441: 2014/08/27(水) 00:49:15.89 ID:JYnXOUbQ0

442: 2014/08/27(水) 00:51:19.19 ID:JYnXOUbQ0



絵里「ことり、自分の荷物とった?」

ことり「うん、大丈夫だよっ」

ことり「絵里ちゃんのは?」

絵里「え……あ、流されてる!」

ことり「空港あるある……なのかなぁ?」

絵里「はぁ、気付いてよかった……」
ラブライブ!The School Idol Movie

443: 2014/08/27(水) 00:53:02.88 ID:JYnXOUbQ0
ことり「ふふ、絵里ちゃんって意外と抜けてるところあるよね」

絵里「よく言われるわ……」

絵里「ん? 誰に言われたんだっけ」

ことり「?」

絵里「ううん、何でもない」

ことり「そうなの?」

絵里「うん。ほら、早く行きましょ」

ことり「はーい」

444: 2014/08/27(水) 00:55:17.16 ID:JYnXOUbQ0
絵里「……あれ」

ことり「どうしたの?」

絵里「外に誰もいない……?」

ことり「え?」

絵里「っていうか、霧がかかってるみたいな……」

ことり「霧? 何のこと?」

絵里「んー……景色が見えない」

445: 2014/08/27(水) 00:59:33.48 ID:JYnXOUbQ0
――――――――初めて来たからよ。私はこんなところ来たことがない――――――――

――――――――だから想像できないの。たとえ、それが夢の中であっても――――――――



絵里「今日は早起きしたから寝ぼけてるのかも……」

ことり「そう? なら向こうについたら休憩しよっか。手続きの書類が来るまで時間あるし」

絵里「そうさせてもらうわ」



――――――――私の声も聞こえなくなったのね……――――――――

――――――――希たちはこのこと、気付いてくれてるのかしら――――――――

446: 2014/08/27(水) 01:02:53.69 ID:JYnXOUbQ0





希「とりあえずえりちが帰ってきたらまずやることは……」

凛「やることは?」

希「みんなが自分のことを自分でやる!」

穂乃果「……え?」

にこ「そんなことでいいの?」

希「そんなこと?」

にこ「う、な、何よ」

447: 2014/08/27(水) 01:05:05.77 ID:JYnXOUbQ0
希「さっき言ったばっかりやろ? えりちに依存し過ぎって」

海未「それはそうですが……絵里にここは夢の世界だと認識してもらう方がいいのでは?」

真姫「そうよ。その方が手っ取り早いわ」

希「それが出来たら、えりちは自力で帰ってこられるよ」

花陽「?」

希「うーん……じゃあ凛ちゃん、質問です」

凛「はーいっ」

448: 2014/08/27(水) 01:07:51.26 ID:JYnXOUbQ0
希「来月までに済ませないといけない宿題が、目の前にあります」

凛「うぅ、絶対多いにゃ」

希「でもその隣に、1週間ラーメン食べつくし旅行に行けるクーポン券があります」

凛「にゃっ!?」

希「凛ちゃんはどうしますか?」

凛「ラーメン旅行に行く! できればみんなと一緒がいいなぁ」

希「うんうん。普通はそうやろ?」

449: 2014/08/27(水) 01:09:48.80 ID:JYnXOUbQ0
凛「え?」

希「そして凛ちゃんがラーメン旅行から帰ってきたとき……」

凛「うん」

希「宿題のこと、覚えてる自信ある?」

凛「ない」

真姫「言い切ったわね……」

凛「だって1週間だよ? 凛、幸せすぎて忘れちゃうにゃ」

450: 2014/08/27(水) 01:11:36.44 ID:JYnXOUbQ0
希「それが今のえりちなんよ」

穂乃果「……絵里ちゃん、ラーメン留学したの?」

海未「言うと思いましたよ……違いますよ穂乃果、これはただの例えです」

穂乃果「あー、だよね。ラーメンよりパンだよね」

海未「」

希(海未ちゃんも大変やなぁ……)

451: 2014/08/27(水) 01:15:00.07 ID:JYnXOUbQ0
希「まあ簡単に言うと、えりちは帰りたくないなぁって思ってるわけじゃない」

花陽「こっちにいたいって思ってるせいで、帰りたくなくなってるんだよね?」

希「そういうこと」

にこ「でもそれ、ほとんど一緒じゃないの?」

凛「違うよにこちゃん。宿題をやりたくないわけじゃなくて、目の前に楽しいことがあるから思い出すのを忘れてるだけなんだよ」

希「おお、凛ちゃん正解」

花陽「そうだね」

凛「え? 凛、あってた?」

452: 2014/08/27(水) 01:20:01.95 ID:JYnXOUbQ0
希「帰らないといけないのはわかってる」

希「でもこっちにいる時間が長くなるにつれて、帰ることを忘れてる」

希「だから、こっちが自分のいる場所やと思ってるんよ」

真姫「ってことは、絵里は帰り方を完全に忘れてるわけじゃないのね?」

希「うん。覚えてるけど、それはきっと無意識のうちに抑制されて、思い出せなくなってる」

穂乃果「絵里ちゃんの頭の中は大変なことになってるんだね」

海未「穂乃果も嫌なことはすぐ忘れてしまうでしょう? それと似たようなものです」

穂乃果「なるほど! 絵里ちゃんも嫌なことは忘れて……」

穂乃果「大変だ……!」

にこ「だから今それを話してたのよ」

453: 2014/08/27(水) 01:24:07.35 ID:JYnXOUbQ0
希「今のえりちに直接そんなこと言っても、わかってくれないはず」

希「だから、この世界のえりちのすることをウチらで取り上げてしまうんよ」

凛「そしたら絵里ちゃんは、役目がなくなって帰ることができる……ってこと?」

海未「いいえ、元の世界が思い出せないのなら、そんなに単純にはいかないでしょう」

凛「む、難しいにゃ……」

にこ「ここじゃなくて別のところにまだ役目は残ってるって、わからせてやればいいんじゃないの?」

希「うん。ちょっと大変やけど、みんな力を貸して」

真姫「ま、当然よね」

穂乃果「頑張るよ!」

454: 2014/08/27(水) 01:26:21.40 ID:JYnXOUbQ0
にこ「で、あんたたちいつから来たの?」

花陽「え?」

凛「凛も気になる! かよちんたち、どのくらい先の未来から来たの?」

海未「えっと……希、言ってもいいんでしょうか?」

希「大丈夫大丈夫。タイムパラドックスとか起きないと思うし」

海未「ああ、それなら――――――――」

希「たぶん」

海未「……」

花陽「……」

455: 2014/08/27(水) 01:29:28.43 ID:JYnXOUbQ0
真姫「でも花陽が別の世界から来た、みたいなのは気付いたわよ」

花陽「あ、真姫ちゃんにはついてきてもらったもんね」

凛「ええっ、凛はそんなの知らなかったよ!?」

真姫「凛は寝てたでしょ?」

凛「……うん」

にこ「それに絵里も、私と希に話してたけど」

希「ああ、そうやったっけ」

希(うーん……実際どうなるか、検証したことなんてないしなぁ)

希(ここに入り浸ってると、こっちの変化の影響を受けやすいって言うのは知ってるけど……)

456: 2014/08/27(水) 01:33:11.93 ID:JYnXOUbQ0
希(それも、ウチみたいに何度もパターンを変えてやってないとわかりにくいやろうし……)

希(そもそもこの世界が何なのかすら……1種のパラレルワールドみたいなものやとは思ってるけど)

希(……)

希「うん、話してもいいんと違う? えりちが色々話しても、ウチには影響なかったみたいやし」

海未「そうですか……なら大丈夫そうですね」

穂乃果「……あれ? そういえば海未ちゃんも未来から来てたの?」

海未「はい。結構前からですよ」

460: 2014/08/27(水) 01:38:22.00 ID:JYnXOUbQ0
穂乃果「ぜ、全然気づかなかったよぉ……」

海未「バレないようにしていましたからね」

穂乃果「えー? 何で?」

海未「私が穂乃果に負い目を感じていたからですよ」

穂乃果「?」

海未「向こうでは色々あったんです」

凛「そうなの?」

花陽「そうだよ」

海未「希、どこから話しましょうか」

希「うん。最初はやっぱり、穂乃果ちゃんたちを目の敵のように嫌っていた、意地悪な生徒会長の話からやね――――――――」

469: 2014/08/27(水) 23:22:55.28 ID:JYnXOUbQ0



穂乃果「……」

希「とまあ、短くまとめるとこんな感じやね」

海未「色々ありましたが、結果として私たちの絆は深まりましたから、そう悲観しないでください」

花陽「うん。みんなで乗り越えられたからこそ今の私たちがあるんだよ」

穂乃果「そ、それでも穂乃果は……自分勝手なことばっかり言ってたんだよね」

海未「違いますよ。穂乃果は私たちのために、一生懸命突き進んでくれましたから……」

穂乃果「うぅ……でもぉ……」

にこ「……なんか、今の絵里みたいね」

470: 2014/08/27(水) 23:25:14.57 ID:JYnXOUbQ0
花陽「え?」

凛「絵里ちゃんがどうかしたの?」

にこ「あ、いや。絵里も私たちの為を思ってやってくれたけど、結果として自分が一番割を食ってるじゃない」

希(……確かに。そう考えてみると、えりちは穂乃果ちゃんに似てるかも)

真姫「それすら自分で気づいてないんじゃないの?」

凛「あー、絵里ちゃんのことだから、ありそうにゃ」

花陽「うん……」

471: 2014/08/27(水) 23:27:50.11 ID:JYnXOUbQ0
穂乃果「でも穂乃果は損してないよ?」

真姫「何言ってるのよ。穂乃果が一番困ったんでしょ?」

穂乃果「へ?」

海未「そうですよ。熱まで出して倒れて、責任をすべて自分のせいだと抱え込んでいましたから」

穂乃果「うーん……そうなのかな? 海未ちゃんたちに迷惑をかけたっていう方が、穂乃果は嫌だなぁ」

希「それが嫌ってことは、穂乃果ちゃんも損してるってことやろ?」

穂乃果「あ、そっか」

472: 2014/08/27(水) 23:31:23.75 ID:JYnXOUbQ0
凛「でもそんな時、凛たちは何にもできなかったんだよね? 凛はそれが1番悔しいよ」

花陽「そうだね、全部海未ちゃんと穂乃果ちゃんに任せきりになってたし……」

海未「ですが私も、穂乃果の押し付けたような形をとってしまって……」

希(……あれ? みんな後悔ばっかり?)

