816: 2014/09/23(火) 19:54:06.53 ID:4BcJF+iP0
817: 2014/09/23(火) 20:03:43.29 ID:4BcJF+iP0
提督「店はおばちゃんとその息子でやってるんだ」
熊野「本当にこじんまりしてますのね」
提督「結構愉快な人でな…男と二人でいった時に付き合ってるのか聞かれた」
熊野「冗談…で良かったですわ」
提督「他にも、野菜が切れたから息子にスーパー行かせるわーとか言ってたな」
熊野「面白い方じゃないですの」
提督「ああ、そして料理も美味いし居心地良い店だよ…っと、あそこだな」
818: 2014/09/23(火) 20:17:12.75 ID:4BcJF+iP0
-炉ばたひょうたん-
店員3人、内装も特別広いわけでもなく小さな居酒屋チックな炉端焼きの店
予約も受け付けているらしいが、予約してくる客は滅多に居ないと仰っていた。
海産物がとても美味しく、ついついお酒を飲みたくなってしまい自分との戦いが始まる店、飲んでしまったら素直にホテルに泊まりましょう。
カウンター席しかなく、店員がかなり話しかけてくるのでコミュニケーションを楽しみながら食べれる人なら、かなり良い食事が行えるはず。
野菜も負けじと美味なので、釧路に行く機会があったら是非。
提督「じゃあ、入ろうか」
熊野「はい!」
ガラッ
おばちゃん「いらっしゃい」
提督「2名、大丈夫ですか?」
おばちゃん「好きなとこ座って」
提督「分かりました」
819: 2014/09/23(火) 20:25:33.78 ID:4BcJF+iP0
おばちゃん「お品書きはそれね、あとは私に聞いてくれれば出せるかもしれないよ」
提督「例えばどんなのがあるんでしょうか」
おばちゃん「今は…めんめがあるよ」
提督「め、めんめ…?」
熊野「初めて聞きましたわ」
おばちゃん「キンキのことだよ」
提督「あぁ!因みにお値段は…」
おばちゃん「うぅん…普段は4000円なんだけどねぇ…」
熊野「お安くして頂けますの?」
おばちゃん「最後の1尾だからねぇ…3000円にしようかね」
提督「じゃあそれ、頂けますか」
おばちゃん「はいよ」
提督「実は前来た時に鯖でこのやり取りやったんですよ」
おばちゃん「あら、常連さんだったかい」
提督「いえ、二回目です」
820: 2014/09/23(火) 20:39:56.97 ID:4BcJF+iP0
おばちゃん「二回目なら覚えてないねぇ」
提督「それに6年くらい前の話ですし…」
おばちゃん「じゃあ鯖も食べるかい?」
提督「お願いします、熊野は食べたいの決まったか?」
熊野「どれが良いのか悩みますわ…」
おばちゃん「全部美味しいから全部頼んで良いんだよ」
熊野「そんなに食べれませんわ…そうですわね…ししゃもとツブ、おねがいしますわ」
おばちゃん「はい、ししゃもとツブね」
提督「今日はお客さんまだ来られてないんですか?」
おばちゃん「まだ6時だからね、もっと遅いさ」
提督「皆お酒飲むんだろうなぁ…」
熊野「駄目ですわよ」ジトー
おばちゃん「なんだい、飲んでいかないのかい」
提督「車なんです」
おばちゃん「こんな所に車で来るなんて…ホテルに泊めてくればいいのに」
提督「ホテル取ってないんですよ…今、北海道一周中で」
おばちゃん「そういうことかい、よくこの店まで来たね」
提督「前に来た時のことを思い出して寄らせていただきました」
821: 2014/09/23(火) 20:48:05.28 ID:4BcJF+iP0
おばちゃん「よく覚えてたね」
提督「すごく美味しかったですからね」
おばちゃん「前もその子と一緒に来たのかい」
提督「違いますよ」
おばちゃん「プレイボーイだねぇ」
提督「前は男友達と来ました、女性と旅行は初めてです」
熊野「そうなんですの?」
提督「言ってなかったっけ?」
熊野「言ってませんわよ!」
提督「恋人でもない女性と旅行になんてホイホイ行かないだろ」
熊野「そ、そうですけれど」
おばちゃん「なんだい、付き合ってるのかい」
