1:◆eyH5F3DPSk 2014/07/10(木) 22:52:43.39 ID:0QxoIMGn0
絵里「……もう秋かぁ。早いなぁ」

絵里「今思えば、あんなに意地にならずに最初から素直になってればよかったのかもね……」

希「なになに? 珍しく後悔してるん?」

絵里「そうかも」

希「ふふ、それだけ楽しいってことやん。まだ秋やし、そんなに思い詰めんでも大丈夫やって」

絵里「だってー、私がしたことって……あんまりない気がして」

希「えりちは十分頑張ってるよ。ウチの分まで生徒会の仕事やってくれてるし」

絵里「それはμ'sのためではないでしょ。ていうか仕事しなさい」

希「はいはい」

希「そうやえりち、話変わるんやけど……」

絵里「何?」



希「過去に戻れるおまじない、って知ってる?」



2: 2014/07/10(木) 22:53:16.77 ID:0QxoIMGn0



絵里「おまじない、か……」

絵里「希ってよくこんなの知ってるわよね」

希「そうやろ? 海未ちゃんに教えたら眉唾物やって言われたんやけどね」

絵里「海未にも教えたの?」

希「うん。もう秋ですね、って感傷的になってたから」

絵里「そんなにほいほい教えていいものなの?」

希「大丈夫大丈夫。それができるのは選ばれし人のみやもん」

絵里「選ばれし人?」

希「そう。本当に後悔している人だけ」

絵里「……にわかに信じがたいとはこの事ね」

3: 2014/07/10(木) 22:53:49.38 ID:0QxoIMGn0
希「まあウチは後悔なんてないからできないしー」

絵里「むぅ……」

希「なぁなぁえりち、ウチ今日はちょっと用事あるから、一旦ここで抜けてもいいかな?」

絵里「いいわよ」

希「ありがと。終わったら戻ってくるで」

絵里「あんまり慌てなくてもいいからね」

希「はーい」

4: 2014/07/10(木) 22:54:15.33 ID:0QxoIMGn0



凛「あー、絵里ちゃんはっけーん!」

絵里「あら凛、どうしたの?」

凛「今日は希ちゃん、先に帰らなきゃいけなくなったみたい、って伝言だよー」

絵里「ありがとう凛。……汗かいてるけど、もしかして走ってきたの?」

凛「うん。なんだか希ちゃん、慌ててたみたいだから」

絵里「そう……って廊下は危ないから走っちゃダメです」

凛「はーい。絵里ちゃんはこの後の練習すぐ来られそう?」

絵里「もう少しかかりそう。でもすぐだから先に行ってて」

凛「わかった!」

絵里「走ったら危ないって……あらら、行っちゃった」

絵里「……よし。すぐ終わるって言っちゃったし、さっさと終わらせないとね」

5: 2014/07/10(木) 22:54:42.93 ID:0QxoIMGn0



絵里「……や、やっと終わった」

絵里「うわ、もうこんな時間じゃない! 下校時刻まであと30分かぁ……」

花陽「あ、絵里ちゃん。やっぱりお仕事時間かかったみたいだね……手伝った方がよかったよね」

絵里「いいのよ、これは生徒会のだから。まあ練習には間に合わなかったけど……」

真姫「私たちにも少しくらい手伝わせなさいよ」

絵里「ううん、気持ちだけでもうれしいわ」

真姫「そう言って毎回断るんだから……」

絵里「学院の生徒募集がまた始まるんだから、忙しくなって当然よ」

絵里「それにスクールアイドルの活躍の場は広がるわけだし、そっちもちゃんとやってもらわないとね」

花陽「ありがとう絵里ちゃん」

絵里「ううん、他の楽しいからいいの」

真姫「あんまり無理しないでよ? 絵里も大切なμ'sの一員なんだから」

絵里「うふふ、ありがと」

6: 2014/07/10(木) 22:56:18.25 ID:0QxoIMGn0



絵里「はー……ちょっと冷え込んできたかも」

絵里「1人で帰ると寂しいかな……」

絵里「いつもは希とかにことか、みんながいたわよね」

絵里「……」

絵里「さびしくないさびしくない」

絵里「ただほんのちょっと、時間が足りないだけだから……」

7: 2014/07/10(木) 22:57:27.73 ID:0QxoIMGn0
絵里「うん、全然寂しくなんてない」

絵里「今は楽しいもの……」



絵里「おまじない……やってみようかな」

8: 2014/07/10(木) 23:00:56.53 ID:0QxoIMGn0
絵里「まずは……えーと、自分の好きなものを1つ用意します、よね?」

絵里「μ'sのCDにしようかしら」

絵里「そして次に……過去に戻ったとわかるものを身に着けます」

絵里「えーと、これ! 時計でいいわよね。日付もついてるし」

絵里「それで最後に……お供え物?」

絵里「チョコしかないんだけどいいかしら」

絵里「それで部屋の明かりを消して寝る、と」

絵里「ふぅ、メモとっといてよかった……」

9: 2014/07/10(木) 23:01:22.80 ID:0QxoIMGn0




絵里「じゃあ、おやすみなさい――――――――




10: 2014/07/10(木) 23:03:26.72 ID:0QxoIMGn0



――――――――……! ……ち!――――――――

んん? 誰?

今日は土曜日のはずでしょ?

なんで起こそうとするの?

――――――――えり……! えりち!――――――――

あれ? 希がいるの?

私部屋で寝てたのに……?



希「えりち!」

絵里「は、はいっ!」

11: 2014/07/10(木) 23:05:45.96 ID:0QxoIMGn0
希「だ、大丈夫? いきなり気絶したみたいに倒れたけど……」

絵里「気絶……ってここ生徒会室? あれ?」

希「えりち、保健室行く? 救急車呼んだ方が……」

絵里「ま、待って待って! 大丈夫!」

希「大丈夫やないって! もっと自分の身を大切に……」

希「……えりち、憑き物が落ちたみたいにすっきりした顔してる」

絵里「え?」

希「ん? なんで?」

絵里「いや、私に聞かれても困るわよ」

12: 2014/07/10(木) 23:09:44.26 ID:0QxoIMGn0
絵里「えー、あ、そうだ! 今日って……」

絵里(何年何月何日、なんて聞いたら今度こそ病院に連行されかねないわよね)

絵里「このあと何かあったっけ?」

希「記憶にズレとか……」

絵里「ち、違うってば! 単に忘れちゃっただけよ」

絵里(希ったら過保護なんだから……)

希「今日はこの後、穂乃果ちゃんたちが部の申請に来るって言ってたよ?」

絵里(部の申請……部の申請!?)

絵里「えーっと、じゃあアイドル研究部の部員の数は?」

希「1人だけ」

絵里(ま、まさかこれって……成功してる!?)

13: 2014/07/10(木) 23:13:32.67 ID:0QxoIMGn0
絵里「部の申請ね、うん。ほの……じゃなかった」

絵里(あれ? 私この時穂乃果たちのこと名前では呼んでなかったわよね?)

絵里「高坂さんたちが申請に来るのね?」

希「そうやで」

絵里(……ってことはにこがまだくすぶってる時期、か)

絵里(……なんとかしてあげたい)

絵里(でもでもタイプパラドックスとか……)

絵里(でもこれって夢みたいなものよね)

絵里「希」

希「どうしたん?」

絵里「希の仕事をとっちゃうかもしれないけど許してね」

希「?」

14: 2014/07/10(木) 23:15:45.88 ID:0QxoIMGn0
穂乃果「失礼します」

絵里「はい、どうぞ」

絵里(……このころの私ってどんな表情だっけ?)

穂乃果「部の申請に……」

絵里「いらっしゃい」

穂乃果「え……」

海未「生徒会長……?」

ことり「か、かわいい」

絵里「え?」

絵里(へ、変な顔になってたかしら……手鏡は……あった)

絵里(……うわああああ!? すごく笑顔になってる!?)

15: 2014/07/10(木) 23:19:10.92 ID:0QxoIMGn0
絵里(エリチカ、難しいことを考えるのよ……三角関数因数分解政治問題参勤交代……)

絵里「よし」

絵里「待っていたわ」

穂乃果「……は、はい!」

絵里(よし、これでよし。希の視線が気になるけど振り向いたら負けよ)

穂乃果「今日は私たちの部としての活動を認めてほしくて来ました」

海未「ちゃんと5人以上部員を集めてきたので部として認めてほしいです」

ことり「お願いします!」

絵里「……そう」

絵里(よく頑張ったわね、って褒めてあげたい……すごい、って言ってあげたい)

16: 2014/07/10(木) 23:21:52.39 ID:0QxoIMGn0
絵里「その調子で頑張ってちょうだい」

ことり「……え?」

海未「……?」

希「えりち」

絵里「って希が言ってたわ」

穂乃果「ああ……」

絵里(ありがとう希……)

穂乃果「それで、部として認めてもらえますか?」

絵里「え? ああ、それはね……アイドル研究部って部があるからちょっと厳しいかもしれないわ」

17: 2014/07/10(木) 23:27:21.53 ID:0QxoIMGn0
穂乃果「アイドル研究部?」

絵里「そう、この学校にはアイドル研究部って部がもうすでに1つあるの」

絵里「だから廃校になってしまうかもしれないこの学院で、同じような活動内容の部活を増やすわけにはいかないの」

穂乃果「そんなぁ……」

絵里「ごめんね。こればっかりはどうしても譲れないのよ」

ことり「……会長さん、今日はなんだか優しい気がするよ?」

海未「……何故でしょうね」

絵里(まずい! 希、パス!)