希(あっちでみんなに教えてたら、案外みんなこっちに来ちゃってたのかも……)

希(それは困るなぁ)

希「ま、今はえりちの救出が先やで」

真姫「そうね」

473: 2014/08/27(水) 23:34:30.71 ID:JYnXOUbQ0
にこ「で、私たちは5日間どうするの? 絵里が帰って来るまでにやること、たくさんあるんじゃない?」

希「うん。まずはウチが生徒会の仕事を全部終わらせるようにする」

穂乃果「一応ネットでのメールのやりとりはできるから、こっちで練習メニューとか全部決めちゃおうか」

凛「うん。絵里ちゃん頼りだったからね」

真姫「……こうして考えると、私たちって本当に絵里に依存してたのね」

希「そうやね」

474: 2014/08/27(水) 23:38:13.25 ID:JYnXOUbQ0
海未「あ、ネットでやり取りできるなら、ことりにもメールで絵里のことについて送れば……」

にこ「それがいいわね」

花陽「でもことりちゃん、私たちからの連絡だったら絵里ちゃんと一緒に読んじゃうかも……」

凛「だったら題名に、1人で読むことって書いとくといいにゃ」

穂乃果「うん、そうしよう!」

希(なんかそれ、呪いの手紙みたいやなぁ)

希「まあそれもそうやけど、ラブライブの出場についての連絡も大切やで」

真姫「出場が決まってたら、すぐにこっちからスケジュールをたてて行かなくちゃね」

475: 2014/08/27(水) 23:43:30.32 ID:JYnXOUbQ0
にこ「まああれで出場できないっていうのはありえないでしょ」

花陽「そ、そんなにすごかったの?」

海未「はい。お客さんもたくさん集まってくれましたし、地元のテレビ局も取材に来たくらいですよ」

花陽「て、テレビ!?」

凛「あ、凛のお家にその時の映像、録画してあるよ」

穂乃果「穂乃果の家にもあるよー」

476: 2014/08/27(水) 23:45:58.13 ID:JYnXOUbQ0
にこ「普通みんな録画してあるわよ。私は希からコピーもらったけど」

穂乃果「ご、ごめんねにこちゃん」

にこ「次からは気を付けなさいよね、まったく」

希「?」

真姫「取材が来るの、にこちゃんと花陽と絵里は知らなかったのよ。穂乃果と凛が教えるの忘れてて」

希「ああ、そうなんや」

花陽「え? じゃあ私の家では録画されて……」

凛「凛がコピーあげたから大丈夫にゃ!」

477: 2014/08/27(水) 23:50:58.01 ID:JYnXOUbQ0
花陽「あ、よかったぁ」

凛「元はと言えば凛のせいだからね」

花陽「そっか。でもちゃんとコピーくれたなら、こっちの私も怒らないよぉ」

希(花陽ちゃんでも怒ることってあるんかな? 想像できない……)

海未「どうします? 誰かの家に集まって、その映像でも見てみますか?」

凛「あ、じゃあ凛のところに来て! たぶん穂乃果ちゃんたちのお家は、すごく人がたくさん来てると思うから」

穂乃果「え、なんで?」

海未「前も言いませんでしたか? テレビに出てるんですから、知名度は上がったでしょう」

穂乃果「あ、そうだったね」

478: 2014/08/27(水) 23:55:20.83 ID:JYnXOUbQ0
真姫「だったら決まりね」

にこ「5日後のシミュレーションをしつつ、ラブライブに向けての注意点の確認をしなくちゃ」

海未「はいっ」

希「えー。映像見るときくらいゆっくりしようやぁ」

にこ「ダメよ! アイドルに休息なんかないんだから!」

花陽「に、にこちゃん、あんまり大きな声出すと気付かれちゃうよ」

にこ「……それ、いいわね」

花陽「えぇっ!?」

希(ちょうどお昼時で人が集まってきたし……戻るなら今やね)

479: 2014/08/27(水) 23:58:56.75 ID:JYnXOUbQ0
希「じゃあ凛ちゃんのお家にしゅっぱーつ」

凛「はーい」

海未「お会計は私が済ませておきますね」

花陽「うん、あとで凛ちゃんのお家に着いたときに払うよぉ」

真姫「サングラスとか、買った方がいいのかしら」

にこ「そんなときのために肌身離さず持っておいてよかったわ」

真姫「え、今もあるの?」

希(必需品なんや……)

490: 2014/08/29(金) 00:01:30.00 ID:1peV4b/D0



ことり「どう? 絵里ちゃん、具合は大丈夫?」

絵里「ええ、なんとか落ち着いてきたかも」

ことり「そっか。よかったぁ……」

ことり「あれ? メールが来てる」

絵里「穂乃果たちから?」

ことり「あ、うん。そうみたい……だけど私だけに用があるみたいだね」

絵里「そうなのね。ラブライブについてかと思ったわ」

491: 2014/08/29(金) 00:03:37.39 ID:1peV4b/D0
ことり「絵里ちゃんは気にしすぎだよ。ゆっくり休んでね?」

絵里「わかった。そうさせてもらうわ」

ことり「えーっと、なになに? ……ふむふむ」

絵里「……」

ことり「……なるほど」

絵里「ことり? 何を読んでるの?」

ことり「ん? 何でもないよっ」

絵里「そう……」

492: 2014/08/29(金) 00:06:04.32 ID:1peV4b/D0




希「いやー、暇やね」

にこ「何よ唐突に」

希「だって、えりちとことりちゃんが帰ってくるのは4日後やろ?」

真姫「ま、そんなものよ。9人そろってないんだからできることも限られるしね」

海未「そうですね」

凛「うーん……せっかく未来から来たっていうのに、なんだかやってること普通だにゃ」

穂乃果「何か面白いことでもする?」

493: 2014/08/29(金) 00:08:41.03 ID:1peV4b/D0
花陽「面白いこと?」

真姫「たとえば?」

穂乃果「……し、しりとり」

希(わーお、それって暇潰しの最大手やん)

凛「どうせならもっと楽しいことがいいよ」

穂乃果「たとえば?」

凛「……王様ゲームとか」

にこ「そんなことやってる場合じゃないでしょ!」

494: 2014/08/29(金) 00:10:41.76 ID:1peV4b/D0
花陽「まあまあにこちゃん、みんな落ち着かないんだよ」

にこ「それはわかってるけど……」

真姫「ことりが留学した時の未来って見たことないわけ?」

海未「ええ、ありませんよ。何せ短期留学自体がなかったんですから」

真姫「じゃあ何で変わったの?」

海未「それは……私にはわかりません」

495: 2014/08/29(金) 00:14:56.72 ID:1peV4b/D0
希「ウチも見たことないなぁ」

凛「ふーん……でも不思議だね。今まで変わらなかったのに、今回だけ変わるなんて」

希(それは確かに……何かが影響してるんかな?)

にこ「いろいろ変えてきたからじゃないの? μ'sに遅く加入したり、ラブライブを辞退しなかったり」

希「まあ些細な変化じゃなくなってるもんなぁ」

花陽「些細な変化なら、結末は変わらないの?」

希「うん、まあそうやね。たとえば1日風邪を引くとか、お昼ご飯を食べないとか……そのくらいなら何も変わらないよ」

496: 2014/08/29(金) 00:17:40.59 ID:1peV4b/D0
穂乃果「ならどんなことで変わるの?」

希「それはほら、μ'sに入る入らないとか、生徒会を辞める辞めないとか。その先の未来に大きくかかわることで変わるよ」

にこ「……あんた、何回もやったことあるって言ってたけど――――――――」

希「え」

にこ「μ'sに入らなかった未来があるってわけ?」

希「あー……」

希(しまった。にこっちは鋭いんやった……)

497: 2014/08/29(金) 00:20:29.55 ID:1peV4b/D0
穂乃果「ええっ!? 本当なの!?」

凛「の、希ちゃんがいないμ'sなんてμ'sじゃないにゃ!」

海未「それに9人でないなら、μ'sの意味が……」

希(うーん、言ってしまうしかないなぁ)

希「もう隠しててもバレちゃいそうやし、話すよ」

希「これはえりちには絶対秘密やで?」

真姫「ええ、わかったわ」

花陽「うんっ」

498: 2014/08/29(金) 00:21:48.91 ID:1peV4b/D0




希「……ウチが何のためにこのおまじないを使ったか、それは――――――――」




499: 2014/08/29(金) 00:25:15.37 ID:1peV4b/D0



「起きて。ねぇ、起きてったら」

んん……なに……?

「おはよう」

……あ、あれ? 私?

「あら、成功みたいね」

「そうよ、私も絢瀬絵里。あなたも絢瀬絵里よ」

う、うん。そうよね、私は私よね。

あ、ここって確か、前も来たことが……。

「そうよ、あなたが風邪を引いたときぶりかしら?」

500: 2014/08/29(金) 00:28:02.64 ID:1peV4b/D0
「今回は最後の忠告に来たわ」

忠告? なにそれ。

「もう手段は選んでられないの。ちょっと痛いと思うけど、我慢してね」

痛いって? え? な、何する気!?

ちょ、ま、待って! その右手を振りかぶるのは何!?

「目を覚ましなさい!」

痛っ!? 何でビンタなんか……。

……あれ? 痛い?

「そうよ、痛いでしょ」

うん……。

501: 2014/08/29(金) 00:30:06.87 ID:1peV4b/D0
「さっきまで、何かを握ったとか触ったとか、そんな感覚あった?」

ううん、全然なかった。

「そうよね。じゃあここはどこかわかる?」

えっと……パリよね?

「ええ、その通り」




「なら、帰る場所はわかる?」

502: 2014/08/29(金) 00:32:58.56 ID:1peV4b/D0
帰る場所?

日本じゃなくて?

違う、わよね。もっと抽象的なところ……。

「そうよ。その調子」

……ああ、思い出せない。

「そこまでは無理かぁ……ま、仕方ないわね」

え? どういうこと?

「おっと、時間がなさそうね」

何が?

503: 2014/08/29(金) 00:37:43.40 ID:1peV4b/D0
「率直に言うわ」

は、はい!

「ここはあなたの深層心理よ。無意識に思い出したくなくなった記憶の詰め込まれる場所と思ってくれていいわ」

何でそんなところに私が……?

「運がよかったのよ。本当に偶然、ラッキーだっただけ」

「いらない記憶を排除して、整理して片付けてしまう……それが夢よ」

夢……? 夢って、どこかで……。

504: 2014/08/29(金) 00:43:41.89 ID:1peV4b/D0
「この意識は無意識として避難してるだけだから、自分からは思い出せないわよ」

避難? どうして避難するの?

「忘れられないように、よ」

「希のオカルトチックなおまじないのおかげで、こうして私がたたき起こせたけど……もうこんな無茶はできないわ」

おまじない……。

「無理に思い出せとは言わないわ。だけど忘れないで」

「あなたには後悔がある。それを振り払うためにここに来た」

505: 2014/08/29(金) 00:46:34.16 ID:1peV4b/D0
……そうね。何だかそんな気がしてきたわ。

「まあそうでしょうね。夢の中の夢なんて、仕組みがしっかりしてる方がおかしいもの」

「だからこうやって、私は脱出の糸口を見つけることができたの」

ならまた会えるの?

「ううん、寝てしまえばあなたの記憶は薄れていくわ。さっきまでみたいにね」

そうなのね……。

「ええ、その違和感をしっかり覚えていて」

506: 2014/08/29(金) 00:49:06.71 ID:1peV4b/D0
「そろそろ起きなさい。必要以上に寝てしまうと、もう2度と思い出せなくなるわ」

時間がないってそういうことだったの?

「まあね。じゃあ起きる感覚をイメージして」

ま、待って。

「なに?」

あなたは私……よね? でも誰なの?

記憶の番人みたいな人?

「ああ、まあそんな感じだと思ってくれていいけど……まあわかりやすく言うと――――――――」

507: 2014/08/29(金) 00:50:04.81 ID:1peV4b/D0






「ハッピーエンドを迎えられなかった私たち、かしら」






514: 2014/08/30(土) 00:56:47.48 ID:qy5cwc5r0



絵里「はっ……」

ことり「あれ、絵里ちゃんもう起きたの?」

絵里「ここは……」

ことり「パリだよっ。もうこっちの学校に向かうところだったんだけど、絵里ちゃんも一緒に来る?」

絵里(……たぶん見えないんでしょうね、私には)

絵里「ううん、ごめん。まだ気分がすぐれないから……」

ことり「うん、わかった。じゃあ行ってくるね」

515: 2014/08/30(土) 00:58:06.51 ID:qy5cwc5r0
絵里「ええ、行ってらっしゃい」

絵里「……」

絵里(行った……わね)

絵里(ちょっと考える時間が欲しかったし、好都合かしら)

絵里「っと、その前にペンと紙の準備ね」

516: 2014/08/30(土) 01:00:31.71 ID:qy5cwc5r0





絵里「まず私、絢瀬絵里には帰る場所がある」

絵里「それはたぶん、日本とかそういう具体的な場所じゃない」

絵里「次に私は、何かを思い出せないからここにいる」

絵里「……うーん、何か解決の糸口がつかめればいいんだけど」

517: 2014/08/30(土) 01:03:17.09 ID:qy5cwc5r0
絵里「そういえば確か、夢の中の私は言ってたわね……」

絵里「ハッピーエンドを迎えられなかった私たち……って」

絵里(もしかしたら私って、たくさんいるのかしら?)

