651: 2013/12/19(木) 10:05:47 ID:ri8O29C2

勇者 魔王

~とある城下町・貧困地区~

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ピタタタッ、ピタタタッ……

「おいっ、いたか?」

「いや、いない!」

「くそっ、どこに行った?」

「ハーフエルフの奴等、絶対に許さねぇ!」

「必ず、奴等を殲滅してくれる!」

半エルフ兵長「はぁ、はぁ、はぁ……」
葬送のフリーレン(1) (少年サンデーコミックス)
652: 2013/12/19(木) 10:06:18 ID:ri8O29C2
「皆、絶対にハーフエルフを見つけるんだ!」

「見つけ次第、頃すんだ!」

「あいつらは、俺達と違ってモンスターだ!」

「モンスターならモンスターらしく、俺達に狩られてたら良いんだよ!」

半エルフ兵長「はぁ、はぁ、はぁ……」

「けど、あいつらは一体どこに?」

「全く、奴等の手がかりがねぇ!」

「あいつら、意外にすばしっこいぞ!」

「皆、ハーフエルフには十分注意するんだ!」

半エルフ兵長「はぁ、はぁ、はぁ……」

653: 2013/12/19(木) 10:06:29 ID:ri8O29C2
ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

半エルフ兵長「はぁ、はぁ、はぁ……」

半エルフ兵長「はぁ、はぁ、はぁ……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタタタッ……

スッ、ストッ……

闇エルフ兵長「おいっ、大丈夫か?」

闇エルフ兵長「自力で、歩けるか?」

半エルフ兵長「ああ、大丈夫だ……」

654: 2013/12/19(木) 10:06:41 ID:ri8O29C2
闇エルフ兵長「お前、他の仲間は?」

闇エルフ兵長「他の奴等は、もうやられたのか?」

半エルフ兵長「ああ、まあな……」

闇エルフ兵長「ここからは、俺達の役目だ」

闇エルフ兵長「お前は、すぐそこにある潜入地点で休んでおけ」

半エルフ兵長「ああ、了解した……」

スッ、ムクッ……

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

闇エルフ兵達「……」

655: 2013/12/19(木) 10:06:54 ID:ri8O29C2
闇エルフ兵長「総員。これより、人間達との戦闘に入る!」

闇エルフ兵長「ハーフエルフを見かけたら、速やかに潜入地点にまで援護しろ!」

闇エルフ「敵は、この町にいる人間達全てだ!」

闇エルフ兵長「良いな?」

闇エルフ兵達「はっ!」

闇エルフ兵長「よしっ、皆行くぞ!」

闇エルフ兵長「皆、俺についてくるんだ!」

闇エルフ達「はっ!」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

656: 2013/12/19(木) 10:07:25 ID:ri8O29C2
~とある城下町・職人地区~

戦士「ふぅ、なんとかなったな……」

戦士「この糞食らい、かなり手強かったぜ……」

僧侶「ええ、そうね……」

糞食らい「……」

魔法使い「けど、どうしてこんな場所に糞食らいが……」

魔法使い「この糞食らい、一体どこから来たのよ?……」

戦士「さぁ、知らんな」

僧侶「ええ、そうね」

魔法使い「……」

657: 2013/12/19(木) 10:07:57 ID:ri8O29C2
戦士「とりあえず、まずは一体倒したな」

戦士「他の連中、大丈夫だろうか?」

僧侶「ええ、多分ね」

戦士「しかし、糞食らいってかなりデカイんだな」

戦士「この三本の触手に、三本の足」

戦士「こいつ、体長は絶対に2mは超えてるだろ?」

戦士「こいつの体、結構硬かったからな」

僧侶「ええ、そうね」

魔法使い「……」

糞食らい「……」

658: 2013/12/19(木) 10:08:13 ID:ri8O29C2
ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ピタタタッ……

傭兵「すまん。こっちに、ハーフエルフは来なかったか?」

傭兵「と言うか、何だよ? この生き物?」

戦士「ああ、これか?」

糞食らい「……」

魔法使い「残念だけど、こっちには来てないわ」

魔法使い「私達、これを倒すのに夢中だったからね」

傭兵「ああ、そうか」

659: 2013/12/19(木) 10:08:23 ID:ri8O29C2
傭兵「それで、こいつは一体何なんだ?」

傭兵「こんな生き物、俺見た事ねぇよ」

傭兵2「ああ、そうだな」

戦士「こいつは、ついさっき何故か俺達が倒したばかりの糞食らいだ」

戦士「元々、こいつはゴミや氏体等を食って生活をしてる」

戦士「と言っても、普段は自分達の巣からは出てこないんだが」

戦士「ゴミや氏体だけでなく、新鮮な肉も食うから厄介なんだよ」

傭兵「へぇ、そうなのか……」

傭兵2「かなり、匂うんだな……」

糞食らい「……」

660: 2013/12/19(木) 10:08:34 ID:ri8O29C2
傭兵「とりあえず、ハーフエルフを見かけたらすぐに頃してくれ!」

傭兵「あいつら、何の罪もない民達の事を惨殺をした!」

傭兵「俺達は、まだこの辺を捜索をしてる!」

傭兵「だから、すぐに頃してくれ!」

戦士「ああ、了解した!」

糞食らい「……」

クルッ、スタスタスタッ……

クルッ、スタスタスタッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

661: 2013/12/19(木) 10:19:43 ID:ri8O29C2
~とある城下町・裏通り~

「いや、止めて!」

「お願い、止めて!」

「知るか!」

「殺せ――――っ!」

魔術師「……」キョロキョロ

「いや、止めて!」

「お願い、いやああああ――――っ!」

スッ、グサグサッ……

グサグサッ、グサグサッ……

662: 2013/12/19(木) 10:19:54 ID:ri8O29C2
「皆、やったぞ!」

「俺はまた一人、ハーフエルフをこの手で頃した!」

「これで、もう五人目だ!」

「ううっ、くううっ……」ポタポタッ

「とりあえず、お前血だらけだぞ……」

「今から、服や体を洗ってこい」

「ああ、悪かったな……」

「全くだ」

「……」ガクッ

魔術師「……」ハッ

663: 2013/12/19(木) 10:20:14 ID:ri8O29C2
「とりあえず、ここで休憩だ」

「お前の顔、本当に血だらけだな」

「ああ、まあな」

「皆、後で祝杯でもあげようぜ」

「今の俺達、とんだ英雄なんだし」

「今後100年近くは、俺達の話で持ちきりだと思うからな」

「賛成――――っ!」

「俺も!」

「ああ、後でな!」

魔術師「……」

664: 2013/12/19(木) 10:20:25 ID:ri8O29C2
魔術師(皆、結構えげつない事になってるんだなぁ……)

魔術師(至る所に、氏体の山が築かれている……)

魔術師(これ、本当に大丈夫なの?……)

魔術師(私達、このままどうなっちゃうの?……)

氏体の山「……」

魔術師(ああ、どうしよう?……)

魔術師(本当に、どうしよう?……)

魔術師(早く、ここから逃げないと……)

魔術師(早く、この町から逃げないと……)

氏体の山「……」

665: 2013/12/19(木) 10:20:38 ID:ri8O29C2
魔術師(確か、今回ここを攻めているのって、例のハーフエルフなのよね?……)

魔術師(その人、かなり執念深いって聞いてるし……)

魔術師(いつ、私まで殺されるかが全く分からない……)

魔術師(今さっきの人みたい、絶対にあんな風にはなりたくはない……)

クルッ、スタスタスタッ……

魔術師(とりあえず、魔法使いさんとこに合流をしよう……)

魔術師(魔法使いさん達、まだこの町のどこかにいるはず)

魔術師(私、まだ氏にたくはないし……)

魔術師(こんな場所では、絶対に氏にたくはないからね……)

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

666: 2013/12/19(木) 10:20:49 ID:ri8O29C2
~とある城下町・中央広場~

傭兵隊長「おいっ、今の冗談だろ?」

傭兵隊長「あの爺さん。俺達の事を信用してなかったのか?」

密偵「ああ、そうだ」

傭兵隊長「おいおい、マジかよ!?」

傭兵隊長「あの爺さん。俺達の事を、そんな風に思ったのか!?」

傭兵隊長「さすがは、かつて実の父からからは見捨てられていただけはある!」

傭兵隊長「あの爺さんの方が、俺達よりは遥かに信用出来んだろ?」

傭兵隊長「それで、全く魔法通信が使えなかったのか?」

密偵「ああ、そうだ」

667: 2013/12/19(木) 10:21:01 ID:ri8O29C2
傭兵隊長「くそっ、あの糞爺!」

傭兵隊長「今から、俺が直接抗議に行ってやる!」

傭兵隊長「元々、爺さんの方が余所者だろ!」

傭兵隊長「俺達は、生まれも育ちもこの国なんだよ!」ムカッ

密偵「ああ、そうだな」コクン

傭兵隊長「とりあえず、爺さんはどこだ?」

傭兵隊長「まだ、城門の方にいるのか?」ムカムカッ

密偵「ああ、そうだ」

傭兵隊長「お前、ついさっきから『ああ、そうだ』しか言ってえねえだろ?」

傭兵隊長「お前のその口は、それ以外に何か言えねぇのか?」ムカムカッ

668: 2013/12/19(木) 10:21:34 ID:ri8O29C2
密偵「隊長。ここは、先にハーフエルフ達の方を叩こう!」

密偵「今は、あの爺さん達と対立をしている暇はない!」

傭兵隊長「何?」ギロッ

密偵「あの爺さん。俺達の事を、最初から守るつもりなんて更々ないぞ!」

密偵「ここへ来たのは、例のハーフエルフへの復讐の為だ!」

密偵「俺達は、まんまとそれに乗せられた!」

密偵「そうじゃなきゃ、ここの民達に犠牲が出ているのに、兵を出し渋ったりはしないだろ!」

傭兵隊長「くっ……」ムカムカッ

密偵「……」

傭兵隊長「……」ムカムカッ

669: 2013/12/19(木) 10:21:45 ID:ri8O29C2
傭兵隊長「なら、俺達は最初から捨て駒か?」

傭兵隊長「あの爺さん。俺達の国が無くなろうがどうでも良いのか?」ムカムカッ

密偵「ああ、確実にな!」

傭兵隊長「くそっ、まんまとしてやられた!」

傭兵隊長「あの爺さん達、とんだ極悪人だ!」

傭兵隊長「密偵、この件をすぐに糞国王に伝えろ!」

傭兵隊長「あの爺さん。ひょっとしたら、大臣様の件にも絡んでる可能性がある!」

傭兵隊長「下手したら、本当にこの国が滅びるぞ!」

傭兵隊長「あの爺さん達の所為でそうなる前に、早くこの件を城に知らせるんだ!」ムカムカッ

密偵「おう!」

670: 2013/12/19(木) 10:21:55 ID:ri8O29C2
密偵「では、俺はこれで失礼する!」

密偵「隊長も、気を付けてな!」

傭兵隊長「ああ、お前もな!」

密偵「……」ビシッ

傭兵隊長「……」ビシッ

クルッ、スタタタタタッ……

スタタタタタッ、スタタタタタッ……

スチャ、スラァン……

傭兵隊長(とりあえず、あの爺さん達よりも先にハーフエルフの連中を始末するか……)

傭兵隊長(あいつら、あの爺さん以上に厄介だからな……)

671: 2013/12/19(木) 10:25:25 ID:ri8O29C2
~とある城下町・表通り~

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

少女「……」

使い魔「……」

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

少女「行ったみたいだね」

少女「あの人達、一体誰だったのかな?」

使い魔「……」

672: 2013/12/19(木) 10:25:56 ID:ri8O29C2
少女「ねぇ、お姉ちゃん。どこに行っちゃったの?」

少女「私、今日は一度もお姉ちゃんとはあってないよ」

少女「このままだと、私達まで被害に遭いそうだね」

少女「私達、何も悪い事なんかしてないのに」ウルッ

使い魔「……」

少女「一体、どうしてこうなったんだろうね?」

少女「あの人達、どうして私達の住む町を攻めてくるの?」

少女「私、もしかしたらここで氏んじゃうかもしれない」

少女「出来れば、そうなる前に早くここを出たいなぁ」ウルウルッ

使い魔「……」

673: 2013/12/19(木) 10:26:08 ID:ri8O29C2
スタタタタタッ、スタタタタタッ……

スタタタタタッ、スタタタタタッ……

少女「……」ウルウルッ

使い魔「……」

スタタタタタッ、スタタタタタッ……

スタタタタタッ、スタタタタタッ……

ピタタタッ、ピタタタッ……

戦士「おいっ、お前生きてるか?」

戦士「お前、もしかして親とはぐれたのか?」

少女「え?」ウルウルッ

674: 2013/12/19(木) 10:26:39 ID:ri8O29C2
少女「お兄ちゃん達、誰?」

少女「敵と味方、一体どっちなの?」

使い魔「……」ギロッ

戦士「俺達は、傭兵隊に協力してる勇者の仲間だ!」

戦士「ここは、もうかなり危ない!」

戦士「早く、ここからお前も逃げるんだ!」

少女「え?」ウルウルッ

僧侶「戦士。もっと他の言い方とかないの?」

僧侶「この子、完全に怖がらせてしまってるよ」

魔法使い「ええ、そうね」

675: 2013/12/19(木) 10:26:52 ID:ri8O29C2
戦士「けどよ。今の俺は、事実を言っていたまでの事だ!」

戦士「早くここを出ないと、本気でヤバイだろうが!」

僧侶「戦士!」

少女「……」ウルウルッ

使い魔「……」ジーーッ

魔法使い「ああ、ごめんね。別に怪しい者なんかじゃないわ」

魔法使い「私達、ここに数日前に訪れていた勇者の仲間なのよ」

魔法使い「だから、お嬢ちゃん達は何も心配はしないで!」

魔法使い「私達は、お嬢ちゃん達の味方だから!」ニッコリ

少女「本当?」ウルウルッ

676: 2013/12/19(木) 10:27:03 ID:ri8O29C2
僧侶「うん。大丈夫だよ」

僧侶「私達、今からお嬢ちゃんの事を安全な場所まで避難させてあげるから」ニッコリ

魔法使い「……」ニコニコ

少女「でも、私、今日の朝から魔術師のお姉ちゃんとはぐれちゃって……」

少女「この子と一緒に、魔術師のお姉ちゃんの事を待ってる……」

少女「だから、まだここで良いかな……」

少女「お姉ちゃん達、上手く魔法で擬態した敵の可能性だってあるから……」ウルウルッ

戦士「何?」

僧侶「……」チラッ

魔法使い「戦士」チラッ

677: 2013/12/19(木) 10:27:15 ID:ri8O29C2
「ああ、その人達は大丈夫だよ」

「お嬢ちゃん。別に、その人達の事を信用しても大丈夫だから」

少女「え?」クルッ

使い魔「……」クルッ

「魔法使いさん達、その木箱をちょっと退けて下さい」

「私、今その木箱の向こうにいるんで」

魔法使い「え? ああ、はい」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

スッ、スッ……

678: 2013/12/19(木) 10:27:55 ID:ri8O29C2
数分後――

魔術師「ああ、魔法使いさん。ありがとうございます」

魔術師「これで、全員揃いましたね」

少女「うん。そうだね」ポロポロッ

魔術師「お嬢ちゃん。もう大丈夫だからね」

魔術師「今から、私と一緒にここの外に避難するからね」

少女「うん。分かった」ポロポロッ

戦士「……」

僧侶「……」

魔法使い「……」

679: 2013/12/19(木) 10:28:26 ID:ri8O29C2
魔法使い「それで、これからどこに移動するんです?」

魔法使い「ここ、もう完全に戦場となってしまってますけど」

僧侶「ええ、そうね」

魔術師「これから、私の従姉妹が住んでいる町にまで避難致します」

魔術師「私の従姉妹は、隣国との国境沿いに居を構えていましてね」

魔術師「つい最近、結婚して出産すら終えたばかりなんですよ」

魔術師「私もこの子も、従姉妹同士ですし」

魔術師「だから、そっちにまで今から移動致します」

僧侶「はい。かしこまりました」

魔術師「……」スッ

680: 2013/12/19(木) 10:29:04 ID:ri8O29C2
魔術師「では、今からこれを抜きます!」

魔術師「皆さん。その場で待機して下さい!」

使い魔「……」ジーーッ

スッ、ヌポッ……

小瓶「……」バリン

魔術師「え?」

バラバラバラッ、バラバラバラッ……

少女「……お姉ちゃん?」ポロポロッ

魔術師「もしかして、転移魔法すら使えないの?……」

魔術師「あのお爺さん、本当に余計な事をしてくれたわね……」ガクッ

681: 2013/12/19(木) 18:11:13 ID:ri8O29C2
戦士「とりあえず、どうする?」

戦士「このまま、隊長の元に向かうか?」

戦士「隊長の所なら、まだ大丈夫だ」

戦士「隊長のいる中央広場に向かって、少し休もう」

僧侶「ええ、そうね」

魔術師「でも、ここから城門は一番近いです」

魔術師「私は、一度城門に向かってここを出た方が良いと思います」

魔術師「皆、最初からこんな戦は望んではいませんでした」

魔術師「元々、私達は単なる被害者なんです」

少女「……」ポロポロッ

682: 2013/12/19(木) 18:11:31 ID:ri8O29C2
戦士「けど、城門に行ったとしても、師匠に追い返されるぞ」

戦士「俺ら、師匠に『邪魔するな!』って、何度も怒られているんだ」

戦士「それに、師匠にとって例のハーフエルフは憎むべき相手」

戦士「昔、師匠はそのハーフエルフによって実の親父を殺されたらしく、それを今でも恨んでるらしい」

魔術師「……」

魔法使い「とりあえず、まずは隊長達と合流をしましょ」

魔法使い「今、隊長は中央広場にいるんでしょ?」

魔術師「ええ、そうです」

魔法使い「なら、早く行きましょ」

魔法使い「隊長なら、何か知ってるかもしれない」

683: 2013/12/19(木) 18:11:45 ID:ri8O29C2
魔術師「じゃあ、今から私が中央広場にまで道案内を致します」

魔術師「皆さん。どうか、敵の攻撃にだけは気を付けて」

戦士「おう!」

少女「……」ポロポロッ

魔術師「お嬢ちゃん。大丈夫だからね」

魔術師「私達がついているから、何も心配はしないでね」ニッコリ

少女「うん」ポロポロッ

使い魔「……」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

684: 2013/12/20(金) 04:28:45 ID:T4q41sZA
~とある城下町・中央広場~

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

傭兵6「ん?」

傭兵7「何だ?」

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ピタタタッ、ピタタタッ……

傭兵隊長「おっ、来たか」

傭兵副長「そうみたいですね」

685: 2013/12/20(金) 04:28:58 ID:T4q41sZA
ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ピタタタッ、ピタタタッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ピタタタッ、ピタタタッ……

召喚兵隊長「失礼。傭兵隊長はどこだ?」

召喚兵隊長「我々は、魔導師XX様配下の召喚兵隊!」

召喚兵隊長「魔導師XX様の命により、XXX王国傭兵隊をこれより援護する!」

召喚兵隊「それと、ハーフエルフ及び糞食らいの出現地点をお教え願いたい!」

686: 2013/12/20(金) 04:29:30 ID:T4q41sZA
傭兵隊長「おう。あんたらのお探しの傭兵隊長は、この俺だ!」

傭兵隊長「ハーフエルフ及び糞食らいは、各地区にバラバラとなって出現をしている!」

傭兵隊長「だが、敵は武装している上にかなり素早い!」

傭兵隊長「糞食らいについては、表面が硬くて骨がかなり折れるぞ!」

召喚兵隊長「ああ、了解した!」

傭兵隊長「……」

召喚兵隊長「全隊、ここを拠点として活動をする!」

召喚兵隊長「分隊単位で、各地区に向かえ!」

召喚兵隊長「ただし、本部要員だけはここに残れ!」

召喚兵隊長「さぁ、早く急ぐんだ!」

687: 2013/12/20(金) 04:29:42 ID:T4q41sZA
ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

傭兵隊長「……」

傭兵副長「……」

傭兵達「……」

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

傭兵隊長「……」

傭兵隊長「……」

傭兵副長「……」

688: 2013/12/20(金) 04:29:55 ID:T4q41sZA
ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

傭兵隊長「……」

傭兵副長「……」

傭兵達「……」

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

傭兵隊長「ふぅ、ようやく行きやがった……」

傭兵副長「あれだけの数、俺だって率いた事なんてねぇよ……」

傭兵「ええ、そうですね……」

689: 2013/12/20(金) 04:30:06 ID:T4q41sZA
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

