1: 2014/08/10(日) 01:29:17.24 ID:jklQ1TNP0

18: 2014/08/10(日) 23:39:30.82 ID:jklQ1TNP0
絵里「あ、そういえば真姫。話したいことがあるとか言ってたわよね」

真姫「うっ」

花陽「?」

絵里(何だろう今の反応)

真姫「……まあ、花陽はあの場にいたからいいか」

花陽「どうしたの?」

真姫「ひとまずシャワー浴びるわよ。浴室のドア越しでもしゃべれるし」

絵里「え? 何でわかったの?」

真姫「穂乃果と凛の声、聞こえてたでしょ?」

絵里「なるほど」
ラブライブ!The School Idol Movie

19: 2014/08/10(日) 23:41:58.54 ID:jklQ1TNP0
花陽「今度は絵里ちゃん、服濡らさないようにね」

絵里「わかってるわ!」

真姫「本当かしら」

絵里「ほ、本当だってば!」

真姫「危なっかしいのよ、絵里は」

絵里「そんなことないわよぉ。ねぇ花陽」

花陽「う、うーん……」

絵里(激しく傷ついた)

20: 2014/08/10(日) 23:57:12.88 ID:jklQ1TNP0
真姫「そんな調子でパリなんて行けるの?」

絵里「……もしかして真姫、私がいなくなるの寂しい?」

真姫「……まあね」

花陽「あ、真姫ちゃん素直になった」

真姫「いいでしょたまにはこのくらい」

絵里「いつも素直になればいいのに」

真姫「できるならやってるわよ」

絵里(あれ? その発言自体が素直な気が……)

真姫「わかってると思うけど、私の言いたいことは1つよ」

絵里(何だろう)

21: 2014/08/11(月) 00:00:44.68 ID:WOrqcljr0
真姫「合宿の時はありがとう。それにμ'sを引っ張ってくれてありがとう」

絵里「!」

花陽「これからもよろしくね、絵里ちゃんっ」

絵里「……」

絵里(全然……意識してなかった)

絵里「2人とも……ずるいわよぉ……」

真姫「で、このシャワーどうやって使うの?」

絵里「見えない……」

真姫「泣かないでよ。別に泣かせようと思って言ったわけじゃないわ」

絵里「だって、急に言うんだもん……心の準備っていうのが……全然」

絵里(あー、私、絶対涙もろくなってる)

22: 2014/08/11(月) 00:09:48.38 ID:WOrqcljr0
真姫「ほら、これどうするの?」

絵里(あー、ダメね。このままじゃ)

絵里(もっとしゃきっとしないと!)

絵里「ここをこうやるの」

花陽「絵里ちゃん、鼻水出てる。はい、ティッシュ」

絵里「……ごめんなさい」

真姫「絵里らしいわね」

絵里「うれしくない」

花陽「あ、それで次はどうするの?」

絵里「えーっとえ、ここを回して温度を……」

真姫「あ、絵里!」

花陽「そこに頭置いてたら――――――――」



絵里「同じ手にはかからないわ!」



真姫「!」

花陽「み、水が流れてこない!」

23: 2014/08/11(月) 00:12:22.93 ID:WOrqcljr0
真姫「どうして……? 絵里は確かに水を……」

花陽「真姫ちゃん! 見て!」

真姫「あ、あれは!」

絵里「その通りよっ!」

真姫「……水が蛇口から流れてる」



絵里「ふふふ……こんなこともあろうかと、水栓を蛇口の方へ回していたのよ!」



絵里(ちゃんと学習したんだから)

絵里「あ、ちなみに戻すときはこっちを」

花陽「あっ」

絵里「わ、しまっ――――――――」

24: 2014/08/11(月) 00:17:24.19 ID:WOrqcljr0




絵里「……ことり」

ことり「あ、絵里ちゃんおかえり……」

希「また濡れてる!?」

絵里「こ、今回はヘッドトレスだけよ。かわしたもん」

にこ「当たってるじゃない」

絵里「間一髪だったわ」

凛「それより絵里ちゃん、早く乾かさないと」

絵里「あ、そうね。ごめんねことり、ヘッドトレス濡らしちゃって」

穂乃果「そうじゃないよ! 絵里ちゃんを乾かすんだよ!」

絵里「え」

ことり「そうだよ。衣装は何度でも作り直せるけど、絵里ちゃんは作り直せないんだからね」

絵里「……」

絵里(……また涙が)

25: 2014/08/11(月) 00:25:20.25 ID:WOrqcljr0
絵里「うう、ありがとう……」

海未「ことりー、衣装、これで合っていますか?」

海未「って絵里、また濡れたんですか」

希「はしゃぎすぎたんよ。ほら、後ろ向いて」

にこ「これで風邪引いたら最悪よ? ほら、首もとは濡れてない?」

穂乃果「もー、絵里ちゃんは1人でどこか行っちゃダメだねぇ」

絵里(なんか犬みたいな扱い……)

絵里「みんな、ありがとう」

希「んー、いいよ。いつものことやし」

にこ「そうね」

穂乃果「うんうん」

ことり「絵里ちゃんも早く衣装合わせしよっか」

絵里「うん、わかった」

40: 2014/08/11(月) 22:03:40.39 ID:WOrqcljr0





絵里(……ああ、もう朝かぁ)

絵里(昨日は衣装合わせして学園祭に備えて……今日は練習なしだったわよね)

絵里「朝ごはん食べよう……」

絵里(……あれ? 起きられない)

絵里「からだ、おも……うっ」

絵里(頭も痛い……)

絵里「……」

絵里(嘘でしょ、私が――――――――)




絵里「私が、風邪引くなんて」

42: 2014/08/11(月) 22:07:52.28 ID:WOrqcljr0
絵里(せきは出ないから、喉の心配は大丈夫よね?)

絵里(あぁ、この感覚……確実に熱があるわね。体温計どこやったっけ)

絵里「ん、あった」

絵里「……」

絵里(亜里沙は……そっか、今日は雪穂ちゃんとお出かけだっけ)

絵里「なら心配、かけられないわよね」

絵里「……」

亜里沙「お姉ちゃーん」

絵里「なにー?」

亜里沙「お姉ちゃん、朝ごはんチンしておいたよ。一緒に食べよ?」

絵里「まだ寝てたいから先に食べててくれない?」

亜里沙「わかった。お姉ちゃん、ちゃんと起きてね」

絵里「はーい」

43: 2014/08/11(月) 22:10:30.42 ID:WOrqcljr0
絵里(よし、誤魔化せた……)

絵里「あ、計れてる……って」

絵里(ぴったり40℃かぁ……これは絶対安静ね)

絵里「昨日のシャワーかしら?」

絵里(それだったら本当におバカさんだというかなんというか……)

絵里「はぁ……」

絵里(とりあえず亜里沙が出たら、朝ごはん食べて冷却シートを……)

絵里(……みんなは大丈夫かしら。私みたいに急に風邪ひいてないわよね?)

絵里「メール……してみよ」

44: 2014/08/11(月) 22:12:46.99 ID:WOrqcljr0
亜里沙「お姉ちゃん、行ってくるね」

絵里「あ、うん。行ってらっしゃい」

亜里沙「ふふ、お姉ちゃん頑張ってたもんね。じゃあ、行ってきます」

絵里「はーい」

絵里(……頑張ってた? 何を?)

絵里(練習かしら……うーん、私の中では頑張ってる、って感じじゃないんだけど……)

絵里「……はーっ」

絵里(吐息も熱い感じするわね)

絵里(朝ごはん、食べよ)

45: 2014/08/11(月) 22:15:45.56 ID:WOrqcljr0
絵里「……」

絵里(しまった)

絵里「く、うぅぅ」

絵里(立てない)

絵里(……這って行くしかないか)

絵里「よい、しょっと」

絵里「あー……」

絵里(動きたくない)

絵里(でもご飯食べなきゃ、力が出ないし……)

絵里「……立てる、私は立てるはずよ」

絵里(……よし、立てる!)

絵里「あ、っと……立てた」

47: 2014/08/11(月) 22:18:42.90 ID:WOrqcljr0
絵里「からだ、おもい……」

絵里(普段ならすいすい歩けるのに……熱って嫌ね)

絵里「うんしょ、っと」

絵里「っとと」

絵里(あはは、何だか酔っぱらいみたい)

絵里「千鳥足って言うのかしらね」

絵里「おおっと、危ない危ない」

絵里(……って、私は何しに来たんだっけ?)

絵里「あ、そうだ。ごはんごはん……」

絵里「……」

絵里(今日に限ってお魚……骨が……)

48: 2014/08/11(月) 22:21:37.49 ID:WOrqcljr0
絵里「……いただきます」

絵里(あー、どうしよ。骨ごとバリバリって食べちゃおうかしら)

絵里(私はオオカミです。きっと食べられます)

絵里「……むりかも」

絵里(うー、お箸ちゃんと持てない)

絵里「先にお茶……わわっ」

絵里(片手では持てないのね、危ない危ない)

絵里「……ストロー、あったかしら」

絵里(えーっと……確か使わないからどこかに……)

絵里「あ」

絵里(椅子に乗らないと届かないとこに置いたんだった……無理だわ)

49: 2014/08/11(月) 22:23:47.74 ID:WOrqcljr0
絵里「先に冷却シートを……」

絵里「確かこのあたりに残りが……あれ?」

絵里(ない……)

絵里「いたっ、う」

絵里「……うぅ」

絵里(何もないところで転んだ……)

絵里「床、意外と冷たいわね」

絵里「……」

絵里「あたまいたい」

50: 2014/08/11(月) 22:26:45.42 ID:WOrqcljr0
絵里「……寝ちゃったら立てないわね」

絵里(でも立たないと。ずっとここでこうしてるわけにはいかないし)

絵里「……え? 今、鍵開いた?」

絵里(亜里沙が帰ってきた!? まずい! どうにか……)

絵里(どうにかして平静を装わないと!)

絵里「あ、おかえり亜里沙、忘れ物でも……」




希「ざんねーん、ウチでした」




絵里「のぞ……み?」


51: 2014/08/11(月) 22:29:25.30 ID:WOrqcljr0
絵里(なんで希が……? 家の鍵も何で……?)

絵里(うう、頭回らない……)

希「えりちが心配で来たんよ」

絵里(心配で?)

絵里「どうしたの希。真面目な顔して」

希「だから、えりちが心配なんよ」

絵里「心配することなんて何にもないでしょ?」

希「ううん、亜里沙ちゃんが血相変えてウチに会いに来たんよ?」

希「お姉ちゃんの様子がおかしい、私じゃ力になれない、って」

絵里「……」

絵里(亜里沙……)

52: 2014/08/11(月) 22:33:36.06 ID:WOrqcljr0
希「家の鍵をウチに押し付けて、お願いしますって頼み込んできたときはびっくりした」

絵里(亜里沙にはバレてたってわけか……さすが妹ね)

絵里(でも、希にうつしちゃ悪いし……それに、学園祭前にいたずらに不安を与えるのはよくないわね)

絵里「私は大丈夫よ。大したことないから」

希「ふぅん……普通のことは、あるんやね」

絵里(しまった、言葉を間違えた)

絵里「ちょっとここで転んじゃっただけだから」

希「転んだ? なんで?」

絵里「ただの前方不注意よ」

絵里(嘘は言ってないわよね?)