絵里(……夢の中に?)

絵里「いや、それは絶対違うわね」

絵里「うーん……」

518: 2014/08/30(土) 01:06:14.80 ID:qy5cwc5r0
絵里「……ん? でも、ハッピーエンドを迎えられなかったって言ってたってことは……」

絵里「私はどうなの?」

絵里「私もそのうちの1人?」

絵里「うーん、それもなんだか違うような」

絵里「ていうか、夢に出てきた私って、もう結末が決まってたのかしら?」

絵里(結末が決まる……つまり、氏んで――――――――)

絵里「いやいやいや、それはないわね」

519: 2014/08/30(土) 01:09:50.42 ID:qy5cwc5r0
絵里「何か思い残していることがあるってことよね……?」

絵里「そうだといいけど……」

絵里(……ん、そういえば私、前にもこうやってメモを取ってたような気もする)

絵里「何だったかしら……? あの時は確か――――――――」



絵里(そう、あの時は確か……すごく怖かったのよね)

絵里(ただただ不安だった。そんな気がしてたような……)

520: 2014/08/30(土) 01:12:18.61 ID:qy5cwc5r0
絵里「えっと……μ'sのCDを持って、時計をはめて、チョコを枕元に置いて……」

絵里(何でだろう。こんな変なところは覚えてる)

絵里(重要なことだったから? それともただ偶然?)

絵里「そのまま、寝てたような……」

絵里(この行動がどこか、大切なことのような気もする)

絵里(……私はこうやって、何かを叶えようとしてた)

521: 2014/08/30(土) 01:14:55.35 ID:qy5cwc5r0
絵里「……もしかして、やってみればわかるかしら?」

絵里(夢の中の私は必要以上に寝ちゃダメって言ってたけど、少しくらいなら大丈夫よね?)

絵里「一応アラームをセットして……と」

絵里「μ'sのCDはないから、何か別の……そうだ。髪を結ぶリボンでいいわね」

絵里「時計はあるし、チョコもある」

絵里(よし、これならできるわね)

522: 2014/08/30(土) 01:15:22.54 ID:qy5cwc5r0





絵里「おやすみなさい」





523: 2014/08/30(土) 01:17:48.79 ID:qy5cwc5r0



――――――――……ちゃん、……り……ん――――――――

んん? 誰?

私まだ、寝たばっかりなのに。

――――――――……りちゃん、絵里ちゃん――――――――

あれ、私の名前を呼んでるのは……誰?

あの部屋には他に誰も……。




穂乃果「絵里ちゃん! 起きてよぉ!」

絵里「……え? 穂乃果?」

524: 2014/08/30(土) 01:18:37.92 ID:qy5cwc5r0

短いけどここまで
第2部、始動!

534: 2014/08/30(土) 23:57:43.95 ID:qy5cwc5r0
絵里「え、ちょ……ここ……どこ?」

穂乃果「き、記憶喪失!?」

絵里「いや、そうじゃなくて」

穂乃果「た、大変だ! だ、誰か保健の先生を……!」

穂乃果「絵里ちゃん待ってて、今救急車を……」

絵里「穂乃果!」

穂乃果「はい」

536: 2014/08/30(土) 23:59:55.49 ID:qy5cwc5r0
絵里「私は記憶喪失なんかじゃないわ」

穂乃果「うん」

絵里「だけどここがどこかわからないの。教えてくれる?」

穂乃果「ここは学院の屋上です! 現在午後5時であります!」

絵里(何なのかしら、このテンションは……まあいいか)

絵里「ありがとう穂乃果」

絵里「……ってあれ? そういえば、他のみんなは?」

537: 2014/08/31(日) 00:04:38.80 ID:87+dcHq60
穂乃果「えっとねー……海未ちゃんとことりちゃんは、次のステージの衣装の生地を買うって言ってて……」

穂乃果「凛ちゃんと真姫ちゃんは用事で……」

穂乃果「にこちゃんと花陽ちゃんが、校内に次のライブのチラシを貼ってるの!」

絵里「そうなのね……で、私たちは何をしてたんだっけ?」

穂乃果「ああ、絵里ちゃんが穂乃果と話したいって言ったから、今こうして屋上に来たの」

絵里(話したい? 私が?)

絵里(ここはなんだかいろいろと違うみたいね。いる場所も違うし……それにまだ、そんなに陽射しがきつくない)

538: 2014/08/31(日) 00:06:27.04 ID:87+dcHq60
絵里(時期も違うってことは……夢なのかしら?)

穂乃果「絵里ちゃん?」

絵里「穂乃果、ほっぺをつねってくれる?」

穂乃果「いたたた」

絵里「あ、そうじゃなくて、私のをよ」

穂乃果「え? そうなの? じゃあいくよー」

絵里「いたたた」

絵里(……夢じゃない)

539: 2014/08/31(日) 00:09:03.41 ID:87+dcHq60
絵里「……ていうか希は?」

穂乃果「え? 希ちゃん?」

絵里「そうよ。さっきの説明の中に希がいなかったけど……」

穂乃果「希ちゃんはたぶん、生徒会の仕事をしてると思うよ?」

絵里(生徒会の仕事……? 1人で?)

絵里「なら私も手伝いに……」

穂乃果「だ、ダメだよ絵里ちゃん!」

絵里「え、どうして――――――――」




穂乃果「生徒会は希ちゃんに任せて、スクールアイドルとして廃校を阻止するって約束したでしょ!」

540: 2014/08/31(日) 00:11:27.93 ID:87+dcHq60
絵里「……なにそれ」

穂乃果「希ちゃんと約束したもん。穂乃果はちゃんと聞いてたよ」




穂乃果「絵里ちゃんはスクールアイドルとして、希ちゃんは生徒会役員として学院を存続させる、って」




絵里(どういう意味よ、それ……)

絵里「じゃ、じゃあ、希はμ'sに入ってないの?」

穂乃果「みゅーず? せっけん?」

絵里「いやいや、そのボケはいいから……」

穂乃果「じゃあ何だろう……」

541: 2014/08/31(日) 00:14:39.78 ID:87+dcHq60
絵里「……まさか、本当に知らない?」

穂乃果「何だっけ? お菓子?」

絵里(嘘でしょ……信じられない。まさか希がμ'sに入ってないなんて)

絵里(どうなってるの? 夢……じゃなかったわよね)

絵里「なら、私たちのアイドルグループの名前って……?」

穂乃果「それはもちろん、音ノ木坂学院スクールアイドルグループ、だよっ!」

穂乃果「名前は募集してるんだけど、なかなかいい名前が見つからなくて……」

絵里(ってことは本当に、私たちはμ'sじゃないってことね)

542: 2014/08/31(日) 00:17:14.02 ID:87+dcHq60
絵里「ちょっと希に会って来てもいい? 生徒会の仕事には関わらないから」

穂乃果「うん。それなら希ちゃんも許してくれると思うよ」

穂乃果「あ、話ってなんだったの?」

絵里「えーっと……また後で話すわ!」

穂乃果「はーい」

絵里(……いったい何がどうなってるの?)

絵里(生徒会室の場所……そこは間違ってないわよね?)

544: 2014/08/31(日) 00:19:29.77 ID:87+dcHq60
絵里「急がないと……あれ?」

絵里(ポケットから何か――――――――)

絵里「……何よこれ」

絵里(退部、届け……? いったい誰の――――――――)





絵里「うそ……私の……?」

545: 2014/08/31(日) 00:21:37.62 ID:87+dcHq60
絵里(まさか私が穂乃果に話そうとしてたことって……)

絵里「……何よ、どうなってるのよ」

絵里(ううん、考えちゃダメ。希のところに行かなきゃ)

絵里(……きっとこれは、私が書いたものじゃない)

絵里「希は無事でいてくれるわよね……」

547: 2014/08/31(日) 00:23:59.49 ID:87+dcHq60



絵里「希!」

希「わ、びっくりした。どうしたん?」

絵里(よかった。希がちゃんといる……)

絵里「希、ちょっと聞きたいことがあるの」

希「んー? また生徒会の仕事の捗り具合?」

絵里「違うわ」

希「なら遊びに来てくれたとか」




絵里「……何で穂乃果たちの仲間に入らなかったの?」

549: 2014/08/31(日) 00:30:22.65 ID:87+dcHq60
希「……えりち?」

絵里「ねぇ、何でよ。希に生徒会の仕事押し付けるみたいな形、私は気に食わないわ」

希「それは、約束したやろ?」

絵里「いつ」

希「えりちがμ'sに入る時に」

絵里「μ's……? 今、μ'sって言った?」

希「え? あれ? μ's?」

絵里(何よその反応……。覚えてないの?)

551: 2014/08/31(日) 00:33:33.63 ID:87+dcHq60
希「μ'sって……何やったっけ?」

希「すごく聞きなれた……変な感じ。聞いたことないのに……デジャヴ?」

絵里「言葉だけしか覚えてないの?」

希「うん、何でやろ……テレビで聞いたりしたんかな?」

絵里(どういうこと? 希はμ'sって言葉を知ってる……)

絵里(でも、その意味が分かってない……)

553: 2014/08/31(日) 00:37:46.48 ID:87+dcHq60
絵里「希、思い出して。μ'sって何だった?」

希「μ's……うぅー……喉の奥でつっかえてる感じがする」

絵里(希がμ'sに加入してないってことは、もしかするとパラレルワールドみたいなものなのかしら……)

絵里(夢のはずなのに……そんなの有り得るの?)

絵里(でもそれ以上にしっくりくる言葉はないわね)

絵里「希」

希「なに? 今、思い出してる途中で……」

絵里「私たち、同じステージで歌ったり踊ったりしたじゃない」

希「え……? でも、ウチはスクールアイドルなんてやったこと……」

554: 2014/08/31(日) 00:40:13.46 ID:87+dcHq60
絵里「あるわよ!」

希「!」

絵里「あるのよ。今は違うかもしれないけど……私たちが一緒にスクールアイドルをやってた時が!」

希「……ある、かも」

絵里(思い出した……!)

海未「どうしたんですか?」

ことり「何してるの?」

絵里「あ、あれ? 海未? ことり?」

555: 2014/08/31(日) 00:42:41.65 ID:87+dcHq60
海未「はい、そうですよ」

ことり「生徒会室から絵里ちゃんの声がしたから見に来たよっ」

絵里(あ、そうか。2人は衣装の……)

絵里(うぅ、でも希が思い出したかどうかわからない)

絵里「あの、ちょっと今、希と大事な話をしてて……」

希「μ's……」

ことり「え? みゅーず?」

海未「……μ's?」

556: 2014/08/31(日) 00:45:51.00 ID:87+dcHq60
ことり「石鹸の話をしてたの?」

絵里(ああ、2人はやっぱり覚えて――――――――)

海未「いえ……違いますよ」

絵里「……う、海未?」

海未「あ、すみません。いや、なんとなくそんな気がして……」

絵里(海未も覚えてるの……?)

希「μ's、μ's……あー! あとちょっとで思い出せそうなんやけど」

海未「しかしその言葉、妙に頭に残りますね……μ's」

559: 2014/08/31(日) 00:51:52.58 ID:87+dcHq60
絵里(穂乃果やことりは全然わかってないみたいだけど、2人は反応がある……)

絵里(どうにかして2人にこのことを伝えられれば……)

絵里(夢でもパラレルワールドでもいい、私は9人一緒じゃなきゃ――――――――)




絵里(え? 夢?)

560: 2014/08/31(日) 00:54:42.76 ID:87+dcHq60
絵里(夢って……まずいわよね?)

絵里(必要以上に寝たらいけないって……)

絵里(起きなきゃ!)

絵里(私がここでダメになったら、2人に伝えられないじゃない!)



――――――――急いで戻らなきゃ……間に合わなくなる!――――――――




――――――――

――――

――

561: 2014/08/31(日) 00:57:29.37 ID:87+dcHq60



絵里「はっ!?」

絵里(あれ、ここは……)

絵里(見慣れない部屋……ってことは、戻ってきた……?)