傭兵副長「隊長」ハッ

傭兵隊長「ん?」ハッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタタタッ……

召喚兵隊長「……」ビシッ

召喚兵副長「……」ビシッ

690: 2013/12/20(金) 04:30:17 ID:T4q41sZA
召喚兵隊長「失礼。傭兵隊長とお見受けする」

召喚兵隊長「よく、無事であらせられた」

召喚兵隊長「我々が来たからには、もうこれ以上はハーフエルフ達の好きにはさせない」

召喚兵隊長「貴殿達も、どうか今は休んでてくれ」

傭兵隊長「ああ、了解した」ビシッ

傭兵副長「ご苦労様です」ビシッ

召喚兵隊長「それで、勇者の同行者三名のいどこは?」

召喚兵隊長「魔導師様からは、勇者の同行者三名も一緒に行動していると聞いているが」

召喚兵隊長「見た所、貴殿達だけの様だな」

召喚兵隊長「例の三名は、一体どこに行った?」

691: 2013/12/20(金) 04:30:29 ID:T4q41sZA
傭兵副長「例の三名でしたら、この辺りにいるはずです」

傭兵副長「今、我々には人手が足りません」

傭兵副長「それで、例の三名にも我々の活動に参加して貰っております」

傭兵副長「この辺りを探せば、すぐに彼らを発見する事が出来るはずですよ」

召喚兵隊長「ああ、了解した」

傭兵隊長「なら、こちらからも質問をさせてくれ」

傭兵隊長「外の様子は、一体どうなっている?」

傭兵隊長「何故か、今朝から魔法通信が全く使えない」

傭兵隊長「人によっては、転移魔法すら使えない様なのだが」

傭兵副長「……」

692: 2013/12/20(金) 04:31:00 ID:T4q41sZA
召喚兵副長「それでしたら、魔導師様が本日の明け方から一切の仕様を禁止しています」

召喚兵副長「その理由につきましては、城下町に潜んでいる間者対策の為」

召喚兵副長「魔導師様は、間者の逃亡及び敵同士の通信を遮断」

召喚兵副長「それで、今現在も魔法通信が使えないのです」

傭兵隊長「……」

召喚兵副長「それと、外の様子につきましては、我が軍が敵の騎兵部隊を打ち破りました」

召喚兵副長「老剣士XXX様が自ら先頭に立って我が軍の歩兵隊600名と共に、今現在も戦闘を繰り広げられております」

召喚兵副長「ですから、貴殿方もどうかご安心を」

召喚兵副長「我々がいる限り、ハーフエルフの軍勢をこれ以上城下町に入れる事はありません」

傭兵隊長「ふむ。そうか」

693: 2013/12/20(金) 04:31:12 ID:T4q41sZA
召喚兵隊長「傭兵隊長。他に質問はあるか?」

召喚兵隊長「もしないのなら、これで質問は打ちきりとする」

傭兵隊長「ああ、ないな」

召喚兵隊長「では、他に何かあった時はいつでも声を掛けてくれ」

召喚兵隊長「我々は、ここを拠点として事態の収集を図らせて貰う」

傭兵隊長「ああ、了解した」

召喚兵隊長「……」ビシッ

傭兵隊長「……」ビシッ

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

694: 2013/12/20(金) 04:33:33 ID:T4q41sZA
傭兵隊長「副長。どう見る?」

傭兵隊長「あの爺さん。本当に、信用出来るのか?」

傭兵副長「……」フリフリ

傭兵隊長「今の俺達は、完全に脱出不能だ」

傭兵隊長「下手したら、このまま犬氏にかもしれん」

傭兵副長「……」

傭兵隊長「お前、蘇生されて早々すまなかったな」

傭兵隊長「この分だと、次は絶対にないと思う」

傭兵隊長「偶々、お前だけは蘇生出来たが、他は全て駄目」

傭兵隊長「俺の姪の話じゃ、他の奴等は蘇生自体がかなり難しかったらしい」

695: 2013/12/20(金) 04:33:45 ID:T4q41sZA
傭兵副長「隊長。今は、そう言う事を言っているべきではありませんよ」

傭兵副長「今の泣き言、皆に聞こえますよ」

傭兵副長「貴方がそんな風だと、皆まで不安に駆られるじゃないですか」

傭兵副長「隊長なら隊長らしく、皆の前で弱気な態度を見せてはいけません」

傭兵隊長「すまん」

傭兵達「……」

傭兵副長「とりあえず、今はハーフエルフの討伐に専念をしましょう」

傭兵副長「敵は、いつどこからか攻めてくるかが全く分かりません」

傭兵副長「隊長なら隊長らしく、皆の前では気丈に振る舞って下さい」

傭兵隊長「ああ、すまなかった」

696: 2013/12/20(金) 04:33:57 ID:T4q41sZA
「隊長。大通りの方から誰か来ます?」

「あれは、味方の兵でしょうか?」

傭兵副長「え?」クルッ

「いや、違うな」

「あれが、例の勇者の仲間達かもしれぬ」

「一応、警戒だけはしとけ!」

「少しでも不審な動きをしたら、皆で攻撃をするんだ!」

「はっ!」

傭兵副長「隊長」チラッ

傭兵隊長「ああ、その様だ」コクン

697: 2013/12/20(金) 04:34:08 ID:T4q41sZA
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

傭兵達「……」ジーーッ

召喚兵達「……」ジーーッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

傭兵達「……」ジーーッ

召喚兵達「……」ジーーッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタタタタタッ……

698: 2013/12/20(金) 04:34:20 ID:T4q41sZA
魔術師「隊長。ただ今、戻りました」

魔術師「相変わらず、しぶといですね」

傭兵隊長「ああ、まあな」

傭兵副長「魔術師。ご苦労様」

傭兵副長「どうやら、例の勇者の仲間達とも一緒だったみたいだね」

傭兵副長「まずは、ここで少し休憩をしていきなさい」

傭兵副長「事態は、かなり切迫をしているみたいだから」

魔術師「はい。かしこまりました!」ビシッ

傭兵隊長「……」

傭兵達「……」

699: 2013/12/20(金) 04:34:36 ID:T4q41sZA
傭兵隊長「そんで、お前は何やってた?」

傭兵隊長「お前が深夜退治損なった糞食らい達が、多数各地区に現れたんだが」

魔術師「ああ、それは……」

傭兵隊長「まぁ、あれだけの数を一人でするのは無理があるな」

傭兵隊長「さすがの俺も、そこまで鬼じゃねぇよ」

傭兵隊長「まずは、自分達の体をここで休めろ」

傭兵隊長「これから、もっとヤバイ連中が出てきてるみたいだからな」

魔術師「はい。かしこまりました」

傭兵副長「そこの皆もね」

魔法使い「はい」

700: 2013/12/20(金) 04:34:47 ID:T4q41sZA
魔術師「では、私達は先に休憩入ります」

魔術師「何かありましたら、すぐに声を掛けて下さい」

傭兵隊長「ああ、了解した」

傭兵副長「後、水や食料等はその辺に置いてあるよ」

傭兵副長「皆、各自で現地調達をしているみたいだからね」

傭兵副長「皆も、体調の管理だけは気を付けてね」

魔術師「はい。かしこまりました!」

僧侶「お手数をお掛けします!」ペコッ

傭兵副長「いえいえ」

少女「……」ポロポロッ

701: 2013/12/20(金) 11:03:15 ID:T4q41sZA
~とある城・食堂~

王子「大臣。もう体は大丈夫なのか?」

王子「まだ、少し休んでいても良いのだぞ?」

国王「……」

大臣「いえ、お気遣いなく。殿下」

大臣「私は、この国の政を取り仕切る身」

大臣「つい先程は、お見苦しい所をお見せして申し訳ありません」

大臣「全ては、あの老剣士達の所為なのでございます」

王子「ほう。それで?」

国王「あの老剣士達が、一体何をしたと言うのだ?」

702: 2013/12/20(金) 11:03:27 ID:T4q41sZA
大臣「はっ、恐れながら申し上げます!」

大臣「老剣士XXXは、昨晩の私にとある物を飲ませました!」

大臣「そのとある物と言うのは、一時的にこの私を大いに錯乱させる為の薬!」

大臣「それを、あの老剣士XXXは魔導師XXに言われて、この私にその薬を飲ませたと言う訳です!」

王子「何?」

国王「それは、誠なのか?」

大臣「はい。これは、誠にございます!」

大臣「その証拠に、今の私はどこも悪くありませぬ!」

大臣「あの二人は、最初から我が国を利用しておりました!」

大臣「あの憎きハーフエルフの件を理由に、まんまと我が国を利用していた訳です!」

703: 2013/12/20(金) 11:03:39 ID:T4q41sZA
国王「大臣。そなた、本当に大丈夫なのだな?」

国王「もう二度と、あの様な失態は犯さぬのだな?」

大臣「はい」

国王「なら、そなたいつ気づいたのだ?」

国王「さすがの余も、そこまでは気づけなかったぞ」

王子「……ええ、そうですね」

大臣「ですが、もう完全に手遅れです!」

大臣「ハーフエルフの軍勢が、城下町の方にも出現致しました!」

国王「!?」

王子「なっ!?」

704: 2013/12/20(金) 11:03:51 ID:T4q41sZA
大臣「魔導師XXは、完全に我が国を見捨てるつもりです!」

大臣「今の魔導師XXの頭の中にあるのは、過去における復讐のみ!」

大臣「いずれ、我が国の民達は魔導師XXによって、皆頃しにされるでしょう!」

大臣「私がいなくなれば、魔導師XXは復讐の為の戦が出来る!」

大臣「そう考えた魔導師XXは、この私めに老剣士を通じて錯乱をさせる薬を飲ませました!」

大臣「その結果、我が国は魔導師XXの望む様な結果にまでなってしまったのです!」

国王「くっ……」

王子「……」ガクッ

スッ、ガチャ……

ギギィーーッ、ダン……

705: 2013/12/20(金) 11:04:02 ID:T4q41sZA
騎士「陛下。ご無礼つかまつる!」

騎士「ハーフエルフの軍勢が、城下町に現れました!」

騎士「それだけでなく、ダークエルフの軍勢までもがどこからかと出現!」

騎士「城下町にいる民達に、多数の氏傷者が出ております!」

国王「何!?」

大臣「して、ダークエルフの軍勢の数は?」クルッ

大臣「魔導師XXは、一体何をしておる?」

騎士「!?」ハッ

大臣「そなた、何故答えぬ?」

大臣「今の私は、この通りもう大丈夫だ!」

706: 2013/12/20(金) 11:04:12 ID:T4q41sZA
騎士「はっ、恐れながら申し上げます!」

騎士「魔導師XXは、自ら敵の軍勢を招き入れておりました!」

騎士「老剣士XXXに関しては、今朝の段階から行方不明!」

騎士「ただし、勇者XXXの仲間は傭兵隊と協力して、民達の救護及びモンスター退治を行っている模様です!」

大臣「……」

騎士「それと、魔導師XXの所為により、転移魔法及び魔法通信が全く使えません!」

騎士「いくら、我々が魔導師XXに使用制限を解除する様に申し渡しておりますが、一切無視している模様!」

騎士「恐らく、本日の明け方に起きた大臣様の件にも関わっている可能性があります!」

騎士「このままでは、確実に我が国が持ちません!」

国王「おのれ!……」プルプル

707: 2013/12/20(金) 11:04:24 ID:T4q41sZA
大臣「騎士。各隊にこう伝えよ!」

大臣「魔導師XXは、完全に我らの敵となった!」

大臣「あの男、絶対に生かしてはおけぬ!」

大臣「今すぐ、魔導師XXを捕らえてここに連れてくるのだ!」

騎士「はっ!」

クルッ、スタタタタタッ……

スタタタタタッ、スタタタタタッ……

国王「……」プルプル

王子「……」

大臣「……」クルッ

708: 2013/12/20(金) 11:04:36 ID:T4q41sZA
大臣「陛下。ご昼食の所申し訳ございませぬが、主塔にまでお移り下さい!」

大臣「このままでは、我が国はハーフエルフの軍勢によって滅ぼされてしまいます!」

大臣「ささっ、早く殿下共々主塔にまでお移り下さい!」

大臣「もう既に、敵はそこまで来ているのですからね!」

国王「……」プルプル

王子「……父上」チラッ

大臣「……」

スタタタタタッ、スタタタタタッ……

スタタタタタッ、ピタタタッ……

スッ、ストッ……

709: 2013/12/20(金) 11:04:47 ID:T4q41sZA
密偵「報告。魔導師XXが、召喚兵隊を城下町に移動させました」

密偵「召喚兵隊は、傭兵隊と協力してハーフエルフの討伐を行っている模様」

密偵「魔導師XXは、引き続き城門を守備」

密偵「民達の氏傷者は、かなりの数に上ってきております」

大臣「うむ。そうか」

密偵「大臣様。どうなさいますか?」

密偵「老剣士XXXは、今朝から出撃をしたままの状態ですが」

密偵「それに、勇者XXXの行方は未だに分かってはおりません」

密偵「やはり、例の手紙通りに勇者XXXは女侯爵XXXXXXの手によって、もう既に捕らわれの身となっているのでしょうか?」

大臣「ああ、多分な」

710: 2013/12/20(金) 11:05:07 ID:T4q41sZA
王子「ささっ、父上。早く、主塔に移動致しましょう」

王子「ここにいては、いつハーフエルフの軍勢に襲われるかが、全く解りませぬ」

国王「……」プルプル

王子「密偵。少し、父上に手を貸してくれ」

王子「今の父上は、かなりお怒りの様子」

王子「とても、一人ではお歩きにはなれない」

王子「ささっ、早く大臣も手を貸してくれ」

大臣「はっ!」

密偵「しかと、承りました!」

国王「……」プルプル

711: 2013/12/20(金) 11:07:55 ID:T4q41sZA
~とある城下町・貧困地区~

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

「うわっ、来るな!」

「誰か、誰か助けてくれ!」

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

キンキン、キンキン……

キンキン、キンキン……

スッ、ズバズバッ……

712: 2013/12/20(金) 11:08:07 ID:T4q41sZA
ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

闇エルフ兵長「皆、行け行け!」

闇エルフ兵長「人間共を、一人残らず頃し尽くせ!」

ズバッ、ズバズバッ……

ザクッ、ザクッ、ザクッ……

「ぐわああああ――――っ!?」

「いやああああ――――っ!?」

バタバタバタッ、バタバタバタッ……

713: 2013/12/20(金) 11:08:18 ID:T4q41sZA
ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

キンキン、キンキン……

ズバッ、ズバズバッ……

バタバタバタッ、バタバタバタッ……

召喚兵長「くそっ、ダークエルフめ!」

召喚兵長「総員、民達を守れ!」

召喚兵長「さぁ、早く急ぐのだ!」

召喚兵達「お――――っ!」

714: 2013/12/20(金) 11:08:29 ID:T4q41sZA
ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

キンキン、キンキン……

キンキン、キンキン……

「くそっ、もう終わりだ……」

「俺達は、もう終わりなんだ……」

「ううっ、ううっ……」ポロポロッ

「勇者の野郎、本当に何をやってんだ!?」

「てめぇの所為で、全てはこうなったんだ!」

715: 2013/12/20(金) 11:09:33 ID:T4q41sZA
ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

キンキン、キンキン……

キンキン、キンキン……

「皆、早く逃げろ!」

「ここに居たら、ダークエルフに殺されちまう!」

「今はまだ、味方の兵達がいる!」

「だから、早く逃げるんだ!」

「ううっ、ううっ……」ポロポロッ

716: 2013/12/20(金) 11:09:44 ID:T4q41sZA
~とある城下町・職人地区~

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

キンキン、キンキン……

キンキン、キンキン……

糞食らい「……」

糞食らいB「……」

糞食らいC「……」

糞食らいD「……」

717: 2013/12/20(金) 11:09:55 ID:T4q41sZA
ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

キンキン、キンキン……

キンキン、キンキン……

糞食らい「……」

糞食らいB「……」

糞食らいC「……」

糞食らいD「……」

スッ、スタッ……

718: 2013/12/20(金) 11:10:06 ID:T4q41sZA
キンキン、キンキン……

キンキン、キンキン……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

「かなり、酷い有り様だな……」

「そこらじゅうに、モンスターや人間の氏骸が転がっている……」

「俺達、大丈夫なのか?……」

「このままだと、皆やられちまう……」

「ママ~~ッ、ママ~~ッ!」ポロポロッ

「ママ~~ッ、ママ~~ッ!」ポロポロッ

「いやああああ――――っ!」ポロポロッ

719: 2013/12/20(金) 11:10:24 ID:T4q41sZA
シュン、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

ズドドドドドドドーーーーーーーーン……

「ぐわああああ――――っ!?」

ズルッ、ドサッ……

シュン、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

ズドドドドドドドーーーーーーーーン……

「ぐわああああ――――っ!?」

「いやああああ――――っ!?」

ズルッ、ドサドサッ……

「ママ――――ッ!」ポロポロッ

720: 2013/12/20(金) 11:10:34 ID:T4q41sZA
シュン、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

ズドドドドドドドーーーーーーーーン……

「ぐわああああ――――っ!?」

ドサドサッ、ドサドサッ……

シュン、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

ズドドドドドドドーーーーーーーーン……

ドカアアアアアアアアーーーーーーーーン!

「くっ、ここは駄目だ!。早く、別の所に!」

「皆、早く逃げろ!」

「早く、逃げるんだ!」

721: 2013/12/20(金) 13:05:38 ID:T4q41sZA
~とある城下町・中央広場~

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

キンキン、キンキン……

ズバッ、ズバズバッ……

傭兵6「ぐわああああ――――っ!?」

ズルッ、ドサッ……

傭兵7「ぐえっ!?」

フラッ、ドサッ……

722: 2013/12/20(金) 13:05:50 ID:T4q41sZA
ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

キンキン、キンキン……

傭兵隊長「くっ、くそっ!」

キンキン、キンキン……

スッ、グサッ……

傭兵8「ぐえっ!?」

バタバタバタッ、バタバタバタッ……

少女「おっ、お姉ちゃん……」ポロポロッ

723: 2013/12/20(金) 13:06:08 ID:T4q41sZA
ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

キンキン、キンキン……

魔術師「……」

少女「……」ポロポロッ

キンキン、キンキン……

シュン、グサグサッ……

傭兵5「ぐああああ――――っ!?」

フラッ、バタバタバタッ……

724: 2013/12/20(金) 13:06:20 ID:T4q41sZA
ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

傭兵隊長「くそっ、敵が多すぎる!」

傭兵隊長「副長。魔術師達、無事か!?」

キンキン、キンキン……

傭兵副長「ええっ、なんとか!」ギリギリッ

闇エルフ兵長2「……」ギリギリッ

戦士「こっちも、無事だ!」

僧侶「……」ガクガク

725: 2013/12/20(金) 13:06:32 ID:T4q41sZA
ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

キンキン、キンキン……

戦士「魔法使い。シールドは大丈夫か!?」

戦士「この数じゃ、いつお前達まで犠牲になるかが分からない!」

僧侶「……」ガクガク

キンキン、キンキン……

魔法使い「ええ、なんとか……」

魔法使い「でも、この状態じゃあ私達の身の安全も保障出来ない……」ガクガク

少女「……」ポロポロッ

726: 2013/12/20(金) 13:06:44 ID:T4q41sZA
ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

スッ、ズバッ……

傭兵9「ぐああああっ!?」

ズバッ、ズバッ……

傭兵10「ぐええええっ!?」

ドサドサッ、ドサドサッ……

傭兵隊長「くっ……」

魔術師「……」ガクガク

727: 2013/12/20(金) 13:06:55 ID:T4q41sZA
ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

傭兵副長「隊長。なんとかして下さい!」

傭兵副長「このままだと、全滅です!」

キンキン、ギリギリッ……

傭兵副長「隊長。早くなんとかして下さいよ!」

傭兵副長「このままだと、確実に全滅です!」

傭兵隊長「うるせぇ――――っ!」イラッ

キンキン、キンキン……

728: 2013/12/20(金) 13:07:05 ID:T4q41sZA
ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

少女「お姉ちゃん。どうするの?……」

少女「私達、このまま氏んじゃうの?……」ポロポロッ

魔術師「……」ガクガク

キンキン、キンキン……

少女「やっぱり、皆ここで氏んじゃうんだ……」

少女「もうこれ以上は、私達逃げられないんだね……」ポロポロッ

バタバタバタッ、バタバタバタッ……

729: 2013/12/20(金) 13:07:16 ID:T4q41sZA
ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

シュン、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

ズドドドドドドドーーーーーーーーン……

魔術師「!?」ビクッ

僧侶「きゃあっ!?」ビクッ

バリンバリンバリン、バリンバリンバリン……

魔法使い「あっ……」ガクガク

魔術師「シッ、シールドが!?」ガクガク

730: 2013/12/20(金) 13:07:27 ID:T4q41sZA
ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

シュンシュンシュンシュン、シュンシュンシュンシュン……

召喚兵1「ぐわっ!?」ドゴッ

召喚兵2「ぐえっ!?」ドゴッ

召喚兵隊長「ぐううっ!?」ドゴッ

バタバタバタッ、バタバタバタッ……

闇エルフ兵長2「ちょっ、危ないだろ!?」

闇エルフ兵長3「今、射ったん誰だ?」

731: 2013/12/20(金) 13:11:00 ID:T4q41sZA
シュンシュンシュンシュン、シュンシュンシュンシュン……

シュンシュンシュンシュン、シュンシュンシュンシュン……

召喚兵3「!?」ドゴッ

召喚兵4「げっ!?」ドゴッ

シュンシュンシュンシュン、シュンシュンシュンシュン……

シュンシュンシュンシュン、シュンシュンシュンシュン……

闇エルフ兵長2「おわっ!?」ドゴッ

闇エルフ兵長3「うおっ!?」ドゴッ

バタバタバタッ、バタバタバタッ……

魔術師「はぁ、はぁ、はぁ……」スチャ

732: 2013/12/20(金) 13:11:13 ID:T4q41sZA
魔法使い「まっ、魔術師さん。大丈夫?……」

魔法使い「今の技、一体何?……」ガクガク

魔術師「……」ウルッ

僧侶「今の、結構凄かったですよね?……」

僧侶「さりげなく、何名かは味方を巻き込んでましたが……」

魔術師「……」ガクガク

スッ、ストン……

少女「今の、確かお姉ちゃんが得意な魔法攻撃だよね?……」

少女「あれに当たったら、一定時間は動けないんだよ……」ポロポロッ

魔法使い「そう。そうなの……」ガクガク

僧侶「魔術師さん。意外に強かったんだ……」ガクガク

733: 2013/12/20(金) 13:11:25 ID:T4q41sZA
傭兵11「なっ、副長!?」

傭兵11「しっかりして下さい! 副長!」

傭兵副長「……」ピクピクッ

魔術師「……え?」ウルウルッ

傭兵11「魔術師。早く応急処置を!?」

傭兵11「このままだと、副長が危ない!」アセアセッ

魔術師「いやああああああああ――――――――っ!?」ブワッ

ブォーーーーーーーーン……

魔術師以外「!?」ビクッ

ズザーーーーーーーーッ……

734: 2013/12/20(金) 13:11:37 ID:T4q41sZA
シュンシュンシュンシュン、シュンシュンシュンシュン……

シュンシュンシュンシュン、シュンシュンシュンシュン……

闇エルフ兵「ぐっ!?」ドゴッ

闇エルフ兵2「ぐえっ!?」ドゴッ

シュンシュンシュンシュン、シュンシュンシュンシュン……

シュンシュンシュンシュン、シュンシュンシュンシュン……

闇エルフ兵3「ぐっ!?」ドゴッ

闇エルフ兵4「ぐえっ!?」ドゴッ

バタバタバタッ、バタバタバタッ……

バタバタバタッ、バタバタバタッ……

735: 2013/12/20(金) 13:11:49 ID:T4q41sZA
魔術師「皆、今の内に逃げて!」

魔術師「ここにいたら、皆殺されちゃう!」

魔術師「だから、早く逃げて――――っ!」ポロポロッ

魔法使い「え? でも……」ガクガク

僧侶「一体、どうやって?……」ガクガク

魔術師「とりあえず、どこでも良い!」

魔術師「ここ以外の場所で、早く逃げて――――っ!」ポロポロッ

魔法使い「ええ、了解したわ……」ガクガク

僧侶「か、かしこまりました……」ガクガク

闇エルフ兵達「……」ピクピクッ

736: 2013/12/20(金) 13:12:04 ID:T4q41sZA
~とある城下町・城壁の上~

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

スッ、カチャカチャ……

カチャカチャ、カチャカチャ……

魔導師「……」

737: 2013/12/20(金) 13:12:15 ID:T4q41sZA
ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

