399:2012/05/11(金) 02:33:44.74 ID:Ue5WJi880
千鶴「ふう、生徒会の手伝いして少し疲れたな……よし、帰宅する前に洗面所で顔を洗うか……」
千鶴(眼鏡をはずして、と……)
ジャブジャブ
カァーカァー
千鶴(ん、カラスの鳴き声?)
カァーカァー
バサバサ
千鶴「う、うわっ、ほんとに窓から鴉が……って、やめろ、それは私の眼鏡だ、盗って行くな」
カァーーー
千鶴「くっ……逃がすかっ、確かこの辺にバケツがあったはず、これを投げつければ……」ゴソゴソ
千鶴「当たれっ!」ポーイ
『きゃんっ!』
千鶴「……なんだ、今の悲鳴」
400:2012/05/11(金) 02:34:51.92 ID:Ue5WJi880
『いたた……頭にバケツが飛んできたわ……』
千鶴(げ、誰かに当たったのか……眼鏡を鴉に持って行かれたから殆ど見えないけど……)
千鶴「ごめん、大丈夫?」
『もう、いけないわよ、こんな物を突然投げたりしちゃ』
千鶴(ん、何かどこかで聞いたような声だな……けどこんな喋り方の人知らないし)
千鶴(大人っぽい落ち着いた感じだし、先輩なのか)
『どうしてこんな物を投げたりしたの?』
千鶴「あ、はい、実は……」
カクガクシカジカ
『まあ、鴉に眼鏡を……それは大変だったわね』
『その様子だと、歩くのもままならないようだし……乗りかかった船だから、お家まで手を引いていってあげるわ』
千鶴「え、そ、そこまでして貰わなくても……」
『いいからいいから……はい、手を出して?』スッ
千鶴(あ、手、握られた……強引な人だ、けど、善意で言ってくれてるみたいだし、こんなに丁重に言われたら断るのも失礼か)
401:2012/05/11(金) 02:35:48.18 ID:Ue5WJi880
『……あ、そこ、段差があるから気をつけてね』
千鶴「あ、はい……」ヨロヨロ
千鶴(私に気を使って手を引いてくれてる……本当に優しいんだな)
千鶴(手も柔らかくて、すべすべだし……どんな人なんだろ、やっぱり先輩か)
『今日は、千歳のお手伝いで学校に残ってたのかしら?』
千鶴「え、姉さんを知ってるんですか?」
『え、そりゃあ知ってるわよ、変な事言うのね』クスクス
千鶴(うう、笑われた、もしかして姉さんがお世話になってる先輩なのか……どうりで私の家までの道のりを知ってる訳だ)
千鶴「……あ、あの、姉さんが何時もお世話になってます」ペコ
『こちらこそ、千歳には何時も親しくして貰ってるわ……私としては、同じくらい千鶴とも親しくしたいんだけど』
千鶴「え……」
千鶴(私と親しくしたいなんて言ってくれる人、はじめてだ……いや、他にも一人だけいたか)
千鶴(まあ、歳納なんたらとこの人では正反対なんだけど)
402:2012/05/11(金) 02:36:37.97 ID:Ue5WJi880
『さ、千鶴のお家についたわよ』
千鶴「……ありがとうございます、助かりました、あの、もし良ければ家に上がってお茶でも」
『あら、いいの?』
千鶴「はい、もう少しお話したいですし……」
千鶴(お礼の意味もあるけど、私と親しくなりたいって言ってくれるこの人のことを、もう少し知りたいし……)
千鶴「……あ、肝心な事を忘れてた」
『なあに?』
千鶴「あの、名前聞いてもいいですか?」
『……もう、千鶴ったら、本当に面白い子ね』クスクス
『私は、歳納よ』
千鶴「歳納さん、ですか、良い名前で……あれ?」
歳納「千鶴、じゃあお邪魔させてもらうわね」
千鶴「……あれ?」
403:2012/05/11(金) 02:38:11.12 ID:Ue5WJi880
~翌日~
京子「ううー、昨日の放課後は何してたっけ、なんか頭にタンコブ残ってるんだけど……」
京子「あ、千鶴だ、ちづりゅー!」ダキッ
千鶴「と、歳納、あんまり抱きつくなっ///」
京子「あれあれ、もしかしてとうとうデレ期?」
千鶴(歳納、昨日は頭打って人格変わってたみたいだけど、元に戻ったのか……)
千鶴(……やっぱりこの騒がしい方の歳納は苦手だ)
京子「っと、そろそろ走らないと遅刻しちゃう!」
京子「ほら、千鶴、急ごう!」ガシッ
千鶴「あ……」
千鶴(昨日と同じ、柔らかい手だ、強引でいて、けど優しく引っ張ってくれる手……)
千鶴(そうか、人格が変わっても、騒がしくても、歳納は歳納なんだな……)
その日以来、京子ちゃんに対する千鶴ちゃんの態度はちょっとだけ軟化しましたとさ
めでたし、めでたし
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