絵里「ふー……間に合った」

絵里(でも最後、私は何であんなに焦っちゃったのかしら……)

絵里(それよりあの夢、いったいなんだったの?)

絵里「μ'sが存在しない世界……」

絵里「今思うだけでもぞっとするわね」

563: 2014/08/31(日) 01:03:37.61 ID:87+dcHq60
絵里「……落ち着いて、話を整理しましょう」

絵里「まずあの夢……というかパラレルワールドみたいな夢は、μ'sが存在しなかった」

絵里「そして希が私の代わりに生徒会の仕事を全部受け持ってくれていた」

絵里「希がいなかったから、μ'sの名前もなかったのかと思ったけど……希はその名前を知ってた」

絵里「海未も何か気が付いたみたいだったし……」

絵里(……それに私の持ってた退部届)

絵里(なんで私は辞めようとしてたのかしら?)

564: 2014/08/31(日) 01:06:09.97 ID:87+dcHq60
絵里「うーん、全然わからない……」

絵里(もう1度夢を見ればわかるかしら?)

絵里「それは……ううん、やっぱりやめておきましょう」

絵里「必要以上に寝ちゃいけない……って忠告されたものね」

絵里(なら、夜寝るときにもう1回……それならいいわよね?)

584: 2014/09/01(月) 14:58:06.89 ID:AXDJBkaN0



ことり「ただいまっ」

絵里「あ、ことり。おかえりなさい」

ことり「絵里ちゃん、書類もらってきたよ」

絵里「じゃあ私が目を通しておくわ」

ことり「うん、でも半分は私がやるよ」

絵里「え? 私に任せてくれればいいのに」

585: 2014/09/01(月) 14:59:58.79 ID:AXDJBkaN0
ことり「ううん、自分のことだから」

絵里「そう?」

絵里(まあことりも思うところがあったのかもね……)

絵里「でも半分は多すぎるわ。半分の半分なら余裕を持ってやれるはずよ。それでどう?」

ことり「うん、そうする!」

絵里「ええ、じゃあ残りは私がやっておくわね」

586: 2014/09/01(月) 15:02:55.80 ID:AXDJBkaN0
絵里「で、その大きな紙袋は何?」

ことり「う」

絵里「……何かしら?」

ことり「え、えーっと……そのぉ……」

絵里「怒らないから言ってみて」

ことり「こっちのお店にね、すごくいいデザインの服があったの!」

ことり「それにこんなにいい生地も!」

絵里(ことりらしいというかなんというか……)

587: 2014/09/01(月) 15:05:44.20 ID:AXDJBkaN0
ことり「日本に帰ったらすごくいい衣装が作れそうで……ほら見て見て! たとえばこの色とこの色で……あとこれもつけて……」

絵里「え、えぇ?」

絵里(私、服のこととかあんまりわからないのよね)

絵里(でもことりが楽しそうだし、それでもいいかな)

ことり「こうやってリボンをつけて、スカートにこれとこれと……それからこれもっ!」

ことり「……かわいい!」

絵里(めくるめくことりワールド……そして着せ替え人形にされる私)

絵里(まあ、悪くない……か)

590: 2014/09/01(月) 15:12:59.64 ID:AXDJBkaN0




絵里「あ、もう夜かぁ……」

ことり「でも日本とは時差があるよ」

絵里「そうね」

絵里(ここ、今気づいたけどホテルだったのね)

絵里(最初はどうやって来たのかもよくわからなかったけど、今ははっきりわかる……)

絵里(というより、何で最初はわからなかったのかしら?)

ことり「ホテルの晩ご飯おいしかったね」

絵里「そうね。パンも焼き立てだったし」

592: 2014/09/01(月) 15:15:45.95 ID:AXDJBkaN0
絵里「お風呂は……って、シャワーしかないのよね?」

ことり「うん」

絵里「どっちから入る?」

ことり「私から入るよ。絵里ちゃんはシャワーに弱いから」

絵里「あー……」

絵里(確かにシャワーには弱いわね)

絵里「うん、じゃあお願い」

ことり「はーい」

593: 2014/09/01(月) 15:21:29.68 ID:AXDJBkaN0
絵里(……寝るときは、また様子を見てみないとね)

絵里(あれは一体なんだったのかしら。パラレルワールドみたいな感じだったけど……)

絵里「でもやっぱり夢……よね?」

絵里(……それにしてもやけにはっきりしてた)

絵里(歩いてる感覚もあったし、もしかしたら誰かに触れることもできるかもしれない)

絵里(試してみよう)

594: 2014/09/01(月) 15:26:22.07 ID:AXDJBkaN0
ことり「ねぇねぇ絵里ちゃん」

絵里「んー?」

ことり「こっち来てー」

絵里(何かあったのかしら)

絵里「今行くわ」

絵里「……ってことり、何してるの?」

ことり「ほらほら、これって映画とかによく出てくるやつじゃない? シャワーカーテン! 私の影映ってる?」

絵里(あ、確かに……)

595: 2014/09/01(月) 15:27:48.18 ID:AXDJBkaN0
絵里「じゃなくて、ちゃんと浴びないなら私が先に……」

ことり「きゃああああっ!?」

絵里「!?」

絵里「えっ、ちょ、な、何で服着てないの!?」

ことり「だ、だってまだ浴びる前だったから……」

ことり「……絵里ちゃんのえOち」

絵里「ごめんなさい」

596: 2014/09/01(月) 15:30:15.90 ID:AXDJBkaN0
ことり「……」

絵里「……」

ことり「え、絵里ちゃん? 何でじっと見てるの?」

絵里「あ、つい……すぐ閉めるわね!」

ことり「も、もう……急に入ってきちゃダメだよ?」

絵里「ええ、気を付けるわ」

絵里(……ことりの髪の毛はどうなってるんだろう。気になる)

597: 2014/09/01(月) 15:33:26.49 ID:AXDJBkaN0
絵里(どうやってあの髪型を作ってるのかしら……)

絵里(さっきも髪型変わってなかったし、今のシルエットも髪型が崩れてない)

絵里(もしかするとクセ? 寝ぐせみたいな……)

ことり「絵里ちゃん、何でじっと見てるの……?」

絵里(……何て言おう)

絵里「ことり、スタイルいいわよね」

ことり「えっ!?」

598: 2014/09/01(月) 15:36:34.39 ID:AXDJBkaN0
絵里(うん、正直に髪型どうやってセットしてるの、なんて聞いてもね)

絵里(シャワー浴びてる最中だし、困っちゃうだろうし)

ことり「え、絵里ちゃんの方が綺麗だよっ」

絵里「私が?」

ことり「そうだよ、うん、私は……その……普通だし」

絵里「えー? 私は綺麗だと思うけどなぁ」

ことり「……どのくらい?」

絵里「上の上くらい」

ことり「あ、ありがとう……」

絵里「?」

599: 2014/09/01(月) 15:40:43.25 ID:AXDJBkaN0





希「なんかえりちがウチらをよそに、ことりちゃんとイチャイチャしてる気がする……」

海未「奇遇ですね、私もそう感じました」

にこ「何その電波」

穂乃果「凛ちゃん、これの5巻どこー?」

真姫「今私が読んでるわ。もうすぐ終わるから待ってなさい」

穂乃果「はーい」

花陽「……なんだか普通にくつろいじゃってるけど、いいのかなぁ?」

凛「凛は大歓迎だよ?」

花陽「そういう意味じゃなくて……」

600: 2014/09/01(月) 15:43:06.97 ID:AXDJBkaN0
希「まあ花陽ちゃんの言うことも一理あるんよ」

花陽「え、じゃあ……」

希「でもなぁ、えりちが生徒会の仕事残して行くはずがないんよ……」

花陽「あっ」

にこ「あー……」

海未「出鼻をくじかれた感じですね……」

にこ「そうね」

穂乃果「真姫ちゃんまだぁ?」

真姫「待ってなさい、あと6ページだから」

603: 2014/09/01(月) 15:49:46.72 ID:AXDJBkaN0
凛「あれれ? なら凛たちがするのって、ラブライブについてのことだけ?」

にこ「そうなるわね」

凛「……それまでどうするの?」

海未「待機、でしょうか」

希(具体的にやることって言っても、ラブライブが始まらないとできないことばっかりやしなぁ)

真姫「はい終わった」

穂乃果「やったー!」

真姫「ていうか穂乃果、私まだ4巻読んでないんだけど」

穂乃果「えっ」

604: 2014/09/01(月) 15:52:44.95 ID:AXDJBkaN0
花陽「明日にならないと何もできないね」

希「うん」

にこ「まあ確実に20位以内には入ってるでしょうけど」

海未「ランキングは見られないんですか?」

凛「今は集計中なんだよね?」

花陽「うんっ」

真姫「穂乃果が4巻読んでたからよ」

穂乃果「真姫ちゃん飛ばして読んでくれてたの……?」

真姫「まあね」

605: 2014/09/01(月) 15:56:24.08 ID:AXDJBkaN0
海未「……」

にこ「……」

希(ああ、やっぱり出場できる自信はあっても緊張するんやね)

凛「大丈夫だにゃ、凛たちなら」

花陽「うん……私は出てないんだけどね」

凛「こっちのかよちんもちゃんとできたよ!」

花陽「それならいいけど……」

穂乃果「じゃあ真姫ちゃん、一緒に6巻読もう!」

真姫「何の解決にもなってないじゃない」

穂乃果「えー」

606: 2014/09/01(月) 16:02:22.98 ID:AXDJBkaN0
海未「ですが、本当にラブライブに出場するとなったら……」

凛「なったら?」

海未「どこでやることになるんでしょうか。ラブライブ本戦のステージとは……」

花陽「海未ちゃん、ラブライブ本戦のステージは特設ステージでね」

海未「えっ」

希(おお、花陽ちゃんに火がついた……ってよく覚えてるなぁ)

穂乃果「あ、そっか。真姫ちゃんが4巻を読んで、穂乃果が5巻を読めばいいんだね」

真姫「そういうことよ」

穂乃果「でもそれだと、6巻はどうするの?」

真姫「それは読み終わったら……あ」

607: 2014/09/01(月) 16:07:56.08 ID:AXDJBkaN0
凛「まあ気にしてても仕方ないよ! こういう時はみんなでゲームでもするにゃ!」

花陽「凛ちゃん……」

海未「凛……」

希(凛ちゃん頼もしいなぁ)

海未「私、ゲームとかやったことがないのでわからないのですが……」

凛「えっ、そこから?」

真姫「6巻はその……一緒に読めばいいんじゃない?」

穂乃果「だよねだよねっ!」

真姫「はぁ、仕方ないわね」

にこ「あんたたちいつまでやってんのよ」

616: 2014/09/02(火) 00:18:57.98 ID:eR4By+ff0



絵里「ことり、寝た?」

ことり「……」

絵里(寝てるみたいね)

絵里(ちゃんと枕も持ってきたみたいだし、よかったわ)

絵里「じゃあ私も……」




絵里「おやすみなさい」

617: 2014/09/02(火) 00:21:17.12 ID:eR4By+ff0


――――――――……り! 起き……!――――――――

ん……今度は誰?

ていうかまた私、倒れたのね。

――――――――絵里! ……さい……!――――――――

ごめんごめん、心配かけちゃって。

今すぐ起きるから……!



にこ「絵里! 起きなさいよ!」

絵里「はい、おはよう」

618: 2014/09/02(火) 00:23:37.01 ID:eR4By+ff0
にこ「よかった……起きたわね。心配したんだから」

絵里「ふー、ごめんごめん。大丈夫よ」

絵里(ここは……部室ね。まずは希のことについて聞かないと)

にこ「ちょっと、あんた大丈夫なの?」

絵里「うん。もう平気よ。ちょっと眠かっただけだから」

にこ「本当に? 無理してないでしょうね」

絵里「大丈夫だって」

にこ「もー……この前もそんなこと言って、無理して倒れたじゃない」

619: 2014/09/02(火) 00:25:23.48 ID:eR4By+ff0
絵里「え? それって……」

絵里(前にこっちに来た時のことを言ってるのかしら? もしかして結構時間が経ってたり……)




にこ「生徒会の仕事とスクールアイドルの活動を一緒にこなすの、やっぱり難しいんじゃないの?」




絵里「……え?」

絵里(私、生徒会の仕事……してるの?)

