00:14:49 ID:???00
四季「ここから上がれば会場だよ」

瑠璃乃「おお!まじで超ショートカットじゃん」

慈「あの迷路を超えるとか無理ゲーだし、四季ちゃんたちに会えてよかったよ」

マルガレーテ「もうここからは敵のど真ん中よ。このままゆっくりもしてられない」

慈「そうだね。四季ちゃんたちの仲間を助け出そう」

瑠璃乃「道案内よろしく」

四季「オーケー、こっちだよ」

36: 2024/11/15(金) 00:15:45 ID:???00
~ハリハリメッセ・内部~

瑠璃乃「さてと、内部に入ったわけですが」

慈「やっぱりというか元ネタの千葉のあれと一緒か」

マルガレーテ「私たちは、ライブでそこにいたはずなのよね」

マルガレーテ「なぜこんな奇妙な名前の施設になってるかが不思議なんだけど」

四季「やはり時空の歪みなんだろうね」

ガシャ…ガシャ…

マルガレーテ「…きたわね」

瑠璃乃「もはや疑うまでもなく敵さんの襲来でございますか」

瑠璃乃(通路の向こうから、階段の下から、いろんな方向から足音がする)

37: 2024/11/15(金) 00:16:20 ID:???00
慈「こんなの、どこをどう進めっての」

四季「我ながらよくこんな状況から出られたなって思う」

ガシャ…ガシャガシャ

瑠璃乃(そうして見えるところまで敵さんがやってきた…のだが)

瑠璃乃「は?」

慈「なんじゃこりゃ」

瑠璃乃(いろんな物の寄せ集め、敵さんを一言で表すならそうだった)

瑠璃乃「鉄パイプ、標識、ガードレール、手すり…まあ、そこらへんはいいよ」

瑠璃乃「チェーンソーとか、ツルハシとかどこから持ってきたのさ」

ガシャ…ガシャ…

瑠璃乃「たしかにこいつは悪趣味だね」

38: 2024/11/15(金) 00:17:03 ID:???00
マルガレーテ「わかってもらえたかしら?私たちの気持ちが」

慈「絶体絶命、だね」

瑠璃乃(敵さんは一定の速度で進んでくる…マルガレーテちゃんがゾンビって言っていたけど動きがまさにゾンビだ)

四季「全力でダッシュすれば…いや、いくらなんでもこの物量を無傷で抜け出せないか」

マルガレーテ「捕まるのがオチね」

瑠璃乃「めぐちゃん!やるよ!」

慈「了解だ!」

39: 2024/11/15(金) 00:17:43 ID:???00
四季「いや、それはしないほうがいい」

四季「あいつらに下手に攻撃しても復活してくる。二人には力を温存しててもらいたい」

四季「この兵隊たちは多分、なんらかの指令で動いてる…その指令を出してるのを倒すためには二人の力が必要」

マルガレーテ「じゃあどうするの?また戻るの?」

四季「…もう、迷ってる時間はない…か」

瑠璃乃(四季さんが前方に円筒形の物体を投げる)

40: 2024/11/15(金) 00:22:43 ID:???00
四季「伏せて、私の見立てなら心配ないけど…なるべく頭は守って」

慈「いきなりどうしたの!?ていうか、あれなに?」

四季「ダイナマイト、時間を稼ぐくらいはできるはず」

慈「……へ?」

瑠璃乃「のわあああああ!!?」

マルガレーテ「あんた私たちを頃す気!?」

四季「計算上は伏せてれば"問題ない"…はず」

慈「はずって何!?氏んだら一生呪うから!!」

四季「その場合は高確率で私も氏んでいるのでは?」

慈「冷静に返すなああああああ!!」


ドグゥオオオオオオオオオオオオン!!!

41: 2024/11/15(金) 00:23:15 ID:???00
………

………………


瑠璃乃「はあ…はあ…」

慈「るりちゃん、生きてる?ケガとかしてない?」

瑠璃乃「うん…思った以上に無事」

瑠璃乃(四季さんの投げたダイナマイトはうまい具合に敵を吹っ飛ばして道を作ってくれたようだ)

四季「じゃあ、一気に進むよ」


???(少年声)「あーあ、せっかくの作品が台無しだよ」

???(青年声)「ったく、大人しく外で迷ってれば良かったのによ」

瑠璃乃「ん?」

42: 2024/11/15(金) 03:55:32 ID:???00
???(少年声)「まあ、こういうヒーローきどりは諦めが悪いのが相場だから…これくらいのヤンチャは許すよ」

???(青年声)「ここまで来られちまったら、俺らが出るしかねぇなあ」

???(少年声)「見せつけてあげようよ。ボクとキミの最高のコンビネーションを」

慈「…声が2つ?」

???「テメェらがここまで来るとは思わなかったからよ」

???「ちょっとばかり出力を上げるよ」

ブオオオオオオオオオン!!

瑠璃乃「うおおっ!!?」

瑠璃乃(何かがルリたちの側をマッハで駆け抜けて行った)

43: 2024/11/15(金) 03:56:26 ID:???00
瑠璃乃(それから数秒して)

ブワアアアアアアアッッ!

四季「風が…!」

瑠璃乃(突風に4人とも吹き飛ばされる)

ガキィイッ

瑠璃乃「ぐあ゛っ!」

瑠璃乃(背中に衝撃が走る、どうやら壁に背中を打ちつけたみたいだ…)

慈「るりちゃん!」

瑠璃乃「大丈夫…」

ブロロロロロロ…

瑠璃乃(ルリたちの前に、その"何か"が降りてくる)

44: 2024/11/15(金) 03:58:58 ID:???00
マルガレーテ「……!?なによ、あれ…」

瑠璃乃(マルガレーテちゃんが驚くのも当然、だってここは屋内なんだ…なのに)

瑠璃乃(目の前に…プロペラ機が飛んでんだから)


瑠璃乃(プロペラ機には目みたいなものがくっついてて、ギ口リとこっちを睨んでいた)

イメージ図

no title



???「本当はこんな狭っくるしいとこじゃなくて外で思いっきり飛びたいんだがよお」

ボウフーン「ま、名乗ってやるか!俺様がここを占拠したブラックめぐちゃん四天王の一人、"暴風を操る強襲機"ボウフーンだ!」

45: 2024/11/15(金) 03:59:33 ID:???00
瑠璃乃「ボウ…フーン?」

ボウフーン「けけっ!必氏に迷路を進んでくる奴らを上からぶっ飛ばすのは爽快だぜ」

慈「なるほど、あれはあんたの仕業か」

ボウフーン「だからよぉ!見つけたらまた吹っ飛ばしてやろうと思ってたのによぉ!!」

ボウフーン「どこからか知らねぇが…俺様の見えねえとこから…こそこそ入ってきてんじゃねぇか!!ああん!?」

ボウフーン「しょうがねえからわざわざ俺様が入ってきてやったけどよぉ…」

ボウフーン「なんで俺様がこんな不自由なことしなきゃなんねんだぁ!むしゃくしゃしてっからまた吹っ飛ばしてやんよ!」

慈「そっちの都合なんか知るか!おかげで誰も会場まで来れないし…髪の毛ぐしゃぐしゃなんだよ!」

慈「こうなったら…」

瑠璃乃(めぐちゃんが、マイクを取り出す)

46: 2024/11/15(金) 04:00:13 ID:???00
慈「いくよ!るりちゃん」

瑠璃乃「おう!」

瑠璃乃(ルリもマイクを構える)

ボウフーン「させるかよおおお」

ブロロロロロロロロロロロ!!

瑠璃乃(ボウフーンのプロペラが回転を増す!すると)


ゴオオオオオオオオオオオ!!


瑠璃乃「うあああっ!」

慈「きゃああっ!」

47: 2024/11/15(金) 04:01:02 ID:???00
瑠璃乃(ルリたち二人を狙いうちにした突風…!いや、これは…)

瑠璃乃(気づいた時には遅かった)

瑠璃乃(ルリたちの手には何も握られてなかった)

瑠璃乃「そういう、ことか」

慈「マイクを狙って…」

瑠璃乃(遥か後方、マイクはまだギリギリ見える位置にある)

瑠璃乃「くっ…」

慈「まだまだぁっ!」

瑠璃乃(二人一緒にマイクへ駆け出す)

瑠璃乃(でも…)

ガシャ…ガシャ…

瑠璃乃(ガラクタの寄せ集めの兵隊たちが道を塞ぐ)

48: 2024/11/15(金) 04:01:47 ID:???00
瑠璃乃「また、こいつらか」

慈「これじゃ、マイクを取りに行けない」

瑠璃乃(そうこうしてるうちに、兵隊の一体がマイクに近づき)

ガシュ

瑠璃乃(文字通り、マイクを体に取り込んでしまった)

マルガレーテ「なにやってんのよあんたら!」

四季「ジーザス……」

???「どうだい?僕の作品は」

瑠璃乃「…もう一体のお出ましってわけかい」

???「もう一体?うーん、ちょっとちがうな」

49: 2024/11/15(金) 20:00:37 ID:???Sp
???「ボクを"一体"扱いするのはおすすめしないよ」

ガシャ…ガシャ…

四季「……兵隊を引き連れて登場か。いいご身分だ」

ライデーン「やあ、ここを担当するブラックめぐちゃん四天王のもう一人、"雷電で操る再生機"ことライデーンだよ」

瑠璃乃(現れたのはターンテーブルが目になったDJミキサー)

瑠璃乃(DJミキサーってのはDJが曲かけてキュキュキュ!ってするあれだ。キュキュってするところがターンテーブルだ)

瑠璃乃(ボウフーンとは違ってこっちはどことなくかわいいというか、幼い印象だ)

イメージ図

no title

50: 2024/11/15(金) 20:01:13 ID:???Sp
瑠璃乃「風と雷、でもって強襲機と再生機…機械コンビか」

マルガレーテ「あんたらが会場占拠の犯人ってわけね」

四季「どうりで兵隊が金属製なわけだ。電気と磁力が作用する物質じゃないと操れない」

慈「ていうか風と雷でコンビ…?だったら合計5体じゃん!四天王じゃないでしょ」

ボウフーン「ごちゃごちゃ、うっせえ!」

グオオオオオオオオ!!

瑠璃乃「うわわっ!」

四季「また、風がっ」

ライデーン「ボクの獲物も残しておいてよ」

マルガレーテ「まったく!同じことを何度も何度も、芸が無いわね…!」

51: 2024/11/15(金) 20:01:51 ID:???Sp
ライデーン「芸か、なら…こんなのはどうだい?」

ガシャガシャ…ガシャ

瑠璃乃(兵隊たちが風に向かって近づいてくる)

瑠璃乃「なんで、そんなことを…」

ライデーン「じゃ、戻そうか」

瑠璃乃「……!」

瑠璃乃(まて…今、なんつった!?)

瑠璃乃(いろんなものが集まって動いてたものを"戻す"?)

ガラッ…

瑠璃乃(兵隊たちが、形を保てずに崩れ落ち…)

瑠璃乃(その、パーツひとつひとつが風に飛ばされて)


ガスっ……

ルリのとなりで、にぶいおとがした

52: 2024/11/15(金) 20:02:24 ID:???Sp
慈「ぐぶぁ……」

瑠璃乃(おなかに…めぐちゃんのおなかに…ガードレールが)


瑠璃乃「めぐちゃああああん!」

瑠璃乃(めぐちゃんとガードレールが飛んでいく)

瑠璃乃(まだパーツは飛んできてたけど体は自然と動いてた、めぐちゃんを追いかけて走っていた)

マルガレーテ「危ないわよ!慈だけじゃなくあんたも巻き添えになる!」

瑠璃乃(なんでだ、ルリ…めっちゃ走ってるのになんでめぐちゃんが遠くなるんだ)

瑠璃乃(…ものすごく長いような時間走った気がする。ようやくめぐちゃんは止まった)

慈「…げふっ、る…るりちゃん…」

慈「廊下の…端っこ…?そっか…ガードレールにぶつかって、飛ばされて」

53: 2024/11/15(金) 20:02:51 ID:???Sp
瑠璃乃「めぐちゃんしっかりして!氏なないで!」

瑠璃乃「めぐちゃんが氏んじゃったらルリ…」

慈「ま、まあ…ガードレールがぶつかっただけだし…鉄パイプが刺さるとか、チェーンソーがぶつかるよりはまだ」

慈「安心しなよ。私、こうみえても頑丈だから」

瑠璃乃「そっか…よかった」

瑠璃乃「あ…」

瑠璃乃(四季さんとマルガレーテちゃんは…?)

瑠璃乃(心配そうにこっちを見る二人と目が合う。なんともないみたい…だいぶ距離が離れちゃったけど、よかった)

ライデーン「あーあ、一人だけか。キミたち運がいいね」

54: 2024/11/15(金) 20:03:19 ID:???Sp
瑠璃乃「よくもめぐちゃんを…絶対に許さない!!」

慈「あんたらさ、いちいちやってることが気に入らないんだよ」

ライデーン「ま、いいや!"弾"はまだまだたくさんあるんだよ?何回もやれば」

瑠璃乃(あれが…また来るのか)

ボウフーン「いくぜ!」

プオオオオオオオオオン!!

慈「また…風が…」

瑠璃乃「このままじゃ…」

ボウフーン「けひゃひゃ!弱虫の負け犬どもがよぉ!ライブだのなんだの集まってしょうもねぇ」

55: 2024/11/15(金) 20:04:37 ID:???Sp
ボウフーン「俺様たちがちょっと力を出しただけでこうだ!歌だのダンスだの、くだらねぇ!そんなもん全部吹き飛ばしてやんよ」

マルガレーテ「今…なんて言った…」

ボウフーン「ああん?」

マルガレーテ「歌が、ダンスが…くだらない」

ボウフーン「事実だろうがよお!歌で、ダンスで」

グオオオオオオオオ!!!

瑠璃乃(風がどんどん強く)

ボウフーン「俺様の風が止められるか!?」

ボウフーン「この風の中!誰が来るってんだ?」

56: 2024/11/15(金) 20:19:40 ID:???Sp
ボウフーン「スクールアイドルだったか?弱い奴らが何をがんばったところで…結局ぜーんぶぶち壊しだなあ!」

ボウフーン「ま、ライブなんて言って客と互いに媚びて尻尾振り合うのは負け犬らしいけどよ!ぎゃはは」

マルガレーテ「……うるさい!あんたなんかに、私たちを馬鹿にする権利なんかない!」

ボウフーン「ははっ!吠えてやがんな」

マルガレーテ「…私たち……そっか」

マルガレーテ「私もスクールアイドルだったんだ。ふふっ」

ボウフーン「ああん?」

マルガレーテ「やっと、わかった」

マルガレーテ「あなたの言う通りよ。スクールアイドルなんて、大した実力もない奴らが寄って集まってそれっぽいおままごとをしてるだけ…だけどね!」

マルガレーテ「私は、あの時の私は!その"大した実力もない寄せ集めのおままごと"に負けたの」

四季「マルガレーテちゃん…」

57: 2024/11/15(金) 20:22:13 ID:???Sp
瑠璃乃(もう飛ばされないようにこらえるのがせっいいっぱい…でも、そんな中でもマルガレーテちゃんは目の前の敵から目を離さない)

マルガレーテ「まったく、滑稽ね…力で上から押さえつけて、それで手に入るものなんてたかが知れてるわよ」

マルガレーテ「『歌が好きならその力を信じろ』か…あの時の言葉が今になって浮かんでくるとはね。だけど、嫌な気分はしないわ」

マルガレーテ「やってやろうじゃない。どんな風にだって負けずに羽ばたいてやる…それが本当の歌を目指す私の決意よ」

ボウフーン「ははっ、吠えてろ吠えてろ」

マルガレーテ「歌で、ダンスで止められるか…だったかしら?」

マルガレーテ「止めて見せるわよ。歌とダンスだけは私は誰にも負けないんだから!」

タンッ!

瑠璃乃(マルガレーテちゃんが…風に飛ばされる…ううん、これは)

瑠璃乃(自分から飛んだ?てか、これって)

58: 2024/11/15(金) 20:24:07 ID:???Sp
マルガレーテ「…出たわよ、風の……外へ!」

瑠璃乃「この強風の中で、風の範囲外へ…飛んだ?」

慈「なにその動き?梢じゃあるまいし、どんだけ足腰鍛えてるのよ」

瑠璃乃(マルガレーテちゃんはそのまま駆け出す)

瑠璃乃(さっきの飛び方もそうだけど、こんな状況でさえ一つ一つの動きがまったく乱れずに洗練されてる…綴理パイセンともいい勝負だ)

マルガレーテ「あんたが馬鹿にしたスクールアイドルの恐ろしさ、見せてやるわ!」

マルガレーテ「さあ、私を捉えてみなさい!できるものならね!)

瑠璃乃(走って、飛んでそれなのに息も乱さずにマルガレーテちゃんはしゃべって…いや、"歌って"いた)

瑠璃乃(辺りはそれなりに音もしてるのに、はっきりとまるで詩を読むような余裕ささえある声が聞こえる)

59: 2024/11/15(金) 20:25:28 ID:???Sp
ボウフーン「無駄だぜ。俺様がちょっと方向転換すりゃよ」

プオオオオオオオオオン!

瑠璃乃(扇風機が首を振るかのごとく、風の範囲がマルガレーテちゃんの方へ向くが)

ボウフーン「…いない…だと?」

マルガレーテ「あら?遅いわよ!あくびが出るくらい退屈!」

ライデーン「そうか、こいつ!」

瑠璃乃(マルガレーテちゃんの走った先には何層にも重なった鉄の兵隊がいたはず…ということは)

ガシャン……!

瑠璃乃(鉄の兵隊達の一角で何体かが崩れた)

ボウフーン「そこかあああ!」

60: 2024/11/15(金) 20:26:01 ID:???Sp
瑠璃乃(ボウフーンが即座にそっちに振り向く、当然その一角を強風が襲う…でも)

瑠璃乃「誰も…いない?」

瑠璃乃(その方向にいた哀れな兵隊が風に吹き飛ばされただけ)

マルガレーテ「どうしたの?そんなに私の姿を見たいのかしら?」

マルガレーテ「じゃあ、見せてあげるわよ!あなたを観客に私のパフォーマンスを」

ボウフーン「てめええ!」

瑠璃乃(まるで飛び回る蝶と追いかける子供みたいなやりとりが続いて)

マルガレーテ「もういいわ。そろそろフィナーレにしましょう」

61: 2024/11/15(金) 20:26:38 ID:???Sp
瑠璃乃(マルガレーテちゃんがボウフーンに向けて駆け出す)

瑠璃乃(手に何か持ってるっぽい…さっき鉄の兵士から拝借したパーツかな)

ボウフーン「この…やろおおおおお!」

プオオオオオオオオオン!

瑠璃乃(ボウフーンが振り向いて、風がマルガレーテちゃんへと襲いかかる)

マルガレーテ「あら?いい風が吹いてるじゃないの」

マルガレーテ「ま、このくらいじゃなきゃ…やりがいもないわね!」

マルガレーテ「ねえ?ボウフーン、とか言ったかしら?」

ボウフーン「ああん?」

マルガレーテ「私ね、小さい頃から歌とダンスばかりやってきた…だから自信があるの」

62: 2024/11/15(金) 20:27:57 ID:???Sp
マルガレーテ「私の声と動きは、絶対に見たものを釘付けにできるんだって」

ボウフーン「何が言いたい?」

マルガレーテ「……あなたももう、私の観客ってことよ」

マルガレーテ「四季先輩!もうあなたたちに風は吹いてない!だから…」

マルガレーテ「空けてやりなさい!歌とダンスを愚弄して、4人相手であることも忘れて、私一人しか見えなくなったこの大馬鹿に、でっかい風穴を!」

ボウフーン「!」

四季「言われるまでもなく、了解」

63: 2024/11/15(金) 20:28:55 ID:???Sp
瑠璃乃(四季さんが何かを投げる)

瑠璃乃(マルガレーテちゃんひとりを狙ったせいで、もう風はルリたちの方には向いてない)

瑠璃乃(だから投げたものはボウフーンめがけて飛んでいき)

ガコッ…

瑠璃乃(ぶっかった…それから少しして)

バララ…ガガガッ…

ガガガ…ガキッ、ガキッ!

ボウフーン「あ゛っ!?なんだぁ?この音」

64: 2024/11/15(金) 20:29:41 ID:???Sp
瑠璃乃(ボウフーンの体からする異音…そして)

バゴっ!

慈「穴が、空いた!?」

瑠璃乃(ボウフーンの体を突き破って現れたのは)

瑠璃乃「…穴掘りマシーン?」

四季「Exactly…地下道を掘るときに使ったものだよ。その削岩能力は地下道を通ってきた二人にもわかるよね」

ボウフーン「しまった…」

ガコン…

瑠璃乃(機体に穴が空いたプロペラ機がどうなるか、いわずもがなだろう)

瑠璃乃(墜落だ…無惨にも)

65: 2024/11/15(金) 20:39:38 ID:???Sp
ボウフーン「相棒すまねえ…油断した」

四季「コンクリートも掘り進む穴掘りマシーンの味はどうだった?聞くまでもないだろうけど」

ボウフーン「最悪だぜ…」

ボウフーン「ははっ…俺としたことが」

ボウフーン「声と動きで意識を持っていかれた…なんでなんだろうな…くそっ」

マルガレーテ「当たり前でしょ。歌とダンスで心を掴む、それがステージという場での私たちの戦い」

マルガレーテ「あなたはスクールアイドルを侮った、そして…スクールアイドルに負けたの」

マルガレーテ「いつぞやの、私みたいにね」

ボウフーン「…なるほどな。油断じゃねえ…負けるべくしての負けだってわけか」

66: 2024/11/15(金) 20:43:02 ID:???Sp
ボウフーン「…なあ、相棒」

ライデーン「……なんだい?」

ボウフーン「もうすぐ俺は終わる…その後の鉄屑は好きに使ってくれ」

ボウフーン「ったく、とんだスクールアイドルがいたもんだ…冥土の土産に名前くらいは聞いてやるよ」

マルガレーテ「ウィーン・マルガレーテ、蝶の羽がもがれようと、まばゆい宝石を砕かれようと、何度だってステージに立ち…」

マルガレーテ「ただひたすらに本当の歌を追い求める"スクールアイドル"よ」

ボウフーン「そうか…その名前…忘れねぇ…ぜ」

ゴトン……

瑠璃乃(あまりにもあっけなく、四天王の風担当は戦線を離脱した)

67: 2024/11/15(金) 20:44:22 ID:???Sp
慈「とりあえず1体撃破ってことかな」

ライデーン「ふふ…ふふっ」

マルガレーテ「片割れがやられたのにその反応?」

ライデーン「ふふっ、たしかにやられちゃった…でもね」

ライデーン「大した問題じゃないんだよ…だって」

ガシャ…

瑠璃乃(聞き慣れた音がさっき倒されたばかりのボウフーンから聞こえる)

ライデーン「ボクの兵隊としてはまだ使えるからね」

四季「兵隊…使う…か」

四季「悲しむとか怒るとかするかと思ったら、そういうこと」

68: 2024/11/15(金) 20:46:13 ID:???Sp
四季「確信した。あなたは絶対に勝てないよ」

四季「意志なき兵隊をどれだけ操ろうと、私たちには勝てない」

ライデーン「ふーん、キミはもっと理論的な人なのかと思ったら、意外と感情で動くんだね」

四季「感情を甘くみないほうがいい」

四季「もっとも、あなたたちに感情と呼べるものがあるかは疑問だけどね」

ライデーン「やけに威勢がいいじゃないか」

だけどね!

ガシャン!

瑠璃乃(もはや金属の塊になったボウフーンが機首を上げる)

69: 2024/11/15(金) 20:46:59 ID:???Sp
ライデーン「4人まとめて、さよならだよ」


バチッ…バチッ


瑠璃乃(穴だらけのボウフーンが…飛んだ…いや、浮いた)

瑠璃乃(それだけじゃない。周りを取り囲んでいた鉄の兵隊も塊になって浮かんでいた)

瑠璃乃「いたっ!…あれ?」

瑠璃乃(頭に痛みを感じて反射的に触ると、ヘアピンが無くなってた)

ライデーン「さてと、実はさ…キミたちには感謝してるんだよね」

70: 2024/11/15(金) 20:48:39 ID:???00
ライデーン「あいつの前ではこれはできなかったからさ」


…………ドガアアアアアアアアアアン!


瑠璃乃「………?」

瑠璃乃(衝突音が近くでして、何が起こったかわからずにその方向を見る)

シュウウウウウウ…

瑠璃乃(鉄の塊が床にめり込んでいた)

四季「レールガン…」

ライデーン「正解さ!まったく、あいつにも困ったもんさ。弾を風で飛ばす?そんなの何世紀前の発想だよ」

ライデーン「もっと早くて速くてカッコいいやり方があるのにさ!つまんねーやつ!」

71: 2024/11/15(金) 20:51:11 ID:???Sp
四季「やっぱり、そうか」

四季「不思議だったんだよ。単調な動きとはいえこんなに兵隊がいるならさ…物量で押し切ることもできた」

四季「でも、できなかった。違う?」

ライデーン「磁力で動いてる兵隊が近くに行ったらさ、動きにくいんだって」

ライデーン「ま、確かに向こうからしたら自分を引っ張るどころか、下手したらくっついてくるかもしれないもんね」

ライデーン「だけどさ、そんなあいつも今やただの鉄屑だ」

慈「えっと…その」

72: 2024/11/15(金) 20:52:09 ID:???Sp
ライデーン「そんなに飛びたかったなら飛ばしてやるよ」

ライデーン「特大の弾丸としてね!」

ググッ…

ライデーン「まずはキミに果敢にも立ち向かった子へリベンジをさせてあげよう!」

ゴキッ…

瑠璃乃(それは一瞬だった)

瑠璃乃(マルガレーテちゃんの立っていたところにボウフーンだったものが生えていた)

瑠璃乃「マルガレーテちゃああああああん!」

73: 2024/11/15(金) 20:52:42 ID:???Sp
マルガレーテ「うっさいわね…」

瑠璃乃「…あ」

瑠璃乃(マルガレーテちゃんはきちんと避けていた)

瑠璃乃(すげー反射神経、ていうか本当にルリと同い年なのかこの子)

マルガレーテ「ご丁寧に狙いを教えてくれたおかげで間に合ったわ」

ライデーン「あれを避けたか。素晴らしい!だけど予想通りだよ」

ヒューン

マルガレーテ「ぐあっ!!?」

瑠璃乃(浮いていた鉄の塊が、地面に刺さっているボウフーンに向かって飛んでくる)

瑠璃乃(そんで、マルガレーテちゃんを巻き込みながら大きくなっていく)

74: 2024/11/15(金) 20:53:46 ID:???Sp
ライデーン「言ったろ?特大の弾丸にして飛ばすって」

ライデーン「どうせだから…」

四季「きゃっ!」

瑠璃乃(四季さんも…)

慈「なんなの、これ…うわっ!」

瑠璃乃(めぐちゃんも…そして)

瑠璃乃「しま…った…」

瑠璃乃(ルリも巻き込んで鉄の塊はでっかくなっていく)

75: 2024/11/15(金) 20:54:51 ID:???Sp
ライデーン「さーてと」

バチッ….バチッ…

ライデーン「じゃあ、お待ちかねの」

ライデーン「はっしゃああああ!!!」

バシュン…

ヒューーーッ

瑠璃乃(風を切る音が聞こえる)

瑠璃乃(多分、ルリたちを巻き込んだ鉄の塊が撃ち出されたんだろう)

76: 2024/11/15(金) 20:55:30 ID:???Sp
璃奈(…などと余裕をかましてられんな…これは)

ガシャアアアアアアアン!!