提督「いえ、まd…付き合ってないです」
熊野「ですわ」
おばちゃん「つまらないねぇ…はい、ししゃもと鯖」
提督「あ、今更だけど飲み物に烏龍茶お願いします」
熊野「私も同じので」
おばちゃん「わかったよ」
822: 2014/09/23(火) 21:03:50.13 ID:4BcJF+iP0
提督「では、いただきます」
熊野「いただきます」
おばちゃん「はいはい…これ、烏龍茶ね」
提督「あぁ…美味い」
熊野「とっても美味しいですわ…」
提督「駄目だ、酒飲みたい」
熊野「だ、駄目ですわよ!」
提督「わ、分かってる…ししゃも食べていいか?」
熊野「では私も鯖少しいただきますわ」
提督「…ほんのり塩がかかってるのか、美味しいな」
熊野「鯖も美味しいですわ…身が締まってますのね」
提督「続いてホッケも行きたいけどそんなに入りそうにはないな…キンキもあるし」
熊野「提督、野菜も食べてくださいな」
提督「そうだな…アスパラとじゃがバターください」
熊野「わ、私も同じの…」
提督「熊野、多分1人で食べきれないから2人で食べよう」
熊野「分かりましたわ!」
828: 2014/09/27(土) 18:41:34.52 ID:N5UWY32M0
おばちゃん「はい、メンメだよ」
提督「ありがとうございます、いつも4000円で出してるんですか?」
おばちゃん「メンメは時価だからねぇ…時々によって変わるよ」
提督「時価なのか…結構高低差はあるんですか?」
おばちゃん「6000円の時もあれば、2000円の時もあるよ」
提督「結構変わるんですね…」
おばちゃん「最後の1尾で良かったねぇ…」
提督「では、いただきます…熊野も食べてみ」
熊野「いただきますわ」
829: 2014/09/27(土) 18:43:19.89 ID:N5UWY32M0
提督「…あぁ…生きてて良かった」
熊野「提督ったら…でも、本当に美味しいですわ」
おばちゃん「大袈裟だねぇ」
提督「いや、それくらい美味しいです。かなり脂が乗ってるんですね」
おばちゃん「メンメはそこが売りだからねぇ」
提督「そしてふっくらしてるのに身がしっかり締まってる…ご飯が欲しくなるな」
熊野「皮もパリパリしてますわ」
提督「…酒も欲しいな…」
熊野「提督…」ジトー
830: 2014/09/27(土) 18:44:13.98 ID:N5UWY32M0
おばちゃん「じゃがバターとアスパラも出来たよ」
提督「あぁ…匂いがもう美味しそうだ」
熊野「湯気が凄いですわ」
提督「熱そうだな…」
おばちゃん「熱いうちに食べるのが美味しいんだろうに」
提督「ですよね…いただきます」
提督「あっつ…いけど美味しいな」
熊野「わ、私は少し冷ましてからにしようかしら…」
提督「何言ってんだ、熊野も食べるだろ?」
熊野「え…じゃあアスパラの方頂きますわ」
提督「熱くなさそうなの選んだだろ…」
熊野「違いますわ…!あ、少し熱い…でも美味しいですわ」
提督「どれ…あぁ焼きアスパラ久しぶりに食べたなぁ」
熊野「鎮守府のメニューには茹でたのがありますわね」
提督「あぁ、アスパラはどっちもかなり美味しいからな…両方メニューに入れてもらいたい」
熊野「他のと一緒に、頼んでみましょう?」
提督「そうだな」
831: 2014/09/27(土) 18:45:24.82 ID:N5UWY32M0
提督「ふぅ…結構食べたな」
熊野「そうですわね」
提督「と、いっても主食になるものは何も食べてないけど、熊野はお腹いっぱいになったか?」
熊野「ええ、もう入りませんわ」
提督「じゃあそろそろ行こうか」
熊野「分かりましたわ」
おばちゃん「もう帰るのかい」
提督「なんだかんだ言って1時間以上過ごしたので、そろそろ行きます」
おばちゃん「そうかい、また来るんだよ」
提督「はい、また2人で来ようと思います…会計するから熊野は向こうで待ってな」
熊野「分かりましたわ」
おばちゃん「全く可愛い子とふたり旅なんて…隅に置けないねぇ」
提督「あはは…」
おばちゃん「告白はしないのかい」
