764: 2014/09/08(月) 01:12:27.16 ID:kogWAWxx0

765: 2014/09/08(月) 09:58:00.10 ID:kogWAWxx0




絵里「……そういえば最近、夢の中の私に会ってないわね」

絵里(前に助言してくれてからそれっきりだし)

絵里「また寝たら出てきてくれるのかしら?」

絵里「もしかしたら私が見てる夢について知ってたり――――――――」

絵里(そうだ、意識を集中させてみれば……)
ラブライブ!The School Idol Movie

766: 2014/09/08(月) 10:02:20.66 ID:kogWAWxx0
絵里(出てこい私!)

絵里「むむむ……」

絵里(あ、でも自力では思い出せないとか言われたような……)

絵里(ああ、それならどうやって――――――――)

絵里(あれ? なんだか眠くなってきた気が……)

絵里「う……」

767: 2014/09/08(月) 10:06:56.92 ID:kogWAWxx0




……あれ? ここは……。

「おはよう」

……あ! 私!?

「ええ」

なんで? どうして会えたの?

「誰かが無理やりに私たちを引っ張り出そうとしたせいかしら。結局はあなたが引きずり込まれちゃったみたいだけど」

な、なるほど……。

そうだ、私には聞きたいことが色々あるの!

「それは今から説明してあげるわ。夢の迷路で迷子になられても困るしね」

768: 2014/09/08(月) 10:09:44.13 ID:kogWAWxx0
わかるの?

「もちろんよ。まあさすがに2回目のおまじないを行うとは思ってなかったけど」

2回目?

「気にしないで。こっちの話よ」

そうなのね。

あ、もしかして私が見た夢の世界について、わかったりする?

「ええ、わかるわ」

本当? なら教えてくれないかしら?

「そうねぇ……少し長くなるけどいい?」

ええ。

769: 2014/09/08(月) 10:11:50.58 ID:kogWAWxx0
「言ってしまえば、あっちはパラレルワールドと一緒よ」

ぱ、パラレルワールド!?

「そうよ」

私ってそんな大変なことを……。

「パラレルワールドと言っても、あれは夢とは紙一重なの」

夢と一緒なの?

「そうよ。あの世界は――――――――」




「夢だと思えば夢になってしまう世界よ」

770: 2014/09/08(月) 10:15:43.72 ID:kogWAWxx0
夢……どういうこと?

「オカルト的なものだからね。それは使用者の意識に関わることなの」

意識。

「そう、意識。言霊ってわかる?」

ああ、言ったことが本当になるみたいなやつよね。

「だいたいあってるわ。私たちもそういうのをあまり気にしてなかったから、気付くまでに時間がかかったんだけど……」

気付くって……まさか、あなたも行ったことがあるの?

「ええ、あるわ」

771: 2014/09/08(月) 10:19:23.41 ID:kogWAWxx0
「というか私たち全員が、そのおまじないを試してるからね」

前から気にはなってたんだけど、私たちってどういうことなの? あなたは1人じゃない。

「ああ、それね。みんなを呼んだ方がいい?」

うん、いいわ。

「みんな、出てきて」

「んー?」

「何かあったの?」

「あれ、もしかしてそこにいるのって……」

わ、私が4人に増えた!?

772: 2014/09/08(月) 10:23:26.92 ID:kogWAWxx0
「本当は7人いたんだけどね」

7人!? 7人もいたの!?

「あなたも迷った絵里?」

「いいえ、彼女は私たちを元の場所に置いてくる私よ。ずっと私が相手してたのはこの絢瀬絵里」

「ハラショー!」

「ハラショー!」

「ハラショー!」

……みんな同じこと言うのね。

「同じ人間だもの。仕方ないわ」

773: 2014/09/08(月) 10:27:43.01 ID:kogWAWxx0
「とりあえず、ややこしくなるから戻りなさい」

「はーい」

「わかったわ」

「ありがとうね、私!」

え? 感謝されることなんて……。

「何を言ってるのよ、あなたは……って、まだ説明してないのね」

「そうよ。今から説明するところだから」

うん、まだ何も聞いてなくて。

「そっか、うんうん。自分がいかにすごいことをしてるかちゃーんと理解してね」

774: 2014/09/08(月) 10:31:15.36 ID:kogWAWxx0
すごいこと……?

「まあ聞きなさい」

はい。

「さっき、あなたが見る夢のことをパラレルワールドって言ったじゃない?」

うん。

「で、行く先々であなたは別の役割を持っていた……そうでしょ?」

役割?

「ええ。ただの生徒会長ってだけじゃなかったわよね?」

ああ、生徒会の仕事をしてなかったりしたわ。

775: 2014/09/08(月) 10:36:35.90 ID:kogWAWxx0
「その時、あなたは別の絢瀬絵里になってるのよ。パラレルワールドの別の時間軸にある自分に乗り移ってるってこと」

……よくわからないけど、もともとその世界にいた私の体を借りてる……ってことでいいの?

「そういうこと」

そっか……パラレルワールドにいたんだ。

だから物に触れたりできるのね。

「ええ。体を借りてるから」

なるほど……自分でも気づかないうちに、かなり壮大なことをしてたわけね。

776: 2014/09/08(月) 10:43:19.83 ID:kogWAWxx0
「そしてもう1つ。その体を借りた時、もともといた絢瀬絵里はどこに行くと思う?」

え……あ、そっか、もともとの私がいるんだ。

えっと……その……どこかに行ってる、とか?

「正解よ」

やった!

「体を借りるときは、もともとの持ち主がいないとき、もしくは持ち主に憑依するような形で借りるしかないの」

憑依……あ、希がそんなことを言ってたわ。何かに憑りつかれたみたいな感じって。

「希は霊感とか強い方だものね。まあ行く先々でその強さが変わってくるけど」

777: 2014/09/08(月) 10:45:23.66 ID:kogWAWxx0
ん? でも、持ち主がいないときってどういうこと?

「それはもちろん、あなたと同じようにパラレルワールドに行ってる時とか」

……そっか、なるほど。そんなことがあるんだ。

「あともう1つの可能性としては――――――――」





「私たちみたいに、帰る場所がわからなくなった場合ね」

778: 2014/09/08(月) 10:50:20.29 ID:kogWAWxx0
帰る場所が……え?

「帰れない場合は、体がずっと抜け殻として残るのよ。行く先々で倒れたりよろめいたりしそうになったでしょう?」

したわ。今は結構慣れたけど……。

「おまじないって言っても、ただ寝る以外にもいろいろあるのよ。立ったままでも意識を集中させるだけ、とか」

え、そんな簡単なものでもいいの?

「ええ。オカルトってそんなものよ」

なるほど……。

779: 2014/09/08(月) 10:56:29.15 ID:kogWAWxx0
「まあどういう仕組みかはわからないけどね」

そうよね。

あ、でも体が抜け殻のままなら、倒れたまま時間が進んだりしたら……。

「その辺はたぶん大丈夫よ」

え?

「だってあなたが向かったところでは、いつも倒れる寸前とかばかりだったでしょう?」

そうね。

「パラレルワールドでの時間の進みが私にもよくわからないんだけど……たぶん倒れるタイミングぴったりに時間が合わせてあるみたいなのよね」

780: 2014/09/08(月) 11:00:09.23 ID:kogWAWxx0
す、すごいわね。

「そうなの。全ての世界の時間が、同じように一律で進んでいるとは限らないみたいなの」

「実際に過去に戻っていたりすることもあるし」

そういえば確かに、夏っぽくなかった時期もあったような……。

「それと同じで、あなたが行った先の世界で滞在していた時間と、こっちに戻ってきたときに立っている時間も違うでしょ?」

あ、違う。

「そういうことよ。このあたりは何度考えてもわからないままなの」

へぇ……。

781: 2014/09/08(月) 11:06:05.22 ID:kogWAWxx0
「それであなたは、別の世界に行くついでに私たちを元の位置に戻していくってわけ」

へー……。

ん? 今さりげなく、ものすごいこと言わなかった?

「ああ、そのために私たちがあなたを導いてるってことよ。どの世界に行くか、とか」

ええっ!? ど、どういうこと!?

「私たちは帰れなくなったって言ったでしょ?」

うん。

「だからついでに、元の位置に戻してもらうの」

!?

