あかり「うぇーん、ごめんなさぁぁい！　許してぇー！」

DQN「叫ぶんじゃねぇよ」

ﾄﾞｽｯ

DQNはあかりに当て身を食らわす。

あかり「っ！　ごふっ、けほっけほっ！」

DQN「次大声出したら頃すぞ」

あかり「けほっけほっげほっ！」

路地裏

あかりを無理やり引っ張って、人気のない路地裏に連れ込む。

DQN「この辺でいいか」

あかり「けほっけほっげほっ！！」

DQN「いつまでむせてんだよ」

あかり顔をビルの壁に押し当てる。

ｺﾞﾘｺﾞﾘ

あかり「あぐぁっ！　い、いたい、いたいよぉ！　や、め゛でぇ！」

DQN「普通にしゃべれんじゃねぇか。世話やかすんじゃねえよ、カス」

DQN「おい、さっきのあれはどういうつもりだ？　余所見だ、あ？」

あかり「ご、ごご、ごめんなひゃい、あ、あかり、他のこと考えて歩いてたから、つ、つい」

DQN「正月だからって浮かれてんじゃねえよ」

あかりの顔に平手打ちを食らわす。

あかり「へぶっ！」

あかりの体はそのまま地面に叩きつけられる。

あかり「あぁう……！　いたたぁ」

DQN「ちゃらちゃら晴れ着なんか着やがって。うぜぇんだよチビ」

倒れたあかりに足蹴りを繰り返す。

ﾄﾞｽｯ　ﾄﾞｽｯ　ﾄﾞｽｯ　ﾄﾞｽｯ

あかり「いたぁっ！　いたぁい！　いたいよぉー！　ふぇぇん、誰か助けてぇ～！　京子ちゃぁ～ん！」

DQN「大声出すなっつたろうが、ボケ」

あかりの頭のこめかみを足で強くえぐるDQN。

ｸﾞﾘｸﾞﾘｸﾞﾘ

あかり「ひゃあぁ゛ぁ゛！　ごめ゛！　ごめ゛ん゛なさぁぃ！」

DQN「こっちはなぁ、新年始まったばかりでイライラが溜まってんだよ。んな糞みてぇな着物破れちまえ」

再度、あかりの体のいたるところに足蹴りを加え始める。

ﾄﾞｽｯ　ﾄﾞｽｯ　ﾄﾞｽｯ

あかり「はぐぁっ！　ふぇっ！　やめぇっ！」

ﾁｬﾗﾝ

DQN「んあ？　コイツ、服からなにか落としたな」

DQN「なんだ、この紙袋」

あかり「そ、それ……あかりが親戚のおばさん、おじさんからもらったお年玉ぁ……！」

DQN「ホォー、どれどれ。なんだこいつ、JCのくせにこんなに金もらってんのかよ」

あかり「か、かえして……それ、かえしてぇ～！」

DQN「あんだぁ？　うぜぇな、調子こいてんじゃねぇよ」

DQNにすがってくるあかりの顔面を、靴のつま先で思いきり蹴り飛ばす。

ｶﾞﾂﾝ

あかり「ああぁ゛ぁ゛ぅ！」

その衝撃であかりの鼻の骨は少し折れた。

あかり「い、いひゃい……」

DQN「この金は、さっきの慰謝料ってことで俺がもらっておくわ」

あかり「ダメ、それは……それは、あかりの」

DQN「おい、どうせまだお年玉隠し持ってんだろ。全部出せよ、それで全部チャラにしてやんからよ」

倒れて無気力になったあかりのつぎはぎだらけの着物をぞんざいに鷲掴みし、お年玉を探り始めるDQN。

ｶﾞｼｯ

あかり「お願いやめて……あかりの……お年玉取らないでよ……」

DQN「うほー、あるある！　こいつは新年から羽振りがいいな」

あかり「みんなとセール行けなくなっちゃう……だから取らない……で」

口では拒み続けるものの、DQNの度重なる暴行で無気力になったあかりの言葉と表情にもはや覇気は感じられない。

一時間後

京子「あかり、遅いなぁ～」

結衣「かれこれ待ち合わせから一時間近く経つな」

ちなつ「あかりちゃん、私たちの約束忘れて寝てるんじゃないですか？」

結衣「それはないよ。私たちが電話で誘ったとき、あかりお年玉いっぱいもらったからすぐ行くって言ってたし」

京子「まったく。さっきから携帯かけても全然繋がらないし。こりゃ、あかりが来たら罰金バッキンガムだ」

ちなつ「あ、あかりちゃんだ！」

京子「遅いぞ、あか……り？」

結衣「あかり、どうしたんだ……。その格好」

あかり「……」

ちなつ「な、何かあったのあかりちゃん……！？」

結衣「服ボロボロだし、アザだらけだぞ……」

京子「頼むから何かしゃべってくれ、あかり！」

あかり「……」

あかり「みんな、ごめんね……遅れちゃって」

あかり「それとねあかりね、ドジだから慌てて転んでケガしちゃって、持ってきたお年玉も全部落としちゃったんだ、えへへ……」

あかり「だから残念だけど、今日はみんなとお買い物行けそうにないよ」

京子「あ、あかり、一体何を言ってるんだ。そもそも転んだだけでこんなケガする訳ないし……」

結衣「来る途中にお年玉全部落としたって……」

あかり「だから一緒にお昼ご飯食べることもできないし、何も買い物できないし、そのせいでみんなに気を遣わせそうだからあかり、今日は遠慮しとくね。ごめんね、みんな」

ちなつ（せ、先輩たち、ここはあまり細かいことには深く触れないで、私たちであかりちゃんにそれとなくやさしくしてあげるべきなのでは……）

京子（私もちなつちゃんと同意見だ。触れてはいけない、そんな気がする……）

結衣（そ、そうだな。今のあかりからは生気が全く感じられない……）

あかり「それじゃ、みんな。あかり、帰るね」

京子「ストップ！　あかり！　そんな水臭いこと言うなよー。昼飯なんてウチらが奢ってやるからよー」

ちなつ「う、うんうん。何か欲しい物があったら、言ってよ。私もお年玉結構もらったから、そんなに高くない物だったら買ってあげるヨ」

あかり「でも、それじゃみんなに悪いよ……」

結衣「気にするなよ、私たち友達だろ。困ったときは助け合わなくちゃ、だろ」

京子「だ、だからさあかり、一緒に新年セール行こうぜ、な、な？」

あかり「京子ちゃん、結衣ちゃん、ちなつちゃん……うぅ……みんな本当にありがとう。あかり嬉しいよ、みんな大好き」

あかり（やっぱり今日はいい日だよ。ちょっとイヤなことあったけど……。いつも影が薄いとか言われてたけど、みんながあかりのことちゃんと気にかけてくれたことがとっても嬉しい）

あかり（あかりがこんなにみんなに気にかけられたのは初めてなんじゃないかも……。でも、できればもっと別の形で目立ちたかったな）

おしまい

一時間前後の雰囲気のギャップが激しすぎるだろｗｗ