1: 2009/02/05(木) 18:37:48.34 ID:F5ZCCPbT0
水「…って、あら、誰も居ないじゃなぁい」
水「つまんなぁい、せっかくからかいに来てあげたのにぃ」
水「…仕方ないから、ここにある本のページ全部に羽でも挟んでみようかしら? あれ? どこまで
読んだんだっけー? って。くすくす」
ちまちまちま…。
水「…馬鹿みたい。やぁめた」
水「ところで…落ち着いて見てみるときったない部屋ねぇ」
水「引きこもりって、外どころか内も見えなくなっちゃうのかしらぁ。みっともなぁい」
水「こぉんな所に住んでいるなんてあの子達の方が哀れじゃなぁい? うふふふふ」
水「…でも、あの子達、こんな所にいてアレルギーとかにならなきゃいいけどぉ」
水「鞄は…。ちょっとぉ、せめてテーブルか何かに置いてよぉ。床に直置きじゃない。 どれどれ…やだ!
鞄がうっすら埃かぶっているじゃない! あんまり窓開けなそうな部屋だからかしらぁ?」
水「まぁ、赤いのの鞄なんてどうでもいいけどぉ…」
水「…あーもう! 駄目! 我慢できない! 拭くものあるかしらぁ。下行ってみましょ」
の「後はラップでくるんで…と。あら、水銀燈ちゃん、来ていたの?」
水「なんだ、人居たんじゃないの。みんなはぁ?」
の「ジュン君は図書館、他のみんなは金糸雀ちゃんのお家に行っているわ」
水「ふぅん。あ、それより拭くものなぁい?」
の「え? 拭くもの? ジュン君の部屋? あの部屋の物だったら雑巾で十分?」
水「それでも構わないけどぉ、一応かわいそうだから綺麗なのちょうだい。あの子達の鞄が
埃だらけなのよぉ」
の「あら、水銀燈ちゃん優しいのね、みんなの鞄拭いてあげるんだ。それなら新しいのあげる」
水「暇だからただの気まぐれよぉ。ローゼンメイデンたるドールの鞄が埃だらけなんて
お父様に申し訳ないし」
ローゼンメイデン 水銀燈 完成品フィギュア
3: 2009/02/05(木) 18:40:41.75 ID:F5ZCCPbT0
の「分かったわ。ええと…はい、これ新しいから使って。今絞るわね」
水「古くてもいいわよ。後はやるから、バケツもちょうだい」
の「駄目、古い雑巾だと水銀燈ちゃんの手も汚れちゃう。はい、ぬるま湯にしたから」
水「…殊勝な心がけね、借りるわぁ」
の「いってらっしゃーい。気を付けてねー」
水「二階じゃない…」

水「ごしごし…うわ、中はくんくんグッズだらけ。寝るところ無いじゃない。全部取り出し…縫いつけて
いるし…。ちょきん」
水「はい、一個だけのこしてあげる。ぬいぐるみなんて、枕元に一つあればいいのよぉ」
水「これは雛苺のね。中はそれなりに綺麗だけど…この粉っぽいの、大福の片栗粉じゃなぁいケホケホ」
水「外に出して…枕をぱんぱんっと。うわ、煙みたいに埃が出るじゃない…気管支炎になってないわよね?」
水「…何このシールまみれの鞄…。翠星石ね…。ああもう! ローゼンメイデンの終の住み処とも言える
鞄を何だと思ってんのよあのルイージ! のりー! 革クリームちょうだぁい!」
の「はーい」
水「…んっ。こんな所かしらぁ。でもホント、こんな使い方されていると知ったらお父様泣くわねぇ」
水「それにしても空気悪いわぁ。全体的によどんでいるし、机には後ろ向きなオーラがまとわり
ついているし、ゴミ箱は妙にティッシュ多いしなんか湿っているっぽいような酸っぱいにおいが
するような…。考えるのやめましょ」
水「…ふぅ、これでよ…ああもう駄目駄目! こんな豚箱みたいなところにあの子達が居ると思うとっ!」
とんとんとん
水「のり、ゴミ袋ちょうだい。それに着替えあるぅ?」
の「お着替え? あ、そうだ。私の小さい頃のジャージなら水銀燈ちゃんにも合うかもぉ」
水「ジャージ…ま、いいわ。貸してくれる? 汚れるけど」
の「いいわよ。お掃除してくれるんだもん。頭巾も要るわね。手伝いましょうか?」
水「この程度、人間に手伝って貰う必要も無いわぁ。あんたは自分の事してなさい」