希「……仕方ないなぁ」

希「でもアイドル研究部の人と話をつけてきてくれたら、統合という形で部として認めることはできるよ」

穂乃果「本当ですか!?」

希「うん」

18: 2014/07/10(木) 23:31:10.31 ID:0QxoIMGn0
穂乃果「海未ちゃん、ことりちゃん。そのアイドル研究部に行ってみよう!」

海未「そうですね」

ことり「うんっ」

絵里「待って」

穂乃果「は、はいっ!」

絵里(そんなにびっくりしなくても……そっか、私はこの時まだ威圧的だったからね)

絵里「何の情報も持たずに行くつもり?」

穂乃果「それは……」

海未「そのくらいは私たちで調べます」

ことり「はい。生徒会の手を借りなくてもちゃんとやってみせます」

希「やって、えりち」

絵里「うーん……じゃあこれだけでも聞いていって」

絵里(にこの情報は3年生にしか伝わってないからね。少しでも教えないと)

19: 2014/07/10(木) 23:37:14.74 ID:0QxoIMGn0
絵里「まずアイドル研究部の部員は1人なの」

穂乃果「1人!? でもこの前、部活には5人以上って……」

希「設立する時は5人必要やけど、そのあとは何人になってもいい決まりやから」

ことり「そうなんですか……」

絵里「それでね、その部員は矢澤にこって言う子なの。黒髪のツインテールで……こんな感じのね」

海未「わざわざ髪を下ろしてまでやっていただかなくても……」

絵里「あ、ごめんなさい……」

絵里(どうにも加減がわからないのよね)

海未「い、いえ、そんな、違うんです!」

希「まあまあいいやん? じゃあまた話付けたらおいでな」

穂乃果「はい! ありがとうございました!」

ことり「ありがとうございましたっ」

海未「ありがとうございました」

20: 2014/07/10(木) 23:41:32.72 ID:0QxoIMGn0
絵里「……よかった」

希「ウチは何もよくない」

絵里「えっ」

希「どうしたんよえりち。急に丸くなって」

絵里(や、やばい……気付かれる)

希「むむむ……えりちからあやしいオーラがぷんぷんするでー」

絵里「くらえエア虫よけスプレー! ぷしゅー! 消臭効果つき!」

希「ぎゃー、やられたー」

絵里「ふっふっふ。生徒会室に置いてて正解だったわね」

希「……やっぱりおかしい。えりちノリよすぎ」

絵里(しまった)

21: 2014/07/10(木) 23:45:21.19 ID:0QxoIMGn0
絵里「ほら、あれよ。昨日見たテレビが面白くて」

希「ちがーう。そんな表面上の楽しさと違う」

絵里「……思った以上に勉強が捗って」

希「えりちはかしこいもん」

絵里「ジュース買ったらもう1本出てきたの!」

希「それはうれしいなぁ」

絵里「でしょ?」

希「でも違う。えりちはもっと追い詰められてた」

絵里(て、てごわい)

22: 2014/07/10(木) 23:48:05.34 ID:0QxoIMGn0
絵里(でもいずれバレそうね……ならいっそここで……)

絵里「希には全部話すわ」

絵里(というかこのおまじない教えてくれたの希だし)

希「え? いいん?」

絵里「いいわよ。全部教えてあげる」

希「なんかえりち、すごく楽しそう」

絵里「……まあ眉唾物が実際に起こったからね」

希「?」

23: 2014/07/10(木) 23:51:14.18 ID:0QxoIMGn0



希「えりち、ちょっと病院いこか?」

絵里「……」

希「だって未来から来た、なんてそんなほいほいと信じられるわけないやろ?」

絵里(頭がおかしい人だと思われた……ぐすん)

希「やっぱり頭の病気になっちゃったんよ」

絵里「ひどい……信じてたのに!」

希「はいはい」

絵里(こ、このままじゃスクールアイドルライフどころか学院ライフも終わりを告げてしまう……)

希「……なんて、他の人ならそう言ってたんやろな」

絵里「え?」

24: 2014/07/10(木) 23:55:37.37 ID:0QxoIMGn0
希「だってえりちのそんな真剣な顔、初めて見たもん」

希「軽々と冗談やめてやー、なんて言えるわけないやん?」

絵里「希……」

希「それにそのおまじないも気になるし……誰が考えたんやろ」

絵里(まあさすがに希から教えてもらったおまじないとは言えなかったけどね)

希「まあともかく、えりちが幸せそうならウチもうれしいよ」

絵里「ありがとう希。それでこそ私の親友だわ」

希「どういたしまして」

希「そしたら、これからどうやってμ'sを成長させていくかやな」

絵里「そうね。次は順番で言うとにこが仲間になる番だから……」

希「ってことは7人……」

25: 2014/07/10(木) 23:58:41.31 ID:0QxoIMGn0
希「……」

絵里「どうしたの希」

絵里(なんか汗すごい)

希「……えりち、μ'sの名前の由来って……もう聞いた?」

絵里「うん。9人の女神でμ'sでしょ? 残りは希と私って」

希「うわああああああ……それ言う前にバレてたらちょー恥ずかしい……」

絵里(希もこんな顔するのね……)

希「で、えりちは早くみんなと仲良くなりたいと」

絵里「そういうこと。私が意地っ張りだったせいで時間がかかっちゃったしね」

希「ふーん……やっぱり意地っ張りやったんや」

絵里(ああ、希は最初から気付いてたものね)

26: 2014/07/11(金) 00:02:22.65 ID:sOKRW9Cf0
絵里「まあ今私たちにできることは待つことよ。待って待って……」

希「にこっちが仲間になった隙を狙う、と」

絵里「そういうこと」

希「……えりち、生き生きしてる」

絵里「だって生きてるもの」

希「そういうとこ変わってないなぁ……これから穂乃果ちゃんたちに隠していけるんやろか」

絵里「そのあたりは希、任せたわよ」

希「ウチに丸投げなん!?」

43: 2014/07/11(金) 23:08:33.37 ID:sOKRW9Cf0
――――――――――――――――

絵里「……すぅ」

希「ああ、えりち。おまじないやっちゃったんや」

絵里「……ん」

希「えりち本当に……後悔してたんやね」

絵里「……」

希「気付けなかったウチも悪いんよ」

希「大丈夫やで、えりち」




希「えりちならきっと、目を覚ましてくれる」

――――――――――――――――

44: 2014/07/11(金) 23:11:13.41 ID:sOKRW9Cf0
絵里「今、穂乃果たちはにこを捕まえるために追いかけっこしてるのよ」

希「そうなん? 確かに一悶着あるってカードが告げてるけど……」

絵里「そうよ。穂乃果たちから聞いたもん。仲間にするのは私とにこが一番難しかったって」

希「ふふ、今では一番簡単なえりち」

絵里「そうなのよねぇ……」

希「どうするん? 助太刀しに行く?」

絵里「そうしたいのはやまやまなんだけど、今は生徒会の仕事があるでしょ?」

希「うん」

絵里「だからあの子たちに任せてて大丈夫なの」

希「……えりちが任せる、かぁ」

45: 2014/07/11(金) 23:13:12.08 ID:sOKRW9Cf0
絵里「あれ? 私何か変なこと言った?」

希「そうやで、えりちが人に何か任せるなんて変やん」

絵里「……そうかしら?」

希「うんうん」

絵里「へぇ……気にしてなかったけど、私ってそんな感じだったんだ」

希「ふーん、未来では頼れる人がいっぱいなんや」

希「……それでもウチを頼ってくれたらうれしいけどなぁ」

絵里「そうねぇ、最初に頼るのは希かも」

希「ふふっ、それはうれしい」

46: 2014/07/11(金) 23:15:23.32 ID:sOKRW9Cf0
絵里「……でも心配ね」

希「どうしたん?」

絵里「あの子たち、にこを追いかけるのに必氏で怪我とかしないといいんだけど」

希「そっちでは怪我してた?」

絵里「してない。でも私が変わったからもしかするとってことも……」

希「うーん……ちょっと待っててな」

絵里「カードね」

希「カードや」

47: 2014/07/11(金) 23:16:29.57 ID:sOKRW9Cf0
絵里「……どんな感じ?」

希「うーん、怪我とかはなさそうやけど、身近な人にちょっとした悪いことが起こるんやって」

絵里「悪いこと……ううぅ」

希「あ、ウチいいこと考えた!」

絵里「え?」

48: 2014/07/11(金) 23:19:24.28 ID:sOKRW9Cf0




凛「待つにゃー!」

花陽「ま、待ってください!」

真姫「待ちなさい!」

にこ「ふん、捕まるもんですか!」

49: 2014/07/11(金) 23:22:01.92 ID:sOKRW9Cf0
絵里「コラー! そこの1年生!」

真姫「わ!?」

凛「にゃにゃっ!?」

花陽「せ、生徒会長!」

にこ「誰が1年生ですって……げっ」

絵里「廊下を走るとは何事ですか」

真姫「そ、それは」

凛「ふかーい事情があって……」

絵里「ええい、問答無用! 4人とも生徒会室に来なさい! あと残りのメンバーも呼びなさい」

花陽「ええっ!?」

50: 2014/07/11(金) 23:24:09.03 ID:sOKRW9Cf0
にこ「ここで捕まったら……ふんっ!」

絵里「あ! 待ちなさい!」

絵里(よし、にこが逃げた……作戦通りね)

凛「あー! 部長が!」

絵里「走らない」

凛「にゃー……」

絵里「あなたたちの身柄は確保しました」

絵里「小泉さん、2年生の3人を生徒会室に呼んできてください」

花陽「わ、わかりました……」

真姫「もー……嘘でしょ」

52: 2014/07/11(金) 23:26:49.67 ID:sOKRW9Cf0
凛「どうしよう真姫ちゃん……凛たちμ's解散させられちゃうのかなぁ」

絵里(そんなことしないわよ、って言いたい)

真姫「私に聞かないでよ……」

絵里(ああ、真姫がしょんぼりしてる! ごめんね! ごめんね2人とも!)