53: 2014/08/11(月) 22:37:54.64 ID:WOrqcljr0
希「えりち、大丈夫?」

絵里「ええ、もちろん」

絵里(う、しまった。足が震えてきた)

希「えりち、何で冷蔵庫にもたれかかってるん?」

絵里「暑いから、少しでも涼もうと思って」

希「えりち、何で顔が赤いん?」

絵里「パジャマ姿を見られたのが恥ずかしいからよ」

希「えりち――――――――」

絵里「ほら、もうそんな赤ずきんみたいな問答やめない? 私は大丈夫だから、心配しなくていいって」

絵里(今日1日しっかり休めばきっと治る。だから――――――――)

希「ならウチが帰る代わりに1つだけお願い聞いてくれる?」

絵里「いいけど……私ができる範囲でお願いね」

絵里(今はどのくらいできるかわからないけど……)

希「うん、すごく簡単なこと」




希「目を閉じたまま10秒間、片足で立ってくれる?」

54: 2014/08/11(月) 22:41:15.34 ID:WOrqcljr0
絵里「な、なんで急にそんなこと」

希「えりちはバレエやってたから、バランス感覚はどのくらいいいんかなーと思って」

絵里(さすが希……体温を計らせないのは、不正される恐れがあるからよね)

絵里(すぐに影響の出る身体面で審査する、ってわけ……)

絵里(でもね、希)

絵里「私の実力を舐めない方がいいわ」

絵里(本気で集中すれば、そのくらい簡単にできる――――――――)

希「じゃあ今からやるよ? いい?」

絵里「ええ、来なさい」

希「じゃあよーい……スタート!」

56: 2014/08/11(月) 22:47:33.52 ID:WOrqcljr0
希「1、2……」

絵里(やれる。そのくらい簡単に)

絵里(頭はふらふらするけど、床の感覚くらいわかる)

希「3、4……」

絵里(つま先だけじゃなくて、しっかり足の裏までついてるんだから簡単よ)

絵里(……本当はすごくつらいけど)

希「5、6……」

絵里(こんなところで倒れるなんて、私のプライドが許さない)

希「7、8……」

絵里(今まで積み上げてきた、穂乃果たちとの日々を……)

希「9……」

絵里「……」

57: 2014/08/11(月) 22:48:07.27 ID:WOrqcljr0




希「10。はーい、時間切れ」





58: 2014/08/11(月) 22:50:46.40 ID:WOrqcljr0
絵里「え、じ、時間切れ?」

希「うん。時間切れ」

絵里「10秒間立てって話じゃ……」

希「ウチはその10秒間で、えりちが何をするかを見たかったんよ」

絵里(何をするか?)

希「えりちが目を閉じて片足で10秒、なんて余裕でできるにきまってるやろ?」

希「でも、今の10秒間――――――――」



希「えりちは一瞬たりとも笑顔を見せてないんよ」

59: 2014/08/11(月) 22:55:32.46 ID:WOrqcljr0
絵里「……ああ、わかったわ。そっちの余裕がなかったって言いたいのね?」

希「うん、そういうこと」

絵里「でもちゃんと10秒立てたでしょ? なら約束を守れたわ」

希「えりち、そうやないよ」

絵里「……?」

希「えりちらしくない」

絵里「私らしく……?」

希「えりちなら、もう10秒くらい簡単なはず」

絵里(……普段ならね)

希「なのに、顔を真っ赤にして汗もいっぱいかいて、苦しそうな表情浮かべて……」

希「……信じろって方が無理だよ」

希「私をもっと……頼ってほしい」

絵里「!」

60: 2014/08/11(月) 22:57:16.45 ID:WOrqcljr0




『……それでもウチを頼ってくれたらうれしいけどなぁ』

『そうねぇ、最初に頼るのは希かも』

『ふふっ、それはうれしい』



61: 2014/08/11(月) 23:05:32.42 ID:WOrqcljr0
希「ねぇ、私はそんなに頼れない?」

希「全部1人で抱え込んで……それって私のせい?」

絵里「ちがう……違うわ希! 泣かないで……!」

絵里(最初からそうだった。希は私に頼ってほしがってた)

絵里(それを私は……)

絵里「希、ごめん、私、そんな……そんなつもりじゃ……!」

希「……」

絵里「あなたに心配をかけたくなくて……ずっと……」

絵里(いや、もう何を言っても無駄ね)

絵里(言いたいことを言わなきゃ)

絵里「……希、顔をあげてくれる?」

希「うん」

絵里「……」

希「あ」

絵里「何か落ちて……」

絵里(……目薬)


63: 2014/08/11(月) 23:10:46.13 ID:WOrqcljr0
希「あ、えりち、これは違うんよ」

絵里「え? 何? 聞こえないわね」

希「いや、この涙は本物であって、決して目薬なんかじゃ……」

絵里「希」

希「や、やからそのグーにしてる手を下ろして!」

絵里「問答無用!」

希「きゃああああ! ……って、あれ? え、えりち? 何で抱きついて……」

絵里「振り下ろした拳の勢いを止められなかっただけ」

希「……えりち、めちゃくちゃ熱いやん。うそつきはダメやのに」

絵里「希もよ。本気で泣いてるくせに、わざわざ目薬なんか隠し持って」

希「ふふ、お互いさまやね」

絵里「うん、そうね」

64: 2014/08/11(月) 23:13:23.39 ID:WOrqcljr0



希「あーん」

絵里「あー……ん」

希「おいしい?」

絵里「……あんまり味わかんない」

希「そっか。じゃあプリンとゼリーやったらどっちが好き?」

絵里「プリンかしら」

希「わかった」

絵里「買って来るの?」

希「ううん、配達してくれる人がいるんよ」

絵里「?」

65: 2014/08/11(月) 23:17:43.03 ID:WOrqcljr0
希「あ、もうすぐ着くみたい」

絵里「速いのね」

希「うん、えりちはきっとプリンって言うって気付いてたみたいで、もう買ってるって返信来た」

絵里(誰だろう……)

絵里「ん、呼び鈴が……」

希「ウチが出るよ。届けに来てくれたんよ」

絵里「じゃあお願い」

希「うん」

絵里(うーん、誰かしら)

66: 2014/08/11(月) 23:31:50.58 ID:WOrqcljr0
凛「絵里ちゃんお風邪って本当!?」

花陽「凛ちゃんとおかゆ作ってきたよ!」

真姫「ほら、プリン買ってきたわよ」

にこ「生姜湯とチキンスープも作ったわ、飲みなさい」

穂乃果「絵里ちゃん! お見舞いにチョコ持ってきたよ!」

海未「栄養ドリンクを買ってきました」

ことり「風邪薬と冷却シート買ってきたよぉ」

絵里(予想以上にいっぱい来た)

67: 2014/08/11(月) 23:32:57.19 ID:WOrqcljr0

ここまでー
うるさい看病大会が始まる……!

リクエストssはもう少し待っててね
にょろにょろと建てますので

68: 2014/08/11(月) 23:33:43.77 ID:WOrqcljr0
>>67
× にょろにょろ
○ のろのろ

75: 2014/08/12(火) 21:02:39.37 ID:QOtLt1uS0
絵里「えーっと……」

海未「絵里、寝ていなくてはダメでしょう」

絵里「今ごはん食べて……」

にこ「とりあえずこれ、冷蔵庫入れとくわよ」

絵里「あ、わかっ……」

凛「お鍋どこに置いとけばいいの?」

絵里「それはコンロの……」

ことり「絵里ちゃん、汗かいてない?」

絵里「うん、平気だから……」

76: 2014/08/12(火) 21:04:32.61 ID:QOtLt1uS0
穂乃果「絵里ちゃんの部屋から枕持ってきたよ」

絵里「えっ、ちょっとみんな……」

花陽「お皿、洗っておくね」

絵里「あ、いいわよそんな……」

真姫「絵里、口についてる」

絵里「んむ」

絵里「……」

絵里(最後まで言わせてくれたって……)

希「ふふ、えりち笑ってる」

絵里「忙しいからね……あはは」

77: 2014/08/12(火) 21:07:58.24 ID:QOtLt1uS0
海未「ことり、冷却シートを」

ことり「うん、絵里ちゃんおでこ出して」

絵里「わかった」

凛「そんな重労働、絵里ちゃんにはさせられないにゃ! 凛が手伝うよ」

絵里「ありがとう」

凛「……すっごく熱い」

絵里「まあ熱出てるからね」

ことり「それじゃ、貼りまーす」

絵里「うっ……つめたい」

絵里(……でもちょっと楽になったかも)

穂乃果「絵里ちゃんまくらー」

絵里「ご飯食べてからね」

79: 2014/08/12(火) 21:17:13.32 ID:QOtLt1uS0
希「はい、えりち」

絵里「ん、あーん」

にこ「……」

花陽「……」

真姫「……」

絵里(あれ、急にみんなこっち見始めた)

希「お昼はみんなに任せるから、今だけはウチに任せてな」

にこ「ち、違うわよ! そういう意味じゃ……!」

花陽「はぅぅ……」

真姫「別に、そんなこと考えてなんか……」

絵里「?」

80: 2014/08/12(火) 21:20:11.06 ID:QOtLt1uS0
穂乃果「……海未ちゃん、ことりちゃん」

海未「どうしました?」

ことり「なに?」

穂乃果「この枕ね……すっごく絵里ちゃんの匂いがする」

絵里「ちょっ……!?」

ことり「ほんと?」

穂乃果「うん、ほら嗅いでみて」

ことり「わーい」

絵里「え、ま、待って!」

ことり「……絵里ちゃんの匂いだ」

穂乃果「だよねだよね?」

凛「凛も嗅ぐにゃー」

絵里(なにこの状況)

81: 2014/08/12(火) 21:22:45.78 ID:QOtLt1uS0
希「えりち災難やね」

絵里「本当よもう……」

希「でもさっきより元気出てるなぁ」

絵里(……ほんとだ)

にこ「絵里、生姜湯飲む?」

絵里「いただくわ」

にこ「ん。一応水筒に入れて持ってきたけど……どのコップがいい?」

絵里「あ、その1番上の……」

にこ「……」

絵里(にこじゃ届かなかった)

真姫「私がとるわ」

にこ「ぐぬぬ」

82: 2014/08/12(火) 21:24:59.52 ID:QOtLt1uS0
絵里「ごめんねにこ」

にこ「謝られると傷が広がるんだけど」

絵里「う、ごめん」

希「えりち、謝ってる謝ってる」

絵里「あ」

にこ「もー、何なのよこの食器棚は……縮め!」

絵里(真顔で言うんだ)

