697: 2009/06/30(火) 17:45:11 ID:lvGdr43x
いらん子マジ面白いからマジオススメ。
あとアメリーヌ投下します。おそらく3レス。
「ねぇ、ペリーヌさんっ! ペリーヌさんってばっ!」
「………………」
無視ですわ、無視。振り返らない。わたくしはずんずんと基地の廊下を歩く。
そのすぐ後ろを、アメリーさんは追いかけてくる。ぴったりと離れないように。
そう、まるで――いえ、なんでもなくって。
なんだというのかしら、この子ときたら。今ばかりでなく、いつもそうだ。
わたくしはさらに歩調を速める。
「ちょっ……どうしたんですかっ、ペリーヌさんっ! はっ速いですぅ。待ってくださいペリーヌさ――」
ばたんっ、と盛大にすっ転ぶ音がした。
うかつにも、わたくしは振り返ってしまっていた。
が、すぐに向き直り、こんな子なんて放って再び歩き出す。
本当になんだというのかしら、この子ときたら――
床が濡れているわけでも、小石が転がってるわけでも、段差があるわけでもないのに。
なのになぜ、この子はこけることが出来るのか。
「いがないで、ペリーヌさんっ、ペリーヌさんんっ……!」
涙声まじりにアメリーさんは叫んでくる。
わんわんぎゃあぎゃあという大泣き。耳障りだ。
遠ざかっているはずなのに、その声はだんだん大きく聞こえてくるようだった。
「………………」
関係ない。あの子が勝手に転んだだけですわ。だからわたくしには、なんの関係もない。
さっさと行ってしまおう。わたくしは構わず歩き続けた。
歩く歩く歩く、歩く歩く、歩く、歩……
短く舌打ちをした。
わたくしはきびすを返し、いまだに床に這いつくばったままの彼女の元へと方向転換した。
アメリーさんの表情が、ぱあっと急に笑顔に変わったのが、なんだかくやしかった。
あとアメリーヌ投下します。おそらく3レス。
「ねぇ、ペリーヌさんっ! ペリーヌさんってばっ!」
「………………」
無視ですわ、無視。振り返らない。わたくしはずんずんと基地の廊下を歩く。
そのすぐ後ろを、アメリーさんは追いかけてくる。ぴったりと離れないように。
そう、まるで――いえ、なんでもなくって。
なんだというのかしら、この子ときたら。今ばかりでなく、いつもそうだ。
わたくしはさらに歩調を速める。
「ちょっ……どうしたんですかっ、ペリーヌさんっ! はっ速いですぅ。待ってくださいペリーヌさ――」
ばたんっ、と盛大にすっ転ぶ音がした。
うかつにも、わたくしは振り返ってしまっていた。
が、すぐに向き直り、こんな子なんて放って再び歩き出す。
本当になんだというのかしら、この子ときたら――
床が濡れているわけでも、小石が転がってるわけでも、段差があるわけでもないのに。
なのになぜ、この子はこけることが出来るのか。
「いがないで、ペリーヌさんっ、ペリーヌさんんっ……!」
涙声まじりにアメリーさんは叫んでくる。
わんわんぎゃあぎゃあという大泣き。耳障りだ。
遠ざかっているはずなのに、その声はだんだん大きく聞こえてくるようだった。
「………………」
関係ない。あの子が勝手に転んだだけですわ。だからわたくしには、なんの関係もない。
さっさと行ってしまおう。わたくしは構わず歩き続けた。
歩く歩く歩く、歩く歩く、歩く、歩……
短く舌打ちをした。
わたくしはきびすを返し、いまだに床に這いつくばったままの彼女の元へと方向転換した。
アメリーさんの表情が、ぱあっと急に笑顔に変わったのが、なんだかくやしかった。
698: 2009/06/30(火) 17:46:08 ID:lvGdr43x
「どうしてあなたってばいつもそうなの?」
「どうしてペリーヌさんは冷たくするんですかぁっ……!?」
質問に質問を返すのはよしなさい。
わたくしは倒れる彼女の元につくと、しゃがみ込んだ。
アメリーさんはじっとわたくしを見据えてくる。瞳がとらえて、放してくれない。
「どうして、ですかっ……!?」
「それは……」
「わたしっ、そんなふうにされるとっ、つらいですっ……かなしいですっ……泣きそ……ですっ」
津波だった。一度引いていた彼女の涙が、また押し寄せてくる。
まるで幼児のそれだ。普段は大人しい子なのに、こうなってしまうと手がつけられない。
まったく。泣きたいのはこっちの方だと思った。
「どうして、ですかぁっ……?」
追及からは、逃れられない。
どうしてって、それは……
わたくしは毅然と彼女に向き合った。
「あなた、他のみんなからなんて呼ばれてるか知らなくって?」
訊ねると、案の定アメリーさんはぶんぶんと首を横に振った。
ええ、そう。だったら教えてあげますわ。こんな言葉、本当は口にしたくはないのだけれど。
「“金魚のフン”よ」
「ふん……?」
「ええ、あなたがわたくしのいつも後ろを引っついて来るでしょう? だからよ」
気分に任せて言ってやった。
けれど、アメリーさんはきょとんとしている。
……もしかしてこの子、意味がわかってないんじゃないかしら?