5: 2009/02/05(木) 18:44:09.05 ID:F5ZCCPbT0
の「分かったわ。はい、ゴミ袋とお着替え。ドレスはお洗濯しておくわ。ちゃんと手洗いで」
水「…いいけどぉ、皺にしないでよぉ?」
の「お任せあれ! あ、あの部屋のゴミ箱のは汚いし臭いから捨てるなら、少し息止めておいた方が
いいわよ。視線も出来るだけそらして。間違っても直接触っちゃ駄目よ。汚れるから」
水「何となくそうした方がいい気がしてたわぁ。…ところで、結構容赦ないのね」
の「あら、何の事ぉ? はーい、ぬぎぬぎ」
水「あん、もっと優しくしてよぉ!」

水「ふぅ…。小さい部屋のくせにけっこうかかったわぁ。のり、このゴミ袋捨てておいて」
の「はぁい、お疲れ様ぁ」
水「…あたし、何しに来たんだったかしら? …帰るわぁ」
の「待って。せっかく来てくれた水銀燈ちゃんにお掃除させてそのままなんて失礼だわ。
まずはお茶しましょ。お洋服もまだ乾いてないし、疲れたでしょ?」ニコニコ
水「…あんたってホント気の抜ける笑顔するわねぇ」
の「うふふ。埃が付いているからもう一回お着替えしてね。
水「はぁい…」
の「はい、お疲れ様。今日はミントのハーブティーとお手製マロングラッセよ」
水「ふぅん。あら、おいしいわぁ」
の「うふふ、うれしいわぁ」
水「…なんかあんたとあたしって、どっか口調似ている気がするわねぇ」
の「そうかもねぇ。トーンは全然違うと思うけど」
水「不思議ねぇ」
の「ふしぎだわぁ」

水「ごちそうさま、おいしかったわぁ」
の「お粗末様。お夕飯も食べていくでしょ?」
水「いいわよぉ、みんな帰ってくるし」
の「あら、良いと思うけど?」

9: 2009/02/05(木) 18:50:58.52 ID:F5ZCCPbT0

水「どうせ、また言い合いになっちゃうわ…。ふあ…あ…眠くなっちゃったし…帰って寝るわぁ。
服ちょうだい」
の「あら、それじゃあ、ちょっとだけ横になってよ。少ししたら起こしてあげるから」
水「そんなの、いいわよぉ…。それにこの服、柔らかいから妙に眠気が…」コクリコクリ…
の「うふふ、えい、ちょん」
ポス
水「あぁん…乱暴ねぇ」
の「はい、枕と…毛布も掛けましょうねー」
水「…あん、あったかぁい…ちゃんと、みんなが帰ってくる前に…起こしてよぉ…」ウツラウツラ…
の「うふふ、お休みなさい」
水「…んん…。すぅ…すぅ…」
の「…あらぁ…寝顔かわいい…ちゅ」
水「んにゃあん…」

水(お父様! 待って! 私を置いていかないで!)
水(いやぁ! もう妹たちと戦うのはいやぁ!)
水(めぐ! しっかりして! めぐぅっ! 目を開けてぇっ! 独りにしないでぇっ!)

水「…うぅ…ひっく………」ポロポロポロ
の「…ごくり」
全員「ドキドキ…」

15: 2009/02/05(木) 18:56:40.63 ID:F5ZCCPbT0
水「…はっ!?」
の「あら、おはよう」
ジ「ふぅ…おっす」
真「よ、よく寝ていたのだわじゅる」
水「の、のり!? それにあんた達…お、起こすって言ったのにぃ!」バサバサ!
の「あんまり可愛くて…」
水「や、やだ! あたし、寝ながら泣いてた!?」
全員「…ごちそうさまです」
水「な、何がよぉっ! ああもう! あたし帰る!」
の「…のにはちょっと遅いし、みんなでお夕飯にしましょ。もう用意できているのよ」
水「のり、足放してよぉ…。はぁ、なし崩しだわぁ」
水(でも…前に雛苺がはなまるハンバーグはうぉおおん、とか唸るくらい美味しいとか言って…)
金「それにしてもそのはちみつクマさんパジャマ、可愛いかしら」
水「好きで着てるんじゃないわよぉ!」
の「で、その前にジュン君は着替えして全身ファブリーズしてから来てね。でないと着席禁止」
ジ「えー」
蒼「いやなら股間の汚染白濁液ごとちょん切るよ」
ジ「行ってきます」
水(…はなまるハンバーグ…わくわく…)
雛「水銀燈、目が子犬みたいに輝いているの」
水「な、涙の残りよぉ」