瑠璃乃「げふっ」

瑠璃乃(レールガンってのはマジに速いらしい)

瑠璃乃(想像の何倍も早く訪れた…地面とのご挨拶)

瑠璃乃(鉄の塊が地面に激突した衝撃が体を突き抜ける)

四季「みんな…生きてる?」

慈「なん…とか…へへ、ラッキー」

マルガレーテ「あまり状況はよくなさそうよ。周りを見なさい」

慈「周り?」

77: 2024/11/15(金) 20:57:36 ID:???Sp
瑠璃乃(ルリたちのまわりには壁、壁、壁…そして)

ガシャ…ガシャ

瑠璃乃(ルリたちを飛ばしてきた鉄の塊を構成してたガラクタが、また兵隊の形を取ろうとしてた)

慈「ここって、会場の周りの迷路だよね?」

瑠璃乃「迷路まで逆戻りってこと?」

マルガレーテ「しかも、鉄の兵隊たちのおまけ付きね」

瑠璃乃(いや、それだけじゃない)

ゴゴゴゴゴ…

瑠璃乃「あれ?壁が…」

慈「動いてる?」

78: 2024/11/15(金) 20:58:20 ID:???Sp
マルガレーテ「これ、壁じゃないわ。よく見たら小さい金属が集まってる」

瑠璃乃「壁が動く迷路?そんなのクリア不可じゃん!」

マルガレーテ「クリア不可なだけならまだいいわよ…恐らく本当の目的は」

慈「壁…こっちに来てない?」

マルガレーテ「そうね、壁で潰すのが手っ取り早いもの」

四季「なるほど、どういう経緯でこんな迷路が現れたのかわかったよ」


『そうさ、この迷宮はボクが作ったんだ』

『ま、これも作ったっきりで今までは動かせなかったんだけどね…磁力がどうのであいつがうるさくてさ』

79: 2024/11/15(金) 22:05:09 ID:???Sp
瑠璃乃「ライ…デーン」

慈「どこにいるの!?出てきなさいよ卑怯者!」

『出ていくわけないじゃん』

『このまま隠れてればボクの勝ちなんだから』

ゴゴゴゴゴ…

ガシャ…ガシャ…

瑠璃乃(迫ってくる壁、逃げ道を塞ぐ鉄の兵士たち)

80: 2024/11/15(金) 22:05:55 ID:???Sp
『最初からボクひとりで充分だったんだよ』

『あんなのと組んだせいで余計な手間がかかっちゃった』

瑠璃乃(こいつは絶対絶命ですってやつだ)

マルガレーテ「ふふっ…」

『何がおかしいんだい?』

マルガレーテ「ごめんなさい。別にあなたを笑ったわけじゃないの」

マルガレーテ「幸運ついでのきまぐれで思いつきとはいえ、私はやっぱりすごいなって思ったの」

81: 2024/11/15(金) 22:06:30 ID:???Sp
マルガレーテ「慈!瑠璃乃!ちゃんと受け取りなさい!」

瑠璃乃(マルガレーテちゃんがルリとめぐちゃんに何かを投げた)

慈「へ?わっ、ととっ!」

瑠璃乃「ギ…ギリギリ…キャッチ…ってこれ!」

慈「マイク!?なんでこれをマルガレーテちゃんが」

マルガレーテ「ボウフーンの奴を倒す途中で見つけたのよ。あなたたちには大事なものみたいだし取り戻しておいたわ」

瑠璃乃(あ、最後ボウフーンに向かって走ってた時に持ってたのこれか…)

82: 2024/11/15(金) 22:06:58 ID:???Sp
マルガレーテ「…これがあれば、勝てるんでしょ?」

マルガレーテ「私はこれから本気でスクールアイドルをやる。もう何も恐れない…だから」

マルガレーテ「ちゃんとあなたたちも見せてよね。あなたたちの本気ってのを」

慈「なにを言い出すかと思えば…」

瑠璃乃「そうだね。言われるまでもなく、みらくらぱーく!はいつだって本気だよ」

慈「本気で楽しんで、本気で遊んで」

瑠璃乃「本気で世界中を笑顔にしてみせる」

慈&瑠璃乃「「それが、みらくらぱーく!だ」」

83: 2024/11/15(金) 22:07:32 ID:???Sp
マルガレーテ「……」

マルガレーテ「……ふふっ、なによそれっ…そんなのアリ?」

マルガレーテ「…本気で楽しんで、遊んで、世界中を笑顔にか」

マルガレーテ「ま、そうね。それも一つの道ってことかしら」

『笑顔なところ悪いんだけどさ…』

『ラップなんて無理だよ』

ゴゴゴゴゴ…

ガシャ…ガシャ…

瑠璃乃(壁も、兵隊も、もう目の前…10秒もすれば…終わり)

84: 2024/11/15(金) 22:09:28 ID:???Sp
慈「くっ…このままじゃ」

瑠璃乃「時間が…ない」

四季「いいや、あるよ…私が作るから」

バチバチバチバチ!

瑠璃乃(四季さんの言葉とともに何かが弾ける音がした)

四季「まさか…これをこんな形で使うなんて思わなかった」

瑠璃乃(四季さんが取り出したのは…多分、足に取り付ける器具)

瑠璃乃(近づいてくる壁と兵士が、ルリたちから一定の距離で動きを止めた)

『な、なんだ…ボクの力が…』

『なんなんだよ!それ!』

85: 2024/11/15(金) 22:11:39 ID:???Sp
四季「ああ、これ?ずいぶん前…私が結ヶ丘に入学してすぐだったかな?一度だけ使ったものだよ」

四季「もともとは装着者の足の動きをブロックして強制的に動かす装置なんだけど」

四季「足を動かすってのは、脳からの電気信号で筋肉を収縮させてるわけだ…つまり、こいつには一定範囲内への電気信号をブロックする機能がある」

瑠璃乃「まさか…」

四季「そう、擬似的に暴走させて、その範囲を拡大した…パーツの許容範囲なんか余裕で超える負荷がかかるから、じきに壊れてもう使い物にはならなくなるだろうけど」

四季「でも、まあ…もうこれを使うことはないよ」

四季「こんなもので足を動かさなくても、自分でちゃんと歩けるから…私たちは」

バチ…バチ…

瑠璃乃(そこで気づいた、四季さんの様子がおかしい)

86: 2024/11/15(金) 22:12:58 ID:???Sp
マルガレーテ「四季先輩、体が…」

瑠璃乃(必氏に耐えているみたいだけど、痙攣してる…)

四季「あ…ああ…これかい?」

四季「さっき言ったけどっ……これは強制的にっ…足を動かす…だからっ…」

四季「外部からの電気信号を遮断…するのと…別に…装着者の筋肉に…電気信号を送…る機能…」

四季「ど…どうやら…そっちも……暴走…」

マルガレーテ「なによそれ…呼吸とかも筋肉の動きなんでしょ?つまり今…四季先輩の体は…」

四季「危ない……ね……」

87: 2024/11/15(金) 22:13:55 ID:???Sp
慈「るりちゃん!」ヒューン

瑠璃乃「ああ…超速でかたをつけてやるよ!」ヒューン

「「これが、みらくらの本気だあああああ!!!」」

88: 2024/11/15(金) 22:14:32 ID:???Sp
【瑠璃乃】
マジマジ参るぜ超絶逆境
だが心配などもうせずヒャッホウ
古今東西エブリデイ不敗
みらくらぱーく!を知ってるかい?

【慈】
うぞーもむぞーも問答無用
兵、塀、まとめてぶち抜くよー
強ーきフロウで無双出動
道は己で切り開く!YOU KNOW(有能)!

https://suno.com/song/ece1f448-435d-46b7-8008-cb0e8df078e6

89: 2024/11/15(金) 22:15:59 ID:???Sp
瑠璃乃(ルリとめぐちゃん、二人のパワーが掛け合わされて、何倍にも増幅するのを感じる)

瑠璃乃「しゃあ!撃つぜエエエ!!」


『おいおい、ボクがどこにいるかもわからないのにかい?』


瑠璃乃「距離も方向も…関係ない!」

慈「みらくらのパワーなめんな!」

キュウウウウウウウウウウン!!!

瑠璃乃(増幅し続けた力をぶち込む!群がる兵隊とうざったい迷宮のすべてに)

90: 2024/11/15(金) 22:17:26 ID:???Sp
瑠璃乃「いくっぜええええ!」

慈「ぶちかましてやろうじゃんか!!」

瑠璃乃「これが、ウチらの」

慈「必殺!」

瑠璃乃&慈「「みらくらバスターーーーーっっ!!!!!」」

瑠璃乃(声と同時に二人で腕を突き出す!すると…)


ズオオオオオオオオオオオオ!!


瑠璃乃(轟音と共にピンクと白の光が渦を巻いて疾走していく)

91: 2024/11/15(金) 22:18:28 ID:???Sp
瑠璃乃「うおおおおお!!」

慈「まだまだいっくよおおお!!」

瑠璃乃(みらくらバスターを放射したまま、体を回す!)

瑠璃乃「どこにいるかわからないなら!」

慈「全部まとめてふっとばあああああす!」

瑠璃乃&慈「名付けて…みらくら!ローリングバスターーぁぁ!!!」

ゴオオオオオオオオオオオ!!

四季「…おお、これなら」

マルガレーテ「って!これ私たちも突っ立ってたら巻き込まれるじゃない!」

92: 2024/11/15(金) 22:19:01 ID:???Sp
瑠璃乃(そーんな感じで必殺みらくらローリングバスター!は迷宮の壁も兵隊さんも飲み込んでいき)

瑠璃乃(すべて跡形もなく消え、何も後には残らないのだった)

瑠璃乃(あ、いや…さすがにライブ会場までは消してないけどね)

瑠璃乃(ちょっち消さなくていいものも巻き添えにはなったかもだが、ライブ開催には影響ない…はず)

瑠璃乃「ははっ…見たか」

慈「これが…みらくらぱーく!の本気だ」

四季「………Oh」

マルガレーテ「……ラップって、すごいのね」

93: 2024/11/15(金) 22:20:39 ID:???Sp
瑠璃乃「これで、ライブできるね」

慈「あー、もう!マジで最高のライブにしなかったら許さないからなー」

四季「ありがとう。ここから先は私たちLiella!に任せて」

マルガレーテ「まずは、捕まってるかのん先輩たちを探さないとね」

四季「ああ…でもほっとしたら疲れが」

マルガレーテ「そうね…」

瑠璃乃「あ!そうだ…ラップで回復すれば」

四季「??」

94: 2024/11/15(金) 22:21:14 ID:???Sp
慈「そうか、最初にやったときに私もるりちゃんも元気いっぱいになったからね」

四季「回復もできるとは恐れ入った」

瑠璃乃「てか、ルリとしては攻撃とかあんまし得意ではないというか」

慈「みんなをハッピーにするみらくらぱーく!らしいよね。うんうん」

マルガレーテ「あんな破壊力見せといてそれを言うのね」

95: 2024/11/15(金) 22:29:14 ID:???Sp
みらくらぱーく!③-4藤島慈
~白くてかわいい勇者になれ
 世界中の笑顔に出会える日まで~

慈(ラップで回復をした後、私たちは急いで会場に戻って捕まっている人たちを助けに行った)

慈(司令をしていたライデーンを倒したおかげであれだけいた鉄の兵隊はぴくりともせず、救助は思ったよりも簡単だった)

慈(もちろん、Liella!のメンバーは全員無事だった)

96: 2024/11/15(金) 22:30:10 ID:???Sp
かのん「ごめ゛え゛え゛え゛ん゛」

マルガレーテ「ちょっと!いきなり泣き出さないで」

がのん「だって、だって、私Liella!のリーダーなのに!なんの役にも立てなくて!リーダーなのに゛い゛い゛」

かのん「だがら゛、ごめ゛え゛え゛え゛ん゛」

すみれ「リーダーだってなら、もっとシャキッとなさい」

可可「あっけなく最初につかまったすみれみたいにデスカ?」

すみれ「そんな過去をいちいち持ちだすな!」

恋「過去と言うほど昔のことではないのでは」

かのん「ごめ゛え゛え゛え゛ん゛、す゛み゛れ゛ち゛ゃ゛が捕゛ま゛っ゛た゛時゛舌゛打ちしたの゛わだじいいい!」

千砂都「ははは…これからは気をつけようね。かのんちゃん」

97: 2024/11/15(金) 22:30:59 ID:???Sp
千砂都「協力してくれてありがとう慈ちゃん、瑠璃乃ちゃん…部長としてお礼を言わせてほしい」

慈「そんな、協力してもらったのはこっちだよ…って、そっちの方が上級生か」

慈「…ありがとうごさいます。四季ちゃんとマルガレーテちゃんがいなかったら私たちは生きていたかも怪しいです」

千砂都「敬語とかいいよ。3年生に見えないってよく言われるし」

冬毬「マルガレーテ…よくぞ戻りました」

マルガレーテ「ごめん遅くなった。ひどいことされなかった?」

冬毬「あ、はい…あくまでも紳士的に制圧するのがポリシーとかで」

マルガレーテ「ついてないわよね。Liella!が11人になって初めての大きなライブなのにこんなハプニングなんて」

98: 2024/11/15(金) 22:32:15 ID:???Sp
冬毬「それでも不安はありませんでした。必ずマルガレーテが四季先輩とともに解決してくれると確信していましたから」

冬毬「エビデンスなどないのに、不思議です」

マルガレーテ「ありがとう。信じてくれて」

夏美「まっ、ある意味あなたの往生際の悪さは身をもって知ってましたので、やられるなんて想定は微塵もありませんでしたの」

夏美「うちの四季もついてましたから尚更!」

冬毬「そうでしたか?姉者はかなり取り乱してましたが」

四季「へー、そうなんだ。全然意外でもないけど」

きな子「隣であわあわしてる夏美ちゃんを見せてあげたかったっすよ」

99: 2024/11/15(金) 22:33:16 ID:???Sp
きな子「あとあと、聞いたっすよー!土壇場で役に立ったのがきな子に使った"あれ"だって」

きな子「懐かしいっすね…当時はまだきな子も若く…」

メイ「懐かしんでる場合じゃないだろ。ライブ、ちゃんといけるんだろうな」

四季「うん、機材の復旧も順調だし…客の再入場も問題ないはず」

メイ「いや…えっと、そういうことじゃなく」

四季「???」

メイ「お前のことだよ。また無茶したんだろ?ケガとか、疲れてたりとかさ」

四季「…!」

四季「ふふっ、そっちは心配ないどころかいつも以上に好調だよ」

100: 2024/11/15(金) 22:33:58 ID:???Sp
四季「だって…メイとライブができるだけで私はいつも以上に元気になれるんだから」

メイ「は…!?お前いきなりなにぶちかましてんだ!」

瑠璃乃「ふーん」ニヤニヤ

慈悲「なるほど、なるほど」ニヤニヤ

メイ「おい!何見てんだ!見せもんじゃねぇぞ!」

四季「メイちゃんかわいいね~」

メイ「誰のせいだと思ってんだよ!」

瑠璃乃「そっかそっか、素直になれない子…か」

慈「ヒューヒュー、お熱いね」

メイ「う、うわわ!四季、こいつらに何吹き込んだ!」

101: 2024/11/16(土) 07:20:04 ID:???00
マルガレーテ「…可可先輩、恋先輩」

可可「なんデショウ?」

マルガレーテ「いろいろあったけど、私はここに辿り着いた。あなたたちと共に新たな一歩を踏み出すために」

マルガレーテ「だから、付き合ってもらうわよ。私のすべてをかけたステージに」

マルガレーテ「特にKALEIDOSCOREの二人にはね」

可可「ちょっと見ない間に、ずいぶんといい顔するようになりマシタね…マルマル」

恋「望むところです。いさかいを乗り越えた強敵どうしが手を繋いで絆を結んだ、わたくしたちKALEIDOSCOREの覚悟を皆さんへお見せしましょう」

102: 2024/11/16(土) 07:20:57 ID:???00
マルガレーテ「慈!瑠璃乃!」

慈「は、はいっ!」

瑠璃乃「いきなりで驚いたんだが」

慈(まあ…顔を真っ赤にしながら叫ぶメイちゃんをこれ以上追い詰めるのもあれっちゃあれだよね)

マルガレーテ「ここまでの手助け感謝するわ。だから次は私たちがあなたたちを手助けする番」

マルガレーテ「『心を一つにして歌えば鍵が出る』だったかしら?私たちに任せなさい」

103: 2024/11/16(土) 07:21:38 ID:???00
かのん「そうだね。11人になったLiella!のステージならあっという間にみんなの心が一つになる」

可可「すなわち、無敵デス」

千砂都「できれば最後まで見ていってほしいんだけどね」

すみれ「鍵を手に入れた後もやることがあるんだっけ?ま、あなたたちなら楽勝でしょ」

恋「今日は無理でもまたいつか、わたくしたちのライブをじっくりと堪能いただけることを祈っています」

104: 2024/11/16(土) 07:22:46 ID:???00
きな子「二人には恩があるっす。特別席を用意するっすよ」

メイ「特別席で見るLiella!のライブかぁ…すげーんだろうな」

四季「…メイはすごくする側なんだけど」

夏美「そういうことですので。また、お互い元気な姿で会いましょう…約束ですわ」

冬毬「機会が合えば、あなたたちのライブにもうかがいます」

マルガレーテ「じゃあ…かのん先輩!いつものを」

105: 2024/11/16(土) 08:38:51 ID:???00
かのん「オッケー!」

かのん「色々あったけど、ついにライブ開催!こっから私たちがやることは一つ!」

かのん「来てくれた人に私たちの全力をぶつけるよ!」

かのん「ソング・フォー・ミー!ソング・フォー・ユー!」




11人「ソング・フォー・オール!!!!!!!!!!!」

106: 2024/11/16(土) 08:39:57 ID:???00
ザワザワザワザワ…

慈(長い試練を超えて…ライブ開催…)

慈(私たちは舞台袖で鍵の出現を待つことになった)

慈(開始前に流れる曲にあわせてお客さんたちのコールが聞こえてくる)

瑠璃乃「め…めぐちゃん…」

慈「んー、なに?」

瑠璃乃「ルリ…なんでかわかんねーが緊張してきた。ルリたちがライブするわけじゃないのに」

慈「あー、職業病みたいなもんだね。かくいう私もお客さんの様子が気になってしょうがないよ」

107: 2024/11/16(土) 08:41:18 ID:???00
スタッフ「いやいや難儀なもんだねぃ」

瑠璃乃「あ、どもど…も?」

慈「……」

スタッフ「キミらもスクールアイドルなんだろ?…っとと、そろそろ持ち場に戻らないとだ」

スタッフ「まあ、こうして道が交わったのも縁というやつだ!精進したまえよ!がっはっは」


瑠璃乃「なーんか、見覚えのある」

慈「ちっこいスタッフさんだったね」

108: 2024/11/16(土) 08:47:48 ID:???00
パンッ…

慈(会場が暗転した…ということは…)

ウオオオオオオオオオオオ!

慈(音楽に合わせて映し出される映像…ところどころで聞こえる拍手と歓声…メンバー紹介がはじまって一斉に変わるブレード)

瑠璃乃「ルリたちのとおんなじだ…」

慈「うん、そうだね…」

慈(メンバー紹介も終わって、暗がりの中…みんなが息を呑んでステージを見つめる…)

慈(そして、最初の曲がはじま)

グララララ…

瑠璃乃「会場が…揺れてる?」

109: 2024/11/16(土) 08:53:13 ID:???00
慈「地震!?」

かのん「みんな!慌てないで!頭を守って伏せて!」


『あははは!残念でしたーー!』


瑠璃乃「この声、まさか…」

慈「ライデーン?倒せてなかったの?」


『はいはーい!みなさんご清聴を』

『えー、会場封鎖を乗り越えてようやく開催したライブですが、ここでおしまいです』

110: 2024/11/16(土) 08:53:47 ID:???00
『なぜって…』

ヒューン…

ガスッ!

瑠璃乃「ひっ!」

慈(るりちゃんの目の前にステージの飾りが飛んできた)

『みーんな氏んじゃうからです。あははは!』

慈「おい!るりちゃんになにするんだ!」

ヒューン!

慈「うわっ!」

ヒューーーン!

112: 2024/11/16(土) 09:00:55 ID:???00

慈(いろんなものがギリギリをかすめて飛んでくる…これ私たちの反応を楽しんでる…遊ばれてる)

慈「こんなの…もしもお客さんに当たったら」



四季「ふう…やっぱりか」

四季「だったらこっちにも考えがある」ポチッ

バチッ!

慈(四季ちゃんがステージ衣装から何やらスイッチを取り出して押すと大きな音がして、飛び交っていたものが落ちていく)

113: 2024/11/16(土) 10:37:15 ID:???00
四季「ごめん、ちょっと外す…」

メイ「おい!四季」

瑠璃乃「四季さん!」

慈(四季ちゃんがこっちへ走ってくる)

慈「四季ちゃん!これは…」

四季「倒せていなかったって展開もありえたから。急ごしらえだけど作っておいた」

四季「ステージと客席を中心とした範囲への電気信号を遮断する仕組みをね」

114: 2024/11/16(土) 10:37:58 ID:???00
瑠璃乃「あの…そんなことしたらライブなんてまともにできなくないですか?」

四季「そうだね。いきなりの機材トラブルに配信で見てる人たちは非難轟轟だと思う」

ザワザワザワザワ…

四季「そして、会場もね」

マルガレーテ「まったく…いきなり舞台袖にはけたから何かと思えば」

慈「お、マルガレーテちゃんもきたか」

マルガレーテ「すぐにステージに戻るけどね。で、四季先輩はこの二人に何か用があるってことかしら?」

115: 2024/11/16(土) 10:38:44 ID:???00
四季「二人に頼みたいことがある」

四季「私たちはここで時間を稼ぐ、その間にあいつと戦ってほしい」

慈「いや、あいつがどこにいるのかもわからないし」

瑠璃乃「あいつを探して倒すのにどれだけかかるか」

四季「いや、探す必要はないよ」

四季「そうでしょ?聞こえると思うけど」

『へー、気づいたんだ』

慈「え…なんで?」

瑠璃乃「会話できてんの?」

116: 2024/11/16(土) 10:39:35 ID:???00
四季「…ずっと誤解してたんだ」

四季「敵は私たちに見つからないように隠れながら鉄の兵隊を操ってたんだって」

四季「もう片方と対になってるって先入観もあったし、一度姿を現したから余計に、騙されてしまった」

瑠璃乃「どういうこと?」

四季「ずっと私たちは目にしていたんだよ。敵の姿を」

四季「そして、目にできなかったとも言える」

慈「ああもう!ちんぷんかんぷんだよ!ちゃっちゃと答えを言って」

『言ってあげなよ。答え合わせをされたところでボクは困らないからさ』

117: 2024/11/16(土) 10:41:03 ID:???00
四季「ライデーン…その正体は、金属に取り憑いて操るエネルギーそのもの」

四季「そして、こいつは部分的に色んなものに取り憑きながら、恐らくは一貫してある物を根城にしていた。それは」

四季「………この会場」

瑠璃乃「…え?」

四季「この会場を起点として一部分が物から物に取り憑いたり、集合したり、操ったりしてたんだ」

『正解。よくわかったね』

四季「ここまでの状況を総合したら推測できる内容はだいぶ絞られる」

四季「だけど何より、あなたみたいな狡猾なのがライブを阻止するならと考えたのが大きい」

118: 2024/11/16(土) 10:42:08 ID:???00
マルガレーテ「会場をさっきみたいに消し飛ばすわけにもいかない…そちらは邪魔し放題…今は干渉を防げてるけどまともにライブもできない」

マルガレーテ「たしかに、普通に考えれば状況はよくないわね」

四季「いいや。これでいいんだ」

『おや?なんか考え…

四季「はい、よっと」ポチッ

バチッ

慈(四季ちゃんがスイッチを押すとライデーンの声が途切れた)

四季「よし、うるさいのが黙った」

瑠璃乃「あの、まさか…ステージと客席周辺以外にも?」

四季「ちょっと時間もあったからね。色々仕込ませてもらった」

119: 2024/11/16(土) 10:42:50 ID:???00
慈(色々…あいかわらずこの子はさらっととんでもないことを言う)

慈(世界って広いんだな…と改めて思うめぐちゃんであった)

四季「慈ちゃん、瑠璃乃ちゃん、ちょっと至急で外へ出てほしい」

慈「外へ?なんで」

四季「んー、ここから学校へ掘り進めなかった話はしたよね」

瑠璃乃「あー、そういやはい」

四季「みんなを助け出した後にその逆はどうなのかって試したんだ」

慈「逆というと?」

120: 2024/11/16(土) 10:43:20 ID:???00
四季「学校からこっちに来るのは可能なのかなって…スマホでポチッと呼び出してみたんだ」

四季「今みたいな状況になった時に、打開できるかもしれない秘密兵器を」

瑠璃乃「なるほどなるほど、ルリたちは外に出てその秘密兵器を受け取ればいいんですね」

瑠璃乃「…あのー?その秘密兵器というのは」

マルガレーテ「そうね。ちゃんと説明しないと受け取るとかできないわよ?秘密兵器って何よ」

四季「マルガレーテちゃんも知ってる子だよ。結ヶ丘を守ってくれている」

マルガレーテ「…あれを呼んだの?」

マルガレーテ「…まあ、あれなら説明とか不要ね。そういう次元じゃないし」

121: 2024/11/16(土) 10:44:01 ID:???00
慈「そこ!身内だけで納得するな」

四季「見ればわかるよ。心配しないで」

四季「あと念の為これ持って行って。私のスマホ」

瑠璃乃「なんでスマホを?」

四季「やりたいことがある。そのために持っていてほしい」

慈「…聞くまでもないかもしれないけど、四季ちゃんはこれからどうするの?」

四季「答えるまでもないけど、できることをやってお客さんを全力で楽しませるよ。だってこれはLiella!のライブだから」

122: 2024/11/16(土) 10:44:40 ID:???00
マルガレーテ「何をするかなんて考えてないけど、私たちのステージを後悔で終わらせるなんてさせないわ」

四季「そういうこと」

マルガレーテ「じゃあ!そっちはまかせたわよ!」

慈(四季ちゃんとマルガレーテちゃんがステージへ戻っていく)

慈「行こうるりちゃん!」

瑠璃乃「うん、みらくらぱーく!とLiella!の共同戦線第二ラウンド、やってやろうじゃん」

123: 2024/11/16(土) 21:57:04 ID:???Sp
慈(外までの道は…誰もいなかった)

慈(まあ、ここはあくまでもハリハリメッセなる施設で元ネタのイベントが全部こっちでもやってる訳でもないのかな)

慈「さーて、四季ちゃんが呼び寄せた秘密兵器ってのはどこだ?」

瑠璃乃「おーい、でてこいやー」

慈「ルリちゃん…呼んだって答えないよ」

がおおおおおおおおお!

慈「…………」

瑠璃乃「なんだなんだ!答えたよ!?」

124: 2024/11/16(土) 21:57:44 ID:???Sp
慈「あっちから聞こえたよ…ね?」

慈(声のした方を見て固まった)

瑠璃乃「………」

慈(いや誰だって固まるよ)

慈「なんじゃありゃあああ!?」

慈(そこにいたのは…白くででっかい…でっかいが…おおよそ戦えると思えないぬぼーっとした怪獣だった)

イメージ画像

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no title

125: 2024/11/16(土) 21:58:16 ID:???Sp
瑠璃乃「あれが四季さんが言ってた秘密兵器?」

ガシャシャシャシャ!

慈(もはやしつこいと言わざるを得ないが、また金属が集まっていく)

慈(ただし、今回は兵隊の形ではなく)

瑠璃乃「おいおい、金属が集まってでっかい腕になったよ…」

『やれ…れ、ボ…の動き…邪魔…たつも…かい?』

『そんなことしても、時間稼ぎくらいにしかなんないよ』

慈「これは…やばやばだね」

126: 2024/11/17(日) 14:48:19 ID:???Sp
慈(マイクを構える、大丈夫…一度は退けたんだ)

ブンッ!

慈(腕が私たちに向かって振り下ろされる)

慈(この一撃を避ける…そうしたらラップでまた)


がおおおおおおおおおおお!


慈「は?」

瑠璃乃「ちょっ!待て謎の白怪獣!」

がおおおおん!

どしどしどしどし!!

127: 2024/11/17(日) 14:48:57 ID:???Sp
慈(ぬぼーっとした白怪獣が、あろうことか振り下ろされる腕に突進していった)

慈(そして…)

ぐああああああああああああん!

慈(私たちをかばって、ものすっごく痛そうに悲鳴をあげていた……)


♪マチガイジャナイナラ マーゲルナヨ♪


瑠璃乃「えっと、『メイ❤️』ってのから四季さんのスマホにビデオ通話が」

慈「……こんな時に」

128: 2024/11/17(日) 14:49:32 ID:???Sp
瑠璃乃「もしもしです。えっと」

四季『どうやら合流できたみたいだね』

四季『どうも若菜四季です。メイのスマホ借りてステージから生ビデオ通話してます…いえい』

四季『観客のみんなー盛り上がってるかーい』

ウオオオオオオオオオオオ

慈(スマホ越しにお客さん方のもはや怒号となった歓声が聞こえる)

四季『二人にはこれから私たちの最終兵器、ゆいがおーとともに戦ってほしい』

129: 2024/11/17(日) 14:50:41 ID:???Sp
慈「いやいやいや!あんな体が大きいだけの、部室の窓際に置いとく系のマスコットじゃ戦えないって」

がおおおおおおおおおおお!