提督「…時が来たら、ですね」
おばちゃん「臆病だねぇ…会計は8500円だよ」
提督「はい…では、また」
おばちゃん「ありがとうねぇ」
提督「こちらこそ美味しい料理を有難うございました」
832: 2014/09/27(土) 18:46:10.28 ID:N5UWY32M0
提督「行こうか」
熊野「はい…釧路はもう出るんですの?」
提督「ああ、今日はもう車中泊場所に移動して寝るよ」
熊野「もう19時半ですものね…何時頃着く予定ですの?」
提督「うーん…2時間位で着くはずだから…22時前には着くんじゃないか?」
熊野「少し早いんですのね」
提督「明日の日の出が5時過ぎで、日の出とともに次の場所へ向かうから、早めに着いて睡眠取りたいんだ」
熊野「そういうことですのね、でも日の出と一緒にって早すぎじゃないですの?」
提督「明日は1日使って観光したいからな…何せ俺が北海道で一番好きな土地からな」
熊野「提督の好きな土地…私も少し興味がありますわ!」
提督「北海道で一番綺麗な土地だと思ってる、これから行く車中泊の場所もかなり綺麗だけどな」
熊野「明日の朝が楽しみですわね」
提督「ああ、日の出が一緒に撮れるしな…じゃあ行くぞ?」
熊野「はい!」
841: 2014/09/28(日) 19:34:37.73 ID:Q30lgdiC0
-国道243号線-
提督「この旅行も残すこと後2日だな」
熊野「あっという間でしたわね…」
提督「楽しい時間はそんなもんさ」
熊野「…でも…地図を見る限りまだ一周するのにだいぶあると思うのだけれど、後2日で大丈夫なんですの?」
提督「網走とか、稚内方面には行かないからな…でも一応円になってるし一周でいいだろ?」
熊野「少しずるい気がしますわ…」
提督「まぁまぁ、それはもっと大きい休みの時の目標にでもしておこう」
熊野「にしても…今居るのが釧路ですので…函館からとても移動しましたのね」
提督「だな、南から東までひたすら進んできたって感じだしな」
熊野「これからはどの方面に向かうんですの?」
提督「少し上いって、明日はひたすら西に向かう、もう半分帰路みたいなもんだよ」
熊野「空港があるとおっしゃっていた千歳まではかなり距離がありますけれど…提督疲れは大丈夫ですの?」
提督「ああ、大丈夫だ…休息時間もあるし、このくらいでへばらないさ」
842: 2014/09/28(日) 19:48:17.91 ID:Q30lgdiC0
提督「帯広も釧路も少し来る時期が早かったかもなー」
熊野「そうなんですの?十分綺麗でしたけれど…」
提督「帯広は夏行くと空と大地がより色付いて見えて綺麗だぞ、釧路はタンチョウと雪が映えるから冬が良いんじゃないかな」
熊野「確かにまだ夏というには微妙な時期ですわ」
提督「5月だからなぁ…夏に休暇取れたら真っ先に北海道行きたいな」
熊野「私も連れて行ってくださるのかしら」
提督「そうだなぁ…第一艦隊の皆に休暇あげて連れてきたいな、俺の休暇があるか分からんが」
熊野「大勢での旅行も賑やかで楽しそうですわ」
提督「良いかもなー…」
提督(あれ…貯金がなくなる予感…)
843: 2014/09/28(日) 20:04:45.55 ID:Q30lgdiC0
熊野「提督が一番好きと仰っていた場所、楽しみですわ!」
提督「少し時期がはやいかもしれないけどな…多分今行っても十分感動できるはずだ」
熊野「時期が関係あるんですの?」
提督「うーん…春夏秋冬いつ行っても良いところなんだが…5月っていうのは季節の間で少し劣るかもと思ってな」
熊野「劣る、ということは景観とかが素敵な場所なんですの?」
提督「ああ、広大な土地、広い空、生い茂る緑…自然好きにはたまらない場所だよ」
熊野「提督がそこまで仰るだなんて…とても気になりますわ」
提督「高校くらいの時かな、初めて行ってかなり衝撃を受けた、それから毎年2回は行ってたな」
熊野「結構通いつめていらしたのね…」
提督「写真が趣味になったのもそこのお陰だよ、だから基本的に風景写真が多いんだ」