620: 2014/09/02(火) 00:28:41.74 ID:eR4By+ff0
絵里「ね、ねぇ。それっていつのことだっけ?」

にこ「確か1週間前くらいよ。大丈夫大丈夫なんて言って、寝不足で倒れたんじゃない」

絵里「う、そ、そうね。ごめんなさい」

絵里(どういうこと? 希が私の話を聞いて、生徒会の仕事を任せてくれるようになったの?)

絵里(うーん……わからないわね)

絵里「にこ、私たち音ノ木坂のスクールアイドルグループって、何人だっけ?」

にこ「え……まさか記憶喪失とかじゃ……」

絵里「ち、違うわよ! えーっと……ほら、私の記憶と違うところがないかチェックするの」

にこ「あー、そういうことね」

621: 2014/09/02(火) 00:31:14.78 ID:eR4By+ff0
にこ「……じゃああんた、言える?」

絵里「えっ」

にこ「このアイドルグループが何人なのか……忘れてないわよね?」

絵里「そ、それは……」

絵里(まずい、これじゃ怪しまれる……!)

絵里(でも、きっと前とは変わってないと思うから――――――――)

絵里「8人! 8人よ!」

622: 2014/09/02(火) 00:32:56.38 ID:eR4By+ff0
にこ「……」

絵里(え、ま、間違えた……?)

にこ「正解ね。頭の方は問題なさそう」

絵里「ほっ……」

絵里(……って、何で私はにこと2人きりなのかしら)

にこ「で、何なの話って」

絵里「へ?」

にこ「いや、だから私をわざわざ呼び出したじゃない。練習抜けてまで呼び出すって一体何の用なわけ?」

623: 2014/09/02(火) 00:37:34.91 ID:eR4By+ff0
絵里(また呼び出し……? 前は穂乃果で今度はにこ……)

絵里「……あ、ごめん。今日渡そうと思ってたもの、持ってくるの忘れちゃってたわ」

にこ「何よもう……で、何持ってくる気だったの?」

絵里「……おいしいお菓子! いつも頑張る部長さんにサプライズ、みたいな?」

にこ「ふーん……」

絵里(うっ、これは厳しいかしら)

にこ「次は忘れず、みんなの分も持ってきなさいよ」

絵里(にこ……素敵な部長さんね)

624: 2014/09/02(火) 00:40:17.36 ID:eR4By+ff0
希「あ、えりち! いたいた!」

にこ「ん? どうしたの希」

希「えりちに生徒会の仕事頼もうとしたんやけど、屋上にいなかったから探してたんよ」

にこ「ああ、ごめんね。みんなの様子はどうだった?」

希「うん、みんながんばってたよ」

にこ「そう……じゃあ私は先に練習に戻ってるから、仕事終わり次第来なさいよ」

絵里「あ、うん!」

絵里(私が誰かを呼び出すってことは……やっぱりあれよね)

絵里(……うん、ポケットの中に封筒っぽいものが入ってる)

625: 2014/09/02(火) 00:43:41.21 ID:eR4By+ff0
希「えりち、生徒会室行こ」

絵里「ええ、そうしましょう」

絵里(希は練習着を着てない……練習に向かう様子もなさそうだし、おそらくμ'sには入ってない)

絵里(時間が経ったと考えると、結局希はμ'sに入ってくれなかったのかしら?)

絵里(まあ私もあの場で加入できてたわけじゃないし、仕方ないのかもしれないけど)

希「あー、今日は仕事が多くてなぁ。えりちのヘルプなしでもいけるかと思ってたんよ」

希「でもやっぱり多くて……」

絵里(生徒会室の場所も一緒……って当たり前と言えば当たり前よね)

626: 2014/09/02(火) 00:46:26.37 ID:eR4By+ff0
希「ごめんなぁ。ウチがもうちょっと仕事できれば……」

絵里(ここは聞いてみるのが得策よね?)

絵里「希」

希「え? なに?」

絵里「私たちが生徒会の仕事をやるようになったのって、いつからだった?」

希「なんでそんなこと……」

絵里「少しは思い出に浸りたい時だってあるでしょ?」

希「あー、そうやね」

627: 2014/09/02(火) 00:49:26.23 ID:eR4By+ff0
希「まあえりちと生徒会入ってから、ウチらずーっと一緒に仕事してきたやん?」

絵里「ええ、そうね」

希「まあ途中で、スクールアイドルの活動と、生徒会の仕事でえりちが大変になった時もあったけど……」

絵里「……けど?」

絵里(それじゃまるで今まで変わらずに仕事を続けてきたってことに――――――――)




希「結局えりちが強引に押し切って、生徒会のしごともやめなかったんよね。あの時のえりちはすっごく頑固やったなぁ」

628: 2014/09/02(火) 00:52:17.01 ID:eR4By+ff0
絵里「え? 希が1人でやる、とか言うので揉めた……とかなかったっけ?」

希「そりゃあ揉めに揉めたやん。でも最後はえりちが頑張るって言って、ウチはそれをサポートすることにした」

絵里(……じゃあ私は今までずっと、生徒会の仕事をしてきたの?)

絵里(違うじゃない、あの時の希と穂乃果の言ってたことと)

絵里(……まさか)




絵里「違う夢に、来ちゃった……?」

629: 2014/09/02(火) 01:02:00.45 ID:eR4By+ff0
絵里(そんなの有り得るの? それとも、夢だから設定があやふやになってる、とか……)

希「ど、どうしたんえりち。顔色悪いで?」

絵里「大丈夫よ」

希「うーん……熱でもあるんと違う? ちょっと触らせてくれる?」

絵里「いいけど、ないから大丈夫……」

絵里(……希の手、私のおでこに触れてる)

絵里(夢なのに……?)

630: 2014/09/02(火) 01:06:00.45 ID:eR4By+ff0
絵里「希、ちょっと生徒会室で待ってて。すぐ戻るから」

希「えりち!? 廊下は走ったら危ないで!」

絵里(思い出した。最初からそうだったじゃない)

絵里(私は初めてこっちに来たとき、穂乃果にほっぺをつねってもらった……)

絵里(どうして忘れてたのかしら……)

絵里(ううん、そんなことより今は、このポケットの中の封筒の中身を確認しないと)

631: 2014/09/02(火) 01:09:09.56 ID:eR4By+ff0



絵里「……やっぱり、退部届ね」

絵里(部室に誰もいなくてよかったわ。こんなところ見られたら大変だもの)

絵里(確か退部届には、理由を書かなきゃいけないのよね)

絵里「私は何を書いてるのかしら……」

絵里(……字が震えてる)

絵里(えっと……生徒会の仕事に手が回らなくなったため、退部がしたい……って?)

絵里「……なるほど」

632: 2014/09/02(火) 01:11:09.30 ID:eR4By+ff0
絵里(うーん、でも今の私たちなら、ちゃんと生徒会を運営できてたわよね?)

絵里(それが何でこっちでは――――――――)




絵里「希がいないから……かしらね」




絵里(そうね。そう考えるのが普通だわ)

絵里(……それがどこか、当たり前に思えてるからかもしれないけど)

633: 2014/09/02(火) 01:19:44.51 ID:eR4By+ff0
絵里「こっちにいた私と会話できたらいいんだけど……」

絵里(そればっかりはどうしようもないわね)

絵里(みんなは今練習してて、希は生徒会の仕事……)

絵里(まとめてみんなと話す機会があれば、少しは私の状態がわかったかもしれないのに)

絵里(ここは一旦戻ろうかしら。また来ることのできる保証はないけれど)

絵里(思い出に長く浸りすぎるのは、あまりいいこととは言えないしね)



――――――――

――――

――

640: 2014/09/03(水) 00:18:09.02 ID:njU9ZRCB0




絵里「おはよう、ことり」

ことり「んー……えりちゃん?」

ことり「あれ? 何で絵里ちゃんが……」

絵里「短期留学2日目の朝よ」

ことり「あー!」

絵里(本当に覚えてなかったのかしら)

ことり「そ、そうだ! 今日から学校で……!」

絵里「朝ごはん、できてるわよ」

641: 2014/09/03(水) 00:20:09.44 ID:njU9ZRCB0
ことり「ごはん?」

絵里「ええ。ホテルじゃ夜しかご飯出ないから」

ことり「そういえば……」

ことり「も、もしかして絵里ちゃんの手作り?」

絵里「そうよ。まあ簡単なものしか用意できなかったけどね」

ことり「えへへ……なんだかうれしいなぁ」

絵里「喜んでもらえてうれしいわ」

642: 2014/09/03(水) 00:24:21.92 ID:njU9ZRCB0
ことり「メニューはなになに?」

絵里「きのこたっぷりマッシュルームスープと、今朝買ってきたフランスパンよ」

ことり「ええっ!? 絵里ちゃん外で買ってきたの?」

絵里「まあ、ホテル出てすぐのところにお店があったから。そこでついでに食材も」

ことり「……フランス語、話せたの?」

絵里「ううん。指さしたりして頑張ったわ」

絵里(ジェスチャー大変だったけどね)

643: 2014/09/03(水) 00:28:37.15 ID:njU9ZRCB0
ことり「マッシュルームスープってロシア料理だったりする?」

絵里「まあそうかもね。きのこは多いから」

ことり「そうなんだぁ……うん、いい匂いがしてきたよっ」

絵里「ええ、冷めないうちにどうぞ」

ことり「あれ? そのお鍋とかってどこから持ってきたの?」

絵里「ああ、備え付けのものがあったのよ」

絵里(ちょっと大きすぎるけどね)

644: 2014/09/03(水) 00:31:38.51 ID:njU9ZRCB0
絵里「それじゃ、いただきましょう」

ことり「あ、いただきまーす」

絵里(塩コショウもここで買ったものだから、分量とか間違えてないといいけど……)

ことり「ん、おいしい!」

絵里「あ、そう? それならよかったわ」

ことり「おいしすぎる……これ、お店に出せるよ。制服作りは任せてっ!」

絵里「それはいくらなんでも気が早いわ」

ことり「そうかなぁ?」

645: 2014/09/03(水) 00:33:58.05 ID:njU9ZRCB0
ことり「絵里ちゃん」

絵里「どうしたの?」

ことり「お金は持ってたの?」

絵里「え、まあ……」

絵里(知らないうちに持ってたのよね。財布の中に)

絵里(でも誰からもらったのかさっぱりわからない……でも留学用、って書いてたし、大丈夫よね?)

ことり「あ、そっか。絵里ちゃんはお母さんからお金渡されてたもんね」

絵里「そ、それよそれ!」

絵里(たぶん)

646: 2014/09/03(水) 00:38:00.21 ID:njU9ZRCB0
絵里「そういえば今日、ラブライブの結果が発表される日よね」

ことり「でも時差があるよ?」

絵里「あ、そうね。何時間くらいずれるのかしら」

ことり「7時間くらいじゃなかった? 日本の方が7時間くらい早いはずだよ」

絵里(サマータイムとかってどうなるんだろう……)

絵里「ん? ってことは、今は6時だから……向こうでは昼の1時?」

ことり「……もしかしたら公開されてるかも」

647: 2014/09/03(水) 00:39:35.58 ID:njU9ZRCB0
絵里「……」

ことり「……」

絵里「と、とりあえずことりは学校に行く準備をして」

ことり「う、うん……」

絵里(なんだか緊張してきたわね……連絡が来るとすれば、ことりの持ってきたノートパソコンに、よね?)