の「はい、召し上がれ」
水「……」
翠「いただきますですぅ」
金「おいしそうかしらー」
水「…なんで舌平目のムニエルにクラムチャウダーなのよぉ…」

16: 2009/02/05(木) 19:00:40.21 ID:F5ZCCPbT0
蒼「え? 十分過ぎるご馳走だよ?」
水「不満なんじゃなくってぇ…」
真「お食事中はおしゃべりしないのだわ」
水(ぶー…)
雛「あ、もしかして水銀燈、はなまるハむがごがぐは」
水(しーっ! 静かにしなさい! 余計なこと喋らなくていいのよぉ!)
雛「むぐーー!」
蒼「ごちそうさま」
翠「ですぅ」
真「あら、そろそろくんくんの時間だわ」
銀「お馬鹿さんねぇ、今日は特番だからやらないわよぉ」
真「え? あ、そ、そうだったのだわ」
翠「詳しいです、水銀燈」
銀「た、たまたまよぉ。たまたま。あんな探偵人形劇、興味無いわぁ。昔の同僚だった犯人を同情で一時
逃がしちゃったり、結局拳で説き伏せて泣きながら警察に引き渡すお馬鹿さんになんてね!」
金「それはシリーズ中でも一二を争う感動の回かしら」
ジ「僕は部屋行ってる。勉強するからお前ら来るなよ」
蒼「賢者の勉強だね」
雛「それじゃ水銀燈遊んでなのー」
銀「遊ぶぅ? あんたと? 何でぇ?」
雛「えーとね、えーとね…」

翠「ジュン! ジュン! ちょっと来るですぅ!」
ジ「何だよ? せっかく今、斧でF5の連打中なのに…」

20: 2009/02/05(木) 19:06:35.48 ID:F5ZCCPbT0

雛「せっせっせーの♪」
銀「よいよいよい♪」
雛「おちゃらかおちゃらかおちゃらかほい♪」
銀「おちゃらか勝ったよおちゃらかほい♪」
雛「おちゃらか負けたよおちゃらかほい♪ なのー」
銀「あん、もう一回よぉ」
ジ「…横座りで遊ぶ水銀燈…なんかいい…。なんかものすごくいい…ハァハァ」
真「わ、私もまざるのだわ!」

雛「その時歴史が動いたがはじまったのー」
銀「…あら、もうこんな時間? 今日はごちそうさま」
の「あらぁ? 泊まっていかないの?」
銀「そこまで世話にはならないわぁ。それに、めぐが待っているし」
蒼「めぐさんかぁ。よろしく言っておいてね」
銀「…ま、覚えておくわぁ」
の「あ、これお土産のドーナツ。めぐちゃんが嫌いじゃないといいんだけど」
銀「あら、ありがと。それじゃねぇ。…真紅ぅ」
真「何かしら?」
銀「今日はそう言う雰囲気じゃなかったけどぉ、今度は、アリスゲームしに来るわよぉ。
くすくす」
真「くんくんの時間は避けて欲しいのだわ」
銀「…頭痛くなったわぁ。それじゃ、首を洗」
全員「おやすみなさい」
銀「おやすみなさい…」

21: 2009/02/05(木) 19:10:37.62 ID:F5ZCCPbT0
めぐ「へぇ、遅いと思ったらそうだったんだ。今日は来てくれないかと思ってたのよもぐもぐ」
銀「はぁ、何だか毒気抜かれるわぁ」
め「ふふっ。楽しそうじゃないがつがつ」
銀「これじゃいつまで経ってもアリスになんてなれないわぁ」
め「アリスになる方法は…色々、なんでしょ? もしゃもしゃ」
銀「って言うかみんな忘れてるんじゃないかしら? アリスを目指す事自体を」
め「もしかしたら、それも、悪い事じゃ無いんじゃない? けふ」
銀「…食べ終わった? そろそろ寝ましょう。夜風は体に毒よぉ」
め「そうね、ちょっと冷えてききききげほげほぶほっあがあががががひでぶっ!」
銀「ひぃっ! めめめ、めぐぅっ! ナナ、ナースコールナースコールぅっっ!」
め「ほぐおおおおおおおおおっっっ!」
銀「また眠れないわぁ…」

