ジュン「かき氷があるよ。どれがいい？」

銀「……いちご」

真「メロンをおねがい」

ジュン「はい」

銀「……」ｼｬｸｼｬｸ

真「……」ｼｬｸｼｬｸ

銀「アアアアアァァァァァ……」

真「あわてて食べるからよ」

ジュン「……」

ちりん……　ちりん……

銀「……」

ちりん……　ちりん……

銀「……」

ちりん……　ちりん……

雛「あっ!!ヒコーキ雲!!」

銀「……雲？」

雛「あれ!!真っすぐのびてるの!!」

銀「……」

ちりん……　ちりん……

銀「くも……」

蒼「スイカを切ったよ」

ジュン「うまそうだな」

銀「……」

蒼「水銀燈、スイカはこうやって食べるんだ」ｼｬｸｼｬｸ

銀「……」

銀「……」ｼｬｸｼｬｸ

銀「アアァァ……」ﾍﾞﾁｬﾍﾞﾁｬ

蒼「あぁ、ほら。べちゃべちゃにして……」

蒼「水銀燈は、スイカを食べるのが下手だね……」

銀「……」

銀「へた……」

ジュン「……」ｼｬｸｼｬｸ

翠「太陽が熱いです……」

銀「……ん」

翠「そうだ、この金ダライに水を入れるです!!」ｼﾞｬﾎﾞﾎﾞ

銀「……アー」

翠「ほら、水銀燈。靴を脱いで足を入れるです!!」

銀「あし……」

ちゃぷ

銀「アアアアアァァァァァ……」

翠「翠星石も……」

ちゃぷ

翠「アアアアアァァァァァ……」

ちりん……　ちりん……

金「……」～～♪

ジュン「やっぱり、金糸雀はバイオリンがうまいな」

金「ま、これくらいわけないかしら」

ジュン「水銀燈も、そう思うだろ？」

銀「……すぅ……すぅ」

金「寝ちゃってるかしら」

ジュン「音楽聞いてて、気持ち良かったんじゃないのか？」

金「赤ちゃんみたいな寝顔かしら」


ちりん……　ちりん……

めぐ「……水銀燈……」

めぐ「もう、来てくれないの？」

めぐ「水銀燈……」

ちりん……　ちりん……

めぐ「風鈴……」


――――――――――――――――――――

日本の、風鈴っていうみたいねぇ

音を聞くだけで、涼しくなるそうよ

暑すぎるこの部屋には必要でしょう？

――――――――――――――――――――


めぐ「水銀燈……」

ちりん……　ちりん……

ちりん……

りん……　りん……

りん……


銀「…………」

ジュン「ずっと風鈴を見てるよな」

銀「……」

ジュン「毎日、毎日。すきなのか？」

銀「……ん」

ジュン「そっか……」

かちっ　ふぃぃぃぃ…………ん

銀「アアアアアァァァァァ……」

ジュン「扇風機も好きみたいだな」

巴「水銀燈、髪をといてあげる」

銀「……ぅ」


すっ……　すっ……

巴「水銀燈？」

銀「……？」

巴「それ、何を持ってるの？」

銀「……ん」

巴「折り紙……鶴ね。ジュン君が作ってくれたのね」

銀「……」

巴「よかったわね」

銀「……ん」

真「水銀燈、こっちへ」

銀「……？」

真「今日こそ、あなたにくんくんの素晴らしさを教えてあげるわ」


くんくん「さぁ、この油揚げ、いったい何を意味するのか……」

真「あぁ……素晴らしいわ……水銀燈もそう思うでしょ？」

銀「……すぅ……すぅ」

真「……」

真「そのまま寝たら、風邪を引いてしまうわよ？」

真「ジュン、毛布はどこ？」


銀「……すぅ……すぅ」

銀「……めぐ、また食べないの？」

めぐ「今日は、本当に食欲がないの」

銀「といっても、この暑さよ？食べなきゃ、夏ばてになるわぁ」

めぐ「暑いから食欲がないのに……」

銀「そうね、涼しくなる方法、探してきてあげる」

めぐ「涼しくなる、方法？」

銀「そう。なにか、ね」

バサァッ!!