ガスッ!

ぐあああああ!

が…がおおおお!

ガスッ、ガスッ

瑠璃乃「タコ殴りじゃん!戦いにすらなってない!」

四季「このままならそうかもね」

慈「このままなら?」

130: 2024/11/17(日) 14:51:14 ID:???Sp
四季「説明しよう、今二人の前にいるのは…

Yeller for
Unlimitedly
IGnitive and
Aggressive
Odience
(限界なく燃え上がり熱を持った観客に応えるために叫ぶ者)

頭文字を取ってY-U-IG-A-O…ゆいがおーだ」

四季「その最大の機能は感情のエネルギー化、周囲のプラスの感情エネルギーを自身に取り込み…」

慈「えっと…3行でわかりやすくお願いします」

四季「その子は人のプラスの精神エネルギーでパワーアップ」

四季「二人のマイクは精神のエネルギーを増幅してるっぽい」

四季「だから二人のラップとゆいがおーを合わせたら最強、勝てる…以上」

131: 2024/11/17(日) 14:51:54 ID:???Sp
慈「…うん、わかった」

『おいおい、馬鹿にするなよ』

ガシャシャシャシャ!

ガシャシャシャシャ!

慈「また腕が」

瑠璃乃「どんどん増えてくよ」

慈「こうなったら…やるっきゃない」

慈「やるよ、るりちゃん!」

瑠璃乃「おう!」

慈「ゆいがおーちゃん!みらくらのパワー受け取れえ!」

132: 2024/11/17(日) 14:52:43 ID:???Sp
【慈】
敵はご身分違いのゴミ群
果敢に懲りずに叫んで阻止する
みらくら魅了のかわいいプリ顔
その名はみんなのゆいがおー!

【瑠璃乃】
真っ白ボデーに自信を持てよ
その身を呈して地震起こせよ
叫ぶぜ大声、えいえいおー
どんな敵も超え yey KO!

https://suno.com/song/02d16311-ebe6-4589-b4ce-4cc6b5c3fa0d

133: 2024/11/17(日) 14:53:29 ID:???Sp
ピカアアアアアア

瑠璃乃「おおおおおっ!背中のが光ったあああ」

が…がおおおおおおおおおお!!

慈「背びれだけじゃない…体全部が!」

がおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!!

慈(輝きを放つゆいがおーちゃんが一際大きく叫んだ瞬間)

バラバラバラバラ…

慈(声が衝撃波となって降り注ぎ、腕を形成していた鉄の塊が崩れていく)

134: 2024/11/17(日) 14:54:53 ID:???Sp
瑠璃乃「やったあ!」

慈「これって…」

四季『なるほど、エネルギーを相頃してただのガラクタに戻したか』

四季『どうやら仮説は当たっていたようだ』

『な…ん……で』

四季『おやおや、また喋るのが難しいくらい弱ったのかな?』

四季『では、解説といこう…と、その前に』

四季『気づかなかった?私がステージからスマホで連絡をしているということは…』

135: 2024/11/17(日) 14:55:45 ID:???Sp
瑠璃乃「あ、電気信号の遮断はもうしていないんだ」

『ば………かな……だって』

四季『ステージと客席への干渉妨害はもうない、にもかかわらずあなたは今ステージと客席に手を出せない…つまり』

『あれ…が…本命の対策…じゃなかった…?』

四季『そうさ、あんなのはただの時間稼ぎ…この状況を作るためのね』

慈「時間稼ぎ?」

四季「そう、見せてあげるよ…なんなら干渉妨害を切った今の方がわかりやすいかもね」

慈(画面の向こうの四季さんが息を吸い込む…)

136: 2024/11/17(日) 14:56:48 ID:???Sp
四季「私は…メイのことが好き…みんなは?」

みいとぅううううううううううう!!!

『ゔああああああああっ!!』

慈(スマホの先からどころか、目の前からも聞こえた苦悶の声)

慈(それが意味することは)

慈「ものすごく効いてる?なんで?」

四季『複数人の発した同一ベクトルの感情が乗った声…』

四季『それがこいつの弱点』

慈「…お、おう」

瑠璃乃「その反応はわかってないよね」

137: 2024/11/17(日) 14:57:29 ID:???Sp
四季『まあ、鍵を出す条件そのものが敵を倒す手段という、できた話だね』

四季『だけど、そんなメタな事情を汲んだ推測なんて私は嫌だから…それ無しで語りたい』

四季『なぜ、奇襲にも近い形で襲撃が始まったのか…答えはなるべく声を出されたくなかったから』

四季『なぜ、迷路を作ったのか…答えは物理的にも精神的にも分断すれば弱点を気づかれにくいから』

四季『なぜ、Liella!のみんなを捕まえただけで手を出さなかったのか…答えは迂闊に手を出せば、かなりの確率で複数人が同じ感情の声を出してしまうから』

四季『そして、決め手になったのは次…』

四季『なんでこいつは、あのタイミング…1曲目の開始直前で妨害を再開したのか』

138: 2024/11/17(日) 14:58:27 ID:???Sp
慈「そうか、あのタイミングならみんな声を出さないんだ」

瑠璃乃「完全にゼロ人ってわけでもないだろうけどね」

慈「よくわかったね。こんなの」

四季『わからなかったよ。全部推測、予想でしかなかった』

四季『だから仕込ませてもらったんだ』

四季『予想が当たっているかの確認、みんなの安全の確保、敵の打破…うまく行けばそのすべてを実現できる賭けをね』


『な…ぜ…』

『合ってるかも…わからないのに』

139: 2024/11/17(日) 14:59:25 ID:???Sp
四季『そうだね…あえて言うなら』

四季『すごく頭に血が昇っていて、正常な判断ができなかったから…かな?』


『ふ…ざけ…るな』

『そんな、そんな理由で…そんな感情的な理由で…』


四季『どうやらダメージも抜けてきたようだね』

四季『そろそろ終わりにしよう』

140: 2024/11/17(日) 15:00:43 ID:???Sp
四季『私から言うのもなんだし、よろしく…リーダー』

かのん『オーケー!じゃあみんな!私たちの最大をぶちかまそう』


『終わりにする!?最大!?』

『なにをするつもりなんだよ!おい!』


かのん「決まってんじゃん!ライブだよ…みんなで声出しまくって、あんたを追い出してやる!」

かのん「みんなで声出せってなら…この曲だああ!」

かのん「くらぇぇえ!『UNIVERSE!!』』

141: 2024/11/17(日) 15:02:15 ID:???Sp
♪~

胸の奥きらりと生まれた気持ち

大きな声で叫んでみて

君と作るUNIVERSE

~♪

かのん『いっくよ~~~!!!』

慈(スマホ越しでもわかる、Liella!と観客が一斉に息を吸い込んだ)

慈(次の瞬間…)

wow wow wow!!!!!!!!

うぉう!うぉううぉ!!!

慈「会場が…」

瑠璃乃「揺れてる…」

142: 2024/11/17(日) 15:03:27 ID:???Sp
慈(そう錯覚するほどの声が、スマホ越しどころか外にも直に聞こえてくる)

かのん「まだまだああああ!」

マルガレーテ「まだ声出せんでしょ!あんたたち!」

wow wow wow!!!!!!!!

うぉう!うぉううぉ!!!

『あ゛…あ゛…なん…でだ…こんな…こんなエネルギー…』

慈(会場一体となった声はまだ続く)

143: 2024/11/17(日) 15:04:12 ID:???Sp
可可『ナンデ?そんなの当たり前デス!』

すみれ『私たち…ずっとずっと夢見てきたんだから!』

千砂都『…誰も声を返せなかった!そうやって始まったのが私たちだった!』

恋『だからこそ!こうやって声を出せる、そのかけがえなさを!その喜びを、わたくしたちは身をもって知っている!』

wow wow wow!!!!!!!!

うぉう!うぉううぉ!!!

メイ『客席から返したかったのに!思いっきり声出して!』

四季『それでも、Liella!と観客はここまできた』

きな子『さあ!味わうっす!ずっと夢見た光景に辿り着いた、きな子たちの熱い思いを』

夏美『あなたなど跡形もなく消し去ってあげますの!』

冬毬『11人などゆうに超えるLiella!のすべてを合わせた声、耐えられるものなら耐えてみなさい!』

144: 2024/11/17(日) 15:04:56 ID:???Sp
慈(ステージと客席、そんな隔たりなんて超えて一つになった響き…やるじゃん、私たちだって負けないけどさ)

かのん『これがLiella!だ!喧嘩売ったこと一生後悔しろ!』

かのん『ばあああああああああか!!』



慈(いや、そこで出る決め台詞がバーカかい!とひとまずツッコミは入れといて)


『あ……あ…………』

『ま……だ……だ………』

慈(会場から光の帯が飛び出す…多分あれがライデーンの最後のひとかけら)

四季『慈ちゃん、瑠璃乃ちゃん、よろしく』

145: 2024/11/17(日) 15:05:30 ID:???Sp
慈「おっけー」

瑠璃乃「いくよ、ゆいがおー」

がおおおおおおお!

慈(マイクを構えて、最後の一撃を叩き込…)

びゅうううううううううううううううううう!!

慈「きゃっ!」

瑠璃乃「風?」

が…がお…

慈(強い風がゆいがおーの動きを封じる…まるでライデーンを逃す手伝いをするように)

146: 2024/11/17(日) 15:09:53 ID:???Sp
慈「そっか…あんたにとっては相棒だもんね」

瑠璃乃「めぐちゃん、やっぱりこれ」

びゅうううううううううう!

慈「でも…ごめんね。私たちはここまでみんなで積み重ねたものを無駄にはしたくない」

瑠璃乃「そうだね…!」

慈(お腹にもらった一撃がふと蘇る)

慈(ここでの戦いで成功していた、ただ一度だけの敵側の有効打)

慈「もしも…あんたたちがちゃんと協力してたら、私たちは負けてたのかな」

慈「…遅すぎるんだよ…今更こんな助け合ってさ」

147: 2024/11/17(日) 15:11:34 ID:???Sp
慈「終わらせよう、るりちゃん」

瑠璃乃「うん、やろう!」

が…がお…

がおおおおっ…

慈(ゆいがおーちゃんが風に押されて怯む)

慈(でもわかる、諦めてない!ゆいがおーちゃんの目は氏んでない!)

慈(だから私たちも戦える!このマイクで)

慈「まだまだやれるよ!」

瑠璃乃「顔をあげてゆいがおー!」

148: 2024/11/17(日) 18:26:41 ID:???Sp
【慈】
ウチら命懸けだから疲れても
つらめでもめげず掴め毛を
勝利の女神は風に吹かれても
前髪はいつだって乱れゼロ

【瑠璃乃】
風が吹いても涙を拭いて
食らいついてここが分水嶺
ぶっ壊した迷路ぶっ飛ばした兵も
強風警報にだって今日は負けねーよー

https://suno.com/song/0f526009-309f-4411-a8d1-7d0976022a4a

149: 2024/11/17(日) 18:29:39 ID:???Sp
慈(作ったのは障壁、吹き付ける風に負けずに大声で叫ぶための手助けだ)

慈「これでやれるよね」

がお!

すううううううううううううううう!

慈「そうだ…この障壁は」

慈「どんな強い風でも、無効化するのだ!」

瑠璃乃「バリアああああああ!!」

がああああああああああ!!!

慈「やっちゃえゆいがおーちゃん!」

瑠璃乃「もっと、もっとおおおお!」

おおおおおおおおおおおおおおお!!

慈(ゆいがおーの声は衝撃波となって光の帯をかき消していく)

150: 2024/11/17(日) 18:31:22 ID:???Sp
しゅうううう…

慈「風が止んだ…」

瑠璃乃「やられる時は一緒ってことなのかな」

四季『二人とも…よくやってくれた』

四季『これにてミッションコンプリートだよ』

慈「はは…よくもまあ、ここまで漕ぎ着けたもんだ」

瑠璃乃「すげーな、あはは」

151: 2024/11/17(日) 18:32:03 ID:???Sp
四季「私だけでは無理だった…みらくらぱーく!が倒すヒントをくれた」

四季「そして、Liella!だから次の一手を打てた」

かのん『よっしゃ!勝鬨あげるぞーー!』

かのん『もう一回!UNIVERSE‼︎いっちゃおう!」

うおおおおおおおおおおおおっ!

慈(相変わらずスマホの向こうは大騒ぎだ)

152: 2024/11/17(日) 18:33:31 ID:???Sp
四季『良かったら二人も一緒にどうかな?』

慈「いいね。のった!」

瑠璃乃「やってみたかったんだよね」


慈「うぉーおおーおっお!!」

瑠璃乃「うぉーおおっおーお!!」


ピ口リン!


慈「これは…4つ目の鍵?」

瑠璃乃「たしかに…こいつはみんなで心を一つにしてライブ以外のなにもんでもねーな」

153: 2024/11/17(日) 18:35:05 ID:???Sp
慈「あはは、そっか!みんなって私たちもだったか!」

四季『鍵が出たんだね』

慈「ありがとう四季ちゃん」

瑠璃乃「四季さんすげーかっこよかった!ヒーローみたいだった!」

四季『ヒーローか。光栄…と返すのがいいのかな』

四季『でも、私はこうも思うんだ。ヒーローなんて特別じゃない、どこにでいるありふれた存在なんじゃないかって』

四季『誰よりも勇敢に描かれるけど…案外、存在意義とか自己肯定とかややこしいことで悩んでる…揺らいで揺らいで迷ってばかり』

154: 2024/11/17(日) 18:36:06 ID:???Sp
四季『そんなもんじゃないかな?ヒーローなんて』

四季『だから誰だってなれるし、なったところで特別なことをしないといけないわけじゃない』

四季『少なくとも…私の身近なヒーローはみんな迷っているよ』

慈「そっか、うん!そんなもんかも」

四季『もうそろそろタイムリミットも近いだろうし、私のスマホはゆいがおーに回収してもらって二人は次に向かってほしい』

がお!

慈(ゆいがおーがこっちに向かって口を開く…投げ入れろってことか?)

155: 2024/11/17(日) 18:37:37 ID:???Sp
瑠璃乃「おっけー!せいやぁ!」

ばくっ!

慈(るりちゃんが投げたスマホは見事にゆいがおーの口へと入った!)

慈「おー、よしよし」

瑠璃乃「がんばったなー!えらいぞー!」

マルガレーテ『ちょっと!私にもあいさつくらいさせなさいよ四季先輩』

156: 2024/11/17(日) 18:39:30 ID:???Sp
マルガレーテ『もう、お別れなのね…名残惜しいわ』

四季『ううん、お別れじゃないよ』

慈「そうだね」

マルガレーテ『そっか…スクールアイドルを続けていればまた会えるかもしれない』

四季『いつかでいいから、また会おう』

瑠璃乃「はい!絶対に!」

慈「では、みらくらしゅっつどー!」

…………

…………………

157: 2024/11/18(月) 23:06:51 ID:???Sp
慈(で、約束の地であるブラックめぐちゃんの城…ブラックめぐちゃんキャッスルへ向かう私たちには)

チャウ「いやー、大活躍やったようで…へへへ」

チャウ「ワイのこと忘れてへんですよね?いや、すんません!なんでもしますんで!許して!」

慈(あの駄犬が当然のように合流していた)

慈「あんた、今の今までどこで何をしてたの?」

チャウ「これには込み入った事情が、決して逃げたとかではないんですわー」

瑠璃乃「まあまあ、あんまり責めるのもさ。やっぱいのちはだいじじゃん?」

158: 2024/11/18(月) 23:07:30 ID:???Sp
慈「まあ…あんたがどこで何してようと私にはどうでもいいんだけど」

瑠璃乃「っしよ!ほらほら旅は楽しくだよ。チャウチャウがいれば楽しさも倍の倍さ」

チャウ「おおお…まるで女神のような心遣い!ありがやありがたや!」

慈「楽しさ倍の倍からのバイバイにならなきゃいいけどね」

慈「ちゃんとやることはやりなさいよ。駄犬」

チャウ「へへっ、当然ですわ」

チャウ「だって、ワイは…」

159: 2024/11/18(月) 23:08:13 ID:???Sp
瑠璃乃「どうした?」

チャウ「チャウチャウ=チャウさんやからなーー!」ペロペロ

瑠璃乃「ぬおおおおおっ!?」

慈「あ!こらぁぁ!不意打ちで瑠璃乃ちゃんの顔面ぺろぺろすんな工口犬!」

慈(…などどいうゆるゆるなやりとりを繰り返してついに私たちはブラックめぐちゃんキャッスルに辿り着いた)

慈(所要時間4時間30分、なんか体感的にはもっと長い旅だった気もするが、間に合った)

瑠璃乃「帰ってきたぜ」

慈「前よりも強くなってね」

160: 2024/11/18(月) 23:09:14 ID:???Sp
瑠璃乃「でで、こっからどうすればいいんだい?」

ピカーーー

慈「ん?この光は」

瑠璃乃「集めた鍵が…光ってる」

キラーーーーーーー

慈「まぶしっ!」

ブラックめぐちゃん『はっはっは!どうやら鍵を集めたようだね』

ブラックめぐちゃん『よかろう!城の扉は開かれた!さあ…私の待つボスの間までこい!』

161: 2024/11/18(月) 23:09:58 ID:???Sp
慈(私から生まれたもう一人の私、シャドウ慈もといブラックめぐちゃんの声が響くと)

ギギギギギギ……

瑠璃乃「扉が開いたよ!」

慈「なるほどね。やってやろうじゃん」

瑠璃乃「いざ…」

慈「決戦の場へ!」

162: 2024/11/21(木) 08:55:46 ID:???Sp
みらくらぱーく!④

藤島慈
~あの子を想ってたまに曇って
 持ってるように自分を盛って~

たんっ…

慈(私たち二人が同時に城の中に踏み込むと)

ギャアアアアアアアアアアアス

グオオオオオオオオ!

慈「敵さんのお出ましか」

瑠璃乃「ま、そういうもんだよねラストダンジョンって」

163: 2024/11/21(木) 08:56:30 ID:???Sp
慈「間に合わせるよ。何としても」

瑠璃乃「おうよ」

慈(やるべきことは決まってる)

慈「一気に…」

瑠璃乃「駆け抜ける!」

慈(目指すは最上階、ブラックめぐちゃんの待つ部屋)

慈「うおおおおお!」

瑠璃乃「どりゃああああ!」

164: 2024/11/21(木) 08:58:01 ID:???Sp
慈(後ろからは敵、だけど振り返らない)

慈「はぁ…はぁ!」

瑠璃乃「めぐちゃん、あれ!あの扉!」

慈「一気に行くよ!とりゃあああ!」

慈(タックルの勢いで扉を開けると…)

パンパンカパーン!

ブラックめぐちゃん「まってましたー!さあ、ラスボス戦の始まりなのだ!」

慈「…….はぁ」

ブラックめぐちゃん「おい!テンションあがれよ!私ラスボスだぞ」

165: 2024/11/21(木) 22:22:29 ID:???00
慈「んー、なんか疲れがどっと…」

慈「なんと言いますか、今までのと比べると数ランク落ちると言うか」

瑠璃乃「正直そんな強そうに見えないんだけど」

ブラックめぐちゃん「なるほどね…じゃあ、教えてあげないとか」

慈「何をだよ」

ブラックめぐちゃん「決まってんでしょ。私の強さをだよ」

ブラックめぐちゃん「では、ごほん…」

166: 2024/11/21(木) 22:23:34 ID:???00
ブラックめぐちゃん「まずは小手調べといきますか!」

ゴゴゴゴゴ…

慈「ん?」

サイクロプス「うごおおおおおおおお!」

瑠璃乃「いきなり現れた!?」

慈(私たちの目の前に突然敵が現れた)

慈(一つ目の顔、ムキムキの体…ゲームで見たことがあるサイクロプスだ)

ブラックめぐちゃん「私の能力、説明するまでもないよね」

慈「まあね、キャラとかステージとかそういうのを作り出すってとこかな」

167: 2024/11/22(金) 08:31:19 ID:???Sp
慈「そういうのが無かったら、ここまで私たちが回ってきた場所とか出会ったキャラとかが一体どこから出てきたんだって話になるし」

ブラックめぐちゃん「そう、物語の舞台と登場人物を想像の許す限り作り出すことができる!それが私に与えられた能力なのさ!」

瑠璃乃「さすがめぐちゃん、って言いたいところだけど」

サイクロプス「ゔおおおおおお!」

瑠璃乃「こいつは…やべえな」

慈「ううん、心配ないよ。るりちゃん」

ブラックめぐちゃん「へー、余裕だね」

慈「そりゃあ、ここまで潜り抜けた修羅場を思い出せばね…」

168: 2024/11/22(金) 08:32:18 ID:???Sp
慈「いっくよおお!」

慈(マイクを構えて渾身のラップをかます)

ドオオオオオオオオオン!

慈(サイクロプスが爆風に消える)

ブラックめぐちゃん「なるほどなるほど、なら…これはどうかな!?」

ヒュドラ「ぐごぉぉぉぉおおおおお」

ヤマタノオロチ「きしゃああああああ」

169: 2024/11/22(金) 08:33:22 ID:???Sp
慈(次に現れたのは首がたくさんある大きな蛇が2体、たしかに強そう…でも)

慈「るりちゃん!」

瑠璃乃「おうよ!ぶちかまそう!」

ドオオオオオオオオオン!!

慈(二人のラップはそれをも打ち砕く、やれる…私たちなら)

ブラックめぐちゃん「へぇ、なら…これはどう?」

慈(次々と作り出されるモンスターたち、でもみらくらぱーく!なら)

慈「あれやるよ!」

瑠璃乃「おっけー!」

慈(二人のラップが光となって駆け抜ける)

170: 2024/11/22(金) 08:34:04 ID:???Sp
慈「必!」

瑠璃乃「殺!」

慈&瑠璃乃「みらくらバスター!!」

慈(白とピンクの光の渦がモンスターを飲み込んでいく、もちろん一発で撃破だ)

ブラックめぐちゃん「ぐっ…」

慈「さあ!決着だ!」

瑠璃乃「おう!」

慈(二人でマイクを構える、全力を叩き込んでこの旅に決着をつける)

ブラックめぐちゃん「そっか、うん…倒しなよ」

171: 2024/11/22(金) 08:34:58 ID:???Sp
瑠璃乃「…!!」

慈(るりちゃんの動きが止まった)

瑠璃乃「…できない」

瑠璃乃「めぐちゃん、やっぱりこんなのおかしいよ」

ブラックめぐちゃん「ここまで来て、怖気付いたの?」

慈(やっぱり、るりちゃんは優しい…優しすぎるほどに)

慈(だったら私ひとりでも…)

瑠璃乃「違う。こんな終わり方は認めないってだけ」

瑠璃乃「めぐちゃん!本当にこんな終わり方でいいって思ってる?」

172: 2024/11/23(土) 13:35:04 ID:???00
瑠璃乃「こんな終わり方でめぐちゃんは楽しいって思える?」

慈「それは…」

瑠璃乃「思えないよね。じゃあ違うよ」

瑠璃乃「みらくらぱーく!に楽しくない結末なんて似合わないもん」

ブラックめぐちゃん「私を倒すか、二人が倒されるか、その2つしか道はないんだけど」

瑠璃乃「そんなことない」

瑠璃乃「どっちかなんて選んでやらない。ここまでだってそうだったんだ」

慈「ここまで…」

慈(ああ、そっか…るりちゃんはただ優しいだけじゃない)

慈「うん、そうだった。私もるりちゃんに同意だよ」

173: 2024/11/23(土) 13:35:56 ID:???00
慈「聞くよ。るりちゃんの言いたいこと」

瑠璃乃「…ルリね、ここで色んな人たちに会ったんだ」

瑠璃乃「それぞれに大事なものがあって、叶えたい夢があって、そのための道を探して戦ってる、そんな人たちに」

瑠璃乃「それ見て思ったんだ。ああ、ヒーローみたいだなって」

ブラックめぐちゃん「ヒーロー…?」

瑠璃乃「でね、決めたんだ。ルリもこうなるんだって」

ブラックめぐちゃん「ヒーロー?戦う?だったら倒しなよ」

ブラックめぐちゃん「私にさえ攻撃することを躊躇った、優しい優しいるりちゃんに!ヒーローなんか無理だよ」

瑠璃乃「できるよ…躊躇うルリだからヒーローになれる」

瑠璃乃「ルリのなりたいヒーローにルリはなるんだ」

174: 2024/11/23(土) 13:36:52 ID:???00
瑠璃乃「ルリは戦わないで済むならそうしたい。誰も傷つけたくない」

瑠璃乃「だけどそれよりももっと嫌なのは、傷ついて助けが必要な人がいるのに何もしないことなんだ」

ブラックめぐちゃん「でも戦うのは嫌なんでしょ?じゃあ、何も守れないよ!」

瑠璃乃「ううん!守るよ!ルリはルリの考えるヒーローになって大事なものを守る!」

瑠璃乃「めぐちゃんみたいに困難を打ち砕くヒーローにじゃない。みんなを守るヒーローにルリはなりたいんだ」

瑠璃乃「ヒーローは、誰かを絶対に傷つけたりはしないんだ!大事なものを守ることがルリの戦いなんだ」

175: 2024/11/23(土) 14:45:43 ID:???00
ブラックめぐちゃん「ごちゃごちゃと…」

慈(ブラックめぐちゃんが腕をあげると真っ黒なドラゴンが姿を表す)

ドラゴン「グゥゥゥウウアアアアア!!!」

ドラゴン(漆黒よりも黒い口を開いたドラゴンがるりちゃんに迫る)

慈「…るりちゃん!」

ブラックめぐちゃん「邪魔するならるりちゃんにだって容赦しない!私の考えた最強のこいつで終わらしてやるんだ!」

瑠璃乃「だったら証明してやる!他の誰でもない、ここを作ったあなたに!ここでルリたちが見てきたものの答えを」ヒューン

176: 2024/11/23(土) 14:50:38 ID:???00
【瑠璃乃】
目を見開いて見ろよ孤独な創造者(クリエイター)
つらくても貫く面に無理ねーんだ
孤独と毒だけ見ちゃ人生はぴえん🥺だ
再入力(リエンダー)すりゃ道は見えんだ

道ってなんだ?そんな疑問で
気揉んで止まんな道のど真ん中
出会った日こそがChance dayなんだよ
遅すぎなんてない今日がDay1だぞ

鍵を探した3つの試練は
見えたもの得たもの一言じゃ言えんな
その経験がくれたもん見せんだ
ハッピーに終わらせてご機嫌だ

https://suno.com/song/51c97026-0eea-46ec-9c74-65cbea9f14df

177: 2024/11/23(土) 14:51:56 ID:???00
ブラックめぐちゃん「何をやろうともう遅い!」

ドラゴン「ヴオオオオオオオオ!」

慈(ドラゴンの顎が、るりちゃんに食らいつい…)


グオオオオオオオオン!


慈(燃え盛る何かがが目の前を横切った)

ドラゴン「ァ゛ア゛アアアア!!!」

慈(直撃をくらったドラゴンが苦悶の声をあげる)

慈「あれ…なんかこの光景見覚えが…」

オキナ「やれやれ、世界の果てで隠居生活をするつもりが…人づかいの荒い嬢ちゃんたちよなぁ」

178: 2024/11/23(土) 14:52:55 ID:???00
オキナ「とはいえ、ほっほ!お主らのおかげで、かぐやとこれほどない幸せな別れができたのじゃ。これくらいはお安いご用意じゃわい」

慈「あなた、たしか四天王の」

瑠璃乃「へへっ、来てくれてありがとう」

慈「るりちゃんがやったの?」

瑠璃乃「ま、さすがにみんなを呼ぶってわけにはいかないけどさ。この物語をこんな形で終わりにしたくないのはルリたちだけじゃないはずなんだ」

瑠璃乃「どんどん出てきてよ!こんな終わり方じゃ納得できない奴!ルリたちは大歓迎だぜ」

ブラックめぐちゃん「私の作ったキャラが…私に反抗するの?」

オキナ「作ってくれた大恩、忘れたわけでない。だがな」

179: 2024/11/23(土) 14:54:39 ID:???00
オキナ「かぐやはこの子達に背中を押されて…儂の球に真っ正面から向き合い己を貫き通してくれた」

オキナ「いわばこの子達はかぐやの戦友、なればこそ」

オキナ「業火の好々爺、タケトリノ=オキナ…恩義を果たすために不義理を承知で参上つかまつった次第じゃ」

慈(タケトリノ=オキナ、猛火の鍵を手に入れるための野球勝負で戦ったブラックめぐちゃん四天王の一人)

慈(竹林で出会ったかぐや姫…せつ菜ちゃんを大事に思うあまり、せつ菜ちゃんとすれ違っていたけど、最後はせつ菜ちゃんの渾身のホームランを受けて笑顔で送り出したんだ)

ドラゴン「ヴアアア!」

慈「くっっ!ドラゴンのやつ、あれを食らってもまだ」

オキナ「もう一球!出力限界突破じゃい、1000%!」

180: 2024/11/23(土) 14:55:33 ID:???00
ドラゴン「ヴオオオオオオ」

慈「確かに効いてはいるけど、もっとなんとかなんないの?」

オキナ「うむ…助力がほしいところ」


「だったら!まかせてほしいだ!」

ガシッ!

