1: 2011/09/19(月) 15:04:24.13 ID:uQ1kR5t10
俺「はぁ・・・」

俺「女には相手にされないし、仕事もクビになった。生きる希望も見つからない」

俺「もう、生きていてもいいことなんかないんだ」

俺「今日こそ、今日こそ俺は鳥になる!」

俺「遺書も書いたし、HDDの中身も消去した。工口本も捨ててきた!」

俺「もう思い残す事はない・・・ないんだ!」

俺「最後くらい勇気を出して飛んでやる!」

俺「や、やるぞ・・・飛ぶぞ・・・今飛ぶぞ・・・よし飛ぶぞ・・・」

あかり「あ、あのー」
ゆるゆり

5: 2011/09/19(月) 15:11:39.66 ID:uQ1kR5t10
俺「え!?だ、誰?」

あかり「ここで何をしてるんですか?」

俺「見たらわかるでしょ。俺は自・・・」

あかり「じ?」

俺「じ、時間つぶしに景色を眺めてるの!」

あかり「へぇ~、いいなぁ」

俺「べ、別にいいことないよ。そんなに綺麗なもんでもないし」

あかり「あかりも見ていいですか?」

俺「ま、まぁ別にいいけど」

俺(さっさと帰ってくれないかなぁ)

7: 2011/09/19(月) 15:18:25.96 ID:uQ1kR5t10
あかり「わー!高~い!」

俺(俺はこれから他界するところなんだよ!)

あかり「すごくいい眺めですね!なんか元気出てきちゃった」

俺「・・・え?」

あかり「あかり、ちょっと落ち込んでたんです」

俺「そ、そうなんだ・・・」(どうせたいしたことじゃないだろ)

あかり「あなたのおかげです。ありがとうございました!」

俺「い・・・いえいえ」(何この展開)

あかり「それじゃあまたね、屋上のお兄さん!」タッタッ

俺「行っちゃったよ・・・これでようやく・・・」

俺「・・・」

俺「飛ぶのは明日にするか」

11: 2011/09/19(月) 15:28:29.67 ID:uQ1kR5t10
翌日

俺「通りすがりの女にブサイクって言われたしバイトの面接また落ちた・・・」

俺「うつだしのう」

俺「今日こそ俺はやる!」

俺「俺は飛ぶぞ!」

あかり「お兄さん空飛べるの?」

俺「飛べないよ!落ちるだけ!」

あかり「落ちたら痛いよ?」

俺「痛くないよ!氏ぬもん!」

あかり「氏んだらみんな悲しむよ?」

俺「誰も悲しみやしないって!俺なんか誰にも相手にされないもん!」

あかり「そんなことないと思うけどなぁ」

14: 2011/09/19(月) 15:34:32.18 ID:uQ1kR5t10
俺「・・・!!って昨日の子か、いたんだ?」

あかり「うん!」

俺「君、影薄いよね」

あかり「あはは、よく言われます」

俺「ふーん」

あかり「落ちるならパラシュートつけたほうがいいよ?」

俺「この距離じゃ開く前に氏ぬでしょ・・・」

あかり「そっか、それじゃだめかぁ」

16: 2011/09/19(月) 15:38:53.70 ID:uQ1kR5t10
俺「こんなところにいたら危ないよ。何しに来たの?」

あかり「あかり、また景色見にきたんだよ」

俺「ふーん」

あかり「ここの景色見てると、イヤなこと全部忘れちゃう」

俺「そうなんだ」

あかり「お兄さんもそうでしょ?」

俺「まぁね」(飛び降りにきたんだよ!)

あかり「よし、すっきりした!またね、お兄さん!」タッタッ

俺「なんなんだよ・・・」

17: 2011/09/19(月) 15:46:34.43 ID:uQ1kR5t10
翌日

俺「友達だと思ってたやつに着拒されてたし近所の子どもに指差して笑われた・・・」

俺「うつだしのう」

俺「今日こそ飛ぶ!」

あかり「こんにちは!」

俺「・・・また来たの」

あかり「今日はいいもの持って来たよ!」

俺「これは・・・ゴムひも?」

あかり「うん!飛ぶなら命綱が必要でしょ?」

俺「ゴムひもでバンジーなんて普通に飛び降りるより怖いよ・・・」

18: 2011/09/19(月) 15:51:03.57 ID:uQ1kR5t10
あかり「そっかぁ。京子ちゃんからザイルとヘルメット借りてくればよかったなぁ」

俺「いや、いらないから」

あかり「今日も景色見ていい?」

俺「別にいいんじゃない?」

あかり「ありがとう!」

俺「はいはい」(何なんだよ・・・)