スッ、カチャカチャ……

カチャカチャ、カチャカチャ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、スタタタッ……

スチャ、スラララァン……

半エルフ兵達「……」ジリジリ

738: 2013/12/20(金) 13:12:36 ID:T4q41sZA
ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、スタタタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、スタタタッ……

半エルフ兵達「……」ジリジリ

739: 2013/12/20(金) 13:13:27 ID:T4q41sZA
ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、スタタタッ……

半エルフ兵「ん? 誰もいない……」

半エルフ兵「ここは、確か魔導師XXが守備しているのではなかったのか?……」

半エルフ兵2「……」キョロキョロ

魔導師「……」

740: 2013/12/20(金) 13:13:38 ID:T4q41sZA
ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、スタタタッ……

半エルフ兵2「とりあえず、門を開けよう!」

半エルフ兵2「皆、早く門を開けるんだ!」

半エルフ兵「おう!」

魔導師「……」

741: 2013/12/20(金) 13:16:03 ID:T4q41sZA
ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、スタタタッ……

魔導師(ふぅ、行ったか……)

魔導師(まさか、ここまで早かったとは……)

魔導師(今はなんとか、一時的に姿隠しは出来ている……)

魔導師(ここは、そろそろ退いた方が良いな……)

742: 2013/12/20(金) 13:16:25 ID:T4q41sZA
ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、スタタタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、スタタタッ……

魔導師「……」スッ

743: 2013/12/20(金) 13:16:40 ID:T4q41sZA
ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、スタタタッ……

魔導師「……」ブツブツ

魔導師「……」ブツブツ

魔導師「……」ブツブツ

魔導師「はっ!」ボワッ

744: 2013/12/20(金) 13:16:54 ID:T4q41sZA
ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、スタタタッ……

魔導師(これで、転移魔法は使える)

魔導師(後は、転移魔法を唱えるだけか)

魔導師(それにしても、あ奴等が攻城兵器を持ち込まなくて運が良かった)

魔導師(まぁ、あ奴等が梯子を持ってくるのは予想できてたが)

745: 2013/12/20(金) 13:17:27 ID:T4q41sZA
ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、スタタタッ……

魔導師(とりあえず、ここを離脱するぞ)

魔導師(ここに居ては、いつ狙われるかが分かったものじゃない)

魔導師(皆、精々頑張っておくれ)

魔導師(俺は今から、安全な場所に避難するからな)ニヤリ

746: 2013/12/20(金) 13:18:17 ID:T4q41sZA
ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、スタタタッ……

ガチャ、ギギィーーーーッ……

ギギィーーーーッ、ギギィーーーーッ……

ダン、カシャン……

「門が開いたぞ――――っ!」

747: 2013/12/20(金) 13:18:51 ID:T4q41sZA
ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

「よしっ、行け行け!」

「行け行け!」

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

「この町は、もう落ちたも同然だ!」

「皆、行け行け行け――――っ!」

748: 2013/12/20(金) 13:19:03 ID:T4q41sZA
ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

魔導師「……」

魔導師「……」

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

魔導師「……」

魔導師「……」

749: 2013/12/20(金) 13:19:13 ID:T4q41sZA
ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

魔導師「……」

魔導師「……」

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

魔導師「……」

魔導師「……」スッ

750: 2013/12/20(金) 13:19:25 ID:T4q41sZA
ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

魔導師「……」

魔導師「……」

スッ、ヌポッ……

スッ、コトッ……

プシューーーーッ、プシューーーーッ……

プシューーーーッ、プシューーーーッ……

シューーーーーーーーッ、シュン……

751: 2013/12/21(土) 11:05:48 ID:k0k8JeHQ
~とある城・食堂~

国王「なっ、何のつもりだ?……」

国王「そなた、もう大事ないのではなかったのか?……」ガクガク

王子「ちっ、父上……」ポタポタッ

密偵「ううっ、ぐっ……」ポタポタッ

騎士「……」

国王「そなた、一体どう言うつもりなのだ?……」

国王「余の知っているそなた達は、絶対にこの様な事はせぬ……」ガクガク

騎士達「……」ジリジリ

兵士達「……」ジリジリ

752: 2013/12/21(土) 11:06:00 ID:k0k8JeHQ
国王「一体、何がどうなっておる?……」

国王「何故、そなたが余に反旗を翻す?……」

国王「まさか、そなたまだ血迷ったままなのか?……」

国王「それで、今のそなたはこうして余に反旗を翻しておるのだな?……」ガクガク

大臣「はい」ニッコリ

国王「くっ……」

王子「大臣。そなた、なんて事を……」

王子「そなた、それでもこの国の政を取り仕切る大臣か?……」

王子「一体、何故そなた程の人物が反旗を翻す?……」

王子「まさか、あのハーフエルフにたぶらかされておったのか?……」ポタポタッ

753: 2013/12/21(土) 11:06:21 ID:k0k8JeHQ
大臣「その様子だと、まだお気づきになられないみたいですね」

大臣「今の私は、あなた方がご存じの大臣ではございませぬ」

大臣「この城の中にいる兵士や身の回りを世話している者達もまたこの私の配下」

大臣「本物の大臣なら、ここの地下牢にて朽ち果てております」

大臣「私、実は本日の明け方より入れ替わっておりました」

大臣「まぁ、この城の中で身の回りの世話をする者達の方は、それよりも以前に入れ替わっていたのですけどね」ニコニコ

国王「!?」ガクガク

王子「なん……だと……!?」ポタポタッ

密偵「……」ガクッ

騎士達「……」ジリジリ

754: 2013/12/21(土) 11:06:32 ID:k0k8JeHQ
王子「なら、そなた何者じゃ?……」

王子「まさか、そなたが例のハーフエルフなのか?……」

王子「頼む、どうかこの私だけでも助けてはくれ……」

王子「私は、そなたが言う過去のエルフ達の件には関わっていない……」ポタポタッ

国王「……」ガクガク

大臣「残念ですが、ここで殿下にも氏んで貰います!」

大臣「あなたが生きていれば、いずれ再び私達エルフにも害をなすやもしれません!」

大臣「ですから、どうか安らかに!」

大臣「今から、あなたも大臣達の元に連れてってさしあげますから!」ニコニコ

王子「くっ……」ポタポタッ

755: 2013/12/21(土) 11:06:52 ID:k0k8JeHQ
大臣「総員、このままトドメを刺せ!」

大臣「さぁ、早く仕留めるのだ!」

騎士達「はっ!」

国王「……」ガクガク

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタタッ……

スッ、スチャ……

スッ、グサッ……

王子「ぐあっ!?」ポタポタッ

王子「ぐあっ!?」モジモジッ

756: 2013/12/21(土) 11:07:04 ID:k0k8JeHQ
スッ、ズボッ……

王子「ううっ、ぐうっ……」

王子「ぐあっ、ぐううっ……」ポタポタッ

国王「おっ、王子……」ガクガク

スッ、スチャ……

スッ、グサッ……

国王「ぐあっ!?」

グサッ、グサッ……

国王「ぐおおおお~~~~っ!?」ポタポタッ

王子「……」ガクッ

757: 2013/12/21(土) 11:07:20 ID:k0k8JeHQ
スッ、ズボッ……

ポタポタッ、ポタポタッ……

国王「はぁ、はぁ、はぁ……」

国王「はぁ、はぁ、はぁ……」

騎士達「……」

国王「はぁ、はぁ、はぁ……」

国王「はぁ、はぁ、はぁ……」

国王「ぐううっ……」

国王「……」ガクッ

スチャ、カシャカシャカシャン……

758: 2013/12/21(土) 11:07:31 ID:k0k8JeHQ
スッ、ストッ……

スッ……

国王「……」

騎士「……」

スッ、ムクッ……

クルッ、ビシッ……

騎士「隊長。対象者全員の氏亡確認!」

騎士「後は、ダークエルフ及びハーフエルフからの合図を待つだけです!」

大臣「うむ。ご苦労」

スッ、ベリッ……

759: 2013/12/21(土) 11:07:42 ID:k0k8JeHQ
偵察隊長「皆、ご苦労だった!」

偵察隊長「これで、この国は我が軍の前に陥落をした!」

偵察隊長「総員、速やかに擬態を解除せよ!」

偵察隊長「これより、撤収作業に入る!」

騎士達「はっ!」

スッ、ベリベリベリッ……

ベリベリベリッ、ベリベリベリッ……

偵察士官「……」

偵察下士官「……」

偵察兵達「……」

760: 2013/12/21(土) 11:07:53 ID:k0k8JeHQ
偵察隊長「よしっ、皆、擬態を解除したな?」

偵察隊長「これより、撤収作業を開始する!」

偵察隊長「偵察士官、今からここの旗を下ろせ!」

偵察隊長「この城の旗を下ろし、我がエルフの里の旗を掲げるのだ!」

偵察士官「はっ!」ビシッ

偵察隊長「後、他の皆はそもまま撤収用意!」

偵察隊長「ここに、友軍が入り易いように障害を撤去せよ!」

偵察隊長「まだ、城下町の中では友軍が戦っている!」

偵察隊長「一刻も早く、友軍達の為にも速やかに取り掛かるのだ!」

偵察兵達「はっ!」ビシッ

761: 2013/12/21(土) 11:10:31 ID:k0k8JeHQ
~外来用病院・病室~

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」パチッ

勇者「……」シャキン

スッ、ムクッ……

762: 2013/12/21(土) 11:10:43 ID:k0k8JeHQ
勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

キョロキョロ、キョロキョロ……

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「あれ? 巨大猫は?」

スッ、パサッ……

763: 2013/12/21(土) 11:11:02 ID:k0k8JeHQ
パサパサッ、パサパサッ……

パサパサッ、パサパサッ……

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……あれ、いない?」

スッ、パサッ……

勇者「……」キョロキョロ

勇者「……」キョロキョロ

勇者「あいつ、どこに行った?」キョトン

764: 2013/12/21(土) 11:11:13 ID:k0k8JeHQ
勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

スッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、ガチャ……

勇者「……」ヌッ

キョロキョロ、キョロキョロ……

「おやっ、どうかしたのかい?」

765: 2013/12/21(土) 11:11:25 ID:k0k8JeHQ
勇者「ああ、すみません。俺と一緒にいた巨大猫を知りませんか?」

勇者「あいつ、今いないみたいなんです」

勇者「どこか、あいつが行きそうな場所は知りませんか?」

勇者「あいつなしじゃ、ろくに誰かと会話が出来ないんで」

「ああ、知ってるよ」

「確か、ここの城門に用があるみたいわね」

勇者「ああ、そうなんですか」

「とりあえず、君は何も心配はしなくて良いよ」

「彼女、すぐに用事済ませてくるみたいだから」

勇者「はい。分かりました」

766: 2013/12/21(土) 11:11:41 ID:k0k8JeHQ
スッ、バタン……

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

クルッ、ストッ……

勇者「あいつ、一体どこに用事があるんだ?」

勇者「まさか、このまま自分だけ逃げると言う腹積もりなのか?」

スッ、ゴクゴクゴクッ……

勇者「いや、あいつの事だから、それだけはあり得ない」

勇者「だったら、最初からついてきたりはしないからな」

スッ、コトッ……

767: 2013/12/21(土) 11:11:54 ID:k0k8JeHQ
勇者(しかし、今日は割りとよく眠ったな……)

勇者(大体、もう昼過ぎくらいか?……)

勇者(あっ、そう言えば師匠達は無事だろうか?……)

勇者(師匠の事だから、割りと大丈夫だと思うんだけど……)

スッ、ポリポリッ……

勇者(まぁ、魔導師様か一緒なんだし、多分大丈夫だろうな……)

勇者(あの人、確か万単位の召喚兵とか言うのを呼び出せたはず……)

勇者(さてっ、ここで食事を済ませてすぐ、俺も支度するとするか……)

勇者(ここの連中、まだ俺の目的には気づいてはいない様だからな……)

ポリポリッ、ポリポリッ……

768: 2013/12/21(土) 11:12:05 ID:k0k8JeHQ
勇者(ん? 何だこの紙?……)

勇者(これ、もしかしたら巨大猫が残していったのか?……)

勇者(ええっと、何々『少し、所用が出来たので出掛けてくる!』)

勇者(『そなたが寝坊している間に、XXX王国はエルフ達の手によって攻められてしまった!』)

勇者(『それが原因で、XXX王国はもう既に滅亡寸前!』)

勇者(『だから、後で覚悟しておけ!』)

勇者「……」

勇者「……」

勇者「うっ、嘘だろ?……」

勇者「誰か、嘘だと言ってくれ……」

769: 2013/12/21(土) 11:12:16 ID:k0k8JeHQ
トントン、トントン……

スッ、ガチャ……

エルフ看護師長「失礼します」

エルフ看護師長「勇者様、お体の具合は如何ですか?」

エルフ看護師長「私、こう見えても人間の言語も話せますので」ニッコリ

勇者「……」プルプル

エルフ医師「あれ? どうかしたの?」

エルフ医師「なんか、君の顔が真っ青だよ」

エルフ看護師長「勇者様?」

勇者「……」プルプル

770: 2013/12/21(土) 11:12:25 ID:k0k8JeHQ
スッ、ストッ……

フラッ、バタッ……

勇者「……」プルプル

勇者「……」プルプル

エルフ看護師長「先生。また、勇者様の食事に何か盛りましたか?」

エルフ看護師長「勇者様、また体調が悪くなられたみたいですよ」

エルフ医師「いや、何もしてないけど」

エルフ看護師長「とりあえず、勇者様の診察をお願い致します」

エルフ看護師長「じゃないと、またあの口煩いケット・シーからクレームが入りますからね」ハァ

エルフ医師「うん。了解した」

771: 2013/12/21(土) 11:13:51 ID:k0k8JeHQ
巨大猫は、無我夢中で走った。

偶々、XXX王国に用事があって出掛けるエルフ女侯爵と共に。

その日の夕方、ようやくXXX王国に到着した巨大猫の目に映ったのは、夥しい程の数の人間達の氏体。

その氏体の山の中に、巨大猫の見知った顔が多数あり、巨大猫は深い悲しみに暮れていく。

その後、巨大猫は勇者をここに連れてくる様に懇願した。

それをエルフ女侯爵は聞き入れ、勇者をXXX王国へと移送する。

その日の夜、勇者はエルフ女侯爵に連れられ、XXX王国にまで到着。

そこで、XXX王国の悲惨な惨状を目の当たりにし、勇者は今の自分自身の無力さについてを激しく痛感したのだった。

772: 2013/12/22(日) 09:45:12 ID:2TBZAKz6
~とある教会・聖堂~

その日の夕方――

戦士の氏体「……」

僧侶の氏体「……」

魔法使いの氏体「……」

魔術師の氏体「……」

少女の氏体「……」

使い魔の氏体「……」

巨大猫「……」

エルフ女侯爵「……」

773: 2013/12/22(日) 09:45:45 ID:2TBZAKz6
傭兵隊長の氏体「……」

傭兵副長の氏体「……」

魔導師の氏体「……」

老剣士の氏体「……」

傭兵達の氏体「……」

巨大猫「……」

エルフ女侯爵「……」

巨大猫「……」クルッ、ギロッ

巨大猫「……」ジーーッ

エルフ女侯爵「……」

774: 2013/12/22(日) 09:46:19 ID:2TBZAKz6
巨大猫「そなた、よくもやってくれたな……」

巨大猫「何故、そなたは妾の忠告を無視したのじゃ?……」

巨大猫「そなたが、偏った考えさえ持たなければ、こんな事にならなかったぞ……」

巨大猫「一体、何故そなたはここまでする?……」ギリギリッ

エルフ女侯爵「……」

巨大猫「それに、この人間達の氏体の山の中には、妾と常日頃から親しくしていた者達が多い……」

巨大猫「皆、昔から妾とは親しい仲じゃった……」

巨大猫「この落とし前、今のそなたはどう着けるつもりなのじゃ?……」

巨大猫「事と次第によっては、たとえそれが今のそなたとて妾は容赦せぬぞ!……」キリギリッ

エルフ女侯爵「……」

775: 2013/12/22(日) 09:46:51 ID:2TBZAKz6
エルフ女侯爵「別に、どうって事ないじゃない?」

エルフ女侯爵「少しくらい、人間を虐頃したとしても何の問題もないわ!」ニッコリ

巨大猫「何?」ギリギリッ

エルフ女侯爵「所詮、人間なんて私達の敵ではない!」

エルフ女侯爵「日頃の行いが悪いから、こんな目に遭うのよ!」ニコニコ

巨大猫「何じゃと?」ギリギリッ

エルフ女侯爵「……」ニコニコ

巨大猫「そなた、今の本気なのか?……」

巨大猫「いくら何でも、それは冗談では済まされぬぞ!……」

巨大猫「そなたのした事は、ただの一方的な虐殺じゃ!」

巨大猫「これは、もう明らかに度が過ぎておる!」ギリギリッ

776: 2013/12/22(日) 09:47:22 ID:2TBZAKz6
巨大猫「XXXXXX。もう、この辺りで無駄な殺生を止めよ!」

巨大猫「今のそなたには、何の大義もない!」

巨大猫「今の妾は、心底怒りに震えておる!」

巨大猫「もうこれ以上、偏った思想や野心等を捨てよ!」ギリギリッ

エルフ女侯爵「そう。それで?」ニコニコ

巨大猫「だから、もうこの辺で止めよ!」

巨大猫「今の妾は、必氏に理性を働かせておる!」

巨大猫「一体、いつからその様な偏った思想等を持ってしまったのじゃ?」

巨大猫「妾と初めて会った時には、その様な思想等は持っていなかったはずじゃ!」ギリギリッ

エルフ女侯爵「……」ニコニコ

777: 2013/12/22(日) 09:47:53 ID:2TBZAKz6
「たとえ、この場でいくら私が言い訳をしようが、その事実は消えないわ!」

「所詮、人間なんて私達の敵ではない!」

「今まで、私達エルフは大目に見てきたのよ!」

「なのに、人間達は私達エルフに残虐な事をした!」

「だから、これまでの復讐等を実際にやってて何が悪いの?」

「今のあんたは、ただただ少し人間よりになっているから、そんな事を言えているだけ!」

「本当に、人間なんて私達エルフが助ける価値すらない!」

「それがようやく私にも解ったんだから、別にもう良くないかしら?」

エルフ女侯爵「ええ、そうね!」ニコニコ

巨大猫「!?」ハッ

778: 2013/12/22(日) 09:48:24 ID:2TBZAKz6
スッ、スタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

エルフ魔女「お母様。お疲れ様」

エルフ魔女「ここ最近、ストレスばっか溜まってたみたいだけど、綺麗に吹き飛んだかしら?」ニッコリ

エルフ女侯爵「ええ、まあね」ニコニコ

巨大猫「……」ビクッ

エルフ魔女「あら? 巨大猫もここに来てたの?」

エルフ魔女「やっぱり、ここの人間達が心配になって、わざわざここまで来ていたのかしら?」

エルフ女侯爵「ええ、まあね」ニコニコ

巨大猫「……」シュン

779: 2013/12/22(日) 09:48:54 ID:2TBZAKz6
エルフ女侯爵「それで、次はどうするの?」

エルフ女侯爵「私、そろそろ帰ってゆっくりとしたいんだけど」ニコニコ

エルフ魔女「うん。良いけど」

エルフ女侯爵「なら、今ここにいる巨大猫も連れ帰らないとね」

エルフ女侯爵「この子、今日からはただの野良猫みたいだし」

エルフ女侯爵「あんたが良ければ、この子をペットにしてあげるわよ」

エルフ女侯爵「ここ最近、あんた鹿とか沢山仕入れてるし」

エルフ女侯爵「このまま、ウチでこの子の事を引き取っちゃおうかしら?」ニコニコ

エルフ魔女「うん。それ良いね」ニッコリ

巨大猫「!?」ビクッ

780: 2013/12/22(日) 09:49:24 ID:2TBZAKz6
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタタッ……