慈(どこからか現れた、魚とも人ともつかない独特な生物がドラゴンに組み付く)

マッゴイ「オキナさんだけじゃねぇだ!オデも、力貸すだ!」

ドラゴン「グア……」

瑠璃乃「マッゴイさん!」

マッゴイ「ブラックめぐちゃん四天王、最高潮の包丁人のチューチュー=マッゴイにまかせろだで!」

慈(激流の鍵を手に入れるための料理勝負、そこで私たちの前に立ちはだかった魚人マッゴイがドラゴンを真っ正面から食い止める)

181: 2024/11/23(土) 14:57:06 ID:???00
ドラゴン「オオオオオオ!」

マッゴイ「おんめえ、力つえーな!オデも力自慢だがよ!押し負けそうだ!」

マッゴイ「でんも!オデには仲間たちがついてるだ!」

ドラゴン「グ…アアアアア!」

慈(ドラゴンの様子がおかしい…)

マッゴイ「甘くてやわくて浮かぶ感覚のお味はいかがだ?ま、こいつは料理ってわけでもねんだが」

マッゴイ「すまんな。ちっと大人しくしてもらう」

瑠璃乃「まさか…毒?」

マッゴイ「ま、元はな…」

慈「元は?」

182: 2024/11/23(土) 15:12:33 ID:???00
マッゴイ「みんなであれから色々試しただ」

マッゴイ「こいつはその成果。どうにもこいつは暴れん坊を大人しくできるらしんだ」

慈「麻酔とか鎮静剤とかってこと?」

瑠璃乃「毒も薬も使いようってことか。やるじゃん」

マッゴイ「オデら、ずっと諦めてただ…あの海で生まれたオデらは一生日陰もんだって」

慈(そうだ、あの料理勝負の場所は誰も近寄れない毒の海、そんな場所で生まれたこいつは証明しようとした。自分たちの価値を…あまりにも破滅的な方法で)

慈(でも、私たちとの勝負がきっかけで変わったんだ…ほとんど事故みたいなものだったけど、あの場所に積み重ねられた時間と命の意味をみんなで見つけるために歩き出したんだ)

183: 2024/11/23(土) 15:13:27 ID:???00
マッゴイ「オデら自身も諦めてたオデらの過去と未来のために、怒ってくれた人がいた…意味はあったんだと、ゼロになんてならねぇと励まされた」

マッゴイ「だからもう諦めねぇ!ゼロじゃねんだ、こっからイチにしてやんで」

マッゴイ「忌み嫌ってた毒だで、未来のために使ってやんだ!」

ドラゴン「ゥゥウウ……グアアアアアアア!!」

マッゴイ「ぐあっ!」

慈(ドラゴンが無理矢理に暴れ出す)

慈(マッゴイをはね飛ばし、壁を破って外へと逃げ出す)

ドラゴン「ゴアアアアアアアアア!」

228: 2024/11/24(日) 12:30:00 ID:???00
慈(外へと飛び出したドラゴンがこちらに向かって口を開く)

慈「お…おいおいまさか」

瑠璃乃「なんちゃらブレス的なやつ?」

「させねーよ!」

バルバルバルバルバル!

慈「プロペラ音…」

瑠璃乃「ってことは…まさかあいつも」

ボウフーン「空だったらよぉ!俺様の出番だな!がはは」

瑠璃乃「ボウフーン!」

229: 2024/11/24(日) 12:31:05 ID:???00
ボウフーン「覚えてたみてぇだな!スクールアイドルさんよぉ!」

慈(口の悪さも横柄な態度も相変わらずだ。意思を持ったプロペラ機が空を駆けていく)

慈(ボウフーン…Liella!のライブを成功させるためにぶつかった最初の敵、こいつのせいで会場に近づくことができなかった)

慈(四季さんたちと合流して地下から侵入した後も、こいつには苦しめられた)

ボウフーン「おらぁ!俺様のぶっこみ見せてやんよお!」

ガスッ!

ドラゴン「グア…」

慈(ボウフーンがドラゴンに体当たりをかます)

ボウフーン「まだまだああああ!」

230: 2024/11/24(日) 12:32:08 ID:???00
ドラゴン「ゥアアアアアアア!」

ガリガリガリガリガリ

慈(ボウフーンのプロペラがドラゴンの鱗を削っていく)

慈(さらに体当たりの勢いのままドラゴンを地上へと押していく)

ボウフーン「今の俺様はドラゴンよりも手強いぜええ!」

ドラゴン「ゥゥウウ…アアアアア!」

慈(ドラゴンがブレスを吐こうとする…が)

ボウフーン「遅えぜぇぇぇ!」

ドゴオオオオオオオオオオオオ!

慈(それよりも早く地面に激突する)

231: 2024/11/24(日) 12:33:33 ID:???00
瑠璃乃「ってかおい、ガリガリ削られて地面へ落ちるって」

慈「まんま自分がやられたことだね」

ドラゴン「ア…グアアアアアアア…」

慈「まだ動けるんだ」

ライデーン「だけど、もう終わりさ」

慈「……この声」

瑠璃乃「あー、うん…あいつもいるよねそりゃ」

ライデーン「おいおい、大歓迎とか言ってたのに随分とそっけないじゃないか。君らにとって一番の強敵の再登場なんだけどな」

232: 2024/11/24(日) 12:35:11 ID:???00
ガシャガシャ

ガシャガシャガシャガシャ

慈(もはやトラウマレベルの無数の鉄の兵隊が登場する)

瑠璃乃「うわー、これまたずいぶんと集まったね」

ライデーン「ははっ、金属なんてそこかしこにあるんだ、これくらいすぐさ」

慈(ライデーン…ま、こいつが仲間になるなら心強いのは事実)

慈(こいつの恐ろしさはよーくわかってる)

233: 2024/11/24(日) 12:45:58 ID:???00
ライデーン「最強のドラゴンだっけ?そんな想像はさ…」

ライデーン「ボクらの前では何の意味もないんだ…やろうか"相棒"」

ボウフーン「ああ…そうだな!」

慈「!」

瑠璃乃「いま、こいつ!」

慈(聞き間違いじゃないよね)

ボウフーン「やるぜえええええ」

バルルルルルルル…

慈(ボウフーンが再び飛び立ちドラゴンと距離を取る)

234: 2024/11/24(日) 12:47:09 ID:???00
慈「あ……」

慈(そして気づいた、ライデーンが組み立てた鉄の兵隊とボウフーンとドラゴン…そいつらは一直線に並んでいる)

慈(腹部が痛む…あの一撃を思い出して)

ライデーン「ボクは確かに強い、でもそれよりももっと強いものを知った」

ライデーン「まったく、腹が立つよ…だが」

ボウフーン「最大出力でいくぜ!」

バラバラバラバラ…

ライデーン「ボクたちが身をもって知った教訓を全部ぶつけてあげよう!」

ボウフーン「油断も驕りも吹っ飛ばしてやんよ!!」

235: 2024/11/24(日) 12:50:08 ID:???00
慈(生み出される強風の中で鉄の兵隊が崩れていく、その先にはダメージを回復し切れていない黒いドラゴン…つまり)


ドラゴン「ギャアアアアアアアアアアア」


慈(兵隊を構成していたパーツが幾つもの弾丸となってドラゴンに襲いかかる)

ドラゴン「グ…ア……ア……」

ボウフーン「まだ、終わらせねぇぜ!」

ライデーン「ここからがボクらの新たな一歩」

バチ….バチ

慈「この音…」

236: 2024/11/24(日) 12:52:33 ID:???00
ライデーン「一度でも当たれば、どこまでも続くんだ」

ボウフーン「破片同士が引き合うからよぉ」

ヒューーー

ガガガガガガガガガ!

ドラゴン「ガ………」

瑠璃乃「うわ…当たったのに引き寄せられてどんどん弾丸が」

慈「へ…へー、やるじゃん」

ボウフーン「当たり前だぜ」

ライデーン「ボクらが力を合わせればこんなもんさ」

237: 2024/11/24(日) 12:56:22 ID:???00
瑠璃乃「そっか、力を合わせることにしたんだね…」

ライデーン「ブラックめぐちゃん様。ボクらは前に進むことにするよ」

ライデーン「まずは最初のゴールを目指す。暴風を操る強襲機ボウフーンと雷電で操る再生機ライデーン」

ライデーン「もう一度やり直して、もっと強くなるんだ」

ブラックめぐちゃん「そんな、バカな」

慈(ダメージが限界を超えて黒いドラゴンは消滅していく)

ブラックめぐちゃん「こうなったら…」

238: 2024/11/24(日) 12:59:25 ID:???00
ブラックめぐちゃん「そうだよ…もともとは私が作った設定なんだ、だったら四天王なんて消しちゃえば」

ブラックめぐちゃん「消えろ!消えろ!私の言うこと聞かないどころが邪魔する奴らなんかまとめて消えちゃえ!!」

慈(ブラックめぐちゃんが叫ぶ、でも)

ブラックめぐちゃん「なんで、消せないの?」

ブラックめぐちゃん「あんたたち、なんで消えてくれないの!」

慈「その答えはあなたが一番わかってるはずだよ」

ブラックめぐちゃん「……」

239: 2024/11/24(日) 13:03:56 ID:???00
慈「消したくないんでしょ。これから楽しいことが待ってるのに、それが理不尽に消えるところなんて想像したくない…だから消せない」

慈「楽しい場所が私のせいで壊れるなんて、そんなのもう2度と見たくないもん」

瑠璃乃「それって…」

慈(きっかけは私だった。私がステージから落ちて、そこからおかしくなった)

慈(いろんな事情がタイミング悪く重なったとか、私一人のせいじゃないとか、そう言ってくれる人はいた)

慈(だけどね、ひびを入れたのは私なんだ。私が落ちなければ…ちゃんと周りが見えていれば)

慈「私さ…蓮ノ空来て、沙知先輩とか見てさ、楽しいものを作れる人になりたいって本気で思ったんだ」

240: 2024/11/24(日) 13:06:59 ID:???00
慈「私は自分が思ってるほど器用でもなかったから、たくさん間違えた」

慈「間違えて何度もぶち壊して、今度はちゃんと楽しくしてやるんだって悔しい思いをした」

慈「それがあなたを生み出した原点の気持ちなんだと私は思ってるんだけど…合ってる?」

ブラックめぐちゃん「…うん、正解だよ」

オキナ「儂らは…作られた世界のただの登場人物かもしれない。それでも、大事なもののために戦って物語を作ってきたんじゃ」

マッゴイ「オデらのやってきたことも、オデらの気持ちも無になんかならねぇ。誰にだってゼロにはできねんだ…たとえ、作った本人でもな」

ボウフーン「ただの作り物の設定とかフィクションとか笑うならそれでもいいがよ…そうやって下らないと笑い飛ばした先で、痛い目にあっても知らねーぞ」

ライデーン「ボクらをこう作った…その気持ちを甘く見ない方がいい。取るに足らないと思っていた意志と感情にやられたボクが証人さ」

241: 2024/11/24(日) 13:09:44 ID:???00
瑠璃乃「ルリね、ここでたくさんの熱くて暖かくてワクワクするものを見たんだ」

瑠璃乃「それを作ったのがあなたなら…あなたの中には素敵な物語がたくさんあるんだよ」

慈「それをここで終わらせるなんてもったいないって思わない?」

慈「だいたいさ。あなたが私だっていうなら、もうわかってるでしょ」

慈「負けてやるか、やってやるんだって意地はって、最後のハッピーエンドにたどり着く…それが藤島慈の物語じゃん」

ブラックめぐちゃん「藤島慈の…物語」

慈「だからさ。つまんないことやらないでよ」

242: 2024/11/24(日) 13:12:39 ID:???00
慈「私は見ただけで何でもできちゃうような天才でもなければ、弱音吐かずにただひたすら努力できるほどストイックでもない」

慈「だけどさ、みんなを楽しませたいって気持ちなら世界の誰にだって負けない自信があるんだ」

慈「それしかないんだからさ、最後まで楽しいことをやろうよ」

瑠璃乃「ね、ルリたちと一緒に作ろうよ楽しい結末を」

瑠璃乃「ルリは…誰かがいなくなる結末なんていやだよ」

慈(もう一人の私はうつむく…)

慈(これで伝わったよね。私たちの言いたいこと)

ブラックめぐちゃん「わがまま言わないで!」

慈「……え」

243: 2024/11/24(日) 13:22:25 ID:???00
ブラックめぐちゃん「だいたい、これはるりちゃんのために」

ブラックめぐちゃん「いなくなったのだって…るりちゃんの方」

慈「???」

慈(るりちゃんのため…いなくなったのはるりちゃん?どういうこと?)

ブラックめぐちゃん「あっ…」

慈(ブラックめぐちゃんが固まる)

瑠璃乃「やっぱりか…」

慈「るりちゃんは何か知ってるの?」

244: 2024/11/25(月) 22:12:44 ID:???00
瑠璃乃「ううん、でも予感はしてた。ルリが関係してるんだろうなって」

ブラックめぐちゃん「……少し、話をしようか。オリジナルの私」

慈「話?」

ブラックめぐちゃん「質問、私の目的は何でしょうか?」

慈「…一つはっきりしてるのは、あなたが私たちに倒されるのはあなたにとって好都合だったってこと」

慈「あなたは倒されるために悪役になった。そうでしょ?」

ブラックめぐちゃん「…そうだね。私を倒さなきゃいけない状況を作って、私を倒せるくらい強くなってもらって、あとは私を倒してもらうだけだったんだ」

慈「強くなってほしい。でも倒しちゃいけない。そのギリギリを狙って鍵集めか」

245: 2024/11/25(月) 22:17:02 ID:???00
慈「ま、それでもヤバめの難易度だったけどね。助っ人ありでギリギリだったもん」

ブラックめぐちゃん「助っ人?」

慈「…」

慈(実を言うと、私たちを強くして自分を倒させるのが目的ならここまでの旅に不自然さが生まれるわけだ)

慈(鍵を手に入れるために挑んだ試練で一度だって"私たち二人は"敵に勝っていない)

慈(どの試練も戦いのメインは私たちじゃなかった。私たちは出会った人たちが戦うのに協力しただけ)

慈「そっか、うん…」

慈(反応を見て、確信した)

慈(あれは恐らく、この子の知らないところで"誰か"がやったこと)

246: 2024/11/25(月) 22:18:41 ID:???00
慈「ねえ、まだ隠してることあるでしょ」

慈「話してよ。もう隠し事はしないで」

ブラックめぐちゃん「隠し事…か」

ブラックめぐちゃん「それを聞いて、あなたはどうしたいの?」

慈「どうって、なにか他に解決策があるならそうしたいなって」

ブラックめぐちゃん「……いいんだよ。解決なんてしてくれなくても」

ブラックめぐちゃん「どっちにしろ、私の目的は達成されるしね」

慈「達成される?」

247: 2024/11/25(月) 22:19:59 ID:???00
慈「達成される?」

ブラックめぐちゃん「だってこれで、"5時間"だから」

慈「…!まさか」

瑠璃乃「あ…ああ…」

慈「……ルリちゃん?」

瑠璃乃「ごめん…めぐちゃん、これはルリのしくじりだ」

瑠璃乃「せめて、あと一度でもあの子に会えていたら」

248: 2024/11/25(月) 22:21:44 ID:???00
ブラックめぐちゃん「あなたたちが倒してくれるのが一番よかった…でも、それがダメだったとしても…問題ない」

ピーーーー

慈「5時間後に爆弾が爆発する、それが保険だった…」

ブラックめぐちゃん「そう、あの爆弾で私もこの世界も両方吹っ飛ばしちゃえばいい」

慈「やめ…」

ブラックめぐちゃん「じゃあね。めでたしめでたし」

慈(目を閉じる…ああ…私は…失敗したんだ)

249: 2024/11/25(月) 22:23:19 ID:???00
……

…………

慈「…あ…れ?」

瑠璃乃「なにも起こらない?」

慈(ブラックめぐちゃんの顔が一気に真っ青になる)

ブラックめぐちゃん「…は…ははっ、なんだよおい!」

ブラックめぐちゃん「なんで!なんで爆発しないの!?これがダメならもうどうするんだよ!」

ブラックめぐちゃん「ついてない!ほんっと!ほんとについてない!」



「いや、逆や。めぐちゃん…あんたはラッキーなんや」

「……ワイが手を出させてもらった」

慈(聞き覚えのある駄犬の声、その方向を見る)

250: 2024/11/25(月) 22:24:24 ID:???00
チャウ「すまんな。ブラックめぐちゃん、いや…シャドウめぐちゃん」

チャウ「って、四天王勢揃いやん…出遅れたなワイ」

ブラックめぐちゃん「……あんたがやったの?これを?」

チャウ「ワイはつなげただけや。もう一つの蓮ノ空とここをな」

瑠璃乃「チャウチャウ、そんなことできたの!」

チャウ「ちょいちょい、二人をここに連れてきたんはワイやで?忘れたん?」

ブラックめぐちゃん「……蓮ノ空とつなげた?それだけで止められるはずがない」

チャウ「せやな。だからラッキーやったんや」

251: 2024/11/25(月) 22:28:29 ID:???00
チャウ「なんの偶然か、はたまた必然か、あっちの蓮ノ空にちょうどいい存在が生まれてしまったんや…だから利用させてもらった」

チャウ「なにもかもを際限なく喰らおうとする、はらぺこな"白いバケモン"をな」

ブラックめぐちゃん「なんだよ、それ…気持ち悪い」

チャウ「おいおい、シャドウめぐちゃん…あんまりそいつのこと悪く言わんといてや」

チャウ「蓮の大三角は共に苦難を乗り越えた仲良しトリオ、やろ?」

ブラックめぐちゃん「???…なんで蓮の大三角が?……」

ブラックめぐちゃん「あ、そっか……そういうこと」

ブラックめぐちゃん「はは…っ!そういうことか…綴理、ものすごいの抱えちゃってたんだね」

252: 2024/11/25(月) 22:31:13 ID:???00
慈「えっと…綴理がどうかしたの?」

ブラックめぐちゃん「…そっか、綴理にもってかれちゃったんだ」

チャウ「…あの爆弾にはシャドウめぐちゃんのパワーが込められてたんやろ?」

チャウ「どうもな。そいつ的に"藤島慈のパワー"ってのはものすごい大好物だったみたいや…結構持ってってくれた」

チャウ「いっちゃん食べたかったのは別のもんらしかったから、全部というわけでもなかったがな」

ブラックめぐちゃん「はは…まさかここで綴理とは。まいったね…これじゃあ文句も言えないよ」

ブラックめぐちゃん「で?…駄犬……あんた、裏切るの?」

チャウ「違う。ワイにもやっと見えたんや。この物語の本当の終わらせ方が」

チャウ「賭けてくれんか?あんたのオリジナルの藤島慈とその相棒の大沢瑠璃乃に」

253: 2024/11/25(月) 22:32:28 ID:???00
慈(事情はわからない)

慈(だけど…ただひとつ言えることは)

慈「……ほんっとうにめんどくさい。回りくどい。むかつく」

慈「その駄犬も言ってるけどさ、ここは最強のみらくらぱーく!に任せてくんないかな?」

慈「どうやらるりちゃん絡みの事情があるらしいし、それなら私たちにだって他人事じゃないもん」

瑠璃乃「話して、あなたと大沢瑠璃乃の間に何があったか」

ブラックめぐちゃん「……任せていいの?」

慈「当然じゃん」

254: 2024/11/26(火) 19:26:26 ID:???Sp
慈「だいたいさ、なんだよブラックめぐちゃんって」

慈「あなたは楽しくて面白くてドキドキするものを生み出す天才のこの私、藤島慈から生まれたんでしょ?」

慈「だったら、あなたも楽しくて面白くてドキドキしなよ。そーんなしみったれた顔しないでさ」

シャドウ慈「……そうだね」

シャドウ慈「じゃあ、話すかな。私の側からの事情を」

慈「私の側?」

シャドウ慈「もう一方の事情はるりちゃんに聞いてほしいかな」

シャドウ慈「そこにいるるりちゃんじゃなくて、シャドウのるりちゃんに。…会えたらだけど」

瑠璃乃「…うん」

シャドウ慈「ごめん。嫌味っぽくなっちゃったね」

255: 2024/11/26(火) 19:30:12 ID:???Sp

シャドウ慈「あのね、ここを作ったのが私というのは半分正解で半分間違いなんだ」

慈「半分?」

シャドウ慈「うん、だってここは私ひとりで作ったわけじゃないからね」

シャドウ慈「私は舞台と登場人物を用意することができる…でもさ、それって物を作って箱の中に置くだけなんだよ」

慈「んん?………あ!」

慈「えっと…箱そのものは作れないってこと?」

慈(箱を作る…舞台や登場人物を置く世界を作る力はこの子には無かった。それをやったのが)

慈「なるほどね。"箱"ってのはなかなかいい言い方じゃん」

256: 2024/11/26(火) 19:31:43 ID:???Sp
瑠璃乃「たしかに、めぐちゃんにもわかるいい表現だ」

慈「私は地頭いいんだけどな…ま、つまりは"箱"、この世界を作ったのが」

シャドウ慈「そう。もう一人のるりちゃん、シャドウ瑠璃乃なんだよ」

慈「………だとしたら、ここは」

シャドウ慈「うん、私ともう一人のるりちゃんが作ったんだ」

慈(なんとなく、思ってはいた)

慈(野球、魚、歌、飛行機…ここにはるりちゃんにつながる要素が多い)

シャドウ慈「世界を作ったり、繋げたり、そういうのがシャドウるりちゃんの担当だったんだよ」

シャドウ慈「作っただけで出入りできないなんて困るでしょ?」

257: 2024/11/26(火) 19:41:40 ID:???00
慈「繋げるのはるりちゃんの担当…ね」

瑠璃乃「やっぱりあれの犯人はもう一人のルリだったか」

シャドウ慈「あれ?」

瑠璃乃「鍵を集めてる途中にね。出会ったんだよ」

瑠璃乃「あなたが作ったんじゃない。どこか別の場所から来たスクールアイドルの人たちに」

慈「そのおかげで数々の試練をクリアしてここに辿り着いた。でも、あなたはそのことを知らない」

慈「……なんでだろうね」

慈(ここまで何度もいなくなっては現れを繰り返した駄犬を横目で見る)

258: 2024/11/26(火) 19:43:56 ID:???Sp
シャドウ慈「ふーん、そういうことか」

シャドウ慈「あなたたち6人の様子はそこの駄犬から聞いていたんだけどさ」

シャドウ慈「……報告漏れ、とかじゃないよね」

チャウ「いやー、買い被りすぎですわ。こちとら犬なもんで3歩もあるけば散歩してることも忘れてもうて」

チャウ「……」

チャウ「はぁ……かなわんですわ」

慈「私さ、るりちゃんのシャドウって今まで一度も会ってないんだよね」

チャウ「………でしょうな」

慈「隠してることあるよね?ちゃんと話しなよ」

259: 2024/11/26(火) 20:11:18 ID:???Sp
瑠璃乃「あの…!」

慈「るりちゃん?」

瑠璃乃「あのね!聞いて欲しいことがあるんだ」

瑠璃乃「…その、はっきりとしてはいないんだ。だからうまくいえないんだけど」

慈「………えっと」

瑠璃乃「ルリね、実は会ってるんだ。何回かもう一人のルリに」

慈「会ってるって、るりちゃんはずっと私と一緒に」

チャウ「何回かいきなり眠ってたやろ。そうか、やっぱあれはただ充電切れしとったんやなかったか」

瑠璃乃「夢かもしれない。だけど、夢じゃないならもう一人のルリに伝えなきゃいけないって思うんだ」

瑠璃乃「ルリたちの気持ちを全部ちゃんと」

260: 2024/11/26(火) 22:56:56 ID:???00
瑠璃乃「ルリたちが目指してるものは同じじゃないかもしれない」

瑠璃乃「でも、みんなで力を合わせて、もう一人のルリを助けないといけないとかなってルリ思う」

慈「もう一人のるりちゃんを…助ける?」

シャドウ慈「…やっぱりそうなんだ」

シャドウ慈「でさ、私の話が途中だったんだけど」

瑠璃乃「あ、ごめん…」

シャドウ慈「いいよ。今るりちゃんが言ったこと、これから私が言おうとすることと関係あるし」

慈「もう一人のるりちゃんのこと?」

シャドウ慈「今のシャドウるりちゃんについてはよくわからない。いきなりいなくなっちゃったんだもん」

261: 2024/11/26(火) 23:12:48 ID:???00
慈「いきなり?」

瑠璃乃「いなくなった?」

シャドウ慈「だけどね。最後に会った時にるりちゃんが言ってた言葉は覚えてる」

シャドウ慈「『ここと蓮ノ空が無くなるなんていや。めぐちゃんがいなくなるのもいや。だからお別れだよ』って」

慈「無くなる?お別れ?どういうこと?」

シャドウ慈「わからない。だけどさ…」

シャドウ慈「なんかヤバいことになって、いくつか選択肢があって、その中でるりちゃんはいなくなることを選んだ」

シャドウ慈「裏を返せばるりちゃんがいなくならなくてもいい選択肢もあった…ってことでしょ?」

262: 2024/11/26(火) 23:30:15 ID:???00
慈「それでこんなことを?」

シャドウ慈「そりゃ、確証なんかないよ?ここと蓮ノ空を壊したところで、私がいなくなったところで、るりちゃんが帰ってこれるかなんて」

シャドウ慈「でも夢みちゃうじゃん。もしかしたら、もしかしたらって…」

慈「だからって…」

シャドウ慈「そうだね。バカなことした」

瑠璃乃「そうだよ。ルリ的にはさ、何かを犠牲にしてルリを助けてもらってもうれしくないもん」

シャドウ慈「ったく、二人だけじゃなくて、四天王、駄犬、おまけに綴理まで止めにきてさ…次は梢かっての」

シャドウ慈「あーあ、もうこんなことはしないよ。作ったものにも私自身にも顔向けできないもん……みんな…ありがとう」


シャドウ慈「ってことで…!」

シャドウ慈「ブラックめぐちゃん四天王改め、シャドウめぐちゃん四天王の諸君!よくぞ私の愚行を食い止めた!」

263: 2024/11/26(火) 23:31:27 ID:???00
シャドウ慈「それぞれ持ち場に戻り、新たなる野望に邁進せよ!以上、解散!」

慈(四天王の体が光に包まれる)

オキナ「まったく、言われんでもやってやるわい」

マッゴイ「じゃあな。今度はご馳走持ってくるだで」

ボウフーン「元気でな!ぎゃははは」

ライデーン「じゃあね。もうリセットなんかしないでよ」

慈(光に包まれた四天王がそれぞれの方向に飛んでいく)

264: 2024/11/26(火) 23:32:30 ID:???00
シャドウ慈「…負けんなよ。私ももう負けないからさ」

慈「すっかり立ち直ったみたいだね」

シャドウ慈「私一人じゃ折れてた。だからこれは…うん」


『最高の仲間のおかげだよ…』


慈「そうだね…」

慈(ったく、幸せそうな顔してさ。私もこんな顔してんのかね)

シャドウ慈「って、今の無し!恥ずかしいから!」

チャウ「まあ、ええやん。今くらいは恥ずかしいままで」

265: 2024/11/26(火) 23:34:19 ID:???00
瑠璃乃「ん?あれ?」

慈「どうしたのるりちゃん」

瑠璃乃「だって、まだ四天王が残って」

シャドウ慈「え?四天王はもうみんな行っちゃったよ」

慈「もしかして…」

慈(まあ、そんな気はしてたけど)