絵里「はい、着いたわよ。中に入って」

真姫「……はい」

凛「もう2度とシャバの空気は吸えないかもしれないよ……」

絵里(大げさすぎよ……)

53: 2014/07/11(金) 23:28:38.14 ID:sOKRW9Cf0



絵里「見なさい。もう外では雨が降りそうです」

穂乃果「……はい」

絵里「なのに渡り廊下を走ろうとしたり、校庭で駆け回ったりして……」

絵里「怪我したら危ないでしょ!」

海未「?」

ことり「え?」

希「えりち」

絵里「それでも高校生ですか!」

絵里(しまった、つい本音が)

54: 2014/07/11(金) 23:32:03.72 ID:sOKRW9Cf0
花陽「会長さん、優しくなったって聞いてたけど……」

ことり「うん、違ったのかもしれない……」

絵里「……」

絵里(そう言われると悲しいわ……しかも花陽とことりっていうチョイスが……)

希「まあまあ。誰も怪我しなくてよかったってことで」

絵里「そうね……今度から気を付けてください」

凛「はーい」

真姫「はい……」

絵里「アイドルグループなんだから、ひざをすりむいただけでも衣装が着られなくなるでしょう?」

穂乃果「……?」

希「えりち」

絵里「って希が心配してたわよ」

55: 2014/07/11(金) 23:35:49.87 ID:sOKRW9Cf0
絵里「今日のところはもう帰っていいわ」

穂乃果「すみませんでした」

海未「すみませんでした」

絵里「今日の練習は控えた方がいいわよ」

絵里(……そう、あの時の穂乃果みたいに倒れられたりなんかしたら)

穂乃果「あ、あのっ!」

絵里「え? どうしたの、ほ……」

ことり「ほ?」

絵里「ほ……ほら、もう雨が降ってきたし!」

真姫「え? あ……」

花陽「本当だ」

絵里(穂乃果って呼ぶところだった。危ない危ない)

希「えりち、しっかりせんと……」

絵里「わかってる、わかってるんだけどね……」

56: 2014/07/11(金) 23:39:03.42 ID:sOKRW9Cf0
絵里「で、どうしたんですか高坂さん」

穂乃果「あ、はい。その、もしかしたらなんですけど……」

絵里「はい」

穂乃果「生徒会長は私たちのこと……心配してくれてるんですか?」

絵里(希! どうしようバレちゃった!)

希「……」

絵里(首を横に振らないで! こ、この状況じゃなんて言えばいいか……)

絵里(あ、そうだ)

絵里「あなたは私に心配してほしいんですか?」

穂乃果「……え?」

57: 2014/07/11(金) 23:41:23.39 ID:sOKRW9Cf0
絵里「私に心配をかけて、どうするんですか?」

穂乃果「そ、それは……」

絵里「そんな風に誰かを心配させるかもしれないと思うのなら、まずその行動を慎みなさい」

穂乃果「……そう、ですね」

絵里(……言いすぎちゃったかな)

穂乃果「ありがとうございました!」

海未「ほ、穂乃果?」

花陽「穂乃果先輩?」

穂乃果「生徒会長の言う通りだよ! 誰かに心配をかけてるようじゃ、部として活動することなんて認められない」

穂乃果「私たち、もっとしっかりしなくちゃ!」

58: 2014/07/11(金) 23:45:06.96 ID:sOKRW9Cf0
穂乃果「生徒会長だって学校の為に頑張ってるんだから、私たちがそのお荷物になっちゃいけないの」

穂乃果「もっと……ちゃんと学校の名前を背負って恥ずかしくないスクールアイドルにならなくちゃ」

穂乃果「だからっ、ありがとうございました!」

海未「……そうですね。ありがとうございました」

ことり「うん、もっと頑張らなきゃ……ありがとうございました!」

花陽「ありがとうございました!」

凛「ありがとうございました!」

真姫「ありがとうございました」

絵里(どうしよう。泣きそう)

60: 2014/07/11(金) 23:47:29.31 ID:sOKRW9Cf0
希「えりちの熱い思い、みんなに伝わったみたいやね」

希「……えりち?」

絵里「うぅっ……ひっく」

希「え、えりち!?」

絵里「あの子たち……本当に……成長したわっ、くっ」

希「えりちって涙もろいんやなぁ……はい、ハンカチ」

絵里「ありがと……はぁ、落ち着いた」

絵里「まさか卒業式の前に泣かされることになるなんて……」

絵里(……あとはにこね)

62: 2014/07/11(金) 23:49:49.68 ID:sOKRW9Cf0



絵里「よーしここは生徒会の権力を使うわ」

希「予定通り準備しといたで」

絵里「さすが希ね。チョコあげる」

希「ありがと、未来のえりちも持ち歩いてるんや」

絵里「もちろん。じゃあ放送室に行くわよー!」





――――――――矢澤にこさん、矢澤にこさん、至急生徒会室まで来てください――――――――



にこ「……しまった」

63: 2014/07/11(金) 23:51:22.91 ID:sOKRW9Cf0



にこ「や、矢澤にこです……」

絵里「いらっしゃーい」

希「待ってたでー」

にこ「……」

絵里(あらまあ、見事におびえちゃって)

絵里「座って。別に部活を廃部にしてやるーなんて言わないから」

にこ「ほんと!?」

絵里(わかりやすい子)

64: 2014/07/11(金) 23:55:55.75 ID:sOKRW9Cf0
希「ウチは東條希、よろしくね」

にこ「知ってる。よく部の様子、見に来てくれてたでしょ」

希「うん、だって心配やったから」

にこ「ふーん」

絵里「そして私が生徒会長の絢瀬絵里です」

にこ「それも知ってる」

絵里(まだ警戒してるわね……よし、こうなったら)

絵里「矢澤さん。あなたのアレが見たいわ」

にこ「えっ、アレって……」

絵里「とぼけても無駄よ! あの……こうしてこうやるやつよ!」

にこ「な、なんでそれを生徒会長が……」

絵里「ほら早く!」

にこ「は、はいっ!」

65: 2014/07/11(金) 23:59:19.93 ID:sOKRW9Cf0
にこ「にっこにっこにー!」

にこ「あなたのハートににこにこにー」

にこ「笑顔を届ける矢澤にこにこっ」

にこ「にこにーって覚えてラブにこっ!」

絵里「……にこがゲシュタルト崩壊してきた」

希「ウチも」

にこ「やれって言ったのあんたたちでしょうが!」

絵里「ふふふ、そうね」

絵里(このテンションの落差を見ると、やっぱり安心するわね)

66: 2014/07/12(土) 00:01:59.72 ID:i4MvrJEY0
にこ「ふんっ、で、話って何」

希「オンオフはっきりしてるんやなぁ」

にこ「アイドルってのはいかにキャラを作れるかなのよ。当然じゃない」

絵里(やっぱりにこは希と打ち解けやすい、か)

絵里「話って言うのはね、にこにーさん」

にこ「……真顔でそれ言うのやめて」

絵里「じゃあにこさん」

希「それやと2個か3個かわからなくなりそうやで?」

絵里「じゃあにこ」

にこ「もうそれでいいわ」

絵里(希、ナイスフォロー!)

希「ふふん」

68: 2014/07/12(土) 00:04:21.99 ID:i4MvrJEY0
絵里「私のことも絵里って呼んでちょうだい」

にこ「……やけに馴れ馴れしいというか、うわさに聞いてた生徒会長像とは全然違うんだけど」

絵里「へぇ、その噂ってどんな感じなの?」

にこ「厳しくて、鬼で、怖くて、近寄りがたくて、とって食われそうだって聞いてた」

絵里(……ひ、ひどすぎる)

希「まあ実際、えりちはそんな感じやったもんなぁ」

絵里「う、うるさーい!」

にこ「?」

絵里「それで、話って言うのはね……」

69: 2014/07/12(土) 00:06:33.80 ID:i4MvrJEY0




にこ「はぁ? 未来から来たとかふざけてるんじゃないの?」

絵里(やっぱり……)

希「まあそう思ってしまうよなぁ……」

にこ「だいたいそんな簡単に信じられるわけないじゃない。今日話したばかりの生徒会長なのに」

絵里「そうよね……」

希「えりち、にこっちのことで知ってることないん?」

にこ「ちょ、にこっちって何よ」

絵里「そうねぇ……」

にこ「話聞きなさいよ!」

70: 2014/07/12(土) 00:09:07.26 ID:i4MvrJEY0
絵里(にこの秘密、にこの秘密……あ)

絵里「にこはラブライブに出たがってる」

にこ「!」

希「当たり?」

にこ「……どこで聞いたのよ、それ」

絵里「だから未来よ」

にこ「ふざけたこと言ってんじゃ……!」

絵里「ふざけてない。これは真剣な話よ」

にこ「……ふん、話くらいなら聞いてあげてもいいわ」

絵里(よかった……)

希「えりちが真面目なキャラでよかったわぁ」

絵里「本当にそうね」

71: 2014/07/12(土) 00:11:35.58 ID:i4MvrJEY0
絵里「えーと、どこから話せばいいのかしら……」

希「まずにこっちが入った後のμ'sについて話してみたら?」

絵里「そうするわ」

にこ「μ's? ああ、あの1,2年生のグループね」

絵里「まずにこがμ'sに入ったら、泣くわ」

にこ「泣くの!?」

絵里「だ、だって穂乃果たちがそう言ってたもの! あ、うれし泣きだそうだから大丈夫……」

にこ「何ルール勝手に決めてるのよ!」

絵里(うぅ……おこられた)

希「えりち、ファイト!」

絵里「うん……」

72: 2014/07/12(土) 00:16:10.78 ID:i4MvrJEY0
絵里「で、みんなで練習したりカラオケで歌唱力対決したり……あとダンスの対決もしたって言ってた」

絵里「それでチラシ配りで、誰がオーラを持ってるか調べようとした、とも言ってたわね」

希「それって何かのイベントで?」

絵里「ううん、センターは誰がいいかってなって」

希「やって、にこっち」

にこ「……確かに私の言いそうなことばっかり」

絵里(やった! 好感触ね)

にこ「信じてあげてもいいわ」

絵里「ほんと!?」

にこ「……でも不信感が拭えない」

絵里「……そうよね」

希「えりち……にこっち」

73: 2014/07/12(土) 00:18:36.86 ID:i4MvrJEY0
絵里(でもこのままにこがμ'sに入らなかったら……)

絵里(……よし!)