熊野「そういうことだったんですのね」
提督「…お、この道路に入ってからだと…後30分位だな」
熊野「私、まだあまり眠くありませんわ」
提督「俺もそこまで眠くはないな…まぁ着いてから考えよう」
熊野「そうですわね」
844: 2014/09/28(日) 21:44:18.19 ID:Q30lgdiC0
-???-
提督「駐車場…そこだな」
熊野「泊まる場所はここですの?」
提督「ああ…にしてもまだ22時か…車停めたら外出てみようか」
熊野「…また場所の名前は教えてくれないんですのね」ジトー
提督「ん?あぁ…そうだなぁ…明日の朝教えるよ」
熊野「でも…暗くて分かりにくいですけれど島みたいなのが見えますわ」
提督「そうだな、それが最大の特徴かも」
熊野「地図が暗くて見えませんわ…提督、電気をつけてもよろしくて?」
提督「あ、ああ」
提督(エンジン切ってるんだけどな)
熊野「あれ…つきませんわね…」カチッカチッ
提督「…エンジン切ってるからな…」
熊野「っ…!提督!意地が悪いですわ!」
提督「すまんすまん、ついな」
熊野「もう…字が見えないじゃないですの」
提督「見えたら分かっちゃうじゃないか」
熊野「…もう」
853: 2014/10/03(金) 19:41:55.83 ID:gwktAfrH0
提督「どうだ、少し外に出てみないか?」
熊野「まだ眠くないですし、よろしくてよ」
提督「じゃあ行こうか」
ガチャ
熊野「…提督!空が!…すごいですわ」
提督「…おぉ、本当だ」
熊野「私、こんなに綺麗な星空を見るのは初めてですわ」
提督「周りに明かりが少ないし、空気が綺麗だからな…俺も久々にこんな綺麗な星空を見たよ」
熊野「…息を呑むほど綺麗ですわ」
提督「空が迫ってくるって感じだよな、考えてみれば1度も夜に外出てないのか」
熊野「そうですわね…ホテルでしたし」
提督「室蘭は着いた時もう眠かったしなぁ…見れて良かったな」
熊野「ええ、一生の思い出になりますわ」
提督「寒くないか?上着貸すぞ?」
熊野「少し…」
提督「ほら」バサッ
熊野「ありがとうございます…温かいですわ」
854: 2014/10/03(金) 19:56:43.35 ID:gwktAfrH0
熊野「提督、あそこの一番光が強いのはなんですの?」
提督「北極星じゃないか?で、あそこの柄杓型のやつが北斗七星だ」
熊野「この星の多さだとどれがどれかよく分かりませんわ…」
提督「分かりやすいのはなぁ…お、あそこに光が強いのが3つ並んでるのが分かるか?」
熊野「ええ、分かりますわ」
提督「そこから上下にも2つずつあるの、分かるだろ?」
熊野「はい」
提督「あれがオリオン座だ、冬の星座で左上がベテルギウス、右下がリゲルだな」
熊野「オリオン座!聞いたことがありますわ!」
提督「かなり有名だと思うぞ、あまり詳しくない俺でも知ってるからな」
熊野「こんなに沢山あって…それに名前がついてるなんて、すごい事ですわ」
提督「しかも肉眼で確認できるっていうのがな…こんなに多いと、星に手が届きそうだな」
熊野「こんなに光が強いのに、とても遠くにある…信じられませんわ」
提督「宇宙の謎は深まる一方だからな、俺ら一般人は解明を楽しみにしていなきゃな」
熊野「私、一般人とは少し違う気がしますけれど…」
提督「宇宙旅行でも出来る世界になってほしいもんだ」
熊野「提督が若いうちにそうなると良いですわね」
提督「後8年でアラフォーなのに厳し目だな…」
855: 2014/10/03(金) 20:02:09.53 ID:gwktAfrH0
提督「最後にこんな綺麗な星空が見えてよかったよ」
熊野「もう見れないんですの?」
提督「明日はホテルだからな」
熊野「で、でもまた外に出れば見れますわ!」
提督「札幌の街中だから見れても北極星と…他一等星がいくつかって感じだぞ?」
熊野「残念ですわ…」
提督「星ならむこうに帰っても見に行けるさ」
熊野「連れて行ってくれますの?」
提督「休みがあればな」
熊野「ふふ…約束ですわよ」
提督「ん…寒くなってきたしそろそろ車戻るか」