銀「……」

銀「……めぐ」

ジュン「めぐって、誰？」

銀「……」

ジュン「……」

銀「……めぐ」

ジュン「……そっか」

銀「ハァァッ!!」

真「くっ……!!」

翠「スィドリーム!!」

銀（今日こそ……今日こそ勝たないと!!）

翠「まずいです!!今日の水銀燈はしつけーですよ!!」

真「頑張って!!なんとか持ちこたえて!!」

水銀燈「アアアアアァァァァァ!!!!」

真「しまっ……」




――――――――――――――――――――

銀「……ぁ」

銀「……ぃ」

金「あら、また歌を歌っているかしら」

ジュン「そう、なのか？」

金「そうよ。水銀燈はちょくちょく歌っているかしら」

ジュン「歌だったのか」

銀「……ぁ」

銀「……」

ちりん……　ちりん……

銀「……すぅ……すぅ」

ジュン「あ、こいつ、廊下で寝てる……」

ジュン「仕方ない、布団につれていくか」

ジュン「よっと。思ったより軽いな」

とっ　とっ　とっ

ジュン「よいしょっ……ん？」

銀「……」ｼﾞｯ

ジュン「……いつ起きたんだ？」

銀「……」ｷﾞｭ

ジュン「起きたなら降りてくれよ……」

銀「……」ｷﾞｭ

ジュン「……はぁ」

ガギィン!!

真「蒼星石!!」

蒼「間に合ったみたいだね、真紅」

翠「蒼星石!!来てくれたですね!!」

金「カナもいるかしら!!」

雛「カナリア、ありがとうなの」

銀「何よ……何よ何よ何よ!!!!」

銀「つまんない!!面白くない!!イライラする!!
　全員まとめてジャンクにしてあげるわ!!」



――――――――――――――――――――

銀「アアアアアァァァァァ!!!!!!!!」

雛「にゅっ!!」

真「雛苺!!」

翠「くっ、すごい量の羽です……近付けない……」

金「攻撃のワルツ!!」

バシィィィィィン!!!!

蒼「すべて弾いた!!」

銀「チィッ!!!!」



ジュン「ハァッ、ハァッ、やっと追い付いた……」


――――――――――――――――――――

銀「手術？」

めぐ「そう。十日後に、ね」

銀「……」

めぐ「水銀燈……」

めぐ「いつまでも、そばにいてくれる？」

銀「……」

銀「バッカじゃなぁい？」

めぐ「水銀……」

銀「めぐ、約束したでしょう？」
銀「氏が二人を



――――――――――――――――――――

ジュン「水銀燈、そろそろ離してくれないか？」

銀「…………」

パッ

ジュン「サンキュ」

銀「……」

ちりん……　ちりん……

ジュン「……水銀燈……」

ジュン「もどって……これないのか？」

雛「……すぅ……すぅ」

銀「……すぅ……すぅ」

翠「…………」

真「…………」

翠「もし、水銀燈が、元に戻ったら……また、アリスゲームは……」

真「翠星石、あなた……」

翠「わかってるですぅ……そんなことは、考えていないです。……ただ」

翠「こんな形でも、姉妹全員で、お茶を楽しんで、笑って……」

翠「お互い触れ合って、……その」

真「そうね。わかるわ。……けれど」

真「今のままじゃ、水銀燈は……」



もう、戻ってこれなくなるわ

　　　ここは、どこ？

　　　ここは、どこ？

　　　わたし、だれ？

　　　わたしって、だれ？

　　　わたし……

　　　わたしって、なんだっけ？

　　　なんだっけ

　　　


　　　つまんなぁい

めぐ「からたちの花が咲いたよ……♪」

めぐ「白い白い花が咲いたよ……♪」

めぐ「からたちのとげは痛いよ……♪」

めぐ「青い青い針のとげだよ……♪」


看護師「一日中、歌っているんです……朝から晩まで、休まず」

看護師「何で歌っているか聞いても、ただ歌うだけで……」


ガラッ

めぐ「からたちは畑の……!!」

父「めぐ……」

銀「……すぅ……すぅ」

雛「ふにゅ……くぅぅ～～……おはよ～なの」

蒼「おはよう、雛苺」

翠「やっと起きたですかチビチビ」

雛「だって、水銀燈にくっついてるとあったかいのよ？」

金「その水銀燈はまだ気持ち良さそうに寝ているかしら……」

真「ジュン、紅茶を煎れてちょうだい」

ジュン「はいはい」

銀「真紅のミーディアム……そうよ、ミーディアムを潰せば……」

真「水銀燈っ!!」

銀「早い話じゃなぁい!!」

真「水銀燈!!!!」


ガッ!!!!!!!!




銀「し、……しん……く……」


――――――――　――――
―――　――――　―――――――――　――
――――――――――――

銀「……すぅ……すぅ」

真「水銀燈……」

真「私が……私が……」




ジュン「メイメイ、だっけ？」

蒼「うん」

ジュン「これが、ねぇ。お前たちの人工精霊と同じものなのか」

金「そのはず、かしら」

ジュン「…………」

ジュン「ただの、黒いビー玉じゃないか」

出てけ!!消えろ!!
私にはパパなんて必要ない!!
バカ!!氏ね!!