真姫「このコップ、絵里のお気に入りなの?」

絵里「どうだろ……あんまり気にしたことないわね」

真姫「そう……ほらにこちゃん、生姜湯」

にこ「あ、うん」

83: 2014/08/12(火) 21:28:12.80 ID:QOtLt1uS0
凛「お昼は絵里ちゃん何食べる?」

絵里「うーん……今は考えたくないかな」

凛「……そっかぁ」

花陽「そうだよね……ごめんね」

絵里「は、花陽と凛が作ったおかゆがいいわ!」

凛「本当!?」

絵里「本当よ」

凛「よかったね、かよちん」

花陽「うんっ!」

にこ「……」

絵里「にこのも食べるから」

にこ「いや、今の沈黙はコップに注いでたから集中してただけよ」

絵里「あ、そうなの?」

84: 2014/08/12(火) 21:32:19.71 ID:QOtLt1uS0
希「えりち忙しそう」

絵里「至れり尽くせりなはずなんだけどね」

希「はい、最後の1口。あーん」

絵里「あーん」

海未「花陽、肩に何かついてますよ」

花陽「そうなの?」

海未「はい、今とりますね……」

海未「……」

花陽「う、海未ちゃん?」

海未「私たち以外の髪の毛の色……」

穂乃果「ドラマで見たことある……浮気現場だ!」

凛「修羅場にゃ!」

絵里(亜里沙のだと思うけど……いいか)

85: 2014/08/12(火) 21:37:39.66 ID:QOtLt1uS0
絵里「ごちそうさまでした」

希「じゃあ食器下げるよ」

絵里「うん、お願い」

にこ「ほら、飲みなさい」

真姫「熱いから気を付けてね」

絵里「ありがとう」

穂乃果「あ、チョコ冷蔵庫に入れてていいかな?」

ことり「ええっ!? 穂乃果ちゃん入れてなかったの!?」

86: 2014/08/12(火) 21:39:13.93 ID:QOtLt1uS0
穂乃果「ううん、事後承諾ってやつだよ。ちゃんと入れてるよ」

絵里「うん、いいんだけど……今穂乃果が指さしたとこ、冷凍庫よ」

穂乃果「えっ」

真姫「……なんだっけ。この前爆発するやつテレビで見たんだけど」

穂乃果「ええっ!?」

海未「爆発!?」

絵里(そんなの聞いたことないけど……)

希「真姫ちゃん、それきっと電子レンジにゆで卵、じゃない?」

真姫「あ、それだわ」

穂乃果「なーんだ」

凛「びっくりしたぁ」

91: 2014/08/12(火) 21:45:51.31 ID:QOtLt1uS0
にこ「今からやってみる?」

絵里「えっ」

穂乃果「見たい見たい!」

凛「気になるにゃー」

絵里「待って」

花陽「そうだよ。ここは絵里ちゃんの家だから」

絵里(よかった、さすが花陽――――――――)

花陽「せめて絵里ちゃんの風邪が治った時じゃないとダメだよぉ」

絵里(結局やるんだ)

89: 2014/08/12(火) 21:44:38.67 ID:QOtLt1uS0
絵里(まあいいか、ラップしてたらたぶん大丈夫よね)

絵里(それより生姜湯飲まないと冷めちゃう)

絵里「……あ、これおいしい」

にこ「ふふん、そうでしょ? ちゃんとハチミツも入れたから飲みやすいと思うわ」

絵里「うん、飲みやすいわ」

ことり「あ、絵里ちゃんだいぶ顔色良くなってない?」

絵里「え? そう?」

希「一応体温、計っとく?」

絵里「うん」

92: 2014/08/12(火) 21:50:03.08 ID:QOtLt1uS0
穂乃果「はい、手あげて」

絵里「挟むくらいはできるわよ。それにまだ体温計ないし」

穂乃果「じゃ、じゃあ穂乃果……どうすればいい?」

絵里「枕を私の部屋に戻してきて。体温計も私の部屋にあるから」

穂乃果「了解!」

海未「穂乃果、転ばないように気を付けてくださいね」

穂乃果「そんなにドジじゃないよぉ」

穂乃果「……あれ、ドア開かない」

絵里「そこは押して開けるのよ」

穂乃果「あ、そっか」

希「転ばなくてよかったやん」

絵里「そうね」

93: 2014/08/12(火) 21:52:13.47 ID:QOtLt1uS0
穂乃果「あったよー」

絵里「持ってきて」

穂乃果「わかった」

ことり「穂乃果ちゃん、きっと枕持って帰って来るよね」

海未「そうですね」

絵里「え? そのくらいは……」

穂乃果「はいっ」

絵里(なぜかブランケットが増えた)

94: 2014/08/12(火) 21:54:29.78 ID:QOtLt1uS0
絵里「よいしょ……」

絵里(……あ、でも体が軽くなった気がする)

絵里「……」

希「……」

にこ「……」

穂乃果「……熱が下がってますように」

凛「……下がってますように」

花陽「……」

絵里(緊張する……)

95: 2014/08/12(火) 21:59:32.17 ID:QOtLt1uS0
真姫「あ、音鳴ったわよ」

絵里「ん」

絵里(下がってるといいんだけど……)

希「えりち、何度?」

絵里「えーっと……」




絵里「37℃……?」




絵里「って、ものすごく下がってるじゃない」

海未「最初は何度だったんですか?」

絵里「40℃」

海未「えっ」

96: 2014/08/12(火) 22:03:57.86 ID:QOtLt1uS0
穂乃果「す、すごい!」

にこ「生姜湯……?」

凛「絵里ちゃん、実は超人?」

ことり「冷却シートかなぁ?」

絵里(本当に何でだろう……)

絵里「もしかしたら……」

真姫「?」

花陽「もしかしたら?」



絵里「みんなが看病してくれたおかげかもね」

97: 2014/08/12(火) 22:12:56.17 ID:QOtLt1uS0
希「……えりちって、熱出ててもそういうことさらっと言うんよね」

絵里「え?」

にこ「もう慣れたわよ」

穂乃果「わーい! 来てよかった!」

花陽「そう言われるとうれしいなぁ」

ことり「一応念のために風邪薬も飲もっか」

絵里「うん」

海未「栄養ドリンクもありますよ」

真姫「プリンもあるわ」

絵里(……よく考えたら、こうしてみんなといる方がたくさん食べるのよね。適当に済ませることもないし)

絵里(なるほど……みんなといた方が健康的な生活を送れるってことね)

98: 2014/08/12(火) 22:18:24.91 ID:QOtLt1uS0
絵里「ふふっ。みんながいれば、私はずっと健康でいられるわ」

凛「!?」

穂乃果「え、絵里ちゃん!?」

希「みんな気を付けてな、えりちがみんなのエネルギーを吸い取るみたいやで」

絵里「ち、違うってば! そういう意味じゃ……」

にこ「じゃあどういう意味よ」

絵里「え? それは……ずっとみんなと一緒にいたいって意味で……」

にこ「……」

ことり「熱でも絵里ちゃんは絵里ちゃんだね」

海未「ですね」

99: 2014/08/12(火) 22:31:28.31 ID:QOtLt1uS0
真姫「でもまだ完全に治ったわけじゃないんだし、寝てた方がいいわよ」

絵里「あ、そうよね」

穂乃果「絵里ちゃん歩ける?」

絵里「ええ、もう大丈夫よ」

絵里(本当に熱、下がったんだ……なんだかびっくりしちゃう)

海未「私たちはここにいましょうか」

絵里「……そうね。うん」

希「えりち、気を遣わなくていいって」

絵里(う、バレてた)

絵里「みんなと一緒にいたい……って言ったら怒る?」

ことり「ううん、全然」

凛「凛たちは大歓迎だよ!」

絵里(よかった)

100: 2014/08/12(火) 22:34:36.74 ID:QOtLt1uS0
にこ「でもどうするの? ベッド下ろすわけにも……」

海未「あ、ソファで寝てもらうのはどうでしょう」

花陽「ソファで?」

海未「はい、少しはしたないかもしれませんが」

真姫「絵里はそれでいいの?」

絵里「うん」

希「なら決まりやね」

穂乃果「穂乃果はきっと、このときのためにブランケットを持ってきておいたんだよ」

ことり「穂乃果ちゃん、えらいえらい」

穂乃果「わーい」

101: 2014/08/12(火) 22:43:16.44 ID:QOtLt1uS0
希「えりち、何かあったら遠慮せず言ってくれていいよ」

絵里「うん、そうする」

花陽「私は食器とか洗うから、凛ちゃんたちは待っててね」

にこ「花陽、私も手伝うわ」

花陽「うん、ありがとう」

凛「かよちん、にこちゃん。凛たち何してたらいい?」

にこ「絵里の相手してなさい」

穂乃果「……ファイト?」

にこ「そっちの相手じゃない」

絵里「あはは」

102: 2014/08/12(火) 22:53:41.60 ID:QOtLt1uS0
凛「それじゃ、何の話する?」

穂乃果「何があるかな?」

希「普通に話しててもも面白くないしなぁ……」

海未「では、絵里をもっとも笑わせた人が勝ちというのはどうでしょう」

ことり「あ、それいいかも」

真姫「え? そんな面白い話とか持ってないんだけど」

凛「そこは作り話だよ、真姫ちゃん」

真姫「それダメじゃない!」

103: 2014/08/12(火) 22:56:58.80 ID:QOtLt1uS0
希「大丈夫やって、最後にこのお話はフィクションです、って言えば」

穂乃果「なるほど……それがオチだね!」

真姫「ってもうそれ使えないじゃないの」

凛「あ」

海未「そうですね」

真姫「どうしよう……何か面白い話ってなかったかしら……」

真姫「あ、そうだ。この前花陽がアルパカと10分くらい話してたんだけど……」

花陽「ええっ!? そんなことあった!?」

真姫「あったわよ。私がすぐそばにいたのに気付かなくて」

ことり「すっごく気になる! 話して話して!」

真姫「えーっと……いつだったかしら、たしか4日前くらいなんだけど――――――――」

104: 2014/08/12(火) 23:01:59.51 ID:QOtLt1uS0


――――――――調子はどう?――――――――

だいぶ楽になった。みんなのおかげでね

――――――――それはよかったわ。ところで、あなたはまだ帰れないの?――――――――

え? うーん……そうね、まだやることが残ってるもの。

――――――――そう……あんまり無茶しすぎないでね?――――――――

ねぇ。

――――――――何かしら?――――――――

あなたは私なの?

――――――――ええ、そうよ。あなたが知らず知らずのうちに意識の外に押し込んでしまった私よ――――――――

105: 2014/08/12(火) 23:04:03.68 ID:QOtLt1uS0
意識の外へ?

――――――――そう、別に多重人格ってわけじゃないけど、あなたが知らないうちに隠しちゃったのよ――――――――

隠す?

――――――――ええ、ほら、この世界で何か、あなたが忘れていることはない?――――――――

忘れてること……あ! 穂乃果がまだチョコを冷凍庫から出してない!

――――――――ああ、それもあるわね――――――――

え、当たりなの?

――――――――違う違う。もっと大事なことよ――――――――

えー……何だろう。

107: 2014/08/12(火) 23:06:26.36 ID:QOtLt1uS0
――――――――そのことになると、都合よく考えちゃうの――――――――

都合よく……うーん、わかんない。

――――――――そうよね。簡単にわかるなら、私はいないもの――――――――

ねぇ、あなたは今どこにいるの?

――――――――私? 私はそうね……うん、寝てるわ――――――――

寝てる? 私と一緒ね。

――――――――そう! あなたと一緒よ! 何か思い出すことはない?――――――――

あ、みんなに声かけずに寝ちゃった……。

――――――残念、ハズレよ――――――――

108: 2014/08/12(火) 23:08:51.51 ID:QOtLt1uS0
何だろう……ヒントちょうだい!