熊野「分かりましたわ」
856: 2014/10/03(金) 20:08:19.07 ID:gwktAfrH0
提督「じゃあ起きるのは3時くらいに…熊野は無理して起きなくてもいいからな?」
熊野「ここの名前知りたいので起きますわ、どこかの意地悪な方のせいで知れてませんので」
提督「誰だろうな…じゃあ3時に起こすぞ?多分少し明るくなって景色も見れるはずだ」
熊野「分かりましたわ」
提督「寒かったら俺の毛布貸すから、言えよ?」
熊野「ええ、大丈夫ですわ」
提督「じゃあ電気消すぞ…おやすみ」
熊野「おやすみなさい」
提督(4日目終了か…5日目は札幌のホテルに泊まって6日目の昼の便で帰る予定だからな…)
提督(実質後1日半くらいか、早かったな…さ、寝よ)
857: 2014/10/03(金) 20:35:35.17 ID:gwktAfrH0
-摩周湖-
日本で一番、世界で二番目に透明度の高い湖として広く知れ渡っている湖。
朝霧がかかる事が多いため『霧の摩周湖』と呼ばれたり、晴れた日の湖の色に因んで『摩周ブルー』と呼ばれたりする。
透明な理由は、カルデラ湖なので流れ込む不純物がないことや、特別保護区に指定されているので保護の力がより一層入っていることにあると考えられる。
摩周湖の周りも国立公園なので、非常に自然が綺麗で穏やかな気分になれるだろう。
霧だけではなく雲海が出ることもあるとか…
♪(コオロギの鳴き声)
提督「…3時か……熊野ー」
熊野「…んんっ」
提督「3時だぞ」
熊野「ふぁ…ぁん…まだ眠いですわ…」
提督「別に寝てても大丈夫だぞ?」
熊野「…でも…場所が気になりますから起きますわ…」ガサッ
提督「ん…外は少し明るいくらいだな、出てみるか」
熊野「ふぁあ…分かりましたわ」
ガチャ
提督「霧は…出てないか」
熊野「霧…?」
提督「ああ、朝霧が出ることが多いから霧の摩周湖って言われてるんだ」
熊野「…摩周湖っていう名前なんですのね」
提督「そうだな」
熊野「…教えてくれるなら最初に教えてくださればいいのに…」
提督「まぁまぁ…そうだな、折角だし写真撮るか」
熊野「寝起きですのに…」
提督「大丈夫だ、ちょっとカメラ取ってくる」
872: 2014/10/13(月) 20:45:58.12 ID:TghG8jWg0
提督「んー…日の出前だとまだ少し暗いな」
熊野「でも、だいぶ明るくなってますわ」
提督「予報によると完全な日の出は4時32分…まだ1時間以上あるな」
熊野「流石にそこまでは居れませんわね…」
提督「そうだな、影絵みたいな形で良ければもう少し明るくなったら撮れるし、それを狙おう」
熊野「ええ、良いですけれど…お時間は大丈夫ですの?」
提督「ああ、問題ないさ」
873: 2014/10/13(月) 20:57:50.83 ID:TghG8jWg0
提督「予報通りといえば予報通りだが、晴れてよかったな」
熊野「ええ、旅行中1回も天気が悪くなってないですわ」
提督「ああ、普段の行いがいいからだな」
熊野「自分で言うのはどうなんですの…」
提督「熊野は、この薄明るい時間のことをなんて言うか知ってるか?」
熊野「いいえ、存じ上げませんわ」
提督「黎明、払暁、彼者誰とか…東雲、暁、曙、一番使ってるといえば夜明けとかあるな」
熊野「夜明けは私も分かりますわ、そんな沢山あるんですのね」
提督「少しずつ明るさとかで言い方が変わるらしいが、俺もそこまでは分からないな」
熊野「…というより提督はなんで知っているんですの?」
提督「本で読んだんだ、天気・天候に関する語句の解説書みたいなやつ」
熊野「随分変わったもの読んでますのね…」
提督「綺麗な日本語が好きなんだ、使わないけど覚えておきたい、みたいな…そろそろ写るようになったかな」
874: 2014/10/13(月) 21:21:08.21 ID:TghG8jWg0
提督「とりあえず一回撮ってみるな」
熊野「はい」
カシャ
提督「…対象がないと分かりにくいな、熊野ちょっと入ってくれ」