の「はい、お茶よ」
蒼「ありがとう、のり。そうだ、水銀燈はもう寝たかな?」
真「あの子は帰ってもてんてこ舞いしている気がするのだわ」
金「みっちゃんは今日帰らないから。カナも泊まるかしら」
蒼「僕もおじいさんとおばあさんが旅行だから泊まらせてもらうよ」
の「今日は賑やかねぇ。それじゃ、みんな順番にお風呂入ったらお休みの準備よ」
雛「雛、のりと入るのー!」

カポーン
雛「いいお湯だったのー」
プシュ。グビグビグビ。
雛「ぶはー。…うーん、やっぱり糖質ゼロだと味が薄いのー。あ、本当に鞄が綺麗なのー!
水銀燈、鞄をお掃除してくれたの本当なのー」
金「雛苺、前を隠すかしら…」

24: 2009/02/05(木) 19:15:10.66 ID:F5ZCCPbT0
雛「ほいっと」スパーン
金「だからタオルでおまたをぱーんってしないかしら!」
真「そう言えば暫く掃除していなかったのだわ」
蒼「ここって一日経つと何故か鞄が埃被るからね」
雛「だから蒼星石と金糸雀は布を被せているのね」
金「みっちゃんお手製かしら。銀糸入りで抗菌ばっちりかしら!」
翠「あーっ! 自慢のくんくんシールが全部剥がされたですぅ! むきー! 殴り込みに行」
蒼「腰を回してえぐるように…えい」プス
翠「ぐはぁっ!目が目がぁあああぁぁああぐふっ!」
蒼「水銀燈が正しい。僕も何度その鞄を捨てたい衝動に駆られたか分からないんだよ? むしろ
感謝しなくちゃ。分かった?」
翠「し、視界が回復しねーですぅ…」
蒼「ジュン君のゴミ箱妊娠計画も無事阻止されたみたいだね。あれに手を付けるなんてすごいなぁ、水銀燈」
ジ「ふっ。何度邪魔されようと、もう一度始めるまでさ」
蒼「言い回しは清々しいけどやっている事は最低だって分かってる?」
ジ(今日のオカズはやっぱり水銀燈のあの涙流したせつな可愛い寝顔に…)
真「何か、姉妹の誰かが激しく汚されている気がするのは何故なのだわ」
翠「おじじも時々体を壊すですけど、水銀燈も病人のお世話は大変ですねぇ」
蒼「着きっきりって訳じゃないらしいけどね」
金「でも、水銀燈の事だから、ああ見えて具合が悪いときはきっとずぅっと側にいるのかしら。ツンデレだから」
真「あの子も、疲れが溜まってなければいいんだけど…」
ジ「はっ! 逆転ホームラン!」
翠「ジュン?」
蒼「更にイカれた?」
ジ「お前達、水銀燈に休みをあげたくないか?」
全員
真「え?」
雛「ぐごー! くっちゃくっちゃ………ぐ…………ぐ………………………ぐごおおおお!」ブー
蒼「無呼吸症候群?」

26: 2009/02/05(木) 19:20:09.34 ID:F5ZCCPbT0
銀「…で、昨日の今日で呼ばれたと思えば…」
銀「みんなでお出かけするから後はよろしくってどういう事よぉ!」
銀「まったく…誇り高き薔薇乙女を何だと思っているのよ。いくら最近馴れ合っているからって…」
銀「めぐの世話で疲れているから、たまには一人で自由な時間をって…。何知ったかぶりしてんのよぉ。
体のいい、ただの留守番じゃない」
銀「…ま、確かに昨日は徹夜だったし、めぐもICU入りっぱなしで暇だから、気晴らしにはなるわねぇ。
メイメイ、メグの様態の定時連絡、よろしくねぇ」
メイメイ「!」