偵察隊長「報告。城の障害物及び氏体の搬出を完了!」

偵察隊長「今現在、城下町に生存者はなし!」

偵察隊長「我が軍の損害は、ハーフエルフの部隊を除き軽微!」

偵察隊長「その大半が、XXX平原での落とし穴によるものが多数を占めております!」

エルフ女侯爵「そう。ご苦労様」

エルフ魔女「意外に、ハーフエルフの方に被害が出たわね」

エルフ魔女「まぁ、後で皆がエルフに転生出来るんだから、別に構わないけど」

エルフ女侯爵「ええ、そうね」

781: 2013/12/22(日) 09:49:55 ID:2TBZAKz6
偵察隊長「後、こちらの氏体はどう致しますか?」

偵察隊長「つい先程から、ずっとここに放置されていますが」

エルフ女侯爵「ええ、ちょっと待ってね」チラッ

エルフ魔女「……」コクン

エルフ女侯爵「とりあえず、勇者の仲間達の氏体は後で蘇生しといて」

エルフ女侯爵「他の人間達の氏体は、そのまま焼き討ちにしても構わないから」

偵察隊長「はっ!」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

巨大猫「……」

782: 2013/12/22(日) 09:52:24 ID:2TBZAKz6
エルフ女侯爵「巨大猫。あんたは私達と共に来なさい」

エルフ女侯爵「今後は、私達の方であんたの事を世話してあげる」

エルフ女侯爵「娘。それで良いわね?」

エルフ女侯爵「今のあんた、この子の事を本当に欲しそうな顔をしてるから」ニッコリ

エルフ魔女「うん。ありがとう!」ニコニコ

巨大猫「……」

エルフ魔女「けど、この子ついさっきから元気ないわね?」

エルフ魔女「何か、一段とまた老けた様な顔をしてしまってるわよ」

エルフ女侯爵「あら? そうね」

巨大猫「……」

783: 2013/12/22(日) 09:52:55 ID:2TBZAKz6
エルフ魔女「やっぱり、今の私なんかよりは元の飼い主の方が良い?」

エルフ魔女「本当の所は、あの魔術師さん達と一緒に暮らしていきたいとそう思ってるの?」

巨大猫「……」

エルフ魔女「なら、特別にあそこで氏んでる魔術師さん達の事を蘇生させてあげる」

エルフ魔女「その代わり、私達の出す条件を飲んでほしいのよね」

巨大猫「……何じゃと?」

エルフ魔女「……何か文句ある?」ニッコリ

巨大猫「……」

エルフ女侯爵「とりあえず、あんた他にリクエストとかある?」

エルフ女侯爵「今なら、特別に聞いてあげても良いんだけど」

784: 2013/12/22(日) 09:53:27 ID:2TBZAKz6
巨大猫「なら、勇者をここに呼んでくれ……」

巨大猫「出来れば、本日中にじゃ……」

エルフ女侯爵「ええ、了解したわ」

エルフ魔女「良かったわね」ニコニコ

巨大猫「……」

エルフ魔女「お母様。ちょっと、悪いんだけど今から頼める?」

エルフ魔女「その間、私がここの指揮を執るわ」

エルフ女侯爵「ええ、構わないけど」

エルフ魔女「後、そこの魔術師さん達の氏体を例のマンボウと出会った田舎町に送るね」

エルフ魔女「あそこなら、すぐにでも預かって貰えるから」

785: 2013/12/22(日) 09:53:57 ID:2TBZAKz6
エルフ女侯爵「そう。それじゃあ、私はまた行ってくるわ」

エルフ女侯爵「多分、次は夜くらいになると思うけど」

エルフ女侯爵「あんた、一応私の娘なんだから気を付けなさいよね」

エルフ女侯爵「今のあんた、昔と比べてまだ子供のままなんだから」

エルフ魔女「ええ、大丈夫よ」

エルフ女侯爵「あんた、くれぐれも無茶だけは止めなさいね」

エルフ女侯爵「今のあんた、結構人間達からは恨まれているんだから」

エルフ女侯爵「まぁ、今の私自身も少しくらいは楽しんでるけどね」

エルフ女侯爵「ここ最近、やけにあんたの機嫌とか良いし」

エルフ女侯爵「だから、あんたも人間達に襲われない様に注意しなさいよね」ニッコリ

786: 2013/12/22(日) 09:54:29 ID:2TBZAKz6
エルフ魔女「うん。分かった」

エルフ魔女「お母様の忠告、ちゃんと聞いてあげといてあげる」

エルフ魔女「お母様。くれぐれも道中は気を付けてね」

エルフ魔女「まだ、どこかに生存者とかがいるかもしれないし」

エルフ魔女「お母様に何かあったら、すぐに私が蘇生させてあげるからね」

エルフ女侯爵「そう。それじゃあね」ニッコリ

エルフ魔女「うん。行ってらっしゃい」ニッコリ

巨大猫「……」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

787: 2013/12/22(日) 09:55:02 ID:2TBZAKz6
エルフ魔女「さてっ、私もまだ少しやらないとね」

エルフ魔女「今のあんた、まだここに残っとく?」チラッ

巨大猫「……誰に聞いておるのじゃ?」

エルフ魔女「私、今のあんたに質問をしてるの」

エルフ魔女「あんた、私の正体はもう気づいているのよね?」

巨大猫「……」コクン

エルフ魔女「なら、今のあんたはそれを黙ってて!」

エルフ魔女「私、まだまだ今後も人間達に逆襲をするつもりだから!」

エルフ魔女「後、私達エルフの事を悪く言うのだけは止めて!」

エルフ魔女「そうじゃなき、私達エルフはどんどん人間達の事を駆逐していくから!」ニッコリ

巨大猫「ああ、了解した……」

788: 2013/12/22(日) 09:55:32 ID:2TBZAKz6
従者A「お嬢様。この氏体の山、どうされますか?」

従者A「つい先程から、ずっとここに放置されていますが」

従者A「このままだと、腐敗する一方ですよ」

従者A「早く、これも焼き捨てた方が良いと思いますが」

巨大猫「……」

エルフ魔女「ああ、それは後で蘇生させる奴よ」

エルフ魔女「適当に、若い男女の氏体だけは蘇生魔法を掛けといて」

従者A「え? 宜しいのですか?」

エルフ魔女「うん。良いのよ」

エルフ魔女「それが終わったら、ついこの間私がマンボウを見つけた田舎町に転送するから」

789: 2013/12/22(日) 09:56:04 ID:2TBZAKz6
エルフ魔女「だから、それまでの間はここに置いといてね」

エルフ魔女「そうしないと、今私の隣にいる巨大猫が納得をしないから」

エルフ魔女「特に、そこの爺さん達二人の氏体は念入りに焼いといてね」

エルフ魔女「今そこで倒れてる若い男女五人の氏体に掛け終わったら、私がその氏体の山を別の地点に移動させるから」

従者A「はい。かしこまりました!」

巨大猫「……」

エルフ魔女「……」

スッ、スチャ……

スッ、ゴクゴクゴクッ……

エルフ魔女「ふぅ……」

790: 2013/12/22(日) 09:56:38 ID:2TBZAKz6
巨大猫「そなた、まだ力はあるのか?……」

巨大猫「まだ、そなたの野心は衰えてはおらぬのか?……」

エルフ魔女「ええ、そうよ」

巨大猫「なら、あの時に出会ったのはそなたの方か?……」

巨大猫「それとも、そなたの母親の方なのか?……」

エルフ魔女「さぁ、どっちだったかしら?」

スッ、キュルキュル……

エルフ魔女「とりあえず、あんた今日どうする?」

エルフ魔女「あんたの普段から使ってる寝床、まだ無事みたいよ」

巨大猫「おおっ、そうなのか……」ゴシコシッ

791: 2013/12/22(日) 09:57:28 ID:2TBZAKz6
エルフ魔女「まぁ、あんたはお母様が勇者をここに連れてくるまでは、のんびりとしてなさい」

エルフ魔女「転移魔法を使えば、一気にエルフの里まで行けるから」

巨大猫「うむ。そうか……」ゴシコシッ

エルフ魔女「後、あんたの今日の夕食は沢山のニシンね」

エルフ魔女「まぁ、今のあんたはかなり大きいから沢山のお魚を出してあげる」

エルフ魔女「だから、あんたはここで大人しくしててね」

エルフ魔女「私の事、そんなに怖がらなくても大丈夫だから」ニッコリ

巨大猫「ああ、了解した……」ゴシコシッ

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

794: 2013/12/23(月) 07:35:40 ID:WKdWHuoQ
~エルフの里・城門~

ヒュルヒュルヒュルヒュル、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

ヒュルヒュルヒュルヒュル、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

スッ、スタッ……

エルフ女侯爵「……」

エルフ女侯爵「……」

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ピタタッ……

警備兵達「……」ビシッ

795: 2013/12/23(月) 07:35:51 ID:WKdWHuoQ
警備士官「お疲れ様です。女侯爵」

警備士官「ご命令通り、勇者の身柄を拘束致しました」

エルフ女侯爵「そう。ご苦労様」

勇者「……」ギロッ

警備士官「しかし、本当に宜しいのですか?」

警備士官「勇者XXXは、昨日から我が里では保護下に置かれていたはずなのですが」

エルフ女侯爵「ええ、良いのよ!」

エルフ女侯爵「こいつ、XXX王国に依頼されて私達の事を始末しに来てたみたいだから!」ニッコリ

警備士官「何ですって!?」

勇者「くっ……」ガクッ

796: 2013/12/23(月) 07:36:03 ID:WKdWHuoQ
警備士官「女侯爵。それは事実なのですか?」

警備士官「でしたら、何故この者を保護されたのですか?」

警備士官「このままでは、女侯爵の責任問題にまで発展致します!」

警備士官「さすがに、今回ばかりはかなり危ないのでは?」

エルフ女侯爵「は?」ギロッ

警備士官「……」ビクッ

警備兵達「……」ビクッ

勇者「……」ビクッ

エルフ女侯爵「いや、それについては大丈夫よ!」

エルフ女侯爵「私、これについてはもう許可取ってんだから!」

797: 2013/12/23(月) 07:36:20 ID:WKdWHuoQ
エルフ女侯爵「こいつには、これからXXX王国がどうなったかについてを見て貰うわ!」

エルフ女侯爵「昨日、私がこいつを保護したのは、最初からそれが目的だったのよ!」

エルフ女侯爵「こいつ、聞く所によるとかなり評判が悪いみたいだからね!」

エルフ女侯爵「だから、私が更にこいつの評判をとことん落としてやりたかったのよ!」

エルフ女侯爵「遥か昔、こいつの父親の所為で私は酷い目に遭った!」

エルフ女侯爵「だから、こいつの父親同様にこいつの事も叩き潰してやろうと思ってた訳!」

警備士官「しっ、失礼致しました……」

警備士官「何分、急な話だったので……」

エルフ女侯爵「分かれば良いわ」

警備兵達「ほっ……」

798: 2013/12/23(月) 07:36:34 ID:WKdWHuoQ
警備士官「でしたら、このまま勇者の事を移送致しますか?」

警備士官「今からだと、さすがに夜になってしまいますが」

勇者「……」ムクッ

エルフ女侯爵「こいつの移送は、この私がやるから!」

エルフ女侯爵「あんた達は、もう持ち場に戻りなさい!」

警備士官「はっ!」ビシッ

警備兵達「……」ビシッ

勇者「……」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

799: 2013/12/23(月) 07:36:51 ID:WKdWHuoQ
エルフ女侯爵「さて、今から私があんたの事を移送するわ」

エルフ女侯爵「何か、質問とかある?」

勇者「……」ギロッ

エルフ女侯爵「その様子だと、あんたあるみたいね」

エルフ女侯爵「まぁ、良いわ。早く、質問があるのなら言ってみなさい」ニッコリ

勇者「……」ギリギリッ

エルフ女侯爵「……」ニコニコ

勇者「……」ギリギリッ

エルフ女侯爵「……」ニコニコ

警備兵達「……」ジーーッ

800: 2013/12/23(月) 07:37:07 ID:WKdWHuoQ
勇者「お前、俺をどうするつもりだ?」

勇者「もう既に、XXX王国を攻め滅ぼした後なのか?」ギリギリッ

エルフ女侯爵「ええ、そうよ」

勇者「なら、一緒にいた俺の仲間達は?」

勇者「まさか、あいつらもあの場で頃したのか?」ギリギリッ

エルフ女侯爵「ええ、そうよ」ニコニコ

勇者「くっ……」ガクッ

エルフ女侯爵「……」ニコニコ

勇者「お前、本当に最悪だよ……」

勇者「どうして、お前みたいな奴がまだこの世にいるんだ?……」

801: 2013/12/23(月) 07:37:22 ID:WKdWHuoQ
エルフ女侯爵「私はただ、仲間達の敵を討っただけよ!」

エルフ女侯爵「何か、文句ある?」

勇者「……」ムクッ、ギロッ

エルフ女侯爵「それに、人間なんて私達の敵じゃないわ!」

エルフ女侯爵「たとえ、見事に魔王を討ち取ったあんたでもね!」

勇者「……」ギリギリッ

エルフ女侯爵「とりあえず、そろそろ行きましょうか?」

エルフ女侯爵「向こうでは、もう既に巨大猫が待っているみたいだし」

勇者「何!?」

シュピン……

802: 2013/12/23(月) 07:37:33 ID:WKdWHuoQ
エルフ女侯爵「ん? あの年増女から通信?」

エルフ女侯爵「今から、ちょっと来てほしいって……」

エルフ女侯爵「私、早く帰ってゆっくりしたいのに……」

エルフ女侯爵「全く、何考えてんだか……」イラッ

勇者「……」

エルフ女侯爵「警備士官。ちょっと来て!」

エルフ女侯爵「こいつ、また暫くの間見ててくれない?」

警備士官「ええ、構いませんが!」

エルフ女侯爵「何か、あの年増女が今から来いって!」

エルフ女侯爵「本当に、相変わらず人使いが荒いんだから!」イライラッ

803: 2013/12/23(月) 07:37:44 ID:WKdWHuoQ
勇者「お前、呼び出しでもくらったのか?」

勇者「まぁ、その性格と言動じゃあ上に目を付けられても無理はないだろう!」

勇者「噂に聞く通りに、お前は人として問題があるな!」

勇者「まぁ、そんな性格とかしてるから、誰からも恨みを買う事になるんじゃないか!」

エルフ女侯爵「あ?」ギロッ

勇者「!?」ビクッ

警備士官「げっ!?」ビクッ

エルフ女侯爵「警備士官。早く来なさい!」

エルフ女侯爵「早く来ないと、こいつ八つ裂きにしてしまうわよ!」イライラッ

警備士官「はっ、はい!」ダッ

804: 2013/12/23(月) 07:39:06 ID:WKdWHuoQ
ザザザザザザッ、ザザザザザザッ……

ザザザザザザッ、ザザザザザザッ……

ピタタタタタッ、ピタタタタタッ……

警備士官「……」

警備兵達「……」

エルフ女侯爵「あんた達、私がここに戻ってくるまでここで見てて!」

エルフ女侯爵「そうじゃなきゃ、あんた達の事も八つ裂きにしてしまうから!」

警備士官「はっ!」ビシッ

警備兵達「……」ビシッ

勇者「……」

805: 2013/12/23(月) 07:39:21 ID:WKdWHuoQ
エルフ女侯爵「後、こいつの持っていた装備類とかは、まだ渡さないで!」

エルフ女侯爵「いつ、どこで何があるかが分からない!」

エルフ女侯爵「私が良いって言うまでは、こいつにだけは渡しちゃダメよ!」

エルフ女侯爵「こいつは、私達エルフの事を殺害しに来た極悪人!」

エルフ女侯爵「だから、氏なない程度に痛め付けておきなさい!」

エルフ女侯爵「それじゃあ!」イライラッ

警備士官「はっ!」ビシッ

警備兵達「……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

806: 2013/12/23(月) 07:39:34 ID:WKdWHuoQ
警備士官「よしっ、お前ら勇者を囲め!」

警備士官「女侯爵からの命令通りに、氏なない程度まで痛め付けろ!」

警備士官「まずは、第一分隊から順番にやって行け!」

警備士官「これは、命令だ!」

警備兵達「はっ!」

勇者「……」

スッ、ガチャ……

ギギィーーーーッ、ギギィーーーーッ……

ダン、カシャン……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

807: 2013/12/23(月) 15:27:00 ID:WKdWHuoQ
~とある城下町・教会前~

半エルフ下士官A「おいっ、これで満杯だ!」

半エルフ下士官A「次の荷馬車を寄越してくれ!」

半エルフ下士官B「あいよ!」

スッ、パン……

荷馬車「ヒヒィーーーーン!」

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

808: 2013/12/23(月) 15:27:12 ID:WKdWHuoQ
半エルフ下士官A「隊長。これどうしますか?」

半エルフ下士官A「さすがに、これは荷馬車に載せれませんよ」

半エルフ士官A「ああ、そうだな」

糞食らいE「……」

半エルフ士官A「この糞食らいは、後で魔法が使える奴等に頼もう」

半エルフ士官A「じゃないと、俺達だけじゃとても運べねぇよ」

半エルフ下士官A「はっ!」

糞食らいE「……」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

809: 2013/12/23(月) 15:27:25 ID:WKdWHuoQ
半エルフ下士官B「隊長。別の荷馬車がこっちに来ます」

半エルフ下士官B「ですが、向こうも満杯の様ですね」

半エルフ士官A「ああ、そうなのか」

半エルフ下士官A「とりあえず、今さっき出た荷馬車が戻ってくるのを待ちましょう」

半エルフ下士官A「それまでは、少し作業が中断してしまいますがね」

半エルフ士官A「ああ、そうだな」

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

810: 2013/12/23(月) 15:27:38 ID:WKdWHuoQ
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

エルフ魔女「ちょっと、士官Aいる?」

エルフ魔女「もしくは、士官Bでも良いわ」

エルフ魔女「少し、お願いがあるんだけど!」

エルフ魔女「今手が空いているのなら、こっちに来て!」

半エルフ士官A「はっ、何でしょうか?」クルッ

半エルフ士官B「いらしてたのですか?」クルッ

エルフ魔女「ええ、まあね」ニッコリ

スタスタスタッ、ピタッ……

811: 2013/12/23(月) 15:27:57 ID:WKdWHuoQ
エルフ魔女「久し振りね。二人とも」

エルフ魔女「すっかり、もう士官として板についちゃって」

エルフ魔女「ここの人間達の氏体、今どこに運ばれてるの?」

エルフ魔女「もしかして、XXX平原に出来た落とし穴の中にでも落としてたのかしら?」ニコニコ

半エルフ士官A「はい。その通りです」

半エルフ士官B「もう既に、味方の氏体の回収作業は終えましたので」

エルフ魔女「そう。ご苦労様」

エルフ魔女「後は、勇者の到着を待つだけね」ニコニコ

半エルフ下士官達「……」ハッ

半エルフ下士官達「……」ビシッ

812: 2013/12/23(月) 15:28:09 ID:WKdWHuoQ
エルフ魔女「二人とも、今から夜間作業の準備を」

エルフ魔女「城下町中に、ウチで使ってる松明を配置していってくれる?」

エルフ魔女「今、城下町で作業を行っているのはハーフエルフなのよね?」

エルフ魔女「夜間には勇者がここに来るし、そろそろ冷えてくるから用意してほしいの」

半エルフ士官A「はっ、了解しました!」ビシッ

半エルフ士官B「すぐに、用意致します!」

エルフ魔女「そう。お願いね」

エルフ魔女「それじゃあ!」ニコニコ

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

813: 2013/12/23(月) 15:28:27 ID:WKdWHuoQ
従者B「お嬢様。蘇生魔法が完了しました!」

従者B「後は、移送させるだけです!」

エルフ魔女「今行くわ!」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

半エルフ士官A「相変わらず、あの方は忙しいな」

半エルフ士官A「次は、一体何を企んでいるのやら」

半エルフ士官A「あの戦い以降、ハーフエルフの地位や待遇等も一段と好転したのに、あの方の野心は未だ衰えてはいない!」

半エルフ士官A「いや、むしろ増す一方だな!」

半エルフ士官B「ああ、そうだな!」

814: 2013/12/23(月) 15:28:41 ID:WKdWHuoQ
半エルフ士官B「でも、何で人間達の氏体をあの穴に埋めるんだ?」

半エルフ士官B「あそこは、俺達の仲間が命を落とした場所なのに!」

半エルフ士官A「ああ、そうだな!」

半エルフ士官B「まさか、穴を掘るのが面倒くさかったとか?」

半エルフ士官B「おいおい、それだったらかなり問題があるぞ!」

半エルフ士官B「あの方は、それを承知で命令を出しているのか?」

半エルフ士官B「あの穴は、俺達の仲間が氏んだ場所なのに!」

半エルフ士官A「ああ、全くだ!」

半エルフ下士官達「……」

半エルフ兵達「……」

815: 2013/12/23(月) 15:28:54 ID:WKdWHuoQ
パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

ピタピタピタッ、ピタピタピタッ……

スッ、スタッ……

半エルフ下士官C「おいっ、まだ運ぶ物はあるか?」

半エルフ士官C「もしあるんなら、今から持ってくぞ!」

エルフ士官達「何!?」クルッ

エルフ下士官B「おおっ、良い所に来てくれた!」

816: 2013/12/23(月) 15:29:05 ID:WKdWHuoQ
半エルフ士官B「なら、今からここの残りを運んで行ってくれ!」

半エルフ士官B「まだ、沢山ここに残ってるだろ?」

半エルフ下士官C「はっ、了解しました!」

半エルフ士官A「さっさと行け!」

半エルフ兵達「はっ!」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタピタピタッ……

スッ、スッ、スッ……

半エルフ兵達「よいしょ!」

817: 2013/12/23(月) 15:31:47 ID:WKdWHuoQ
半エルフ兵達「よいしょ、よいしょ!」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