782: 2014/09/08(月) 11:13:26.29 ID:kogWAWxx0
え、それって……あなたたちがいた場所に、私が夢を通して行ってるってことなの?

「そうよ。普通は望んだ場所に近いところへ行けるみたいだけど、あなたはそういうのがなかったからこっそりと、ね」

そう、だったのね……。全然気づかなかった。

「そうして私たちは、自分の意識をあなたから切り離すことで元の場所に帰ることができる……」

「ふふ、導かれてるのは私たちの方かもね」

そういうことになるんだ。

「ええ」

783: 2014/09/08(月) 11:16:46.03 ID:kogWAWxx0
「あ、忘れてたわ。言霊の話だけど」

うん。

「あの世界を、夢だ夢だと言い続けたり思い続けたりしたら夢になるわ」

……?

「わからないって顔ね……まあ私も最初はわからなかったわ」

「簡単に言うと、現実だと思えば現実になるし、夢だと思えば夢になるの」

わかったような、わからないような……。

「そうよね。ただ、あっちはそういうふわふわした世界だってことに気付いてくれればそれでいいの」

784: 2014/09/08(月) 11:22:07.15 ID:kogWAWxx0
「あっちの世界を夢だと思わせることによって、現実の戻ってこられる場所をしっかりと記憶させる」

「これが正しい使い方なのよ」

本当は夢じゃなくて現実の世界なのに?

「ええ、だって現実の世界が2つもあると、どっちに戻っていいかわからなくなるでしょ?」

そうね……。

「まあ現に、誰かさんはその状態に陥ってるんだけど」

……?

「ま、これは自分で気づかないと意味がないからねぇ……他人に教えられた答えじゃ、本当に元いた世界がすぐにわからなくなるもの」

785: 2014/09/08(月) 11:24:58.89 ID:kogWAWxx0
あ、ずっと聞こうと思ってたんだけど……。

「何かしら?」

なんで私にくっついてるの?

「それは私が、もともとの体の持ち主だからよ」

えっ。

あ、ご、ごめんなさい。

「いいのよ別に。ずーっと迷って迷って出てこられたら、あなたがいたんだもの」

迷ったって……あなたもなの? 他の私たちと同じで?

「迷った理由はまた今度ね。あなたが違和感に気付いたときに教えてあげるわ」

786: 2014/09/08(月) 11:27:32.82 ID:kogWAWxx0
……あ! そうだ!

「どうしたの」

眠りすぎるといけないんだった! どうしよう……かなリ話し込んじゃった。

「大丈夫よ」

え、でも……。

「あなたはこうして私を呼べた。それは、いつでも私がその違和感を教え続けてあげられるってことよ」

あ、そっか。

「だから心配しないで」

わかったわ。

「でもあまりに長く眠りすぎると、私のことまで忘れちゃうから気を付けてね」

ええ。

787: 2014/09/08(月) 11:29:49.06 ID:kogWAWxx0
あ、次にあっちの世界に行ったときは、4人の内誰かがいた世界ってことね。

「3人よ。私の世界はここだもの」

ああ、そうだったわね。

じゃあ後3回はアレをやらなきゃいけないってわけね。

「そうよ。ただ訪れるだけでもいいけど、あなたの好きなようにやってくれて構わないわ」

え? どうして?

元の人がいるのに。

788: 2014/09/08(月) 11:31:43.52 ID:kogWAWxx0
「ふふ、何を言ってるの」

え?

「あなたの行動は私たちの行動よ」

「あなたは私たちよりもはるかにポジティブで前向きだけど、それ以外はほとんど同じ性格なんだから」

あー……。

そっか、そうよね。私なんだから……。

「でもあんまり無茶な行動はしないでね」

ええ、気を付けるわ。

789: 2014/09/08(月) 11:33:22.11 ID:kogWAWxx0
「……よし、そろそろ起きる時間よ」

うん。

「目を覚ます準備をして」

「あなたは戻って元の世界へ戻るのよ」

790: 2014/09/08(月) 11:33:48.85 ID:kogWAWxx0




「あなたのいるべき場所へ、戻りなさい」





805: 2014/09/09(火) 00:35:17.68 ID:/PygjeT50




絵里「……ん、今何時かしら」

絵里(寝たのがお昼過ぎくらいだったから……)

ことり「おはよう絵里ちゃん。晩ご飯食べに行こっか」

絵里「うん」

絵里(……)

絵里「晩ご飯!?」

806: 2014/09/09(火) 00:37:07.49 ID:/PygjeT50
ことり「そうだよ。晩ご飯」

絵里「こ、ことり、いつの間に帰ってきて……」

ことり「2時間前くらいかなぁ。絵里ちゃんがぐっすり寝てたから、起こすのは忍びないなぁと思って」

絵里「そ、そんな……」

絵里(でもさっきまで太陽が見えて――――――――)

絵里「……月が綺麗ね」

ことり「きゃっ、絵里ちゃんプロポーズ?」

807: 2014/09/09(火) 00:38:39.27 ID:/PygjeT50
絵里(えー……ってことは私、相当話し込んでたみたいね)

絵里(ん? でもあっちにいたのって10分……長くて20分くらいよね?)

絵里(……あ、普通に寝てたんだ、私)

絵里「そうね。晩ご飯食べに行きましょう」

ことり「はーい」

808: 2014/09/09(火) 00:41:29.32 ID:/PygjeT50
絵里(……私は最低あと3回、あのおまじないをやらなきゃいけないのよね)

絵里(今日の晩と、明日のお昼と晩で終わり……よね?)

絵里(あと1人はここにいる私だったみたいだし――――――――)



『それは私が、もともとの体の持ち主だからよ』



絵里(……あれ? この体の持ち主って、私じゃないの?)

809: 2014/09/09(火) 00:43:29.92 ID:/PygjeT50
絵里(うーん、また何か変なことが起こってるのかしら。今度聞いてみよう)

ことり「それにしてもびっくりだよぉ。絵里ちゃん1日で書類書き終えちゃうんだもん」

絵里「ああ、そのくらいは慣れてるわ。生徒会の仕事でよくやってたもの」

ことり「すごいね絵里ちゃん」

絵里「それほどでもないわ」

絵里(って言っても、生徒会の仕事はあんまりなかったけどね)

810: 2014/09/09(火) 00:45:52.76 ID:/PygjeT50
絵里(希だけじゃなくて、花陽も手伝ってくれてたし)

絵里(……)

絵里(なんで花陽が? どうして手伝ってくれてたんだっけ?)

絵里(何か忘れてるような気がするわね……うーん)

絵里(まあ今は食事を優先しなきゃね)

絵里「ことり、準備できた?」

ことり「ばっちりだよ!」

絵里「今日はお昼食べてないから、いっぱい食べちゃおうかしら。ふふっ」

818: 2014/09/09(火) 15:15:05.33 ID:/PygjeT50



絵里「ふー、食べた食べた」

ことり「絵里ちゃん、普段あんなにたくさん食べるの?」

絵里「ううん、今日は少し多かったわ」

ことり「少しって……あ、そういえば絵里ちゃんが風邪ひいたときに食べてた朝ごはんの量も結構あったような……」

ことり「むむむ……絵里ちゃん太らないタイプ?」

絵里「どうかしら。ちゃんと運動はしてるんだけど」

絵里(夢の中で走ったりしたし)

819: 2014/09/09(火) 15:21:28.17 ID:/PygjeT50
ことり「ずーるーい」

絵里「そんなこと言われてもねぇ……ことりも太ってないじゃない」

ことり「……最近二の腕にお肉が」

絵里「そうなの? 全然わからないけど」

ことり「このままじゃ腕が丸太みたいになっちゃうかも」

絵里「逆に見てみたいわね」

ことり「絵里ちゃんのいじわる」

絵里「ふふ、だってしょうがないわよ」

820: 2014/09/09(火) 15:23:02.64 ID:/PygjeT50
絵里「さ、もうお風呂……じゃなかった。シャワー浴びて寝ましょうか」

ことり「そうだね。今度は覗かないでね?」

絵里「はいはい」

ことり「じゃあ昨日と一緒で私から入るよ」

絵里「ええ」

ことり「着替え着替えーっと」

821: 2014/09/09(火) 15:28:59.57 ID:/PygjeT50



絵里「……さて、今日聞いた話をまとめてみようかしら」

絵里「まずは……そうね。私が行ったのは夢じゃなくてパラレルワールドってところね」

絵里(夢と紙一重って言うのはよくわからなかったけど、とりあえずあっちも現実なのには変わりない、ってことよね?)