20: 2011/09/19(月) 15:56:36.47 ID:uQ1kR5t10
あかり「あの、お兄さんっていつもここに来てるんですか?」

俺「まぁね」

あかり「どうしてか聞いてもいいですか?」

俺「それは・・・」

あかり「それは?」

俺「何となくだよ」

あかり「・・・ふぅーん」

俺「・・・」

あかり「また来ますね」タッタッ

俺「・・・」

23: 2011/09/19(月) 16:02:23.86 ID:uQ1kR5t10
翌日

俺「今日もそこはかとなくうつだからしのう」

俺「でも今日も来るんだろうなぁ、あの子」

俺「はぁ・・・」

あかり「こんにちは!」

俺「こんにちは、また来たの」

あかり「今日はお土産を持ってきました!」

俺「お土産?」

あかり「じゃーん!向日葵ちゃんにもらった手作りクッキー!」

俺「それはどうも」

あかり「はいどうぞ!」

俺「ありがとう」

あかり「どうですか?」

俺「おいしいよ」(口の中パッサパサだよ)

24: 2011/09/19(月) 16:06:18.08 ID:uQ1kR5t10
あかり「お口にあってよかったです」

俺「うん」

あかり「えへへ」

俺「・・・」

あかり「どうかしました?」

俺「あのさ、明日は来ないでくれるかな?」

あかり「えっ?」

俺「一人でやりたいことがあるんで」

あかり「そ、そうなんだ・・・」

俺「じゃあね」

あかり「はい、じゃあまた!」タッタッ

俺(明日決行だ・・・)

25: 2011/09/19(月) 16:13:06.68 ID:uQ1kR5t10
俺「よし、今日こそ・・・」

俺「遺書よし!きれいなパンツよし!落下地点安全確認よし!」

俺「さぁ飛ぶぞ!」

あかり「待ってください!」

俺「・・・来るなって言ったじゃない。何そのポーズ」

あかり「変身!ジサツイケナインジャー!」

俺「はぁ!?」

あかり「ジサツイケナインジャー!」

俺「二回言われても困るよ。っていうか何?バカにしてんの?」

あかり「そ、そんなつもりじゃ・・・」

27: 2011/09/19(月) 16:17:15.53 ID:uQ1kR5t10
俺「いや、どう見てもバカにしてるよね?ふざけてるよね?」

あかり「ち、ちがいます・・・」

俺「じゃあ何?一緒に自頃したいの?」

あかり「そうじゃなくて・・・」

俺「考えたら女の子と心中ってのも悪くないな、うん」

あかり「・・・!!」

俺「ほら、こっちにこい」

33: 2011/09/19(月) 16:30:04.32 ID:uQ1kR5t10
あかり「ち、ちがいます・・・あかりは・・・」

俺「うるせぇ!俺にはもう失うものなんてないんだよ!」

あかり「う、うぅ・・・」

俺「お前だってどうせ学校でハブられてるんだろ?生きてるの辛いだろ?」

あかり「そんなことないです!私はみんなが大好きで」

俺「今はそう思っててもな、いつか気がつくんだよ!自分は不要な人間なんだって!」

あかり「そんなこと・・・ない・・・」

俺「そんなことあるの!」

あかり「ないもん!」

34: 2011/09/19(月) 16:32:35.78 ID:uQ1kR5t10
俺「もういい!一人で氏ぬ!」

あかり「だめっ!」バッ

俺「あっ・・・」

あかり「えっ・・・!?あれ・・・?」グラッ

俺「おい・・・」

あかり「きゃあああああ!!」

ドサッ

俺「う、ウソだろ・・・」

あかり「・・・」

俺「やっちまった・・・」

36: 2011/09/19(月) 16:35:55.33 ID:uQ1kR5t10
俺「お、俺は取り返しのつかないことを・・・」

俺「はずみとはいえ、いたいけな少女を突き落とすなんて・・・」

俺「こんな・・・こんなことって・・・」

俺「そ、そうだ、俺も飛び降りればいいんだ」

俺「これは心中・・・そう、これは心中だったんだよ、うん」

俺「よし、これで踏ん切りがついた!飛び降りよう」

45: 2011/09/19(月) 16:46:08.79 ID:uQ1kR5t10
バンッ!

