1: 2013/11/14(木) 18:48:18 ID:VLYCnugE
長年、人間達はエルフに対して嫉妬してきた。

その美しい容姿と、万能無敵な半神的な存在。

エルフ達は、人間よりも遥かに力が強く、時には他の種族を躊躇いもなく自らの手で殺めた。

いつしか、人間達はそんなエルフに対して、強い恐怖や嫉妬等を抱くようになっていった。

それが原因なのか、人間達はいつしかエルフ達を徐々に弱体化する様に仕向け、若い女のエルフ達を拉致しては奴隷とする。

何度も何度も、囚われの身となったエルフ達に乱暴をし、人間達の前で服従する様にと催眠や調教等を繰り返した。

だが、それも長くは続かずに人間達はエルフ達による逆襲を受け、多数の人間達の土地や命等が失われる事になる。

やがて、人間達はエルフ達による更なる侵攻を恐れ、とある一人の勇者にエルフ討伐を依頼したのだった。
葬送のフリーレン(1) (少年サンデーコミックス)
2: 2013/11/14(木) 18:48:55 ID:VLYCnugE
~とある城・謁見の間~

国王「そなたが、件の勇者か?」

国王「よく、ここに来てくれた!」

国王「そなたの噂は、よく聞いておるぞ!」

国王「つい先日、魔王を討ち取ったばかりだと言うのに、休む間もなく呼び出して本当に申し訳ない!」

大臣「……」

勇者「はっ! お初にお目に掛かります! 国王陛下!」

勇者「この度は、ご尊顔を拝し恐悦至極に存じ奉ります!」

国王「うむ。面をあげい!」

勇者「……」ムクッ

3: 2013/11/14(木) 18:49:08 ID:VLYCnugE
勇者「して、私めにご用件とは?」

勇者「事態は、急を要するのでしょうか?」

国王「うむ。そうじゃ!」

勇者「……」

国王「大臣。早速、勇者に用件を伝えよ!」

国王「事態は、本当に急を要する!」

国王「このままでは、我ら人間はエルフによって滅ぼされる!」

国王「なんとしても、あの凶暴なエルフ達を一人残らず殲滅するのじゃ!」

大臣「はっ!」

勇者「……」

4: 2013/11/14(木) 18:49:27 ID:VLYCnugE
大臣「おっほん……」

大臣「勇者よ。この度は、よく来てくれた!」

大臣「この大陸では、人間達の力がかなり弱い!」

大臣「いつ、エルフ達の手によって滅ぼされてもおかしくないのだ!」

勇者「……」

大臣「そこで、今のそなたに頼みたい事がある!」

大臣「勇者よ。どうか、この大陸にいる全てのエルフを殲滅してくれ!」

大臣「エルフ達は、ここより南の地域を占領している!」

大臣「どうか、そなたの手で凶暴なエルフ達を全て殲滅してはくれぬか?」

国王「……」

5: 2013/11/14(木) 18:49:42 ID:VLYCnugE
勇者「はっ、しかと承りました!」

勇者「この勇者XXX、必ずやエルフ達を殲滅して見せます!」

大臣「おおっ、そうか!」ニパァ

国王「勇者よ。早速、憎きエルフ達を殲滅してきてくれ!」

国王「あ奴等は、我々人間を殲滅するつもりだ!」

国王「今の我らに、残された時間はあまりない!」

勇者「はっ!」ペコッ

国王「大臣。勇者に、例の物を!」

国王「勇者に、アレを渡すのじゃ!」

大臣「はっ!」

6: 2013/11/14(木) 18:50:20 ID:VLYCnugE
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、スッ……

大臣「……」

勇者「……」

大臣「勇者。これを受け取れ!」

大臣「この各国共通の許可証があれば、エルフの里に入る事が出来る!」

大臣「そなたは、この世界を救った英雄だ!」

大臣「その英雄に対して、エルフの里側も手出し出来んだろう!」

勇者「……」

7: 2013/11/14(木) 18:50:33 ID:VLYCnugE
スッ、ギュッ、ギュッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

大臣「勇者。くれぐれも慎重にな!」

大臣「この大陸に住むエルフ達は、かなり手強い!」

大臣「そなた次第で、我ら人間の運命は大きく変わる!」

大臣「正直な所、そなたの住む国や大陸が羨ましい!」

大臣「同じエルフでも、あそこまで違うものかと感心させられてしまうからな!」

勇者「はっ!」ペコッ

国王「……」スッ

兵士達「……」ビシッ

8: 2013/11/14(木) 18:50:46 ID:VLYCnugE
ガチャ、ギギィーーーーッ……

ダン、カシャン……

国王「勇者。もう下がって良い!」

国王「そなたの健闘を祈る!」

勇者「はっ! 失礼致します!」ペコッ

ムクッ、スッ……

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ガチャ、ギギィーーーーッ……

ダン、カシャン……

12: 2013/11/15(金) 12:57:21 ID:IWk/rbcs
~とある城・城門~

勇者(結局、詳しい事は聞けず終いか……)

勇者(どこの大陸の国王も、皆あんな感じなのか……)

勇者(しかし、エルフによる侵攻とはまた珍しい……)

勇者(エルフは、永世中立のはずだ……)

勇者(そのエルフが、どうして?……)

勇者(どうして、この大陸ではエルフが人間を襲う?……)

勇者(一体、何がどうなっているのだ?……)

勇者(俺の住む国や大陸では、エルフは割りと友好的だった……)

勇者(魔王軍との決戦の際も、難民保護や医療支援等を申し出てくれていた……)

13: 2013/11/15(金) 12:57:38 ID:IWk/rbcs
勇者(それなのに、何故、エルフは人間を襲う?……)

勇者(この国の民達は、何故、そこまでエルフを恐れている?……)

勇者(まさか、この国の民達はエルフに何かしたのか?……)

勇者(以前、他の大陸ではハーフエルフによる大規模な反乱があったみたいだな……)

勇者(それに、ここ最近になって、この大陸には多数のエルフ達が入植をしてきた……)

勇者(これは、絶対に何かある……)

勇者(どうやら、俺の知らない所でまた何か裏で動いている様だな……)

勇者(結局、俺はただの捨て駒に過ぎないと言う訳か……)

勇者(はぁ……)ガクッ

兵士長「……?」チラッ

14: 2013/11/15(金) 12:58:18 ID:IWk/rbcs
兵士長「勇者殿、どうなされた?」

兵士長「どこか、気分でも悪いのか?」

勇者「……いえ、別に」

兵士長「なら、早く城内から出られた方が良い!」

兵士長「ここにいたとしても、事態は何も変わらないのだからな!」

勇者「……」

兵士長「勇者殿、聞いておられるか?」

兵士長「門は、もう既に開いておりますど!」

勇者「……」

兵士長「……?」

15: 2013/11/15(金) 12:58:31 ID:IWk/rbcs
「所詮、勇者も人の子と言う訳か」

「そんな気持ちで、よく魔王を倒せたな!」

勇者「……」クルッ

兵士長「……」ビシッ

スタスタスタッ、ピタッ……

王子「勇者よ。久し振りだな!」

王子「まさか、再びそなたとここで会おうとは!」ニヤニヤ

勇者「……」ペコッ

王子「相変わらず、そなたは愚かな男だ!」

王子「我が父の誘い等断って、故郷でのんびり暮らしていればいいものを!」ニヤニヤ

16: 2013/11/15(金) 12:58:51 ID:IWk/rbcs
勇者「XXXXX王子。そなたか……」

勇者「そなたと、こうして会うのは何年振りだったかな?」

兵士長「……」

王子「かれこれ、もう一年だ!」

王子「そなたこそ、よくあの国王の下で未だに仕えておるな!」ニヤニヤ

勇者「……」

王子「それで、どうする?」

王子「このまま、そなたは逃げ出すか?」

王子「今度の敵は、エルフ族10万!」

王子「それも、各大陸に住むエルフ達が、挙って続々とこの我々がいる大陸にまで大移動してきておるぞ!」ニヤニヤ

17: 2013/11/15(金) 12:59:21 ID:IWk/rbcs
勇者「XXXXX王子。それは誠か?」

勇者「何故、各大陸に住むエルフ達が、挙って大移動をしてきてるのだ?」

王子「……」ニヤニヤ

勇者「そなた、一体何を隠している?」

勇者「何故そこまで、そなた達は情報を統制しているのだ?」

王子「……」ニヤニヤ

勇者「頼む! どうか教えてくれ!」

勇者「一体、この大陸では何が起こっているのだ?」

王子「……」ニヤニヤ

兵士長「……」

18: 2013/11/15(金) 12:59:34 ID:IWk/rbcs
王子「勇者XXX。それに関しては何も話せん!」

王子「父上から、あまり勇者にはこの件の事を話すなと言われてる!」

王子「それに、これもそなたに課せられた試練だ!」

王子「勇者なら勇者らしく、自分の手で情報を集めるんだな!」ニヤニヤ

勇者「……」

王子「兵士長。勇者を出せ!」

王子「これから、また別の客人が来る!」

王子「ここに、勇者が留まっていても何も意味もない!」

王子「今の我らには、あまり時間がないのだからな!」ニヤニヤ

兵士長「はっ!」

19: 2013/11/15(金) 12:59:47 ID:IWk/rbcs
兵士長「勇者殿。王子様からの命令だ!」

兵士長「早急に、この城から立ち去られよ!」

兵士長「さぁ、早く!」

勇者「……」

兵士長「勇者殿。もう一度警告する!」

兵士長「早急に、立ち去られよ!」

兵士長「聞こえておるのか!」

勇者「……」

兵士長「……」

王子「……」

20: 2013/11/15(金) 12:59:59 ID:IWk/rbcs
勇者「XXXXX王子。これだけは、言っておく!」

勇者「今のそなたも、かなり愚かだ!」

勇者「それだけは、十分に覚えておけ!」

王子「ああ、了解した!」ニヤッ

兵士長「……」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

王子「勇者XXX。達者でな!」

王子「不義の子なら不義の子らしく、自身が生まれながらに背負った罪を存分に償え!」ニヤニヤ

勇者「……」ピタッ

21: 2013/11/15(金) 13:00:13 ID:IWk/rbcs
王子「それと、民達に聞いても何も情報は得られんぞ!」

王子「この地では、たとえそれが相手が勇者であろうと、全く同じ事だ!」

王子「以前、そなたがしていた事についても、この地にまで聞き及んでおる!」

王子「特に、そなたの父の事についても!」

王子「今のそなたは、本当に罪深き存在なのだからな!」ニヤニヤ

勇者「……」クルッ

王子「……」ニヤニヤ

ガチャ、ギギィーーーーッ……

ギギィーーーーッ、ギギィーーーーッ……

ダン、カシャ----ン……

24: 2013/11/16(土) 10:12:49 ID:k5EfucxU
~とある城下町・中央広場~

「なぁ、お前知ってるか?」

「今、この国に勇者が来ている様だ!」

「これで、俺達も安心して暮らしていける!」

「やはり、神は俺達を見捨ててはいなかった様だな!」

魔法使い「……」

「けど、その問題の勇者様とやらは、一体どこに?」

「俺達、まだその勇者様とやらには会えず終いなんだが」

「おまけに、各地のエルフがこの大陸に入ってきた!」

「エルフ側も、本気で俺達の事を潰す気なんだ!」

25: 2013/11/16(土) 10:13:01 ID:k5EfucxU
「だが、天は俺達の事を見捨ててはいない!」

「その証拠に、勇者がこの国に来た!」

「ようやく、俺達の陳情が通ったんだ!」

「これで、エルフ達も一人残らず奴隷にしてやる事が出来るんだ!」

魔法使い「!?」

「でもよ、今の俺達エルフに勝てるんか?」

「俺は、別の大陸にて多数のエルフ達の姿を見てきた」

「そいつら、かなり弱々しかったぞ!」

「俺達の住む大陸と違って、向こうのエルフはかなり温厚で大人しい性格の様なんだ!」

魔法使い「……」

26: 2013/11/16(土) 10:13:14 ID:k5EfucxU
「なら、何でこっちのはやけに狂暴なんだ?」

「それなら、俺達も向こうの方が良い!」

「さぁな」

「俺が知るかよ」

魔法使い「……」

「まぁ、もうすぐエルフ達も屈服するんだ!」

「これで、安心して夜を迎える事が出来る!」

「でも、今から20年くらい前に起きた大規模な反乱みたいにならないと良いがな!」

「あん時は、本当にかなりヤバかったらしいが!」

魔法使い「……」

27: 2013/11/16(土) 10:13:26 ID:k5EfucxU
「おいっ! お前ら何を騒いでる?」

「今から、牢屋にでもぶちこんでやろうか?」

「げっ!?」

「やべっ!」

魔法使い「……?」

「全く、お前らいつもこうなんだな!」

「無駄話している暇があるなら、さっさと持ち場に戻れ!」

「へい!」

「了解しやした!」

魔法使い「……」

28: 2013/11/16(土) 10:13:39 ID:k5EfucxU
「それと、貴様らもうこれで三回目だぞ!」

「お前ら、一体いつになったら体で覚えるんだ!」

「へぇっ、すんません!」

「全く、これだから最近の若いもんは……」

「貴様ら、次なんかあったらクビだかんな!」

「へいっ!」

魔法使い「……」

「後、お前らちゃんと給金も事務所に取りに来い!」

「本当に、何でいつもお前らばかり問題起こしてんだ?」

「へいっ! すんません!」

29: 2013/11/16(土) 10:13:51 ID:k5EfucxU
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、ピタッ……