絵里「後は何があったっけ……」

絵里(ああ、私はこれから、意識の中にいる私たちを元いた世界に返して行かなきゃいけない)

絵里(7人いたって言ってたけど……残り3人はどうしたのかしら?)

822: 2014/09/09(火) 15:32:46.83 ID:/PygjeT50
絵里「まあそれは置いといて……」

絵里(私はあっちに行くときに、別の自分の体を借りてる)

絵里(その体を借りれるのは、そこに私の意識がないからで……)

絵里「うぅ、このあたりがわかりにくいわね」

絵里(体をコップ、意識を水と考えたらわかりやすいかしら?)

絵里(空のコップに何も入ってないから、水は入ることができる)

絵里(……こんな感じかしら)

823: 2014/09/09(火) 15:39:06.17 ID:/PygjeT50
絵里(それで、もともと水が入っていた場合は、一旦別の容器に移しておいてから水を入れる……)

絵里「……ふむ。それで戻るときにちゃんと戻すわけね」

絵里(希みたいに移し替えられたのがわかることもあれば、わからないこともある……)

絵里「まあそんなところ……よね」

絵里(難しいことは考えずに、単純にパラレルワールドに3回行けばいいってわけね)

絵里(よし、おしまい!)

絵里「ふー……考えたら疲れた。シャワー浴びよう」

ことり「きゃあああああ!?」

絵里「あっ」

829: 2014/09/11(木) 00:08:38.53 ID:f8slL2AH0

>>825-828
意見ありがとう

昨日は連絡無くてすまなかった
今日は雷がひどくてこわいので更新は明日の朝昼にします

835: 2014/09/11(木) 11:00:28.89 ID:f8slL2AH0


絵里「ことり、起きてる?」

ことり「……」

絵里(寝てる……わよね)

絵里(本当に寝つきがいいのね、ことりって)

絵里(何か枕に秘密でもあるのかしら)

絵里(……よし、私も早く行かないと)

絵里「おやすみなさい」

836: 2014/09/11(木) 11:04:10.35 ID:f8slL2AH0


――――――――ねぇ……ちゃん、お……!――――――――

んん? あれ、何でだろう。

今までだったら普通に起きられたのに。

なんだか普通に眠い気が……。

――――――――ねぇ、お姉ちゃん、起き……!――――――――

お姉ちゃん? ってことは亜里沙が……。

でもこの声、どこかで……。

――――――――こうなったら凛のくすぐりこうげきを……――――――――




絵里「ええっ!? 凛!?」

凛「やっと起きた! もー、お姉ちゃんったら。昨日夜更かししたでしょ?」

絵里(な、なんで凛が……?)

837: 2014/09/11(木) 11:06:55.99 ID:f8slL2AH0
凛「今日は生徒会の活動があるんだよね。凛はかよちんと待ってるにゃ」

絵里「え、う、うん。そうね」

絵里(なんで凛が妹に……)

絵里(……なるほど、パラレルワールドってそういうこと)

亜里沙「凛お姉ちゃん、起きた?」

凛「亜里沙、それだと凛が寝坊してるみたいだよ」

亜里沙「いつものことでしょ?」

絵里(亜里沙はちゃんといるのね。よかった)

838: 2014/09/11(木) 11:10:22.04 ID:f8slL2AH0
亜里沙「凛お姉ちゃん、いつも絵里お姉ちゃんに起こしてもらってるから」

凛「……そういえばそうだね」

絵里(そうなんだ)

亜里沙「トースト、用意してるから早く来てね」

凛「晩ご飯はラーメンがいい」

亜里沙「自分で作るならいいよ?」

凛「亜里沙の作るラーメンは絶品で……」

亜里沙「イ・ン・ス・タ・ン・ト・で・す!」

絵里(料理は亜里沙が作ってるんだ……こっちの私は料理しなかったのかしら)

839: 2014/09/11(木) 11:12:58.93 ID:f8slL2AH0
凛「お姉ちゃん作ってぇ……」

絵里「別にいいわよ。そのくらい」

凛「えっ」

亜里沙「えっ」

絵里「ど、どうしたの2人とも……」

亜里沙「絵里お姉ちゃんが……料理!?」

凛「し、信じられない!」

絵里(こっちの私は一体何をしてたのやら)

840: 2014/09/11(木) 11:16:50.95 ID:f8slL2AH0



絵里「行ってきます」

亜里沙「行ってらっしゃい」

絵里(あれ、私の家ってこんな場所だったかしら)

凛「亜里沙は学校行かないの?」

亜里沙「今日は2時間目からなの」

凛「へー。そんなのあるんだ」

亜里沙「昨日話したでしょ」

絵里(しっかり者の亜里沙……なかなか見られないわね)

841: 2014/09/11(木) 11:19:30.38 ID:f8slL2AH0
花陽「おはよう絵里ちゃん、凛ちゃん、亜里沙ちゃん」

凛「あ、かよちん! おはよう!」

亜里沙「おはようございます」

絵里(ああ、花陽の家が隣になってるのね。凛と花陽が幼馴染っていうのは変わってないんだ)

絵里「おはよう花陽」

花陽「……」

絵里「……?」

842: 2014/09/11(木) 11:24:06.03 ID:f8slL2AH0
花陽「きょ、今日はいつもの……やらないの?」

絵里(いつものって何だろう)

絵里(両手を広げて花陽が待ってる……なんとなく抱きしめたいような)

絵里(試す価値はあるわね)

絵里「おはよう花陽!」

花陽「お、おはようっ」

絵里「いつもの……これよね?」

花陽「うん、そうだけど……」

絵里(あってた!)

843: 2014/09/11(木) 11:27:35.19 ID:f8slL2AH0
凛「お姉ちゃん、そういえば凛たちにはそれ、やってくれなかったね」

亜里沙「寝ぼけてたの?」

絵里「そういうことよ」

絵里(あ、でも花陽の抱き心地、いいわね……思わずずっと抱きしめていたくなっちゃう)

絵里(それにそこはかとなく炊き立てのご飯の匂いが)

海未「せ、生徒会長!? 何をしているんですか!」

絵里「え、海未?」

海未「!?」

844: 2014/09/11(木) 11:30:21.66 ID:f8slL2AH0
凛「あ、園田さんおはよう」

亜里沙「おはようございます」

海未「はい、おはようございます……生徒会長? 何故私を名前で呼んだのですか。急に」

絵里(えっ、もしかして今度は海未がμ'sに入ってないとかそういう――――――――)

海未「今まではずっと書記さんだとか役員さんだとか……いつまで経っても名前を覚えていなかったのに!」

絵里(あ、これ違う。海未が生徒会役員なんだ)

845: 2014/09/11(木) 11:35:22.69 ID:f8slL2AH0
絵里「えっと……あの、穂乃果とことりは?」

海未「先に行ってもらいました。生徒会長がちゃんと起きているか心配でしたので」

凛「とか言いながら毎日来てるにゃ」

亜里沙「きっと絵里お姉ちゃんのこと慕ってくれてるんだよ」

絵里(それならうれしいんだけど……なんだか海未怒ってる)

花陽「え、絵里ちゃん。そろそろ……」

絵里「あ、ごめん花陽」

846: 2014/09/11(木) 11:39:51.98 ID:f8slL2AH0
海未「……そろそろ時間ですね。行きますよ」

絵里「何かあるの?」

海未「朝礼があるでしょう。生徒会長……まさか何をやるか忘れたとか言いませんよね?」

絵里(忘れた)

絵里(というか知らないわよそんなこと!)

花陽「新入生の部活勧誘のお知らせじゃないかなぁ?」

海未「そうですよ。わかっていますね生徒会長」

絵里「も、もちろんですとも!」

凛「あ、そういえば凛たち、まだ何部に入るか決めてなかったね」

847: 2014/09/11(木) 11:44:43.64 ID:f8slL2AH0
絵里(そっか……まだ春なんだ)

絵里(やけに眠いのはそのせいよね。こっちの私が疲れてる、とかいうわけじゃないのよね)

絵里(……そうだ! 今のうちにクラスを聞いておこう!)