チャウ「すまんな瑠璃乃ちゃん…ワイ、ずっと嘘ついてた」

チャウ「ワイの本当のご主人は」

慈「るりちゃんでしょ?シャドウの方の」

266: 2024/11/26(火) 23:36:41 ID:???00
チャウ「な!?割り込みやめてや!それはワイの口から大発表するシークレットやったのに!?」

瑠璃乃「…へ?」

チャウ「まあ、ご主人の居場所ひとつわからん"駄犬"やけどな」

瑠璃乃「ええええええええええっ!!!?もう一人のルリがご主人?」

慈「るりちゃん、気づいてなかったんだ」

瑠璃乃「なんでめぐちゃん知ってるの!?」

慈「いや、私がこんなぶちゃい駄犬作るとは思わないし」

チャウ「ひっど!」

267: 2024/11/26(火) 23:38:28 ID:???00
シャドウ慈「ていうか、作ってはみたもののしっくり来なくてさ。消えかけてたのをるりちゃんが拾って…」

チャウ「ご主人になってくれたわけやな。マジで慈愛の女神や」

慈「あー、そりゃ私よりもるりちゃんに懐くわけだ」

慈「まあ、そこらへんは置いといても…そもそも四天王が5体なんておかしいでしょ?」

慈(私たちが「四天王を倒して鍵を手に入れろ」って言われたのはこいつから大地の鍵を手に入れた後の話)

慈(つまりこいつが鍵を持っていたからといって、四天王だとは限らない)

慈(そしてこいつが四天王ってのは私たちしかいないところでこいつ自身が言ってただけ)

268: 2024/11/26(火) 23:40:54 ID:???00
慈「こいつは鍵を持ってただけで四天王じゃなかった。ま、四天王かどうかなんて大した問題でもなかったけど」

慈「すっかり騙されたよ。特にるりちゃんが」

チャウ「シャドウめぐちゃんと協力関係にはあったんやで。いなくなったご主人を探すっていう利害の一致でな」

瑠璃乃「じゃあチャウチャウが途中でいなくなってたのは」

チャウ「二人がちゃんと試練をやってくれるかの監視をしつつ、合間合間でご主人探してたんですわ」

チャウ「ご主人さえ見つかれば爆弾なんか使う必要ないしな!」

慈「でも見つからなかったと」

チャウ「無駄やなかったけどな」

269: 2024/11/26(火) 23:44:32 ID:???00
チャウ「探してく途中でスリーズブーケとDOLLCHESTRAのこともちょこちょこ見かけてな、おかげで爆弾もどうにかできたわけや」

慈(まったく、何が駄犬だよ。とんだ忠犬…いや、むかつくからやっぱ駄犬でいいや)

シャドウ慈「ははっ、なーんかスッキリしちゃった…問題は山積みだけど、丸投げしちゃっていいよね」

チャウ「ま、ワイも同行するんで。ドーンとまかせてな」

シャドウ慈「頼んだよ駄犬」

チャウ「なんなら一緒に来てもええんやで?旅は道連れっていいますやろ」

シャドウ慈「やめとくよ。私はここに残る。ここを守って、たくさんの楽しい物語を作っていく」

シャドウ慈「るりちゃんが帰ってきたくなるくらい楽しい場所を作ってやる」

270: 2024/11/26(火) 23:46:28 ID:???00
慈「何もかも爆破して壊そうとしていた人のセリフとは思えませんが」

シャドウ慈「私は藤島慈だからね。"楽しい"を作りあげるのがライフワークなのさ」

チャウ「はじめから悪の大魔王なんていなかったっちゅうことや。拍子抜けかもしれんがな」

チャウ「じゃあ、行ってくるで。もう一人の藤島慈、シャドウめぐちゃん」

チャウ「今までよう頑張ったな」

シャドウ慈「ううん、違うよ。私の頑張りはここから」

シャドウ慈「ここからもっともっと楽しいを作り出していって、世界中に届くくらいの楽しさを生み出して、それで」


『世界中を夢中にさせてあげる』

271: 2024/11/26(火) 23:47:52 ID:???00
慈「おおっ、言うね」

瑠璃乃「さっすがめぐちゃんだ」

チャウ「さてと、行きますか」

慈「達者でやりなよ。もう一人の私」

慈「あ!なんか言い残したことあるなら、聞いてあげるよ」

シャドウ慈「じゃあ…質問」

シャドウ慈「大切な人と作った世界にあなたが一人で残されて、それで"大切な人"と"世界"が天秤の反対に乗ってるかもしれないと気づいたら…」

シャドウ慈「あなたはその現実と、どう戦いますか?」

272: 2024/11/26(火) 23:49:20 ID:???00
慈「……」

慈(そんなの、答えは決まってる)

慈(るりちゃんを見ると無言で頷いてくれた…答えは同じ)

慈「答えてあげるよ」

慈(息を吸う)

慈「はい!私たちみらくらぱーく!は」

瑠璃乃「そんなくだらない天秤なんかぶっこわして!」

慈「大切なもの全部守って!ハッピーエンド目指して!」

瑠璃乃「何一つ犠牲にしないで!平和的解決を図ります!」

273: 2024/11/26(火) 23:50:54 ID:???00
シャドウ慈「……ふふっ」

シャドウ慈「…なんだよそれ。そんな綺麗事大っ嫌い」

慈「うん。私も、もちろんそうだよ。綺麗事なんて嫌い」

慈「だから私は綺麗事を綺麗事で終わらしたくないんだ」

シャドウ慈「…そっか、うんうん…そうだよね。なんで忘れてたんだろ」

シャドウ慈「最高の楽しいを諦めない…それがみらくらぱーく!じゃんか」

慈「無理もないよ。私だってるりちゃんがいなくなったらどうなるかわかんない」

シャドウ慈「いってらっしゃい。みらくらぱーく!」

274: 2024/11/27(水) 12:07:19 ID:???Sp
慈(もう一人のるりちゃん、シャドウ瑠璃乃…どこにいるかわからないけど、いることは間違いない)

慈(鍵を集める試練で他のスクールアイドルが私たちを助けてくれた…あれはもう一人のるりちゃんの仕業だろうから)

慈「るりちゃん、覚悟はいい?」

瑠璃乃「うん、もう一人のルリに会いにいこう」

瑠璃乃「ルリね、なんとなくわかるんだ。もう一人のルリの居場所」

瑠璃乃「だか…ら」

慈「るりちゃん…?」

275: 2024/11/27(水) 12:07:59 ID:???Sp
瑠璃乃「ああ、ごめん充電切れ…じゃないなこれ」

瑠璃乃「ちょっと会ってくる…ね」

ふらっ…

チャウ「おっと、危ない」

慈(いきなり眠りに落ちたるりちゃんを駄犬が受け止める)

慈「会ってくるって?まさか」

チャウ「ご主人のとこやろうな」

276: 2024/11/27(水) 23:07:59 ID:???00
みらくらぱーく!⑤-1

大沢瑠璃乃
~声を頃した箱の中で
 笑ってくれたあの子は誰?~

瑠璃乃(ふわふわと漂う、上も下もなく)

瑠璃乃(ここはルリたちだけの場所、大沢瑠璃乃が奇跡的にもう一人のルリと繋がれた場所)

瑠璃乃(ここに来れるのはルリだけだから、ルリが伝えなきゃダメなんだ)

瑠璃乃「出てこい。どちゃくその大バカ!」

瑠璃乃(叫ばなくても聞こえるだろう。でも叫ばずにはいられない)

シャドウ瑠璃乃「ずいぶんな喧嘩腰だね。まあ、そうなるのもわかるけど」

瑠璃乃「わかってんなら!なんでこんなことしたんだよ!」

瑠璃乃「めぐちゃんをあそこまで追い詰めて…」

277: 2024/11/27(水) 23:09:31 ID:???00
瑠璃乃(どんな言い訳をしようと許さない。絶対にあっちゃいけないんだ…あんなことは)

シャドウ瑠璃乃「…….そう…だよね。許されない」

シャドウ瑠璃乃「そんなの…ルリが一番わかってんだ」

シャドウ瑠璃乃「なんでだよ…なんで…ルリは」

瑠璃乃「………?」

シャドウ瑠璃乃「なんで…肝心な時に…頑張れなかったんだろ」

瑠璃乃「肝心な時に…がんばれな…」

瑠璃乃(背筋が凍った…ルリがルリであるからこそ、その言葉の意味がわかってしまった)

瑠璃乃(夢の中だけど口がカラカラになる)

278: 2024/11/27(水) 23:14:01 ID:???00
瑠璃乃「まさか、充電が…」

シャドウ瑠璃乃「……」コクリ

瑠璃乃「……切れた…のか」

シャドウ瑠璃乃「でもま、当然っちゃ当然なんだよ。失敗したのは」

シャドウ瑠璃乃「…もう、わかってんだよね?オリジナルさん…シャドウ瑠璃乃の元になってんのは何なのか」

瑠璃乃(なんで、ルリは怒っていたんだろう。この子がもう一人のめぐちゃんのそばにいれなくなった理由もろくに考えず)

瑠璃乃(同じだ。めぐちゃんの事情も考えずに期待ばっか背負わせてた頃と)

瑠璃乃(そもそも、この子を生み出したのはルリで、多分その大元にあるのは)

279: 2024/11/27(水) 23:15:34 ID:???00
瑠璃乃「……ごめん…ルリが怒るのは、一番違うや」

瑠璃乃(そうだ…間違いない。この子はルリの一番いやだった大沢瑠璃乃の一部)

瑠璃乃(だけどずっと一緒でこれからも一緒に生きてかなきゃいけないルリの一部なんだ)

瑠璃乃「あなたを作ったのは…自分を、周りを、信じられないルリの気持ち…」

瑠璃乃「疑っちゃう大沢瑠璃乃…それがあなただよね」

瑠璃乃(スクールアイドルクラブに入ってめぐちゃんを助けるために乗り越えなきゃいけなかった壁はいくつもあった)

瑠璃乃(だけど、それらは一つの言葉で括れるんだ)

瑠璃乃(いかに自分を、周りを、めぐちゃんを信じられるか)

280: 2024/11/27(水) 23:16:59 ID:???00
瑠璃乃(逆に言えば…ルリにとってそれが一番の戦いだった)

瑠璃乃(もしかしたら…ルリにスクールアイドルなんてできないかもしれない。誰かと一緒にいることが難しいから)

瑠璃乃(もしかしたら…ライブが失敗するかもしれない。ルリにはそれに見合う力も経験もないんだから)

瑠璃乃(もしかしたら………めぐちゃんに気持ちは届かないのかもしれない。めぐちゃんの弱さに気づけなかったルリ自身がめぐちゃんを追い詰めていたんだから)

瑠璃乃(……そういう気持ちとの戦いだった)

瑠璃乃(周りと手を取り合って、ただただ信じて駆け抜けた…きっと一人じゃできなかった、スクールアイドルクラブにいなかったらできなかった)

瑠璃乃(大沢瑠璃乃には、ミジンコだと自分を卑下して、周りからの悪意を想像してしまう…そんな瞬間があるんだから)

281: 2024/11/27(水) 23:18:26 ID:???00
瑠璃乃「ははっ…なんだよ。偉そうに怒る資格なんてねーじゃんか」

瑠璃乃「ごめん。なんも聞かずに一方的に悪者にしちゃった。つらいのはあなたも同じなんだよね」

シャドウ瑠璃乃「…気持ちが落ち着いたようでなにより」

瑠璃乃「ルリさ、みんなに楽しくなってほしくて、でも考えちゃうんだよね」

瑠璃乃「…そんなルリの行動が、言葉が逆にみんなの迷惑になってるんじゃね?とか」

瑠璃乃「もしかしたらルリのこと嫌がってんじゃね…って周りのこと疑っちゃってさ」

瑠璃乃「それで余計にあれこれ考えて、そうすると充電もどんどんなくなって」

シャドウ瑠璃乃「何もできなくなっちゃう…だよね」

282: 2024/11/27(水) 23:19:13 ID:???00
瑠璃乃「ごめん。さっきは怒っちゃったけど、スクールアイドルクラブのみんなに会って、めぐちゃんと上手く行って、大事なこと忘れてた」

瑠璃乃「ルリはミジンコなんだよね。ずっと水槽の中から出たくて、でも出た先でどうなるのか怖くて…」

シャドウ瑠璃乃「だから、どこまでも走っていこうとするめぐちゃんに憧れた」

瑠璃乃「うん、一緒に走っていきたいって思ったんだ。めぐちゃんと一緒に走れるくらい強くなりたいって」

瑠璃乃「それでだんだんできることもやりたいことも増えて」

シャドウ瑠璃乃「……でもダメだったんだ。そうやってどんどん増やしていくほど不安になった、自分を信じられないルリも疑っちゃうルリも消えないんだから」

ゴゴゴゴゴ…

瑠璃乃「え…なんかここ」

283: 2024/11/27(水) 23:20:19 ID:???00
シャドウ瑠璃乃「ごめん、もう…ここも安全じゃないみたいだ」

シャドウ瑠璃乃「ねえ、ひとつだけ聞いていいかな?」

瑠璃乃「いいよ」

シャドウ瑠璃乃「この夢から覚めたら、もう後戻りはできないと思う…こわい?」

瑠璃乃「うん…だけどね。それはもう大した問題じゃないんだ」

瑠璃乃(そうだ。やるべきは怒ることでも、責めることでもない)

瑠璃乃(ミジンコだってすげーんだって、ミジンコも必要とされてるんだって胸を張ってやる。はったりでもいいから)

瑠璃乃(自分を信じる、みんなを信じる…大沢瑠璃乃を見せてやる)

284: 2024/11/27(水) 23:21:35 ID:???00
瑠璃乃「ルリは、めぐちゃんをステージに連れ戻せたんだ。すっげえハードモードをクリアして」

瑠璃乃「だからなんだってできるよ。後戻りなんかしない」

シャドウ瑠璃乃「そうか。じゃあさ…」

シャドウ瑠璃乃「また、会おうね」

…………
……………

「るりちゃん!るりちゃん!」

瑠璃乃「ん…んんん」

慈「よかった!目を覚ました!」

285: 2024/11/27(水) 23:26:14 ID:???00
瑠璃乃「あ…めぐちゃん、グンモーニン」

慈「あ、おはよう…って、そうじゃなくて」

ゴゴゴゴゴ…

瑠璃乃「あれ?この音たしか夢の中で」

瑠璃乃「まだ…ルリ寝てる?」

チャウ「夢やないで、あれ見い」

瑠璃乃「あれ…って、えええええ!?」

瑠璃乃(なんじゃこりゃ…)

瑠璃乃(世界が飲み込まれている?)

286: 2024/11/27(水) 23:27:54 ID:???00
瑠璃乃(飲み込んでるのは…緑のでっかい…ん?)

no title


瑠璃乃(見覚えのある顔のバケモンだな)

287: 2024/11/27(水) 23:30:32 ID:???00
慈「ぼーっとしてないで逃げるんだよ!」

チャウ「まかせてや、ワイの足なら」

んあーー!

no title


瑠璃乃(緑色のバケモノが口を開けてルリたちに迫る)

瑠璃乃「頼んだよ!チャウチャウ!」

チャウ「んおおおおおおお!」

ズドズトズド…

ズドズト……ズド

チャウ「ぜえ…ぜえ」

288: 2024/11/27(水) 23:32:09 ID:???00
瑠璃乃「しまったああ!めっちゃ遅くて体力ないんだった」

んあああーーー!

瑠璃乃「やべえ、どうすんだこれ」

……ぁ……ぅ………

瑠璃乃「……ん?」

瑠璃乃(かすかだけど、バケモノの中からシャドウのルリの声が…)

チャウ「すまん…もう…限界……」

慈「ふざけんなあああああ!いやあああああ!」

パクッ!

瑠璃乃(こうしてルリたちは緑色のこずこずパイセン作品風味のバケモンにパクッといかれたのだ…ちゃんちゃん)

289: 2024/11/27(水) 23:34:16 ID:???00
瑠璃乃「って、そんなんで終われるかー!」

シャドウ瑠璃乃「ちょ…いきなり叫ぶんだ」

瑠璃乃「シャドウルリ!じゃあここは」

シャドウ瑠璃乃「夢の中じゃないよ。その証拠にほら」

瑠璃乃(シャドウルリの指差す先にはめぐちゃんとチャウチャウが気絶していた)

シャドウ瑠璃乃「またねって言ったでしょ?リアルで会うのは初めてだけどさ」

瑠璃乃「待て…待て待て、ルリたちは緑色のバケモンに食われて」

シャドウ瑠璃乃「そう、ここはあれの中さ。食べられたとかお腹の中とか言うのはちょっち違うけどね」

290: 2024/11/28(木) 18:46:57 ID:???00
慈「ん……ん?」

瑠璃乃(めぐちゃんが目を覚ました)

慈「え?…えっと…」

慈「るりちゃんが二人!?…あ、片方はシャドウなのか」

瑠璃乃(ああ、冷静に考えるとシャドウとはいえ同じ顔のが二人って異様な光景なんだよな)

瑠璃乃(…さっきまではめぐちゃんが二人だったんだけどね)

チャウ「ごっしゅじーーーーん!!」

シャドウ瑠璃乃「おお!久しぶりだねーほらほらおいでー」

チャウ「きゃう~~~ん」

瑠璃乃(ものすっごいスピードでチャウチャウがシャドウルリに駆け寄ってきた)

瑠璃乃(いや、そんな早く走れるんなら普段からもっとスピード出せよと思うが)

291: 2024/11/28(木) 18:48:05 ID:???00
チャウ「ワイ、がんばったでーほめてほめてー」

シャドウ瑠璃乃「めぐちゃんのこと頼むって言ったのに戻ってきやがってー、このー主人泣かせのワンコがー」

瑠璃乃(ふっ、なんか目から汗が止まんねーな)

瑠璃乃(……雰囲気で拍手しとこ)

慈「…なんだろ…この私だけ置いてかれてる感じは」

慈「ていうか!さっきの何!?どっかで見たようなむかつく顔のやつ!」

瑠璃乃「あ、そうだよ!さっきのはいったい何なの?」

シャドウ瑠璃乃「そうだね…そろそろ話さないとだよね」

292: 2024/11/28(木) 19:10:36 ID:???00
瑠璃乃「えっと…こずこずパイセンと関係あるの?」

瑠璃乃「あ、いや!別にこずこずパイセンの絵がどうとか言いたいわけではなく」

慈「こんな時まで気遣いとは、るりちゃんはるりちゃんだね~」

シャドウ瑠璃乃「よくわかんないんだよ。ルリも」

シャドウ瑠璃乃「いきなりさ、現れたんだ…あれ」

慈「いきなりって…」

シャドウ瑠璃乃「一つ確かなのは、あれはめぐちゃんを探してるっぽいってこと」

シャドウ瑠璃乃「めぐちゃんを探して、めぐちゃんに関係ありそうなものを取り込んでる」

瑠璃乃「めぐちゃんに関係ありそうなもの…あ、だからあんなふうにパクパクと」

293: 2024/11/28(木) 19:14:07 ID:???00
慈「あの世界はもう一人の私とるりちゃん…あ!シャドウの方ね…二人で作ったものだから」

瑠璃乃「あいつにとっては格好のご馳走ってことか」

慈「ふざけた顔してなかなか酷いことするじゃんあいつ」

シャドウ瑠璃乃「ついでにもう一つの蓮ノ空もかな?めぐちゃんに関係あるものなんかいくらでもあるでしょ?」

慈「あっちにはスリーズブーケとDOLLCHESTRAがいるらしいし、あっちも守んないとか」

シャドウ瑠璃乃「最初にあいつの存在に気づいた時、あいつはまだルリたちが作った世界にも、もう一つの蓮ノ空にも気づいてなかったんだ」

シャドウ瑠璃乃「ルリはどんどん新しく世界を作って、あいつがどっちにも気づかないようにした。それを続ければ守れる…守れたはずなんだ」

シャドウ瑠璃乃「だけど、やっぱさ…ルリは…ミジンコだった」

294: 2024/11/28(木) 21:47:55 ID:???00
瑠璃乃「作り続けるうちに充電きれちゃった…ってことだよね」

慈「それで気づかれちゃったのか」

シャドウ瑠璃乃「ギリギリで思いついた方法…それが」

シャドウ瑠璃乃「ルリがこいつの中に入って、こいつごと誰もいない世界に閉じこもること」

チャウ「こいつだけ誰もいない世界にぶち込むんじゃアカンかったんか?」

慈「それかもう一人の私にちゃんと相談するとか」

シャドウ瑠璃乃「それができるならよかったんだけど、あはは…」

シャドウ瑠璃乃「もう…失敗したくなかったからさ…いちかばちかなんてやってダメだったら取り返しつかねーじゃん…」

295: 2024/11/28(木) 21:49:14 ID:???00
慈「でもさ…さっき、こいつあの世界に来てなかった?」

瑠璃乃「そうだ!さっきのであの世界のこと気づかれてるんじゃ?まさか、あのバケモノがこれからあの世界を」

シャドウ瑠璃乃「あ、大丈夫大丈夫、すぐにまた何もない世界にルリたちごとぶっ込んだから」

シャドウ瑠璃乃「ちっこい世界作って閉じ籠るのは…ルリが昔からやってきたことだからさ…ま、しばらくは持つよ」

慈「………」

シャドウ瑠璃乃「あ、みんなはどっかのタイミングでバレないように出すから安心してよ。ルリが残ってれば…」

シャドウ瑠璃乃「えっと…」

シャドウ瑠璃乃「………えっと」

296: 2024/11/28(木) 21:50:11 ID:???00
瑠璃乃(もう一人のルリ、シャドウルリは顔を伏せる)

慈「そんなことしても、同じことの繰り返しだよね?」

慈「嘘ついて、大丈夫なんて言わなくていいよ」

シャドウ瑠璃乃「…ごめん」

シャドウ瑠璃乃「でもね!みんなをここから出したいってのは!」

瑠璃乃(顔を上げたシャドウのルリの口にめぐちゃんが人差し指を当てる)

シャドウ瑠璃乃「本当なんだ…」

297: 2024/11/29(金) 22:35:09 ID:???00
慈「わかってるよ。るりちゃんはいつだって周りのみんなのことを考えてるって」

慈「こっからは私たちにまかせんしゃい。大丈夫なんとかなる!」

瑠璃乃「…あなたの事情はなんとなくわかったからさ、ルリとめぐちゃんに任せてよ」

シャドウ瑠璃乃「え、それって…まさか」

慈「遠慮すんなってこと!言わせんなはずかしい」

チャウ「ワイもいるから心配ないで!三人と一匹集まれば文珠様もなんのそのや」

シャドウ瑠璃乃「そっか、ここには三人と一匹が…いるんだ」

瑠璃乃「じゃあさっそく作戦タイムだ!」

……
…………

298: 2024/11/29(金) 22:37:14 ID:???00
慈「とは言ったもののですよ?情報が圧倒的に足りないわけですよ奥さん」

瑠璃乃「あらあら、困りましたわね」

チャウ「情報が足りないと言いますがめぐちゃんさん。何が知りたいのかしら?」

慈「ほほほ、ではあれの弱点など知っていらしたら教えていただきたいでございますですわ」

チャウ「ほほほ、ご主人は何かあいつの弱点などご存じかしらやん?」

シャドウ瑠璃乃「そうでございますわねー」

瑠璃乃「おほほ、何でもよろしくってよ」

瑠璃乃「ねえ……やめない?これ」

慈「そうだね、うん。ふざけてる場合でもないでしょ」

299: 2024/11/29(金) 22:38:20 ID:???00
シャドウ瑠璃乃「おほほほ、やめましょうことよ」

チャウ「ご主人!ふざけるのはストップや」

シャドウ瑠璃乃「そ、そうだね。ごめん」

シャドウ瑠璃乃「で、あいつの弱点ね。まあ…心当たりがないわけでもないかな」

シャドウ瑠璃乃「ただ、その前に。さっきも言ったけどあいつはめぐちゃんを狙ってるわけで」

シャドウ瑠璃乃「めぐちゃんはどっか安全なとこに送って、ルリ二人とチャウチャウで何とかしたいかな」

慈「ちょっと、私だって何とかしたいんだけど」

チャウ「ワイとしてはむしろめぐちゃんが狙われていることを上手く使うべきやと思う」

300: 2024/11/29(金) 22:39:19 ID:???00
チャウ「ということで、囮を頼めんかな?めぐちゃん」

瑠璃乃(チャウチャウがめぐちゃんに近づく、それに合わせるようにシャドウルリも視線をめぐちゃんに向ける)

慈「あのさぁ…囮とか人を何だと思ってんのさ」

慈「な、ん、て、ね、実は私も考えてたのさ…めぐちゃん囮大作戦をね」

瑠璃乃「大丈夫?めぐちゃん」

シャドウ瑠璃乃「えっと、めぐちゃんが囮になってくれるってこと…?でもさ」

瑠璃乃(不安になるのもわかる。ルリもめっちゃ心配だ…万が一にでもめぐちゃんに危ないことがあれば)

チャウ「ワイがずっとめぐちゃんのそばにいたるわ。それならええやろ」

シャドウ瑠璃乃「…絶対にめぐちゃんが危なくならないようにしてね」

301: 2024/11/29(金) 22:43:15 ID:???00
チャウ「任せてや。よろしくな、めぐちゃん」

慈「逆に危険な気がするんだけどな」

チャウ「ひどい!ワイがめぐちゃんになんかしたか?」

慈「…最初会った時にしまくってたの忘れた?」

瑠璃乃「ま、まあ…助けてもらったのとトントンってことに」

シャドウ瑠璃乃「あ…あははは」

瑠璃乃「で、めぐちゃんを囮にするとしてそこからは?」

チャウ「あれを倒す手段が思いつかんことにはな」

慈「そうだ!いっそ私たちのラップでどーんと!」

302: 2024/11/29(金) 22:43:56 ID:???00
シャドウ瑠璃乃「………」

シャドウ瑠璃乃「一つ気になることがあるんだ」

慈「スルー!?いくら私でもそいつはダメージ不可避なんだが!?」

瑠璃乃「ま、まあまあ話を聞こうよ」

瑠璃乃「…気になることって?」

シャドウ瑠璃乃「ここ数時間で何回か、こいつが苦しんでた瞬間があったんだよ」

慈「苦しんでた…?」

瑠璃乃「いつ?その時のこととかわかればもしかしたら」

シャドウ瑠璃乃「えと…ルリはずっと引きこもってたもんで、はっきりとは…」

303: 2024/11/29(金) 22:45:05 ID:???00
シャドウ瑠璃乃「ただ、最初はルリがオリジナルのルリと一回目に会う少し前だった」

瑠璃乃「ってーと、業火の鍵手に入れたあたりか」

シャドウ瑠璃乃「その後も何回か、で一番最近は…」

シャドウ瑠璃乃「みんながここに来る直前、かな?」

瑠璃乃「ここにくる直前ってなんかあった?」

慈「もう一人の私と別れて、ルリちゃんがいきなり寝て…」

シャドウ瑠璃乃「ごめん…特に思い当たることはないかな」

慈「まあ、でもさ!こいつにダメージを与える何かがあるってのがわかっただけでも前進だよ」

304: 2024/11/29(金) 22:47:21 ID:???00
瑠璃乃「そうだよね。うん!なんだかメラメラ燃えてきたぞ」

ゴゴゴゴゴ…

瑠璃乃「およ!?」

シャドウ瑠璃乃「…これだよ、苦しんでる」

慈「ってことは今なんかあったんだ!」

ゴゴゴゴゴ…ゴゴゴゴゴ…

シャドウ瑠璃乃「…おかしいな。いつもよりも激しい」

チャウ「なあ…なんか狭くなってへん?」

瑠璃乃(チャウチャウが言う通り、この空間の壁のようなものがいつの間か現れてじわじわとルリたちに迫ってきていた)

慈「つ、潰れる?このままじゃ」

305: 2024/11/29(金) 22:49:27 ID:???00
瑠璃乃「どうすんだこれ」

チャウ「一旦脱出や、ご主人!」

シャドウ瑠璃乃「そうだね」

チャウ「たああっ!」

シャドウ瑠璃乃「間に合えっ!」

瑠璃乃(チャウチャウとシャドウルリが空間に穴を空ける)

慈「えっと…ここを通ればいいの?」

チャウ「せや、ワイとご主人が頑丈に外までの道を作った!こいつが何しようと壊れん外までの道や!」

306: 2024/11/29(金) 22:50:37 ID:???00
瑠璃乃「行こう!」

慈「ああ!ぶっつけだけどやってやろう!」

瑠璃乃(めぐちゃんと穴に飛び込む、少し遅れてチャウチャウとシャドウルリも続く)

瑠璃乃(飛び込んだ先、目を開けるとそこには…)

んあああああああ!!