――――――――じゃあヒントね――――――――

やった!

――――――――あなたは夢を見てる――――――――

夢って……このこと?

――――――――ええ、このことよ。あなたが見ているもののすべてが――――――――

すべて? あなたと話してるのが夢だって言うの?

――――――――ううん、違う。すべてよ――――――――

……難しいわね。

109: 2014/08/12(火) 23:12:35.98 ID:QOtLt1uS0
――――――――現実から逃げようとしたわけじゃない――――――――

――――――――ただこの世界の幸福を捨てられないわけじゃない――――――――

――――――――憶測だけど、長くこっちにいすぎたせいで帰るべき場所が思い出しづらくなってるのよ――――――――

帰るべき……場所?

――――――――そうよ。たぶん私1人なら、難なく帰ることができた――――――――

――――――――でもあなたは、みんなを助けようとしてる――――――――

――――――――今すぐにでも逃げだせるのに――――――――

逃げ出すって……そんな無責任なことできないわ。

――――――――そうよ。あなたは縛り付けられてるの――――――――



――――――――みんなに手を引かれて、後戻りができないくらい奥深くまで――――――――

110: 2014/08/12(火) 23:17:29.00 ID:QOtLt1uS0
――――――――頼ってくれた自分の仲間を誰1人見捨てずに、ここまで歩いて来ようとしてるの――――――――

仲間を見捨てないことはいいことなんじゃないの?

私は利己的にふるまうの、苦手だから。

――――――――そう。そうやって帰り道を……ううん、逃げ道を自ら消してることに気付いてない――――――――

逃げ道?

――――――――逃げ道よ。ここではまだ帰れない、なんて言って――――――――

――――――――戻ってくることは悪じゃない。でも、いなくなってもいいタイミングがつかめない―――――――

――――――――だからどこか、このままみんなの面倒を見ようとしてる――――――――





――――――――気付いて、あなたのいるべき場所はここじゃない――――――――




111: 2014/08/12(火) 23:18:39.49 ID:QOtLt1uS0



絵里「……」

絵里(私のいるべき場所……)

絵里(帰るところ……)




絵里(私の帰る場所は、ここにしかないはずなのに――――――――)

117: 2014/08/13(水) 09:48:32.29 ID:FB+ffn4Q0
絵里(うーん、変な夢だったわね)

絵里「……あれ? 外が明るいような……」

絵里「……」

絵里(ちょっと待って、今何時?)

絵里「時計どこだっけ……ってみんな寝てる」

絵里「えーっと、今は……」





絵里「7時ちょうど……え? 午前?」

118: 2014/08/13(水) 09:50:07.83 ID:FB+ffn4Q0
絵里「あはは、まだ夢の中なのかしら」

絵里「……」

絵里「……」




絵里「みんな起きてえええええええええええ! 遅刻よおおおおおおおおおおおお!」



穂乃果「!?」

海未「んん、どうしたんですか……?」

ことり「まだ眠いよぉ……」

119: 2014/08/13(水) 09:53:41.54 ID:FB+ffn4Q0
花陽「米粉……」

凛「うふふふふ、そんなにたべられないにゃぁ……」

真姫「……」

絵里「起きてってば! 学園祭始まってるから!」

にこ「まだまだ……私たちの夏はこれからよ……」

希「カード……」

絵里(どうすれば……そうだ!)

絵里「早く起きないと朝ごはん抜きよ!」

にこ「」

穂乃果「」

凛「!」

花陽「ごはん!」

120: 2014/08/13(水) 09:57:33.65 ID:FB+ffn4Q0
希「……あれ、えりち元気になってる?」

絵里「え、あ。ほんとだ」

絵里「じゃなくて、もう学園祭の準備始まってるのよ!」

にこ「今何時よ」

絵里「7時」

花陽「7時!?」

凛「え、えーっと……学園祭開始が7時半だから……」

凛「……」

凛「……やばい」

絵里「そうなのよ! 特に私たちは生徒会として、学園祭の挨拶の時、理事長の横でそれっぽい雰囲気出しながら立ってなきゃいけないの」

穂乃果「そ、それっぽい雰囲気……」

希「あながち間違ってないなぁ」

121: 2014/08/13(水) 10:03:32.86 ID:FB+ffn4Q0
亜里沙「おねぇちゃん……おはようぅ……」

絵里「亜里沙はまだ起きてこなくていいわよ?」

亜里沙「うん……おひる、みにいくからねぇ」

絵里「わかったわ、ありがとう」

亜里沙「おやすみ……」

希「とりあえずウチとにこっちと花陽ちゃんで昨日の残りをお弁当に詰めるから、えりちはシャワー浴びてきて」

絵里「みんなは?」

花陽「みんなは昨日、亜里沙ちゃんに許可もらってお風呂入ったよぉ」

絵里「そうなのね、うん、わかった。よろしくね!」

凛「はーい。真姫ちゃん起きるにゃー」

穂乃果「海未ちゃんもことりちゃんも、朝ですよー」

122: 2014/08/13(水) 10:05:31.48 ID:FB+ffn4Q0
絵里(みんな、泊まってくれたのね)

絵里(たぶん私に寂しい思いさせないように)

絵里(ことりは枕まで持ってきてたし)

絵里(みんなに……お礼言わなきゃね)

絵里「よし、お湯出てきた」

絵里「……」

絵里(あ、着替え持ってくるの忘れた)

123: 2014/08/13(水) 10:09:12.48 ID:FB+ffn4Q0



希「よし、詰め終わった……」

花陽「これは向こうについてから食べよっか」

にこ「朝も昼もあっちで食べるとお金かかるしね」

穂乃果「海未ちゃんと真姫ちゃんだけ全然起きない……」

ことり「うん、2人は最後まで起きてたからね」

絵里「ごめーん、着替え忘れたからちょっと通るわよ」

希「バスタオルだけ……えりち刺激的な格好やん」

絵里「えへへ」

凛「刺激……そうだ! 絵里ちゃん」

絵里「んー?」

凛「そこ格好で海未ちゃんと真姫ちゃんを起こして」

絵里「いいわよ」

124: 2014/08/13(水) 10:11:35.61 ID:FB+ffn4Q0
絵里「ほら、海未、真姫。起きて」

真姫「ん、熱い……」

海未「……熱気が」

真姫「……」

海未「……」

絵里「おはよう」

真姫「」

海未「」

絵里「あれ?」

にこ「あんたオーバーキルよ。さっさと着替えてきなさい」

絵里「え、でも2人は……」

希「ウチがわしわしして起こすから、えりちは早く」

絵里「うん」

125: 2014/08/13(水) 10:23:38.49 ID:FB+ffn4Q0
希「こ、これは……!」

花陽「どうしたの!?」

希「海未ちゃん……少しおっきくなってる」

穂乃果「ええっ!?」

凛「い、いつの間に!」

にこ「にこ、歯磨いてくる」

花陽「私も行こうかなぁ」

絵里(部屋の外から面白い会話が……)

ことり「念のために歯ブラシ持ってきててよかったね」

穂乃果「制服も持ってきてたし、海未ちゃんの言う通りだったね」

絵里(海未が言ってたんだ……へぇ)

穂乃果「絵里ちゃんはなかなか起きないからって」

絵里(それ、海未が言うんだ……)

126: 2014/08/13(水) 10:44:11.23 ID:FB+ffn4Q0
絵里「着替えたわ」

希「ん、それならウチらも着替えるよ」

にこ「ほら、2人とも顔洗ってきなさい」

海未「はい……」

真姫「なんかものすごいものを見た気がする……」

ことり「あ、お母さんからメール……」

絵里「理事長から?」

ことり「あ、学園祭の開始時刻、少し遅れるみたい」

希「おお、どのくらい?」

ことり「1時間」

穂乃果「1時間も!?」

ことり「うん、少し雲行きが怪しいから様子を見るんだって」

127: 2014/08/13(水) 10:46:39.98 ID:FB+ffn4Q0
穂乃果「あ、穂乃果の携帯も鳴った!」

希「ウチのも来た」

にこ「学校からの連絡ってやつね」

ことり「そうみたいだね」

絵里(前はそんなことあったっけ?)

絵里「まあ遅れたことだし、ゆっくり準備しましょう」

ことり「そうだねっ」

花陽「うん」

133: 2014/08/14(木) 00:24:33.14 ID:KJOLJiXV0



理事長「本日は天候にも恵まれ、絶好の学園祭日和となりました」

理事長「今まで準備してきたすべてのことを、今日は出しきってください」

理事長「以上です」

絵里「はい、ではこれから各学年の学園祭実行委員は前へ集まってください」

絵里「それ以外の生徒は教室に戻り、担任教諭の指示に従ってください」

絵里(……理事長の言葉通り、本当にいい天気)

絵里(もしかして雨なんか降らないんじゃ……)




絵里(あれ? 雨が降る、なんて何で考えてたんだっけ。天気予報かしら)

134: 2014/08/14(木) 00:30:28.28 ID:KJOLJiXV0
希「はい、じゃあこの資料を各教室に持って行ってね」

絵里「希、そっちは資料足りてる?」

希「足りてるよ、これで最後……あ、うん。いいよ。またステージ見に来てな」

絵里「希? どうしたの?」

希「あ、いや。さっきの子が握手してほしいって」

絵里「へー、希ってば人気者じゃない。このこのーっ」

希「えりちにも握手、してもらいたかったみたいやで」

絵里「そうなの?」

希「うん、でも本当に握手したら気絶しそうやからやめとくって」

絵里「?」

希「えりち……今自分が学院でどのくらい人気かわかってないやろ?」


135: 2014/08/14(木) 00:32:51.14 ID:KJOLJiXV0
絵里「うん」

希「やっぱり……」

絵里(何だろう、希の視線が突き刺さるんだけど……)

希「えりち、ファンクラブってわかる?」

絵里「そのくらいわかるわよ」

希「この学校にはえりちファンクラブが公式、非公式にそれぞれ1つずつ存在します」

絵里「……」

絵里「ええっ!?」

希「ふふ」

136: 2014/08/14(木) 00:35:00.74 ID:KJOLJiXV0
絵里「ふぁ、ファンクラブって……あれでしょ? おっかけみたいな……」

希「それそれ」

絵里(ま、まさかそんなものができてたなんて……)

絵里(うれしい以上に複雑だわ)

絵里「そ、それに公式って何!? 認められないわぁ!」

希「ぷぷ、その口調昔のえりちにそっくり」

絵里「昔?」

希「まあそんなことは置いといて……公式って言うのは、μ'sが公式に許可したファンクラブなんよ」

138: 2014/08/14(木) 00:44:57.82 ID:KJOLJiXV0
絵里「……ってことは、希たちが立ち上げたってこと……?」

希「そうやね。正確にはウチとにこっちで」

絵里「……」

絵里(何と言うか心境を言葉に表しづらい)