戦士「すまん。待たせたな!」

戦士「少し、買い物に手間取った!」

魔法使い「そう」

戦士「お前、何かまた魔法でやってたのか?」

戦士「お前の目、完全に変わってたんだが」

僧侶「ええ、そうですね!」

魔法使い「……」

30: 2013/11/16(土) 10:14:03 ID:k5EfucxU
戦士「それで、勇者はまだか?」

戦士「まだ、ここの国王と謁見してるのか?」

魔法使い「うん。そうみたい」

戦士「本当に、勇者は何を考えているんだか」

戦士「相変わらず、勇者が何考えてんだか全く解らねぇよ」

魔法使い「……」

スッ、ドサッ……

ガサガサッ、ガサガサッ……

戦士「おっ、あった」

魔法使い「……?」

31: 2013/11/16(土) 10:14:14 ID:k5EfucxU
スッ、ムキムキッ……

ムキムキッ、ムキムキッ……

スッ、モグモグッ……

モグモグッ、モグモグッ……

戦士「ああっ、美味い……」

戦士「やっぱり、ドライソーセージは美味いなぁ……」

僧侶「……戦士」

魔法使い「あんた、何でそれ食べてんのよ?」

魔法使い「それ、携帯食じゃなかったの?」

戦士「ああ、そうだけど」モグモグッ

32: 2013/11/16(土) 10:14:46 ID:k5EfucxU
僧侶「戦士。太るよ」

僧侶「本当に、戦士ってばよく食べるよね?」ジーーッ

戦士「……」モグモグッ

魔法使い「はぁ……男って何でこんなに馬鹿なんだか……」

魔法使い「しかも、それ別に皮なんか剥かなくても良かったはずなんだけど……」ジーーッ

戦士「え? そうなのか?」ピタッ

僧侶「へぇ~っ」

魔法使い「とりあえず、勇者はまだ戻ってきてないわ」

魔法使い「またどうせ、一人でぶらついてんじゃない」

僧侶「ええ、そうかもしれませんね」クスッ

33: 2013/11/16(土) 10:15:28 ID:k5EfucxU
戦士「けどよ、何でここの民達はエルフなんかを恐れてんだ?」

戦士「そんなに、あいつらは狂暴な種族なのか?」

魔法使い「さぁ……」

僧侶「とりあえず、勇者様がまだ戻ってきてませんし、暫くはここで待つ事にしましょう!」

僧侶「勇者様も、あれはあれでお忙しいお方ですし!」

僧侶「私達の任務は、勇者様とは別行動で情報収集!」

僧侶「あくまで、勇者様の側にいるのはついでなんですからね!」ニコッ

戦士「ああ、そうだな!」

魔法使い「ええ、そうね!」ニコッ

僧侶「……」ニコニコ

35: 2013/11/17(日) 08:22:19 ID:vXu5WvuI
~とある城下町・酒場~

老剣士「そろそろ、来る頃だと思ってたぞ!」

老剣士「そなた、やはりエルフの里に向かうみたいだな!」

老剣士「それで、そなたは何が聞きたい?」

老剣士「今のそなたは、本当にエルフ達を殲滅出来るのか?」

勇者「……」

魔導師「生憎、俺達はお前と組む気はない!」

魔導師「俺達は、ただこの大陸に観光に来ているだけだ!」

魔導師「そなたの話は、よく聞いておる!」

魔導師「本当に、そなたはあの腰抜けの息子とは思えぬな!」

36: 2013/11/17(日) 08:22:31 ID:vXu5WvuI
勇者「師匠。本日、お伺いしたのは他でもない」

勇者「この大陸では、何か良からぬ事が起きてしまっている!」

勇者「試しに、この国の民達から情報を集めてはみたが、何も得れなかった!」

勇者「一体、この島で何が起きているかについてをお聞かせ願いたい!」

老剣士「……」

魔導師「勇者XXX。そなた、エルフの奴隷を見た事があるか?」

魔導師「そもそもの事の発端は、エルフの奴隷達だ!」

魔導師「昔から、我々人間はエルフに対して嫉妬してきた!」

魔導師「いつか必ず、エルフを越えるとそう思い続けてきた!」

スッ、コトッ……

37: 2013/11/17(日) 08:22:43 ID:vXu5WvuI
魔導師「だが、所詮、人間はエルフには勝てなかった!」

魔導師「人間には、必ずしも限界がある!」

魔導師「これまで、人間はエルフに対して何度も戦を仕掛けた!」

魔導師「何をしても、人間はエルフには敵わなかったと言う訳だ!」

勇者「……」

魔導師「そこで、人間達はある賭けに出た!」

魔導師「自分達の持てる力をフルに発揮し、一部のエルフ達を弱体化させる事には成功したのだ!」

魔導師「しかし、それも結局は長くは続かずエルフ達による逆襲に遭い、全てが無に返した!」

魔導師「特に、あの憎き一人のハーフエルフの手によってな!」

魔導師「あ奴だけは、本当に赦しがたい存在なのじゃ!」ダン

38: 2013/11/17(日) 08:23:02 ID:vXu5WvuI
老剣士「魔導師。落ち着け!」

老剣士「また、体調を悪くするぞ!」

老剣士「お前、つい最近まで入院していたのだろ?」

老剣士「また、そなたの体調が悪くなる一方だぞ!」

魔導師「くっ……」ギリッ

勇者「ですが、所詮ただの一人のハーフエルフ!」

勇者「それ以上でも、それ以下でもない!」ダン

魔導師「……」ギリギリッ

老剣士「だが、そうも行かなかった!」

老剣士「あ奴だけは、何度頃しても再び我々の前に立ちはだかった!」ダン

39: 2013/11/17(日) 08:23:36 ID:vXu5WvuI
老剣士「おまけに、そいつは今エルフの里におる!」

老剣士「エルフの里で、女侯爵XXXXXXと名乗り、エルフの里ではかなりの権力者となった!」

老剣士「そなた、今から23年前に起きたハーフエルフの反乱は知っておるか?」

老剣士「その首謀者こそが、その女侯爵XXXXXX!」

老剣士「あ奴の所為で、俺達の国は滅ぼされた!」

老剣士「今では、完全にエルフの里の属領なのだ!」ギリギリッ

勇者「!?」ガーーン

魔導師「……」ギリギリッ

店主「……」ピタッ

店員「……」ピタッ

40: 2013/11/17(日) 08:23:48 ID:vXu5WvuI
魔導師「勇者XXX。そなた、本当に大丈夫なのだな?」

魔導師「あの憎きエルフ達を、そなたは一人残らず殲滅する事が出来るのか?」ギリギリッ

勇者「……」

魔導師「まぁ、魔王を討ち取ったそなたなら大丈夫だろう?」

魔導師「ただ、今回の相手はエルフ族およそ10万!」

魔導師「更には、各大陸から完全武装した多数のダークエルフ及びハーフエルフの姿が確認された!」

魔導師「もう既に、各大陸にて捕らわれていたエルフ達もまた続々と帰還!」

魔導師「その上、各国の王公貴族達も挙ってエルフの里には和議を申し入れている始末!」

魔導師「所詮、今の我々人間では、あの憎きエルフ達にはとても敵わん!」

魔導師「つい先日、見事に魔王を討ち取ったそなた以外は、とても無力な存在なのだ!」ギリギリッ

41: 2013/11/17(日) 08:24:00 ID:vXu5WvuI
勇者「……」

魔導師「……」

老剣士「……」

店主「……」

店員「……」

勇者「……」

魔導師「……」

老剣士「……」

店主「……」

店員「……」

42: 2013/11/17(日) 08:24:11 ID:vXu5WvuI
勇者「師匠。いくつか、質問があります」

勇者「師匠は、何故、共に戦ってはくれぬのですか?」

勇者「師匠は、相手の事をよく熟知しているのでしょ?」

勇者「師匠も、この私めに同行して頂ければ良いと思うのですが」

老剣士「……」

勇者「それに、その問題のハーフエルフとやらが、本当にそれだけの地位や力を持っているのですか?」

勇者「エルフは、ハーフエルフに対してかなり差別的だ!」

勇者「ダークエルフとも、敵対関係にあるはずです!」

勇者「それなのに、何故、エルフの里と手を組んでいるのです?」

勇者「今の私には、それがとても理解出来ない!」ギリッ

43: 2013/11/17(日) 08:26:16 ID:vXu5WvuI
老剣士「勇者XXX。自惚れるな!」

老剣士「その自惚れるや過信は、自身の氏を招く!」

老剣士「俺達も、幾度もなくあ奴に戦いを挑んだ!」

老剣士「時には、あ奴に対して一騎討ちを申し込み、見事なまでに惨敗を喫する程の強さなのだからな!」

勇者「!?」ガーーン

魔導師「だが、我々にも勝機はある!」

魔導師「見事、魔王を討ち取ったそなたがおる!」

魔導師「勇者XXX。よろしく頼むぞ!」

魔導師「我らの代わりに、憎きエルフ達を殲滅してきてくれ!」ペコッ

勇者「なっ!?」

44: 2013/11/17(日) 08:27:30 ID:vXu5WvuI
勇者「魔導師XX。頭をお上げ下さい!」

勇者「立場的には、あなたの方が遥かに上だ!」

魔導師「……」

老剣士「勇者XXX。それは出来んな!」

老剣士「今の我らには、そなたこそが唯一の希望なのだ!」

勇者「しかし……」

老剣士「エルフの里は、ここより南の深い森に位置している!」

老剣士「しかし、油断は禁物だぞ!」

老剣士「あの憎きハーフエルフが里に入ってから、我ら人間の犠牲が格段に上がっておる!」

老剣士「あの憎きハーフエルフがエルフの里で力を持ってから、弱体化させていたはずのエルフ達ですら元の力を取り返し始めとるのだ!」

45: 2013/11/17(日) 08:27:47 ID:vXu5WvuI
老剣士「勇者XXX。くれぐれも慎重にな!」

老剣士「今の俺達には、本当にどうにも出来ん!」

老剣士「そなたこそが、我々人間にとっては唯一の希望!」

老剣士「必ずや、憎きエルフ達を一人残らず殲滅してくれると信じておる!」ニコッ

勇者「……」

魔導師「勇者XXX。道中を気を付けてな!」

魔導師「そなたとは、もうこれで最後になるかもしれん!」

魔導師「たとえ、そなたが氏んだとしてもすぐに蘇らせてやる!」

魔導師「だから、そなたは何も心配はする必要はない!」ニコッ

勇者「……」

46: 2013/11/17(日) 08:27:59 ID:vXu5WvuI
勇者「師匠。誤魔化さないで下さい!」

勇者「ただ単に、あなた達は理由を付けて向こうに行きたくないだけでしょ?」

勇者「師匠達がついて来てくれたら、エルフ達には確実に勝てます!」

勇者「ですから、私について来て下さい!」

老剣士「無理だ!」

魔導師「同じく!」

勇者「……」

老剣士「皆の者、勇者をここから出せ!」

老剣士「ここに留まらせていても、どうにもならん!」

老剣士「だから、早く勇者をここから叩き出すんだ!」スッ

47: 2013/11/17(日) 08:28:11 ID:vXu5WvuI
スッ、ゴトゴトッ……

ゴトゴトッ、ゴトゴトッ……

店主「……」

店員「……」

勇者「!?」ガーーン

店主「勇者様、営業妨害です! どうかご退店を!」

店主「たとえ、相手が勇者様であろうとも容赦はしません!」

店主「俺達にとって、あんたは唯一の希望なんだ!」

店主「こんな所で弱音吐いてないで、さっさとエルフ討伐に行きやがれ!」

店員「そうだ! そうだ!」

48: 2013/11/17(日) 08:28:23 ID:vXu5WvuI
老剣士「勇者XXX。さっさと行け!」

老剣士「行かぬなら、この俺が実力行使するまでだ!」

老剣士「そなた、仮にも勇者なのだろ?」

老剣士「日々、常日頃から困っている民達が目の前にいるのに、そなたはそれを見捨てて逃げる事しか出来ないのか?」

魔導師「……」ムクッ

スッ、カチャ……

勇者「……」

店主「勇者様。どうか、ご退店を!」

店主「今なら、まだ間に合う!」

店主「ほらっ、さっさとあの爺さん達に殺される前に行きやがれ!」

49: 2013/11/17(日) 08:28:36 ID:vXu5WvuI
スッ、ムクッ……

スッ、ジャラジャラ……

勇者「マスター。ここに酒代は置いてく」

勇者「店内を騒がして、悪かったな」

店主「あいよ!」

店員「……」

勇者「師匠。俺の仲間達を頼みます!」

勇者「仲間達には、一人でエルフの里に向かったとお伝え下さい!」

老剣士「ああ、了解した!」

魔導師「……」

50: 2013/11/17(日) 08:28:57 ID:vXu5WvuI
スッ、クルッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ……

ガチャ、キキィーーッ……

スタスタスタッ、バタン……

老剣士「……」

魔導師「……」

店主「ほっ……」

店員「ほっ……」

53: 2013/11/18(月) 08:04:14 ID:K/Hntu1M
~とある城下町・中央広場~

戦士「なぁ、魔法使い」

戦士「お前、さっきから何やってんだ?」

戦士「お前の目、まだ変わったまんまなんだけど」

僧侶「ええ、そうですね」

戦士「まさか、また何か良からぬ事を企んでいるとか?」

戦士「お前の目、本気でヤバそうな感じがしてるんだが」

戦士「一体、さっきから何やってんだよ」

僧侶「……」

スッ、ムクッ……

54: 2013/11/18(月) 08:04:33 ID:K/Hntu1M
魔法使い「戦士。少し黙って」

魔法使い「今、まさに勇者が私達を素通りしようとしてる」

魔法使い「あいつ、このまま一人で行くつもりなのかしら?」

魔法使い「今さっき、近くの酒場から出てきたみたいだし」

戦士「え?」

僧侶「……」クルッ

魔法使い「……」

僧侶「……」キョロキョロ

僧侶「……」キョロキョロ

僧侶「あっ……」

55: 2013/11/18(月) 08:04:47 ID:K/Hntu1M
僧侶「ねぇ、戦士」

僧侶「勇者様って、あんな服装してたっけ?」

僧侶「勇者様、何故か鎖帷子着てるけど」

僧侶「あまり、あの格好は似合わないね」

僧侶「勇者様。何も顔まで変えていなくても」

戦士「え? どこどこ?」キョロキョロ

僧侶「ほらっ、あそこ」クイッ

戦士「……あっ」ハッ

魔法使い「……」

勇者「……」ハッ

56: 2013/11/18(月) 08:05:04 ID:K/Hntu1M
魔法使い「あいつ、何で鎖帷子なんて着てるのよ?」

魔法使い「しかも、しっかりと冑まで新しくしてしまってるし」

魔法使い「つい昨日まで、ただの革鎧だった癖に」

魔法使い「あれもしかして、密かに隠し持っていたのかしら?」

戦士「さぁ」

僧侶「……」

戦士「とりあえず、勇者どうすんだ?」

戦士「あのまま、一人で行かしちまうか?」

魔法使い「ええ、そうね!」

僧侶「それが、勇者様の選んだ道なのならば!」

57: 2013/11/18(月) 08:05:19 ID:K/Hntu1M
魔法使い「勇者。せめて、私達に前もって言って行ってよ!」

魔法使い「これだから、あんたの前の仲間も苦労したりするのよ!」

魔法使い「あんた、私達と知り合う前にも仲間全滅させてしまってるし!」

魔法使い「そんなんだから、前の仲間に悪評を流されてしまうのよ!」イラッ

僧侶「ええ、そうですね!」イラッ

戦士「全くだ!」イラッ

勇者「……」ピクッ

魔法使い「……」ジーーッ

戦士「……」ジーーッ

僧侶「……」ジーーッ

58: 2013/11/18(月) 08:05:31 ID:K/Hntu1M
クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