半エルフ兵達「よいしょ、よいしょ!」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

半エルフ兵達「よいしょ、よいしょ!」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

半エルフ兵達「よいしょ、よいしょ!」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタピタピタッ……

スッ、サッサッサッ……

818: 2013/12/23(月) 15:31:59 ID:WKdWHuoQ
半エルフ士官A「とりあえず、これで作業が再開出来るな」

半エルフ士官A「今、ここに来たのは荷馬車三台か」

半エルフ士官A「あの方の事に関しては、後で聞くとしよう」

半エルフ士官A「夜からは、ダークエルフの連中と交代だ」

半エルフ士官A「皆、しっかりとな!」

半エルフ士官B「おう!」

半エルフ兵達「よいしょ、よいしょ!」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

半エルフ兵達「よいしょ、よいしょ!」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

819: 2013/12/23(月) 15:32:11 ID:WKdWHuoQ
半エルフ下士官B「隊長。さっきの件、どう致しますか?」

半エルフ下士官B「各隊に、今から要請をしましょうか?」

半エルフ士官A「ああ、頼む!」

半エルフ下士官D「隊長。ここが終わったら満杯です!」

半エルフ下士官D「次の荷馬車が来るのは、まだ先の事です!」

半エルフ士官「ああ、了解した!」

半エルフ兵達「よいしょ、よいしょ!」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

半エルフ兵達「よいしょ、よいしょ!」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

820: 2013/12/23(月) 15:33:18 ID:WKdWHuoQ
~とある田舎町・魔術師の従姉妹の自宅前~

ヒュルヒュルヒュルヒュル、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

ヒュルヒュルヒュルヒュル、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

スッ、スタタタタタッ……

エルフ魔女「……」

エルフ魔女「……」

スタスタスタッ、ピタッ……

トントン、トントン……

「はい。どなた?」

スッ、ガチャ……

821: 2013/12/23(月) 15:33:31 ID:WKdWHuoQ
エルフ魔女「お久し振りです。魔法使いのお兄さん達」

エルフ魔女「少し、お時間の方を宜しいですか?」ニッコリ

魔法使い2「!?」

魔術師2「あら、あの時のエルフちゃんじゃない!?」

魔術師2「一体、どうしたの!?」

魔法使い2「……」

エルフ魔女「実は、少し魔法使いのお兄さん達にお願いしたい事があるんです!」

エルフ魔女「今、私の後ろに氏体の入った棺桶があります!」

エルフ魔女「本日の午前九時頃から、ハーフエルフの軍勢がこの国の国王様がいらっしゃる城下町に攻め込みました!」

エルフ魔女「それで、今私の後ろにある氏体の山を、明日の朝までここで預かって貰っても宜しいでしょうか?」

822: 2013/12/23(月) 15:33:43 ID:WKdWHuoQ
魔法使い2「えっ!? 氏体の山!?」

魔法使い2「そんなのここに持ってこられても、ボク達が困るんだけど!?」

魔法使い2「と言うか、本当にハーフエルフの軍勢がこの国の王都に攻め行ったの!?」

魔法使い2「ボク達、何も上からは聞かされてはいないよ!?」

魔術師2「うん。そうだね……」

魔法使い2「とりあえず、君の後ろにある氏体の山は君が持って帰って……」

魔法使い2「と言うか、何でここに持ってきたの?……」

魔法使い2「その氏体の山を蘇生させたいのなら、ボク達が教会まで案内をしようか?……」

魔法使い2「今日は、君だけがここに来たのかい?……」

魔術師2「……」

823: 2013/12/23(月) 15:34:15 ID:WKdWHuoQ
エルフ魔女「ええ、そうですよ」

エルフ魔女「今日は、私一人で来たんです」

エルフ魔女「この氏体の山の中には、魔術師のお姉さん達の従姉妹さんも含まれています」

エルフ魔女「どうやら、その魔術師のお姉さんの従姉妹さんが、その戦いに巻き込まれてたみたいでしてね」

エルフ魔女「あのまま、放置されていたら一緒に燃やされる所でした」

魔術師2「!?」

エルフ魔女「だから、私はここにこの氏体の山を持ってきたんです」

エルフ魔女「この氏体の山の中には、私とそんなに見た目が変わらない女の子の氏体も含まれています」

エルフ魔女「後、明日になったら彼女達は自動的に目を覚ましますよ」

エルフ魔女「ですから、それまでの間はここで預かって貰っても宜しいでしょうか?」

824: 2013/12/23(月) 15:34:33 ID:WKdWHuoQ
魔術師2「うん。分かった!」

魔術師2「そう言う事なら、私達が預かるよ!」

魔術師2「XXXX君。良いよね?」

魔術師2「このまま、ここで引き取っても良いよね?」クルッ

魔法使い2「ああ、構わないけど!」

魔術師2「やった!」ニッコリ

エルフ魔女「ありがとうございます!」ペコッ

魔法使い2「けど、よく手に入れれたね?」

魔法使い2「普通なら、人間の氏体なんて手に入らないと思うんだけど」

魔術師2「あっ……」クルッ

825: 2013/12/23(月) 15:34:44 ID:WKdWHuoQ
エルフ魔女「それについては、ちょっとしたコネで」

エルフ魔女「一応、これでも私は貴族の娘ですから」ニッコリ

魔術師2「ああ、そうなんだ」

魔法使い2「なら、この氏体の山を手に入れれたのも納得がいくね」

魔法使い2「君のお母さん。かなり上の身分なんだ」

魔法使い2「と言う事は、今回の戦いについては君の親戚とかも関わっているとか?」

魔法使い2「いや、君は見たところ純粋なエルフみたいだね」

魔法使い2「君のお母さんは、色々とヒステリックでバイオレンスな所があるけど疑ったら悪いか」

魔術師2「うん。そうだよ」ニッコリ

エルフ魔女「……」ニコニコ

826: 2013/12/23(月) 15:34:55 ID:WKdWHuoQ
魔術師2「それで、今日はそれだけ?」

魔術師2「私達、あれを明日の朝まで預かっていたら良いの?」

エルフ魔女「はい。そうです」ニコニコ

魔術師2「でも、なんか人数が多くない?」

魔術師2「王都に住む私の従姉妹は、女の子が二人だけなんだけど」

魔術師2「それにしては、人数が多いね」

魔術師2「と言うか、あれはケット・シー用の棺桶もあるじゃない」

魔法使い2「あっ、本当だ」

エルフ魔女「……」クルッ

魔術師2「……」ジーーッ

827: 2013/12/23(月) 15:37:56 ID:WKdWHuoQ
魔術師2「ねぇ、エルフちゃん。他の棺桶の中身は?」

魔術師2「さすがに、私の従姉妹二人以外は預かりたくないなぁ」ジーーッ

魔法使い2「うん。そうだね」ジーーッ

魔術師2「エルフちゃん。悪いけど、後の四つは持って帰ってくれる?」クルッ

魔術師「さすがに、他の四つは今すぐにでも持って帰ってほしい」ニッコリ

魔法使い「……」クルッ

エルフ魔女「実は、あの棺桶の中には勇者XXXの仲間が三人も含まれています」

エルフ魔女「残り一つは、魔術師のお姉さんの従姉妹さんが飼っていた一匹のケット・シー」

エルフ魔女「その三人は、従姉妹さんとも親しくしていて、本日の戦いに巻き込まれて三名とも戦氏」

エルフ魔女「自身の生まれ故郷には、体を悪くしたご家族の皆さんがいらっしゃるみたいでして、それで私が母に無理を言って引き取って貰ったんです」

828: 2013/12/23(月) 15:38:20 ID:WKdWHuoQ
魔術師2「ふぅん。そうなんだ」

魔術師2「それで、ここの家の前には六つも棺桶が置いてあるんだ」

魔術師2「と言うか、今更だけど“人間の氏体のマーケット”とか、この世にあるの?」

魔術師2「さすがに、私も“人間の氏体のマーケット”なんて見た事なんかないなぁ」

魔法使い2「うん。そうだね」ジーーッ

エルフ魔女「いや、そんなのはこの世にはありませんよ」

エルフ魔女「私も、そんな人道に反するマーケットなんて聞いた事はありません」

エルフ魔女「この氏体の山は、無理を言って手に入れて貰ったんです」

エルフ魔女「ですから、どうか安心をして下さい」

エルフ魔女「私も、彼女達には生前によくして貰いましたから」ニッコリ

829: 2013/12/23(月) 15:38:37 ID:WKdWHuoQ
魔術師2「あら? そうなの?」

魔術師2「エルフちゃん。私の従姉妹とも会った事があるんだ」

魔術師2「私の従姉妹、かなりそそっかしいでしょ?」

魔術師2「口や態度の悪い伯父さん達に、毎日鍛えられていてね」

魔術師2「今では、今日の戦があった王都で傭兵をしていたわ」ニッコリ

エルフ魔女「……」

魔術師2「まぁ、私はあの伯父さん達とはあまり合わなかったけど」

魔術師2「あの伯父さん。リアルに誰か犯してたんじゃないかしら?」

魔術師2「とりあえず、あの四つもウチで引き取るね」

魔術師2「久し振りに、ウチには大勢のお客様が来たみたいだから」ニコニコ

830: 2013/12/23(月) 15:38:50 ID:WKdWHuoQ
魔法使い2「なら、明日の為に準備しとく?」

魔法使い2「僕も、その勇者の仲間達に会ってみたくなったから」

魔術師2「あら、XXXX君も?」ニコニコ

魔法使い2「うん。なんか、ボクも興味が沸いちゃってね」

魔法使い2「勇者XXXって言ったら、つい最近になって見事に魔王を倒した勇者でしょ?」

魔法使い2「でも、その勇者XXX自体はかなり評判が悪いね」

魔法使い2「なんか、自分の仲間達を自らの手で頃したりしてたみたいだし」

魔法使い2「その中では、極僅かしか生き残りがいないって聞いてたからね」

魔法使い2「もしかしたら、その中の生き残りかもしれないから」ニッコリ

魔術師2「へぇ……」

831: 2013/12/23(月) 15:39:08 ID:WKdWHuoQ
エルフ魔女「ああ、すみません」

エルフ魔女「あの中に入っているのは、その生き残りの人達のご兄弟の方達です」

エルフ魔女「勇者XXXは、今はエルフの里にいますよ」

エルフ魔女「私も、昨日のお昼にお母様のコネで勇者XXXにお会いした事があります」

エルフ魔女「彼、世間から噂されている様な酷い人相じゃありませんでした」

エルフ魔女「どっちかと言うと、誰かが流した悪い噂に悩むクールな感じのイケメンでしたね」

魔術師「えっ!? そうなの!?」

魔法使い「君のお母さんって、そんな事も出来ちゃうんだ!?」

エルフ魔女「はい。そうですよ」

魔術師「ええ~~っ!?」

832: 2013/12/23(月) 15:39:46 ID:WKdWHuoQ
魔術師2「じゃあ、今度私も勇者様に会わせて貰える?」

魔術師2「私、彼に会ってみたい!」ニッコリ

魔法使い2「XXXXX!」

魔術師2「あっ、今の私達はどっちみち彼に会えちゃうんだ!」

魔術師2「私、ついうっかりしてた!」

魔法使い2「うん。そうだね!」

エルフ魔女「……」

赤ん坊「おぎゃあーーーーっ、おぎゃあ――――っ!」

赤ん坊「おぎゃあーーーーっ、おぎゃあーーーーっ!」

エルフ魔女「えっ?」キョトン

833: 2013/12/23(月) 15:40:03 ID:WKdWHuoQ
魔術師2「あっ、XXXが起きちゃった」

魔術師2「私、今からミルクあげてくるね」

魔法使い2「うん。お願い」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、スッ……

赤ん坊「おぎゃあーーーーっ、おぎゃあ――――っ!」

赤ん坊「おぎゃあーーーーっ、おぎゃあーーーーっ!」

エルフ魔女「うっ、うそ? そんな……」

スッ、パサパサッ……

834: 2013/12/23(月) 15:40:17 ID:WKdWHuoQ
魔術師「はいはい。今から、ママがミルクをあげますからねぇ!」

魔術師「だから、XXXも大人しくしてて!」ニッコリ

赤ん坊「!?」ピクッ

スッ、ギュッ……

スッ、ガシッ……

赤ん坊「……」チューーチュウ

赤ん坊「……」チューーチュウ

赤ん坊「……」チューーチュウ

赤ん坊「……」チューーチュウ

エルフ魔女「……」

835: 2013/12/23(月) 15:40:32 ID:WKdWHuoQ
エルフ魔女「ああ、なんかすみません……」

エルフ魔女「ご家族でゆっくりとしている時に、急におしかけちゃって……」

エルフ魔女「そろそろ、私も失礼致します」

エルフ魔女「お二人とも、どうかこれからもお幸せに!」ペコッ

魔法使い2「うん。またね!」ニッコリ

魔術師2「また今度ね!」ニッコリ

エルフ魔女「はい。さようなら!」ニッコリ

スッ、バタン……

赤ん坊「……」チューーチュウ

赤ん坊「……」チューーチュウ

836: 2013/12/23(月) 15:41:03 ID:WKdWHuoQ
「とりあえず、XXXにミルクを飲ませたら、あれ運ぶの手伝って」

「それが終わったら、倉庫の鍵を開けてくるよ」

「まぁ、明日の朝までならすぐ横にある倉庫になら十分かな」

「もうじき日も暮れてくるし、早いとこ倉庫に運ばないといけないからね」

「うん。そうだね」

エルフ魔女「……」クルッ

スッ、スポッ……

プシューーーーッ、プシューーーーッ……

プシューーーーッ、プシューーーーッ……

シューーーーーーーーッ、シュン……

837: 2013/12/24(火) 07:32:46 ID:AwfbQto.
~とある城下町・城門前~

その日の夜――

ヒュルヒュルヒュルヒュル、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

ヒュルヒュルヒュルヒュル、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

スッ、スタタタッ……

勇者「……」

エルフ女侯爵「……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタタッ……

闇エルフ兵達「……」ビシッ

838: 2013/12/24(火) 07:32:58 ID:AwfbQto.
闇エルフ士官A「女侯爵。お疲れ様です!」

闇エルフ士官A「自分は、闇エルフ隊の闇エルフ士官Aと言います!」

闇エルフ士官A「ご命令通りに、人間達の氏体の搬出作業は完了致しました!」

闇エルフ士官A「後は、人間達の氏体を燃やし尽くすだけです!」

エルフ女侯爵「そう。ご苦労様!」

勇者「!?」

闇エルフ士官A「所で、こちらの方は?」

闇エルフ士官A「こちらにいらっしゃるのが例の勇者様ですか?」

エルフ女侯爵「ええ、そうよ」

勇者「……」ギロッ

839: 2013/12/24(火) 07:33:10 ID:AwfbQto.
闇エルフ士官A「ほう。これはこれは……」

闇エルフ士官A「貴殿が、例の勇者様か……」

闇エルフ士官A「噂とは違って、顔だけは良いみたいだな」

闇エルフ士官A「貴殿の噂は、我々の里にも届いておるぞ」ニヤリ

勇者「……」ジーーッ

闇エルフ士官A「だが、それも今日で終わりだ!」

闇エルフ士官A「貴殿には、これから勇者としての資格を剥奪させて頂く!」

闇エルフ士官A「これまで、貴殿は数々の罪を犯した!」

闇エルフ士官A「その報いを、今後は受けて貰うからな!」ニヤニヤ

勇者「何!?」

840: 2013/12/24(火) 07:33:22 ID:AwfbQto.
エルフ女侯爵「闇エルフ士官A、勇者XXXを中に」

エルフ女侯爵「巨大猫は、まだ教会の中にいるのかしら?」

闇エルフ士官A「はい。その様です」

エルフ女侯爵「じゃあ、勇者XXXをこのまま巨大猫の元に」

エルフ女侯爵「そろそろ、私も娘の事を迎えに行きたいから」

闇エルフ士官A「はっ、かしこまりました!」

勇者「……」

闇エルフ士官A「やれ!」

闇エルフ兵達「はっ!」

スタスタスタッ、ピタッ……

841: 2013/12/24(火) 07:33:33 ID:AwfbQto.
スッ、バシン……

闇エルフ士官A「ほらっ、歩け!」

勇者「……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタタッ……

スッ、ガチャ……

ギギィーーーーッ、ギギィーーーーッ……

ダン、カシャン……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

842: 2013/12/24(火) 07:33:53 ID:AwfbQto.
~とある城下町・表通り~

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

闇エルフ兵「おい、闇エルフ兵2」

闇エルフ兵「今俺達の前にいるのが、噂の勇者様みたいだ」

闇エルフ兵「案外、勇者は若かったんだな」

闇エルフ兵「大体、まだ18くらいの男みたいだぞ」

闇エルフ兵2「ああ、そうだな」

勇者「……」

エルフ女侯爵「……」

843: 2013/12/24(火) 07:34:04 ID:AwfbQto.
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

闇エルフ兵3「けど、勇者XXXも気の毒に」

闇エルフ兵3「自身の悪い噂さえなければ、田舎でのんびりと暮らせたのによう」

闇エルフ兵3「魔王を倒しに行く途中で、自身の仲間達に何度も何度も乱暴をした」

闇エルフ兵3「だから、勇者の悪評が世界中に流れちまったらしい」

闇エルフ兵2「へぇ~~っ」

勇者「……」

エルフ女侯爵「……」

闇エルフ士官「……」ニヤニヤ

844: 2013/12/24(火) 07:34:15 ID:AwfbQto.
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

闇エルフ兵長「おいっ、お前ら静かにしろ!」

闇エルフ兵長「いいから、黙って歩け!」

闇エルフ兵達「はっ、失礼致しました!」

闇エルフ士官A「まぁ、お前らはまだ新兵だから大目に見てやる」

闇エルフ士官A「ただし、今回だけだからな」チラッ

闇エルフ兵達「はっ、ありがとうございます!」

勇者「……」

闇エルフ士官A「……」ニヤニヤ

845: 2013/12/24(火) 07:34:26 ID:AwfbQto.
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

闇エルフ士官A「後、お前ら肉は好きか?」

闇エルフ士官A「後で、皆で盛大に祝杯をあげるそうだ」

闇エルフ士官A「ただし、勇者様の前だけでは絶対に食うなよ?」

闇エルフ士官A「今こちらにいらっしゃる勇者様には、これからとことんと苦しんで貰うんだからな」ニヤニヤ

闇エルフ兵達「はっ、了解しました!」ニヤリ

エルフ女侯爵「ええ、そうね」クスッ

勇者「……」

闇エルフ士官A「……」ニヤニヤ

846: 2013/12/24(火) 07:34:36 ID:AwfbQto.
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

闇エルフ士官「むっ? 女侯爵。前方に巨大猫がいます」

闇エルフ士官「予定では、教会の中で会うはずですが如何致しますか?」

勇者「!?」ハッ

巨大猫「……」ジーーッ

エルフ女侯爵「闇エルフ士官A、そのまま巨大猫と合流をして」

エルフ女侯爵「どうやら、向こうは痺れを切らしちゃったみたいだから」

闇エルフ士官A「はっ!」

巨大猫「……」ジーーッ

847: 2013/12/24(火) 07:37:11 ID:AwfbQto.
~とある城下町・中央広場~

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

巨大猫「……」ジーーッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタタタタタッ、ピタタタタタッ……

巨大猫「うむ。来たか」

巨大猫「勇者XXX。待ちわびておったぞ」ギロッ

勇者「……」

848: 2013/12/24(火) 07:37:24 ID:AwfbQto.
エルフ女侯爵「巨大猫。お待たせ」

エルフ女侯爵「約束通りに、勇者XXXをこの町に連れてきたわよ」

巨大猫「おおっ、すまぬ」

エルフ女侯爵「それで、元の飼い主の件はどうなったの?」

エルフ女侯爵「あの子の事だから、もう既にやり終えた後なのかしら?」

巨大猫「ああ、まあな」ニッコリ

勇者「……」

巨大猫「とりあえず、勇者よ。よく戻った」

巨大猫「今のそなたは、かなり残念な事になってしまったがな」

エルフ女侯爵「ええ、そうね」

849: 2013/12/24(火) 07:37:41 ID:AwfbQto.
巨大猫「勇者XXX。これより、そなたの勇者としての資格を剥奪する!」

巨大猫「罪状は、わざわざ妾達が言うまでもない!」

巨大猫「これまで、そなたは人としての道に外れ過ぎた!」

巨大猫「今回の戦が原因にて、そなたの悪評がますます世界中に広がるであろう!」

勇者「……」

巨大猫「じゃから、今後一切そなたが勇者と名乗る事を禁止する!」

巨大猫「これは、もう既に決まった事なのじゃ!」

巨大猫「本当に、これまで色々とご苦労だった!」

巨大猫「そなたが成し遂げた“魔王討伐”だけに関しては、世界中の民達が口を揃えて礼を言っておるぞ!」

勇者「……」

850: 2013/12/24(火) 07:37:53 ID:AwfbQto.
巨大猫「勇者。何か、申し開きはあるか?」

巨大猫「もしあるのなら、この場で妾が聞いてやるぞ」

巨大猫「こう見えても、妾は色々と顔が広い」

巨大猫「そうじゃなければ、今の妾はここにはおらんからな」

エルフ女侯爵「ええ、そうね」

勇者「……」

巨大猫「それで、何か申し開きは?」

巨大猫「ついさっきから、何故そなたは黙ったままなのじゃ?」

勇者「……」ギロッ

巨大猫「……」

851: 2013/12/24(火) 07:38:09 ID:AwfbQto.
勇者「お前、最初から分かってたのか?」

勇者「俺が、勇者の資格を剥奪されるのを分かって見てたのか?」

巨大猫「ああ、まあな」

勇者「なら、何故俺の事を騙した!?」

勇者「お前は、最初から俺の事を騙してたのか!?」

巨大猫「……」

勇者「結局、俺はどこに行ってもはみ出し者か!?」

勇者「一体、何の為に俺は魔王を倒したんだ!?」

勇者「俺も、好きであんな事をしてたんじゃねぇ!」

勇者「あれは、ただの事故だったんだ!」ギリッ

852: 2013/12/24(火) 07:38:21 ID:AwfbQto.
エルフ女侯爵「勇者。少し落ち着きなさい」

エルフ女侯爵「巨大猫は、最初からあんたの事を騙すつもりなんてなかったのよ」

エルフ女侯爵「巨大猫は、心からあんたには更正をしてほしかった」

エルフ女侯爵「そうじゃなきゃ、巨大猫はあんたの側で通訳なんかしていないわよ」

勇者「何!?」ギロッ

巨大猫「……」

エルフ女侯爵「勇者。これで、もうあんたも終わりだわ」

エルフ女侯爵「あんたは、XXX王国からの依頼を達成出来なかった」

エルフ女侯爵「その結果、XXX王国の民達は皆氏んでいったのよ」

エルフ女侯爵「全ては、今のあんたの力不足と言う訳でね」

853: 2013/12/24(火) 07:38:54 ID:AwfbQto.
勇者「お前、今の本気で言ってるのか?」

勇者「ここから、エルフの里まで何百kmあると思ってんだ?」

勇者「それに、これは明らかに無理が有り過ぎるだろ?」

勇者「そんな無茶苦茶な理由で、俺の悪評を更に追加してんじゃねぇ!」

エルフ女侯爵「……」

勇者「はぁ、はぁ、はぁ……」

巨大猫「そもそも、最初からそなたがいけないのじゃ」

巨大猫「そなたが、旅の途中で幾度もなく各地で乱暴狼藉さえしなければ、こんな事にはならなかった」

勇者「あっ?」ギロッ

巨大猫「……」

854: 2013/12/24(火) 07:39:25 ID:AwfbQto.
エルフ女侯爵「それについては、もう完全に自業自得ね」

エルフ女侯爵「今のあんた、何の罪もない人まで自らの手で殺めちゃってるから」

勇者「……」ギロッ

エルフ女侯爵「あんたがこれまで手を出した女達、その後どうなったと思う?」

エルフ女侯爵「皆揃って、誰が父親かが全く解らない子供を妊娠しちゃってた」

エルフ女侯爵「その後すぐ、何故か酷く心を病んで体調とかも崩しちゃってね」

エルフ女侯爵「そのまま、必氏になって神に許しを請いながらも氏んでいったわ」

勇者「……」

エルフ女侯爵「だから、今のあんたはこんな事になるのよ」

エルフ女侯爵「今まで、どんだけ他人に迷惑等を掛けてきた訳?」

855: 2013/12/24(火) 07:39:41 ID:AwfbQto.
勇者「だが、俺をその程度の事では罪には問えない」

勇者「たとえ、女達が心を病んで氏んだとしても、俺が原因だとは言えないだろ?」

巨大猫「まぁ、そうじゃが」

エルフ女侯爵「なら、自身の仲間にした事に関しては?」

エルフ女侯爵「それについては、どう弁解をするの?」

巨大猫「勇者」

エルフ女侯爵「……」ジーーッ

勇者「あれは、ただの不幸な事故だった!」

勇者「ちょっと、旅先で起きた事故だったんだよ!」

エルフ女侯爵「へぇ~~っ、それで?」ジーーッ

856: 2013/12/24(火) 07:39:51 ID:AwfbQto.
勇者「あれは、俺と仲間達がいつもの様に馴染みの娼館に向かった時の事だった」

勇者「その時に、その店で偶々入った美人でナイスバディの女性の取り合いとなってな」

勇者「最初に、その美女の相手をしたのは、戦士の兄だった」

勇者「俺は、その戦士の兄の次の次でその美女の事を抱く事が出来たんだ」シミジミ

エルフ女侯爵「は?」

巨大猫「ふざけとんのか? 貴様!」

勇者「いや、ふざけてなんかいない!」

勇者「そもそもの発端は、これが原因なんだ!」

勇者「あれさえなければ、俺達は分裂しなかった!」

勇者「皆、全て俺に原因がある訳じゃあないんだよ!」

857: 2013/12/24(火) 07:41:41 ID:AwfbQto.
勇者「それに加えて、あの子の反応はどうだったと思う?」

勇者「俺達8人で挑んでも、結局は勝てなかった!」

勇者「皆、あの子のテクニックの前にはすぐさま完敗!」

勇者「俺達は、完全にあの子の虜になってしまったんだ!」

エルフ女侯爵「……」

巨大猫「呆れたな」

勇者「なんとでも言え!」

エルフ女侯爵「……」

巨大猫「では、何故そんなくだらない事で仲間達を殺めた?」

巨大猫「そなたとその仲間達は、とても深い絆で結ばれていたのであろう?」

858: 2013/12/24(火) 07:41:54 ID:AwfbQto.
勇者「だから、全て俺に原因がある訳じゃない!」

勇者「魔王との最終決戦の時でも、皆が力を合わせて戦っていたんだ!」

勇者「その時に、俺の仲間の賢者と商人と盗賊と武闘家が戦氏!」

勇者「結局、最後まで生き残ったのは、俺と戦士の兄達の四人だったんだ!」

巨大猫「ふむ。そうか」

エルフ女侯爵「じゃあ、何であんたの悪評があそこまで流されているの?」

エルフ女侯爵「もし仮に、あんたの言う通りに魔王との最終決戦の時に氏んだのなら、最初からそう訴えたらいいじゃない?」

巨大猫「ああ、そうじゃな」

勇者「あれは、完全に俺の事を貶める為の罠だ!」

勇者「皆、勇者である俺の事を妬んでいたんだ!」

859: 2013/12/24(火) 07:42:05 ID:AwfbQto.
エルフ女侯爵「勇者XXX。もうこれ以上の弁解はいいわ」

エルフ女侯爵「私、聞いてて気分が悪くなってきた」

エルフ女侯爵「とりあえず、さっさと勇者の証等を剥奪するわよ」

エルフ女侯爵「闇エルフ士官A、勇者を教会にまで連行をして!」

エルフ女侯爵「さぁ、早く!」

闇エルフ士官A「はっ!」ビシッ

勇者「!?」

闇エルフ下士官A「さぁ、行くぞ!」

闇エルフ下士官A「早く歩け!」

勇者「ちっ……」バシン

860: 2013/12/24(火) 07:42:16 ID:AwfbQto.
クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