絵里「お願い、μ'sのみんなと話だけでもしてあげて! みんないい子なの!」

にこ「……どうしてそこまで言えるの?」

絵里「それは……」

絵里(……うん、決まってる)




絵里「μ'sが、みんなが大好きだから」

81: 2014/07/12(土) 19:36:44.06 ID:i4MvrJEY0



絵里「あー、にこはちゃんとμ'sのみんなと話してくれたかなぁ……」

絵里(にこもμ'sのメンバーなんだけど……)

希「えりち、心配してても埒があかんよ? はい、飲み物でもどうぞ」

絵里「ありがとう希」

希「えっ、ちょ」

絵里「ふー、おいしかったわ」

希「それウチのやのにー」

絵里「あ、ごめん。私のはどっちなの?」

希「こっちやで」

絵里「あはは、ごめんね」

希「えりちー! それウチのって言ってるやろー!」

絵里(希って案外からかいやすいのね)

82: 2014/07/12(土) 19:39:15.65 ID:i4MvrJEY0
にこ「生徒会長さーん」

絵里「!」

希「にこっちやね……開いてるよー」

にこ「はいはい」

絵里(……どっちだろう)

絵里「で、結局μ'sのみんなとは話してくれた?」

にこ「……」

絵里(無言……じゃあやっぱり)

にこ「……はなした」

絵里「本当!?」

希「おお、にこっち素直やん?」

にこ「別にあんたたちの為じゃないわよ」

83: 2014/07/12(土) 19:41:59.99 ID:i4MvrJEY0
絵里「それでそれで?」

にこ「近い!」

絵里「……ここかしら」

希「えりち、まず座ってからやで」

絵里「そうね。そう……」

絵里(うう、早く答えが聞きたいわ)

希「で、にこっちはどうやったん? μ'sはどんな感じやった?」

にこ「ええ、スクールアイドルとしてはまだまだ未熟……それどころか遊び半分でやってる子もいた――――――――

絵里「そっ、そんなわけ……!」

にこ「って言えたらあんたたちの言うこと聞かないで済んだわよ」

絵里「……え?」

希「ってことは……」

84: 2014/07/12(土) 19:45:10.32 ID:i4MvrJEY0
にこ「入ったわよ! μ'sに!」

にこ「何よ! 悪い!?」

にこ「あんたたちの口車に乗せられて話してみれば……何なのよ!」

にこ「あんな風に真面目に私の子と慕ってくれて……誰もバカにしないで……」



にこ「……誰も諦めるようなことは言わなかった」



希「にこっち……」

絵里「当たり前でしょ。私の大切な仲間なんですから」

にこ「……むかつく」

85: 2014/07/12(土) 19:48:13.45 ID:i4MvrJEY0
絵里「もちろんあなたも、私の大切な仲間の1人になるわけよ」

にこ「なんかやだ」

絵里「ひどい」

希「でもこれで、あとはウチとえりちがμ'sに入るだけやんな?」

絵里「……そうね!」

にこ「いつもそんな顔してればいいのに」

絵里「え?」

にこ「あんたの笑顔、むかつくけどとっても綺麗だから」

絵里(……ほめられた)

希「あー、えりち顔あかーい」

絵里「そ、そんなのじゃないってばぁ!」

86: 2014/07/12(土) 19:51:32.30 ID:i4MvrJEY0
にこ「ま、これからはあんたたちにμ'sの情報を提供すればいいのね?」

絵里「え? いいの?」

にこ「え、その気じゃなかったの?」

絵里「ぜんぜん」

希「あらら」

にこ「別に私は構わないわよ」

絵里(……そうね、にこを通じてμ'sの情報が入るってことは、それだけ干渉しやすくなる)

絵里(私と希の早期加入も夢じゃなくなるってわけね)

絵里「じゃあ頼むわよ、にこ」

希「ウチからもお願いやで、にこっち」

にこ「うん、それはいいんだけど……」

絵里「?」

希「?」

87: 2014/07/12(土) 19:56:46.08 ID:i4MvrJEY0
にこ「……あのさ、私たち……その」

にこ「……」

希「……あぁ。ウチはわかったで」

絵里「え? なになに?」

絵里(全然わかんない。教えて希)

希「ほら、アレやんアレ。仲良しになった時の関係のこと……」

絵里(……あ)

絵里「ええ! にこ、私たちは友達よ!」

にこ「うぅっ……」

希「えりち、せっかくウチが言わんようにしてたのに」

絵里「あ、ごめん」

にこ「……もういいわよ」

89: 2014/07/12(土) 19:59:58.20 ID:i4MvrJEY0
絵里「ふふ、にこってば可愛いところあるんだから」

にこ「うるさい」

希「うんうん、にこっちかわいいで」

にこ「もー! 怒るわよ!」

絵里「あはは、もう怒ってる」

にこ「何よ、絵里だって全然生徒会長らしくないし」

絵里「ぐはっ」

にこ「希って全然スピリチュアルじゃないし」

希「うっ」

90: 2014/07/12(土) 20:02:55.04 ID:i4MvrJEY0
にこ「でも……友達だから気にしないでいてあげる」

絵里「……にこ」

希「……にこっち」

にこ「スーパーアイドルの矢澤にこ様と友達になれる人なんてめったにいないんだから……ありがたいと思いなさいよ!」

絵里「うふふ、ありがたーい」

希「うんうん、ありがたーい」

にこ「ぐぬぬ……もう練習あるから行くわ」

絵里「うん、いってらっしゃい」

希「もうすぐウチらも練習に参加するでー」

にこ「はいはい。じゃあ……」



にこ「また明日ね」

91: 2014/07/12(土) 20:06:35.04 ID:i4MvrJEY0
絵里「また明日だって……ふふ」

希「えりちうれしそうやね」

絵里「だって、最初はにこが一番敵対心丸出しだったもの。仲良くなれるかどうか心配だったのよ」

希「えりちって友達と作るの得意そうやけどなぁ」

絵里(うーん、どうだろう……3年生になってからは周りが見えてなくて、クラスのみんなともちゃんと打ち解けてなかったし)

絵里(……昨日家に帰ったら亜里沙に驚かれて、学校について笑顔を見せただけでクラス全体が驚くし……)

絵里「希がいなかったらダメだったかもね」

希「もー、ちゃんと希ちゃん離れせな」

絵里「やだー」

希「しょーがないなぁ」

92: 2014/07/12(土) 20:09:24.94 ID:i4MvrJEY0
――――――――――――――――

絵里「ふふ……」

希「えりち、うれしそうで何よりやで」

希「まだ5分しか経ってないのに、表情がころころ変わるんやから……」

絵里「のぞみ……」

希「はいはい、ウチはここにおるよ」

絵里「……うん」

希「……」

希「なぁえりち、このおまじないを教えてくれたのは――――――――





――――――――えりちやったって言ったらびっくりしてくれるかな?」



――――――――――――――――

93: 2014/07/12(土) 20:11:52.62 ID:i4MvrJEY0



絵里「今日も楽しい生徒会日和よー!」

にこ「いちいち騒がしいわね」

希「えりちは今、毎日が楽しいんよ」

にこ「ふーん」

絵里「にこもμ'sに入ってくれたし、あとは私たちが合流するだけ……」

にこ「それ、穂乃果も同じこと言ってたわよ」

希「穂乃果ちゃんが?」

にこ「ええ、あんたたちをメンバーに入れたい、って」

絵里「ハラショー……」

絵里(そんなことを言ってくれるなんて……)

希「えりち、よかったね」

絵里「うんっ」

94: 2014/07/12(土) 20:14:55.67 ID:i4MvrJEY0
にこ「でも私は反対したけどね」

絵里「ええっ!?」

希「にこっちの裏切り……?」

にこ「違うわよ。だって急に私が賛成するのもおかしな話じゃない」

にこ「仮にもあんたたちに捕まらないように逃げたりしたんだから」

希「へー、にこっちってよく考えてるんやね」

にこ「あったりまえでしょー? この頭脳明晰にこにーちゃんにできないことはないわ!」

絵里「でも今日は朝から教室で話したりしてたけど……」

にこ「それはいいのよ、それは」

96: 2014/07/12(土) 20:17:39.27 ID:i4MvrJEY0
希「でもその光景を穂乃果ちゃんたちに見られたりしたら……」

にこ「なんとか言ってごまかすわ」

絵里「うーん……」

絵里(どうしよう。確かにバレてしまうとどうなるかわからない……でもにこと友達でいるのも大切……)

希「あ、わかった」

にこ「え」

希「えりち、耳貸して」

絵里「はいはい」

希「……にこっちはきっと、ウチらと話すのをやめたくないんよ」

絵里「なーるほど」

にこ「ちょ、希、何言ったのよ」

希「何にも言ってませーん」

98: 2014/07/12(土) 20:20:19.51 ID:i4MvrJEY0
絵里「そうよ、希は何も言ってないわ」

にこ「騙されるもんですか」

絵里「にっこにっこにー」

にこ「流されるもんですか!」

絵里(くっ、効かない……)

希「まあ言ってしまうと、バレたときはバレた時や、っていう話をしてたんよ」

にこ「……ほんとかしら」

絵里「本当よ! 私の目が嘘を吐いているように見える!?」

にこ「わかった! わかったから近い!」

絵里「よーし、信じてくれたみたいね」

希「えrちもえりちで強引やなぁ」

99: 2014/07/12(土) 20:25:33.72 ID:i4MvrJEY0
にこ「で、私がμ'sに入ったあと、あんたたちは何するの?」

絵里「え?」

希「ウチら?」

にこ「そうよ。未来では何してたの?」

絵里(そっか、もう私たちが動かないといけない……)

絵里「えーっと、センターは誰かって揉めたあと……」

絵里「あ、そうだ! 理事長にラブライブに出たいってμ'sのみんなが直談判だーって突撃するの」

希「ああ、生徒会を通さず直接理事長に許可してもらうことで、面倒なえりちの目をかいくぐろうってわけやね」

絵里「……面倒」

希「ご、ごめんやって!」

にこ「ほんとめんどくさいわね」

100: 2014/07/12(土) 20:27:55.69 ID:i4MvrJEY0
絵里「……ん? でも希がその前に、どこかへ行ってたような気もする……」

希「ウチが?」

絵里「ええ。私にバレないように、こっそり何かしてたんだわ」

希「うーん、ウチがえりちにバレずにしそうなことって……なんやろ?」

にこ「前の絵里は強情だったんでしょ?」

絵里「お恥ずかしながら……」

にこ「じゃあ希も前の穂乃果たちと同じように、絵里の目をかいくぐってμ'sを宣伝しようとした、とか?」

絵里「宣伝……宣伝……」

絵里「そうだ!」

希「?」

101: 2014/07/12(土) 20:30:41.58 ID:i4MvrJEY0
絵里「希! μ'sのPVを撮ってないわ!」

希「PV?」

絵里「そう、希は前にビデオカメラで、μ'sの1日なるものを録画してたの」

絵里「私も結局μ'sに入ってから見たんだけど……あの時のものだったとは」

希「え? それっていつやってたん?」

絵里「えーっと……希が言ってたのは……」

絵里「……たしかセンター争いの……前」

にこ「……それはもうやったんだけど」

希「……」

絵里「……」

絵里(どうしよう)