魔法使い「……」ジーーッ

戦士「……」ジーーッ

僧侶「……」ジーーッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ……

勇者「ふぅ……」

勇者「すまん。待たせたな」

59: 2013/11/18(月) 08:05:43 ID:K/Hntu1M
魔法使い「お帰り。勇者」

魔法使い「鎧、新調したみたいね」

魔法使い「何も、鎖帷子は無いんじゃない?」

魔法使い「昨日まで使ってた革鎧はどこいったのかしら?」

僧侶「……」ジーーッ

戦士「……」ジーーッ

勇者「ああ、これか?」

勇者「これは、ちょっと見映えを良くする為に買っておいた!」

勇者「俺の今の姿、前よりは断然良くなっているだろ?」

勇者「勇者たる者、見た目もかなり重要だからな!」ニッコリ

60: 2013/11/18(月) 08:05:55 ID:K/Hntu1M
魔法使い「ふぅん。そうなんだ」

魔法使い「あんた、私達と出会った時は、かなり貧相だったからね!」

魔法使い「出来れば、今みたいな威厳ある時に出会いたかったなぁ!」

魔法使い「そしたら、私達もあんたにもう少しは優しく出来たのに!」

僧侶「ええ、そうですね!」

戦士「全くだ!」

勇者「……」

魔法使い「とりあえず、あんたどうするの?」

魔法使い「私達、これから急な用事が出来てしまったんだけど?」

勇者「!?」ガーーン

61: 2013/11/18(月) 08:06:17 ID:K/Hntu1M
魔法使い「勇者。早く顔戻したら?」

魔法使い「服装はともかく、今のあんたの顔は明らかに詐欺よ!」

勇者「……」

魔法使い「それに、あんたこの大陸の言語解るの?」

魔法使い「私と僧侶は、普通に話せるけど」

勇者「……いや、それが」

戦士「勇者。お前、話せるのか?」

戦士「俺すら、僧侶に通訳して貰わないと買えなかったんだが」

勇者「え?」

魔法使い「……」ジーーッ

62: 2013/11/18(月) 08:06:28 ID:K/Hntu1M
僧侶「勇者様。凄いですね!」

僧侶「勇者たる者、武芸だけではやっていけませんからね!」

勇者「……いや、あの、それが」

戦士「勇者。いつ習った?」

戦士「やっぱり、勇者になるには武芸だけではやっていけないんだな」

勇者「……」

魔法使い「とりあえず、あんたにこれ渡しとくわ」

魔法使い「これを飲めば、あんたは一時的だけど他国の言語が話せる様になる」

魔法使い「そろそろ、あんたの飲んでる薬の効果が切れる頃でしょ?」

魔法使い「これ使わなきゃ、あんたが他国の言語を話せる訳がないからね」スッ

63: 2013/11/18(月) 08:08:59 ID:K/Hntu1M
僧侶「魔法使い。どう言う事?」

僧侶「勇者様は、その怪しげな薬を使って他国の言語を操っていたの?」

魔法使い「ええ、そうよ!」

僧侶「これ、かなり怪しいですよね?」

僧侶「こんな怪しげな小瓶に入った薬は、私見た事がない!」

戦士「……」ジーーッ

勇者「……」

魔法使い「勇者。どうかしたの?」

魔法使い「早く、これ受け取りなさいよ」スッ

勇者「え? ああ、すまん……」スッ

64: 2013/11/18(月) 08:09:12 ID:K/Hntu1M
魔法使い「後、あんたの分の水や食料等も買い込んどいたわ!」

魔法使い「これ全部、あんたの実家に請求が行くから!」

勇者「!?」ガーーン

魔法使い「それと、あんたのお父さんも可哀想にね!」

魔法使い「また、あの奥さんの元から逃げるのを失敗したみたい!」

魔法使い「まぁ、さすがにあれはないわね!」

魔法使い「不倫現場を、奥さんに押さえられちゃっていたんだから!」

勇者「……」ガクッ

戦士「ああ……」

僧侶「最低……」

65: 2013/11/18(月) 08:09:23 ID:K/Hntu1M
魔法使い「でも、あんた今お金有り余ってんだから大丈夫でしょ?」

魔法使い「見事に魔王を討ち取って、あの糞国王から大金を貰えたんだし!」

勇者「ああ、まあな……」

魔法使い「それなら、もっと他に使い道があると思うわ!」

魔法使い「まぁ、剣や盾もそれっぽく新調してるみたいだし!」

魔法使い「本当に、最初から今みたいな姿で会いたかったなぁ!」

魔法使い「それに、今みたいに男前だったら、少しは体くらいは許せたんだけどなぁ!」

僧侶「……」コクン

戦士「全くだ!」

勇者「……」

66: 2013/11/18(月) 08:09:46 ID:K/Hntu1M
勇者「僧侶。俺の分の荷物を」

勇者「俺は、これからエルフの里に向かう」

勇者「お前ら、何でそんなに俺に冷たいんだ?」

勇者「皆、俺に対して冷たすぎるだろ?」

魔法使い「うん!」ニッコリ

僧侶「何か問題でも?」ニッコリ

勇者「……」

戦士「勇者。それは、仕方ないんだ!」

戦士「お前の前の仲間が悪評流しまくってるんだから!」

勇者「くっ……」ガクッ

67: 2013/11/18(月) 08:09:58 ID:K/Hntu1M
魔法使い「それに、私の兄は未だに苦しんでいるわ!」

魔法使い「もう二度と、刃物どころか丸い棒すら握れなくなった!」

魔法使い「本当に、あんたも親やその伯父に似るのね!」

魔法使い「突如、女に狂って、自身の仲間すら蔑ろにして頃す!」

魔法使い「その所為で、私の兄は未だに入院してるのよ!」

魔法使い「私だけでなく、僧侶や戦士の兄も全く同じ目に遇わされているんだから!」ギリッ

勇者「……」

戦士「……」ギロッ

僧侶「……」ギリッ

勇者「……」

68: 2013/11/18(月) 08:10:10 ID:K/Hntu1M
勇者「皆、すまん」

勇者「これに関しては、皆、俺の責任だ」

勇者「俺の事を恨みたければ、好きなだけ恨め」

勇者「今の俺は、何も言い返す事は出来ない」

魔法使い「……」

スッ、コトッ……

魔法使い「まぁ、あんたはあんたで色々と苦しんでいるんだから、少し楽になるわ!」

魔法使い「私達の兄も、あんた同様にあの糞国王からそれに似合う富と名誉等は受け取っているんだから!」

魔法使い「けど、これだけは覚えておきなさい!」

魔法使い「あんたの犯した罪は、一生消えないって!」

69: 2013/11/18(月) 08:10:22 ID:K/Hntu1M
魔法使い「結局、兄も兄で馬鹿だったんだし」

魔法使い「確か、あんたとは王都にある酒場で出会ったんだったわよね?」

魔法使い「そこで、私の兄はあんたと息投合をし……」

魔法使い「一緒に仲良く酒を飲み交わした仲だけでなく、同じ女を抱いた穴〇弟でもあるんだからね……」ガクッ

戦士「……」ガクッ

僧侶「……」ガクッ

勇者「……」ムクッ

魔法使い「……」

戦士「……」

僧侶「……」

70: 2013/11/18(月) 08:10:58 ID:K/Hntu1M
勇者「とりあえず、俺はもう行くな」

勇者「これから、エルフの里に向かわなければならない」

勇者「お前達、達者でな」

勇者「兄達にも、宜しく伝えといてくれ」

魔法使い「……ええ」ムカッ

スッ、クルッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

魔法使い「……」チラッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

魔法使い「……勇者」

71: 2013/11/18(月) 08:11:10 ID:K/Hntu1M
戦士「あいつ、本当に行っちまったな」

戦士「本当は、一人では行きたくなかった癖に」ムクッ

魔法使い「ええ、そうね」

僧侶「でも、これはこれでもう仕方ないと思います」

僧侶「私達普通の人間では、エルフには到底叶わない!」

僧侶「それが出来るのは、見事に魔王を討ち取った勇者様唯お一人!」

僧侶「実際、私達には祈る事しか出来ません!」

僧侶「全ては、神から与えられた定めなのですからね!」ムクッ

戦士「ああ、そうだな……」

魔法使い「兄さん……」

72: 2013/11/18(月) 08:11:24 ID:K/Hntu1M
戦士「とりあえず、もうすぐ昼だし酒場に行こう」

戦士「そこに、魔導師XX様がいる」

戦士「本日の宿は、そのすぐ横だ」

戦士「まだ、俺達の任務は終わっていないんだからな」

魔法使い「ええ、そうね」

僧侶「……」コクン

クルッ、スタスタスタッ……

スッ、ササッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

73: 2013/11/19(火) 08:37:36 ID:BlQwrOls
~とある城・大臣の執務室~

密偵「報告! 勇者XXXがエルフの里に向かいました!」

密偵「同行者三名は、勇者とは別行動を取っている模様!」

密偵「今現在、同行者三名は城下町にある酒場XXにて、魔導師XX様と接触!」

密偵「魔導師XX様も、特に動きはありません!」

大臣「……」

密偵「大臣様。如何致しますか?」

密偵「このまま、勇者XXXの内偵を続行させましょうか?」

大臣「ああ、頼む」

密偵「はっ!」

74: 2013/11/19(火) 08:37:52 ID:BlQwrOls
大臣「しかし、勇者XXXも災難だな」

大臣「魔王を倒してすぐ、今度はエルフ狩りとはな」

大臣「それに、老剣士XXXの動きも気になる」

大臣「この町には、本当に観光か何かで来ているのだろうか?」

密偵「……」

大臣「密偵。老剣士XXXの近くに人員を増やせ!」

大臣「場合によっては、老剣士XXXも勇者と共に災いの元となる!」

大臣「老剣士XXXは、過去に数々の赦しがたい罪を犯してきた極悪人だ!」

大臣「あの者にも、これまで以上に監視の目を光らせておけ!」

密偵「はっ!」

75: 2013/11/19(火) 10:13:38 ID:BlQwrOls
勇者がエルフ討伐に旅立ったその日、エルフの里でも動きがあった。

勇者が来るのに備えて、エルフの里を治める女王は里全体に厳戒体制を敷いたのだった。

それに比べて、勇者の同行者は一人もなし。

皆、勇者の悪評を鵜呑みにし、誰一人として勇者に同行をする者はいなかった。

だが、勇者はそんな事を気にも留めなかった。

勇者は勇者で、もう既に諦めがついていたからだ。

そして、勇者は今いる大陸を南に徒歩でゆっくりと進んで行き……

偶々見つけた廃墟にて、一晩を明かす事にしたのだった。

78: 2013/11/20(水) 09:54:59 ID:B1XNUzOg
~とある平原~

その日の夜――

傭兵隊長「ああっ、こりゃあもう手遅れだな……」

傭兵隊長「この傷だと、とても治りようがない……」

傭兵副長「はぁ、はぁ、はぁ……」

魔術師「……」ブツブツ

傭兵隊長「今日だけでも、一体何人氏んだ?」

傭兵隊長「何度俺は、部下達の氏ぬ瞬間を見れば気が済むんだ!」

傭兵副長「はぁ、はぁ、はぁ……」

魔術師「……」ブツブツ

79: 2013/11/20(水) 09:55:11 ID:B1XNUzOg
傭兵隊長「魔術師。もう止めろ……」

傭兵隊長「それ以上やっても、副長はもう助からない……」

魔術師「ですが!」

傭兵副長「はぁ、はぁ、はぁ……」

傭兵隊長「もうこれ以上、部下が苦しむのは見てられない……」

傭兵隊長「ここは、俺が止めを刺してやる!」

魔術師「!?」ガーーン

傭兵副長「……えっ?」ガーーン

スチャ、スラァ----ン……

スッ、シャキン……

80: 2013/11/20(水) 09:55:22 ID:B1XNUzOg
傭兵隊長「副長。ご苦労だった……」

傭兵隊長「今までよく、俺に仕えてくれた……」

傭兵副長「はぁ、はぁ、はぁ……」

傭兵隊長「今から、俺が止めを刺してやる!」

傭兵隊長「だから、お前も安らかに眠れ!」

魔術師「いやああああああああ――――――――っ!?」

ブオーーーーーーーーン……

傭兵隊長「!?」ビクッ

ズザーーーーーーーーッ……

傭兵隊長「はぁ、はぁ、はぁ……」ビクビクッ

81: 2013/11/20(水) 09:55:33 ID:B1XNUzOg
傭兵隊長「おっ、お前何すんだ?……」

傭兵隊長「いきなり、そんな怪音波みたいな大声を出すな!……」ビクビクッ

魔術師「だって……」

傭兵副長「はぁ、はぁ、はぁ……」ビクビクッ

傭兵隊長「お前、かなりバカだな!……」

傭兵隊長「また、モンスターが出てきたらどうすんだよ!……」ビクビクッ

魔術師「あっ……」

傭兵副長「はぁ、はぁ、はぁ……」ビクビクッ

魔術師「でも、私悪くないもん……」

魔術師「隊長が、副長に止め刺そうとするのが悪いんだもん……」ウルウル

82: 2013/11/20(水) 09:55:44 ID:B1XNUzOg
傭兵隊長「いや、これ無理だろ……」

傭兵隊長「この状態じゃあ、もう助からねぇ……」

魔術師「……」ウルウル

傭兵隊長「だから、ここは俺が止めを刺してやるんだ!」

傭兵隊長「それが、隊長としての俺の務めなんだ!」

傭兵副長「はぁ、はぁ、はぁ……」

魔術師「でも、まだ助かる可能性があるかもしれませんよ……」

魔術師「副長。まだ息がありますし……」ウルウル

傭兵副長「はぁ、はぁ、はぁ……」

傭兵隊長「……」

83: 2013/11/20(水) 09:55:56 ID:B1XNUzOg
傭兵隊長「だが、この状態じゃあもう無理だ!」

傭兵隊長「お前は、大人しくそこで見とけ!」

魔術師「いやああああああああ――――――――っ!?」ウルウル

ブオーーーーーーーーン……

傭兵隊長「!?」ビクッ

ズザーーーーーーーーッ……

傭兵副長「……」ガクッ

魔術師「あっ……」

魔術師「副長――――――――っ!?」ウルウル

傭兵副長「……」チーーン

84: 2013/11/20(水) 09:56:07 ID:B1XNUzOg
傭兵隊長「……お前、止め刺したな」

傭兵隊長「こう言うのは、本来俺がするべきなんだよな……」

魔術師「……」ポロポロッ

傭兵隊長「まぁ、これで副長も天に昇った……」

傭兵隊長「後は、どう一矢報いるか……」

魔術師「……」ポロポロッ

スチャ、カシャン……

傭兵隊長「魔術師。穴を掘れ」

傭兵隊長「副長を、今から埋葬する」

傭兵隊長「だから、早く魔法で穴を掘るんだ」

85: 2013/11/20(水) 09:59:13 ID:B1XNUzOg
傭兵隊長「魔術師。聞こえたか?」

傭兵隊長「早く、穴を掘るんだ」

魔術師「……」ポロポロッ

傭兵隊長「仕方ない。こいつも始末するか……」

傭兵隊長「まぁ、その前に味見くらいはしても良いだろうけど……」

魔術師「……」ポロポロッ

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

傭兵隊長「……ん?」

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

傭兵隊長「誰かいるのか?」キョロキョロ

86: 2013/11/20(水) 09:59:25 ID:B1XNUzOg
ガサッ……

「おっ、人がいたな」

「さっきの悲鳴は、お前達なのか?」

傭兵隊長「ああ、そうだ!」

魔術師「……?」ポロポロッ

「生憎、この辺にはモンスターはいない」

「何故か、モンスターどころか、人一人すら見かけなかったからな」

ガサガサッ、ピタッ……

傭兵隊長「なっ!?」ハッ

魔術師「……」クルッ

87: 2013/11/20(水) 09:59:37 ID:B1XNUzOg
勇者「……」

魔術師「……」ポロポロッ

傭兵隊長「……」

傭兵副長「……」チーーン

勇者「……」

魔術師「……」ポロポロッ

傭兵隊長「……」

傭兵副長「……」チーーン

勇者「どうやら、生きているのは二人だけか」

勇者「ここの平原、やけに静か過ぎるだろ」

88: 2013/11/20(水) 09:59:49 ID:B1XNUzOg
魔術師「あなた、一体何者?……」

魔術師「見た所、この辺りの人じゃないみたいね……」ポロポロッ

勇者「ああ、そうだが」

魔術師「一体、ここに何しに来たの?……」

魔術師「この辺りは、もう立ち入り禁止区域に指定されているんだけど……」ポロポロッ

勇者「ん? そうなのか?」

傭兵隊長「……」

スチャ、スラァ----ン……

魔術師「……」ポロポロッ

スチャ、シャキ……

89: 2013/11/20(水) 10:00:01 ID:B1XNUzOg
勇者「おいおい。そう身構えるな!」

勇者「俺は、お前達の国の国王からの許可を得てここに入ったんだ!」

魔術師「え?」ポロポロッ

勇者「おっと、申し遅れた!」

勇者「俺の名は、勇者XXX」

勇者「つい先日、魔王を倒してすぐ今度はエルフ狩りを命じられた、ただの旅人だよ!」

魔術師「――――――――っ!?」ポロポロッ

傭兵隊長「なん……だと……!?」ガーーン

魔術師「……」ポロポロッ

スッ、ポトッ……

90: 2013/11/20(水) 10:00:36 ID:B1XNUzOg
魔術師「あなた、今の冗談でしょ?……」

魔術師「あの味方頃しの勇者が、こんなにイケメンの訳がない……」ポロポロッ

勇者「……」

魔術師「それに、私が聞いてたのは、とても貧相な装備……」

魔術師「こんな威厳と覇気が出ているなんて、何かの間違いよ……」ポロポロッ

傭兵隊長「ああ、そうだな……」

勇者「……」

魔術師「それで、その勇者様が何でここにいるの?……」

魔術師「あなた、本当は偽物とかじゃないの?……」ポロポロッ

勇者「違う」

91: 2013/11/20(水) 10:00:48 ID:B1XNUzOg
傭兵隊長「なら、それを今から証明してみろ……」

傭兵隊長「今のお前、本当に本物の勇者かどうかが疑わしい……」

勇者「ああ、了解した」

魔術師「……」ポロポロッ

スッ、ストッ……

パサッ、ガサガサッ……

ガサガサッ、ガサガサッ……

スッ……

勇者「ほれ」シュッ

傭兵隊長「……」パシッ

92: 2013/11/20(水) 10:02:25 ID:B1XNUzOg
シュルシュル、シュルシュル……

パサパサッ、ピシャ……

傭兵隊長「……」

魔術師「……」チラッ

傭兵隊長「……」

魔術師「……」ポロポロッ

傭兵隊長「うむ。確かに……」

魔術師「あっ……」ガーーン

勇者「……」

魔術師「……」クルッ

93: 2013/11/20(水) 10:02:37 ID:B1XNUzOg
傭兵隊長「失礼。ウチの部下が、あんたの事を疑って悪かった」

傭兵隊長「この辺りは、歴代の勇者すら訪れる事のない場所だったからな」

魔術師「……」ペコッ

傭兵隊長「それで、あんたここに何しに来た?」

傭兵隊長「あんた、本当にあのエルフ達を狩りに来たのか?」

勇者「ああ、そうだ!」

傭兵隊長「その割りには、お供すらいないな」

傭兵隊長「皆、もうあんたの側からいなくなったのか?」

勇者「ああ、そうだ」

魔術師「……」スッ、フキフキ

94: 2013/11/20(水) 10:02:49 ID:B1XNUzOg
魔術師「隊長。ここは、一端別の場所で話を聞きましょう」

魔術師「この近くに、今は使われていない小屋があります」

魔術師「もうすぐ日も暮れてきますし、モンスターがいつ出てくるかも分かりません」

魔術師「勇者様。あなたも私達とご同行を」

魔術師「勇者様がエルフ討伐に加わって頂けるのなら、少しは勝率が上がるみたいなので」シャキン

勇者「ああ、了解した」

傭兵隊長「宜しく頼む」スッ

勇者「ああ」スッ

ザッザッザッ、ピタッ……

ギュッ、ギュッ……

95: 2013/11/20(水) 10:03:00 ID:B1XNUzOg
傭兵隊長「副長、すまん。また明日な」

傭兵隊長「明日の朝、他の皆と一緒に埋葬をしてやる」クルッ

傭兵隊長「それまで、どうか食われないでいてくれ」

傭兵隊長「明日の朝、必ず埋葬をしてやるから」

傭兵副長「……」チーーン

魔術師「副長。短い間でしたが、お世話になりました」

魔術師「あなたの奥様には、勇敢に戦ったと伝えておきます」クルッ

魔術師「ですから、どうか化けて出てこないで下さい」

魔術師「個人的には、アンデットと化した副長とは戦いたくはないんで」ビシッ

傭兵隊長「ああ、そうだな」ビシッ

96: 2013/11/20(水) 10:03:13 ID:B1XNUzOg
勇者「とりあえず、その小屋まではどれくらい掛かる?」

勇者「一体、この辺りはどうなっているのだ?」

魔術師「……」

傭兵隊長「この辺りは、さっきも言った通りに立ち入り禁止区域だ!」

傭兵隊長「ここ最近、やけにモンスターの動きが活発になってきてやがる!」

傭兵隊長「それもこれも、あの狂暴な女エルフ達が現れてからだ!」

傭兵隊長「皆、あいつの所為でこんな目に遭っているんだ!」ギリッ

魔術師「……隊長」

勇者「……」

傭兵隊長「……」プルプル

97: 2013/11/20(水) 10:03:24 ID:B1XNUzOg
魔術師「隊長。もう移動しましょう!」

魔術師「今の私達には、勇者様がついていらっしゃいます!」

魔術師「明日、必ず副長達の敵を討ちましょう!」

魔術師「今の私達まで氏んだら、副長達も深く悲しんでしまいますよ!」ニッコリ

傭兵隊長「……」プルプル

魔術師「だから、今はまだ我慢してて下さい!」

魔術師「いずれ必ず、皆の敵は取れるんです!」

魔術師「今の私達には、勇者様がいらっしゃいます!」

魔術師「あの方がいらっしゃれば、全て上手く行くんですからね!」ニコニコ

傭兵隊長「ああ、そうだな……」プルプル

98: 2013/11/20(水) 10:03:36 ID:B1XNUzOg
勇者「魔術師。早速、そこに案内をしてくれ」

勇者「早くしないと、またモンスターと遭遇をする」

魔術師「はい。かしこまりました」

勇者「隊長。早く行くぞ!」

勇者「ここにいたら、俺達までどうなるかが全く分からないからな」

傭兵隊長「ああ、了解した……」プルプル

魔術師「……」

クルッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

99: 2013/11/21(木) 07:30:14 ID:gB.Dsdlg
~とある小屋前~

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ピタッ、ピタッ、ピタッ……

勇者「ここか?」

魔術師「はい。そうです」

傭兵隊長「かなり、荒れ果てているな」

勇者「……」

100: 2013/11/21(木) 07:30:26 ID:gB.Dsdlg
傭兵隊長「魔術師。中を確認しろ」

傭兵隊長「まだ、誰かいるかもしれない」

魔術師「はい」

勇者「……」

ザッザッザッ、ピタッ……

ガチャ、キキィーーーーッ……

魔術師「……」

スッ、スチャ……

ザッザッザッ、ピタッ……

魔術師「……」キョロキョロ

101: 2013/11/21(木) 07:30:39 ID:gB.Dsdlg
魔術師「隊長。異常ありません」

魔術師「中には、誰もいない様です」

傭兵隊長「うむ。そうか」

勇者「……」

魔術師「隊長。如何致しますか?」

魔術師「まだ、室内は使えそうな物が多いみたいです」

傭兵隊長「何?」

ザッザッザッ、ピタッ……

傭兵隊長「それで、使えそうな物とは?」

傭兵隊長「以前、ここには誰か住んでいたみたいだな」

102: 2013/11/21(木) 07:30:52 ID:gB.Dsdlg
魔術師「ええ、そうみたいです!」

魔術師「個人的には、このベッドは使えそうです!」

魔術師「ですが、この小屋では一人が精一杯みたいですね!」

魔術師「今の私達では、とても入りきれません!」

傭兵隊長「……」

魔術師「そこで、この私に案があります!」

魔術師「ここは、勇者様にここに滞在して貰って私達は拠点に戻りませんか?」

魔術師「一度、拠点に貰って大臣様にご報告をしないと!」

魔術師「じゃないと、また大勢の仲間が戦氏してしまう事になってしまいますよ!」

傭兵隊長「うむ。そうだな!」

103: 2013/11/21(木) 07:31:22 ID:gB.Dsdlg
勇者「おい。今の冗談だろ?」

勇者「お前ら、自分達だけ先に戻るのか?」

傭兵隊長「ああ、そうだ!」クルッ

魔術師「何か問題でも?」クルッ

勇者「……」

魔術師「ここにいたら、いつ勇者様に寝首を狩られるかが解りません!」

魔術師「今の私達は、とても無力な存在!」

魔術師「何故なら、勇者様は見事に魔王を倒された!」

魔術師「私達にとっては、勇者様はそう簡単には氏んで貰っては困る存在だからです!」

勇者「……」

104: 2013/11/21(木) 07:31:34 ID:gB.Dsdlg
傭兵隊長「勇者。本当にすまんな!」

傭兵隊長「あんたと一緒にいたら、いつ寝首を狩られるかが分からん!」

傭兵隊長「俺の聞いた話だと、あんたは自分の仲間の寝込みを襲った!」

傭兵隊長「寝込みを襲って仲間を始末した後、あんたはその仲間の所持金やアイテム等を奪って逃走をした!」

勇者「……」

傭兵隊長「だから、今の俺達はそんな風になるつもりはない!」

傭兵隊長「今のあんたは、確かに勇者だ!」

傭兵隊長「だが、一度流れた悪評は、なかなかそれを消すこと事態が難しい!」

傭兵隊長「あんたが過去に各地で犯した罪等は、そう簡単には消せないと言う訳だ!」

勇者「……」

105: 2013/11/21(木) 07:31:45 ID:gB.Dsdlg
魔術師「勇者様。どうかご武運を!」

魔術師「私達は、予定を変更して先に戻らせて頂きます!」

魔術師「ここは、まだ使えそうです!」

魔術師「一晩だけなら、何も問題はないと思いますよ!」

勇者「……」

傭兵隊長「とりあえず、俺達は先に戻るな!」

傭兵隊長「魔術師。拠点にまで転移魔法を頼む!」

傭兵隊長「もし仮に、あんたが今の俺達に手出ししたら、その時点であんたは終わりだ!」

傭兵隊長「今の俺達は、本当にただのか弱い人間達だからな!」

スチャ、シャキッ……

106: 2013/11/21(木) 07:32:30 ID:gB.Dsdlg
魔術師「……」ブツブツ

魔術師「……」ブツブツ

魔術師「……」ブツブツ

魔術師「……」ブツブツ

傭兵隊長「……」

魔術師「……」ブツブツ

魔術師「……」ブツブツ

魔術師「……」ブツブツ

魔術師「……」ブツブツ

魔術師「はっ!」ボワッ

107: 2013/11/21(木) 07:32:42 ID:gB.Dsdlg
魔術師「隊長。完了しました!」

魔術師「これより、拠点にまで転移します!」

勇者「……」

傭兵隊長「勇者。お先に失礼させて貰う!」

傭兵隊長「貴殿も、道中お気をつけて!」

魔術師「……」ペコッ

勇者「……」

シューーーーッ、シューーーーッ……

シューーーーッ、シューーーーッ……

シューーーー----ッ、シュン……

108: 2013/11/21(木) 07:32:55 ID:gB.Dsdlg
勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「仕方ない。ここで宿を取るか……」