二度と、

二度とくるな!!!!!!



氏ね……氏んじゃえ……

うぅ……ぅ、

ジュン「どんな夢を見ているんだろうな……」

銀「……すぅ……すぅ」

翠「……そうです!!見てみるです!!」

真「その手があったわね!!」

雛「名案!!名案なの!!」

ジュン「え？」

翠「水銀燈の夢に入って、水銀燈を引きずりだすです!!」

めぐ「水銀燈……水銀燈……」

ちりん……　ちりん……

めぐ「明日だよ？」

ちりん……　ちりん……

めぐ「生きようって、思ったのに……」

めぐ「生きようって、思えたのに……」

めぐ「水銀燈……」

めぐ「どこにいるの？」

翠「真っ暗ですぅ……」

真「何も見えないわ……」

雛「何だかこわいの……」

ジュン「えっと、これはどういうことなんだ？」

翠「わからないです……」

真「自分を見失っているの？」

雛「……あれ、なぁに？」

ジュン「なんだ、あれ？」

真「そんな……これは……」　

翠「ローザミスティカが落ちているです……」

雛「なんだか……元気がないのよ……」

真「触るだけで、私がこれを取り込んでしまいそうなほど……」

翠「弱っているですね……」

真「あのことローザミスティカは、今にも切り離されてしまいそう……」

雛「水銀燈、動かなくなっちゃうの？」

ジュン「…………」

彼女は今、まさに舞台から降りようとしているのです。

真「ラプラスの魔……」

ラプラス「彼女はアリスゲームに負けたのです。第五ドール、あなたに」

翠「じゃぁ、水銀燈は……」

ラプラス「永遠ともいえる長い眠りのために静かに瞼を降ろす……　　　　瞼が降りる前に、やらなければならないことがあるのでは？」

雛「……よくわからないの」

ラプラス「このままでは、ローザミスティカは夢のなかに、閉じ込められたまま……。
　　　　覚めぬ夢の深い闇のなかへ……」

真「……水銀燈……」

ゴゴ……　ゴゴ……

ジュン「何の音だ？」

ラプラス「夢は閉じられます。彼女は深い眠りへ……」

翠「まずいです!!はやくここから出るです!!」

雛「水銀燈……」

真「水銀燈。あなたは気高きローゼンメイデンとして生きていた」

真「どこまでもお父様を愛し、お父様に応えようとしていた……」

真「けれど……」

真「……」

真「いいえ。そうね。あなたを侮辱することはできない」

真「私は、お父様に会うわ。アリスゲームとは違う方法で」

真「水銀燈、あなたも一緒よ。あなたは、私のやり方が気に入らないでしょうけど……」

銀「……ぅぁ……」

銀「…………」

ちりん……　ちりん……

銀「……りん……りん……」

銀「……ぁ……ぁ」


ちりん……


銀「……めぐ……」





りん……

水銀燈……どこにいるの？





父「手術……失敗？」

　　　　♪　♪

ジュン「今、何か聞こえなかったか？」

翠「地鳴りの音しかしねーです!!早く逃げるですよ!!」

雛「なんだかすっごく怖いのよ……」

真「落ち着きなさい!!ジュン、はやく出なさい!!」

ジュン「わ、わかったよ……」

『あら、また歌を歌っているかしら』

『そうよ。水銀燈はちょくちょく歌っているかしら』




ジュン「……」

　　　わたし、わたし
　　　
　　　わたし、わたし

　　　だれだっけ？

　　　だれか、待っていたのかな？

　　　だれだっけ？

　
　　　うた

　　　うたわなきゃ　

　　　なんで、だっけ？



からたちの花が咲いたよ　♪

　きれいなうたね

　　　あなたは、だれ？

　わかんないわぁ

　　　わたしも、わかんない　

　さっきの、うた？

　　　たぶん

　やめないで
　　　
　　　え？

　……もっと、続けてちょうだぁい？

　　　……


　　　いいよ


からたちのとげは痛いよ
　青い針のとげだよ　♪

――――――――――――――――――――

銀「氏が二人を別つまで……いいえ。氏んでも一緒……」

銀「忘れたの？」

めぐ「……水銀燈」

めぐ「忘れてないよ、水銀燈……」

銀「またあとで、歌を聞かせなさい」

めぐ「……うん」


ちりん……　ちりん……


――――――――――――――――――――



おわり

お疲れ様です。お久しぶりですね。

水銀燈「アアアアアァァァァァ」みて一番最初に思いついたことだらだら書きました。


肺については、退院後、一昨日再び気胸が発生。
12日、ドレーンを刺すかもしれない、という感じです。
刺さなくてもいいかもしれないらしいです。

刺したくないです。