ジ「…なるほど、めぐめぐは今、ICUで躰を弄くりマワされているのか」
蒼「その言い回し本気で最低」
雛「わーい! お庭の物置が秘密基地なのーキテレツなのー」
真「でも…いいナリか? こうして水銀燈の行動を覗くなんて…」
ジ「姉妹として、もっと姉の事を知りたいだろう? こうでもしないと水銀燈は素の自分を見せて
くれないと思うぞ。単にお休みじゃなくて、用事を押しつけたっぽい風にしたから逆にぎんぎんも
遠慮無く寛いでくれるさ」
真「それは…そうね」
金「ぎんぎん?」
翠「ジュン…優し」
ジ「素の水銀燈…。素は素っ裸の素…。人知れぬ痴態…。開放感から来る抗えない痴態…ハァハァ」
翠「翠星石の感動を返せですぅ…」
の「でもジュン君、各部屋にカメラなんていつの間に? って言うかそんなの持っていたの?」
ジ「無線式だから配線の手間が要らないんだ。姉ちゃんの部屋で試験済みだからすぐ設置出来た」
翠「そういう事を聞いているんじゃねーと思うですぅ」
の「…ジュン君、後でよーく話し合おうか。拳とかで、ね?」ポキポキ
蒼「僕、手伝います」シャキンシャキン
ジ「あれ? 小屋の中なのに氏兆星の光?」
真「しっ。行動を始めたのだわ」

28: 2009/02/05(木) 19:23:45.77 ID:F5ZCCPbT0
銀「ええと、あいつらが帰ってくるのは夕方で、食事は台所のもので好きなのとか書いてあったわねぇ」
銀「やる事がある訳じゃないし…。せっかくだからちょっと見回ってみようかしらぁ」

銀「ここは…トイレね」
真「……」
銀「どこの誰かさんかは知らないけどぉ、ここでお茶をしようなんてお馬鹿さんも居るみたいねぇ。…くす」
真「…………」
金「いたいいたいいたいおしりいたいいたいいたいかしらっ!」
蒼「あっ! ずるいよ金糸雀! 僕も僕も!!」
翠「…泣きたいですぅ」
の「よしよし」
翠「えぐえぐ」
銀「ここは…ああ、のりの部屋ねぇ。あ、これマクロスって言うんだったかしらぁ」
の「惜しい! ラクロス!」
金「初代の映画版はマイクロミサイルに一本チューハイが混ざっているって知っているかしら」
銀「ふぅん…鏡台の前のは…化粧品ね。けっこうあるじゃない。あら、安物にしてはいい香り」
の「やっぱり女の子ねぇ。目が輝いているわ」
銀「…ちょっとだけ、ね」
真「口紅をつけ始めたのだわ」
雛「やーん、色っぽいのー」
銀「悪くないじゃなぁい。流石は薔薇乙女一番の美貌の持ち主だわぁ。うふ」
ジ「あの艶めかしい唇から紡ぎ出される容赦のない罵詈雑言を浴びせられたら出ちゃうだろうな…」
蒼「あの唇から唾なんて吐きかけられたら、ぜんぶ指で掬い取って反芻しちゃうね。地面に落ちた唾だって
這い蹲って舌で舐めとっちゃうだろうな。当然頭を踏みつけられながら…はあぁ」
翠「…なんか、本気で涙が止まらねーですぅ」
の「私も…」

31: 2009/02/05(木) 19:27:52.96 ID:F5ZCCPbT0
銀「居間は…ま、普通よねぇ。そういえば、このソファー寝心地良かったわぁ。まだちょっと
眠いし…少し、横になろうかしら」
銀「すぅ…すぅ…」
ジ「すぐ寝ちゃったな」
真「やっぱり疲れているのだわ。その為に来て貰ったのが本来の目的なのだわ」
ジ「角度を弄って…あ、パンツ見ふぐぉ!」
の「あら、ごめんなさい、暗いからよく見えなくてぇ」
雛「拳が紅く濡れているの…」
一時間後
銀「ふあぁ…」
ジ「おい、みんな起きろ。ぎんぎん起きたぞ」
真「ふあぁ…おはようなのだわ」
蒼「暗いから寝やすかったね…」
金「ジュンはよく目が冴えていられるかしら」
ジ「薄暗い部屋でモニター見続けるなんて自家薬籠の内さ」
翠「小難しい事言っているけどヒッキーだからってだけですぅ」
真「移動を始めたのだわ」

銀「納戸は…まぁ普通よねぇ。あ、この鏡、なんか懐かしいわぁ。最近は窓かPCから
普通に来てるものねぇ」
真「そういえば忘れていたのだわ」
翠「強いて言うなら玄関から来てほしいですぅ」
ジ「前は特別な、とか言いながらお前達、結局鏡なら何でもいいんだもんな」
金「要は雰囲気の問題かしら」
ゴソゴソ…ワラワラワラ…チューチューチュー
銀「! きゃああああ! 鼠いいいいっっっ! お、多いわぁっっ!」
の「きゃあっ! やっぱり野菜を荒らしていたの鼠だったのね!」

