1: 2009/01/08(木) 22:40:51.67 ID:EMBe35ZT0
楽しそうに何度も息を吐く水銀燈。

夜が更け気温も下がってきた。

試しに俺も息を吐いてみる。

なるほど、確かに白い蒸気が星空へと昇っていく。

俺「だな。それにしても今日は寒いな。」

水銀燈「そうねぇ。確かに寒いわぁ。クチュッ!!」

冬にも関わらず肌を露出したファッション。寒いに決まっている。

ローゼンメイデン 水銀燈 完成品フィギュア
3: 2009/01/08(木) 22:45:03.07 ID:EMBe35ZT0
俺「ったく、そんな格好してるからだぞ。」

そう言って、少し乱暴に水銀燈を抱き寄せる。

水銀燈「キャ!!全く乱暴ねぇ。もっと優しくしなさいよぉ。」

口では文句をいいながらもどこか嬉しそうな顔をしている。

俺「ほれ、これであったかいだろ。」

俺の着けている少し長めのマフラーを水銀燈にも巻いてあげる。

必然的に距離が近くなる。

8: 2009/01/08(木) 22:51:32.84 ID:EMBe35ZT0
水銀燈「ちょっとぉ、近いわよぉ。けど・・・あったかいわぁ。ありがと。」

照れながらも最高の笑顔でお礼を言われ、なぜかこっちが恥ずかしくなる。

無言で歩き出す二人。

沈黙が場を支配する。

唯一聞こえるのは二人分の足音だけ。

21: 2009/01/08(木) 23:00:35.63 ID:EMBe35ZT0
水銀燈「○○(←俺の名前)って優しいわよねぇ。」

沈黙を破りは話始める水銀燈。静かな道に水銀燈の声だけが響く。

俺「そうかぁ?普通だって。彼女が寒がってたらマフラーぐらい貸すって。」

水銀燈「それもあるけどぉ・・・歩幅よぉ。」

俺「歩幅?」

水銀燈「そ、歩幅。いっつも私に合わせてくれてるでしょぉ。」

歩幅・・・確かに言われるまで気づかなかったが水銀燈と歩いているときとそうでないときでは少し違う気がする。

24: 2009/01/08(木) 23:07:58.77 ID:EMBe35ZT0
俺「あー、そうかもなぁ。けど、なんていうか水銀燈といるときはこの歩幅が当たり前になってるから普通だって。」