絵里(朝から心臓に悪いわ……)

648: 2014/09/03(水) 00:41:53.79 ID:njU9ZRCB0
ことり「あ、絵里ちゃん。こんなに早く起きて大丈夫だった?」

絵里「え? なんで?」

ことり「昨日は時差ボケでつらそうだったから」

絵里(ああ、あのもやもやしてた時ね)

絵里(そっか、ことりには時差ボケで疲れてたように見えるんだ……)

絵里(まあ、そっちの方が好都合かしら)

絵里「大丈夫よ。もうすっかり慣れちゃったし」

ことり「それならよかった」

651: 2014/09/04(木) 00:22:47.35 ID:1hzKIMNR0




絵里「それじゃ、いってらっしゃい」

ことり「うん、いってきます」

ことり「たぶん穂乃果ちゃんたちからメールが来ると思うから、パソコンはつけたままにしておくね」

絵里「ええ、わかったわ」

絵里(パソコンかぁ……正直あんまり操作方法わからないのよね)

絵里(生徒会の作業も書類ばっかりだったし)

652: 2014/09/04(木) 00:25:52.27 ID:1hzKIMNR0
ことり「……や、やっぱり最後にもう1回だけメールのチェックを!」

絵里「ダメよ。初日から遅刻しちゃ印象最悪よ? 私が見ておくから大丈夫よ」

ことり「うん……お願いだよっ!」

絵里「もちろん」

ことり「そこのアイコンをダブルしたらチェックできるからね」

絵里「それくらいわかってるわ。心配しないで」

ことり「……じゃあ、いってきます!」

絵里「いってらっしゃい」

653: 2014/09/04(木) 00:27:16.07 ID:1hzKIMNR0
絵里「……よし」

絵里(ふふふ、ダブルくらい知ってるもの。余裕ね)

絵里「早速メールのチェックを……」

絵里「……あれ?」




絵里(こ、ことりのパソコン……マウスがない!?)

654: 2014/09/04(木) 00:29:56.56 ID:1hzKIMNR0
絵里「どうやって操作してたの……?」

絵里(マウスがないとカーソルが動かせないはずじゃ……)

絵里(ということは、ことりがマウスを持っていっちゃったの?)

絵里(いやいや……でも……)

絵里「……どうしよう」

655: 2014/09/04(木) 00:32:26.22 ID:1hzKIMNR0
絵里(ん? でも確か、この前どこかでマウスを持たずにパソコンを操作してた人がいたような……)

絵里(飛行機の中……だったかしら? よく覚えてないわね)

絵里(キーボードの面を指でなぞってたような気が……)

絵里「……あっ! 矢印がある!」

絵里「なるほど、これで動かすのね!」




絵里(動きませんでした……)

657: 2014/09/04(木) 00:35:50.93 ID:1hzKIMNR0
絵里「魔法? 何か特殊な器具が必要なの?」

絵里「キーを押す以外の操作は……」

絵里「……何かしら、この余白みたいなの」

絵里(ここを削ればもっとコンパクトにできそうね)

絵里「付箋でも貼るところなのかしら?」

絵里「……ん? 今、カーソルが動いたような……」

絵里「……!」

658: 2014/09/04(木) 00:37:39.44 ID:1hzKIMNR0
絵里「ま、まさか……そんなことが許されるの!?」

絵里「だってこれじゃ……マウスの立場がないじゃない!」

絵里(きっと何かの間違いよ。ええ、そうに違いないわ)

絵里(こんな風に指で触れたって、きっとカーソルは動いたりなんか……)




絵里「……ハラショー」

659: 2014/09/04(木) 00:39:20.68 ID:1hzKIMNR0
絵里「動いてしまった……」

絵里(うう、マウスが不憫でならないわ)

絵里「あら? でもってどうするのかしら」

絵里「指でつついたら反応してくれたり――――――――」

絵里(した)

660: 2014/09/04(木) 00:43:49.22 ID:1hzKIMNR0
絵里「……」

絵里(ちょっと楽しい)

絵里「じゃなかった。メールをチェックして……あ、これね」

絵里「ラブライブ最終結果発表……件名だけでも緊張するわね」

絵里(大丈夫よ。みんなで頑張ったんだから、きっと受かってるはず)

絵里(1位通過じゃなくたって、20位以内には確実に入ってる!)

絵里「ふー……」

絵里「よし! 覚悟は決めたわ!」

絵里「ダブル――――――――」


661: 2014/09/04(木) 00:44:53.66 ID:1hzKIMNR0
絵里「……」

絵里(嘘、でしょ……?)












絵里「なんで本文がないのよ!?」

662: 2014/09/04(木) 00:47:12.80 ID:1hzKIMNR0



希「穂乃果ちゃん焦りすぎやって!」

穂乃果「て、手が滑ったんだもん!」

真姫「2人とも落ち着きなさいよ」

海未「真姫、そのコップもう空ですよ。何回飲むんですか」

凛「海未ちゃんもうろうろしすぎにゃ」

にこ「はー、はー……」

花陽「に、にこちゃんしっかりして!」

663: 2014/09/04(木) 00:49:41.60 ID:1hzKIMNR0
海未「は、早く送らないと心配するでしょう!」

真姫「貸しなさい、私が送るから」

穂乃果「真姫ちゃん手が!」

希「震えすぎやって!」

真姫「大したことないわよ」

凛「真姫ちゃん、まず全角に……」

にこ「」

花陽「にこちゃんしっかりしてー!」

664: 2014/09/04(木) 00:52:36.13 ID:1hzKIMNR0
穂乃果「ああっ、真姫ちゃん押しすぎ! 111位通過になってるよ!」

真姫「パス」

希「逃げた!?」

海未「こ、こんなことになるなら、もっといろいろ準備しておくべきでした!」

にこ「花陽、これ、夢?」

花陽「え? あ、私たちの中ではそんな感じだけど……」

凛「かよちん、にこちゃんの元気が見る見るうちになくなっていくにゃ」

にこ「」

花陽「あ、ご、ごめんなさいっ! 現実です!」

665: 2014/09/04(木) 00:55:15.73 ID:1hzKIMNR0
希「……ウチらだけでどうにかしないと」

穂乃果「うん、2人がいなくても、μ'sは強いって証明しなくちゃ!」

海未「ああ、でもインタビューと言われても、何を話せばいいか……」

花陽「いつも通り自然に……うぅ、今から緊張してきちゃったよぉ」

にこ「あんたたち! こんな時こそしゃきっとしなさいよ!」

凛「にこちゃん、それ壁だよ」

真姫「……はぁ。もうなんなのよ」

667: 2014/09/04(木) 00:57:27.66 ID:1hzKIMNR0
希(これは予想外やったなぁ……)

希(ラブライブ出場グループは、インタビューがあるなんて)

希(それに――――――――)






希(まさかA-RISEにダブルスコアで堂々の1位になるとは……地元だけじゃなくて普通のテレビ局も来るなんて)

希「えりち……思ったよりこっちも大変そうやで」

678: 2014/09/04(木) 23:38:22.65 ID:1hzKIMNR0




絵里(はぁ……受かってたのね。よかったぁ)

絵里「それにしてもインタビューって……私たちがいなくても大丈夫なのかしら?」

絵里「っと、その前にことりに連絡入れないと」

絵里「今、繋がるかな……」

  ことり「もしもし!」

絵里(ええっ!? まだワンコール鳴り終えてないのに)

絵里「も、もしもし、授業とかは……」

  ことり「大丈夫だよっ! 絵里ちゃんどうだったの!?」

絵里「落ち着いてことり、大丈夫、ちゃんと教えるから」

絵里(まあ予想通り、いろいろ集中できてなかったみたいね)

679: 2014/09/04(木) 23:40:01.76 ID:1hzKIMNR0
絵里「率直に言うわ」

  ことり「……うん」

絵里「1位通過よ」

  ことり「……」

絵里(あれ? 反応がない……)

絵里「もしもし、ことりー?」

  ことり「な、何グループ中の?」

絵里「いや、何グループあっても1位は1位だけど……」

680: 2014/09/04(木) 23:42:21.22 ID:1hzKIMNR0
  ことり「何位までが本戦出場だっけ?」

絵里「20位以内」

  ことり「20位……あれ? 私たちは?」

絵里「1位」

  ことり「……うふふ、あはは」

絵里「こ、ことり?」

  ことり「お赤飯炊かなきゃ!」

絵里(ことりが壊れた)

681: 2014/09/04(木) 23:44:38.17 ID:1hzKIMNR0
絵里「落ち着きなさいことり、今あなたは何してるの?」

  ことり「何かな? ことりは今何してたのかな?」

絵里(錯乱状態じゃないの)

絵里「とりあえず深呼吸して。話はそれからよ」

  ことり「わかった! すー……」

  ことり「あっ、焼き立てのパンの匂い! 買ってくるね!」

絵里「ことりー!?」

682: 2014/09/04(木) 23:47:22.71 ID:1hzKIMNR0




絵里「よし、何とかなった……」

絵里(やっぱりうれしかったのね。ふふ)

絵里(ことりもああいう感じになったりするんだ)

絵里「……ま、私はパソコンの操作で精いっぱいだったけど」

絵里(ううん、ポジティブに考えましょう。これでマウスなしでも操作ができるようになったってわけよ!)

絵里(希たちにも自慢できるわね)

絵里「でもやっぱり紙媒体の方が好きかな……壊れないし」

683: 2014/09/04(木) 23:49:55.13 ID:1hzKIMNR0
絵里「さて、一応書類も一通り片が付いたし……」

絵里(ふふん。書類の扱いには慣れてるからね)

絵里(みんなからのメールが来る間に終わらせるなんて朝飯前ってやつよね)

絵里「……そっか、私って今、やることないんだ」

絵里「ライブ関連のことは全部あっちでやるしかないし、無理にこっちから仕切ることはできないものね」

絵里(だったら……ちょっとだけ、様子を見に行くっていうのもいいかしら?)

684: 2014/09/04(木) 23:53:54.28 ID:1hzKIMNR0
絵里(また5分セットして……)

絵里(うん、5分くらいならきっと大丈夫よ。実質、起きても3分くらいしか経ってないし)

絵里「長く眠りすぎるのはいけないっては言われたけど、あっちに行けば何かがつかめるかもしれないし……」

絵里「あ、その前にまとめておこうかしら」

絵里「今までにあった変化は、希についてのことばっかりだった……わよね?」

絵里「どっちもμ'sに加入してなかったし、それにμ'sって名前すらなかった」

685: 2014/09/04(木) 23:56:28.84 ID:1hzKIMNR0
絵里「私はというと、1回目は穂乃果、2回目はにこを呼び出して、退部届を渡そうとした……」

絵里「退部したい理由は……えっと」

絵里(……なんだっけ?)

絵里「うーん、すごく単純だったはずなんだけど……思い出せない」

絵里「あ、確か、人に触れられるかどうかを試したのも忘れてたわね」

絵里「起きたら忘れちゃうのかしら? うーん、寝ぼけてるせい?」

686: 2014/09/05(金) 00:01:21.51 ID:J5YUYXiE0
絵里「一応メモに残してるから大丈夫よね、うん」

絵里「……そういえば私、何でこんなの知ってたのかしら」

絵里「また忘れてたり……」

絵里(それももう1度夢の中に行けばわかるのかもしれないわね)

絵里「ことりが帰って来る前に済ませましょう」

絵里「……おやすみなさい」

687: 2014/09/05(金) 00:03:19.21 ID:J5YUYXiE0





絵里「うわっ、っとと」

真姫「ん? どうしたのエリー」

絵里(な、なんとか倒れずに済んだ……って)

絵里「え、エリー?」

真姫「?」

絵里(エリーって何? 私、そんな風に呼ばれてたっけ?)