希「えりちがμ'sに入る前から、ファンクラブそのものはあったんよ」

絵里「え、全然気づかなかった」

希「それは仕方ないよ」

希「もともと少なかったファンが爆発的に増えてウチらが気付くようになったのは、えりちが変わってからやもん」

139: 2014/08/14(木) 00:48:19.23 ID:KJOLJiXV0
絵里「私が……変わって?」

希「そう。えりちが突然丸くなってからやね」

絵里「丸く? 私、もともとこんな感じよ?」

希「まあ今のえりちはね。それでμ'sに加入する前からあるファンクラブを、μ's内の絢瀬絵里ファンクラブをして組みなおしたのがウチとにこっちなん」

絵里「そうだったの……じゃあ前のファンクラブはなくなっちゃったの?」

希「ううん、一応形だけは残ってるよ。近々合併みたいなことしてなくなるけどね」

絵里「そうなんだ」

絵里(……どのくらいファンっているんだろう)

希「えりち、今ファンの人数気になったやろ」

絵里「ぎくっ」

140: 2014/08/14(木) 00:50:46.48 ID:KJOLJiXV0
希「まあ口で言うのも面白くないし……えりち、手出して」

絵里「こう?」

希「うん。今から数字を指で数字を書くから、その人数がファンの数やで」

絵里「わかったわ」

希「まず1ケタ目は……」

絵里(まあいても2ケタが限度ってところよね)

希「で、2ケタ目」

絵里(ふむふむ……なかなかの数ね。まあこのくらいだったら――――――――)

希「それで3ケタ目」

絵里「えっ」

141: 2014/08/14(木) 00:54:27.95 ID:KJOLJiXV0
絵里「ま、待って待って」

希「どうしたん?」

絵里「さ、3ケタもあるの……?」

希「この学校でなら」

絵里「え、学校でって……」

希「現代にはインターネットというものがあるんよ?」

絵里「」

希「それでつけたして……ってとこかな」

絵里「えええええ!? お、おかしいでしょ!?」

絵里「ろ、6ケタもいるの!?」

希「これが今のえりちの実力ってとこやで」

絵里「う、うぅ……緊張してきた」


143: 2014/08/14(木) 00:58:04.46 ID:KJOLJiXV0
希「どこに出しても恥ずかしくないえりちやで」

絵里「私が恥ずかしいわよ」

希「えへへ、そんなこと言ってー。実は嬉しいくせに」

絵里「……それもあるけど」

希「やっぱりなぁ。ちなみに会員番号やけど……」

絵里「え、そんなのもあるの?」

希「うん、1から9がμ'sのみんなと亜里沙ちゃんと、それと理事長やね」

絵里(亜里沙も入ってたんだ……)

144: 2014/08/14(木) 00:59:18.33 ID:KJOLJiXV0
絵里「って理事長も!?」

理事長「はい」

絵里「うわぁ!?」

絵里(け、気配が感じられなかった)

理事長「この学院も公認のファンクラブですよ」

絵里(本人の許可とってないのに)

絵里「あれ? でも1から9でしょ? それじゃ、誰か1人足りない……」

145: 2014/08/14(木) 01:02:24.46 ID:KJOLJiXV0
希「ウチや」

絵里「え?」

希「ウチが……その中には入ってないんよ」

絵里「……え」

絵里(希は入ってくれてないの……?)

絵里(それはちょっとショックというか……なんだか寂しいというか)

希「ウチは1から9ではなく……ナンバー0なん!」

絵里「0!?」

希「そう、創始者たるウチには始まりの0という数字を冠することで……」

絵里「い、いやいや! 仰々しすぎるでしょ!」

希「うん、みんな入れてったらウチの分の数字がなくなったから、仕方なく作っただけ」


146: 2014/08/14(木) 01:05:54.47 ID:KJOLJiXV0
絵里「なんだぁ……」

希「えへへ、えりち今しょんぼりしてた」

絵里「し、してないわよ!」

理事長「ふふ、それじゃ2人には、学園祭の見回りをお願いしますね」

絵里「はい、わかりました」

希「了解しました!」

理事長「ふふ、いい返事です。まあ見回りと言っても先生方が巡回してるから、あんまりすることはないんだけど」

絵里(あ、そうなんだ)

理事長「あなたたちのクラスは何をやるんでしたっけ?」

絵里「希、覚えてる?」

希「うーん……なんやったっけ。μ'sはラブライブ出場のために、準備よりも練習優先しろって言われてたからなぁ」

147: 2014/08/14(木) 01:08:36.38 ID:KJOLJiXV0
絵里(そうよね。前もそんな風に……)

絵里(……また前って。デジャヴかしら?)

希「あ、そうや。確か喫茶店やったような……」

絵里「……あー。そういえばミキサーを運んでたっけ」

理事長「そうですか。私も立ち寄っていいですか?」

絵里「はい。きっとみんな喜んでくれますよ」

希「じゃあウチらでエスコートやね」

理事長「ええ、お願いします」

148: 2014/08/14(木) 01:10:22.15 ID:KJOLJiXV0



理事長「ミキサーということは、ミックスジュースとかですか?」

絵里「はい、おそらく」

希「えりちはやっぱりココアが好きなん?」

絵里「え、何で?」

希「ほら、チョコやし」

絵里(チョコかぁ……そうね、でも飲み物だったら――――――――)

絵里「って、冷凍庫からチョコ出してない!」

希「あ」

理事長「?」

149: 2014/08/14(木) 01:13:03.76 ID:KJOLJiXV0
絵里(まあいいか、爆発するわけじゃないんだし……)

絵里「それにしても賑やかね。みんなこっちをよく見てくるような……」

絵里(理事長と一緒に歩いてるのが珍しいからかしら)

希「えりち、ファンクラブのこと思い出して」

絵里「あ、そっか」

理事長「ふふ、こうして歩いていると、学生に戻ったような気分ですね」

希「なるほど……親子でコスプレ、と」

絵里「ちょ、希!?」

理事長「なるほど……その手が」

絵里「理事長!?」

150: 2014/08/14(木) 01:16:35.27 ID:KJOLJiXV0
希「あ、着いたみたいやね」

絵里「ん、本当だ」

理事長「まだ人が来ていませんね。中に入っても大丈夫でしょうか」

希「まあここは生徒会特権ということで……」

理事長「そうですね。では私から失礼して……」



にこ「にっこにっこにー! いらっしゃいませ――――――――」



理事長「ふふ、かわいいですね」

絵里「あ、にこだ」

希「にこっちやん」

にこ「……負けた」

159: 2014/08/14(木) 22:19:43.53 ID:KJOLJiXV0
希「にこっちウエイトレス?」

にこ「うん、あんたたちにもやってもらおうと思ったけど生徒会だったわね」

絵里「あ、ごめんね」

にこ「ライブは昼からだし、それに遅れなきゃ何も文句は言わないわ」

絵里「えへへ、ありがと」

にこ「あ、そうだ。これ背中に貼っててくれない?」

希「なにそれ」

にこ「チラシ」

絵里(客寄せパンダね。なるほど)

160: 2014/08/14(木) 22:21:56.35 ID:KJOLJiXV0
理事長「では何を頼みましょうか」

にこ「え」

希「あ、そっか。理事長とはここでお別れかぁ」

絵里「そうね。では理事長、失礼します」

にこ「え、ちょ」

理事長「はい。午後にはライブを見に行きますから、その時に会いましょうね」

希「はーい」

にこ「ま、待ちなさいよ2人とも!」

絵里「へ?」

161: 2014/08/14(木) 22:25:49.59 ID:KJOLJiXV0
にこ「わ、私をこんな重役と2人きりにするつもり?」

希「重役って……クラスのみんながいるやろ?」

にこ「いるけど……なんか私を有名人扱いするって言うか……」

絵里「ああ、スクールアイドルだから?」

にこ「違うのよ。私を見るたびににっこにっこにーの催促をしてくるんだって」

希「にこっち人気者やん」

にこ「うん、だからなんかくすぐったいくて……」

絵里「わかるわ」

にこ「あんたのとは違うのよ。こっちは近所の犬みたいにかわいがられるというかなんというか……」

絵里(共通点が犬しかない)

にこ「そもそも私は料理作ってる側の手際が悪かったから手伝おうとしただけなの」


162: 2014/08/14(木) 22:29:55.23 ID:KJOLJiXV0
希「にこっちらしい」

にこ「そう言われるとなんか複雑だけど……まあいいわ」

にこ「とにかくこうやって接客するつもりは――――――――」

絵里「あら、お客様よ」

にこ「にっこにっこにー! いらっしゃいませ! 何名様ですか?」

穂乃果「スマイルください!」

絵里(会話がかみ合ってない)

にこ「なんだ、穂乃果じゃないの」

穂乃果「うんっ、3人を私たちのクラスに招待しようと思って来たの」

希「そうなん?」

穂乃果「うんうん、すごくいい出来だからね」

理事長「高坂さん?」

穂乃果「あ、理事長。おはようございます」

163: 2014/08/14(木) 22:33:06.02 ID:KJOLJiXV0
にこ「穂乃果、悪いけど私は接客あるから行けないわ」

穂乃果「そうなの? ざんねーん……」

にこ「ライブ終わった後、時間があったら行くわ」

穂乃果「本当?」

にこ「ええ。絵里、希、ライブの後時間あるわよね?」

絵里「片付けの時間を考えると、1時間くらい残るわ」

希「うん、十分回れるなぁ」

にこ「ほら、2人もこう言ってることだし」

穂乃果「じゃあ絶対だよ?」

にこ「はいはい、約束ね」

穂乃果「ゆーびきーりげーんまーん」

にこ「そこまでやるの?」

絵里「ふふ、微笑ましいわね」

理事長「そうですね」

164: 2014/08/14(木) 22:36:35.17 ID:KJOLJiXV0
穂乃果「よーし、じゃあ2人をごあんなーい……」

にこ「待ちなさい」

穂乃果「え?」

にこ「あんたたちのクラス行くんだから、穂乃果はこの喫茶店に寄るべきよ」

穂乃果「……でも今お金ない」

にこ「大丈夫よ、オレンジジュース1杯50円とかだから」

穂乃果「理事長、自動販売機もそのくらい安くすべきです」

理事長「そうねぇ。どうしようかしら」

絵里「そ、そういうことは生徒会を通して……」

希「えりち、まず業者通さな」

165: 2014/08/14(木) 22:39:33.83 ID:KJOLJiXV0
にこ「とりあえず、最初の客として有り金全部置いてきなさい」

穂乃果「ひどいよ! にこちゃんの鬼! 悪魔!」

にこ「何とでも言いなさい」

希「えりち」

絵里「なに?」

希「きっとにこっち、理事長と2人きりになるの避けたいんよ」

絵里(ああ、だからあんな必氏になって……)