絵里「凛、花陽。2人ともクラスどこだっけ?」

凛「何言ってるのお姉ちゃん。1年生はクラス1つしかないよ?」

亜里沙「そうだよ。入学者数が年々減っていってるからね……オトノキ、大丈夫なのかなぁ」

絵里「ああ、そうだったわね」

絵里(……ってことはもしかして、廃校のお知らせが出る前の時期なの?)

848: 2014/09/11(木) 11:47:29.63 ID:f8slL2AH0
絵里(今は色々考えても仕方がないわね)

絵里「じゃあ行きましょうか」

花陽「うん」

凛「亜里沙、戸締りはしっかりね」

亜里沙「大丈夫」

絵里(いつもの亜里沙見てると心配だけど、こっちなら大丈夫なのかも)

850: 2014/09/11(木) 11:49:52.63 ID:f8slL2AH0
海未「生徒会長。軽い原稿を用意したので目を通しておいてください」

絵里「え? これ何の原稿?」

海未「朝礼の時に使う物です」

絵里(そのためだけにこれを……? 私がやった朝礼は、こんなにしっかり用意してなかったけど……)

絵里「ありがとう海未。読んでおくわ」

海未「だ、だからその海未と呼ぶのは……」

絵里「えー、でも私も園田さんって呼ぶの嫌よ。他人行儀で」

凛「仲いいね」

花陽「うんっ」

851: 2014/09/11(木) 11:55:57.00 ID:f8slL2AH0



海未「生徒会長、舞台袖で待機していましょう」

絵里「あれ? 副会長がいないけど……」

絵里(希は朝礼の時に前に出てたわよね?)

海未「何を言ってるんですか生徒会長。生徒会に副会長はいませんよ」

絵里「え」

絵里(あれ、生徒会のシステムが破たんしてる気が……)

海未「そもそも今年度は立候補者が少なかったせいで、生徒会は会長と穂乃果、ことりに私だけで運営しているじゃないですか」

絵里(わ、すごい! 身内だけだ!)

絵里「って希は?」

852: 2014/09/11(木) 11:58:25.26 ID:f8slL2AH0
海未「え?」

絵里「希よ。希」

海未「希ですか?」

絵里(あれ、何で海未は名前で呼んで……)

海未「希は生徒会役員に立候補するようなタイプではないでしょう」

絵里「……そうだっけ?」

海未「そもそも希は2年生ですよ。生徒会長、希と交流があったんですか?」

絵里「に、2年生!?」

海未「ええ、そうですけど」

853: 2014/09/11(木) 12:00:18.10 ID:f8slL2AH0
絵里(希が2年生……ってことはどういうこと?)

絵里(凛と花陽は幼馴染で1年生。でも凛は私の妹)

絵里(穂乃果とことりと海未も幼馴染っぽくて、3人とも生徒会役員……)

絵里(にこと真姫がまだわからないけど――――――――)

絵里「変わりすぎでしょ……もう」

海未「?」

861: 2014/09/13(土) 00:55:19.61 ID:oGLt3wkQ0



絵里「ふー。終わった」

絵里(演説とかは何度もやったことあるし、たいして緊張しなかったわね)

海未「……」

絵里「どうしたのよ海未」

海未「いえ、変だと思いまして」

絵里「えっ」

862: 2014/09/13(土) 00:57:23.38 ID:oGLt3wkQ0
海未「いえ、いつもの生徒会長なら、確実にやりたがらないと思いまして……」

絵里(ま、まずい!)

絵里(ていうかこっちの私はどれだけ怠慢だったのよ!)

絵里「いや、そんなことはないわよ。やる気に満ち満ちてるっていうか……」

海未「こんなことより帰ってキルティングしたい、とか言いそうですし」

絵里(キルティングって何)

863: 2014/09/13(土) 00:59:57.44 ID:oGLt3wkQ0
海未「どうしたんですか? 変ですよ会長」

絵里「そ、そんなことないって……それより穂乃果たちは?」

海未「向こうの席に座っていますよ。穂乃果たちはこういう場にあまり立つ役職ではありませんから」

絵里「書記が何をおっしゃる」

海未「それは生徒会長が、1人じゃさびしいから出ろと言ったんじゃないですか」

絵里(ますます私がわからない……私は何をしていたの?)

864: 2014/09/13(土) 01:01:58.34 ID:oGLt3wkQ0
海未「一応昼休みにも生徒会の会議……まあただの集まりですけど……がありますから、ちゃんと出席してくださいね」

絵里「ええ。わかったわ」

海未「……本当に?」

絵里「わかったってば!」

海未「はい。では失礼しますね」

絵里「もう……」

絵里(海未はあんまり変わってなさそうだけど……穂乃果やことりはどうかわからないわね)

865: 2014/09/13(土) 01:04:55.24 ID:oGLt3wkQ0
絵里(……ん? 希が2年生だとしたら、3年生は私とにこだけ……)

絵里(……)

絵里「にこ、私と知り合いじゃ……ないわよね、うん」

絵里(上手くしゃべれるかしら……1つ前の世界のにこみたいな感じだったら……)

絵里「雰囲気が違いすぎて……ダメね」

絵里(……うう、困ったわね)

870: 2014/09/14(日) 01:28:53.12 ID:KUbO1wFM0




絵里「……」

絵里(まるで他のクラスに来てしまったような疎外感が……)

絵里(そう、よね? ただでさえ誰と交流があるかわからないんだから……)

絵里(……ん? あのツインテールには見覚えが)

絵里「あ」

にこ「あ」

絵里(にこだ)

871: 2014/09/14(日) 01:31:20.37 ID:KUbO1wFM0
絵里(見た目は何1つ変わってない)

絵里(……でもさっき、私に反応したわよね?)

にこ「……」

絵里(うわわ!? こっちに来る!?)

にこ「絵里!」

絵里「は、はいっ!」

絵里(……あれ? 私のこと、知って――――――――)




にこ「今日はお弁当取りに来てって言ってたわよね。どうして来なかったの」

絵里「……へ?」

872: 2014/09/14(日) 01:33:17.05 ID:KUbO1wFM0
にこ「へ? じゃないわよ! あんた自分でした約束も守れないの?」

にこ「もうお弁当作ってあげないわよ!」

絵里「え、あの、その……」

にこ「何よ。遺言なら聞いてあげるわ」

絵里「まだ氏にたくないわ」

にこ「……もう」

絵里(なんでにこは怒ってるんだろう……それにお弁当って何?)

873: 2014/09/14(日) 01:35:35.18 ID:KUbO1wFM0
絵里(もしかしたらにこの立ち位置も変わってたりするの?)

絵里(実は幼馴染だったり、とか……?)

にこ「ぬぬぬ……」

絵里(いや、絶対聞けない)

絵里「ご、ごめんねにこ。今朝は急いでて、つい……」

にこ「はいはい。その言い訳は聞き飽きたわ」

絵里(私の信用ゼロじゃない!)

874: 2014/09/14(日) 01:38:47.95 ID:KUbO1wFM0
絵里「悪かったってば。この通り!」

にこ「しょーがないわねー……いっつもそうやってのらりくらりと逃れようとするんだから」

にこ「ちょっとくらいやる気出しなさいよね」

絵里「あはは……」

絵里(何、こっちの私は一体何をしてたっていうの)

絵里(さっぱりわからない……凛に聞いて来ようかしら)

にこ「次やったら許さないわよ」

絵里「ええ、わかったわ」

875: 2014/09/14(日) 01:41:40.13 ID:KUbO1wFM0
にこ「ったくもー……ちっちゃいころは、にこ姉、にこ姉って何をするにもちょこまかとついてきてたくせに……」

絵里「ちっちゃいころ……?」

にこ「何よ。忘れたとは言わせないわよ?」

絵里(忘れた)

にこ「今では身長もこんなに差がついちゃったし……ケッ」

絵里(にこがやさぐれてる……やさぐれにこだ!)