熊野「分かりましたわ」
提督「んー、じゃあ撮るぞ」
熊野「はい!」
カシャ
提督「ん…ちゃんと撮れてるな、じゃあタイマーにして……よし」タッタッタッ
熊野「大丈夫ですの?」
提督「ああ、もうすぐシャッター押されると思う」
カシャ
提督「どうやら撮れたみたいだな」
熊野「ちゃんと撮れてるか心配ですわ」
提督「薄暗くて影みたいだから、写りを心配する必要はないよ」
熊野「そ、それでも気になりますわ…」
提督「ほら、大丈夫だろ?」
熊野「…ええ、大丈夫ですわ!…って、他の写真は見せてくださらないんですの?」
提督「ん?ああ、まぁな」
熊野「小樽の時も見せてくれませんでしたわ…」
提督「まぁまぁ、楽しみは帰ってからでも良いだろ?」
熊野「…絶対ですわよ」ジトー
提督「ああ、分かった」
提督(寝顔写真見られるのはまずい…絶対的にまずい…)
875: 2014/10/13(月) 21:32:08.65 ID:TghG8jWg0
提督「写真も撮ったし、そろそろ行こうか」
熊野「はい」
提督「シートベルトはしたか?」
熊野「大丈夫ですわ」
提督「…まだお腹空いてないよな?」
熊野「ええ、大丈夫ですけれど…」
提督「ここから目的地まではノンストップだからさ、一応な」
熊野「その、目的地にはどれくらいで…?」
提督「4時間半くらいだな、8時過ぎくらいに着く予定だ」
熊野「8時半…朝食はその時でよろしいのでは?」
提督「だな、最悪一航戦のお土産1つくらい食べても良いだろ」
熊野「提督…駄目ですわよ」
提督「…つれないな」
熊野「鎮守府に帰って少ないって言われても知りませんわ」
提督「…それもそうだな、よし、行くか」
879: 2014/10/19(日) 16:37:13.49 ID:gVYCSZUv0
-旭川紋別自動車道-
提督「そういえば、寒くないか?まだ日も完全に昇ってないし冷えてるだろ」
熊野「大丈夫ですけれど…少し手が寒いですわ」
提督「手か…ううん、後ろの鞄に手袋入ってると思うから、探してみ」
熊野「見てみますわ」
提督「朝は夜とはまた違った寒さがあるからな、少しの辛抱だ」
熊野「て、提督鞄に色々と詰め過ぎなのではなくて…」
提督「持ち物は少ないほうがいいだろ?」
熊野「にしても、詰め込みすぎですわ!どうして本が3冊も入ってるんですの!」
提督「読む機会あるかな、と思ってな…大体出掛けるときは2冊くらい持ってるぞ」
熊野「あ、ありましたわ…もう少し持ち物少なくしたらどうかしら」
提督「うーん、これでも削ってる方だぞ」
熊野「ノートパソコンとか必要ですの?使ってるとこ見ていませんけれど…」
提督「もしもの時のためだ、眼鏡や非常食もその為に持ってきている」
熊野「もしもの時のための眼鏡ってなんですのよ…提督が眼鏡持っているの、今知りましたわ」
提督「パソコンとかから出てるブルー何とか軽減の眼鏡を1つな、度は入ってないぞ」
熊野「だから掛けている所を見たことがないんですのね」
提督「パソコンは部屋でしか使わないからな」
熊野「どうして執務室では使わないんですの?」
提督「…プライベートだから、とでも言っておく」
熊野「…怪しいですわ」ジトー
880: 2014/10/19(日) 16:40:12.92 ID:gVYCSZUv0
熊野「景色がすっかり山だらけになってしまいましたわ」
提督「大雪山が近いからな」
熊野「大雪山?」
提督「北海道の中心辺りに広がってる火山群の総称だよ、旭岳、黒岳、赤岳、芦別岳…まぁ沢山の山を一括してそう呼んでるんだ」
熊野「ここも大雪山の一部なんですの?」
提督「…多分近くの違う山だろう、大雪山はもっとでかいはずだ」
熊野「提督は見たことありますの?」
提督「ああ、これから行く所からかなり遠巻きにだけど、綺麗に見えるよ…トータル面積が確か神奈川県と一緒なはずだ」
熊野「他県と大きさが一緒の山…規模が違いますわ」
提督「10位からなる山塊だからな、パッと見じゃ分からないけど」
881: 2014/10/19(日) 16:42:15.64 ID:gVYCSZUv0