みんなにからかわれているというのに。
それが彼女1人のことであれば、別にどうでもいいけれど。
でも、あまつさえ、わたくしまでもがそういう目で見られているのだ。
そんなこと、耐えがたい。
ねぇ、だからもうやめてくれないかしら。お願いだから。
「自分のことをフンなんて呼ばれてるのよ。どう? あなただってイヤじゃなくって?」
「きんぎょの、フンは、イヤ、だ、けど」
「でしょう? だったら――」
「でも、ペリーヌさんの、フンなら、わたし、それでいい」
「どうしてペリーヌさんは冷たくするんですかぁっ……!?」
質問に質問を返すのはよしなさい。
わたくしは倒れる彼女の元につくと、しゃがみ込んだ。
アメリーさんはじっとわたくしを見据えてくる。瞳がとらえて、放してくれない。
「どうして、ですかっ……!?」
「それは……」
「わたしっ、そんなふうにされるとっ、つらいですっ……かなしいですっ……泣きそ……ですっ」
津波だった。一度引いていた彼女の涙が、また押し寄せてくる。
まるで幼児のそれだ。普段は大人しい子なのに、こうなってしまうと手がつけられない。
まったく。泣きたいのはこっちの方だと思った。
「どうして、ですかぁっ……?」
追及からは、逃れられない。
どうしてって、それは……
わたくしは毅然と彼女に向き合った。
「あなた、他のみんなからなんて呼ばれてるか知らなくって?」
訊ねると、案の定アメリーさんはぶんぶんと首を横に振った。
ええ、そう。だったら教えてあげますわ。こんな言葉、本当は口にしたくはないのだけれど。
「“金魚のフン”よ」
「ふん……?」
「ええ、あなたがわたくしのいつも後ろを引っついて来るでしょう? だからよ」
気分に任せて言ってやった。
けれど、アメリーさんはきょとんとしている。
……もしかしてこの子、意味がわかってないんじゃないかしら?
みんなにからかわれているというのに。
それが彼女1人のことであれば、別にどうでもいいけれど。
でも、あまつさえ、わたくしまでもがそういう目で見られているのだ。
そんなこと、耐えがたい。
ねぇ、だからもうやめてくれないかしら。お願いだから。
「自分のことをフンなんて呼ばれてるのよ。どう? あなただってイヤじゃなくって?」
「きんぎょの、フンは、イヤ、だ、けど」
「でしょう? だったら――」
「でも、ペリーヌさんの、フンなら、わたし、それでいい」
699: 2009/06/30(火) 17:47:30 ID:lvGdr43x
「………………」
わかっている。これがこの子のどうしようもない本心なのだ。
けして悪い子ではない……のだと思う。
さりとて、いい子かといえば、首をかしげる。
つまるところ、面倒くさい子なのだ。どうしようもなく。
本当に、面倒くさい。
いつも後ろを追っかけてきて、べたべたと甘えてきて、泣き喚いて。
そうやってこの子はいつも、わたくしをけして1人にはさせてくれない。
こんな子は初めてだった。
そそっかしくて、どんくさくて、わたくしの心をいつもかき乱す。
わけがわからない。
この子と一緒にいるせいで、自分のことまでわからなくなってくる。
はあ、と深いため息が口からこぼれた。
本当にどうしようもない子だわ。
甘ったれで、泣き虫で、わずらわしくって――なのにけして嫌いにはなれないのだから。
「いい加減、泣くのはやめなさい」
言いながらわたくしは、彼女の前にハンカチを差し出した。
「だっで……」
が、アメリーさんは受け取ってくれない。
「だって、なに?」
「だっでっ……ペリーヌさん、はっ、わたしどいるの、イヤ、なんで、しょ……?」
違う。そんなことない。
ちっともイヤなんかではなかった。
それをイヤだと思えない、けれどどう接していいのかわからない、そういう自分自身こそイヤだった。
ええ、とわたくしはうなずき、答えた。
「イヤイヤだけど、一緒にいてあげるから。ね?」
そう言うと、アメリーさんはわたくしの顔を上目づかいにうかがってくる。
その瞳は真っ赤に染まり、涙に潤んで、でもきれい。
これからわたくしは、こういうものに向き合っていかねばならない。
アメリーさんはようやくハンカチを受け取ってくれた。
ひったくるような奪い方。目元をこするようにぬぐい、そして。
ぷーっ、と鼻をかんだ。
「なっ! なんてことなさいますの!?」
「ごっ、ごめん、なさい……洗って、返す、から……」
わたくしはまた、はあ、とため息をつく。一体今日何度目かしら?