絵里「じゃあ穂乃果、にこ。ライブ前に部室で会いましょうね」

穂乃果「穂乃果たちのクラスの出し物は?」

希「あとで見るよ。ウチらだけ先に見ちゃうより、みんなで一緒に行った方が楽しそうやし」

166: 2014/08/14(木) 22:42:46.88 ID:KJOLJiXV0
穂乃果「そっかぁ……じゃあ仕方ないね」

穂乃果「夢の国に招待するのはライブが終わってからね」

絵里「夢の国……? 何だか楽しそうね!」

希「あ、えりち。穂乃果ちゃんたちのクラスは……ぷぷ、やっぱり言うのやめとこ」

絵里「え? なんで?」

希「その方が楽しみが増えるやろ?」

絵里「あ、そういうことね」

にこ「ほら、早く行きなさい。凛たちのクラスにも行ってあげたら? あの子たちきっと喜ぶわよ」

絵里「うん、そうする」

167: 2014/08/14(木) 22:49:42.64 ID:KJOLJiXV0
希「ウチらが来て喜んだのはにこっちも同じやね」

にこ「うっ、うるさい! ほら、行きなさいよ!」

希「あはは、ごめんごめん」

穂乃果「にこちゃんどうしたの?」

にこ「あんたにはわからなくていいの。それより注文しなさい」

穂乃果「じゃあこのメロンソーダで……」

にこ「ジャンボイチゴパフェね。イチゴ1つー!」

穂乃果「えぇっ!? そんなお金ない……ってあれ? お安い……!」

にこ「理事長は何にしますか?」

理事長「私はカフェオレで」

にこ「カフェオレ1つー!」

168: 2014/08/14(木) 22:52:29.58 ID:KJOLJiXV0
絵里「なんだ、普通に接客出来てるじゃない」

希「やるときはやるもんなぁ、にこっちは」

絵里「そうかもね」

にこ「だいたい何がスマイルください、よ。笑顔の化身みたいなあんたにやるほどスマイル余ってないわ」

穂乃果「そう? にこちゃんよく笑うから」

にこ「そんなに笑ってる覚えないわよ?」

絵里「ううん、にこはよく笑ってるわ。かわいいわよ」

にこ「……あんたそれ、真顔で言うのやめた方がいいわよ」

絵里「えっ」

理事長「ファンが増える理由の1つですね」

絵里「ええっ」

169: 2014/08/14(木) 23:18:40.96 ID:KJOLJiXV0
希「えりち、ファンを増やしに行くよ」

絵里「いや、ただの見回りで……」

穂乃果「凛ちゃんたち、きっと待ってるよ」

絵里「あ、うん」

絵里(でもこんなこと、理事長の前で堂々と……)

理事長「ああ、私は何も聞いていませんよ」

絵里「あっ、ありがとうございます」

絵里(これが大人、かぁ……)

希「えりちは一生なれそうにないなぁ」

絵里「うっ」

176: 2014/08/15(金) 11:51:46.08 ID:xI7ORNGV0



凛「いらっしゃいませー!」

絵里「わ、びっくりした」

凛「あ、絵里ちゃんだ」

真姫「!」

希「ウチもいるよー」

花陽「うん、2人ともいらっしゃい」

絵里「あれ? 真姫は?」

希「さっきそっちの方に隠れた気がしたんやけど……」

真姫「か、隠れてなんかないわよ」

177: 2014/08/15(金) 11:54:49.87 ID:xI7ORNGV0
凛「ふふ、きっと真姫ちゃんは恥ずかしがってるんだね」

真姫「違うってば!」

絵里「あ、ここメイド喫茶なんだ」

花陽「そうだよぉ。でもね、前から案が出ててたんだけど私たちは知らなかったの」

絵里「ああ、ライブに向けて頑張れって?」

凛「そうそう。みんなおーんなじこと言うの。凛はスタミナ余ってるんだから、頼ってくれたってよかったのに」

花陽「ふふ、そうだね」

希「真姫ちゃんもメイドさんなん?」

真姫「……そうよ」

絵里(ふ、不機嫌そう……)

178: 2014/08/15(金) 11:57:16.51 ID:xI7ORNGV0
絵里「凛と花陽がつけてるの、それ何?」

凛「ネコミミにゃー」

花陽「私は犬で……わん?」

希「おお、かわいいなぁ」

絵里「真姫は何もつけてないけど……」

花陽「ダメだよぉ、真姫ちゃん、ちゃんとつけてないと」

真姫「わ、わかったわよ」

絵里(真姫は何の動物なんだろう)

真姫「……うさぎだぴょん」

希「」

絵里「」

179: 2014/08/15(金) 11:59:38.56 ID:xI7ORNGV0
絵里「……はっ」

希「い、今意識が……」

真姫「似合ってないなら似合ってないって言って」

絵里「似合ってる!」

希「うんうん!」

真姫「え」

絵里「絶対はずしちゃダメよ!」

希「ライブの時も付けてきてな!」

真姫「嫌よ!」

絵里(……残念だわ)

花陽「まあ立ち話もなんだし……そうだ、メニューとってくるね」

180: 2014/08/15(金) 12:03:33.89 ID:xI7ORNGV0
凛「席はここでいい?」

絵里「ええ」

花陽「凛ちゃん、これメニュー」

凛「はーい。こちらがメニューです」

希「んー、何があるんやろ……」

希「スイーツの中に……おにぎり」

凛「当店のオススメだよ」

絵里(……でもよく考えたら私、昨日昼と夜食べてないのよね)

絵里(朝もおかゆだったし……)

絵里「特製おにぎり1つ!」

花陽「やったぁ!」

真姫「最初に売れたメニューがこれなのね……」

181: 2014/08/15(金) 12:07:16.13 ID:xI7ORNGV0
凛「生徒会長が頼んだメニューって書いとけば、もっと売れるんじゃないかにゃー」

希「なるほど」

絵里(売れるんだ)

真姫「で、絵里。その背中につけてるの……何?」

絵里「ああ、忘れるところだったわ。私たちのクラスの出し物……というか喫茶店のチラシよ」

凛「た、他店に道場破り!?」

絵里「あ、違う違う。宣伝要員としてね」

真姫「客寄せパンダ……にこちゃんも考えたわね」

希「ここのチラシも貼っとくのはどう?」

真姫「乗った」

絵里「私の意志はどうなるのよ!?」

182: 2014/08/15(金) 12:10:09.59 ID:xI7ORNGV0
花陽「お待たせしました!」

希「わ、おにぎり……って、でかい!」

花陽「花陽オススメの1品です」

絵里(これならお腹膨れそうね)

絵里「あら? 希は何か頼まないの?」

希「ああ、ウチは……この白玉あんみつがいいかな」

凛「あんみつだよ、真姫ちゃん」

真姫「花陽、とって」

花陽「はーい」

真姫「はい、どうぞ」

希「4秒で出てきた……」

183: 2014/08/15(金) 12:12:00.78 ID:xI7ORNGV0
凛「作ったものが用意してあるからねー」

絵里「え? じゃあこのおにぎりも?」

凛「それはかよちんがさっき作ったにゃ」

絵里「ええっ!?」

花陽「炊き立てのおいしさを堪能してもらいたくて……」

絵里(プロだわ……)

絵里「じゃあ……いただきます」

希「いただきます」

真姫「……」

凛「……」

花陽「……」

絵里「え、3人は何で見てるの?」

186: 2014/08/15(金) 12:42:05.68 ID:xI7ORNGV0
花陽「一般のお客さんが入ってくるまであと1時間あるから……」

真姫「それに最初はチラシ配りとかあるし」

凛「お客さんが来ないから、こうやって見てるの」

絵里「そうなんだ……」

希「えりちも去年とおととしやったやろ?」

絵里「ああ、そうね」

絵里(うっすらとそんな記憶はあるけど……でも、何やってたかしら)

花陽「絵里ちゃん、冷めないうちにどうぞ」

絵里「あ、うん」

絵里「……」

絵里「お、おいしい……!」

花陽「でしょ? ちゃんと持ってきててよかったなぁ」

希「花陽ちゃんお米持ち込んでたんや……」

187: 2014/08/15(金) 12:45:18.87 ID:xI7ORNGV0



絵里「ごちそうさまでした」

希「ごちそうさまでしたー」

花陽「ありがとうございました」

絵里「お代は……」

真姫「私がもらうわ」

絵里「うん、ありがと」

希「3人とも休憩はいつ?」

花陽「あとお昼まで休憩ないの。一緒に回れなくてごめんね」

希「ううん、いいんよ。ライブ終わった後、1時間くらい時間あるからそのときみんなで回ろうって言ってるんやけど、どうかな?」

凛「楽しそうにゃ!」

真姫「そうね」

花陽「うん、それなら大丈夫だよぉ」

絵里「なら決まりね」

188: 2014/08/15(金) 12:47:37.14 ID:xI7ORNGV0
絵里「あー、あと穂乃果たちのクラスには入っちゃダメよ」

凛「なんで?」

絵里「最後にみんなで回るから」

真姫「なるほどね」

希「じゃあまた、お昼に部室で」

花陽「うんっ」

絵里(そっか、まだまだ時間あるんだ……)

希「えりち、行くよ」

絵里「そうね。目いっぱい楽しみましょう」

希「みーまーわーりー」

絵里「あ」

真姫「そんな調子で大丈夫なわけ?」

絵里「あはは……」

192: 2014/08/15(金) 23:14:03.05 ID:xI7ORNGV0



絵里「ほっ!」

希「おお、えりち上手!」

絵里「ふふん。まあフリースローって言ってもこの距離だからね」

希「えりち運動神経いいもんなぁ」

絵里「希もやってみたら?」

希「よーし……このボールにパワーを……ぷしゅっ!」

絵里「入りそう?」

希「いける! てーい!」

絵里「本当に入る……ええ!? 入った!?」

希「スピリチュアルやね」

193: 2014/08/15(金) 23:17:34.36 ID:xI7ORNGV0



絵里「もぐらたたき?」

希「えりち、やってみたら?」

絵里「そうね……えーと、30秒で何匹たたけるか、ね」

希「あ、始まってる」

絵里「え、あ、ちょ、速っ」

希「ぷぷぷ……翻弄されるえりち」

絵里「だ、だってこれ、めちゃくちゃ速い……」

希「今なら写真撮り放題やでー」

絵里「希、誰に呼びかけて……うわあああ!? 人が集まってきた!」

194: 2014/08/15(金) 23:19:41.66 ID:xI7ORNGV0



希「えりち、トルティーヤやって」

絵里「なんだっけそれ」

希「あのほら、巻いてるやつ」

絵里「ああ、あれね」

希「えりち食べる?」

絵里「うん」

希「何にしよか」

絵里「あ、これおいしそうじゃない?」

希「お、ウチそれにするー」

絵里「えー、ずるーい。最初に私が見つけたのにー」

希「なら半分こしよ」

絵里「ええ、そうしましょう」

195: 2014/08/15(金) 23:22:04.92 ID:xI7ORNGV0




希「えりちー、これやってみて」

絵里「なにそれ」

希「フラフープどこまで回せるか」

絵里「ふふふ、希、私はバレエやってたのよ? そのくらい余裕よ!」

希「じゃあどうぞー」

絵里「うりゃあああ!」

希「え、えりち!? 自分が回る必要はないんよ!?」

絵里「えっ」

196: 2014/08/15(金) 23:24:24.34 ID:xI7ORNGV0




絵里「……」

絵里(結局お昼まで遊び倒してしまった)

希「楽しかったなぁ」

絵里「そうね。見回り全然できてないけど……」

希「そこは臨機応変に」

絵里「まあそんなに広くないから大丈夫とは思うけど」

希「でもウチら、体育館とか保健室の近くとか全然行ってないよ?」

絵里「……この学校って広いのね」

希「うん」

197: 2014/08/15(金) 23:27:10.11 ID:xI7ORNGV0
絵里「まあ……きっと大丈夫よ! みんないい子ばっかりだし」

希「えりちのその投げやりな感じ、ウチ好きやで」

絵里「な、投げやりじゃないわよ! 先生たちも見回ってくれてるし……」

希「ふふ、前のえりちやったら、自分以外に任せられないって感じやったのにね」

絵里「そう?」

希「うんうん」

絵里(あんまり覚えてないのよねぇ)

希「じゃあ部室でみんな待っとこうか」

絵里「そうね」

198: 2014/08/15(金) 23:29:14.93 ID:xI7ORNGV0
希「なぁえりち」

絵里「んー?」

希「ライブ、絶対成功させよう」

絵里「言われなくても」

希「ふふ、そっか」

絵里「ええ。そのためにここまで頑張ってきたんだから」

絵里(このままの天気なら雨も降りそうにないし……臨時ステージに屋根をつける必要はなかったわね)

絵里(そもそも何で屋根つけたんだっけ?)