102: 2014/07/12(土) 20:33:26.02 ID:i4MvrJEY0
絵里「私、大変なことを……」

希「ちょ、ちょっとくらい順番が前後したって大丈夫やって!」

にこ「そうよ! 早期加入しようっていうんだから、そんなところ気にしてどうするの!」

絵里「でもぉ……」

希「あー! こんなところにビデオカメラがあった!」

絵里「それ、生徒会の仕事で使うやつ……」

にこ「大丈夫よそのくらい」

希「じゃあにこっち行くで!」

にこ「ええ!」

絵里「ま、待って2人とも!」

103: 2014/07/12(土) 20:33:52.25 ID:i4MvrJEY0
希「どうしたんえりち」

にこ「何?」

絵里「あの……」




絵里「完成したら、見せて?」

105: 2014/07/12(土) 20:36:43.91 ID:i4MvrJEY0




絵里「ふぅ……満足したわ」

希「それはよかった」

絵里「希がカメラを向けることで、みんないい笑顔になるのね」

希「そんな、今やったらえりちでも笑ってくれると思うで?」

絵里「うーん、そうかしら」

にこ「ねぇ、私のとこはどうだった?」

絵里「……可もなく不可もなく」

希「そやね」

にこ「どういう意味よ」

106: 2014/07/12(土) 20:38:53.29 ID:i4MvrJEY0
絵里「いつも通りかわいいってことよ」

にこ「ふんっ、何よ今更」

にこ「……ありがと」

希「きゃー! にこっち照れてるー!」

にこ「うるさーい!」

絵里「あとは理事長のところへ話に言ってくれればいいんだけどねぇ」

希「……えりち、今思ったんやけど」

絵里「何?」

希「たぶんこのままやと、えりちのところに来るで?」

絵里「……え」

107: 2014/07/12(土) 20:44:24.65 ID:i4MvrJEY0
絵里「わ、私のところに? 何でよ? こわーい生徒会長のところにわざわざ?」

にこ「あんた、自分の顔見てみなさい。ほら、鏡」

絵里「……あ」

にこ「そんな笑顔を振りまいてる生徒会長のどこが怖いのよ」

絵里(し、しまった……)

希「でもそんなに悩まなくてもいいんと違う?」

にこ「なんで?」

絵里「……そうか、私がうまい具合に話を誘導すれば」

希「うん、早期加入が近づくで!」

108: 2014/07/12(土) 20:46:54.83 ID:i4MvrJEY0



穂乃果「生徒会長! お話があってきました!」

絵里「はいどうぞ」

穂乃果「失礼します」

海未「失礼します」

絵里「あら今日は2人だけなのね」

穂乃果「はい、みんな練習で忙しいので」

絵里(頑張ってるのね。えらいえらい)

希「まあまあ、そこに座ってやー」

穂乃果「はい」

海未「はい」

109: 2014/07/12(土) 20:50:14.92 ID:i4MvrJEY0
絵里「それで、話とは?」

穂乃果「……海未ちゃん」

海未「……はい。わかっています」

海未「ラブライブへの出場を認めていただきたいのです」

絵里(来たわね……)

希「ラブライブ? ラブライブって何?」

絵里(の、希……さすがの演技力ね。本当に知らないみたい)

海未「はい、私たちはスクールアイドルとして、この音乃木坂学院をアピールしようと思っています」

穂乃果「ラブライブというのは、そのスクールアイドルの頂点を決める祭典なんです」

絵里「なるほどね」

110: 2014/07/12(土) 20:53:56.24 ID:i4MvrJEY0
絵里「それで優勝して、この音乃木坂学院の知名度を広めようってこと?」

穂乃果「はい!」

海未「それを許可していただきたいのです」

希「……えりち、本気みたいやで」

絵里「そうみたいね」

絵里(よし、ここでどうするかよね)

絵里(今の穂乃果たちのダンスは、一般人より少しうまい程度)

絵里(贔屓目で見ても、優勝は狙えない)

111: 2014/07/12(土) 20:57:40.39 ID:i4MvrJEY0
絵里(だったら答えは1つ……)

絵里(焦らずゆっくりと、手順を踏んでいくべきね)

絵里「認めましょう」

穂乃果「本当ですか!?」

海未「ありがとうございます!」

絵里「しかし、1つだけ条件があります」

海未「条件……?」

絵里「はい、それをクリアできれば、ラブライブへのエントリーを認めます」

穂乃果「はいっ! やります!」

海未「穂乃果、内容はまだ……」

穂乃果「海未ちゃん、私たちに断るなんて選択肢はないよ!」

海未「……そうですね。生徒会長、内容を教えてください」

絵里(ああ、この目。この目が私を導いてくれたのね)

絵里(穂乃果や海未だけじゃなく、みんなが同じ決意を持ってる)

絵里(だから……目を離せない)

112: 2014/07/12(土) 20:59:40.41 ID:i4MvrJEY0
絵里「条件は簡単です。努力すれば必ずクリアできます」

穂乃果「はい!」

海未「はい!」

絵里「今度の期末テストで、μ'sのメンバーが1人も赤点をとらないことです」

穂乃果「……」

海未「穂乃果!?」

ことり「穂乃果ちゃん!?」

真姫「あ、凛も!」

花陽「に、にこ先輩!?」

希「あらあら、みんな廊下で聞いてたんや」

113: 2014/07/12(土) 21:03:02.00 ID:i4MvrJEY0
絵里(ふふ、予想通りの反応ね)

絵里「えー、ほの……じゃなくて、高坂さんは話を聞ける状態ではなさそうだから、園田さん、続きを聞いてください」

海未「わかりました」

絵里「他のみんなも入ってきていいわ」

真姫「失礼します……凛、しっかりしなさい」

花陽「凛ちゃん大丈夫?」

凛「な、なんとか……」

ことり「にこ先輩も、中に入ってください」

にこ「う、うらぎりものぉ……」

絵里(怒られちゃった)

希「そうみたいやね」

114: 2014/07/12(土) 21:06:29.14 ID:i4MvrJEY0
絵里「学生として、部活と学業の両立は当たり前のことです」

絵里「ですから、スクールアイドルとして努力するのは構いませんが、そのせいで学業がおろそかになっては本末転倒です」

海未「はい……」

絵里「おバカアイドルで売り出す気がないのなら、しっかり勉強してテストに臨んでください」

にこ「そんな気はないわよぉ」

凛「凛もないよ……でもぉ」

真姫「でももだってもないわ。やらなきゃ仕方ないでしょ」

花陽「そうだよ、きっとできるよ!」

希「それでえりち、どうするん?」

絵里「ああ、それで私は……」



絵里「あなたたちの勉強を見ます」

115: 2014/07/12(土) 21:09:37.55 ID:i4MvrJEY0
穂乃果「せ、生徒会長が!?」

海未「そんな、いいんですか?」

絵里「ええ。仕事はちゃんと片づけてあるし、ここ数日は暇になるの」

希「昨日一緒に頑張ったもんなぁ」

絵里「ねー」

絵里「じゃなかった。コホン、なので早速今日の放課後から勉強を見ますよ」

凛「きょ、今日から!?」

にこ「せ、せめて明日からでも……」

希「ダーメ。明日から始める―って言ってるとテストはすぐ迫ってくるで?」

穂乃果「教科書! 教科書がありません!」

絵里「知ってる? この学校では教科書の貸し出しは自由なのよ。図書室に置いてあるわ」

穂乃果「うぅ……」

116: 2014/07/12(土) 21:13:04.08 ID:i4MvrJEY0
絵里「じゃあ部室へ行くわよ」

希「ちょちょ、えりち待って」

絵里「え?」

希「……なんでえりちが先に行ってしまうんよ」

絵里「あ、そっか」

絵里「では希、案内お願いね?」

希「はーい」

穂乃果「うー……生徒会長が優しくなったと思ったのにぃ」

海未「内容は易しいものではありませんか」

にこ「どこがよ!」

凛「そうだよ!」

真姫「はいはい、早くしなさい」

117: 2014/07/12(土) 21:17:44.25 ID:i4MvrJEY0
絵里(これでみんなと一緒に勉強できるわね)

絵里「ふふふ」

希「えーりち、笑い声が漏れてる」

絵里「ごめんね。でも後ろのみんなには見えないでしょ?」

希「ウチからも見えてないけど、笑い声でわかってしまうんよ」

絵里「それは大変だわ」

希「うん」

絵里「突然真顔になるのも難しいわね」

希「ぷっ……」

絵里「え?」

希「えりちが真顔になろうと頑張ってるの想像したら……ぷぷ、笑えてきた……」

絵里「ぐぬぬ」

130: 2014/07/13(日) 00:51:15.91 ID:XscbuIV20
絵里「さて、ここが部室ね」

絵里(うんうん、変わってない変わってない)

希「じゃあさっそく勉強始めよか」

真姫「まずこの中で赤点とりそうな教科を並べていきましょう」

にこ「な、何でにこを見るのよ!」

希「μ'sの心配要素その1、矢澤にこ」

にこ「やめなさいよ!」

凛「り、凛はもうダメかもしれないにゃ……ぐふ」

花陽「ダメだよ凛ちゃん。せっかく生徒会長さんが手伝ってくれるんだから」

絵里(……やっぱりまだゲスト待遇って感じね)