688: 2014/09/05(金) 00:07:09.47 ID:J5YUYXiE0
海未「絵里、あまり無茶をしてはいけませんよ? ただでさえあなたは1人で背負い込もうとするんですから」

ことり「困ったときは、私たちを頼ってね?」

絵里「え? あ、うん。大丈夫よ」

絵里(みんなはいる……けど、何だか違うような……)

にこ「絵里ちゃんしっかり! ニコも絵里ちゃんの力になるために、精一杯応援するニコ!」

絵里「えっ」

絵里(誰この子)

690: 2014/09/05(金) 00:10:12.93 ID:J5YUYXiE0
にこ「やだなぁ絵里ちゃん、視線がニコに釘づけだよぉ?」

にこ「あぁ、もしかしてニコに惚れちゃった、とか?」

にこ「ダメダメっ! ニコはみんなのものだからぁ……ねっ?」

絵里(このニコニコ言ってる子って一体……)

絵里(にこだ)

凛「絵里ちゃんもしかして眠いの? えへへー、じゃあ凛の膝枕で寝ちゃう?」

花陽「あ、凛ちゃん昔やってもらってたもんね」

凛「にゃっ!? そ、そんなのあったっけ!?」

絵里(昔? 何それ)

691: 2014/09/05(金) 00:14:21.14 ID:J5YUYXiE0
穂乃果「絵里ちゃんは昔から頼れる大人の女性! って感じだったからなぁ……」

絵里「昔からって……」

真姫「穂乃果ちゃんのその話、何回も聞いたってば。何かして何とかして結局エリーが助けに来るやつでしょ?」

穂乃果「全然覚えてないよ真姫ちゃん!」

にこ「あれれ? マッキーって暗記苦手だったりするの?」

真姫「だっ、誰が! この天才真姫ちゃんにできないことなんてないわよ!」

絵里(……うん、わかった。何だかここは色々と違う)

693: 2014/09/05(金) 00:18:36.35 ID:J5YUYXiE0
希「お、君たちちゃんと練習してるー?」

絵里「希!?」

希「んん? どうしたんエリチ。感動の再会?」

絵里(ほとんどそんな感じだけど……もしかしてこれって、希がμ'sに入ってたり――――――――)

海未「ああ、希先輩」

絵里(……先輩?)

希「海未ちゃん、そんなん堅苦しいからやめやめ。気軽に希ちゃんって呼んでちょーだい!」

にこ「希ちゃん」

希「ニコにはもう呼ばれ慣れてます」

にこ「てへっ」

694: 2014/09/05(金) 00:21:21.79 ID:J5YUYXiE0
絵里「希? あなたネクタイだった?」

希「へ? ああ、ウチはずーっとネクタイやで? ほしい?」

絵里「いや、いらないけど……」

絵里(どうなってるの? いろいろと違いすぎて対応に困るというか……)

希「エリチカ会長、表情がかたーい!」

絵里「え、そう?」

希「そんな時は……このあげまんじゅうを食べてにっこり笑顔になるのだーっ! はい、おひとつおすそ分け」

絵里「あ、ありがとう」

穂乃果「あー! それ穂むらのあげまんじゅうだ!」

希「いつもお世話になってます!」

695: 2014/09/05(金) 00:23:37.64 ID:J5YUYXiE0
凛「凛もおまんじゅう食べたーい!」

希「ちゃーんとみんなの分あるで」

海未「……」

絵里(海未が物欲しげな表情で見てる……)

絵里「海未は食べないの?」

ことり「そうだよ海未ちゃん。大好物でしょ?」

海未「で、ですが私はこれから剣道の稽古が……」

絵里(剣道? 弓道じゃなくて?)

697: 2014/09/05(金) 00:27:45.91 ID:J5YUYXiE0
にこ「花陽ちゃんも一緒に食べようよぉ」

花陽「わ、私はちょっと……おにぎり食べすぎちゃって」

凛「そうだね。かよちん今日でもう5つも……」

花陽「り、凛ちゃん! それは内緒だよぉ!」

にこ「うーん、しょうがないなぁ。じゃあマッキーと一緒に1枚……」

真姫「こ、コラ! 許可なく撮るのはやめてよ!」

絵里「ああもう、2人ともケンカしないの」

にこ「怒られたニコ……」

絵里「あ、いや。そこまで怒ったつもりじゃ……」

にこ「でもニコのアイドル伝説は始まったばかりニコ!」

絵里(なにこれどうしたらいいの)

698: 2014/09/05(金) 00:31:00.75 ID:J5YUYXiE0
絵里(とりあえず誰か、情報をくれそうな人は……)

希「うん、やっぱりうまい! もう1つ食べよ」

真姫「太るわよ」

希「そこはスピリチュアルパワーで」

花陽「ぜ、ぜひ教えてください!」

希「おっ、なら是非ともオカルト研究部に……」

絵里「希、今なんて?」

希「エリチかわいい、って!」

絵里「違うわよ。さっき言ってたこと」

希「て、照れもせず……オカルト研には脈なしかな、ぐすん」

699: 2014/09/05(金) 00:33:24.60 ID:J5YUYXiE0
絵里「希!」

希「はいはい、わかったわかった。そんなに怖い顔してたら美人が台無しやで」

絵里「えっ、そんな顔してた……?」

希「ふむふむ自覚アリ……のぞみんの診療が必要やね! 穂乃果ちゃんメス!」

穂乃果「はいっ!」

海未「穂乃果!? それは私の竹刀で……!」

ことり「海未ちゃん、お口についてるよ」

海未「す、すみません……」

凛「いきなりオペから始まるの?」

700: 2014/09/05(金) 00:34:54.31 ID:J5YUYXiE0
絵里(こ、このままじゃあやふやにされる!)

絵里「もう、希ってばいい加減に……」

希「エリチ、今なら抜け出せる」

絵里「えっ、ちょ、ちょっと……!」

絵里(抜け出すってどういう……)

701: 2014/09/05(金) 00:37:29.02 ID:J5YUYXiE0





希「はー、ここまで来れば大丈夫。希ちゃんの絶好の隠れスポットなのだ!」

絵里「隠れスポット? ここ、空き教室じゃないの?」

希「うーん、エリチは知ってても、エリチは知らないんかぁ」

絵里「……どういう意味?」

希「ウチにはわかる。今のエリチはエリチであっても絢瀬絵里じゃない」

絵里「!」

絵里(まさか……バレてる?)

702: 2014/09/05(金) 00:39:32.75 ID:J5YUYXiE0
絵里(ていうかこれって、自分の正体バラしちゃっていいのかしら)

絵里(……夢だし)

絵里「よく見破ったわね、希」

希「お、ウチの読み通り!」

絵里「なんでわかったの?」

希「だってエリチ、わかりやすくオロオロしてたもん。ウチじゃなくてもすぐにわかるよ」

絵里「うっ」

703: 2014/09/05(金) 00:42:13.96 ID:J5YUYXiE0
希「まあ座って。ここはウチのオカルト研究部の部室やし」

絵里「オカルト……やっぱりμ'sには入ってないのね」

希「うん。μ'sには入ってない」

絵里(……あれ? 何でμ'sって知って――――――――)

希「おっと! みなまで言わんでもウチにはわかる!」

希「μ'sって名前、何で知ってるか聞きたいんやろ?」

絵里「……すごいわね。どうしてわかったの?」

希「それはこの、とっておきのクッキーを食べながらでも」

711: 2014/09/06(土) 00:40:29.45 ID:dwChzZYR0



希「まあ単刀直入に言うと、違和感があったんよ。エリチには」

絵里「違和感?」

絵里(……このクッキーおいしい)

希「そうそう。なんか違うっていうイメージがビビビって」

希「それがそっくりやったってだけ」

絵里「そっくりって……何と?」




希「……ウチに憑りついたユーレイさんと」

713: 2014/09/06(土) 00:43:51.49 ID:dwChzZYR0
絵里「ゆ、幽霊?」

希「うん。ちょっと前までウチは、自分の意志で動いてなかった時期があってな? それはもう疲れて疲れて」

希「毎日毎日オカルト研に顔を出さずにエリチにアプローチかけて、とっておきのおやつもいつの間にか食べちゃって」

希「もー、何でなんやろ?」

絵里(私にアプローチ……?)

希「まあレアな体験ができたとは思ってるんやけど……あの限定50個のケーキはウチが自分の手で食べたかったなぁ」

714: 2014/09/06(土) 00:45:30.21 ID:dwChzZYR0
絵里「ちょ、ちょっと待って。憑りついたって……何が?」

絵里「本格的にマズいんじゃ……」

希「ううん、たぶんあれは悪いやつじゃなさそう」

絵里「わかるの?」

希「ビミョーなところやけど……なーんか波長が合うっていうか」

絵里「?」

715: 2014/09/06(土) 00:47:36.90 ID:dwChzZYR0
希「自分の意志はあるけど、自分では動けない……って感じ?」

絵里「金縛りみたいね」

希「うーん、どうかな。あんまり覚えてはないけど自由に動けたりできたし」

絵里「自由?」

希「そうそう。精神的なもので」

絵里(何だろう、よくわからないわね)

716: 2014/09/06(土) 00:50:05.38 ID:dwChzZYR0
希「まあ、ウチが覚えてるのはそれだけ」

希「誰かがウチの体を使って、エリチに何かをさせようとした……ってことかな」

絵里「……幽霊に恨まれるようなこと、したのかしら」

希「たぶん大丈夫やとは思うよ。怒ってるって感じじゃなかったし」

絵里「そういうのまでわかるの?」

希「ふっふっふ、何をおっしゃる。ウチはオカルト研究部の部長やで!」

絵里(あ、そういえばそうだったわね)

717: 2014/09/06(土) 00:52:38.26 ID:dwChzZYR0
希「でもなぁ、そのユーレイさんはとにかく焦ってたみたいなんよ」

絵里「焦ってたの?」

希「そうそう。その時はさすがのウチでも、ユーレイさんに心の余裕がなくてよく状況が呑み込めてなかったんやけど……」

希「んーと、途中で何かをきっかけに心の余裕が生まれたみたいで、その時にやっと自分がどうなってるか自覚できたってわけ」

絵里「じゃあ焦りっぱなしだったら何もわからなかったかもしれない、ってこと?」

希「うん」

718: 2014/09/06(土) 00:55:31.59 ID:dwChzZYR0
希「あ、その時に、μ'sって名前が頭をよぎったんよ」

希「ユーレイさんの考えかも……って考えるとスピリチュアルやね」

絵里「幽霊の……」

絵里(でも、μ'sって名前の言いだしっぺは希よね?)

絵里(……それも幽霊のせいなのかしら)

絵里(ん? もし今までの希に、同じ現象が起こっていたとしたら……それに違和感を感じてなかったのは、焦った幽霊に憑りつかれたせい?)