勇者「一晩だけなら、なんとかなるみたいだからな……」

ザッザッザッ、クルッ……

スッ、キキィーーーーッ……

バタン、カシャッ……

スッ、ストッ……

111: 2013/11/22(金) 08:23:37 ID:/7bSug0.
~とある宿屋・宿泊部屋~

その頃――

戦士「そう言えば、勇者は大丈夫かな?」

戦士「あいつ、そのまま野垂れ氏んでいなきゃ良いんだけど」

魔法使い「さあね」

僧侶「知りませんよ。あんな人」

戦士「ひでぇな……」

魔法使い「それが、当然でしょ」

僧侶「ええ、そうですね」

戦士「……」

112: 2013/11/22(金) 08:23:48 ID:/7bSug0.
魔法使い「戦士。何か気になるの?」

魔法使い「今のあんた、何考えてんの?」

戦士「……」

僧侶「戦士。今日の夕飯抜きにしようか?」

僧侶「私達の知らない間に、携行食を全部食べてたでしょ」

戦士「……」

魔法使い「あんた、さっきから何黙ってんの?」

魔法使い「まさか、あんたもあの馬鹿に感化されちゃったとか?」

戦士「違う」

僧侶「じゃあ、何でついさっきから、ずっと考え込んじゃってるの?」

113: 2013/11/22(金) 08:24:00 ID:/7bSug0.
戦士「実は、勇者が向かったエルフの里の近くには、迷いの森があるんだ!」

戦士「そこの森は、一度迷ったら二度と出てこれない!」

戦士「今まで、数えきれない数の人間達がその森で迷った!」

戦士「あの森を抜けるには、エルフの力がないと到底無理らしい!」

魔法使い「それで?」

僧侶「それが、どうかしたの?」

戦士「だから、あのまま勇者が道に迷ったら一大事だ!」

戦士「エルフを狩る所か、勇者がミスしたら俺達まで危ないと言う訳だ!」

魔法使い「あっ……」

僧侶「!?」ガーーン

114: 2013/11/22(金) 08:24:30 ID:/7bSug0.
戦士「あいつ、今までずっと他人に頼りっきりだったろ?」

戦士「俺の兄貴達は、あいつによって完全に使い捨てられてただろ?」

戦士「だから、これってかなりヤバイんじゃないか?」

戦士「あのまま、勇者をほっといたら、勇者がエルフを狩るのを失敗してしまう!」

魔法使い「……」

僧侶「……」

戦士「とりあえず、明日俺達も勇者を追いかけよう!」

戦士「勇者には、そのままエルフを狩って貰わないと俺達が困る!」

戦士「今のままじゃ、俺達の身も危ない!」

戦士「いつ、俺達まで勇者の仕出かしたミスの責任を取らされるかが分からねぇんだぞ!」

115: 2013/11/22(金) 08:24:42 ID:/7bSug0.
魔法使い「いや、大丈夫よ!」

魔法使い「あいつ、そう簡単には氏なないわよ!」

僧侶「ええ、そうですね!」

戦士「その根拠は?」

魔法使い「だって、あいつ魔王を倒したんでしょ?」

魔法使い「魔王を見事に討ち取っていたのに、その辺の雑魚に負けると思ってるの?」

戦士「え?」キョトン

僧侶「ああ……」

魔法使い「私、そんな馬鹿いるのなら見てみたい」

魔法使い「魔王より断然強いモンスターって、そんなのこの世にいる訳ないでしょうが!」ニッコリ

116: 2013/11/22(金) 08:25:15 ID:/7bSug0.
戦士「でもよ、万が一の事ってもあるぜ!」

戦士「勇者が駄目なら、次は俺達だ!」

戦士「魔導師様達は、暢気に観光を楽しんでる!」

戦士「勇者がミスしたら、必然的に俺達がそれをやらなきゃいけない事になると思うんだが」

魔法使い「ええ~~っ?」

僧侶「そんな……」

戦士「……」

魔法使い「……」

僧侶「……」

戦士「……」

117: 2013/11/22(金) 08:25:25 ID:/7bSug0.
戦士「とにかく、明日は勇者を追いかけよう!」

戦士「そうしないと、俺達が困る!」

魔法使い「嫌!」

僧侶「同じく!」

戦士「……」

魔法使い「戦士。あんた本当に、そんな面倒くさい事をするつもりなの?」

魔法使い「わざわざ、あんないつ氏ぬか分からない場所なんかに行く必要なんてないと思う!」

魔法使い「それに、私達まで氏んだらどうすんの?」

魔法使い「あいつは、私達の兄達を傷物にした極悪人なのよ!」

僧侶「ええ、そうですね!」

118: 2013/11/22(金) 08:27:15 ID:/7bSug0.
魔法使い「戦士。今はまだ、私達が動く必要なんかない!」

魔法使い「私達の任務、忘れた訳じゃないのよね?」

戦士「ああ、まあな」

魔法使い「なら、あんたも少しは我慢しなさい!」

魔法使い「またどうせあんたの事だから、その辺にいるモンスターを沢山切り頃したいだけなんでしょ?」

戦士「ちっ……バレてる……」

僧侶「戦士……」

戦士「……何か、文句あるのか?」

僧侶「うん!」

魔法使い「あるから、言ってんのよ!」

119: 2013/11/22(金) 08:27:28 ID:/7bSug0.
魔法使い「とりあえず、そろそろ夕飯の時間じゃない?」

魔法使い「今はまだ、勇者の事なんて考える必要なんかないわよ!」

魔法使い「勇者の動きは、もう既にこの国で放たれていた密偵達から報告が入るわ!」

魔法使い「魔導師達も、それ次第で動く!」

魔法使い「私達は私達で、勇者やエルフ達による動きを本国に知らせていれば良いのよ!」

魔法使い「勇者の動き等に関しては、この国の人達もちゃんとしてるみたいだから!」

戦士「……」

僧侶「戦士。もう分かった?」

僧侶「分かったんなら、もうこの話はもう止めにしましょ」

戦士「ちっ……」

120: 2013/11/22(金) 08:27:39 ID:/7bSug0.
魔法使い「あんた、意外に脳筋とかじゃなかったのね」

魔法使い「てっきり、私はあんたが脳筋だとばっかり思ってた」

戦士「……」プイッ

僧侶「あの、魔法使い……」

僧侶「もう、その辺でしといてあげて……」

僧侶「戦士。完全に拗ねちゃってる……」

僧侶「昔から、戦士は女性に反論されるとこうなっちゃうし……」

僧侶「特に、自分よりも強くて賢い人達には余計にね……」

戦士「……」

魔法使い「あっそ」

121: 2013/11/22(金) 08:28:09 ID:/7bSug0.
僧侶「戦士。そんなに拗ねないの」

僧侶「今の戦士が、ちゃんとない頭使って物事を考えている事くらいは、私分かってるから」

戦士「……」

僧侶「ほらっ、そんなに拗ねないの」

僧侶「そんなんじゃ、あの勇者様にも勝てないわよ」

戦士「……」プイッ

僧侶「戦士」

魔法使い「僧侶。あんたも止めときなさい」

魔法使い「さりげなく、あんたも戦士を傷つけているわ」

戦士「……」

122: 2013/11/22(金) 08:28:22 ID:/7bSug0.
僧侶「戦士。もしかして、欲求溜まってるの?」

僧侶「ここ最近、戦士は娼館には行ってなかった」

僧侶「ここ当分、私の出番はないと思うよ」

僧侶「だから、今の内に娼館にでも行っといたら」

戦士「……ああ、そうだな」ムクッ

魔法使い「え?」

僧侶「……」ニッコリ

戦士「僧侶。この町に、娼館はどこにあるんだ?」

戦士「やっぱり、裏通りに行かないとないのか?」

僧侶「うん。そうだけど!」ニコニコ

123: 2013/11/22(金) 08:28:35 ID:/7bSug0.
魔法使い「あんた、本当に行くの?」

魔法使い「自分の目の前に、レディが二人もいるのに」

戦士「ああ、文句あるか?」

僧侶「別に、文句なんてないよ!」ニコニコ

魔法使い「……」

戦士「僧侶。少しばかり行ってくるな!」

戦士「明日、是非とも通訳の方も頼む!」

僧侶「うん。良いけど!」ニコニコ

戦士「やっぱり、お前は話が分かるな!」

戦士「この国の女は、一体どんな味がするんだろうな!」ニコニコ

124: 2013/11/22(金) 08:28:46 ID:/7bSug0.
僧侶「とりあえず、その話も明日ね!」

僧侶「今の私達には、任務がある!」

僧侶「戦士、魔法使い。その事をくれぐれもお忘れなく!」

僧侶「今の私達は、もうこれ以上エルフ達による被害を出さない事!」

僧侶「今回の件、何か他に裏がありそうですし!」

僧侶「何としても、それを暴いて本当に報告をしないといけませんからね!」

戦士「ああ!」

魔法使い「……」

魔法使い(この二人、本当にただの幼馴染み?)

魔法使い(絶対、影で付き合ってるでしょ?)

128: 2013/11/23(土) 13:13:13 ID://hlPFIw
~とある城・大臣執務室~

一方――

大臣「何? 壊滅しただと!?」

大臣「ウチの傭兵隊が、モンスターとの戦闘ですぐさま壊滅したと言うのか!?」

密偵「はい」

大臣「一体、傭兵隊長は何をしておる!?」

大臣「どうして、そう簡単にやられるんだ!?」

密偵「……」

大臣「まさか、本当にあの女エルフが?……」

大臣「あの女エルフは、23年前に氏んだと聞いていたのだが……」

129: 2013/11/23(土) 13:13:26 ID://hlPFIw
魔導師「大臣。そう狼狽えるな!」

魔導師「今のそなたが狼狽えたとして何になる?」

魔導師「それで、勇者XXXの現在地は?」

魔導師「今、あ奴はどの辺にいるのだ?」

大臣「……」

密偵「はっ、今現在、勇者XXXはXXX平原の南に位置しております」

密偵「そこで、勇者XXXは我が国の傭兵隊長と接触」

密偵「その後、傭兵隊長はXXX平原を離脱し、拠点へと帰還」

密偵「勇者XXXは現地に残り、近くにあった廃墟にて一晩を過ごす模様です」

魔導師「うむ。そうか」

130: 2013/11/23(土) 13:13:43 ID://hlPFIw
大臣「魔導師。何か策があるのか?」

大臣「このまま行くと、我が国まで攻め滅ぼされてしまう!」

大臣「今の我らに、兵はろくにない!」

大臣「それに比べて、エルフの里が差し向けた兵は少なくとも一万!」

大臣「各大陸からも、続々とエルフの里の救援の為に兵を差し向けている!」

魔導師「……」

大臣「頼む、魔導師。早く教えてくれ!」

大臣「我々は、一体どうすれば良いのだ?」

大臣「たかが、平原のモンスター退治如きで傭兵隊が壊滅した!」

大臣「今の我らに、本当に勝機はあるのか?」

131: 2013/11/23(土) 13:13:56 ID://hlPFIw
魔導師「ああ、ある!」

魔導師「一体、何の為に勇者を差し向けたと思っておる?」

魔導師「勇者には、このまま氏んで貰うが得策じゃろう」

魔導師「あの者は、本当に強くなり過ぎた!」

魔導師「だから、我らはあの者をエルフの里に差し向けたのだ!」

大臣「……」

魔導師「それと、兵の事ならば心配する必要はない!」

魔導師「何故なら、もう既に俺の方で兵を千名用意しておる!」

魔導師「この町に住む、魔術師及び賢者達全てに動員を掛けよ!」

魔導師「召喚兵を用いて、この町の警備を厳重にするのだ!」

132: 2013/11/23(土) 13:14:13 ID://hlPFIw
密偵「魔導師様。それについてですが、もう既に動員しております」

密偵「ですが、この町の魔術師及び賢者達は召喚兵を出す事が出来ません」

密偵「あなた様の生まれた国と違って、我が国は数ある小国の中の一つ」

密偵「とても、魔導師様の様には出来ないのです」

魔導師「何?」

密偵「そもそも、召喚兵とやらは本当に役に立つのですか?」

密偵「私が聞く限り、召喚兵に関してはあまりいい噂を聞きません」

密偵「しかも、魔導師様はお父上と違って万単位ではお出し出来ないはず」

密偵「とても、エルフの里が差し向けた兵を防ぐ事が出来ません」

魔導師「……」

133: 2013/11/23(土) 13:15:32 ID://hlPFIw
大臣「魔導師。何か策はあるか?」

大臣「我が国は、本当に危機的状況にある!」

大臣「周辺諸国は、もう既にエルフの里からの脅しに屈した!」

大臣「この大陸では、我が国以外は全てエルフの里と和平を結んでおるのだ!」

密偵「……」

魔導師「なら、何故貴国は和平を結ばん?」

魔導師「エルフの里と和平を結べば、それで済むではないか?」

魔導師「一体、貴国は何を隠しておる?」

魔導師「何か、和平を結べぬ事情でもあるのか?」

大臣「……」

134: 2013/11/23(土) 13:15:46 ID://hlPFIw
魔導師「密偵。そなたはどうか?」

魔導師「そなたは、何か思い当たる節はないか?」

密偵「いいえ」

魔導師「一体、貴国は何を隠しておる?」

魔導師「今のままでは、無駄に民達を氏なせてしまう恐れがあるのだぞ!」

大臣「……」

「なら、この私が話そう」

「もうこうなった以上は、全てを話すしかないのだろうな」

魔導師「む?」クルッ

ガチャ、キキィーーッ……

135: 2013/11/23(土) 13:16:04 ID://hlPFIw
王子「魔導師XX。久し振りだな」

王子「よく、この国に来てくれた」

王子「この度の一件、全て我らに非がある!」

王子「特に、今そこにおる大臣は身に覚えがある様だがな!」ニヤリ

大臣「くっ……」

魔導師「……」チラッ

大臣「……」

魔導師「して、何が原因なのだ?」

魔導師「まさか、この町にエルフを捕らえているのではなかろうな?」

王子「ああ、そのまさかだ!」ニヤニヤ

136: 2013/11/23(土) 13:18:53 ID://hlPFIw
魔導師「大臣。今の誠か?」

魔導師「何故、その事を早くに言わんかった?」

魔導師「早く、捕らわれの身となっているエルフ達を解放して、エルフの里と和平を結ぶのだ!」

魔導師「今なら、まだ間に合うかもしれん!」

魔導師「早くせねば、この国までエルフの里の属領となってしまうのだぞ!」

大臣「……」

魔導師「大臣。早くせぬか!」

魔導師「そなたは、この国が滅ぼされても良いのか?」

魔導師「早くせねば、俺の生まれ育った国の様に属領となる!」

魔導師「どうして、そなたはエルフの里との和平を進めなかったのだ?」

137: 2013/11/23(土) 13:19:06 ID://hlPFIw
大臣「出来るものなら、最初からやっておる……」

大臣「だが、もう既に手遅れなのだ……」

魔導師「!?」

王子「大臣。それも、もう仕方のない事だ」

王子「我が国に捕らわれの身となっていたエルフ達は、もう既に命を絶った後だ」

大臣「……」

王子「おまけに、そのエルフ達が生んだ子供達も道連れでな」

王子「そのエルフ達の亡骸を処分する時、とある子連れのエルフにその現場を見られてしまっていた」

王子「その時、その現場を目撃した子連れのエルフによって、事が明るみとなってしまい」

王子「今の我が国は、エルフの里からの宣戦布告を受けてしまっている!」

138: 2013/11/23(土) 13:19:20 ID://hlPFIw
王子「それに加えて、我が国では若い女のエルフを拉致しては奴隷としていた」

王子「それも、この今の我らがいる大陸ではなく、別の大陸に住むエルフを大量に船で運んで」

王子「その結果、そのエルフ達はほぼ毎日の様に無数の男達に乱暴されていった」

王子「それをあの子連れのエルフに知られ、すぐさまエルフの里からの宣戦布告を知らせる書状が我が国に届いたのだ」

魔導師「……」

王子「それに、私はもうこの国は長くないと考えておる」

王子「その時、その現場を目撃した子連れのエルフこそが、かの女侯爵XXXXXX」

王子「そのエルフ達の遺体全ては、もう既にエルフの里に移送された」

王子「後は、我が国がエルフの里に攻め滅ぼされるのを待つだけだ」

大臣「……」

139: 2013/11/23(土) 13:19:40 ID://hlPFIw
魔導師「大臣。そなた、何て事を……」

魔導師「あの者は、仲間の氏に関しては特に感情的になるのだぞ……」

魔導師「王子。それは、いつの話だ?」

魔導師「いつ、あの女侯爵に知られてしまったのだ?」

王子「確か、今から数年前のはずだ」

大臣「その時、あの女侯爵XXXXXXにその現場を目撃されてしまったと言う訳だ」

魔導師「……は?」

密偵「なら、何故もっと早く攻めてこないのです?」

密偵「我が国とは、同じ大陸のはずですが」

魔導師「うむ。そうじゃな」

140: 2013/11/23(土) 13:19:54 ID://hlPFIw
王子「偶々、我が国は猶予を与えられていただけだ」

王子「他の諸国には、しっかりと兵を送り込んでおる」

王子「それも、各地で同時期にエルフ達に侵攻をされてな」

王子「エルフ達が兵を差し向けた国の中には、そのまま人間達が奴隷にされてしまった国もいくつもある」

魔導師「!?」ガーーン

王子「だから、我が国もただでは済まないのだろう」

王子「こうして、ここで我らが話をしている間に各大陸からの兵が、こちらに向かってきてはいる」

王子「よくて、後二日程だ!」

王子「今の我らに残された時間は、今日を入れても二日しかないのだ!」

魔導師「……」

141: 2013/11/23(土) 13:20:07 ID://hlPFIw
大臣「結局、今の我らに残された時間は余りにも少ない……」

大臣「ここで、勇者が上手く立ち回ってくれたら我が国は助かる……」

大臣「本当に、時間を戻せるのなら戻してみたい……」

大臣「あの時、我らが欲に駆られてエルフなどを拉致して来なければ……」

王子「……」

密偵「……」

魔導師「このまま行くと、あの時と全く同じ事か……」

魔導師「女侯爵XXXXXX、何故お前はまだ生きている?……」

魔導師「親父、よくあの女を上手くコントロールしていたな……」

魔導師「こう言う事に関しては、俺は親父には敵わないよ……」ハァ

142: 2013/11/23(土) 13:20:26 ID://hlPFIw
カァーーン、カァーーン、カァーーン……

カァーーン、カァーーン、カァーーン……

魔導師「む?」

王子「大臣。もう夕食の時間だ」

王子「この話は、後にしよう」

大臣「はっ、かしこまりました」

王子「魔導師。そなたもどうか?」

王子「そなたも、ここで夕食を取って行くか?」

魔導師「ああ、そうさせて頂く」

大臣「その方が、色々と都合が良いな」

143: 2013/11/23(土) 13:22:01 ID://hlPFIw
王子「密偵。厨房に行って、魔導師の分の用意を」

王子「我らは、先に食堂に行っておく」

王子「いつ、我らは氏ぬか本当に分からん」

王子「だから、そなたも存分にな」

魔導師「うむ」

大臣「では、参りましょう」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、キキィーーッ、バタン……

144: 2013/11/24(日) 11:44:27 ID:2wC0kFfw
~とある小屋~

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

スッ、ゴロン……

145: 2013/11/24(日) 11:44:38 ID:2wC0kFfw
勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「もう、勇者なんて止めようかな……」

勇者「どいつもこいつも、皆、俺にだけ冷たいし……」

146: 2013/11/24(日) 11:44:52 ID:2wC0kFfw
カリカリカリッ、カリカリカリッ……

勇者「……?」

カリカリカリッ、カリカリカリッ……

勇者「……」ムクッ

カリカリカリッ、カリカリカリッ……

勇者「……」

カリカリカリッ、カリカリカリッ……

勇者「何だ?」

スッ、スタッ……

クルッ、スチャ……

147: 2013/11/24(日) 11:45:04 ID:2wC0kFfw
「誰か、ここにおるのか?」

「もし居るのなら、ここを開けてほしい」

勇者「……」

「今宵は、かなり冷えていてのぅ」

「とても、寒くて外では眠れぬわ」

勇者「……」

スタスタスタッ、ピタッ……

ガチャ、キキィーーッ……

巨大猫「……」

勇者「!?」ビクッ

148: 2013/11/24(日) 11:45:17 ID:2wC0kFfw
巨大猫「おおっ、人がおったか」

巨大猫「すまぬが、中に入れておくれ」

巨大猫「と言うより、そなたはどこの誰じゃ?」

巨大猫「この小屋の持ち主は、一体どこに行ったのじゃ?」

勇者「……」

巨大猫「そなた、何故黙っておる?」

巨大猫「妾の言葉、理解しておるのか?」

勇者「……」

巨大猫「そなた、もしかして言葉が通じぬのか?」

巨大猫「見た所、旅の者と見受けるが」

149: 2013/11/24(日) 11:45:28 ID:2wC0kFfw
勇者「……お前、一体何者だ?」

勇者「お前、まさかモンスターなのか?」

巨大猫「うむ。そうじゃが」

勇者「なら、この場で叩き斬ってくれる!」

勇者「覚悟しろ!」

スチャ、スラァン……

巨大猫「……」

スッ、スチャ……

勇者「……」

巨大猫「……」

150: 2013/11/24(日) 11:46:40 ID:2wC0kFfw
巨大猫「そなた、かなり血気盛んじゃな」

巨大猫「初対面の相手に、いきなり剣を抜くとか」

勇者「黙れ!」

巨大猫「そなたの目、かなり脅えておる」

巨大猫「そんなに、妾の事が怖いのか?」

勇者「黙れ、黙れ!」

巨大猫「……」

勇者「……」

巨大猫「とりあえず、早く剣を収めよ」

巨大猫「妾は、ここの小屋の持ち主に用があって来たのじゃが」

151: 2013/11/24(日) 11:48:58 ID:2wC0kFfw
勇者「残念だが、ここの持ち主はもういない」

勇者「全て、お前の仲間が消し去った」

巨大猫「……」

勇者「お前、一体ここに何しに来た?」

勇者「ここの持ち主とは、一体どう言う関係なのだ?」

巨大猫「……」

スッ、クネッ……

ポリポリポリポリッ……

勇者「!?」ビクッ

ポリポリポリポリッ……

152: 2013/11/24(日) 11:49:12 ID:2wC0kFfw
巨大猫「そなた、今の話は本当なのか?」

巨大猫「ここの持ち主は、本当に氏んだのか?」

勇者「ああ、そうだ」

巨大猫「はて、それはおかしいのぅ?」

巨大猫「ついさっき、妾はここの持ち主に会ってきた」

巨大猫「妾が、実際に会った時にはまだ生きていたはずなのじゃが」

勇者「……」

巨大猫「それで、そなたは何者じゃ?」

巨大猫「ここは、妾の寝床なんじゃが」

スッ、スタッ……

153: 2013/11/24(日) 11:49:24 ID:2wC0kFfw
勇者「……」

巨大猫「……」

勇者「……」

巨大猫「……」

勇者「……」

巨大猫「……」

勇者「……」

巨大猫「……」

勇者「お前、今の冗談だろ?」

勇者「だったら俺、一体どこで寝ればいいんだよ?」

154: 2013/11/24(日) 11:49:42 ID:2wC0kFfw
巨大猫「そんなの妾が、知るか」

巨大猫「妾は、ここの持ち主の許可を取った上で寝床にしてるんじゃが」

勇者「……」

巨大猫「お前さん。もしかして、許可を取っとらんのか?」

巨大猫「客には客用の寝床が、ちゃんとあるんじゃが」

勇者「!?」ガーーン

巨大猫「とりあえず、そなたは剣を収めよ」

巨大猫「早よう、そこを退いておくれ」

巨大猫「このままじゃと、妾は凍え氏ぬ」

巨大猫「今のそなたは、生き物を常日頃から大切にすると言う心はないのか?」

155: 2013/11/24(日) 11:49:54 ID:2wC0kFfw
勇者「ああ、ないな……」

勇者「特に、お前の様なモンスターには!」ギリッ

巨大猫「……」

勇者「俺は、こう見えてもこの世界を救った男だぞ!」

勇者「お前の仲間は、この俺の持つ剣の錆となっていった!」

巨大猫「……は?」

勇者「だから、お前も今から錆となれ!」

勇者「皆して、俺の事を馬鹿にしてんじゃねぇ!」

勇者「大体、何で皆は俺の事を敬わないのだ?」

勇者「俺が魔王を倒したから、世界の平和が保たれているんだろうが!」

156: 2013/11/24(日) 11:50:06 ID:2wC0kFfw
巨大猫「そなた、もしかして例の勇者か?」

巨大猫「妾が聞いてたのは、もっと貧相な顔をしていたはずなのだが」

勇者「黙れ!」

巨大猫「その勇者が、何故ここにおる?」

巨大猫「今のそなたなら、もっと良い宿を取れたじゃろうが?」

勇者「黙れ!」

巨大猫「……」

勇者「……」

「あら? 巨大猫。どうしたの?」

「どうして、あなたは寝床に入っていないの?」

157: 2013/11/24(日) 11:50:18 ID:2wC0kFfw
ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ピタッ……