131: 2014/07/13(日) 00:54:16.26 ID:XscbuIV20
海未「ではまず穂乃果の勉強は、いつも通り私とことりで見ます」

ことり「頑張ろうねっ」

穂乃果「がんばります……」

真姫「凛のは私と花陽ね」

花陽「うん」

凛「2人の犠牲は無駄にしないよ」

真姫「なんで初めから諦めてるのよ!」

希「賑やかやね」

絵里(この空気……まだ数日しか経ってないのに懐かしく感じるわ)

132: 2014/07/13(日) 00:56:42.31 ID:XscbuIV20
希「じゃあウチとえりちで、にこっちの勉強を見るんやね?」

絵里「そういうことね」

にこ「せ、生徒会コンビ……」

希「ウチはそんなに賢くはないよ?」

にこ「えー、でも絵里が……」

絵里「え?」

にこ「学年1位でしょ?」

穂乃果「学年!?」

凛「1位!?」

絵里(……ああ、そうだっけ。順位とかあんまり気にしてないから忘れてた)

希「えりち、忘れてたって顔してる」

絵里「ぎくっ」

133: 2014/07/13(日) 01:01:31.80 ID:XscbuIV20
希「まあそういうわけやから、困ったらえりちにも聞いてあげてな」

絵里(え、そこまでしなくても……)

希「いいやろ?」

絵里「……わかったわ。何か質問があれば私に聞いてもいいわよ」

花陽「こ、心強すぎます……!」

海未「1位……」

真姫「へぇ……」

穂乃果「さすが生徒会長ですね!」

絵里(……とっても恥ずかしい)

ことり「3年生の1学期中間の成績で1位ってことは、それまでの学年でも全部1位だったりするんですか?」

絵里「あまり覚えてないけれど……どうだったかしら」

希「ウチが知ってる限りでは、えりちが1位以外をとったところは見たことないよ」

134: 2014/07/13(日) 01:04:43.23 ID:XscbuIV20
ことり「きゃー!」

花陽「すごいです!」

海未「なるほど、だから生徒会長に選ばれたんですね」

絵里(普通に会話できてる……うれしい)

絵里(でもやっぱりメリハリは必要よね)

絵里「はい、おしゃべりはここまでよ。各グループで勉強すること、いいわね?」

穂乃果「はい!」

凛「はーい」

にこ「はいはい」

希「にこっち、教科書逆さまやで」

にこ「……じ、実は矢澤家に伝わる秘伝の暗記方法があってね」

135: 2014/07/13(日) 01:06:21.21 ID:XscbuIV20
>>125 >>127-128
おなじ人だと思うけどE-mail蘭にsageって書き込んでね
上がったと思って見に来る人もいるから

138: 2014/07/13(日) 17:48:22.90 ID:XscbuIV20
>>136-137
ありがたい
今日はリクエスト受けたのでにこえり

139: 2014/07/13(日) 17:52:58.62 ID:XscbuIV20
――――――――――――――――

希「ふぅ、そろそろあっちの準備できたんと違うかな」

絵里「……んー」

希「うんうん、大丈夫。まだ10分しか経ってないよ」

絵里「……ふふ」

希「いい夢見てるんやろうなぁ」

絵里「……」

希「なぁえりち、昔のえりちは怒りっぽかったやんな?」



希「……でも、やっぱり思い浮かぶのは笑顔のえりちやで」

――――――――――――――――

140: 2014/07/13(日) 17:55:42.65 ID:XscbuIV20
絵里(みんな勉強するのはいいけど……やっぱり誰も質問しに来てくれないわね)

絵里(うーん、穂乃果あたりなら来てくれると思ったんだけどなぁ)

にこ「絵里」

希「えりちー」

絵里「あ、何?」

にこ「ここがわかんないのよ」

絵里「うんうん、教えてあげる」

絵里「ここの文法はね? この単語から最後までが主語になってるの」

にこ「ええっ、長すぎない?」

希「でも英語ってそんなんばっかりやで」

にこ「むむ」

141: 2014/07/13(日) 17:59:09.09 ID:XscbuIV20
絵里「ということは、どうなるかわかるわよね?」

にこ「この単語がわかんない」

絵里「それは……素直な、って意味よ」

にこ「じゃあここは『彼女は素直だ』になるわけね」

希「なんかえりちみたい」

絵里「え? どういうこと?」

にこ「あんた素直でしょ」

絵里「ああ、そういうこと」

絵里(前は希に素直になるんやーとか言われてたのにね)

142: 2014/07/13(日) 18:01:27.74 ID:XscbuIV20
穂乃果「あ、あのっ!」

希「お、穂乃果ちゃんどうしたん?」

絵里(なーんだ、希に質問かぁ。私かと思ったのに)

穂乃果「せ、生徒会長に質問したくて」

絵里「!?」

希「えりち、出番やでー」

絵里(も、もう!? そんな早くに!?)

絵里「な、何かしら?」

にこ「声が上擦ってるわよ」

絵里「にこは静かに勉強してなさい」

にこ「はーい」

143: 2014/07/13(日) 18:03:46.72 ID:XscbuIV20
絵里「コホン……それで、質問とはなんですか?」

穂乃果「この、数学の問題がわからなくて」

海未「……」

ことり「……」

凛「……」

真姫「……」

花陽「……」

絵里(う、うわー! みんなこっち見てる!)

絵里(ど、どうしよう希、にこ……)

希「にこっち、それでこの続きはこうや」

にこ「希ちゃんありがとう! よぉーくわかったにこっ」

絵里(ぐっ……勉強してろなんて言っちゃったから本当に勉強してるし……)

144: 2014/07/13(日) 18:07:16.87 ID:XscbuIV20
絵里「この問題ね、うん。わかったわ」

絵里(ってここまでできてるなら、あと一息で解けるじゃない)

絵里(……まさか試されてる!?)

絵里(いや、そうだとしたら……でもでも、穂乃果がそんなことする子だとは思えないし……)

絵里(よし)

絵里「高坂さん」

穂乃果「はいっ!」

絵里「もう1度一緒に問題を読んでみましょうか」

絵里(何も考えなくていい。私はサポートするだけだから……)

145: 2014/07/13(日) 18:09:41.52 ID:XscbuIV20
絵里「ここでこの点がぐるぐると回転しています」

穂乃果「はい」

絵里「そしてもう1つ、ここに点が加わるわけです」

穂乃果「はい!」

希「……えりちもμ'sに加わりたいです」

絵里「はい、私も……希」

希「おしい」

絵里「おしくない」

絵里「じゃあ続きを読むわね?」

穂乃果「はい!」

146: 2014/07/13(日) 18:13:32.19 ID:XscbuIV20



絵里「楽しかった!」

希「えりち、うれしそうで何よりやで」

にこ「ほーんと、単純なんだから」

希「にこっちもうれしそうやん?」

にこ「別にそんなんじゃないし」

絵里(まだぎこちなさは残るけど、それでもみんなと一緒に勉強できるなんてだいぶ進歩したわよね……)

絵里「この調子で明日もがんばりましょう」

希「うん」

にこ「そっか……明日も続くんだっけ」

絵里「でも今日、にこは頑張ってたのでごほうびをあげます」

にこ「えー、成績がいい」

希「いくら生徒会でも成績を上げるのは無理やなぁ」

147: 2014/07/13(日) 18:15:55.01 ID:XscbuIV20
にこ「じゃあ何をくれるの?」

絵里「このチョコです」

にこ「ふーん、ありがとう」

絵里「……普通のチョコと思ったら大間違いよ? これはガーナ直輸入の新鮮なブラックチョコレートなんだから」

にこ「ええっ!?」

絵里「なんちゃって」

にこ「にこにーチョップ」

絵里「いたい!」

希「生徒会室で起こるバイオレンス、その実態やいかに!」

にこ「撮るんじゃないわよ!」

148: 2014/07/13(日) 18:19:24.85 ID:XscbuIV20
絵里「あ、2人とも。今日はちょっと用事があるから先に帰るわね」

希「うん、わかったー」

にこ「車に気を付けなさいよ」

絵里「もう、子どもじゃないんだから……」

絵里「……あれ? 何の用事だっけ」

希「迷子センターに連れて行かな」

にこ「ほーら、チョコがあるわよー」

絵里「ううう」

にこ「こどもこどもー」

希「こどもえりちー」

絵里「ぐぬぬ」

絵里「あ、思い出した。亜里沙と一緒に帰るんだった」

149: 2014/07/13(日) 18:22:03.35 ID:XscbuIV20
にこ「ありさ? 誰よそれ」

希「えりちの妹さんやで」

にこ「へー、あんた妹いたの」

絵里「いるわよ」

にこ「その亜里沙さんは大変でしょうね」

絵里「もー、バカにして」

にこ「こんな楽しそうに笑う姉がいたら、何で悩んでても忘れちゃうでしょ?」

絵里「……チョコもう1枚あげる」

にこ「はいはい」

希「にこっちも素直にそういうこと言うようになったんやね」

にこ「にこに弱点はないにこっ」

150: 2014/07/13(日) 18:27:10.94 ID:XscbuIV20



絵里(えーっと……校門前に集合だったわよね)

絵里「ちゃんと迷わず来れてるといいんだけど……」

絵里(あ、いたいた)

絵里「亜里沙ー!」

亜里沙「お姉ちゃん!」

海未「……お姉ちゃん?」

絵里「あ」

絵里(あー……忘れてた。そうだわ、海未が一緒にいたんだっけ)

151: 2014/07/13(日) 18:31:16.21 ID:XscbuIV20
絵里「えーと、その……これは……」

海未「生徒会長、妹さんが見ていたこの動画は一体……」

絵里(そうそう、見られてたのよね……)

亜里沙「お姉ちゃん、μ'sのメンバーの園田海未さんと知り合いだったの!?」

絵里(うああ……なんて言えばいいかわからない、一緒に勉強しただけだもの……)

海未「はい、私はあなたのお姉さんと知り合いですよ」

絵里(……あれ?)