エルフ女侯爵「巨大猫。あんたも今から同席して」

エルフ女侯爵「勇者の持つ証とかを剥奪するには、女神様の力が必要だから」

巨大猫「ああ、了解した」

エルフ女侯爵「後、それが終わったら、私もう帰るわ」

エルフ女侯爵「あの子も、そろそろ待ちくたびれている頃だと思うからね」

巨大猫「ああ、そうじゃな」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

862: 2013/12/24(火) 13:38:13 ID:AwfbQto.
むしろ、勇者の周りにまともな人物がいる方が稀です。

863: 2013/12/24(火) 13:38:29 ID:AwfbQto.
~とある教会・聖堂~

その頃――

エルフ魔女「♪~♪~♪~♪」

エルフ魔女「♪~♪~♪~♪」

エルフ魔女「♪~♪~♪~♪」

エルフ魔女「♪~♪~♪~♪」

エルフ魔女「♪~♪~♪~♪」

エルフ魔女「♪~♪~♪~♪」

エルフ魔女「♪~♪~♪~♪」

エルフ魔女「♪~♪~♪~♪」

864: 2013/12/24(火) 13:38:39 ID:AwfbQto.
エルフ魔女「♪~♪~♪~♪」

エルフ魔女「♪~♪~♪~♪」

エルフ魔女「♪~♪~♪~♪」

エルフ魔女「♪~♪~♪~♪」

エルフ魔女「♪~♪~♪~♪」

エルフ魔女「♪~♪~♪~♪」

エルフ魔女「♪~♪~♪~♪」

エルフ魔女「♪~♪~♪~♪」

スッ、ガチャ……

ギギィーーーーッ、ダン……

865: 2013/12/24(火) 13:38:57 ID:AwfbQto.
エルフ魔女「♪~♪~♪~♪」

エルフ魔女「♪~♪~♪~♪」

エルフ魔女「♪~♪~♪~♪」

エルフ魔女「♪~♪~♪~♪」ハッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

エルフ魔女「……」クルッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタタタタタッ、ピタタタタタッ……

866: 2013/12/24(火) 13:39:11 ID:AwfbQto.
エルフ女侯爵「ふぅ、お待たせ」

エルフ女侯爵「少し遅くなったけど、勇者XXXをここに連れてきたわ」

エルフ魔女「そう。ご苦労様」

エルフ女侯爵「それで、今あんた何歌ってたの?」

エルフ女侯爵「私達が来るやいなや、急に歌うのを止めたみたいじゃない」

エルフ魔女「あら、そうだったかしら?」ニッコリ

エルフ女侯爵「とりあえず、さっさとやるわよ」

エルフ女侯爵「女神様は、まだいらっしゃらないのかしら?」

エルフ魔女「うん。そうみたいね」

勇者「……」

867: 2013/12/24(火) 13:39:22 ID:AwfbQto.
エルフ魔女「さてっ、本日はよくお越し頂きました。勇者様!」

エルフ魔女「これから、勇者様は“勇者としての資格等”を剥奪をされます!」

エルフ魔女「詳しい事については、女神様よりご説明があります!」

エルフ魔女「ですから、勇者様はこちらで少しの間ご寛ぎ下さいませ」

勇者「……ああ、了解した」

スッ、ストッ……

闇エルフ士官A「では、私共は外で待機しております」

闇エルフ士官A「御用がありましたら、すぐに声をお掛け下さいませ」

エルフ魔女「そう。ご苦労様」

闇エルフ兵達「……」ペコッ

868: 2013/12/24(火) 13:39:42 ID:AwfbQto.
クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

エルフ魔女「……」

エルフ女侯爵「……」

巨大猫「……」

勇者「……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、ガチャ……

ギギィーーーーッ、ダン……

869: 2013/12/24(火) 13:40:12 ID:AwfbQto.
シュン、シューーーーーーーーン……

ヒュルヒュルヒュルヒュル、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

ヒュルヒュルヒュルヒュル、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

シュン、ポワワン……

「女侯爵XXXXXX。ご苦労様」

「どうやら、勇者XXXはXXX王国を救えなかったみたいですね」

エルフ女侯爵「ええ、その様です」

勇者「!?」ハッ

勇者以外「……」ペコッ

女神「……」

870: 2013/12/24(火) 13:40:24 ID:AwfbQto.
女神「勇者XXX。お久し振りです」

女神「貴方が、こうして私と会うのは何年振りでしたかね?」

勇者「……」ペコッ

女神「貴方には、本当に心から失望を致しましたよ」

女神「私が与えた力等を乱用し、数々の罪を犯してきた」

女神「貴方が気づいているかどうか知りませんが、貴方の側にいた守護天使からの報告を受けています」

女神「これまで、数々の人々を自らの手で殺めていたみたいですね」

女神「魔王を見事に討ち取った今、貴方の持つ私が与えた力等をすぐさまこの場で剥奪をしなければなりません」

勇者「くっ……」ガクッ

エルフ魔女「……」ニヤニヤ

871: 2013/12/24(火) 13:40:56 ID:AwfbQto.
女神「勇者XXX。本日を持って、勇者としての全ての資格や力等を剥奪をします!」

女神「これから先、貴方はただのどこにでもいる一人の人間となります!」

女神「勇者が魔王を見事に討ち取った後は、その力や資格等を私にすぐさま返さなければなりません!」

女神「それなのに、貴方はすぐにそれを私に返さなかった!」

女神「だから、私は貴方にあの様な試練を与えたのです!」

勇者「……」

女神「勇者XXX。それに関する何か申し開きは?」

女神「貴方は、何故すぐに私にそれらを返さなかったのですか?」

女神「この際だから、一応は聞いておきます」

女神「どうせ、貴方の事ですからその力等を乱用して、何の罪のない女性達の事を犯したかったのでしょう?」

872: 2013/12/24(火) 13:41:08 ID:AwfbQto.
勇者「……それについては、事実誤認です」

勇者「私は、女神様に報告をされた様な悪どい人間ではございませぬ」

女神「……」

勇者「私の今流されている悪い噂に関しましては、全て事実誤認」

勇者「私の事を妬む世界中の者達が、こぞって私の悪い噂を流したのです」

女神「そう。そうですか」

「呆れましたね」

勇者「え?」

シュン、ポワワン……

守護天使「……」フワフワッ

873: 2013/12/24(火) 13:43:58 ID:AwfbQto.
守護天使「お初にお目に掛かります。勇者様」

守護天使「私、これまで勇者様のお側にいました守護天使と言います」ペコッ

勇者「!?」

守護天使「この度は、大変残念な結果となってしまわれました」

守護天使「貴方様はお気づきになっておられませんでしたが、私は常に勇者様の側にいます」

守護天使「貴方様がどこでいつ何をしていたかにつきましては、全て私の方で常に記録」

守護天使「この私がこれまで見聞きした事全てを、大天使様を通して女神様にご報告をしていたと言う訳です」ニッコリ

勇者「くっ……」ガクッ

女神「あらあら」

守護天使「恥を知りなさい!」ギロッ

874: 2013/12/24(火) 13:44:30 ID:AwfbQto.
女神「それで、今度はどう言い逃れをするのですか?」

女神「私がいる前で言い逃れをするとは、かなり良い度胸ですね」

勇者「……」

守護天使「……」ジーーッ

女神「では、これより貴方の力等を全て剥奪します!」

女神「そこに直りなさい!」

勇者「……」

守護天使「……」ジーーッ

シュン、ポワワン……

大天使「……」フワフワッ

875: 2013/12/24(火) 13:44:45 ID:AwfbQto.
シュン、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