巨大猫「……」クルッ

勇者「……?」

「巨大猫。早く、小屋の中に入りなさい」

「一体、何故あなたは小屋の中に入ろうとしないの?」

巨大猫「うむ。それが……」スッ

勇者「……」

少女「?」ヌッ

158: 2013/11/24(日) 11:52:35 ID:2wC0kFfw
少女「あなた、一体誰?」

少女「ここで、一体何をしているの?」

少女「見た所、あなた騎士か何かみたいね」

少女「ここは、私の家の小屋なんですけど」

勇者「……」

巨大猫「少女よ。こ奴は、ただの不審者じゃ!」

巨大猫「何故か突然、妾の寝床を占拠していた!」

巨大猫「それに加えて、こ奴は自ら勇者と名乗りおってのぅ」

巨大猫「妾が聞いた勇者とは、かなり顔や装備等が掛け離れておるのじゃ」

少女「え?」キョトン

159: 2013/11/24(日) 11:52:48 ID:2wC0kFfw
少女「あなた、本当にあの勇者様?」

少女「確か、つい最近になって魔王を討ち取ったと言う勇者の?」

勇者「ああ、そうだが」

少女「いや、それは有り得ないよ!」

少女「私の聞いている勇者は、かなり不細工なはずだもの!」

巨大猫「うむ。そうじゃったな!」

勇者「……」

少女「さては、あなたは偽物ね?」

少女「本物の勇者様なら、今頃こんな所にいたりしないもん!」

勇者「……」

160: 2013/11/24(日) 11:53:03 ID:2wC0kFfw
少女「それで、あなた一体何者なの?」

少女「早く、ここから出ていって!」

巨大猫「……」ジーーッ

勇者「……」

少女「あなた、私の言葉聞こえてる?」

少女「ここは、この子の寝床なの!」

少女「早くここから出ていって!」

巨大猫「……」ジーーッ

勇者「……」

スッ、カシャン……

161: 2013/11/24(日) 11:54:01 ID:2wC0kFfw
勇者「……」

少女「……」

巨大猫「……」ジーーッ

勇者「……」

少女「……」

巨大猫「……」ジーーッ

勇者「はぁ……」

クルッ、スッ……

スチャ、カチャカチャ……

カチャカチャ、カチャカチャ……

162: 2013/11/24(日) 11:54:14 ID:2wC0kFfw
少女「巨大猫。そこどいてあげて」

少女「今から、この人はお帰りになるみたいだから」

巨大猫「ああ、了解した」

クルッ、スタスタスタッ……

クルッ、ピタッ……

勇者「……」

少女「……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

巨大猫「……」ニヤリ

163: 2013/11/24(日) 11:54:28 ID:2wC0kFfw
少女「巨大猫。早く、小屋に入りなさい」

少女「もう夜になったし、またあの不審者がいつ来るかが分からないから」

巨大猫「ああ、了解した」

少女「全く、どこの誰だか知らないけど、勇者の名を語るなんて」

少女「つい先日も、自称・勇者がこの付近を荒らしてたし」

少女「あの不審者、後で城の方に通報しといた方が良いのかしら?」

巨大猫「ああ、そうじゃな」

スタスタスタッ、クルッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、ピタッ……

164: 2013/11/24(日) 11:54:41 ID:2wC0kFfw
少女「それじゃあ、お休みなさい。巨大猫」

少女「また、明日の朝に様子を見に来るから」ニッコリ

巨大猫「ああ、気を付けてな」

少女「この辺、今は立ち入り禁止区域に指定されているし」

少女「あなたの事は殺さない様に、お城の方にも許可を取っているからね」

巨大猫「うむ」

スッ、キキィーーッ……

ガチャ、バタン……

スッ、スタッ……

キョロキョロ、コロン……

165: 2013/11/24(日) 11:54:53 ID:2wC0kFfw
人望。今の勇者には、それがなかった。

これからも、この勇者には人望と言う言葉は縁がない言葉であろう。

それもこれも、勇者は人として問題があった。

その所為で、皆が勇者に冷たく接しているのである。

その事についてを、勇者はしっかりと身に染みながら、再びゆっくり歩を進めた。

宛もなく夜道をゆっくりと進んでいき、気がついた時には落とし穴に嵌まって気絶してしまっていた。

後に、勇者は翌朝になってその落とし穴から脱出。

偶々、付近に生き残りのモンスター達がいて、勇者は八つ当たり気味にそのモンスター達全てを殲滅したのだった。

168: 2013/11/25(月) 12:36:04 ID:k1pvj7JA
~とある平原・落とし穴~

翌朝――

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」パチッ

勇者「……」シャキン

169: 2013/11/25(月) 12:36:38 ID:k1pvj7JA
勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

キョロキョロ、キョロキョロ……

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

キョロキョロ、キョロキョロ……

170: 2013/11/25(月) 12:36:51 ID:k1pvj7JA
勇者(どうやら、落とし穴に嵌まったみたいだな……)

勇者(気がついたら、もう朝か……)

勇者(全く、どうして俺ばっかりがこんな目に……)

勇者(これも、勇者としての宿命なのだろうか?……)

スッ、ムクッ……

勇者(とりあえず、ここを出るとするか……)

勇者(結局、昨日の夜から何も口にしていない……)

勇者(この辺、一体今どこだ?……)

勇者(昨夜は、夜道をずっと歩いていたのだからな……)

171: 2013/11/25(月) 12:37:22 ID:k1pvj7JA
ザッザッザッ、ザッザッザッ……

勇者「……」ハッ

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

勇者(誰か来る……)

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

勇者「……」

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ピタッ、ピタッ……

勇者(敵か?)

スッ、スチャ……

172: 2013/11/25(月) 12:37:38 ID:k1pvj7JA
「勇者様。大丈夫ですか?」

「今から、引き上げて差し上げましょうか?」

勇者「……」

「我々は、敵ではありません!」

「大臣様からの命令で、この平原のモンスター退治に来た傭兵隊の者です!」

勇者「……」

「魔術師。これ大丈夫か?」

「かなり、深い落とし穴に嵌まってしまってるが」

「はい。大丈夫です」

「うむ。そうか」

173: 2013/11/25(月) 12:37:50 ID:k1pvj7JA
「勇者様、聞こえてますか?」

「私の言葉は、理解出来てますか?」

勇者(さっぱり、解らん……)

「聞こえているなら、何か返事をして下さい!」

「私達は、これから平原のモンスター退治を再開します!」

「モンスターは、まだこの近くに複数いますよ!」

「だから、早めに返事をして下さい!」

勇者「……」

「隊長。モンスターが来ました!」

「あれ、かなり大きいです!」

174: 2013/11/25(月) 12:38:03 ID:k1pvj7JA
「うわっ、何だあの猫!?」

「あれ、かなり大きいぞ!」

「隊長。迎撃しますか?」

「モンスターは、ゆっくりとこちらに接近中です!」

勇者「……」

「いや、あれは違うな!」

「あれは、味方の巨大猫だ!」

「ええ、そうですね」

勇者「……」

スッ、スラァン……

175: 2013/11/25(月) 12:38:16 ID:k1pvj7JA
「お前ら、あの巨大猫に手を出すな!」

「あれは、味方のモンスターだ!」

「全員、引き続き付近を警戒!」

「勇者様を引き上げるまで、警戒を怠るな!」

「はっ!」

勇者「……」

「隊長。勇者様からの反応が全くありません」

「恐らく、今の勇者様には私達の言語が全く通じてない様です」

「何?」

勇者「……」

176: 2013/11/25(月) 12:39:27 ID:k1pvj7JA
「勇者様は、別の大陸に住むお方です」

「以前から、別の大陸に向かう際には通訳を携えていたのでしょう」

「今朝、私が勇者様の同行者とお会いした時に、ある情報を入手致しました」

「勇者様は、通訳なしでは会話が出来ません」

「一人でいる時は、一時的に他国の言語が話せる薬を用いているみたいです」

勇者「……」

「隊長。どう致しますか?」

「その薬は、町に戻らないと手に入りませんが」

「ちなみに、私は他国の言語を話す事は出来ません」

「ウチの傭兵隊も、誰一人として勇者様と会話すら出来ていませんよ」

177: 2013/11/25(月) 12:39:39 ID:k1pvj7JA
「ああ、魔術師。先に、勇者様を引き上げよ」

「確か、勇者様は他国の言語を話せる薬を持っていたんだよな?」

「それを使って、俺達と会話をして貰う」

「早く、お前は勇者様を引き上げるんだ」

「はっ!」

勇者「……」

「勇者様。これから引き上げます!」

「そのまま、勇者様はじっとしてて下さいね」

勇者「……?」

勇者「何なんだよ? 一体?」

178: 2013/11/25(月) 12:40:34 ID:k1pvj7JA
勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

フワッ……

勇者「……」ビクッ

フワワッ、フワワッ……

勇者「なっ!?」

フワワッ、フワワッ、フワワッ……

勇者「うっ、浮いてる!?」

179: 2013/11/25(月) 12:40:47 ID:k1pvj7JA
フワワッ、フワワッ、フワワッ……

フワワッ、フワワッ、フワワッ……

勇者「……」

フワワッ、フワワッ、フワワッ……

フワワッ、フワワッ、フワワッ……

勇者「……」

フワワッ、フワワッ、フワワッ……

フワワッ、フワワッ、フワワッ……

勇者(あっ、何か地上が見えてきた……)

勇者(まさか、俺を助けに誰か来てくれたのか?……)

180: 2013/11/26(火) 09:03:31 ID:eV9b9miU
~とある平原・落とし穴前~

数分後――

フワワッ、フワワッ、フワワッ……

フワワッ、フワワッ、フワワッ……

傭兵隊長「おっ」

フワワッ、フワワッ、フワワッ……

フワワッ、フワワッ、フワワッ……

スッ、スタッ……

勇者「……」

魔術師「ふぅ……」

181: 2013/11/26(火) 09:03:46 ID:eV9b9miU
魔術師「勇者様。大丈夫ですか?」

魔術師「私の言葉は、理解出来てますか?」

勇者「……」フリフリ

魔術師「隊長。やっぱり、駄目です」

魔術師「勇者様には、私達の言語が通じていません」

傭兵隊長「ああ、そうみたいだな」

勇者「……」

傭兵隊長「巨大猫。今度は、お前が話し掛けてくれ」

傭兵隊長「お前なら、勇者と会話出来るかもしれんからな」

巨大猫「うむ。了解した」

182: 2013/11/26(火) 09:04:03 ID:eV9b9miU
巨大猫「勇者。妾の言葉は解るか?」

巨大猫「昨夜、妾とも会話していたではないか」

勇者「……」クルッ

巨大猫「妾達は、そなたの敵ではない」

巨大猫「今の妾達は、この平原にいるモンスター達を退治しに来たのじゃ」

勇者「……何だと?」

魔術師「あっ……」

傭兵隊長「おっ……」

勇者「……」

スッ、カシャン……

183: 2013/11/26(火) 09:04:16 ID:eV9b9miU
勇者「お前、本当に敵じゃないんだな?」

勇者「何故、お前は人間に味方している?」

巨大猫「……」

勇者「お前、一体何者だ?」

勇者「何故、お前は今ここにいる人間達には受け入れられているんだ?」

巨大猫「……」

魔術師「巨大猫。勇者様は何て?」

魔術師「今の勇者様、あなたに何て言っているの?」

巨大猫「うむ。それが……」

勇者「……」ジーーッ

184: 2013/11/26(火) 09:04:28 ID:eV9b9miU
魔術師「巨大猫。早く通訳して」

魔術師「勇者様に、早く他国の言語が話せる薬を飲ませて」

巨大猫「ああ、了解した」

勇者「……」ジーーッ

巨大猫「今の勇者は、この平原で起きている事を知りたがっとる」

巨大猫「残念な事に、今の勇者は他国の言語が話せる薬を使いきった後みたいじゃ」

巨大猫「勇者が言うには、昨夜の内にモンスターと戦闘となった」

巨大猫「そのモンスターとの戦闘の際に、逃げ遅れた人間との会話の際に使いきった後だった様じゃ」

魔術師「え?」

傭兵隊長「何だと?」

185: 2013/11/26(火) 09:04:40 ID:eV9b9miU
魔術師「じゃあ、その勇者様と遭遇をした人はどうしたの?」

魔術師「その人、今無事なの?」

巨大猫「ああ、ちょっと待て」

勇者「……」ジーーッ

巨大猫「勇者。妾は、人間達の味方じゃ」

巨大猫「元々、妾は人間達によって飼われていた猫達の成れの果て」

巨大猫「今の妾は、その猫達の氏後に生まれた存在なのじゃ」

巨大猫「だから、今の妾は人間達に味方しておる」

勇者「何?」ギロッ

魔術師「……?」

186: 2013/11/26(火) 09:04:59 ID:eV9b9miU
勇者「なら、何故昨日それを伝えなかった?」

勇者「おかげで、こっちは野宿する嵌めになったんだが」

勇者「お前、本当は俺の事を馬鹿にしてるだろ?」

勇者「一体、俺は今まで何の為に戦って来たんだ!?」ムカッ

魔術師「……」ビクッ

傭兵隊長「……」スッ

巨大猫「勇者。そう怒るな」

巨大猫「妾は、決してそなたの事を馬鹿にしておらん」

巨大猫「昨夜は、偶々そうなっただけじゃ」

巨大猫「最初から、妾の寝床に来なければ良かっただけの事じゃ」

187: 2013/11/26(火) 09:05:11 ID:eV9b9miU
勇者「じゃあ、せめて俺を宿まで案内をしろよ!」

勇者「どうして、あの時に俺を宿にまで案内しなかったんだよ?」イラッ

巨大猫「……」

勇者「おまけに、俺はあの時追い出された!」

勇者「俺は勇者なのに、どうしてそんな目に遭ってるんだ!?」イライラッ

魔術師「……」

巨大猫「勇者。それは、そなたが悪い!」

巨大猫「そなたが、自身の仲間に対してやってきた事が、全て緒を引いておるのじゃ!」

勇者「!?」ガーーン

傭兵隊長「……」

188: 2013/11/26(火) 09:05:24 ID:eV9b9miU
巨大猫「そなた、自身の仲間に対して何をやった?」

巨大猫「そなたの仲間は、その後どうなったのじゃ?」

勇者「……」

巨大猫「そなたの仲間は、今も病や怪我等で苦しんでおる!」

巨大猫「そなたが仲間にした事が原因で、皆がそなたに冷たく接しておる!」

勇者「くっ……」

巨大猫「全く、これだから最近の若者は困るのじゃ!」

巨大猫「今のそなたは、ただただ殺戮を楽しむだけのはみ出し者!」

巨大猫「そなたが変わらなければ、人々の信頼や尊敬等は一切得られん!」

巨大猫「それだけでなく、そなたは永遠に仲間やその親族達から恨まれるじゃろう!」

189: 2013/11/26(火) 09:05:42 ID:eV9b9miU
巨大猫「のぅ、勇者」

巨大猫「そなたは、まだ若い!」

巨大猫「今のそなたは、まだ人生にやり直しが利く!」

巨大猫「ここで、そなたは自身を大きく変えてみてはみんか?」

巨大猫「今なら、まだそなた自身を変える事が出来る!」

巨大猫「これが、神から与えられた最初で最後のチャンスかもしれないのじゃ!」

勇者「……」

巨大猫「まぁ、それをどう生かすか頃すかはそなた次第じゃ!」

巨大猫「今の妾に、それを強制する事は出来ん!」

勇者「……」

190: 2013/11/26(火) 09:08:24 ID:eV9b9miU
巨大猫「勇者。妾は、そなたに期待しておるぞ!」

巨大猫「そなたが、数多く人々の尊敬の念を抱かれる勇者になる事を!」

巨大猫「今のそなたは、まだ人々からの信頼や尊敬の念等を、一度も得られていない!」

巨大猫「ここで、そなたが変わらなければ一生そなたは今のままとなってしまうぞ!」

勇者「……」

巨大猫「勇者。それで、どうするのじゃ?」

巨大猫「そなたは、今後人々からの信頼や尊敬の念等を得られる勇者になる事が出来るのか?」

勇者「ああ、大丈夫だ!」

巨大猫「その根拠は?」

勇者「ない!」

191: 2013/11/26(火) 09:08:36 ID:eV9b9miU
勇者「でも、これからそれを作って行けば良いだろう?」

勇者「今の俺の回りには、多数の傭兵達がいる!」

勇者「皆、この俺の為だけに集まってくれたはずた!」

勇者「俺が氏んだら、この国はエルフに侵略されるんだからな!」

巨大猫「……」

勇者「とりあえず、何か皆が何を話しているかが気になっている様だから通訳を頼む」

勇者「今の俺は、他国の言語が話せる薬を粉砕してしまった」

勇者「結局、俺は一人じゃ何も出来ない!」

勇者「今のままでは、俺はずっと悪評を流されたままみたいだからな!」

巨大猫「ああ、了解した」

192: 2013/11/26(火) 09:08:47 ID:eV9b9miU
巨大猫「魔術師。勇者からの情報じゃ」

巨大猫「勇者と遭遇をした人間は、モンスターによって殺害された」

魔術師「!?」

巨大猫「勇者が言うには、その時にはまだ息があったらしい」

巨大猫「どうやら、この平原が禁止区域に指定されている事を知らぬ者達がここに入った」

巨大猫「その数は、勇者ですらも分からん」

巨大猫「勇者がその人間を助けた時には、もう既に手遅れだった様じゃが」

魔術師「……そんな」

傭兵隊長「くっ……」

勇者「……」

193: 2013/11/26(火) 09:09:00 ID:eV9b9miU
巨大猫「隊長。ここは、妾に任せてくれ」

巨大猫「今後は、勇者との通訳を妾がいたす」

巨大猫「これは、早めに勇者をエルフの里に連れていった方が良いかもしれんな」

巨大猫「妾は、過去にエルフの里に入った事がある」

巨大猫「そのついでに、勇者の道案内等も妾がしたいのじゃが、どうか?」

傭兵隊長「……」

魔術師「隊長。ここは、許可した方が宜しいかと」

魔術師「今回の件、エルフが絡んでいるのは間違いありません」

魔術師「エルフは、私達人間の事を恨んでいます!」

魔術師「もう既に、エルフの里は我が国に対して戦を仕掛けてきているのですよ!」

194: 2013/11/26(火) 09:09:18 ID:eV9b9miU
巨大猫「ああ、そうじゃな!」

巨大猫「エルフは、これまでの復讐を果たすつもりじゃ!」

巨大猫「でなければ、永世中立だったはずのエルフが、勇者の敵になるはずがない!」

巨大猫「ここは、早めに勇者をエルフの里に連れて行く方が良いじゃろう!」

魔術師「……隊長」

傭兵隊長「ああ、了解した!」

傭兵隊長「この平原を抜けるまでなら、俺達も勇者に同行をしてやる!」

傭兵隊長「巨大猫。早速、勇者にもその件を伝えてくれ!」

傭兵隊長「今の俺達には、本当に時間がないのだからな!」

巨大猫「ああ、了解した」

195: 2013/11/26(火) 09:09:30 ID:eV9b9miU
巨大猫「勇者。傭兵隊長からの伝言じゃ」

巨大猫「これより、傭兵隊はそなたに同行をする」

巨大猫「じゃが、それはここの平原を抜けるまでじゃ」

巨大猫「いつ、この者達の国がエルフに攻められるかが分からん」

巨大猫「実際、エルフ達は船を使ってこの国に向かっておる」

巨大猫「妾は、通訳の為にエルフの里まで同行するぞ」

勇者「おおっ!」

勇者「よっしゃああああああああ――――――――っ!!」

魔術師「……」

傭兵隊長「……」

196: 2013/11/26(火) 09:09:41 ID:eV9b9miU
巨大猫「では、早速参ろうか?」

巨大猫「この付近には、まだモンスターが隠れておる」

巨大猫「傭兵隊長。勇者らの伝言じゃ」

巨大猫「ご協力感謝する。全て、自分に任せておけだそうじゃ」

傭兵隊長「ああ、了解した」ニヤッ

魔術師「良かったですね。隊長」ニヤッ

傭兵隊長「ああ」ニヤニヤ

傭兵達「……」ニヤニヤ

勇者「……」ニヤニヤ

巨大猫「……」スッ、ムクッ

197: 2013/11/26(火) 09:10:01 ID:eV9b9miU
傭兵隊長「よしっ、お前ら進め!」

傭兵隊長「モンスターはまだ近くにいる!」

傭兵隊長「早く進むんだ!」

傭兵達「お――っ!」

巨大猫「勇者。今回の件、宜しく頼むぞ!」

巨大猫「そなたは、人間達全ての最後の希望じゃ!」

巨大猫「幸い、傭兵達の士気は上がった!」

巨大猫「早速、人々の心を上手く掴んだ様じゃな!」

勇者「!?」

198: 2013/11/26(火) 09:10:12 ID:eV9b9miU
巨大猫「勇者。この調子じゃ」

巨大猫「そなたは、妾の忠告通りに変わろうとしておる」

巨大猫「今後も、この調子で行け」

巨大猫「そうすれば、人々の心を上手く掴む事が出来るぞ」

勇者「ああ」

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

魔術師「巨大猫。もう行くよ」

魔術師「勇者様にも、早く進む様に伝えて」

巨大猫「ああ、了解した」

勇者「……」

199: 2013/11/26(火) 09:10:24 ID:eV9b9miU
巨大猫「勇者。もう行くぞ」

巨大猫「皆、もう先に進んでおる」

巨大猫「ここから、エルフの里まではまだ距離がある」

巨大猫「そなたも、気を引き締めてな」

勇者「ああ、了解した」クルッ

魔術師「……」

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

200: 2013/11/26(火) 09:17:57 ID:eV9b9miU
魔術師「とりあえず、落とし穴は埋めとこ」

魔術師「あれ、また誰かが嵌まったら危ないし」クルッ

落とし穴「……」

魔術師「やっぱり、ちょっとやり過ぎたかな?」

魔術師「自分で作っといてなんだけど、まさか勇者様が嵌まるとはね」

スッ、スチャ……

魔術師「……」ブツブツ

魔術師「……」ブツブツ

魔術師「はっ!」ボワッ

シューーーーッ、シュン……

202: 2013/11/27(水) 09:33:05 ID:A0PLQLK2
>>201
分かりました。
直して行きます。

206: 2013/11/27(水) 18:48:33 ID:A0PLQLK2
~とある平原・街道~

勇者「ふぅ、何とかまともな道に出れたな」

勇者「ここから、エルフの里まではどれくらいあるんだ?」

巨大猫「かなりあるぞ」

勇者「でも、この辺もモンスターはいないな」

勇者「一体、何でこの辺もモンスターはいないんだ?」

巨大猫「さぁ、分からんな」

傭兵隊長「魔術師。皆、ついてきてるか?」

傭兵隊長「お前、殿を務めていたんだろ?」

魔術師「はい」

207: 2013/11/27(水) 18:48:45 ID:A0PLQLK2
勇者「だが、何故モンスターは出てこないのだ?」

勇者「昨日、どれくらいの数を傭兵隊は駆除したのだ?」

巨大猫「さぁ、解らんな」

勇者「巨大猫。傭兵隊長に聞いてみてくれ」

勇者「じゃないと、俺がいる意味がない!」

巨大猫「ああ、了解した」

魔術師「……?」クルッ

巨大猫「魔術師。ちょっと良いか?」

巨大猫「昨日、この辺のモンスターは何匹倒したのだ?」

魔術師「ええ、ちょっと待ってね」スッ

208: 2013/11/27(水) 18:49:00 ID:A0PLQLK2
魔術師「昨日だけで、トロル2体、キャタピラー20体、キラービー20体」

魔術師「後は、スライム40体にリザードマンを20体ね」

巨大猫「そんなにもか?」

傭兵隊長「ん? 昨日倒したモンスターがどうかしたのか?」クルッ

傭兵隊長「それを聞いて、一体どうするつもりなんだ?」

魔術師「……」

巨大猫「実は、勇者がついさっきから戦いたくてうずうずしておるのじゃ」

巨大猫「この大陸に来てから、モンスターとは一度も戦ってはいない」

巨大猫「それで、勇者は早くモンスターを退治したがっておる」

巨大猫「このままでは、いつ妾が勇者によって斬られるかが、全く解らないのじゃ」

209: 2013/11/27(水) 18:49:14 ID:A0PLQLK2
魔術師「でも、勇者様が魔王を討伐してからと言うもの、モンスターはすぐに駆除されていったよ」