絵里(って、そんなこと考えてる場合じゃなくて)

絵里「にこ、もう少し小さいころの話してみない?」

絵里(これは情報を仕入れるチャンスよね)

876: 2014/09/14(日) 01:43:41.25 ID:KUbO1wFM0
にこ「何よ突然」

絵里「にこ姉、お願いっ!」

にこ「……」

絵里(あ、今のはさすがに失敗した――――――――)

にこ「ふ、ふん! しょーがないわね。あんたがどれだけ私を慕ってたか、改めて教えてあげようじゃない」

絵里(わー、すごくうれしそう)

絵里(もしかしたらこっちの私もこんな風に頼んだりしてたのかしら)

877: 2014/09/14(日) 01:45:53.00 ID:KUbO1wFM0
にこ「あんたはいっつもそうやって、私に宿題見せてもらったりお弁当作ってもらったり――――――――」

絵里「えっ」

にこ「え? 何?」

絵里「……にこさん、得意科目は?」

にこ「数学だけど……って、あんたに教えるせいで、どの科目もそれなりにできるようになったわ」

絵里(……)

絵里(私、バカだったのね)

絵里(あ、いや。にこが賢いって可能性もあるわよね。うん)

878: 2014/09/14(日) 01:48:20.39 ID:KUbO1wFM0
絵里「にこ、2年次の学期末テストの平均点は?」

にこ「89」

絵里(ば、バストにしてはひどすぎる虚偽申告ね)

絵里「わ、私の平均点は……」

にこ「46」

絵里(……ウエストかしら。ほそーい)

にこ「本当に……なんであんた生徒会長になれたのよ」

絵里「ごめんなさい」

879: 2014/09/14(日) 01:52:35.73 ID:KUbO1wFM0
絵里(そ、そんなに残念な子だったの……私)

にこ「あんた、とことんやる気出さないタイプだったものね」

絵里「え」

絵里(救いがあるんですか?)

にこ「たぶんあんたなら、学年上位を軽く狙えると思うわよ。本気出せば」

にこ「だって実際チョコで釣ったらテスト平均96点だったでしょ」

絵里(うわああああ! 私のとってたテストの平均より高い! なんかむしゃくしゃする!)

880: 2014/09/14(日) 01:55:24.76 ID:KUbO1wFM0
絵里(あの時は答えもわかってたっていうのに……すごい罪悪案に押しつぶされそうだったけど)

絵里(……あれ? なんで知ってたんだっけ)

にこ「ん、何だか外が騒がしいわね」

絵里「え?」

絵里(あ、確かに教室に人がいないような……)

絵里「……言われてみればそんな気が」

絵里「って、移動教室じゃないの!?」

にこ「バカ。1時間目は英語よ」

881: 2014/09/14(日) 01:57:56.85 ID:KUbO1wFM0
絵里「じゃあ何で……」

にこ「行ってみればわかるわ」

希「大変大変! 大ニュース! えりち先輩! にこっち先輩!」

絵里「え、希?」

絵里(あ、やっぱりネクタイだ)

にこ「どうしたのよ、そんなに慌てて」

希「廊下の掲示板! 早く!」

絵里「え、っわ、ちょっと、引っ張らないでってば!」

にこ「?」

882: 2014/09/14(日) 01:59:59.30 ID:KUbO1wFM0
にこ「希、少しは落ち着きなさいよ」

絵里(希とにこは知り合いなのね)

絵里(……ていうか希に、先輩って呼ばれるのはなんだかくすぐったい気分かも)

希「落ち着いてられるわけないやん! ほらこれ!」

絵里「え? ……あ」

にこ「……何よこれ」

希「ウチもさっきクラスの子に聞いて、初めて知ったんやけど……」

883: 2014/09/14(日) 02:01:35.07 ID:KUbO1wFM0




にこ「廃校のお知らせって……何なのよ!」






884: 2014/09/14(日) 02:04:02.18 ID:KUbO1wFM0
絵里(やっぱり来たわね……)

絵里(私はどうしようかしら)

絵里(とりあえずいつも通り希に話を聞いてみたいところだけど……この状況じゃ無理そうね)

絵里(ちゃんとみんなの関係も知っておきたいし、まだ残っておくべきかしら)

絵里「……こっちのみんなの様子も心配だからね」

891: 2014/09/15(月) 00:45:12.16 ID:sSbIZiY10
絵里(うーん、廊下がざわざわしてる……これじゃ授業始められないわね)

絵里「みんな、びっくりしたのはわかるけど教室に戻りましょう。きっと理事長からお話があるわ」

絵里「私も後で聞いてみるから戻りなさい」

希「おお、みんな言うこと聞いた……」

絵里(よかった。一応発言力はあるみたいね)

希「えりち先輩、生徒会長みたい」

絵里「私はれっきとした生徒会長よ」

892: 2014/09/15(月) 00:46:43.84 ID:sSbIZiY10
にこ「ねぇ、絵里」

絵里「んー?」

にこ「……なんでそんなに落ち着いてるわけ?」

絵里「それは―――――――」

絵里(今の私には頼れる仲間がいるもの)

絵里(なんて、言うわけにもいかないわね)

絵里「びっくりしすぎて逆に落ち着いてるのよ」

にこ「……」

893: 2014/09/15(月) 00:49:40.13 ID:sSbIZiY10
絵里(……にこが睨んでる)

絵里「何よ。そんなに私の言葉が信じられない?」

にこ「……嘘が上手になったわね。あんた」

絵里「えっ」

にこ「他のみんなの目が誤魔化せたって、私にはそうはいかないわ」

にこ「あんたと何年幼馴染やってきたと思ってるのよ」

絵里「ええっ!?」

894: 2014/09/15(月) 00:51:33.19 ID:sSbIZiY10
絵里(お、幼馴染だったの!? え、でも家が近くになかったような……)

にこ「引っ越しでちょっと家が離れたくらいで、そんなに変わるものなの?」

絵里(……なるほど、幼馴染だったけど、私が引っ越したわけね)

希「なーんか険悪な雰囲気やね……どうしたん?」

にこ「希は教室に戻ってなさい」

希「うー……ウチにも教えてくれたって――――――――」

にこ「希!」

895: 2014/09/15(月) 00:53:13.13 ID:sSbIZiY10
希「っ!」

絵里「!」

絵里(にこが……怒ってる)

にこ「お願い。絵里と2人きりにして」

希「……ちゃんと仲直りしてな」

にこ「ええ、だから今は……」

希「うん」

896: 2014/09/15(月) 00:54:21.86 ID:sSbIZiY10
絵里「……にこ、あの」

にこ「……」

絵里「ごめんなさい、私――――――――」




にこ「ああああああ! もう!」




絵里「!?」

897: 2014/09/15(月) 00:56:37.62 ID:sSbIZiY10
にこ「ごめんなさいって何よ!」

絵里「え、その」

にこ「急に人が変わったみたいに真面目になって、嘘も吐いて」

絵里「いや、ちょっと」

にこ「花陽ちゃんや希とばっかり仲良くして!」

にこ「生徒会だから忙しいとか……何なのよもう!」

絵里(え、そっち?)

にこ「……そんなに私が嫌い?」

898: 2014/09/15(月) 01:00:41.91 ID:sSbIZiY10
絵里「そ、そんなわけないでしょ! にこは大事な友達で――――――――」

にこ「友達、ね……幼馴染じゃなくて」

絵里(しまった)

にこ「はぁ……悪かったわね、むやみに突っかかって」

にこ「気が動転してるのよ、きっと」

絵里(こんな時……私だったら何て声をかければいいの)

絵里(幼馴染の絢瀬絵里だったら、どう答えるの?)




「ごめんねにこ。不器用な私でごめんなさい」

899: 2014/09/15(月) 01:04:11.75 ID:sSbIZiY10
絵里「!」

絵里(今、誰かの声が……)

にこ「だから、謝らないでって言ってるでしょ……?」

絵里(誰が謝ってるの?)

絵里(……一体今のは、誰の声?)