「ハンカチの1枚くらい、あげますわ」
「ほんど、ですか?」
「ええ――ああっ、ほら、また出てる」
わたくしはハンカチを彼女の手から取り上げると、ちんと鼻をかんであげた。
なんとなく思った。
きっとこういう関係が、これから先も続いていくのだ。
だってこの子はどうしようもない子だから。
それも悪くないかもしれない――なんて思っている自分がいることに、はたと気づく。
そんなわたくし自身だって、やはりどうしようもない。
以上です。
脳内でアメリーヌ祭りが止まりません。どうしよう。
タイトルは「金魚注意報」です。OsqVefuYでした。
わかっている。これがこの子のどうしようもない本心なのだ。
けして悪い子ではない……のだと思う。
さりとて、いい子かといえば、首をかしげる。
つまるところ、面倒くさい子なのだ。どうしようもなく。
本当に、面倒くさい。
いつも後ろを追っかけてきて、べたべたと甘えてきて、泣き喚いて。
そうやってこの子はいつも、わたくしをけして1人にはさせてくれない。
こんな子は初めてだった。
そそっかしくて、どんくさくて、わたくしの心をいつもかき乱す。
わけがわからない。
この子と一緒にいるせいで、自分のことまでわからなくなってくる。
はあ、と深いため息が口からこぼれた。
本当にどうしようもない子だわ。
甘ったれで、泣き虫で、わずらわしくって――なのにけして嫌いにはなれないのだから。
「いい加減、泣くのはやめなさい」
言いながらわたくしは、彼女の前にハンカチを差し出した。
「だっで……」
が、アメリーさんは受け取ってくれない。
「だって、なに?」
「だっでっ……ペリーヌさん、はっ、わたしどいるの、イヤ、なんで、しょ……?」
違う。そんなことない。
ちっともイヤなんかではなかった。
それをイヤだと思えない、けれどどう接していいのかわからない、そういう自分自身こそイヤだった。
ええ、とわたくしはうなずき、答えた。
「イヤイヤだけど、一緒にいてあげるから。ね?」
そう言うと、アメリーさんはわたくしの顔を上目づかいにうかがってくる。
その瞳は真っ赤に染まり、涙に潤んで、でもきれい。
これからわたくしは、こういうものに向き合っていかねばならない。
アメリーさんはようやくハンカチを受け取ってくれた。
ひったくるような奪い方。目元をこするようにぬぐい、そして。
ぷーっ、と鼻をかんだ。
「なっ! なんてことなさいますの!?」
「ごっ、ごめん、なさい……洗って、返す、から……」
わたくしはまた、はあ、とため息をつく。一体今日何度目かしら?
「ハンカチの1枚くらい、あげますわ」
「ほんど、ですか?」
「ええ――ああっ、ほら、また出てる」
わたくしはハンカチを彼女の手から取り上げると、ちんと鼻をかんであげた。
なんとなく思った。
きっとこういう関係が、これから先も続いていくのだ。
だってこの子はどうしようもない子だから。
それも悪くないかもしれない――なんて思っている自分がいることに、はたと気づく。
そんなわたくし自身だって、やはりどうしようもない。
以上です。
脳内でアメリーヌ祭りが止まりません。どうしよう。
タイトルは「金魚注意報」です。OsqVefuYでした。
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