水銀燈「そういうところが優しいのよぉ。」

そう言うと、身体を寄せてくる水銀燈。少しだけ温まる心と体。

いつも以上にかわいい水銀燈に意地悪したくなる。

俺「今日は甘えんぼさんだな。」

水銀燈「そうねぇ、たまにはこういうのもいいんじゃない?」

天使の様な微笑みを浮かべ答える。予想外の反応。




26: 2009/01/08(木) 23:13:45.79 ID:EMBe35ZT0
俺「やけに素直じゃん。これは雪が降るな。」

水銀燈「この寒さなら本当に降るかもしれないわよぉ。」

今度はいたずらっぽい笑みで答える。

一緒の時間を過ごすごとに、いろいろな顔を見せてくれる水銀燈。

本当に飽きることが無い。


31: 2009/01/08(木) 23:21:10.41 ID:EMBe35ZT0
他愛の無い話。

それでも水銀燈とだとこの世界で一番すてきな話に思えてくる。

目的地の公園に着くのはあっという間だった。

氷の様に冷たいベンチに並んで座る。

水銀燈「・・・」

俺「・・・」

本日二度目の沈黙。

33: 2009/01/08(木) 23:28:02.91 ID:EMBe35ZT0
俺「寒いしなんか買ってくるよ。いつものでいい?」

二度目の沈黙は俺が破った。

冬の乾燥した空気に乗った声は二人きりの公園によく通る。

無言のまま笑顔でうなずく水銀燈。

俺「オッケー。じゃ、行ってくる。」

一緒に巻いていたマフラーを全て水銀燈に渡し自販機へと向かう。

38: 2009/01/08(木) 23:38:48.51 ID:EMBe35ZT0
辺りが静けさで自販機特有の機械音が耳につく。

ジッとしていると寒い。早いとこ買って戻ろう。

ブラックコーヒーとココアのボタンを押す。

冷めないように上着の左右のポケットに一つずつ入れ、足早に水銀燈のもとへと歩を進める。

42: 2009/01/08(木) 23:47:54.60 ID:EMBe35ZT0
水銀燈「遅いわよぉ。もう。」

少し怒ったような表情の水銀燈。

俺「わりわり。けど、これでも結構急いだんだぜ。ほれ、まだ暖かいだろ?」

ポケットからまだ十分暖かいココアを取り出し水銀燈に渡す。

水銀燈「この暖かさなら合格ね。許してあげるわぁ。」

俺「そいつはどうも。」

俺もコーヒーを手に取りベンチに座る。

48: 2009/01/08(木) 23:59:02.75 ID:EMBe35ZT0
プルタブの開く小気味のいい音。こんな小さな音でさえもはっきり聞こえるほどの静かな空間。

この世に俺と水銀燈しかいない様な錯覚に陥る。

コーヒーの香ばしい香りが広がっていく。

コーヒーを口に含む。飲みなれたはずの味なのにいつもよりおいしく感じる。

水銀燈はと言うと、いつまでもココアを手で挟んで転がしている。

俺「飲まないの?」

水銀燈「・・・」

なにかボソボソと言っているがよく聞こえない。

俺「どした?」

水銀燈「もう!!手が悴んで開けられないの!!」

51: 2009/01/09(金) 00:09:05.18 ID:qRnbPf630
1だけど眠い

55: 2009/01/09(金) 00:18:00.35 ID:qRnbPf630
俺「プッ。」

おもわず吹き出した様に笑ってしまった。

水銀燈「ちょっとぉ、何がおかしいのよぉ。」

水銀燈は少しご立腹の様だ。

俺「いや、かわいいなって思って。」

水銀燈「なによそれぇ、ばっかじゃないのぉ・・・。」

怒りなのか照れなのか今度は顔を真っ赤にしている。

俺「貸してみ。開けてやるよ。」


57: 2009/01/09(金) 00:24:51.78 ID:qRnbPf630
「ほい、こぼすなよ。」

口の開いたココアをそーっと渡す。

そのとき触れた水銀燈の左手はとても冷たかった。

ココアを右手に持ち直し、口に運ぶ水銀燈。

水銀燈「ぬるぅい、冷めちゃったみたい・・・せっかく急いで買ってきてくれたのにゴメンね。」

俺「いいよ、俺があっためてやるから。」

水銀燈の左手を掴み、二人分の手を俺の右ポケットに入れる。

ポケットの中にはさっきの飲み物のぬくもりが残っている。

俺「少し狭いけどこれであったかいだろ?」




59: 2009/01/09(金) 00:35:23.53 ID:qRnbPf630
水銀燈「・・・うん。」

恥ずかしそうにうなずく水銀燈。

目を合わせ微笑み合い幸せを噛み締める。

足を組みなんとなく天を仰ぐ。

空から水銀燈の髪のよう美しく輝く結晶が落ちてくる。

俺「水銀燈・・・雪・・・」

雪の結晶が顔に落ち、一瞬で水滴となる。

不思議と冷たくはなく温かかった。

水銀燈「ホントに降ったわねぇ・・・」

公園の街灯に照らされる二つの影。


61: 2009/01/09(金) 00:38:23.81 ID:qRnbPf630
俺「水銀燈・・・好き・・・。」

近づく二つの影。

水銀燈「私もよぉ・・・」

一つに重なる影。

降り続ける雪は祝福するように二人の周りで輝いていた。


FIN

63: 2009/01/09(金) 00:39:05.93 ID:qRnbPf630
オワリ!!

見てくれた人!!サンキュー!!

68: 2009/01/09(金) 00:45:00.32 ID:lAsoZeeOO
雪があったけえわけがねえ

おつ

引用: 水銀燈「みてみてぇ、息が白いわぁ。」