「にこ。覚えてる? 私が夏休みの宿題を1つだけ家に忘れてきたときのこと」

絵里(違う、知ってる。この声は――――――――)



絵里「先生に、絵里は普段バカだけど、そんなズルは絶対しませんって言ってくれたのは誰だった?」



絵里(……私の声だ。私が勝手にしゃべってるんだ)

900: 2014/09/15(月) 01:06:48.66 ID:sSbIZiY10
にこ「ふん。そんな昔のこと言われたって覚えてないわよ」

絵里「にこの嘘吐き」

にこ「あんたも嘘吐きじゃない」

絵里「あんたも、って言った! やっぱりにこ、嘘吐いてたんだ……ひどい!」

にこ「何言ってるのよ、あんたが先に……!」

絵里「許して。大好きよ、にこ」

にこ「……またそうやって、抱き着いてくるのね」

絵里「ふふ、私たちはずっとこうして仲直りしてきたじゃない」

901: 2014/09/15(月) 01:08:59.62 ID:sSbIZiY10
にこ「……バカなのに記憶力だけはいいんだから」

絵里「大切な思い出よ? 忘れるわけありません」

にこ「そんなこと言えるなら、大切な英単語の1つや2つ覚えてみなさい」

絵里「えー、やだー」

にこ「やる気出しなさいよ」

絵里「私のやる気は、いつか来る試練の為に蓄えてあるの」

にこ「燃費の悪い高校生ね」

絵里「えへへ」

902: 2014/09/15(月) 01:13:30.68 ID:sSbIZiY10
絵里(これってもしかすると……いや、確実にそうね)

絵里(体が本来の持ち主の元に還った……ってわけ)

絵里(あの世界の希はこんな体験をしていたのかしら)

絵里「あ、にこ。先に教室戻ってて」

にこ「え?」

絵里「ちょっとお手洗いに……」

にこ「……バカ、早く行ってきなさい」

絵里「はーい」

絵里(うわわ、体が勝手に動いてる。変な感じ……)

903: 2014/09/15(月) 01:16:14.64 ID:sSbIZiY10



絵里「っと、ついたついた」

絵里「もしもーし。私、聞こえますかー?」

絵里(……えっ? 私に呼びかけてるの?)

絵里(何て返事すればいいのかしら……)

絵里「あれ? 聞こえてない?」

絵里「ならもっと大きな声で――――――――」

絵里(まずい! このままじゃトイレで叫ぶ変Oになってしまう!)

絵里(聞こえてるわよ! もしもし!)

絵里「あ、聞こえてた」

907: 2014/09/15(月) 01:21:23.53 ID:sSbIZiY10
絵里(た、助かった……)

絵里「うん、ギリギリだったわ」

絵里(そうね……って、わかってるなら何でやるのよ!)

絵里「へ?」

絵里(へ? じゃなくて)

絵里「あ、もしかして私もトイレ?」

絵里(へ?)

905: 2014/09/15(月) 01:19:51.93 ID:sSbIZiY10
絵里「でも私が先に行っていいかしら? もう我慢の限界で……」

絵里(……そっちのギリギリね)

絵里(早く行きなさい。待ってるから)

絵里「はーい」

絵里(……くっ、言動の1つ1つにバカっぽさが垣間見える)

絵里「よく言われるわ」

909: 2014/09/15(月) 01:23:46.12 ID:sSbIZiY10




絵里(ねぇ、あなたってこっちの世界の私よね)

絵里「ええ」

絵里(やっぱり……でもどうして? 今まではこんなこと1度もなかったのに)

絵里「いやー、にこは寂しがり屋だから、ちゃんと一緒にいてあげないとダメなのよ」

絵里(寂しがり屋……そのあたりは変わってないのね)

絵里「あと可愛いものが大好き」

絵里(そこまで聞いてない)

910: 2014/09/15(月) 01:26:13.73 ID:sSbIZiY10
絵里「まあ、何で急に出てきたかって言われると……よくわからないんだけど」

絵里(うん)

絵里「なんかひゅーっていってぽーんって感じに出てきたわ」

絵里(わからない)

絵里「お、同じ私なのにこうも理解力の差が……」

絵里(同じ私なのにどうしてこんなに残念に)

911: 2014/09/15(月) 01:28:17.74 ID:sSbIZiY10
絵里「ねぇ」

絵里(なに?)

絵里「そっちの世界では、学院は本当に廃校になっちゃうの?」

絵里(なるわ)

絵里「ええっ」

絵里(でもそれは、私たちが阻止するの)

絵里「阻止……?」

912: 2014/09/15(月) 01:33:02.67 ID:sSbIZiY10
絵里(μ'sってスクールアイドルグループを作ってね)

絵里「スクールアイドル……あ! 希が教えてくれたやつね」

絵里(希が?)

絵里「そうよ。この前までは特別仲がいいって感じじゃなかったんだけど、いつだったか……そうね、2週間前くらいによく話すようになって」

絵里「その時にスクールアイドルっていうのを教えてもらったの。もちろんにこは知ってたわ」

絵里(学年が離れてても希と仲が良かったのはそういうわけね……)

913: 2014/09/15(月) 01:36:50.42 ID:sSbIZiY10
絵里「へぇ……でも私がスクールアイドルになるんだ……へぇ……」

絵里(まあいろいろと違うところはあるけどね。希が3年生だったり、凛が妹じゃなかったり)

絵里「ええっ!?」

絵里(いわゆるパラレルワールドってやつよ。あなたも知ってるんでしょ?)

絵里「……ああ! あれね!」

絵里(心配だわ……)


914: 2014/09/15(月) 01:38:36.58 ID:sSbIZiY10
絵里(それより気になることがあるんだけど)

絵里「何?」

絵里(……どうしてあなたはおまじないを使ったの?)

絵里「なんでだっけ」

絵里(……もはや何も言うまい。予想通りの返事をありがとう)

絵里「ちょ、ちょっと待って!」

絵里(ん? 思い出した?)

915: 2014/09/15(月) 01:42:02.37 ID:sSbIZiY10
絵里「引っ越しちゃって、花陽と仲良くなって……にことあんまり遊べなくなったの」

絵里「生徒会の仕事も以前より……書記の……えっと」

絵里(海未)

絵里「そう、書記田さんに、仕事はしっかりやれって言われちゃって」

絵里(やってなかったのね……あと書記は園田海未よ。園田)

絵里「あ、そうね」

916: 2014/09/15(月) 01:45:45.13 ID:sSbIZiY10
絵里「さっきも言ったみたいに、にこは寂しがり屋だから……だから、もっとにこと遊ぶ時間を増やしたいと思ってやったの」

絵里(おまじないを?)

絵里「そう。せめて夢の中でシミュレーションすれば、もっと仕事も捗るかもしれないと思って」

絵里「まあ夢じゃなくてパラレルワールドだったんだけどね」

絵里(待って、シミュレーションってどういうこと……?)

絵里「え? だってこのおまじない、未来を見ることができるでしょ?」

絵里(……えっ)

917: 2014/09/15(月) 01:49:14.86 ID:sSbIZiY10
絵里(いや、冷静に考えればそうね。そうよね)

絵里(もしかしてそれを……あなたはやったの?)

絵里「そう。生徒会の仕事も先を見ればすいすいできちゃうかもーって」

絵里(で、結果はどうだったわけ?)

絵里「……みんなと一緒にいるのが楽しすぎて、帰り方を忘れちゃったの」

絵里(そんなことがあるのね……)

絵里「なんとなく覚えてた帰り道を辿ろうとしたんだけど、失敗して別のところについちゃったってわけ」

絵里(それが私の元の世界の体?)

絵里「そういうこと」

918: 2014/09/15(月) 01:52:07.14 ID:sSbIZiY10
絵里(ふーん……)

絵里「あれ、思い出さない?」

絵里(何が?)

絵里「あ、いや。私が言ってもダメなの。自分で実感して気付かないと、ちゃんと元の居場所へと帰れない……って私は言ってたから」

絵里(どの私?)

絵里「ううん、何でもない」

絵里(……誤魔化すのが下手ね)

絵里「よく言われるわ」

919: 2014/09/15(月) 01:54:49.19 ID:sSbIZiY10
絵里「で、どうするの?」

絵里(どうするって?)

絵里「あ、その前にお礼を言っておくわ。ありがとう」

絵里(ああ、元の世界へ連れてきたから?)

絵里「ええ。ありがとう」

絵里(どういたしまして)

絵里「それで、どうするって聞いたのは、あなたはいつでも帰ることができるからどうするのって聞いただけよ」

絵里「もうすぐに帰っちゃう? それとももう少しこの世界を眺めたい?」

920: 2014/09/15(月) 01:56:24.77 ID:sSbIZiY10
絵里(あ、ちょっとだけ見てみたいものがあるわ)

絵里「何が見たいの?」

絵里(生徒会よ。この世界の生徒会)

絵里(ちゃんと運営で来てるか気になって)

絵里「で、できてるわよ」

絵里(嘘が下手ね)

絵里「ぐぬぬ」

921: 2014/09/15(月) 02:00:36.07 ID:sSbIZiY10
絵里(……って、花陽は幼馴染じゃなかったの?)