魔術師「エルフの里や周辺諸国の方でも、独自に兵を出して駆除している」

魔術師「今は、各地にいるモンスター達の勢いとかも収まってきてね」

魔術師「だから、今すぐモンスターと戦いたいと言われても困るんだけど」

傭兵隊長「ああ、そうだな」

巨大猫「なら、何故そなた達は昨夜壊滅したのじゃ?」

巨大猫「何か、狂暴なモンスターがいたからじゃろ?」

魔術師「うん」

傭兵隊長「だが、あれはさすがに手に追えないな」

傭兵隊長「昨日、俺達が戦っていた相手はハーフエルフだったからだ」

210: 2013/11/27(水) 18:49:27 ID:A0PLQLK2
巨大猫「隊長。今の誠か?」

巨大猫「それなら、早速勇者と戦わすのじゃ」

巨大猫「勇者は、敵と戦いたくてうずうずしておる」

巨大猫「いずれ、勇者はエルフとも戦わねばならんからな」

傭兵隊長「しかし……」

魔術師「隊長。どうかご決断を!」

魔術師「今の私達には、勇者様が付いていらっしゃいます!」

魔術師「ここは、適当に理由を付けて厄介払いをしましょう!」

魔術師「ハーフエルフは、すぐそこまで来ているのですよ!」

傭兵隊長「……」

211: 2013/11/27(水) 18:49:58 ID:A0PLQLK2
巨大猫「隊長。妾からも頼む!」

巨大猫「どうか、勇者を行かせてやってくれ!」

巨大猫「あ奴は、この世で唯一人の勇者なのじゃ!」

巨大猫「今行かせなくては、そなたは後悔するぞ!」

傭兵隊長「くっ……」

魔術師「隊長。最初から、私達は勇者を使い捨てにしています!」

魔術師「ここは、勇者に対する情けを全て捨てるべきではないのですか?」

巨大猫「うむ。そうじゃ!」

魔術師「それが終わった後、私の事を好きにしても構いません!」

魔術師「私、目的の為ならば手段を選びませんので!」ニッコリ

212: 2013/11/27(水) 18:50:17 ID:A0PLQLK2
傭兵隊長「お前。結構、冷徹だな……」

傭兵隊長「一体、そんな所は誰に似たんだか……」ガクッ

魔術師「さぁ」ニコニコ

傭兵隊長「魔術師。適当に、勇者に情報を与えてやれ」

傭兵隊長「つうかお前、本当に勇者の言葉は解らないのかよ?」ムクッ

魔術師「はい!」ニコニコ

傭兵隊長「……」

巨大猫「それで、モンスター達の情報とは?」

巨大猫「一体、そ奴等は後何体いるのじゃ?」

勇者「……まだか」

213: 2013/11/27(水) 18:52:57 ID:A0PLQLK2
魔術師「大体、私達が確認しただけで五体のみです」

魔術師「その割りにはかなり強く、数多くの私達の仲間達が彼らによって殺害されました」

傭兵隊長「……」

魔術師「でも、それももう終わりでしょ?」

魔術師「勇者様が、諸悪の根元さえ駆除してくれたら、全て解決するんだし!」ニッコリ

傭兵隊長「……ああ、そうだな」ウルッ

巨大猫「では、それを勇者に伝えるぞ」

巨大猫「そなた達、良いな?」

魔術師「はい」

傭兵隊長「了解した」

214: 2013/11/27(水) 18:53:09 ID:A0PLQLK2
巨大猫「勇者。傭兵隊長から情報が入った」

巨大猫「この辺りのモンスターは、昨日の時点で9割は倒した後だそうじゃ」

勇者「!?」ガーーン

巨大猫「じゃが、まだハーフエルフが五体ほど生き残っておる」

巨大猫「そやつら、かなりの手練れでな」

巨大猫「昨日の時点で、多数の傭兵達が惨殺された」

巨大猫「それで、今から勇者にそのハーフエルフ達を討伐して貰いたいと言う訳じゃ」

勇者「……」

魔術師「……」

傭兵隊長「……」

215: 2013/11/27(水) 18:53:39 ID:A0PLQLK2
巨大猫「まぁ、今のそなたなら無理もないな」

巨大猫「皆、そなたの力を必要としている様じゃ!」

巨大猫「勇者。ここが、そなたの腕の見せ所!」

巨大猫「見事、ハーフエルフを討伐して人々の心を掴むのじゃ!」

勇者「おう!」ニッコリ

魔術師「……」

傭兵隊長「……」

巨大猫「では、早速そなたは行ってくるのじゃ!」

巨大猫「傭兵隊は、周辺で逃げ遅れた者がいないかどうか捜索に当たる」

勇者「ああ、了解した!」ニコニコ

216: 2013/11/27(水) 18:53:51 ID:A0PLQLK2
勇者「では、俺はもう行くな!」

勇者「このまま、まっすぐ道を歩いて行けば良いのか?」

巨大猫「ああ、そうじゃ!」

勇者「では、俺は今から行ってくる!」

勇者「すぐに終わらせてくるから、お前達はここで待っていてくれ!」

巨大猫「ああ、了解した」

魔術師「……」

傭兵隊長「……」

クルッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

217: 2013/11/27(水) 18:54:03 ID:A0PLQLK2
魔術師「巨大猫。勇者様は何て?」

魔術師「やけに、勇者様は張り切っていたみたいだけど」

傭兵隊長「ああ、そうだな」

巨大猫「ちょっと、勇者のやる気が出る様な事を言っただけじゃ」

巨大猫「もう時期、昨夜この平原に現れたハーフエルフと戦闘を開始するだろう」

巨大猫「あ奴、かなり単純な奴じゃからな」

巨大猫「妾が、少し盛った話をしただけで、すぐに食いつきよった」

シュピン……

魔術師「ん?」

巨大猫「どうかしたのか?」

218: 2013/11/27(水) 18:54:15 ID:A0PLQLK2
魔術師「隊長。たった今、大臣様からの連絡が入りました」

魔術師「ダークエルフの軍勢が、船で海上から上陸」

魔術師「場所は、隣国のXXXX王国」

魔術師「そこは、もう既にエルフの里に屈服をしました」

魔術師「今すぐ、傭兵隊は城下町までに引き返す様にとの事です」

傭兵隊長「ああ、了解した」

巨大猫「……」

魔術師「隊長。転移魔法を使用しますか?」

魔術師「今すぐ、私は町に戻りたいのですが」

傭兵隊長「お前……」

219: 2013/11/27(水) 18:54:48 ID:A0PLQLK2
魔術師「隊長。早く、ご決断を!」

魔術師「勇者様なんかほっといて、早く城下町に戻るべきです!」

傭兵隊長「……」

巨大猫「隊長。早く決めんか!」

巨大猫「そなたの部下は、早く城下町に戻りたそうにしておるぞ!」

傭兵隊長「……」

魔術師「皆、早く町に戻りたい?」

魔術師「また、昨日みたいな惨敗を喫したい?」ニッコリ

傭兵達「いいえ!」

傭兵隊長「……」ガクッ

220: 2013/11/27(水) 18:55:02 ID:A0PLQLK2
魔術師「じゃあ、今から私達は城下町まで撤退!」

魔術師「皆、早く円になる様に手を繋いで!」

傭兵達「お――――っ!」

巨大猫「……」

傭兵隊長「お前ら、戻ったら覚えておけ!」

傭兵隊長「全員、来月から減給にしてやる!」

傭兵隊長「特に魔術師、お前9割減な!」

傭兵隊長「今日と言う今日は、お前の酷さは目に余った!」

傭兵隊長「だから、後で覚悟しておくんだな!」

魔術師「はい。かしこまりました!」ニッコリ

222: 2013/11/27(水) 21:08:26 ID:A0PLQLK2
~とある平原・川~

その頃――

頭領「くっ、ここまでか……」

頭領「何でハーフエルフの癖に、こんなにも強い力を持っているんだ?……」

女「……頭領」ビクビク

山賊達「……」ボロボロ

頭領「おいっ、お前らまだやれるか?」

頭領「これ本気でやべぇみていだぞ……」

山賊達「もう、無理です……」ボロボロ

女「そんな……」ビクビク

223: 2013/11/27(水) 21:08:57 ID:A0PLQLK2
半エルフ兵長「おいっ、貴様ら。早く投降しろ!」

半エルフ兵長「投降すれば、命だけは助けてやる!」

半エルフ兵達「……」

頭領「くっ……」

半エルフ兵長「どうやら、貴様らは氏にたいらしいな!」

半エルフ兵長「総員、そのまま止めを刺せ!」

半エルフ兵達「はっ!」

女「……頭領」ビクビク

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

224: 2013/11/27(水) 21:09:10 ID:A0PLQLK2
頭領(くそっ、もう体が動かねぇ……)

頭領(配下達も、皆がもうボロボロだ……)

頭領(せめて、こいつだけは逃がしてやりてぇ……)

頭領(なんとか、チャンスはないものか?……)チラッ

女「……」ビクビク

山賊「頭領。敵が来ます!」

山賊「今のままでは、もう無理だ!」

頭領「くっ……」

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

225: 2013/11/27(水) 21:09:34 ID:A0PLQLK2
頭領(このまま、川を泳いで逃げるか?……)

頭領(いや、向こう岸までには泳ぎきれない……)

頭領(くそっ、何か方法は?)

頭領(俺達、このまま氏ぬしかねぇのかよ!?)

女「……」ビクビク

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ピタッ、ピタッ、ピタッ、ピタッ……

スッ、ザシュッ……

ザシュッ、ザシュッ、ザシュッ……

山賊「ぐっ、ぐはっ!?」

226: 2013/11/27(水) 21:09:50 ID:A0PLQLK2
ザシュッ、ザシュッ……

山賊2「うぎゃあっ!?」

ザシュッ、ザシュッ……

山賊3「おえっ!?」

バタッ、バタッ、バタッ……

頭領「!?」ハッ

女「ああああっ……」ビクビク

山賊4「くそっ……」

山賊5「もう終わりか……」

頭領「……」ガクッ

227: 2013/11/27(水) 21:10:21 ID:A0PLQLK2
山賊4「と、頭領……」

山賊4「早く、お逃げを……」

山賊4「早く、ここから逃げて下さい……」

頭領「何?」

山賊5「ここは、俺達が食い止めます!」

山賊5「早く、頭領は逃げて下さい!」

女「……みんな」ビクビク

頭領「……」ムクッ

半エルフ兵長「ほう?」ニヤリ

半エルフ兵達「……」

228: 2013/11/27(水) 21:10:42 ID:A0PLQLK2
山賊5「頭領。何をしてるんですか?」

山賊5「早く、女を連れて逃げて下さい!」

頭領「くっ……」

女「……頭領」チラッ

頭領「……」

半エルフ兵長「総員。そのまま、一人残らず皆頃しにしろ!」

半エルフ兵長「今目の前にいるのは、俺達をずっと差別や迫害をしてきた人間達だ!」

半エルフ兵長「絶対に、生きて返すな!」

半エルフ兵達「おーーーーっ!」スチャ

頭領「……」

229: 2013/11/27(水) 21:12:50 ID:A0PLQLK2
頭領「皆、すまない」

頭領「俺の所為で、こんな風になっちまってな」

頭領「しかし、俺はここに残るぞ」

頭領「どうせ、皆がここで氏ぬんだ」

頭領「せめて、一矢くらいは報いさせて貰う」

スッ、シュポッ……

女「頭領。それ何?……」

女「一体、今から何をするつもりなの?……」ビクビク

頭領「……」スッ

女「えっ?……」ビクビク

230: 2013/11/27(水) 21:13:14 ID:A0PLQLK2
頭領「女。これを、今すぐ川に投げろ」

頭領「これを投げたら、川に突っ込め」

女「……」ビクビク

頭領「その後、しばらくそこにいろ」

頭領「そしたら、お前は町に戻れる」

頭領「後は、教会で俺達全員の蘇生を申請しろ」

頭領「今それが出来るのは、お前しかいないんだからな」

女「……そんな」ビクビク

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ピタッ、ピタッ、ピタッ、ピタッ……

231: 2013/11/27(水) 21:13:48 ID:A0PLQLK2
スッ、ザシュッ……

山賊4「ぐっ!?」

スッ、ザシュッ……

山賊5「ぐあっ!?」

バタッ、バタッ……

女「……」ビクビク

頭領「女。早く、投げろ!」

頭領「お前だけでも、早く逃げるんだ!」

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ピタッ、ピタッ、ピタッ、ピタッ……

232: 2013/11/27(水) 21:14:37 ID:A0PLQLK2
半エルフ兵長「残念だが、もう間に合わん!」

半エルフ兵長「貴様らは、もうここで氏ぬんだからな!」

頭領「女!」

女「……」ビクビク

スッ、ザシュッ……

女「!?」

スッ、ザシュッ、ザシュッ……

頭領「ぐっ!?」

バタッ、バタッ……

半エルフ兵長「ふぅ……」

233: 2013/11/27(水) 21:15:04 ID:A0PLQLK2
スッ、カシャン……

クルッ……

半エルフ兵「兵長。全員、刺頃しました!」

半エルフ兵「後は、勇者を待つだけです!」

半エルフ兵長「うむ!」

スッ、カシャン、カシャン、カシャン……

クルッ、クルッ、クルッ……

半エルフ兵長「総員。ご苦労だった!」

半エルフ兵長「今日だけでも、人間を120名は殺せたな!」ニヤリ

半エルフ兵達「……」ニヤリ

234: 2013/11/27(水) 21:15:29 ID:A0PLQLK2
半エルフ兵長「皆、ここでひとまず休憩だ!」

半エルフ兵長「いずれ、勇者はここを通る!」

半エルフ兵長「今まで、ずっと俺達ハーフエルフは差別や迫害等をされてきた!」

半エルフ兵長「これは、我らにとっては復讐戦でもある!」

半エルフ兵達「……」

半エルフ兵長「女侯爵XXXXXX!」

半エルフ兵長「貴女が思い描いていた理想は、必ず我らの手で成し遂げて見せます!」

半エルフ兵長「それに、神は我々の味方だ!」

半エルフ兵長「今後も、数多くの人間達を始末していくのだ!」

半エルフ兵達「おーーーーっ!」

235: 2013/11/28(木) 18:49:18 ID:HHP1kShE
~とある平原・街道~

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

勇者(モンスター、なかな出てこないな)

勇者(そろそろ、出て来てもいい頃だが)

勇者(この辺、やけに静かだし)

勇者(ああは言って出てきたが、なんか違和感があるんだよな)

ピタッ、クルッ……

勇者「……」

勇者「……」

236: 2013/11/28(木) 18:49:32 ID:HHP1kShE
勇者「なっ!? 誰もいない!」

勇者「一体、どう言う事だ!?」

巨大猫「……」

勇者「己れ、謀られたか!?」

勇者「貴様ら、本当にいい加減にしろ!」

スッ、スチャ、スラァン……

勇者「……」

巨大猫「……」

勇者「……?」ハッ

スッ、スタッ……

237: 2013/11/28(木) 18:49:49 ID:HHP1kShE
「失礼だが、勇者XXXとお見受けする!」

「覚悟して貰おう!」

スチャ、スラァン……

勇者「!?」クルッ

ダダダダッ、ダダダダッ……

ダダダダッ、ダダダダッ……

ピタッ、ピタッ、ピタッ、ピタッ……

敵兵達「……」

勇者「……」

スチャ、スチャ、スチャ、スチャ……

238: 2013/11/28(木) 18:51:04 ID:HHP1kShE
敵兵長「勇者XXX。貴様もバカな奴だ!」

敵兵長「そのまま、生まれ故郷でゆっくり休んでいればいいものを!」

敵兵長「我らは、今は亡き魔王様の臣下!」

敵兵長「今こそ魔王様の仇、取ってくれる!」

勇者「……」

敵兵長「全員、進め!」

敵兵長「今こそ、魔王様の仇を討つのだ!」

敵兵達「お――――っ!」

ダッ、ダダダダッ……

ダダダダッ、ダダダダッ……

239: 2013/11/28(木) 18:51:16 ID:HHP1kShE
敵兵「とりゃあ!」ブン

勇者「……」サッ

敵兵2「てやっ!」ブン

勇者「……」キン

敵兵3「己れ!」ブン

勇者「……」ズバッ

敵兵3「ぐっ!?」プシューーッ

ブン、ズバッ……

敵兵「とりゃあ!」ブン

クルッ、ズバッ……

240: 2013/11/28(木) 18:51:44 ID:HHP1kShE
敵兵長「くっ、やはり手強いか……」

敵兵長「だが、我々ももうこれ以上は負けられない!」ギロッ

バタッ、バタッ……

敵兵4「とりゃあ!」ブン

勇者「……」サッ

ブン、ズバッ……

敵兵4「ぐあっ!?」プシューーッ

敵兵長「敵兵4!?」

フラッ、バタッ……

勇者「……」

241: 2013/11/28(木) 18:53:04 ID:HHP1kShE
敵兵2「勇者。まだ、腕は鈍ってはいないな?」

敵兵2「てっきり、父親同様に女に狂ってると思ってたが!」

勇者「……」

敵兵2「貴様のおかげで、魔王様は亡くなられた!」

敵兵2「絶対に、貴様だけは許さん!」ダッ

勇者「……」スッ

ダダダダッ……

敵兵2「てやっ!」ブン

勇者「……甘い」サッ

クルッ、ズバッ……

242: 2013/11/28(木) 18:53:36 ID:HHP1kShE
敵兵長「ちっ、やられたか……」

敵兵長「敵兵2。大丈夫か?」

敵兵2「……」

勇者「……」スッ

ズバッ、フラフラッ……

敵兵2「……」フラッ

バタッ、カシャン……

勇者「……」

敵兵長「……」

勇者「……」ダッ

243: 2013/11/28(木) 18:53:49 ID:HHP1kShE
ダダダダッ……

スッ、ズバッ……

敵兵長「ぐはっ!?」

勇者「……」スタッ

「隙あり」ヌッ

勇者「!?」ハッ

敵兵6「てりゃあ!」ブン

勇者「くっ……」キン

ダダダダッ、ダダダダッ……

ピタッ、ピタッ、ピタッ、ピタッ……

244: 2013/11/28(木) 18:54:05 ID:HHP1kShE
敵兵長2「勇者。覚悟しろ!」

敵兵長2「仲間の仇も、この場で一緒に取ってやる!」

勇者「……」ギリギリ

敵兵6「……」ギリギリ

バン、スタッ、スタッ……

敵兵長2「全員、そのまま突っ込め!」

敵兵長2「第三班、第四班も応援を頼む!」

敵兵達「お――――っ!」

ダダダダッ、ダダダダッ……

ダダダダッ、ダダダダッ……

245: 2013/11/28(木) 18:55:06 ID:HHP1kShE
勇者(くっ、敵が多すぎる……)

勇者(何故、こんなにも魔王の配下達が……)

敵兵6「……」ブン

勇者「……」サッ

敵兵7「……」ブン

勇者「……」サッ

勇者(こいつら、まさか例のハーフエルフか?)