亜里沙「ハラショー! お姉ちゃん、どうして言ってくれなかったの?」

絵里「それはねー……そう、サプライズよ。驚かせたかったの」

亜里沙「うん、亜里沙すっごく驚いたよ!」

海未「それは光栄です」

絵里(……海未が意外にも親しげだわ。なんでかしら)

152: 2014/07/13(日) 18:33:27.14 ID:XscbuIV20




絵里「はい、お金よ」

亜里沙「うん、飲み物買ってくるね!」

絵里「おでんやおしるこはダメよ?」

亜里沙「わかった!」

絵里(前はおでん買ってきたものね……あれは海未も驚いてたし)

海未「生徒会長」

絵里「ひゃ、はいっ!」

絵里(……な、何だろう。海未の目がいつになく真剣で怖い)

海未「率直に言います」




海未「μ'sに入ってください」

153: 2014/07/13(日) 18:35:14.44 ID:XscbuIV20
絵里「……」

海未「……」

絵里「…………」

海未「…………」

絵里「ちょっと待ってて、電話がかかってきたみたい」

海未「わかりました」

絵里(とりあえずこの場を離れて、と)

絵里「……」

絵里(希に電話をかけよう)

154: 2014/07/13(日) 18:37:42.51 ID:XscbuIV20
  希「もしもーし、ウチやでー」

絵里「どどっ、どどどどどどうしよう、希」

  希「……どうしたんえりち、声震えてるけど」

絵里「μ'sに入れって言われた……」

  希「えっ」

絵里「……海未に」

  希「なんでそんな急に?」

絵里「わからない、わからないのよ……」

  希「でもえりち、ここで加入すればいいんと違う? せっかくのお誘いやし」

絵里「……そうなんだけど」

156: 2014/07/13(日) 18:40:56.87 ID:XscbuIV20
  にこ「何よーどうしたの?」

  希「えりちがμ'sに誘われたんやって」

  にこ「えっ!? 誰に?」

絵里「海未によ」

  にこ「はー、あの海未がね……」

  希「えりち、もう入ってしまったらいいやん」

絵里「ダメよ、ダメなの」

  希「なんで?」

絵里「私がここで加入したら……」



絵里「期末試験そっちのけで遊んでしまいそうになるから……」

  にこ「……あんたらしい」

  希「うん、えりちらしい」

157: 2014/07/13(日) 18:44:25.92 ID:XscbuIV20
絵里「でも入りたくないわけじゃないの」

  希「それをうまく伝えたいんやね?」

絵里「そういうこと」

  にこ「じゃあ期末で誰も赤点とらなかったら加入する、って言えばいいんじゃないの?」

絵里「そ、そうね……あ、でも希はどうなるの?」

  希「ウチ? ウチは……どうしよっか」

  にこ「私が後でどうにか誘うから気にしなくていいわよ」

絵里「ホント? 信じていい?」

  にこ「ええ、嘘ついたらあんたたちの電話番号とメアドを消してやってもいいわ」

  希「うふふ、本気みたいやで」

絵里「わかった、わかったわ……うん、そうする」

158: 2014/07/13(日) 18:47:09.36 ID:XscbuIV20
絵里「ありがとう2人とも」

  希「ううん、いいよー」

  にこ「ちゃんと一言一句間違えず伝えるのよ」

絵里「うん、もう切るわね」

  希「はいはーい」

絵里「……うん」

絵里(海未にちゃんと伝えましょう)

絵里(希と一緒じゃないのはちょっと嫌だけど……この機会を逃す手はないわ!)

絵里「ごめんなさい園田さん、待たせちゃって」

海未「いえ、構いませんよ」

絵里「それであの……答えだけど……」

160: 2014/07/13(日) 18:50:39.28 ID:XscbuIV20
海未「はい」

絵里「私はμ'sに……」

海未「うっ……」

絵里(ん? 海未の顔色が悪くなってる?)

絵里「あの、園田さん」

海未「……」

絵里「園田さん? 園田さん!」

海未「……」

絵里(返事をしない……それに今にも倒れそう!)

絵里「園田さん……ねぇ! しっかりして!」



絵里「海未っ!」




海未「……ん? ……えり?」

162: 2014/07/13(日) 18:54:45.13 ID:XscbuIV20
絵里「え?」

絵里(い、今確かに、私のことを名前で……)

海未「あれ? 私、さっきまで家にいたはずですが……」

絵里「あ、あの」

海未「絵里?」

絵里(また呼んだ)

海未「……す、すみません! もたれかかってしまって……」

絵里「いや、いいのよ」

絵里(まさか……もしかしたら)

絵里「あの……海未?」

海未「はい、何ですか? 絵里」



絵里(やっぱり……未来の海未だ)

165: 2014/07/13(日) 19:02:05.09 ID:XscbuIV20
絵里「海未、ここがどこだかわかる?」

海未「はい、ここではよく遊びましたから」

絵里「じゃあ今、いつだかわかる?」

海未「え? 今は秋でしょう? 何を言っているんですか絵里――――――――」

海未「葉桜……?」

絵里「そうよ海未。今はまだ1学期。期末試験も終わってない時期なの」

海未「そんな……嘘でしょう?」

絵里(なぜ海未がこっちに……)

絵里(……そういえば)



『海未ちゃんに教えたら眉唾物やって言われたんやけどね』



絵里「あなた……希に教えられたおまじないをやったのね」

166: 2014/07/13(日) 19:10:22.03 ID:XscbuIV20
海未「おまじない……?」

海未「ま、まさかあれ、本当に……!」

絵里(やっぱり……)

絵里「海未、落ち着いて。ここは夢の世界よ」

絵里「大丈夫、大丈夫だから」

海未「……ありがとうございます。少し取り乱してしまいました」

亜里沙「飲み物買ってきましたー!」

絵里「あら、早かったわね」

海未「ありがとうございます、亜里沙」

亜里沙「えっ!? あ、ありがとうございます!」

海未「?」

絵里「海未、ここは過去だから急に名前で呼んだら……」

海未「あっ、すみません。亜里沙さん」

亜里沙「……さっきのままでよかったのに」

167: 2014/07/13(日) 19:21:22.36 ID:XscbuIV20
絵里「亜里沙、悪いけどもう1本何か買ってきてくれない?」

亜里沙「え?」

絵里「今日は亜里沙、ちゃんと学院まで来られたからご褒美よ」

亜里沙「もう、お姉ちゃんってば……私、子どもじゃないんだからねっ!」

海未「それでも買いに行きましたね」

絵里「うん、そういう子だもの」

絵里(そろそろ本題に入らないといけないわね)

絵里「海未、詳しい話はまた今度、と言いたいところだけど、今日はうちに泊まりなさい」

海未「……わかりました。聞かせてください」

絵里(想定外だわ。まさか海未もこっちに来るなんて……)

188: 2014/07/14(月) 20:26:45.58 ID:dCUDao4a0




海未「お邪魔します」

絵里「はい、いらっしゃい」

海未「……あら? ご両親はいらっしゃらないのですか?」

絵里「ふふふ、なんと都合のいいことに2人とも今日は旅行でいないのよ」

絵里(ペアチケットだったし、たまにはゆっくりしてもらうのも悪くないわよね)

海未「それで亜里沙は……」

絵里「穂乃果のところに泊まるんだって。雪穂ちゃんと約束してたって言っててね」

絵里「せっかく海未が来たのに私はなんて間の悪い子なのー! って嘆いてたわ」

海未「ふふ、そうですか」

絵里(海未を連れてきたからちょっと過去とは展開が違ったけど、大丈夫よね?)

189: 2014/07/14(月) 20:29:26.83 ID:dCUDao4a0
絵里「さて、何から話そうかしら」

海未「そうですね……じゃあここに来た経緯を教えてもらえますか?」

絵里「うん」

絵里(えーっと、最初はどこから話そうかしら)

絵里「まず初めに、私はにこがμ'sに加入するちょうど前の頃に来たの」

海未「……結構時間が経っていますね」

絵里「そうなのよ。早期加入したいけど、なかなか糸口がつかめなくて」

190: 2014/07/14(月) 20:32:14.32 ID:dCUDao4a0
海未「私が来たのはいつごろなんでしょうか」

絵里「海未が、何で私たちの活動を邪魔するんですかー! キーッ! って言ってた頃ね」

海未「そ、そんなことは一言も……!」

絵里「あはは、冗談よ冗談」

海未「はぁ……そう考えると絵里もずいぶん丸くなりましたね」

絵里「うん、自分でもそう思うわ」

絵里(やっぱり話せる人がいるのっていいわね)

海未「絵里、携帯電話が光ってますよ」

絵里「あ、マナーモードにしてたんだった。ありがとう海未」

絵里(……希から? こんな時間にどうしたのかしら)

191: 2014/07/14(月) 20:33:47.44 ID:dCUDao4a0
絵里「ちょっと出るけどいいかしら」

海未「構いませんよ」

絵里「ありがと」

絵里(まあ何の用事であれ、ついでに海未のことも話しちゃいましょう)

絵里「はい、もしもし」

  希「えりちこんばんは」

絵里「こんばんは。どうしたの? 勉強でわからないところでもあった?」

  希「まあそんなところかなー」

192: 2014/07/14(月) 20:35:15.01 ID:dCUDao4a0
  希「単刀直入に聞くで、えりち」

絵里「うん」

  希「えりちってさ、未来から来たんやろ?」

絵里「そうよ」

絵里(ってなんだかこの返し、漫画かアニメの主人公みたいなセリフね)

  希「それで思ったんやけど……」




  希「期末試験の問題、わかるやんな?」


193: 2014/07/14(月) 20:37:46.72 ID:dCUDao4a0
絵里「!?」

絵里(そ、そうだった! 私は問題を知ってるんだ!)