絵里「違うわ。ただのご近所さん」

絵里(それにしては凛が仲良さげだったけど)

絵里「やっぱり同じ学年だからっていうのが大きいんじゃない?」

絵里(そんなものなのね)

絵里「たぶん」

絵里(他の世界で関わりが深いから、とか勘ぐっちゃったわ)

絵里「……難しいこと考えたらお腹すかない?」

絵里(……)

922: 2014/09/15(月) 02:03:35.40 ID:sSbIZiY10
絵里「あ、もう授業始まっちゃうわね」

絵里(え、もう?)

絵里「でも結構話し込んでたわよ?」

絵里「まあそのおかげで人が少ないんだけど」

絵里(そうね。トイレに入ったら1人で話してる人がいるなんて軽くホラーよね)

絵里(ん? でも朝礼あったんだし、もうとっくに授業は始まって……)

絵里「あ、この時計、電池切れたんだった」

923: 2014/09/15(月) 02:05:02.64 ID:sSbIZiY10
絵里(……もういいわ。一緒に怒られましょう)

絵里「せ、生徒会長なのに……」

絵里(本当に何で生徒会長になれたのよ……)

絵里「そういえば他の世界でも、私は生徒会長だったわね。生徒会長好きなのかしら」

絵里(私も生徒会長よ)

絵里「そうよね……あなたの今いる世界も生徒会長でしょ?」

絵里(ええ)

924: 2014/09/15(月) 02:07:55.42 ID:sSbIZiY10
絵里「あ、考えてたらお腹すいて来た」

絵里(……)

絵里(って、未来を見たなら廃校のお知らせが出ることくらい知ってるんじゃないの?)

絵里「ううん。そんなこと1度もなかったわ」

絵里(そうなの?)

絵里「うん」




絵里「そもそも、どの世界の私もスクールアイドルなんてやってなかったからね――――――――」

930: 2014/09/15(月) 05:31:10.49 ID:sSbIZiY10



絵里「あれ、生徒会の集まりっていつだっけ」

絵里(昼休みよ)

絵里「ああ、そうだった」

絵里「……あれ? この公式、どこかで……」

絵里(代入)

絵里「あー、それね」

にこ「……あんた何1人でぶつぶつ言ってるのよ」

絵里「え? あ、なんでもない。全然たいしたことないわ」

931: 2014/09/15(月) 05:33:13.30 ID:sSbIZiY10
にこ「いや、大したことあるでしょ。見せてみなさい」

絵里「え、ちょっとにこ、ノートとらないで、あー……」

にこ「……嘘」

絵里「な、何?」

にこ「あの絵里が公式に当てはめてる……」

絵里「え、えへへ。すごいでしょ」

にこ「でも掛け算間違えてる……」

絵里「」

絵里()

932: 2014/09/15(月) 05:35:46.23 ID:sSbIZiY10
にこ「どうしたの。お腹すきすぎて頭おかしくなった?」

絵里「え、そんなことないってば。確かに4時間目だけど……」

絵里(頭つかうとお腹すくって、にこにも言われるのね)

絵里「幼馴染だから」

にこ「?」

絵里(ちょっと、にこが首かしげてるわよ)

絵里「あれ? どうしたのにこ。寝違えた?」

にこ「あんた、誰としゃべってるの」

絵里「あっ」

933: 2014/09/15(月) 05:37:45.99 ID:sSbIZiY10



絵里「はー……やっとお昼ね」

絵里「さて、待ちに待ったご飯を――――――――」

絵里(生徒会)

絵里「あーう」

にこ「ちょっと、本当に大丈夫なわけ? さっきからふらふらしてるけど」

絵里「大丈夫大丈夫」

絵里(雑な誤魔化し方ね……もっと何かないの?)

絵里「えーっと……じゃあ……」

934: 2014/09/15(月) 05:40:21.88 ID:sSbIZiY10
絵里「あ、そう。生徒会があるでしょ?」

にこ「そうね」

絵里「でもにこは一緒に行けない」

にこ「うん」

絵里「……それでちょっと、二兎追う者は三兎も得ずみたいな……」

絵里(なんで増えたのよ)

にこ「安心した。いつも通りね」

絵里「ひ、ひどい!」

935: 2014/09/15(月) 05:42:31.92 ID:sSbIZiY10
にこ「ほら、遅れないように行ってきなさい。みんな待たせてるんでしょ?」

絵里「あ、うん。いってきまーす」

にこ「待ってるわよ」

絵里「なるべく早く抜け出してくるわ」

絵里(抜け出すんじゃありません)

にこ「はぁ……そんなんだから先生から、今日のボケは冴えてるなとか言われてるのよ」

絵里(にこ……ごもっともよ)

936: 2014/09/15(月) 05:45:15.41 ID:sSbIZiY10




絵里(あ、そうだ)

絵里「え?」

絵里(……いきなりしゃべると変に思われるから、イエスの時は手をグーに、ノーの時は手をパーにしてくれる?)

絵里「わかったわ」グー

絵里(わかってない)

絵里「……」グー

絵里(よろしい)

937: 2014/09/15(月) 05:47:36.37 ID:sSbIZiY10
絵里(こっちの世界の真姫に会ってみたいの。今日は会えるかしら)

絵里「」グー

絵里(1年生?)

絵里「」パー

絵里(えっ、真姫は1年生じゃないの?)

絵里「」パー

絵里(ど、どっち?)

絵里「」チョキ

絵里(……ごめん、主語を抜かして悪かったわ。あなたは3年生ね。それで真姫が1年生)

絵里「」グー

938: 2014/09/15(月) 05:53:11.70 ID:sSbIZiY10
絵里(で、真姫はどこにいるの? やっぱり音楽室?)

絵里「」パー

絵里(……直接話してもらえる?)

絵里「ぐー」

絵里(ちがうちがう)

絵里「?」

939: 2014/09/15(月) 05:55:05.18 ID:sSbIZiY10
絵里(直接話すって言うのは……)

絵里「真姫ちゃんは凛と花陽のお友達よ」

絵里(あ、そうそう。そういうことよ)

絵里「?」

絵里(続けて。気にしないでいいから)

絵里「え、気になる」

絵里(話止まるから! 後で教えてあげるから!)

絵里「」グー

940: 2014/09/15(月) 05:56:55.21 ID:sSbIZiY10
絵里「真姫ちゃんは凛と花陽のお友達」

絵里(あなたは面識がないの?)

絵里「」パー

絵里「よくお菓子もらったりするわ」

絵里(……二言目で一気に関係が複雑化したわね。あなたの立ち位置はなんなの?)

絵里「友達の姉」

絵里(……うん、そういうことにしておきましょう)

941: 2014/09/15(月) 05:59:28.96 ID:sSbIZiY10
絵里「あ、もう生徒会室ね」

絵里(ああ、やっぱり場所は変わってないんだ)

絵里「?」

絵里(ううん、何でもないわ)

絵里「そう?」

絵里(ええ)

絵里「じゃあ入るわね。失礼しまーす」

943: 2014/09/15(月) 06:03:07.45 ID:sSbIZiY10
海未「おや、生徒会長にしては早いですね」

穂乃果「あ、絵里ちゃん。ちょうどお茶が入ったところだよー」

絵里「ありがとう。えっと……おまんじゅうの子よね?」

絵里(穂乃果よ。高坂穂乃果)

絵里「ほの……え? ほのおちゃん?」

穂乃果「穂乃果は穂乃果だよ、ほーのーかー」

絵里「ほーのーかー」

絵里「よし、覚えた」

絵里(絶対嘘だわ)

944: 2014/09/15(月) 06:04:43.13 ID:sSbIZiY10
海未「穂乃果、敬語を使いなさいとあれほど……」

穂乃果「絵里ちゃんは良いって言ってるもん。ねー?」

絵里「ねー」

海未「では生徒会長。せめて役職名くらい覚えてください」

絵里「……ほのちゃん役職何だっけ」

絵里(さっそく違う)

穂乃果「……海未ちゃん、穂乃果は何する人だっけ」

海未「……」

絵里(海未、同情するわ)

945: 2014/09/15(月) 06:07:21.21 ID:sSbIZiY10
ことり「遅れてごめんなさい! あれ? 絵里ちゃんがもう来てる?」

絵里「ふふふ、ことりは4着ね」

絵里(なんでことりは覚えてるの?)