33: 2009/02/05(木) 19:31:14.17 ID:F5ZCCPbT0
金「ああっ! 珍しく水銀燈が戦闘モードかしら!」
雛「羽が全開なの!」
銀「くらいなさいっ!」
翠「羽手裏剣が雨あられですぅ!」
真「あのちょこまかした小さな鼠相手にあんなに正確に…。使用頻度こそ減ったけど、威力も
精度も衰えていないのだわ」
蒼「ずるい! あの鼠ずるいよぉっ! ああっ! あんなにたくさん刺してもらっちゃって…」
翠「…お願いだから黙ってほしいですぅ」
金「鼠が全員、あっという間に黒い羽鼠に変身かしら」
銀「…びっくりしたぁ…。これ、どうしようかしら? このままって訳にも…あ、そうだ」
ジ「? 外に出たぞ」
銀「にゃーお」
全員「!?」
猫's「にゃおにゃおにゃおにゃお」
銀「来たわねぇ。そうよぉ、ボスの言う事は聞きなさぁい。お腹すいてそうねぇ。いらっしゃい」
翠「あいつ、猫を手懐けているですか?」
猫's「がぶがぶがぶ」
真「ひいいいっっ! 猫が猫がネコが鼠をネズミヲねずみおおおおおお!」
銀「お腹満足ぅ? ばいばぁい」
猫's「にゃーん♪」
翠「あいつ、意外な人…猫脈があったですねぇ」
真「…一対一では勝てない訳が分かった気がするのだわ…」
の「鼠が全滅…うれしいわ」
雛「…おいしいのかな?」
金「やめるかしら」

34: 2009/02/05(木) 19:33:56.52 ID:F5ZCCPbT0
メ「! !」
銀「あら、メイメイ」
メ「……!」
銀「ふぅん、めぐは安定してきたのね」
メ「……」
銀「…あら、そう。分かったわぁ。それじゃまたよろしくねぇ」
真「いつもながら忠実なのだわ」
金「そういえばカナたちにも人工精霊いるんだったかしら?」
翠「まるっきり忘れてたです」
蒼「…あれ? 僕の精霊って名前なんだっけ?」
雛「雛のはこの前久しぶりに見たら鞄の隅っこで乾涸らびていたの。水で戻してあげたのー。
でも、復活した後もなんか泣いていたのよ」
全員「HAHAHAHAHAHAHA!」
の「ローゼンさん、泣いていわね…」

銀「ここがジュンの部屋、と。…ちょっとネットでもしようかしら」
ジ「え? 水銀燈ってネット出来るの? あ、でもパスワードかけてるから…」
銀「あら、ログインパスワード? 生意気ねぇ。…えーと、eternal hyper blizzard、と。あ、開いたわ」
ジ「うわあああああああ! 何で知ってるんだあああああ!」
真「えたーなるはいぱーぶりざーど……」
翠「ぶぷぷ…。絵に描いた様な中二パスワードですぅ。前世は伝説の戦士か何かですかぁ?」
金「キモいかしら」
蒼「あー…。そう言えば昨日もジュン君が二階に上がってから、声の裏返った水木一郎みたいな声で
『エターナルハイパーブリザード! この言霊の前にはすべての門が開く!』って聞こえてたなあ。それでかぁ」
ジ「聞こえてたあああああああああああ!?」
の「……」
蒼「のりは冷静だね」
の「…その前はジャスティスフォヴィドウンソード、その前はカイザークリスタルテンパランス、
その前は爆熱神龍業炎聖刻印…。慣れてるわ。はあぁ…」

36: 2009/02/05(木) 19:37:02.78 ID:F5ZCCPbT0
蒼「うわ…」
ジ「頃してくれえええええええええええええ!」
真「静かに、何か始めたわ」
銀「…医学事典…症状…駄目ね。やっぱりググる程度じゃ…めぐ…」
金「…水銀燈、ミーディアムの事ばっかり…切ないかしら。くすん」
銀「あら、この香水安いじゃない。あ、この塩キャラメルいいわぁ。やだ、未だにマイナスイオン効果
とか言ってるわぁ。本気でおばかさぁん…」
翠「もう他の事見てるですぅ」
雛「切り替え早いの」
金「……」
銀「あら、この外付けドライブ、ロック掛かってるのね。何が入っているのかしらぁ」
ジ「やめてやめてやめて!」
銀「…まぁ、男の子だし、見るのはやめておいてあげるわぁ」
ジ「あああ神様仏様水銀燈様…」
銀「その代わり…なんか嫌なオーラを感じるから…羽で、えい、浄化。ぷす♪」
ジ「ぎゃあああああ! なんか煙出たあああああああ! 僕のドールズちら着替え写真集があああああ!」
金「え?」
の「グッジョブよ! 水銀燈ちゃん!」