瑠璃乃(緑のバケモノが、触手全開で暴れていた)

瑠璃乃「いや、ルリたち氏ぬくね!?これ!」

慈「はは、こりゃやばい」

307: 2024/11/29(金) 22:57:43 ID:???00
シャドウ瑠璃乃「まさかここまでになってるなんて」

no title


ウジャアアアアアアア

瑠璃乃「ひいっ!」

瑠璃乃(ああ…触手が一斉にこっちへ…)

瑠璃乃(これで終わり…かな)

シュルル…

瑠璃乃「お!?」

瑠璃乃(触手はルリたちにたどり着く直前に"何か"に吸い込まれていく)

308: 2024/11/29(金) 23:02:43 ID:???00
チャウ「やらせへんで!今のワイは本気以上に本気なんや!」

瑠璃乃「チャウチャウ!」

チャウ「触手がどんなに関係あらへん!当たらんからな!」

んああああ…

瑠璃乃(触手を引き戻してバケモノが唸る、ぶつからない触手をいつまでも伸ばしてるほど馬鹿じゃないみたいだね)

慈「やるじゃん駄犬のくせに」

チャウ「ご主人!ワイらの力、思い知らせたろ!」

シャドウ瑠璃乃「そうだね…やろう!」

309: 2024/11/29(金) 23:03:52 ID:???00
チャウ「ワイがめぐちゃんを守るから、ご主人はルリちゃんをよろしくや!」

シャドウ瑠璃乃「おっけー!やるよ」

慈「それで、私たちはどうすればいい?」

チャウ「色々試してこいつが苦しんでた原因を見つけてほしい」

瑠璃乃「色々試すか…オッケー!」

シャドウ瑠璃乃「それまであいつの攻撃は通さない、やってやるよ!」

瑠璃乃「へへ…ずいぶん強気じゃんか」

シャドウ瑠璃乃「不思議なんだ。ルリは大沢瑠璃乃の不信感から生まれたはずなのに」

シャドウ瑠璃乃「なんかね、さっきから胸がドキドキすんだ」

瑠璃乃「そっか、うん!」

310: 2024/11/29(金) 23:06:27 ID:???00
慈「……ねえ、るりちゃん」

瑠璃乃「ん?どしたの?」

慈「ちょっと耳貸して」

瑠璃乃「え?うん…」

チャウ「なんやなんや~ワイにも聞かせてーな」

慈「乙女の会話に割り込むな駄犬が」

慈「えっとさ…」

瑠璃乃(めぐちゃんがルリだけに聞こえるように話す)

瑠璃乃「……え?なんで」

311: 2024/11/29(金) 23:08:40 ID:???00
慈「私もさ、はっきりとは言えない…あいつを倒すのと、これは関係ないかもしれない。でも、ほっといたらいけない気がするんだよ」

慈「だから、一回試すだけでいい」

瑠璃乃「……わかった」

んあああ!!

瑠璃乃「じゃあ、あいつの弱点探しながらできそうな時狙って試そう」

慈「うん、よろしく…」

312: 2024/11/29(金) 23:09:20 ID:???00
瑠璃乃(なんで、めぐちゃんが"こんなこと"しようなんて言ったのかわかんない…でも)

慈「…当たるなよ…私の予感」

瑠璃乃(真剣な顔で呟いためぐちゃんを見たら、やらないなんて選択肢はありえなかった)

慈「じゃあ、はじめようか。あの緑のを倒そう!3人と1匹で」

瑠璃乃「まずは…」ヒューン

慈「いっちょぶちかましますか?」ヒューン

313: 2024/11/29(金) 23:19:00 ID:???00
【慈】
green monsterとかエナドリみたいでは?
飲み干そうかいのど爽快ってさ
熱烈摂取で眠れず泣いては
やっぱ飲み過ぎよろしくないってば

マジカルアイテムマイクでマジ狩る
私にでかいエナジー湧き出す
あいさつは愛ある大爆発だ
開いた口のあんたアンサーあります?

https://suno.com/song/d738e059-632f-420b-ab79-06f16b70b742

314: 2024/11/29(金) 23:20:44 ID:???00
慈「いっけえええ!」

ドオオオオオオオオオン!

瑠璃乃「しゃあ!直撃!」

慈「やったか!?」


瑠璃乃(爆炎の向こう、緑の化け物は)

んあああ?

瑠璃乃「無傷!?」

慈「そんなのあり!?」

315: 2024/11/29(金) 23:21:42 ID:???00
瑠璃乃(てな感じで初手ラップ無傷からはじまった戦いであるが)


………

……………


瑠璃乃「ぜえ…ぜえ…」

慈「はあ…はあ…」

チャウ「な…なんも…手がかり無し…」

シャドウ瑠璃乃「色々やったんだが…」

316: 2024/11/29(金) 23:22:45 ID:???00
瑠璃乃(もう、マジに色々やった)

瑠璃乃(触手の攻撃に対処しながら、腹筋、スクワット、プランクみたいな動作を思いつく限り試したのはもちろん)

瑠璃乃(大声で愛を叫んだり、しりとりしたり、即席ワードウルフしたり、山手線ゲームしたり)

瑠璃乃(ドロケイしたり、危険承知でゴロゴロだべったり、ゲリラライブをしてみたり)

瑠璃乃(で、すべて効果なしで今に至るわけだ)

んあああああああっ!

瑠璃乃(緑の化け物はあいかわらず触手の猛攻を緩めない)

チャウ「くっ!」

瑠璃乃(処理しきれなかった触手がめぐちゃんに迫る)

317: 2024/11/29(金) 23:23:38 ID:???00
慈「ははっ……心配無用…さ!」

瑠璃乃(触手を避けてめぐちゃんはダッシュした、チャウチャウとはずいぶん距離が離れたけど無傷だ)

瑠璃乃(……あ)

瑠璃乃(そうか、めぐちゃん…今なんだね)

瑠璃乃「大丈夫!?めぐちゃん!!」

瑠璃乃(ルリはめぐちゃんに声をかける)

慈「もう一人のるりちゃん!チャウチャウの代わりに援護よろしく!」

シャドウ瑠璃乃「……」

318: 2024/11/29(金) 23:25:04 ID:???00
瑠璃乃「めぐちゃん!もう少しふんばって!」

シャドウ瑠璃乃「……めぐちゃん!行くよ!」

瑠璃乃(シャドウルリは手を差し出す…でも)

瑠璃乃「…………え?」

瑠璃乃(空気が凍る。明らかにおかしい光景に)

瑠璃乃「嘘だよね…なんで」

慈「……こういうことなんだよ。るりちゃん」

チャウ「っ…ご主人…すまん…」

瑠璃乃(チャウチャウが震えてる、そうか…チャウチャウは気づいてたんだ)

319: 2024/11/29(金) 23:25:39 ID:???00
シャドウ瑠璃乃「あ、あれ?どうしたのみんな?」

慈「当たってほしくなった…でも、間違いないか」

シャドウ瑠璃乃「???」

瑠璃乃「ねえ…なにやってるの?」

瑠璃乃(緑の化け物の攻撃は"なぜか"やんでいた…)

瑠璃乃(心が痛い、でもわかったのなら言わないと)



瑠璃乃「あのね…………」

瑠璃乃「………そっちにはめぐちゃん、いないよ?」

320: 2024/11/29(金) 23:27:18 ID:???00
みらくらぱーく!⑤-2

大沢瑠璃乃
~強くて無敵なあの子の涙
 拭うため箱から腕を伸ばした~

瑠璃乃「…そういうことだったんだね」

シャドウ瑠璃乃「…………」

瑠璃乃(もう一人のルリ、シャドウルリは…めぐちゃんのいない方向を見て、めぐちゃんのいない方向に向かって)

瑠璃乃(あたかもそこにめぐちゃんがいるかのごとく振舞っていたんだ)

シャドウ瑠璃乃「あ…あれ?だってめぐちゃんは…」

チャウ「ワイの近くにいるはず…やな…」

シャドウ瑠璃乃「い、いやいや何言ってんだよ。さっきはちょっと違う方向だったけどさ…めぐちゃんの居場所くらいわかるって」

321: 2024/11/29(金) 23:28:59 ID:???00
慈「じゃあ、今私がどこにいるかわかる?駄犬は動くのも喋るのも禁止ね」

シャドウ瑠璃乃「だってめぐちゃんだよ?ルリの一番の親友の、離れててもお互い1日も忘れたことなんかなかった」


慈「……ああ、そっか」


シャドウ瑠璃乃「そんなめぐちゃんのことをさ!」



慈「……聞こえてすらないんだね。私の声」



シャドウ瑠璃乃「わからないなんて、そんなの!」




慈「それでもなんとかしようとしたんだ。頑張ったじゃん」





シャドウ瑠璃乃「そんなことあるわけ…さ、ないじゃんか」

シャドウ瑠璃乃「信じてよ!ルリは、めぐちゃんのこと…」


チャウ「もうええんや!そこを頑張んのはやめようご主人!」

322: 2024/11/29(金) 23:32:15 ID:???00
チャウ「…なんとかできると思ったんや、隠したままでも」

慈「無理だよ。こんなの…私が気づかないわけない」

瑠璃乃「あのね。さっきめぐちゃんに言われたんだ」

瑠璃乃「もしも、めぐちゃんとチャウチャウの距離が離れる瞬間があったら…」

瑠璃乃「めぐちゃんのいない方向、できればチャウチャウのいる方向に向かってめぐちゃんがいるように振舞ってほしいって」

チャウ「なるほど…そこまで気付いとったか」

瑠璃乃「言われた時は意味わかんなかったけど、これをはっきりさせるためだったんだね」

瑠璃乃「こんなの、わかりたくなかったよ」

慈「………ごめん」

323: 2024/11/29(金) 23:34:04 ID:???00
瑠璃乃「実はさ、ルリもなんかずっと違和感があったんだ。その違和感がなんなのかわかった」

瑠璃乃「あなたは一度も自分からめぐちゃんを見てなかった。めぐちゃんが話してる時に反応が少し遅かった」

慈「ルリちゃん、つらいなら私が代わりに言お…」

慈「いや、それは……できないんだよね。私には」

瑠璃乃「それだけじゃない。あなたとめぐちゃんは一度だって…」

瑠璃乃「直接…話してなかった。間にチャウチャウかルリが入って会話が成り立ってただけ」

瑠璃乃「つまり、何が言いたいかって」

瑠璃乃(ああ…つれーよ…想像するだけで地獄なんだよ)

瑠璃乃「あなたはっ!ある一つのものが認識できない!ううん、できなくなっちゃった!違う?」

324: 2024/11/29(金) 23:35:24 ID:???00
瑠璃乃「その、ある一つのものとは…」

瑠璃乃「………」

慈「るりちゃん」

瑠璃乃(言えないよ)

瑠璃乃(だって目の前にいるのはルリなんだ…)

瑠璃乃(突きつけるなんて残酷すぎるよ)

シャドウ瑠璃乃「いいよ…こっちから言う」

シャドウ瑠璃乃「そうだよ。ルリはめぐちゃん…藤島慈を認識できないし、触れることもできない…」

325: 2024/11/29(金) 23:36:43 ID:???00
シャドウ瑠璃乃「ううん、触れてもそれがわからないってのが正しいんだろうね」

シャドウ瑠璃乃「ルリがさよならした時さ…めぐちゃん、泣いてたんだって………そんなことも気づかなかった。チャウチャウから聞くまで」

シャドウ瑠璃乃「聞いた後だって。めぐちゃんに関わることの無いように、限りなく回り道をして、認識できる情報をもとに考えて、間接的に関わることしかできなかった」

瑠璃乃「そこまでなんだ…」

シャドウ瑠璃乃「あなたと夢以外で会おうとした時だって、めぐちゃんまで来るなんて思わなかった」

シャドウ瑠璃乃「はは…めぐちゃんいるって聞いて驚いたよ。チャウチャウがフォローしてくれたけどさ、誤魔化しきれなかった」

慈「……馬鹿だよそんなの」

326: 2024/11/29(金) 23:38:53 ID:???00
シャドウ瑠璃乃「周りの様子見てうまく合わせるなんて、ずっとやってきたことなのにな…それでも、やっぱりダメだった」

シャドウ瑠璃乃「めぐちゃん怒ってる…のかな?怒ってるよね。ごめん」

シャドウ瑠璃乃「あ、もしかしたら話…噛み合わなくなってるかもだね…はは」

瑠璃乃「なんで、めぐちゃんが認識できないなんてことに」

シャドウ瑠璃乃「あの緑の化け物を止められなかった。失敗してもうダメだって時にさ…気づいちゃったんだ」

シャドウ瑠璃乃「ああ、そうだ…ルリの中にもめぐちゃんと作ったものがあるじゃんって」

瑠璃乃「まさか…」

シャドウ瑠璃乃「他の方法なんて思いつかなかった。だから差し出したよ…ルリの中の藤島慈を。あいつを止めるために何度も」

327: 2024/11/29(金) 23:47:44 ID:???00
シャドウ瑠璃乃「最初は声が聞こえにくくなって、だんだん姿も見えなくなって、わからなくなってったんだ。めぐちゃんが」

瑠璃乃「なんだよ…それ」

シャドウ瑠璃乃「それでやっと思い知った。取り返しのつかないことしたんだって」

シャドウ瑠璃乃「こわかった。めぐちゃんにそれがバレたらって思ったら」

瑠璃乃「じゃあ、『めぐちゃんがいなくなるのもいや。だからお別れだよ』…ってのは」

シャドウ瑠璃乃「ルリの中から、藤島慈がいなくなる…そういう意味だよ」

シャドウ瑠璃乃「だからさ、責任は取るとして、せめてまだめぐちゃんのことがわかるうちにお別れだけはしときたかったんだ」

シャドウ瑠璃乃「でもそんなの、ルリの身勝手なわがままだった!だって…今思い返したら」

んああああああああ!

瑠璃乃「!!!」

328: 2024/11/29(金) 23:49:37 ID:???00
チャウ「こんな…時に」

瑠璃乃(緑のバケモノが…また暴れ出した)

シャドウ瑠璃乃「ごめん…ごめん…ルリはめぐちゃんから逃げたんだ…ルリは…」

チャウ「ちゃうはずや!」

瑠璃乃「チャウチャウ…」

チャウ「失敗したけど、それでもご主人はこいつを止めようとしたんやろ?その後のだって全部めぐちゃんのためにやったことやろ?」

チャウ「たった一人になってでも、ご主人はできることをやったんやろ。めぐちゃんのために」

瑠璃乃「そうだよ。…めぐちゃんから逃げたのとは違うよ」

シャドウ瑠璃乃「違わないよ。どんな形だってルリはめぐちゃんを捨てたんだ…悲しませたんだ…しかも」

329: 2024/11/29(金) 23:50:46 ID:???00
シャドウ瑠璃乃「そんなことをしておいて…何一つ解決できなかった…もう…戻れないよ…ごめん」

シャドウ瑠璃乃「ごめん…めぐちゃん…こんなルリでごめん…」

瑠璃乃「お、落ち着こう…ほ、ほら…」

瑠璃乃「……え」

瑠璃乃(シャドウのルリの体から…なんかでてる?)

瑠璃乃(それはもやもやとした…緑の)

瑠璃乃「なんで、緑……」

んあああああああ!!

瑠璃乃「緑のもやもやがあいつに吸い込まれていく」

363: 2024/11/30(土) 12:33:22 ID:???Sp
慈「……補色……」

瑠璃乃「へ?」

慈「う、うん…こんな時に言うことじゃないよね」

慈「でもさ、ふと思ったんだ」

慈「緑はピンクの補色…反対の色だよなって」

瑠璃乃「いやいや、だとしても」

瑠璃乃(……!?)

瑠璃乃(その瞬間、ルリの中でまったく同じ音の二つの言葉がぶつかった)

瑠璃乃(ほ し ょ く)

瑠璃乃「あ…」

364: 2024/11/30(土) 12:34:12 ID:???Sp
チャウ「ご主人!しっかりしてなご主人!」

瑠璃乃「チャウチャウ!ちょっと時間稼げる?」

チャウ「なんか…わかったんか?」

瑠璃乃「合ってるかはわかんない。でも確かめたいことがあるんだ」

チャウ「…ラジャーや。ワイがあいつ食い止めたる」

瑠璃乃「そんでめぐちゃんはルリたちのこと隣で見守ってて」

慈「見守るだけでいいの?」

瑠璃乃「うん。それを一番にお願いしたい」

チャウ「頼んだで!時間はたっぷり稼いだる」

チャウチャウ「覚悟せいや!緑のバケモン」

365: 2024/11/30(土) 12:35:36 ID:???Sp
瑠璃乃(どれだけ時間があるんだろう…チャウチャウだってそろそろ限界かも)

瑠璃乃(ううん!チャウチャウを信じて、ルリはこっちに集中だ)

瑠璃乃「……じゃあまずは…よっと!」

瑠璃乃(へたり込んでるシャドウルリのほっぺを引っ張る)

シャドウ瑠璃乃「……ほ……へ?」

瑠璃乃(思わぬ扱いに驚いて正気に戻ったみたいだ。よし)

瑠璃乃「聞こえてる?ちょっち話したいことあるんだ」

シャドウ瑠璃乃「…ふん…ひひよ…」

瑠璃乃(おっと、このまんまじゃ話ができないな。引っ張ってたほっぺを離す)

366: 2024/11/30(土) 15:39:08 ID:???Sp
瑠璃乃「ルリも試してみたいことができたんだ。そんで、それにはあなたの力も必要なんだ」

慈「なるほど、こんどはるりちゃんの番か」

シャドウ瑠璃乃「…なんなの?やりたいことって」

瑠璃乃「その前に話さなきゃなんねーことがあんだ…はは」

瑠璃乃「あいつを生み出したのはルリたち…なんだと思う」

シャドウ瑠璃乃「…………え?」

慈「ちょっと、わけわかんないよ」

瑠璃乃「さっきあなたから緑のが出てきてあいつに取り込まれたんだ」

瑠璃乃「緑はね…ピンクの逆の色なんだ。緑はルリたちにとって自分とは逆の色…」

367: 2024/11/30(土) 15:41:00 ID:???Sp
瑠璃乃「つまり、あいつはルリたちの『逆の色』の化け物で『食べる』化け物」

シャドウ瑠璃乃「あ……」

瑠璃乃「…そうだよ。あれはルリたちから生まれた『ほしょく』のバケモノなんだ」

シャドウ瑠璃乃「いや、そんなの…」

瑠璃乃「うん、くっだらない言葉遊びの推測だよ。ピンクの補色だから緑、補色だから捕食して…その狙いは…めぐちゃん」

瑠璃乃「色んな色になれて、色んなものを手に入れて、自分に自信を持っていたのがめぐちゃんだから」

シャドウ瑠璃乃「……」

瑠璃乃「ま、ここはただの前置きだし外れてるならそれでもいい。あいつの正体がなんだろうと、思いついたあいつを倒す方法が当たりなら」

368: 2024/11/30(土) 15:47:11 ID:???Sp
シャドウ瑠璃乃「…あいつを倒す方法?」

瑠璃乃「あいつは何回か苦しんでたんだよね。そのタイミングが聞いた通りで、ルリの予想通りなら」

瑠璃乃「…確かめてみるよ」

瑠璃乃(目を閉じて蓮ノ空での日々を思い浮かべる、これまでの旅を思い浮かべる…すると)

ん…あ゛あ゛あああ!!

瑠璃乃(緑の化け物が苦しむ。心なしかサイズも縮んでる)

瑠璃乃「当たりってとこか」

慈「えーっと」

瑠璃乃「やっぱりだ。ルリはルリでいいんだって思えばいい」

369: 2024/11/30(土) 15:48:59 ID:???Sp
瑠璃乃「自分の反対の『補色』の力も自分に無いものを取り込む『捕食』も必要ないんだって思うだけでいい」

チャウ「なるほどな」

瑠璃乃「おおっと、チャウチャウ!」

チャウ「あいつが動けんくなった今がチャンスや!畳み掛けるで」

慈「よっしゃやるぞ」

瑠璃乃「やるのはルリたちだけどね」

シャドウ瑠璃乃「……そっか」

瑠璃乃「……?」

シャドウ瑠璃乃「うん、そうだよね。やっぱりルリはいない方がいい」

370: 2024/11/30(土) 15:53:24 ID:???Sp
チャウ「ご主人…」

シャドウ瑠璃乃「知ってるでしょ?ルリ…シャドウのルリは、自分も周りも信じられない。そう生まれたんだ」

シャドウ瑠璃乃「あいつを倒すなら、オリジナルのルリだけでいい。足を引っ張るシャドウは、いらない」

シャドウ瑠璃乃「…こうするのが。一番いいんだ」

ゴゴゴゴゴ…

瑠璃乃「なに…する気?」

シャドウ瑠璃乃「ルリはさ、やっぱ最後まで迷惑かけるだけなんだよ…だから」

バキッ…

シャドウ瑠璃乃「ここでいなくなることにするよ」

瑠璃乃「やめ…」

371: 2024/11/30(土) 15:55:58 ID:???Sp
瑠璃乃(空間が割れた、シャドウのルリを横切るように)

チャウチャウ「やめてや!!それだけは…あかん!」

瑠璃乃(チャウチャウが割れた空間に飛びつく)

シャドウ瑠璃乃「じゃあね、本物のルリとめぐちゃん」

シャドウ瑠璃乃「ありがと。チャウチャウ、おかげでもう思い残すことはないよ」

瑠璃乃(シャドウのルリが割れた空間に沈んでいく)

チャウチャウ「くっ!間に合ってや!」

ガシッ…

シャドウ瑠璃乃「チャウチャウ…?」

372: 2024/11/30(土) 15:57:26 ID:???Sp
チャウチャウ「よかった…間に合った」

瑠璃乃(チャウチャウは沈んでいくシャドウルリを掴んでいた、短くて不器用な腕で必氏に)

んあああああ!

瑠璃乃「しまった!バケモノがまた」

ヒュンヒュンヒュン

瑠璃乃(触手がめぐちゃんの方に…)

チャウチャウ「こなくそああああああ!」

シャドウ瑠璃乃「チャウチャウ!?」

バキバキバキバキ

瑠璃乃(チャウチャウが叫ぶと空間の割れ目が広がった)

373: 2024/11/30(土) 15:59:08 ID:???Sp
チャウ「ワイの底力、見せたるわああ!」

瑠璃乃(広がった空間からシャドウのルリを外に放り投げる)

チャウ「まだまだあああっ!!」

瑠璃乃(そのままめぐちゃんに向かう触手の先に穴を作る)

瑠璃乃「おお!」

慈「サンキュー、駄犬」

チャウ「へへっ、ワイが本気を出せばこんなも…」

ザシュ……

チャウ「…あれ?」

374: 2024/11/30(土) 16:18:43 ID:???Sp
瑠璃乃「チャウチャウ!!!」

瑠璃乃(たった一瞬だった…油断した一瞬の隙に)

瑠璃乃(チャウチャウの胴体を……触手が貫いていた)

チャウ「なんで、ワイが……こんな…」

チャウ「…だって狙いは…」

んああああああああ!!

チャウ「……そうか、やめたんやな…ただ"藤島慈を捕食する"だけの存在であることを」

ザシュ、ザシュ、ザシュ

瑠璃乃(もずの早贄と化したチャウチャウの体を触手が貫いていく)

375: 2024/11/30(土) 16:21:32 ID:???Sp
慈「なんでだよ!狙いは私のはず…」

シャドウ瑠璃乃「助け…なきゃ!!」

ブゥゥン!

瑠璃乃(シャドウルリが触手の途中に空間の穴を作ってチャウチャウを貫いていた触手を斬る)

ドサッ…

シャドウ瑠璃乃「チャウチャウ…」

瑠璃乃(チャウチャウが無惨に転がる)

シャドウ瑠璃乃「…いやだ…やだよ…」

シャドウ瑠璃乃「…助け…るんだ…チャウチャウは…ルリの」

シャドウ瑠璃乃「ルリの…大事な…!」

瑠璃乃(緑のバケモノとルリたちの間の大きな穴はまだ消えてない…だんだん小さくはなってきてるけど、時間稼ぎにはなる)

376: 2024/11/30(土) 16:23:55 ID:???Sp
チャウ「ご主人…あんがと」

シャドウ瑠璃乃「なんでだよ!なんで…こんなこと!」

シャドウ瑠璃乃「ルリを助けたりなんかしたんだよ!そのせいで自分が」

チャウ「ごめんな。気づいたら体動いてた」

シャドウ瑠璃乃「だから、なんで!」

チャウ「見とうなかったから、かな?」

シャドウ瑠璃乃「見たくなかった?」

チャウ「自分のこと…あんなふうに無体にするご主人なんてワイは嫌やもん」

377: 2024/11/30(土) 16:25:29 ID:???Sp
チャウ「ご主人…自分のこと、あんなふうに言わんといて」

チャウ「ワイの……大好きなご主人……は、優しいんや…だから、自分にも……優しくなってほしい…な」

シャドウ瑠璃乃「自分にも……優しく?」

チャウ「信じられんなら…それでもええやん」

チャウ「不安で、よわ…よわで、信じることが苦手でも…」

チャウ「それでも、誰かのため…に強くなろうとして、今こうやって…ワイを助けようと動いた」

チャウ「そんなご主人のこと…ワイは…大好きやで」

シャドウ瑠璃乃「……っ」

378: 2024/11/30(土) 16:27:32 ID:???Sp
チャウ「ワイだけやない…ご主人のこと…」

チャウ「み…んな…」

瑠璃乃(チャウチャウが消えていく…)

チャウ「まっ…でもな…後悔はない…ワイは曲げんかったから」

チャウ「ご主人を守ることだけは、やりとげたんや…土壇場であり方を曲げることは…せんですんだ!」

チャウ「なあ…緑の……果たして…勝ったのは」

チャウ「どっち……やろな…」ニヤッ

瑠璃乃(そうやって満足そうに笑って、チャウチャウは消えた…)

379: 2024/11/30(土) 16:31:52 ID:???Sp
シャドウ瑠璃乃「どうすれば…よかったんだよ…結局、ルリのせいでチャウチャウまで」

シャドウ瑠璃乃「だれか…おしえてよ」

瑠璃乃「あのね…ルリ思うんだ」

フラッ

瑠璃乃「あ……」

瑠璃乃(力が抜ける、目の前がだんだんまっくらに)

瑠璃乃(やばい、これ…なんでこんなときに)

瑠璃乃(じゅうでん…きれ…)

シャドウ瑠璃乃「なんだよ…そっちも…かよ」

380: 2024/11/30(土) 16:34:16 ID:???Sp
瑠璃乃(シャドウのルリも…じゅうでん…なくなって…るみたい)

慈「ああ!もう、うっさいなあ!私の前で、ルリちゃんの顔と声でうだうだと!」

ガシッ!

瑠璃乃(ああ…ルリ二人を…ギリギリ…キャッチ)

慈「駄犬、あんたはすごいよ。根性みせた…うん」

瑠璃乃「……めぐ…ちゃ」

慈「そうだ…そうだよ…ずっとそうだった」

慈「このバケモノは、駄犬を食べなかった。もう一人の私に作られた存在なのに」

瑠璃乃「……あ」

慈「拒絶してたんだ。このバケモノが拒絶したくなるもんを駄犬は見せてたんだ…」

381: 2024/11/30(土) 16:41:38 ID:???Sp
慈「だからこっからはさ、私たちが根性見せる番だ」

瑠璃乃「こん…じょう…」

慈「特にシャドウのるりちゃん!あなたはどう答えるの?駄犬の残した言葉に」

瑠璃乃「めぐ………ちゃん、それさえも……この子には」

慈「ああー!聞こえないんだよね」

慈「…ま、どっちだっていいよ」

慈「私はもう一人の私に宣言しちゃったんだ。ルリちゃんと一緒に走り抜けてやるって」

瑠璃乃「……そうだったね、うん…きこえてたよ」

382: 2024/11/30(土) 16:44:03 ID:???Sp
慈「だから!こうしてっ!やるんだよ!」

もぎゅっ!

瑠璃乃「…………はふっ!?」

シャドウ瑠璃乃「…………きゃひっ!」

瑠璃乃(まてまてまてまて!二人同時ハグ!?ダブルるりの、ハグbyめぐちゃん!?)