絵里「……ひらがなで覚えやすいから?」

絵里()

ことり「?」

絵里「あ、そうそう。このかちゃん」

絵里(苗字と名前が混ざってる)

946: 2014/09/15(月) 06:10:00.79 ID:sSbIZiY10
穂乃果「え? なに?」

絵里「ほら、今朝廃校のお知らせって言うのがあったじゃない。もう見た?」

穂乃果「うん。3人とも見たよ」

絵里「へー。私はあんまり覚えてないけど」

絵里(……まあいいわ。よくないけどいいわ)

絵里(でも変ね。穂乃果は1番ショックを受けてたって聞いてたんだけど……)

947: 2014/09/15(月) 06:14:04.49 ID:sSbIZiY10
絵里「ショックじゃなかった?」

穂乃果「そんなことないよ! もうショックで氏んじゃうかと思ったくらい」

絵里「ふふ、本当に氏ぬわけないじゃない」

絵里(……ああもう面倒ね。代わりなさい)

絵里「え、ちょ、そ、そんな電話代わるみたいな……」

絵里「……」

絵里「よし」

絵里(うぅ……普通に入れ替わられるなんて)

948: 2014/09/15(月) 06:18:38.28 ID:sSbIZiY10
絵里「穂乃果ならもうちょっとショックを受けたんじゃないかと思ってね」

絵里「でもどうして? そんなにすぐ立ち直るなんて、何か理由があるの?」

穂乃果「それはもちろん、解決策が見つかったからだよ!」

絵里(解決策? なにそれ)

絵里「どんな?」

穂乃果「スクールアイドルだよ、スクールアイドル!」

絵里(あ、さっき言ってたやつだ)

絵里「……やっぱりね」

949: 2014/09/15(月) 06:22:15.24 ID:sSbIZiY10
海未「だから、スクールアイドルなんて私には……」

穂乃果「ええっ!? 海未ちゃんがいないとスクールアイドルが始められないよ!」

海未「無理です!」

ことり「海未ちゃん……美人なのに」

海未「何と言われても絶対やりません」

絵里「ラブアローシュート」

海未「」

絵里(あれ、固まっちゃったわよ?)

950: 2014/09/15(月) 06:26:02.99 ID:sSbIZiY10
絵里「みんなのハートを……」

海未「会長!」

穂乃果「?」

ことり「?」

海未「ど、どこでそれを……まだ誰にも言っていないその決め台詞を……!」

海未「まさか弓道場に……? いや、そんなはずは……それに生徒会長の記憶力はそんなによくないはず……」

絵里(失礼な)

絵里「事実よ」

951: 2014/09/15(月) 06:29:34.80 ID:sSbIZiY10
ことり「絵里ちゃん、今の何?」

絵里「海未は言わないだけで、本当はスクールアイドルをやりたいってことよ」

穂乃果「ほんと!?」

海未「うっ」

絵里(あ、照れてる。かわいいわね)

海未「そ、それより仕事をしましょう。生徒会の仕事を」

絵里(誤魔化し方、下手ねー)

絵里「……何も言わないでおくわ」

952: 2014/09/15(月) 06:32:45.41 ID:sSbIZiY10
海未「ほら、まだ溜まっている仕事はあるんですよ」

穂乃果「えー? スクールアイドルは?」

海未「今は関係ありません!」

ことり「ふふ、今は……ねっ」

海未「ことり!」

ことり「きゃー、海未ちゃんこわーい」

穂乃果「きゃー」

953: 2014/09/15(月) 06:35:34.26 ID:sSbIZiY10
海未「会長も、たまには手伝ってください」

絵里「ええ」

穂乃果「絵里ちゃんがやる気だ……これは穂乃果も負けてられないよ!」

ことり「うんっ、じゃあやろっか」

絵里「……」

絵里(どうしたの?)

絵里「……ううん。なんでもない」

絵里(誤魔化せてないわよ?)

絵里「ふふっ、それでも構わないわ」

絵里(?)

954: 2014/09/15(月) 06:37:59.27 ID:sSbIZiY10
絵里「穂乃果たちが生徒会、ね……」

絵里(そうよ、ほの……ほのかたちが生徒会、よ)

絵里「海未、ちょっと席を外してもいい? すぐに戻るから」

海未「ええ、構いませんが……ちゃんと戻ってきてくださいよ?」

絵里「わかってるわ」

絵里(どこ行くの?)

絵里「……すぐにわかるわ」

955: 2014/09/15(月) 06:39:54.48 ID:sSbIZiY10




絵里(なんだ、トイレね)

絵里「そうよ。帰ろうと思って」

絵里(家に帰るの? 学校をサボっちゃうの? それはダメよ。にこに怒られるわ)

絵里「だから、私が元の世界に帰るのよ」

絵里(ああ、そういうことね)

絵里(……ええっ!? もう?)

絵里「長居しちゃ、あなたみたいに帰り道を忘れちゃいそうだもの」

絵里(……そっか)

956: 2014/09/15(月) 06:43:42.27 ID:sSbIZiY10
絵里「ねぇ、穂乃果たちの生徒会って……どう?」

絵里(そうねぇ……楽しそうよ)

絵里「どんな風に?」

絵里(私がいなくても、ちゃんと仕事してくれるわ!)

絵里(ああ、あとね、ほのかは元気いっぱいで、書記の……そう、海未! 海未はそのサポートができてるわ)

絵里(ことりは2人をまとめてくれてて……あれ? 私、いらない……?)

絵里「あはは……やっと名前、覚えたんだ」

絵里(あ、本当ね。いつの間に)

957: 2014/09/15(月) 06:45:49.62 ID:sSbIZiY10
絵里「あなたが言うならそうなのね。私の考えだもの」

絵里(えー? 言っちゃなんだけど、私とあなたじゃ頭の作りが違うわよ?)

絵里「本当に説得力あるわね……でもいいの。私の目に狂いはないはずだもの」

絵里(せ、責任はとれないわよ?)

絵里「いいわよ、そんなこと」

絵里(?)

絵里「ただ、安心しただけだから」

958: 2014/09/15(月) 06:47:18.70 ID:sSbIZiY10
絵里「それじゃ、もうお別れね」

絵里(寂しくなるわね……また会える?)

絵里「どうかしら。でももう会わない方がいいのかもしれないわ」

絵里(どうして?)

絵里「ここはあなたの居場所だもの」

絵里(ふーん……難しいわね)

959: 2014/09/15(月) 06:50:44.09 ID:sSbIZiY10
絵里「きっとスクールアイドルの活動を始めたら、今までにないくらい楽しくなると思うわ」

絵里(そう? 私は……その、何事にも全力でやれないから――――――――)

絵里「ううん、虜になるわ。今までに感じたことがないくらい、楽しくて、素敵で、面白い……」

絵里「最高の日々が始まるわよ。覚悟してなさい」

絵里(……ちょっとワクワクしてきた)

絵里「ええ、その心を忘れないで」

絵里(うん……じゃあ)

絵里「ええ」

960: 2014/09/15(月) 06:51:27.34 ID:sSbIZiY10




絵里「さよなら」

絵里(さよなら!)





――――――――

――――

――

961: 2014/09/15(月) 06:52:38.25 ID:sSbIZiY10



絵里「……今度は2時間も経ってる」

絵里「……」

絵里「……生徒会、かぁ」





絵里(任せてみるのも、いいかもしれないわね……)

962: 2014/09/15(月) 06:53:11.51 ID:sSbIZiY10

ここまで
次は希パートですよ

964: 2014/09/15(月) 07:00:27.34 ID:sSbIZiY10



にこ「希」

希「ん? どうしたん、にこっち」

にこ「ねぇ、希……あんたはここを夢だ夢だっていうけど……」




にこ「私たちにとっては紛れもない現実なのよ?」



     つづく

965: 2014/09/15(月) 07:04:06.95 ID:sSbIZiY10

引用: 絵里「つよくてにゅーげーむ」 part2