銀「そろそろお昼ねぇ。台所行ってみましょうか。作り置きが嫌なら作ってもいいとか言ってたけど…」
銀「…ええと、冷蔵庫には…あら、作り置きがラップしてあるわ。それに…ヤクルトもあるじゃない。
気が利くわねぇ」
カモスゾー
銀「…?」
銀「さぁて、せっかくだし頂くわ。ラップを取って…あら! これってもしかしてもしかして!
はなまるハンバーグじゃなぁい! きゃあきゃあ! いやぁん!」
雛「ものすごく嬉しそうなの」
雛「やっぱり食べたかったのね」
の「喜んでくれて私も嬉しいわぁ」

38: 2009/02/05(木) 19:40:51.87 ID:F5ZCCPbT0
翠「流行物好きの女子高生みたいになっているですぅ」
金「カナもちょっとお腹減ったかしら…」
銀「さーて、ご飯も温めたし…どうしようかしら?」チラ
金「……え?」
雪華綺晶「こんにちは…」
銀「!!!!!」
真「椅子からこけたのだわ」
ジ「白いのがちょっと見えた!」カチカチ
翠「スクリーンショット撮ってんじゃねえです!」
銀「きっきっきっ雪華綺晶!? なんでここに居るのよぉ! ここ、nのフィールドじゃないわよ!」
雪「匂いに誘われて…頑張りました」
銀「あんた食欲の為ならなんでもするのねぇ」
金「恐ろしい執念かしら」
ジ「nのフィールド意味無いな」
雛「ガクガクブルブル」
銀「…まったく…来ちゃったなら仕方ないわぁ。料理増やすわよぉ」
雛「水銀燈がエプロンつけたのー」
蒼「新妻みたいでいいんだけど…服は着たままなんだね」
翠「何で、常識無いの? みたいな顔で言うですか?」
雪「ごーはーん、ごーはーん」
銀「ナイフとフォークチンチン鳴らしてないで、あんたも手伝うのよぉ!」
雪「えー」
銀「帰ってもいいのよ」
雪「頑張るので教えてくださいお姉様」
銀「ほっぺすりすりしなくていいからエプロンつけて、インゲン煮てちょうだい」
雪「yes myload」
銀「そういえばあんた、普段裸だから普通に裸エプロンになるのねぇ」
雪「むらむらしますか?」
銀「しないわよぉ!」

39: 2009/02/05(木) 19:43:56.06 ID:F5ZCCPbT0
蒼「分かってるじゃん! きらきー偉い!」
翠「…なんか常識が揺らいできたです」
雪「じゃがいもぐつぐつ…」
銀「こねこね、じゅーじゅー…。ハンバーグも追加出来たわぁ」
金「なんかすごい量かしら」
真「あの子は大食いだからその分作っているのだわ」
の「お夕飯は買い出しに行かないと駄目ねぇ」
翠「…でも、テーブルに、一人分ずつきちんと並べているですよ?」
金「ひいふう…あれ?」
の「あらぁ…?」
雛「パーティみたいなのー」
銀「準備できたわぁ。きらきーもエプロンはずしていいわよ」
雪「お腹すいた…」
銀「待ちなさい。今呼ぶから」
ジ「…え?」
真「! す、水銀燈が、こ、こっちを見たのだわ!」
ジ「馬鹿な! 台所のカメラは報知器の中身を抜いて仕込んでいるんだぞ? リュークでもなきゃ
見抜くなんて!」
銀「あんたたちぃ、きっと今すっごい間抜け面でこっち見ているんでしょうね? ぜーんぶ分かって
いるのよぉ。おとなしくこっちへいらっしゃぁい!」
真「ばっばばばばば、ばれているのだわっっ!」
翠「ジジジジュン! ど、どーいうことですかぁっっっ!」
金「かかかかカナは知らないかしら!」
蒼「踏まれるの? 罵られるの? 蔑まされるの?」
翠「お前は黙ってるですぅ!」
の「す、水銀燈ちゃん怖い…」
銀「ほらぁ! 早く来なさぁい! でないと、みんなまとめて…ジ ャ ン クに、してあげるわよぉ?」ギロ
全員「yes! myload!」