希「えりち、どうしたん?」

絵里「あ、ううん。なんでもない」

199: 2014/08/15(金) 23:32:06.19 ID:xI7ORNGV0
希「きっとみんな、お昼ご飯持ってくるで」

絵里「ええっ、私結構食べちゃったから大変かも……」

希「たぶん花陽ちゃんなんか、えりちがおにぎり気に入ってくれたからたくさん持ってくると思うよ」

絵里「こ、困ったわね……」

絵里(確かにあれはおいしかったけど、量がものすごいから……)

絵里「もしもの時は希……頼んだわよ?」

希「一応踊れるようにはしといてな」

絵里「ふふ、了解」

希「んー」

206: 2014/08/17(日) 00:19:18.89 ID:DOerz3sZ0



にこ「あんたたち、準備はできてるわね?」

穂乃果「この焼きそばおいしいね」

ことり「うんっ」

にこ「今日でラブライブ出場が決まるのよ、大事な――――――――」

希「へー、かき氷とか売ってたんや」

凛「うん、でも溶けてて大変そうだったにゃー」

にこ「だから、ちゃんと気合入れて……」

絵里「にこ、はい、あーん」

にこ「あーん……」

絵里(……怒ってる?)

207: 2014/08/17(日) 00:22:59.07 ID:DOerz3sZ0
穂乃果「さっきにこちゃん何話してたの?」

海未「今日のライブ、頑張りましょうと言っていったんですよ」

にこ「まあそういうことね」

真姫「言われなくてもわかってるわよ」

にこ「ならいいんだけど……この空気を見てるとねぇ」

真姫「……まあ確かに」

花陽「にこちゃんもおにぎり食べる?」

にこ「あ、いや。そういう意味で見たわけじゃ……」

絵里「花陽のおにぎりおいしいわよ?」

にこ「……いただくわ」

絵里(なんで残念そうに私を見るの……?)

208: 2014/08/17(日) 00:25:47.17 ID:DOerz3sZ0
ことり「これを食べて、あと2時間くらいしたら本番だねっ」

凛「でもステージの最終チェックとかあるし……それ入れたらあと1時間くらいかな?」

希「そうやね。あ、穂乃果ちゃんから揚げ食べる?」

穂乃果「食べる食べる!」

海未「ちゃんと野菜も食べるんですよ?」

穂乃果「食べてるよぉ」

真姫「トマト売ってないの?」

花陽「どうだろう……悪くなっちゃうから生野菜はあんまりないんじゃないかなぁ」

209: 2014/08/17(日) 00:29:59.86 ID:DOerz3sZ0
にこ「あー……本当に大丈夫なのかしら」

絵里「大丈夫よ。私たち、いつもこうやってきたじゃない」

にこ「……それもそれであんまりうれしくないけど」

絵里「えー?」

希「まあまあにこっち、心配ばっかりしてても仕方ないよ」

にこ「そうね。絵里のアホさを見習ってみるわ」

絵里「ひどい!」

にこ「あはは」

絵里「もー……」

絵里(そうよね。私たちはいつもこうやって頑張ってきたんだし……今回もきっと大丈夫よ)

210: 2014/08/17(日) 00:37:29.50 ID:DOerz3sZ0
穂乃果「あ、そうそう。なんかね、地元のテレビ局の人が取材に来るって」

花陽「ええっ!?」

絵里「何それ!?」

にこ「」

穂乃果「あれ、みんなに言ってなかったっけ?」

希「ほ、穂乃果ちゃん? ウチら以外に……教えてなかったん?」

穂乃果「あれれ、教えたような気がしたんだけど……」

凛「凛は聞いたよー?」

花陽「わ、私たちは聞いてないよぉ!」

絵里「そうよ!」

211: 2014/08/17(日) 00:39:48.36 ID:DOerz3sZ0
海未「ということは……絵里とにこと花陽だけですか? 聞いていないのは」

真姫「そうらしいわね」

ことり「穂乃果ちゃんと凛ちゃんが3人に教える予定だったんじゃなかったっけ?」

穂乃果「ああ、穂乃果が絵里ちゃんとにこちゃんに……」

凛「凛はかよちんに……」

穂乃果「……」

凛「……」

穂乃果「忘れてたね」

凛「わすれてたにゃ」

212: 2014/08/17(日) 00:41:27.81 ID:DOerz3sZ0
花陽「凛ちゃんっ!」

絵里「穂乃果ぁ!」

凛「ご、ごめんなさい!」

穂乃果「パンがおいしくてつい……」

希「ていうかにこっち、どうしたん?」

にこ「」

真姫「……生きてるわよね?」

絵里「えっ」

海未「そんな」

にこ「勝手に頃すんじゃないわよ!」

ことり「にこちゃんそっち窓だよぉ……」

213: 2014/08/17(日) 00:44:12.37 ID:DOerz3sZ0
にこ「だ、誰が緊張してるですってぇ!?」

海未「言ってません言ってません!」

希「にこっち落ち着いて」

にこ「落ち着いてるに決まってるじゃない」

凛「うわぁ!?」

絵里(に、にこが紙コップ握りつぶした)

穂乃果「にこちゃん、今タオルで拭くから……」

にこ「武者震いよ!」

花陽「わ、私たちよりにこちゃんの方が大変そう……」

214: 2014/08/17(日) 00:47:59.20 ID:DOerz3sZ0



にこ「……」

絵里「にこ、落ち着いた?」

にこ「……ええ」

絵里「よかったぁ……希の言う通りね。抱きしめれば緊張がほぐれるって」

希「うーん……まあえりちパワーってとこかな」

絵里(それならみんなにできるのかしら)

にこ「ありがと。落ち着いたわ。落ち着いたから離れて」

絵里「あ、うん」

にこ「……テレビかぁ」

穂乃果「ごめんねにこちゃん」

凛「凛もごめんなさい……」

にこ「ううん、怒ってないわ」

215: 2014/08/17(日) 00:51:51.81 ID:DOerz3sZ0
にこ「まあ結局は、μ'sを大々的にアピールするチャンスができたわけだしね」

ことり「そうだねっ」

真姫「ま、普通に動画サイトに載せるよりはいいわね」

にこ「そうそう。それにこれは海外デビューの足掛かりになるわ……」

希「野望が出てきてるで、にこっち」

花陽「か、海外!?」

にこ「そうよ! 世界を制覇したら次は宇宙よ」

穂乃果「宇宙!」

凛「夢が広がるにゃー!」

ことり「あはは……」

海未「宇宙では集客効果は見込めませんよ?」

にこ「え、いや、そうじゃなくて……」

絵里(海未って真面目ね)

216: 2014/08/17(日) 00:58:54.87 ID:DOerz3sZ0
真姫「でも逆に、ここで失敗したら大変よね」

花陽「」

凛「」

穂乃果「」

絵里「ま、真姫!」

真姫「あ、ちがっ……成功すればいいってことよ」

ことり「き、緊張してきたぁ……」

希「……ま、まあ誰かが気付いたことやし、早めに意識してた方がいいのは確かやね」

海未「そうですね」

絵里(海未はなんだか余裕あるわね……なんでだろう)

217: 2014/08/17(日) 01:02:19.12 ID:DOerz3sZ0
海未「絵里」

絵里「え? なに?」

海未「今回の事態は非常にイレギュラーです。何が起こるかわかりませんから、気を付けてくださいね」

絵里「う、うん。わかってるわ」

絵里(確かにイレギュラーね……スクールアイドルのライブにテレビ局が来るってことは、相当人気が出たってことで……うわああああ)

絵里「みんな、今は食べるのよ!」

穂乃果「わかった!」

花陽「そ、そうだね。緊張して食べてないと倒れちゃうかもしれないし……」

ことり「うんっ、食べよう!」

219: 2014/08/17(日) 01:11:08.08 ID:DOerz3sZ0




絵里「……ついに本番かぁ」

絵里(結局みんなそわそわしちゃってたし……ああ、心配になってきた)

希「えりち」

絵里「はい」

希「まだ本番までちょっと時間あるけど……アレやってみる?」

絵里「アレ? ……ああ、円陣のこと?」

希「うん」

絵里「そうね。やってみましょうか」

絵里(みんなの緊張がほぐれるといいんだけど……)

絵里「ん? それなら私が抱きしめていった方が……」

希「えりち、それはみんな違う方に緊張するから」

220: 2014/08/17(日) 01:14:15.91 ID:DOerz3sZ0
絵里「みんなー、集まって」

穂乃果「なになに?」

凛「そのフレーズ……日曜日の夜に聞いたことが……」

絵里「真似したつもりはありません」

ことり「どうしたの、絵里ちゃん?」

絵里「いや、ね。ここでみんなの心を1つにするのよ!」

にこ「何言ってんの」

絵里「円陣が組みたいです」

にこ「最初からそう言いなさいよ」

絵里「ぐぬぬ」

221: 2014/08/17(日) 01:16:42.54 ID:DOerz3sZ0
真姫「でもアイドルだし、円陣ってガラじゃないわよね」

穂乃果「ぶるるんぶるるん」

真姫「ツッコまないわよ」

穂乃果「ううっ、真姫ちゃんの芸人頃し」

絵里(えっ、アイドルじゃなくて?)

花陽「アイドルらしい円陣……?」

海未「そういう時は……こうやるんですよ、ね?」

絵里(海未が手を……ああ! 重ねるのね!)