あかり「アッカリ~ン!!」

俺「!?」

あかり「もう!突き落とすなんてひどいぞっ☆」

俺「な、なんともないの?」

あかり「えっ?頭にちょっとコブが出来ただけで問題ないよっ!」

俺「どんな構造してんだよ・・・」

あかり「ねぇ、それよりお兄さん!私と付き合って?」

俺「はぁ?」

あかり「生きてればいいことがあるって教えてあげるよっ!」

51: 2011/09/19(月) 16:54:32.86 ID:uQ1kR5t10
繁華街

俺「周りの視線が痛い・・・」

あかり「気にしないの!ほら、手つなご?」

俺「う、うん・・・」

ネェ、アノヒト・・・

クスクス・・・

あかり「気にしちゃダメだよ!」

俺「そ、そうだな・・・」

52: 2011/09/19(月) 16:57:19.09 ID:uQ1kR5t10
あかり「映画面白かったね!」

俺「あ、あぁ・・・」

あかり「クレープおいしー!」

俺「そっか・・・」

あかり「あ、観覧車乗ろう?」

俺「う、うん・・・」

あかり「楽しいね!」

俺「そ、そうだね・・・」

54: 2011/09/19(月) 17:01:03.98 ID:uQ1kR5t10
あかり「あー楽しかった!」

俺「暗くなってきたし家まで送るよ」

あかり「ねぇ・・・」

俺「?」

あかり「今日は帰りたくないな」

俺「・・・!!」ゴクリ

あかり「だめ?」

俺「み、未成年に手を出すわけには・・・」

56: 2011/09/19(月) 17:03:50.13 ID:uQ1kR5t10
俺の家

あかり「わぁー!一人暮らしなんだぁ」

俺「汚いところだけど上がって」

あかり「すごく綺麗に片付けられてる!生活感が全くないよ!」

俺(身辺整理したからな・・・)

あかり「ふぅーつかれたぁー」ドサッ

俺「!!」(俺のベッドに女の子が・・・)

60: 2011/09/19(月) 17:06:31.40 ID:uQ1kR5t10
俺(これってやっぱりそういう展開だよな・・・?)

俺「あ、あかりちゃん・・・」

あかり「・・・」スースー

俺「寝てるのかよ・・・」

俺「・・・俺もシャワー浴びて寝るか」

62: 2011/09/19(月) 17:17:34.28 ID:uQ1kR5t10
翌朝

俺「ん・・・もう朝か」

俺「あかりちゃん・・・あれ?」

俺「いない・・・」

俺「靴もないし、先に出て行ったのかな?」

俺「鍵が閉まってる・・・」カチャッ

隣人「あら、ちょっとあなた大丈夫?」

俺「はい?」

隣人「昨日ブツブツ独り言言いながら廊下歩いてたわよね?」

65: 2011/09/19(月) 17:22:09.62 ID:uQ1kR5t10
俺「えっ?連れと一緒でしたけど?」

隣人「何言ってるのよ。あなた一人だったじゃない。私確かに見たんだから」

俺「いや、背格好がこれぐらいの赤髪の女の子が・・・」

隣人「アニメの見すぎじゃない?とにかく近所迷惑はやめてよね?」

俺「はぁ、すみません・・・」

俺「どうなってるんだ?」

67: 2011/09/19(月) 17:30:52.99 ID:uQ1kR5t10
俺「彼女のことが気になって仕方なかった俺は街中を探し回りました」

俺「あのビルにも行ってみましたが事故などは一切起こってないということでした」

俺「彼女は幻だったのでしょうか」

セラピスト「しかし彼女はあなたの心に大きな変化を与えたはずです」

俺「はい、あれからは自頃しようなんて思わなくなりました」

セラピスト「なるほど、これまでの話を統合して考えますと・・・」

69: 2011/09/19(月) 17:36:40.68 ID:uQ1kR5t10
セラピスト「あなたは後催眠にかけられていた可能性がありますね」

俺「後催眠?」

セラピスト「はい、誰かがあなたに暗示をかけて何らかのきっかけ、おそらく高所から下を見下ろした時などに幻覚を見るようにしたのでしょう」

俺「そ、そんな非科学的な事があるんですか?」

セラピスト「ありますよ。例えばエOチな画像を見ると興奮するでしょ?」

俺「はぁ、まぁ・・・」

セラピスト「それが後催眠です」

俺「えっ、そうなんですか」

セラピスト「はい」

72: 2011/09/19(月) 17:41:32.23 ID:uQ1kR5t10
俺「でも一体誰が・・・?」

セラピスト「これほどに強力な後催眠となると、あなたに直接接触してかけた可能性が高いでしょうね」

俺「う~ん・・・思いあたるフシはないですね」」

セラピスト「ただひとつ言えることは、この催眠をかけた人物はあなたに氏んで欲しくないと思っているようです」

俺「・・・」

セラピスト「あなたは最初自分は誰にも必要とされていないと思っていたとおっしゃいましたね?」

俺「はい」

セラピスト「今はどうですか?」

73: 2011/09/19(月) 17:50:28.77 ID:uQ1kR5t10
俺「今は、すごく晴れやかな気分なんです。前より少し自信がついた気がします」

セラピスト「それはよかった。あなたにはあなたを必要としてくれている人がいる。その事を忘れないで下さい」

俺「はい、ありがとうございました!」

セラピスト「またいつでもどうぞ」

俺(ひとつウソをついた)

俺(本当は催眠をかけた相手に心当たりがあるんだ)

俺(俺は、彼女に会わなきゃいけない。会って、ありがとうと伝えなければ)

息を乱して必氏に走る俺の体に心地いい風が吹き抜ける

気がつけば、周りの人間の奇異の目など気にならなくなっていた


おわり

74: 2011/09/19(月) 17:51:16.00 ID:KlHK+cQT0

あかりは天使だったのか

78: 2011/09/19(月) 17:53:09.73 ID:uQ1kR5t10
なにこれ・・・

引用: 俺「うつだしのう」あかり「ジサツイケナインジャー!」