勇者(俺の知ってるハーフエルフは、こんなにも強くない!)

敵兵6「……」ブン

スチャ、ズバッ……

246: 2013/11/28(木) 18:55:20 ID:HHP1kShE
敵兵長4「くそっ、手強いか!」

敵兵長4「さすがは、魔王様を殺害しただけの事はある!」

勇者「……」スッ

勇者「回転斬り!」

クルッ、ズバズバズバッ……

敵兵達「ぐあ――――っ!?」

バタバタバタッ……

敵兵長4「だが、貴様もここで終わりだ!」

敵兵長4「第五班から第八班、援軍を頼む!」

敵兵達「お――――っ!」ダッ

247: 2013/11/28(木) 19:01:59 ID:HHP1kShE
~とある平原・街道(巨大猫側)~

巨大猫「おやおや、もう始まったか」

巨大猫「あ奴、やけに強いな」

敵兵6「ぐあ――――っ!?」

フラッ、バタッ……

巨大猫「じゃが、あ奴の体力はいつまで持つか?」

巨大猫「このまま、全ての敵兵を撃破できるかのぅ?」

キン、キン……

ダダダダッ、ダダダダッ……

ダダダダッ、ダダダダッ……

248: 2013/11/28(木) 19:03:34 ID:HHP1kShE
巨大猫「あ奴、一人で大丈夫か?」

巨大猫「やけに、亜人達が頑張っておるが」

巨大猫「そなたは、最初からあ奴を嵌めるつもりだったじゃろ?」

巨大猫「今の勇者は、本当に大丈夫なのか?」チラッ

少女「ええ、大丈夫よ」スッ、スタッ

巨大猫「……」

勇者「三回転斬り!」

クルッ、ズバズバズバッ……

ズバズバズバッ、ズバズバズバッ……

249: 2013/11/28(木) 19:03:47 ID:HHP1kShE
少女「でも、さすがは勇者様だわ!」

少女「あれだけの数、いとも簡単に蹴散らしていくんだから!」

巨大猫「……」

少女「あのまま、勇者様が今は亡き魔王の残党を撃ち取ってくれたら、かなり楽!」

少女「元々、勇者様はただの使い捨て!」

少女「今の私、全く間違っていないわ!」

少女「一度勇者となったからには、あのまま氏ぬまでモンスターと戦い続けて貰うのがお似合いなのよ!」

巨大猫「……」

敵兵長2「ぐあ――――っ!?」プシューーッ

フラッ、バタバタッ……

250: 2013/11/28(木) 19:04:00 ID:HHP1kShE
少女女「あっ、勇者様が消えた」

少女「まさか、勇者様はもう氏んじゃったのかな?」

巨大猫「……」ジーーッ

少女「……」ジーーッ

巨大猫「いや、まだあ奴は生きておるな」

巨大猫「あ奴、かなりしぶといな」

勇者「はぁ、はぁ、はぁ……」

少女「あっ、本当だ」

敵兵達「……」

勇者「くっ……」

251: 2013/11/28(木) 19:04:15 ID:HHP1kShE
少女「勇者様。頑張ってね!」

少女「そのまま、モンスターを全て倒しちゃえ!」

勇者「……」ブンブン

敵兵長4「……」ブンブン

少女「巨大猫。勇者様が氏んだら、すぐに知らせて」

少女「魔術師のお姉ちゃん達が、また何か忙しいみたいだから」

少女「私、今から町に戻るね」

少女「だから、巨大猫もここで大人しくしとくのよ」

巨大猫「ああ、了解した」

少女「……」スッ

252: 2013/11/28(木) 19:04:29 ID:HHP1kShE
ヌポッ、プシューーッ……

少女「……」

プシューーッ、プシューーッ……

巨大猫「……」チラッ

少女「巨大猫。別に心配入らない」

少女「ちょっと、アイテムを使って転移魔法を発動させただけよ」

少女「これ、最近になって発売されたやつだし」

少女「だから、何も心配はしないでね!」

巨大猫「ああ、了解した」

シューーーーッ、シュン……

253: 2013/11/29(金) 15:44:34 ID:5iCQG3ew
~とある平原・街道~

勇者(くっ、かなり多いな……)

勇者(だが、まだやれない訳じゃない……)

勇者(あいつら、完全に俺の事をバカにしやがって!)

勇者(今度会ったら、必ず斬り頃してくれる!)

敵兵達「……」ジリジリ

勇者(だが、まずはこいつらが先だ……)

勇者(こいつら、本当にハーフエルフなのか?……)

勇者(その割りには、指揮官とも言える奴の存在はなし……)

勇者(一体、敵の指揮官はどこに隠れているんだ?……)

敵兵長3「……」ダッ

254: 2013/11/29(金) 15:45:05 ID:5iCQG3ew
敵兵長3「とりゃあ!」ブン

勇者「……」サッ

敵兵10「てやっ!」ブン

勇者「……」サッ

敵兵長5「己れ、ちょこまかと!」

敵兵長5「早く、早く皆の手で討ち取れ!」

敵兵達「お――――っ!」

勇者「……」スッ

勇者「雷撃!」

敵兵長5「なっ!?」

255: 2013/11/29(金) 15:45:23 ID:5iCQG3ew
バチバチバチバチッ、バチバチバチバチッ……

バチバチバチバチッ、バチバチバチバチッ……

巨大猫「!?」

敵兵達「ぐああああああああ――――――――っ!?」

バチバチバチバチッ、バチバチバチバチッ……

バチバチバチバチッ、バチバチバチバチッ……

敵兵達「ぐああああああああ――――――――っ!?」

勇者「……」

スチャ、カシャン……

バタバタバタバタッ、バタバタバタバタッ……

256: 2013/11/29(金) 15:45:35 ID:5iCQG3ew
勇者「ふぅ、これで最後か……」

勇者「ざっと数えても40体と言う事か……」

氏体の山「……」

勇者「しかし、敵の指揮官がいない……」

勇者「一体、奴はどこにいるんだ?……」

巨大猫「……」

勇者「……」ハッ

巨大猫「……」

勇者「……」ジーーッ

巨大猫「……」

257: 2013/11/29(金) 15:45:47 ID:5iCQG3ew
勇者「まさか、あいつが指揮官なのか?」

勇者「だとしたら、かなりのやり手だぞ」

巨大猫「……」

勇者「あの巨大猫、一体何者だ?」

勇者「あいつは、他人すら操る程の力の持ち主なのか?」

巨大猫「……」

ヒュン、スタッ……

ダッ……

勇者「……」ハッ

クルッ、キ----ン……

258: 2013/11/29(金) 15:46:05 ID:5iCQG3ew
勇者「くっ……」ギリギリ

リザードマン「……」ギリギリ

勇者「……」ギリギリ

リザードマン「……」ギリギリ

バン、ヒョイ……

スタッ、スタッ……

勇者「……」

リザードマン「……」

ヒュン、スタッ、スタッ……

ヒュン、スタッ、スタッ……

259: 2013/11/29(金) 15:46:17 ID:5iCQG3ew
勇者(くっ、今度はリザードマンか……)

勇者(それも、五体もいやがる……)

勇者(巨大猫の話では、この辺のモンスターの九割は駆逐されたはずだ……)

勇者(それなのに、何故こんなにもいる?……)

リザードマン「……」ジリジリ

勇者(まさか、また騙されているのか?……)

勇者(どこへ行っても、俺の扱いはこんな感じなのか?……)

勇者(いい加減、そろそろ鬱陶しくもなってきたな……)

勇者(あいつら、本当に今度会ったら叩き斬ってやる!)

リザードマン「……」ダッ

260: 2013/11/29(金) 15:46:29 ID:5iCQG3ew
キンキン、キンキン……

キンキン、キンキン……

勇者「てやっ!」ブン

ズバッ、ズバッ……

リザードマン「ぐっ!?」プシューーッ

ヒュンヒュンヒュンヒュン……

勇者「……」サッ

勇者「といやっ!」ブン

リザードマン2「ぐあっ!?」プシューーッ

バタッ、バタッ……

261: 2013/11/29(金) 15:46:42 ID:5iCQG3ew
敵騎士「ちっ、外したか!」

敵騎士「お望み通り、出てきてやったぞ!」

勇者「……」

敵騎士「勇者。これで最後だ!」

敵騎士「貴様には、ここで氏んで貰う!」

勇者「なっ!?」

ダダダダッ、ダダダダッ……

ダダダダッ、ダダダダッ……

ピタピタピタピタッ、ピタピタピタピタッ……

スッ、スララララララララァン……

262: 2013/11/29(金) 15:46:54 ID:5iCQG3ew
勇者(くっ、また出たか……)

勇者(一体、これのどこが九割撃破なんだ!?)

勇者(相変わらず、こいつら腕が衰えてねぇ……)

勇者(前に戦った時と、全く同じ強さを保ってやがる……)

敵兵達「……」

勇者(とりあえず、また雷撃で撃破……)

勇者(いや、雷撃だけでは足りない……)

勇者(こいつら、多分対策とかはしてるだろう……)

勇者(じゃなきゃ、ここまで俺の事を襲ってきたりはしない……)

リザードマン「……」ジリジリ

263: 2013/11/29(金) 15:49:08 ID:5iCQG3ew
敵騎士「全隊、突撃!」

敵騎士「敵は連戦で体力を消耗している!」

敵騎士「掛かれ!」

敵兵達「お――――っ!」ダッ

リザードマン達「……」ダッ

勇者「くっ……」

リザードマン3「……」ブン

勇者「……」キン

リザードマン4「……」ブン

勇者「……」キン

264: 2013/11/29(金) 15:49:18 ID:5iCQG3ew
リザードマン5「……」ブン

勇者「……」サッ

リザードマン3「……」ブン

勇者「うわっ!?」キン

ズルッ、ステン……

リザードマン3「……」ブン

勇者「おっと」サッ

リザードマン4「……」ブン

勇者「うわっ……」ブン

ズバッ、プシューーッ……

265: 2013/11/29(金) 15:49:49 ID:5iCQG3ew
敵騎士「己れ! 勇者、ちょこまかと!」

敵騎士「さっさと氏ね! 早く氏ね!」

敵騎士「それで、魔王様に許しを請え!」ムカッ

リザードマン3「……」プシューーッ

勇者「……」ムクッ

スッ、バタッ……

敵兵達「……」

リザードマン4「……」ジリジリ

リザードマン5「……」ジリジリ

勇者「……」スッ

266: 2013/11/29(金) 15:50:00 ID:5iCQG3ew
リザードマン4「……」ダッ

リザードマン5「……」ダッ

勇者「……」サッ

ドシ--------ン!

リザードマン4「ぐっ!?」

リザードマン5「ぐえっ!?」

スッ、スタッ……

勇者「はっ!」ブワッ

バチバチバチバチッ、バチバチバチバチッ……

リザードマン達「ぐええええええええ――――――――っ!?」

267: 2013/11/29(金) 15:50:13 ID:5iCQG3ew
フラフラッ、バタバタッ……

フラフラッ、バタバタッ……

リザードマン達「……」プスプス

氏体の山「……」プスプス

勇者「お前ら、まだやるか?」

勇者「逃げるんなら、今の内だぞ!」

敵騎士「……」チラッ

敵兵達「……」フリフリ

敵騎士「……」スチャ

敵兵達「……」コクン

268: 2013/11/29(金) 15:50:25 ID:5iCQG3ew
敵騎士「勇者。残念だが、我々は退かん!」

敵騎士「貴様が氏ぬまで、我々は絶対に退かんのだ!」

敵兵達「……」ジリジリ

敵騎士「勇者。本当に、ここで氏ね!」

敵騎士「貴様をこの手で頃すまで、我々は絶対に退かんぞ!」

敵兵達「……」ダッ

勇者「ちっ……」スチャ

ダダダダッ、ダダダダッ……

ダダダダッ、ダダダダッ……

勇者「はっ!」スッ、ブワッ!

269: 2013/11/29(金) 15:50:57 ID:5iCQG3ew
バチバチバチバチッ、バチバチバチバチッ……

バチバチバチバチッ、バチバチバチバチッ……

敵兵達「ぐああああああああ――――――――っ!?」

バチバチバチバチッ、バチバチバチバチッ……

バチバチバチバチッ、バチバチバチバチッ……

敵兵達「ぐああああああああ――――――――っ!?」

勇者「……」スッ

敵騎士「……」スチャ

バタバタバタバタッ、バタバタバタバタッ……

バタバタバタバタッ、バタバタバタバタッ……

270: 2013/11/29(金) 15:51:08 ID:5iCQG3ew
敵騎士「結局、残ったのは私だけか……」

敵騎士「だが、貴様はかなり体力を消耗しているな……」

勇者「はぁ、はぁ、はぁ……」

敵騎士「勇者。このまま一騎討ちだ!」

敵騎士「次こそ、私の手で魔王様の敵を討ってくれる!」

勇者「はぁ、はぁ、はぁ……」スチャ

敵騎士「……」ダッ

勇者「!?」スチャ

キンキン、キンキン……

キンキン、キンキン……

271: 2013/11/29(金) 15:52:00 ID:5iCQG3ew
敵騎士「勇者。早く氏ね!」

敵騎士「いい加減に、早く氏にやがれ!」ブンブン

勇者「……」キンキン

敵騎士「貴様、何故そこまで生きる事に拘る!」

敵騎士「貴様の役目は、もう既に終わったはずだ!」ブンブン

勇者「……」キンキン

敵騎士「まぁ、それももう聞く必要すらない!」

敵騎士「貴様は、今からもう氏ぬんだからな!」ブンブン

勇者「……」キンキン

巨大猫「……」ジーーッ

272: 2013/11/29(金) 15:54:12 ID:5iCQG3ew
~とある平原・街道(巨大猫側)~

キンキン、キンキン……

キンキン、キンキン……

巨大猫「……」

キンキン、キンキン……

キンキン、キンキン……

巨大猫「……」

ヒュルヒュルヒュルヒュル、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

スッ、スタッ……

魔法使い「……」

273: 2013/11/29(金) 15:54:26 ID:5iCQG3ew
魔法使い「あっ、勇者が何か戦ってる」

魔法使い「あいつ、何でまだこんな所で戦っているの?」

巨大猫「……」クルッ

魔法使い「あなた、確か魔術師が世話してる巨大猫よね?」

魔法使い「私、ちょっと勇者の様子を見に来たんだけど」

巨大猫「ああ、そうじゃが」

キンキン、キンキン……

キンキン、キンキン……

魔法使い「それで、何であいつは戦っている訳?」

魔法使い「あいつ、実は結構強かったとか?」

274: 2013/11/29(金) 15:54:39 ID:5iCQG3ew
巨大猫「うむ。そうじゃよ!」

巨大猫「あ奴、腕だけは確かの様じゃ!」

キンキン、キンキン……

巨大猫「ちなみに、その辺に転がっている氏体の山も全て勇者が!」

巨大猫「あ奴、もう既に百人近くは斬っておるぞ!」

魔法使い「!?」ガーーン

キンキン、キンキン……

キンキン、キンキン……

ヒュルヒュルヒュルヒュル、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

スッ、スタッ……

275: 2013/11/29(金) 15:55:09 ID:5iCQG3ew
魔術師「巨大猫。お待たせ」

魔術師「勇者様の方は、どうなっているの?」

魔法使い「……」クルッ

巨大猫「ついさっきから、モンスター相手に百人斬りじゃ!」

巨大猫「本当に、あ奴腕だけは確かな様じゃな!」

魔術師「ええ、そうみたいね」

魔術師「……え?」

巨大猫「……」

魔法使い「……」

魔術師「!?」ガーーン

276: 2013/11/29(金) 15:55:28 ID:5iCQG3ew
魔法使い「あいつ、結構強かったんだ……」

魔法使い「私達の前では、そんな素振りは全く見せてこなかったのに……」

キンキン、キンキン……

魔法使い「私、今会ったら犯されるのかしら?……」

魔法使い「いや、それだけは絶対に勘弁してほしい!」ゾワッ

魔術師「……」ビクッ

キンキン、キンキン……

巨大猫「それで、そなた達は何しに来た?」

巨大猫「今の勇者、かなり気が立っておるぞ」

ブン、ズバッ……

277: 2013/11/29(金) 15:55:41 ID:5iCQG3ew
巨大猫「おっ、今の一発入ったな!」

巨大猫「後は、もう一撃を受けたら敵は倒れる!」

巨大猫「じゃが、まだ例のハーフエルフ達は姿を見せとらん!」

巨大猫「一体、どこで何をしているのやら」

勇者「……」スッ、ブワッ

バチバチバチバチッ……

敵騎士「ぐわああああああああ――――――――っ!?」

バチバチバチバチッ……

敵騎士「ぐわああああああああ――――――――っ!?」

フラッ、バタッ……

278: 2013/11/29(金) 15:56:14 ID:5iCQG3ew
巨大猫「むっ? 終わったか」

巨大猫「あ奴、かなりやりおるな」

魔法使い「……」ビクビクッ

巨大猫「とりあえず、我らも合流するぞ」

巨大猫「今のそなた達は、勇者に用があるみたいじゃからな」

魔術師「……」ビクビクッ

スッ、ムクッ……

ノビーーーーッ、スタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

279: 2013/11/29(金) 17:50:44 ID:5iCQG3ew
~とある平原・街道~

スッ、カシャン……

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

スッ、ストン……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ……

280: 2013/11/29(金) 17:50:56 ID:5iCQG3ew
巨大猫「勇者。ご苦労じゃった」

巨大猫「そなたのおかげで、大分片付いた」

巨大猫「たった今、魔術師と魔法使いがここに着いてな」

巨大猫「今のそなたに、何か用があってきたらしい」

勇者「……」

巨大猫「それで、今のそなたはどう思う?」

巨大猫「そなたは、モンスターと戦いたかったのじゃろ?」

巨大猫「望み通りに、そなたはモンスターと戦う事が出来た」

巨大猫「まだ、そなたはこれからも戦わねばならん」

勇者「……」

281: 2013/11/29(金) 17:51:28 ID:5iCQG3ew
巨大猫「勇者。妾の話は聞いておるか?」

巨大猫「疲れきっている所悪いが、まだそなたには戦って貰わなければ困る」

巨大猫「次は、この道をまっすぐ行った先にある川じゃ」

巨大猫「そこに、妾達が依頼した多数のハーフエルフ達がおる」

勇者「……」

巨大猫「勇者。そなた、まだ戦えるか?」

巨大猫「無理なら、正直に申し出てほしい」

勇者「……」フリフリ

巨大猫「なら、このままそなたには引き続き戦って貰う」

巨大猫「その前に、妾達の背後におる魔術師達の話を聞こうか」

282: 2013/11/29(金) 17:51:42 ID:5iCQG3ew
勇者「それで、魔術師達の用件とは?」

勇者「何故、あいつらはあんなに離れているんだ?」

巨大猫「さぁ、解らぬ」

勇者「それに、傭兵隊はどうした?」

勇者「また、皆して俺の事をバカにしているのか?」

巨大猫「いや違う」

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

勇者「ん?」

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ピタッ、ピタッ……

283: 2013/11/29(金) 17:51:55 ID:5iCQG3ew
魔術師「お疲れ様です。勇者様!」

魔術師「さすがは、魔王を討ち取ったお方!」

魔術師「本当に、見事な戦い振りでした!」

勇者「……」

魔法使い「勇者。お疲れ様!」

魔法使い「早速、私達が仕入れた情報を勇者に伝えるわよ!」

魔法使い「なんか、ダークエルフの軍勢が隣国に上陸したみたい!」

魔法使い「もう既に、隣国はダークエルフの軍勢によって制圧された後!」

魔法使い「一旦、傭兵隊は平原を抜けて町にまで撤退する事になったみたいよ!」

勇者「!?」ガーーン

284: 2013/11/29(金) 17:52:06 ID:5iCQG3ew
魔術師「勇者様。本当に、申し訳ございません!」

魔術師「こればっかりは、本当に仕方なかったんです!」ペコッ

勇者「……」

魔術師「ですから、私達の事を犯さないで下さいね!」

魔術師「私、まだ犯されたくはないです!」

魔術師「せめて、初めては自身が本気で愛した人以外は絶対に嫌なんです!」

勇者(……何語?)