提督「後1時間位か…これを真っ直ぐ進むと旭川に着くんだ」
熊野「左に曲がりましたけれど…旭川は行かないんですの?」
提督「ああ、俺自身あんまり寄ったことがない場所なんだ、動物園に行ったことがあるくらい」
熊野「動物園があるんですの?」
提督「ああ、旭山動物園っていって北海道で一番大きい動物園があるよ」
熊野「北海道一番、と聞くととても大きく感じますわ…」
提督「かなり広い動物園なんじゃないか、他の所にあまり行ったことがないからなんとも言えないけど」
熊野「私、動物園にも水族館にも行ったことがないですわ」
提督「他の艦娘で行ったことあるやついるのか?」
熊野「どうなのかしら…私も分かりませんわ」
提督「鎮守府の近くにないからなー…遠出した時にでも寄るか」
882: 2014/10/19(日) 16:55:23.40 ID:gVYCSZUv0
-美瑛-
富良野の上に位置する美瑛町は、丘陵風景や山、川など自然溢れる観光地として知られている。
日本で最も美しい村と呼ばれたり、十勝岳に向かう道路は紅葉時期になると世界一美しい道と言われたりと、美しさに評価が高い。
空気が澄んでいて、電灯もあまり無いため星が綺麗なこともあり、カメラマンが移住したり、カメラが趣味の人がよく訪れる。
また、農業中心の町なだけあり面積の半分以上が畑、人口も多くはないが、那智美瑛火祭という大きい祭があったり、丘の上から上がる花火大会など見所満点な町である。
広大な土地の中で自然に癒やされたい人には、是非行ってみてもらいたい場所だ。
熊野「わぁ…とても綺麗な場所に出ましたわ」
提督「ここからが美瑛町だよ、今日の目的地だ」
熊野「周り一面が丘になっていますわ!」
提督「美瑛は殆どがこんな景色なんだ、すごいだろ?」
熊野「ええ、このような景色初めて見ましたわ!」
提督「…で、朝ごはんはどうする?今8時半だが」
熊野「私はまだ大丈夫ですけれど…提督は大丈夫なんですの?」
提督「ああ、大丈夫だ、じゃあ先に少し回ろうか」
熊野「ええ!見てるだけでうっとりしてしまいますわ…」
887: 2014/10/20(月) 19:32:33.60 ID:hVeAl0030
提督「大体のスポットは市街地からは離れてるんだ」
熊野「家が全然見当たりませんわ」
提督「この辺りは農家が点々としてるくらいかな、とりあえず一番近い所に行こうと思う」
熊野「風が気持ち良いですわ…」
提督「そうだな」
熊野「随分山道に入っていくんですのね」
提督「ああ、あまり観光雑誌とかには載ってない場所なんだ」
熊野「確かに、このような場所にはあまり人は来そうにありませんわ」
提督「美瑛の写真集とかだとよく見かけるけどな、俺もそれで知ったんだ」
888: 2014/10/20(月) 19:40:14.30 ID:hVeAl0030
-2本の木-
写真家、美瑛常連、地元の人の間でそう呼ばれる場所がある。
美瑛から旭川方面に向かい、農道を山方向に向かうと辿り着くことが出来るこの場所は、少しの舗装はされているものの殆どが砂利道だ。
車を停める場所もなく、道路脇に停めることになるが車は殆ど通らないので大丈夫であろう。
北西に2本の木、北東に防風林と1本松、バックには十勝岳という贅沢な景色を堪能できる。
そして街からもだいぶ離れるので木々や鳥の声しか聞こえない、そんな中で心を休ませてみるのも良いのではないだろうか。
提督「着いたぞ」
熊野「ここは…畑でも丘でもないですわ」
提督「ああ、とりあえず降りるか」
熊野「分かりましたわ」
889: 2014/10/20(月) 19:46:49.94 ID:hVeAl0030
提督「ここの砂利道を歩いて行くんだけど、あそこに二本の木が見えるのが分かるか?」
熊野「ええ」
提督「あれが、二本の木っていってたまに話題に上がるんだ」
熊野「ここからは遠くてあまり見えませんが…木の種類が違いますの?」
提督「ああ、片方が杉でもう片方は……あれ、思い出せないな」
熊野「もう…しっかりしてくださいな」