ヒュルヒュルヒュルヒュル、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

スッ、スタッ……

勇者「!?」

大天使「……」スッ、スチャ

ギュイイイイイイイイーーーーーーーーン……

勇者「――――――――っ!?」

ギュイイイイイイイイーーーーーーーーン……

勇者「――――――――っ!?」

スッ、ドサッ……

876: 2013/12/24(火) 13:45:03 ID:AwfbQto.
クルッ、ペコッ……

大天使「女神様。完了致しました!」

大天使「これで、世界が平和に包まれます!」

元勇者「……」

女神「そう。ご苦労様!」

女神「お二人とも、もう下がっても構いません!」

大天使「はっ!」ビシッ

守護天使「失礼致します!」ビシッ

シュン、シュン……

元勇者「……」

877: 2013/12/24(火) 13:45:19 ID:AwfbQto.
女神「さてっ、これで私の役目も終わりましたね」

女神「女侯爵XXXXXX。貴女方二人も、もう下がって頂いても構いません」

女神「こうして、今の貴女方とお会いするのも何年振りでしたかね?」

女神「特に、貴女とその娘は、とても数奇な運命を辿っていた様ですが」

元勇者「……」

エルフ女侯爵「女神様。私が貴女様とこうしてお会い致しますのは、123年振りです」

エルフ女侯爵「あの頃の私は、何の力の無いただの一人のエルフでした」

エルフ女侯爵「こうして、今の私達がありますのは全て女神様のお陰です!」

エルフ女侯爵「どうかこれからも、私達親子の事を宜しくお願い致します!」ペコッ

エルフ魔女「……」ペコッ

878: 2013/12/24(火) 13:45:48 ID:AwfbQto.
女神「あらあら、そうでしたか」

女神「あれから、もうそんなにも年月が経つんですか」

女神「特に、貴女の娘には色々とこれまでも試練を与えてきました」

女神「どっちかと言うと、貴女の娘に勇者の資格や力等を与えた方が宜しかったかもしれませんね」

女神「貴女の娘は、かつて世界中を大いに震撼させた程の存在!」

女神「その影響力については図り知れず、未だに各地で伝説が語り継がれているみたいですからね!」ニッコリ

エルフ女侯爵「……」

エルフ魔女「いや、それは……」カァッ

女神「冗談ですよ!」ニコニコ

エルフ女侯爵「むしろ、ウチの娘は魔王の方が向いています……」ガクッ

879: 2013/12/24(火) 13:45:59 ID:AwfbQto.
女神「では、私はこれで失礼します」

女神「そこで今倒れている若者は、貴女達が適当に処分して下さい」

エルフ女侯爵「はい。かしこまりました!」

元勇者「……」

女神「後、あまり人間達の事を無駄に氏なせないで下さいね!」

女神「下手したら、次は貴女達二人です!」

女神「親子揃って、二人一役をするのは別に構いませんが、人間達の犠牲については極力と抑えてくださいね!」ニコニコ

エルフ女侯爵「はっ、申し訳ございません!」ペコッ

エルフ魔女「以後、気を付けさせて頂きます!」ペコッ

女神「……」ニコニコ

880: 2013/12/24(火) 13:46:10 ID:AwfbQto.
シュン、シューーーーーーーーン……

ヒュルヒュルヒュルヒュル、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

ヒュルヒュルヒュルヒュル、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

エルフ魔女「……」

エルフ女侯爵「……」

元勇者「……」

巨大猫「……」

ヒュルヒュルヒュルヒュル、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

ヒュルヒュルヒュルヒュル、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

シューーーーーーーーン、シュン……

881: 2013/12/24(火) 13:46:23 ID:AwfbQto.
エルフ女侯爵「ふぅ、終わった……」

エルフ女侯爵「ああして女神様と会うと、かなり緊張をするわね……」

エルフ魔女「うん。そうだね……」

エルフ女侯爵「あんた、極力人間の犠牲だけは抑えなさいよ……」

エルフ女侯爵「下手したら、私達までもが元勇者みたいになるんだから……」

エルフ魔女「うん。分かってる……」

巨大猫「なら、これ以上の無益な殺生を止めよ……」

巨大猫「妾は、もう何度も忠告をしておるぞ……」

エルフ魔女「うん。そうする……」

エルフ女侯爵「XXXXXX……」

882: 2013/12/24(火) 13:46:38 ID:AwfbQto.
巨大猫「さてっ、妾達も帰るぞ」

巨大猫「もう既に、夕食の時間みたいじゃ」

エルフ魔女「うん。そうだね」クルッ

エルフ女侯爵「巨大猫。私達はもう向こうに戻ってるわね」

エルフ女侯爵「元勇者は、ここに放置していくわ」

エルフ女侯爵「あんたも、今日くらいはウチで夕飯を食べて行きなさい」

エルフ女侯爵「どうやら、ウチの娘も女神様に叱られて改心はしてくれたみたいだから」ニッコリ

巨大猫「ああ、了解した」ニッコリ

エルフ魔女「もう、お母様ったら……」カァッ

元勇者「……」

883: 2013/12/24(火) 13:49:22 ID:AwfbQto.
巨大猫「では、XXXXXXよ。転移魔法を頼む」

巨大猫「明日の朝まで、妾は厄介になるぞ」

巨大猫「こうして、そなたと食事を共にするのも久し振りじゃな」

巨大猫「今となっては、どっちのXXXXXXとだったかが解らぬがな」

エルフ女侯爵「ええ、そうね」

エルフ魔女「……」スッ

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタピタピタッ……

エルフ女侯爵「ああ、ちょっと待ってね」

884: 2013/12/24(火) 13:49:39 ID:AwfbQto.
スッ、スチャ……

エルフ女侯爵「……」ブツブツ

エルフ女侯爵「……」ブツブツ

エルフ女侯爵「はっ!」

スッ、ガチャ……

ギギィーーーーッ、ダン……

エルフ女侯爵「闇エルフ士官A、終わったわ!」

エルフ女侯爵「私達、先に里の方にまで戻るわね!」

闇エルフ士官A「はっ、了解しました!」ビシッ

闇エルフ兵達「……」ビシッ

885: 2013/12/24(火) 13:49:50 ID:AwfbQto.
エルフ女侯爵「XXXXXX。転移魔法を」

エルフ女侯爵「あんた、ここ最近そればっか使ってない?」

エルフ魔女「え? そうかな?」

スッ、ヌポッ……

エルフ魔女「あっ……」

エルフ女侯爵「まぁ、転移魔法が使えるのならどっちでも良いわ」

エルフ女侯爵「ここ最近、ちょっとした小瓶型のアイテムでも転移魔法が使えるからね」

プシューーーーッ、プシューーーーッ……

プシューーーーッ、プシューーーーッ……

シューーーーーーーーン、シュン……

886: 2013/12/24(火) 13:50:22 ID:AwfbQto.
元勇者「……」

元勇者「……」

元勇者「……」

元勇者「……」

元勇者「……」

元勇者「……」

元勇者「……」

元勇者「……」

闇エルフ下士官A「隊長。あれ、どうしますか?」

闇エルフ下士官A「まだ、あそこで元勇者は倒れたままですが」

887: 2013/12/24(火) 13:50:34 ID:AwfbQto.
闇エルフ士官A「総員、あのまま元勇者を放置しとけ!」

闇エルフ士官A「ほっといても、もうあいつには害はない!」

闇エルフ下士官A「え? 宜しいのですか?」

闇エルフ士官「ああ、構わんよ!」

闇エルフ士官「俺達は、これから合同祝賀会に参加しなくてはならない!」

闇エルフ士官A「だから、もう撤退だ!」ニヤニヤ

闇エルフ下士官A「はっ!」ニヤニヤ

元勇者「……」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

888: 2013/12/24(火) 13:51:07 ID:AwfbQto.
勝者と敗者。

もはや、勇者の資格や力等を奪われた青年には何の力もなかった。

その青年が救えなかった国の王都では、夜通し各種のエルフ達が狂喜乱舞。

皆、王都の中で合同の祝賀会を開き、勝利の美酒に酔いしれていく。

それから一ヶ月、その青年の消息については完全に途絶えていた。

世界中の人々の中では勇者XXXは伝説の存在となり、各地で勇者XXXに関する伝承が整理されていった。

その後、かつて勇者を名乗っていた青年は未だに行方知れず、世界各地で大規模な捜索活動が繰り広げられる。

やがて、世界中の人々はその青年がもう既に氏亡したと判断。

勇者と魔王がこの世からいなくなり、人々はようやくながらも平和な時代が訪れた事を実感したのだった。

891: 2013/12/25(水) 07:47:35 ID:UyH5PDxA
~とある田舎町・魔術師の従姉妹の自宅~

一ヶ月後――

魔術師「姉さん。今日、お義兄さんは?」

魔術師「お義兄さん、どこか出掛けてるの?」

魔術師2「うん。そうだよ」

魔術師「ちなみに、もう結婚して何年だっけ?」

魔術師「私、一度氏んじゃったから、その辺の感覚がもう分からないかな」

魔術師2「……」

少女「でも、かなり不思議な感覚だよね?」

少女「攻めてきたはずの敵に、私達だけが助けられるなんて」

892: 2013/12/25(水) 07:47:47 ID:UyH5PDxA
魔術師2「それについては、前に説明したでしょ?」

魔術師2「私の知り合いのエルフさんが、わざわざ気を遣って下さったんだから」

魔術師2「じゃなきゃ、二人ともここにいないよ」

魔術師2「あの時、そのエルフさんの娘さんが頼まなかったら、今の二人はもうこの世にはいなかったんだから」

少女「うん。そうだけど……」

魔術師「でも、何か引っ掛かるのよね……」

魔術師2「はぁ……」ガクッ

使い魔「ZZZ……」

巨大猫「ZZZ……」

赤ん坊「ZZZ……」

893: 2013/12/25(水) 07:47:59 ID:UyH5PDxA
魔術師2「ところで、二人とももう大丈夫なの?」

魔術師2「もし仮に、もう大丈夫ならちょっと手伝ってほしいなぁ」

魔術師「え? 何を?」

少女「何するの? 一体?」

スッ、コトッ……

魔術師2「二人には、これから私の手伝いをして貰うよ!」

魔術師2「特に、魔術師ちゃんは常に最前線で!」ニッコリ

魔術師「えっ?」

魔術師2「私、今は娘を抱えているじゃない」

魔術師2「魔術師ちゃんが良ければ、私の空けた穴を埋めてくれないかな?」ニコニコ

894: 2013/12/25(水) 07:48:32 ID:UyH5PDxA
魔術師「つまり、この私が姉さんの代わりに姉さんの職場に行けと?」

魔術師「あそこ、兵も魔術師とかもかなり足りてるけど」

魔術師2「……」ニコニコ

魔術師「姉さん。だったら、私はお義兄さんの方を手伝いたい!」

魔術師「私、もう傭兵だけは懲り懲りなのよ!」ウルッ

少女「……うん。そうだね」

魔術師2「……」ニコニコ

魔術師「……」ウルウルッ

魔術師2「……」ニコニコ

魔術師「……」ウルウルッ

895: 2013/12/25(水) 07:48:45 ID:UyH5PDxA
魔術師「姉さん、お願い! それだけは許して!」

魔術師「私、もう誰かが目の前で氏ぬのは見たくないのよ!」

魔術師「あの戦いの所為で、私の大勢の仲間が目の前で殺されたわ!」

魔術師「私、もうあんな思いだけはしたくない!」ウルウルッ

少女「……」ウルッ

魔術師2「でも、私はもう自分の所属先の隊長とかに話を通しちゃったよ」

魔術師2「丁度、他の子達も出産や結婚とかを控えててね」

魔術師2「だから、隊長とかには話を通しといたの」

魔術師2「まぁ、魔術師ちゃんならすぐ慣れると思うからさ」ニコニコ

魔術師「そっ、そんな……」ウルウルッ

896: 2013/12/25(水) 07:48:56 ID:UyH5PDxA
少女「なら、私は何をしたら良いの?……」

少女「私も、出来れば傭兵だけは嫌……」ウルウルッ

魔術師「……」ウルウルッ

魔術師「お嬢ちゃんには、使い魔ちゃん達の世話をお願いするね」

魔術師「特に、使い魔ちゃんはお嬢ちゃんには懐いてるみたいだから」ニコニコ

少女「え? やった!」ピカァッ

魔術師「ーーーー――――っ!?」ポロポロッ

少女「ありがとう。お姉ちゃん!」ウルウルッ

魔術師2「ええ、どう致しまして」ニコニコ

魔術師「……」ポロポロッ

897: 2013/12/25(水) 07:49:08 ID:UyH5PDxA
スッ、ガチャ……

魔法使い2「ただいま~~っ!」ニコニコ

魔術師2「ああ、お帰りなさい」クルッ

スッ、バタン……

スッ、ストッ……

魔法使い2「いやあっ、今日は大漁だったよ!」

魔法使い2「これでまた、ボクの研究が一段と捗るね!」ニコニコ

魔術師2「そう。良かったじゃない」ニッコリ

魔術師「……」ポロポロッ

魔法使い2「あれ?」

898: 2013/12/25(水) 07:49:20 ID:UyH5PDxA
魔法使い2「ねぇ、XXXXX。何でこの子は泣いてるの?」

魔法使い2「この子、まだ情緒不安定だったとか?」

魔術師2「うん。そうだけど」ニコニコ

魔法使い2「この子、かなり悲しそうに泣いてるね」

魔法使い2「こう言った所とか、本当にXXXXXみたい」

魔術師2「もう、XXXX君たら」ニコニコ

魔術師「……」ポロポロッ

少女「それで、今日は何が釣れたの?」

少女「ここ最近、お魚は取れないんじゃなかったっけ?」

魔術師2「あっ、そう言えば」

899: 2013/12/25(水) 07:49:31 ID:UyH5PDxA
魔法使い2「いや、大丈夫だけど」

魔法使い2「この辺の海には、ちゃんとお魚達はいるんだよ」

少女「へぇ~~っ、そうなんだ」

魔法使い2「でも、いくら漁師さん達が網を張っても、網自体が破れちゃうんだって」

魔法使い2「それで、ボクは漁師さん達の所にまで行っていたんだ」

魔法使い2「おまけに、他の町から出荷されてきたお魚達が市場に流れちゃって」

魔法使い2「それで、ボクが色々と漁師さん達から珍しい魚とかを高値で買わされていた訳」ニコニコ

魔術師2「え?」

少女「それ、ダメなパターンじゃ?……」

魔術師「うん。そうだね……」ポロポロッ

900: 2013/12/25(水) 07:49:42 ID:UyH5PDxA
魔法使い2「あれ? 何その反応?」

魔法使い2「君達、まだボクの事を疑っているの?」

魔法使い2「今回は、ちゃんと大丈夫な奴だよ!」

魔法使い2「ついこの間、エルフさんが特注の釣り竿をプレゼントしてくれてね!」

魔法使い2「ここに入りきらない奴は、全部隣にある生け簀に入れてきてあるから!」ニッコリ

魔術師2「へぇ……」

少女「……」ガクッ

魔術師「……」ポロポロッ

魔法使い2「もう、なんなの一体?」イラッ

魔術師2「いや、ちょっとね……」

901: 2013/12/25(水) 07:52:37 ID:UyH5PDxA
魔術師「それで、今日は何を釣って来たんですか?……」

魔術師「また、お義兄さんが嵌まってるマンボウなんですか?……」ポロポロッ

魔法使い2「おおっ、よく聞いてくれたね!」ニッコリ

魔術師「……」ビクッ

少女「お姉ちゃん。なんか怖いよ……」ウルッ

魔術師2「多分、大丈夫だからね……」ウルッ

魔術師「……」ポロポロッ

スッ、パカッ……

スッ、ストッ……

魔法使い2「はい!」ニコニコ

902: 2013/12/25(水) 07:52:49 ID:UyH5PDxA
魔術師「あの、お義兄さん。この魚は?……」

魔術師「これは、何て言うお魚なんですか?……」ポロポロッ

魔法使い2「海老と蟹と牡蠣」

魔術師「は?」ポロポロッ

魔術師2「それ、お魚じゃないよ!」

少女「へぇ、そうなんだ」ジーーッ

魔法使い2「ここにあるのは、ちゃんと食べられる奴だよ」

魔法使い2「XXXXX。後で、これを調理しといて」

魔術師2「うん。分かった」

少女「……」ジーーッ

903: 2013/12/25(水) 07:53:00 ID:UyH5PDxA
魔法使い2「ちなみに、ボクが釣ってきたのは食べるのが勿体なかったから」

魔法使い2「あれは、食べると言うよりは研究対象にするよ」

魔法使い2「エルフさん。本当に、良い釣り竿をプレゼントしてくれたね!」

魔法使い2「やっぱり、エルフの里製はかなり良いお魚とかが釣れるんだね!」キラキラ

魔術師2「……」

少女「……」ジーーッ

魔術師「……」スッ、フキフキ

スッ、カポッ……

魔術師「これ、向こうに置いとくね」

魔法使い2「うん。お願い」キラキラ

904: 2013/12/25(水) 07:53:22 ID:UyH5PDxA
魔術師2「とりあえず、魔術師ちゃんはさっきの件を宜しくね!」

魔術師2「これ、もう決定事項だから!」ニッコリ

魔術師「え? そんな……」ウルッ

魔術師2「魔術師ちゃん。頑張ってね!」

魔術師2「ここ当分の間は、私の代わりをちゃんと勤めてね!」

魔術師2「返事は?」ニコニコ

魔術師「……はい。かしこまりました」ガクッ

魔術師2「そう、良く出来ました!」ニコニコ

魔術師「……」ウルウルッ

905: 2013/12/25(水) 07:53:37 ID:UyH5PDxA
魔法使い「あっ、XXXXX。忘れ物した!」

魔法使い「ちょっと、すぐ近くの漁港にまで取りに行ってくるよ!」

魔術師2「あら、行ってらっしゃい」

魔法使い「それと、その蟹や海老とかは硬いからね!」

魔法使い「ちゃんと、鍋で茹でてから食べるんだよ!」クルッ

少女「は~~い!」

魔術師2「気を付けてね!」

スッ、ガチャ……

スタスタスタッ、ピタッ……

スッ、バタン……

906: 2013/12/25(水) 07:53:54 ID:UyH5PDxA
~とある教会付属病院・病室~

魔法使い「兄さん。体の具合はどう?」

魔法使い「もう足とか動かせる?」

魔法使い兄「ああ、まあな……」

魔法使い「兄さん。私、よく生きてるわよね?」

魔法使い「私があの時に氏んだって、未だに信じられないの」

魔法使い兄「……」

魔法使い「結局、私は何も守れなかった」

魔法使い「あの戦いで生き残ったのは、私達5人だけだったから」

魔法使い兄「ああ、そうか……」

907: 2013/12/25(水) 07:54:05 ID:UyH5PDxA
魔法使い「兄さん。私、本当にどうしたら良いの?」

魔法使い「あの戦い以来、私何も出来ないの」

魔法使い「私と一緒にいた僧侶も魔術師さんもレOだった」

魔法使い「特に、僧侶の方がよく私の事を狙ってくるの」

魔法使い兄「……」

魔法使い「だから、私はどうしたら良いの?」

魔法使い「あのまま、僧侶にされるがままでいとけば良いの?」

魔法使い「私、もう限界かな……」

魔法使い「人間、何かの拍子で変わっちゃうって、本当の事なんだね……」

魔法使い兄「……ああ、そうだな」

908: 2013/12/25(水) 07:54:25 ID:UyH5PDxA
スッ、ガチャ……

僧侶「あっ、こんな所にいた」

僧侶「魔法使い、急にいなくなっちゃったから、私ビックリしたよ!」ニッコリ

魔法使い「!?」ビクッ

魔法使い兄「あっ……」ハッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

魔法使い「……」ウツロ

魔法使い兄「……」

僧侶「……」ニコニコ

909: 2013/12/25(水) 07:54:35 ID:UyH5PDxA
僧侶「魔法使い。何で、私を置いてくの?」

僧侶「私、魔法使いの事を探しちゃったわよ」ニコニコ

魔法使い「……」ウツロ

僧侶「ここ最近、魔法使いはよく私の事を避けてるよね?」

僧侶「以前は、私の前ではか弱い姿を見せてくれていたのに!」

僧侶「もっとも、私は諦めたりはしないよ!」

僧侶「いつか必ず、魔法使いの事を手に入れる!」

僧侶「私の兄も、魔法使いとの事を認めてくれるって!」

僧侶「だから、今日は魔法使いのお兄さんにも、私達の仲を認めて貰おうかなぁ~~っ!」ニコニコ

魔法使い「!?」ウルッ

910: 2013/12/25(水) 07:54:57 ID:UyH5PDxA
僧侶「あら、どうかしたの?」

僧侶「魔法使い、何か涙出てるわよ」

僧侶「そんなに、私と会えたのが嬉しいんだね」

僧侶「このまま時間があるのなら、ついこの間の続きとかする?」ニコニコ

魔法使い「……」ウルウルッ

魔法使い兄「……」

「ああ、妹よ」

「出来れば、その辺で止めておきなさい」

「魔法使いの妹が、かなり怖がってるから」

僧侶「え?」クルッ

911: 2013/12/25(水) 07:57:31 ID:UyH5PDxA
魔法使い兄「よう、元気か?」

魔法使い兄「お前ら、俺と違って足がまともに動いて羨ましいぜ」ニッコリ

僧侶兄「ええ、大丈夫です」ニッコリ

戦士兄「どうだ? 体の調子は?」ニッコリ

魔法使い兄「ああ、なんとかな」ムクッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタタッ、ピタタッ……

スッ、ストトッ……

ストトッ、ストトッ……

912: 2013/12/25(水) 07:57:43 ID:UyH5PDxA
魔法使い兄「お前ら、もう診察は終わったのか?」

魔法使い兄「次、そろそろ俺の番か?」

僧侶兄「ええ、そうですよ」

魔法使い兄「なら、そろそろ俺も行ってくるわ」

魔法使い兄「俺だけ、何故かベット一つ占領してしまってるけど」

魔法使い兄「ちなみに、お前の妹はまだまともなのか?」

魔法使い兄「なんかさっきから聞いてたら、とても俺の妹と仲が良いみたいなんだが」チラッ

僧侶兄「ええ、そうみたいなんです……」チラッ

僧侶「……」ニコニコ

魔法使い「……」ポロポロッ

913: 2013/12/25(水) 07:57:53 ID:UyH5PDxA
魔法使い「兄さん。私、これから兄さんに付き添うね……」

魔法使い「私、今は兄さんの体が心配だから……」スッ、フキフキ

僧侶「えっ?」キョトン

魔法使い兄「妹よ。せっかく、僧侶ちゃんが来てるんだから僧侶ちゃんといなさい」

魔法使い兄「俺、お前がここまで親しい友人を連れてきたのは始めて見たぞ」

魔法使い兄「だから、お前は僧侶ちゃんと一緒にいなさい」

魔法使い兄「俺の体は、お前が心配する程悪くねぇから」ニッコリ

魔法使い「!?」ウルッ

僧侶兄「ああ……」

僧侶「さぁ、行きましょう。魔法使い!」ニコニコ

914: 2013/12/25(水) 07:58:05 ID:UyH5PDxA
魔法使い「兄さん。私、ここにいる!」

魔法使い「兄さんにまで捨てられたら、私何も残らない!」ウルウルッ

スッ、ガシッ……

僧侶「魔法使い。諦めて!」

僧侶「魔法使いのお兄さんも、私達の仲を認めて下さったみたいだから!」ニコニコ

魔法使い「いやああああああああ――――――――っ!?」ブワッ

魔法使い兄「!?」ビクッ

僧侶「きゃあっ!?」ビクッ

魔法使い「ううっ、ぐすっ……」ポロポロッ

僧侶兄「誠に、申し訳ない……」ペコッ

915: 2013/12/25(水) 07:58:26 ID:UyH5PDxA
僧侶「魔法使い。ほら、行こ!」

僧侶「そんなんじゃ、いつまで経っても兄離れが出来ないよ!」

魔法使い「ううっ、ううっ……」ポロポロッ

僧侶「魔法使い。お兄さんが困ってるよ!」

僧侶「それとも、ちゃんと下の名前で呼んだら私の言う事を聞いてくれるのかな?」ニッコリ

魔法使い「!?」ビクッ

魔法使い兄「え?」

戦士「お前……」

僧侶「XXXX!」ニコニコ

魔法使い「うわああああああああ――――――――ん!」ポロポロッ

916: 2013/12/25(水) 07:58:38 ID:UyH5PDxA
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

クルッ、ピタッ……

修道女「ちょっと、あなた達静かにしなさい!」

修道女「ここ、病院ですよ!」イライラッ

僧侶兄「ああ、すみません!」クルッ、ペコッ

魔法使い「ううっ、ううっ……」ポロポロッ

修道女「全く、いつもいつもあなた達は……」

修道女「次は、魔法使いさんの番ですよ!」イライラッ

僧侶兄「はい。かしこまりました」

917: 2013/12/25(水) 07:58:49 ID:UyH5PDxA
魔法使い「ううっ、ぐすっ……」

魔法使い「ううっ、ううっ……」ポロポロッ

魔法使い兄「……」ナデナデ

魔法使い「ううっ、ううっ……」

魔法使い「ううっ、ううううっ……」ポロポロッ

魔法使い兄「……」ナデナデ

僧侶「……」

僧侶兄「……」

戦士兄(案外、妹持ちって大変なんだな……)

戦士兄(良かった。俺は弟の方で……)

918: 2013/12/25(水) 07:59:00 ID:UyH5PDxA
修道女「魔法使いさん。そろそろ、診察室にまで行きますよ」

修道女「早く、妹さんを退かして下さい」イライラッ

魔法使い「……」ナデナデ

修道女「魔法使いさん。早くして下さい!」

修道女「他の患者さん達、また待たせるおつもりですか?」イライラッ

魔法使い兄「ああ、すみません」ナデナデ

魔法使い「兄さん。お願い、行かないで!」

魔法使い「私を、このまま一人にしないで!」ポロポロッ

魔法使い兄「……」ナデナデ

修道女「……」ガクッ

919: 2013/12/25(水) 07:59:10 ID:UyH5PDxA
修道女「ああ、今日は一段と重症みたいね……」

修道女「これ、かなり長引いてしまうわよ……」

僧侶兄「ええ、そうみたいですね……」

修道女「とりあえず、魔法使いさんの診察を後回しで……」

修道女「私、先生に今からそう伝えてきますから……」

僧侶兄「はい。かしこまりました……」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

魔法使い「ううっ、ううっ……」

魔法使い「ううっ、ううっ……」ポロポロッ

920: 2013/12/25(水) 07:59:25 ID:UyH5PDxA
魔法使い兄「妹よ。そんなに泣くな……」

魔法使い兄「俺が、悪かったから……」

魔法使い「ううっ、ううっ……」ポロポロッ

魔法使い兄「僧侶ちゃん。今日は、もう許してあげて」

魔法使い兄「ウチの妹、かなり心を病んで来たみたいだから」ナデナデ

僧侶「はい。かしこまりました!」ニッコリ

僧侶兄「誠に、申し訳ない!」ペコッ

魔法使い兄「……良いって」ナデナデ

戦士「……」

戦士兄「……」

921: 2013/12/25(水) 14:36:57 ID:UyH5PDxA
~とある宮殿・庭~

エルフ女王「こうやって、貴女とお酒飲むのも久し振りね」

エルフ女王「ここ最近、書類整理とかが忙しくて参っちゃうわ」

エルフ女侯爵「ええ、そうね」

エルフ女王「あの子、今頃は鹿と戯れているのかしら?」

エルフ女王「ここ最近、やけに子供らしくしてるみたいだけど」

エルフ女侯爵「ええ、多分ね」

スッ、ゴクッ……

エルフ女王「ふぅ、美味しい」

スッ、コトッ……

922: 2013/12/25(水) 14:37:09 ID:UyH5PDxA
エルフ女侯爵「それで、用件は一体何?」

エルフ女侯爵「あんたが、私だけをここに呼び出すなんて珍しいわね」

スッ、コトッ……

エルフ女王「たまには、貴女とこうしてお酒を飲みたくなったのよ」

エルフ女王「お互い、手の掛かる一人娘を持つ母親同士でしょ?」

エルフ女王「だから、ちょっとした意見交換も兼ねてる訳」ニッコリ

スッ、カリカリッ……

エルフ女侯爵「そう。そうなの……」

エルフ女侯爵「あんたの娘も、色々と手が掛かるわね」

エルフ女侯爵「まるで、ウチの娘とは大違いだわ」

923: 2013/12/25(水) 14:37:20 ID:UyH5PDxA
エルフ女王「ええ、そうね……」

エルフ女王「あの子、私の性格の悪さと言動だけを完全に引き継いじゃったのよ……」

エルフ女王「これまで、色々とあの子の事を教育してみたんだけど、何をさせても駄目!」

エルフ女王「私や貴女達親子と違って、特に秀でた能力すらなく常に平均並み!」

エルフ女王「一体、何でこうなってしまうのよ!?」

エルフ女王「ある意味で、貴女の一人娘が羨ましいわ!」

スッ、ゴクゴクゴクッ……

ゴクゴクゴクッ、ゴクゴクゴクッ……

エルフ女王「ふぅ……」

エルフ女侯爵(ああ、ワインをボトルごとがぶ飲みしちゃった……)

924: 2013/12/25(水) 14:37:38 ID:UyH5PDxA
エルフ女侯爵「どう? 落ち着いた?」

エルフ女侯爵「そんなに一気に飲んだら、あんた体を悪くするわよ」

エルフ女王「ええ、大丈夫よ」

エルフ女侯爵「……」

エルフ女王「でも、このワインは貴女の娘からプレゼントして貰った奴なのよね」

エルフ女王「なんか、あの子ったら色々と各地から買い込んでるじゃない」

エルフ女王「それで、このワインを樽ごと送ってきたの」

エルフ女王「私だけじゃ飲みきれないし、貴女も欲しいのなら自由に持って帰って」

エルフ女侯爵「そう。了解したわ」

スッ、コトッ……

925: 2013/12/25(水) 14:37:54 ID:UyH5PDxA
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、ペコッ……

メイド「陛下。失礼致します」

メイド「こちらのボトルの方を、お下げしても宜しいでしょうか?」

エルフ女王「ええ、お願い」

メイド「はい。かしこまりました」

スッ、スッ……

エルフ女王「後、次のワインを持って来てくれる?」

エルフ女王「私、まだここで飲みたいから」

メイド「はい。かしこまりました」

926: 2013/12/25(水) 14:38:11 ID:UyH5PDxA
クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