海未「ど、どうしたんですか絵里! 汗がすごいですよ!」

  希「あれれ? 海未ちゃんの声聞こえたけど……」

絵里「ダメよ! 絶対にダメ! カンニングなんてぜーったいダメなんだから!」

絵里(あああああ、でも私は問題を知ってるのよね……ものすごくずるいわ。生徒会長なのにこんなずるいこと……)

絵里「うわああああああ」

海未「え、絵里! 気を確かに!」

  希「ご、ごめんえりち! 真面目なえりちにそんなこと言ってごめん!」

絵里「うう、私どうすればいいの……」

194: 2014/07/14(月) 20:40:11.62 ID:dCUDao4a0
  希「あの、にこっちにヤマだけでも教えてあげて?」

絵里「え? ヤマ?」

絵里「でも私、問題知ってるからヤマじゃなくて……」

  希「そこはヤマっていう体でお願い」

絵里「……にこ、そんなに大変なの?」

  希「うん、もうジョーズに襲われるタイタニックくらい」

絵里(それはもう氏が確定していると言っても過言ではないわね)

絵里「特にどの教科が?」

  希「国数英社理」

絵里「全部……」

195: 2014/07/14(月) 20:42:17.60 ID:dCUDao4a0
絵里「わかった、わかったわ……」

  希「カードもな、にこっちが爆氏する未来を告げてて」

絵里「うん、電話して教えるわ。教えてくれてありがとう希」

  希「いいっていいって、それより海未ちゃんの声は……」

絵里「あ、そうそう。海未も未来の海未になったのよ」

  希「……?」

海未「呼びましたか?」

絵里「……海未の口から教えてあげた方がいいかも」

海未「?」

196: 2014/07/14(月) 20:45:03.27 ID:dCUDao4a0



  希「へぇ、海未ちゃんはウチのこと名前で呼んでくれるんや」

海未「あ、すみません。いつもの癖で……」

  希「いーのいーの。それの方がなんか親しげな感じするし」

海未「ではこのままで」

  希「みんなの前ではのんちゃんって呼んでな」

海未「えぇっ、希先輩ではなくですか!?」

  希「あはは、海未ちゃん思った通りからかいやすいなぁ」

絵里(希ってば、やってること未来と一緒)

海未「はぁ……良くも悪くもあなたは今も昔も変わりませんね」

  希「海未ちゃんそれあと10年くらいたってから言うセリフやで」

197: 2014/07/14(月) 20:47:59.75 ID:dCUDao4a0
海未「それで、どうするんですか?」

絵里「何が?」

  希「何のこと?」

海未「いや、期末試験の後のことですよ」

絵里「え? 大丈夫なんじゃないの? このままの調子でいけば……」

  希「うんうん」

海未「未来では、絵里がダンスを教えてくれましたよね」

絵里「そうね」

海未「ダンスを教えてもらうきっかけはどう作るんですか?」

絵里(どう作ろう)

198: 2014/07/14(月) 20:54:14.14 ID:dCUDao4a0
絵里「で、でも私はさっき、海未にμ'sに勧誘されたし……」

海未「ですが過去は、私たちをふるいにかけるという名分があったじゃないですか」

絵里「そうね」

  希「そうなん?」

絵里「そうなの」

海未「しかし希から話を聞いた限りでは、今のあなたを恐るるに足らない存在です!」

絵里「ひぇぇ」

  希「確かに今のえりちにはそういう威厳がないもんなぁ」

絵里「の、希まで……」

199: 2014/07/14(月) 20:57:42.78 ID:dCUDao4a0
海未「そしてあの時のように、穂乃果たちが喰らいつくようにあなたの特訓についていかなければ……」

絵里「ついていかなければ……?」

海未「あんな風な急激なスキルアップは望めません!」

絵里「そ、そんなぁ!」

  希「つまり、海未ちゃんが言うには、えりちが一度μ'sのみんなを突き放す必要があるってことやね」

海未「ええ、そういうことです」

絵里「つ、突き放す……」

絵里(そ、そんなこと……みんなを突き放す?)

絵里「……できるわけないでしょぉ」

海未「ま、待ってください、今のはたとえですから! 泣かないでください!」

  希「あらら、海未ちゃん悪い子ー」

海未「やめてください!」

200: 2014/07/14(月) 21:00:22.22 ID:dCUDao4a0
海未「ですからみんなには緊張感を持ってダンスレッスンをしてもらいたいわけです」

絵里「……じゃあ私、どうすればいいの?」

  希「緊張感なぁ」

海未「私にいい考えがあります」

絵里「ほんと?」

海未「ええ、ですがこれは絵里に聞かれては意味がありません。希と話したいので携帯電話を貸してもらえますか?」

絵里「いいわよ。希は?」

  希「おっけー」

絵里「はい海未」

海未「ありがとうございます。少し席を外しますね」

絵里「うん」

201: 2014/07/14(月) 21:03:04.73 ID:dCUDao4a0
絵里(何で教えてくれないのかしら)

絵里(……もしかしたら私も緊張感を持たなきゃいけないのかも)

絵里「緊張感緊張感……うーん、どんな感じかしら」

絵里「やっぱりつり目?」

絵里(でも私、たれ目なのよねぇ……上げたらそれらしいかも)

絵里「びよーん」

海未「絵里、終わりまし……ぶふっ」

絵里「うわぁ!?」

  希「んー、どうしたん?」

202: 2014/07/14(月) 21:12:33.03 ID:dCUDao4a0
――――――――――――――――

希「ん、電話……ああ」

希「もー、みんな後悔しすぎやんなぁ。えりちもそう思うやろ?」

絵里「んー……」

希「ちょっとだけ待っててな、えりち」

絵里「海未……ノック……」

希「あれ、海未ちゃんもそっち行ってるん?」

絵里「……ぅ」

希「……まあいっか」

希「ウチはみんなができるだけ幸せになってほしいんよ」

――――――――――――――――

203: 2014/07/14(月) 21:17:18.81 ID:dCUDao4a0



にこ「ほぁぁ……」

希「どうしたんにこっち、期末そんなに悪かったん?」

にこ「ち、違うの……その逆で……」

希「んー?」

希「……」

希「んー!?」

絵里「どうしたの?」

希「にこっちが! にこっちやけど、にこっちやないんよ!」

絵里「え、何? トトロ?」

204: 2014/07/14(月) 21:19:57.44 ID:dCUDao4a0
希「ほら、えりちにも見せてあげて」

にこ「……あんたに教えられたヤマ、全部当たったんだけど……ほかに自分で張ってたヤマも当たって」

絵里「えええ!? なにこれ!?」

海未「どうしました?」

絵里「う、海未! 見て!」

海未「ふむふむ、平均点91点……絵里のテストですか?」

希「にこっちのや……」

海未「え?」

希「にこっちのテスト結果……」

海未「またまたご冗談を」

にこ「……」

海未「え、本当に……?」

205: 2014/07/14(月) 21:25:29.66 ID:dCUDao4a0
穂乃果「生徒会長生徒会長生徒会長!」

絵里「ほの……どうしました高坂さん」

穂乃果「μ'sの1年生、2年生は全員赤点回避できました! あとはにこ先輩だけで……」

にこ「……」

希「穂乃果ちゃん……」

穂乃果「ま、まさか……!」

海未「これを見てください」

穂乃果「……88、95、90、89、93……す、すごい、希先輩か生徒会長のテストですか?」

海未「それは……」

希「にこっちのなんよ」

穂乃果「にこっ……!?」

にこ「……」

穂乃果「」

海未「ほ、穂乃果! しっかりしてください!」

206: 2014/07/14(月) 21:30:23.16 ID:dCUDao4a0




海未「というわけで期末も終えたので、作戦会議を始めます」

絵里「おー!」

希「おーっ」

にこ「……なんで海未がいるの?」

絵里「海未も未来から来たのと入れ替わったの」

にこ「なんかその超理論で納得しちゃう自分が嫌になってきたわ」

海未「そこ、私語は慎んでください。今から大事な話をするんですから」

絵里「ごめんなさい」

にこ「はいはい」

希「海未ちゃんの方が生徒会長っぽいなぁ……」

208: 2014/07/14(月) 21:34:41.02 ID:dCUDao4a0
海未「まず私たちの今の実力では、ラブライブしつじょ……」

海未「出場など到底不可能です」

にこ「ごめんもう1回言って」

絵里(鬼だわ)

希「鬼やでにこっち」

にこ「え、何て言ったかわかんなかったもの」

海未「私たちのじゅつりょ」

希「ほら、μ'sの現在の実力は、海未ちゃんが身を持って証明してくれたやろ?」

絵里(希もなかなかの鬼だわ)

209: 2014/07/14(月) 21:40:09.68 ID:dCUDao4a0
海未「と、とにかく! 絵里のダンスレッスンが必要となるのです」

にこ「なんで? 私たちってそんなに下手かしら」

海未「過去の絵里はお遊びにしか見えないって言ってました」

にこ「……あんた、本当にそういうキャラだったのね」

絵里「だ、だって! あのころは本当に大変だったんだもん!」

希「まあまあ、にこっちも実際、実力不足は感じてるわけやろ?」

にこ「まあね」

絵里「ここで私の出番ってわけよ」

にこ「それも何で?」

海未「絵里はバレエをやっていましたから」

にこ「……?」

絵里「たぶんにこの考えてるバレエはバレーだと思うわ」

210: 2014/07/14(月) 21:45:09.38 ID:dCUDao4a0
希「でもな、今のえりちが特訓するって言って出て行ってもみんな緊張感なんてないやろ?」

にこ「確かにね。今の絵里が怒っても全然怖くないもの」

絵里「そう?」

海未「ええ、今の絵里は牙の抜かれた獅子です」

絵里「がおー」

希「かわいい」

にこ「かわいい」

絵里(……ほんとだわ)

212: 2014/07/14(月) 21:52:06.28 ID:dCUDao4a0
海未「なので絵里にはこれを付けてもらいます」

にこ「なにこれ……メガネ?」

希「それにウィッグ?」

絵里「……何このラインナップ」

海未「変装です」

絵里「えっ」

海未「あなたには変装して、ダンスレッスンをしてもらいます!」

絵里(え、そんな簡単なことじゃバレる……)




絵里「私がダンスコーチを務めるエリーと申します」

凛「初めまして!」

花陽「よ、よろしくお願いします」

真姫「本当に大丈夫なの?」

絵里(騙せた)

213: 2014/07/14(月) 21:52:36.60 ID:dCUDao4a0

今日はここまで
のんたんの暗躍は一体どうなる

絵里「つよくてにゅーげーむ」【2】

引用: 絵里「つよくてにゅーげーむ」