提督「確かポプラの一種だったと思うんだが、詳しくは分からないな…よし、行こうか」
熊野「はい!」
提督「…砂利道で転ぶと危ないし、手でも繋ぐか」
熊野「え、ええ…確かに転ぶといけませんものね、仕方ありませんわ」
ギュッ
提督「少し坂になってるから気をつけろよ」
熊野「ええ、転びそうになったら助けて下さいな?」
提督「ああ、分かってる」
890: 2014/10/20(月) 20:09:38.08 ID:hVeAl0030
提督「にしても、今日は雲ひとつないな」
熊野「気持ちが良いほどの晴れですわ」
提督「この広々とした風景に、少し雲があっても良いと思うけどな」
熊野「…それもそれで素敵ですわ」
提督「でも、この清々しい感じも良いよな」
熊野「はい…いつもは海の上なので新鮮ですわ」
提督「辺り一面緑だもんな…っと、ここら辺か」
熊野「…静かですわね」
提督「…そうだな」
熊野「人の音も、車の音も聞こえませんわ」
提督「たまにはこういうリフレッシュも良いだろ?」
熊野「ええ、心が安らぎますわ…」
提督「こっちを向いたら二本の木だけど、逆を向いたら1列の防風林が見れるんだ」クルッ
熊野「…綺麗に並んでますのね」
提督「ああ、でも上空から見たら真ん中を境にくの字になってるんだ」
891: 2014/10/20(月) 20:22:04.12 ID:hVeAl0030
提督「1箇所に時間を掛けるのもあれだし、もう車に向かおうか」
熊野「分かりましたわ」
提督「…手は」
熊野「え、エスコートするのは男性の役目ですわ!」
提督「了解」
ギュッ
熊野「そういえば、こんな素敵な場所なのに何故観光スポットにならないんですの?」
提督「さっきも言った通り一つは、雑誌とかであまり紹介されてないことかな…他にも来づらさとか、正式な名称がないとか、何かと隠れるんだろう」
熊野「…少しもったいない気がしますわ」
提督「まぁな…でも、人気にならないからこそひっそり楽しめるっていうのもあるからなー」
892: 2014/10/20(月) 20:34:07.19 ID:hVeAl0030
提督「ここから見ると、一本杉のバックに十勝岳が見えるんだ」
熊野「まぁ…とても綺麗ですわ!」
提督「十勝岳は大雪山の一部だぞ」
熊野「あれが大雪山…上のほうが白いですわ」
提督「年中雪積もってるからな」
熊野「寒そうですわ…」
提督「冬に来たら一面あれだぞ」
熊野「北海道は全域に雪が降るんですの?」
提督「ああ、場所によって量は違うけど…全体的に積もるぞ」
熊野「ということは、この緑の丘も真っ白になるんですのね」
提督「そうだな、それもかなり綺麗だぞ」
熊野「見てみたいですけれど、寒さに勝てる気がしませんわ…」
提督「ここは冬だと-20度とか行くからな、朝方の話だけどな…冬にも来るか?」
熊野「わ、私は鎮守府で待ってますわ…」
提督「結構すぐ慣れるんだがなぁ」
893: 2014/10/20(月) 20:43:35.10 ID:hVeAl0030
提督「じゃあ次のスポットに行くぞ」
熊野「準備は大丈夫ですわ!」
提督「次は結構テレビや雑誌でも話題になることがある場所だ」
熊野「ということは、結構人が居るってことですの?」
提督「まだ9時だし大丈夫だと思うけどなー、いつもはあまりいないぞ?」
熊野「そうなんですの」
提督「ああ、就実の丘っていう場所なんだ」
熊野「丘にも名前がついているんですのね」
提督「一部だけどな、恋が成就したり、就職が成就したり色々願掛けに使われているらしい」
熊野「就実、確かに何か実りそうですわ」
提督「俺と熊野にも何か実るかもな」
熊野「………せ、セクハラ発言ですわっ//」
提督「……え?」
894: 2014/10/20(月) 20:46:08.50 ID:hVeAl0030
895: 2014/10/20(月) 21:33:48.71 ID:sktHN2Y0o
乙です
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