シャドウ瑠璃乃「なに?いきなりぶつかってきて…身動きとれないんだけど」

慈「あ、ルリちゃん、現状伝えてあげて」

慈「二人まとめて、私がハグしてチャージしてるから!しばらくじっとしとけってさ!」

瑠璃乃「お、おう…」

383: 2024/11/30(土) 16:46:50 ID:???Sp
瑠璃乃「あ、えっと!めぐちゃんがハグしてやるからしばらくじっとしとけ!だそうです」

シャドウ瑠璃乃「は、はい!?」

瑠璃乃「ん!んんんんん!くる!くるよこれ!」

瑠璃乃「めぐちゃん…へへっ…やっぱめぐちゃんはすげーや」

シャドウ瑠璃乃「えと、もう動いても」

慈「オッケーじゃないかな!」

瑠璃乃「オーケーだそうです」

384: 2024/11/30(土) 17:52:06 ID:???00
慈「さてと、じゃあ!私も根性見せますかね!」

慈「見てろ駄犬!私だってるりちゃん大好きなんだぜ!」

瑠璃乃「あの…何をする気で?」

慈「もう一人のルリ、シャドウるりちゃん…聞こえないならそれでいいよ。私的には問題ない」

慈「だって、意地でも見せつけて、聞かせるだけ…だからさああああ!」

385: 2024/11/30(土) 17:53:17 ID:???00
【慈】
見えない聞こえないだからなんだ
ゴールあんだろランアンドランだ
吐いて履いて足掻いて泣いて
疲労フルでもヒーローぶるさ

足元にはいつでもあるんだから
限界の体でも立たせる宝
まっくらな道でも進める照明
ぼろぼろになるほどがんばった証明

ゆえに言ってやる胸を張って
大沢瑠璃乃はすごい子だって
同じ靴を買って元気もらって
もうただ好きよ!大沢瑠璃乃!

https://suno.com/song/3e5b45e3-90f6-4f50-9cfc-d0d10a224ccc

386: 2024/11/30(土) 18:01:45 ID:???00
瑠璃乃(シャドウルリの作った穴が消えていく)

んああああ!

瑠璃乃「めぐちゃん!また何も効いてないみたいだけど」

慈「うん…"きいて"ほしかったのはあいつじゃないからね」

慈「"きいて"ほしかったのはあなたたちなんだよ…ダブルるりちゃん!」

瑠璃乃「へ?」

ボトッ…ボトッ…

シャドウ瑠璃乃「なんか落ちてきた」

387: 2024/11/30(土) 18:03:51 ID:???00
慈「マイクは具現化の道具、だから具現化したやったのさ」

瑠璃乃「ん?"これ"って」

瑠璃乃(白い…ボロボロのスニーカー…サイズも違う、ボロボロになり方だって、よく見たら一つ一つ違う)

慈「自信がない?なにもできなかった?…違うよ」

慈「るりちゃんはでっかいことをしたんだ。私がそれを証明してやる!るりちゃんはすごい子なんだって!」

シャドウ瑠璃乃「あ……ああ…」

シャドウ瑠璃乃「そっか…答えは簡単だった」

慈「ねえ、シャドウるりちゃん?あなたもこの靴のことは知ってるんだよね」

388: 2024/11/30(土) 18:06:07 ID:???00
シャドウ瑠璃乃「うん…知ってる。オリジナルの大沢瑠璃乃と藤島慈にとって、この靴が意味するものもぜんぶぜんぶ知ってる」

ん……あ゛あ゛あ゛

瑠璃乃(緑のバケモノがめちゃくちゃ苦しんでる)

シュウウウウウウ

瑠璃乃(てか、あれ?緑のバケモンからピンクのもやもや出てね?)

慈「はあ…まったく、るりちゃんは手がかかる子だね」

シャドウ瑠璃乃「すまねぇ、でも…もう見失わないよ」

シャドウ瑠璃乃「ごめん。ルリはすげー勘違いしてたみたいだ」

389: 2024/11/30(土) 18:12:05 ID:???00
シャドウ瑠璃乃「自信なんてもんを探して自分の中を引っ掻き回して、まったくお粗末だった!」

シャドウ瑠璃乃「そんな深いとこ探さなくても、すぐ足元にあったんだ…!」

シャドウ瑠璃乃「毎日毎日ルリがやってきた当たり前が!そばにあった日常が!ルリが一番自信を持てるものなんだ!」

あ…あ゛……あああ…

シャドウ瑠璃乃「ルリはさ…ミジンコで、充電切れして、余計なこと気にして疲れて、でもさ!」

シャドウ瑠璃乃「悩んで苦しいのを捨てることだけはしなかった。そこだけは曲げなかった」

シャドウ瑠璃乃「そして…」

シャドウ瑠璃乃「そんなルリのそばにはルリが大事だと思う存在も、ルリのことを大事だと思ってくれる存在もいたんだ」

ん…あ゛………あ゛

390: 2024/11/30(土) 18:17:17 ID:???00
瑠璃乃「緑のバケモノが」

慈「縮んでく…」

瑠璃乃(そうだよ。ルリだってそうだった。一人じゃ超えられなかった)

瑠璃乃(花帆ちゃんもさやかちゃんも、梢先輩も綴理先輩もいた)

瑠璃乃(それで…最後の最後に背中を押してくれたのは)

『あれ…?あの靴』

『ルリが、めぐちゃんにプレゼントした靴だ。サイズ違いだけど、同じもの』

『こんなにボロボロにして……。いっぱい練習してたんだ』

瑠璃乃(最後に背中を押してくれたのは、ルリとめぐちゃんがこれまで重ねてきた時間だった)

391: 2024/11/30(土) 18:31:04 ID:???00
瑠璃乃(めぐちゃんはとっても頑張って、前を走ってて…それはルリとの約束があったから…ルリたちはずっと支え合っていた)

瑠璃乃(何気ない日々の一コマ、その連続がめぐるりだったんだ)

瑠璃乃(二人で一緒にがんばってきた日々が、ルリを立ち上がらせてくれたんだ)

シャドウ瑠璃乃「ごめんね。緑のバケモノさん…あなたをここまで育てたのはたしかにルリだった」

シャドウ瑠璃乃「それと、あんがと。オリジナルのめぐちゃん!やっぱめぐちゃんは声も姿もサイッコーだね!」

慈「あ……そういえば…さっき返事」

シャドウ瑠璃乃「うん!迷惑かけたね」

392: 2024/11/30(土) 18:36:27 ID:???00
シャドウ瑠璃乃「"これ"はオリジナル二人の証明、だから」

シャドウ瑠璃乃「…こっから先はルリたちがやんねーとだね」

慈「よし、では…」

慈「解答時間だ!シャドウのるりちゃん」

慈「質問!あのバケモノと…あなたはどう戦いますか?」

シャドウ瑠璃乃「はい!ルリは…」

瑠璃乃(シャドウルリが大きく息を吸う)

393: 2024/11/30(土) 18:38:05 ID:???00
シャドウ瑠璃乃「今一番、謝んなきゃいけない大事な人に会うために」

シャドウ瑠璃乃「優しさの影で飲み込んだ…その人に言わなきゃなんなかったことを言うために」

シャドウ瑠璃乃「その人が流してしまった涙を今更ながら拭うために」

シャドウ瑠璃乃「優しいルリが大好きだと言ってくれる人に恥ずかしくない人になるために」

シャドウ瑠璃乃「…本当に優しい自分になるために、この気持ちを貫く戦いをします!」

瑠璃乃(シャドウルリが手を伸ばす、そこにいるべき人を見据えて…)

394: 2024/11/30(土) 18:45:29 ID:???00
みらくらぱーく!⑥

藤島慈
~待ってた?いい子のみんな!
 勝手なご想像でもいーじゃん!~

慈(もう一人のるりちゃんが手を伸ばした先には緑の化け物がいた…でも、多分見据えているのはその先)

ん…あ゛……あ゛あ゛

シャドウ瑠璃乃「めぐちゃん。あとちょっとだけ待っててね」

慈「ま、そんなに待たせないでいいかな。だってここには」

瑠璃乃「最強のめぐるりがいるんだぜ!」

シャドウ瑠璃乃「さあ、あの時のリベンジマッチといこうじゃん」

あ゛………ぁあ゛………

ひゅん!

ひゅんひゅん!

395: 2024/11/30(土) 18:47:55 ID:???00
瑠璃乃「触手!まだそんな力が」

シャドウ瑠璃乃「こんなになってもまだ動けるくらい、ルリの中に根付いていた強い想いがあなたってことなんだよね…でもさ!」

じゅわああああ…

あ゛!?……あ……?

慈(触手は私たちにたどり着くまで持たずに消えていく)

シャドウ瑠璃乃「悪ぃ、ルリのほしいものはずっとそばにあったみたいだぜ…緑の化け物さん」

………あ゛………あ゛あ゛あ゛…

シャドウ瑠璃乃「あなたを生み出した弱さをルリはこれからも抱えてくんだろうね」

シャドウ瑠璃乃「もしかしたら、またあなたを生み出しちゃうかもしれない」

396: 2024/11/30(土) 18:50:05 ID:???00
シャドウ瑠璃乃「でもさ、それでもいいかなって思うんだ。ルリはもう見失わない。だから、今度は秒であなたに勝てる」

………あ゛…

シャドウ瑠璃乃「やっとわかったんだ。ルリはたくさん失敗したけど、いろいろ手放しかけたけど、それでも守りたかったんだよ」

シャドウ瑠璃乃「大切な人と大切なものでいっぱいの、楽しくてありふれた毎日をね」

シャドウ瑠璃乃「そこまでして守りたい毎日があることが、守りたいみんながいることが、ルリの自慢だから……」


『みんな喜んでくれるかなって思うと、頑張れるんだなってルリ思う』

『ゆえにルリあり!』

397: 2024/11/30(土) 18:51:40 ID:???00
ぐぅ……

あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁあ゛あ!!!


慈(緑の化け物が一際大きな声で叫ぶ)

シャドウ瑠璃乃「また出てきたいなら出てきなよ」

シャドウ瑠璃乃「その時はめぐちゃんとの最強コンビで相手になってやるからさ」

…………

………………あ゛……


瑠璃乃「勝負あったね」

398: 2024/11/30(土) 18:53:09 ID:???00
慈(声も出さずに縮んでいく化け物…そりゃそうだ)

慈(こいつを生んだ弱さをシャドウのるりちゃんが受け入れたんだから、こいつは"外"にいちゃいけない)

慈(大沢瑠璃乃の中で……)

あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁあ゛あ!!!

あ゛あ゛あああ゛あ゛ぁぁあ゛あ!!!

あ゛っあ゛あ゛っあ゛ぁぁあ゛あ!!!

慈「…え?」

バシュン……

慈「めちゃくちゃ縮んだ…けど」

瑠璃乃「何あれ、ボールみたいな形に」

399: 2024/12/03(火) 08:27:25 ID:???Sp
シャドウ瑠璃乃「しかもさっきまでみたいに苦しんでない」

ビシシシシシシシシ!!

慈(空間が…割れてる)

慈「おい、なんか変なことになってるんだけど?」

ゴゴゴゴゴ…

慈「ん?変な音…」

慈(音は頭の上からしていた。だからふと空を見上げた…はずだった)

瑠璃乃「ちょ、ちょっとこれって」

慈(るりちゃんが驚くのも無理はない…だって空だと思った場所にあったのは)

慈「蓮ノ空……だよねあれ」

400: 2024/12/03(火) 08:29:45 ID:???Sp
慈(見た光景をそのまま表すなら…"空に地面があって、蓮ノ空がそこに建っていた")

ゴゴゴゴゴ…ゴゴゴ…

瑠璃乃「えっと、近づいてきてね?蓮ノ空」

シャドウ瑠璃乃「ていうかさ」

ずずっ…

慈「私たち引っ張られてる?」

瑠璃乃「しかもどんどん強くなってる」

シャドウ瑠璃乃「あの丸いのに世界ごと引っ張られてるんだ」

401: 2024/12/03(火) 08:31:11 ID:???Sp
慈「おいおい、まさかこのまま強くなったら」

ゴゴ…ゴゴゴゴゴ…

シャドウ瑠璃乃「2つの世界が衝突するかな」

慈「ひいっ!」

シャドウ瑠璃乃「もちろんルリたちも、あっちにいるだろうスリブとドルケもただじゃすまないだろうね」

402: 2024/12/03(火) 22:08:35 ID:???00
シャドウ瑠璃乃「…それに、あの黒い球体はさっまでの緑の化け物とは別物になってる」

瑠璃乃「みたいだね。ルリたちはまだメラメラファイヤーしてるのにあいつはお構いなしになってる」

慈「どうすんだこれ」

瑠璃乃「なんにしてもさ…あの丸いのをなんとしないとだよね」

慈「うーん、ぶっ叩いてみる?」

瑠璃乃「いいね!採用」

慈「ではでは…」ヒューン

403: 2024/12/03(火) 22:26:26 ID:???00
【慈】
胸くそな都合、だろうが磨くぞ
ブラックホールだって砕くソウル
約束抱くよイチレンタクショー
打ち出すぞラクショーの確証

【瑠璃乃】
蛮勇レベルにイキって言っとく
塗り替えてやるぜその黒一色
衝突しようが手は握っとく
見せてやるホントの万有引力

https://suno.com/song/185fdb3f-dad4-4d90-8fac-28e9ebaa2ef9

404: 2024/12/03(火) 22:28:01 ID:???00
慈「本日三度目の、必殺!」

瑠璃乃「みらくらバスターー!」

慈(ピンクと白の光の渦が黒い球体に向けてまっすぐに放出される)

ズオオオオオン!

慈(黒い球体が渦に飲まれて消えていく)

慈「やったか!?」

瑠璃乃「衝突も止まったよ」

シャドウ瑠璃乃「……いや!あれ見て!」

グニャアアアアア

慈「また現れた?」

ゴゴゴゴゴ…

瑠璃乃「衝突もまたはじまっちゃった」

405: 2024/12/03(火) 22:32:51 ID:???00
シャドウ瑠璃乃「……迷ってる時間はないか」

シャドウ瑠璃乃「ごめん。ちょっと時間を稼いでほしい。必ずなんとかするから」

慈「なんとかって…」

瑠璃乃「自分を犠牲にするとかは無しだよ」

シャドウ瑠璃乃「今のルリにそんな選択肢は存在しないから安心して」

シャドウ瑠璃乃「少しの間だけでいいから力づくでも衝突を止めてほしい」

瑠璃乃「何かあるんだね」

シャドウ瑠璃乃「うん、絶対にみんな揃ってハッピーエンドにできる方法が」

406: 2024/12/03(火) 22:33:57 ID:???00
慈「………」

慈「はあ…やれやれ」

瑠璃乃「めぐちゃん」

慈「…ったく、さっきまでうじうじしてたのに元気になりやがって」

慈「そういうとこ、やっぱるりちゃんのシャドウだね」

慈「オッケー!まかせなよ。いいよね?るりちゃん」

瑠璃乃「ああ、10分だろうが1時間だろうが止めてやんよ」

シャドウ瑠璃乃「じゃあ、頼んだ!」

407: 2024/12/03(火) 22:37:00 ID:???00
慈(シャドウるりちゃんの姿が消える)

慈「さーて、じゃあ」

瑠璃乃「ちょっくら世界救っちゃいますか」

慈「一瞬でも止められたんだ!」

慈「ラップやってやってやりまくってやる」



慈(私たちは力を振り絞って言葉を紡ぐ、魂をぶつける)

408: 2024/12/03(火) 22:38:25 ID:???00
慈「くらえええ!」

瑠璃乃「おりゃあー!」

ドオオオオオン!

慈「まだまだああ!」

瑠璃乃「みらくらぱーく!の本気はこんなもんじゃねえぞ!」

ドオオオオオオオオオン!!

慈(繰り返し、繰り返し…黒い球体へ攻撃する。その度に球体は復活してくる)

慈(何度だって攻撃する、無駄かもしれない間に合わないかもしれない…でも)

瑠璃乃「信じるんだ…あの子を!」

慈「そうだね。簡単なことじゃあないけどさ、私たちはそうやってここまできた」

409: 2024/12/05(木) 20:56:06 ID:???Sp
慈(この一撃が、たった一回の踏ん張りが明暗をわけるかもしれない…だったらやらない理由なんてない)

慈(私たちは約束したんだ、もう一人の私と…もう一人のるりちゃんに)

ゴゴゴゴゴ…

瑠璃乃「はあ…はあ…随分と近づいてきたじゃん、蓮ノ空」

慈「ま、このくらいはいいハンデだよ。やるって言ったらやるんだよ私たちは」

ウニョオオオン

慈(またも黒い球体は復活する…が)

410: 2024/12/05(木) 20:57:09 ID:???Sp
慈「え?」

ニョ……

慈(その動きが止まった)

ヒューーーン

慈「あ、こら!」

瑠璃乃「逃げんな!追うよ!」



「大丈夫。追う必要はないよ」

シャドウ瑠璃乃「ありがとう。ルリのこと信じてくれて」

411: 2024/12/05(木) 20:58:30 ID:???Sp
慈「…ミッションコンプリートってとこかな」

瑠璃乃「間に合ったんだね」

シャドウ瑠璃乃「うん…うまくいった」

シャドウ瑠璃乃「ルリもね、信じて、踏み出したんだ。だからもう負けないよルリ"たち"は」


瑠璃乃「ルリ"たち"…?」

シャドウ瑠璃乃「最後の最後はやっぱりさ…自分たちでケジメをつけなきゃだから!」

慈「ケジメ…?」




「おいおいおーい!誰か忘れてないかい?」

412: 2024/12/05(木) 21:01:22 ID:???Sp
瑠璃乃「この声…」

慈(それは、少し前に聞いた忘れるはずもない声…そして)


「グオオオオオオオオン!!」


慈「白い……ドラゴン……」

グニョオ… グニョ…


慈(逃げようとしていた黒い球体は、どこからともなく現れた白いドラゴンに噛みつかれて身動きが取れなくなっていた」


???「うーん!やはり私が作るなら白だよね!」

???「超絶最強のドラゴンを生み出してしまった、私、天才なのかもしれない!」


瑠璃乃「……そっか、ちゃんとやれたんだね」


???「待ってた?いい子のみんなぁぁぁ!満を持しての再登場!!」

413: 2024/12/05(木) 21:17:12 ID:???Sp
シャドウ慈「シャドウめぐちゃんだよ!おっひさーー!」

瑠璃乃「えっと、おっひさー?…なのかな」

慈「おいおい…待つとか言ってなかったっけ?」

シャドウ慈「うーん、よく考えたらただ待ってるだけなんて似合わないじゃん」

シャドウ慈「って、本当は私も何が何だかわからないままこっちに飛ばされてルリちゃんに会ったんだけどさ」

シャドウ瑠璃乃「ははっ、やっぱウチらって引かれあってんだなって、ルリ思った」

シャドウ瑠璃乃「んでね…めちゃくちゃ謝った。そうしたら思ったよりちゃんと戻れたんだ」

瑠璃乃「うんうん、なんなら逆に泣きながらめっちゃ謝られたんじゃない?」

シャドウ瑠璃乃「おお!そちらエスパーかなんかか?」

シャドウ慈「はいそこ!いくらるりちゃんズでもそういうトークは禁止だぞ…だいたいさ」

414: 2024/12/05(木) 21:20:07 ID:???Sp
シャドウ慈「当たり前なんだよ。だって…そういういざこざを乗り越えて来たからこその幼馴染でしょ?」

慈「お!いいこと言うじゃん、さすが私」

シャドウ瑠璃乃「そうだね…みらくらぱーく!は何度だって蘇る」

シャドウ慈「さあ、こっからダブルみらくらの大反撃だ!」


シャドウ慈「ってことで、あれよろしく!」

シャドウ瑠璃乃「オッケーだよ!じゃーーん」


慈「ん?………んんんんん!?」

瑠璃乃「お、おい、あれ」

415: 2024/12/05(木) 21:23:53 ID:???Sp
慈(シャドウのるりちゃんが開いた空間の穴から現れてきたもの…それは)

シャドウ慈「いやー、せっかく作ったものを無駄にはしたくはないよなって」

シャドウ慈「持ってきちゃいました…めぐちゃん特製爆弾」

慈「あー…あれか。シャドウの私が作ったのを駄犬が引っ張り回して不発になってた」

シャドウ慈「はい、ぽちっ!」

慈「……へ?」


ドカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンン!


瑠璃乃「っておおおおおおおおい!」

416: 2024/12/05(木) 21:24:38 ID:???Sp
慈「ちょっと、いきなり爆破とか」


プオオオオオオオオオオオオオオオ


慈(爆風とか衝撃とかただごとじゃない…)


慈「ど、どうしよう」

瑠璃乃「なんもかんも間に合わない」

慈「ぎゃああああああ」

瑠璃乃「うああああああああ」

417: 2024/12/05(木) 22:28:58 ID:???00
……

………………


瑠璃乃「いたたた…」

ドラゴン「グルル…」

慈(いきなりの爆破で驚いたけど、白いドラゴンがかばってくれたみたいだ)

慈「おい…もう一人の私ぃ!」

シャドウ慈「はは!爆弾は爆発させてなんぼでしょ」

シャドウ瑠璃乃「エネルギーは二人でいい感じの威力になるように充填しときました!」

シャドウ慈「いやいや~あっという間に充填できたよね」

慈(登場早々かましてくれやがって)

418: 2024/12/05(木) 22:30:12 ID:???00
瑠璃乃「えっと、それで黒いのは…」

ドラゴン「グル…」

シャドウ慈「私たちを助けるついでに爆弾の方に放り投げたみたいだね」

シャドウ瑠璃乃「有能さがとどまるところを知らないドラゴンちゃんだね」

シャドウ慈「ま、そろそろ休んでいいよ。るりちゃん、帰りの道開けて」

シャドウ瑠璃乃「おけ!」

慈「改めて見てると…どっちのシャドウもチート寄りだね」

瑠璃乃「ま、るりめぐだもん」

グニャ…グニョ…

慈「さてと…どうやら、あいつは復活に時間かかりそうだね」

419: 2024/12/09(月) 22:39:49 ID:???Sp
シャドウ慈「当たり前じゃん。溜まりに溜まった私とるりちゃんの色んな感情が爆発してんだから」

瑠璃乃「そりゃそうか、うん!サイコーに納得だ!」

慈「ま、これくらいじゃなきゃみらくらぱーく!は名乗れないよね」

シャドウ瑠璃乃「じゃあこっからは」

瑠璃乃「ああ!」



慈&シャドウ慈「たあっ!」

瑠璃乃&シャドウ瑠璃乃「たあっ!」


慈(私たちは飛ぶ、高く高く)

420: 2024/12/09(月) 22:42:08 ID:???Sp
慈(さあ、やってやろうじゃん…揃ったダブルのみらくらが)

慈(私たちに不可能の文字はないんだぜ!)



グニョオ……グニョッ…




「「「「待てええええええぃ!!」」」」



ググ…グニョ?……


慈「楽しいが溢れた世界を作るために、何度くじけても立ち上がる」

瑠璃乃「笑顔に溢れたいつも通りを守るために、己を信じて立ち上がる」

421: 2024/12/09(月) 22:49:23 ID:???Sp
シャドウ慈「そしていつしか夢を現実にする」

シャドウ瑠璃乃「困難を、逆境を跳ね飛ばす不屈の精神を持つもの」



『人それを……"ヒーロー"という!!!』


ゴゴ…ゴゴゴゴゴ!?


慈(多分こいつは言っている『貴様らは何者だ』と)

慈(なら、こう返すのがお決まりだろう)


「「「「お前に名乗る名などない!!みらくらぱーく!だああっ!!!」」」」

422: 2024/12/09(月) 22:58:10 ID:???00
慈「……ふっ、見事に決まったね」

シャドウ慈「向こうも思わず反応しちゃったか」

瑠璃乃「どうだ、思い知ったか!ルリたちの底力!」

シャドウ瑠璃乃「名乗ってんだろってツッコミは無しだぜぇ」

慈「さてと、一応確認しとこうか」

慈「そちらさんもできるってことでいいのかい?」

シャドウ慈「もちろん」

シャドウ瑠璃乃「ウチらのパワーなめんな」

瑠璃乃「じゃあいっくぜ!」ヒューン

慈「私たちの最大出力で成敗!だよ!」ヒューン

423: 2024/12/09(月) 22:59:55 ID:???Sp
【瑠璃乃】
許す甲斐性、みせて再起動
倍の愛じゃい大マイクショウ
飛翔し希望だハイに行こうぜ
守るべき日常への回帰軌道へ

【慈】
韻のジョインでぶっちぎろうね
筋道なんて振り切りゴーで
ウチら想像以上でそうとう異常
みらくるでくらくらなとこ行こう

【瑠璃乃】
対等、最強、最高な相棒
eye to eyeで愛の邂逅
からの毎夜毎日倍増
してる愛を伝えたいよ

【慈】
太陽より熱いくらいの細胞
アゲアシさえもフライド対象
シジョーミゾーだこれが私たちの
ダブルのみらくらパワー解放

https://suno.com/song/4c462f92-326f-4c7d-85cf-e2f034b68250

424: 2024/12/09(月) 23:01:30 ID:???Sp
慈「るりちゃん!」

瑠璃乃「りょーかいだぜえ!」

シャドウ慈「こっちもありったけぶつけてやる!」

シャドウ瑠璃乃「オリジナルよりもあっついめぐるり見せてやるよ!」

慈(2つのピンクと2つの白、私たちは駆け出す…4方向から黒い球体を取り囲むフォーメーションへ

慈(こっから一気にぶちかましてやる!)

「「クロスみらくら!バスタアアアアアアア!!!」」

慈(それぞれが放つ光の渦が黒い球体へ向かう)

グオオオオオオオオオオオオオオ!

慈(黒い球体はまたも光の渦に消える)

425: 2024/12/09(月) 23:06:38 ID:???00
慈「まあ、そんで」

キュイイイイ

シャドウ慈「復活するってわけか!」

瑠璃乃「だが、それがどうした!」

シャドウ瑠璃乃「全くもって問題は無い」

慈(そう、復活してもなお光の渦は止まない!)

慈(二つ合わさったみらくらのパワーは…無限なのだから!)

慈(黒い球体は復活してはその場でまた消滅する)

シャドウ慈「私たちの力が尽きたら…なーんて考えてる?」

慈「残念だけどそれはないよ…大事な人がそばにいるんだ!」

慈「私たちは、絶対にこの意地を貫いて、あんたを倒す」

426: 2024/12/09(月) 23:09:46 ID:???Sp
シャドウ瑠璃乃「そうだ、ルリたちもめぐちゃんたちもこんなところで終わるほどやわじゃない」

瑠璃乃「まだまだやりたいこともいっぱいあんだ!」

瑠璃乃「ルリたちはこれから先の楽しい毎日を守ってみせる」


これが…私たちの

藤島慈と大沢瑠璃乃の…ヒーロー道

みらくらぱーく!の生き様その身で味わえ!


「「「「これで、とどめだああああああああああああ!!」」」」


…そうか…なるほどねぃ

………じゃあ、まかせたよ

…あたしの予想を超えてくれ

みらくらぱーく!の後輩さん

427: 2024/12/09(月) 23:14:34 ID:???Sp
慈(一瞬だけど声が聞こえた、ような気がする)


慈(いや、気のせいか)


慈(黒い球体はもう現れなかった)


慈(やりとげたんだ…私たちは)

………

……………

428: 2024/12/13(金) 14:32:55 ID:???Sp
慈「やったんだよね」

瑠璃乃「うん、間違いない」

慈「黒い球体はもう出てこない」

シャドウ慈「つまり」

シャドウ瑠璃乃「ルリたちは勝ったんだ」

シャドウ瑠璃乃「そっか…そっか…」



『やったー!ルリたちさいきょー!!』



慈(それは、いろんな面倒くさい事情とか後悔とか)

慈(そんなの全部ぶっとばすくらいにスカッとした)

慈(ただもう単純な、もう一人のルリちゃんの心からの叫びだった)

429: 2024/12/13(金) 14:34:19 ID:???Sp
慈「あ、蓮ノ空が遠ざかってく…」

シャドウ瑠璃乃「本来なら見えてるはずのないものだからね。元の状態に戻ろうとしてるんだと思う」

ドオオオオオオオオオオオ!