719: 2014/09/06(土) 00:57:21.57 ID:dwChzZYR0
絵里「うー……考えすぎて頭が疲れてきた」

希「そんな時には甘いもの! はいどーぞ」

絵里「あ、チョコね。ありがとう」

希「……エリチもユーレイさんに憑りつかれてるかも」

絵里「えっ」

希「って、最初は思ってたんやけど……これは違うかも」

720: 2014/09/06(土) 01:01:21.43 ID:dwChzZYR0
絵里「違うの?」

希「うん。ちょっと混ざってる感じかな?」

絵里「ま、混ざってる!? 幽霊と!?」

希「んー……ウチもそこまで詳しくはないから……でもなんていうか、エリチのこと嫌ってはないみたい」

絵里「ならいいんだけど……」

希「ウチももっと修行を積むべきかなぁ?」

絵里「ううん、今の希の助言、抽象的だけどかなり手掛かりになったわ。ありがとう」

721: 2014/09/06(土) 01:03:11.60 ID:dwChzZYR0
希「お、それならよかった! のぞみんパワーが役に立ったんやね」

絵里「あ、それで希は今μ'sには入ってないの?」

希「うん。一応撮影係としてアイドル研究部にくっついてるよ。何せオカルト研は部員が1人でなぁ……」

絵里「……」

希「ん? エリチどうしたん?」

722: 2014/09/06(土) 01:05:49.08 ID:dwChzZYR0
絵里「今からでも遅くないわ」

希「へ? 何が?」

絵里「μ'sに入って!」

希「ええっ!? そ、そんな無茶な……」

絵里「無茶なんかじゃないわ。私の知ってる希は、オカルトも好きだけど、歌やダンスもすごく好きだったもの」

絵里「こっちでもプロポーションは相変わらず抜群だし……よーし! 引き抜き決定!」

希「えー!?」

723: 2014/09/06(土) 01:09:00.73 ID:dwChzZYR0
希「ちょ、ちょっと待って」

絵里「んー?」

希「そんな急に言われても困るって。第一ウチにはオカルト研究部が……」

絵里「生徒会の力でくっつければいいじゃない。オカルト研究部 with μ's! ほら完璧!」

希「しょ、職権乱用や!」

絵里「まあまあ、そんなことは気にしないの」

希「あー、ウチのしってるエリチに似てきた気がする」

絵里「何言ってるのよ。私はいつだって私のままよ?」

724: 2014/09/06(土) 01:11:05.53 ID:dwChzZYR0
希「うー……ウチの勝ち目がない」

絵里「元々勝ち負け云々じゃなくて、希はμ'sに入る運命なのよっ」

希「……ふふ」

絵里「え、何かおかしいところ、あった?」

希「いやまあ、それ言うと全部おかしいけど……」





希「エリチは全然、性格変わってないなぁ」

725: 2014/09/06(土) 01:12:19.58 ID:dwChzZYR0
絵里「それ、褒めてるの?」

希「ほめてるほめてる」

絵里「あやしい」

希「こんな時はチョコで買収!」

絵里「いただきます」

希「あはは」

絵里「ふふ」

726: 2014/09/06(土) 01:14:27.91 ID:dwChzZYR0
希「エリチ」

絵里「なに?」

希「エリチって別のところにいるウチも見たことあるん?」

絵里「まあそうなるわね」

希「へー……」

絵里(詳しく……は、話しづらいわね。なんて説明すればいいのかしら)

希「じゃあ別のウチにもよろしくって伝えといてくれる?」

絵里「え? あ、うん。別にいいけど……」

絵里(希はわかってくれるのかしら?)

727: 2014/09/06(土) 01:16:32.54 ID:dwChzZYR0
絵里「……って、あんまり長居するわけにもいかないわね」

希「胸のカラータイマーが鳴っちゃうから? 正義の味方も大変やね」

絵里「そうそう、3分間だけ……って、そんなわけないでしょ!」

希「あ、久しぶりにエリチのノリツッコミ見た」

絵里「レアだから、きちんと覚えておいてね?」

希「はーい!」

728: 2014/09/06(土) 01:18:22.97 ID:dwChzZYR0
絵里「じゃあ希、さよなら」

希「またね、じゃなくて?」

絵里「ええ。もう1度来られるかはわからないもの」

希「そっか……エリチ、頑張ってな」

絵里「任せなさい。希もね」

希「うん」




絵里「それじゃ、こっちの私をよろしくね」



――――――――

――――

――

729: 2014/09/06(土) 01:20:08.37 ID:dwChzZYR0



絵里「ん……」

絵里(あ、やっぱり3分経ってる)

絵里「……?」



絵里「……こっちの私って、何?」



絵里「あれ? 何で私、そんなこと言ったのかしら」

730: 2014/09/06(土) 01:21:53.42 ID:dwChzZYR0
絵里「それに希と話してるとき、変な感じが……」

絵里「まるでだんだん、別の自分になるような――――――――」

絵里「……」

絵里(……幽霊のせい?)




絵里「こ、ことり、早く帰ってきて!」

738: 2014/09/06(土) 23:24:57.02 ID:dwChzZYR0



希「……みんな、がんばろ」

にこ「頑張るも何も、ただのインタビューでしょ?」

希「にこっち、それウチやなくて壁」

真姫「まだ緊張してるわけ?」

穂乃果「そうだ! みんなで手を繋いでいけば緊張しないんじゃないかな?」

海未「ええっ!?」

花陽「あ、でもそれは意外と名案かも……」

739: 2014/09/06(土) 23:28:45.67 ID:dwChzZYR0
凛「ミュージカルみたいにゃ!」

海未「で、ですが、そんな……恥ずかしい」

穂乃果「インタビューで何も答えられずにあわあわしてる方が、海未ちゃんはいい?」

海未「横1列になりましょう」

希(海未ちゃん変わり身早いなぁ……)

にこ「ねぇ花陽、最後にもう1度だけ確認させて」

花陽「夢じゃないよ。ここは現実」

にこ「そうよね……うん、もう大丈夫」


740: 2014/09/06(土) 23:30:53.66 ID:dwChzZYR0
凛「にこちゃん、本当に大丈夫なの?」

真姫「おうよ、さっきから様子が変だし」

にこ「いや、実際に夢が叶うと……なんか想像以上にふわふわしてくるのよ。まるでとんでもないこと口走ったりしそうで」

希(意外やね。にこっちって本番に弱いタイプなんや)

海未「あ、そろそろ出番みたいですよ」

穂乃果「よーし、みんな位置について」

にこ「なんかその掛け声は違うと思うわ」

741: 2014/09/06(土) 23:32:55.38 ID:dwChzZYR0
穂乃果「え?」

希「確かに、リレーでもしそうな言い方やったよ」

凛「リレーは得意にゃ!」

真姫「違うから。聞いてるのはそこじゃないわよ」

にこ「はー……ここまで来られたんだから、絶対優勝するわよ」

穂乃果「もちろん!」

花陽「うんっ!」

742: 2014/09/06(土) 23:35:00.91 ID:dwChzZYR0
海未「では……みんな、手を繋ぎましたか?」

凛「うん」

真姫「……ねぇ、これ本当にやるの?」

花陽「印象には残ると思うよ。アイドルなんだから、そうやって覚えてもらわないと!」

希「お、花陽ちゃん燃えてるなぁ」

にこ「ん、呼ばれたみたいね」

穂乃果「よし! 行こう!」

743: 2014/09/06(土) 23:39:12.88 ID:dwChzZYR0



穂乃果「みなさん、初めまして。高坂穂乃果と申します」

穂乃果「私たちμ'sは、応援してくれるみなさんのおかげでここまで来ることができました。ありがとうございます」

希(うぅ……いくら夢の中とは言えども、こんなに人がいたら緊張するのに……)

希(やっぱり穂乃果ちゃん、すごいなぁ)

穂乃果「えっと……」

希(……もしかして)

穂乃果「次は部長の矢澤にこさんからです!」

にこ「!?」

希(投げた! 話すこと忘れたからって全部飛ばして次に行った!)

希(えりちたちがいないことも説明してないのに……)

744: 2014/09/06(土) 23:40:46.44 ID:dwChzZYR0
にこ「あ……コホン」

にこ「えー……矢澤にこです!」

にこ「……」

希(……にこっち?)

にこ「に……」

希(に?)




にこ「にっこにっこにー!」

745: 2014/09/06(土) 23:45:14.95 ID:dwChzZYR0
希「!?」

海未「!?」

にこ「アイドル研究部部長の矢澤にこですっ! みんなのハートにラブにこっ!」

にこ「今回はみんなのおかげで無事に本戦に出場することができてとてもうれしいです」

にこ「だから本戦も、みんなの期待に応えられるように頑張ります!」

にこ「やるからには全力で……優勝目指して頑張ります」

穂乃果「以上です!」

花陽「……」

凛「……」

真姫「……」

希(あれ、ウチらの挨拶は……なしなん?)

746: 2014/09/06(土) 23:51:27.35 ID:dwChzZYR0




穂乃果「うわぁぁん! ごめんねみんな! 穂乃果が忘れちゃったからぁ!」

海未「大丈夫ですよ。にこに繋いだだけよかったです」

真姫「でも絵里たちのこと、何も話してないわよ」

穂乃果「うっ」

にこ「仕方ないわよ。穂乃果だって緊張してたんでしょ」

希「ウチはにこっちが持ちネタをやりだした辺りから心臓バクバクやったよ」

にこ「他にいいのが思いつかなかったのよ」

747: 2014/09/06(土) 23:55:34.87 ID:dwChzZYR0
海未「……でも、案外あっけなかったですね」

凛「凛たちトップバッターだから……もしかしたら今頃、みんなインタビューの内容を短くしてるかもしれないよ?」

真姫「私たちの真似して、ってこと?」

凛「うん」

花陽「ああ、それはありえるかも」

穂乃果「ほ、穂乃果のせい……?」

にこ「違うわよ」

海未「そうですね……穂乃果も緊張するんですよね。よしよし」

穂乃果「ううー……」

希(一応えりちとことりちゃんがいなくても、なんとかなったってわけやね)

748: 2014/09/06(土) 23:59:09.71 ID:dwChzZYR0
海未「そういえば私たちの次は……」

希「A-RISEやね」

真姫「一番厄介な相手よ」

にこ「どんなインタビューをするのかしら」

凛「要チェックにゃ」

花陽「うんっ」

749: 2014/09/07(日) 00:01:00.68 ID:l3FFoWPF0
海未「……」

希「……」

海未「あの、希」

希「A-RISEが何言ってるかわからない、って?」

海未「はい。どうしてわかったんですか?」

希「それは夢やから。自分の見たこと、聞いたことないものまでは再現できないんよ」

海未「なるほど……確かにA-RISEのメンバーは、画面越しにしか見たことがありませんし、直接話したこともありませんからね」

750: 2014/09/07(日) 00:05:06.21 ID:l3FFoWPF0
凛「ま、真面目なことばっかり言ってる……」

真姫「それを言ったら私たちが不真面目みたいじゃないの」

にこ「でも予想はしてたけど、落ち着いてるわね……」

穂乃果「すごいなぁ……」

花陽「大勢の前に立つのが慣れてるって感じがするね」

海未「……あれ? おかしくないですか?」

希「……あれ」

希(なんで花陽ちゃん、話してることわかるんやろ)

751: 2014/09/07(日) 00:08:45.48 ID:l3FFoWPF0
希「は、花陽ちゃん」

花陽「え? 何?」

希「A-RISEに会ったこととか……あるん?」

花陽「あ、ライブとかはちょっと見たことあるよ」

希「そうじゃなくて、直接しゃべったり、とか……」

花陽「そ、そんな! 確かにA-RISEは頻繁にライブやってお客さんとコミュニケーションをとることに積極的なのはあるけど……」

花陽「春にも握手会やサイン会は数回やってたし、ライブ事態の数は他のアイドルグループに類を見ない多さで……」

希「ストップストップ!」

752: 2014/09/07(日) 00:10:38.21 ID:l3FFoWPF0
花陽「え? 何か間違ってたかな?」

希「いやいや、そういうことじゃなくて」

希(ていうかそもそもわからないし)

希「なんで花陽ちゃんは、A-RISEのインタビューがわかるのかってことを聞きたくて」

花陽「……き、緊張で聞こえなくなっちゃったとか!?」

希「ち、違うって! ウチらがおかしいってわけじゃなくて!」

海未「花陽、ちょっとこっちに来てください」

花陽「あ、うん……」

753: 2014/09/07(日) 00:15:09.71 ID:l3FFoWPF0
海未「私たちが来たこの夢の世界では、A-RISEと面識がない限り脳内補完ができないそうなんです」

花陽「……?」

希「たとえば、見たことも聞いたこともない料理の味は、絶対にわからないやろ?」

花陽「そうだね」

希「だからこっちも同じように――――――――」

花陽「あ、A-RISEのことをちゃんとわかってなかったら、こっちでもわからないってこと?」

希「そういうこと……なんやけど」

754: 2014/09/07(日) 00:16:55.94 ID:l3FFoWPF0
花陽「……」

海未「……」

希「……」

花陽「……何でだろう?」

海未「さあ……」

希「ウチにもさっぱり……」

希(どうしたんやろ。なんでこんなことが――――――――)

755: 2014/09/07(日) 00:17:53.29 ID:l3FFoWPF0

ここまで
かよちんに異変発生
わかりやすいフラグ回収でごめんね

絵里「つよくてにゅーげーむ」【8】

引用: 絵里「つよくてにゅーげーむ」 part2