41: 2009/02/05(木) 19:47:01.81 ID:F5ZCCPbT0
全員正座
銀「まったく…何を考えているのかしらぁ。この子達は」
真「申し訳ないのだわ」
金「ごめんなさい」
雛「あうあう」
ジ「でも…何でばれたんだ?」
銀「メイメイが庭の小屋から声がするって教えてくれたのよ。話の内容も聞いてくれたから…後は
言わなくても分かるわねぇ?」
金「悪い事は出来ないかしら…」
銀「最近、ちょぉっと馴れ合いが過ぎると思ってたのよ」
雛「ガクガクブルブル」
銀「さぁて…くすくす」
翠「うう…目が、昔の一匹狼の頃の水銀燈ですぅ。ちょっとちびったですぅ…」
銀「ご飯にしましょう」
蒼「え? 踏まないの?」
銀「その後はいただけないけど、最初に疲れているあたしを気遣ってくれていたのは…本当なのよね」
真「ち、誓うのだわ!」
金「それは本当に本当なの!」
蒼「信じられないなら信じてくれるまでそのヒールで踏んでくれてもいいよ!」
翠「蒼星石が言うと嫌な意味で真摯ですぅ」
銀「だから、まずはご飯にしましょう。ハンバーグが冷めちゃうわ。けっこう自信作なのよぉ」
雛「うん! さっきからすごいいいにおいがするの…」
銀「はなまるハンバーグには負けるかもしれないけど、一応…感謝の気持ちはこもっているわぁ」
真「水銀燈…」
翠「か、感動です…。こんな日が来るなんて…」
雪「お腹すいた…。じゅる」
雛「ひひひ、雛を見て言わないでほしいの!」

42: 2009/02/05(木) 19:50:08.51 ID:F5ZCCPbT0
翠(機嫌…治ったですかぁ?)
蒼(そう…みたいだね)
翠(なんで残念そうな顔するですか…)
真「水銀燈、ありがとう。あなたが私たちのために食事を用意してくれるなんて…」
の「すごぉい、水銀燈ちゃん、雪華綺晶ちゃんも頑張ったのね」
雪「…えらい?」
の「えらいわぁ」ナデナデ
雪「…ぽ」
ジ「いやぁ、ははは。こりゃ美味そうだ。めでたしめでたしだな!」
銀「そうね。ジュン、貴方は特にしっかり食べてねぇ」
ジ「え? そんなに気を使わないでくれよ。ははっ」
銀「最後の晩餐になるかもしれないしぃ」
ジ「え?」
銀「食べ終わったら…鬼ごっこしましょう」
ジ「はい?」
銀「心臓が破裂するまでお逃げなさぁい。捕まったら…心臓が破裂した方が良かったって
思わせてあげるわぁ…」
ジ「…ボクハシヌノカ…」
銀「ヒッキーの血はどんな色かしらぁ?」
ジ「し、真紅…」
真「貴方の事は忘れないのだわ」
ジ「いやあああああああ!」
の「あら、もう行っちゃったわ」
銀「しっかり食べなさいって言ったのに…」
金「お、追いかけないのかしら?」
銀「ふふふ。倒れるくらいまで走って走って走ったら…ま、許してあげるわぁ。メイメイが追っかけて
いるから、監視はしているわよぉ」

43: 2009/02/05(木) 19:54:51.37 ID:F5ZCCPbT0
翠「水銀燈…」
蒼「やっぱり、変わったね」
翠「だから何で微笑みつつもしょぼんとするですか」
銀「さぁ、本当に冷めちゃうわ。食べましょう」
銀「それじゃ…いただきます」
全員「いただきまーす!」





ジ「はひ…はひ…苦しい…もう…うわあああああ! まだ追っかけてくるううう! 許して
くれえええええ!」
メ「…♪」←羽根背負っている
ジ「ひいいいいいいいい……!」

真「…あら、指輪が割れたのだわ」
銀「え?」


おわり。
短くてすまんね。

50: 2009/02/05(木) 20:04:15.75 ID:r8kwm6R/O
乙 良かったよ

引用: 水銀燈「暇つぶしにジャンクにしてあげるわぁ」