瑠璃乃「んんん!?なんじゃあれ?」

慈「あれは」

慈(上に見えている蓮ノ空、その音楽堂から緑色の光の柱が吹き出した)

慈(その鮮やかな色合いに、あの化け物の緑とは比べ物にならないくらいの綺麗さに、ただひたすらに上を目指すまっすぐさに)

慈(ふと、むかつく頑張り屋の顔がよぎった)

430: 2024/12/13(金) 14:35:16 ID:???Sp
慈「……梢」

瑠璃乃「こずこずパイセン?」

慈「あ、いやなんとなく!なんとなくさ」

慈「梢みたいだなって思ったんだ」

慈「いや、ほんとにただなんとなく」

慈「なんとなく…梢と綴理に会いたくなっちゃったかな」

瑠璃乃「そうなんだ。じゃあ…めぐちゃん」

慈「うん、帰ろっか。みんなのいるところへ」

431: 2024/12/13(金) 22:00:52 ID:???Sp
シャドウ瑠璃乃「一応、ルリの力で送るとかもできるんだけど」

瑠璃乃「ルリたちの足で帰るよ。ルリたちはルリたち、シャドウはシャドウ、さっさとそれぞれの道に戻る」

瑠璃乃「それが一番きれいなこの物語の終わり…でしょ?もう一人のめぐちゃん」

シャドウ慈「んー、どうなんだろ。だってさ…」

シャドウ慈「私たちの物語は"ここから"でしょ?」

慈「ふふっ、そうだね」

シャドウ慈「じゃあ、私たちも帰ろっか。ルリちゃん」

シャドウ慈「私たちの楽しいを詰め込んだあの世界へさ」

シャドウ瑠璃乃「うん!」

432: 2024/12/13(金) 22:02:16 ID:???Sp
慈「もう手を離さないでね。藤島慈はあなたが思ってるより何倍もあなたのこと好きなんだから」

シャドウ瑠璃乃「うん!了解した」

瑠璃乃「じゃあね!シャドウどうし達者に暮らせよ」

シャドウ慈「まかせてくだされ」

慈「で、どう帰るかなんだけど」

慈「不思議と行けちゃいそうなんだよね」

瑠璃乃「お、めぐちゃんも?ルリもだよ」

慈「では…」

433: 2024/12/13(金) 22:03:46 ID:???Sp
瑠璃乃「蓮ノ空に向けて」

慈「オンユアマーク!」

瑠璃乃「レディセイ…」

慈&瑠璃乃「「ゴー!!」」


私たちは駆け出す、行きたい先を見据えて

ただ、ひたすらに、己を奮い立たせて

守りたい人たちのいる毎日を守れると信じて

根拠なんてなーんもないけど、“大丈夫"!


慈「しゃあ!」

瑠璃乃「飛ぶぞおおお!」

434: 2024/12/13(金) 22:04:20 ID:???Sp
慈(なんだってできる、空だって飛べる!)


だって、ヒーローは

そういうものだから!


慈(力強く大地を蹴る、蓮ノ空に向けて)

慈(体が空に舞う、さあ…帰ろう)

慈(みんなの待つ場所へ)

435: 2024/12/13(金) 22:05:40 ID:???Sp
~幕間・もっと楽しくなっちゃうそれは
二人のチャウチャウフォーエバー~

シャドウ瑠璃乃「行っちゃったか」

シャドウ慈「行っちゃったねー」

シャドウ瑠璃乃「さてと、では帰り道を作って…」

シャドウ瑠璃乃「……あ!」

シャドウ慈「ん?どうしたの?」

シャドウ瑠璃乃「これ言っとくべきだった。うわー」

436: 2024/12/13(金) 22:07:48 ID:???Sp
シャドウ瑠璃乃「…ま、今からでもセーフだよね」

シャドウ慈「…?」

シャドウ瑠璃乃「ではでは…こほん」

シャドウ瑠璃乃「お二人さーーん!!はばないすねーー!!」

シャドウ瑠璃乃「…なんつって」

シャドウ慈「ぷっ!なにそれ」

シャドウ瑠璃乃「大事だよ。こういうのは」

シャドウ慈「そうだね。いつも通りをいつも通りに、それが何よりも難しい」

437: 2024/12/13(金) 22:16:25 ID:???Sp
シャドウ瑠璃乃「だからさ、二人で守ってこうよ」

シャドウ慈「そうだね、ここからまたはじめよう」

キュイイイイン

シャドウ瑠璃乃「を?なんだこの光」

???「…あれ?ワイ、たしか…」

シャドウ慈「そっか、お前もいないとだよね駄犬」

チャウチャウ=チャウ「そうか…そっか、ワイらの旅はまだまだ続くんやな…」

チャウチャウ=チャウ「じゃ、改めてよろしくなご主人、めぐちゃん」

シャドウ瑠璃乃「うん…また楽しくやろう!チャウチャウ!」

~~~~~~~幕間終了~~~~~~~

438: 2024/12/14(土) 13:44:33 ID:???00
みらくらぱーく⑦
瑠璃乃&慈
~いざ飛んでみるとちとハズいが
  ヒートアップからの一休みだ~

瑠璃乃「いえーい!飛んでるぜ」

慈「いえーい!」

瑠璃乃「ねえ…」

慈「ん?」

瑠璃乃「あの子たち、これからはちゃんとやれるよね」

慈「んー、どうだろ?」

慈「私たちもさ、いつもちゃんと…ってわけでもないじゃん」

瑠璃乃「それは、そうだね」

439: 2024/12/14(土) 13:48:14 ID:???00
慈「だけどさ、それでいいじゃん」

慈「…ちゃんとやれない私たちは嫌い?」

瑠璃乃「嫌いじゃないね」

瑠璃乃「むしろ…大大大大好きだ!」

慈「さあて、ひとまずは音楽堂を目指して…」

バシャアアアアアアア!

瑠璃乃「おお!ちょっとなんじゃあれ!?」

慈「体育館から赤と青の光と…黒いのが吹き出してる」

瑠璃乃「んーでもさ、さっきの黒い球体とは違ってなんか黒いのに嫌な感じはしないね」

440: 2024/12/14(土) 13:51:15 ID:???00
慈「ま、あれも私たちの心強い仲間のしわざかな」

瑠璃乃「心強い仲間…赤と青…なるほどね」

慈「私たちも負けてらんないね」

瑠璃乃「飛ばしてこうぜ!!」



慈「ひゃっほおおおおい!」ビューーン

瑠璃乃「いっくぜええええ!」ビューーン


瑠璃乃「あ!めぐちゃん、あれあれ!」

慈「なんだよ4人とも勢揃いじゃん、グッドなお出迎えだ」

瑠璃乃「お、なーんかこっちに気づいたみたいだ」

慈「じゃあ、満を持してのご登場だ!」

441: 2024/12/14(土) 13:52:16 ID:???00
瑠璃乃「……ねえ、これさ…こっからどうやって着地すんの?」

慈「………あ」



ギャアアアアアアアアアアア


…………

………………


慈「…着地…できた…ははっ」ハァハァ

瑠璃乃「…これ…今夜夢に見るやつだ……」ハァハァ

梢「…あまり期待はしていないけれども、状況の説明をしてもらっていいかしら?」

442: 2024/12/14(土) 13:53:23 ID:???00
瑠璃乃「すみません…ドタバタしてて成り行きで飛んじゃいました」

慈「まあ、飛んじゃったもんは仕方ないよね」

梢「仕方なくはないでしょ。慈は知らないのだろうけれど、人間は普通は空を飛べないのよ?」

慈「私だってそのくらいは知ってるんですが!?」

綴理「めぐとるりかっこよかったよ。ヒーローみたいで」

慈「ヒーローか…ふふっそっか…」

慈「まさか、綴理にまでそんなこと言われるなんてね…」

443: 2024/12/14(土) 13:54:26 ID:???00
花帆「あ!」

さやか「花帆さん、もしかしてなのだけれど…」

花帆「やっと慈センパイと合流できましたねー!梢センパイ!」

梢「そ、そうね…」

花帆「では…」

花帆「あのあの!慈センパイ!」

慈「なになに?花帆ちゃん」

花帆「なんと!梢センパイから大切な話があるみたいですよ」

444: 2024/12/14(土) 13:55:13 ID:???00
慈「梢から……話?」

梢「え、えーっとね、その…慈…」

梢「め…慈が笑っているとね、わたくしもなんだか楽しくなれるの。だからね」

梢「慈がスクールアイドルとして立ち直れてよかった…そう思ってるわ」

梢「…戻って来てくれてありがとう」

慈「………」

慈「梢……変なもの食べちゃった?」

梢「食べてない!」

445: 2024/12/14(土) 13:56:24 ID:???00
慈「ぽんぽんいた…」

梢「痛くない!」

慈「ええ…?じゃあなんで」

花帆「あ、あのですね!梢センパイは…」

梢「…花帆さん!」

梢「ええっと!とにかくわたくしは慈が無事でよかったと思いました!はい、終わりよ」

慈「………ふむふむ」

慈「ははーん、めぐちゃんなんとなーく状況がわかったぞー」

梢「なぜ…わたくしを見てニヤニヤしてるのかしら?慈?」

446: 2024/12/14(土) 13:57:07 ID:???00
綴理「…あれ?さっきもこんなことしてたような」

綴理「もしかして、こず…また恥ずかしいの?」

慈「また?」

綴理「さっきボクにもね…」

梢「綴理…黙っててちょうだい…」

慈「そうだよ綴理。これ以上は梢が泣いちゃうよ」

梢「泣かないのだけれど?わたくしは泣いたりしないのだけれど!?」

梢「やはり、あなたたち二人には…相応の対応が必要なのかしらねっ?」

花帆「これは…前途多難だなぁ」

447: 2024/12/14(土) 14:00:01 ID:???00
瑠璃乃「いやー、待たせちまったね…ははっ…」

花帆「ううん、瑠璃乃ちゃんたちが無事でなによりだよ」

さやか「そちらはどうでしたか?」

瑠璃乃「色々あったけど、うん…諸々まとめたらいつも通りのみらくらぱーく!だったかな」

花帆「いつも通り?」

瑠璃乃「ま、そのいつも通りってのが実は一番かけがえのないもんじゃね?ってことなんだよね」

448: 2024/12/14(土) 14:01:17 ID:???00
瑠璃乃「そんでもって、いつもの日常を守るために戦うヒーローはやっぱすげーなってルリ思う…ゆえにルリあり」

花帆「そっか、うん…アタシもね。そう思う」

花帆「いつも通りを重ねるのって想像するより大変なんだ。そんな大変なことをやってきた今までを肯定して前に進みたいな」

さやか「少し目を凝らせば見える大事なものこそ、人は見失ってしまいがちですからね」

さやか「手を伸ばせば簡単に掴めるくらい近くにあるのに気づかずに遠くを探したり、近くにありすぎて手放してしまったりしてしまう」

449: 2024/12/14(土) 14:03:01 ID:???00
瑠璃乃(なーんておセンチなやり取りも悪くないんだが)

瑠璃乃(そろそろ、めぐちゃんたちをどうにかしないとかな)


ウゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


梢「待って!何か来るわ」

花帆「…黒いのが集まってる?」

綴理「もしかして、ボクとさやのせいだったり」

さやか「いえ、あれは違うと思いますよ。なんとなくですが」

慈「ていうか!あれ!あの黒いのの集まってる近く!」

瑠璃乃「ん~?ってアレは生徒会長さん?」

梢「…行きましょう!」

450: 2024/12/14(土) 22:37:56 ID:???00
………

沙知「や、やあ…キミたち」

花帆「なんで沙知センパイがここに?」

沙知「いやー、大倉庫にいたはずなんだが。なーんか気づいたらこんなとこにいてさ、おまけによくわからない黒いのがわらわらと…」

沙知「まあ、心配するな。あれがなんだか知らないが、私がなんとかするよ」

梢「そんな…沙知先輩を置いてなんていけません!」

沙知「だが…」

グニャォアアア

慈「ひっ!」

綴理「あれ…増えた?」

451: 2024/12/14(土) 22:38:42 ID:???00
瑠璃乃(戻ってきたらまた戦いか…ま、生徒会長さんを助けないなんて展開は無しだよね)

沙知「あらら…3体か…」


グオオオオオオオッ!!

ギャアアアアアアアッ!!

ゴゴウウウウウウウッ!!


沙知「これは…なんとも」

瑠璃乃(それぞれが周りの小さいのを取り込み、分裂した黒いのが膨張していく)

瑠璃乃(…ってデカくね?ゆいがおーくらいデカいじゃん)

452: 2024/12/14(土) 22:40:33 ID:???00
梢「綴理!慈!…いいかしら?」

綴理「うん、ボクたち同じこと考えてるね」

慈「私たちに任せてよ。沙知先輩」

沙知「…キミたちに、あれを倒せるのかい?」

梢「やれるわよね?花帆さん」

花帆「はい!やっちゃいましょう」

綴理「行こう、さや」

さやか「はい、なにとぞ」

慈「みらくら再出動だよ、るりちゃん」

瑠璃乃「オッケー!」


ウゴゴゴゴゴゴオオオトオオ!!

ギャアアアアアアアガアアア!!

グルルルルルウウウウウウウ!!


梢「では…ユニットで1つずつ、けりをつけましょう」

梢「蓮ノ空スクールアイドルクラブいくわよ!」

454: 2024/12/15(日) 12:48:53 ID:???00
~~~SIDE:みらくらぱーく!~~~

慈「さーて!みらくらぱーく!のターンとなったわけだが」

瑠璃乃「うちらのやることは実にシンプル」

慈「己の信じる楽しさを押し通すのみなのだ」

瑠璃乃「長い長い冒険のフィナーレはハッピーエンドにしないとね」

グルウウウウウウウウウ

慈「あんたもさ、色々あったんだね…ま、とにかく私たちは私たちの道を貫かせてもらうよ」

瑠璃乃「ルリたちが信じるいっちゃん大切なものをぶつけるから、見ててほしい」

慈「じゃあ、いっくよー!私たちのテンションは」

瑠璃乃「ここからああああ!」

455: 2024/12/15(日) 12:54:52 ID:???00
【慈】
ここまで色々踏ん張りました
で確かWith×MEETS開始が間近
うわマジか?でも配信中止は無しだ
私はガチだ話は巻きだ

すでに頭は明日のプランニング
オキニのシューズで朝からランニング
まあそのあとはフリーかな?
いつでもるりちゃん誘っていいかな?

【瑠璃乃】
見えてるぜいつものスニーカー
心配しないでよルリは
めぐちゃんと走るよ long distance
どこでも付き合う縦横無尽だ

切れてた充電めぐちゃんチャージ
女房役ってやつじゃんマジ
相性ばっちり、シンクロ勝手に
これぞめぐるりサイキョーのバッテリー

https://suno.com/song/2644ee21-5dc8-4553-9110-ac785b85155f

456: 2024/12/15(日) 12:59:51 ID:???00
慈&瑠璃乃「「ここまでえええええ!」」


慈「モヤモヤもイライラもぜーんぶ吹っ飛ばしてやる」

瑠璃乃「これが…今のルリたちの全身全霊」

瑠璃乃&慈「「みらくら…ファイナル、バスターーー!」」

ア…アアア…

瑠璃乃(光が黒いうねうねを飲み込む、うねうねは満足そうに消えていく)

瑠璃乃(伝わったんだよね…ルリたちの楽しいって気持ち)

457: 2024/12/15(日) 13:06:33 ID:???00
瑠璃乃「ありがとう」

慈「これが、私たちみらくらぱーく!の姿」

瑠璃乃「明日もあさっても、ルリたちは伝え続けるよ」

慈「楽しいは無限で無敵で」

瑠璃乃「対等で」

慈「最強で」

瑠璃乃「最高だって!」

瑠璃乃(なんか…眠くなってきた…充電切れ?)

瑠璃乃(いや…めぐちゃんもか…こりゃ単なるお疲れかな)

瑠璃乃(しばし眠るか…はばないすねー…なんつって)

458: 2024/12/15(日) 13:20:15 ID:???00
~幕間・とある少女の独白~

あはは、まったくお疲れさんだ
まさかさ!先輩方まで巻き込んじゃうとはねぃ
たしかに…これはキミらにぴったりの旅だ
どうだい?先人たちに触れて学んだものは

さて、テーマパークもヒーローもある意味では残酷だ
楽しいテーマパークにいつまでもいられるわけじゃない
みんながみんなヒーローになれるわけじゃない
楽しい非日常や強さの裏側には
それをはるかに超えるただの日常と弱さがある

慈、キミはとても強い子だ
ステージの上で心が折れても
それでもその足で進むことはやめなかった
日陰の中でも輝こうとする、それはそれですごいんだが
それはつまり、人ならあって当然の弱さを押し頃すってことだ

459: 2024/12/15(日) 13:22:15 ID:???00
瑠璃乃、キミが慈と出会ってくれたことに感謝するよ
あたしにはさ…立ち上がることができた慈の強さの陰にあったものを
抱え続けた弱さをどうすることもできなかったんだ
自分の弱さを自覚して、弱さに悩んで、それでも慈に追いつくことは譲らない
大沢瑠璃乃でなければ慈の弱さには届かなかった

とまあ、私の至らなさをさらすだけではいかんね
一応、みらくらぱーく!の先人の一人として助言もしよう

二人で共にどこまでも進んでいく、それがキミたちのスタンス…素晴らしい
だけどさ、同じ方向に走って前に進み続けるだけじゃ届かない場所は確実にあるのさ

460: 2024/12/15(日) 13:23:10 ID:???00
この旅でキミたちは見たはずだ
進み続けるだけでは…強いだけではいけない時もあると
弱さを認めることが鍵となった瞬間を

壁を目にして立ち止まってしまう弱さに強い光は時に残酷なんだ
陰の中に手を伸ばせる優しさこそが…

いや、これ以上はおせっかいだな
せいぜい悩み苦しみたまえがはははは!

461: 2024/12/15(日) 13:33:30 ID:???00
~大倉庫~

花帆「ん…」

梢「ここは…大倉庫?」

さやか「帰ってこられた?」

綴理「みたいだね」

瑠璃乃「ていうか、時間時間!」

慈「……え?寮の門限ぎりぎり?」


沙知「こら!キミたちこんな時間まで何をしてるんだ」

462: 2024/12/15(日) 13:34:25 ID:???00
花帆「沙知センパイ」

沙知「まったく、部の備品整理はいいが熱中しすぎは感心しないぞ」

梢「あの…沙知センパイ?あれからどうなったんですか?」

沙知「あれから、とは?」

さやか「だから、黒い影が…」

沙知「……キミたちは何を言ってるんだ?」

綴理「あれ?一緒に見たよね?」

沙知「一緒って、アタシは今の今キミたちに今日初めて会ったんだぞ?」

463: 2024/12/15(日) 13:35:02 ID:???00
瑠璃乃「どういうこと?」

沙知「おおかた疲れて夢でも見てたんだろ…大会も近いんだから無理はしないでくれたまえよ」

慈「あれが夢?」

沙知「ほらほら、寮長さんに怒られる前に帰った帰った。ここはアタシが後片付けしておくから!」

瑠璃乃(沙知パイセンの言葉に釈然としないものを感じながらも、ルリたちはそれぞれの部屋に帰った)

瑠璃乃(その夜、配信の鬼ことめぐちゃんとともに根性で配信を成し遂げたルリを、ルリは全力で褒めたい)

瑠璃乃(こうして、ルリたちの不可思議な冒険は終わりを告げた)

464: 2024/12/15(日) 13:48:41 ID:???00
◯みらくらぱーく!エンディング

~ハンデありのノンフィクション
 全力疾走するぞこんちくしょー
 一生一緒なウチらが必勝~

タッタッ!タッタッ!

はぁ…はぁ…

瑠璃乃(あれから数日…ルリたちは日常に帰ってきた)

慈(そして私たちは走っている。変わらず二人で)

慈「よっし、ゴール!」

瑠璃乃「しゃあ!最後まで…ついて来れた!」

慈「ヘへ…やるじゃん」

瑠璃乃「ま…息はあがってる…けどね」

瑠璃乃「ああもう…このペースで走り切るめぐちゃんすげーなって…ルリ思ってる」

465: 2024/12/15(日) 13:49:57 ID:???00
慈「そっか、そっかうん」

慈「ルリちゃん…私と同じペースで走れるんだ。めっちゃ焦ったし」ボソッ

瑠璃乃「ん?」

慈「なんでもないでーす。まだまだルリちゃんには負けません」

瑠璃乃「ああチキショー、ルリもあの冒険でかなりレベルアップしたと思ったのに」

慈「あ、ルリちゃんもあれが夢だとは思ってないんだ」

瑠璃乃「んとね…ルリも割とあの日帰ってからは半信半疑と 言いますか…夢だったのかな派が優勢だったのだが」

瑠璃乃「気になって調べたらこんなもんが」

466: 2024/12/15(日) 13:51:27 ID:???00
慈「どれどれ、えっと…ちょっと前のニュースだね…タイトルは」

慈「『虹ヶ咲学園文化祭にてスクールアイドル同好会がミュージカル。タイトルは』」

慈「……『新説竹取物語』?』

瑠璃乃「しかもその主演のかぐや姫役の人見てよ」

慈「これって……せつ菜ちゃんだよね?」

慈「まって、えーとインタビュー記事もあるね読んでみる」

467: 2024/12/15(日) 13:53:38 ID:???00
主役のかぐや姫を勤めた優木せつ菜さん、劇中音楽を制作されたミア・テイラーさんにお話をうかがう機会ができた

記者:今回のミュージカルは竹取物語を新たな解釈のもとで披露されたということで…

せつ菜:はい!来ていただいた方々にも好評で、やってよかったです!

ミア:日本の古典をボクらがアレンジというのは新鮮な経験だったね。

記事:私も拝見したのですが、虹ヶ咲らしさの溢れるパワフルな舞台でした。ところで、なぜ題材に竹取物語を?

せつ菜:その…実は最近、竹取物語やかぐや姫について考えさせられる体験をしまして。

せつ菜:かぐや姫やそれに関わった人たちの気持ち、それぞれのダイスキの織りなす物語の結末を私なりに新しく作ってみたくなってしまったんです。

せつ菜:私の決意を伝える、この物語を!

468: 2024/12/15(日) 13:54:21 ID:???00
記者:差し支えなければ、その経験というのは?

せつ菜:すみません。それは私たちの心の中にしまって置くと決めたので。

記者:そうですか…いつか語ってほしいものです。では、話題を変えまして、劇中の音楽について。

ミア:お、ボクの番だね。

記者:はい、一般的な竹取物語、かぐや姫のイメージからは変えたアクティブな音楽が多かったかなと

ミア:ああ…そのことか。ボクの中ではさ、かぐや姫ってのは根は熱くてヤンチャな子なのさ。

ミア:みんなを振り回して、悩んだりもするが、それでも最後は自分の出した答えを貫く…そういう子だろ。

記者:かぐや姫と竹取の翁の一騎打ちのシーンなどは特にその色が濃かったですね。

ミア:わかるかい?あそこはボクの傑作をぶつけたシーンさ。

469: 2024/12/15(日) 14:01:54 ID:???00
慈「これって」

瑠璃乃「あはは、こんなことになってたんだね」

瑠璃乃「てか、日にち過去じゃんってなったわ」

慈「……実はさ、私も見つけちゃったんだよね」

慈「これ、見てよ」

瑠璃乃「えーと、動画?」

慈「再生するね」

https://youtu.be/klgtTvfoIOc?si=zcbklXcJ38gUJB9j


瑠璃乃「………は?シャゼリア☆キッス?」

瑠璃乃「っておい!よく見たらコメントに…」

瑠璃乃「まさか…曜さんと善子ちゃんとルビィちゃんはシャゼリア☆キッスの一員だったの?」

470: 2024/12/15(日) 14:06:28 ID:???00
慈「これまた今から数年前にあったんだよ。それとこれね」

瑠璃乃「曜さんと善子ちゃんとルビィちゃんが…ピザを食べている!?」

慈「わいわいわい?とかいうユニットでやってるイベントみたいだね」

瑠璃乃「やっぱりあれは現実に」

慈「違うかな。虹ヶ咲のもシャゼリア⭐︎キッスもわいわいわいのもこうやって記録に残ってるってことはどっかで目にすることもある」

慈「それが私たちの記憶に残ってて夢としてみたのかも」

瑠璃乃「そんな夢のない」

471: 2024/12/15(日) 14:23:59 ID:???00
慈「…これも見てくれる?」

https://youtu.be/cdWKWDFaGcU?si=cFZJ4BYNArQv3xBS


瑠璃乃「Liella!の…UNIVERSE!!」

慈「これは東京でやったライブだけど、場所の一つに幕張メッセもあったみたいだね」

慈「でね、幕張メッセのライブは、2人のメンバー追加をしたLiella!が最初にやったライブらしいんだ」

瑠璃乃「そうか…あの時の『UNIVERSE!!』から続けてやってたんだ」

瑠璃乃「ふふっ、マルガレーテちゃんも四季さんも他のみんなも思いっきしやってんね」

472: 2024/12/15(日) 14:27:54 ID:???00
慈「ううん、記録として残ってるからはっきり言える。あの時の『UNIVERSE!!』は幕張メッセでLiella!がやったものとは別」

慈「ブラックめぐちゃん四天王がどうたらこうたらみたいな話も残ってないし、そのライブはちゃんと通常どおりに行われた」

瑠璃乃「えっと…」

慈「あの旅で私たちが経験したものはなんらかの記録に残ってるんだよ」

慈「Liella!が幕張で鬼塚冬毬とウィーン・マルガレーテの2人のメンバーを加えた初ライブってのも情報として残ってる」

慈「さっきのにしろ、どっかで見たやつが夢に出たというのが私の見解かな」

瑠璃乃「いや、そうじゃない」

慈「ん?」

瑠璃乃「見てよ。この動画のここ」

473: 2024/12/15(日) 14:42:50 ID:???00
慈「あ、マルガレーテちゃんが何か付けてるね…ヘアピン?」

瑠璃乃「あの日さ、ルリはヘアピン一個失くしてるんだ。ライデーンの磁力で引っ張られて取れたんだと思うけど」

瑠璃乃「そのヘアピンと同じなんだよ、これ」

瑠璃乃「いつか映像になったのをルリたちが見て、気づいてくれるように付けてくれてた…とか」

慈「まさか…いやいや、だって」

沙知「あ、おーい!おふたりさん!」

慈「えっと…沙知先輩、なにか?」

沙知「ま、まあそう睨むなって」

沙知「実はさ、みらくらぱーく!宛に外部から話が来ててね…梢に話しに行く前に二人が見えたんでさ」

沙知「ま、本人たちにも直接で話はしとくべきかなと、読んでみてくれ」

474: 2024/12/15(日) 14:44:35 ID:???00
慈「えっと…曲をカバーしたいって話みたいだね…って、わいわいわいからでド!ド!ド!?」

瑠璃乃「繋がってるんだ。ルリたちの冒険は」

慈「……そっか。じゃあ、負けられないね。私たちも」

瑠璃乃「まだ見ぬゴールに向けてもうひとっ走りしますか」

沙知「お、おい!」

沙知「…まったく、やんちゃな後輩さんだよ」

慈(ヒーローは走って走って飛び上がる、もうちょいだけ高く!)

瑠璃乃(信じたもののために毎日、もうちょいだけ遠く!)

慈(私たちなら、みらくらぱーく!なら、限界なんてなくなくないんだぜ!)

瑠璃乃(突破じゃい1000%!)

~みらくらぱーく!編・完~

475: 2024/12/15(日) 14:56:21 ID:???00
あとがき

ここまで読んでくださった方、というのがいるのかわかりませんが
お付き合いいただきありがとうございます
ようやく書き終えました

思い返せばみらくらぱーく!編開始は今年の3月
シリーズ1つ目のスリーズブーケ編開始は去年の11月
3つのしたらばを股にかけた1年強、私史上今後もないであろう長期の作品となりました

元々みらくらパーク!編は他よりもやや長くなるくらいの予定だったのですが…
みらくらぱーく!の特色→他シリーズとの関わりが多い、というのを安易に盛り込んだためにこのようなことになりました

それもようやく完結、物語をちゃんと終わらせることができて一安心です
スリブ編、ドルケ編がまだのようならそちらも読んでいただければ幸いです

スリーズブーケ編
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read_archive.cgi/anime/11177/1701252878/

DOLLCHESTRA編
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read_archive.cgi/anime/11177/1707177216/

これからですが書いてる途中に思いついた構想があるのでしばらくはそれを書こうかなと
表に出すかどうかはわからないですが、もし出すことになったらそちらも読んでいただければ嬉しいです

引用: 再再【ラップSS】瑠璃乃「冒険再開だぜ!めぐちゃん!!」【MP編2】