絵里「ええ、こうやって、ね」

224: 2014/08/17(日) 01:20:52.94 ID:DOerz3sZ0
絵里(ん……? でもなんだか違和感があるような)

絵里「海未、ここは……ほら、こうしてピースサインにしたほうがよくない?」

海未「ええ。そうですね」

海未「……忘れていたわけではないんですね」

絵里「忘れる?」

海未「いえ、独り言です」

226: 2014/08/17(日) 01:37:55.40 ID:DOerz3sZ0
穂乃果「じゃあ穂乃果ここにするっ! 絵里ちゃんの隣!」

ことり「私は穂乃果ちゃんの隣にしようかなぁ」

真姫「じゃあ私は海未の隣ね」

希「ならウチは真姫ちゃんの隣」

花陽「私はその隣で……」

にこ「ちょっとぉ、にこにーが真ん中よ! 花陽の隣いただきっ!」

凛「円だから真ん中はないよにこちゃん。じゃあ凛はことりちゃんとにこちゃんの間だね」

海未「さて、掛け声は……絵里、あなたに任せますよ」

絵里「うん、任せて!」

227: 2014/08/17(日) 01:40:25.56 ID:DOerz3sZ0
絵里「まずは……点呼!」

にこ「点呼? 何で今……」

絵里「ちゃんと9人いるかどうかの確認よ」

穂乃果「なるほどぉ。絵里ちゃん緊張してるなー?」

絵里「ふふ、ちょっとね」

ことり「誰から行く?」

穂乃果「私から行くよ。みんな、被っちゃダメだよ?」

花陽「ええっ? そういうルールなの?」

希「ここは1発で決めたいなぁ……」

穂乃果「よーし、スタート!」

228: 2014/08/17(日) 01:41:50.64 ID:DOerz3sZ0
穂乃果「1!」

ことり「2!」

海未「3!」

真姫「4!」

凛「5!」

花陽「6!」

にこ「7!」

希「8!」

絵里「9!」

229: 2014/08/17(日) 01:43:29.52 ID:DOerz3sZ0
μ's、ミュージック――――――――







                     ――――――――スタート!

237: 2014/08/17(日) 23:20:16.83 ID:DOerz3sZ0



大丈夫よ、私ならやれる。

ここまで頑張ってきたんだもの。

前とは違う。

前みたいに――――――――誰も欠けずに私は――――――――

238: 2014/08/17(日) 23:24:21.67 ID:DOerz3sZ0




ことり「……絵里ちゃん、次の曲だよ」

海未「絵里、少し右に」

穂乃果「絵里ちゃん……?」

絵里「あ、うんっ」

絵里(何も起きなかった……)

絵里(ってそうだ。テレビの人たちが来てるんだし、恥ずかしい格好見せられないわね)

239: 2014/08/17(日) 23:25:36.25 ID:DOerz3sZ0




誰も欠けずに?

前とは違う?

私は、いったい何と比べているの――――――――?

240: 2014/08/17(日) 23:27:44.34 ID:DOerz3sZ0



凛「絵里ちゃん、次でラストだよ」

花陽「頑張ろうね、絵里ちゃん」

真姫「ほら、絵里はそっち」

絵里「うん」

絵里(無事に2曲目も終わった……)

絵里(……踊ってる時の記憶がない。緊張し過ぎかしら?)

241: 2014/08/17(日) 23:29:50.41 ID:DOerz3sZ0




もしかして――――――――こうやって以前、ライブをしたことがあった?

だって見覚えがあるもの。

この景色はもっとどんよりしてて。

空は泣いているように濡れていて。




何より、思い出したくないような嫌なことが起こって――――――――

242: 2014/08/17(日) 23:30:35.74 ID:DOerz3sZ0





――――――――でもそれ、本当に私が経験したことかしら?





243: 2014/08/17(日) 23:32:00.49 ID:DOerz3sZ0





絵里「終わった……?」

希「えりち、まだ終わってないよ」

にこ「そうよ。絵里、挨拶が残ってる」

絵里「あっ、そ、そうよね……」




絵里「ありがとうございました!」



ありがとうございました――――――――

244: 2014/08/17(日) 23:34:46.76 ID:DOerz3sZ0





穂乃果「……お客さん、帰っちゃった?」

凛「うん、もうみんないなくなっちゃったみたい」

希「なんかがらーんとしてる」

真姫「そうね。この屋上の様子が、正しい景色のはずなのに」

にこ「意外とファンに迫られる、みたいな展開はなかったわね。ざんねーん」

花陽「で、でも屋上いっぱいに人が集まってたよねぇ……今思うとすごいなぁ」

ことり「でも、私たち……ちゃんとできたよね?」

海未「はい。無事に終わらせることができました!」

245: 2014/08/17(日) 23:37:22.30 ID:DOerz3sZ0
にこ「だーかーら、これからが始まりでしょ?」

海未「ふふ、そうでしたね」

ことり「なんだか実感わかないけど……私たち、ちゃんとできてたよね?」

凛「うん! みんなちゃんとできてたよ!」

真姫「ええ、どこもおかしなところはなかったわ」

穂乃果「うんっ! 練習の成果だね!」

花陽「まだお客さんの拍手が耳に残ってるよぉ」

希「うん、すごかったもんなぁ……。ね、えりち」

絵里「……」

希「えりち?」

絵里「え、は、はい!」

246: 2014/08/17(日) 23:41:53.52 ID:DOerz3sZ0
にこ「どうしたのよ。まだ緊張してるの?」

絵里「あ、いや。違うのよ。ちょっと考え事してて」

凛「そう言うにこちゃんも、手が震えてるのバレバレにゃー」

にこ「うっ」

花陽「ふふ、でも……私たち、精一杯やれたよね?」

ことり「これ以上ないってくらいね」

海未「ええ、そうですよ」

穂乃果「……よく考えたら穂乃果たち、テレビに出たんだよね? それって今考えると……」

凛「……ま、真姫ちゃん。凛のリボン、曲がってなかった?」

247: 2014/08/17(日) 23:43:30.87 ID:DOerz3sZ0
真姫「今更確認してどうするのよ」

凛「で、でもぉ……」

希「にこっち、口に焼きそばのソースついてる」

にこ「ええええええええ!?」

希「じょ、冗談やってにこっち」

にこ「……許さないわ」

希「や、やめてーっ!」

ことり「あ、そんなに暴れちゃダメだよぉ!」

穂乃果「そうだよ。ここ、ステージの裏なんだから……倒れちゃったらどうするの!?」

真姫「それはないわよ」

穂乃果「えへへー、だよね」

248: 2014/08/17(日) 23:44:30.78 ID:DOerz3sZ0



違う。

違う。

私の思ってることは、考えていることは1つ違う。




251: 2014/08/17(日) 23:49:01.54 ID:DOerz3sZ0



誰かがそう言ってる気がする。

私をさっきから、ずっと呼んでる誰かがいる。


252: 2014/08/17(日) 23:50:02.81 ID:DOerz3sZ0



それは誰なんだろう。

私はそれを覚えてるはずなのに。

知らないわけがないはずなのに。



253: 2014/08/17(日) 23:50:33.87 ID:DOerz3sZ0



何が違うの?

もしかして――――――――




254: 2014/08/17(日) 23:51:19.12 ID:DOerz3sZ0





――――――――私が感じる既視感が違うって言うの?




255: 2014/08/17(日) 23:55:08.63 ID:DOerz3sZ0
絵里「それなら……納得がいくわ」

希「えりち?」

絵里「ううん、何でもないわ」

絵里「ほら、早く着替えて穂乃果たちのクラスに行かないと」

穂乃果「ああっ、そうだった! 早くしないとみんなで回れなくなっちゃう!」

凛「かき氷も溶けちゃうにゃ!」

花陽「か、かき氷?」

凛「そうだよかよちん。出し物においしそうなかき氷があってね」

真姫「ほら、早く着替えなさい」

256: 2014/08/17(日) 23:57:42.34 ID:DOerz3sZ0
にこ「ちょ、絵里。何で私の服掴むのよ」

絵里「あれ? 着替えさせなくていいの?」

にこ「」

ことり「ふふ、にこちゃんいいなぁ」

海未「そうですね。うらやましいです」

にこ「ば、バカにするんじゃないわよ!」

絵里「あはは、ごめんごめん」

にこ「絶対反省してないわよね……覚えてなさい!」




絵里(だって私は、最初からここにいたじゃない)

絵里(テレビに出る経験だって、こうしてライブ終わりに語り合うのだって初めてなのよ?)

257: 2014/08/18(月) 00:32:59.94 ID:CP4kmUX70
海未「絵里?」

絵里「え? なに?」

海未「あ、いえ……少々眠たげだったので」

絵里「そう?」

海未「はい、疲れているように見えましたよ?」

絵里「ライブ中は大丈夫だったかしら……」

海未「はい。大丈夫でしたよ」

絵里「ほんと?」

海未「ええ。それに雨も降らずにいい天気でしたし……私は思い残すことはありませんよ」

絵里「なんか氏んじゃうみたいで縁起悪くない? 私たちはまだまだこれからなんだから」

海未「そうですね。絵里はまだやることがありますから」

258: 2014/08/18(月) 00:36:09.35 ID:CP4kmUX70
絵里「え? 海未も一緒よ?」

海未「ふふ……私は少し、休憩したいんです。あともう少しだけここに留まっているのが精いっぱいな気がするんです」

絵里(それは……疲れて眠いから早く帰りたい、とかそういう類のものかしら)

絵里「それなら今日は、早めに眠ることをオススメするわ」

海未「そうですね。私が倒れたら受け止めてくださいよ?」

絵里「ええ、任せなさい」

絵里(私も前倒れたし……支えるのは私の役目よね?)

259: 2014/08/18(月) 00:38:23.87 ID:CP4kmUX70
――――――――

絵里「……」

希「あれ、えりちの寝言がなくなったなぁ」

花陽「そうだね。さっきまでは色々言ってたのに……大丈夫なのかな?」

希「たぶん大丈夫やとは思うよ? さっきも一定間隔で黙ってた時あったし」

花陽「そっかぁ……もしかして寝てるのかな?」

希「ん、そうかも」

花陽「夢の中で眠るって、なんだかちょっと神秘的かも」

260: 2014/08/18(月) 00:41:51.39 ID:CP4kmUX70
希「そうやね。まあ眠りすぎもよくないんよ」

花陽「そうなの?」

希「うん。ウチもあっちに行ってて気付いたんやけど、長いこと寝すぎると記憶があやふやになってまうんよ」

花陽「え、ええっ!? それって……何日とか何ヶ月とか?」

希「ううん、そんなのじゃなくて、同じ日に長く眠りすぎると、ちょっと」

花陽「そうなんだぁ……」

希「でも心配しなくても大丈夫やで。ちゃんと自分の後悔を覚えてたら、帰り道はわかるから」

花陽「そうなの?」

希「うん。ウチの経験上、そうやったもん」

――――――――

261: 2014/08/18(月) 00:42:40.11 ID:CP4kmUX70

ここまで
待機組の大使と終了の区切りの――――――――の長さはえりちのHPゲージだと思ってね

265: 2014/08/18(月) 00:49:26.21 ID:CP4kmUX70
>>264
あるある
このスレの誤字の8割はそれだ

269: 2014/08/18(月) 12:51:52.45 ID:CP4kmUX70
リクエストその1

まきこころあ
まきちゃんのが一日義姉ちゃん (コンマ92)

真姫「妹っていいものね」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1408329615/

274: 2014/08/18(月) 23:58:45.19 ID:CP4kmUX70



絵里「それでそれで、夢の国って言うのは……」

穂乃果「もうすぐ着くから待っててね」

絵里(楽しみね。どんな夢なのかしら)

海未「穂乃果、夢の国とはどういうことですか?」

穂乃果「え? だって遊園地とかには絶対あるでしょ?」

海未「ですが……」

ことり「うーん……まあサプライズってことでいいんじゃないかな?」

海未「まあ、それもそうですね」

絵里「希、何だと思う? メリーゴーランドとか?」

希「えりちは素直すぎるなぁ……」

にこ「もうオチが読めてきたわよ」


絵里「つよくてにゅーげーむ」【6】

引用: 絵里「つよくてにゅーげーむ」 part2