エルフ女侯爵「そう言えば、例の元勇者はどこに行ったの?」

エルフ女侯爵「あれから一ヶ月、まるで消息が掴めないんだけど」

エルフ女王「いや、何も聞いてないわよ」

エルフ女侯爵「私、ウチの娘にも何度か聞いてみたんだけど、何も教えてはくれない」

エルフ女侯爵「あの子、また何か企んでいる可能性がある」

エルフ女侯爵「あんたの方では、あの子から何か聞かされてないかしら?」

エルフ女王「いや何も」

エルフ女侯爵「……そう。そうなんだ」

927: 2013/12/25(水) 14:38:26 ID:UyH5PDxA
エルフ女王「じゃあ、次にあの子が何かしようとしてる事は?」

エルフ女王「あの子、次に何をするかについてを聞いてない訳?」

エルフ女侯爵「ええ、そうよ」

エルフ女王「あの子、今度は何をするつもりなのかしら?」

エルフ女王「もし仮に、また何かするつもりなら、私や貴女にも報告があるはずなんだけど」

エルフ女侯爵「ええ、そうね」

エルフ女王「まぁ、ここ最近は子供らしく振る舞っているみたいだし、大丈夫じゃないの?」

エルフ女王「貴女、少しはあの子の事を信用してあげなさいよ」

エルフ女王「じゃないと、あの子はますます貴女の手元からは離れていくわ」

エルフ女王「実の母親の貴女が、あの子の事を信じないと駄目なのよ」

928: 2013/12/25(水) 14:38:41 ID:UyH5PDxA
エルフ女侯爵「ええ、そうね……」

エルフ女侯爵「私だってそうしてあげたいのは山々なんだけど、あの子が何をするかが予想つかないのよ……」

エルフ女王「……」

エルフ女侯爵「思えば、ついこの間の戦もあの子の口から突如言われた事だったわ……」

エルフ女侯爵「あの子、私に対して何て言ったと思う?……」

エルフ女侯爵「『明日の朝、形だけでも良いから一軍の指揮官をやって!』……」

エルフ女侯爵「『お母様がそうしてくれないと、私が後で困っちゃうから!』って……」

エルフ女王「……」

エルフ女侯爵「だから、私も常日頃から努力してるわ……」

エルフ女侯爵「あの子、ほっといたら何するかが全く分からないから……」ウルッ

929: 2013/12/25(水) 14:38:51 ID:UyH5PDxA
エルフ女王「そう。貴女も大変ね……」

エルフ女王「あまりにも、出来の良すぎる娘を持つなんて……」

エルフ女王「私と貴女、どっちがマシだと思う?……」

エルフ女王「私、今の貴女の話聞いていたら、すぐには答えを出しにくいわ……」

エルフ女侯爵「……」スッ、フキフキ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

メイド「陛下。新しいワインをお持ち致しました」

メイド「他に、お申し付ける事はありますでしょうか?」

エルフ女王「そう。じゃあ入れて」

930: 2013/12/25(水) 14:39:02 ID:UyH5PDxA
スッ、コトッ……

スッ、キュッキュッ……

スッ、シュポッ……

エルフ女王「……」

エルフ女侯爵「……」

スッ、シュポポポッ……

スッ、ストッ……

スッ、シュポポポッ……

スッ、ストッ……

エルフ女王「ありがとう」

931: 2013/12/25(水) 14:42:19 ID:UyH5PDxA
メイド「では、私は失礼致します」

メイド「何か、他にお申し付ける事がございましたら、すぐに声をお掛け下さい」

エルフ女王「ええ、分かったわ」

エルフ女侯爵「もう、下がっても良いわよ」

メイド「失礼致します」ペコッ

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、ゴクゴクッ……

ゴクゴクッ、ゴクゴクッ……

エルフ女王「ふぅ、美味しい」

932: 2013/12/25(水) 14:42:30 ID:UyH5PDxA
エルフ女侯爵「とりあえず、これは後で貰っていくわ……」

エルフ女侯爵「今の私、何故かお酒を沢山飲みたくなっちゃった……」

エルフ女王「なら、付き合うわよ!」ニッコリ

エルフ女侯爵「たまには、こうしてあんたと飲むのも良いかもしれないわね……」

エルフ女侯爵「お互い、若い頃は色々とあったけど……」

エルフ女侯爵「時が立てば、自然とあんたとの溝や恨みすら無くなっていく……」

エルフ女侯爵「一体、これはどうしたものかしらね?……」

エルフ女王「さぁ、私にも解らないわ!」ニコニコ

エルフ女侯爵「……」ニッコリ

エルフ女王「……」ニコニコ

933: 2013/12/25(水) 14:42:50 ID:UyH5PDxA
~とある邸宅・エルフ魔女の部屋~

スッ、ペラッ……

エルフ魔女「……」

エルフ魔女「……」

エルフ魔女「……」

エルフ魔女「……」

エルフ魔女「……」

エルフ魔女「……」

エルフ魔女「……」

エルフ魔女「……」

934: 2013/12/25(水) 14:43:06 ID:UyH5PDxA
スッ、ペラッ……

エルフ魔女「……」

エルフ魔女「……」

エルフ魔女「……」

エルフ魔女「……」

エルフ魔女「……」

エルフ魔女「……」

エルフ魔女「……」

エルフ魔女「……」

スッ、ポリポリッ……

935: 2013/12/25(水) 14:43:18 ID:UyH5PDxA
トントン、トントン……

スッ、ガチャ……

従者A「失礼します」

従者A「お嬢様。半エルフ士官A様より、お手紙が届きました」

エルフ魔女「そう。ご苦労様」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

スッ、ポン……

エルフ魔女「……」

スッ、ペラッ……

936: 2013/12/25(水) 14:43:29 ID:UyH5PDxA
従者A「お嬢様。こちらに置いておきますよ」

従者A「一体、今日は何をお読みになっているのですか?」

エルフ魔女「……」

従者A「お嬢様。聞こえていらっしゃいますか?」

従者A「ここに、半エルフ士官A様からのお手紙を置いておきますよ」

エルフ魔女「そう。ご苦労様」

スッ、ポン……

スッ、シュルシュル……

スッ、スッ……

スッ、ピラッ……

937: 2013/12/25(水) 14:43:43 ID:UyH5PDxA
エルフ魔女「……」

エルフ魔女「……」

エルフ魔女「……」

エルフ魔女「……」

エルフ魔女「……」

エルフ魔女「……」

エルフ魔女「……」

エルフ魔女「……」

スッ、ピラッ……

エルフ魔女「はぁ……」ガクッ

938: 2013/12/25(水) 14:44:01 ID:UyH5PDxA
従者A「お嬢様。どうかされましたか?」

従者A「今度は、一体何を企んでおられるのです?」

エルフ魔女「……」

従者A「……」

スッ、ゴクゴクッ……

ゴクゴクッ、ゴクゴクッ……

エルフ魔女「ふぅ……」

スッ、ストッ……

従者A「それで、一体何があったのです?」

従者A「私でよければ、お嬢様の話相手くらいにはなりますよ」ニッコリ

939: 2013/12/25(水) 14:44:13 ID:UyH5PDxA
エルフ魔女「ただ単に、昔出回っていた本の回収を頼んでいただけよ……」

エルフ魔女「以前、私がハーフエルフだった時にお世話になっていた人達が、勝手に書いて世に出していた私に関する本……」

エルフ魔女「特に、亡くなった大魔導師様がお書きになった官能小説だけは、全て燃やしたかったのよね……」

エルフ魔女「その大魔導師様がお書きになった官能小説の中には、私をモデルとしたヒロインが出演をしているの……」

従者「!?」

エルフ魔女「それが、今はプレニア付きで世に出回っているわ……」

エルフ魔女「『ハーフエルフのXXXXXX 知られざる恩師との禁断の恋』って言うタイトルで……」

エルフ魔女「だから、あの二人にはその本全ての回収をお願いしたわ……」

エルフ魔女「そしたら、もう既に全世界で販売されてて、すぐには回収が不可能な状態なんだって……」ウルッ

従者A「それは、お気の毒に……」

940: 2013/12/25(水) 14:44:44 ID:UyH5PDxA
スッ、ゴクゴクッ……

ゴクゴクッ、ゴクゴクッ……

エルフ魔女「ふぅ……」

スッ、コトッ……

従者A「では、また何かお企みになっている訳ではないのですね?」

従者A「奥様が、また何かお企みになっているのではないかと、ご心配されてましたよ」

エルフ魔女「ええ、そうよ」

従者A「でしたら、この件を奥様にご報告をしても宜しいですか?」

従者A「ここ最近の奥様は、本当に心からお嬢様の事をご心配になられています」

エルフ魔女「そう。別に構わないけど」

941: 2013/12/25(水) 14:47:01 ID:UyH5PDxA
従者「では、私はこれで失礼致します」

従者「お嬢様。くれぐれも、奥様の事を悲しませる真似だけは控えて下さいね」

エルフ魔女「ええ、了解したわ」

従者「失礼致します」ペラッ

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、バタン……

エルフ魔女「……」

エルフ魔女「……」

スッ、ポリポリッ……

942: 2013/12/25(水) 14:47:32 ID:UyH5PDxA
エルフ魔女(ううん。なんか上手く行かないなぁ……)

エルフ魔女(また、どうせ女神様辺りが嫌がらせでもしてると思うんだけど……)

エルフ魔女(ここ最近、無駄に人間達の事を頃し過ぎたからかしら?……)

エルフ魔女(それで、また女神様辺りがこの私に嫌がらせをしているのね……)ハァ

スッ、ポリポリッ……

エルフ魔女(やっぱり、キャンプファイヤーはやり過ぎたかしら?……)

エルフ魔女(でも、あれはあれで皆が盛り上がってたし……)

エルフ魔女(あの戦で氏んだ人間達の氏体を、焚き火として一緒に焼いてしまってたけど……)

エルフ魔女(私も、ついついあの場で皆と一緒に着火とかしちゃったってたからなぁ……)

スッ、ポリポリッ……

943: 2013/12/25(水) 14:47:48 ID:UyH5PDxA
エルフ魔女(まぁ、今となってはもう過ぎた事なのよね……)

エルフ魔女(あの戦の後、元勇者の行方は誰も知らないみたいだし……)

エルフ魔女(本当に、元勇者はどこに行ったんだろう?……)

エルフ魔女(あの後、ずっと教会の中で倒れていたみたいなのよね……)

スッ、ポリポリッ……

エルフ魔女(あっ、もしかして私また疑われてる?……)

エルフ魔女(今のお母様達、完全に私の事を疑ってるわよね?……)

エルフ魔女(私、あの後の事なんか何も知らないわよ……)

エルフ魔女(いくら、私に色々と前科があるからって、私の事を疑うなんて酷すぎるなぁ……)

スッ、ゴクゴクッ……

944: 2013/12/25(水) 14:48:09 ID:UyH5PDxA
トントン、トントン……

スッ、ガチャ……

従者B「失礼します」ペラッ

従者B「お嬢様。半エルフ士官B様より、お手紙が届きました」

エルフ魔女「そう。ご苦労様」

スッ、コトッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

従者B「どうぞ」スッ

エルフ魔女「ええ、ありがとう」スッ

945: 2013/12/25(水) 14:48:21 ID:UyH5PDxA
スッ、シュルシュル……

スッ、スッ……

スッ、ピラッ……

エルフ魔女「……」

エルフ魔女「……」

エルフ魔女「……」

エルフ魔女「……」

スッ、ピラッ……

エルフ魔女「もう下がっても良いわよ」

従者B「はい。かしこまりました」ペコッ

946: 2013/12/25(水) 14:48:32 ID:UyH5PDxA
クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、バタン……

エルフ魔女「……」

エルフ魔女「……」

エルフ魔女「……」

エルフ魔女「……」

エルフ魔女(やっぱり、私は女神様からの嫌がらせを受けてる……)

エルフ魔女(何も、リメイクされた本のタイトルを教えられてもなぁ……)

エルフ魔女(はぁ……)ガクッ

947: 2013/12/25(水) 18:06:03 ID:UyH5PDxA
~魔王城・魔王の間~

その頃――

元勇者「……」

元勇者「……」

元勇者「……」

元勇者「……」

元勇者「……」

元勇者「……」

スッ、スチャ……

スラァン、スッ……

948: 2013/12/25(水) 18:06:15 ID:UyH5PDxA
元勇者「……」

元勇者「……」

元勇者「……」

元勇者「……」

元勇者「……」

元勇者「……」

シュン、シューーーーーーーーッ……

スッ、ガチャ……

ギギィーーーーーーーーッ、ギギィーーーーーーーーッ……

ダン、カシャン……

949: 2013/12/25(水) 18:06:31 ID:UyH5PDxA
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

元勇者「……」クルッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタタタタタッ、ピタタタタタッ……

元勇者「……」

スチャ、スラララララララアン……

スッ、スチャスチャスチャスチャ……

950: 2013/12/25(水) 18:06:42 ID:UyH5PDxA
魔王の娘「失礼。元勇者XXXとお見受けする!」

魔王の娘「私は、貴様が討ち取った魔王XXXXXXの娘!」

魔王の娘「貴様の首、この場にて貰い受ける!」

魔王の娘「さぁ、覚悟して貰おう!」

護衛兵達「……」

元勇者「……」

魔王の娘「どうした? 怖じけづいたか?」

魔王の娘「さぁ、早く貴様も剣を構えろ!」

元勇者「……」

スチャ、シャキン……

951: 2013/12/25(水) 18:06:54 ID:UyH5PDxA
魔王の娘「よしっ、それで良い!」

魔王の娘「これで、私は正々堂々と父上の敵が討てる!」

魔王の娘「元勇者XXX、覚悟しろ!」

魔王の娘「貴様の命も、もうここまでなのだからな!」

魔王の娘「掛かれ!」ブン

護衛兵達「……」ダッ

元勇者「……」スチャ

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

スチャ、キーーーーン……

952: 2013/12/25(水) 18:07:10 ID:UyH5PDxA
ズバッ、ズバッ、ズバッ……

ズバッ、ズバッ、ズバッ……

護衛兵達「ぐわああああ――――っ!?」

フラッ、スチャチャチャッ……

ドサドサドサッ、ドサドサドサッ……

魔王の娘「くっ……」

元勇者「……」

護衛兵達の氏体「……」

魔王の娘「さすがは、父上の事を討ち取った元勇者……」

魔王の娘「そう簡単には、殺せぬか……」ギロッ

953: 2013/12/25(水) 18:07:21 ID:UyH5PDxA
ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ズバッ、ズバズバッ……

護衛兵達「ぐああああ――――っ!?」

ズバズバズバッ、ズバズバズバッ……

護衛兵達「ぐああああ――――っ!?」

フラフラッ、ドサドサドサッ……

ドサドサドサッ、ドサドサドサッ……

魔王の娘「……」

元勇者「……」ギロッ

954: 2013/12/25(水) 18:07:32 ID:UyH5PDxA
魔王の娘「なら、これはどうかな?」

魔王の娘「我が軍の持つ力、とくと見せてくれよう!」

魔王の娘「弓隊、炸裂矢用意!」

魔王の娘「目標、前方にいる元勇者!」

魔王の娘「放て!」

護衛弓兵達「はっ!」

元勇者「!?」

スッ、ササササササッ……

ササササササッ、ササササササッ……

元勇者「くっ……」

955: 2013/12/25(水) 18:07:45 ID:UyH5PDxA
スパパパパパパパッ、スパパパパパパパッ……

ヒュルヒュルヒュルヒュル、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

チュドドドドドドドーーーーーーーーン!

元勇者「ぐああああああああ――――――――っ!?」

ヒュルヒュルヒュルヒュル、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

チュドドドドドドドーーーーーーーーン!

元勇者「ぐああああああああ――――――――っ!?」

魔王の娘「やったか!?」

護衛兵達「……」

フラッ、ストッ……

956: 2013/12/25(水) 18:08:00 ID:UyH5PDxA
元勇者「はぁ、はぁ、はぁ……」

元勇者「はぁ、はぁ、はぁ……」ポタポタッ

魔王の娘「……」

元勇者「はぁ、はぁ、はぁ……」

元勇者「はぁ、はぁ、はぁ……」ポタポタッ

魔王の娘「……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ……

スッ、スチャ……

957: 2013/12/25(水) 18:10:01 ID:UyH5PDxA
魔王の娘「元勇者XXX。最後に、何か言い残す事は?」

魔王の娘「今の貴様は、華々しくも散った!」

魔王の娘「敵とは言え、貴様に敬意を表してやろう!」

魔王の娘「さぁ、述べよ!」

元勇者「はぁ、はぁ、はぁ……」

元勇者「はぁ、はぁ、はぁ……」ポタポタッ

魔王の娘「……」

護衛隊長「殿下。早く、トドメを!」

護衛隊長「今こそ、お父上の敵を取られるのです!」

958: 2013/12/25(水) 18:10:15 ID:UyH5PDxA
魔王の娘「元勇者XXX。達者でな!」

魔王の娘「冥界に行ったら、父上に宜しく言っといてくれ!」

魔王の娘「貴様の事、私は生涯忘れはせぬ!」

魔王の娘「何せ、貴様はこの世でただ一人父上の事を討ち取った男だ!」

魔王の娘「それを名誉に、貴様はこのまま冥界へと旅立て!」

スッ、グサッ……

元勇者「ぐああああああああ――――――――っ!?」ビクン

プシューーーーッ……

魔王の娘「……」

スッ、ズバッ……

959: 2013/12/25(水) 18:10:31 ID:UyH5PDxA
元勇者「ぐううっ、ぐううっ……」

元勇者「ぐううっ、ぐううううっ……」ポタポタッ

魔王の娘「……」

元勇者「ぐううっ、ぐううっ……」

元勇者「ぐううっ、ぐううううっ……」ポタポタッ

元勇者「……」ガクッ

護衛兵達「……」

護衛隊長「やりましたな!」

スッ、スチャ……

スッ、ストッ……

960: 2013/12/25(水) 18:10:43 ID:UyH5PDxA
魔王の娘「はぁ、はぁ、はぁ……」

魔王の娘「はぁ、はぁ、はぁ……」

元勇者の氏体「……」

魔王の娘「はぁ、はぁ、はぁ……」

魔王の娘「はぁ、はぁ、はぁ……」

元勇者の氏体「……」

スッ、カシャン……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、ストッ……

961: 2013/12/25(水) 18:10:55 ID:UyH5PDxA
護衛隊長「殿下。おめでとうございます!」

護衛隊長「これで、お父上も報われる事でしょう!」

魔王の娘「はぁ、はぁ、はぁ……」

護衛隊長「殿下。大丈夫ですか?」

護衛隊長「何分、殿下はこの度が初陣!」

護衛隊長「実際に、この手で人間を頃すのは初めてでありましょう!」

護衛兵達「つい最近まで、殿下は戦闘と言う戦闘を経験した事がありませぬからな!」

魔王の娘「はぁ、はぁ、はぁ……」

スッ、カシャカシャカシャカシャン……

カシャカシャカシャカシャン、カシャカシャカシャカシャン……

962: 2013/12/25(水) 18:11:10 ID:UyH5PDxA
護衛隊長「それで、どこかお怪我は?」

護衛隊長「今の殿下は、かなり気分が高まっている様ですね」

魔王の娘「はぁ、はぁ、はぁ……」

護衛隊長「ですが、それもいずれは収まります!」

護衛隊長「この度の仇討ち、本当にお見事でした!」

護衛隊長「今は亡きお父上も、さぞかしお慶びの事でしょう!」

護衛兵達「これで、殿下は次期魔王としてお父上の跡をお継ぎになるのです!」

魔王の娘「はぁ、はぁ、はぁ……」

スッ、スポッ……

ゴクゴクゴクッ、ゴクゴクゴクッ……

963: 2013/12/25(水) 18:11:25 ID:UyH5PDxA
魔王の娘「ふぅ、参った……」

魔王の娘「さすがの私も、これには本当に参ったぞ……」

魔王の娘「そなた達は、いつもこの様な事をしておるのか?……」

魔王の娘「今の私、人間をただ一人頃すだけでも、ここまで苦しいものとは初めて知ったぞ……」ウルッ

元勇者の氏体「……」

護衛隊長「殿下。この者の氏体は如何致しますか?」

護衛隊長「ここは、殿下よりお申し付けられた通りに致しますか?」

魔王の娘「ああ、頼む……」

護衛隊長「はっ! しかと承りました!」

スッ、キュルキュル……

964: 2013/12/25(水) 18:11:36 ID:UyH5PDxA
護衛隊長「では、これよりこの者の遺体を魔界にまで運びます!」

護衛隊長「殿下のお申し付け通りに、この者を魔界にて丁重に葬ってやりましょう!」

護衛隊長「たとえ、それが今は亡き先代を殺めた相手だとしても!」

護衛隊長「我ら、魔界に住む魔族一同、次期魔王に就任される殿下には付き従う所存であります!」

魔王の娘「うむ。そうか……」ニッコリ

護衛兵達「……」ビシッ

スッ、ムクッ……

ムクッ、クルッ……

魔王の娘「……」

護衛兵達「……」

965: 2013/12/25(水) 18:11:47 ID:UyH5PDxA
魔王の娘「総員。元勇者の遺体を魔界にまで運べ!」

魔王の娘「これは、次期魔王となる余からの命令である!」

護衛兵達「はっ!」ビシッ

元勇者の氏体「……」

護衛隊長「総員。速やかに勇者の遺体を運べ!」

護衛隊長「ここは、いずれ次期魔王様がお使いになられる!」

護衛隊長「それまでの間、我らは決してここには近づけぬ!」

護衛隊長「元勇者も、それを分かっていてここに身を隠していた!」

護衛隊長「さぁ、速やかに掛かるんだ!」

護衛兵達「はっ!」ビシッ

元勇者の氏体「……」

966: 2013/12/25(水) 18:12:02 ID:UyH5PDxA
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

魔王の娘「……」

元勇者の氏体「……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタピタピタッ、ピタピタピタッ……

スッ、スッ、スッ……

護衛兵達「よいしょっと!」

元勇者の氏体「……」フラッ

967: 2013/12/25(水) 18:14:03 ID:UyH5PDxA
魔王の娘「護衛隊長。仲間達の氏体も、すぐに回収せよ!」

魔王の娘「彼らの氏体も、丁重に葬ってやれ!」

護衛隊長「はっ!」

護衛兵達「よいしょ、よいしょ!」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

護衛兵達「よいしょ、よいしょ!」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

護衛隊長「護衛副長。仲間達の氏体も頼む!」

護衛隊長「このまま放置してても、後で蘇生する時に面倒だからな!」

護衛副長「はっ!」

968: 2013/12/25(水) 18:14:13 ID:UyH5PDxA
護衛兵達「よいしょ、よいしょ!」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

護衛兵達「よいしょ、よいしょ!」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

魔王の娘「……」

護衛副長「やれ!」

スッ、スッ、スッ……

スッ、スッ、スッ……

護衛兵達「よいしょっと!」

護衛兵達の氏体「……」フワッ

969: 2013/12/25(水) 18:14:25 ID:UyH5PDxA
護衛兵達「よいしょ、よいしょ!」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

護衛兵達「よいしょ、よいしょ!」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

護衛兵達「よいしょ、よいしょ!」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

護衛兵達「よいしょ、よいしょ!」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

魔王の娘「……」

スッ、スチャ……

970: 2013/12/25(水) 18:14:37 ID:UyH5PDxA
魔王の娘「父上、私やりましたよ!」

魔王の娘「父上の仇、見事に取って見せました!」

魔王の娘「これで、父上も晴れて無事に冥界に行く事が出来ましょう!」

魔王の娘「これまでの父上は、ずっとこの城の中をさ迷ったままでした!」

魔王の霊「……」ニッコリ

魔王の娘「父上、どうかこれからも私の事を見守っていて下さい!」

魔王の娘「私は、後に立派な魔王となってここに戻って参ります!」

魔王の娘「今の私は、もう父上がよく知る私ではありません!」

魔王の娘「これからは、この私が父上の跡を継ぎ新たな魔王となるのです!」ウルッ

魔王の霊「……」ニコニコ

971: 2013/12/25(水) 18:14:54 ID:UyH5PDxA
魔王の娘「ですから、どうかご安心を……」

魔王の娘「私は、後に魔王の座につきます……」

魔王の娘「誠に申し訳ございませんが、ここで父上とはお別れです……」

魔王の娘「そうしなければ、私は一生父上に頼りっきり……」

魔王の娘「氏して尚、父上の霊魂を捕獲してまで持ち歩いたりはしませんからね……」ウルウルッ

霊「……」ニコニコ

護衛隊長「……」ビシッ

護衛副長「……」ビシッ

魔王の娘「……」ポロポロッ

魔王の霊「……」ニコニコ

972: 2013/12/25(水) 18:15:05 ID:UyH5PDxA
護衛隊長「殿下。遺体の回収が完了しました!」

護衛隊長「後は、魔界にまで撤退するだけです!」

魔王の娘「……うむ。そうか」スッ、フキフキ

護衛隊長「殿下。さぁ、早く戻りましょう!」

護衛隊長「魔界の民達が、殿下のお帰りをお待ちしております!」

魔王の娘「……ああ、了解した!」

スッ、シュポッ……

スッ、スッ……

魔王の霊「……」ニコニコ

魔王の娘「……」シャキン

973: 2013/12/25(水) 18:15:30 ID:UyH5PDxA
魔王の娘「では、これより撤退をする!」

魔王の娘「さぁ、残りの者達よ。進め!」

護衛隊長「はっ!」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、クルッ……

魔王の娘「……」ニッコリ

魔王の霊「……」ニコニコ

974: 2013/12/25(水) 18:15:40 ID:UyH5PDxA
魔王の娘「父上、私は必ずここに戻って参ります!」

魔王の娘「ですから、どうか父上も安らかに!」ニコニコ

魔王の霊「……」ニコニコ

魔王の娘「私は、いつか必ずここに戻ってくる!」

魔王の娘「いずれ、新たに現れる勇者よ。覚悟しておれ!」ニコニコ

元勇者の霊「……」ニコニコ

スッ、ガチャ……

ギギィーーーーーーーーッ、ギギィーーーーーーーーッ……

ダン、カシャン……

シューーーーーーーーッ、シュン……

975: 2013/12/25(水) 18:15:55 ID:UyH5PDxA
こうして、行方知れずとなっていた元勇者XXXは、魔王の娘によって討ち取られた。

魔王の娘は、後に新たな魔王へと就任をし、再び荒れ果てた魔王城へと舞い戻ってくる。

その後、新たに就任した魔王は新たなる勇者を探し求めた。

その新たに就任した魔王による求めに応じ、女神もまた新たな勇者をすぐに用意する。

やがて、人間と魔族との間では、再び勇者と魔王を中心とした争いが勃発。

世界各地が戦禍に晒され、人々の望んだ平和はまた再び遠いものとなっていく。

だが、この世に何度魔王が復活しようが、勇者は常に世界中の平和と安定の為に戦い続ける。

人々は、自分達の思いや希望等を歴代の勇者へと託していき……

世界の平和と安定を守る為、この世に現れた歴代の勇者達の事を、自分達にとっては都合の良い存在としてでしか捉える事が出来なかったのだった。

勇者「ここが、エルフの里か……」/完

976: 2013/12/25(水) 18:16:07 ID:UyH5PDxA
これで、この物語は終わりです。

この物語を読んで頂き、ありがとうございました。

981: 2014/01/07(火) 02:24:34 ID:kkruId6c

引用: 勇者「ここが、エルフの里か……」