魔法使い「だから、私達には何もしないでね!」

魔法使い「もし仮に、手を出すのなら女にだけにしてね!」

勇者「……は?」ギロッ

285: 2013/11/29(金) 17:52:38 ID:5iCQG3ew
魔法使い「ゆっ、勇者。どうしたのよ?……」

魔法使い「今のあんた、かなり迫力があるんだけど……」ビクッ

勇者「……」ジーーッ

魔法使い「今のあんた、かなり血塗られているし……」

魔法使い「出来れば、本当に何もしないでね……」ビクビクッ

勇者「……」ジーーッ

スッ、ムクッ……

魔法使い「……」ビクッ

魔術師「……」ビクッ

勇者「……」ジーーッ

286: 2013/11/29(金) 17:54:44 ID:5iCQG3ew
勇者「お前、何か勘違いしてないか?」

勇者「言っとくが、俺は女以外に手を出した覚えはないが!」

魔法使い「!?」

魔術師「!?」

巨大猫「……」

勇者「お前、そんなに犯されたいのか?」

勇者「その時は、ゆっくりとお前達二人の事を存分に可愛がってやるよ!」ニヤリ

魔法使い「!?」ガーーン

魔術師「!?」ガーーン

フララッ、ドサドサッ……

287: 2013/11/29(金) 17:54:57 ID:5iCQG3ew
勇者「ん? お前ら何やってんだ?」

勇者「今の、ただの冗談だったんだが」

魔法使い「……」ビクビクッ

魔術師「……」ビクビクッ

勇者「ちなみに、俺はどこぞの馬鹿師匠達みたいにレ〇プなんてしてない!」

勇者「それについては、完全な潔白だ!」

勇者「だから、そんな風にわざわざ怯え出す必要もない!」

勇者「と言うか尻餅ついて怯え出す程、今の俺の事がそんなに怖いのか?」

魔法使い「……」ビクビクッ

魔術師「……」ビクビクッ

288: 2013/11/29(金) 17:55:12 ID:5iCQG3ew
巨大猫「勇者。そなた、何もせんのだな?」

巨大猫「この二人の女達に、そなたは手を掛けんのだな?」

勇者「ああ、そうだ」

巨大猫「なら、今のそなたの血を洗い直して来い」

巨大猫「ここを真っ直ぐ行った先に、大きな川がある」

巨大猫「そこは、今となってはハーフエルフによって占領された」

巨大猫「だから、そなたは今から川に向かうが良い」

勇者「ああ、了解した」

魔法使い「……」ビクビクッ

魔術師「……」ビクビクッ

289: 2013/11/29(金) 17:55:26 ID:5iCQG3ew
勇者「では、俺はもう行くぞ」

勇者「今の俺達には、あまり時間はないみたいだからな」

巨大猫「ああ、了解した」

魔法使い「ゆっ、勇者……」

魔法使い「せめて、昨日渡した薬を持って行きなさいよ……」

魔法使い「あんた、あれ昨日全部使いきっていたんでしょ?……」

魔法使い「これから、エルフと戦わなければならないのに……」

魔法使い「それがないと、あんたは不便でしょうが……」スッ

魔術師「ええ、そうですね……」ビクビクッ

勇者「……」

290: 2013/11/29(金) 17:56:33 ID:5iCQG3ew
スッ、ストッ

スッ、ギュッ……

勇者「では、これは頂いていく」

勇者「お前達も、気を付けてな」ニッコリ

魔法使い「……」コクン

魔術師「ええ、気を付けて……」

巨大猫「……」

スッ、ムクッ……

クルッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

291: 2013/11/29(金) 17:56:46 ID:5iCQG3ew
巨大猫「うむ。勇者は行ったな」

巨大猫「後は、迫り来るハーフエルフの軍勢を倒してきて貰うのを待つだけじゃ」

魔法使い「……」ビクビクッ

魔術師「……」ビクビクッ

巨大猫「そなたら、まだ怯えておるのか?」

巨大猫「もう、勇者はこの道を真っ直ぐ川の方にまで向かったのに」

魔法使い「……」ビクビクッ

魔術師「……」ビクビクッ

巨大猫「とりあえず、妾は後を着けるぞ」

巨大猫「そなた達は、もう町に戻っておれ」

292: 2013/11/29(金) 17:56:57 ID:5iCQG3ew
魔術師「ええ、そうさせて貰うわ……」

魔術師「今の私達、本気でヤバかったから……」ビクビクッ

魔法使い「……」コクンコクン

巨大猫「なら、早いとこ町に戻れ」

巨大猫「特に、そなたにはまだまだやる事があるのじゃろ?」

魔術師「ええ、まあね……」ビクビクッ

魔法使い「と、とりあえず、私達は先に戻るね……」

魔法使い「巨大猫も、道中を気を付けてね」ビクビクッ

巨大猫「ああ、了解した」

魔術師「また、今度ね……」ビクビクッ

293: 2013/11/29(金) 17:57:09 ID:5iCQG3ew
クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

魔法使い「……」ビクビクッ

魔術師「……」ビクビクッ

魔法使い「……」ビクビクッ

魔術師「……」ビクビクッ

スッ、ヌポッ……

プシューーッ、プシューーッ……

プシューーッ、プシューーッ……

シューーーーーーーーッ、シュン……

294: 2013/11/30(土) 19:45:08 ID:NXBzM35w
~とある平原・川~

その日の昼――

勇者(ここが、例の川か)

勇者(巨大猫の言う通りに、ハーフエルフ達がいたな)

ハーフエルフの氏体「……」

勇者(それに、その近くには人間の氏体もある)

勇者(皆、剣による傷等が原因で氏んでいる様だ)

山賊達の氏体「……」

勇者「……」

女の氏体「……」

295: 2013/11/30(土) 19:45:23 ID:NXBzM35w
勇者(だが、これはどう言う事だ?)

勇者(俺の来る前に、何故かハーフエルフが全て始末されていた)

勇者(おまけに、山賊と思われる氏体が六体ある)

勇者(後一人は、若い女の様だな)

ハーフエルフの氏体「……」

勇者(なら、誰がこいつらをやった?)

勇者(俺以外にも、ハーフエルフを討伐する者がいたと言う訳か?)

勇者(しかし、この山賊達の氏体は厄介だな)

勇者(下手したら、俺が疑われかねない)

山賊達の氏体「……」

296: 2013/11/30(土) 19:45:42 ID:NXBzM35w
「む? この氏体の山は何じゃ?」

「そなた、もう既にハーフエルフ達を退治したのか?」

勇者「……」クルッ

「それにしては、状況が異なる」

「ハーフエルフだけでは飽きたらずに、とうとう人間まで殺めてしもうたか」

勇者「……」

スッ、スタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ……

297: 2013/11/30(土) 19:45:57 ID:NXBzM35w
巨大猫「勇者。これはどう言う事じゃ?」

巨大猫「そなた、何故人間まで巻き込んでおる?」

巨大猫「今のそなた、かなり立場が悪いぞ!」

巨大猫「この山賊達の氏体は、全てそなたが作りおったのか?」

勇者「いや違う」

巨大猫「なら、これは誰が作った?」

巨大猫「妾は、ハーフエルフだけを討伐しろと言うたではないか!」

巨大猫「一体、そなたは何をしておる?」

巨大猫「これでは、まるでただの殺戮者じゃぞ!」

勇者「……」

298: 2013/11/30(土) 19:46:11 ID:NXBzM35w
巨大猫「勇者。早く説明をせよ!」

巨大猫「これは、一体どう言う事なのじゃ?」

巨大猫「そなた、もう既に人としての心を捨てたのか?」

巨大猫「人としての心を失うたから、こないな事が出来たのか?」

勇者「……」

巨大猫「勇者。早く弁解をしてみよ!」

巨大猫「そうしなければ、そなたの罪となる!」

巨大猫「まだ、ここは立ち入り禁止区域じゃ!」

巨大猫「これが公になれば、そなたの悪評が更に流れてしまう事となるぞ!」

勇者「!?」ガーーン

299: 2013/11/30(土) 19:46:24 ID:NXBzM35w
「あの、それについては大丈夫ですよ」

「この方、何も悪い事なんてしてませんから」

勇者「え?」

「この方、ついさっきここに着いたばかりなんです!」

「私達、ちゃんと見てましたから!」

勇者「……」クルッ

巨大猫「む? 誰じゃ?」

ヒュルヒュルヒュルヒュル、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

ヒュルヒュルヒュルヒュル、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

スッ、スタッ……

300: 2013/11/30(土) 19:46:46 ID:NXBzM35w
ダダダダダダダダッ、ダダダダダダダダッ……

ダダダダダダダダッ、ダダダダダダダダッ……

ピタタタタタタタタッ、ピタタタタタタタタッ……

勇者「……」

スッ、スチャ……

スララララララララァン、スララララララララァン……

スララララララララァン、スララララララララァン……

勇者「……」

スチャ、スラァン……

半エルフ兵達「……」

301: 2013/11/30(土) 19:47:21 ID:NXBzM35w
エルフ女侯爵「久しぶりね。巨大猫」

エルフ女侯爵「こうして、あんたと会うのは何年振りだったかしら?」

エルフ女侯爵「まさか、あんたが勇者に肩入れしてるとはね」

エルフ女侯爵「一体、どう言う風の吹き回しなのかしら?」ニッコリ

勇者「……」

巨大猫「確か、かれこれ23年振りじゃったかな?」

巨大猫「そなた、よくあの戦いに生き残った」

巨大猫「今の妾は、ちょっとした訳有りの身」

巨大猫「じゃから、今の妾は人間達に力を貸しておるのじゃ」

勇者「……」

302: 2013/11/30(土) 19:47:33 ID:NXBzM35w
エルフ女侯爵「そう。そうなの」

エルフ女侯爵「それで、今のあんたは勇者と一緒にいるの?」

エルフ女侯爵「けど、私が聞いてた勇者の人相とはかなり違わない?」

エルフ女侯爵「こいつ、本当にあのヘタレ野郎の息子なの?」

巨大猫「ああ、そうじゃが!」

勇者「……」イラッ

エルフ女侯爵「……」

巨大猫「それで、そなたは今からどうするのじゃ?」

巨大猫「まさかとは思うが、ここで一戦交えるか?」

勇者「……」

303: 2013/11/30(土) 19:47:52 ID:NXBzM35w
エルフ女侯爵「それについては、今そこにいる勇者次第よ!」

エルフ女侯爵「私、今日は勇者と戦いに来た訳じゃない!」

勇者「何?」

巨大猫「なら、一体そなたは何しに来た?」

巨大猫「このまま、兵を率いてXXX王国に戦を仕掛けるのか?」

エルフ女侯爵「ええ、そうよ!」ニッコリ

勇者「……」ギリッ

巨大猫「じゃが、それはすぐには出来ぬぞ!」

巨大猫「今のXXX王国には、万全の対策が施されておる!」

エルフ女侯爵「うん。それで?」ニコニコ

304: 2013/11/30(土) 19:50:04 ID:NXBzM35w
巨大猫「そなた、まだ分からないのか?」

巨大猫「このまま、エルフが人間を滅ぼしたら世界のバランスが崩れる!」

巨大猫「そなたの怒りは、妾とて分からないでもない!」

巨大猫「今そなたがしてしまっている事については、ただの一方的な侵略に他ならないのじゃぞ!」

勇者「……」

巨大猫「じゃから、そなたも今すぐに兵を退くのじゃ!」

巨大猫「このままでは、本当に世界のバランスが大きく崩れる!」

巨大猫「今の妾とて、今のそなた同様に人間が憎い!」

巨大猫「本当に、このままじゃと取り返しのつかない事になるぞ!」

勇者「……」

305: 2013/11/30(土) 19:50:26 ID:NXBzM35w
エルフ女侯爵「だから、私達エルフが人間を滅ぼすのよ!」

エルフ女侯爵「それが、何が悪いって言うの?」

エルフ女侯爵「あんたとて、本当は分かってるでしょ?」

エルフ女侯爵「今まで、人間がしてきた事についてを!」

巨大猫「……」

エルフ女侯爵「これまで、私達エルフは人間達に酷い目に遭わされてきた!」

エルフ女侯爵「だから、私はエルフと名の付く種族の為に立ち上がったのよ!」

エルフ女侯爵「人間こそ、この世界の中では有害でしかない!」

エルフ女侯爵「特に、私達エルフ族の事を奴隷にしようとしている人間達についてはね!」

巨大猫「……」

306: 2013/11/30(土) 19:50:37 ID:NXBzM35w
勇者「お前、本当にそんな事が出来ると思っているのか?」

勇者「ここは、俺が必ず食い止める!」

勇者「お前、以前から噂に聞く例のハーフエルフだな?」

勇者「残念だが、お前の野望もここまでた!」

エルフ女侯爵「……」

巨大猫「勇者。気を付けよ!」

巨大猫「女侯爵XXXXXXは、かなり強いぞ!」

巨大猫「そなたの父も、こ奴には勝てなかった!」

巨大猫「今のこ奴は、格段と以前よりも力が増しておる!」

勇者「何!?」

307: 2013/11/30(土) 19:50:58 ID:NXBzM35w
エルフ女侯爵「勇者。そこを退いてくれる?」

エルフ女侯爵「まぁ、退いてくれなくても別の道を通れば済む話なんだけど」

エルフ女侯爵「あんた、そんな血塗られた姿で戦えるの?」

エルフ女侯爵「一回、城下町にまで戻って装備を整えてきた方が良いんじゃない?」

勇者「余計なお世話だ!」

巨大猫「うむ。そうじゃ!」

エルフ女侯爵「なら、ここであんたには氏んで貰うわ!」

エルフ女侯爵「勇者。ここで、私と一騎討ちよ!」

エルフ女侯爵「それなら、あんたとて文句はないはず!」

エルフ女侯爵「後の残りは、そこで待機していなさい!」

308: 2013/11/30(土) 19:51:12 ID:NXBzM35w
ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ピタッ、スチャ……

勇者「……」

エルフ女侯爵「……」

巨大猫「では、これより妾が審判を務める!」

巨大猫「始め!」

勇者「……」ダッ

エルフ女侯爵「……」ダッ

ダダダダダダダダッ、ダダダダダダダダッ……

309: 2013/11/30(土) 19:51:25 ID:NXBzM35w
キンキン、キンキン……

キンキン、キンキン……

勇者「……」

エルフ女侯爵「……」

キンキン、キンキン……

キンキン、キンキン……

勇者「てやっ!」ブン

エルフ女侯爵「……」サッ

スッ、ドゴッ!

勇者「ぐわっ!?」ズシン

310: 2013/11/30(土) 19:51:37 ID:NXBzM35w
スッ、スタッ……

クルッ、スチャ……

勇者「うぐぐっ……」

エルフ女侯爵「……」

勇者「うぐぐっ……」

エルフ女侯爵「……」

巨大猫「勇者。立てるか?」

巨大猫「まだ、開始して間もないが」

勇者「ううっ、くそっ……」イテテッ

エルフ女侯爵「……」

311: 2013/11/30(土) 19:51:50 ID:NXBzM35w
エルフ女侯爵「ハーフエルフ傭兵隊、戦闘態勢解除!」

エルフ女侯爵「全隊、勇者を無視して行軍を開始しなさい!」

エルフ女侯爵「巨大猫。これ、私の勝ちよね?」

エルフ女侯爵「今の勇者、かなり苦しそうなんだけど」

巨大猫「ああ、そうみたいじゃな」

勇者「ううううっ……」

スッ、カシャシャシャシャシャシャシャシャシャン……

カシャシャシャシャシャシャシャシャシャン……

巨大猫「やはり、鎖帷子では問題があったか」

巨大猫「鎖帷子は、衝撃には弱いからな」

312: 2013/11/30(土) 19:52:02 ID:NXBzM35w
エルフ女侯爵「勇者。私、言ったわよね?」

エルフ女侯爵「城下町に戻って、装備を整えた方が良いって!」

エルフ女侯爵「鎖帷子の欠点は、殴打と刺突!」

エルフ女侯爵「この二つは、鎖帷子に対してはかなり有効!」

エルフ女侯爵「私、今実際に杖を持っているんだし、それを鈍器代わりにされるって想像出来なかった訳?」

勇者「うぐぐっ……」

クルッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

巨大猫「勇者。ハーフエルフ達が行軍を開始した!」

巨大猫「このままだと、本当に大変な事になるぞ!」

313: 2013/11/30(土) 19:52:15 ID:NXBzM35w
巨大猫「勇者、何をしておる!」

巨大猫「早く立たぬか!」

巨大猫「そなたが原因で、救えぬ命がまた増えるのじゃぞ!」

巨大猫「下手したら、本日中に城下町までに達してしまう!」

勇者「くそっ……」

エルフ女侯爵「まぁ、どの道大丈夫でしょ!」

エルフ女侯爵「どうせ、魔導師と老剣士が城下町にいるんだし!」

エルフ女侯爵「だから、このまま一緒にエルフの里まで来ない?」

エルフ女侯爵「明日の朝、XXX王国に対して総攻撃を仕掛けるから!」

勇者「!?」ガーーン

314: 2013/11/30(土) 19:54:04 ID:NXBzM35w
巨大猫「XXXXXX。そなた、考え直してはくれぬのか?」

巨大猫「このまま、本当に城下町にまで攻め込むのか?」

エルフ女侯爵「ええ、そうよ!」ニッコリ

巨大猫「出来れば、そなたには今すぐ考え直して貰いたい!」

巨大猫「今のそなたは、まるで魔王そのものじゃ!」

巨大猫「いつか必ず、痛い目に遭うぞ!」

エルフ女侯爵「うん。そうかもね!」ニコニコ

巨大猫「……」

勇者「お前、一体どう言うつもりだ?……」

勇者「何故、俺なんかをエルフの里にまで連れていく?……」

315: 2013/11/30(土) 19:54:16 ID:NXBzM35w
エルフ女侯爵「だって、あんたエルフの里に向かうんでしょ?」

エルフ女侯爵「今からだと、転移魔法でも使わないと絶対に間に合わない!」

エルフ女侯爵「だから、今のあんたにもチャンスをあげるの!」

エルフ女侯爵「そうしないと、フェアじゃないでしょ?」

勇者「うぐぐっ……」

エルフ女侯爵「とりあえず、巨大猫も一緒についてきて」

エルフ女侯爵「あんたは、元々私達エルフとは敵対していない」

エルフ女侯爵「と言うか、ケット・シーの割りにはかなりデカくない?」

エルフ女侯爵「あんた、一体どうしたらそんな巨体にまでなってしまうのよ?」

勇者「うぐぐっ……」

316: 2013/11/30(土) 19:54:29 ID:NXBzM35w
巨大猫「妾は、確かに種族的にはケット・シーじゃ」

巨大猫「それでも、あの城下町の人間達からは、ごくごく普通に接しられておる」

巨大猫「元々、妾達ケット・シーは人間達とも共生しておってな」

巨大猫「じゃから、妾は人間達に力を貸しておるのじゃ」

勇者「うぐぐっ……」

巨大猫「のぅ、XXXXXX」

巨大猫「行くなら行くで、早く行くぞ!」

巨大猫「早くせねば、城下町が火の海に包まれる!」

巨大猫「今の妾は、そちらの方が遥かに心配なのじゃ!」

エルフ女侯爵「ええ、そうね」ニッコリ

317: 2013/11/30(土) 19:54:46 ID:NXBzM35w
巨大猫「では、XXXXXX。今から転移魔法を頼む!」

巨大猫「勇者。これより、妾達はエルフの里に向かうぞ!」

巨大猫「そなたのおかげで、要らぬ心配が増えた!」

巨大猫「その責任、しっかりと取って貰うからな!」

勇者「うぐぐっ……」

エルフ女侯爵「……」

巨大猫「……」

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、ピタッ……

318: 2013/11/30(土) 19:55:01 ID:NXBzM35w
エルフ女侯爵「……」ブツブツ

エルフ女侯爵「……」ブツブツ

エルフ女侯爵「……」ブツブツ

エルフ女侯爵「……」ブツブツ

エルフ女侯爵「はっ!」ブワッ

巨大猫「……」

勇者「うぐぐっ……」

プシューーーーッ、プシューーーーッ……

プシューーーーッ、プシューーーーッ……

シューーーーーーーーッ、シュン……

勇者「ここが、エルフの里か……」【中編】

引用: 勇者「ここが、エルフの里か……」